説明

(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル誘導体の製造において有用なカップリング反応

本発明は、共通な構造的特徴として(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル環を含む、ARB(アンギオテンシンII受容体アンタゴニストまたはAT1受容体アンタゴニストとも呼ばれる)の製造のために使用されうる、中間体の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、共通な構造的特徴としてテトラゾール環を含有するARB(アンギオテンシンII受容体アンタゴニストまたはAT1受容体アンタゴニストとも呼ばれる)の製造のために使用されうる、中間体の製造方法に関する。ARBは例えば、高血圧ならびに関連する疾患および状態の処置のために使用されうる。
【0002】
例えば、バルサルタン(参照、EP 443983)、ロサルタン(参照、EP 253310)、カンデサルタン(参照、EP 459136)、エプロサルタン(参照、EP 403159)、イルベサルタン(参照、EP 454511)、オルメサルタン(参照、EP 503785)、およびタソサルタン(参照、EP 539086)、または、いずれの場合にも薬学的に許容されるその塩からなる群から選択されるARBを言及しうる。
【0003】
より具体的に、すべてのこれらのARBは、以下の式(A):
【化1】

の共通な構造的要素を含む。
【0004】
該式(A)の要素に対応する、式(IA)のアルデヒドの製造は、上記アンギオテンシンII受容体アンタゴニストの製造における重要なステップである。式(IA)のアルデヒドにおけるビフェニル基を形成するための、様々なアリール−アリールカップリング反応が、当分野において推奨されている。
【0005】
EP 550313は、保護された5−(2−ヨードフェニル)−2H−テトラゾールと有機亜鉛試薬またはアリールボロン酸の遷移金属触媒カップリングを含む、保護された2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−カルバルデヒドの製造を記載している。前者の場合、化学量論的量の亜鉛塩廃物の形成、および、後者の場合、アリールボロン酸製造のために必要であるいくつかの化学的ステップ、および、両方の場合において、化学量論的量のアイオダイド廃物の形成が不利点であると見なされている。
【0006】
US 5468867は、アリールハライドのアルキルリチウム試薬のような有機金属塩基での金属化、次いで、例えば、保護された5−(2−メトキシフェニル)−2H−テトラゾールとカップリングすることによる、保護された2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−カルバルデヒドの生成を公開している。この手順の不利点は、化学量論的量の反応性のハロゲン含有廃物の形成である。
【0007】
本発明の目的は、式(I)および(IC)
【化2】

〔式中、Yがテトラゾール保護基であり、R1およびR2は、互いに独立して、C−C10−アルキルを表すか、またはR1およびR2は、互いに結合してC−C10−アルキレンを形成し、そしてR3はヒドロキシル保護基を表す〕
の化合物のための新規合成法を提供する;これは、(1)上記の不利点を有さない、(2)ブレンステッド酸の存在下において容易に除去しうるようなテトラゾール保護基の使用を可能にする、(3)大過剰の試薬を必要としない、(4)高い収量が得られる、(5)廃物の発生が最小限であり、とりわけ化学量論量の反応物のもしくは環境問題となる廃物ではない、および(6)経済的に魅力的である。
【0008】
式(I)および(IC)の化合物は、例えば、国際PCT出願WO 04/026847に記載のように、式(IA)の化合物に容易に変化し得て、それゆえ、式(A)に対応する構造的特徴を有するARBの生成のための重要な中間体である。
【0009】
驚くべきことに、本発明の方法が、少なくとも上記目的に合うことを発見した。
【0010】
1つの局面において、本発明は、式(I)
【化3】

〔式中、Yはテトラゾール保護基を表し、そしてR1およびR2は、それぞれ独立してC−C10−アルキルを表すか、またはR1およびR2は互いに結合してC−C10−アルキレンを形成する。〕
の化合物の製造法であって;
(a)適当な溶媒中、式(IIa)
【化4】

〔式中、ハロは塩素、臭素またはヨウ素である。〕
の化合物を、活性形のマグネシウムと反応させること;
(b)得られる式(IIb)
【化5】

のアリールマグネシウムハライド化合物を、遷移金属触媒および金属塩添加物の触媒有効量の存在下において、式(IIc)
【化6】

〔式中、Xはフェニル環に結合しているとき、金属塩添加物の不存在下において、室温で式(IIB)のアリールマグネシウムハライド試薬によってほとんど置換されない置換基である。〕
の化合物と反応させること;そして、必要ならば、得られる式(I)の化合物を単離することを含む、方法に関する。
【0011】
他の局面において、本発明は、式(IC)
【化7】

〔式中、Yがテトラゾール保護基を表し、およびR3がヒドロキシル保護基を表す。〕
の化合物の製造法であって、
(a’)適当な溶媒中、式(IIIa)
【化8】

〔式中、ハロは塩素、臭素またはヨウ素である。〕
の化合物を、活性形のマグネシウムと反応させること;
(b’)得られる式(IIIb)
【化9】

のアリールマグネシウムハライド化合物を、遷移金属触媒および金属塩添加物の触媒有効量の存在下において、式(IIc)
【化10】

〔式中、Xはフェニル環に結合しているとき、触媒の不存在下において、室温で式(IIIB)のアリールマグネシウムハライド試薬によってほとんど置換されない置換基である。〕
の化合物と反応させること;そして、必要ならば、得られる式(IC)の化合物を単離することを含む、方法に関する。
【0012】
本発明のさらなる局面は、ステップ(a)および/または(b)、またはステップ(a’)および/または(b’)と、それぞれ式(IA)または(IB)
【化11】

