説明

麻酔ガス再生方法および装置

医療施設から放出される廃棄麻酔ガスから麻酔成分を回収し分離する方法と装置が開示される。凝縮タイプの麻酔再生方法および装置は、1つ以上の次の好適な実施の形態を備える:小流量麻酔ガス捕集ユニット、廃棄麻酔ガスを低温トラップ/分流器の冷却面に霜として収集する霜分留プロセス、少なくとも1段の圧縮段階を有するコンプレッサ、および、最小限のユーティリティ設備と結合部分と医療施設の補給品を必要とする自己完結型ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用、歯科用あるいは獣医用の吸入麻酔を用いる医療あるいは他の施設の1以上の麻酔供給システムで生ずる廃棄麻酔ガスの取り扱いに関する。大気汚染を防止するため、本発明は、大気に排出する前に廃棄麻酔ガスの流れから亜酸化窒素、フルオロエーテルおよび他のハロカーボンを除去して再生することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
手術分野(医療、歯科および獣医)における麻酔供給システムでは、大量の廃棄麻酔ガスが生ずる。現在、これらのガスは、専用あるいは共用真空システムにより患者の呼気から収集される。医療施設では、一般的に1つ以上の中央配置の真空ポンプを用いて、麻酔場所のそれぞれから廃棄ガスを収集する。これらの真空ポンプは、広範囲の流量にわたり呼気された麻酔ガスを収集するように設計されるので、通常は過度に大きい。ポンプは連続的に運転されるので、廃棄麻酔ガス吸引システムは、麻酔場所から周囲の室内の空気を大量に同伴し、その廃棄麻酔ガスを大幅に希釈する。中央真空ポンプでは、ガスの流れがさらに大気と混合されることが多く、そのシステムから排出される前にさらに希釈される。この希釈された廃棄麻酔ガス/空気混合物は、手術施設の外部の位置にポンプで送られ、そこで大気に放出されるのが一般的である。
【0003】
廃棄麻酔ガスは通常、約20〜30℃、10〜60パーセント間の相対湿度で収集される。廃棄ガスの平均的な組成は、体積パーセントで、25〜32パーセントの酸素、60〜65パーセントの窒素、5〜10パーセントの亜酸化窒素、0.1〜0.5パーセントの揮発性ハロカーボンであって、イソフルレン、デスフルレン、セボフルレン等のフルオロエーテルを含むものと推定される。廃棄麻酔ガスは、真空ポンプからの微量の潤滑油蒸気を含んでいるかも知れない。
【0004】
環境的関心が徐々に大きくなってきている原因としての廃棄麻酔ガスのハロカーボン(フレオン12(フレオンは登録商標)および他の冷媒と組成的に類似)は、オゾン層破壊や、それほど重大ではないが、地球温暖化に関連している。麻酔に使われるハロカーボン(主として、ハロゲン化メチルエチルエーテル)は、他の産業的、営業的なハロカーボンの放出が近年法律や他の指導により大幅に減少してきているので、今では、重大な放出源となっている。廃棄麻酔ガスの放出は、今のところ米国内では環境規制を免れているが、廃棄麻酔ガスの放出を厳格に規制しようという法的動きが近い将来に起きそうである。
【0005】
廃棄麻酔ガスを処理する種々の技術が、廃棄麻酔ガスの放出の問題が大きくなることを抑えるために、提案されている。たとえば、米国特許第4,259,303号は笑気ガスを触媒を用いて処理することを開示し、米国特許第5,044,363号は麻酔ガスを細粒の炭で吸収することを開示し、米国特許第5,759,504号は麻酔ガスを触媒の存在下で加熱して分解することを開示し、米国特許第5,928,411号は麻酔ガスをモレキュラシーブで吸収することを開示し、米国特許第6,134,914号は呼気された麻酔ガスからキセノンを分離することを開示している。廃棄麻酔ガスから揮発性ハロカーボンを洗い流す低温法が、米国特許第6,729,329号にベリー(Berry)により開示されており、ここに引用して組み込む。
【0006】
図1は、保健管理施設用の従来技術の代表的な廃棄麻酔ガス再生システム10を示す。システム10は、たくさんの別々の麻酔所15A、15B、15Cを含み、麻酔所15A、15B、15Cそれぞれは麻酔設備12A、12B、12Cを有し、麻酔設備12A、12B、12Cは、麻酔薬をマスク14A、14B、14Cあるいは類似の装置を介して患者に供給する。余剰な麻酔ガス、患者の呼気および空気が麻酔設備12A、12B、12Cによりマスク14A、14B、14Cで収集され、共通の収集マニホルド16に排出される。廃棄麻酔ガス収集マニホルド16は、典型的には医療施設内へ堅固に配管され、麻酔設備12A、12B、12Cは、標準廃棄麻酔ガスコネクタ18A、18B、18C、たとえば19mmあるいは30mmの麻酔コネクタ、にて収集マニホルド16へ取外し可能に接続される。廃棄麻酔ガス再生システム10は、1つ以上の中央真空ポンプ20により生成される真空圧で運転される。収集された廃棄ガスの流れは、典型的にはチェッキバルブ35を通って、1つ以上の熱交換器で構成されるコンデンサユニット22へ送られる。液体酸素の吸収源、あるいは他の適切なヒートシンクが、廃棄麻酔の流れから熱を取り出し、麻酔ガス成分を液化する。液体の廃棄麻酔凝縮物は、収集容器24に集められ、液体の水分凝縮物は収集容器23に集められる。廃棄麻酔ガス成分が取り除かれた、残りのガス流れは、レシーバ26Bと真空ポンプ20を通り、それからベント46を通って医療施設の外の大気へと排気される。
【0007】
医療施設で麻酔場所15A、15B、15Cから廃棄麻酔ガスを捕集する最新の方法は、大気を大流量で専用のあるいは共用の真空収集マニホルド16へ引き込み、廃棄麻酔ガスを同伴するのが一般的である。収集マニホルド16は、また多くの休止している麻酔装置12A、12B、12Cを通じて空気を連続的に吸い込む。平均では、収集システムマニホルド16は、各麻酔場所15A、15B、15Cで廃棄麻酔ガスおよび/または大気を毎分20〜30リットルくらい引き込む。20〜30室の手術室を有する大型病院では、廃棄麻酔ガス再生システム10の流量は500〜1000l/分(14〜35scf/分)の範囲である。
【0008】
大流量希釈廃棄ガスシステムの利点は、広範囲な麻酔排出流量に対し容易に対応すること、ほとんど麻酔がシステムから逸散しないので比較的安全であること、および、ほとんどメンテナンスが必要ではないので比較的故障の心配がないことである。しかし、大流量システムでは、エネルギ集約的であり、通常多数の麻酔所15A、15B、15Cで十分な吸気を維持するために大型の真空ポンプ20を必要とする。たとえば、麻酔所15A、15B、15Cのそれぞれで毎分0.0283〜0.0566m(毎分1〜2立法フィート(cfm))の流量で、約26664Pa(200mmHg)の真空を維持するための、毎分2.83〜5.66m(100〜200cfm)の容量の真空ポンプは一般的ではない。よって、安全に廃棄麻酔ガスを濃縮する小流量廃棄麻酔ガス捕集システムが好ましい。
【0009】
さらに、希釈廃棄麻酔ガス流れは、熱的に非効率的である。液化により廃棄ガス成分を除去することは、全流量の流れの温度を、ガス状の廃棄成分の分圧が(そのときの温度における)飽和蒸気圧以上となる点まで低下する必要がある。したがって、大容量の希釈廃棄麻酔ガスを、その成分の飽和蒸気圧以下の温度にまで冷却するために、かなり大きな冷却施設が必要となる。
【0010】
典型的には、麻酔ガスはかなり揮発性の高い物質である。所与の温度で、麻酔ガスは、水や他の揮発性の低い物質の蒸気圧より高い蒸気圧である。高い蒸気圧の物質は、通常、低い蒸気圧の物質と同等あるいは類似の凝縮液回収を得るのに、より冷却することが必要である。よって、麻酔ガスでは、凝縮物として相当量の麻酔を回収するのにきわめて低温、たとえば極低温まで冷却する必要がある。しかし、このようなきわめて低温は、多種の麻酔薬の凝固点に近づき、多くの場合により低い温度となる。そのような状況で、廃棄麻酔ガス流れは、システムの不適当な凍結以外に、凝縮することが出来る麻酔の濃縮物を依然として含有する。
【0011】
温度に加え圧力も、液化に大いに影響を与えうる。液化システムの圧力を上昇することは、有利である。なぜならば、低い運転圧にて生ずるよりもかなり高い温度で液化が生ずるからである。このことにより、凝縮物の凍結に付随するリスクや問題を避けることも出来る。このような気相/液相平衡システムでは、最も有益な熱力学的特性は、圧力が、液体の凝固点よりも気体の露点にはるかに大きな影響を有することである。よって、代表的な麻酔含有蒸気の流れの露点温度は、種々の圧力に対してその凝固点を相対的に一定に保ったまま、圧力の上昇と共に上昇する。
【0012】
蒸気の露点と凝縮物の凝固点との間の温度範囲が、システムの圧力上昇のために広がると、液化システムの運転自由度が大きくなる。たとえば、液化がより高温で起こるので、同じ量の凝縮物を生じさせるのに少ない冷媒で済む。さらに、廃棄ガス流れからより完全に麻酔剤を分離したい場合に、上昇した圧力を維持しつつ、システム温度を下げることができる。このことにより、凝縮物の凍結という付随したリスクなしで、気相からさらに麻酔剤を液化することができる。このように、液化システムの温度に関連して液化システムの圧力を調整するだけで、最適な麻酔剤の分離を達成する方策が立てられる。もちろん、相対的冷却対圧縮コストもまた、コスト最適化方策において検討することが出来る。
【0013】
小流量廃棄麻酔ガス捕集システムを用いることと、液化前にガス流れの圧力を高めることは、廃棄麻酔ガス再生の効果と効率とを共に向上させるが、そのようなシステムと方法は、依然として医療施設の既存のユーティリティ設備と統合しなければならない。前述のように、これらの先行技術によるシステムは、典型的には大量の廃棄麻酔ガス除去のために設計されたものである。たとえば、このような既存の廃棄ガス除去システムの真空ポンプ、ダクト類、バルブ等は、廃棄麻酔ガスと一緒に同伴する大量の大気を処理するようにサイズ決めされていた。より効率的な麻酔捕集構成要素を過度に大きな廃棄空気処理システムと結合することは、必ずしも最良の可能な結果をもたらすとは限らない。よって、適切に設計された廃棄空気処理システムであって、想定される容量の廃棄ガスを取り扱うものも、望まれている。
【0014】
さらに、従来の病院外での麻酔の使用の非常な増加は、さらなる課題を生み出している。小規模オフィスで使用される麻酔ガスは、やはり適切に取り扱われなければならない。しかし、病院で使用される既存の廃棄麻酔ガス捕集および再生は、その全体の大きさや運転費用のために小規模オフィスで用いるのは実用的ではない。小規模オフィスで使用されるほとんどの廃棄麻酔ガスは、処理せずおよび/または貴重な麻酔成分を再生しようともせずに、単に大気へ(あるいは運転室へ)放出される。したがって、病院や他の従来の医療施設で用いられるはるかに大きなシステムと同等の利点および/または特徴を有する、自己完結型廃棄麻酔ガス捕集および再生システムは、このような小さな個別のオフィス用に望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の主たる目的は、フルオロエーテル、亜酸化窒素および他の揮発性ハロカーボンを、手術あるいは他の医療施設からの廃棄麻酔ガスから、それらのガスが大気に放出される前に、取り除くための経済的な装置と方法とを提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、先行技術の触媒、細粒の炭および加熱手段の必要性を排除しつつ、廃棄麻酔ガスのフルオロエーテルおよび他の揮発性ハロカーボンを大気に放出することを防止するシステムと方法を提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、医療施設から大気への麻酔関連ハロカーボンの放出を99パーセントかそれ以上減少させることである。
【0018】
本発明の別の目的は、医療施設で使用された亜酸化窒素および/または麻酔ハロカーボンの大きなパーセンテージを再生して、再蒸留および/または再利用を可能にするシステムと方法を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、医療施設が実装するのに最小の追加投資が必要なシステムと方法とを提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、医療施設の既存の廃棄麻酔ガス再生システムを、最小の影響と費用で利用し、強化する経済的なシステムと方法を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、既存の液化ガス貯蔵搬送システムを用いて医療施設の全体エネルギ効率を向上する経済的なシステムと方法を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、既存の液化ガス貯蔵搬送システムを用いて医療施設の再生システムの設置の影響を最小化する経済的なシステムと方法を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、種々の取り除かれた亜酸化窒素、フルオロエーテルおよび他の揮発性ハロカーボン成分を、それらの泡立ち点や露点等の物理的特性に基づいて分離するシステムと方法を提供することである。
【0024】
本発明の別の目的は、液化タイプの廃棄麻酔除去システムの効果と効率とを向上させる経済的なシステムと方法を提供することである。
【0025】
本発明の別の目的は、変化する圧力と温度下で液化タイプの廃棄麻酔捕集システムを運転することで、液化タイプの廃棄麻酔捕集システムの効果と効率とを向上させる自由度の高いシステムと方法を提供することである。
【0026】
本発明の別の目的は、廃棄麻酔ガス流れから麻酔ガスを再生し、医療施設の既存の廃棄麻酔ガス再生システムと統合する必要のないシステムと方法を提供することである。
【0027】
本発明の別の目的は、廃棄麻酔ガス流れから麻酔ガスを再生し、医療施設のユーティリティ設備と補給品への依存が最小であるシステムと方法を提供することである。
【0028】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明と図面から当業者にとっては明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記の目的は、他の利点や特徴と共に、廃棄麻酔ガスからフルオロエーテル、亜酸化窒素および揮発性ハロカーボンガス成分を除去するシステムと方法で好適に具体化され、システムと方法は次のものを1つ以上備える:小流量麻酔ガス除去ユニット、低温トラップ/分流器の冷却面で霜として廃棄麻酔ガスを収集するバッチモードの霜分別プロセス、少なくとも1段の圧縮段階を有するコンプレッサ、および医療施設のユーティリティ設備と補給品と最小の結合が必要な自己完結型ユニット。
【0030】
第1の実施の形態では、小流量除去あるいは再生システムが開示され、そのシステムは、多数のインテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニットを含み、その1つは医療あるいは手術施設の個々の麻酔装置に配置され、共用収集マニホルドと流体連結されている。インテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニットはそれぞれ、収集チャンバと、廃棄麻酔ガスが生成されていないときには対応する麻酔所で収集マニホルドの吸気側を選択的に隔離する排出バルブ、および、排出バルブを操作する付随したセンサ、回路、制御機構あるいはメカニズムを含む。
【0031】
