説明

1−(2S,3S)−2−ベンズヒドリル−N−(5−tert−ブチル−2−メトキシベンジル)キヌクリジン−3−アミンの製造方法

本発明は(2S,3S)−2−ベンズヒドリル−N−(5−tert−ブチル−2−メトキシベンジル)キヌクリジン−3−アミン(以下「式Iの化合物」)およびその製薬上許容される塩の改良された製造方法に関する。特に、本発明は、式(Ia)の化合物のクエン酸塩一水和物の改良された合成に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は(2S,3S)−2−ベンズヒドリル−N−(5−tert−ブチル−2−メトキシベンジル)キヌクリジン−3−アミン(以下、「式Iの化合物」)およびその製薬上許容される塩の改良された製造方法に関する。特に、本発明は式Iaの化合物のクエン酸塩一水和物の改良された合成に関する。
【化1】

【背景技術】
【0002】
式Iの化合物、NK1受容体アンタゴニストは、哺乳動物のための制吐剤として有効である。式Iの化合物はU.S. 6,222,038およびU.S. 6,255,320の主題であり、そして式Iの化合物の製造はそこに記載されている。U.S. 5,393,762はまた、NK−1受容体アンタゴニストを用いた医薬組成物および嘔吐の治療も記載する。式Iの化合物の複数使用の製剤は、嘔吐又は他の適応症の治療のため、同じ部位に約5日間、非経口的に投与され得る。静脈内または、好ましくは、皮下投与が急性の使用のために所望され、なぜなら経口剤形の保持および吸収が、嘔吐の発作の際に問題がある場合があるからである。複数使用の製剤は、Pfizer, Incに譲渡され、そして所有される同時係属のU.S.仮出願No. 60/540897に記載される。
【0003】
この式Iの化合物はまた、哺乳動物における麻酔の回復を改良する。Pfizer, Incに譲渡され、そして所有される同時係属のU.S.仮出願No. 60/540,697は、全身麻酔の投与前、投与の間または投与後に、NK−1アンタゴニストを投与することにより、麻酔の回復を改良する方法を記載する。
【0004】
前述の出願の原文およびに引用される全ての他の参考文献は、これによって、それらの全体が参照により加入される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
式Iの化合物のクエン酸塩一水和物の合成工程の記述の特定の段階で、安全の観点から望ましくなく、そして工業規模での操作に対して収率が不十分な試薬を用いて行われていた。本発明は、化学変換を、強力な(agressive)脱保護条件、強力なSchiff塩基生成条件または強力な還元剤を必要としないで行われ、こうして、中間体および生成物の質および収率を改良する方法に関する。方法全体は、鍵となる化学変換工程のための共通溶媒の使用により、単離を要する中間体の数の減少させることで改良され、結果として全収率を改良する。更なる効率は、この方法の後の精製工程を省く、出発生成物 (VIa)の高いエナンチオマー純度を生じさせる能力により達成された。最終的に、式Iaの化合物を製造する最終工程に用いられる条件が、式Iの化合物の一クエン酸塩一水和物の所望の形態形(morphic form)の生成のために最適化された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本発明は式Ib:
【化2】

の化合物を製造する方法に関するもので、
(a)式VIa :
【化3】

(式中、R'は保護基である)の化合物を脱保護して、式VII:
【化4】

の化合物を得;
(b)こうして生成された式VIIの化合物を、式VIII:
【化5】

の化合物と反応させ、そして還元的アミノ化を行って、式Ib:
【化6】

の化合物を得ることからなる。
【0007】
一実施態様において、本発明はさらに、式Ibの化合物のカンファースルホン酸塩を除去して、式I:
【化7】

の化合物を得ることからなる。
【0008】
好ましい実施態様において、保護基はベンジル、4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、またはトリフェニルメチルである。好ましくは、脱保護は水素を用いる触媒的水素化分解により実施される。好ましくは、触媒はパラジウム/炭素、白金/炭素、パラジウム/炭酸カルシウム、またはパラジウム/アルミナ(Al2O3)である。
好ましい実施態様において、還元的アミノ化は、イミンの生成、引き続き触媒的水素化により実施される。好ましくは、水素化触媒はパラジウム/炭素、白金/炭素、パラジウム/炭酸カルシウム、またはパラジウム/アルミナ(Al2O3)である。
【0009】
好ましい実施態様において、本方法はさらに、式Iの化合物をクエン酸で処理して、式Ia:
【化8】

の化合物を生成させることからなる。
【0010】
第2の態様において、本発明は式I
【化9】

の化合物を製造する方法に関するもので、
(a)式VIa:
【化10】

の化合物を脱ベンジル化して、式VII:
【化11】

の化合物を得;
(b)こうして生成された式VIIの化合物を、式VIII:
【化12】

の化合物と反応させ、そして還元的アミノ化を行って、式Ib:
【化13】

の化合物を得、そして
(c)Ibの化合物のカンファースルホン酸塩を除去し、式Iの化合物を得ることからなる。
【0011】
好ましい実施態様において、脱ベンジル化は触媒的水素化により行われる。好ましくは、この触媒はパラジウム/炭素、白金/炭素、パラジウム/炭酸カルシウム、またはパラジウム/アルミナ(Al2O3)である。
好ましい実施態様において、本方法はさらに、触媒的水素化により実施される工程(b)の還元的アミノ化を含む。好ましくは、この触媒はパラジウム/炭素、白金/炭素、パラジウム/炭酸カルシウム、またはパラジウム/アルミナ(Al2O3)である。
【0012】
別の実施態様において、本方法はさらに、式Iの化合物を単離することを含む。好ましくは、式Iの化合物の単離は、酸性の対イオン交換または塩基性化に引き続く選択的結晶化により生じる。好ましくは、結晶化は、水、アルコール、エーテル、炭化水素またはその混合物から選択される溶媒中で遂行される。好ましくは、この溶媒はイソプロパノール、トルエンもしくは水またはそれらの混合物である。
好ましい実施態様において、塩基性化は、無機または有機試薬の添加により実施される。好ましくは、この試薬は水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムである。
【0013】
別の実施態様において、本方法はさらに、式Iの化合物をクエン酸で処理して、式Ia:
【化14】