の化合物の形成をもたらすための、その後の脱保護ステップ(c)を組み合わせることである。
【0013】
得られる式(IA)または(IB)化合物は、それぞれ、その後に単離され、そして上記のようにARBの製造における中間体として使用されうる。式(IB)の化合物は、当業者に既知の方法にしたがって酸化剤と処理することにより、容易に、式(IA)の化合物に変換しうることは、当業者には明白である。
【0014】
様々な上記および下記反応は、例えば、適当な溶媒または希釈剤またはその混合物の不存在下または、習慣上、存在下において行い、該反応は必要に応じて、低温、室温または高温、例えば、約−80℃から反応溶媒の沸点までの範囲の温度、好ましくは約−10℃から約140℃において、および必要ならば、密閉容器で加圧下、不活性ガス雰囲気下および/または無水条件下で行う。
【0015】
保護基、例えば、YおよびR3を導入する目的は、本発明の方法を行うために使用される条件下で、望まない反応構成成分との反応から官能基、例えば、それぞれテトラゾールおよびヒドロキシル基を保護するためである。保護基の選択は、当業者に既知であり、そして、保護する官能基の性質および反応条件に依存する。
【0016】
これらの条件に合う既知の保護基ならびにそれらの導入および除去は、例えば、McOmie, “Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, London, NY (1973);およびGreene and Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, John Wiley and Sons, Inc., NY (1999)に記載されている。
【0017】
テトラゾール保護基(Y)は、例えば、tert−ブチルのような、tert−C−C−アルキル;C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシから選択される1個、2個または3個の置換基で置換されたメチル、例えば、1−エトキシエチル、1−メトキシ−1−メチルエチル;2−テトラヒドロピラニル;2−テトラヒドロフラニル;ベンジルまたはベンズヒドリルまたはトリチルのようなフェニルによってモノ−、ジまたはトリ置換されたC−C−アルキル(ここで、該フェニル環は、非置換であるか、または、例えば、tert−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイルオキシから選択される1個またはそれ以上、例えば2個または3個の置換基で置換されている);ピペロニル;1−メチル−1−フェニルエチル;フルオレニル;メチルチオメチル;トリ−C−C−アルキル−シリル、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたはtert−ブチル−ジメチルシリルまたは、ジ−C−C−アルキル−フェニル−シリル、例えば、ジメチル−フェニルシリルのようなシリル;C−C−アルキル−スルホニル;フェニルスルホニルのようなアリールスルホニル(ここで、該フェニル環は非置換であるか、または、例えば、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイル−オキシからなる群から選択される1個またはそれ以上、例えば2個または3個の置換基によって置換されている);アセチルまたはバレロイルのような、C−C−アルカノイル;ならびにC−C−アルコキシ−カルボニル、例えば、メトキシ−、エトキシ−またはtert−ブチルオキシ−カルボニルのようなエステル化カルボキシから選択される。同様に、テトラゾール保護基(Y)はまた、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の、例えば、Li(I)、Na(I)、K(I)、Rb(I)、Cs(I)、Mg(II)、Ca(II)およびSr(II)のカチオンでありうる。
【0018】
好ましい保護基Yの例は、tert−ブチル、ベンジル、p−メトキシベンジル、3,4ジメトキシベンジル、1−メチル−1−フェニルエチル、トリフェニルメチル、(p−メトキシフェニル)−ジフェニルメチル、ベンジルオキシメチル、メトキシメチル、エトキシメチル、1−ブトキシエチル、1−エトキシエチル、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、1−メトキシ−1−メチルエチル、1−メトキシシクロヘキシル、1−エトキシシクロヘキシル、トリメチルシリルおよびトリエチルシリルである。
【0019】
特に、好ましい保護基Yは、1−ブトキシエチル、1−エトキシエチル、2−テトラヒドロピラニルおよび2−テトラヒドロフラニルである。
【0020】
ヒドロキシル保護基(R3)は、例えば、tert−ブチルのような、tert−C−C−アルキル;C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシからなる群から選択される1個、2個または3個の置換基によって置換されたメチル、例えば、1−エトキシエチル、1−メトキシ−1−メチルエチル;2−テトラヒドロピラニル;2−テトラヒドロフラニル;ベンジルまたはベンズヒドリルまたはトリチルのようなフェニルによってモノ−、ジまたはトリ置換されたC−C−アルキル(ここで、該フェニル環は、非置換であるか、または、例えば、tert−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイルオキシからなる群から選択される1個またはそれ以上、例えば2個または3個の置換基で置換されている);ピペロニル;1−メチル−1−フェニルエチル;フルオレニル;メチルチオメチル;トリ−C−C−アルキル−シリル、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリルまたはtert−ブチル−ジメチルシリルまたは、ジ−C−C−アルキル−フェニル−シリル、例えば、ジメチル−フェニルシリルのようなシリル;2,2−ジメチルプロパノイル(すなわちピバロイル)ならびにtert−ブチルオキシ−カルボニルおよびベンジルオキシ−カルボニルのようなエステル化カルボキシからなる群から選択される。
【0021】
好ましい保護基R3の例は、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、1ブトキシエチルおよび1−エトキシエチルである。
【0022】
上記および下記で使用する一般的用語は、他に特記しない限り、下記の意味を有する。
【0023】
−C10−アルキルは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルまたは対応するペンチル、ヘキシルまたはヘプチル残基のような、C−C−アルキルである。C−C−アルキル、とりわけメチルまたはエチルが好ましい。
【0024】
−C10−アルキレンは、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、1,2−ジメチルエチレン、2,2−ジメチルプロピレンまたは1,4−ジメチル−1,4−ブチレンのような、C−C−アルキレンである。C−C−アルキレン、とりわけ、エチレンまたはプロピレンが好ましい。
【0025】
ハロは、特に塩素および臭素を表す。
【0026】
−C−アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシまたは対応するペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、またはヘプチルオキシ残基である。C−C−アルコキシが好ましい。とりわけ、好ましくはメトキシ、エトキシおよびブトキシである。
【0027】
−C−アルカノイルは、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレロイル、またはピバロイルのような、C−C−アルカノイルである。とりわけ、好ましくはアセチルである。
【0028】
ステップ(a)および(a’):
活性形のマグネシウムは、例えば、このような変換に通常使用されるタイプの削り屑状マグネシウム、マグネシウムチップ、マグネシウム粉末または棒状マグネシウムである。
【0029】
さらに、活性形のマグネシウムは、触媒量のヨウ素、臭素、1,2−ジブロモエタン、ヒドリド試薬または製造が意図されるアリールマグネシウムハライド試薬によって活性化されたマグネシウムである。
【0030】
適当なマグネシウムの量は、使用する式(IIa)または(IIIa)の化合物の量に対して、1.0から1.8モル当量であり、好ましくは1.0から1.2モル当量である。
【0031】
該反応は、例えば、適当な不活性溶媒または溶媒の混合物中で行う。不活性溶媒は、慣習的に、式(IIa)または(IIIa)の対応する出発物質と反応しない。適当な溶媒は、エチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ブチルエーテル、1,2ジメトキシエタンまたは1,2ジエトキシエタンのような、エーテル溶媒、または、これら溶媒の2種以上の混合物、または、これらの溶媒の1個とトルエンまたはキシレンのような芳香族性溶媒の混合物である。好ましい溶媒は、テトラヒドロフランである。
【0032】
適当な反応温度は、好ましくは0℃から75℃の間であり、より好ましくは10℃から35℃の間である。
【0033】
ステップ(b)および(b’):
ステップ(b)または(b’)のカップリングは、遷移金属触媒の存在下において行う。適当な遷移金属は、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、マンガンまたは銅である。有用な遷移金属塩は、例えば、ニッケル(II)、パラジウム(II)、白金(II)、コバルト(II)、マンガン(II)、銅(I)または銅(II)塩、例えば塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物、酸化物、酢酸塩、ヒドロキシ酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アセチルアセトナト、硝酸塩、シアン化物、硫酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩である。
【0034】
適当な遷移金属触媒は、好ましくは、遷移金属または遷移金属塩と1個、2個または4個までの配位結合している配位子との錯体である。該遷移金属触媒は、予備形成するかまたは反応混合物中、インシツで産生しうる。適当な遷移金属触媒はまた、その元素の形の錯体ではない遷移金属または錯体ではない遷移金属塩である。該錯体ではない遷移金属またはその塩は、炭素、シリカ、アルミナまたは珪藻土上に支持されていてよい。
【0035】
適当な配位子は、1,5−シクロオクタジエンのようなオレフィン;トリエチルアミンおよびエチル−ジイソプロピルアミンのようなトリ(C−C−アルキル)アミン;N−メチルピペリジンのようなN−C−C−アルキル−ピペリジン;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン;ピリジン、N−メチルイミダゾール、2,2’−ジピリジル、1,10−フェナントロリンのようなヘテロ環式アミンおよびジアミン(ここで、該環は、非置換であるか、または1個またはそれ以上、例えば2個または3個の、C−C−アルキル−残基で、例えば、コリジンにおけるように置換されている);1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジ(エチレングリコール)ジメチルエーテルおよび1,2−ジメトキシベンゼンのような、2個以上、例えば3個または4個の酸素原子を含有する線状および環状エーテルである。
【0036】
特に、適当な配位子は1個または2個の3価燐原子を含有するもの、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(オルト−トリル)ホスフィンおよびトリ(パラ−トリル)ホスフィン、トリメチルホスフィンのようなトリ(C−C−アルキル)ホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(1,1−ジメチルエチル)ホスフィン、トリシクロペンチルホスフィンおよびトリシクロヘキシルホスフィンのようなトリ(C−C−シクロアルキル)ホスフィン、トリメチルホスファイトのようなトリ(C−C−アルキル)ホスファイト、トリエチルホスファイトおよびトリ(1−メチルエチル)ホスファイト、トリシクロペンチルホスファイトおよびトリシクロヘキシルホスファイトのようなトリ(C−C−シクロアルキル)ホスファイト、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(すなわちdppe)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(すなわちdppp)、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(すなわちdppb)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(すなわちdppf)、1,1’−ビス(ジ−[2−プロピル]−ホスフィノ)−フェロセン、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチル−ホスフィノ)フェロセン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)−ベンゼン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル(すなわちBIPHEP)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(すなわちBINAP)、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル(すなわちDPEphos)、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(すなわちXANTPHOS)である。
【0037】
遷移金属塩は、上記で特定した遷移金属から誘導される。
【0038】
好ましい遷移金属塩は、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)およびアセチルアセトナトニッケル(II)である。特に好ましい遷移金属塩は、塩化ニッケル(II)である。
【0039】
好ましい配位子は、トリフェニルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(すなわちdppe)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(すなわちdppp)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(すなわちdppf)である。特に好ましい配位子は、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(すなわちdppe)である。
【0040】
好ましい触媒は、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]−ニッケル(II)である。特に好ましい触媒は、ジクロロ[1,2ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]−ニッケル(II)である。
【0041】
使用するニッケル触媒の量は、好ましくは、式(IIc)の出発物質のN−保護されたテトラゾールに対して0.05から2モル%の間、好ましくは0.2から1.5モル%である。
【0042】
同様に、好ましい遷移金属塩は、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)および酢酸パラジウム(II)である。特に好ましい遷移金属塩は、塩化パラジウム(II)である。
【0043】
好ましい配位子は、トリフェニルホスフィン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(すなわちdppp)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(すなわちdppf)である。特に好ましい配位子は、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(すなわちdppf)である。
【0044】
好ましいパラジウム触媒は、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II)およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]パラジウム(II)またはそのジクロロメタン付加物である。特に好ましいパラジウム触媒は、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)、またはそのジクロロメタン付加物である。
【0045】
使用するパラジウム触媒の量は、好ましくは出発物質(IIc)のN−保護されたテトラゾールに対して0.01から1から%の間であり、好ましくは0.05から0.3から%の間である。
【0046】
ステップ(b)または(b’)におけるカップリング反応は、金属塩添加物を含みうる。触媒量で使用される、金属塩添加物の役割は、カップリング反応を促進することである。アリール−亜鉛試薬でのカップリングと比べて、触媒量でのこのような金属塩添加物の使用は、形成される廃物が少ない。加えて、金属塩添加物の存在下において、出発物質(IIc)の高い変換が達成できる。有用な金属塩添加物は、銅(I)、銅(II)、亜鉛(II)、銀(I)、カドミウム(II)、水銀(II)、アルミニウム(III)、ガリウム(III)、インジウム(III)、スズ(IV)、チタン(IV)およびジルコニウム(IV)塩である。そのような塩の例は、対応する塩化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩、水酸化物、酸化物、酢酸塩およびプロピオン酸塩のようなC−C−アルカン酸塩、メトキシドおよびエトキシドのようなC−C−アルコキシド、トリフルオロ酢酸塩、アセチル酢酸塩、硝酸塩、シアン化物、硫酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩またはパラ−トルエンスルホン酸塩である。
【0047】
好ましい金属塩添加物は、塩化亜鉛(II)および臭化亜鉛(II)のような亜鉛(II)塩である。特に好ましい金属塩添加物は、塩化亜鉛(II)である。
【0048】
使用する金属塩添加物の量は、好ましくは式(IIc)の出発物質のN−保護されたテトラゾールに対して0.1から8モル%の間であり、好ましくは0.5から6モル%の間である。
【0049】
置換基Xは、遷移金属触媒の不存在下、室温で、式(IIb)または(IIIb)のアリールマグネシウムハライド試薬によってほとんど置換されない置換基である。特に、Xは、例えば、塩素または臭素である。好ましい置換基Xは塩素である。
【0050】
Xが塩素である場合、好ましい触媒の遷移金属はニッケルである。
【0051】
Xが臭素である場合、好ましい触媒の遷移金属はパラジウムである。
【0052】
触媒の選択と無関係に、反応は、例えば、適当な不活性溶媒または溶媒の混合物中で行う。不活性溶媒は慣習的に式(IIb)、(IIIb)および(IIc)の対応する出発物質と反応しない。
【0053】
該反応における適当な溶媒は、エチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ブチルエーテル、1,2ジメトキシエタンまたは1,2ジエトキシエタンのようなエーテル溶媒;1−メチル−2−ピロリジノン(すなわちNMP)および1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジンオン(すなわちDMPU)のような両極性非プロトン性溶媒;トルエンまたはキシレンのような芳香族性溶媒;または上記の群から選択される2種以上の溶媒の混合物である。好ましい溶媒は、テトラヒドロフランである。
【0054】
該反応は、好ましくは−10℃から60℃の間の温度で、好ましくは10℃から35℃の間の温度で行う。
【0055】
上記記載のように、本発明は、下記の反応スキーム
【化12】

