説明

1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールの製造方法

【課題】1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールおよびその製造中間体であるN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドの、安全且つ効率のよい製造方法の提供。
【解決手段】一般式(1)で表される2,2,2−トリフルオロ−N−アリール−アセトアミドと、オキシ塩化リンおよびジフェニルリン酸クロライドからなる群より選択される少なくとも1種と、第三級アミンとを、有機溶媒中において反応させる、一般式(2)で表されるN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドの製造方法。さらには、一般式(2)で表されるN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドとアジ化物とを、アミン塩の存在下で芳香族炭化水素溶媒中において反応させる、一般式(4)で表される1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールおよびその製造中間体であるN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドの製造方法に関する。1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールは、種々の医薬の中間体として有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
テトラゾール化合物を製造する方法として、イミドイルクロライド化合物に200℃以上の高温でアジ化水素ガスを吹き込む方法が知られている(ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.),第80版,1958年,p.4647)。また、アジ化ナトリウムを用いて水を混合した溶媒中での反応(ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),第23版,1958年,p.1909)、DMF、アセトニトリルなどの非プロトン性極性溶媒を用いた反応(シンセティック・コミュニケーションズ(Synth.Commun.),第1版,1971年,p.1;ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),第19版,1979年,p.3281;ジャーナル・オブ・フローリン・ケミストリー(J.Fluorine Chem.),第99版,1999年,p.83)などが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、200℃以上の高温でアジ化水素ガスを吹き込む方法では、有毒なアジ化水素が系外に放出する可能性があり、安全に工業生産するにはリスクが大きい。また、DMFやアセトニトリルなどの溶媒中での反応は、加熱が必要な場合にアジ化ナトリウムと溶媒が反応する可能性がある。しかも、これらの溶媒は水溶性溶媒であるので、後処理において生成物の水層への逃げが大きくなる。さらに、DMFなどの高沸点の溶媒を用いると、生成物が液状物質の場合に、溶媒除去が難しい。従って、従来の製造方法は工業的に不利である。
【0004】
一方、イミドイルクロライド化合物の一般的な製造方法としては、アミド化合物をオキシ塩化リンや五塩化リンや塩化チオニルなどのクロロ化試薬によりイミドイルクロライド化合物へと変換する方法が挙げられる。しかしながら、この方法においては、トリフルオロメチル基などの強い電子吸引性基を有するアミド化合物の場合には、反応が極めて遅く、効率良くイミドイルクロライド化合物を製造することができない。
【0005】
ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),第58版,1993年,p.32には、クロロ化試薬として四塩化炭素を大量に使用し、強い電子吸引性基であるトリフルオロメチル基を有するイミドイルクロライド化合物を効率良く製造する方法が記載されている。しかしながら、四塩化炭素は、毒性が強く、オゾン層破壊特定物質であるので、この方法には環境上の問題がある。
【0006】
四塩化炭素を使用しない製造方法としては、トリクロロ酢酸エチルを用いる方法があり、例えば、N−(4−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドを製造する場合には、収率は76%である(特開2003−321431号公報)。しかしながら、この方法では、固体のトリフェニルホスフィンオキサイドが、目的生成物の2重量倍以上副生して除去が困難であり、しかも、収率が76%であるので、工業的に有利な方法であるとは言えない。
【0007】
本発明の目的は、1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールおよびその製造中間体であるN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドを、安全且つ効率良く製造する方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的および特徴は、以下の記載により明らかにされるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、N−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドとアジ化物とを、アミン塩の存在下で芳香族炭化水素溶媒中において反応させることにより、1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールを安全且つ効率良く製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。さらに、本発明者らは、2,2,2−トリフルオロ−N−アリール−アセトアミドと、オキシ塩化リンおよびジフェニルリン酸クロライドからなる群より選択される少なくとも1種と、第三級アミンとを、有機溶媒中において反応させることにより、N−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドを安全且つ効率良く製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記に示すとおりの1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールおよびその製造中間体であるN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドの製造方法を提供するものである。
1. 一般式(1);
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、Rは置換基を1個有していてもよいアリール基を示す。)
で表される2,2,2−トリフルオロ−N−アリール−アセトアミドと、オキシ塩化リンおよびジフェニルリン酸クロライドからなる群より選択される少なくとも1種と、第三級アミンとを、有機溶媒中において反応させることを特徴とする一般式(2);
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、Rは前記と同様である。)
で表されるN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドの製造方法。
2. Rがフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基またはナフチル基を示すことを特徴とする上記項1に記載の方法。
3. 第三級アミンがトリエチルアミンであることを特徴とする上記項1または2に記載の方法。
4. 一般式(2);
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、Rは置換基を1個有していてもよいアリール基を示す。)
で表されるN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドと一般式(3);
【0017】
【化4】

