1回用量吸入装置
薬学的に有効な成分、および、HFA134a、HFA227、又はこれらの混合物からなる液化エーロゾル噴射剤を含む加圧製剤の1回用量(30)を収容する気密封止容器(1)を備え、容器の少なくとも一部(12)が穿孔可能である吸入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、加圧液化噴射剤をベースにする製剤の予め計量された1回用量を保持する単一の気密封止容器を備える1回用量吸入装置(single−dose inhalation devices)に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧定量吸入器は、喘息および他の呼吸器症状の治療のために40年以上の間使用されてきた。加圧定量吸入器は、噴射剤をベースにする製剤の多数回の用量が充填されている容器と共に、要求に応じて個々の計量された用量を分配するための計量弁を備える。慣用的な定量吸入器の欠点の1つは、幾つかの治療処方計画に適切な少数回の用量(例えば、30未満)を提供するのが困難なことである。更に、製剤の個々の用量を提供することがある乾燥粉末吸入装置又は液体経鼻的装置が市販されており、二酸化炭素、酸素又は窒素などのガスを含む1回用量吸入装置が提案されてきた(1979年に公開された米国特許第4,137,914号明細書を参照)が、今日まで商業的に実現可能な1回用量加圧吸入装置は提案又は商業化されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
薬学的に有効な成分を肺に送達するのに好適な、商業的に実現可能な加圧1回用量吸入装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
薬学的に有効な成分、および、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227)、又はこれらの混合物からなる液化エーロゾル噴射剤を含む加圧製剤の1回用量を収容し、容器の少なくとも一部が穿孔可能である(即ち、穿孔されることができる)単一の気密封止容器を使用することにより、装置が作動されると、従って容器の穿孔時に、エーロゾルが発生し、薬学的に有効な成分を肺に送達することを可能にする吸入装置が提供されることが分かった。更に、吸入用の発生したエーロゾルは、有利には、液化噴射剤と共に薬学的に有効な成分の微細な液滴を含み、有効成分を患者の肺に確実に送達し搬送することを可能にする。
【0005】
従って、本発明は、薬学的に有効な成分、および、HFA134a、HFA227、又はこれらの混合物からなる液化エーロゾル噴射剤を含む加圧製剤の1回用量を収容する気密封止容器を備え、容器の少なくとも一部が穿孔可能である吸入装置を提供する。
【0006】
例えば、二酸化炭素、酸素、又は窒素などの圧縮ガスを含む、以前提案された加圧1回用量装置(米国特許第4,137,914号および米国特許第6,602,213号を参照)では、システムの作動(又は始動)時に、圧縮ガスは直ぐに気化し、従って、有効成分だけを有する「ハード型の(hard)」エーロゾルを発生させ、装置は薬剤の肺への、又はその適正な分量の送達に適していない。米国特許第4,137,914号に提案されている装置では、薬剤の多くは、単にマウスピースの内面に堆積する(閉塞前、実際にその用量が開示されている毛細管を通過できる場合)ことが分かった。米国特許第6,602,213号に開示されている装置では、始動時に前賦活(proactive)送達手段が完全に気化する(有効成分だけを有するハード型のエーロゾルを提供する)ように、装置に室温で十分に高い蒸気圧が提供され、米国特許第4,137,914号に提案されている装置と同様に、薬剤の多くは、単に装置の表面に直ぐに堆積する、および/又は装置内に保持される。
【0007】
本明細書に記載される装置の容器は、好ましくは、周囲温度(22℃)で容器内の内部圧力が比較的低い、例えば、多くとも絶対圧力で7気圧である。これは、容器の形状が回転楕円体(内部圧力が高い容器に典型的には必要な形態)である必要がないという点で、とりわけ費用効果および製造の容易さに関して有利である。また、好都合には、容器の少なくとも穿孔可能な部分は、容器を穿孔するのに使用される撃針の撓み又は滑りの回避に役立つように、実質的に平面状の部分として提供される。穿孔中の望ましくないエーロゾルの漏れを回避するため又は最小限にするため、このような穿孔は、好ましくは迅速である。また、容器の内容積は、望ましくは0.3ml未満である。加圧製剤の容積は、典型的には、多くとも150μlである。
【0008】
本発明による装置は好ましくは撃針を更に備え、撃針は、両端に開口部を有するチャネルを備え、第1の端部は容器の方に位置決めされている、より望ましくは、チャネルは撃針の内面によって画定されている。特に、容器を穿孔する確実で迅速な発射力(患者によって提供されるあらゆる力と無関係)を提供するため、容器および撃針は、望ましくは、例えば、圧縮ばねの使用により互いの方に相互に付勢されている。この場合、装置は、その保管位置では容器と撃針が離間保持され、装置が作動されると保持が解除され、容器と撃針が相互に移動して撃針が容器の少なくとも穿孔可能な部分を穿孔し、エーロゾル製剤がチャネルを通過して患者に到達するように構成されている。「相互に付勢されている」の用語は、容器が撃針の方に付勢されている、又は撃針が容器の方に付勢されている、又は容器と撃針の両方が互いの方に付勢されていることを意味する。「相互に移動」の用語は、容器が撃針の方に移動する、又は撃針が容器の方に移動する、又は容器と撃針の両方が互いの方に移動することを意味する。作動中の撃針による撓み又は撃針の滑りを回避するため、撃針が装置内に固定保持されている状態で、容器は、好ましくは撃針の方に付勢されている。この場合、装置の保管位置では容器が撃針から離間保持され、装置が作動されると保持が解除され、容器が撃針の方に移動すると、撃針は容器の少なくとも穿孔可能な部分を穿孔し、エーロゾル製剤はチャネルを通過して患者に到達する。容器の少なくとも穿孔可能な部分が撃針で穿孔されると、撃針のチャネルの第1の端部が加圧製剤の液体部分に入るように、装置が構成されることが好ましい。
【0009】
撃針のチャネル内の閉塞を最小限にするため、チャネルは、好ましくは毛細管の形態で提供されない。撃針チャネルの内面は、膨張チャンバ、即ち、膨張するエーロゾルが穿孔された容器から放出された後、スプレー微粒化(spray break−up)オリフィスなどのより制限された部位を後で通過する前に通過するチャンバを提供するように構成されてもよい。閉塞の可能性を更に最小限にするため、チャネルの内面は、有利には、第1の端部から第2の端部まで略円錐状である。望ましくは、撃針のチャネルは、概ね単軸線に沿って延びる。典型的には、容器の方に位置決めされた撃針の最外部表面(例えば、撃針の先端の最外部部分)に、容器の少なくとも穿孔可能な部分を穿孔できる穿刺器が設けられる。撃針の変形によって起こる望ましくないチャネルの閉塞、および/又は、穿孔時の望ましくないエーロゾルの漏れを回避するために又は最小限にするために、チャネルの入口を撃針の最外部表面から僅かに偏らせることが有利であると分かった。従って、好ましい実施形態では、撃針のチャネルの第1の端部は、最外部表面から後退し、穿刺器に隣接して位置決めされている。
【0010】
本発明による装置は、好適には、通路を有し、患者の口又は鼻(一方又は両方の鼻孔)に挿入するように構成された出口を更に備える。コンパクトな装置を提供するため、撃針のチャネルが実質的に単軸線を画定し、出口通路が実質的にその軸線に沿って、又は実質的にその軸線に平行に延びることが望ましい。
【0011】
好ましくは、装置は、1回使用した後に使い捨てされる、即ち、例えば、第2の(交換)容器で再充填できないように設計されている。本明細書に記載される装置は、手動で(例えば、ボタン又はレバーを押すことによって)、又は吸入によって(即ち、呼吸作動)作動されてもよい。呼吸作動が好ましい。例えば、全身性の病気の治療のために薬学的に有効な成分を送達するには、エーロゾルが肺深部(例えば、肺胞部位)に浸透することを必要とする傾向がある。これには、用量放出を患者の吸気操作の初期部分とよく協調させる必要がある。呼吸作動は、特に吸入器を初めて若しくは1回の治療のために使用する患者について、又は、吸入器をごく稀にしか使用しない患者について、必ずこのように協調させる確実な方法を提供する。
【0012】
従属請求項は、本発明の他の実施形態を定義する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下の図面又は図を参照し、本発明、その実施形態、および他の利点を以下に記載する。
【0014】
図は全て同じ縮尺で記載されているわけではないことを理解されたい。
【0015】
また、本発明は、本明細書に記載されている本発明の好適な、好都合な、特定の、望ましい、有利な、および好ましい態様の全ての組み合わせを包含することも理解されたい。
【0016】
図1〜図8は、本発明による第1の例示的実施形態を示す。この例示的実施形態は、使い捨ての呼吸作動式1回用量吸入装置である。図7を参照すると、この吸入装置は、図6で更によく見ることができる少なくとも穿孔可能な部分(1a)を備える気密封止容器(1)を備える。穿孔可能な部分は、有利には、例えば、容器本体(1c)、特に金属容器本体上にレーザ溶接される(参照により本明細書に組み込まれる本出願人の同時係属中の出願GB0418738(2004年8月23日出願)に記載)箔(1b)、特に金属箔の形態であってもよい。容器は、薬学的に有効な成分、および、HFA134a、HFA227又はこれらの混合物からなる液化エーロゾル噴射剤を含む加圧製剤の1回用量(30)を収容する。
【0017】
図7から分かるように、本明細書に記載される吸入装置に使用される容器は、望ましくはエラストマーシールおよび隔膜および/又は分配弁がなく、これは、貯蔵中の漏れ、並びに外部環境からの空気又は水分の侵入、および/又は、シールおよび/又は隔膜材料との望ましくない相互作用を回避するのに有利である。また、図7から分かるように、容器は、望ましくは、HFA−134aおよび/又はHFA−227をベースにする医薬用製剤の1回用量を収容するのに適切な寸法に作られる(例えば、少量の又は最小限の量のヘッドスペースを有する)。このような薬学的に有効なエーロゾル製剤の1回用量を収容するため、容器の内容積は、望ましくは、0.3ml未満、より望ましくは0.2ml以下、更により望ましくは0.15ml以下、最も望ましくは約0.15mlである。好適には、容器の内容積は、少なくとも0.1mlである。前述のように、加圧製剤の容積は、典型的には多くとも150μl、より望ましくは多くとも約100μl、最も望ましくは多くとも約80μlである。典型的には、加圧製剤の容積は、少なくとも約25μl、より望ましくは少なくとも約40μl、最も望ましくは少なくとも約50μlである。また、前述のように、容器内の内部圧力は、望ましくは周囲温度のとき多くとも絶対圧力で7気圧、より望ましくは多くとも絶対圧力で約6.5気圧、更により望ましくは絶対圧力で約3〜約6.5気圧、最も望ましくは絶対圧力で約4〜約6.5気圧である。
【0018】
