説明

麺線収納装置

【課題】麺線に塗布する油が多く製品が油臭くなり難くなり、また、作業中に麺線が絡まりやすい。
【解決手段】麺線を細く成形する成形装置から送出された麺線を搬送して収納容器に送出す搬送装置と、搬送装置から収納容器に送出する麺線に油を塗布する油塗布装置を備える麺線収納装置において、前記搬送装置に、前記成形装置から送出された麺線に撚りを掛ける加撚手段が設ける構成とした。また、麺線が前記テンションローラを離れて撓み、下降限界へ移動したことを検出する弛緩センサと、弛緩センサが麺線の下降限界への移動を検出したときに前記成形装置を停止し、この後、麺線が前記弛緩センサの検出範囲を超えた位置に上昇した時に前記成形装置を再起動する成形装置制御回路とを設ける構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺線を細く成形する成形装置から送出された麺線をたらい状の収納容器に収納する麺線収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
後掲する特許文献1に記載されているように、板麺あるいはこれを細く成形した麺線を細く成形する麺線成形装置から送出される麺線に油を塗布し、たらい状の収納容器にその中央部から周縁部に渦巻くように並べて収納する麺線収納装置がある。
【特許文献1】特許第3728318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この麺線収納装置によれば、油を手で塗りつける場合に比べておよそ20%程度使用油量を削減することができ、出荷された製品が油臭くなり難くなり、返品も少なくなった。
【0004】
しかし、この麺線収納装置によれば、麺線に油塗布装置のローラで塗布した油をローラと反対側に回り込ませるために、麺線のローラに接する側に多めに油を塗っているので、油臭の発生、及び油臭による返品を減少させるという観点からは不満が残される。
【0005】
この油臭による返品を無くすために、油の塗布量を減量すると、収納容器から麺線を取り出す時に麺線の癒着が生じ易くなり、癒着が生じる度に関係する装置を停止させて成形工程、掛箸への麺線巻掛工程などの工程の進行を中断し、癒着した麺線を手で剥がした後、関係する装置を再起動して中断された工程を続行するという作業が行われ、生産性が著しく損なわれる。
【0006】
ところで、一般に、成形装置から送出される麺線の速度と、搬送装置で搬送される麺線の速度は同調するように成形装置及び搬送装置を制御するが、何らかの原因により、成形装置から送出される麺線の速度が搬送装置の搬送速度を上回ると、成形装置から送出した麺線が弛緩し、麺線が絡まりやすくなり、特に麺線が機床にまで垂れ下がると、絡まりがひどくなって搬送できなくなり、成形装置と搬送装置を共に停止させなければならなくなる。
【0007】
この麺線の弛緩を防止するため、前記駆動装置から搬送装置に送出した麺線を下側に回して麺線を緊張させるテンションローラが設けられる。
【0008】
麺線は前記テンションローラの下側をU字状に回って搬送装置に送り出される。すなわち、麺線は駆動装置から搬送装置に向かってこのテンションローラでU字状に緊張していることになる。しかしながら、駆動装置からの麺線の送り量が搬送装置で送り出される量より多くなると、麺線はテンションローラを離れて、ついには麺線が機床にまで垂れ下がり、麺線が絡まりやすくなる。
【0009】
従来は、作業員がこの麺線の下降を監視し、麺線が下降し始めたことを発見すると、成形装置を止め、弛緩した麺線を搬送装置で収納容器に送り込むことにより、麺線の弛みを減少させ、麺線をテンションローラの位置まで上昇させた後、成形装置を再起動することにより、麺線の弛緩による絡みが発生することを防止している。
【0010】
しかし、人手が不足しがちな今日では1人の作業者が複数基の成形装置及び麺線収納装置を監視することがあり、監視の目を十分に行き届かせることが困難になり、麺線が著しく下降(機床にまで垂れ下がていること)していることを見落とし、成形装置を止める時期を失することもある。
【0011】
本発明に係る第1の麺線収納装置(以下、本第1発明という。)は、これらの従来技術の課題を解決し、麺線に塗布する油量を更に削減できるようにした麺線収納装置を提供することを目的とするものであり、本発明に係る第2の麺線収納装置(以下、本第2発明という。)は、麺線の弛緩による工程の中断を防止できるようにした麺線収納装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
更に、本発明に係る第3の麺線収納装置(以下、本第3発明という。)は、麺線の特性(麺線の剛柔、麺線の含水率の高低等)に応じて、麺線に適切な撚りを加え、麺線に適切な油量を塗布することができるようにした麺線収納装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本第1発明は、前記目的を達成するため、麺線を細く成形する成形装置から送出された麺線を搬送して収納容器に送出する搬送装置と、搬送装置から収納容器に送出する麺線に油を塗布する油塗布装置を備える麺線収納装置において、前記搬送装置に、前記成形装置から送出された麺線に撚りを掛ける加撚手段が設けられることを特徴とする、との技術的手段を採用する。
【0014】
加撚手段がない従来技術によると収納容器に収納された麺線の断面形状が扁平になるのに対し、本発明によれば、成形装置から送出された麺線に加撚手段により撚りが掛けられ、収納容器に収納された麺線の断面形状が円形に近い楕円形になる。
【0015】
麺線の断面形状が円形に近い楕円形になると、麺線の片側にローラで塗布された油が麺線の表面に沿ってローラと反対側に広がり易くなるので、塗布する油量を少なくして、出荷後に油臭が難くなるようにし、油臭を理由とする返品を減少させることができる。
