説明

1,3−ジオキサン誘導体の製造方法

【課題】オレフィン誘導体とアルデヒド類によるプリンス反応による、1,3−ジオキサン誘導体の製造方法において、高活性な触媒を用い、かつその分離、回収、再利用が容易な方法を提供する。
【解決手段】触媒として、下記の化学式 (1)、(2) または (3)で示される化合物から選ばれた少なくとも1種のルイス酸触媒を用いることを特徴とする1,3−ジオキサン誘導体の製造方法。
M(OSO2 Rf1 n (1)
M[N(SO2 Rf1 )(SO2 Rf2 )]n (2)
M[C(SO2 Rf1 )(SO2 Rf2 )(SO2 Rf3 )]n (3)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,3−ジオキサン誘導体の製造方法に関する。更に詳しくは、オレフィン誘導体とアルデヒド類またはその等価体とのプリンス反応による1,3−ジオキサン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1,3−ジオキサン誘導体は、有機合成用溶媒や合成中間体(非特許文献1)、合成香料、動物用忌避剤(特許文献1)に用いられる有用な化学物質である。1,3−ジオキサン誘導体の製造方法としては、オレフィン誘導体とアルデヒド類によるプリンス反応が知られており、硫酸、トルエンスルホン酸、塩化アルミニウム、塩化スズなどの酸触媒として用いることがよく知られている(非特許文献1〜3)。しかしながら、一般にプリンス反応では、1,3−ジオールやアリルアルコールが副生物として生成したり、エン反応によりホモアリルアルコールが生成するなど、副反応が多い反応である上、これらの製造方法では、取り扱いが危険で後処理が困難な硫酸を使用し、また毒性の高い塩化錫類を用いること等の欠点に加え、目的物が高選択性でかつ高収率で得られることが難しく、実用性の面で問題があった。
【0003】
このような問題を解決するために、ビスマストリフレート(Bi(OSO2CF3)3)、2.6−ジ−t−ブチルフェノキシ(ジフルオロ)ボラン(2,6-Di-tert-butylphenoxy(difluoro)borane)などのルイス酸触媒が検討されているが(非特許文献4、5)、触媒の大量使用、更に再回収が難しいことに問題点を残している。
特許文献2には、触媒として酸性白土を用いる方法が開示されているが、触媒の再利用については記載されておらず、多量の廃棄物が出るという問題があった。触媒を回収、再使用するという目的から、イオン液体中に三臭化インジウム(InBr3 )ルイス酸触媒を用いたリサイクル反応が試みられている(非特許文献6)。該文献では4回まで再使用できることが報告されているが、生成物の回収でエーテル抽出や蒸留などの複雑な操作が必要であり、バッチ反応でしか行えない、即ち本質的に連続反応ができない方法であるという点で問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−173401号公報
【特許文献2】特公昭41−000102号公報
【非特許文献1】G. Li, Y. Gu, Y. Ding, H. Zhang, J. Wang, Q. Gao, L. Yan, J. Suo, J. Mol. Catal. A: Chem. 2004, 218, 147-152.
【非特許文献2】D. R. Adams, S. P. Bhatnagar, Synthesis 1977 , 172, 661-672
【非特許文献3】M. A. Aramendia, V. Borau, C. Jimenez, J. M. Marinas, F. J. Romero, F. J. Urbano, Catal. Lett.2001, 73, 203-206.
【非特許文献4】T. Bach, J. Lobel,Synthesis 2002, 2521-2526.
【非特許文献5】B. Sreedhar, V. Swapna, Ch. Sridhar, D. Saileela, A. Sunitha, Synth. Commun.2005, 35, 1177-1182.
【非特許文献6】J. S. Yadav, B. V. S. Reddy, G. Bhaishya, Green Chem.2003, 5, 264-266.