により例示される、錯体、錯体ではないまたは支持されたニッケル、パラジウム、白金、コバルト、マンガンまたは銅金属または対応するその塩である遷移金属触媒の、および所望により触媒量銅(I)、銅(II)、亜鉛(II)、銀(I)、カドミウム(II)、水銀(II)、アルミニウム(III)、ガリウム(III)、インジウム(III)、スズ(IV)、チタン(IV)またはジルコニウム(IV)塩のような金属塩添加物の存在下、不活性溶媒または不活性溶媒の混合物の存在下において、N−保護フェニルテトラゾール(X=ClまたはBr;Y=テトラゾール保護基)とアリールマグネシウムハライド(ハロ=Cl、Br、I;R1、R2=C−C10−アルキルまたは結合してC−C10−アルキレン)とのカップリングを含む、保護された式(I)の2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−カルバルデヒドの製造方法を提供する。
【0056】
同様に、本発明は、下記の反応スキーム
【化13】

により例示される、錯体、錯体ではないまたは支持されたニッケル、パラジウム、白金、コバルト、マンガンまたは銅金属または対応するその塩である遷移金属触媒の、および所望により触媒量の銅(I)、銅(II)、亜鉛(II)、銀(I)、カドミウム(II)、水銀(II)、アルミニウム(III)、ガリウム(III)、インジウム(III)、スズ(IV)、チタン(IV)またはジルコニウム(IV)塩のような金属塩添加物の存在下において、不活性溶媒または不活性溶媒の混合物の存在下において、N−保護フェニルテトラゾール(X=ClまたはBr;Y=テトラゾール保護基)とアリールマグネシウムハライド(ハロは、=Cl、Br、I;R3=ヒドロキシル保護基)とのカップリングを含む、保護された式(IC)のアルコールの製造方法を提供する。
【0057】
好ましいハロは、例えば、Brである。
好ましいR1およびR2は、例えば、メチルである。
好ましいR3は、例えば、2−テトラヒドロピラニルである。
好ましいXは、例えば、Clである。
【0058】
Xが塩素の場合、好ましい遷移金属触媒は、ニッケル(0)またはニッケル(II)錯体、例えば、3価燐を含有する少なくとも1つの有機燐化合物により配位結合されたニッケル(II)塩の錯体である。2個の有機燐系配位子とのニッケル(II)錯体が、好ましい。ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)(すなわちNiCl(dppe))のような、2個の3価燐原子を含有する有機燐系配位子とのニッケル(II)錯体が特に好ましい。
好ましい金属塩添加物は、例えば、ZnClおよびZnBRのような亜鉛(II)塩である。
好ましい溶媒は、エーテル溶媒、特にテトラヒドロフランである。
【0059】
Xが塩素の場合、式(I)の化合物は、上記方法において金属塩添加物(例えばZnCl)なしに、すなわち、ニッケル触媒単独でのカップリング反応の触媒により、製造しうる。
【0060】
Xが臭素の場合、好ましい遷移金属触媒は、パラジウム錯体、例えば、3価燐を含有する少なくとも1つの有機燐系化合物とパラジウム(0)との錯体またはパラジウム(II)塩との錯体である。2個の有機燐系配位子とのパラジウム(II)錯体が、好ましい。ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(すなわちPdCl(dppf))またはそのジクロロメタン付加物のような、2個の3価燐原子を含有する有機燐系配位子とのパラジウム(II)錯体が、特に好ましい。
好ましい金属塩添加物は、例えば、ZnClおよびZnBrのような亜鉛(II)塩である。
【0061】
本発明の変形において、本発明の別の態様は、式(I)
【化14】

〔式中、Yはテトラゾール保護基を表し、そしてR1およびR2は、それぞれ独立してC−C10−アルキルを表すか、またはR1およびR2は互いに結合してC−C10−アルキレンを形成する。〕
の化合物の製造法であって;
(a)適当な溶媒中、式(IIa)
【化15】

〔式中、ハロは塩素、臭素またはヨウ素である。〕
の化合物を、活性形のマグネシウムと反応させること;
(b)得られる式(IIb)
【化16】

のアリールマグネシウムハライド化合物を、遷移金属触媒の存在下において、式(IIc)
【化17】

〔式中、Xは塩素である。〕
の化合物と金属塩添加物の不存在下において反応させること;そして、必要ならば、得られる式(I)の化合物を単離することを含む、方法である。
【0062】
さらに本発明の別の変形は、式(I)
【化18】

