説明

2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法

【課題】
医薬中間体として有用な2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸を、安価に、高収率で製造する方法を得る。
【解決手段】
酒石酸を硝酸に溶解した後、濃硫酸と反応させ、反応により得られる酒石酸の硝酸エステルを、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒を含む溶媒に加え、その後、アルデヒドとアンモニアの混合液を反応液に加えて、2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸を製造する2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品中間体として有用な2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記の式
【0003】
【化1】

【0004】
で示される、2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法は、式
【0005】
【化2】

【0006】
で示される、ジアミノマレオニトリルと式
CH3CH2CH2C(OCH3
で示されるトリメチルオルソブチレートをアセトニトリル中で還流、溶媒留去後、キシレンで溶媒置換、再度還流、冷却することで生成する沈殿を固液分離することで得られる式
【0007】
【化3】

【0008】
で示される2−n−プロピル−4,5−ビスシアノ−イミダゾールとし、6N−塩酸と還流下反応後、冷却することで析出する沈殿を固液分離する方法がある(非特許文献1参照)。
【0009】
また、2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の別の製造方法として、式
【0010】
【化4】

【0011】
で示される酒石酸に発煙硝酸、硫酸を作用させ、式
【0012】
【化5】

【0013】
で示される酒石酸硝酸エステルとし、中和後、ブチルアルデヒドとアンモニア水の混合液と反応する方法がある(非特許文献2参照)。
【0014】
しかしながら、ジアミノマレオニトリルを使用した従来技術では、原料群の単価が高く、製造コストが高い。また、安価な原料を用いる酒石酸を使用した従来技術は、酒石酸の硝酸エステルが水中で不安定であるため、中和工程前の処理での硝酸エステルの分解が激しく、イミダゾールジカルボン酸がまったく得られない。あるいは、低収率で僅かに得られる粗生成物もアルデヒドオリゴマーや無機塩が混入しており、純度と含量の品質面で満足できるものではなかった。したがって、両従来技術とも工業的製法としては有利な方法とはいえなかった。
【0015】
一方、従来、式
【0016】
【化6】

【0017】
で示される2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸 ジエチルの製造方法は、2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸とエタノールを懸濁させ、塩酸ガスを室温で吹き込み、還流する方法がある(非特許文献1参照)。また、2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸 ジエチルの別の製造方法は、2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸とエタノールを懸濁させ、濃塩酸を触媒量添加後、塩化チオニルを反応液5℃以下に維持するように加えた後、還流する方法がある(非特許文献2参照)。さらに、2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸 ジエチルの別の製造方法は、2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸とエタノールを懸濁させ、濃硫酸を触媒量加える反応がある(特許文献1参照)。
【0018】
2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸とエタノールを懸濁させ、塩酸ガスを吹き込む方法は、反応時間が長く、生産性が悪い問題点があり、さらに、塩酸ガスを吹き込むため、製造付帯設備が必要となり、高価であった。
【0019】
2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸とエタノールを懸濁させ、濃塩酸を添加する方法は、実用的な装置での操作性が悪く、生産コストが高かった。
【0020】
また、2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸とエタノールを懸濁させる従来技術では、ジカルボン酸とエタノールと少量の硫酸で製造しているが反応時間が長く生産性の面から、満足すべき方法とはいえなかった。
さらに、従来、式
【0021】
【化7】

