説明

1,6:2,3−ジアンヒドロ−β−D−マンノピラノースの調製方法

本発明は、1,6:2,3−ジアンヒドロ−β−D−マンノピラノースの調製方法に関し、無水条件下、アルコール/アルコラート混合物中にて、Rがアルキル基およびR’が活性化剤である化合物Cの環化工程を含むことを特徴とする。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太線がピラノース環上方に位置する結合を表している以下の式に対応する:
【0002】
【化1】

または以下の別の表示に従う:
【0003】
【化2】

以後、「Cernyエポキシド」または「化合物(1)」と示される1,6:2,3−ジアンヒドロ−β−D−マンノピラノースの新規な調製方法に関する。
【背景技術】
【0004】
化合物(I)、およびより一般的には1,6:(2,3および3,4)−ジアンヒドロ−β−D−ヘキソピラノースのファミリーの化合物は、Czechの化学者Miloslav Cernyによって実質的に記載されている。化合物1(1,6:3,4−ジアンヒドロ−2−O−トシル−β−D−ガラクトピラノース)からのCernyエポキシド(I)に至る3つのアクセス経路が、文献に記載されている。
【0005】
【化3】

化合物1は、以下に示されるように、レボグルコサン2(または1,6−アンヒドロ−β−D−グルコピラノース)から得られる(M.Cerny et al.,Collect.Czech.Chem.Commun.,1961,vol.26,pp.2542−2550)。
【0006】
【化4】

ジトシル化誘導体3(1,6−アンヒドロ−2,4−ジ−O−トシル−β−D−グルコピラノース)が選択的に得られる(80%)。残りの20%は、基本的にトリトシル化誘導体で構成される。化合物2の化合物1への転化に関する全体収率は、55%である。
【0007】
レボグルコサン2に至る多くのアクセス経路が存在する;工業的に最も使用されているものは、1960年代から記載されているデンプンおよびセルロースの熱分解に加えて、以下に表されるD−グルコースの塩基性または酸性媒体中での環化である:
【0008】
【化5】

塩基性媒体中での環化
4:6−O−トシル−D−グルコピラノース
【0009】
【化6】

酸性媒体中での環化
5:6−0−トリチル−D−グルコピラノース
6:1,2,3,4−テトラ−O−アセチル−6−O−トリチル−β−D−グルコピラノース
7:1,6−アンヒドロ−2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノース
【0010】
塩基性媒体中での環化(M.A.Zottola et al.,J.Org.Chem.,1989,vol.54,pp.6123−6125;M.Akagi et al.,Chem.Pharm.Bull.,1962,vol.10,pp.905−909)は、低収率(15%)を反映する。さらに、単離を可能にするために粗レボグルコサン2をアセチル化する必要がある。酸性媒体中での環化経路に関しては(M.V.Rao et al.,Carbohydrate Research,1987,vol.162,141−144;R.L.Wistler et al.,Methods Carbohydr.Chem.,1972,vol.6,pp.411−412;E.Zara−Kaczian et al.,1982,vol.111,No.3,pp.271−283;E.Zara−Kaczian et al.,Acta Chemica Acad.Scient.Hung.,1978,vol.96,No.3,pp.311−313)、良好な収率(70%)が記載されているが、これはさらに2つの段階を含む。
【0011】
化合物1からのCernyエポキシド(I)に至る3つのアクセス経路は、次の通りである。
【0012】
【化7】

8:1,6−アンヒドロ−2−O−トシル−β−D−グルコピラノース
9:1,6−アンヒドロ−2−O−トシル−4−O−トリチル−β−D−グルコピラノース
10:1,6:2,3−ジアンヒドロ−4−O−トリチル−β−D−グルコピラノース
【0013】
Cernyエポキシド(I)に到達するために必要な段階数に加えて、こうした方法では、とりわけ、第1の段階中に3,4−アンヒドロ官能基を選択的に加水分解するという問題を含む。モノトシル化誘導体8の4位におけるヒドロキシルは、続いて、ナトリウムエトキシド(EtONa)の存在下での環化の間にエポキシドが移動するのを防止するために、トリチル基(Tr)によって保護される。
【0014】
【化8】