【0016】
又、麺線の断面形状が円形に近い楕円形になると、油が麺線の全周に行き渡り易くなる上、収納容器内に収納された麺線どうしが接触する面積が狭くなるので、収納容器内で麺線が広い面積にわたって癒着することがなくなる。
【0017】
その結果、収納容器から麺線を持ち上げる時に隣接する麺線から剥がれ易くなり、収納容器から麺線を取り出す際に麺線が癒着することがほとんどなくなり、成形工程、掛箸への麺掛け工程などの進行を麺線の癒着を解消するために止めることもほとんどなくなり、生産性を高めることができる。
【0018】
更に、麺線が円形に近くなればなるほど、麺線を延伸のために掛箸に巻掛ける時に均等な張力で巻掛けることが容易になり、又、抗張力も増大するので、小引、大引などの麺線延伸工程において、麺線が切断し難くなり、歩留まりを高めることができる上、麺線を均等に延伸して品質を揃えて、製品の品質を高めることができると共に、製品の品質に対する信頼性を高めることができる。
【0019】
次に、本第2発明は、前記目的を達成するため、麺線を細く成形する成形装置から送出された麺線を搬送して収納容器に送出する搬送装置を備える麺線収納装置において、前記成形装置から搬送装置に送出した麺線をU字に下側に回して麺線を緊張させるテンションローラと、麺線がテンションローラを離れて下降限界にまで弛んだことを検出する弛緩センサと、弛緩センサが麺線の下降限界への移動を検出したときに前記成形装置を停止し、この後、麺線が弛緩センサの検出範囲を超えた位置に上昇した時に前記成形装置を再起動する成形装置制御回路とを備えることを特徴とする、との技術的手段を採用する。
【0020】
これによれば、麺線の下降限界への移動を監視する人手が不要になるとともに、確実に麺線が弛んで絡むことを防止することができ、成形装置及び麺線収納装置の稼働率を高めて、生産性を高めることができる。
【0021】
次に、本第3発明は、前記目的を達成するため、前記搬送装置に、本第1発明に係る加撚手段を機床の垂直軸に対して麺線搬送方向の前後に傾斜角度の調整可能に支持する支持手段が設けられることを特徴とする、との技術的手段を採用する。
【0022】
これによれば、支持手段により、加撚手段を機床の垂直軸に対して麺線搬送方向の前後に傾斜角度の調整を可能とし、加撚手段に係る回転面と麺線との接触面積を調整し、麺線に掛ける撚りを加減することが可能となる。そのため、麺線の特質、例えば、麺線の剛さ、柔らかさに応じて、麺線に掛ける撚りを加減し、柔らかい麺線であれば、弱い撚りを掛けて麺線のねじ切れを防止し、剛い麺線であれば、撚りを強めて、確実に麺線に撚りを加え、麺線の断面形状を円形に近い楕円形にすることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本第1発明によれば、加撚手段により、成形装置から送出された麺線に撚りを掛けるので、収納容器に収納される麺線の断面形状が円形に近い楕円形になるから、以下の効果を得ることができる。
【0024】
先ず、麺線に塗布した油が麺線の全周に行き渡り易くなり、麺線に塗布する油量を、例えば手で塗りつける場合に較べて50%程度に減量することができ、製造コストを大幅に削減することができる。
【0025】
又、油が麺線の全周に行き渡り易くなる上、収納容器内に収納された麺線どうしが接触する面積が狭くなり、収納容器内で麺線が広い面積にわたって癒着することがなくなるので、収納容器から麺線を持ち上げる時に隣接する麺線から剥がれ易くなり、収納容器から麺線を取り出す際に麺線が癒着することがほとんどなくなり、成形工程、掛箸への麺掛け工程などの進行を麺線の癒着を解消するために中断することもほとんどなくなり、生産性を高めることができる。
【0026】
更に、麺線を掛箸に巻掛ける時に均等な張力で巻掛けることが容易になり、又、抗張力も増大するので、小引、大引などの麺線延伸工程において、麺線が切断し難くなり、歩留まりを高めることができる上、麺線を均等に延伸して品質を揃えることができ、製品の品質を高めることができると共に、製品の品質に対する信頼性を高めることができる。
【0027】
更に、加撚手段を機床の垂直軸に対して麺線搬送方向の前後に傾斜角度を調整することによって、麺線の柔剛に応じて、麺線に掛かる撚りを調整することが可能となるため、加撚手段を多品種の麺線に適用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施する形態を図面に基づいて具体的に説明する。
(第一の実施形態)
図1は正面視における成形装置と本発明の第一の実施形態に係る麺線収納装置を示す正面図であり、図2は平面視における成形装置と本発明の第一の実施形態に係る麺線収納装置を示す平面図であり、図3は本発明の第一の実施形態に係る加撚手段の斜視図であり、図4は本発明の第一の実施形態に係る弛緩防止手段の機能ブロック図である。
【0029】
図1に示すように、本実施例に係る麺線収納装置1は、成形装置2と共通の基枠3を備え、成形装置2から送出される麺線4を、たらい状の収納容器5に搬送する搬送装置6と、前記収納容器5をその中心軸心回りに回転させるターンテーブル装置7と、前記成形装置2から搬送装置6に送出した麺線4を緊張させる緊張装置8と、搬送装置6から収納容器5に送出する麺線4に油を塗布する油塗布装置9を備える。
【0030】
前記成形装置2は、1対の成形ローラ21、22と、これら成形ローラ21、22を互いに逆回転方向に等回転数で回転させる電動モータからなる成形用原動機23と、別のたらい状の収納容器5´から麺線4を前記成形ローラ21、22間に案内する案内装置24と、を備え、この案内装置24は、収納容器5から取上げる麺線4の横振れを抑止する案内筒25と、複数の案内ローラ26、27、28、29と、これら案内ローラ26、27、28、29の一部又は全部を駆動する案内駆動装置を備える。