【0018】
(式中、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示す。nは1または2である。)
で表されるアジ化物とを、アミン塩の存在下で芳香族炭化水素溶媒中において反応させることを特徴とする一般式(4);
【0019】
【化5】

【0020】
(式中、Rは前記と同様である。)
で表される1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールの製造方法。
5. Rがフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基またはナフチル基を示すことを特徴とする上記項4に記載の方法。
6. アジ化物がアジ化ナトリウムであることを特徴とする上記項4または5に記載の方法。
7. アミン塩がトリエチルアミン塩酸塩であることを特徴とする上記項4〜6のいずれかに記載の方法。
8. 芳香族炭化水素溶媒がトルエンおよびキシレンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする上記項4〜7のいずれかに記載の方法。
以下、N−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドの製造方法、および1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールの製造方法について、より具体的に説明する。
【0021】
[N−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドの製造]
上記一般式(2)で表されるN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドは、上記一般式(1)で表される2,2,2−トリフルオロ−N−アリール−アセトアミドと、オキシ塩化リンおよびジフェニルリン酸クロライドからなる群より選択される少なくとも1種と、第三級アミンとを、有機溶媒中において反応させることにより得られる。
【0022】
上記一般式(1)および(2)におけるRは、置換基を1個有していてもよいアリール基であり、好ましくは置換基を1個有していてもよいフェニル基またはナフチル基である。ナフチル基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基のいずれでもよい。置換基の位置は特に限定されない。置換基としては、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲンが挙げられる。
【0023】
アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。分岐鎖状の場合、分岐位置や分岐数は特に限定されない。また、反応が進行しやすい点から、炭素数1〜10のものが好ましく、炭素数1〜4のものがより好ましい。好適な具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。
【0024】
アルコキシル基のアルキル部分は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。分岐鎖状の場合、分岐位置や分岐数は特に限定されない。また、反応が進行しやすい点から、炭素数1〜10のものが好ましく、炭素数1〜4のものがより好ましい。アルコキシル基の好適な具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、ブト−2−オキシ基、2−メチルプロプ−1−オキシ基、2−メチルプロプ−2−オキシ基などが挙げられる。
【0025】
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれでもよい。
【0026】
上記一般式(1)および(2)におけるRとしては、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基またはナフチル基が特に好ましい。
【0027】
本発明において、上記一般式(1)で表される2,2,2−トリフルオロ−N−アリール−アセトアミドは、どのような方法で製造されたものでもよい。好適な具体例としては、2,2,2−トリフルオロ−N−フェニル−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(2−メチルフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(3−メチルフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(4−メチルフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(2−メトキシフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(3−メトキシフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(4−メトキシフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(2−フルオロフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(3−フルオロフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(4−フルオロフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(2−クロロフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(3−クロロフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(4−クロロフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(2−ブロモフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(3−ブロモフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(4−ブロモフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(2−ヨードフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(3−ヨードフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(4−ヨードフェニル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(ナフタレン−1−イル)−アセトアミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(ナフタレン−2−イル)−アセトアミドが挙げられる。