【0015】
M.Cerny et al.(Synthesis,1972,698−699)によれば、Cernyエポキシド(I)は、アンバーライトIRA400/OH樹脂の存在下、誘導体8から得ることができる。しかし、樹脂と長期間接触すると、エポキシドは3,4位に移動し、誘導体11(1,6:3,4−ジアンヒドロ−β−D−アルトロピラノース)を形成する結果になる。故に化合物を選択的に得る際の問題が残っている。出発化合物8自体もまた、上述したように、選択的に得るのが困難である。
【0016】
【化9】

12:1,6−アンヒドロ−4−O−ベンジル−2−O−トシル−β−D−グルコピラノース
13:1,6:2,3−ジアンヒドロ−4−O−ベンジル−β−D−マンノピラノース
【0017】
この変形により、エポキシドの移動なしで、ジアンヒドロ誘導体13を得るための環化が可能になる(T.Trnka et al.,Collect.Czech.Chem.Commun.,1971,vol.36,pp.2216−2225;M.Cerny et al,Collect.Czech.Chem.Commun.,1968,vol.33,pp.1143−1156)。それでもなお、D−グルコースからCernyエポキシド(I)を得るためには多数の段階を含む。
【0018】
結論として、Cernyエポキシド(I)の調製に関して上述された3つのアクセス経路は、D−グルコースから出発してそれぞれ10、8および9の段階を有し(レボグルコサン2を得るために酸性媒体中での環化を用いる、これが良好な収率をもたらすと記載された経路である。)、全体収率に関しては、経路1、2および3についてそれぞれ0.5%、10%および13%を有する。
【0019】
さらに、V.Bailliez et al.が、Synthesis,2003,No.7,1015−1017において、1,6:3,4−ジアンヒドロ−β−D−アルトロピラノースに至るアクセス経路を記載しており、これは、副生成物として微量の1,6:2,3−ジアンヒドロ−β−D−マンノピラノースの形成を伴う。これらの著者によれば、Cernyエポキシドは、1位と6位との間で予め環化されている前駆体から形成でき、または他には4位でアセチル化されたCernyエポキシドのN−1前駆体は、アルミナ、マイクロ波の下での照射およびペル−O−アセチル化に供される1,3,4−トリ−O−アセチル−2,6−ジ−O−トシルグルコースからの幾つかの段階において、5%のレベルで得ることができる。
【0020】
E.W.Holla et al.は、Synlett,1992,413−414において、1位と6位との間で予め環化されている前駆体を使用することが記載されており、この後ナトリウムメトキシドとの反応によってCernyエポキシドを形成し、このエポキシドは、1,6:3,4−ジアンヒドロ−β−D−アルトロピラノースとの混合物として得られる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】M.Cerny et al.,Collect.Czech.Chem.Commun.,1961,vol.26,pp.2542−2550
【非特許文献2】M.A.Zottola et al.,J.Org.Chem.,1989,vol.54,pp.6123−6125
【非特許文献3】M.Akagi et al.,Chem.Pharm.Bull.,1962,vol.10,pp.905−909
【非特許文献4】M.V.Rao et al.,Carbohydrate Research,1987,vol.162,141−144
【非特許文献5】R.L.Wistler et al.,Methods Carbohydr.Chem.,1972,vol.6,pp.411−412
【非特許文献6】E.Zara−Kaczian et al.,1982,vol.111,No.3,pp.271−283
【非特許文献7】E.Zara−Kaczian et al.,Acta Chemica Acad.Scient.Hung.,1978,vol.96,No.3,pp.311−313
【非特許文献8】M.Cerny et al.,Synthesis,1972,698−699
【非特許文献9】T.Trnka et al.,Collect.Czech.Chem.Commun.,1971,vol.36,pp.2216−2225
【非特許文献10】M.Cerny et al,Collect.Czech.Chem.Commun.,1968,vol.33,pp.1143−1156
【非特許文献11】V.Bailliez et al.,Synthesis,2003,No.7,1015−1017
【非特許文献12】E.W.Holla et al.,Synlett,1992,413−414
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
労力および出発材料のコストの観点から、産業規模で化合物(I)を得るために、良好な収率を提供し、故により利益の高い短時間の合成を構想する必要がある。本発明者らは、今般、上述の要件を満たすD−グルコースから出発して3段階で化合物(I)に至るアクセス経路を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の方法は、スキーム1において以下に表される段階を含む。
【0024】
【化10】