容器の少なくとも穿孔可能な部分は、実質的に平面状の部分として提供され、撃針が平面状の部分に接触する時の撃針(後述)の滑り又は撓みを最小限にするようになっていてもよい。有利には箔の形態、特に金属箔(例えば、アルミニウム又はステンレス鋼の箔)の形態であってもよい容器の少なくとも穿孔可能な部分の厚さは、好適には多くとも250μmである。容器の堅牢性のため、少なくとも穿孔可能な部分、特に前文に記載されている箔では少なくとも25μmの厚さが好都合である。容器のより高い堅牢性のため、少なくとも38μmの厚さが望ましく、より望ましくは少なくとも50μmである。例えば、穿刺による容器へのアクセスを更に容易にするため、多くとも150μmの厚さが望ましく、より望ましくは多くとも100μm、最も望ましくは多くとも75μmである。
【0019】
図1〜図8に示されている例示的実施形態に戻ると、容器は、容器ホルダ(2)とキャリッジ(3)の間に保持されてもよく、それによって容器の穿孔可能な部分(1a)は、撃針(12)の方に面するように位置決めされる(例えば、図7を参照)。撃針(12)は、望ましくは、単軸線(X)に沿ってチャネルを画定する内面を有し、ここで、チャネルは、容器の方に位置決めされる第1の端部に1つの開口部を、患者の口に挿入されるように構成されている出口(9)の方に位置決めされる第2の端部に1つの開口部を有する。或いは、出口は、患者の鼻腔に挿入されるように構成されてもよい。有利には、チャネルは第1の端部から第2の端部まで略円錐状になっていてもよい。例示的実施形態に見られるように、概ね細長い円筒状の構成要素の形態(図4で更によく見ることができる)である出口又はマウスピース(9)は、望ましくは、前述の軸線(X)に沿って、又はそれに平行に延びる通路を有する。出口(9)は、例えば、間に位置決めされるスペーサ(25)(また、図4を参照)の使用を介して、撃針(12)に固定されてもよい。スペーサは、(例示的実施形態におけるように、および、図3および図4で最もよく見られるように)出口の一体部分であっても、又は、撃針の一体部分であっても、又は、出口および撃針若しくはスペーサに固定されている別々の構成要素であってもよい。望ましくは、撃針(12)の内面と同様に、スペーサ(25)の内面は、撃針の方の第1の端部から出口(9)の方の第2の端部まで略円錐状の通路を画定する。スペーサ(25)は、孔又はスリット(15)を具備してもよく、その機能をより詳細に後述する。
【0020】
容器の方に位置決めされている撃針の最外部表面に、好適には、穿刺器、例えば、鋭利な先端部の形態の穿刺器が設けられる。撃針の先端(20)の一部の拡大図を概略的に示す図14を参照すると、チャネルの第1の端部は、有利には、撃針の最外部表面から後退し、穿刺器に隣接して位置決めされる。図15は、代替の先端の拡大図を示し、その中に膨張チャンバ(50)およびスプレー微細化オリフィス(51)が設けられている。
【0021】
撃針又はその先端は、好適には、容器の少なくとも穿孔可能な部分の穿孔を可能にする材料、例えば、金属又はポリマー材料を含む材料で製造される。驚くべきことに、その部分が金属(例えば、ステンレス鋼又はアルミニウム)、例えば、金属箔(厚さ50μmのステンレス鋼箔など)から形成されているときでも、ポリブチレンテレフタレート、アセタール、および/又はポリカーボネートを含むものなどの射出成形されたポリマー撃針を使用して、気密封止容器の穿孔可能な部分を効果的に穿孔できることが分かった。傾斜切削されたステンレス鋼先端部などの代替の形態の穿刺器も好適である。
【0022】
図1〜図8に示されている例示的実施形態に戻ると、装置は本体又はハウジング(8)を具備してもよく、その中に、キャップ(7)と出口(9)の間に取り付けられるガイド(4)の周囲に着座するピストン(5)が配置されている(図7を参照)。キャップ(7)と本体(8)の間の、キャップの方に面するピストン(5)の肩部付近に空気入口(14)(その機能は後述する)を設けてもよい(図2を図7および図8と共に参照)。図7を参照すると、撃針(12)はガイド(4)に接し、このようにしてそれを所定の位置に保持する。好適にはガイド(4)内にキャリッジ(3)が配置され、それに容器ホルダ(2)が容器(1)と共に留め付けられている。容器(1)、特に、容器ホルダ(2)、容器(1)、およびキャリッジ(3)のアセンブリが撃針(12)の方に(および、従ってキャップ(7)から離れるように)付勢されるように、圧縮ばね(6)は、望ましくは、キャップ(7)と容器ホルダ(2)の間に取り付けられている。
【0023】
装置の保存されている状態又は供給時の状態では、容器は好適には、保持システムの使用により撃針から離間保持されている(即ち、撃針の方に移動できない)。例えば、図1〜図8に示されている例示的実施形態では、図7から分かるように、例えば、ガイド(4)の一部である2つのポスト(13a、13b、図7では見えないが、図3および図5では見える)に半径方向に回転可能に取り付けられている1対の止め(11a、11b)によって保持されているため、アセンブリ(1、2および3)は移動できない。これらの止め(11a、11b)の外端は、望ましくは、より詳細に以下で説明するように半径方向外側に付勢されている。例示的装置の作動のため、容器(1)、および、特に容器を備えるアセンブリ(1、2、3)は、より詳細に以下で説明するように、ポスト(13a、13b)を中心に止め(11a、11b)が回転する時、解放される。しかし、その保存されている状態又は供給時の状態では、止め(11a、11b)はピストン(5)の存在のためポスト(13a、13b)を中心に回転できない。
【0024】
有利には、装置は、患者に供給される時、患者が装置を使用する準備が整うまで保持機構(例えば、止め)の解除を防止するフェイルセーフ機構も備える。特に装置は、有利には、出口を被覆するように装置に好適に取り付けられ、保持システム(例えば、止め)の解除を防止するフェイルセーフ機構を具備する取り外し可能なカバーを備えてもよい。例えば、図7で分かるように、図1〜図8に示されている例示的実施形態では、取り外し可能なカバー(10)は、出口(9)を被覆するように本体(8)に留め付けられ、カバー(10)の内面に設けられる突起(21)はスペーサ(25)の孔(15)を貫通してピストン(5)に接し、ピストン(5)を移動できないように所定の位置に保持し、このようにして止め(11a、11b)の回転を防止する。有利には、カバーは、綿埃、汚れ、又は他の汚染物質が空気入口の中に侵入することを防止するため、装置のどの空気入口(存在する場合)も被覆するように形成および構成されてもよい。例えば、図1〜図8に示されている例示的実施形態では、カバー(10)は、装置のキャップ(7)付近にある空気入口(14)を被覆する長いクリップ(22)も備える。例えば、保存されている状態又は供給時の状態(図1)、およびカバー(10)取り外し時の状態の例示的実施形態の斜視図を示す図1および図2も参照されたい。
【0025】
図1〜図8に示されている例示的実施形態では、既に説明したように、キャリッジ(3)並びに容器(1)および容器ホルダ(2)は、ばね(6)によって撃針(12)の方に付勢されている。ガイド(4)の内壁の2つの軌道(19)の傾斜した上部輪郭と係合する、2つの傾斜した歯(18)をキャリッジ(3)の外側に設けることにより、吸入器が供給時の状態にあるとき、キャリッジ(3)は、また、ばね(6)の影響で回転(図5に見られるように略時計方向に)付勢されている。また、キャリッジ(3)の外面に、好適には、止め(11a、11b)の突出部分(16)と係合する2つの凹部(17)が設けられ、これらの凹部(17)は、その端部に傾斜面を有し、このようにして止め(11a、11b)の外端に半径方向外側に付勢力を加える。また、止め(11a、11b)の別の突出部分(23)はガイド(4)の2つの凹部(24)と係合する。
【0026】
図1〜図8に示されている例示的な呼吸作動式装置を使用するため、患者はまずカバー(10)を取り外して廃棄し、それによってピストン(5)のロックが解除される。しかし、ピストンは2つの止め(11a、11b)からピストンの内側に半径方向外側に及ぼされる摩擦力のため、移動しない。患者が出口、例えば、マウスピース(9)を口に入れ、装置を通して吸入を開始するとき、ピストン(5)の前の部位と後の部位の間に圧力差が生じる。圧力差が十分なとき、ピストンは、2つの止め(11a、11b)によりそれにかかる摩擦抵抗を克服することができ、前方に患者の方に移動する。ピストン(5)が移動すると、2つの止め(11a、11b)は、前述の半径方向外側への付勢力の影響でポスト(13a、13b)を中心に外側に回転することが可能になる。また、ピストン(5)が更に移動すると、空気入口(14)が露出する。止め(11a、11b)の突出部分(16)がキャリッジ(3)の凹部(17)から係脱する時(図5および図8を参照)、キャリッジは自由になり、前述の回転付勢力の影響で回動する。歯(18)がばね(6)の影響で軌道(19)を軸線方向に下方移動するのに十分キャリッジ(3)が回転するまで、2つの傾斜した歯(18)は軌道(19)の上部の傾斜した輪郭を下方移動する。換言すれば、吸入によりピストン(5)が移動すると、容器を備えるアセンブリ(1、2、3)の解放が可能になり、これは、その後、ばね(6)の影響で撃針(12)の方に迅速に加速される。容器(1)の穿孔可能な部分(1a)が撃針(12)の先端(20)に当たると、箔が破壊し、このようにして、加圧製剤の用量はエーロゾル雲として撃針(12)のチャネルを通して放出される。用量はスペーサ(25)の通路を流下し、そこで、入口(14)から流入して穴(15)を通る吸入された空気流と混合し、出口(9)の通路を通り、出口(9)から出るため、患者はこのようにして用量を吸入することができる。
【0027】
装置が発射して用量を放出する引き金になる吸入による圧力低下は、例えば、止め(11a、11b)、キャリッジ(3)、およびガイド(4)の様々な相互作用面の角度の選択により、製造業者によって適切に選択されてもよい。
【0028】
図7から最もよく分かるように、望ましくは、吸入装置は、撃針によって容器の少なくとも穿孔可能な部分が穿孔されると、撃針のチャネルの第1の端部が加圧製剤の液体部分に入るように構成されている。図1〜図8に示されている例示的実施形態(並びに、下記で詳細に検討する第2の例示的実施形態)では、容器は撃針に対して中心に(軸線Xに沿って)配置されている。しかし、或いは、例えば、患者が装置を使用する典型的な(略水平な)位置で撃針が容器を穿孔し、撃針チャネルの第1の端部の下端又は下端付近(ヘッドスペースから離れたところ)が加圧製剤の液化部分に入るように、撃針に対する容器の位置決めは、中心から外れるように配置されてもよい。
【0029】
第1の例示的実施形態の保持および解除の構成の性質、並びに、出口の軸線に対するピストンとキャリッジの移動のインライン構成のため、装置は特に小さくコンパクトになる。他の保持および解除構造も可能である。
【0030】
本発明による第2の例示的実施形態は、図9〜図13に示されている。この装置は、図1〜図8に示されている第1の例示的実施形態に類似しており、主に、それが呼吸作動式のものではなく「押して呼吸する」タイプの吸入器であるという点で異なる。
【0031】