【0028】
本発明におけるオキシ塩化リンの使用量は、2,2,2−トリフルオロ−N−アリール−アセトアミド1モルに対して0.6〜3.0モルが好ましく、0.7〜2.0モルがより好ましい。また、ジフェニルリン酸クロライドの使用量は、2,2,2−トリフルオロ−N−アリール−アセトアミド1モルに対して1.0〜3.0モルが好ましく、1.5〜2.5モルがより好ましい。オキシ塩化リンとジフェニルリン酸クロライドは、それぞれ単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい。
【0029】
本発明で使用する第三級アミンに特に制限はない。好適な具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリアリルアミン、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エンなどが挙げられ、これらの中で特にトリエチルアミンが好ましい。第三級アミンの使用量は、2,2,2−トリフルオロ−N−アリール−アセトアミド1モルに対して1.0〜3.0モルが好ましく、1.1〜2.0モルがより好ましい。
【0030】
反応溶媒は、反応に使用する原料と反応しない限り特に制限はない。具体例としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、クメン、クロロトルエン、アニソールなどの芳香族溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパンなどのハロゲン化溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、アセトニトリルなどの極性溶媒があげられる。これらの中で極性溶媒が好ましく、アセトニトリルが特に好ましい。反応溶媒の使用量は、上記一般式(1)で表される2,2,2−トリフルオロ−N−アリール−アセトアミド1gに対して1〜15mlが好ましく、3〜10mlがより好ましい。
【0031】
本発明における反応は、有機溶媒中において、上記一般式(1)の2,2,2−トリフルオロ−N−アリール−アセトアミドと、オキシ塩化リンおよびジフェニルリン酸クロライドからなる群より選択される少なくとも1種と、第三級アミンとを加え、加熱することにより行われる。反応温度は、低すぎると反応速度が小さくなり、高すぎると副生成物が多くなるため、0〜150℃が好ましく、20〜85℃がより好ましい。また、反応時間は、1〜100時間が好ましく、5〜50時間がより好ましい。
【0032】
反応終了後、溶媒留去して粗生成物を得た後に、晶析、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の精製により、上記一般式(2)で表されるN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドが得られる。
【0033】
本発明によれば、N−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドを、安全且つ効率良く製造することができる。
【0034】
[1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールの製造]
上記一般式(4)で表される1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールは、上記一般式(2)で表されるN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドと上記一般式(3)で表されるアジ化物とを、アミン塩の存在下で芳香族炭化水素溶媒中において反応させることにより得られる。
【0035】
上記一般式(2)および(4)におけるRは、置換基を1個有していてもよいアリール基であり、好ましくは置換基を1個有していてもよいフェニル基またはナフチル基である。ナフチル基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基のいずれでもよい。置換基の位置は特に限定されない。置換基としては、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲンが挙げられる。
【0036】
アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。分岐鎖状の場合、分岐位置や分岐数は特に限定されない。また、反応が進行しやすい点から、炭素数1〜10のものが好ましく、炭素数1〜4のものがより好ましい。好適な具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。
【0037】
アルコキシル基のアルキル部分は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。分岐鎖状の場合、分岐位置や分岐数は特に限定されない。また、反応が進行しやすい点から、炭素数1〜10のものが好ましく、炭素数1〜4のものがより好ましい。アルコキシル基の好適な具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、ブト−2−オキシ基、2−メチルプロプ−1−オキシ基、2−メチルプロプ−2−オキシ基などが挙げられる。
【0038】
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれでもよい。
【0039】
上記一般式(2)および(4)におけるRとしては、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基またはナフチル基が特に好ましい。
【0040】
