説明

黄麻を脱ゴム化する方法

次の行程、即ち、(1)未加工黄麻の梱包を解いて結束する行程、(2)その黄麻が処理されるようにペクターゼおよびラッカーゼから得られる酵素化合物の水性溶液を容器に添加する行程を含む、未加工黄麻を酵素化合物を用いて処理する工程、その容器から黄麻を取り出して所定の期間寄せ集める行程、そして最後に熱水を用いてその未加工黄麻をすすぐ行程、(3)容器に還元性漂白剤の溶液を添加して前記黄麻を漂白する行程、続いて脱色剤をそれに添加してその黄麻を処理する工程を含む未加工黄麻の還元漂白行程、最後にその黄麻を、それらの処理が行われた後、その容器から取り出す行程、(4)得られた黄麻を打ち砕き、続いてすすぎ、オイル化、脱水、乾燥を連続的に行い、それによって黄麻繊維を脱色して不純物のない黄麻繊維が得られる行程、を含む、黄麻を脱ゴム化するための方法。リグニン類が脱色および除去率の割合は、それぞれ89%および76%を越えて上昇する。この黄麻繊維の色調は白である。この黄麻繊維は、他の種類の繊維と混合したり、織り合わせたりしてもよく、得られた布はアパレル産業で表地の布として使用するのに必要な要件を満たしている。この方法は簡便であるとともに、水や他の資源を抑えており、コストも低く生産性が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維技術の領域に関する。さらに特定するとそれは、黄麻の脱ゴム化処理法に関する。このような処理法を終えて得られた黄麻繊維は、衣類の材料を製造する際に利用できる。
【背景技術】
【0002】
黄麻繊維から作られた衣料材料は、その黄麻繊維の水分吸収性、ガス透過性が良好で、静電気作用が低く、かつ型の保持性が良好であるという理由から、人々に大いに好まれている。しかしながら上記の黄麻衣料繊維は、主に亜麻、苧麻の未加工材料であるか、またはそれらの未加工材料と羊毛、化学繊維、絹、テリレンおよびウレタンの弾性繊維のような他の繊維とを混合したり、あるいは織り合わせたりすることによって製造されるような衣料材料である。脱色行程または他の行程を含むこれらの黄麻衣料材料を作成する方式には一般的に、行程時間が長いこと、労働の必要性が高いこと、さらに水や他の物資の消費が増大することに特徴がある。
【0003】
例えば苧麻を脱ゴム化する行程には、梱包を解く行程、酸洗いする行程、煮沸除去する行程、積み重ねる行程、バタバタと動かす行程、漂白行程、脱水行程、ふんわりさせる行程、オイル化行程、寄せ集め行程、オイルを除去する行程、ふんわりさせて乾燥する工程を含むさまざまな行程が含まれていてもよい。出願人は黄麻を脱ゴム化するためのこの行程を試みてはいるが、黄麻の色素の除去率がほんの50%にしかすぎないことがわかっている。即ち得られた繊維の外観の色は褐黄色であり、そのような外観色を持つ黄麻繊維を、綿の混紡物、または粘液性のゴム状物、または他の繊維とともに混合したり、織り合わせたりすることによって得られる裏地からは、漂白行程を経て明色化しても理想の未染色布を得ることができず、また明るい色の染色を行ってもうまくゆかず、結果的に暗い色になってしまう。いくつかの技術的観点からおそらく、暗い色の染色を行えばこれらの結果を覆い隠すことができるが、黄麻の除去率は悪く、暗く染色した後の製品の色調安定性も良くない。したがって黄麻の除去率は、衣料材料を製造する際に都合良く用いることができるように、黄麻にとって80%を下回らないほどの要求割合に達する必要がある。さらに黄麻に含まれるキシロゲンのような不純物は皮膚のチクチク感を引き起こす可能性がある。キシロゲンの除去率は一般に70%に達するべきであり、そうでなければ脱ゴム化作用が明らかであるような場合でさえ、黄麻を衣料材料の製造のために利用することはできない。
【0004】
