説明

鼻腔内共振装置

【課題】鼻水・鼻づまり等の症状を軽減させる効果が十分に得ることができると共に、衛生的且つ簡単に使用することができる、鼻腔内共振装置を得る。
【解決手段】外鼻に当接して鼻腔内を任意の周波数及び使用者の鼻腔内に固有の共振周波数にて振動させるための振動子10を有した振動部12と、前記振動子を前記周波数にて駆動するための振動子駆動手段9と、前記振動子を介して前記共振周波数を検出するための共振周波数検出手段11と、前記振動子駆動手段と共振周波数検出手段及びこれらの手段を制御するための制御手段5並びに電源部8を有した本体部13にて構成する。また、前記振動子は、固定ベースに固着された円柱状マグネットの外周に、コイルを巻いたボビンの一端部を前記固定ベースとエッジを介して振動自在に支持し、前記ボビンの他端部を振動ベースに固着して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウスダストや花粉等によるアレルギー性鼻炎や風邪を引いた時に生ずる鼻水・鼻づまり等の症状を軽減させるため、鼻腔内を固有の共振周波数で振動させて効果を得ることができる、鼻腔内共振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生活環境の著しい変化に伴い、ハウスダスト等を原因とする通年性アレルギー性鼻炎や、スギ花粉に代表される花粉を原因とする季節性アレルギー性鼻炎が大流行している。このようなアレルギー性鼻炎や風邪を引いた時には、鼻水,鼻づまり,くしゃみ,かゆみ等が生じて不快になるため、抗ヒスタミン薬の服用やスプレー式点鼻薬の使用、さらには鼻腔洗浄を行なって対処している。
【0003】
上記抗ヒスタミン薬の服用やスプレー式点鼻薬の使用は、効果が直ぐにあらわれて症状が解消されるため常用され易く、さらには過剰に使用されることもある。しかし、前記抗ヒスタミン薬やスプレー式点鼻薬を過剰に使用し続けると各種の副作用が伴い易いという問題点があった。
【0004】
このため、薬によらないで鼻腔内の筋肉や粘膜及びツボを電気的及び機械的にマッサージすることにより鼻水・鼻づまり等の症状を軽減させようとする装置が提案されている。例えば実開昭64−932号公報の「鼻腔トレーナー」にあっては、振動発生手段を収納する本体と、該本体の先端に突出して設けられ鼻腔に挿入可能な振動管と、該振動管の根元部に設けられ、該振動管を鼻腔に挿入した時に上唇の正中及び鼻尖部に当接する面を有するツボ押圧板とからなることを特徴とした装置について記載され、特開2003−299707号公報の「マッサージ装置」にあっては、棒状のグリップと、このグリップに内蔵された振動発生器と、グリップの一端に設けられた、振動発生器による振動が伝達されるマッサージヘッドとを具えてなり、マッサージヘッドには鼻孔に挿入可能な突起部が形成されていることを特徴とした装置について記載され、特開2005−58989号公報の「口腔加振装置」にあっては、口腔内に柔軟に挿入かつ密着する超音波エネルギー放射器(オーラルホーン)を持ち、これを音響的に水等の変形自在なる液体または柔軟な媒体を介して超音波振動体(圧電子)と連結するようにしてこの音響エネルギーを口腔に伝達することを特徴とした装置について記載されている。
【0005】
【特許文献1】実開昭64−932
【特許文献2】特開2003−299707
【特許文献3】特開2005−58989
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記実開昭64−932号公報及び特開2003−299707号公報記載の装置は、振動発生手段としてモーター回転軸に偏芯錘を固定した振動モーターを使用したもので、その振動量は偏芯錘の大きさや振動モーターの回転数等に依存する単なるマッサージ器に過ぎず、効果はあまり期待できないものである。また、振動伝達手段として柔らかな樹脂体を鼻腔内に挿入する方式のため、該樹脂体が誤って鼻腔内の奥に入ってしまう危険性や、鼻腔内の粘膜を傷つけてしまう危険性があった。また、上記特開2005−58989号公報記載の装置は、振動発生手段として圧電子を1MHz以上の高周波で発振させ、オーラルホーンと呼ばれるエネルギー放射器を口腔内に密着させ、すなわち“おしゃぶり”する方式である。該装置は鼻水・鼻づまり等の症状を軽減する目的だけのものではないが、当該目的に限定して使用した場合において、衛生確保のため使用する毎にオーラルホーンを洗浄しなければならないという煩わしさがあった。