【0031】
図1と図2に示すように、前記搬送装置6は、成形装置2で成形された麺線4を収納する収納容器5の上方に配置され、基端部と遊端部を有し、基端部を中心に、縦軸の回転軸心周りに、前記遊端部が前記収納容器5の中心部から周縁部にわたって水平回転可能に設けられたアーム61と、このアーム61に支持され、麺線4を搬送する複数のローラからなる搬送ローラ列62と、この搬送ローラ列62に属するローラの一部又は全部を駆動する搬送駆動装置63を備え、この搬送駆動装置63は、一定速度で回転させる電動モータからなる原動機と、この原動機の回転を搬送ローラ列62に属するローラの一部又は全部に伝達する例えばロープ式伝動装置を備える。
【0032】
又、図1に示すように、前記ターンテーブル装置7は、前記基枠3に縦軸心回りに回転可能に支持されたターンテーブル71と、これを駆動するテーブル駆動装置72とを備える。
【0033】
前記緊張装置8は案内ローラ81とテンションローラ82を備え、この案内ローラ81は位置が固定された前後軸心の回りに回転自在に設けられ、周面に麺線4が嵌り込むU字溝が形成され、下側から麺線4を支持する。
【0034】
又、前記テンションローラ82もその位置は固定され、前記案内ローラ81から送出された麺線4をその下側に回して搬送装置6に送り込むようになっている。すなわち麺線4をU字状に緊張させることにより成形装置2と搬送装置6の間における麺線4の弛みを無くし、麺線4に適度の張力を与える。
【0035】
前記油塗布装置9は、麺線4に塗布する油を収納する油タンク91と、油タンク91からの油の流出を制御する電磁弁92と、油タンクから流出する油量を制御する流量制御弁93と、収納容器5の中で搬送装置6から送出される麺線4に上側から転接し、麺線4に上側から油を塗布する塗布ローラ94と、前記油タンク91の油を電磁弁92及び流量制御弁93を介して塗布ローラ94に導く油ホース95を備え、必要に応じて、油タンク91内の油温を所定の範囲に保持する保温手段が設けられる。
【0036】
更に、必要に応じて、塗布ローラ94から麺線4に塗布する油を麺線4の両横側に拡散させる刷毛状の塗布部材が設けられる。
【0037】
さて、本実施例に係る麺線収納装置1において重要な点は、成形装置2から送出した麺線4に撚りを掛ける加撚手段10と、麺線4の弛緩による麺線4の絡みを予防する弛緩防止手段30が設けられる点である。
【0038】
図2に示すように、この加撚手段10は、縦軸の中心軸心の回りに回転可能に設けられる筒体11と、この筒体11を一方向に回転させる駆動手段12を備える。
【0039】
図3に示すように、この筒体11には、中心軸心に沿って麺線4が挿通される中心孔13が形成され、その外周面に駆動手段12の無端ロープからなる最終段伝動具14を巻掛けるプーリ15が一体成形されている。
【0040】
又、この筒体11には、該筒体11を回転可能に内嵌して保持するホルダー16が外嵌され、このホルダー16を搬送装置6のアーム61の基端部に、アーム61の回転軸心と筒体11の中心軸心が平行(又は同軸心)になるように支持させる。
【0041】
もっとも、筒体11の中心軸心とアーム61の回転軸心とを平行(又は同軸心)に配置することは本発明に必須のことではなく、例えば、筒体11の中心軸心とアーム61の回転軸心が交差するように配置したり、アーム61の回転軸心が配置される平面と平行な別の平面に筒体11の回転軸心を傾斜させて配置したりしてもよい。
【0042】
前記中心孔13の形状は、特に限定されないが、中心孔13の内周面が、軸心方向の中央部で円筒面17に形成され、軸心方向の両端部で中央部の円筒面に円滑に連続し、かつ端面に向かって内径の広がる突曲回転面18に形成される。
【0043】
これにより、筒体11の中心軸心に対して傾斜した方向から円滑に麺線4を中心孔13に導入することができ、又、筒体11の中心軸心に対して傾斜した方向へ円滑に麺線4を導出することができる。
【0044】
なお、この実施例では、筒体11を搬送ローラ列62の前段に配置して、成形装置2から搬送装置6に取り込む段階で麺線4に撚りを掛けるようにしているが、搬送ローラ列62のローラの間に筒体11を配置して、搬送中の麺線4に撚りを掛けたり、搬送ローラ列62の後段に筒体11を配置して、油を塗布する直前で麺線4に撚りを掛けたりすることも可能である。
【0045】
さて、成形装置2から送出され、搬送装置6に繰り込まれる麺線4を前記筒体11に挿通し、経験的に得た適当な速度で回転させると、麺線4の粘りが増し、麺線4の抗張力が増大すると共に、麺線4の断面形状が丸められ、搬送装置6から収納容器5に送出される麺線4の断面形状が多かれ少なかれ円形に近い楕円形になる。
【0046】
もちろん、筒体11の回転速度を過剰に速くして、麺線4がねじ切れるほど激しく撚りを掛けることは好ましくなく、又、筒体11の回転速度を過剰に遅くすることは、効果が著しく薄くなるので好ましくない。
【0047】
搬送装置6から収納容器5に送出される麺線4の断面形状が円形に近い楕円形になると、油塗布装置9で麺線4の片側から塗布した油が麺線4の反対側に回り込み易くなり、少量の油で麺線4の全周に油を行き渡らせることができる。
【0048】
例えば、塗布ローラ94と刷毛状の塗布部材を用いて麺線4の上側と両横側に油を塗ると、油と麺線4との親和力と、油の自重で瞬時に麺線4の下側まで油が広がるので、手で油を塗る場合に較べると50%も少ない油量で麺線4の全周に隈なく油を行き渡らせることができ、使用油量を半減することにより生産コストを大幅に削減することができた。
【0049】