【0025】
故に、本発明の主題は、無水条件下、アルコール/アルコキシド混合物中において、化合物Cの環化段階を含むことを特徴とする、化合物(I)の調製方法である。
【0026】
化合物Cにおいて、Rは、1から4個の炭素原子を含むアルキル基、例えばメチル基を表し、R’は、活性化剤、例えばトシル基、メシル基またはベンゼンスルホニル基を表す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の意味の範囲内において、本文中で特に記述しない限り:
「アルキル」は、飽和の、直鎖または分枝鎖脂肪族基、例えばメチル基を意味すると理解され;
「アルコール」は、アルキル−OH式の化合物、例えばメタノールを意味すると理解され、式中、アルキル基は上記で定義された通りであって、1から3個の炭素原子を含み;
「アルコキシド」は、上記で定義された通りのアルコールの共役塩基を意味すると理解され、即ち式アルキル−Oに対応するアニオンは、アルカリ金属の対イオン、例えばナトリウムを保持しており;
「アルコール/アルコキシド混合物」は、アルコールおよび対応するアルコキシドの混合物、例えばメタノール/ナトリウムメトキシド(CHOH/CHONa)混合物を意味すると理解され;
「活性化剤」は、脱離基−OR’の離脱が可能であり、化合物Cの1位と6位との間の環化反応を促進する試剤、例えばトシル基、メシル基、ベンゼンスルホニル基またはベンゼンスルホニル誘導体基、例えばp−ハロベンゼンスルホニルハライドを意味すると理解される。
【0028】
本発明によれば、化合物Cの環化は、2から3当量のアルコキシド(化合物Cのモル量に関して表される。)、好ましくは2.2当量を用いて行われるのが有利である。
【0029】
本発明の別の主題は、化合物B(式中、R’は上記で定義した通り)のアシル化段階を含むことを特徴とする、化合物(I)の調製方法であり、化合物Cを得た後、上記で定義したような化合物Cのアルコール/アルコキシド混合物中での環化段階を行うことができる。
【0030】
化合物Bのアシル化段階は、アシル化剤を用いて行われ、それにより、R−CO−基を化合物Cに導入できる。こうしたアシル化剤は、例えば酸無水物、例えば無水酢酸からなることができ、または塩化アシルからなることができる。化合物Bに対して少なくとも3当量のアシル化剤を使用するのが有利である。
【0031】
本発明の1つの実施形態によれば、化合物Cは、Rがメチル基を表すような化合物である。この場合、化合物Bでのアシル化反応は、アセチル化反応からなり、例えばジクロロメタンのような溶媒中で無水酢酸を用いて行われる。
【0032】
本発明の別の主題は、化合物(I)の調製方法であり、この方法は化合物A(D−グルコース)の活性化段階を含み、それにより、化合物Bを得て、次いで化合物Bのアシル化段階を行い、続いて前段階の結果として得られた化合物Cの環化段階を無水条件下、アルコール/アルコキシド混合物中で行うことができることを特徴とする。
【0033】
化合物Aの活性化段階は、上記で定義した通りの活性化剤を用いて行うことができる。故に、ピリジンのような溶媒中で塩化トシルを用いるのが有利である。
【0034】
本発明の方法は、特に中間体Cの環化反応の間において媒体の塩基性度が低いこと、無水反応条件および使用されるナトリウムメトキシドの当量数といった理由から、D−グルコースから出発して3段階で化合物(I)(1,6:2,3−ジアンヒドロ−β−D−マンノピラノース)を選択的に得ることができる。
【0035】
化合物(I)は、本発明の方法に従って得られ、この選択率は中間体Cから少なくとも90%である。単離された生成物、即ち洗浄、濾過および単離のために必要な溶媒除去、例えば有機化学で使用される従来のもののような種々の段階の後での生成物に関して計算された化学収率は、少なくとも60%である。
【0036】
D−グルコースの中間体Bへの転化反応および次いで化合物Bから中間体Cの形成反応は、それぞれ少なくとも50%および80%の化学収率を示す。
【0037】
本発明は、以下の実施例を用いて例示され、この実施例においては、詳細には、次のスキーム2に従う本発明による化合物(I)の調製方法を記載している。これらの実施例において、次の略号を使用する:Me:メチル;Et:エチル;Ac:アセチル;TLC:薄層クロマトグラフィ;HPLC:高性能液体クロマトグラフィ;DMAP:4−ジメチルアミノピリジン。
【実施例】
【0038】
【化11】