衣料材料としての黄麻は元々、繊維束のざらざら性、ごわごわ性、顔料除去の困難性、紡織性能の低さ、および皮膚のチクチク感発生のおそれといった、さまざまな本質的弱点を持つ。従来黄麻は、黄麻バッグのような梱包材料を加工するために用いられてきた。黄麻にとってわずかであるがよく用いられる用途は、カーペット、ざらざらした壁紙、およびハンドバッグやクッションのような他の手工芸品の製造であった。近年では化学繊維やプラスチック製品のような代替する梱包材料の利用が増加してきたために黄麻市場の縮小が徐々に引き起こされてきており、黄麻が厳格に土壌を選択することを必要とせず、生育期間が短くてかつ収量が多いために結果的に大量の供給過剰となり、それで黄麻の価格が安くなってきている。対照的に亜麻は土壌選択性が厳格で収量が低いため、結果的に持続的な価格上昇を引き起こし、それにより亜麻織物は一般消費者に人気のないものとなっている。
【0005】
こうして中国特許公開公報第CN 1047415号には、黄麻、またはアンバリ麻のケナフを混合したヤーンの化学的変性物に用いられるある種の技術および装置が開示されており、その化学的変性の処理工程は以下の通りである。
【0006】
a.黄麻を選別した後20分から40分間、NaOH溶液中に浸漬し、続いてステアリン酸ナトリウム溶液中で20分から40分間煮沸してからそれが中性になるまで酸洗浄を行い、過酸化水素によってそれを漂白し、オイル化、および乾燥を行った後、C11すきぐしを通してそれを穴開けし、次に繊維切断装置を通過させて切断を行い、フリップコットンラックを通してフリップしてから、それをオイル化して湿度を保ち、最後にそれを梱包する。
【0007】
b.上記の変性させた黄麻またはアンバリ繊維および綿繊維を混合する。この特許の技術スキームの欠点は以下のとおり明らかである。第一番目としてこの技術は、得られる製品が明るい茶色であることから証明できるように、記載されたとおりの0.5%以下のペクチン含有量および2%以下のキシロゲンの除去率に効率的に達するとは思われない。第二番目、顔料の除去率は約60%にすぎない。NaOH溶液に浸漬し、煮沸する行程を行った場合、しつこく存在する黄麻顔料の除去率は悪く、またキシロゲン除去の効果もそれほど良くないことが実施から証明される。
【0008】
さらに、黄麻織物を製造する改良法が、アンモニアと窒素の処理、柔軟化行程、除毛行程、および防縮加工を施す行程を用いる中国特許公開公報第CN 1047415号に組み入れられている。しかしながらこの方法は、黄麻織物を製造することを主に目的としており、未加工黄麻の露出物を脱ゴム化し、かつ洗浄して固めることには関連していない。
【0009】
その上Finishing Technology No. 2, 2002 Apr.の第24巻には、酵素クラスを含む影響、および洗浄に影響を与える生物−酵素の用量や処理時間がどれほどであるかが記載されている。この文献で提供されている実験データは亜麻に対するものであり、キシロゲンの含有量の減少は7.2%から5.4%であって、ペクチン含有量の減少は3.5%から1.4%である。これらの除去率はそれぞれ25%および60%であり、それはこの文献で述べられている最良の処理効果である。しかしながらキシロゲンおよびペクチンの含有量は亜麻粗紡糸の製造の必須要件に合致できないほどの高量であって、そのため質が認められる亜麻製品を製造することができない。周知のとおり繊維の可塑性と糸を紡ぐ性能は、キシロゲン含有量に逆比例の関係にある。CN 1047415にまさに開示されているように、ペクチンおよびキシロゲンの含有量がそれぞれ0.5%と2%以下である場合にのみ、繊維の糸を紡ぐ能力が存在している。
【0010】
この報告書の概要を作成するにあたっては、以下の欠点が注目される。第1番目として、推奨された化合物酵素の最大活性が充分研究されていなかったことである。それは主に、異なる酵素が必要とする要件にしたがってpH値を有意に変化させなかったために結果的にペクチンおよびキシロゲンの除去率が低くなっている。第2番目としては、化合物酵素が亜麻の脱ゴム化行程の労働能力がますます減少してしまう酵素と溶剤が1:30という比率の条件で用いられ、水および電気のような資源、並びに添加剤などの大量の浪費を引き起こすことによって、経済効果がなくなるとともに、産業上の製造はそれに耐えることができない。第3番目としては、その引用文献は「最適温度および同様のpH値の条件では化合物酵素の中に共同作用が存在する(その文献の4頁、3.3欄の8から9行目)」と考えている。