上記一般式(2)で表されるN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドの好適な具体例としては、N−フェニル−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(2−メチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(3−メチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(4−メチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(3−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(4−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(2−フルオロフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(3−フルオロフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(4−フルオロフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(2−クロロフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(3−クロロフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(2−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(3−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(2−ヨードフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(3−ヨードフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(4−ヨードフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(ナフタレン−1−イル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド、N−(ナフタレン−2−イル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドが挙げられる。
【0041】
上記一般式(3)で表されるアジ化物としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属のアジ化物、または、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属のアジ化物が挙げられるが、アルカリ金属のアジ化物が好ましく、アジ化ナトリウムがより好ましい。アジ化物の使用量は、上記一般式(2)で表されるN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド1モルに対して1.0〜3.0モルが好ましく、1.1〜2.0モルがより好ましい。
【0042】
本発明で使用するアミン塩は、アミンと酸とから形成される。アミンとしては、第一級、第二級、第三級アミンのいずれでも良いが、特に脂肪族アミンが好ましい。アミン塩の具体例としては、メチルアミン塩、エチルアミン塩、プロピルアミン塩、ブチルアミン塩、アミルアミン塩、ヘキシルアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、ヘプチルアミン塩、オクチルアミン塩、アリルアミン塩、ベンジルアミン塩、α−フェニルエチルアミン塩、β−フェニルエチルアミン塩などの第一級アミン塩;ジメチルアミン塩、ジエチルアミン塩、ジプロピルアミン塩、ジブチルアミン塩、ジアミルアミン塩、ジヘキシルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、ジアリルアミン塩、モルホリン塩、ピペリジン塩、ヘキサメチレンイミン塩などの第二級アミン塩;トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、トリプロピルアミン塩、トリブチルアミン塩、トリアミルアミン塩、トリヘキシルアミン塩、トリアリルアミン塩、ピリジン塩、トリエタノールアミン塩、N−メチルモルホリン塩、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン塩、N,N−ジメチルアニリン塩、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン塩、4−ジメチルアミノピリジン塩などの第三級アミン塩などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、これらのアミン塩の2種以上を併用してもよい。塩を形成する酸としては、基本的にアミンと塩を生成する酸であればよい。具体例としては、塩酸、臭化水素、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、アジ化水素、塩素酸、炭酸、硫化水素等の無機酸;蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。好ましい酸は、塩酸、臭化水素、硫酸、アジ化水素、酢酸、トリフルオロ酢酸である。上記に示したアミンと酸によるアミン塩の中で、特にトリエチルアミン塩酸塩が好適である。アミン塩の使用量は、上記一般式(2)のN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド1モルに対して0.1〜1.5モルが好ましく、0.3〜1.0モルがより好ましい。
【0043】
本発明で使用する芳香族炭化水素溶媒の好適な具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、クメン、クロロトルエンなどが挙げられ、トルエン、キシレンが特に好ましい。また、これらの芳香族炭化水素溶媒を2種以上混合して用いることも可能である。当該溶媒の使用量は、上記一般式(2)のN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド1gに対して1〜15mlが好ましく、3〜10mlがより好ましい。
【0044】
本発明における反応は、芳香族炭化水素溶媒中において、上記一般式(2)のN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドと、上記一般式(3)のアジ化物と、アミン塩とを加え、加熱することにより行われる。反応温度は、低すぎると反応速度が小さくなり、高すぎると副生成物が多くなるため、0〜150℃が好ましく、50〜100℃がより好ましい。また、反応時間は、5〜50時間が好ましく、12〜30時間がより好ましい。
【0045】
反応終了後、室温まで冷却した後に反応液を水で洗浄し、次いで、有機層を脱湿、溶媒留去して粗生成物を得た後に、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の精製により、上記一般式(4)で表される1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールが得られる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールを、安全且つ効率良く製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0048】
[実施例1]
N−フェニル−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド
【0049】
【化6】