【非特許文献7】A. Yoshida, X. Hao, J. Nishikido, Green Chem.2003, 5, 554-557.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、これらの問題を解決し、1,3−ジオキサン誘導体の工業的な製法を確立する目的で鋭意検討した結果、オレフィン誘導体とアルデヒド類を下記化学式 (1)、 (2)及び (3)で示される化合物から選ばれたルイス酸触媒存在下、反応させることを特徴とするプリンス反応を用いることにより、1,3−ジオキサン誘導体が従来法に比べ、マイルドな反応条件で良い収率が得られことと、反応後の液々分離等の簡単操作によって触媒を回収、再使用できることを見出し、本発明を完成した。
M(OSO2 Rf1 n (1)
M[N(SO2 Rf1 )(SO2 Rf2 )]n (2)
M[C(SO2 Rf1 )(SO2 Rf2 )(SO2 Rf3 )]n (3)
(上記化学式中、Rf1 は、炭素数4〜20の飽和または不飽和のフッ素炭化水素基もしくは部分フッ素化炭化水素基で、骨格中心中に酸素原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を有していてもよい。Rf2 とRf3 は、各々独立に、炭素数1〜20の飽和または不飽和のフッ素炭化水素基もしくは部分フッ素化炭化水素基で、骨格中心中に酸素原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を有していてもよい。−SO2 基に直接結合する炭素原子に結合しているのは炭素原子及び/又はフッ素原子である。Mは、希土類を含む遷移金属、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン及びビスマスから選ばれた元素である。nは、Mの原子価と同数の整数を表す。)
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、前記プリンス反応において、特定のルイス酸触媒が高活性を示すことが見出した。
また、特定のルイス酸触媒と、全フッ素置換炭化水素およびそれが部分置換された炭化水素から選ばれたフッ素化合物媒体とからなるルイス酸触媒組成物をプリンス反応に用いることによって、マイルドな反応条件で反応が進行し、このルイス酸触媒を容易に分離、再利用できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
1.オレフィン誘導体とアルデヒド類またはその等価体とによるプリンス反応による下記の化学式 (4)で表される1,3−ジオキサン誘導体の製造方法であって、触媒として下記化学式 (1)、(2) または (3)で示される化合物から選ばれた少なくとも1種のルイス酸触媒を用いることを特徴とする1,3−ジオキサン誘導体を製造する方法。
【化1】

(上記化学式中、R1 は、水素、アルキル基またはアラルキル基から選ばれた基であり、R2 は、水素、置換または無置換の炭化水素基、ハロゲン基、アルコキシ基から選ばれた基であり、R3 とR4 は、水素またはアルキル基である。)
【0008】
M(OSO2 Rf1 n (1)
M[N(SO2 Rf1 )(SO2 Rf2 )]n (2)
M[C(SO2 Rf1 )(SO2 Rf2 )(SO2 Rf3 )]n (3)
(上記化学式中、Rf1 は、炭素数4〜20の飽和または不飽和のフッ素炭化水素基もしくは部分フッ素化炭化水素基で、骨格中心中に酸素原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を有していてもよい。Rf2 とRf3 は、各々独立に、炭素数1〜20の飽和または不飽和のフッ素炭化水素基もしくは部分フッ素化炭化水素基で、骨格中心中に酸素原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を有していてもよい。−SO2 基に直接結合する炭素原子に結合しているのは炭素原子及び/又はフッ素原子である。Mは、希土類を含む遷移金属、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン及びビスマスから選ばれた元素である。nは、Mの原子価と同数の整数を表す。)
2.1,3−ジオキサン誘導体の製造方法が、フッ素化化合物媒体と非フッ素化化合物媒体との混合媒体中で、該ルイス酸触媒存在下行われることを特徴とする上記1.に記載の1,3−ジオキサン誘導体の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のルイス酸触媒およびルイス酸触媒組成物は、オレフィン誘導体とアルデヒド類またはその等価体によるプリンス反応において、高活性であるために、従来よりもマイルドな反応条件で反応が進行する。ルイス酸触媒は、反応後、反応液から簡単な操作によって容易に触媒を分離、回収、再利用することができるため、環境にやさしいプロセスで1,3−ジオキサン誘導体を製造することが可能となる。また、これらの性質を利用することにより、フルオラス触媒相を固定相、基質を溶解させた有機相を移動相として、基質を連続供給させる流通式反応への応用も可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法により製造できる化合物は、下記化学式 (4)で表わされる1,3−ジオキサン誘導体である。