廃棄麻酔ガスは、麻酔装置排気口から標準麻酔廃棄ガスコネクタを通じて収集チャンバへと入り込む。高感度の圧力センサが収集チャンバ内に配置され、そのセンサは収集チャンバの排出側に配置されたソレノイド操作排出バルブに電気的に連結されるのが好ましい。圧力センサで測定された圧力は、収集チャンバの圧力と外の大気圧との差である。収集チャンバ内の圧力が大気圧より高いと、上昇した圧力がセンサで検知され、制御回路によって排出バルブを開き、結果として収集チャンバの圧力を急激に低下させる。収集チャンバの圧力が大気圧に近づくと、圧力センサは圧力低下を検知し、排出バルブを閉じる。
【0032】
収集回路は好ましくは低電圧直流電流回路であり、排出バルブは好ましくはノーマルオープンバルブとして構成される。機械式バキュームブレーカと機械式圧力逃がし弁が収集チャンバ内に安全のために設けられている。
【0033】
圧力検知器、排出バルブ、およびその間の回路を、場合によっては、圧力変動に対し比例応答するように選択し設計することもでき、排出バルブは小さな圧力上昇に対しては少しだけ、大きな圧力上昇に対しては大きく開く。代替の実施の形態では、圧力センサは、排出バルブの制御のために排出バルブと空気圧式あるいは機械式に連結することもでき、および/または、インテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニットを、医療施設廃棄麻酔ガス収集マニホルドと結合される代わりに、改良型麻酔装置に組み込むこともできる。よって、改良型麻酔装置は、先行技術の麻酔装置と本発明の実施の形態によるインテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニットを含む。
【0034】
廃棄麻酔ガスが生成されていないときに収集マニホルドを同伴する大気から隔離することは、平均麻酔ガス捕集流れを約90パーセント減少させ、よって真空ポンプ、配管、および付随する他の機械設備の必要な最大容量を減少させる。
【0035】
第2の実施の形態では、バッチモードの分別プロセスが開示され、低温トラップあるいは液体空気トラップ技術を用いて、フルオロエーテルおよび他の麻酔ハロカーボンの温度と圧力を、蒸気が凝結(蒸着)により低温トラップ/分流器の冷却面へ霜として収集する点まで、下げる。別の言い方では、廃棄麻酔ガス中のフルオロエーテルや他の麻酔ハロカーボン成分は、冷却により熱交換器の冷却コイル上へ凝固し、排気ガスからそれらの成分を取り除く。冷却源は液体酸素であることが好ましく、液体酸素は病院や外来患者向け診療所のような手術施設で入手でき、日常的使用には通常暖めなければならない。しかし、液体窒素等の他の液化ガスもまた、医療施設で普通に備えられ、冷却源として同等に使用することが出来る。
【0036】
低温トラップ/分流器は解凍ステージの間中、周期的にスイッチが切られ、解凍ステージの間は、冷却面を通過する廃棄麻酔ガスから捉えて霜化したガス成分で厚く覆われた冷却面は徐々に暖められ、結果として捉えた成分を分離し収集する。十分に高い圧力においては(すなわち、典型的には大気圧以上)、捉えられたフルオロエーテルや他の麻酔ハロカーボンは融解し、物理的性質に応じて、液化した成分は別のタンクへ流出される。十分に低い圧力においては(すなわち、典型的には大気圧未満)、捉えられたフルオロエーテルや他の麻酔ハロカーボンは液化せずに、直接気相に昇華する。このように再生された麻酔蒸気は、さらに処理するためにガス状麻酔剤収集システムを介して収集するのが好ましい。麻酔ガスの残りは、大気へ放出するのが好ましい。
【0037】
第3の実施の形態では、少なくとも1段の圧縮段階を有するコンプレッサを用いて、液化による麻酔剤再生の前に、廃棄麻酔ガス流れの圧力を上昇させる。廃棄麻酔ガスを大気圧より高いレベルにまで圧縮することは有益である。なぜならば圧力が高いと基本的に麻酔ガスの飽和と液化が生ずる温度が高くなるからである。このように、大気圧より高い圧力へのガスの圧縮により、大気圧と低温での液化により生じるであろう留分と、同じ留分の麻酔剤がより高温の液化で分離できることになる。さらに、圧縮された廃棄麻酔ガスの温度がこの高温から下がるにつれ、より多くの留分の麻酔剤が蒸気相から液化する。単に液化システム温度に関連して液化システム圧力を操作するだけで、麻酔剤の最適分離を達成する方策を作ることが出来る。さらに、相対的冷却対圧縮コストをその方策に組み入れれば、エネルギおよび費用の倹約が可能となる。
【0038】
本発明の好適な実施の形態では、1段以上の圧縮段階からなるコンプレッサユニットは、廃棄麻酔ガス捕集システム内で廃棄麻酔ガス収集ユニットと液化ユニットとの間に配置される。コンプレッサユニットは、収集ユニットからの廃棄麻酔ガスを次の処理に備えるために345kPa(50psig)にまで圧縮するサイズとされ、次の処理は、凝縮システムで、冷媒、すなわち、病院あるいは他の医療施設、歯科あるいは獣医施設により供給される液体酸素、液体窒素等を用いて行われる。代替の実施の形態では、廃棄麻酔ガス流れを345kPaよりかなり高い圧力まで圧縮し、分離効率と留分抽出の付随する上昇を利用する。しかし、この代替の実施の形態では、コンデンサ内で内部リークが生じた場合に医療施設のガス供給を汚染するリスクを回避するために、コンデンサに別々の冷媒が供給されることが望ましい。
【0039】
第4の実施の形態では、ユーティリティ設備や医療施設の補給品への依存が最小である自己完結型廃棄麻酔ガス再生ユニットが開示されている。そのユニットは、運転する電力、廃棄麻酔ガスの源、および大気への排出口だけを必要とする。したがって、そのユニットは、手術室、小さな動物病院あるいは歯科診療所のような小規模手術センタに簡単に収容できる。そのシステム/方法は、小型冷却ユニットを用い、小型冷却ユニットはデュポン社のスーヴァ(Suva)(登録商標)95あるいは類似の低温冷媒のような中間熱伝達流体を、約−90℃の温度まで冷却する。本発明の好適な実施の形態では、廃棄麻酔ガスは、多段コンデンサ/熱交換器を通過し、そこで廃棄麻酔ガス流れからの熱は、小型冷却ユニットで冷却された中間熱伝達流体と熱交換される。よって、そのシステム/方法は、廃棄麻酔ガス流れに対し必要な低温冷却をするのに、医療施設からの液体酸素や液体窒素の供給に依存しない。しかし、所望により、医療施設からの液体酸素や液体窒素を、中間熱伝達流体として熱交換器/コンデンサで使ってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明を、添付図面により表される実施の形態に基づいて、以下に詳細に説明する。
【0041】
図2は、本発明による小流量廃棄麻酔ガス収集再生システム11の好適な実施の形態を図示する。再生システム11は、医療施設のそれぞれの麻酔所15A、15B、15Cに、あるいは近くに配置されるインテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニット30A、30B、30Cを含むほかは、上記の図1の先行技術の廃棄再生システム10とほとんど同等である。インテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニット30A、30B、30Cは、標準廃棄麻酔ガスコネクタ18A、18B、18Cの近くで収集マニホルド16のそれぞれの脚に流体結合されるのが好ましい。各インテリジェントガス収集ユニット30A、30B、30Cは、収集チャンバ32A、32B、32Cと、それぞれの麻酔所で廃棄麻酔ガスが生成されていないときに収集マニホルド16の吸気口を選択的に隔離する排出バルブ34A、34B、34Cと、排出バルブ34A、34B、34Cを操作する付随したセンサ、回路、制御機構あるいはメカニズムを含む。収集チャンバ32は硬くても、柔らかくても(たとえば、伸縮するバッグ)、あるいは、それらの組合せでもよい。
【0042】
廃棄麻酔ガスが生成されていないときに収集マニホルド16を同伴する大気から隔離することで、平均の麻酔捕集流量を約90%減少し、よって真空ポンプ、配管および付随する他の機械設備の必要な最大容量を減少させる。よって、20〜30室の手術室を有する大型病院用について、図1の従来技術の再生システム10で500〜1000l/分の廃棄麻酔ガス流量が、本発明の好適な実施の形態による図2の再生システム11で50〜100l/分に減少すると推定される。上述の再生システム11は、既存の医療の廃棄麻酔ガス再生システム10に個々のインテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニット30A、30B、30Cを追加することだけが必要であり、よって、現状のシステムを簡単に安価に機能向上する手段を提供する。
【0043】
図3は、本発明の好適な実施の形態による個別のインテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニット30を図示する。図3を参照すると、廃棄麻酔ガスは、麻酔装置12から19mm、30mmあるいは類似の標準廃棄麻酔ガスコネクタ18を通ってチャンバ32へと入り込む。チャンバ32内には、チャンバ32の出口側に配置されたソレノイド駆動排出バルブ34に電気的に結合した高感度の圧力計40がある。圧力計40で測定される圧力はチャンバ32の圧力と外気(大気)圧との差である。チャンバ32内の圧力が大気より僅かに高くなると、上昇した圧力が圧力計40で検知され、制御回路によって排出バルブ34を開く。バルブ34を開くと、チャンバ32が収集マニホルド16の真空源と流体接続し、チャンバ32内の圧力は急速に低下する。チャンバの圧力が大気圧に近づくにつれ、圧力計40は圧力低下を検知し、排出バルブ34を閉じる。好適な実施の形態では、インテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニット30は、直流低電圧電源6により電力供給され、火災や爆発の危険を最小化する。
【0044】
好ましくは、排出バルブ34はノーマルオープンのバルブで構成され、障害が生じても、排出バルブ34が開いて動かなくなり(フェイルオープン)、システムが実質的に先行技術の連続流れの空気希釈捕集システムに戻るようにする。さらに、麻酔装置12に異常な正圧あるいは負圧が伝達されないようにする手段が廃棄麻酔ガス収集ユニット30に設けられ、患者の安全を確保する。起こりそうにもないが、排出バルブ34のシート漏れや開位置での固着がチャンバ32の圧力を大気圧よりかなり低く下げると、機械式バキュームブレーカ7がチャンバ32にあり、引かれて開き、圧力を大気圧まで回復させる。同様に、チャンバ32の圧力が大気圧よりかなり上昇すると、機械式逃がし弁8が開き、過度の圧力を大気に放出する。廃棄麻酔ガス収集ユニット30は、高酸素環境での使用に対する安全基準に合致する材料で製造されるのが好ましい。
【0045】
図3と図4を参照すると、電源6は、圧力計40のスイッチ接点5および排出バルブ34のソレノイド4と直列に配線されるのが好ましい。減衰コンデンサ9が、場合によっては排出バルブソレノイド4と並列に配線されてもよい。図3に示すように、チャンバ32の圧力がほぼ大気圧であると、圧力計40の接点5は閉じ、電源6とソレノイド4の間に電流が流れ、ソレノイド4が通電され、排出バルブ34が閉じる。図4に示すように、チャンバ32の圧力が大気圧より僅かに高くなると、圧力計40の接点5は開き、よってソレノイド4の電力が切られ、排出バルブ34は開く。図3および図4に示す回路は、最も簡単な構成であるが、より複雑な別の回路を用いることもできる。たとえば、圧力計40、排出バルブ34、その間の回路は、圧力変動に対して比例応答をするように選定され、構成されて、バルブ34は、小さな圧力上昇には少し開き、大きな圧力上昇には大きく開くようにする。あるいは、たとえば、ハロカーボン、湿度、流量などの、圧力上昇による以外の呼気を検出する適切な手段を用いてもよい。圧力計、電源、および電気的駆動バルブの選定や構成および基礎的電気回路の構成はいずれも当該分野で周知であるので、この点についてのさらなる説明は、ここでは行わない。
【0046】
図3では、圧力計40と排出バルブ34とを結合する電気回路が図示されているが、代替として、圧力計40は、排出バルブ34をコントロールするために排出バルブ34に空気圧式あるいは機械式に接続されてもよい。機械式圧力制御アクチュエータ、機械式駆動バルブ、空気圧制御回路および空気圧駆動バルブの選定や構成は、当該分野で周知であるので、この点についてのさらなる説明は、ここでは行わない。
【0047】
図5に示す、代替の実施の形態では、インテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニット30は、医療施設廃棄麻酔ガス収集マニホルド16に組み込まれる代わりに、改良型麻酔装置50に組み込んでもよい。よって、改良型麻酔装置50は、従来技術の麻酔装置12と、ここに記載の本発明の実施の形態によるインテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニット30とを含む。改良型麻酔装置50は、19mm、30mmあるいは類似の標準廃棄麻酔ガスコネクタ18に着脱可能に結合される。全麻酔所15に改良型麻酔装置50を備える廃棄麻酔ガス再生システムを有する医療施設は、図2の廃棄麻酔ガス再生システム11と同様に機能する。
【0048】
図6は、収集ユニット30A、30B、30Cが収集マニホルド16や麻酔装置12A、12B、12Cと分離し、区別された代替の実施の形態を図示する。この実施の形態では、収集ユニット30A、30B、30Cはそれぞれ、第1の標準(たとえば、19mmあるいは30mm)廃棄麻酔ガスコネクタ18A、18B、18Cでマニホルド16に着脱可能に接続している。それぞれの麻酔装置12A、12B、12Cは、順に第2の標準廃棄麻酔ガスコネクタ19A、19B、19Cに着脱可能に接続される。このように、収集マニホルド16の改良も、麻酔装置12A、12B、12Cの改良も必要とせずに、既存の廃棄麻酔ガス捕集システムを本発明による小流量再生システムにアップグレードできる。
【0049】
図7は、病院、手術施設あるいは他の医療施設110で用いる、本発明によるプロセス1の好適な実施の形態を図示する。廃棄麻酔ガスは収集されて施設110のバルブ112を通り抜けて、廃棄ガス流路39に至る。医療施設110に酸素を供給する流路27は、バルブ114を含むのが好ましく、そこに医療施設110内の下流側酸素供給ラインが流体接続する。液体酸素源は、タンク120として概念図で示され、医療施設110の近くに在るのが好ましい。現在のところ、病院や他の医療施設110では、流路27を通って施設110に到達する前に、液体酸素を熱交換器122を通して、液体酸素温度(約−193℃)から室温(約25℃)に加温している。通常、液体酸素は、各タンク120の近くに配置された熱交換器122を用いて加温され、熱交換器120は液体酸素を大気温度に曝す。加温された液体酸素は、次に、流路27とバルブ114により医療施設110内の患者が使用する位置に分配する供給ライン(不図示)に送られる。
【0050】
図7に示すように、本発明の一実施の形態では、低温トラップ/分流器25は、冷却コイル36を内蔵する筐体130を含み、熱交換器として機能する。冷却コイル36の内部は、筐体130の残りの内部から流体的に隔離されているが、これら2つの内部は、熱的に/伝熱的に結合している。低温トラップ/分流器25は、筐体130内の廃棄麻酔ガスから冷却コイル36内の液体酸素への熱交換を促進する。廃棄麻酔ガスは施設110から流路39で供給され、液体酸素は液体酸素源120から流路21で供給される。筐体130は二重壁構造とするのが好ましく、大気からよりよく保温され、よって廃棄麻酔ガスと液体酸素間だけの熱交換を促進する。
