説明

1ピン型バラスト道床用コンクリートブロック吊具

【課題】鉄道線路等のバラスト道床用コンクリートブロックの移動、設置工程において等ブロックの搬送形態から、設置形態への移行を工事者の安全確保を前提として省力、省時間とする器具が必要である。
【解決手段】前記コンクリートブロック移動吊具であって、当ブロックを搬送形態のまま安定吊り上げ移動し、設置場所もしくは、設置場所近くに於いて設置形態に容易に転じ、これを吊戻し設置可能とするブロック姿勢制限機構および受動ロック付き回転可能テーパピンを一体装備したコンクリートブロック移動吊具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のブロックを左右に連結して鉄道線路等の路盤上に敷設することにより、歩行面を確保しバラストの流出を留めるためのバラスト道床用ブロックの搬送、移動施工に好適に使用される吊り具に関する。
具に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道線路等のバラスト道床用コンクリートブロックにはL字型ブロック、T字型ブロック等各種の構造がある。このブロックを施工現場までいくつかの工程を経由して搬送されるが、重量物であることから各種の動力を以て搬送手段に適した積載を実施している。施工現場においては施工方法に準拠した形態へ各種の動力を以てこれを実施している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
鉄道線路等のバラスト道床用コンクリートブロックには各種の形状があり、工事現場搬送までの積載効率上の理由、工事施工個所付近での部材格納環境の制約等で、施工実施形態と異なる形態で保管、搬送される場合が多い。
このため各工程において重量物であるコンクリートブロックを幾度も縦横上下転換することとなる。
ごのような作業については人力で及ばない場合が多く、多人数で対応するか各種動力機を使用せざる得ない。
当然ながら伴う費用と付帯時間が増すこととなる。
また施工に合わせたコンクリートブロック各種の形状の故、搬送、吊り上げに不向きな形状の故、搬送時バランスの崩れは作業者にとって大変危険であるばかりでなく、資材の破損の危惧を含んでいる。また作業撤収において施工補助部材の構成は一体であることが置き忘れ防止管理上も重要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のバラスト道床用コンクリートブロックの吊具は、前記課題を解決する為以下の構成となっている。
工程説明を明確にするため以下の2形態について本発明の詳細を記述する。
搬送形態とは当該ブロックを搬送に最も適した状態を言う。
例えば製造工場から現場資材置き場まで物流システムのトラック等を使用する場合、重量、積載高さ、幅の制約を受けこの条件の中で搬送される。
この形態を搬送形態とする。
また施工時には現場設計に基づいた形態となる。この形態を設置形態とする。
現場までの各形態変換では前記ブロックに対し吊り上げ、縦横左右前後に容易に動かせることが重要となっている。
本発明は上記形態変換作業を最小の人力で実施可能とする一体型吊具である。
【0005】
バラスト道床用コンクリートブロックは、施工立面に水抜き穴が構造的にブロックの幅方向に貫通している。この貫通穴とブロック上面からの抑えを以て吊り上げることを第一の発明構成とする。
【0006】
吊り上げ時の安定姿勢制御に関して、前記ブロックの前背面方向安定(図1 ブロック前後方向)には当発明吊具のアングル部および吊具アングル下部に設置の姿勢転換用受動ロック付き回転ピンによって鉛直方向姿勢が安定となることを第二の発明構成とする。
【0007】
またブロック長手方向上下(図1 ブロック回転方向)の水平方向姿勢は吊具本体アングル上部に設置された張り出しロッド部が機能する。
当ロッドは吊具本体アングル部長手方向に沿って、バネによる伸縮力を以て本体アングル部に設置され、ロッド端部にはコンクリートブロック等の高さに柔軟に対応抑えが利くよう伸張調整可能なボルト構造となっている。
またこのロッドは吊具本体アングル長手方向に垂直方向水平面に自由に回転可能でありロッド抑え位置の水平方向の自由度を持っている。
上記構成により吊り上げ時および移動時においてブロックの姿勢は常時安定となることを第三の発明構成とする。
【0008】
次に搬送形態から設置形態相互の移行に関して発明の詳細を記述する。
搬送形態から設置形態への移行に於いて最も重要な発明はブロックの縦横の位置変更を最小の人力で行えることにある。
鉄道線路等のバラスト道床用コンクリートブロックは施工時立面には、壁面を水抜き穴が貫通している。
前記ブロック吊具アングル下部にはブロック前背面方向安定(図1 ブロック前後方向)に寄与する受動ロック付き回転可能テーパピンが前記水抜き穴に挿入されている。このピン内部には、1軸で支持されたシーソー型のフックを格納している。このピンは吊具アングル接続部を中心に回転可能構造であり前記プロッく水抜き穴に貫通装着時当該ブロックと一体回転可能として、ブロック吊り上げ時の前背面方向を姿勢制御と同時に縦横方向を自由に換えることが可能となる。
当該ブロックを一点支持において回転可能であるが故、人力最小限にてこの行為が成されることを第四の発明構成とする。
上記姿勢制御、縦横方向変換時の安全性について以下の構造が寄与する。
回転可能テーパピン内格納のシーソー型フックは図5a符号2.3の如くブロック装着時には支障無く挿入可能で挿入完了時に、シーソー効果を以てブロックのアングル側反対部にロック部図5b符号2.3bがせり上がり吊具アングルからブロックの外れを確実に防止出来ることを第五の発明構成とする。
姿勢制限機構図1A張り出しロッド部は、前記コンクリートブロックの吊り上げ状態姿勢を固定安定するよう吊具本体アングル長さ方向垂直水平面に回転可能で、吊具本体アングル部にバネダンパーを以て設置され、前記張り出しロッド部端部には高さ調整自在のボルト構造一体板部を、緩衝材を介して前記コンクリートブロック上面を押圧とする構造とすることを第六の発明構成とする。