【化2】

(式中、R1 は水素、アルキル基またはアラルキル基であるが、水素または炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、より好ましくは水素または炭素数1〜4のアルキル基である。
2 は、水素、置換または無置換の炭化水素基、ハロゲン基、アルコキシ基であるが、好ましくはアルキル基、フェニル基または置換フェニル基である。
3 とR4 は、水素またはアルキル基であるが、R3 は好ましくは水素またはアルキル基であり、R4 は好ましくは水素である。)
【0011】
該1,3−ジオキサン誘導体は、下記の化学式(5)で表されるオレフィン誘導体と、下記の一般式(6)で表されるアルデヒド類またはその等価体とから製造される。
本発明のプリンス反応に用いられるオレフィン誘導体は、下記化学式(5) で表される化合物である。このような化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、スチレン、メチルスチレン、塩化プロペニル、塩化ビニル、ビニルエチルエーテル、4−メチルスチレン、2−エトキシスチレン、3−クロロスチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、4−メトキシカルボニルスチレン等を挙げられる。
【化3】

(式中、R2 、R3 、R4 は上記化学式(4) と同じである。)
【0012】
本発明に用いられるアルデヒドは、下記一般式 (6)で表される化合物である。このような化合物として、例えば、メトキシカルボニルホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、トリクロロアセトアルデヒド等を挙げられる。
【化4】

(式中、R1 は上記化学式(4) と同じである。)
【0013】
またこれらアルデヒドの等価体を用いてもよく、例えば容易にアルデヒドを放出する化合物でこれらの組成よりみてアルデヒドの重合物とみなされる次の一般式(7) で表される化合物でもよい。このような化合物として、例えば、パラホルムアルデヒド、メタホルムアルデヒド、パラアルデヒド、メタアルデヒドの如きアルデヒドの鎖状または環状の重合体を挙げることができる。
(R1 CHO)m (7)
上記の化学式中、R1 は、化学式(4) と同じ、mは2より大きい整数であり、好ましくは3またはそれ以上の整数である。上限は5000である。
【0014】
本発明の製造方法においては、化学式 (1)、(2) または (3)で示されるルイス酸触媒が用いられる。
M(OSO2 Rf1 n (1)
M[N(SO2 Rf1 )(SO2 Rf2 )]n (2)
M[C(SO2 Rf1 )(SO2 Rf2 )(SO2 Rf3 )]n (3)
上記の化学式中、Rf1 は、炭素数4〜20の飽和または不飽和の全フッ素炭化水素基もしくは部分フッ素化炭化水素基で、骨格中心酸素原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を有していてもよい。
【0015】
Rf2 とRf3 は、各々独立に、炭素数1〜20の飽和または不飽和の全フッ素炭化水素基もしくは部分フッ素化炭化水素基で、骨格中心酸素原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を有していてもよい。
飽和または不飽和の部分フッ素化炭化水素基は、全フッ素化炭化水素のフッ素原子の一部が、フッ素原子以外のハロゲン原子及び水素原子から選ばれた少なくとも1種と置換されており、−SO2 基に直接結合する炭素原子に結合しているのは炭素原子およびフッ素原子である。
上記の化学式中、Mは、希土類を含む遷移金属、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン及びビスマスから選ばれた元素であり、nは、Mの原子価と同数の整数を表す。
【0016】
化学式 (1)、(2) または (3)において、一つの化学式中に複数のRf1 、Rf2 又はRf3 が存在する場合(化学式中のnが2以上の場合)、一つの化学式中のRf1 、Rf2 又はRf3 は、同じであっても異なってもよい。
Rf1 の炭素数は、炭素数4〜20であるが、下限は炭素数5が好ましく、より好ましくは炭素数6、最も好ましくは炭素数7である。上限は炭素数18が好ましく、より好ましくは炭素数16、最も好ましくは炭素数14である。
Rf2 又はRf3 の炭素数は、炭素数1〜20であり、下限は炭素数2が好ましく、より好ましくは炭素数3、最も好ましくは炭素数4である。上限は炭素数18が好ましく、より好ましくは炭素数16、最も好ましくは炭素数14である。