図12および図13を参照すると、この例示的吸入装置は、それが、少なくとも1つの穿孔可能な部分(1a)を備える気密封止容器(1)を備えるという点で第1の例示的実施形態に類似している。その部分は、有利には、例えば、容器本体(1c)、特に金属容器本体上にレーザ溶接されている箔(1b)、特に金属箔の形態であってもよい。ここでも、容器は、薬学的に有効な成分、および、HFA134a、HFA227又はこれらの混合物からなる液化エーロゾル噴射剤を含む加圧製剤の1回用量(30)を収容する。ここでも、容器は、容器ホルダ(2)とキャリッジ(3)の間に保持されてもよく、それによって容器の穿孔可能な部分(1a)は、好適には撃針(12)の方に面するように位置決めされる(例えば、図12および図13を参照)。
【0032】
また、第1の実施形態と同様に、撃針(12)は、有利には、単軸線(X)に沿ってチャネルを画定する内面を有し、ここで、チャネルは、容器の方に面する第1の端部に1つの開口部を、出口(9)の方に面する第2の端部に1つの開口部を有する。出口(9)は、患者の口に挿入されるように構成されている。撃針のチャネルは、有利には、第1の端部から第2の端部まで略円錐状になっている。ここでも、概ね細長い円筒状の構成要素の形態である(図9で更によく見ることができる)出口又はマウスピース(9)は、望ましくは前述の軸線(X)に沿って、又はそれに平行に延びる通路を有する。出口(9)は、例えば、間に位置決めされるスペーサ(25)の使用を介して撃針(12)に固定されてもよい。スペーサ(25)の内面は、望ましくは、撃針の方の第1の端部から出口(9)の方の第2の端部まで略円錐状の通路を画定する。スペーサ(25)は、孔又はスリット(15)を具備してもよい。
【0033】
図12および図13を参照すると、この例示的装置は、好適には本体又はハウジング(8)も具備し、その中に、キャップ(7)と出口(9)の間に取り付けられるガイド(4)が配置されている。キャップ(7)と本体(8)の間の、キャップの方に面するガイドの端部付近に空気入口(14)を設けてもよい(図10を図12および図13と共に参照)。第1の例示的実施形態におけるように、先端(20)が好適には鋭利な先端部の形態の穿刺器を備え、チャネルの第1の端部の開口部が望ましくはそれに隣接して配置されている(図14および図15を参照)撃針(12)は、ガイド(4)に接し、このようにしてそれを所定の位置に保持する。好適にはガイド(4)内にキャリッジ(3)が配置され、それに容器ホルダ(2)が容器(1)と共に留め付けられている。容器(1)、特に、容器ホルダ(2)、容器(1)、およびキャリッジ(3)のアセンブリが撃針(12)の方に付勢されるように、圧縮ばね(6)が、望ましくは、キャップ(7)と容器ホルダ(2)の間に取り付けられている。
【0034】
図12および図13を参照すると、容器(1)、および、特に容器を含むアセンブリ(1、2、3)は、好適には、ガイド上に設けられた止め(41)の使用により撃針(12)から離間保持され、それによって止め(41)はキャリッジ(3)上に設けられたタブ(42)に係合する(および、従ってそれを保持する)。
【0035】
第1の実施形態と同様に、この実施形態は、有利には、装置(例えば、本体(8))に留め付けられ、出口(9)を被覆する取り外し可能なカバー(10)を備える。カバーは、望ましくは、スペーサ(25)の穴(15)を貫通し、キャリッジ(3)に接し、それを移動しないように所定の位置に保持するのに役立つ突起(21)を具備する。カバー(10)は、また、汚染物質が吸入器の空気入口(14)に侵入することを防止する2つの長いクリップ(22)も有する。
【0036】
装置を使用するため、患者はまず、カバー(10)を取り外して廃棄し、それによって空気入口(14)を露出させる(図13を参照)。次いで、患者は、出口(9)を口に入れ、吸入を開始し、それによって、空気入口(14)を通り、穴(15)を通り、スペーサ(25)およびマウスピース(9)内の部位に入る気流が起こる。それと同時に、患者は、ガイド(4)の一部として一体成形されているボタン(40)を押す。ボタンを押すと、止め(41)が外側に回転し、キャリッジ(3)のタブ(42)との係合から離れ、キャリッジ、および、従って容器を含むアセンブリ(1、2、3)がばね(6)の影響で自由に移動することが可能になる。容器を含むアセンブリ(1、2、3)は、従って、撃針(12)の方に迅速に加速され、用量を放出する。患者は、吸入装置を通る空気流と混合された呼吸に適するエーロゾルとして用量を吸入する。
【0037】
前述の2つの例示的吸入装置は、完全に使い捨てである、即ち、再充填できないことが意図されているが、容器又は容器を具備する装置の何らかのサブアセンブリを交換するため、例えば、患者又は介護者が装置の内側にアクセスできるように、装置に、例えば、アクセスパネルが設けられている装置の実施形態を容易に想倒し得ることが当業者に明らかである。
【0038】
上記説明は、吸入装置の実施形態の2つの実施例を提供する。EP551 338(マコーギー(McAughey)およびプリチャード(Pritchard))に開示されているようなバッフル、又は、米国特許第5,115,803号(スータス(Sioutas))に開示されているような大きいボウル構成を含む特徴を出口部位に提供することなど、代替の実施形態および特徴も想到され得る。図16は、バッフル(55)が支持体(図示せず)によって中心に保持されているマウスピースの形態の出口部位を示す。
【0039】
容器内に収容され、薬学的に有効な成分、および1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227)、又はこれらの混合物からなる液化エーロゾル噴射剤を含む加圧製剤は、任意に、界面活性剤、防腐剤、香味料、酸化防止剤、抗凝集剤、および補助溶剤(例えば、エタノール)などの1種類以上の好適な薬学的非噴射添加剤および非ガス状添加剤を含んでもよい。本明細書で使用する時、「添加剤」の用語は、(使用される量では)薬理学的作用がほとんど又は全くないが、薬学的製剤又は吸入装置の性能を向上させ得る化学薬品を意味する。「非噴射添加剤」の用語では、添加剤が噴射剤ではないことを理解されたい。本明細書で使用する時、「噴射剤」の用語は、室温で高い蒸気圧を及ぼす約25℃〜−43℃の沸点を有する不活性液体、例えば、炭化水素(プロパン、ブタン、イソブタンなど)、クロロフルオロカーボン、又は水素化クロロフルオロカーボンを意味する。「非ガス状」添加剤の用語では、添加剤がガス(即ち、−43℃より低い沸点を有する物質、例えば、二酸化炭素、酸素、窒素)ではないことを理解されたい。
【0040】
当業者には、本発明に使用される薬学的加圧製剤は、1種類の薬学的に有効な成分、又は2種類以上の他の薬学的に有効な成分の組み合わせを含有してもよいことが分かる。
【0041】
このような薬学的に有効な成分は、吸入療法に使用される任意の好適な薬剤から選択されてもよい。従って、適切な薬剤は、例えば、
鎮痛剤、例えば、コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニール又はモルヒネ;
狭心症製剤、例えば、ジルチアゼム、ニトログリセリン;
抗アレルギー剤、例えば、クロモグリケート、ケトチフェン、又はネドクロミル;
抗感染剤、例えば、セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、およびペンタミジン;
抗ヒスタミン剤、例えば、メタピリレン;
抗炎症剤、例えば、ベクロメタゾン(例えば、ジプロピオン酸塩)、フルニソリド、ブデソニド、シクレソニド、モメタゾン(例えば、フランカルボン酸)、フルチカゾン(例えば、プロピオン酸塩)、又はトリアムシノロンアセトニド;
鎮咳剤、例えば、ノスカピン;
気管支拡張剤、例えば、サルブタモール、サルメテロール、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール、ホルモテロール、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、テルブタリン、イソエタリン、ツロブテロール、オルシプレナリン、又は(−)−4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−[[6−[2−(2−ピリジニル)エトキシ]ヘキシルアミノ]−メチル]ベンゼンメタノール;
利尿剤、例えば、アミロライド;
抗ムスカリン剤、例えば、イプラトロピウムなどの抗コリン作用剤、アトロピン、又はオキシトロピウム;
ホルモン、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、又はプレドニゾロン;
キサンチン、例えば、アミノフィリン、コリンテオフィリネート、リシンテオフィリネート、又はテオフィリン;
ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えば、ロフルミラストなどのPDE−4阻害剤、および
ロイコトリエン修飾物質、例えば、モンテルカスト又はザフィルルカスト、
から選択されてもよい。適宜、遊離塩基として、又は生理学的に許容される形態で、例えば、塩の形態で(例えば、アルカリ金属又はアミンの塩として又は酸付加塩として)又はエステル(例えば、低級アルキルエステル)として又は溶媒和化合物(例えば、水和物)として薬剤を使用してもよいことが、当業者には明らかである。
【0042】
本発明による吸入装置は、非常に高価なおよび/又は非常に敏感な薬学的に有効な成分の1回用量を、費用効果を高く提供することに使用するに、例えば、とりわけ高分子(例えば、蛋白質およびペプチド)又は他の生物学的製品を含む療法に、特に有利である。従って、薬学的に有効な成分は、有利には、インスリン、グルカゴン、g−csf(顆粒球コロニー刺激因子)、エリスロポイエチン、成長ホルモン、α−インターフェロン、β−インターフェロン、カルシトニン、α−1−抗トリプシン、オキシトシン、ソマトスタチン、副甲状腺ホルモン、tnf(腫瘍壊死因子)−α、DNアーゼ(Dnase)、バソプレシン(例えば、アルギニンバソプレシン、およびオルニチンバソプレシン)、LHRH類似体、ウシIgG、フェリチン、遺伝子移入又は遺伝子治療用製剤(例えば、組換えベクター(ウイルス性又は非ウイルス性))、ウイルス、裸のプラスミド又は複合プラスミド、ウイルス産生細胞、生体外遺伝子操作細胞、又は核酸の一部(例えば、アンチセンス型療法用)、体細胞療法用製剤、rDNAに由来する分子、およびワクチンから選択されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による装置の例示的実施形態の斜視図である。
【図2】本発明による装置の例示的実施形態の斜視図である。
【図3】図1および図2に示されている実施形態の分解組立図である。
【図4】図1および図2に示されている実施形態の特定のサブアセンブリの分解組立図である。
【図5】図1および図2に示されている実施形態の特定のサブアセンブリの分解組立図である。
【図6】図1および図2に示されている実施形態の特定のサブアセンブリの分解組立図である。
【図7】図1に示されている実施形態の垂直断面図である。
【図8】図7の一部(図7に円で囲んでいる)の拡大図である。
【図9】本発明による装置の別の例示的実施形態の斜視図である。
【図10】図9に示されている実施形態の分解組立図である。
【図11】図9に示されている実施形態の特定のサブアセンブリの分解組立図である。
【図12】取り外し可能なカバーを有する図9〜図11に示されている実施形態の垂直断面図である。