【0022】
で示される2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸 ジメチルの製造方法は、2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸とメタノールを懸濁させ、塩化チオニルを加え、40〜45℃で製造する方法がある(非特許文献3参照)。しかしながら、同従来技術も反応時間が長く生産性の面から、満足すべき方法とはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】国際公開第2004/83213号パンフレット
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】ジャーナル オブ メディシナルケミストリー(1996),36,323−338
【非特許文献2】オルガニック プレパレーション アンド プロセデュアズ インターナショナル(2006),38(4),410−412
【非特許文献3】シンセティック コミュニケーションズ(2009),39,291−298
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
医薬中間体として有用な2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸および2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルを、安価に、高収率で製造する方法を得る。
【発明の効果】
【0026】
安価な酒石酸から酒石酸の硝酸エステルを介して、優れたアンジオテンシンII拮抗作用及び血圧降下作用等を有する、ビフェニルメチルイミダゾール誘導体の中間体として有用な2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸を製造することができる。
【0027】
本発明の製造方法によれば、安価な原料から、目的化合物を、高純度、高含量、高収率で工業的に得る事が出来る。
【0028】
さらに、2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸から、2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸アルキルを、高純度、高含量で工業的に製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、酒石酸を硝酸に溶解した後、濃硫酸と反応させ、反応により得られる酒石酸の硝酸エステルを、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒を含む溶媒に加え、その後、下記の式
R1CHO
(式中、R1は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、または、炭素原子数が3〜6のアルケニル基を示す)
で示されるアルデヒドとアンモニアの混合液を反応液に加え、下記の式
【0030】
【化8】

【0031】
(式中、R1は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、または、炭素原子数が3〜6のアルケニル基を示す)
で示される2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸を製造する2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法である。
さらに、得られた2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸と
下記式、
R2OH
(式中、R2は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が3〜6のアルケニル基またはベンジル基を示す)
の懸濁液に塩化チオニルと水を加え、下記の式
【0032】
【化9】

【0033】
で示される2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルを、高純度、高含量で工業的に製造する2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルの製造方法である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明では、酒石酸を硝酸に溶解した後、濃硫酸と反応させ、反応により得られる酒石酸の硝酸エステルを、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンあるいはN−メチル−2−ピロリドン、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒含む溶媒に加え、その後、下記の式
R1CHO
(式中、R1は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、または、炭素原子数が3〜6のアルケニル基を示す)
で示されるアルデヒドとアンモニアの混合液を反応液に加え、下記の式
【0035】
【化10】

【0036】
(式中、R1は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、または、炭素原子数が3〜6のアルケニル基を示す)
で示される2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸を製造する。
【0037】
本発明では、酒石酸を硝酸に溶解する。本発明では、酒石酸としては、L体、D体、ラセミ体、メソ体のいずれでもよく、好ましくはL体またはラセミ体であり、より好ましくは、L−酒石酸である。
【0038】
酒石酸を溶解する硝酸は、好ましくは、発煙硝酸である。
【0039】
本発明では、酒石酸の硝酸エステル
【0040】
【化11】

【0041】
は、酒石酸を硝酸に溶解した後、濃硫酸との反応により得られる。濃硫酸は、好ましくは、94〜98%濃度あるいは、発煙硫酸であり、より好ましくは、98%濃度である。
【0042】
酒石酸の硝酸エステルは、好ましくは、酒石酸の入った容器中に、発煙硝酸と硝酸を加え、酒石酸をほぼ溶解させた後、反応の液温を40〜46℃に維持するように濃硫酸を滴下することで得られる。
【0043】
酒石酸の硝酸エステルは、好ましくは、析出した固体を固液分離して単離する。
【0044】
本発明では、酒石酸の硝酸エステルを、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒を含む溶媒に加える。
【0045】
N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒は、好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドであり、より好ましくは、混酸に対する反応性、取り扱い易さの面等からN−メチル−2−ピロリドンである。
【0046】
N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒を含む溶媒は、好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒と、水あるいは氷の混合溶媒である。N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒と、水あるいは氷の混合溶媒を使用することにより、硝酸エステルの分解を抑制し、2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の収率を改善できるので、好ましい。
【0047】
N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒と、水あるいは氷の混合比は、好ましくは、1:1〜1:6(重量比)である。
【0048】
N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒と、水あるいは氷の混合溶媒は、好ましくは、0℃以下に冷却し、より好ましくは、−5℃以下にさらにより好ましくは、−5〜−10℃に冷却する。
【0049】
N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒は、好ましくは、−14〜−19℃の冷却装置または冷却バスで、液温を−5℃以下に冷却する。
【0050】
本発明の2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法では、酒石酸の硝酸エステルを固液分離後、掻き取り、予め、調製した有機溶媒、氷あるいは、水の−5℃の混合溶液に加えることが好ましい。
【0051】
本発明では、硝酸エステル固体中に残った濃硝酸と濃硫酸の混酸液をアンモニアを用いて、−4℃以下で中和することが好ましい。アンモニアは、PHが8になるまで加えることが好ましい。アンモニアは、濃アンモニア水、飽和アンモニア水あるいはアンモニアガスが好ましい。
【0052】
本発明では、
R1CHO
(式中、R1は炭素原子数が1〜6のアルキル基または炭素原子数が3〜6のアルケニル基を示す)
で示されるアルデヒドとアンモニアの混合液を下記の式
【0053】
【化12】