本発明に用いられるルイス酸触媒が化学式 (2)で表される化合物である場合には、Rf1 とRf2 の炭素数の合計は、好ましくは炭素数7〜32であり、より好ましくは炭素数9〜28、最も好ましくは炭素数11〜24である。
【0017】
ルイス酸触媒が化学式 (3)で表される化合物である場合には、Rf1 乃至Rf3 の炭素数の合計は、好ましくは炭素数9〜48であり、より好ましくは炭素数12〜42、最も好ましくは炭素数15〜36である。Rf1 乃至Rf3 の炭素数の合計が上記の範囲より小さいと、触媒が一般の有機溶媒中に溶け出し、ロスが多くなり、上記の範囲より大きいと、触媒の分子量が大きくなりすぎ、効率が悪くなる。しかし、上記の範囲内であると、ルイス酸触媒は一般の有機溶媒中にほとんど溶解しない。したがって、反応後のルイス酸触媒の回収、再使用が容易になる。中でも、化学式(2) または (3)で表わされる化合物は特に一般の有機溶媒中に溶解しないので特に好ましい。
ヘテロ原子を骨格中に有する飽和または不飽和の全フッ素化炭化水素基は、下記の化学式 (8 ) 又は (9)で表される基であることが好ましい。
CF2X1CFX2-[OCF2CF(CF3)] t -O-(CF2)u - (8)
CF2=CF-[OCF2CF(CF3)] t-O-(CF2)u - (9)
上記の化学式中、X1とX2は、各々独立に、ハロゲン原子および水素原子から選ばれ、tは、1〜4の整数であり、好ましくは2〜3の整数である。uは、1〜6の整数であり、好ましくは2〜4の整数である。
【0018】
部分フッ素化炭化水素基の部分置換に用いるフッ素以外のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、塩素原子及び臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。置換されているフッ素原子以外の、ハロゲン原子および水素原子の数の割合は、飽和の全フッ素化の全フッ素炭化水素基に含まれるフッ素原子の数に対して、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下、最も好ましくは10%以下である。
ヘテロ原子を骨格中に有する飽和または不飽和の全フッ素炭化水素基もしくは部分フッ素化炭化水素基の具体例としては、-C2F4OC2F5、-C2F4OC4F9、-CF2CHFOC4F9、-C4F8N(C4F9)2 、-CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF=CF2 、-CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CF2OCF=CF2、-CF2CF2OCF(CF3)CF2OCHFCF3 、-CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CF2OCHFCF3、-CF2CF2O-CF(CF3)-CF2-OCF(CF3)-CF2OCF2CF3、-CF2CF2OCF(CF3)CF2OCFClCF3、-CF2CF2OCF(CF3)CF2OCFClCF2Cl等の基が挙げられる。
【0019】
ヘテロ原子を骨格中に有していない飽和または不飽和の全フッ素炭化水素基もしくは部分フッ素化炭化水素基の具体例としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、パーフルオロデシル基、パーフロオロウンデシル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロトリデシル基、パーフルオロテトラデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロヘキサデシル基などが挙げられる。
Mは、希土類を含む遷移金属、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチウム及びビスマスから選ばれた元素を表し、好ましくは希土類、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、ガリウム、スズ及びビスマスであり、より好ましくはスカンジウム、イットリウム、ランタン、イッテルビウム、ハフニウム、ジルコニウム、ガリウム、スズ及びビスマスであり、最も好ましくはハフニウムである。nは、Mの原子価と同数の整数を表す。
【0020】
本発明に用いられるルイス酸触媒は、通常は全フッ素置換炭化水素およびそれが部分置換された炭化水素から選ばれたフッ素化合物媒体に溶解させた形態で用いられる。即ち、化学式 (1)、(2) 及び (3)で示される化合物から選ばれたルイス酸触媒と、全フッ素置換炭化水素およびそれが部分置換された炭化水素から選ばれたフッ素化合物媒体からなるルイス酸触媒組成物であり、該触媒組成物を用いる方法も本発明に含まれる。
該触媒組成物において、該フッ素化合物媒体中の該ルイス酸触媒の濃度は、通常は0.01〜20質量%であり、好ましくは0.05〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%である。