【0050】
100mlフラスコに、2,2,2−トリフルオロ−N−フェニル−アセトアミド7g(37.0mmol)、ジフェニルリン酸クロライド19.84g(74.0mmol)、トリエチルアミン7.44g(74.0mmol)およびアセトニトリル28mlを加え、還流下(82℃)で15時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却した後に酢酸エチル28mlを加え、晶析物をろ別した。ろ液から溶媒を留去して得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=3:7)で精製し、N−フェニル−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド6.24gを黄色液体物質として得た(収率81.2%)。
【0051】
IR(neat,cm−1):1697,1489,1286,1223,1196,1161,947,766,725,691
H−NMR(CDCl):δ=7.41−7.24(m,3H),7.08−7.05(m,2H)
13C−NMR(CDCl):δ=143.47,131.94(q,J=42.8Hz),129.12,127.40,120.63,116.86(q,J=275.8Hz)
【0052】
[実施例2]
1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾール
【0053】
【化7】

【0054】
100mlフラスコに、実施例1で得られたN−フェニル−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド5g(24.1mmol)、アジ化ナトリウム2.83g(43.4mmol)、トリエチルアミン塩酸塩1.66g(12.1mmol)およびトルエン40mlを加え、80℃で16.5時間反応を行った。反応終了後に室温まで冷却し、水洗浄(30ml×3回)を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで1時間脱湿し、ろ過、溶媒留去を行って得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=3:7)で精製し、1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾール4.81gを薄黄色油状物質として得た(収率93.2%)。
【0055】
IR(neat,cm−1):3071,1531,1499,1312,1207,1167,1013,766,691
H−NMR(CDCl):δ=7.60−7.54(m,3H),7.38(d,J=8.7Hz,2H),7.06(d,J=8.7Hz,2H),3.89(s,3H)
13C−NMR(CDCl):δ=145.90(q,J=42.0Hz),132.41,131.59,131.58,129.79,129.76,125.05,117.73(q,J=270.0Hz)
元素分析
計算値(C):C44.87%,H2.35%,N26.16%
実測値:C44.27%,H2.24%,N25.95%
分解温度(DSC):290℃(1.17kJ/g),367℃(1.55kJ/g)
【0056】
[実施例3]
N−(4−メチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド
【0057】
【化8】

【0058】
100mlフラスコに、2,2,2−トリフルオロ−N−(4−メチルフェニル)−アセトアミド7g(34.5mmol)、ジフェニルリン酸クロライド18.49g(68.9mmol)、トリエチルアミン6.97g(68.9mmol)およびアセトニトリル35mlを加え、還流下(82℃)で18時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却した後に酢酸エチル25mlを加え、晶析物をろ別した。ろ液から溶媒を留去して得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=3:7)で精製し、N−(4−メチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド6.77gを黄色液体物質として得た(収率88.6%)。
【0059】
IR(neat,cm−1):1684,1506,1286,1223,1196,1159,949,934,820
H−NMR(CDCl):δ=7.26−7.22(m,2H),7.10−7.04(m,2H),2.39(s,3H)
13C−NMR(CDCl):δ=140.61,137.85,130.55(q,J=42.8Hz),129.69,121.23,116.92(q,J=275.0Hz),21.02
【0060】
[実施例4]
1−(4−メチルフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾール
【0061】
【化9】

【0062】
100mlフラスコに、実施例3で得られたN−(4−メチルフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド5g(22.6mmol)、アジ化ナトリウム2.68g(40.7mmol)、トリエチルアミン塩酸塩1.57g(11.3mmol)およびトルエン40mlを加え、80℃で23時間反応を行った。反応終了後に室温まで冷却し、水洗浄(30ml×3回)を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで1時間脱湿し、ろ過、溶媒留去を行って得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=3:7)で精製し、1−(4−メチルフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾール5.01gを薄黄色油状物質として得た(収率97.3%)。
【0063】
IR(neat,cm−1):3045,2930,1531,1514,1312,1205,1167,1034,1011,822,756
H−NMR(CDCl):δ=7.37−7.31(m,4H),2.42(s,3H)
13C−NMR(CDCl):δ=145.96(q,J=41.2Hz),142.28,130.33,129.95,124.83,117.81(q,J=270.9Hz),21.10
元素分析
計算値(C):C47.37%,H3.09%,N24.98%
実測値:C46.89%,H2.63%,N24.64%
分解温度(DSC):290℃(1.09kJ/g),360℃(1.29kJ/g)
【0064】
[実施例5]
N−(4−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド
【0065】
【化10】

【0066】
100mlフラスコに、2,2,2−トリフルオロ−N−(4−メトキシフェニル)−アセトアミド5g(22.8mmol)、ジフェニルリン酸クロライド12.26g(45.6mmol)、トリエチルアミン4.62g(45.6mmol)およびアセトニトリル25mlを加え、還流下(82℃)で22時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却した後に酢酸エチル20mlを加え、晶析物をろ別した。ろ液から溶媒を留去して得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=3:7)で精製し、N−(4−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド4.53gを黄色液体物質として得た(収率83.6%)。
【0067】
IR(neat,cm−1):1676,1599,1506,1285,1252,1194,1159,1032,943,924,833,766
H−NMR(CDCl):δ=7.26−7.21(m,2H),7.00−6.91(m,2H),3.81(s,3H)
13C−NMR(CDCl):δ=159.37,135.25,127.93(q,J=42.4Hz),124.20,116.90(q,J=274.0Hz),114.12,55.45
【0068】
[実施例6]
N−(4−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド
【0069】
【化11】