の化合物を生成させることを含む。
【0014】
好ましい実施態様において、本方法はさらに、アセトンおよび水の添加を含む。好ましくは、本方法はさらに、
a)溶液を濾過し; そして
b)フィルター処理したエーテル溶媒を添加し、
式Iaの化合物を得ることからなる。
【0015】
別の実施態様において、本方法はさらに、式Iaの化合物を顆粒化する追加の工程(c)を含む。好ましくは、エーテル溶媒はtert-ブチルメチルエーテルである。好ましくは、本方法はさらに、工程(b)の間、高温で熱を加えることを含む。好ましくは、本方法はさらに、工程(b)の間または後に式Iaの化合物の種結晶を添加することを含む。好ましくは、温度は約30℃〜約45℃である。
別の実施態様において、本方法はさらに、高温で式Iの化合物を顆粒化することを含む。好ましくは、温度は約30℃〜約45℃である。
【0016】
第3の態様において、本発明は式I
【化15】

の化合物を製造する方法に関するもので、次のIb:
【化16】

の化合物のカンファースルホン酸塩を除去し、式Iの化合物を得ることからなる。
【0017】
好ましい実施態様において、本方法はさらに、次のIXa:
【化17】

の化合物を還元し、こうして生成された式Ibの化合物を得ることを含む。
【0018】
好ましい実施形態において、本方法はさらに、式VII:
【化18】

の化合物を、式VIII:
【化19】

の化合物と反応させ、こうして生成された式IXaの化合物を得ることを含む。
【0019】
好ましい実施態様において、本方法はさらに、式VIa:
【化20】

(式中、R'はベンジル、4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジルまたはトリフェニルメチルから選択される保護基である)
の化合物を脱保護し、こうして生成された式VIIの化合物を得ることを含む。
好ましい実施態様において、本方法はさらに、式Iの化合物をクエン酸で処理し、式Ia:
【化21】

の化合物を生成することを含む。
【0020】
第4の態様において、本発明は式VIa:
【化22】

の化合物に関する。
【0021】
一般的に、式Iの化合物は、特に本明細書中に含まれる記載を考慮して、化学技術において公知の方法を含む方法により製造され得る。本発明の式Iの化合物の製造の特定の方法は、以下の反応スキームに例示される。他の方法は、実験の項に記載される。スキームおよび実施例に記載される反応のための出発化合物のいくつかは、製造例および製造例に例示されるとおり製造される。全ての他の出発化合物は、一般的な商業的供給源、例えばSigma-Aldrich Corporation, St. Louis, MOから得てもよいし、または化学文献で公知の方法を用いて製造してもよい。
【0022】
以下の反応スキームは、本発明の化合物の1つの可能な精製を例示する。当業者は、ベンジル以外の他の保護基もまた、式VIaの化合物の保護基のバリエーションを製造するために利用し得ることを認識するであろう。例えば、他の可能な保護基は4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、およびトリフェニルメチルである。
【0023】
製造例および製造例スキームは、スキームIおよびIIにおいて後に使用される出発化合物、式VIaの化合物の代替の製造法を示し、ここでベンジルが保護基として使用される。
製造例A
【化23】

式VIaの化合物の一つの可能な合成法は、製造例において上記に詳述される。この経路により、化合物VIのラセミ混合物からの(1R)−(−)10−カンファースルホン酸塩としての、所望の化合物(シス2S,3S形態)の選択的結晶化によって、式VIaの化合物の光学純度を達成した。しかし、15%までの所望されないシスエナンチオマー(シス2R,3R形態、典型的には5〜6%)および2%までの所望されないトランスジアステレオマー(トランス2R,3Sおよびトランス2S,3R形態、典型的には1.3%が実測される)が、この経路を介する式VIaの化合物の合成方法において製造された。
【0024】
しかし、式VIaの化合物に対するこの特定のアプローチを用いて、スキームIに示される合成経路に式Iの化合物を供する前に、式Iの化合物の所望の量を達成するために、光学およびジアステレオマー純度を増強および改良する必要がある。
【0025】
式Vの化合物および最終的に式VIaの化合物に対する代替合成法が、製造例に示される。製造例は2003年10月6日に出願されたU.S.非仮出願No. 10/679961の主題である。前述の出願のテキストは、これにより、その全体が参照により本明細書に加入される。上記のように、当業者は、ベンジル以外の異なる保護基が、式VIaの化合物のバリエーションを製造するために利用され得ることを認識するであろう。これらのバリエーションは本発明の範囲内のものである。
【0026】
製造例B
【化24】