フッ素化化合物媒体は、使用条件下で液体であれば良く、好ましくは炭素数6〜50、より好ましくは炭素数6〜40の範囲、最も好ましくは炭素数6〜30の全フッ素置換炭化水素およびそれが部分置換された炭化水素から選ばれる。
フッ素化化合物媒体である全フッ素置換炭化水素として、例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロデカン、パーフルオロウンデカン、パーフロオロドデカン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロデカリン、住友スリーエム社のフロリナートTM FC-72、FC-84 、FC-77 等が挙げられる。
【0021】
フッ素化化合物媒体である全フッ素置換炭化水素の部分置換された炭化水素とは、全フッ素置換炭化水素の骨格に、酸素原子、窒素原子および炭素−炭素二重結合から選ばれた少なくとも1種を含む部分置換体である。このような化合物として、例えば、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリエチルアミン、バーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロ−5−メチル−3,6−ジオキサノナン、2H−パーフルオロ−5−メチル−3,6−ジオキサノナン、パーフルオロ−2,3,5−トリメチルヘキサン、ヘキサフルオロプロピレンオキサイドなどの低分子量重合体、住友スリーエム社のフロリナートTM FC-43、FC40、 FC-70、FC-75 、FC-3283 、ソルベーソレクシス社のガルデンTM SV110、SV135 、HT200 、HT230 、HT270 、デュポン社のクライトックスTM等が挙げられる。フッ素化化合物媒体としては、上記の各種媒体を単独で用いても、混合して用いても良い。
これらのフッ素化合物媒体は本発明で用いられるルイス酸触媒を溶解するが、一般の有機溶媒、即ち非フッ素化合物媒体とは相互にほとんど溶解しない。また該ルイス酸触媒は、フッ素化合物媒体と非フッ素化合物媒体との間の分配がフッ素化合物媒体に偏っているため、実質的にフッ素化化合物媒体に「固定」された状態で反応を行うことができる。
上記非フッ素化化合物媒体は、フッ素化化合物媒体と相分離する非フッ素化化合物媒体であれば、何ら限定されるものではない。このような非フッ素化化合物媒体として、脂肪族または脂環式炭化水素、フッ素以外のハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、フッ素以外のハロゲン芳香族炭化水素、エステル化合物、エーテル化合物などが挙げられる。
【0022】
脂肪族炭化水素としては、通常、炭素数5〜20、好ましくは5〜16、より好ましくは炭素数7〜16、最も好ましくは炭素数8〜12の直鎖状化合物又は分状化合物、脂環式炭化水素としては、通常、炭素数5〜16の環式化合物が用いられる。具体的には、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドテカン、n−ヘキサデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等を挙げることができる。
フッ素以外のハロゲン化脂肪族炭化水素は、室温で液状であれば、炭素数およびハロゲンの置換数には特に限定はないが、好ましくは炭素数1〜10のハロゲン化脂肪族炭化水素である。このような化合物として、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、炭素数6〜15の芳香族炭化水素が好ましい。例えば、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼンのアルキル基置換ベンゼン等を上げることができる。
フッ素以外のハロゲン化芳香族炭化水素におけるハロゲンの置換数に限定はないが、好ましくは炭素数6〜10のハロゲン化芳香族炭化水素が用いられる。例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン等を挙げることができる。
エステル化合物としては、通常、エステル基のカルボニルの炭素を除いて炭素数5〜20、好ましくは炭素数5〜16の化合物、より好ましくは直鎖状化合物、分岐状化合物、又は環式化合物の飽和炭化水素もしくは芳香族炭化水素、を含む炭素数6〜16、最も好ましくは炭素数7〜16のエステル化合物が用いられる。
【0023】