【0070】
100mlフラスコに、2,2,2−トリフルオロ−N−(4−メトキシフェニル)−アセトアミド5g(22.8mmol)、オキシ塩化リン7.02g(45.6mmol)、トリエチルアミン4.62g(45.6mmol)およびアセトニトリル25mlを加え、還流下(82℃)で22時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却した後に酢酸エチル20mlを加え、晶析物をろ別した。ろ液から溶媒を留去して得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=3:7)で精製し、N−(4−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド4.52gを黄色液体物質として得た(収率83.4%)。
H−NMR(CDCl):δ=7.26−7.21(m,2H),7.00−6.91(m,2H),3.81(s,3H)
13C−NMR(CDCl):δ=159.37,135.25,127.93(q,J=42.4Hz),124.20,116.90(q,J=274.0Hz),114.12,55.45
【0071】
[実施例7]
N−(4−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド
【0072】
【化12】

【0073】
200mlフラスコに、2,2,2−トリフルオロ−N−(4−メトキシフェニル)−アセトアミド10g(45.6mmol)、オキシ塩化リン4.92g(32.0mmol)、トリエチルアミン9.23g(91.2mmol)およびアセトニトリル50mlを加え、還流下(82℃)で19時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却した後に酢酸エチル30mlを加え、晶析物をろ別した。ろ液から溶媒を留去して得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=3:7)で精製し、N−(4−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド8.94gを黄色液体物質として得た(収率82.5%)。
【0074】
H−NMR(CDCl):δ=7.26−7.21(m,2H),7.00−6.91(m,2H),3.81(s,3H)
13C−NMR(CDCl):δ=159.37,135.25,127.93(q,J=42.4Hz),124.20,116.90(q,J=274.0Hz),114.12,55.45
【0075】
[実施例8]
1−(4−メトキシフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾール
【0076】
【化13】

【0077】
100mlフラスコに、実施例7で得られたN−(4−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド5g(21.0mmol)、アジ化ナトリウム2.46g(37.8mmol)、トリエチルアミン塩酸塩1.45g(10.5mmol)およびトルエン40mlを加え、80℃で15時間反応を行った。反応終了後に室温まで冷却し、水洗浄(30ml×2回)を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで1時間脱湿し、ろ過、溶媒留去を行って得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=3:7)で精製し、1−(4−メトキシフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾール5.05gを薄黄色油状物質として得た(収率98.3%)。
【0078】
IR(neat,cm−1):1609,1533,1514,1466,1319,1310,1259,1205,1167,1111,1026,837,756,542
H−NMR(CDCl):δ=7.38(d,J=8.7Hz,2H),7.06(d,J=8.7Hz,2H),3.89(s,3H)
13C−NMR(CDCl):δ=161.72,146.03(q,J=42.1Hz),126.51,124.95,117.81(q,J=270.6Hz),114.87,55.72
元素分析
計算値(CO):C44.27%,H2.89%,N22.95%
実測値:C43.81%,H2.81%,N22.15%
分解温度(DSC):286℃(1.58kJ/g),342℃(0.64kJ/g)
【0079】
[実施例9]
N−(2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド
【0080】
【化14】

【0081】
100mlフラスコに、2,2,2−トリフルオロ−N−(2−メトキシフェニル)−アセトアミド5g(22.8mmol)、ジフェニルリン酸クロライド12.24g(45.6mmol)、トリエチルアミン4.64g(45.6mmol)およびアセトニトリル25mlを加え、還流下(82℃)で22.5時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却した後に酢酸エチル20mlを加え、晶析物をろ別した。ろ液から溶媒を留去して得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=3:7)で精製し、N−(2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド4.55gを黄色液体物質として得た(収率84.3%)。
【0082】
IR(neat,cm−1):1699,1595,1495,1292,1252,1196,1161,949,750
H−NMR(CDCl):δ=7.26−7.22(m,1H),7.02−6.91(m,3H),3.85(s,3H)
13C−NMR(CDCl):δ=149.18,133.95(q,J=42.8Hz),133.09,127.94,120.54,120.23,116.81(q,J=275.0Hz),111.78,55.58
【0083】
[実施例10]
1−(2−メトキシフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾール
【0084】
【化15】