製造例の工程1において、光学的精製がまず、式IVのラセミ体ケトンにおいて実施され、後者はL−酒石酸塩として力学的に分割され、ここで所望されない(2R)−エナンチオマーが、50%より大きい収率で、所望の(2S)−エナンチオマーを最終的に得る反応条件下でラセミ化される。次いで、光学的に純粋な式IVaの化合物(98% eeまで)を、Schiff塩基生成条件下、ベンジルアミンと反応させ、イミン中間体、式Vaの化合物を得て、これは立体選択的方法において、式VIbのシス化合物に触媒的に還元した。式VIaの化合物は、化合物VIbが(1R)−(−)−カンファースルホン酸塩に変換される場合、より高い光学(エナンチオマー)純度において製造され、製造例に記載される経路を介して合成される場合、立体化学的純度を増強する化合物VIaの結晶化の必要性を排除する。
【0027】
以下の反応スキームIは、製造例を介して製造される、式VIaの化合物からの式Iaの化合物の精製の例を例示する。
【0028】
スキームI
【化25】

式VIaの化合物は、式Iの化合物の製造における使用のための所望されない(シス2R−3R)−エナンチオマーの存在を最小にする追加的な精製を要する。したがって、スキームIの工程1において、式VIaの化合物の2つの連続する再結晶化を、4−メチル−2−ペンタノン(「MIBK」)において実施した。
化合物VIa(50g)を10%v/vの水/MIBK溶液10容量(500mL)中に懸濁し、そして約88〜90℃に、約2時間まで加熱した。この溶液を冷却し、そしてこの生成物を濾過により単離した。この溶媒で湿った生成物を、水性MIBK 10容量中に再懸濁し、そして約88〜90℃に、約2時間まで再度加熱した。次いで、この溶液を約20〜25℃に冷却し、そしてこの生成物を濾過により単離し、MIBK 0.5容量で洗浄し、次いで乾燥させ、高いエナンチオマー純度(0.2%未満の所望されないエナンチオマー)で、典型的には83〜85%収率で、化合物VIaを得た。
【0029】
スキームIの工程2において、式VIaの化合物を触媒的に脱保護し、この場合、溶媒、例えばメタノールまたはイソプロパノール(プロパン−2−オール、「IPA」)中の、適当な触媒、例えば、パラジウム/炭素、水酸化パラジウム/炭素、白金/炭素、パラジウム/炭酸カルシウム、またはパラジウム/アルミナ(Al2O3)を用いて脱ベンジル化し、反応の場所で式VIIの化合物を得た。この特定の合成において、中間体化合物VIIを単離する必要はなかった。代わりに、化合物VIIを、化合物VIIIおよび水素と、適当な触媒、例えばパラジウム/炭素、水酸化パラジウム/炭素、白金/炭素、パラジウム/炭酸カルシウム、またはパラジウム/アルミナ(Al2O3)の存在下で反応させ、化合物Ibを得た。
【0030】
化合物Ibを、溶媒としてアセトンを用いて再結晶化し、精製された化合物Ibを得た。次いで化合物Iを、化合物Ibから、水性水酸化ナトリウムを用いた塩基性化およびジクロロメタンへの抽出、それに引き続くtert-ブチルメチルエーテルからの再結晶により製造した。次いで、化合物Iをアセトンおよび水の混合物中に懸濁し、そしてクエン酸、引き続きジイソプロピルエーテルを添加した。次いで、生じた固体を濾過により回収し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、次いで乾燥させ、化合物Iaを得た。
【0031】
以下の反応スキームIIは、約68%〜約76%の改良された収率を伴う、式VIaの化合物からの式Iの化合物クエン酸一水和物の別途の精製を例示する。さらに、スキームIIの反応は、中間化合物(括弧でくくられた)が次の合成工程に進められる前に単離を要しない点で改良されている。
【0032】
スキームII
【化26】