【0051】
液体酸素の供給流路21は、自動調温コントロールバルブ33で、凝縮コイル36の入口47に流体接続されるのが好ましい。冷却コイルの出口48は、流路126により医療施設110への酸素供給用流路27に流体接続されるのが好ましい。液体酸素を加温するのに用いられる既存の熱交換器122は、以下に述べるように低温トラップ/分流器25が解凍サイクルで運転されるとき、あるいは、低温トラップ/分流器25がメンテナンスや修理時のように運転されていないとき、医療施設の酸素要求量が低温トラップ/分流器25の要求量より大きくなったときに酸素を加温するために液体酸素タンク120と酸素流路27との間で低温トラップ/分流器25と並列に流体接続する位置にあるままにしておくのが好ましい。
【0052】
廃棄麻酔ガス流路39と遮断バルブ112は医療施設110の収集流路(不図示)に流体接続する。好ましくは、廃棄麻酔ガス流路39は、バイパス三方バルブ29により、筐体130の入口31あるいは大気排出口46に選択的に流体接続される。通常運転の間、流路39は、バイパス三方バルブ29により筐体130の入口31にだけ向けられる。廃棄麻酔ガスは、排出フィッティング37に向け低温トラップ/分流器25の筐体130を通って流れ、その間にガス成分は冷却コイル36上に凝結(蒸着)により除去され、フィッティング37から廃棄麻酔ガスは排出口46経由で大気に流出する。廃棄麻酔ガス流路39は、システムのメンテナンスや修理あるいは再生システムを使用しないように望むときには、低温トラップ/分流器25をバイパスして、大気排出口46と直接そろえられるだけであるのが好ましい。
【0053】
廃棄麻酔ガス(一般的に窒素、酸素、亜酸化窒素、水蒸気およびフルオロエーテルを含む)は、通常、約20〜30℃で10〜60パーセントの範囲の相対湿度で、流路39を通って入り込む。廃棄麻酔ガスはまた、真空ポンプ(不図示)からの微量の潤滑油蒸気を含んでいることもある。液体酸素(約−193℃)は冷却コイル36への入口47で低温トラップ/分流器25に流入し、一方、廃棄麻酔ガス(約20〜30℃)は入口フィッティング31で低温トラップ/分流器25の筐体130に入る。この対向流熱交換配列により、低温トラップ/分流器25の頂部が最高温度で、低温トラップ/分流器25の底部が最低温度という温度勾配を生ずる。低温トラップ/分流器25の冷却コイル36の上部領域60は、廃棄麻酔ガスを約20℃から約−5℃に冷却して冷却コイル36上の霜として水蒸気を抽出する。冷却コイル36の上中部領域62が次に廃棄麻酔ガスを冷却し、約−60℃で凝結/蒸着により冷却コイル36上にセボフルレンを抽出する。次に、低中部領域63が、約−90℃で凝結/蒸着により亜酸化窒素を抽出し、最後に冷却コイル36の低部領域64が、−100℃と−110℃との間で凝結/蒸着により冷却コイル36上にイソフルレンとデスフルレンを抽出する。麻酔成分の冷却コイル36上への直接の凝結/蒸着は、通常、低温および低圧でのみ生ずる。たとえば、亜酸化窒素は、−90℃および880kPa(0.88bar)の三重点より低い温度と圧力で凝結/蒸着する。あるいは、1つ以上の麻酔成分を、個別の物理特性に応じて各温度領域62、63、64で冷却コイル36上に液化させ、凝固させて凝縮してもよい。
【0054】
廃棄ガスの残り(約−110℃で主として窒素と酸素)は、その後流路46を経て大気に放出され、あるいは、たとえば既存の触媒技術を用いて、さらに処理される。液体酸素は、約−193℃で低温トラップ/分流器25に流入し、約0℃で低温トラップ/分流器25から流出する。酸素はその後の処理でさらに加温され、あるいは、熱交換器122からのより高温の酸素流出物と混合され、室温となりあるいは医療施設での使用に適した他の温度となる。
【0055】
低温トラップ/分流器25は、周期的に解凍プロセスを経る。解凍サイクルの間、低温トラップ/分流器25はゆっくりと約0℃まで加温され、冷却コイル36の霜取りをする。加温は、自動調温コントロールバルブ33により冷却コイル36を流れる液体酸素の流量を減じあるいは締めることにより行われ、低温トラップ/分流器25はその周囲との熱伝達により室温に加温される。代替の実施の形態では、熱交換器122からの暖かい酸素が開いているバルブ59により冷却コイル36を通って流れ、解凍速度を速める。さらに第3の実施の形態では、他の流体(不図示)が冷却コイル36を流れ、コントロールされた解凍を行う。
【0056】
筐体130の底端57は、ファンネル形状で、ホッパとして作用する。最下部は四方切替バルブ58へと液抜きするのが好ましく、四方切替バルブ58は順に3つのドレインタンク23、24A、24Bと流体接続する。十分に高い圧力(すなわち、典型的には大気圧以上)では、凝固した麻酔成分は、除去される液体として融解する。したがって、温度が−100℃を超えて加温されると、デスフルレン(融点は約−108℃)とイソフルレン(融点は約−103℃)が低温トラップ/分流器25の低部領域64から融解し、ホッパ57に集まる。四方切替バルブ58が、液体デスフルレンとイソフルレンが低融点収集タンク24Bに重力で流れ込むように、同時に調整される。あるいは、デスフルレンあるいはイソフルレンがセボフルレンと一緒にタンク24Aに集められてもよい。液体デスフルレンとイソフルレンが同じタンク24Bに集められるのが好ましいが、2つの別々の収集タンク(不図示)、すなわち各成分に対し1つのタンク、が用いられてもよい。
【0057】
低温トラップ/分流器25が−90℃を超えて加温されると、トラップされた亜酸化窒素(融点は、約−90℃)が低温トラップ/分流器25の低中部領域63から融解し、ホッパ57に集まる。四方切替バルブ58が、液体亜酸化窒素が中融点収集タンク24Aに重力で流れ込むように、同時に調整される。あるいは、亜酸化窒素はデスフルレンおよび/またはイソフルレンと一緒にタンク24Bに集められてもよく、あるいは、別々のタンク(不図示)を亜酸化窒素を収集するのに用いることもできる。さらに温度が上昇すると、四方切替バルブ58は、ホッパ57が中融点収集タンク24Aと整列するように位置決めされる。温度が、約−65℃を超えると、セボフルレン(融点は、約−67℃)が低温トラップ/分流器25の冷却コイル36の上部領域62から融解し、ホッパ57に集まり、重力でタンク24Aに流出する。同様に、低温トラップ/分流器25が凝固点を超えて加温されると、水蒸気の霜が上部領域60から融解し、四方切替バルブ58により高融点収集タンク23中へと導かれる。容器24A、24Bは冷却されおよび/または加圧され、収集されたフルオロエーテルを低蒸気圧に維持して、蒸発ロスを最小限とする。容器23、24A、24Bは、適切な強度と容量のいかなるものでもよく、たとえば、ドラム缶でもよい。
【0058】
このように、フルオロエーテルは、廃棄麻酔ガスから除去されて、蒸着した霜を選択的に解凍することで個々に回収するので、凝結/蒸着、および/または、凝縮/凝固により分留される。この再生方法とシステムは、フルオロエーテルに加え、廃棄麻酔ガスから他の適当なガス成分を除去するのに用いることもできる。さらに、本実施の形態では3つの一般的な融点の範囲を用いることにより麻酔成分を分留することを説明しているが、より多数の融点の範囲あるいは選択的に狭められた融点の範囲を適切に用いるようにすることもできる。
【0059】
20〜30の手術室を有する大型病院110では、流路39を経由する廃棄麻酔ガスの質量流量は、13.790kPa(2psig)より低い圧力で500〜1000l/分(14−35scf/分)の範囲となる。大略−150℃の温度で、流路21を通って同じ大型病院110へ至る酸素ガスの流入は、約344.738kPa(50psig)の圧力で1000〜2000l/分(60−100scf/分)が平均である。これらの流量に基づくと、低温トラップ/分流器25は、解凍サイクルが必要となる前に、氷結したハロカーボンガスを8リットル(10kg)と氷結した水分を20リットル(20kg)捕捉する容量を有するように構成され配列されることが好ましい。あるいは、廃棄ガスシステムは、効率向上のため、たとえば約344.738kPa(50psig)までの高い圧力で運転してもよいが、麻酔成分の凝結/蒸着はこの高い圧力ではおそらく無理であろう。
【0060】
施設110での酸素必要量が毎日変化するので、本発明の好適な実施の形態による再生システム1は、自動調温コントロールバイパスバルブ59を、既存の熱交換器122と低温トラップ/分流器25と共に用い、施設110への流路27での最適酸素供給温度を維持する。制御システム(不図示)は、流量測定装置、温度測定装置、および/または圧力測定装置(不図示)を備え、自動調温コントロールバルブ33、59の設定を自動的に調整するのに用いられる。制御システムは、解凍サイクルを制御する回路も含み、さらにバイパスバルブ59と四方切替バルブ58とを適切に制御する。選択された測定装置および制御システムの設計と構成は当該技術で周知であり、ここではさらなる説明を行わない。エシュウェイ(Eschwey)らに与えられた米国特許第6,134,914号とベリー(Berry)に与えられた米国特許第6,729,329号は、参照してここに組み込む。
【0061】
上述の再生システム1では、ほとんどの医療施設110において実施するために3つの追加構成要素だけが必要であり:それらは、(1)液体酸素源120の近くに配置され接続された低温トラップ/分流器25、(2)廃棄麻酔ガスを低温トラップ/分流器25に供給する配管、(3)再生システム1からの水や分留された液体ハロカーボンを収集するドレインタンク23、24A、24B、である。液体酸素に加え、液体窒素等の普通に入手可能な他の液化ガスを冷却源として用いることもできる。廃棄麻酔ガスをシステム1に供給する配管39は、この流れの酸素含有率は40〜50パーセントと高いかもしれないが、比較的低圧の設計でよい。しかし、廃棄ガス流路39で酸素が高パーセントであることは、酸素クリーン(燃料や発火物のないこと)の据付けの注意が必要である。全ての酸素経路は、完全にグリースなしとし、米国防火協会規格99(NFPA99)に準じた酸素安全であることが好ましい。熱交換器122を通る酸素経路は、施設110への全酸素流れを許容するファイルセーフ設計でもなければならない。このように、好適な実施の形態では、タンク120からの酸素は、電源喪失の間、熱交換器122を通って流路27および施設110へと流れ、一方、自動調温バイパスバルブ33は閉じて動かなくなり(フェイルシャット)、酸素が低温トラップ/分流器25を通過して流れるのを防止する。
【0062】
図8は、本発明の代替の実施の形態を図示する。再生システム2は、並列に配置された2つの低温トラップ/分流器25A、25Bを備える点以外は、基本的に図7の再生システム1と同じである。第1の低温トラップ/分流器25Aが解凍サイクルのとき、第2の低温トラップ/分流器25Bは低温捕捉モードで運転され、その逆もある。この構成により、廃棄麻酔ガスの連続的な処理が可能となる。この代替の実施の形態の変形として、冗長性のために第3の低温トラップ/分流器(不図示)を並列に追加してもよい。
【0063】
図8に示すように、低温トラップ/分流器25A、25Bはそれぞれ、専用の自動調温コントロールバルブ33A、33Bを有する。低温トラップ/分流器25A、25Bはそれぞれ、廃棄ガスバイパスバルブ80と連携して作動する、結合した廃棄ガス供給バルブ82A、82Bも有し、廃棄麻酔ガス流れを、捕捉サイクルで運転中の低温トラップ/分流器25A、25Bに送る。所望であれば、低温トラップ/分流器25A、25Bはそれぞれ、廃棄ガスベントバルブ86A、86Bをも有していてもよい。さらに、ドレインバルブ84A、84Bは、四方切替バルブ58と協同して、解凍モードで作動中の低温トラップ/分流器25A、25Bの液抜きをする。再生システム2の運転は、バルブ33A、33B、82A、82B、84A、84B、86A、86B、58、59を含め、制御システム(不図示)で調整されるのが好ましい。制御システムの設計と構成は当該技術分野で周知であり、ここではさらなる説明を行わない。
【0064】
図9は、本発明の第3の実施の形態を図示する。十分に低い圧力(すなわち、典型的には大気圧より低い圧力)においては、1種以上の凝固した麻酔成分は気相に直接昇華するかも知れない。あるいは、1種以上の凝固した麻酔成分は、低温トラップ/分流器25の運転温度と圧力によっては、解凍サイクルの間に蒸発するかも知れない。再生システム3は、廃棄麻酔ガス流れから捕捉され、解凍サイクル中に昇華しあるいは蒸発した麻酔ガスを再捕捉するように配列され設計された以外は、図7の再生システム1と基本的に同じである。
【0065】
図9に示すように、再生システム3は、ガス状麻酔剤収集タンク24C、三方収集バルブ56、オプションの真空ポンプ92および遮断バルブ90を伴ったオプションの窒素あるいは他のガス源89のような、追加の機器を含む。収集バルブ56、三方切替バルブ29および窒素遮断バルブ90(もしあるならば)は全て、図7の実施の形態1で用いるのに前述した制御システム(不図示)で制御されるのが好ましい。運転の捕捉モードの間、三方収集バルブ56は出口フィッティング37が大気放出ベント46と流体結合するように位置決めされる。廃棄麻酔ガスは、入口31を通って低温トラップ/分流器25に入り、冷却コイル36を通過して、水蒸気、亜酸化窒素、フルオロエーテルおよび他の揮発性ハロカーボンを捕捉し、出口37、亜酸化窒素収集バルブ56およびベント流路46を通って大気に流れる。フルオロエーテルおよび他のハロカーボン麻酔剤は通常、窒素あるいは酸素のいずれよりも高密度なので、これらが昇華した麻酔ガスは、低温トラップ/分流器25に存在しているいかなるガス(大部分は窒素と酸素)より下方に集まる。このように、解凍サイクルの間、これらの昇華した麻酔ガスは、筐体130の底部で液体の直上に集まる。収集バルブ56は出口フィッティング37がガス状麻酔収集タンク24Cと流体結合するように揃えられる。蒸気として昇華するより液体として融解する固体の麻酔成分は、前記に開示したように、ホッパ57、切替バルブ58および収集タンク24A、24B経由で収集される。
【0066】
昇華した麻酔ガスは多くの方法のうちの1つで再生される。第1の方法は、筐体130の底部で液面直上に配置された昇華麻酔ガスを、窒素ブランケットを用いて移動し、タンク24Cに集める。窒素ガスあるいは他の適切なブランケットガスは、窒素遮断バルブ90を通り、入口31を通って低温トラップ/分流器25の頂部に流れることができる。三方切替バルブ29は筐体130をベント46および施設110から入る廃棄麻酔ガスから隔離するように閉じる。窒素ガスは低温トラップ/分流器25の頂部に流れ込むので、高密度の麻酔ガスを、出口フィッティング37を通って、低温トラップ/分流器25から外に、そして収集タンク24Cに流す。窒素遮断バルブ90は、昇華麻酔ガスの全てが低温トラップ/分流器25から除去されたときに、閉じる。残留する窒素ガスは、低温トラップ/分流器25から出口37、バルブ56およびベント46を通って勢いよく荒い流される。
【0067】
第2の方法では、筐体130の底部で液面直上に配置された昇華麻酔ガスを、真空ポンプ92を用いて、低温トラップ/分流器25から吸引し、タンク24Cに収集することもできる。ここでも再び、三方切替バルブ29は筐体130をベント46および施設110から入る廃棄麻酔ガスから隔離するように閉じる。真空ポンプ92は、昇華麻酔ガスを吸引により筐体130の底部から引き出し、出口37を通って収集タンク24C中に送る。全部の麻酔ガスが低温トラップ/分流器25から抜き取られたならば、真空ポンプ92の運転は終わり、切替バルブ56の位置をタンク24Cへの流れを防止するように再設定する。