【0085】
100mlフラスコに、実施例9で得られたN−(2−メトキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド4g(16.8mmol)、アジ化ナトリウム1.98g(30.2mmol)、トリエチルアミン塩酸塩1.16g(8.42mmol)およびトルエン40mlを加え、80℃で14時間反応を行った。反応終了後に室温まで冷却し、水洗浄(30ml×2回)を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで1時間脱湿し、ろ過、溶媒留去を行って得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=3:7)で精製し、1−(2−メトキシフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾール4.01gを薄黄色油状物質として得た(収率97.6%)。
【0086】
IR(neat,cm−1):1601,1563,1506,1470,1441,1315,1288,1258,1169,1124,1107,1013,760,683
H−NMR(CDCl):δ=7.59(ddd,J=7.8,7.5,1.7Hz,1H),7.36(dd,J=7.8,1.7Hz,1H),7.14−7.08(m,2H),3.79(s,3H)
13C−NMR(CDCl):δ=153.55,147.00(q,J=41.5Hz),133.19,127.22,121.00,120.59,117.60(q,J=270.4Hz),112.07,55.76
元素分析
計算値(CO):C44.27%,H2.89%,N22.95%
実測値:C44.35%,H3.18,N23.05%
分解温度(DSC):283℃(1.08kJ/g),353℃(0.60kJ/g)
【0087】
[実施例11]
N−(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド
【0088】
【化16】

【0089】
50mlフラスコに、2,2,2−トリフルオロ−N−(4−クロロフェニル)−アセトアミド4g(17.9mmol)、ジフェニルリン酸クロライド9.61g(35.8mmol)、トリエチルアミン3.62g(35.8mmol)およびアセトニトリル20mlを加え、還流下(82℃)で16時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却した後に酢酸エチル16mlを加え、晶析物をろ別した。ろ液から溶媒を留去して得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=3:7)で精製し、N−(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド3.40gを黄色液体物質として得た(収率78.6%)。
【0090】
IR(neat,cm−1):1701,1487,1286,1225,1196,1163,1097,1015,951,833,735
H−NMR(CDCl):δ=7.42−7.38(m,2H),7.07−6.94(m,2H)
13C−NMR(CDCl):δ=141.66,133.28,132.52(q,J=42.8Hz),129.30,122.26,116.75(q,J=275.0Hz)
【0091】
[実施例12]
1−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾール
【0092】
【化17】

【0093】
100mlフラスコに、実施例11で得られたN−(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド3g(12.4mmol)、アジ化ナトリウム1.46g(22.3mmol)、トリエチルアミン塩酸塩0.85g(6.20mmol)およびトルエン30mlを加え、80℃で24.5時間反応を行った。反応終了後に室温まで冷却し、水洗浄(20ml×2回)を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで1時間脱湿し、ろ過、溶媒留去を行って得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=3:7)で精製し、1−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾール2.84gを薄黄色油状物質として得た(収率92.2%)。
【0094】
IR(neat,cm−1):3101,1531,1497,1313,1207,1167,1096,1009,835
H−NMR(CDCl):δ=7.60−7.56(m,2H),7.47−7.43(m,2H)
13C−NMR(CDCl):δ=146.02(q,J=42.0Hz),138.13,130.94,130.25,126.48,117.75(q,J=270.9Hz)
元素分析
計算値(CClF):C38.65%,H1.62%,N22.93%
実測値:C38.51%,H1.74%,N22.40%
分解温度(DSC):280℃(0.97kJ/g),368℃(0.42kJ/g)
【0095】
[実施例13]
N−(ナフタレンー1−イル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド
【0096】
【化18】