【0007】
本発明は、上記記載の各問題点を解決するために成されたものであり、鼻腔内を固有の共振周波数で振動させることにより当該鼻腔内の筋肉や粘膜に対する最大の振動効果が得られ、ハウスダストや花粉等によるアレルギー性鼻炎や風邪を引いた時に生ずる鼻水・鼻づまり等の症状を軽減させる効果が十分に得ることができると共に、前記振動を外鼻より供給することにより衛生的且つ簡単に使用することができる、鼻腔内共振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の鼻腔内共振装置にあっては、外鼻に当接して鼻腔内を任意の周波数及び使用者の鼻腔内に固有の共振周波数にて振動させるための振動子を有した振動部と、前記振動子を前記周波数にて駆動するための振動子駆動手段と、前記振動子を介して前記共振周波数を検出するための共振周波数検出手段と、前記振動子駆動手段と共振周波数検出手段及びこれらの手段を制御するための制御手段並びに電源部を有した本体部にて構成される。
【0009】
上記振動子は、固定ベースに固着された円柱状マグネットの外周に、コイルを巻いたボビンの一端部を前記固定ベースとエッジを介して振動自在に支持し、前記ボビンの他端部を振動ベースに固着して構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の鼻腔内共振装置を使用すれば、使用者の鼻腔内に固有の共振周波数で鼻腔内を振動させることにより当該鼻腔内の筋肉や粘膜に対する最大の振動効果が得られるため、ハウスダストや花粉等によるアレルギー性鼻炎や風邪を引いた時に生ずる鼻水・鼻づまり等の症状を軽減させる効果が十分に得ることができるという効果を奏する。また、前記振動を外鼻より供給することができるため、衛生的且つ簡単に使用することができるという効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態を説明する前に、本発明の原理を説明する。先ず、図5は鼻腔の形状及び位置を示した図であり、一般に“鼻”と言われるものは医学的には外鼻と言い、該外鼻20の穴が外鼻孔21である。該外鼻孔21を左右に分ける仕切りが鼻中隔22であり、前記外鼻孔21から気道24までの空洞が鼻腔である。また、図6は副鼻腔の形状及び位置を示した図であり、鼻腔を取り囲むように存在している。一番大きいものが上顎洞28で鼻翼の両側にあり、目のくぼみと鼻腔の間には篩骨洞27があり、目の上には前頭洞26があり、さらには鼻腔の奥には蝶形骨洞25がある。これら鼻腔や副鼻腔の容積は200〜400cc程度あるとされている。そこで、該鼻腔や副鼻腔の空洞(以後単に鼻腔内という)をスピーカーのバッフルと見なし、さらに鼻骨を振動板と見なし、該鼻骨を当該鼻腔内に固有の共振周波数で振動させることにより当該鼻腔内の筋肉や粘膜に対して最大の振動効果を与え、ハウスダストや花粉等によるアレルギー性鼻炎や風邪を引いた時に生ずる鼻水・鼻づまり等の症状を効果的に軽減させようとするものである。前記共振周波数は、人によりバラツキがあり各人固有のものであるが、凡そ150〜300Hzと考えられる。そのため、本発明の鼻腔内共振装置は、使用者の鼻腔内が持つ固有の共振周波数を検出する機能と、得られた共振周波数にて一定時間外鼻より鼻腔内に振動を供給して症状を軽減させる機能とを有することを特徴とする。
【0012】