【0068】
昇華麻酔ガスは、解凍サイクルの間、低温トラップ/分流器25内で他のガスと混合されるかも知れず、それによって前述の再生方法が効力を有さなくなる。このような状況では、圧力スイング吸着法、膜分離法等の別の方法を用いて、亜酸化窒素を他のガスから分離する。種々のガス−ガス分離技術が先行技術で周知であり、ここではさらなる説明は行わない。いずれかの再生方法によって、収集した麻酔ガスを再使用のために処理するのが好適である。
【0069】
本発明の別の実施の形態では、再生システム3(図9)のガス状の麻酔収集手段が、再生システム2(図8)の複数の低温トラップ/分流器25A、25Bに組み込まれる。
【0070】
図10は、大流量廃棄麻酔ガス収集再生システム200の好適な実施の形態を図示し、凝縮による麻酔再生に先立って廃棄麻酔ガスの圧力を上昇させる少なくとも1段を有するコンプレッサを有する。再生システム200は、膨張弁43とコンプレッサ42による1段以上の圧縮段階を含む以外は、図1の前述の先行技術による廃棄麻酔ガス再生システム10と類似している。コンプレッサ42は、廃棄麻酔ガス収集ユニット15A、15B、15Cとコンデンサ22の間に配置されるのが好ましい。膨張弁43は、コンデンサ22とレシーバ容器45の間に配置されるのが好ましい。
【0071】
図10に示すように、過剰な麻酔ガス、患者の呼気および空気は、麻酔装置12A、12B、12Cによりマスク14A、14B、14Cに集められ、共通の収集マニホルド16へ排出される。廃棄麻酔ガス収集マニホルド16は、典型的には医療施設に堅固に配管され、麻酔装置12A、12B、12Cは、標準廃棄麻酔ガスコネクタ18A、18B、18C、たとえば、19mmあるいは30mmの麻酔コネクタで、収集マニホルド16に着脱可能に接続される。廃棄麻酔ガス収集マニホルド16は、コンプレッサ42により生ずる僅かな真空、たとえば5cm、で運転される。収集マニホルド16から、収集した廃棄麻酔ガスはチェッキバルブ35を通って単段あるいは多段コンプレッサ42の第1段に送られる。
【0072】
好適な実施の形態では、コンプレッサ42は、収集ユニット15A、15B、15Cからの廃棄麻酔ガスを凝縮ユニット22での引き続いての処理のために344.738kPa(50psig)までの圧力に圧縮するようなサイズとされる。344.738kPa(50psig)を超える圧力は、それに伴う分離効率と分留抽出の向上の利点を享受するために好ましい。高温排出や機械的故障の増加などの高圧縮比に伴う問題を回避するために、多段コンプレッサを使用する。多段コンプレッサは、各圧縮段階が小さな圧縮比を有することに伴う動力費削減のために、単段コンプレッサより経済的でもある。しかし、システム200でのコンプレッサ42は、10:1より大きくはない圧縮比が予想されるので、単段圧縮だけを必要としている。
【0073】
コンデンサ22は、病院や他の医療、歯科あるいは獣医施設で通常入手可能な液化ガスの共通の供給元から得られる、液体酸素、液体窒素あるいは類似の冷媒を用いるのが好適である。廃棄麻酔ガスが施設からのガス供給圧(たとえば、344.738kPa(50psig))を超えて圧縮されると、コンデンサユニット22内でリークが生じた場合に、共通の冷媒供給が廃棄麻酔で汚染される可能性がある。代替の好適な実施の形態では、廃棄麻酔ガス流れは344.738kPa(50psig)を十分に超えた圧力まで圧縮され、それに伴う分離効率と分留抽出の向上の利点を享受する。しかし、344.738kPa(50psig)を超える圧縮には、コンデンサユニット22内でリークが生じた場合の、医療施設の共通のガス供給が廃棄麻酔で汚染されるリスクを回避するために、液体酸素、液体窒素あるいは類似の冷媒を別に供給するのがよい。
【0074】
圧縮後、廃棄麻酔ガスは収集容器すなわちレシーバ容器26Aを通って流れ、レシーバ容器26Aは圧縮のために凝縮した液を除去し、圧縮された廃棄麻酔ガス流れから分離する。麻酔成分の凝縮回収に先立ち、ガス流れ中の水蒸気は除去され、コンデンサ22内で液体水が凍結することを防止するのがよい。廃棄麻酔ガス流れから水蒸気を除去するのに好適な方法は、第1コンデンサー段階222A(図11)を用いることであるが、乾燥、吸収、ろ過、半浸透あるいは疎水性膜などの別の水除去処理(不図示)を用いてもよい。これらの種々のガス乾燥法は、圧縮段階前を含む、麻酔ガスを凝縮する前のいかなる時点で用いてもよい。
【0075】
圧縮廃棄麻酔ガス流れは、それから単段あるいは多段のコンデンサ22で冷却され、亜酸化窒素と他の麻酔性ハロカーボンの温度は、蒸気がコンデンサコイル236B(図11)上に除去できる液体として凝縮するか、コンデンサコイル136(図12)上に霜として集まるかのどちらかの温度まで下げられる。凝縮プロセスが行われる温度と圧力は、麻酔ガス成分が除去できる液体として凝縮するか、霜として蒸着するかを支配する。
【0076】
麻酔成分が凝縮を通じて除去された後、残りの廃棄ガス(主として同伴された空気で構成される)は、大気46に放出される。好ましくは、圧縮廃棄ガスを、大気放出46の前に、膨張弁43とレシーバ容器45を先ず通過させる。膨張弁43は、圧縮廃棄ガスを大気圧まで減圧し、さらに圧縮廃棄ガスをジュールトムソン効果により冷却する。廃棄ガス中のさらなる麻酔成分は、ジュールトムソン断熱膨張により凝縮されうる。このような麻酔剤の凝縮物は、廃棄ガスの大気放出46の前にレシーバ容器45に収集される。しかしより好ましくは、圧縮廃棄ガスは、大気放出46(図13)の前に小型タービン44(図13)あるいは同様の装置とレシーバ容器45にて先ず絞られ、圧縮廃棄ガスのポテンシャルエネルギを回収する。回収したエネルギはコンプレッサ42に動力を供給し、あるいは、この方法やシステムの他のエネルギ需要を満たすのに用いられる。タービン44の廃棄ガスの膨張により凝縮した麻酔成分は、同様に、廃棄ガスの大気放出46の前に、レシーバ容器45で収集される。
【0077】
さらに、大気放出の前に、冷却された廃棄ガスを冷却されるべき流れと熱統合させると、本方法およびシステムの全体での冷却用ユーティリティを減らすことができる。たとえば、廃棄麻酔ガス流れの圧縮によりガス流れの温度が上昇する。大気放出46される冷却された廃棄ガス流れを用いて、凝縮の前に圧縮廃棄麻酔ガス流れを冷却し、熱交換器/コンデンサ22での全体的冷媒必要量を減らすことができる。
【0078】
ベリーは、2つの、廃棄麻酔ガスから揮発性ハロカーボンを回収する低温の方法を開示している。一番目は、米国特許第6,729,329号で、参照してここに組み込むが、麻酔ガス成分を凝縮して回収できる液体とするのに液体酸素を使用することを開示している。図11は、米国特許第6,729,329号のシステムと方法を概略図解し、圧縮廃棄麻酔ガス流れが入ってくるように修正している。典型的な麻酔含有蒸気流れの露点温度は圧力上昇と共に高くなるので、この一番目の回収方法は、廃棄麻酔ガス流れの圧力上昇に大きくかつ有利に影響される。
【0079】
コンデンサユニット22は、第1コンデンサ222Aと第2コンデンサ222Bとを含んで、構成される。供給タンク220からの液体酸素の出口ライン221は、第2容器222Bのコンデンサコイル236Bと流体接続する。コンデンサコイル236Bの出口は、流路225を通じて第1容器222Aのコイル236Aの入口と流体接続している。コイル236Aの出口は、流路227を通じてバルブ214およびそこに接続する医療施設の流路(不図示)と流体接続する。
【0080】
流路239は、医療施設のレシーバ容器26A(図10および13)からの廃棄麻酔ガス流路を熱交換器/コンデンサ222Aの入口に接続する。コイル236Aの入口を流れる酸素の温度は、バルブ233により自動調温的に制御され、バルブ214での酸素供給の温度がほぼ室温、すなわち約25℃となる。廃棄麻酔ガスは、流路239を経て、圧縮のために上昇した温度で熱交換器/コンデンサ222Aに流入する。圧縮廃棄麻酔ガスは、熱交換器/コンデンサ222Aの頂部あるいは入口に流入し、コイル236Aを越えて下方に流れ、そこでコイル236A中を対向して流れる液体酸素と熱交換する。圧縮廃棄麻酔ガス中の水蒸気は特定温度(0℃より高い)で液体の水に凝縮し、特定の温度は圧縮廃棄麻酔ガス流れの圧力に依存する。その後、液体の水は貯留し除去するために重力によりタンク23へ流れる。
【0081】
容器222A底部近くの冷却された圧縮ガスは、流路241を通って熱交換器/コンデンサ222Bの頂部あるいは入口に導かれ、そこでは0℃を超えた温度で用いられる。熱交換器/コンデンサ222Bの頂部で用いられる冷却された圧縮ガスは、コイル236Bを越えて流れ、そこでコイル236B中を対向して流れる液体酸素と熱交換する。流路221からの酸素は約−150℃の温度でコイル236Bに流入し、上昇した温度で、コイル236Bから流路225を経て流出する。必要に応じて、中間バイパスバルブ235が流路221に配置され、コイル236Aの入口での流路225の温度をほぼ0℃とすることもできる。流路241からの圧縮廃棄麻酔ガスの温度は、コイル236Bを通過する間に下げられ、廃棄ガスのハロカーボンは液化され、収集タンク24へと排出される。圧縮廃棄ガスの残り、すなわち環境に危害を与えない成分、は流路46を通って大気に放出され、あるいは膨張弁43(図10)で絞られさらなる麻酔凝縮物を生じ、あるいは小型タービン44(図13)で絞られ圧縮ガスのポテンシャルエネルギを回収し、あるいは既存の触媒技術(不図示)でのさらなる処理に付される。
【0082】
二番目に、共に継続中の米国特許出願、発明の名称「麻酔ガス再生システムおよび方法(Anesthetic Gas Reclamation System and Method)」は、参照してここに組み込むが、バッチ式霜分留プロセスの使用を開示しており、個々の麻酔ガスの温度は低温トラップ/分流器の冷却面に霜として収集される温度にまで冷却される。低温トラップ/分流器は、周期的に解凍ステージにと循環され、その間は、通過する廃棄麻酔ガスから蒸着した霜のガス成分で固められた冷却面がゆっくりと加温され、捕捉した成分を順次分離し収集する。図12は、共に継続中の特許出願のシステムと方法を概略図解し、入ってくる圧縮廃棄麻酔ガス流れ用に修正している。しかし、典型的な麻酔含有蒸気流れの凝固点温度は、変動するシステムの圧力に対し相対的に一定に維持されるので、廃棄麻酔再生のこの2番目のシステムと方法は、廃棄麻酔ガス流れの圧力上昇にそれほど大きく影響されない。
【0083】
図12に示すように、低温トラップ/分流器125から成るコンデンサユニット22は、内部に冷却コイル136が備えられる。供給タンク120からの液体酸素出口流路121は、低温トラップ/分流器125のコンデンサコイル136と流体接続する。コンデンサコイル136の入口で酸素の流量は、バルブ133により自動調温的に制御される。既存の熱交換器122は、液体酸素を加温するのに用いられるが、液体酸素タンク120と酸素流路127の間で低温トラップ/分流器125と並列に流体接続される位置とされるのが好ましく、低温トラップ/分流器125が施設での酸素必要量と整合しない、下記のような解凍サイクルで運転されている、あるいは、たとえばメンテナンスや修理で運転されていないときに、酸素を加温する。バルブ129は、熱交換器122が使用されないときには通常閉じられている。流路121からの酸素は約−150℃の温度でコンデンサコイル136に流入し、約0℃でコイル136から流出する。医療施設で使用される予定の酸素は、その後のプロセスでさらに加温されて、あるいは熱交換器122からの暖かい酸素流出物と混合されて、室温あるいは適当な温度になる。コイル136の出口は、流路127を介してバルブ144およびバルブ144に接続する医療施設の流路(不図示)と流体接続する。
【0084】
流路139は、医療施設のレシーバ容器26A(図10および13)からの廃棄麻酔ガス流路を熱交換器/コンデンサ125の入口131に接続する。廃棄麻酔ガスは圧縮による上昇した温度で流路139を経て熱交換器/コンデンサ125に流入する。圧縮廃棄麻酔ガスは、熱交換器/コンデンサ125の頂部あるいは入口131で流入し、コイル136を通り過ぎ、コイル136中を対向して流れる液体酸素と熱交換する。廃棄麻酔ガスはフィッティング137を通って熱交換器/コンデンサ125から流出し、流路46を介して大気にパージされる。
【0085】
対向流熱交換器配列により、熱交換器/コンデンサ125の頂部が最高温度で、熱交換器/コンデンサ125の底部が最低温度という温度勾配となる。熱交換器/コンデンサ125の冷却コイル136の上部領域160は、圧縮廃棄麻酔ガスを約−5℃の温度まで冷却し、水蒸気を冷却コイル136上の霜として抽出する。冷却コイル136の上中部領域162は、次に圧縮廃棄麻酔ガスを約−60℃の温度まで冷却し、セボフルレンを凝縮し冷却コイル136上に凝固させる。次に、低中部領域163が、約−90℃の温度で凝縮および凝固により亜酸化窒素を抽出し、最後に冷却コイル136の底部領域164が、最低温度(約−100℃と−110℃の間)で冷却コイル136上への凝縮と凝固によりイソフルレンとデスフルレンを抽出する。あるいは、熱交換器/コンデンサ125が低圧(すなわち真空圧)で運転されるならば、麻酔成分は、まず液相となることなしに、コイル136上に直接、凝結/蒸着する。圧縮廃棄麻酔ガスの残り、すなわち環境に危害を与えない成分、は流路46を通って大気に放出され、あるいは膨張弁43(図10)で絞られさらなる麻酔凝縮物を生じ、あるいは小型タービン44(図13)で絞られ圧縮ガスのポテンシャルエネルギを回収し、あるいは既存の触媒技術でのさらなる処理に付される。
【0086】
低温トラップ/分流器125は周期的に解凍プロセスに循環され、冷却コイル136の霜取りをする。コイル136の解凍は、自動調温コントロールバルブ133でそこを流れる液体酸素の流量を減じあるいはなくすことにより行われる。このことにより低温トラップ/分流器125を、周囲環境との熱交換を通じて室温に加温することができる。代替の実施の形態では、熱交換器122からの加温された酸素が、同時にバルブ159を開きバルブ133とバルブ154を閉じることにより、部分的にあるいは完全に冷却コイル136を通って流される。さらに第3の実施の形態では、他の流体(不図示)が冷却コイル136を通って流されて制御された解凍を行うこともできる。
【0087】
ファンネル形のホッパ157が、熱交換器/コンデンサ125の最下点を形成し、四方切替バルブ158方向へ向けて液を抜くのが好ましく、四方切替バルブ158は順次麻酔収集タンク24A、24Bおよび水収集タンク23と流体結合する。冷却コイル136の温度が解凍ステージ中に約−100℃を超えるまで上昇すると、デスフルレン(大気圧での融点は約−108℃)とイソフルレン(大気圧での融点は約−103℃)が低温トラップ/分流器125の底部領域164から融解し、ホッパ157に集まる。切替バルブ158は同時に調整され、液体のデスフルレンとイソフルレンが収集タンク24A、24Bのうちの1つへ重力で送り込まれるようにする。低温トラップ/分流器が−90℃を超えるまで加温され続けると、捕捉された亜酸化窒素が低温トラップ/分流器125の低中部領域163から融解し、ホッパ157に集まる。切替バルブ158は同時に調整され、液体の亜酸化窒素が収集タンク24A、24Bのうちの1つへ重力で送り込まれるようにする。温度が−65℃を超えるまで加温されると、セボフルレン(大気圧での融点は約−67℃)が冷却コイル136の上中部領域162から融解し、ホッパ157に集まる。切替バルブ158は同時に調整され、液体のセボフルレンが収集タンク24A、24Bのうちの1つへ重力で送り込まれるようにする。同様に、低温トラップ/分流器125が加温され続けると、水蒸気の霜が0℃以上で上部領域160から融解し、切替バルブ158で水収集タンク23へと流される。この方法により、フルオロエーテルは、廃棄麻酔ガスから除去されると共に、分留される。