【0033】
スキームIIの工程Aにおいて、式VIa(ここでR1が保護基、例えばベンジル、4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、またはトリフェニルメチルである)の化合物の混合物を、アルコール性溶媒、例えばメタノール、エタノールまたはn−プロパノール中、好ましくはプロパン−2−オール中で、場合によりまた、水の存在下で、パラジウム/炭素触媒により、高温(典型的には75〜80℃)および高圧(典型的には50psig水素)で水素化した。当業者は、他の触媒、例えばパラジウム/炭素、水酸化パラジウム/炭素、白金/炭素、パラジウム/炭酸カルシウム、またはパラジウム/アルミナ(Al2O3)も好適でありうることを理解するであろう。
【0034】
中間体である、化合物VIIの生成が完了したら(約1時間)、典型的にはそれぞれアルコール性溶媒、例えばメタノール、エタノール等の中(好ましくは、プロパン−2−オール(イソプロパノール、「IPA」))の溶液として、式VIIIの化合物を、式VIIの化合物を単離することなく、その反応物に添加し、そして混合物を場合により高温、約30℃〜約120℃、窒素雰囲気下で攪拌した。十分な中間体化合物IXaが生成したら、窒素雰囲気を水素で置き換えた。次いで、化合物Ibの生成が完了するまで(典型的には18時間)この反応混合物を場合により高温(約30〜120℃)で、そして高圧(典型的には50psig)で攪拌した。次いで、この反応混合物を(約20〜25℃)で冷却し、そして水素ガスを排出した。このパラジウム/炭素触媒を濾過により除去し、そして生じた化合物Ibの溶液を工程Bに直接取り込んだ。
【0035】
反応スキームIIの工程Bにおいて、典型的にはプロパン−2−オールおよび水の混合物中の化合物Ibの溶液を、蒸留とそれに引き続くトルエンの添加により濃縮した。次いで、この混合物を蒸留により、蒸留の間、必要に応じて追加的なトルエンおよび水を添加して再度濃縮し、十分なイソプロパノールを混合物から除去し、そして適当な溶液容量(典型的には、2〜4容量/kg化合物Ib)を得た。水およびトルエンを必要に応じて添加した(典型的には水約3.5容量およびトルエン約5容量)。当業者は、トルエン以外の他の溶媒、例えば塩化メチレン、酢酸エチル、イソプロピルアセテートまたはtert-ブチルメチルエーテルを利用できることを理解するであろう。攪拌しながら水性水酸化ナトリウムの添加、および必要な場合水性塩酸を添加して、pHを、適当な点(約11.5〜13.5)に調整した。
【0036】
適当なpHが得られたら、水相を分離により除去した。次いで、生成物−含有有機相を蒸留により濃縮した。プロパン−2−オールおよび水の混合物を添加し、そして混合物を蒸留により再度濃縮した。水およびプロパン−2−オールの添加と、その後の蒸留による濃縮を、必要に応じて繰り返し、十分なトルエン(典型的には、GC分析により3%w/w未満のトルエン)を混合物から除去し、そして適当な溶液容量を得て(化合物Ibに関して約4容量)、典型的には、80%w/wより多いプロパン−2−オール、20%w/w未満の水および3%w/w未満のトルエンの最終顆粒化スラリー中の溶媒の組成を得た。
【0037】
十分なトルエンを除去したら、結晶化が生じるまで(典型的には70〜75℃)この混合物を冷却した。生じた懸濁液をさらに冷却し(典型的には20〜25℃まで)、そしてある時間の間、顆粒化し、場合によりさらに約0〜5℃に冷却し、そしてある時間の間、攪拌した。この固体を濾過により回収し、そして濾過ケーキをプロパン−2−オールで洗浄し、そして高温で(典型的には45〜55℃)真空乾燥させ、結晶固体として式Iの化合物を得た。当業者は、プロパン−2−オール以外の他の溶媒、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、アセトニトリル、イソプロピルアセテート、tert-アミルアルコールおよび4−メチル−2−ペンタノンが利用され得ることを理解するであろう。
【0038】
典型的には必要とはされない、反応スキームのオプショナルな工程BXに概略されるように、化合物Iはさらに精製され得る。化合物Iをプロパン−2−オール中に懸濁し、そして混合物を加熱還流し、溶液を得た。次いで、混合物を高められた温度、還流温度(約70〜75℃)以下で、約1時間加熱し、この間、結晶化が典型的には生じる。生じた懸濁液をこの温度で、約1〜2時間の期間維持し、次いで冷却した(約20〜25℃に)。周囲温度である期間(典型的には1〜18時間)攪拌後、固体を濾過により回収した。濾過ケーキをプロパン−2−オールで洗浄し、次いで高温で(約45〜55℃)真空乾燥させ、結晶固体として精製された化合物Iを得た。当業者は、プロパン−2−オール以外の他の溶媒、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、アセトニトリル、イソプロピルアセテート、tert-アミルアルコールおよび4−メチル−2−ペンタノンが利用され得ることを理解するであろう。
【0039】
反応スキームの工程Cにおいて、化合物I(1モル当量)および無水のクエン酸(典型的には1.1モル当量)を、アセトン(典型的には約8〜10容量)および水(典型的には約0.4容量)の混合物中で一緒にし、そして生じた溶液を濾過した。次いで、さらにアセトン(典型的には約2容量)を添加し、通した移動装置を洗浄した。濾液に、フィルター処理したエーテル溶媒、例えばメチルtert-ブチルエーテル(tert-ブチルメチルエーテル、「MTBE」)またはイソプロピルエーテル(「IPE」)(典型的には約10容量)を、場合により高められた温度で(30〜45℃)添加した。場合によりいくらかの種結晶の添加により開始され得る結晶化が起こったら、混合物を、ある期間(典型的には18時間)、典型的には20〜25℃で、場合により高められた温度で(30〜45℃)、この時間の一部の間、顆粒化した。次いで、この固体を濾過により回収した。濾過ケーキをそれぞれのフィルター処理したエーテル溶媒で洗浄し、次いで、60℃未満の温度で(イソプロピルエーテルを用いた場合、室温)、場合により空気または窒素流なしで、真空乾燥させ、結晶固体として化合物Ia、クエン酸一水和物を得た。次いで、生成物を場合により粉砕するかまたはふるいにかけてもよい。
【0040】
オプショナル工程CXにおいて、化合物Iaの純度は、高められた温度で(約35〜50℃)、アセトン(典型的には7容量)および水(典型的には0.3容量)の混合物中にIaを溶解することにより改良され得る。次いで、この混合物を冷却し(約20〜35℃に)そして場合により濾過した。次いで、生じた混合物に、場合により高められた温度で(約30〜40℃)、フィルター処理したエーテル溶媒、例えばtert-ブチルメチルエーテルまたはイソプロピルエーテルを添加した。場合によりいくらかの種結晶の添加により開始され得る結晶化が起こったら、混合物を、ある期間(典型的には18時間)、典型的には20〜25℃で、しかしこの時間の一部の間、場合により高められた温度で(30〜45℃)、顆粒化した。次いで、この固体を濾過により回収した。濾過ケーキをそれぞれのフィルター処理したエーテル溶媒で洗浄し、次いで、60℃未満の温度で(イソプロピルエーテルを用いた場合、室温)、場合により空気なしまたは窒素流で、真空乾燥させ、結晶固体として化合物Ia、クエン酸一水和物を得た。次いで、生成物を場合により粉砕するかまたはふるいにかけてもよい。
【0041】
クエン酸塩以外の他の製薬上許容される塩が利用され得る。例えば、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メシレート、乳酸塩、および塩酸塩またはそれらのインサイチュ等価物は、等モル量の適当な酸を化合物I、遊離塩基溶液に添加することにより製造することができる。
【実施例】
【0042】
一般的な実験手順
式VIaの化合物の再結晶化(スキームI)
機械式撹拌機、還流コンデンサー、温度計およびサーモスタッド油浴を備えた3−L丸底フラスコに、化合物VIa(200グラム)、メチル−イソブチルケトン(「MIBK」)(1900mL)および水100mLを添加した。懸濁液を徐々に、約30分攪拌下に還流する追加熱し、そして88〜90℃で、約15〜30分間維持し、完全な溶液を得た(このMIBK/水共沸混合物は約88℃で沸騰する)。この段階で、混合物は少量の溶解しない水で2相となった。
【0043】
この混合物を、攪拌しながら、約2時間で、室温(約20〜25℃)にゆっくり冷却した。この生成物は、約60℃で沈殿し始めた。懸濁液を、20〜25℃で、約2〜3時間顆粒化したが、また、終夜20℃で保持し、そして沈殿物を濾過し、そしてMIBK約100mLで洗浄した。
【0044】
湿ったケーキ(約220-230グラム)を、MIBK(1700mL)および水91mLを用いて、上記のように再結晶化した。懸濁液を、再度、少なくとも3時間または終夜、20〜25℃で顆粒化した。この生成物を濾過し、そしてMIBK(100mL)で洗浄した。精製された化合物VIaを、恒量となるまで(約18時間)、エアトレイ−ドライヤーにおいて50℃で乾燥させ、白色結晶の精製された固体、化合物VIaを得た。収率85%。キラル純度:(2R−シス)エナンチオマー0.3〜0.5%.
【0045】