しかしながら出願人の実験は、酵素化合物によって必要とされる同様のpH値を採用し、中間の等級を選択した場合、その酵素化合物の共同作用はわずかであることを証明している。酵素の効果が無効になるように酵素化合物が互いに相互に干渉する可能性があることが当然証明されている。この引用文献で提示されている実験データは、酵素化合物の効力が充分な働きを奏していなかったことを示している。このようにこの引用文献は、選択されている酵素化合物における妥当なpH値を示さなかった。第4番目としては、その報告書の実験対象物が亜麻であることである。亜麻に含まれるキシロゲン含有量は黄麻の含有量よりも少ない(Gu Bomingらによって編集された1993年発行の黄麻の利用法、およびGu Bomingらによって編集された1987年発行の亜麻の紡績を参照するとよい)。従って私たちがこの文献で推奨される方法を用いることによって黄麻繊維を脱ゴム化し、かつキシロゲンを除去しても、その効果は不良であろう。
【0011】
結果的に国内および外外の市場において、黄麻と黄麻綿を混合した衣料材料はない。
【特許文献1】中国特許公開公報第CN 1047415号
【非特許文献1】Finishing Technology No. 2, 2002 Apr.の第24巻に
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、簡単な行程を用いかつ安い費用で黄麻繊維に含まれる顔料やキシロゲンのような不純物をうまく除去できることに特徴のある、ある種の黄麻の脱ゴム化処理法を提供することにある。
【0013】
黄麻の脱ゴム化処理法の目的は、以下の通りに達成される。
【0014】
(1)未加工黄麻の梱包を解いて結束する行程。
【0015】
(2)その黄麻が処理されるようにペクターゼおよびラッカーゼから得られる酵素化合物の水性溶液を容器に添加する行程を含む、未加工黄麻を酵素化合物を用いて処理する工程。その容器から黄麻を取り出して所定の期間寄せ集める行程。最後に熱水を用いてその未加工黄麻をすすぐ行程。
【0016】
(3)容器に還元性漂白剤の溶液を添加して前記黄麻を漂白する行程、続いて脱色剤をそれに添加してその黄麻を処理する工程を含む、未加工黄麻の還元漂白行程。最後にその黄麻は、それらの処理が行われた後、その容器から取り出される。
【0017】
(4)得られた黄麻を粉砕し、続いてすすぎ、オイル化、脱水、乾燥を連続的に行い、それによって黄麻繊維を脱色して不純物のない黄麻繊維が得られる行程。
【0018】
ペクターゼおよびラッカーゼの充分な機能についてのそれぞれの効果を得る目的で、酵素化合物による処理を行って未加工黄麻を処理する工程には、本発明の実施計画では二つの行程が含まれる。まず、未加工黄麻はpHが5.0から5.5、および温度が摂氏55度から60度の条件(そのような条件では、キシロゲンのような不純物に対するラッカーゼの除去作用が完全に機能するであろう)で処理が行われる。その後未加工黄麻は、pHが7.5から8.0、および温度が摂氏60度から70度の条件(そのような条件では、ペクチンおよびペクチンとともに存在する不純物に対するペクターゼの除去作用(例えば脱色)が完全に機能するであろう)で処理される。
【0019】
本発明の別の実施計画では、酵素化合物の水性溶液が、未加工黄麻の1重量%から2重量%のペクターゼおよびラッカーゼからなる酵素化合物と、未加工黄麻の15倍の重量の水とを含む。
【0020】
本発明の別の実施計画では、行程2で述べられた酵素化合物のペクターゼおよびラッカーゼの重量比は3:1である。
【0021】
本発明の別の実施計画では、行程2で述べられている所定の期間寄せ集める行程のための時間は10時間から14時間である。
【0022】
本発明の別の実施計画では、行程2で述べられている未加工黄麻をすすぐ行程のための熱水の温度は摂氏85度から95度である。
【0023】
本発明の別の実施計画では、行程3で述べられている漂白脱色剤の重量は、未加工黄麻の重量のそれぞれ1%から2%である。
【0024】
本発明の別の実施計画では、行程3で述べられている還元性漂白行程は、摂氏85度から95度の温度で行われる。
【0025】