【図13】取り外し可能なカバーを有する図9〜図11に示されている実施形態の垂直断面図である。
【図14】それぞれ、図1〜図8と図9〜図13の両方に示されている例示的実施形態のための撃針の先端の一部の好ましい構成の拡大概略断面図である。
【図15】それぞれ、図1〜図8と図9〜図13の両方に示されている例示的実施形態のための撃針の先端の一部の代替の好ましい構成の拡大概略断面図である。
【図16】それぞれ、図1〜図8と図9〜図13の両方に示されている例示的実施形態に使用するのに好適なマウスピースの形態の出口部位の代替の構成の拡大概略断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、加圧液化噴射剤をベースにする製剤の予め計量された1回用量を保持する単一の気密封止容器を備える1回用量吸入装置(single−dose inhalation devices)に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧定量吸入器は、喘息および他の呼吸器症状の治療のために40年以上の間使用されてきた。加圧定量吸入器は、噴射剤をベースにする製剤の多数回の用量が充填されている容器と共に、要求に応じて個々の計量された用量を分配するための計量弁を備える。慣用的な定量吸入器の欠点の1つは、幾つかの治療処方計画に適切な少数回の用量(例えば、30未満)を提供するのが困難なことである。更に、製剤の個々の用量を提供することがある乾燥粉末吸入装置又は液体経鼻的装置が市販されており、二酸化炭素、酸素又は窒素などのガスを含む1回用量吸入装置が提案されてきた(1979年に公開された米国特許第4,137,914号明細書を参照)が、今日まで商業的に実現可能な1回用量加圧吸入装置は提案又は商業化されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
薬学的に有効な成分を肺に送達するのに好適な、商業的に実現可能な加圧1回用量吸入装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
薬学的に有効な成分、および、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227)、又はこれらの混合物からなる液化エーロゾル噴射剤を含む加圧製剤の1回用量を収容し、容器の少なくとも一部が穿孔可能である(即ち、穿孔されることができる)単一の気密封止容器を使用することにより、装置が作動されると、従って容器の穿孔時に、エーロゾルが発生し、薬学的に有効な成分を肺に送達することを可能にする吸入装置が提供されることが分かった。更に、吸入用の発生したエーロゾルは、有利には、液化噴射剤と共に薬学的に有効な成分の微細な液滴を含み、有効成分を患者の肺に確実に送達し搬送することを可能にする。
【0005】
従って、本発明は、薬学的に有効な成分、および、HFA134a、HFA227、又はこれらの混合物からなる液化エーロゾル噴射剤を含む加圧製剤の1回用量を収容する気密封止容器を備え、容器の少なくとも一部が穿孔可能である吸入装置を提供する。
【0006】
例えば、二酸化炭素、酸素、又は窒素などの圧縮ガスを含む、以前提案された加圧1回用量装置(米国特許第4,137,914号および米国特許第6,602,213号を参照)では、システムの作動(又は始動)時に、圧縮ガスは直ぐに気化し、従って、有効成分だけを有する「ハード型の(hard)」エーロゾルを発生させ、装置は薬剤の肺への、又はその適正な分量の送達に適していない。米国特許第4,137,914号に提案されている装置では、薬剤の多くは、単にマウスピースの内面に堆積する(閉塞前、実際にその用量が開示されている毛細管を通過できる場合)ことが分かった。米国特許第6,602,213号に開示されている装置では、始動時に前賦活(proactive)送達手段が完全に気化する(有効成分だけを有するハード型のエーロゾルを提供する)ように、装置に室温で十分に高い蒸気圧が提供され、米国特許第4,137,914号に提案されている装置と同様に、薬剤の多くは、単に装置の表面に直ぐに堆積する、および/又は装置内に保持される。
【0007】
本明細書に記載される装置の容器は、好ましくは、周囲温度(22℃)で容器内の内部圧力が比較的低い、例えば、多くとも絶対圧力で7気圧である。これは、容器の形状が回転楕円体(内部圧力が高い容器に典型的には必要な形態)である必要がないという点で、とりわけ費用効果および製造の容易さに関して有利である。また、好都合には、容器の少なくとも穿孔可能な部分は、容器を穿孔するのに使用される撃針の撓み又は滑りの回避に役立つように、実質的に平面状の部分として提供される。穿孔中の望ましくないエーロゾルの漏れを回避するため又は最小限にするため、このような穿孔は、好ましくは迅速である。また、容器の内容積は、望ましくは0.3ml未満である。加圧製剤の容積は、典型的には、多くとも150μlである。
【0008】
本発明による装置は好ましくは撃針を更に備え、撃針は、両端に開口部を有するチャネルを備え、第1の端部は容器の方に位置決めされている、より望ましくは、チャネルは撃針の内面によって画定されている。特に、容器を穿孔する確実で迅速な発射力(患者によって提供されるあらゆる力と無関係)を提供するため、容器および撃針は、望ましくは、例えば、圧縮ばねの使用により互いの方に相互に付勢されている。この場合、装置は、その保管位置では容器と撃針が離間保持され、装置が作動されると保持が解除され、容器と撃針が相互に移動して撃針が容器の少なくとも穿孔可能な部分を穿孔し、エーロゾル製剤がチャネルを通過して患者に到達するように構成されている。「相互に付勢されている」の用語は、容器が撃針の方に付勢されている、又は撃針が容器の方に付勢されている、又は容器と撃針の両方が互いの方に付勢されていることを意味する。「相互に移動」の用語は、容器が撃針の方に移動する、又は撃針が容器の方に移動する、又は容器と撃針の両方が互いの方に移動することを意味する。作動中の撃針による撓み又は撃針の滑りを回避するため、撃針が装置内に固定保持されている状態で、容器は、好ましくは撃針の方に付勢されている。この場合、装置の保管位置では容器が撃針から離間保持され、装置が作動されると保持が解除され、容器が撃針の方に移動すると、撃針は容器の少なくとも穿孔可能な部分を穿孔し、エーロゾル製剤はチャネルを通過して患者に到達する。容器の少なくとも穿孔可能な部分が撃針で穿孔されると、撃針のチャネルの第1の端部が加圧製剤の液体部分に入るように、装置が構成されることが好ましい。
【0009】
撃針のチャネル内の閉塞を最小限にするため、チャネルは、好ましくは毛細管の形態で提供されない。撃針チャネルの内面は、膨張チャンバ、即ち、膨張するエーロゾルが穿孔された容器から放出された後、スプレー微粒化(spray break−up)オリフィスなどのより制限された部位を後で通過する前に通過するチャンバを提供するように構成されてもよい。閉塞の可能性を更に最小限にするため、チャネルの内面は、有利には、第1の端部から第2の端部まで略円錐状である。望ましくは、撃針のチャネルは、概ね単軸線に沿って延びる。典型的には、容器の方に位置決めされた撃針の最外部表面(例えば、撃針の先端の最外部部分)に、容器の少なくとも穿孔可能な部分を穿孔できる穿刺器が設けられる。撃針の変形によって起こる望ましくないチャネルの閉塞、および/又は、穿孔時の望ましくないエーロゾルの漏れを回避するために又は最小限にするために、チャネルの入口を撃針の最外部表面から僅かに偏らせることが有利であると分かった。従って、好ましい実施形態では、撃針のチャネルの第1の端部は、最外部表面から後退し、穿刺器に隣接して位置決めされている。
【0010】
本発明による装置は、好適には、通路を有し、患者の口又は鼻(一方又は両方の鼻孔)に挿入するように構成された出口を更に備える。コンパクトな装置を提供するため、撃針のチャネルが実質的に単軸線を画定し、出口通路が実質的にその軸線に沿って、又は実質的にその軸線に平行に延びることが望ましい。
【0011】
好ましくは、装置は、1回使用した後に使い捨てされる、即ち、例えば、第2の(交換)容器で再充填できないように設計されている。本明細書に記載される装置は、手動で(例えば、ボタン又はレバーを押すことによって)、又は吸入によって(即ち、呼吸作動)作動されてもよい。呼吸作動が好ましい。例えば、全身性の病気の治療のために薬学的に有効な成分を送達するには、エーロゾルが肺深部(例えば、肺胞部位)に浸透することを必要とする傾向がある。これには、用量放出を患者の吸気操作の初期部分とよく協調させる必要がある。呼吸作動は、特に吸入器を初めて若しくは1回の治療のために使用する患者について、又は、吸入器をごく稀にしか使用しない患者について、必ずこのように協調させる確実な方法を提供する。
【0012】
従属請求項は、本発明の他の実施形態を定義する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下の図面又は図を参照し、本発明、その実施形態、および他の利点を以下に記載する。
【0014】
図は全て同じ縮尺で記載されているわけではないことを理解されたい。
【0015】
また、本発明は、本明細書に記載されている本発明の好適な、好都合な、特定の、望ましい、有利な、および好ましい態様の全ての組み合わせを包含することも理解されたい。
【0016】
図1〜図8は、本発明による第1の例示的実施形態を示す。この例示的実施形態は、使い捨ての呼吸作動式1回用量吸入装置である。図7を参照すると、この吸入装置は、図6で更によく見ることができる少なくとも穿孔可能な部分(1a)を備える気密封止容器(1)を備える。穿孔可能な部分は、有利には、例えば、容器本体(1c)、特に金属容器本体上にレーザ溶接される(参照により本明細書に組み込まれる本出願人の同時係属中の出願GB0418738(2004年8月23日出願)に記載)箔(1b)、特に金属箔の形態であってもよい。容器は、薬学的に有効な成分、および、HFA134a、HFA227又はこれらの混合物からなる液化エーロゾル噴射剤を含む加圧製剤の1回用量(30)を収容する。
【0017】
図7から分かるように、本明細書に記載される吸入装置に使用される容器は、望ましくはエラストマーシールおよび隔膜および/又は分配弁がなく、これは、貯蔵中の漏れ、並びに外部環境からの空気又は水分の侵入、および/又は、シールおよび/又は隔膜材料との望ましくない相互作用を回避するのに有利である。また、図7から分かるように、容器は、望ましくは、HFA−134aおよび/又はHFA−227をベースにする医薬用製剤の1回用量を収容するのに適切な寸法に作られる(例えば、少量の又は最小限の量のヘッドスペースを有する)。このような薬学的に有効なエーロゾル製剤の1回用量を収容するため、容器の内容積は、望ましくは、0.3ml未満、より望ましくは0.2ml以下、更により望ましくは0.15ml以下、最も望ましくは約0.15mlである。好適には、容器の内容積は、少なくとも0.1mlである。前述のように、加圧製剤の容積は、典型的には多くとも150μl、より望ましくは多くとも約100μl、最も望ましくは多くとも約80μlである。典型的には、加圧製剤の容積は、少なくとも約25μl、より望ましくは少なくとも約40μl、最も望ましくは少なくとも約50μlである。また、前述のように、容器内の内部圧力は、望ましくは周囲温度のとき多くとも絶対圧力で7気圧、より望ましくは多くとも絶対圧力で約6.5気圧、更により望ましくは絶対圧力で約3〜約6.5気圧、最も望ましくは絶対圧力で約4〜約6.5気圧である。