プロパン−2−オール/水中の溶液としての、(2S,3S)−2−ベンズヒドリル−N−(5−tert−ブチル−2−メトキシベンジル)キヌクリジン−3−アミン(1R)−10−カンファースルホネート、式Ibの化合物の製造(工程A,スキームII).
プロパン−2−オール(57.9kg)中の(2S,3S)−2−ベンズヒドリル−N−ベンジルキヌクリジン−3−アミン(1R)−10−カンファースルホネート(式VIaの化合物,18.0kg,29.3モル)および水(18.0kg)の混合物に、5%パラジウム/炭素(50%ウォーターウェット)(2.88kg)を添加し、そして生じた混合物を50psi水素圧、75〜80℃で、4時間水素化した。次いで、混合物を15〜20℃に冷却し、そして水素雰囲気を窒素により交換した(5psi)。次いで、この混合物に、プロパン−2−オール(6.47kg)中の5−tert−ブチル−2−メトキシベンズアルデヒド(6.47kg,33.7モル)の溶液を添加した。次いで、この添加系をプロパン−2−オール(4.24kg)で洗浄し、そしてこれを反応混合物に添加し、次いでこの反応混合物を、75〜80℃で2時間、窒素雰囲気下で攪拌した。次いで、生じた混合物を30〜40℃に冷却し、そして窒素雰囲気を水素(50psi)により交換した。次いで、この混合物を、50psi水素圧、75〜80℃で、3.5時間水素化し、その後、この反応物を25〜30℃に冷却し、そして水素圧を、便宜のために、10時間、10psiに減じた。次いで、この反応を水素(50psi)で再度加圧し、そして75〜80℃に11.5時間加熱し、その後、反応物を再び、25〜30℃に冷却し、そして水素圧を便宜のために、10時間、10psiに減じた。次いで、この反応物を水素(50psi)で再度加圧し、そして75〜80℃に3時間加熱し、その結果、75〜80℃の合計の反応時間は、18時間であった。次いで、この反応物を15〜20℃に冷却し、そして水素雰囲気を窒素により交換した。次いで、生じた懸濁液を濾過して触媒を除去し、そして濾過ケーキをプロパン−2−オール(19.8kg)で洗浄した。プロパン−2−オール/水中の(2S,3S)−2−ベンズヒドリル−N−(5−tert−ブチル−2−メトキシベンジル)キヌクリジン−3−アミン(1R)−10−カンファースルホネート(式Ibの化合物)の溶液を含む合体した濾液および洗浄液を、このように、工程Bとして示される次工程に用いた。
【0046】
(2S,3S)−2−ベンズヒドリル−N−(5−tert−ブチル−2−メトキシベンジル)キヌクリジン−3−アミン、式Iの化合物の製造(工程B,スキームII).
上記の工程A(スキームII)の方法を用いて、(2S,3S)−2−ベンズヒドリル−N−ベンジルキヌクリジン−3−アミン(1R)−10−カンファースルホネート(式VIaの化合物,18kg,29.3モル)および5−tert−ブチル−2−メトキシベンズアルデヒド(6.47kg,33.7モル)から各々製造される、プロパン−2−オール/水中の(2S,3S)−2−ベンズヒドリル−N−(5−tert−ブチル−2−メトキシベンジル)キヌクリジン−3−アミン(1R)−10−カンファースルホネート(式Ibの化合物)の3つの溶液を合わせ、合計のおよその容量430L溶液を得た。次いで、これを真空蒸留により、およそ160Lの容量に濃縮した。次いで、トルエン(266kg)を添加し、そして生じた混合物を大気圧で蒸留することにより濃縮し、容量をおよそ160Lにした。次いで、水(216kg)およびトルエン(250kg)を添加し、次いで混合物を20〜25℃に冷却した。水相のpHを攪拌しながら水性水酸化ナトリウムの添加によりpH12.5−12.9に調整した。次いで、この水相を除去し、そして有機相を真空蒸留によりおよそ160Lの容量に濃縮した。次いで、水(30.8kg)およびプロパン−2−オール(218kg)を添加し、次いで生じた混合物を大気圧で蒸留することにより濃縮し、容量をおよそ160Lにした。この時点で、混合物を便宜のために、25〜35℃で18時間保持した。次いで、水(33.8kg)およびプロパン−2−オール(218kg)を添加し、そしてこの混合物を大気圧で蒸留することにより濃縮し、容量をおよそ160Lにした。次いで、水(21kg)およびプロパン−2−オール(141kg)を添加し、そしてこの混合物を大気圧蒸留により濃縮し、容量をおよそ160Lにした。反応混合物の温度を75℃以上に維持する一方、次いで、プロパン−2−オール(97kg)をゆっくり添加し、次いで生じた混合物を70℃に1.5時間冷却し、その間に結晶化が起こった。次いで、生じた懸濁液を20〜25℃に、5時間にわたり冷却し、そしてこの温度で、11時間攪拌した。次いで、固体を濾過により回収し、そして濾過ケーキをプロパン−2−オール(17kgおよび34kg)で2回洗浄した。次いで、生じた固体を50℃で真空乾燥させ、無色固体として表題化合物を得た(35.3kg)。1H-NMR (300 MHz, CDCl3, 30℃) δ : 7.33 (2H, br d), 7.27-7.10 (8H, m), 7.10-7.01 (1H, m), 6.92 (1H, d), 6.65 (1H, d), 4.51 (1H, d), 3.73-3.52 (5H, m), 3.26-3.09 (2H, m), 2.77 (1H, dd), 2.82-2.73 (2H, m), 2.59 (1H, br t), 2.15-2.06 (1H, m), 2.01-1.87 (1H, m), 1.73-1.60 (1H, m), 1.60-1.43 (1H, m), 1.32-1.19 (10H, m). LRMS(陽性大気圧化学イオン化):m/z[MH+]469.
【0047】
(2S,3S)−2−ベンズヒドリル−N−(5−tert−ブチル−2−メトキシベンジル)キヌクリジン−3−アミン、式Iの化合物のオプションの精製(工程BX,スキームII).
プロパン−2−オール(350mL)中の(2S,3S)−2−ベンズヒドリル−N−(5−tert−ブチル−2−メトキシベンジル)キヌクリジン−3−アミン(式Iの化合物,70g)の懸濁液を、1時間加熱還流し、溶液を得た。次いで、生じた混合物を70〜75℃に2時間冷却して、この間、結晶化が起こった。次いで、生じた懸濁液を20〜25℃に、およそ4時間かけて冷却した。次いで、混合物を0〜3℃に0.5時間冷却し、次いで、固体を濾過により回収した。次いで、濾過ケーキを2回、プロパン−2−オール(各70mL)で洗浄し、そして生じた固体を50℃で真空乾燥させ、無色固体として表題化合物を得た(67.7g)。
【0048】
(2S,3S)−2−ベンズヒドリル−N−(5−tert−ブチル−2−メトキシベンジル)キヌクリジン−3−アミンクエン酸一水和物,式Iaの化合物の製造(工程C,スキームII).
アセトン(215kg)および水(13.6kg)の混合物中の(2S,3S)−2−ベンズヒドリル−N−(5−tert−ブチル−2−メトキシベンジル)キヌクリジン−3−アミン(33.95kg,72.4モル)および無水クエン酸(15.3kg,79.7モル)の溶液を、38〜42℃に加熱した。次いで、生じた混合物を別の容器に、インラインフィルターを介して移した。移送ラインおよびフィルターをアセトン(54kg)により洗浄し、そしてこれらのフィルターの洗浄液をこの溶液に添加した。次いで、生じた混合物を20〜25℃に冷却し、そしてフィルター処理したtert-ブチルメチルエーテル(252kg)をおよそ35分の期間にわたり、一部ずつ(portion-wise)添加した。次いで、生じた懸濁液を20〜25℃で、およそ20時間顆粒化した。次いで、固体を、攪拌されるフィルタードライヤーにおいて濾過により回収し、そして濾過ケーキをフィルター処理したtert-ブチルメチルエーテル(各50kg)で2回洗浄した。次いで、生じた固体を35℃で攪拌しながら真空乾燥させ、無色固体として表題化合物を得た(44.4kg)。次いで、この生成物を粉砕した。1H-NMR (500 MHz, d4-メタノール、30℃) δ: 7.46 (2H, d), 7.45 (2H, d), 7.37 (4H, m), 7.31 (1H, m), 7.29 (1H, m), 7.24 (1H, dd), 6.95 (1H, d), 6.76 (1H, d), 4.75 (1H, dd), 4.71 (1H, d), 3.76 (1H, m), 3.57 (1H, d), 3.55 (3H, s), 3.37 (1H, m), 3.31 (1H, m), 3.26 (1H, m), 3.24 (1H, d), 3.10 (1H, t), 2.83 (2H, d), 2.75 (2H, d), 2.51 (1H, m), 2.35 (1H, m), 2.11 (1H, m), 2.06 (1H, m), 1.85 (1H, m), 1.29 (9H, s). 13C NMR (125.7 MHz, d4-メタノール、30℃) δ: 179.4, 175.0, 156.8, 144.0, 141.5, 141.4, 131.1, 130.6, 129.4, 128.9, 128.7, 128.3, 128.2, 127.2, 126.4, 111.0, 74.0, 64.7, 56.1, 54.2, 50.4, 48.5, 48.3, 44.9, 43.8, 34.8, 32.9, 25.3, 22.2, 18.1. LRMS (ES+): m/z[MH+]469.
【0049】
この方法により製造される固体の式Iaの化合物は、以下の粉末X−線回析特性を示した:
【表1】