【0088】
図13は、病院、手術、歯科、獣医あるいは他の医療施設で使用するための、本発明の代替の好適な実施の形態による、小流量廃棄麻酔ガス収集再生システム500を図解する。再生システム500は、膨張バルブ43をタービン44で置き換え、医療施設の各麻酔所15A、15B、15Cにあるいは近くに配置されたインテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニット30A、30B、30Cを含むこと以外は、前述の図10の再生システム200と同様である。ベリーによる共に継続中の米国特許出願11/266,966に開示されているように、インテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニット30A、30B、30Cは、標準廃棄麻酔ガスコネクタ18A、18B、18Cの近くで収集マニホルド16のそれぞれの脚に流体結合されるのが好ましい。各インテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニット30A、30B、30Cは、収集チャンバ32A、32B、32C、廃棄麻酔ガスが生成されないときにそれぞれの麻酔所で収集マニホルド16の吸気側を選択的に遮断する排出バルブ34A、34B、34C、および、排出バルブ34A、34B、34C、を操作するための付随する圧力計40A、40B、40C、回路、制御あるいはメカニズムを含む。収集チャンバ32A、32B、32Cは、剛であり、柔軟であり(たとえば伸縮バッグのようなもの)あるいはこれらの組合せである。
【0089】
図13を参照すると、廃棄麻酔ガスは麻酔装置12A、12B、12Cから19mm、30mmあるいは同様な標準廃棄麻酔ガスコネクタ18A、18B、18Cを通ってチャンバ32A、32B、32Cに流入する。高感度の圧力計40A、40B、40Cが収集チャンバ32A、32B、32C内で、収集チャンバ32A、32B、32Cの排出側に配置されたソレノイド操作排出バルブ34A、34B、34Cに電気的に結合される。圧力計40A、40B、40Cで測定された圧力は、収集チャンバ32A、32B、32Cの圧力と外(大気)の圧力との差である。収集チャンバ32A、32B、32C内の圧力が大気圧より僅かに高くなると、圧力計40A、40B、40Cが上昇した圧力を検知し、制御回路によって排出バルブ34A、34B、34Cを開く。排出バルブ34A、34B、34Cを開くことは、収集チャンバ32A、32B、32Cを収集マニホルド16の真空源と流体接続し、結果として収集チャンバ32A、32B、32Cの圧力を急激に低下させる。収集チャンバの圧力が大気圧に近づくと、圧力計40A、40B、40Cは圧力低下を検知し、排出バルブ34A、34B、34Cを閉じる。
【0090】
廃棄麻酔ガス収集マニホルド16は、コンプレッサ42により生ずる僅かな真空、たとえば5cm、で運転される。したがって、廃棄麻酔ガスが生成されていない間は収集マニホルド16を同伴する大気から隔離することは、平均麻酔ガス捕集流れを約90パーセント減少させ、よってコンプレッサ42、熱交換器/コンデンサ22、配管および付随する他の機械設備の必要な最大容量を減少させる。20〜30の手術室を有する大型病院では、図1の先行技術による再生システム10での500〜1000l/分の廃棄麻酔ガス流量が図13の再生システム500では50〜100l/分に減少するものと推測される。さらに、小流量の捕集システムは、それぞれの麻酔ガスの凝縮温度まで冷却しなければならないガスが小容積なので、凝縮による廃棄麻酔ガス回収のより効率的な手段を提供する。
【0091】
真空のマニホルド16から、収集された廃棄ガス流れはチェッキバルブ35を通ってコンプレッサ42に送られる。コンプレッサ42は、収集ユニット30A、30B、30Cからの廃棄麻酔ガスをコンデンサユニット22での次の処置のために大気圧より高い圧力にまで高めるようサイズ決めされた単段圧縮段階を有する。圧縮後、廃棄麻酔ガスは収集容器すなわちレシーバ容器26Aを通って流れ、レシーバ容器26Aは圧縮のために凝縮した液を除去し、圧縮された廃棄麻酔ガス流れから分離する。圧縮廃棄麻酔ガス流れは、それから多段のコンデンサ22で冷却され、亜酸化窒素と他の麻酔性ハロカーボンの温度は、蒸気がコンデンサコイル236B(図11)上に除去できる液体として凝縮する温度まで下げられる(図11に関しての開示を参照のこと)。あるいは、単段の低温トラップ/分流器125(図12)を用いて蒸気をコンデンサコイル136(図12)上の霜として凝縮し収集することもできる(図12に関しての開示を参照のこと)。凝縮処理が行われる温度と圧力により、麻酔ガス成分が除去できる水分とし凝縮するか、あるいは霜として蒸着するかが決まる。液体の麻酔凝縮物は、収集容器24A、24Bで回収され、液体の水分凝縮物は収集容器23で回収される。
【0092】
既に開示したように、圧縮廃棄ガスを小型タービン44あるいは類似の装置にて大気放出46前に絞り、圧縮廃棄ガスのポテンシャルエネルギを回収するのが好ましい。すると回収されたエネルギは、コンプレッサ42に動力を供給したり本方法とシステムの他のエネルギ需要を満たすのに用いることができる。タービン44にて圧縮麻酔ガス流れの圧力を減ずることにより、麻酔成分のさらなる凝縮が生ずる。したがって、レシーバ容器45を設置して、残りの廃棄ガスの大気放出46の前に、これらの麻酔凝縮物を収集する。
【0093】
自己完結型廃棄麻酔ガス再生システムの好適な実施の形態が、医療施設のユーティリティ設備や補給への依存を最小限として運転するのに、配列され設計される。ガス状の麻酔成分を凝縮するのに医療施設から供給される液体酸素および/または液体窒素を必要とする他のシステムとは異なり、ここで開示されるシステムは、運転用に機械的動力あるいは電力の供給だけを必要とする。さらに、本システムは、単に麻酔成分のない廃棄ガスを排出する大気へのベントを必要とし、大規模の廃棄空気処理システムを必要としない。このように、この好適な実施の形態は、比較的自己完結型で、診療所、獣医クリニックあるいは歯科診療所に容易に収容できる。(従来病院で用いられてきたような、比較的大型の、より標準的な廃棄麻酔ガス再生システムは、全体の大きさや費用のために、これらへ設置することは実用的ではないであろう。)
【0094】
図14は、廃棄麻酔ガス流れから中間熱伝達流体との対向流熱交換により麻酔ガス成分を冷却し凝縮する、本発明の好適な実施の形態の熱交換器/コンデンサ222を図解する。デュポン社のスーヴァ(登録商標)95あるいは類似の極低温冷媒のような熱伝達流体を、従来の電力あるいは機械動力冷却ユニット270を用いて、熱交換器/コンデンサ222に戻される前に、十分に冷却する。熱伝達流体あるいは冷媒を冷却するのに別の冷却ユニット270を使用すると、液体窒素や液体酸素が医療施設により供給される必要がなくなる。デュポン社のスーヴァ(登録商標)95は、好ましい冷媒である。というのは、それが医療用冷凍機や他の超低温仕様(−40℃と−101℃の間)で用いられる業界標準であり、非常に低いコンプレッサ吐出温度でより高いシステムの信頼性とコンプレッサの寿命を有し、また、環境にやさしい冷媒だからである。
【0095】
図14に示すように、熱伝達流体は熱交換器/コンデンサ222のコイル236中を流れ、コイル236の外面に凝縮する麻酔ガス成分から熱を吸収すると蒸発する。中間熱伝達流体は、その後、1段以上の冷却ステージを用いる従来の蒸気圧縮プロセスにて冷却される。飽和した(あるいは、僅かにスーパーヒートされた)熱伝達流体は、ここでは少なくとも一部が蒸発しており、コンプレッサ272にて高圧に圧縮される。圧縮によりコンプレッサ272の出口で熱伝達流体はスーパーヒートされた状態となる(すなわち、上昇した圧力における流体の飽和温度よりも高い温度となる)。スーパーヒートされた流体は、続いて、適切な冷媒、好ましくは空気を用いて熱交換器/コンデンサ274で冷却され凝縮する。上昇した圧力で凝縮した流体は、その後膨張弁276で絞られて低圧となる。この時点で、主として液体と低品位蒸気からなる熱伝達流体は、熱交換器/コンデンサ222で凝縮する麻酔ガス成分からもう一度熱を吸収できる。
【0096】
従来の冷却システムの代替として、極低温冷却ユニット(不図示)を用いて、従来の冷却システムで達成されるよりもさらに低い温度(すなわち、−73℃よりかなり低い)に中間熱伝達流体を冷却してもよい。非常に高い蒸気圧のガス状麻酔成分(すなわち、−73℃より低い凝固点の麻酔剤)で凝縮を有効にするためには、極低温に冷却された熱伝達流体が用いられ、前述のようにこのような麻酔成分を冷却し凝縮する。簡単なリンデあるいはジュールトムソンサイクルのような、極低温冷却プロセスは先行技術で周知であるので、さらなるは説明はここでは行わない。
【0097】
図15は、診療所、歯科診療所、小型の動物クリニックあるいは他の医療施設で使用するための、本発明の好適な実施の形態による、小流量廃棄麻酔ガス収集再生システム300を図解する。再生システム300は、小型タービン344、コンプレッサ342による1段以上の圧縮段階、および医療施設の麻酔所315にあるいは近くに配置されるインテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニット330を含むこと以外は、前述の図1の先行技術の廃棄麻酔ガス再生システム10と同様である。コンプレッサ342は、インテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニット330とコンデンサ322の間に配置されるのが好ましい。小型タービン344は、コンデンサ322と大気ベント346との間に配置されるのが好ましい。
【0098】
ベリーによる共に継続中の米国特許出願11/266,966に開示されているように、インテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニット330は、標準廃棄麻酔ガスコネクタ318の近くで収集取入口316に流体結合されるのが好ましい。インテリジェントガス収集ユニット330は、収集チャンバ332、廃棄麻酔ガスが生成されないときに対応する麻酔所で収集取入口316の吸気側を選択的に遮断する排出バルブ334、および、排出バルブ334を操作するための付随する圧力計340、回路、制御あるいはメカニズムを含む。収集チャンバ332は、剛であり、柔軟であり(たとえば伸縮バッグのようなもの)あるいはこれらの組合せである。
【0099】
図15を参照すると、廃棄麻酔ガスは麻酔装置312から19mm、30mmあるいは同様な標準廃棄麻酔ガスコネクタ318を通ってチャンバ332に流入する。高感度の圧力計340がチャンバ332内で、チャンバ332の排出側に配置されたソレノイド操作排出バルブ334に電気的に結合される。圧力計340で測定された圧力は、チャンバ332の圧力と外(大気)の圧力との差である。チャンバ332内の圧力が大気圧より僅かに高くなると、上昇した圧力が圧力計340で検知され、制御回路によって排出バルブ334を開く。排出バルブ334を開くことは、チャンバ332を収集取入口316の真空源と流体接続し、結果としてチャンバ332の圧力を急激に低下させる。チャンバの圧力が大気圧に近づくと、圧力計340は圧力低下を検知し、排出バルブ334を閉じる。
【0100】
廃棄麻酔ガス収集取入口316は、コンプレッサ342により生ずる僅かな真空、たとえば5cm、で運転される。コンプレッサ342がシステム300で使用されないと、収集取入口316に僅かな真空を発生させるために、真空ポンプ(不図示)が収集取入口316と大気ベント346の間に配置されなければならない。廃棄麻酔ガスが生成されていない間は収集取入口316を同伴する大気から隔離することは、平均麻酔ガス捕集流れを約90パーセント減少させ、よってコンプレッサ342、熱交換器/コンデンサ322、配管および付随する他の機械設備(不図示)の必要な最大容量を減少させる。20〜30の手術室を有する大型病院では、図1の先行技術による再生システム10を用いて500〜1000l/分の廃棄麻酔ガス流量が予定されるものと推測される。小流量捕集システムでは、この麻酔ガス流量を50〜100l/分に減少するであろう。図15に示すシステム300は、小型医療施設での実施用であり、1〜20l/分の麻酔ガス流量用に設計されている。それにもかかわらず、小流量捕集システムは、それぞれの麻酔ガスの凝縮温度まで冷却しなければならないガスが小容積なので、麻酔ガス流量がどのくらいでも、凝縮による廃棄麻酔ガス回収のより効率的な手段を提供する。
【0101】
収集取入口316から、収集された廃棄ガス流れはチェッキバルブ335を通ってコンプレッサユニット342へ送られる。好適な実施の形態では、コンプレッサ342は、収集ユニット330からの廃棄麻酔ガスを、コンデンサユニット322での次の処置用に大気圧を超えた圧力にまで圧縮するようなサイズとされる。344.738kPa(50psig)を超えた圧力は、それに伴う分離効率と分留抽出の向上の利点を享受するために好ましい。高温排出や機械的故障の増加などの高圧縮比に伴う問題を回避するのに、多段コンプレッサが使用される。結果として、コンプレッサ製造者は、10:1より大きくない圧縮比を、特に低温使用においては、推奨する。多段コンプレッサは、各圧縮段階が小さな圧縮比を有することに伴う動力費削減のために、単段コンプレッサより経済的でもある。しかし、システム300でのコンプレッサ342は、10:1より大きくはない圧縮比が予想されるので、単段圧縮だけを必要としている。
【0102】
圧縮後、廃棄麻酔ガスは収集容器すなわちレシーバ容器326を通って流れ、レシーバ容器326は圧縮のために凝縮した液を除去し、圧縮された廃棄麻酔ガス流れから分離する。麻酔成分の凝縮回収に先立ち、ガス流れ中の水蒸気は除去され、コンデンサ322内で液体水が凍結することを防止するのがよい。廃棄麻酔ガス流れから水蒸気を除去するのに好適な方法は、第1コンデンサ段階422A(図16)を用いることであるが、乾燥、吸収、ろ過、半浸透あるいは疎水性膜などの別の水除去処理(不図示)を用いてもよい。これらの種々のガス乾燥法は、圧縮段階前を含む、麻酔ガスを凝縮する前のいかなる時点で用いてもよい。
【0103】
圧縮廃棄麻酔ガス流れは、その後単段あるいは多段のコンデンサ322で冷却され、亜酸化窒素と他の麻酔性ハロカーボンの温度は、蒸気がコンデンサコイル436B(図16)上に除去できる液体として凝縮するか、コンデンサコイル536(図17)上に霜として集まるかのどちらかの温度まで下げられる。凝縮プロセスが行われる温度と圧力は、麻酔ガス成分が除去できる液体として凝縮するか、霜として蒸着するかを支配する。図15に示すシステム300に対しては、少なくとも2段422A、422B(図16)のコンデンサ322が好ましい。第1段422A(図16)は廃棄麻酔ガス流れから水蒸気を除去するのに用いられ、一方、次段422B(図16)は麻酔剤を凝縮するのに用いられる。液体の麻酔成分(分留されてはいない)は容器324に収集され、液体の水凝縮物は、容器323に収集され、いずれの容器も定期的に液抜きされる。