このような化合物として、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸iso −ブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸iso −ペンチル、酢酸n−へキシル、酢酸n−ヘプチル、酢酸n−オクチル、酢酸n−ノニル、酢酸n−デシル、酢酸n−ドデシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso −ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピオン酸n−ペンチル、プロピオン酸iso −ペンチル、プロピオン酸n−ヘキシル、プロピオン酸n−ヘプチル、プロピオン酸n−オクチル、プロピオン酸n−ノニル、プロピオン酸n−デシル、プロピオン酸n−ドデシル、プロピオン酸シクロヘキシル、プロピオン酸ベンジル、酪酸n−プロピル、酪酸n−ブチル、酪酸iso −ブチル、酪酸tert−ブチル、酪酸n−ペンチル、酪酸iso −ペンチル、酪酸n−ヘキシル、酪酸n−ヘプチル、酪酸n−オクチル、酪酸n−ノニル、酪酸n−デシル、酪酸n−ドデシル、酪酸シクロヘキシル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル等が挙げられる。
【0024】
エーテル化合物としては、通常、炭素数3〜15の直鎖状又は分枝状の飽和炭化水素を有するものが用いられる。飽和炭化水素は、好ましくは炭素数4以上、より好ましくは炭素数6〜15を有するものである。その他に、炭素数4以上の環状エーテル化合物、炭素数6以上の芳香族炭化水素を含むエーテル化合物等が用いられる。具体的には、ジプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジへキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジオキサン、フラン、アニソール等が挙げられる。
非フッ素化化合物媒体として、上記のような化合物が単独又は混合して用いられる。本発明に用いられるルイス酸触媒組成物に包含されるルイス酸触媒は、従来のルイス酸触媒に比べて高活性であるため、マイルドな反応条件で少量の触媒でも効率よく反応が進行するという利点がある。
上記ルイス酸触媒組成物を用いると、反応後、反応液から液々分離という簡単な操作によって容易に触媒を分離、回収し、再利用することができる。また、これらの性質を利用することにより、非特許文献7で提案されているような方法を利用し、フルオラス触媒相を固定相、基質を溶解させた有機相を移動相として、基質を連続供給させる流通式反応への応用も可能になる。
【0025】
本発明の方法において、化学式 (1)、(2) または (3)から選ばれたルイス酸触媒が、水酸基と反応して結合しうる官能基を揃えた炭素数1〜40のフッ素系炭化水素化合物の前記官能基が、水酸基を有する金属酸化物中の水酸基と化学結合してなる金属酸化物に担持された状態で用いることができる。この場合には、反応後、上記固定化された触媒を濾過するだけで、容易に触媒を分離、回収し、再利用することができる。
金属酸化物としては、水酸基を有するシリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、ジルコニア等が用いられる。金属酸化物の粒子は制限されないが、好ましくは0.00002〜1mm、より好ましくは0.001〜0.5mmである。
金属酸化物の水酸基は、好ましくはエーテル結合及び/又はエステル結合、より好ましくはエーテル結合により、水酸基と反応して結合しうる官能基を揃えた炭素数1〜40のフッ素化炭化水素化合物の前記官能基と結合している。
上記炭素数1〜40のフッ素化炭化水素化合物としては、直鎖状、環状又は分枝状構造からなる全フッ素化炭化水素化合物、全フッ素化炭化水素基のフッ素原子の一部がフッ素原子以外のハロゲン原子及び水素原子から選ばれた少なくとも1種で置換された化合物などが挙げられる。フッ素化炭化水素基は、ケイ素、窒素、リン、酸素及び硫黄から選ばれた原子を骨格に有してもよい。
【0026】
上記フッ素化炭化水素化合物の炭素数は1〜40であり、下限は炭素数4が好ましく、より好ましくは炭素数6、最も好ましくは炭素数8である。上限は炭素数30が好ましく、よりこのましくは炭素数20、最も好ましくは炭素数15である。具体的には、 -C4F9、-C5F11、-C6F13、-C7F15、-C8F17、-C9F19、 -C10F21、 -C11F23、-C12F25 、-C13F27 、-C14F29 、-CH2CH2C4F9 、-CH2CH2C5F11、-CH2CH2C6F13、-CH2CH2C7F15、-CH2CH2C8F17、-C6H4-C6F13 、-C6H3(C6F13)2 、-CH2CH2N(C8F17)2、-CH2CH2OC6F13 、-CH2CH2Si(CH2CH2C6F13)3 等の基を含有している化合物である。
フッ素化炭化水素化合物中に存在する、水酸基と反応して結合しうる官能基としては、例えば、アルコキシシリル基、エポキシ基、ハロゲン基等が挙げられる。ハロゲン基としては、好ましくは塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。これらの官能基は、フッ素化炭化水素化合物の末端又は骨格の中に存在してもよい。