〔式中、Yがテトラゾール保護基を表し、およびR3がヒドロキシル保護基を表す。〕
の化合物の製造法であって;
(a’)適当な溶媒中、式(IIIa)
【化19】

〔式中、ハロは塩素、臭素またはヨウ素である。〕
の化合物を、活性形のマグネシウムと反応させること;
(b’)得られる式(IIIb)
【化20】

のアリールマグネシウムハライド化合物を、遷移金属触媒の存在下において、式(IIc)
【化21】

〔式中、Xが塩素である。〕
の化合物と金属塩添加物の不存在下において反応させること;そして、必要ならば、得られる式(IC)の化合物を単離することを含む、方法である。
【0063】
本発明のさらなる態様は、それぞれ、反応ステップ(b)または(b’)、すなわち、それぞれ、式(IIb)または(IIIb)の化合物と、Xが塩素である式(IIc)の化合物との特異的反応である。本反応において、驚くべきことに、金属塩添加物の触媒的に有効量の添加の必要性なしに、それぞれ、式(I)または(IC)の化合物がもたらされる。
【0064】
遷移金属塩および金属塩添加物の両方を省略する場合、Xが塩素である式(IIc)の出発物質から出発して、それぞれ、かなりの量の式(I)または(IC)の化合物は形成されない。
【0065】
単離ステップ:
式(I)または(IC)の化合物の単離は、得られる式(I)または(IC)の化合物の反応混合物からの結晶化による、所望によりまたは必要に応じて、後処理後に、とりわけ抽出による、または反応混合物のクロマトグラフィーによるような習慣的な単離方法または任意の組み合わせた方法にしたがって行う。
【0066】
ステップ(c):
この目的のために、それぞれ、ステップ(b)または(b’)で得られる式(I)または(IC)の化合物の保護基を、連続的にまたは1段階で、加水分解条件下、好ましくは、ブレンステッド酸の存在下において、除去する。
【0067】
ステップ(c)は、例えば、式(I)または(IC)の化合物を水または水と適当な有機溶媒の混合物に溶解させ、その後に酸で、好ましくは高温で処理することにより行う。
【0068】
適当な有機溶媒は、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ブチルエーテルのようなエーテル、アセトニトリルのようなニトリル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのようなアルコール、イソプロピルアセテート、トルエン、キシレン、酢酸またはギ酸である。好ましい溶媒は、メタノールおよびエタノールである。
【0069】
適当な酸は、硫酸、塩酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パラ−トルエンスルホン酸、安息香酸、酢酸、ギ酸ならびにポリマー支持されたブレンステッド酸(例えば酸イオン交換樹脂)のようなブレンステッド酸である。好ましい酸は、硫酸および塩酸である。
【0070】
使用する酸の量は、好ましくは式(I)または(IC)の化合物に対して0.05から2.0当量の間、より好ましくは0.1から1.2当量の間である。
【0071】
該反応は、0℃から溶媒の沸点の間の温度で、好ましくは25℃から70℃で行う。
【0072】
得られる式(IA)または(IB)の化合物の単離は、式(IA)または(IB)の化合物を反応混合物から結晶化させることによる、そして所望によりまたは必要に応じて、後処理後に、とりわけ抽出によるまたは反応混合物のクロマトグラフィーによるような習慣的な単離方法またはそれらの任意の組み合わせた方法にしたがって行う。例えば、生成物の結晶化は、有機溶媒のすべてまたは一部を留去し、水を添加し、混合物を冷却することによりまたはこれらの手段の組み合わせにより成し遂げる。
【0073】
いくつかの式(IIa)および(IIIa)の出発物質は、当業者に既知であり、そして当業者に既知の方法にしたがって製造できる。例えば、式(IIa)の化合物は、アルコールまたはジオールの存在下において、4−ハロベンズアルデヒドの慣習的酸触媒アセタール化により得られうる。例えば、ハロが臭素であり、そしてR1およびR2がメチルである式(IIa)の化合物の製造は、Journal of Organic Chemistry 1991, 56, 4280に記載されている。R1およびR2がエチルである対応する化合物は、トリエチルオルトギ酸塩および酸触媒の存在下においてエタノール中で製造されうる。式(IIIa)の化合物は、例えば、4−ハロベンジルアルコールと3,4−ジヒドロ−2H−ピランのような適当なアルキル化剤との慣習的酸触媒反応により生成されうる。例えば、ハロが臭素、およびR3がテトラヒドロピラン−2−イルである式(IIIa)の化合物の生成は、Tetrahedron 1983, 39, 2531に記載されている。
【0074】
異なる保護基Yを有する、いくつかの式(IIc)の出発物質は、当業者に既知である。いくつかの例の製造は、EP 788487に記載されている。
【0075】
以下の実施例は、上記の本発明を説明する;しかしながら、それらは、その範囲を、例えば、具体的反応条件に、いかなる方法でも限定する意図はない。
【実施例】
【0076】
実施例1
5−(4’−[1,3]ジオキサン−2−イル−ビフェニル−2−イル)−2−(1−メチル−1−フェニル−エチル)−2H−テトラゾールの製造
【化22】

削り屑状マグネシウム(0.882g)に、無水条件下、無水テトラヒドロフラン中(33mL)中の2−(4−ブロモ−フェニル)−[1,3]ジオキサン溶液(8.02g;33mmol)の12mLを加える。該混合物を約50℃に温め、5滴の1,2−ジブロモエタンを加える。反応開始後、混合物を還流するまで温め、そして2−(4−ブロモ−フェニル)−[1,3]ジオキサンの溶液の残りを40分にわたって加える。得られる混合物をさらに1時間、60℃で撹拌し、そして最後に室温に冷却させる。過剰な削り屑状マグネシウムを超える溶液中の4−([1,3]ジオキサン−2−イル)フェニルマグネシウムブロマイドの濃度は、滴定によると0.50Mである。
【0077】
別のフラスコで、tert−ブチルメチルエーテル(3mL)中にジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)(0.022g;0.04mmol)を懸濁し、そして、約0℃に冷却し、その後テトラヒドロフラン中0.5Mの塩化亜鉛溶液(0.40mL;0.20mmol)およびtert−ブチルメチルエーテル(1.2mL)中の5−(2−クロロ−フェニル)−2−(1−メチル−1−フェニル−エチル)−2H−テトラゾール(1.20g;4.0mmol)溶液を加える。激しく撹拌している得られる懸濁液に約0℃で、上記の0.5M 4−([1,3]ジオキサン−2−イル)フェニルマグネシウムブロマイド溶液(4.8mmol)の9.6mLを1時間にわたり加える。得られる暗褐色溶液を温め、そしてさらに室温で20時間撹拌する。混合物を約0℃に冷却し、10mL、3.8%塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、そして酢酸エチル(25mL)で希釈する。水性相を分離し、酢酸エチル(25mL)で抽出する。合わせた有機相を、0.5M水酸化ナトリウム水溶液(10mL)および10%塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄する。合わせた有機相を、真空蒸発させる。得られる薄緑色固体の少量の酢酸エチル中の溶液を、濾過しそして蒸発させる。得られる薄緑色固体を、tert−ブチルメチルエーテルおよびトルエンの1:10混合物で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色結晶として5−(4’−[1,3]ジオキサン−2−イル−ビフェニル−2−イル)−2−(1−メチル−1−フェニル−エチル)−2H−テトラゾールを得る。
1H-NMR (400 MHz, d6-DMSO): 1.47-1.52 (m, 1 H), 2.01 (s, 6 H), 2.02-2.07 (m, 1 H), 3.96-4.02 (m, 2 H), 4.17-4.21 (m, 2 H), 5.55 (s, 1 H), 6.95-6.98 (m, 2 H), 7.10-7.13 (m, 2 H), 7.32-7.39 (m, 5 H), 7.51-7.53 (m, 1 H), 7.56-7.61 (m, 1 H), 7.65-7.69 (m, 1 H), 7.78-7.80 (m, 1 H).
融点の範囲: 102-106℃.
【0078】
実施例2
5−(4’−ジエトキシメチル−ビフェニル−2−イル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−2H−テトラゾールの製造
【化23】