【0050】
粉末X−線回析パターン収集の詳細
粉末X−線回析パターンを、自動試料交換器、θ−θ角度計、自動ビーム発散スリット、第2のモノクロメーターおよびシンチレーションカウンターが取り付けられたSIEMENS D5000粉末X−線回折計を用いて測定した。サンプルは、シリコンウエハー試料台にカットされた直径12mm、0.25mmの深いキャビティー中に粉末を詰めることによる分析のために調整した。この試料を、40kV/40mAで操作されるX−線管を用いて、銅K−α1X−線(波長=1.5406オングストローム)で照射される間、回転させた。分析を、2°〜40°の2つのθ範囲にわたり、0.02°工程あたり5秒カウント間のステップスキャンモードセットにおいて実行する角度計により、実施した。
【0051】
(2S,3S)−2−ベンズヒドリル−N−(5−tert−ブチル−2−メトキシベンジル)キヌクリジン−3−アミンクエン酸一水和物、式Iaの化合物のオプションの精製(工程CX(スキームII).
フィルター処理したアセトン(213kg)中の(2S,3S)−2−ベンズヒドリル−N−(5−tert−ブチル−2−メトキシベンジル)キヌクリジン−3−アミンクエン酸一水和物(38.47kg,56.7モル)およびフィルター処理した水(11.5kg)の混合物を、38〜42℃に加熱して溶液を得、次いで、これを33〜37℃に冷却した。次いで、この溶液に、33〜37℃の温度を維持しながら、およそ35分の期間にわたり、フィルター処理したtert-ブチルメチルエーテル(201kg)を添加した。次いで、生じた懸濁液を20〜25℃に冷却し、次いで、この温度で、およそ19時間顆粒化した。次いで、固体を、攪拌フィルタードライヤーにおいて、濾過により回収し、そして濾過ケーキをフィルター処理したtert-ブチルメチルエーテル(各々58kg)により2回洗浄した。次いで、生じた固体を攪拌しながら、35℃で真空乾燥させて、無色固体として表題化合物を得た(32.9kg)。次いで、この生成物を粉砕した。
【0052】
好ましい実施態様
1.式Ib:
【化27】