【0104】
専用の熱伝達流体は、コンデンサ322のコイル436A、436B、536(図16および図17)を通って流れ、廃棄麻酔ガス成分を冷却し凝縮するのに用いられる。デュポン社のスーヴァ(登録商標)95あるいは類似の極低温冷媒のような熱伝達流体を、従来の電力冷却ユニット370を用いて、熱交換器/コンデンサ322に戻される前に、十分に冷却する。前述し、また、図14に示したように、中間熱伝達流体は、1段以上の冷却ステージを用いる従来の蒸気圧縮プロセスにより冷却される。熱伝達流体あるいは冷媒を冷却するのに別の冷却ユニット370を使用することで、液体窒素および/または液体酸素が医療施設から供給される必要がなくなる。しかし、病院や他の医療、歯科、獣医施設で通常入手できる液化ガスの通常の供給から得られる液体酸素、液体窒素あるいは類似の冷媒を、専用熱伝達流体の変わりに用いることができる。廃棄麻酔ガスが、施設のガス供給圧(たとえば、344.738kPa(50psig))を超えて圧縮されると、コンデンサユニット322内で内部リークが生じると共通冷媒供給の廃棄麻酔での汚染が起こりうる。したがって、液体酸素、液体窒素、あるいは類似の冷媒を用いるときは、344.738kPa(50psig)を超える廃棄麻酔ガス圧に対しては別の供給源とし、医療施設の共通ガス供給を廃棄麻酔ガスで汚染するリスクを回避するのがよい。
【0105】
麻酔成分が凝縮により除去された後に、残りの廃棄ガス(主として同伴空気からなる)は大気346に放出されてもよい。しかし、より好ましくは、圧縮廃棄ガスは、大気放出346の前に小型タービン344あるいは類似の装置で先ず絞り、圧縮廃棄ガスのポテンシャルエネルギを回収する。そして回収したエネルギは、コンプレッサ342に動力を与え、あるいは、本方法やシステムの他のエネルギ需要を供給するのに用いられる。廃棄ガス中のさらなる麻酔成分がまたタービン344での膨張により凝縮するかも知れない。このような麻酔凝縮物は、廃棄ガスの大気放出346の前に、レシーバ容器345で収集される。
【0106】
さらに、大気排出の前に、冷却された廃棄ガスを冷却されるべき流れと熱統合することで、本方法とシステムの全体冷却ユーティリティを減少することができる。たとえば、廃棄麻酔ガス流れの圧縮は、ガス流れの温度を上昇させる。大気放出346される冷却された廃棄ガス流れは、この圧縮された廃棄麻酔ガス流れを凝縮する前に冷却するのに用いることができ、熱交換器/コンデンサ322の全体冷媒必要量を減ずる。
【0107】
ベリーは、廃棄麻酔ガスから揮発性ハロカーボンを回収する2つの極低温の方法を開示している。1番目は、そしてより好ましいのは、米国特許第6,729,329号であり、引用してここに組み込み、それは、麻酔ガス成分を回収できる液体凝縮物に凝縮するのに液体酸素を使用することを開示している。図16は、米国特許第6,729,329号のシステムと方法を大略図解し、流入する圧縮廃棄麻酔ガス流れを組み込み、液体酸素をデュポン社のスーヴァ(登録商標)95あるいは類似の極低温冷媒のような専用熱伝達流体に置き換えるための修正をされている。典型的な麻酔含有蒸気流れの露点温度は圧力の上昇と共に上昇するので、廃棄麻酔剤のこの1番目の回収方法は、流入する廃棄麻酔ガス流れの上昇した圧力に大いにそして有利に影響される。
【0108】
第1コンデンサ422Aと第2コンデンサユニット422Aを含むコンデンサユニット422が備えられる。冷却ユニット270(図14)からの冷却された熱伝達流体用の出口流路421は第2容器422Bのコンデンサコイル436Bと流体接続される。コンデンサコイル436Bの出口は、流路425を介して第1容器422Aのコイル436Aの入口と流体接続する。コイル436Aの出口は、流路427を介して小型冷却ユニット270(図14)の入口と流体接続する。
【0109】
流路439は、医療施設のレシーバ容器326、626(図15および図18)からの廃棄麻酔ガス流路を熱交換器/コンデンサ422に接続する。廃棄麻酔ガスは、圧縮のために上昇した温度で流路439を通じて熱交換器/コンデンサ422に流入する。圧縮された廃棄麻酔ガスは、熱交換器/コンデンサ422Aの頂部あるいは入口に流入し、コイル436Aを下方に通り過ぎ、コイル436A中を対向して流れる熱伝達流体と熱交換する。圧縮廃棄麻酔ガス中の水蒸気は特定温度(0℃より高い)で液体の水に凝縮し、特定の温度は圧縮廃棄麻酔ガス流れの圧力により変わる。その後液体の水は重力でタンク423に流れ、貯蔵されて除去される。
【0110】
容器422Aの底近くの冷却された圧縮ガスは、流路441を通じて熱交換器/コンデンサ422Bの頂部あるいは入口に導かれ、そこでは0℃より高い温度である。熱交換器/コンデンサ422Bの頂部に至った冷却された圧縮ガスは、コイル436Bを通り過ぎ、コイル436B中を対向して流れる熱伝達流体と熱交換する。流路421からの熱伝達流体は、約−90℃の温度でコイル436Bに流入し、流路425を通じて上昇した温度でコイル436Bから流出する。必要に応じて、中間バイパスバルブ437が流路421に設けられ、コイル436Aの入口での流路425の温度を約0℃とすることもできる。流路441からの圧縮廃棄麻酔ガスの温度は、コイル436Bを通過する間に下げられ、廃棄ガスのハロカーボンは液化され収集タンク424に排出される。圧縮廃棄ガスの残り、すなわち環境に危害を及ぼさないような成分を、小型タービン344(図15)にて絞り、圧縮ガスのポテンシャルエネルギを回収することが好ましい。あるいは、このような圧縮廃棄ガスは流路446を介して大気へ放出され、または膨張弁643(図18)を通して絞りさらなる麻酔凝縮物を生じ、または既存の触媒技術(不図示)によりさらなる処理に付してもよい。
【0111】
2番目は、共に継続中の米国特許出願、発明の名称「麻酔ガス再生システムおよび方法(Anesthetic Gas Reclamation System and Method)」で、引用してここに組み込み、その出願はバッチ式霜分留プロセスの使用を開示しており、個々の麻酔ガスの温度は低温トラップ/分流器の冷却面に霜として凝縮し収集される温度にまで冷却される。低温トラップ/分流器は、周期的に解凍ステージに循環され、その間は、通過する廃棄麻酔ガスから蒸着した霜のガス成分で固められた冷却面がゆっくりと加温され、捕捉した成分を順次分離し収集する。図17は、共に継続中の前記の特許出願のシステムと方法を概略図解し、流入する圧縮廃棄麻酔ガス流れを組み込み、液体酸素をスーヴァ(登録商標)95あるいは類似の極低温冷媒のような専用熱伝達流体に置き換えるための修正をされている。しかし、典型的な麻酔含有蒸気流れの凝固点温度は、変動するシステムの圧力に対し相対的に一定に維持されるので、この2番目の廃棄麻酔回収方法は、廃棄麻酔ガス流れの圧力上昇にそれほど大きく影響されない。
【0112】
図17に示すように、低温トラップ/分流器すなわちコンデンサユニット522には、内部に冷却コイル536が備えられる。冷却ユニット570からの冷却された熱伝達流体用の出口流路521は、低温トラップ/分流器522のコンデンサコイル536と流体接続する。コイル536の入口での冷却された熱伝達流体の流量は、バルブ533によって自動調温的に制御される。流路521からの冷却された熱伝達流体は約−90℃の温度でコイル536に流入し、約0℃でコイル536から流出する。コイル536の出口は、流路527を介して小型冷却ユニット570の入口に流体接続する。
【0113】
流路539は、医療施設のレシーバ容器326、626(図15、18)からの廃棄麻酔ガス流路を熱交換器/コンデンサ522の入口531へ接続する。廃棄麻酔ガスは、圧縮のために上昇した温度で流路539を通じて熱交換器/コンデンサ522に流入する。圧縮された廃棄麻酔ガスは、熱交換器/コンデンサ522の頂部あるいは入口531に流入し、下方にコイル536を通り過ぎ、コイル536中を対向して流れる熱伝達流体と熱交換する。廃棄ガスは、フィッティング537を通って熱交換器/コンデンサ522から流出し、流路546を介して大気に排出される。
【0114】
この対向流熱交換器配列により、熱交換器/コンデンサ522の頂部が最も高温で、熱交換器/コンデンサ522の底部がもっとも低温という温度勾配となる。熱交換器/コンデンサ522の冷却コイル536の上部領域560は、圧縮廃棄麻酔ガスを約−5℃の温度まで冷却し、水蒸気をコイル536上に霜として抽出する。冷却コイル536の中部領域562、563が次に圧縮廃棄麻酔ガスを約−60℃の温度まで冷却し、セボフルレンをコイル536上に凝縮し凝固する。最後に下部領域564が約−90℃の温度で凝縮と凝固により亜酸化窒素を抽出する。あるいは、熱交換器/コンデンサ522が低圧(すなわち、真空圧)で運転されているならば、麻酔成分は、まず液相になることなく直接コイル536上に凝結/蒸着するかもしれない。さらに、廃棄麻酔ガスがイソフルレン(融点は約−103℃)および/またはデスフルレン(融点は約−108℃)を含むならば、それらの麻酔成分をコイル536の下部領域564上に凝縮し凝固するのに、液体酸素や液体窒素のような極低温に冷却された熱伝達流体あるいは液化ガスが必要であろう。
【0115】
圧縮廃棄ガスの残り、すなわち環境に危害を及ぼさないような成分を、小型タービン344(図15)にて絞り、圧縮ガスのポテンシャルエネルギを回収することが好ましい。あるいは、このような圧縮廃棄ガスは流路546を介して大気へ放出され、または膨張弁643(図18)を通して絞りさらなる麻酔凝縮物を生じ、または既存の触媒技術(不図示)によりさらなる処理に付してもよい。
【0116】
低温トラップ/分流器522は、周期的に解凍プロセスを循環して、冷却コイル536の霜取りをする。コイル536の解凍は、自動調温コントロールバルブ533でそこを流れる熱伝達流体の流量を減じあるいはなくすことにより行われる。このことにより低温トラップ/分流器522を、大気温度の周囲環境との熱交換を通じて室温に加温することができる。代替の実施の形態では、他の流体(不図示)が冷却コイル536を通って流されて制御された解凍を行うこともできる。
【0117】
ファンネル形のホッパ557が、熱交換器/コンデンサ522の最下点を形成し、四方切替バルブ558方向へ液を抜くのが好ましく、四方切替バルブ558は順次麻酔収集タンク524A、524Bおよび水収集タンク523と流体結合する。冷却コイル536の温度が解凍ステージ中に約−90℃を超えるまで上昇すると、亜酸化窒素が低温トラップ/分流器522の下部領域564から融解し、ホッパ557に集まる。切替バルブ558は同時に調整され、液体の亜酸化窒素が収集タンク524A、524Bのうちの1つへ重力で送り込まれるようにする。温度が−65℃を超えるまで加温されると、セボフルレン(大気圧での融点は約−67℃)が冷却コイル536の中部領域562、563から融解し、ホッパ557に集まる。切替バルブ558は同時に調整され、液体のセボフルレンが第2の収集タンク524A、524Bへ重力で送り込まれるようにする。同様に、低温トラップ/分流器522が加温され続けると、水蒸気の霜が0℃以上で上部領域560から融解し、切替バルブ558で水収集タンク523へと流される。この方法により、フルオロエーテルは、廃棄麻酔ガスから除去されると共に、分留される。
【0118】
図18は、診療所、歯科診療所、小型動物クリニックあるいは他の医療施設で用いる、本発明の好適な実施の形態による廃棄麻酔ガス捕集再生システム600を図解する。再生システム600は、既に説明した図15の廃棄麻酔ガス再生システム300と類似しており、システム600は、システム300と同様、運転動力(不図示)と、廃棄麻酔ガスの源流615と、大気ベント646を必要とするだけである。しかし、システム600はさらに、小型、自己完結型に配列され設計されて、麻酔装置612に近接した病室でのその配置を容易にする。システム600は、全容積が約0.0283m(1立方フィート)のパッケージユニット602であることが好ましい。システム600は、熱交換器/分流器622を含み、熱交換器/コンデンサ622は、小型冷却ユニット670で冷却された中間熱伝達流体との対向流熱交換によって、廃棄麻酔ガス流れからの麻酔ガス成分を冷却し凝縮する。オプションとして、システム600は、小型コンプレッサ642とレシーバ容器626、および/または、膨張弁643(あるいは小型タービン344(図15))とレシーバ容器645を含んでもよい。さらに、システム600は小流量廃棄麻酔ガス収集ユニット630を含むこともできる。
【0119】
図18に示すような好適な実施の形態では、システム600は、膨張弁643とレシーバ容器645に加え、コンプレッサ642とレシーバ容器626を含む。1〜20l/分の麻酔ガス流量を処理するように設計されて、廃棄麻酔ガス収集再生システム600は、取付け可能な流路606を介して既存の大流量廃棄麻酔ガス収集ユニット615、より好ましくは、小流量廃棄麻酔ガス収集ユニット630と結合する。廃棄麻酔ガス取入口616は、コンプレッサ642により生成された僅かな真空圧、例えば5cmで運転され、コンプレッサ642は取入口616と熱交換器/コンデンサ622の間に配置されるのが好ましい。収集取入口616から、収集された廃棄ガス流れはチェッキバルブ635を通ってコンプレッサ642へ送られる。コンプレッサ642は、収集ユニット615、630からの廃棄麻酔ガスの圧力を、コンデンサユニット622での次の処理のために大気圧を超えた圧力にまで高める大きさとされた単段圧縮段階を有する。
【0120】
圧縮後、廃棄麻酔ガスは収集容器すなわちレシーバ容器626を通って流れ、レシーバ容器626は圧縮のために凝縮した液を除去し、圧縮された廃棄麻酔ガス流れから分離する。圧縮廃棄麻酔ガス流れは次に多段コンデンサ622で冷却され、亜酸化窒素や他の麻酔性ハロカーボンは、蒸気が除去できる液体としてコンデンサコイル436B(図16)上に凝縮する温度まで下げられる(図16に関する開示を参照)。あるいは、単段コンデンサ(図17)を用いて、蒸気をコンデンサコイル536(図17)上に霜として凝縮し収集することもできる(図17に関する開示を参照)。凝縮プロセスが行われる温度と圧力が、麻酔ガス成分が除去できる液体として凝縮するか、霜として蒸着するかを支配する。図18に示すシステム600に対しては、少なくとも2段422A、422B(図16)を有するコンデンサ622が好ましい。第1段422A(図16)は、廃棄麻酔ガス流れから水蒸気を除去するのに用いられ、第2段422B(図16)は麻酔剤を凝縮するのに用いられる。液体の麻酔凝縮物(分留されていない)は小容量(すなわち1リットル)容器624に収集され、液体水凝縮物は小容量(すなわち1リットル)容器623に収集され、どちらの容器も定期的に液抜きされる。
【0121】
専用の熱伝達流体は、コンデンサ622のコイル436A、436B、536(図16、17)を通って流れ、麻酔ガス成分を冷却し凝縮するのに用いられる。デュポン社のスーヴァ(登録商標)95あるいは類似の極低温冷媒のような熱伝達流体を、続いて、従来の電力冷却ユニット670を用いて、熱交換器/コンデンサ622に戻される前に、冷却する。前述し、また、図14に示したように、中間熱伝達流体は、1段以上の冷却ステージを用いる従来の蒸気圧縮プロセスにより冷却される。熱伝達流体あるいは冷媒を冷却するのに別の冷却ユニット670を使用することで、液体窒素および/または液体酸素が医療施設から供給される必要がなくなる。しかし、病院や他の医療、歯科、獣医施設で通常入手できる液化ガスの通常の供給から得られる液体酸素、液体窒素あるいは類似の冷媒を、専用熱伝達流体の代わりに用いることができる。