本発明の別の実施計画では、行程4におけるオイル化は、全量が未加工黄麻の重量につき1%の量であって、1:1の比で含まれるアミノシリコンオイルおよびポリビニルエマルジョンと、未加工黄麻の10倍の水とから調製する行程、およびそれらを混合し、未加工黄麻繊維を浸漬時間が30分間で、温度が摂氏45度で浸漬する行程を意味する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の黄麻繊維からキシロゲンのような不純物を脱色する割合および除去率は、それぞれ上記89%および76%である。この技術で得られた黄麻の外観色は白である。得られた黄麻と綿や化学繊維のような他の繊維との混合行程および織り合わせ行程を行った後では、その繊維は衣料材料の必要条件を完全に備えているであろう。さらにこの技術は簡単な行程であるとともに、水や他の資源を抑えており、コストも低く生産性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に最良の実施の形態を示す。
【実施例1】
【0028】
(1)例えば、Jiangsu Textile Companyから入手できる未加工黄麻の梱包を解き、約0.5キログラムの小さな束に分割する。
【0029】
(2)重量が未加工黄麻の1%であって比(重量比)が3:1のペクターゼおよびラッカーゼと、未加工黄麻の15倍の重量の水とから作られる酵素化合物を入手し、それらを混合してからそれらを処理タンクに投入する。酢酸と重曹を用いてpH値を5.0と5.5の間に調節し、そして摂氏55度に加熱する。処理タンクに入れた未加工黄麻を50分間処理する。このような温度とpH値の条件下でラッカーゼ活性は充分に機能するため、キシロゲンのような不純物が除去できる。酢酸を用いてpH値を7.5と8の間に調節し、温度が摂氏60度になるまで加熱する。そのような温度とpH値の条件下でその未加工黄麻を50分間処理し続けると、ペクターゼ活性が充分に機能するため、ペクチンおよびペクチンが付着した不純物を除去できる。黄麻を取り出した後14時間、それを積み上げることによって、酵素を使用し続けることができる。最後にその黄麻を摂氏85度から95度の熱水を用いてすすぐ。上記で述べたペクターゼおよびラッカーゼは、それぞれDanmark Novozymes Corpotationによって製造されたBioprepおよびDeniliteを含んでいるとよい。
【0030】
(3)未加工黄麻の2重量%の還元性漂白剤と、未加工黄麻の15倍の重量の水とを用意し、それらを混合してからそれらを処理タンクに投入する。その処理タンクを摂氏85度に加温し、70分間保持する。未加工黄麻の1重量%の脱色剤を添加し、70分間加熱して保持してからその未加工黄麻を取り出す。上記で述べた還元性漂白剤と脱色剤には、それぞれJiangsu Suzhou Jinfang Trading Co. Ltd.によって供給されるA-QタイプとB-Wタイプが含まれる。
【0031】
(4)行程3で得られた未加工黄麻を粉砕機械に入れて粉砕し、それからそれをすすぐ。次に、Shanghai Agent of German Wacker Corporationによって販売されているPOWER-18タイプのアミノシリコンオイルと市販されているポリビニルエマルジョンとを1:1の比で、かつ未加工黄麻の1重量%の量にして未加工黄麻の5倍から10倍の重量の水とともに調製し、そしてその未加工黄麻繊維を30分間、摂氏45度の温度で浸漬することによってそれらを混合する。最後にその未加工黄麻を脱水して乾燥することによって、黄麻繊維製品を得ることができる。
【実施例2】
【0032】
(1)例えば、Jiangsu Textile Companyから入手できる未加工黄麻の梱包を解き、約0.5キログラムの小さな束に分割する。
【0033】