【0097】
50mlフラスコに、2,2,2−トリフルオロ−N−(ナフタレン−1−イル)−アセトアミド5g(20.9mmol)、ジフェニルリン酸クロライド11.23g(41.8mmol)、トリエチルアミン4.22g(41.8mmol)およびアセトニトリル20mlを加え、還流下(82℃)で15時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却した後に酢酸エチル15mlを加え、晶析物をろ別した。ろ液から溶媒を留去して得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=3:7)で精製し、N−(ナフタレン−1−イル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド4.65gを黄色油状物質として得た(収率86.2%)。
【0098】
IR(neat,cm−1):1686,1593,1393,1286,1211,1161,943,799,772,754,702
H−NMR(CDCl):δ=7.89−7.86(m,1H),7.82−7.79(m,2H),7.56−7.48(m,3H),7.18(d,J=7.4Hz,1H)
13C−NMR(CDCl):δ=139.67,133.94,132.90(q,J=42.8Hz),128.07,127.65,126.85,126.73,126.23,125.11,122.69,116.9(q,J=275.0Hz),115.07
【0099】
[実施例14]
1−(ナフタレン−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾール
【0100】
【化19】

【0101】
100mlフラスコに、実施例13で得られたN−(ナフタレン−1−イル)−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライド4g(15.5mmol)、アジ化ナトリウム1.84g(27.9mmol)、トリエチルアミン塩酸塩1.08g(7.76mmol)およびトルエン40mlを加え、80℃で14時間反応を行った。反応終了後に室温まで冷却し、水洗浄(30ml×2回)を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムで1時間脱湿し、ろ過、溶媒留去を行って得られた粗生成物を、n−ヘキサン18mlでアイスバスで冷却しながら1時間晶析し、次いでろ取、乾燥することにより、1−(ナフタレン−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾール3.86gを白色粉末状物質として得た(収率94.1%)。
融点:107.7−108.4℃
IR(KBr,cm−1):3067,1599,1531,1510,1470,1448,1393,1306,1215,1204,1167,1153,1117,1040,802,770,754,743,665
H−NMR(CDCl):δ=8.11(d,J=8.3Hz,1H),7.96(d,J=8.3Hz,1H),7.62−7.50(m,4H),7.02(d,J=8.3Hz,1H)
13C−NMR(CDCl):δ=147.68(q,J=42.0Hz),133.91,132.55,128.81,128.73,128.46,128.40,127.64,125.10,124.63,120.74,117.74(q,J=270.9Hz)
元素分析
計算値(C12):C54.55%,H2.67%,N21.21%
実測値:C54.27%,H2.66%,N21.21%
分解温度(DSC):272℃(0.67kJ/g),311℃(0.20kJ/g)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1);
【化1】

(式中、Rは置換基を1個有していてもよいアリール基を示す。)
で表される2,2,2−トリフルオロ−N−アリール−アセトアミドと、オキシ塩化リンおよびジフェニルリン酸クロライドからなる群より選択される少なくとも1種と、第三級アミンとを、有機溶媒中において反応させることを特徴とする一般式(2);
【化2】

(式中、Rは前記と同様である。)
で表されるN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドの製造方法。
【請求項2】
Rがフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基またはナフチル基を示すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第三級アミンがトリエチルアミンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
一般式(2);
【化3】

(式中、Rは置換基を1個有していてもよいアリール基を示す。)
で表されるN−アリール−2,2,2−トリフルオロアセトイミドイルクロライドと一般式(3);
【化4】

(式中、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示す。nは1または2である。)
で表されるアジ化物とを、アミン塩の存在下で芳香族炭化水素溶媒中において反応させることを特徴とする一般式(4);
【化5】

(式中、Rは前記と同様である。)
で表される1−アリール−5−(トリフルオロメチル)−1H−テトラゾールの製造方法。
【請求項5】
Rがフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基またはナフチル基を示すことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
アジ化物がアジ化ナトリウムであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
アミン塩がトリエチルアミン塩酸塩であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
芳香族炭化水素溶媒がトルエンおよびキシレンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載の方法。

【公開番号】特開2011−173907(P2011−173907A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96738(P2011−96738)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【分割の表示】特願2005−514587(P2005−514587)の分割
【原出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】