【0122】
麻酔成分が凝縮により除去された後に、残りの廃棄ガス(主として同伴空気からなる)は、大気放出646の前に膨張弁643とレシーバ容器645を通過するのが好ましい。膨張弁643は圧縮廃棄ガスを大気圧に減圧し、ジュールトムソン効果を通じて廃棄ガスをさらに冷却する。ジュールトムソンの断熱膨張により廃棄ガス中に残留するさらなる麻酔成分が凝縮するかもしれない。このような麻酔凝縮物は、廃棄ガスの大気放出646の前に、レシーバ容器645で収集される。
【0123】
大気放出646される、冷却された廃棄ガスは、その後、対向流熱交換器680で流入する流路639の圧縮廃棄麻酔ガス流れを冷却するのに用いられるのが好ましい。このことにより、熱交換器/コンデンサ622の冷却必要量を減じ、よって、システム600の全体の運転コストを減少する。膨張弁643で絞られ、熱交換器680で加温された廃棄ガスは、取付け可能な流路637を通って、医療施設の既存の大気ベント646へと放出される。
【0124】
本開示の要約書は、米国特許商標庁と公衆に広く、技術的開示の本質と要点を一瞥してすばやく決定する手段を提供することだけのために記載され、好適な実施の形態だけを示し、本発明の本質を全体として示唆するものではない。
【0125】
本発明のいくつかの実施の形態が詳細に図示されたが、本発明は示された実施の形態に限定されない。上述の実施の形態の修正や改作は当業者が気付きうる。そのような修正や改作は、ここに記載のように本発明の思想および範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】図1は、先行技術による大流量廃棄麻酔ガス捕集再生システムを概念図で図示し、廃棄ガス流れが大気に放出される前に、フルオロエーテルや他の揮発性麻酔ガス成分を収集したガス流れから分離する。
【図2】図2は、本発明による小流量廃棄麻酔ガス再生システムの好適な実施の形態を概念図で図示し、複合真空システムへの空気排出を制限したインテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニットを含む。
【図3】図3は、図2のインテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニットの詳細概念図で、大気圧の収集チャンバと、ソレノイド駆動排出バルブを閉位置に位置させる付随した回路とともに圧力検知器を示している。
【図4】図4は、図3のインテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニットの詳細概念図で、収集チャンバは大気圧より僅かに高い圧力にあり、圧力検知器と付随した回路はソレノイド駆動排出バルブを開位置に位置させるように操作している。
【図5】図5は、小流量廃棄麻酔ガス再生システムの別の実施の形態を概念図で図示し、インテリジェント廃棄麻酔ガス収集ユニットが先行技術の麻酔装置と結合されて改良型麻酔装置を形成する。
【図6】図6は、既存のシステムを改造するのに有用な小流量廃棄麻酔ガス再生システムの代替の実施の形態を概念図で図示し、インテリジェント麻酔ガス収集ユニットは収集マニホルドからも麻酔装置からも分離して、区別されている。
【図7】図7は、プロセスとシステムを概念図で図示し、廃棄麻酔ガスのフルオロエーテルや他の揮発性ハロカーボンガス成分を、プロセス用のヒートシンクとして液体酸素の源を用いて、廃棄麻酔ガスから分離し、続いてその結果物の液体ハロカーボンを順に解凍し収集することにより分留する。
【図8】図8は、並列の2つ以上の低温トラップ/分流器を含む代替の実施の形態を概念図で図示する。
【図9】図9は、図7の再生システムの代替の実施の形態を概念図で図示し、液相から蒸発した、あるいは気相へ直接昇華した廃棄麻酔ガスの捕捉された成分を収集する手段を含む。
【図10】図10は、大流量廃棄麻酔ガス再生システムの本発明による好適な実施の形態を概念図で図示し、1つ以上の大流量廃棄麻酔ガス収集ユニットと、1段以上の圧縮段階からなるコンプレッサと、単段あるいは多段のコンデンサ/熱交換器ユニットと、さらなる麻酔ガス凝縮物を導入する膨張弁とを含む。
【図11】図11は、プロセスとシステムを概念図で図示し、医療施設で廃棄麻酔ガスのハロカーボンガス成分を液体酸素の源を用いて液化し、廃棄麻酔ガスの大気への放出の前に、そのようなガス成分を除去する。
【図12】図12は、プロセスとシステムを概念図で図示し、廃棄麻酔ガスのフルオロエーテルや他の揮発性ハロカーボンガス成分を、プロセス用のヒートシンクとして液体酸素の源を用いて廃棄麻酔ガスの大気への放出前に、廃棄麻酔ガスから分離し、続いてその結果物の液体ハロカーボンを順に解凍し収集することにより分留する。
【図13】図13は、小流量廃棄麻酔ガス再生システムの本発明による好適な実施の形態を概念図で図示し、1つ以上の小流量廃棄麻酔ガス収集ユニットと、1段以上の圧縮段階からなるコンプレッサと、単段あるいは多段のコンデンサ/熱交換器ユニットと、大気放出前に圧縮された廃棄ガスのポテンシャルエネルギを捉える小型タービンとを含む。
【図14】図14は、本発明の好適な実施の形態の熱交換器/コンデンサを概念図で図示し、廃棄麻酔ガス流れからの麻酔ガス成分を、小型冷却ユニットで冷却された中間熱伝達流体と対向流で熱交換して冷却し、凝縮する。
【図15】図15は、麻酔ガス再生システムの好適な実施の形態を概念図で図示し、小流量廃棄麻酔ガス捕集ユニットと、1段以上の圧縮段階からなるコンプレッサと、廃棄麻酔ガス流れから麻酔ガス成分を除去する単段あるいは多段のコンデンサ/熱交換器ユニットと、コンデンサで冷媒として用いられる熱伝達流体を冷却する小型冷却ユニットと、大気放出前に圧縮された廃棄ガスのポテンシャルエネルギを捉える小型タービンとを含む。
【図16】図16は、プロセスとシステムを概念図で図示し、中間熱伝達流体を用いて廃棄麻酔ガスのハロカーボン成分を液化し、廃棄麻酔ガスを大気へ放出する前にこれらのガス成分を凝縮する。
【図17】図17は、プロセスとシステムを概念図で図示し、廃棄麻酔ガスのフルオロエーテルや他の揮発性ハロカーボンガス成分を、プロセス用のヒートシンクとして別の冷却ユニットで冷却された熱伝達流体を用いて、廃棄麻酔ガスの大気への放出前に、廃棄麻酔ガスから分離し、続いてその結果物の液体ハロカーボンを順に解凍し収集することにより分留する。
【図18】図18は、自己完結型廃棄麻酔ガス再生システムの好適な実施の形態を概念図で図示し、小流量麻酔捕集ユニットと、コンプレッサと、廃棄麻酔ガス流れから麻酔ガス成分を除去する熱交換器/コンデンサと、コンデンサで冷媒として使用される熱伝達流体を冷却するのに用いられる小型冷却ユニットと、さらなる麻酔ガス凝縮物を導入する膨張弁とを含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄麻酔ガスの収集用装置(30)であって:
互いに流体連通する流入部と流出部を有する第1のチャンバ(32A)であって、前記第1のチャンバの前記流入部は、麻酔装置(12A)の排出部と流体結合するようになされ、廃棄麻酔ガス成分を含むガス流れをそこから受け入れるように配列される、第1のチャンバと;
前記チャンバの前記流出部と流体結合される第1の端部を有し、真空マニホルド(16)に流体結合するようになされる第2の端部を有する第1の排出バルブ(34A)と;
前記第1のチャンバに結合される第1の検出器(40A)であって、前記廃棄麻酔ガス成分が前記第1のチャンバに存在しそうであるときを判断するように設計され配列され、前記第1の検出器は前記第1の排出バルブを制御するように前記第1の排出バルブと運転可能に結合される、第1の検出器とを備え;
前記第1の検出器が前記廃棄麻酔ガス成分が前記第1のチャンバに存在しそうであると判断したとき、前記第1の検出器が前記第1の排出バルブを開き、前記第1のチャンバからの前記廃棄麻酔ガス成分を含む前記ガス流れを前記真空マニホルドへ排出するように前記第1のチャンバの前記流出部を前記真空マニホルドに流体接続する;
装置。
【請求項2】
前記第1の検出器が圧力計である;
請求項1の装置。
【請求項3】
前記第1の排出バルブが、ソレノイド駆動バルブである;
請求項1の装置。
【請求項4】
前記第1の排出バルブ(34A)の前記第2の端部と流体結合する真空マニホルド(16)と;
前記真空マニホルドに流体結合され、前記真空マニホルドからのガス流れを受け入れる廃棄麻酔ガス捕集装置(22、24、26B、20)であって、前記ガス流れから前記廃棄麻酔ガス成分を除去するように設計され配列された廃棄麻酔ガス捕集装置とをさらに備える;
請求項1の装置。
【請求項5】
前記第1の排出バルブ(34A)の前記第2の端部と流体結合する真空マニホルド(16)と;
排出部をそれぞれ有する第1および第2麻酔装置(12A、12B)であって、前記第1のチャンバ(32A)の前記流入部は前記第1の麻酔装置(12A)の前記排出部と流体結合している、第1および第2麻酔装置と;
流入部と流出部を有する第2のチャンバ(32B)であって、前記第2のチャンバの前記流入部は前記第2の麻酔装置(12B)の前記排出部と流体結合する、第2のチャンバと;
前記第2のチャンバ(32B)の前記流出部と流体結合する第1の端部と前記真空マニホルドと流体結合する第2の端部を有する第2の排出バルブ(34B)と;
前記第2のチャンバに結合される第2の検出器(40B)であって、前記廃棄麻酔ガス成分が前記第2のチャンバに存在しそうであるときを判断するように設計され配列され、前記第2の検出器は前記第2の排出バルブを制御するように前記第2の排出バルブと運転可能に結合される、第2の検出器とを備え;
前記第1の排出バルブと前記第2の排出バルブとが、前記廃棄麻酔ガス成分が前記第1のチャンバあるいは前記第2のチャンバに存在していなさそうであるとき、協同して、大気の前記排出マニホルドへの取入れを制限する;
請求項1の装置。
【請求項6】
麻酔装置(12)からのガス流れから廃棄麻酔ガス成分を捕集する方法であって:
前記麻酔装置からの前記ガス流れをチャンバ(32)へ受け入れる工程と;
前記チャンバで受け入れた前記ガス流れの存在を検出する工程と;
前記チャンバに受け入れた前記ガス流れの前記存在に応じて、選択的に分離可能な流路(34)により、前記チャンバを真空マニホルド(16)へ周期的に流体結合する工程と;
前記選択的に分離可能な流路と前記真空マニホルドにより、前記前記チャンバにて受け入れられた前記ガス流れを廃棄麻酔ガス捕集装置(22、24、26B、20)へ移送する工程と;
前記廃棄麻酔ガス捕集装置で前記ガス流れから前記廃棄麻酔ガス成分を除去する工程とを備え;
前記麻酔ガス装置から流出する廃棄麻酔ガス成分がないとき、前記チャンバと前記選択的に分離可能な流路は協同して前記真空マニホルドへの大気ガスの取入れを少なくする;
方法。
【請求項7】
前記チャンバで受け入れられた前記ガス流れの前記存在が検出されたときに、前記選択的に分離可能な流路との流体連通を有効とする工程と;
前記チャンバで受け入れられた前記ガス流れの前記存在が検出されないときに、前記選択的に分離可能な流路との流体連通を無効とする工程とをさらに備える;
請求項6の方法。
【請求項8】
前記チャンバに結合された圧力計で前記チャンバに受け入れられた前記ガス流れの圧力を検出する工程をさらに備える;
請求項6の方法。
【請求項9】
前記選択的に分離可能な流路はソレノイド駆動排出バルブを含み:
前記チャンバ内の圧力と大気圧との差圧を検出する工程と;
前記チャンバ内の前記圧力が前記大気圧より高いときに、前記圧力計により前記排出バルブを開くようにする工程と;
前記チャンバ内の前記圧力が前記大気圧より高くはないときに、前記圧力計により前記排出バルブを閉じるようにする工程とをさらに備える;
請求項8の方法。
【請求項10】
前記差圧に比例して前記排出バルブを駆動する工程をさらに備える;
請求項9の方法。
【請求項11】
前記真空マニホルドの複数の入口ポイントに対応する複数の麻酔装置において、前記複数の入口ポイントに対応する麻酔装置で、前記廃棄麻酔ガス成分の検出された可能性のある存在に基づき、前記真空マニホルドの複数の入口ポイントにおける全ての入口ポイントでの流入を制御する工程をさらに備える;
請求項6の方法。
【請求項12】
ガス混合物から複数のガス成分を取り除き、分離する方法であって:
前記ガス混合物が高温から低温の方向へ通り過ぎるような表面温度勾配を特徴とする冷却面(36)を前記ガス混合物を通過させて前記ガス混合物を冷却する工程と;
前記冷却面の第1の部分(60、62)上へ固体として前記ガス混合物のガス状の第1の成分を凝結させることにより蒸着する工程であって、前記第1の成分は第1の融点を特徴とし、前記第1の部分(60、62)は前記第1の融点より低い第1の温度を特徴とする、工程と;
その後、前記冷却面の第2の部分(63、64)上へ固体として前記ガス混合物のガス状の第2の成分を凝結させることにより蒸着する工程であって、前記第2の成分は第2の融点を特徴とし、前記第2の部分(63、64)は前記第2の融点より低く前記第1の融点より低い第2の温度を特徴とする、工程と;
その後、前記冷却面(36)を加温する工程と;
その後、前記冷却面(36)の前記第2の部分(63、64)から前記蒸着した固体の第2の成分を解凍する工程と;
その後、前記第2の成分を第2の容器(24B)に収集する工程と;
その後、前記冷却面(36)の前記第1の部分(60、62)から前記蒸着した固体の第1の成分を解凍する工程と;
その後、前記第1の成分を第1の容器(24A)に収集する工程とを備える;
方法。
【請求項13】
前記蒸着した固体の第2の成分を液相に融解する工程と;
その後、前記液体の第2の成分を前記第2の容器(24B)に収集する工程と;
その後、前記蒸着した固体の第1の成分を液相に融解する工程と;
その後、前記液体の第1の成分を前記第1の容器(24A)に収集する工程とをさらに備える;
請求項12の方法。
【請求項14】
前記蒸着した固体の第2の成分を液相に融解する工程と;
その後、前記液体の第2の成分を前記第2の容器(24B)に収集する工程と;
その後、前記蒸着した固体の第1の成分を気相に昇華する工程と;
その後、前記蒸気の第1の成分を前記第1の容器(24A)に収集する工程とをさらに備える;
請求項12の方法。
【請求項15】
前記蒸着した固体の第2の成分を気相に昇華する工程と;
その後、前記蒸気の第2の成分を前記第2の容器(24B)に収集する工程と;
その後、前記蒸着した固体の第1の成分を液相に融解する工程と;
その後、前記液体の第1の成分を前記第1の容器(24A)に収集する工程とをさらに備える;
請求項12の方法。
【請求項16】
前記蒸着した固体の第2の成分を気相に昇華する工程と;
その後、前記蒸気の第2の成分を前記第2の容器(24B)に収集する工程と;
その後、前記蒸着した固体の第1の成分を気相に昇華する工程と;
その後、前記蒸気の第1の成分を前記第1の容器(24A)に収集する工程とをさらに備える;
請求項12の方法。
【請求項17】
窒素、酸素および複数のハロカーボン成分を備える廃棄麻酔ガス混合物から複数のガス成分を除去し分離する方法であって:
前記廃棄麻酔ガス混合物を前記ガス混合物が高温から低温の方向へ通過するような表面温度勾配を特徴とする冷却面(36)を通過させることによって、廃棄麻酔ガス混合物を冷却する工程と;