又、麺線4に塗布する油量を半減することにより、製品として出荷した後、油臭が発生したとして返品されるものもほとんどなくなり、この意味で、大幅に歩留まりを高めることができ、コストダウンを図ることができた。
【0050】
ところで、収納容器5に収納された麺線4どうしは、麺線4が外周部側から中心部側に寄ろうとしたり、上下に重なったりして、互いに接触するが、麺線4の断面形状が円形に近い楕円形になると、断面形状が扁平な麺線どうしに較べて、麺線4どうしの接触面積が小さくなり、麺線4を収納容器5から取り出す時に簡単に接していた麺線4から剥がれ易くなる。
【0051】
この麺線4どうしが剥がれ易くなることと、麺線4の全周に油が行き渡ることが相俟って、収納容器5から麺線4を取り出す時に麺線4どうしが癒着することはなくなり、麺線4の癒着により工程が中断されることもなくなって、工場の稼働効率が各段に高くなり、生産性が高められた。
【0052】
又、撚りを掛けることにより麺線4の粘りが増すことにより、麺線4を更に細く成形する成形工程や、麺線4を掛箸に巻掛ける工程や、麺線4を延伸する工程で麺線4が切断し難くなり、良質で均質な麺を製造できるようになった。
【0053】
ところで、前記駆動手段12は、モータなどからなる原動機と、この原動機の回転を前記筒体11に伝達する伝動手段を備え、この伝動手段は、特に限定されないが、コストダウンを図ると共に、運転騒音を減衰させるために、無端ロープとプーリを用いるロープ式伝動手段を採用している。
【0054】
ここで、上述した最終段伝動具14及びプーリ15はこのロープ式伝動手段の一部を構成している。
【0055】
もちろん、伝動手段はロープ式伝動手段に限らず、原動機の回転を筒体11に伝動できるものであればよく、ベルト式伝動手段、チェーン式伝動手段などを用いることが可能であり、これらの他にも、リンク式伝動手段、歯車式伝動手段、あるいは上述した種々の伝動手段から選択された2以上の方式の伝動手段を併用することが可能である。
【0056】
又、前記駆動手段12の原動機は、専用のものを設けてもよいが、本実施例では、搬送装置6の原動機63を加撚手段10の原動機に兼用して、コストダウンを図ると共に、簡単な構造で搬送装置6と加撚手段10の動作を協調させるようにしている。
【0057】
次に、図4は前記弛緩防止手段30の機能ブロック図であり、同図に示すように、前記弛緩防止手段30は、麺線4が前記テンションローラ82を離れて緩み下降限界(機床上)へ移動したことを検出する弛緩センサ31と、弛緩センサ31が麺線4の下降限界への移動を検出したときに前記成形装置2の成形用原動機23を停止し、この後、麺線4が前記弛緩センサの検出範囲を超えた位置に上昇したとき(前記下限界を離れたとき、即ち機床を離れたとき)に前記成形装置2の成形用原動機23を再起動する成形装置制御回路32とを備える。
【0058】
上記では成形用原動機23を直接停止、あるいは再起動する成形装置制御回路32を採用しているが、成形用原動機23の駆動軸と1対の成形ローラ21、22をクラッチを介して連結し、当該クラッチをオン、オフを制御する制御回路を採用してもよいことはもちろんである。
【0059】
前記弛緩センサ31としては、リミットスィッチのような機械的にオンオフされるスィッチ、麺線4の押圧力によりオンオフされる圧力センサなど接触型センサを用いてもよいが、非接触型センサを用いることが好ましい。
【0060】
この非接触型センサとしては、光を出射し、麺線4よってその光が遮断されたときにオンオフ切替えされるホトセンサなどを用いるのが好ましい。
【0061】
本実施例では、図1と図2に示すように、基枠3に支持させた投光部311及び受光部312を備え、下降限界に位置する麺線4により投光部311から受光部312に向かう光路が遮断されるホトインタラプタを弛緩センサ31として用いる。
【0062】
成形装置制御回路32は、弛緩センサ31により麺線4の下降下限への移動が検出されると、成形用原動機23を停止させ、非検出状態、即ち、麺線4が下降下限から上昇して、前記弛緩センサの検出範囲を超えた位置まで麺線4が上昇したとき、成形用原動機23を再起動するように構成してあればよく、特に限定されないが、例えば弛緩センサ31のオンオフにより成形用原動機23の電源回路をオンオフするリレースィッチを備えていればよい。
【0063】
麺線4が弛緩センサ31の光路よりも高く位置しているときは、非検出状態であり、成形装置2から麺線4が送出され、搬送装置6により収納容器5まで搬送される。
【0064】
成形装置2の麺線送出速度が搬送装置6の搬送速度を上回り、U字状の麺線4の下端が弛緩センサ31の光路位置(機床に近い位置)に下降すると、このことを弛緩センサ31が検出し、成形装置2からの麺線4の送出が止められる。
【0065】
しかし、搬送装置6による搬送は連続して行われるので、搬送装置6により麺線4が引っ張られることになり、成形装置2と搬送装置6の間で麺線4が弛むことが防止される。
【0066】
そして、成形装置2からの送出を停止する一方、搬送装置6で麺線4を引っ張るので、短時間内に、成形装置2と搬送装置6の間において麺線4の張力が高められ、U字の麺線を上昇させることになり、麺線4のU字の下端が弛緩センサ31の光路(下降限界)よりも高い所定の位置まで上昇(麺線の下限界の位置より上昇)すると、非検出状態に復帰する。また、U字の麺の自重で麺の絡みも解消することになる。
【0067】
この非検出状態への復帰に伴い成形装置2が再起動され、成形装置2による成形工程が再開される。
【0068】
その結果、成形装置2と搬送装置6の間における麺線4の張り具合、或は弛み具合を監視する人手と、弛みによる麺線4の絡みを解消するために成形装置を止めたり、絡んだ麺線4をほぐしたり、その後に成形装置を再起動させたりするトラブル解決に要する人手を省くことができ、大幅に省人化を進めることができた。