次に、本発明の鼻腔内共振装置を実施するための最良の形態を図を用いて説明する。図1は本発明の鼻腔内共振装置の回路ブロック図であり、鼻腔内共振装置1は、外鼻20に当接して鼻腔内を任意の周波数及び使用者の鼻腔内に固有の共振周波数にて振動させるための振動子10を有した振動部12と、前記振動子10を前記周波数にて駆動するための振動子駆動手段と、前記振動子10を介して前記共振周波数を検出するための共振周波数検出手段と、前記振動子駆動手段と共振周波数検出手段及びこれらの手段を制御するための制御手段並びに電源部を有した本体部13にて構成される。
【0013】
上記振動子10は、図2の本発明の鼻腔内共振装置で用いる振動子の一実施例の断面図に示すように、固定ベース19に固着された円柱状マグネット17の外周に、コイル16を巻いたボビン15の一端部を前記固定ベース19とエッジ18を介して振動自在に支持し、前記ボビン15の他端部を振動ベース14に固着して構成される。また、振動部12は、外鼻20の表面より左右対称に当接させるべく左用と右用の2個の振動子10にて構成される。
【0014】
上記固定ベース19は振動部12を形成する筐体に固着されるため、コイル16に駆動電流が流れた際には振動ベース14が振動することになる。ここで、該振動ベース14を外鼻20の表面より左右対称に当接すると、前記振動が鼻骨を伝導して振動板として作用し、鼻腔を覆う前記鼻骨や筋肉及び粘膜等がバッフルとして作用して鼻腔内がスピーカーの如く動作することになる。なお、前記振動子10の構造は一実施例に過ぎず、同様の構造や機能を有するものは全て本発明の振動子10の範疇の包含するものである。
【0015】
次に、上記振動子駆動手段は、本体部13のコアであるMPU5より、任意の周波数(厳密には使用者の鼻腔内に固有の共振周波数を検出するための50〜400Hz程度の連続したスイープ周波数)と、後述の共振周波数検出手段にて得られた使用者の鼻腔内に固有の共振周波数の2種類の周波数のパルス信号を出力し、該パルス信号を正弦波信号に変換する機能と当該正弦波信号を電力増幅して振動子10を駆動するための振動子駆動回路9にて構成される。
【0016】
また、上記共振周波数検出手段は、上記振動子駆動手段に共振周波数を検出するための電流検出回路11が付加されて構成される。該共振周波数を検出するための原理であるが、上述の如く鼻腔内をスピーカーと見なした場合、共振が生じると振動速度が最速となると共にコイル16に生じる逆起電力も最大となる。これは、振動子駆動回路9より与えた駆動電流を打ち消す方向に働くことになる。すなわち、コイル16に流れる電流は減少し、見かけ上のインピーダンスが増大する。そこで、駆動電流が減少しインピーダンスが増大するピーク点を見出すことにより、共振周波数が検出されることになる。このため、前記電流検出回路11は、振動子10のコイル16に流れる駆動電流を検出してA/D変換し、デジタル信号にてMPU5に入力する機能を有し、該MPU5は上記50〜400Hz程度の連続したスイープ周波数の出力時において駆動電流が最小となる周波数を検出することにより、当該使用者の鼻腔内に固有の共振周波数を得ることができる。
【0017】
また、上記制御手段は、上述の振動子駆動手段と共振周波数検出手段を制御するため、ワンチップマイコンやFPGA等のMPU5をコアとし、該MPU5に内蔵のメモリには当該鼻腔内共振装置1の動作プログラムを蓄積し、クロック6にて動作するものである。また、該MPU5には入出力インターフェイス4を介して当該鼻腔内共振装置1の動作モードや動作時間の設定等を行なうための設定スイッチ2やモニター3を接続する。該設定スイッチ2の種類や構成及びモニター3の種類や表示内容は、鼻腔内共振装置1の仕様毎に異なる設計項目であり、一般的な電子機器と同様であるため説明は省略する。
【0018】