(2)重量が未加工黄麻の1.5%であって比(重量比)が3:1のペクターゼおよびラッカーゼと、未加工黄麻の15倍の重量の水とから作られる酵素化合物を入手し、それらを混合してからそれらを処理タンクに投入する。酢酸と重曹を用いてpH値を5.0と5.5の間に調節し、そして摂氏57.5度に加熱する。処理タンクに入れた未加工黄麻を35分間処理する。このような温度とpH値の条件下でラッカーゼ活性は充分に機能するため、キシロゲンのような不純物が除去できる。酢酸を用いてpH値を7.5と8の間に上昇させて調節し、温度が摂氏65度になるまで加熱する。そのような温度とpH値の条件下でその未加工黄麻を35分間処理し続けると、ペクターゼ活性が充分に機能するため、ペクチンおよびペクチンが付着した不純物を除去できる。黄麻を取り出した後10時間、それを積み上げることによって、酵素を使用し続けることができる。最後にその黄麻を摂氏85度から95度の熱水を用いてすすぐ。上記で述べたペクターゼおよびラッカーゼは、それぞれDanmark Novozymes Corpotationによって製造されたBioprepおよびDeniliteを含んでいるとよい。
【0034】
(3)未加工黄麻の1.5重量%の還元性漂白剤と、未加工黄麻の15倍の重量の水とを用意し、それらを混合してからそれらを処理タンクに投入する。その処理タンクを摂氏88度に加温し、60分間保持する。未加工黄麻の1.5重量%の脱色剤を添加し、50分間加熱して保持してからその未加工黄麻を取り出す。上記で述べた還元性漂白剤と脱色剤には、それぞれJiangsu Suzhou Jinfang Trading Co. Ltd.によって供給されるA-QタイプとB-Wタイプが含まれる。
【0035】
(4)行程3で得られた未加工黄麻を粉砕機械に入れて粉砕し、それからそれをすすぐ。次に、Shanghai Agent of German Wacker Corporationによって販売されているPOWER-18タイプのアミノシリコンオイルと市販されているポリビニルエマルジョンとを1:1の比で、かつ未加工黄麻の1重量%の量にして未加工黄麻の5倍から10倍の重量の水とともに調製し、そしてその未加工黄麻繊維を30分間、摂氏45度の温度で浸漬することによってそれらを混合する。最後にその未加工黄麻を脱水して乾燥することによって、黄麻繊維製品を得ることができる。
【実施例3】
【0036】
(1)例えば、Jiangsu Textile Companyから入手できる未加工黄麻の梱包を解き、約0.5キログラムの小さな束に分割する。
【0037】
(2)重量が未加工黄麻の2%であって比(重量比)が3:1のペクターゼおよびラッカーゼと、未加工黄麻の15倍の重量の水とから作られる酵素化合物を入手し、それらを混合してからそれらを処理タンクに投入する。酢酸と重曹を用いてpH値を5.0と5.5の間に調節し、そして摂氏60度に加熱する。処理タンクに入れた未加工黄麻を25分間処理する。このような温度とpH値の条件下でラッカーゼ活性は充分に機能するため、キシロゲンのような不純物が除去できる。酢酸を用いてpH値を7.5と8の間に調節し、温度が摂氏70度になるまで加熱する。そのような温度とpH値の条件下でその未加工黄麻を25分間処理し続けると、ペクターゼ活性が充分に機能するため、ペクチンおよびペクチンが付着した不純物を除去できる。黄麻を取り出した後12時間、それを積み上げることによって、酵素を使用し続けることができる。最後にその黄麻を摂氏85度から95度の熱水を用いてすすぐ。上記で述べたペクターゼおよびラッカーゼは、それぞれDanmark Novozymes Corpotationによって製造されたBioprepおよびDeniliteを含んでいるとよい。
【0038】
(3)未加工黄麻の1重量%の還元性漂白剤と、未加工黄麻の15倍の重量の水とを用意し、それらを混合してからそれらを処理タンクに投入する。その処理タンクを摂氏90度に加温し、50分間保持する。未加工黄麻の2重量%の脱色剤を添加し、30分間加熱して保持してからその未加工黄麻を取り出す。上記で述べた還元性漂白剤と脱色剤には、それぞれJiangsu Suzhou Jinfang Trading Co. Ltd.によって供給されるA-QタイプとB-Wタイプが含まれる。
【0039】