フッ素化炭化水素化合物中に存在する水酸基と反応して結合しうる官能基と、水酸基を有する金属酸化物との反応は、例えば、無水トルエンなどの媒体中、場合によっては塩基存在下で、過熱還流することによって行われる。
【0027】
本発明に用いられる固定化ルイス酸触媒は、炭素数1〜40のフッ素化炭化水素化合物が金属酸化物中の水酸基と化学結合してなる金属酸化物と、化学式 (1)、(2) 及び(3) から選ばれた少なくとも1種ルイス酸触媒とを、金属酸化物:ルイス酸の重量比で、好ましくは10000:1〜1:1、より好ましくは1000:1〜2:1、最も好ましくは100:1〜3:1の割合になるように調整されたものである。
本発明に用いられる固定化ルイス酸触媒製造法としては、例えば、前記金属酸化物を水中に激しく攪拌しながら、ルイス酸触媒を添加し、水不溶である金属酸化物に固定化したルイス酸触媒を濾過して取得する。次いで、これを水で洗浄し、減圧下で乾燥する。
別法としては、ルイス酸触媒を、エタノール、アセトニトリル等の有機媒体、又はパーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロデカリン等のフッ素化化合物媒体に溶解させた溶液中に金属酸化物を添加し、有機媒体又はフッ素化化合物媒体を減圧下で留去し、減圧下で乾燥して得ることができる。
固定化ルイス酸触媒は、以下の特徴を有する。すなわち、前記ルイス酸触媒は、特定の金属酸化物に固定化されているので、水や有機溶媒に不溶の取り扱いやすい粉末状固体となっている。したがって、固定化ルイス酸触媒を触媒として使用する場合、反応後に簡単な濾過操作により、反応系からの分離及び再使用が可能となる。
【0028】
本発明に用いられる固定化ルイス酸触媒は、通常の固定触媒を用いる形態の液相反応と同様に使用できる。液相となる反応媒体としては、有機溶媒が使用される。反応媒体の使用量は、固定化ルイス酸触媒に対して重量比で1以上が好ましく、より好ましくは重量比が2〜1000である。
次に、オレフィン誘導体と、アルデヒド類またはその等価体によるプリンス反応により、1,3−ジオキサン誘導体の製造方法に際し、本発明に用いられるルイス酸触媒と、フッ素化合物媒体と、フッ素化合物媒体と相分離する非フッ素化化合物媒体とからなるルイス酸触媒組成物を用いた方法を例に説明する。
本発明に用いられるルイス酸触媒は、通常用いられる有機溶媒中でも高活性触媒として作用する。ルイス酸をリサイクル使用する場合には、フッ素化合物媒体と非フッ素化化合物媒体の存在下に、本発明のルイス酸触媒を用いてプリンス反応を行い、反応後、静止する。静止することによって、生成物を含有する非フッ素化化合物媒体とルイス酸触媒を含有するフッ素化化合物媒体とが相分離する。この相分離したフッ素化化合物媒体をリサイクルすることにより、ルイス酸触媒の再利用が可能となる。
【0029】
本発明の製造方法においてルイス酸触媒を触媒として使用する際には、ルイス酸触媒の添加量が、反応基質に対して0.0001〜10倍モル、好ましくは0.001〜2倍モルとなるように使用することができる。反応温度は、通常、100℃以下、好ましくは−20℃〜70℃、より好ましくは−10℃〜50℃である。反応時間は、ルイス酸触媒の添加量、反応温度などにより異なるが、数分〜72時間が好ましく用いられる。使用する媒体の種類により異なるが、フッ素化化合物媒体(A)と非フッ素化化合物媒体(B)の体積比は、(A):(B)=5:95〜95:5、好ましくは(A):(B)=10:90〜90:10、より好ましくは(A):(B)=30:70〜70:30である。
本発明に用いられるルイス酸触媒組成物の添加量は、反応基質に対して、ルイス酸触媒中のルイス酸として、通常、0.0001〜10倍モル、好ましくは0.01倍〜2倍モルである。反応温度は、通常、200℃以下、好ましくは20℃〜170℃、より好ましくは60℃〜130℃である。反応時間は、ルイス酸触媒の添加量、反応温度などにより異なるが、数分〜72時間が好ましく用いられる。
【実施例】
【0030】
以下に実施例などを挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
[実施例1]
α−メチルスチレン118mg (1mmol)、パラホルムアルデヒド60mg(ホルムアルデヒドとして2mmol)、及びHf[N(SO2C8F17)2]4 20mg(α−メチルスチレンに対して0.5mol%)に、GALDENTM SV135 1.5ml、及び1,2−ジクロロエタン1.5mlを加えて、35℃で0.5時間攪拌した。
反応後、上相の1,2−ジクロロエタン相をガスクロマトグラフにて定量分析したところ、収率87%で目的の4−メチル−4−フェニル−1,3−ジオキサンが得られた。上相の1,2−ジクロロエタン相を抜き取り、下相のGALDENTM SV135(一般式CF3-((O-CF(CF3)-CF2)n-(O-CF2)m)-O-CF3 )相に、α−メチルスチレン118mg、パラホルムアルデヒド60mg、及び1,2−ジクロロエタン1.5mlを加えて、35℃で0.5時間攪拌したところ、収率86%で目的の4−メチル−4−フェニル−1,3−ジオキサンが得られた。更に、上記と同様の処理を行い下相のGALDENTM SV135相を20回繰り返し使用した。その結果、収率が低下することなく、平均で81%の収率で目的の4−メチル−4−フェニル−1,3−ジオキサンが得られた。