【0069】
又、麺線4が一定以上弛まないので、弛みによる麺線4の絡みを完全に予防することができる上、絡み防止のために成形装置2を停止させる時間は、従来のトラブル解決のために成形装置2を止めている時間に較べて大幅に短く、成形装置2の稼働効率を大幅に高めて、生産性を一層高めることができた。
【0070】
更に、弛緩防止装置30の付加による部品点数の増加を最小限に抑えて、コストアップを必要最小限に抑えることができた。
【0071】
尚、上記において麺線4がその下降限界よりも高い所定の位置まで上昇すると、麺線の送出を再開する構成としているが、麺線がテンションローラの位置まで上昇したときに麺線の送出を再開する構成にしてもよい。
【0072】
尚、筒体11の回転方向は、収納容器5の回転方向との関係で決定される。即ち、麺線4は収納容器5の中心から外側に向かって巻き取られるようになっており、このとき、麺線4に対する撚りが、収納容器5の中心方向に麺線4に力が加わる方向(図2に示す収納容器5の回転が平面視で反時計方向であれば、麺線4にも反時計方向の撚りが加わるよう)に回転する。上記駆動手段12、伝動手段に係る最終段伝動具14及びプーリ15の回転方向は、筒体11の回転方向と、収納容器5の回転方向とを勘案して、適宜設定されることになる。
【0073】
例えば、本実施形態では、図2に示す収納容器5の回転が平面視で反時計方向と設定されると、駆動手段12の回転が平面視で反時計方向と設定され、最終段伝動具14を介して、筒体11のプーリ15は、平面視で反時計回りに回転し、結果として、筒体11の突曲回転面18と接触している麺線4に、反時計方向の撚りを加えることになる。
【0074】
(第二の実施形態)
ところで、麺線は天候や材料の種類等に応じてこしの剛さ(柔らかさ)が変わるのが通常であるが、上述した第一の実施形態の構成では、麺線のこしの剛さに応じた撚りを掛けることができない。
【0075】
そこで、第二の実施形態では、前記搬送装置6に、第一の実施形態に係る加撚手段10を、機床の垂直軸に対して麺線の搬送方向の前後に傾斜角度を調整可能に支持する支持手段100を設けた。以下、支持手段100について詳細に説明する。
【0076】
図5は、第二の実施形態に係る加撚手段10及び支持手段100の斜視図である。図6は、第二の実施形態に係る加撚手段10及び支持手段100の左側面図である。図7は、成形装置と本発明の第二の実施形態に係る麺線収納装置を示す正面図である。
【0077】
上述した第一の実施形態と同様、筒体11がアーム61の基端部に支持されるが、この時、前記ホルダー16が外筒161に嵌挿され、当該外筒161の上端部162が、上記アーム61の後端から延設した支持杆611に、上記アーム61と直角な方向の支軸101を中心に角度調整可能に軸支され、筒体11は外筒161内を遊転できる構成となっている。尚、上記支軸101には筒体11の角度を保持できる角度保持手段、例えばスプリングワッシャが介在され、支軸101を中心に手で筒体11を所定の角度で回した場合、そのままその角度を保った状態となる。
【0078】
上記外筒161には、以下に説明する駆動筐体201が接続されており、当該駆動筐体201には、上記支軸101と同心方向aなるように駆動軸202が支持されている。当該駆動軸202には、主動プーリ203が支持された構成となっている。上記搬送ローラ列62の例えば後段のローラ622の回転軸bには、搬送プーリ204を支持させ、当該搬送プーリ204から第一の無端ロープ205を介して、上記主動プーリ203に動力が伝達される。従って、上記主動プーリ203と搬送プーリ204の位置は、アーム61の長手方向に一致することになる。
【0079】
上記のように主動プーリ203に伝達された、上記支軸101と同心方向aを中心とする回転力(アーム61に直角な方向の回転力)は、上記駆動筐体201に備えたギアボックスを介して上記駆動軸202に直角方向c(上記駆動筒体201の軸に平行な方向)の回転力に変換され、従動プーリ206と第二の無端ロープ14を介して、筒体11に一体形成されたプーリ15に伝達される。尚、第一の実施形態と異なって、筒体11と一体形成されるプーリ15は、本実施形態の場合、筒体11の下端部の外周に形成されている。また、本実施形態のギアボックスにおける、入力軸aの回転数を出力軸cの回転数で除した比である減速比は1と設定している。
【0080】
上記筒体11は上記のように支軸101を中心に、駆動筐体201に備えたギアボックスとともに角度調整できる構成となっているので、筒体11の角度を変更しても支障なく回転力が、筒体11に伝達ができることになる。筒体11は外筒161内を遊転することになる。
【0081】
尚、当然のことながら、筒体11の回転は、上記ホルダー16の外輪、外筒161に干渉されない構成となっている。また、上記のように筒体11の下端部付近にはプーリ15が一体形成され、上記駆動手段12の第二の無端ロープ14が掛けられる構成となっているが、このとき、筒体11のプーリ15と駆動筐体201側の従動プーリ206とに掛け渡される上記駆動手段12の第二の無端ロープ14が、外筒161や筒体11に干渉されない構成となっている。例えば、図5、図6に示すように、外筒161に、第二の無端ロープ14を通過させるための横長楕円状の窓163が設けられる。
【0082】
図8は、平面視における成形装置と本発明の第二の実施形態に係る麺線収納装置を示す平面図である。
【0083】