削り屑状マグネシウム(2.92g)に、無水テトラヒドロフラン(80mL)中の1−ブロモ−4−(ジエトキシメチル)ベンゼン(25.9g;100mmol)溶液の1/5を無水条件下で加える。混合物を40℃に温め、そして1,2−ジブロモエタン(0.09mL;1.0mmol)を加える。反応開始後、1−ブロモ−4−(ジエトキシメチル)ベンゼン溶液の残りを、1時間にわたり加える。得られる混合物を、さらに40℃で2時間そして室温で30分間撹拌し、そして最後に無水テトラヒドロフラン(25mL)を加え希釈する。過剰な削り屑状マグネシウムを超える溶液中の4−(ジエトキシメチル)フェニル−マグネシウムブロマイドの濃度は、滴定によると0.46Mである。
【0079】
別のフラスコで、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)(0.027g;0.05mmol)をtert−ブチルメチルエーテル(3.8mL)中に懸濁し、そして約0℃に冷却し、その後テトラヒドロフラン中0.5Mの塩化亜鉛溶液(0.50mL;0.25mmol)、ならびにtert−ブチルメチルエーテル(1.3mL)中の5−(2−クロロフェニル)−2−(テトラヒドロピラン−2−イル)−2H−テトラゾールおよび5−(2−クロロフェニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−テトラゾール(1.32g;5.0mmol)の混合物の溶液を加える。激しく撹拌している得られる懸濁液に、約0℃で1時間にわたり、上記の0.46M 4−(ジエトキシメチル)フェニルマグネシウムブロマイド溶液(6.0mmol)の13mLを加える。得られる黒色−黄色溶液を、約0℃で5時間撹拌し、温め、そして、さらに室温で19時間撹拌する。混合物を、約0℃に冷却し、そして7.5%塩化アンモニウム水溶液(10mL)でクエンチする。水性相を分離し、そして酢酸エチル(25mL)で抽出する。合わせた有機相を水(10mL)、7.5%炭酸ナトリウム水溶液(10mL)および10%塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄する。合わせた有機相を真空蒸発させる。得られる褐色−黄色油の少量の酢酸エチル中の溶液を、濾過し蒸発させる。得られる油(2.68g)を、酢酸エチルおよびヘキサンの1:4混合物(0.2容量−%トリエチルアミンの存在下において)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色油として、主要な異性体(N2−異性体)5−(4’−ジエトキシメチル−ビフェニル−2−イル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−2H−テトラゾールを得る。
N2−異性体の1H-NMR (400 MHz, CDCl3): 1.24 (t, J = 7.2 Hz, 6 H), 1.60-1.67 (m, 3 H), 1.86-2.03 (m, 2 H), 2.11-2.17 (m, 1 H), 3.50-3.73 (m, 6 H), 5.49 (s, 1 H), 5.97-5.99 (m, 1 H), 7.17-7.20 (m, 2 H), 7.37-7.39 (m, 2 H), 7.43-7.56 (m, 3 H), 7.90-7.92 (m, 1 H).
【0080】
実施例3
5−(4’−[1,3]ジオキサン−2−イル−ビフェニル−2−イル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−2H−テトラゾールおよび5−(4’−[1,3]ジオキサン−2−イル−ビフェニル−2−イル)−1−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−1H−テトラゾールの製造
【化24】

無水テトラヒドロフラン中(20mL)の削り屑状マグネシウム(2.68g)の懸濁液を、10℃に冷却し、そして1,2−ジブロモエタンを5滴加える。無水テトラヒドロフラン中(80mL)、2−(4−ブロモ−フェニル)−[1,3]ジオキサン溶液(24.3g;100mmol)の2mLを、激しい撹拌下に10℃で加える。反応開始後、2−(4−ブロモ−フェニル)−[1,3]ジオキサン溶液の残りを、90分にわたり加える。得られる混合物を、さらに約16℃で2時間、そして25℃で75分間撹拌する。過剰な削り屑状マグネシウム化合物を超える溶液中の4([1,3]ジオキサン−2−イル)フェニルマグネシウムブロマイドの濃度は、約0.90M.である。別のフラスコで、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)(0.054g;0.10mmol)を、1,2−ジメトキシエタン(7.7mL)中に懸濁し、そして約0℃に冷却し、その後テトラヒドロフラン中0.5Mの塩化亜鉛溶液(1.0mL;0.50mmol)、および1,2−ジメトキシエタン中(2.7mL)の5−(2−クロロフェニル)−2−(テトラヒドロピラン−2−イル)−2H−テトラゾールおよび5−(2−クロロフェニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−テトラゾール(2.65g;10.0mmol)の混合物の溶液を加える。激しく撹拌している得られる懸濁液に、1時間にわたり、約0℃で上記の0.90M 4([1,3]ジオキサン−2−イル)フェニルマグネシウムブロマイド溶液(12.0mmol)の13.4mLを加える。得られる褐色−黄色溶液を、温め、そしてさらに3時間、室温で撹拌する。混合物を約0℃に冷却し、そして7.5%塩化アンモニウム水溶液(20mL)でクエンチする。水性相を分離し、そして酢酸エチル(50mL)で抽出する。合わせた有機相を、水(20mL)、7.5%炭酸ナトリウム水溶液(20mL)および水(20mL)で洗浄する。合わせた有機相を、真空蒸発させる。得られる油の少量の酢酸エチル中の溶液を濾過しそして蒸発させる。得られる油を、酢酸エチルおよびヘキサン1:2混合物で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色油として、主要な異性体(N2−異性体)5−(4’−[1,3]ジオキサン−2−イル−ビフェニル−2−イル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−2H−テトラゾールを、そして、無色結晶として、少量の異性体(N1−異性体)5−(4’−[1,3]ジオキサン−2−イル−ビフェニル−2−イル)−1−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−1H−テトラゾールを得る。
N2−異性体の1H-NMR (400 MHz, CDCl3): 1.42-1.47 (m, 1 H), 1.57-1.65 (m, 3 H), 1.79-1.87 (m, 1 H), 1.96-2.03 (m, 1 H), 2.10-2.27 (m, 2 H), 3.60-3.69 (m, 2 H), 3.95-4.01 (m, 2 H), 4.23-4.27 (m, 2 H), 5.48 (s, 1 H), 5.98-6.00 (m, 1 H), 7.18-7.21 (m, 2 H), 7.38-7.42 (m, 3 H), 7.46-7.54 (m, 2 H), 7.89-7.91 (m, 1 H).
N1−異性体の1H-NMR (400 MHz, CDCl3): 0.98-1.02 (m, 1 H), 1.31-1.36 (m, 1 H), 1.42-1.47 (m, 2 H), 1.51-1.61 (m, 1 H), 1.87-1.96 (m, 2 H), 2.14-2.26 (m, 1 H), 3.25-3.31 (m, 1 H), 3.70-3.75 (m, 1 H), 3.93-4.00 (m, 2 H), 4.22-4.27 (m, 2 H), 4.84-4.87 (m, 1 H), 5.45 (s, 1 H), 7.12-7.15 (m, 2 H), 7.40-7.42 (m, 2 H), 7.50-7.68 (m, 4 H).
N1−異性体の融点の範囲: 125-127℃.
【0081】
実施例4
2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−カルバルデヒドの製造
【化25】

削り屑状マグネシウム(6.31g)の無水テトラヒドロフラン(59mL)中の懸濁液を14℃に冷却し、テトラヒドロフラン中1Mのジイソブチルアルミニウムヒドリド溶液(2.35mL,2.4mmol)で処理し、そして20分間撹拌する。14℃で、1−ブロモ−4−ジメトキシメチル−ベンゼン(2.72g;11.7mmol)を、激しい撹拌下で加える。反応開始後、さらに1ブロモ−4−ジメトキシメチル−ベンゼン(51.79g;223mmol)を、45分にわたり加え、その間に混合物を無水テトラヒドロフラン(各59mL)で2回で希釈する。得られる混合物を、約25℃で2.5時間さらに撹拌する。過剰な削り屑状マグネシウムを超える溶液中の4(ジメトキシメチル)フェニルマグネシウムブロマイド濃度は、約1.0Mである。別のフラスコで、不活性雰囲気下、5−(2−クロロフェニル)−2−(テトラヒドロピラン−2−イル)−2H−テトラゾールおよび5−(2−クロロフェニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−テトラゾール(98.2%含量;53.91g;200mmol)混合物を、無水テトラヒドロフラン(37mL)中に溶解し、そしてジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)(0.862g;1.60mmol)およびテトラヒドロフラン中0.5Mの塩化亜鉛溶液(6.0mL;3.0mmol)を加える。激しく撹拌している得られる懸濁液を、約14℃に冷却し、そして外部冷却により、温度を25℃以下に保ちながら、上記の1.0M 4−(ジメトキシメチル)フェニルマグネシウムブロマイド溶液(229mL;230mmol)を1時間にわたり加える。暗褐色反応混合物を、室温で17.5時間撹拌する。その後、出発物質の99%以上が変換しており、そしてメタノール(8.0mL)を、混合物に加える。
【0082】
溶媒(約156mL)の一部を、減圧下留去する。エタノール(合計307mL)を、さらに溶媒を留去しながら、加える。得られる褐色混合物に、50℃で10分にわたり、2M水性硫酸溶液(32mL;64mmol)および水(75mL)の混合物を加える。混合物を、さらに50℃で50分間、60℃で1.5時間および35℃で一晩撹拌する。混合物を、60℃で、活性炭(5.3g)および濾過助剤(2.7g)と、合計40分間撹拌し、それから約55℃で濾過する。オレンジ色濾液を、減圧下で、約202mL溶媒を蒸留することにより濃縮する。50℃で水(48mL)を加えた後、撹拌している得られる懸濁液を、一晩、室温に冷却し、そしてさらに約10℃で90分間撹拌する。固体を濾過して収集し、エタノールおよび水の1:2混合物で洗浄し、そして約60℃で減圧下乾燥し、薄黄色結晶固体として、2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−カルバルデヒドを得る。
融点の範囲:188.6-189.9℃.
【0083】
実施例5
5−(4’−ジエトキシメチル−ビフェニル−2−イル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−2H−テトラゾールの製造
【化26】