【0039】
段階1:化合物B’(2,6−ジ−O−トシル−グルコピラノース)の調製
D−グルコース(化合物A)250g(1.38mol)および無水ピリジン1240mlを、窒素下6リットル反応器に連続的に導入する。混合物を撹拌しながら−10℃に冷却する。同時に、第2の反応器において、ピリジン中の塩化トシル溶液を、無水ピリジン1760ml中に塩化トシル529g(2.78mol)を溶解することによって調製する。続いて、塩化トシル溶液を上記で調製されたグルコース溶液に加える。この混合物を、−10℃で17時間撹拌する。反応の進行度は、標準条件下、TLC(ジ−およびトリトシル化誘導体の定量のための溶出液CHCl/MeOH 9/1V/V;D−グルコースのモニタリングのための溶出液CHCl/EtOH/AcOH/HO 48/40/8/4V/V)およびHPLCによってモニターする。
【0040】
混合物を、45から50℃での減圧蒸留により濃縮する。媒体が増粘する場合、および残留体積が約1000mlである場合、脱塩水750mlを充填し、混合物を均質化し、続いて混合物の約750mlを、約20mmHg下にて約45から50℃の温度で蒸留除去する(蒸留による溶媒の交換操作)。蒸留操作は、ピリジンが除去されるまで繰り返す。反応器の温度が20℃まで低下したとき、ジクロロメタン1000mlを添加し、混合物を撹拌しながら均質化する。脱塩水1000mlおよび塩酸100mlを連続的に導入し、混合物をさらに30分間撹拌し、沈降により分離した後、酸性水相を除去する。これらの取り扱い操作は、水相のpHが約1になるまで繰り返す。脱塩水1000mlおよびNaCl100gで構成される溶液を得られた混合物に導入する。混合物をさらに30分間撹拌し、沈降により分離させ、水相を続いて除去する。これらの取り扱い操作は、水相のpHが5.0から5.5になるまで繰り返す。ジクロロメタンは、残存体積が625mlになるまで45℃の温度での蒸留により続いて除去され、次いで同じ温度で4回の蒸留操作により水を除去するが、いずれの場合もジクロロメタン625mlを用いる。
【0041】
段階1の収率は64%である。
【0042】
段階2:化合物C’(または1,3,4−トリ−O−アセチル−2,6−ジ−O−トシルグルコース)の調製
先行する段階の結果として得られた濃縮物をジクロロメタン625ml中にとる(反応体積を1300mlに調節)。20℃の温度にて1時間30分でDMAP24gの添加を行い、次いで無水酢酸616gを添加する。反応媒体を43℃に加熱し、約3時間撹拌し続ける。反応の進行度をTLC(溶出液:トルエン/AcOEt 90/30V/V)によってモニターする。反応媒体を20℃まで冷却し、脱塩水1000mlを導入する。反応混合物を30分間撹拌し、沈降により分離し、酢酸水相を除去する。脱塩水1000mlおよびNaCO100gを続いて添加する。再び、反応混合物を30分間撹拌し、沈降により分離させ、酢酸水相を除去する。再び、脱塩水1000mlを添加し、続いて30分間撹拌し、沈降により分離し、水相を除去する。有機相を続いて、減圧蒸留によるジクロロメタンの除去により875mlから1000mlの体積まで濃縮し、次いでジクロロメタンを、メタノールを用いて減圧蒸留によって除去するが、いずれの場合もメタノール500mlを使用する。反応体積をメタノールを添加することによって2000mlに調節し、反応媒体を0℃まで撹拌しながら冷却し、この温度を3時間維持する。得られた沈殿物をろ過する。得られたケークを続いて、0℃にてメタノール250mlを用いて清浄することにより3回洗浄する。こうして得られた生成物(化合物C’)は、50℃にて減圧下で乾燥させ、一定重量にする。
【0043】
段階2の収率は95%であり、得られた化合物CはHPLCアッセイによって測定される場合に93.4%の純度を示す。
【0044】
段階3:化合物(I)の調製
化合物C’604g(0.98mol)およびメタノール3600mlを6リットル反応器に連続的に導入する。混合物を20℃の温度で撹拌する。30%ナトリウムメトキシド(MeONa)/メタノール375.8g、即ちメトキシド2.12molを続けて添加する。この反応段階中に使用されるメタノールは無水物である(これは200ppm未満の水を含む。)。混合物を20℃で5時間撹拌し続ける。反応媒体を続けて0℃に冷却し、次いで塩酸(36%)13.5mlの添加によってpHを6.5に調節する。
【0045】
化合物C’の環化反応は選択的であり、化合物C’の化合物(I)への転化が少なくとも90%であることに反映される。続いて洗浄および溶媒の除去段階が、単離形態の化合物(I)を得るために必要である。
【0046】
混合物を、残存体積が980mlになるまで30℃の温度で減圧濃縮し、次いで酢酸エチル1600mlを添加する。続いて混合物を、残存体積が966mlになるまで60℃の温度で減圧下で濃縮する。酢酸エチル980mlを導入し、混合物を、残存体積が980mlになるまで30℃の温度で減圧下で濃縮する。酢酸エチル300mlを再び導入し、次いで混合物を、残存体積が980mlになるまで30℃の温度で減圧下で濃縮する(操作はさらに2回繰り返される。)。メタノールの除去を、蒸留物の最終液滴の屈折率によってモニターする。
【0047】
メタノールのすべてが酢酸エチルによって置き換えられたとき、反応媒体を0℃まで30分以内に冷却し、この温度で1時間撹拌し続ける。得られた懸濁液を濾過し、次いでケークを清浄により4回洗浄するか、いずれの場合も0℃にて酢酸エチル300mlを用いる。こうして得られたろ液を合わせる。残存体積が780mlになるまで、25から30℃の温度にて減圧下で濃縮を行う。
【0048】
段階3の化学収率は75%である。
【0049】
化合物(I)のプロトンおよび炭素−13NMRスペクトルはBruker300MHzデバイスにて記録する。化学シフトは、テトラメチルシランに関して、プロトンスペクトルでは0.01ppmおよび炭素−13スペクトルでは0.1ppmで表現される。カップリング定数は、Hz単位で0.5Hzまで絶対値で与えられる。
【0050】
H NMR(CDCl)2.67(d,1H OH,J4,OH 5,5Hz),3.12(d,1H,H,J2,3 3.4Hz),3.42(dd,1H,H,J2,3=J2.1=3,0Hz),3.69から3.77(m,2H,H,H6’),3.89(d,1H,H,J4,OH 5.5Hz),4.40(dm,1H,H,J1,2 3.0Hz)。
【0051】
13CNMR:49.3:C;54.3:C;65.6:C6,6’;67.1:C;97.7:C;74.2:C