【0018】
容器の少なくとも穿孔可能な部分は、実質的に平面状の部分として提供され、撃針が平面状の部分に接触する時の撃針(後述)の滑り又は撓みを最小限にするようになっていてもよい。有利には箔の形態、特に金属箔(例えば、アルミニウム又はステンレス鋼の箔)の形態であってもよい容器の少なくとも穿孔可能な部分の厚さは、好適には多くとも250μmである。容器の堅牢性のため、少なくとも穿孔可能な部分、特に前文に記載されている箔では少なくとも25μmの厚さが好都合である。容器のより高い堅牢性のため、少なくとも38μmの厚さが望ましく、より望ましくは少なくとも50μmである。例えば、穿刺による容器へのアクセスを更に容易にするため、多くとも150μmの厚さが望ましく、より望ましくは多くとも100μm、最も望ましくは多くとも75μmである。
【0019】
図1〜図8に示されている例示的実施形態に戻ると、容器は、容器ホルダ(2)とキャリッジ(3)の間に保持されてもよく、それによって容器の穿孔可能な部分(1a)は、撃針(12)の方に面するように位置決めされる(例えば、図7を参照)。撃針(12)は、望ましくは、単軸線(X)に沿ってチャネルを画定する内面を有し、ここで、チャネルは、容器の方に位置決めされる第1の端部に1つの開口部を、患者の口に挿入されるように構成されている出口(9)の方に位置決めされる第2の端部に1つの開口部を有する。或いは、出口は、患者の鼻腔に挿入されるように構成されてもよい。有利には、チャネルは第1の端部から第2の端部まで略円錐状になっていてもよい。例示的実施形態に見られるように、概ね細長い円筒状の構成要素の形態(図4で更によく見ることができる)である出口又はマウスピース(9)は、望ましくは、前述の軸線(X)に沿って、又はそれに平行に延びる通路を有する。出口(9)は、例えば、間に位置決めされるスペーサ(25)(また、図4を参照)の使用を介して、撃針(12)に固定されてもよい。スペーサは、(例示的実施形態におけるように、および、図3および図4で最もよく見られるように)出口の一体部分であっても、又は、撃針の一体部分であっても、又は、出口および撃針若しくはスペーサに固定されている別々の構成要素であってもよい。望ましくは、撃針(12)の内面と同様に、スペーサ(25)の内面は、撃針の方の第1の端部から出口(9)の方の第2の端部まで略円錐状の通路を画定する。スペーサ(25)は、孔又はスリット(15)を具備してもよく、その機能をより詳細に後述する。
【0020】
容器の方に位置決めされている撃針の最外部表面に、好適には、穿刺器、例えば、鋭利な先端部の形態の穿刺器が設けられる。撃針の先端(20)の一部の拡大図を概略的に示す図14を参照すると、チャネルの第1の端部は、有利には、撃針の最外部表面から後退し、穿刺器に隣接して位置決めされる。図15は、代替の先端の拡大図を示し、その中に膨張チャンバ(50)およびスプレー微細化オリフィス(51)が設けられている。
【0021】
撃針又はその先端は、好適には、容器の少なくとも穿孔可能な部分の穿孔を可能にする材料、例えば、金属又はポリマー材料を含む材料で製造される。驚くべきことに、その部分が金属(例えば、ステンレス鋼又はアルミニウム)、例えば、金属箔(厚さ50μmのステンレス鋼箔など)から形成されているときでも、ポリブチレンテレフタレート、アセタール、および/又はポリカーボネートを含むものなどの射出成形されたポリマー撃針を使用して、気密封止容器の穿孔可能な部分を効果的に穿孔できることが分かった。傾斜切削されたステンレス鋼先端部などの代替の形態の穿刺器も好適である。
【0022】
図1〜図8に示されている例示的実施形態に戻ると、装置は本体又はハウジング(8)を具備してもよく、その中に、キャップ(7)と出口(9)の間に取り付けられるガイド(4)の周囲に着座するピストン(5)が配置されている(図7を参照)。キャップ(7)と本体(8)の間の、キャップの方に面するピストン(5)の肩部付近に空気入口(14)(その機能は後述する)を設けてもよい(図2を図7および図8と共に参照)。図7を参照すると、撃針(12)はガイド(4)に接し、このようにしてそれを所定の位置に保持する。好適にはガイド(4)内にキャリッジ(3)が配置され、それに容器ホルダ(2)が容器(1)と共に留め付けられている。容器(1)、特に、容器ホルダ(2)、容器(1)、およびキャリッジ(3)のアセンブリが撃針(12)の方に(および、従ってキャップ(7)から離れるように)付勢されるように、圧縮ばね(6)は、望ましくは、キャップ(7)と容器ホルダ(2)の間に取り付けられている。
【0023】
装置の保存されている状態又は供給時の状態では、容器は好適には、保持システムの使用により撃針から離間保持されている(即ち、撃針の方に移動できない)。例えば、図1〜図8に示されている例示的実施形態では、図7から分かるように、例えば、ガイド(4)の一部である2つのポスト(13a、13b、図7では見えないが、図3および図5では見える)に半径方向に回転可能に取り付けられている1対の止め(11a、11b)によって保持されているため、アセンブリ(1、2および3)は移動できない。これらの止め(11a、11b)の外端は、望ましくは、より詳細に以下で説明するように半径方向外側に付勢されている。例示的装置の作動のため、容器(1)、および、特に容器を備えるアセンブリ(1、2、3)は、より詳細に以下で説明するように、ポスト(13a、13b)を中心に止め(11a、11b)が回転する時、解放される。しかし、その保存されている状態又は供給時の状態では、止め(11a、11b)はピストン(5)の存在のためポスト(13a、13b)を中心に回転できない。
【0024】
有利には、装置は、患者に供給される時、患者が装置を使用する準備が整うまで保持機構(例えば、止め)の解除を防止するフェイルセーフ機構も備える。特に装置は、有利には、出口を被覆するように装置に好適に取り付けられ、保持システム(例えば、止め)の解除を防止するフェイルセーフ機構を具備する取り外し可能なカバーを備えてもよい。例えば、図7で分かるように、図1〜図8に示されている例示的実施形態では、取り外し可能なカバー(10)は、出口(9)を被覆するように本体(8)に留め付けられ、カバー(10)の内面に設けられる突起(21)はスペーサ(25)の孔(15)を貫通してピストン(5)に接し、ピストン(5)を移動できないように所定の位置に保持し、このようにして止め(11a、11b)の回転を防止する。有利には、カバーは、綿埃、汚れ、又は他の汚染物質が空気入口の中に侵入することを防止するため、装置のどの空気入口(存在する場合)も被覆するように形成および構成されてもよい。例えば、図1〜図8に示されている例示的実施形態では、カバー(10)は、装置のキャップ(7)付近にある空気入口(14)を被覆する長いクリップ(22)も備える。例えば、保存されている状態又は供給時の状態(図1)、およびカバー(10)取り外し時の状態の例示的実施形態の斜視図を示す図1および図2も参照されたい。
【0025】
図1〜図8に示されている例示的実施形態では、既に説明したように、キャリッジ(3)並びに容器(1)および容器ホルダ(2)は、ばね(6)によって撃針(12)の方に付勢されている。ガイド(4)の内壁の2つの軌道(19)の傾斜した上部輪郭と係合する、2つの傾斜した歯(18)をキャリッジ(3)の外側に設けることにより、吸入器が供給時の状態にあるとき、キャリッジ(3)は、また、ばね(6)の影響で回転(図5に見られるように略時計方向に)付勢されている。また、キャリッジ(3)の外面に、好適には、止め(11a、11b)の突出部分(16)と係合する2つの凹部(17)が設けられ、これらの凹部(17)は、その端部に傾斜面を有し、このようにして止め(11a、11b)の外端に半径方向外側に付勢力を加える。また、止め(11a、11b)の別の突出部分(23)はガイド(4)の2つの凹部(24)と係合する。
【0026】
図1〜図8に示されている例示的な呼吸作動式装置を使用するため、患者はまずカバー(10)を取り外して廃棄し、それによってピストン(5)のロックが解除される。しかし、ピストンは2つの止め(11a、11b)からピストンの内側に半径方向外側に及ぼされる摩擦力のため、移動しない。患者が出口、例えば、マウスピース(9)を口に入れ、装置を通して吸入を開始するとき、ピストン(5)の前の部位と後の部位の間に圧力差が生じる。圧力差が十分なとき、ピストンは、2つの止め(11a、11b)によりそれにかかる摩擦抵抗を克服することができ、前方に患者の方に移動する。ピストン(5)が移動すると、2つの止め(11a、11b)は、前述の半径方向外側への付勢力の影響でポスト(13a、13b)を中心に外側に回転することが可能になる。また、ピストン(5)が更に移動すると、空気入口(14)が露出する。止め(11a、11b)の突出部分(16)がキャリッジ(3)の凹部(17)から係脱する時(図5および図8を参照)、キャリッジは自由になり、前述の回転付勢力の影響で回動する。歯(18)がばね(6)の影響で軌道(19)を軸線方向に下方移動するのに十分キャリッジ(3)が回転するまで、2つの傾斜した歯(18)は軌道(19)の上部の傾斜した輪郭を下方移動する。換言すれば、吸入によりピストン(5)が移動すると、容器を備えるアセンブリ(1、2、3)の解放が可能になり、これは、その後、ばね(6)の影響で撃針(12)の方に迅速に加速される。容器(1)の穿孔可能な部分(1a)が撃針(12)の先端(20)に当たると、箔が破壊し、このようにして、加圧製剤の用量はエーロゾル雲として撃針(12)のチャネルを通して放出される。用量はスペーサ(25)の通路を流下し、そこで、入口(14)から流入して穴(15)を通る吸入された空気流と混合し、出口(9)の通路を通り、出口(9)から出るため、患者はこのようにして用量を吸入することができる。
【0027】
装置が発射して用量を放出する引き金になる吸入による圧力低下は、例えば、止め(11a、11b)、キャリッジ(3)、およびガイド(4)の様々な相互作用面の角度の選択により、製造業者によって適切に選択されてもよい。
【0028】
図7から最もよく分かるように、望ましくは、吸入装置は、撃針によって容器の少なくとも穿孔可能な部分が穿孔されると、撃針のチャネルの第1の端部が加圧製剤の液体部分に入るように構成されている。図1〜図8に示されている例示的実施形態(並びに、下記で詳細に検討する第2の例示的実施形態)では、容器は撃針に対して中心に(軸線Xに沿って)配置されている。しかし、或いは、例えば、患者が装置を使用する典型的な(略水平な)位置で撃針が容器を穿孔し、撃針チャネルの第1の端部の下端又は下端付近(ヘッドスペースから離れたところ)が加圧製剤の液化部分に入るように、撃針に対する容器の位置決めは、中心から外れるように配置されてもよい。
【0029】
第1の例示的実施形態の保持および解除の構成の性質、並びに、出口の軸線に対するピストンとキャリッジの移動のインライン構成のため、装置は特に小さくコンパクトになる。他の保持および解除構造も可能である。
【0030】
本発明による第2の例示的実施形態は、図9〜図13に示されている。この装置は、図1〜図8に示されている第1の例示的実施形態に類似しており、主に、それが呼吸作動式のものではなく「押して呼吸する」タイプの吸入器であるという点で異なる。