無水テトラヒドロフラン中(40mL)の削り屑状マグネシウムの懸濁液(5.11g)に、1,2−ジブロモエタン(0.106mL;1.2mmol)を加える。懸濁液を12℃に冷却し、そして無水テトラヒドロフラン中(120mL)の1−ブロモ−4−(ジエトキシメチル)ベンゼン(53.6g;200mmol)溶液を6mL、次に2回目の1,2−ジブロモエタン(0.106mL;1.2mmol)を加える。反応開始後、1−ブロモ−4−(ジエトキシメチル)ベンゼン溶液の残りを、90分にわたり加える。得られる混合物を、20から25℃で2.5時間、さらに撹拌する。混合物を、250mLの総容量まで無水テトラヒドロフランで希釈する。過剰な削り屑状マグネシウムを超える溶液中の4−(ジエトキシメチル)フェニルマグネシウムブロマイドの濃度は約0.78Mである。別のフラスコで、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.012g;0.015mmol)に、テトラヒドロフラン中0.5Mの塩化亜鉛溶液(0.6mL;0.30mmol)、そしてテトラヒドロフラン(30mL)中の5−(2−ブロモフェニル)−2−(テトラヒドロピラン−2−イル)−2H−テトラゾールおよび5−(2−ブロモフェニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−テトラゾール(4.99g;14.3mmol)の混合物の溶液を加える。撹拌して得られる黄色−オレンジ色溶液に、2時間にわたり、室温で22.2mLの、上記の0.78M 4−(ジエトキシメチル)フェニルマグネシウムブロマイド溶液(17.3mmol)を加える。得られるオレンジ色溶液を室温で18時間、さらに撹拌する。その後、薄層クロマトグラフィーではもはや出発物質は検出されない。混合物を約0℃に冷却し、そして水(25mL)および酢酸エチル(30mL)中の炭酸水素ナトリウム(2.0g)溶液を加える。水性相を分離し、そして酢酸エチル(40mL)で抽出する。合わせた有機相を炭酸水素ナトリウム(2.0g)水溶液(25mL)、そして水(25mL)で2度洗浄し、その後、それらを真空蒸発させる。得られるオレンジ色油を、酢酸エチルおよびヘキサン(トリエチルアミンの0.3容量%の存在下において)の1:4混合物で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、薄黄色油として主要な異性体(N2−異性体)5−(4’−ジエトキシメチル−ビフェニル−2−イル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−2H−テトラゾールを得る。
N2−異性体の1H-NMR (400 MHz, CDCl3): 1.24 (t, J = 7.2 Hz, 6 H), 1.59-1.67 (m, 3 H), 1.85-2.03 (m, 2 H), 2.11-2.18 (m, 1 H), 3.50-3.74 (m, 6 H), 5.49 (s, 1 H), 5.97-5.99 (m, 1 H), 7.17-7.20 (m, 2 H), 7.38-7.40 (m, 2 H), 7.43-7.56 (m, 3 H), 7.90-7.92 (m, 1 H).
【0084】
実施例6:
2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−カルバルデヒドの製造
【化27】

5−(4’−ジエトキシメチル−ビフェニル−2−イル)−2−(テトラヒドロピラン−2−イル)−2H−テトラゾール(0.408g;1.00mmol)に、94%エタノール(2.5mL)および2N塩酸水性溶液(0.5mL;1.0mmol)を加える。得られる溶液を、45℃で3時間温める。水(約2mL)を加え、混合物を室温に冷却し、そして0から5℃で30分間撹拌する。得られる懸濁液を濾過し、そして固体を少量の水で洗浄し、40℃で真空乾燥させ、白色の結晶粉末として2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−カルバルデヒドを得る。
融点: 187.5-190.0℃.
【0085】
実施例7
触媒の存在下および亜鉛塩の不存在下での、5−(4’−ジメトキシメチル−ビフェニル−2−イル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−2H−テトラゾールニッケルの製造
【化28】

無水テトラヒドロフラン中(66mL)の削り屑状マグネシウム(2.35g)の懸濁液を、14℃に冷却し、テトラヒドロフラン中1Mのジイソブチルアルミニウムヒドリド溶液(1.8mL;1.8mmol)で処理し、そして20分間撹拌する。14℃で、1−ブロモ−4−ジメトキシメチル−ベンゼン(1.02g;4.4mmol)を、激しい撹拌下に加える。反応開始後、さらに1−ブロモ−4−ジメトキシメチル−ベンゼン(19.32g;83.6mmol)を、50分にわたり加える。得られる混合物をさらに約25℃で2.5時間撹拌する。過剰な削り屑状マグネシウムを超える溶液中の4−(ジメトキシメチル)フェニルマグネシウムブロマイドの濃度は、約0.96Mである。別のフラスコで、5−(2−クロロフェニル)−2−(テトラヒドロピラン−2−イル)−2H−テトラゾールおよび5−(2−クロロフェニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−テトラゾール(94%含量;4.22g;15.0mmol)の混合物を、不活性雰囲気下で無水テトラヒドロフラン(2.8mL)に溶解し、そしてジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)(80.8mg;0.15mmol)を加える。激しく撹拌して得られる懸濁液を、約15℃に冷却し、そして外部冷却で温度25℃以下に保ち、上記の0.96M 4−(ジメトキシメチル)フェニルマグネシウムブロマイド溶液(18mL;17.3mmol)を1時間にわたり加える。暗褐色反応混合物を、室温で22.5時間撹拌する。その後、出発物質の約94%が変換している。メタノール(1.2mL;30mmol)を混合物に加え、次いでイソプロピルアセテート(35mL)、塩化アンモニウム(0.4g)水溶液(10mL)および水(10mL)を加える。相を分離する。有機相を水(10mL)で、炭酸水素ナトリウム(1.0g)水溶液(12mL)で3度および水(10mL)で2度洗浄し、次いで真空蒸発させる。得られる褐色油を、酢酸エチルおよびヘキサン(トリエチルアミン0.3容量%の存在下において)の1:4混合物で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、薄黄色油として、主要な異性体(N2−異性体)5−(4’−ジメトキシメチル−ビフェニル−2−イル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−2H−テトラゾールを得る。
N2−異性体の1H-NMR (400 MHz, CDCl3): 1.59-1.68 (m, 3 H), 1.86-1.93 (m, 1 H), 1.96-2.04 (m, 1 H), 2.12-2.20 (m, 1 H), 3.34 (s, 6 H), 3.65-3.76 (m, 2 H), 5.38 (s, 1 H), 5.95-5.98 (m, 1 H), 7.18-7.21 (m, 2 H), 7.36-7.38 (m, 2 H), 7.44-7.56 (m, 3 H), 7.90-7.92 (m, 1 H).
【0086】
実施例8
触媒の不存在下での、5−(4’−ジメトキシメチル−ビフェニル−2−イル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−2H−テトラゾールの製造の試み
【化29】