また、鼻腔内共振装置1はバッテリー駆動を前提としているため、電源部は、バッテリー8と、該バッテリー8より前記各種回路やMPU5及び振動子10の駆動に必要な回路電源を安定して供給するための電源制御回路7にて構成される。さらに、振動部12を予め設定した一定時間だけ駆動するため、前記クロック6を基にMPU5内にてタイマーを生成し、設定時間にタイムアップした際に振動子10への電源供給を停止するような制御も前記電源制御回路7にて行なう。
【0019】
上記のように構成した鼻腔内共振装置1を使用する場合、図3の本発明の鼻腔内共振装置の一実施例の使用時の状態図に示すように、本体部13を胸ポケット29やバッグ等に入れ、振動部12を例えばハ字形状にして外鼻20の表面より左右対称に当接保持できるような構造とし、前記本体部13と振動部12とをケーブル30で接続するようにした分離型の構造をしている。そして、本体部13にあるスイッチ(図示せず)をONにすると、前記振動部12の左右に内蔵の振動子10を駆動して1秒以内に使用者の鼻腔内に固有の共振周波数の検出を終了し、得られた共振周波数にて予め設定した一定時間だけ振動部12を駆動し、鼻腔内を共振周波数で振動することになる。
【0020】
以上のようにして鼻腔内を当該鼻腔内に固有の共振周波数で振動させることにより当該鼻腔内の筋肉や粘膜に対して最大の振動効果を与えることができるため、該筋肉や粘膜の緊張が和らぎ、ハウスダストや花粉等によるアレルギー性鼻炎や風邪を引いた時に生ずる鼻水・鼻づまり等の症状を効果的に軽減させることができることになる。
【0021】
なお、図3において鼻腔内共振装置1は本体部13と振動部12が分離した装置として示したが、図4の本発明の鼻腔内共振装置の他実施例の使用時の状態図に示すように、本体部13と振動部12が一体化した構造とし、当該鼻腔内共振装置1の本体部13を手で軽く握り、振動部12を外鼻20の表面より左右対称に当接させて使用するようにしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の鼻腔内共振装置の回路ブロック図である。
【図2】本発明の鼻腔内共振装置で用いる振動子の一実施例の断面図である。
【図3】本発明の鼻腔内共振装置の一実施例の使用時の状態図である。
【図4】本発明の鼻腔内共振装置の他実施例の使用時の状態図である。
【図5】鼻腔の形状及び位置を示した図である。
【図6】副鼻腔の形状及び位置を示した図である。
【符号の説明】
【0023】
1 鼻腔内共振装置
2 設定スイッチ
3 モニター
4 入出力インターフェイス
5 MPU
6 クロック
7 電源制御回路
8 バッテリー
9 振動子駆動回路
10 振動子
11 電流検出回路
12 振動部
13 本体部
14 振動ベース
15 コイルボビン
16 コイル
17 円柱状マグネット
18 エッジ
19 固定ベース
20 外鼻
21 外鼻孔
22 鼻中隔
23 鼻腔
24 気道
25 蝶形骨洞
26 前頭洞
27 篩骨洞
28 上顎洞
29 胸ポケット
30 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外鼻に当接して鼻腔内を任意の周波数及び使用者の鼻腔内に固有の共振周波数にて振動させるための振動子を有した振動部と、前記振動子を前記周波数にて駆動するための振動子駆動手段と、前記振動子を介して前記共振周波数を検出するための共振周波数検出手段と、前記振動子駆動手段と共振周波数検出手段及びこれらの手段を制御するための制御手段並びに電源部を有した本体部にて構成されたことを特徴とする、鼻腔内共振装置。
【請求項2】
上記振動子は、固定ベースに固着された円柱状マグネットの外周に、コイルを巻いたボビンの一端部を前記固定ベースとエッジを介して振動自在に支持し、前記ボビンの他端部を振動ベースに固着して構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の鼻腔内共振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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