【0054】
で示される酒石酸の硝酸エステルのアンモニア液に加え、下記の式
【0055】
【化13】

【0056】
(式中、R1は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、または、炭素原子数が3〜6のアルケニル基を示す)
で示される2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸を製造する。
【0057】
1は、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、sec−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、アリル基、ジメチルアリル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ブテニル基、4−ペンテニル基、3−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−ヘキセニル基であり、より好ましくは、エチル基、n−プロピル基、iso−ブチル基、アリル基である。
【0058】
本発明では、好ましくは、予め、アンモニア水の液温を15℃以下に保持するようにアルデヒドをアンモニア水に加える。アンモニア水は、取り扱い上、濃アンモニア水(28重量%)または、飽和アンモニア水(35重量%)が好ましい。
【0059】
本発明では、好ましくは、アルデヒドを加えたアンモニア溶液を19℃以上まで昇温後、この調製した混合溶液を先の中和した酒石酸の硝酸エステル溶液に液温を−8℃以下で保持しながら滴下する。
【0060】
本発明では、好ましくは、2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の粗生成物を、メチルエチルケトン、エタノール、メチルイソブチルケトン、アセトン、クロロホルム、または、塩化メチレンで洗浄し、より好ましくは、アセトン、あるいは、メチルエチルケトンで洗浄する。
【0061】
本発明では、好ましくは、2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の粗生成物を、水で洗浄する。
【0062】
本発明では、さらに好ましくは、2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の粗生成物を、メチルエチルケトン、エタノール、メチルイソブチルケトン、アセトン、クロロホルム、または、塩化メチレンで洗浄後、さらに、水で洗浄する。2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の粗生成物を、有機溶媒と水で洗浄することにより、2−アルキル−1―イミダゾール−4,5−ジカルボン酸粗生成物中のアンモニウム塩とアルデヒドオリゴマーの混入が改善できる。洗浄精製した2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸は、好ましくは、50℃で減圧乾燥することが好ましい。
【0063】
本発明では、さらに、得られた2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸と下記式
R2OH
(式中、R2は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が3〜6のアルケニル基またはベンジル基を示す)
で示されるアルコールの懸濁液に塩化チオニルと、水を加え、反応し
下記一般式
【0064】
【化14】

【0065】
(式中、R1は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、または、炭素原子数が3〜6のアルケニル基を示し、R2は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が3〜6のアルケニル基またはベンジル基を示す)で示される2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルを製造する。
【0066】
塩化チオニルは、2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の2.0倍モル以上、使用する。塩化チオニルの使用量は、2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の2.0〜6.0倍モルが好ましく、3.0〜5.0倍モルがより好ましい。
【0067】
水は、2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の0.5〜3.0倍モル加えことが好ましく、0.6〜2.5倍モル加えることがより好ましい。
【0068】
アルコール
R2OH
のR2は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が3〜6のアルケニル基またはベンジル基を示す。炭素原子数が1〜6のアルキル基は、好ましくは、炭素原子数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基である。炭素原子数が3〜6のアルケニル基またはベンジル基は、好ましくは、アリル基、ベンジル基であり、より好ましくは、ベンジル基である。
【0069】
アルコールの使用量は、2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の3〜100倍モルが好ましく、6〜60倍モルがより好ましい。
【0070】
本発明では、好ましくは、塩化チオニルと、水を加えて、アルコールと、2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸を、還流下で反応させる。還流反応時間が短い場合、再結晶での精製でも除去しにくい下記、一般式
【0071】
【化15】