図5、図8に示すように、搬送プーリ204と主動プーリ203は、伝動手段200の一部を構成する第一の無端ロープ205を介して連結される。ここで、筒体11の回転方向と、収納容器5の回転方向との関係は、第一の実施形態で述べた関係と同様であり、麺線4に対する撚りが、収納容器5の中心方向に麺線4に力が加わる方向(図8で示す収納容器5の回転が平面視で反時計方向であれば、麺線4にも反時計方向の撚りが加わるよう)に回転する。そのため、搬送プーリ204、主動プーリ203、第一の無端ロープ205のそれぞれの回転方向は、当該関係を保つように設定される。
【0084】
例えば、第二の実施形態では、収納容器5の回転が平面視で反時計方向と設定されると、第一の無端ロープ205が八の字の状態で搬送プーリ204と主動プーリ203とに巻き掛けら、搬送プーリ204が後段の搬送ローラ622と同一の回転方向で回転すると、主動プーリ203が搬送プーリ204に対して同等の回転速度で、逆回転方向に回転するよう構成される。主動プーリ203の回転は、駆動筐体201を介して、従動プーリ206に伝達され、従動プーリ206と筒体11のプーリ15は、ともに、第二の無端ロープ14を介して、平面視で反時計回りに回転し、結果として、筒体11の突曲回転面18と接触している麺線4に、反時計方向の撚りを加えることになる。
【0085】
尚、後段の搬送プーリ622から回転力を供給される筒体11の回転速度は、素麺として出来上がる最終製品の歩留まりを勘案して経験的に決定される。
【0086】
上記構成によって、伝動手段200が、原動機(搬送ローラ列62)の回転を適切に利用して加撚手段10の筒体11に回転を伝達し、麺線4に撚りを加えることが可能となるとともに、筒体11を回転させるために必要な駆動手段、例えば、モータ等からなる原動機を別個に用意する必要がなくなるため、部品点数を減らし、麺線収納装置の省スペース化を図ることが可能となる。
【0087】
尚、伝動手段200の一部を構成する搬送プーリ204は、後段の搬送ローラ622の回転軸bを回転軸として構成される必要はなく、前段の搬送ローラ621の回転軸を回転軸として構成しても構わない。図5、図8に示すように、前記支持手段100に係る支持杆611が、前段の搬送ローラ621近傍に固定されているため、搬送装置6の構造が簡易とし、支持杆611と搬送プーリ203とが重複して位置することを回避するために、前記搬送プーリ204は後段の搬送ローラ622の回転軸bを回転軸とするよう構成したほうが好ましい。
【0088】
次に、成形装置2から搬送手段62に導入される麺線4に対して、加撚手段10が傾斜した際の撚り力の作用について説明する。
【0089】
図9は、加撚手段10の正面の端面図であり、図9Aは、加撚手段10を、機床の垂直軸に対して麺線搬送方向の後方に傾斜させた際の端面図であり、図9Bは、加撚手段10を、機床の垂直軸に対して麺線の搬送方向の前方に傾斜させた際の端面図である。
【0090】
上述の第一の実施形態と同様に、麺線4を筒体11の下側の開口端から上側の開口端を通して搬送手段62によって、収納容器5まで搬送させるようにセットすると、麺線4は、上述の第一の実施形態と同様に、筒体11の上下の開口端付近の突曲回転面18と接触することになり、この接触する面積(上方の接触面積181、下方の接触面積182)によって撚り力を発生することになる。
【0091】
上記したように麺線は水分量や天候等の関係でこしの剛さ(柔らかさ)が変わるのが通常であり、こしが剛いほど大きな撚り力を与えないと、適正な撚りを麺線に与えることはできない。ところが、第一の実施形態の構成では、筒体11の機床の垂直線dに対する角度α(又は、機床の垂直軸dと筒体11の回転軸eとの間の成す傾斜角度)および筒体11の回転速度は一定であるので、撚り力は麺線4のこしの剛さに関係なく同等となる。
【0092】
そこで、本実施形態においても筒体11の回転速度を変更することはできないが、筒体11の機床の垂直線dに対する角度αを、支軸101を中心に変更することができるようになっている。すなわち、図9Aに示すように、麺線4が柔らかい時には、麺線4と上記突曲回転面18との接触面積181、182を小さくしても、充分な撚り力を筒体11から得ることができるので、撚り力を小さくするように筒体11の機床の垂直線dに対する角度αを調整し、弱い撚り力を麺線4に与えることが可能になる。
【0093】
また、麺線4のこしが剛い時には、図9Bに示すように、筒体11の機床の垂直線dに対する角度αを小さくし、麺線4と上記突曲回転面18との接触面積181、182を大きくして、より大きな撚り力を麺線4に与えることができる構成となっている。上記角度αは、具体的には、図9A、図9Bに示すように、約30度から0度までに小さくし、麺線4に大きな撚り力を与える。
【0094】
上記構成は処理速度の観点から見ても有効である。すなわち、第一の実施形態に示すように、筒体11の機床の垂直線dに対する角度αを変更できない場合は、麺のこしの剛さに応じて撚りの強さを変えようとすると、筒体11の回転速度を変更する必要があるが、回転力を搬送手段62(後段の搬送ローラ622)から供給されている構成上、搬送速度を速くして筒体11の回転速度を大きくしても、麺線4に対する相対的な撚り力は変化しないことになり不都合となる。そこで、本実施の形態のように、搬送速度を一定としておいて筒体11の機床の垂直線dに対する角度αを調整する構成が有効である。
【0095】
上述した効果は、麺線のこしの剛さに限られない。麺線の他の特性(例えば、麺線の品種、麺線に含有されているタンパク質の種類およびその含有量、麺線の含水率、麺線のこねの程度等)、麺線を収納する際の環境(温度、湿度等)に対しても同様の効果を得ることができる。
【0096】