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物(I):
【化1】

の調製方法であって、
無水条件下、アルコール/アルコキシド混合物中、化合物C:
【化2】

(式中、Rは、1から4個の炭素原子を含むアルキル基を表し、ならびにR’は活性化剤を表す。)
の環化段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
化合物Cが、Rがメチル基を表すような化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化合物Cが、R’がトシル基、メシル基またはベンゼンスルホニル基を表すような化合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
化合物Cが式C’:
【化3】

(式中、Acはアセチル基を表し、Tはトシル基を表す。)
に対応することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
環化段階がメタノール/ナトリウムメトキシド混合物中で行われることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
環化段階が2から3当量のアルコキシドを用いて行われることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に定義された化合物Cを得ることができる、化合物B:
【化4】

(式中、R’は請求項1にて定義された通りである。)
のアシル化段階、
続いて請求項1から6のいずれか一項に定義された通りの化合物Cの環化段階
を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
化合物Bが、R’がトシル基を表し、式B’:
【化5】

に対応するような化合物であることを特徴とする、請求項7に記載の方法
【請求項9】
アシル化段階がアセチル化反応であることを特徴とする、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
アセチル化反応が無水酢酸を用いて行われることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項7に定義される化合物Bを得ることができる、化合物A:
【化6】

の活性化段階、
続いて、請求項1に定義された通りの化合物Cを得ることができる請求項7または請求項9に定義された通りの化合物Bのアシル化段階;
続いて、請求項1から6のいずれか一項に定義された通りの化合物Cの環化段階
を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
化合物Aの活性化段階が、トシル、メシルまたはベンゼンスルホニルハライドを用いて行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2012−502894(P2012−502894A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526547(P2011−526547)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051729
【国際公開番号】WO2010/031953
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(504456798)サノフイ (433)
【Fターム(参考)】