の化合物を製造する方法であって、
(a)式VIa:
【化28】

(式中、R'は保護基である)の化合物を脱保護し、式VII:
【化29】

の化合物を得;
(b)そのようにして生成された式VIIの化合物を、式VIII:
【化30】

の化合物と反応させ、そして還元的アミノ化を実施して、式Ib:
【化31】

の化合物を得ることからなる、上記方法。
【0053】
2.式Ibの化合物のカンファースルホン酸塩を除去し、式I:
【化32】

の化合物を得ることをさらに含む、好ましい実施態様1に記載の方法。
【0054】
3.保護基がベンジル、4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、またはトリフェニルメチルである、好ましい実施態様2に記載の方法。
【0055】
4.脱保護が水素による触媒的水素化分解で行われる、好ましい実施態様3に記載の方法。
【0056】
5.触媒がパラジウム/炭素、白金/炭素、パラジウム/炭酸カルシウム、またはパラジウム/アルミナ(Al2O3)である、好ましい実施態様4に記載の方法。
【0057】
6.還元的アミノ化が、イミンの生成と、引き続く触媒的水素化により行われる、好ましい実施態様5に記載の方法。
【0058】
7.水素化触媒がパラジウム/炭素、白金/炭素、パラジウム/炭酸カルシウム、またはパラジウム/アルミナ(Al2O3)である、好ましい実施態様6に記載の方法。
【0059】
8.式Iの化合物をクエン酸で処理し、式Ia:
【化33】