例えば、麺線を収納する際の季節や環境によって、収納する麺線の柔剛に変動を来たす場合がある。そのような場合でも、作業者が、加撚手段10を通過した麺線を目視しながら、当該支持手段100を介して筒体11の機床の垂直線dに対する角度αを調整することによって、麺線に確実に撚りを加えることができるため、撚りの微調整も容易に実行することができるとともに、収納される麺線に適切に撚りを加えることが可能となる。その際、筒体11の回転速度に対応する搬送手段62(後段の搬送ローラ622)の回転速度を一切変更しなくてよい。
【0097】
また、温度が常温の収納時と比べて聊か低い場合、つまり、収納される麺線が聊か柔らかい場合でも同様である。さらに、湿度が常湿(相対湿度65%RH)の収納時と比べて聊か高い場合、言い換えると、収納される麺線が聊か柔らかい場合でも同様である。また、湿度が常湿の収納時と比べて聊か低い場合、言い換えると、収納される麺線が聊か剛い場合であっても、同様である。
【0098】
このように、第二の実施形態では、前記搬送装置6に、加撚手段10を機床の垂直軸dに対して麺線搬送方向の前後に傾斜角度αを調整可能に支持する支持手段100が設けられるよう構成している。
【0099】
これにより、加撚手段10に係る突曲回転面18と麺線4との接触面積181、182を調整し、麺線に掛ける撚りを加減することが可能となる。そのため、麺線の特質、例えば、麺線の剛さ、柔らかさに応じて、麺線に掛ける撚りを加減し、柔らかい麺線であれば、弱い撚りを掛けて麺線のねじ切れを防止し、剛い麺線であれば、撚りを強めて、確実に麺線に撚りを加え、麺線の断面形状を円形に近い楕円形にすることが可能となる。
【0100】
さらに、第一の実施形態と比較して、麺線に掛ける撚りの程度を微調整することが可能となるため、麺線の断面形状を、より一層、円形に近い楕円形に近づけることが可能となるから、麺線に塗布した油が麺線の全周に行き渡り易くなり、麺線に塗布する油量を減量することができる。
【0101】
また、上述した作用により、第一の実施形態と比較して、さらに収納容器内に収納された麺線相互が接触する面積が狭くなり、麺線が癒着することがなくなるとともに、収納された麺線は、収納容器の中心方向に麺線に力が加わる方向に撚りが加わるため、効率のよい麺線の収納を行うことが可能となる。また、収納容器から麺線を取り出す際に麺線が癒着することがほとんどなくなり、生産性を高め、省スペース化にも貢献し得る。
【0102】
上述した作用は、収納された麺線を巻き掛けて延伸させる場合にも、顕著な効果を発揮する。つまり、麺線の断面形状が円形に近い場合、その麺線を掛箸に巻掛ける時に均等な張力で巻掛けることが容易になるとともに、撚りによる麺線の抗張力も増大するので、麺線延伸工程において、麺線が切断し難くなり、歩留まりを高めることができる。
【0103】
例えば、撚りが掛けられていない麺線を一対の掛箸に巻掛けて延伸した場合、延伸された麺線のうち、掛箸から約10cm程度までの麺線は、断面形状が不均一な扁平である等の理由によりリターン屑麺としていた。リターン屑麺とは、延伸後の麺線であり、製品として利用することが出来ない麺線を、新たな麺線の原料に混入して再利用(リサイクル)するための麺線のことである。本発明の加撚手段により麺線に撚りを掛けることにより、掛箸から約4cm程度までの麺線の断面形状は不均一で製品とならないものの、その後の部分は断面形状が均等で製品として十分用いることが可能となった。そのため、本発明では、従来と比較すると、当該リターン屑麺の量が極端に少なくなり、結果として麺線の生産性を高めることが可能となった。なお、素麺1本の長さは約19cmである。
【0104】
(第三の実施形態)(構成上の補足)
第一の実施形態乃至第二の実施形態に係る筒体11には、該筒体11を回転可能に内嵌して保持するホルダー16が外嵌された構成を採用しているが、その筒体11とホルダー16は、以下に示すような構成を採用している。
【0105】
図10は、本発明の加撚手段10及びホルダー16の端面図であり、図10Aは、第一の実施形態に係る加撚手段10及びホルダー16の端面図であり、図10Bは、第二の実施形態に係る加撚手段10及びホルダー16の端面図である。
【0106】
図10A乃至図10Bに示すように、上記ホルダー16は、内輪16aと外輪16bとの間にボールベアリングを介在させた構造である。また、上記筒体11は、上筒111と下筒112に2分された構成となっている。上筒111の下端部111bは上記ホルダー16の内輪16aの内周に符合する外径となし、上端部111aに至るに従って、上記外筒161に干渉しない程度に外径が大きくなるようにしている。一方、下筒112の上端部112aは上記上筒111の下端部111bの外径と対応する内径となし、下筒112の下端部112bに至るに従って、上記外筒161に干渉しない程度に外径が大きくなっている。
【0107】
上記の構成の上筒111の下端部111bを上記ホルダー16の内輪16aの内側に嵌挿し、ついで、下筒112の上端部112aを上記上筒111の下端部111bに嵌挿し、両者の重なる部分をネジ113で固定する。これによって、上記ホルダー16のボールベアリングの部分を挟み込んだ状態の筒体11を形成することができる。尚、上記ネジ113は、例えば、頭部のないネジであるホーローセット・スクリュウ(hollow set screw)(ホロセットともいう)で構成され、直径6mmの六角孔付きネジが採用される。
【0108】
第一の実施形態では、図10Aに示すように、上述した状態で、上筒111の上端部112b付近にプーリ15が一体形成され、上記駆動手段12の無端ロープ14が掛けられる構成となる。
【0109】
一方、第二の実施形態では、図10Bに示すように、上述した状態で、更に、上記ホルダー16を外筒161の内部に嵌挿して、ネジ164で、ホルダー16の位置を固定する。これによって、筒体11は外筒161内をベアリングを介して遊転することが出来ることになる。尚、前記ネジ164は、頭部を有するネジで構成され、例えば、ボタンキャップが採用される。