不活性雰囲気下、5−(2−クロロフェニル)−2−(テトラヒドロピラン−2−イル)−2H−テトラゾールおよび5−(2−クロロフェニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−テトラゾール(94%含量;4.22g;15.0mmol;実施例7で使用するのと同じバッチ)の混合物を、無水テトラヒドロフラン中(2.8mL)に溶解する。激しく撹拌して得られる懸濁液を、約15℃に冷却し、そして0.96M 4−(ジメトキシメチル)フェニルマグネシウムブロマイド溶液(18mL;17.3mmol;実施例7で使用するのと同じバッチ)を、外部冷却により、25℃以下の温度を保ちながら、1時間にわたり加える。褐色反応混合物を室温で22時間撹拌する。その後、HPLC分析を、通常どおり、希塩酸水溶液で加水分解されたサンプルで行う。分析は、主に変換していない出発物質(5−(2−クロロフェニル)−1H−テトラゾールとして検出された)と、0.25面積%よりも少ない量のC−C−カップリング生成物(2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−カルバルデヒドとして検出された)を示す。最後に、メタノール(1.2mL;30mmol)を混合物に加える時、通常強い発熱が観察され、それはほとんどの4−(ジメトキシメチル)フェニルマグネシウムブロマイドが、合計23時間の反応時間後にまだ存在することを示す。
【0087】
実施例9:
2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−5−[4’−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシメチル)−ビフェニル−2−イル]−2H−テトラゾールの製造
【化30】

無水テトラヒドロフラン(13.5mL)中の削り屑状マグネシウム(0.48g)の懸濁液を、14℃に冷却し、トルエン中ジイソブチルアルミニウムヒドリドの25重量%溶液(0.24mL;0.36mmol)で処理し、20分撹拌する。14℃で、2−(4−ブロモ−ベンジルオキシ)−テトラヒドロ−ピラン(94.5%含量;0.26g;0.90mmol)を激しい撹拌下で加える。反応開始後、さらに2−(4−ブロモ−ベンジルオキシ)−テトラヒドロ−ピラン(94.5%含量;4.91g;17.1mmol)を、40分にわたり加える。得られる混合物を、約25℃で2.5時間さらに撹拌する。過剰な削り屑状マグネシウムを超える溶液中の4−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシメチル)フェニルマグネシウムブロマイドの理論上の濃度は約0.95Mである。別のフラスコで、不活性雰囲気下、5−(2−クロロフェニル)−2−(テトラヒドロピラン−2−イル)−2H−テトラゾールおよび5−(2−クロロフェニル)−1−(テトラヒドロピラン−2−イル)−1H−テトラゾール(94%含量;4.22g;15.0mmol)の混合物を無水テトラヒドロフラン(2.8mL)に溶解し、そしてテトラヒドロフラン中(0.45mL;0.23mmol)、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)(80.8mg;0.15mmol)および0.5M塩化亜鉛溶液を加える。激しく撹拌している得られる懸濁液を、約15℃に冷却し、そして上記の4−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシメチル)フェニルマグネシウムブロマイド溶液(19mL;18mmol)を、外部冷却により温度を25℃以下を保ちながら、1時間にわたり加える。褐色反応混合物を、室温で17.5時間、撹拌する。その後、HPLC分析によると出発物質の約97%が変換している。メタノール(1.2mL;30mmol)を混合物に加え、次いでイソプロピルアセテート(40mL)、塩化アンモニウム(0.4g)水溶液(10mL)および水(10mL)を加える。相を分離する。有機相を水(10mL)および3度炭酸水素ナトリウム(1.0g)水溶液(12mL)で洗浄する。水性相をイソプロピルアセテート(50mL)で抽出する。合わせた有機相を2度、水(10mL)で洗浄し、そして真空蒸発させる。得られる緑色がかった油を、酢酸エチルおよびヘキサン(トリエチルアミンの0.3容積%の存在下において)の1:4混合物で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色油として、主要な異性体(N2−イオマー)2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−5−[4’−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシメチル)−ビフェニル−2−イル]−2H−テトラゾールを得る。
マススペクトル(ESI+): m/z = 421 [M+H]+およびm/z = 438 [M+NH4]+.
【0088】
実施例10:
[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イル]−メタノールの製造
【化31】

2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−5−[4’−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシメチル)−ビフェニル−2−イル]−2H−テトラゾール(3.36g;8.00mmol)に、94%エタノール(12mL)および2M硫酸水性溶液(1.0mL;2.0mmol)を加える。得られる混合物を45℃で3.5時間温める。水(16mL)をゆっくり加え、そして混合物を室温に冷却させる。反応混合物のpHを、2M水性水酸化ナトリウム溶液(0.6mL)を加えてpH2から3に調製する。混合物を減圧下濃縮し、イソプロピルアセテート(15mL)で希釈し、そして水(3mL)で3度洗浄する。有機抽出物を約4mLの容量まで減圧下濃縮し、そしてtert−ブチルメチルエーテル(合計8mL)をゆっくり加える。混合物を一晩撹拌し、少量のイソプロピルアセテートで希釈し、そしてさらに4.5時間撹拌する。懸濁した、白色固体を濾過し、少量のイソプロピルアセテートで洗浄し、そして減圧下乾燥して、[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イル]−メタノールを得る。濾液を減圧下濃縮し、そしてtert−ブチルメチルエーテル(3mL)およびヘプタン(0.5mL)をゆっくり加える。混合物を室温で一晩、そして0から5℃で1時間撹拌する。懸濁した、白色固体を濾過し、少量のイソプロピルアセテートで洗浄し、そして減圧下乾燥して、[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イル]−メタノールの第2の生成物を得る。
融点の範囲: 132.4-134.6℃.
【0089】
実施例11:
2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−カルバルデヒドの生成
【化32】

[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イル]−メタノール(1.03g;4.0mmol)、トリエチルアミン(2.80mL;20mmol)およびジメチルスルホキシド(2mL)の混合物を、12℃に冷却し、そしてジメチルスルホキシド中(6.4mL)の三酸化硫黄ピリジン錯体溶液(1.27g;8.0mmol)を10分にわたり加える。得られる透明な溶液を、ほとんど48時間、室温で撹拌し、その間にトリエチルアミン(0.28mL;2.0mmol)を加える。該混合物を、酢酸エチル(10mL)で希釈し、0から5℃で冷却し、そして2M水性塩酸溶液(15mL)でゆっくり処理する。水性相を分離し、そして酢酸エチル(10mL)で抽出する。合わせた有機相を、酢酸エチル(10mL)で希釈し、2M水性塩酸溶液(15mL)、2度1M水性塩酸溶液(10mL)、そして10%塩化ナトリウム水性溶液(10mL)で洗浄する。有機抽出物を45℃で減圧下、約4から5mLの容量まで濃縮する。得られる懸濁液を、室温で45分間そして0から5℃で1時間撹拌し、その後濾過する。固体を冷酢酸エチル(2mL)で洗浄し、そして45℃で減圧下乾燥させ、白色、結晶固体として、2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−カルバルデヒドを得る。第2の生成物を、母液を約1mLの容量に濃縮して、そして形成した固体を濾過することにより得ることができる。
融点の範囲: 188.2-189.3℃.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、Yはテトラゾール保護基であり、そしてR1およびR2は、それぞれ独立して、C−C10−アルキルを表すか、または互いに結合してR1およびR2はC−C10−アルキレンを形成する。〕
の化合物の製造法であって、遷移金属触媒および触媒的に有効量の金属塩添加剤の存在下において、式(IIb)
【化2】

〔式中、ハロは塩素、臭素またはヨウ素である。〕
のアリールマグネシウムハライド化合物を式(IIc)
【化3】

〔式中、Xは、フェニル環に結合しているとき、触媒不存在下において、室温で式(IIb)のアリールマグネシウムハライド試薬によってほとんど置換されない置換基である。〕
の化合物と反応させること;そして、必要ならば、得られる式(I)の化合物を単離することを含む、方法。
【請求項2】
式(IIb)のアリールマグネシウムハライド試薬を、適当な溶媒中、式(IIa)
【化4】

〔式中、R1、R2およびハロは、請求項1に定義の意味である。〕
の化合物と活性形のマグネシウムを反応させることによって製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)の化合物を脱保護することにより、式(IA)
【化5】