【0031】
図12および図13を参照すると、この例示的吸入装置は、それが、少なくとも1つの穿孔可能な部分(1a)を備える気密封止容器(1)を備えるという点で第1の例示的実施形態に類似している。その部分は、有利には、例えば、容器本体(1c)、特に金属容器本体上にレーザ溶接されている箔(1b)、特に金属箔の形態であってもよい。ここでも、容器は、薬学的に有効な成分、および、HFA134a、HFA227又はこれらの混合物からなる液化エーロゾル噴射剤を含む加圧製剤の1回用量(30)を収容する。ここでも、容器は、容器ホルダ(2)とキャリッジ(3)の間に保持されてもよく、それによって容器の穿孔可能な部分(1a)は、好適には撃針(12)の方に面するように位置決めされる(例えば、図12および図13を参照)。
【0032】
また、第1の実施形態と同様に、撃針(12)は、有利には、単軸線(X)に沿ってチャネルを画定する内面を有し、ここで、チャネルは、容器の方に面する第1の端部に1つの開口部を、出口(9)の方に面する第2の端部に1つの開口部を有する。出口(9)は、患者の口に挿入されるように構成されている。撃針のチャネルは、有利には、第1の端部から第2の端部まで略円錐状になっている。ここでも、概ね細長い円筒状の構成要素の形態である(図9で更によく見ることができる)出口又はマウスピース(9)は、望ましくは前述の軸線(X)に沿って、又はそれに平行に延びる通路を有する。出口(9)は、例えば、間に位置決めされるスペーサ(25)の使用を介して撃針(12)に固定されてもよい。スペーサ(25)の内面は、望ましくは、撃針の方の第1の端部から出口(9)の方の第2の端部まで略円錐状の通路を画定する。スペーサ(25)は、孔又はスリット(15)を具備してもよい。
【0033】
図12および図13を参照すると、この例示的装置は、好適には本体又はハウジング(8)も具備し、その中に、キャップ(7)と出口(9)の間に取り付けられるガイド(4)が配置されている。キャップ(7)と本体(8)の間の、キャップの方に面するガイドの端部付近に空気入口(14)を設けてもよい(図10を図12および図13と共に参照)。第1の例示的実施形態におけるように、先端(20)が好適には鋭利な先端部の形態の穿刺器を備え、チャネルの第1の端部の開口部が望ましくはそれに隣接して配置されている(図14および図15を参照)撃針(12)は、ガイド(4)に接し、このようにしてそれを所定の位置に保持する。好適にはガイド(4)内にキャリッジ(3)が配置され、それに容器ホルダ(2)が容器(1)と共に留め付けられている。容器(1)、特に、容器ホルダ(2)、容器(1)、およびキャリッジ(3)のアセンブリが撃針(12)の方に付勢されるように、圧縮ばね(6)が、望ましくは、キャップ(7)と容器ホルダ(2)の間に取り付けられている。
【0034】
図12および図13を参照すると、容器(1)、および、特に容器を含むアセンブリ(1、2、3)は、好適には、ガイド上に設けられた止め(41)の使用により撃針(12)から離間保持され、それによって止め(41)はキャリッジ(3)上に設けられたタブ(42)に係合する(および、従ってそれを保持する)。
【0035】
第1の実施形態と同様に、この実施形態は、有利には、装置(例えば、本体(8))に留め付けられ、出口(9)を被覆する取り外し可能なカバー(10)を備える。カバーは、望ましくは、スペーサ(25)の穴(15)を貫通し、キャリッジ(3)に接し、それを移動しないように所定の位置に保持するのに役立つ突起(21)を具備する。カバー(10)は、また、汚染物質が吸入器の空気入口(14)に侵入することを防止する2つの長いクリップ(22)も有する。
【0036】
装置を使用するため、患者はまず、カバー(10)を取り外して廃棄し、それによって空気入口(14)を露出させる(図13を参照)。次いで、患者は、出口(9)を口に入れ、吸入を開始し、それによって、空気入口(14)を通り、穴(15)を通り、スペーサ(25)およびマウスピース(9)内の部位に入る気流が起こる。それと同時に、患者は、ガイド(4)の一部として一体成形されているボタン(40)を押す。ボタンを押すと、止め(41)が外側に回転し、キャリッジ(3)のタブ(42)との係合から離れ、キャリッジ、および、従って容器を含むアセンブリ(1、2、3)がばね(6)の影響で自由に移動することが可能になる。容器を含むアセンブリ(1、2、3)は、従って、撃針(12)の方に迅速に加速され、用量を放出する。患者は、吸入装置を通る空気流と混合された呼吸に適するエーロゾルとして用量を吸入する。
【0037】
前述の2つの例示的吸入装置は、完全に使い捨てである、即ち、再充填できないことが意図されているが、容器又は容器を具備する装置の何らかのサブアセンブリを交換するため、例えば、患者又は介護者が装置の内側にアクセスできるように、装置に、例えば、アクセスパネルが設けられている装置の実施形態を容易に想倒し得ることが当業者に明らかである。
【0038】
上記説明は、吸入装置の実施形態の2つの実施例を提供する。EP551 338(マコーギー(McAughey)およびプリチャード(Pritchard))に開示されているようなバッフル、又は、米国特許第5,115,803号(スータス(Sioutas))に開示されているような大きいボウル構成を含む特徴を出口部位に提供することなど、代替の実施形態および特徴も想到され得る。図16は、バッフル(55)が支持体(図示せず)によって中心に保持されているマウスピースの形態の出口部位を示す。
【0039】
容器内に収容され、薬学的に有効な成分、および1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227)、又はこれらの混合物からなる液化エーロゾル噴射剤を含む加圧製剤は、任意に、界面活性剤、防腐剤、香味料、酸化防止剤、抗凝集剤、および補助溶剤(例えば、エタノール)などの1種類以上の好適な薬学的非噴射添加剤および非ガス状添加剤を含んでもよい。本明細書で使用する時、「添加剤」の用語は、(使用される量では)薬理学的作用がほとんど又は全くないが、薬学的製剤又は吸入装置の性能を向上させ得る化学薬品を意味する。「非噴射添加剤」の用語では、添加剤が噴射剤ではないことを理解されたい。本明細書で使用する時、「噴射剤」の用語は、室温で高い蒸気圧を及ぼす約25℃〜−43℃の沸点を有する不活性液体、例えば、炭化水素(プロパン、ブタン、イソブタンなど)、クロロフルオロカーボン、又は水素化クロロフルオロカーボンを意味する。「非ガス状」添加剤の用語では、添加剤がガス(即ち、−43℃より低い沸点を有する物質、例えば、二酸化炭素、酸素、窒素)ではないことを理解されたい。
【0040】
当業者には、本発明に使用される薬学的加圧製剤は、1種類の薬学的に有効な成分、又は2種類以上の他の薬学的に有効な成分の組み合わせを含有してもよいことが分かる。
【0041】
このような薬学的に有効な成分は、吸入療法に使用される任意の好適な薬剤から選択されてもよい。従って、適切な薬剤は、例えば、
鎮痛剤、例えば、コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニール又はモルヒネ;
狭心症製剤、例えば、ジルチアゼム、ニトログリセリン;
抗アレルギー剤、例えば、クロモグリケート、ケトチフェン、又はネドクロミル;
抗感染剤、例えば、セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、およびペンタミジン;
抗ヒスタミン剤、例えば、メタピリレン;
抗炎症剤、例えば、ベクロメタゾン(例えば、ジプロピオン酸塩)、フルニソリド、ブデソニド、シクレソニド、モメタゾン(例えば、フランカルボン酸)、フルチカゾン(例えば、プロピオン酸塩)、又はトリアムシノロンアセトニド;
鎮咳剤、例えば、ノスカピン;
気管支拡張剤、例えば、サルブタモール、サルメテロール、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール、ホルモテロール、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、テルブタリン、イソエタリン、ツロブテロール、オルシプレナリン、又は(−)−4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−[[6−[2−(2−ピリジニル)エトキシ]ヘキシルアミノ]−メチル]ベンゼンメタノール;
利尿剤、例えば、アミロライド;
抗ムスカリン剤、例えば、イプラトロピウムなどの抗コリン作用剤、アトロピン、又はオキシトロピウム;
ホルモン、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、又はプレドニゾロン;
キサンチン、例えば、アミノフィリン、コリンテオフィリネート、リシンテオフィリネート、又はテオフィリン;
ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えば、ロフルミラストなどのPDE−4阻害剤、および
ロイコトリエン修飾物質、例えば、モンテルカスト又はザフィルルカスト、
から選択されてもよい。適宜、遊離塩基として、又は生理学的に許容される形態で、例えば、塩の形態で(例えば、アルカリ金属又はアミンの塩として又は酸付加塩として)又はエステル(例えば、低級アルキルエステル)として又は溶媒和化合物(例えば、水和物)として薬剤を使用してもよいことが、当業者には明らかである。
【0042】
本発明による吸入装置は、非常に高価なおよび/又は非常に敏感な薬学的に有効な成分の1回用量を、費用効果を高く提供することに使用するに、例えば、とりわけ高分子(例えば、蛋白質およびペプチド)又は他の生物学的製品を含む療法に、特に有利である。従って、薬学的に有効な成分は、有利には、インスリン、グルカゴン、g−csf(顆粒球コロニー刺激因子)、エリスロポイエチン、成長ホルモン、α−インターフェロン、β−インターフェロン、カルシトニン、α−1−抗トリプシン、オキシトシン、ソマトスタチン、副甲状腺ホルモン、tnf(腫瘍壊死因子)−α、DNアーゼ(Dnase)、バソプレシン(例えば、アルギニンバソプレシン、およびオルニチンバソプレシン)、LHRH類似体、ウシIgG、フェリチン、遺伝子移入又は遺伝子治療用製剤(例えば、組換えベクター(ウイルス性又は非ウイルス性))、ウイルス、裸のプラスミド又は複合プラスミド、ウイルス産生細胞、生体外遺伝子操作細胞、又は核酸の一部(例えば、アンチセンス型療法用)、体細胞療法用製剤、rDNAに由来する分子、およびワクチンから選択されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による装置の例示的実施形態の斜視図である。
【図2】本発明による装置の例示的実施形態の斜視図である。
【図3】図1および図2に示されている実施形態の分解組立図である。
【図4】図1および図2に示されている実施形態の特定のサブアセンブリの分解組立図である。
【図5】図1および図2に示されている実施形態の特定のサブアセンブリの分解組立図である。
【図6】図1および図2に示されている実施形態の特定のサブアセンブリの分解組立図である。
【図7】図1に示されている実施形態の垂直断面図である。
【図8】図7の一部(図7に円で囲んでいる)の拡大図である。