本発明に於いて上記機能を一体型構造とすることにより各工程の省力化と施工者の安全性が確保される。
【発明の効果】
【0009】
バラスト道床用コンクリートブロック搬送、施工工程における吊り上げ移動、吊戻し施工に於ける前記コンクリートブロックの搬送形態から施工形態への移行を、電動モーター等動力の依存無く最小限の人力で短時間で安全に実施可能となる。
以下に、本発明に係る実施例を、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0010】
図1はバラスト道床用コンクリートブロック単体と吊具実装図である。
吊具本体であるアングル部と、コンクリートブロックの水抜き穴に受動ロック付き回転可能テーパピンを以て前記ブロックを横に吊り上げ状態を示している。
前記ブロック水平安定のため吊具本体アングルからの張り出しロッド部により前記ブロック上面を押下支持している。
【実施例2】
【0011】
図2は吊具本体構造を示している。
バラスト道床用コンクリートブロック単体の搬送状態から施工状態への縦横変換軸となる受動ロック付き回転可能テーパーピン図2符号2.2移動、縦横変換時前記ブロックの抜け落ちを防止するシーソー型フック機構を図2符号2.3に示す。
【実施例3】
【0012】
図3はバラスト道床用コンクリートブロック単体を搬送状態から施工状態への縦横変換した状態を示す。図3Aは搬送状態を示し、図3Bは張り出しロッド部を前記ブロック上面から回転解除した状態でブロックを施工状態に変換したものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】バラスト道床用コンクリートブロック単体と吊具実装図
【図2】吊具本体構造
【図3】バラスト道床用コンクリートブロック単体搬送状態、施工状態
【図1.1a】バラスト道床用コンクリートブロック単体平面図
【図1.1b】バラスト道床用コンクリートブロック単体側面図
【図1.1c】バラスト道床用コンクリートブロック単体正面図
【図4a】回転可能テーパピン平面図
【図4b】回転可能テーパピン側面図
【図5a】回転可能テーパピン挿入中状態図
【図5b】回転可能テーパピン挿入後状態図
【図6】シーソー型フック正面図
【符号の説明】
【0014】
A部 張り出しロッド部
B部 水抜き穴
1.1 バラスト道床用コンクリートブロック単体
1.2 落ち防止ボルト
1.3 吊り上げ用鎖
1.4 吊具本体アングル
1.5 張り出しロッド
1.6 ボルト構造一体板部
2.1 バネ
2.2 回転可能テーパーピン
2.3 シーソー型フック
2.4 緩衝材1
2.5 緩衝材2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道線路等のバラスト道床用コンクリートブロックの吊り上げ吊戻し具に関わり、搬送、施工工程における吊り上げ移動、吊戻し施工に於ける前記コンクリートブロックの搬送形態から施工形態への移行を、電動モーター等動力の依存無く最小限の人力で実施可能とする姿勢制限機構図1Aおよび姿勢転換用受動ロック付き回転可能テーパーピン図1B一体装備した前記コンクリートブロック移動吊具。
【請求項2】
鉄道線路等のバラスト道床用コンクリートブロックの搬送形態もしくは施工形態に基づく当該ブロック上面と前記コンクリートブロック側面に貫通構築された水抜き穴を以て吊り上げ移動を可能とし、前記コンクリートブロック姿勢制限機構図1Aおよび姿勢転換用受動ロック付き回転可能テーパーピン図1Bを一体装備した前記コンクリートブロック移動吊具。
【請求項3】
鉄道線路等のバラスト道床用コンクリートブロック移動吊具は前記コンクリートブロックを吊り下げる鎖およびシャクル取り付け部、本体アングル部、姿勢制限機構図1A張り出しロッド部、姿勢転換用受動ロック付き回転可能テーパーピン図1Bで構成する。
【請求項4】
鉄道線路等のバラスト道床用コンクリートブロック移動吊具は前記コンクリートブロックを吊り上げ状態にて搬送形態もしくは施工形態相互の転換を目的とし移動吊具本体アングル下部に抜け落ち防止ボルト形状端部をもつテーパピンを本体アングルに対し回転可能とする設置構造とする。
【請求項5】
請求項4記述の回転可能テーパピンは搬送形態および施工形態において前記コンクリートブロックの水抜き穴に挿入装着され、前記ブロックの搬送形態もしくは施工形態相互の転換を行う時、前記コンクリートブロックと一体となって回転し、最小限の人力による容易な形態転換を可能とする。
【請求項6】
請求項4記述の回転可能テーパピンはシーソー型フック図6を内蔵し、当該テーパピンを前記コンクリートブロックの水抜き穴に挿入装着の際、前記シーソー型フック端部図5a符号2.3aの下降同時に図5b符号2.3b上昇により、前記コンクリートブロックを抜け止め固定する。
【請求項7】
請求項3記述の姿勢制限機構図1A張り出しロッド部は、前記コンクリートブロックの吊り上げ状態姿勢を固定安定するよう吊具本体アングル長さ方向垂直水平面に回転可能で、吊具本体アングル部にバネダンパーを以て設置され、前記張り出しロッド部端部には高さ調整自在のボルト構造一体板部を、緩衝材を介して前記コンクリートブロック上面を押圧とする構造とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図1.1a】
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【図1.1b】
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【図1.1c】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−231604(P2011−231604A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116727(P2010−116727)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(597165928)栄松通商株式会社 (4)
【Fターム(参考)】