【0110】
尚、当然のことながら、第一の実施形態乃至第二の実施形態に係る筒体11の回転は、上記ホルダー16の外輪16b、外筒161に干渉されない構成となっている。また、上記筒体11の中心孔13は、上筒111、下筒112とも開口端に至るに従って広くなるように湾曲しており、麺線4が、筒体11の突曲回転面18と接触するよう構成される。
【0111】
尚、第二の実施形態の構成について、さらに、補足すると、第二の実施形態に係る伝動手段200として、駆動筐体201、駆動軸202、主動プーリ203、搬送プーリ204、第一の無端ロープ205、従動プーリ206等を採用したが、搬送ローラ列62の回転を上記筒体11に伝動する伝動手段であれば、他の方法を採用しても構わない。例えば、ロープ式伝動手段、ベルト式伝動手段、チェーン式伝動手段、リンク式伝動手段、歯車式伝動手段等を採用することが可能である。
【0112】
また、第二の実施形態に係る駆動筐体201のギアボックス内は、例えば、一対の傘歯車、平歯車、はすばかさ歯車、ウォームギア、やまば歯車、これらに関連する歯車を適宜、組み合せて構成される。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、素麺、うどん、ひやむぎなどの麺類の製造工程において、麺線を掛箸に巻掛ける前に板麺又は麺線を細く成形する成形装置から送出される麺線をたらい状の収納容器に収納する麺線収納装置に広く適用される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の第一の実施形態の正面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態の平面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態の斜視図である。
【図4】本発明の第一の実施形態の機能ブロック図である。
【図5】本発明の第二の実施形態の斜視図である。
【図6】本発明の第二の実施形態の左側面図である。
【図7】本発明の第二の実施形態の正面図である。
【図8】本発明の第二の実施形態の平面図である。
【図9】本発明の第二の実施形態の端面図である。
【図10】本発明の第三の実施形態の端面図である。
【符号の説明】
【0115】
1 麺線収納装置
2 成形装置
4 麺線
5 収納容器
6 搬送装置
9 油塗布装置
10 加撚手段
11 筒体
12 駆動手段
13 中心孔
17 円筒面
18 突曲回転面
30 弛緩防止手段
31 弛緩センサ
32 成形装置制御回路
61 アーム
62 搬送ローラ列
82 テンションローラ
100 支持手段
200 伝動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
麺線を細く成形する成形装置から送出された麺線を搬送して収納容器に送出する搬送装置と、搬送装置から収納容器に送出する麺線に油を塗布する油塗布装置を備える麺線収納装置において、
前記搬送装置に、前記成形装置から送出された麺線に撚りを掛ける加撚手段が設けられることを特徴とする麺線収納装置。
【請求項2】
前記加撚手段は、中心軸心に沿って麺線が挿通される中心孔が形成され、その中心軸心の回りに回転可能に設けられた筒体と、この筒体を一方向に回転させる駆動手段を備える請求項1に記載の麺線収納装置。
【請求項3】
前記搬送装置は、前記収納容器の上方に配置され、基端部と遊端部を有し、基端部を中心に、該支柱の回転軸心周りに、前記遊端部が前記収納容器の中心部から周縁部にわたって水平回転可能に設けられたアームと、このアームに支持され、麺線を搬送及び/又は案内する複数のローラからなる搬送ローラ列を備え、
前記筒体は、前記アームの基端部に中心軸心を縦にして支持され、該筒体に前記成形装置から搬送ローラ列に送られる麺線が挿通される請求項2に記載の麺線収納装置。
【請求項4】
前記筒体の中心孔の内周面が、軸心方向の中央部の円筒面と、この円筒面に円滑に連続し、端面に向かって内径の広がる突曲回転面に形成されている両端部請求項2又は3に記載の麺線収納装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記搬送ローラを駆動するモータと、このモータの回転を前記筒体に伝動する伝動装置を備える請求項2ないし4のいずれか1項に記載の麺線収納装置。
【請求項6】
麺線を細く成形する成形装置から送出された麺線を搬送して収納容器に送出する搬送装置を備える麺線収納装置において、
前記成形装置から搬送装置に送出した麺線を下側に回して緊張させるテンションローラと、
麺線が前記テンションローラを離れて撓み、下降限界へ移動したことを検出する弛緩センサと、
弛緩センサが麺線の下降限界への移動を検出したときに前記成形装置を停止し、この後、麺線が前記弛緩センサの検出範囲を超えた位置に上昇した時に前記成形装置を再起動する成形装置制御回路と
を備えることを特徴とする麺線収納装置。
【請求項7】
前記搬送装置に、前記加撚手段を、機床の垂直軸に対して麺線搬送方向の前後に傾斜角度を調整可能に支持する支持手段が設けられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の麺線収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−136277(P2009−136277A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277686(P2008−277686)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(593124152)
【Fターム(参考)】