【図9】本発明による装置の別の例示的実施形態の斜視図である。
【図10】図9に示されている実施形態の分解組立図である。
【図11】図9に示されている実施形態の特定のサブアセンブリの分解組立図である。
【図12】取り外し可能なカバーを有する図9〜図11に示されている実施形態の垂直断面図である。
【図13】取り外し可能なカバーを有する図9〜図11に示されている実施形態の垂直断面図である。
【図14】それぞれ、図1〜図8と図9〜図13の両方に示されている例示的実施形態のための撃針の先端の一部の好ましい構成の拡大概略断面図である。
【図15】それぞれ、図1〜図8と図9〜図13の両方に示されている例示的実施形態のための撃針の先端の一部の代替の好ましい構成の拡大概略断面図である。
【図16】それぞれ、図1〜図8と図9〜図13の両方に示されている例示的実施形態に使用するのに好適なマウスピースの形態の出口部位の代替の構成の拡大概略断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に有効な成分と、HFA134a、HFA227又はこれらの混合物からなる液化エーロゾル噴射剤とを含む加圧製剤の、1回用量を収容する気密封止容器を備え、該容器の少なくとも一部が穿孔可能である、吸入装置。
【請求項2】
前記容器の内部圧力が多くとも7気圧である、請求項1に記載の吸入装置。
【請求項3】
前記容器の内容積が0.3ml未満である、請求項1又は2に記載の吸入装置。
【請求項4】
前記容器の内容積が0.2ml以下である、請求項3に記載の吸入装置。
【請求項5】
前記容器の内容積が0.15ml以下である、請求項4に記載の吸入装置。
【請求項6】
前記容器の内容積が少なくとも0.1mlである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項7】
前記装置が撃針を更に備え、該撃針は、両端部に開口を有するチャネルを備えて、第1の端部が前記容器に向かって位置決めされており、該容器と該撃針とは、互いに接近する方向へ相互に付勢されており、前記装置は、保管位置では前記容器と前記撃針とが離間した状態に保持され、該装置の作動時には、該保持が解除されて、前記容器と前記撃針とが相互に移動し、それにより該撃針が該容器の前記少なくとも穿孔可能な部分を穿孔するとともに、エーロゾル製剤が前記チャネルを通過して患者に到達するように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項8】
前記容器は前記撃針に向かって付勢されており、前記撃針は前記装置内に固定保持されており、前記装置は、保管位置では前記容器が前記撃針から離間した状態に保持され、該装置の作動時には、該保持が解除されて、前記容器が前記撃針に向かって移動し、それにより該撃針が該容器の前記少なくとも穿孔可能な部分を穿孔するとともに、エーロゾル製剤が前記チャネルを通過して前記患者に到達するように構成されている、請求項7に記載の吸入装置。
【請求項9】
前記装置は、前記撃針によって前記容器の前記少なくとも穿孔可能な部分が穿孔されたときに、前記撃針の前記チャネルの前記第1の端部が前記加圧製剤の液体部分に入るように構成されている、請求項7又は8に記載の吸入装置。
【請求項10】
前記撃針が内面を有し、該内面が前記チャネルを画定する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項11】
前記チャネルを画定する前記撃針の前記内面が、膨張チャンバを提供するように構成されている、請求項10に記載の吸入装置。
【請求項12】
前記チャネルを画定する前記撃針の前記内面が、前記第1の端部から前記第2の端部まで略円錐状になっている、請求項10又は11に記載の吸入装置。
【請求項13】
前記容器の方に面する前記撃針の最外表面に、前記容器の前記少なくとも穿孔可能な部分を穿孔できる穿刺器が設けられており、該撃針の前記チャネルの前記第1の端部が、該最外表面から後退して、該穿刺器に隣接して位置決めされている、請求項7〜12のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項14】
前記撃針が、前記容器に向かって位置決めされている先端を備え、該先端の外面の形状が円錐状である、請求項7〜13のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項15】
前記装置が、患者の口又は鼻に挿入されるようになっている出口を更に備える、請求項1〜14のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項16】
前記撃針の前記チャネルが単一の軸線に実質的に沿って延びて、該チャネルの前記第2の端部が前記出口に向かって位置決めされ、前記出口が、該軸線に実質的に沿って延びるか又は該軸線に実質的に平行である通路を備える、請求項7〜14のいずれか1項に従属する請求項15に記載の吸入装置。
【請求項17】
前記出口が前記撃針に、それらの間に位置決めされるスペーサを任意選択的に使用して、固定されている、請求項15又は16に記載の吸入装置。
【請求項18】
前記スペーサが内面を有し、該内面が、前記撃針に向かう第1端部から前記出口に向かう第2端部まで略円錐状の通路を画定する、請求項17に記載の吸入装置。
【請求項19】
前記装置が呼吸作動により作動する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項20】
前記装置が再充填できない、請求項1〜19のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項21】
前記容器は、エラストマーシールおよび隔膜および/又は分配弁を有さない、請求項1〜20のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項22】
前記容器が回転楕円体の形態を有さない、請求項1〜21のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項23】
前記少なくとも穿孔可能な部分が実質的に平坦である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項24】
前記少なくとも穿孔可能な部分が多くとも250μmの厚みを有する、請求項1〜23のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項25】
前記少なくとも穿孔可能な部分が多くとも150μmの厚みを有する、請求項24に記載の吸入装置。
【請求項26】
前記少なくとも穿孔可能な部分が多くとも100μmの厚みを有する、請求項25に記載の吸入装置。
【請求項27】
前記少なくとも穿孔可能な部分が多くとも75μmの厚みを有する、請求項26に記載の吸入装置。
【請求項28】
前記少なくとも穿孔可能な部分が少なくとも25μmの厚みを有する、請求項1〜27のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項29】
前記少なくとも穿孔可能な部分が少なくとも38μmの厚みを有する、請求項28に記載の吸入装置。
【請求項30】
前記少なくとも穿孔可能な部分が少なくとも50μmの厚みを有する、請求項29に記載の吸入装置。
【請求項31】
前記少なくとも穿孔可能な部分が箔である、請求項1〜30のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項32】
前記箔がレーザ溶接されて気密シールを形成している、請求項31に記載の吸入装置。
【請求項33】
前記少なくとも穿孔可能な部分が金属である、請求項1〜32のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項34】
前記撃針がポリマー材料で製造されている、請求項1〜33のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項35】
前記ポリマー材料が、ポリブチレンテレフタレート、アセタール、および/又はポリカーボネートから選択される材料を含む、請求項34に記載の吸入装置。
【請求項36】
前記撃針が射出成形されている、請求項34又は35に記載の吸入装置。
【請求項37】
前記薬学的に有効な成分が、鎮痛剤、狭心症製剤、抗アレルギー剤、抗感染剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、鎮咳剤、気管支拡張剤、利尿剤、抗ムスカリン剤、抗コリン剤、ホルモン、キサンチン、ホスホジエステラーゼ阻害剤、ロイコトリエン修飾物質、又はこれらの組み合わせである、請求項1〜36のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項38】
前記薬学的に有効な成分が、コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニール、モルヒネ、ジルチアゼム、ニトログリセリン、クロモグリケート、ケトチフェン、ネドクロミル、セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、ペンタミジン、メタピリレン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド、ブデソニド、シクレソニド、フランカルボン酸モメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、トリアムシノロンアセトニド、ノスカピン、サルブタモール、サルメテロール、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール、ホルモテロール、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、テルブタリン、イソエタリン、ツロブテロール、オルシプレナリン、(−)−4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−[[6−[2−(2−ピリジニル)エトキシ]ヘキシルアミノ]−メチル]ベンゼンメタノール、アミロライド、イプラトロピウム、アトロピン、オキシトロピウム、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、アミノフィリン、コリンテオフィリネート、リシンテオフィリネート、テオフィリン、ロフルミラスト、モンテルカスト、ザフィルルカスト、これらの生理学的に許容される形態、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項37に記載の吸入装置。
【請求項39】
前記薬学的に有効な成分が、高分子又は生物学的治療製品である、請求項1〜38のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項40】
前記薬学的に有効な成分が、インスリン、グルカゴン、g−csf、エリスロポイエチン、成長ホルモン、α−インターフェロン、β−インターフェロン、カルシトニン、α−1−抗トリプシン、オキシトシン、ソマトスタチン、副甲状腺ホルモン、tnf−α、DNアーゼ、バソプレシン、LHRH類似体、ウシIgG、フェリチン、遺伝子治療用製剤、アンチセンス療法用製剤、体細胞療法用製剤、rDNAに由来する分子、およびワクチン製剤からなる群から選択される、請求項39に記載の吸入装置。