(4)行程3で得られた未加工黄麻を粉砕機械に入れて粉砕し、それからそれをすすぐ。次に、Shanghai Agent of German Wacker Corporationによって販売されているPOWER-18タイプのアミノシリコンオイルと市販されているポリビニルエマルジョンとを1:1の比で、かつ未加工黄麻の1重量%の量にして未加工黄麻の5倍から10倍の重量の水とともに調製し、そしてその未加工黄麻繊維を30分間、摂氏45度の温度で浸漬することによってそれらを混合する。最後にその未加工黄麻を脱水して乾燥することによって、黄麻繊維製品を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の上記の実施例から得られる黄麻繊維製品を検査したところ、下記の表に示されているように、顔料およびキシロゲンのような不純物について測定した除去率、それと同じく得られた黄麻繊維の色は、現存する技術よりも優れた効果を示しており、それは衣料材料の適用要件を満たしている。
【0041】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)未加工黄麻の梱包を解いて結束する行程、
(2)その黄麻が処理されるようにペクターゼおよびラッカーゼから得られる酵素化合物の水性溶液を容器に添加する行程、その容器から黄麻を取り出して所定の期間寄せ集める行程、最後に熱水を用いてその未加工黄麻をすすぐ行程を含む、未加工黄麻を酵素化合物を用いて処理する工程、
(3)容器に還元性漂白剤の溶液を添加して前記黄麻を漂白する行程を含む還元漂白行程、続いて脱色剤をそれに添加してその黄麻を処理する工程、最後にそれらの処理が行われた後、その容器から黄麻を取り出す行程、
(4)得られた黄麻を粉砕し、続いてその黄麻のすすぎ、オイル化、脱水、乾燥を連続的に行い、それによって黄麻繊維を脱色して不純物のない黄麻繊維製品を入手する行程、
を含む黄麻の脱ゴム化処理法。
【請求項2】
前記行程2における酵素化合物を用いて未加工黄麻を処理する行程が、二行程、即ちまずpHが5.0から5.5、および温度が摂氏55度から60度で未加工黄麻を処理し、その後pHが7.5から8.0、および温度が摂氏60度から70度で引き続き処理する二行程を含む、請求項1に記載されたとおりの黄麻の脱ゴム化処理法。
【請求項3】
前記行程2における酵素化合物の水性溶液が、未加工黄麻の1重量%から2重量%のペクターゼおよびラッカーゼと、未加工黄麻の15倍の重量の水とからなる、請求項1に記載されたとおりの黄麻の脱ゴム化処理法。
【請求項4】
前記行程2における酵素化合物の水性溶液に含まれるペクターゼおよびラッカーゼの重量比が3:1である、請求項3に記載されたとおりの黄麻の脱ゴム化処理法。
【請求項5】
前記行程2における所定の期間寄せ集める行程のための時間が、10時間から14時間である、請求項1または2に記載された通りの黄麻の脱ゴム化処理法。
【請求項6】
前記行程2における未加工黄麻をすすぐ行程のための熱水の温度が、摂氏85度から95度である、請求項1に記載されたとおりの黄麻の脱ゴム化処理法。
【請求項7】
前記行程3における漂白脱色剤の重量が、未加工黄麻の重量の1%から2%である、請求項1に記載されたとおりの黄麻の脱ゴム化処理法。
【請求項8】
前記行程3の処理における還元性漂白行程が、摂氏85度から95度の温度で行われる、請求項1に記載されたとおりの黄麻の脱ゴム化処理法。
【請求項9】
前記行程4におけるオイル化は、比が1:1で、かつ未加工黄麻の重量あたり1%の量のアミノシリコンオイルおよびポリビニルエマルジョンと、未加工黄麻の10倍の水とから調製する行程、およびそれらを混合し、そこで未加工黄麻繊維を摂氏45度の温度で30分間浸漬する行程を意味する、請求項1または2に記載されたとおりの黄麻の脱ゴム化処理法。

【公表番号】特表2008−514824(P2008−514824A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532746(P2007−532746)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【国際出願番号】PCT/CN2005/000649
【国際公開番号】WO2006/032181
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(507085346)▲力▼州摩▲維▼天然▲繊▼▲維▼材料有限公司 (1)
【Fターム(参考)】