前記廃棄麻酔ガス混合物のガス状の第1のハロカーボン成分を前記冷却面(36)の第1の部分(60、62)上に凝固する工程であって、前記ガス状の第1のハロカーボン成分は第1のハロカーボン融点を特徴とし、前記第1の部分(60、62)は前記第1のハロカーボン融点より低温の第1の温度を特徴とする、工程と;
前記廃棄麻酔ガス混合物のガス状の第2のハロカーボン成分を前記冷却面(36)の第2の部分(63、64)上に凝固する工程であって、前記ガス状の第2のハロカーボン成分は第2のハロカーボン融点を特徴とし、前記第2の部分(63、64)は前記第2のハロカーボン融点より低温で前記第1の温度よりより低温の第2の温度を特徴とする、工程と;
その後、前記冷却面(36)を加温する工程と;
前記冷却面(36)の前記第2の部分(63、64)から前記凝固した第2のハロカーボン成分を液相に融解する工程と;
前記液体の第2ハロカーボン成分を容器(24A、24B)に収集する工程と;
その後、前記冷却面(36)の前記第1の部分(60、62)から前記凝固した第1のハロカーボン成分を液相に融解する工程と;
前記液体の第1ハロカーボン成分を容器(24A、24B)に収集する工程とを備える;
方法。
【請求項18】
前記廃棄麻酔ガス混合物は少なくとも1種のガス状麻酔成分を含み;
前記廃棄麻酔ガス混合物の前記ガス状麻酔成分を前記冷却面(36)の第3の部分(62、63、64)上に凝固する工程であって、前記ガス状麻酔成分は麻酔剤融点を特徴とし、前記第3の部分(62、63、64)は前記麻酔剤融点より低温の第3の温度を特徴とする、工程と;
その後、前記冷却面(36)の第3の部分(62、63、64)から前記凝固された麻酔成分を気相に昇華し;
その後、前記ガス状の麻酔成分を容器(24C)に収集する工程とをさらに備える;
請求項17の方法。
【請求項19】
ある量の液体酸素と熱交換し、暖めることによって、前記冷却面(36)を冷却する工程と;
その後、暖められた量の液体酸素を医療施設(110)で使用する工程とをさらに備える;
請求項17の方法。
【請求項20】
医療施設からガス状の麻酔剤を大気に放出することを防止するため、廃棄麻酔ガス流れからガス状の麻酔剤を除去し分離する方法であって:
麻酔装置(12A、12B、12C)から前記廃棄麻酔ガス流れを収集する工程と;
前記受け入れた廃棄麻酔ガス流れを、少なくとも1段の圧縮段階を有するコンプレッサ(42)を用いて大気圧より高い圧力に圧縮する工程と;
前記ガス流れが高温から低温の方向へ通り過ぎるような表面温度勾配を特徴とする冷却面(136、236A、236B)を前記圧縮ガス流れを通過させて前記圧縮ガス流れを冷却する工程と;
前記圧縮ガス流れから前記ガス状の麻酔剤を凝縮する工程と;
前記圧縮ガス流れから前記凝縮した麻酔剤を分離する工程と;
前記凝縮された麻酔剤を含まない前記ガス流れを大気(46)に放出する工程とを備える;
方法。
【請求項21】
前記廃棄麻酔ガス流れを収集する前記工程が、
麻酔装置(12A、12B、12C)からチャンバ(32A、32B、32C)へ前記ガス流れを受け入れる工程と;
前記チャンバ(32A、32B、32C)に受け入れられた前記ガス流れの存在を検出する(40A、40B、40C)工程と;
前記チャンバ(32A、32B、32C)に受け入れられた前記ガス流れの前記存在に応じて、選択的に分離可能な流路(34A、34B、34C)で前記チャンバを真空マニホルドに周期的に流体結合する工程と;
前記チャンバ(32A、32B、32C)に受け入れられた前記ガス流れを前記選択的に分離可能な流路(34A、34B、34C)および前記真空マニホルド(16)によりコンプレッサ(42)に移送する工程とを備え;
前記チャンバ(32A、32B、32C)と前記選択的に分離可能な流路(34A、34B、34C)は協同して、前記廃棄麻酔流れが前記麻酔装置(12A、12B、12C)から流出していないときに大気の前記真空マニホルド(16)への取入れを少なくする;
請求項20の方法。
【請求項22】
前記圧縮ガス流れから前記ガス状の麻酔剤を凝縮する前記工程は、前記ガス状の麻酔剤が固体として凝縮する圧力と温度で行われる;
請求項20の方法。
【請求項23】
前記圧縮ガス流れから前記ガス状の麻酔剤を凝縮する前記工程は、前記ガス状の麻酔剤が固体として凝縮する圧力と温度で行われる;
請求項21の方法。
【請求項24】
前記ガス流れを、大気放出(46)する前に膨張弁(43)で膨張する工程と;
前記膨張弁(43)で前記ガス流れを膨張することにより凝縮した液化した麻酔成分をレシーバ容器(45)に収集する工程とをさらに備える;
請求項20の方法。
【請求項25】
前記ガス流れを、大気放出(46)する前に膨張弁(43)で膨張する工程と;
前記膨張弁(43)で前記ガス流れを膨張することにより凝縮した液化した麻酔成分をレシーバ容器(45)に収集する工程とをさらに備える;
請求項21の方法。
【請求項26】
医療施設からの廃棄麻酔ガスの麻酔ガス成分の大気への放出を防止するシステムであって:
麻酔装置(12A、12B、12C)から廃棄麻酔ガスを収集する廃棄麻酔ガス収集ユニット(15A、15B、15C、30A、30B、30C)と;
前記廃棄麻酔ガスを前記廃棄麻酔ガス収集ユニット(15A、15B、15C、30A、30B、30C)からコンプレッサ(42)へ導き出す真空マニホルド(16)と;
前記廃棄麻酔ガスを大気圧より高い圧力へ上昇する、少なくとも1段の圧縮段階を備えるコンプレッサ(42)と;
前記コンプレッサ(42)からの流路(139、239)へ流体結合された入口と、大気放出流路(46)と流体結合した出口を有する熱交換器/コンデンサ(22)であって、前記熱交換器/コンデンサ(22)は内部に配置された冷却コイル(136、236A、236B)をも有し、前記冷却コイル(136、236A、236B)の出口は冷媒貯留槽への流路(127、227)に流体結合し、前記冷却コイル(136、236A、236B)は冷媒源(120、220)からの流路(121、221)と流体結合する入口を有する、熱交換器/コンデンサ(22)とを備え;
前記熱交換器/コンデンサ(22)は、前記熱交換器/コンデンサ(22)内部に前記廃棄麻酔ガスから液化した麻酔成分を収集する少なくとも1つの容器(24A、24B)を有する;
システム。
【請求項27】
前記熱交換器/コンデンサ(22)の前記出口に流体結合する膨張弁(43)であって、大気放出される前記廃棄ガスの圧力を減じる膨張弁(43)と;
前記膨張弁(43)と前記大気放出流路(46)との間に流体結合するレシーバ容器(45)であって、前記廃棄ガスの前記圧力を減じることにより凝縮した液化麻酔成分を収集するレシーバ容器(45)とをさらに備える;
請求項26のシステム。
【請求項28】
前記廃棄麻酔ガス収集ユニット(15A、15B、15C、30A、30B、30C)が、
前記麻酔装置(12A、12B、12C)からの前記廃棄麻酔ガスを受け入れるチャンバ(32A、32B、32C)と;
前記チャンバ(32A、32B、32C)に受け入れた前記廃棄麻酔ガスの存在を検出する検出装置(40A、40B、40C)と;
前記チャンバ(32A、32B、32C)に受け入れた前記廃棄麻酔ガスの前記存在に応じて前記チャンバ(32A、32B、32C)を真空マニホルド(16)へ周期的に流体結合する選択的に分離可能な流路(34A、34B、34C)とを備え;
前記チャンバ(32A、32B、32C)と前記選択的に分離可能な流路(34A、34B、34C)とは協同して、前記麻酔装置(12A、12B、12C)から前記廃棄麻酔ガスが流出していないときに前記真空マニホルド(16)への大気の取入れを少なくする;
請求項26のシステム。
【請求項29】
前記熱交換器/コンデンサ(22)の前記出口に流体結合するタービン(44)であって、大気放出(46)される廃棄ガスの前記圧力を減じるタービン(44)と;
前記タービン(44)と前記大気放出流路(46)との間に流体結合するレシーバ容器(45)であって、前記廃棄ガスの前記圧力を減じることにより凝縮した液化麻酔成分を収集するレシーバ容器(45)とをさらに備える;
請求項26のシステム。
【請求項30】
医療施設からのガス状麻酔剤の大気への放出を防止するために廃棄麻酔ガスからガス状麻酔剤を除去し分離する方法であって:
麻酔装置(312、612)から廃棄麻酔ガス流れを収集する工程と;
前記ガス流れが高温から低温の方向に通過するような表面温度勾配を特徴とする冷却面(236、436A、436B、536)を前記ガス流れを通過させることにより前記ガス流れを冷却する工程であって、前記ガス流れは前記冷却面を通じて熱伝達流体と伝導的に熱交換し、前記熱伝達流体は前記ガス流れとの前記熱交換により加温され、前記熱伝達流体はその後に冷却ユニット(270、370、570、670)で冷却される、工程と;
前記ガス流れから前記ガス状の麻酔剤を凝縮する工程と;
前記ガス流れから前記凝縮した麻酔剤を分離する工程と;
前記ガス流れを前記凝縮した麻酔剤なしで大気(346、446、546、646)へ放出する工程とを備える;
方法。
【請求項31】
前記廃棄麻酔ガス流れを収集する前記工程が、
前記麻酔装置(312、612)からの前記ガス流れをチャンバ(332、632)へ受け入れる工程と;
前記チャンバ(332、632)に受け入れた前記ガス流れの存在を検出する(340、640)工程と;
前記チャンバ(332、632)に受け入れた前記ガス流れの前記存在に応じて選択的に分離可能な流路(334、634)により前記チャンバを収集取入口(316、616)へ周期的に流体結合する工程と;
前記選択的に分離可能な流路(334、634)により前記チャンバ(332、632)に受け入れた前記ガス流れを前記収集取入口(316、616)へ移送する工程とを備え;
前記チャンバ(332、632)と前記選択的に分離可能な流路(334、634)とは協同して、前記麻酔装置(312、612)から前記廃棄麻酔ガス流れが流出していないときに前記収集取入口(316、616)への大気の取入れを少なくする;
請求項30の方法。
【請求項32】
少なくとも1段の圧縮段階を有するコンプレッサ(342、642)を用いて、前記廃棄麻酔ガス流れを大気圧より高い圧力に圧縮する工程をさらに備える;
請求項30の方法。
【請求項33】
前記廃棄麻酔ガス流れから前記ガス状の麻酔剤を凝縮する前記工程は、前記ガス状の麻酔剤が固体として凝縮される圧力と温度で行われる;
請求項30の方法。
【請求項34】
前記ガス流れを、大気放出(346)の前に、タービン(344)により膨張させる工程と;
前記ガス流れを前記タービン(344)により膨張させる工程により凝縮された液化麻酔成分をレシーバ容器(345)に収集する工程とをさらに備える;
請求項32の方法。
【請求項35】
医療施設からの廃棄麻酔ガスの麻酔ガス成分の大気への放出を防止するシステムであって:
麻酔装置(312、612)から廃棄麻酔ガスを収集する廃棄麻酔ガス収集ユニット(315、330、615、630)と;
前記廃棄麻酔ガス収集ユニット(315、330、615、630)からの前記廃棄麻酔ガスを収集する収集取入口(316、616)と;
前記収集取入口(316、616)からの流路(239、339、439、539、639)と流体結合する入口と出口とを有する熱交換器/コンデンサ(222、322、422、522、622)であって、前記熱交換器/コンデンサ(222、322、422、522、622)は内部に配置された冷却コイル(236、436A、436B、536)をも有し、前記冷却コイル(236、436A、436B、536)の出口は冷却ユニット(270、370、570,670)への流路(227、327、427、527、627)に流体結合し、前記冷却コイル(236、436A、436B、536)は入口を有し、前記熱交換器/コンデンサ(222、322、422、522、622)は前記熱交換器/コンデンサ(222、322、422、522、622)内部に前記廃棄麻酔ガスから液化麻酔成分を収集する少なくとも1つの容器を有する、熱交換器/コンデンサ(222、322、422、522、622)と;
前記冷却コイル(236、436A、436B、536)の前記出口からの流路(227、327、427、527、627)と流体結合する入口と、前記冷却コイル(236、436A、436B、536)の前記入口への流路(221、321、421、521、621)と流体結合する出口とを有する冷却ユニット(270、370、570、670)であって、前記冷却コイル(236、436A、436B、536)中を流れる熱伝達流体を冷却する冷却ユニット(270、370、570、670)とを備える;
システム。
【請求項36】
前記冷却ユニット(270、370、570、670)が、
前記熱伝達流体を圧縮するコンプレッサ(272)と;
冷却剤を用いて前記圧縮された熱伝達流体を冷却する熱交換器(274)と;
前記熱伝達流体の圧力を減じる膨張弁(276)とをさらに備える;
請求項35のシステム。
【請求項37】
前記廃棄麻酔ガス収集ユニット(330、630)が、
前記麻酔装置(312、612)からの前記廃棄麻酔ガスを受け入れるチャンバ(332、632)と;
前記チャンバ(332、632)で受け入れた前記廃棄麻酔ガスの存在を検出する検出器(340、640)と、
前記チャンバ(332、632)で受け入れた前記廃棄麻酔ガスの前記存在に応じて、前記チャンバ(332、632)を収集取入口(316、616)に周期的に流体結合する選択的に分離可能な流路(334、634)とを備え;
前記チャンバ(332、632)と前記選択的に分離可能な流路(334、634)とは協同して、前記麻酔装置(312、612)から前記廃棄麻酔ガス流れが流出していないときに前記収集取入口(316、616)への大気の取入れを少なくする;
請求項35のシステム。
【請求項38】
少なくとも1段の圧縮段階を備え、前記廃棄麻酔ガスを大気圧より高い圧力に上昇するコンプレッサ(342、642)をさらに備える;
請求項35のシステム。
【請求項39】
前記熱交換器/コンデンサ(222、322、422、522、622)の前記出口と流体結合する膨張弁(643)であって、大気放出(646)される廃棄ガスの圧力を減ずる膨張弁(643)と;
前記膨張弁(643)と大気放出流路(646)との間に流体結合されるレシーバ容器(645)であって、前記廃棄ガスの前記圧力を減ずることにより凝縮された液化麻酔成分を収集するレシーバ容器(645)とをさらに備える;
請求項38のシステム。
【請求項40】
前記熱交換器/コンデンサ(222、322、422、522、622)の前記出口と流体結合するタービン(344)であって、大気放出(346)される廃棄ガスの圧力を減ずるタービン(344)と;
前記タービン(344)と大気放出流路(346)との間に流体結合されるレシーバ容器(345)であって、前記廃棄ガスの前記圧力を減ずることにより凝縮された液化麻酔成分を収集するレシーバ容器(345)とをさらに備える;
請求項38のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2008−539978(P2008−539978A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511400(P2008−511400)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/018416
【国際公開番号】WO2006/124578
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(507375247)アネステティック・ガス・リクラメイション・エルエルシー (1)