【請求項1】
薬学的に有効な成分と、HFA134a、HFA227又はこれらの混合物からなる液化エーロゾル噴射剤とを含む加圧製剤の、1回用量を収容する気密封止容器を備え、該容器の少なくとも一部が穿孔可能である、吸入装置。
【請求項2】
前記容器の内部圧力が多くとも7気圧である、請求項1に記載の吸入装置。
【請求項3】
前記容器の内容積が0.3ml未満である、請求項1又は2に記載の吸入装置。
【請求項4】
前記容器の内容積が0.2ml以下である、請求項3に記載の吸入装置。
【請求項5】
前記容器の内容積が0.15ml以下である、請求項4に記載の吸入装置。
【請求項6】
前記容器の内容積が少なくとも0.1mlである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項7】
前記装置が撃針を更に備え、該撃針は、両端部に開口を有するチャネルを備えて、第1の端部が前記容器に向かって位置決めされており、該容器と該撃針とは、互いに接近する方向へ相互に付勢されており、前記装置は、保管位置では前記容器と前記撃針とが離間した状態に保持され、該装置の作動時には、該保持が解除されて、前記容器と前記撃針とが相互に移動し、それにより該撃針が該容器の前記少なくとも穿孔可能な部分を穿孔するとともに、エーロゾル製剤が前記チャネルを通過して患者に到達するように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項8】
前記容器は前記撃針に向かって付勢されており、前記撃針は前記装置内に固定保持されており、前記装置は、保管位置では前記容器が前記撃針から離間した状態に保持され、該装置の作動時には、該保持が解除されて、前記容器が前記撃針に向かって移動し、それにより該撃針が該容器の前記少なくとも穿孔可能な部分を穿孔するとともに、エーロゾル製剤が前記チャネルを通過して前記患者に到達するように構成されている、請求項7に記載の吸入装置。
【請求項9】
前記装置は、前記撃針によって前記容器の前記少なくとも穿孔可能な部分が穿孔されたときに、前記撃針の前記チャネルの前記第1の端部が前記加圧製剤の液体部分に入るように構成されている、請求項7又は8に記載の吸入装置。
【請求項10】
前記撃針が内面を有し、該内面が前記チャネルを画定する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項11】
前記チャネルを画定する前記撃針の前記内面が、膨張チャンバを提供するように構成されている、請求項10に記載の吸入装置。
【請求項12】
前記チャネルを画定する前記撃針の前記内面が、前記第1の端部から前記第2の端部まで略円錐状になっている、請求項10又は11に記載の吸入装置。
【請求項13】
前記容器の方に面する前記撃針の最外表面に、前記容器の前記少なくとも穿孔可能な部分を穿孔できる穿刺器が設けられており、該撃針の前記チャネルの前記第1の端部が、該最外表面から後退して、該穿刺器に隣接して位置決めされている、請求項7〜12のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項14】
前記撃針が、前記容器に向かって位置決めされている先端を備え、該先端の外面の形状が円錐状である、請求項7〜13のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項15】
前記装置が、患者の口又は鼻に挿入されるようになっている出口を更に備える、請求項1〜14のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項16】
前記撃針の前記チャネルが単一の軸線に実質的に沿って延びて、該チャネルの前記第2の端部が前記出口に向かって位置決めされ、前記出口が、該軸線に実質的に沿って延びるか又は該軸線に実質的に平行である通路を備える、請求項7〜14のいずれか1項に従属する請求項15に記載の吸入装置。
【請求項17】
前記出口が前記撃針に、それらの間に位置決めされるスペーサを任意選択的に使用して、固定されている、請求項15又は16に記載の吸入装置。
【請求項18】
前記スペーサが内面を有し、該内面が、前記撃針に向かう第1端部から前記出口に向かう第2端部まで略円錐状の通路を画定する、請求項17に記載の吸入装置。
【請求項19】
前記装置が呼吸作動により作動する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項20】
前記装置が再充填できない、請求項1〜19のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項21】
前記容器は、エラストマーシールおよび隔膜および/又は分配弁を有さない、請求項1〜20のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項22】
前記容器が回転楕円体の形態を有さない、請求項1〜21のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項23】
前記少なくとも穿孔可能な部分が実質的に平坦である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項24】
前記少なくとも穿孔可能な部分が多くとも250μmの厚みを有する、請求項1〜23のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項25】
前記少なくとも穿孔可能な部分が多くとも150μmの厚みを有する、請求項24に記載の吸入装置。
【請求項26】
前記少なくとも穿孔可能な部分が多くとも100μmの厚みを有する、請求項25に記載の吸入装置。
【請求項27】
前記少なくとも穿孔可能な部分が多くとも75μmの厚みを有する、請求項26に記載の吸入装置。
【請求項28】
前記少なくとも穿孔可能な部分が少なくとも25μmの厚みを有する、請求項1〜27のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項29】
前記少なくとも穿孔可能な部分が少なくとも38μmの厚みを有する、請求項28に記載の吸入装置。
【請求項30】
前記少なくとも穿孔可能な部分が少なくとも50μmの厚みを有する、請求項29に記載の吸入装置。
【請求項31】
前記少なくとも穿孔可能な部分が箔である、請求項1〜30のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項32】
前記箔がレーザ溶接されて気密シールを形成している、請求項31に記載の吸入装置。
【請求項33】
前記少なくとも穿孔可能な部分が金属である、請求項1〜32のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項34】
前記撃針がポリマー材料で製造されている、請求項1〜33のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項35】
前記ポリマー材料が、ポリブチレンテレフタレート、アセタール、および/又はポリカーボネートから選択される材料を含む、請求項34に記載の吸入装置。
【請求項36】
前記撃針が射出成形されている、請求項34又は35に記載の吸入装置。
【請求項37】
前記薬学的に有効な成分が、鎮痛剤、狭心症製剤、抗アレルギー剤、抗感染剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、鎮咳剤、気管支拡張剤、利尿剤、抗ムスカリン剤、抗コリン剤、ホルモン、キサンチン、ホスホジエステラーゼ阻害剤、ロイコトリエン修飾物質、又はこれらの組み合わせである、請求項1〜36のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項38】
前記薬学的に有効な成分が、コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニール、モルヒネ、ジルチアゼム、ニトログリセリン、クロモグリケート、ケトチフェン、ネドクロミル、セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、ペンタミジン、メタピリレン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド、ブデソニド、シクレソニド、フランカルボン酸モメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、トリアムシノロンアセトニド、ノスカピン、サルブタモール、サルメテロール、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール、ホルモテロール、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、テルブタリン、イソエタリン、ツロブテロール、オルシプレナリン、(−)−4−アミノ−3,5−ジクロロ−α−[[6−[2−(2−ピリジニル)エトキシ]ヘキシルアミノ]−メチル]ベンゼンメタノール、アミロライド、イプラトロピウム、アトロピン、オキシトロピウム、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、アミノフィリン、コリンテオフィリネート、リシンテオフィリネート、テオフィリン、ロフルミラスト、モンテルカスト、ザフィルルカスト、これらの生理学的に許容される形態、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項37に記載の吸入装置。
【請求項39】
前記薬学的に有効な成分が、高分子又は生物学的治療製品である、請求項1〜38のいずれか1項に記載の吸入装置。
【請求項40】
前記薬学的に有効な成分が、インスリン、グルカゴン、g−csf、エリスロポイエチン、成長ホルモン、α−インターフェロン、β−インターフェロン、カルシトニン、α−1−抗トリプシン、オキシトシン、ソマトスタチン、副甲状腺ホルモン、tnf−α、DNアーゼ、バソプレシン、LHRH類似体、ウシIgG、フェリチン、遺伝子治療用製剤、アンチセンス療法用製剤、体細胞療法用製剤、rDNAに由来する分子、およびワクチン製剤からなる群から選択される、請求項39に記載の吸入装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2008−538294(P2008−538294A)
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545482(P2007−545482)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/040393
【国際公開番号】WO2006/062651
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/040393
【国際公開番号】WO2006/062651
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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