【0031】
[比較例1]
α−メチルスチレン118mg (1mmol)、パラホルムアルデヒド60mg(ホルムアルデヒドとして2mmol)、及びハフニウムトリフラート4mg(α−メチルスチレンに対して0.5mol%)に、GALDENTM SV135 1.5ml、及び1,2−ジクロロエタン1.5mlを加えて、35℃で0.5時間攪拌した。
反応後、上相の1,2−ジクロロエタン相をガスクロマトグラフにて定量分析したところ、収率75%で目的の4−メチル−4−フェニル−1,3−ジオキサンが得られた。上相のジクロロエタン相を抜き取り、下相のGALDENTM SV135相に、α−メチルスチレン118mg、パラホルムアルデヒド60mg、及び1,2−ジクロロエタン1.5mlを加えて、35℃で0.5時間攪拌したところ、収率84%で目的の4−メチル−4−フェニル−1,3−ジオキサンが得られた。上記と同様の処理を繰り返し下相のGALDENTM SV135相を更に3回繰り返し使用した。その結果、目的の4−メチル−4−フェニル−1,3−ジオキサンの収率は3回目は86%、4回目は58%、5回目は37%であり、活性低下が著しかった。
【0032】
[実施例2]
α−メチルスチレン118mg (1mmol)、パラアセトアルデヒド88mg(アセトアルデヒドとして2mmol)、及びHf[N(SO2C8F17)2]4 12mg(α−メチルスチレンに対して0.3mol%)に、GALDENTM SV135 1.5ml、及び1,2−ジクロロエタン1.5mlを加えて、10℃で48時間攪拌した。
反応後、上相の1,2−ジクロロエタン相をガスクロマトグラフにて定量分析したところ、収率80%で目的の2,4,6−トリメチル−4−フェニル−1,3−ジオキサンが得られた。上相の1,2−ジクロロエタン相を抜き取り、下相のGALDENTM SV135相に、α−メチルスチレン118mg、パラアセトアルデヒド88mg、及び1,2−ジクロロエタン1.5mlを加えて、10℃で48時間攪拌したところ、収率80%で目的の2,4,6−トリメチル−4−フェニル−1,3−ジオキサンが得られた。上記と同様の処理を行い下相のGALDENTM SV135相を更に4回繰り返し使用した。その結果、目的の2,4,6−トリメチル−4−フェニル−1,3−ジオキサンの収率は3回目は79%、4回目は80%、5回目は80%、6回目は80%で、活性低下はなかった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の製造方法により、有機合成用溶媒、香料、動物用忌避剤、またはそれらの合成中間体として有用の1,3−ジオキサン誘導体化合物が、従来法に比べ、マイルドな反応条件で良い収率が得られた。また、反応後の液々分離などの簡単操作によって触媒を回収、再使用できるため、基質を連続供給させる流通式反応への応用も可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン誘導体とアルデヒド類またはその等価体とによるプリンス反応による下記の化学式 (4)で表される1,3−ジオキサン誘導体の製造方法であって、触媒として下記化学式 (1)、(2) または (3)で示される化合物から選ばれた少なくとも1種のルイス酸触媒を用いることを特徴とする1,3−ジオキサン誘導体を製造する方法。
【化1】

(上記化学式中、R1 は、水素、アルキル基またはアラルキル基から選ばれた基であり、R2 は、水素、置換または無置換の炭化水素基、ハロゲン基、アルコキシ基から選ばれた基であり、R3 とR4 は、水素またはアルキル基である。)
M(OSO2 Rf1 n (1)
M[N(SO2 Rf1 )(SO2 Rf2 )]n (2)
M[C(SO2 Rf1 )(SO2 Rf2 )(SO2 Rf3 )]n (3)
(上記化学式中、Rf1 は、炭素数4〜20の飽和または不飽和のフッ素炭化水素基もしくは部分フッ素化炭化水素基で、骨格中心中に酸素原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を有していてもよい。Rf2 とRf3 は、各々独立に、炭素数1〜20の飽和または不飽和のフッ素炭化水素基もしくは部分フッ素化炭化水素基で、骨格中心中に酸素原子および窒素原子から選ばれたヘテロ原子を有していてもよい。−SO2 基に直接結合する炭素原子に結合しているのは炭素原子及び/又はフッ素原子である。Mは、希土類を含む遷移金属、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン及びビスマスから選ばれた元素である。nは、Mの原子価と同数の整数を表す。)
【請求項2】
1,3−ジオキサン誘導体の製造方法が、フッ素化化合物媒体と非フッ素化化合物媒体との混合媒体中で、該ルイス酸触媒存在下行われることを特徴とする請求項1に記載の1,3−ジオキサン誘導体の製造方法。