の化合物を生成することをさらに含む、好ましい実施態様7に記載の方法。
【0060】
9.式I:
【化34】

の化合物を製造する方法であって、
(a)式VIa:
【化35】

の化合物を脱ベンジル化して、式VII:
【化36】

の化合物を得;
(b)そのようにして生成された式VIIの化合物を、式VIII:
【化37】

の化合物と反応させ、そして還元的アミノ化を行って、式Ib:
【化38】

の化合物を得、そして
(c)Ibの化合物のカンファースルホン酸塩を除去し、式Iの化合物を得ることからなる、上記方法。
【0061】
10.脱ベンジル化が触媒的水素化により行われる、好ましい実施態様9に記載の方法。
【0062】
11.触媒がパラジウム/炭素、白金/炭素、パラジウム/炭酸カルシウム、またはパラジウム/アルミナ(Al2O3)である、好ましい実施態様10に記載の方法。
【0063】
12.触媒的水素化により行われる工程(b)の還元的アミノ化をさらに含む、好ましい実施態様9、10または11に記載の方法。
【0064】
13.触媒がパラジウム/炭素、白金/炭素、パラジウム/炭酸カルシウム、またはパラジウム/アルミナ(Al2O3)である、好ましい実施態様12に記載の方法。
【0065】
14.式Iの化合物を単離することをさらに含む、好ましい実施態様13に記載の方法。
【0066】
15.式Iの化合物の単離が酸性の対イオン交換または塩基性化に引き続く選択的結晶化により生じる、好ましい実施態様14に記載の方法。
【0067】
16.結晶化が、水、アルコール、エーテル、炭化水素またはその混合物から選択される溶媒中で達成される、好ましい実施態様15に記載の方法。
【0068】
17.溶媒がイソプロパノール、トルエンもしくは水またはその混合物である、好ましい実施態様16に記載の方法。
【0069】
18.塩基性化が無機または有機試薬の添加により行われる、好ましい実施態様15に記載の方法。
【0070】
19.試薬が水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムである、好ましい実施態様18に記載の方法。
【0071】
20.式Iの化合物をクエン酸で処理し、式Ia:
【化39】

の化合物を生成することをさらに含む、好ましい実施態様9に記載の方法。
【0072】
21.アセトンおよび水の添加をさらに含む、好ましい実施態様20に記載の方法。
【0073】
22.(a)溶液を濾過し;そして
(b)フィルター処理したエーテル溶媒を添加し、
式Iaの化合物を得ることをさらに含む、好ましい実施態様21に記載の方法。
【0074】
23.式Iaの化合物を顆粒化する追加的な工程(c)をさらに含む、好ましい実施態様22に記載の方法。
【0075】
24.エーテル溶媒がtert-ブチルメチルエーテルである、好ましい実施態様22に記載の方法。
【0076】
25.工程(b)の間、高温で熱を加えることをさらに含む、好ましい実施態様22に記載の方法。
【0077】
26.工程(b)の間または後に式Iaの化合物の種結晶を添加することをさらに含む、好ましい実施態様22に記載の方法。
【0078】
27.温度が約30℃〜約45℃である、好ましい実施態様25に記載の方法。
【0079】
28.高温で式Iの化合物を顆粒化することをさらに含む、好ましい実施態様23に記載の方法。
【0080】
29.温度が約30℃〜約45℃である、好ましい実施態様28に記載の方法。
【0081】
30.式Ib:
【化40】

の化合物のカンファースルホン酸塩を除去して、式Iの化合物を得ることからなる、式I:
【化41】

の化合物を製造する方法。
31.式IXa:
【化42】

の化合物を還元し、そのようにして生成された式Ibの化合物を得ることをさらに含む、好ましい実施態様30に記載の方法。
【0082】
32.式VII:
【化43】

の化合物を、式VIII:
【化44】

の化合物と反応させ、そのようにして生成された式IXaの化合物を得ることをさらに含む、好ましい実施態様31に記載の方法。
【0083】
33.式VIa:
【化45】

(式中、R'はベンジル、4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジルまたはトリフェニルメチルから選択される保護基である)
の化合物を脱保護し、そのようにして生成された式VIIの化合物を得ることをさらに含む、好ましい実施態様32に記載の方法。
【0084】
34.式Iの化合物をクエン酸で処理し、式Ia:
【化46】

の化合物を生成することをさらに含む、好ましい実施態様30、31、32および33に記載の方法。
【0085】
35.式VIa:
【化47】

の化合物。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】式Iaの化合物のPXRDパターンを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ib:
【化1】

の化合物を製造する方法であって、
(a) 式VIa :
【化2】

(式中、R'は保護基である)の化合物を脱保護して、式VII:
【化3】

の化合物を得;
(b) 生成した上記式VIIの化合物を、式VIII:
【化4】

の化合物と反応させ、還元的アミノ化を行って、式Ib:
【化5】

の化合物を得ることからなる、上記方法。
【請求項2】
式Ibの化合物のカンファースルホン酸塩を除去し、式I:
【化6】

の化合物を得ることをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
保護基がベンジル、4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、またはトリフェニルメチルである、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
脱保護が水素を用いる触媒的水素化分解により行われる、請求項3記載の方法。
【請求項5】
触媒がパラジウム/炭素、白金/炭素、パラジウム/炭酸カルシウム、またはパラジウム/アルミナ(Al2O3)である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
還元的アミノ化がイミンの生成、引き続き触媒的水素化により行われる、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
水素化触媒がパラジウム/炭素、白金/炭素、パラジウム/炭酸カルシウム、またはパラジウム/アルミナ(Al2O3)である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
式Iの化合物を単離することをさらに含む、請求項2〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
式Iの化合物をクエン酸で処理し、式Ia:
【化7】

の化合物を生成することをさらに含む、請求項2〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
式VIa:
【化8】

の化合物。

【図1】
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【公表番号】特表2007−519710(P2007−519710A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550351(P2006−550351)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000221
【国際公開番号】WO2005/075473
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】