の化合物を提供することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
可変基Yが1−ブトキシエチル、1−エトキシエチル、2−テトラヒドロピラニルおよび2−テトラヒドロフラニルからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
遷移金属触媒が、遷移金属または遷移金属塩とトリフェニルホスフィン、トリ(オルト−トリル)ホスフィン、トリ(パラ−トリル)ホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(1,1−ジメチルエチル)ホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリ(1−メチルエチル)ホスファイト、トリシクロペンチルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジ−[2−プロピル]−ホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチル−ホスフィノ)フェロセン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテルおよび9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテンからなる群から選択される1個、2個または4個までの配位結合している配位子との錯体である、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
遷移金属塩が、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)およびアセチルアセトナトニッケル(II)からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
遷移金属触媒が、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)およびジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]−ニッケル(II)からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
遷移金属塩が、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)および酢酸パラジウム(II)からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
遷移金属触媒が、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II)およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]パラジウム(II)、またはそのジクロロメタン付加物からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
金属塩添加物が銅(I)、銅(II)、亜鉛(II)、銀(I)、カドミウム(II)、水銀(II)、アルミニウム(III)、ガリウム(III)、インジウム(III)、スズ(IV)、チタン(IV)およびジルコニウム(IV)塩からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
使用する金属塩添加物の量が、式(IIc)の化合物に対して0.1から8モル%の間である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Xが塩素であり;そして遷移金属触媒がニッケル(0)またはニッケル(II)塩と、3価燐を含有する少なくとも1個の有機燐系化合物との錯体であるか;または遷移金属触媒が2個の3価燐原子を含有する有機燐系配位子とニッケル(II)との錯体である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
遷移金属触媒がジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)であり;そして金属塩添加物がZnClまたはZnBrである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
Xが臭素であり;そして遷移金属触媒が3価燐を含有する少なくとも1個の有機燐系化合物とパラジウム(0)との錯体、またはパラジウム(II)塩との錯体であるか;または遷移金属触媒が2個の3価燐原子を含有する有機燐系配位子とパラジウム(II)との錯体である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
遷移金属触媒が、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)、またはそのジクロロメタン付加物であり;そして金属塩添加物がZnClまたはZnBrである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
遷移金属触媒がニッケル、パラジウム、白金、コバルト、マンガンまたは銅からなる群から選択される錯体ではない遷移金属であるか;または遷移金属触媒が、ニッケル(II)、パラジウム(II)、白金(II)、コバルト(II)、マンガン(II)、銅(I)または銅(II)の塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物、酸化物、酢酸塩、ヒドロキシ酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アセチルアセトナト、硝酸塩、シアン化物、硫酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩からなる群から選択される錯体ではない遷移金属塩である、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
式(I)
【化6】

〔式中、Yはテトラゾール保護基を表し、そしてR1およびR2は、それぞれ独立してC−C10−アルキルを表すか、またはR1およびR2は互いに結合してC−C10−アルキレンを形成する。〕
の化合物の製造法であって;
(a)適当な溶媒中、式(IIa)
【化7】

〔式中、ハロは塩素、臭素またはヨウ素である。〕
の化合物と、活性形のマグネシウムを反応させること;
(b)得られる式(IIb)
【化8】

のアリールマグネシウムハライド化合物を、遷移金属触媒の存在下において、式(IIc)
【化9】

〔式中、Xは塩素である。〕
の化合物と金属塩添加物の不存在下に反応させること;そして、必要ならば、得られる式(I)の化合物を単離することを含む、方法。
【請求項18】
遷移金属触媒が、3価燐を含有する少なくとも1個の有機燐系化合物とニッケル(0)との錯体またはニッケル(II)塩との錯体であるか;または遷移金属触媒が、2個の3価燐原子を含有する有機燐系配位子とニッケル(II)との錯体である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
式(IC)
【化10】

〔式中、Yがテトラゾール保護基を表し、そしてR3がヒドロキシル保護基を表す。〕
の化合物の製造法であって、遷移金属触媒および触媒的に有効量の金属塩添加物の存在下において、式(IIIb)
【化11】

〔式中、ハロは塩素、臭素またはヨウ素である。〕
のアリールマグネシウムハライド化合物と、式(IIc)
【化12】

〔式中、Xはフェニル環に結合しているとき、触媒の不存在下において、室温で式(IIIb)のアリールマグネシウムハライド試薬によってほとんど置換されない置換基である。〕
の化合物を反応させること;そして、必要ならば、得られる式(IC)の化合物を単離することを含む、方法。
【請求項20】
式(IIIb)のアリールマグネシウムハライド試薬を、適当な溶媒中、式(IIIa)
【化13】

〔式中、R3およびハロは請求項19に定義の意味である。〕
の化合物と、活性形のマグネシウムを反応させることにより製造する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
式(IC)の化合物を脱保護し、式(IB)
【化14】

の化合物を提供することをさらに含む、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
式(IB)の化合物を、適当な溶媒の存在下において酸化剤で処理し、式(IA)
【化15】

の化合物を提供することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
可変基Yが1−ブトキシエチル、1−エトキシエチル、2−テトラヒドロピラニルおよび2−テトラヒドロフラニルからなる群から選択される、請求項19から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
遷移金属触媒が、遷移金属または遷移金属塩とトリフェニルホスフィン、トリ(オルト−トリル)ホスフィン、トリ(パラ−トリル)ホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(1,1−ジメチルエチル)ホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリ(1−メチルエチル)ホスファイト、トリシクロペンチルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジ−[2−プロピル]−ホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチル−ホスフィノ)フェロセン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテルおよび9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテンからなる群から選択される1、2または4個までの配位結合している配位子との錯体である、請求項19から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
遷移金属塩が、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)およびアセチルアセトナトニッケル(II)からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
遷移金属触媒が、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)およびジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]−ニッケル(II)からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
遷移金属塩が、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)および酢酸パラジウム(II)からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
遷移金属触媒が、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム(II)およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]パラジウム(II)からなる群から選択される、またはそのジクロロメタン付加物である、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
金属塩添加物が、銅(I)、銅(II)、亜鉛(II)、銀(I)、カドミウム(II)、水銀(II)、アルミニウム(III)、ガリウム(III)、インジウム(III)、スズ(IV)、チタン(IV)およびジルコニウム(IV)塩からなる群から選択される、請求項19から28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
使用する金属塩添加物の量が、式(IIc)の化合物に対して0.1から8モル%の間である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
Xが塩素であり;そして遷移金属触媒が、ニッケル(0)またはニッケル(II)塩と、3価燐を含有する少なくとも1個の有機燐系化合物との錯体であるか;または遷移金属触媒が2個の3価燐原子を含有する有機燐系配位子とニッケル(II)との錯体である、請求項19から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
遷移金属触媒が、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル(II)であり;そして金属塩添加物が、ZnClまたはZnBrである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
Xが臭素であり;そして遷移金属触媒が、3価燐を含有する少なくとも1個の有機燐系化合物とパラジウム(0)との錯体、またはパラジウム(II)塩との錯体であるか;または遷移金属触媒が、2個の3価燐原子を含有する有機燐系配位子とパラジウム(II)との錯体である、請求項19から24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
遷移金属触媒が、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)、またはそのジクロロメタン付加物であり;そして金属塩添加物がZnClまたはZnBrである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
遷移金属触媒が、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、マンガンまたは銅からなる群から選択される錯体ではない遷移金属であるか;または遷移金属触媒が、ニッケル(II)、パラジウム(II)、白金(II)、コバルト(II)、マンガン(II)、銅(I)または銅(II)の塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物、酸化物、酢酸塩、ヒドロキシ酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アセチルアセトナト、硝酸塩、シアン化物、硫酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩からなる群から選択される錯体ではない遷移金属塩である、請求項19から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
式(I)
【化16】

〔式中、Yがテトラゾール保護基を表し、そしてR3がヒドロキシル保護基を表す。〕
の化合物の製造法であって;
(a’)適当な溶媒中、式(IIIa)
【化17】

〔式中、ハロは塩素、臭素またはヨウ素である。〕
の化合物を、活性形のマグネシウムと反応させること;
(b’)得られる式(IIIb)
【化18】

【化19】

〔式中、Xが塩素である。〕
の化合物と、金属塩添加物の不存在下反応させること;そして、必要ならば、得られる式(IC)の化合物を単離することを含む、方法。
【請求項37】
遷移金属触媒が、3価燐を含有する少なくとも1個の有機燐系化合物とニッケル(0)との錯体またはニッケル(II)塩との錯体であるか;または、遷移金属触媒が、2個の3価燐原子を含有する有機燐系配位子とニッケル(II)との錯体である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
式(IC)
【化20】

〔式中、Yがテトラゾール保護基を表し、そしてR3がヒドロキシル保護基を表す。〕
の化合物。
【請求項39】
YおよびR3が、互いに独立して、1−ブトキシエチル、1−エトキシエチル、2−テトラヒドロピラニルまたは2−テトラヒドロフラニルである、請求項38に記載の化合物。

【公表番号】特表2007−519684(P2007−519684A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550140(P2006−550140)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000978
【国際公開番号】WO2005/075462
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】