【0072】
で示されるハーフエステル中間体が残存するため、還流時間は、3.5〜48時間が好ましく、4〜24時間がより好ましく、生産性、品質面から4〜8時間がさらにより好ましい。
【0073】
下記一般式
【0074】
【化16】

【0075】
で示される2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルのR1は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、または、炭素原子数が3〜6のアルケニル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、sec−ペンチル基、neo−ペンチル基、n−ヘキシル基、アリル基、ジメチルアリル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ブテニル基、4−ペンテニル基、3−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−ヘキセニル基であり、より好ましくは、エチル基、n−プロピル基、iso−ブチル基、アリル基である。
【0076】
また、R2は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が3〜6のアルケニル基またはベンジル基を示す。炭素原子数が1〜6のアルキル基は、好ましくは、炭素原子数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基である。炭素原子数が3〜6のアルケニル基またはベンジル基は、好ましくは、アリル基、ベンジル基であり、より好ましくは、ベンジル基である。
【0077】
反応後の2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルの後処理は、好ましくは、反応液中の無機塩を除き、アルコール留去後、中和抽出、再結晶する。あるいは、反応液に冷水を加え、アルカリ塩で中和後、析出した結晶を濾過、乾燥しても良い。中和抽出に用いる有機溶媒は、酢酸エチルあるいは、トルエンが好ましく、中和するアルカリ塩は、飽和重曹水あるいは、5〜48重量%水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。抽出後の水層は、酸性であるため、PHが8になるまで重曹粉末あるいは水酸化ナトリウムを加え、有機溶媒で再抽出し、先の有機層に加え、硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を固液分離で除き、アルコールと有機溶媒を濃縮後、アルコール、酢酸エチル、イソプロピルエーテルを再結晶溶媒とし、目的化合物の2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルを精製することが好ましい。
【実施例】
【0078】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。また、以下の実施例において、測定には下記装置を使用し、原料は試薬メーカー(東京化成品、和光純薬品、ナカライテスク品、関東化学品)から購入した一般的な試薬あるいは東レファインケミカル品を用いた。
【0079】
測定装置
NMR測定・・・日本電子製400MHz NMR測定器
分析温度:23−24℃
測定溶媒:DMSO−d6,CDCl,D2O
IR測定・・・日本分光製 FT/IR-410。KBr粉末に合成品を微量添加後、乳鉢で均一分散し、プレス後、KBr板とし、赤外を透過させて測定した。
【0080】
HPLC測定・・・島津製LC-2010シリーズ
カラム:YMC-Pack ODS-A,A-303,250mm-4.6mmφ
展開溶媒A:20mM 燐酸二水素ナトリウム(pH=2.8 燐酸)
展開溶媒B:アセトニトリル
グラジエント条件:展開溶媒A/B=90/10(0-5分)→30/70(20分)→70/30(30分)
カラム温度:40℃
検出器:UV 210nm
流速:1ml/min 。
【0081】
[比較例1]
(酒石酸出発での2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸を合成する非特許文献2に記載の方法)
攪拌装置、温度計を装着した4ッ口フラスコにL−酒石酸 10.05g(67mmol)、発煙硝酸40mlを仕込み、この溶液に濃硫酸40mlを室温で滴下した。2時間静置後、析出した酒石酸の硝酸エステル固体を濾取した。濾取した酒石酸の硝酸エステル固体を氷水100gを仕込んだ別の容器に分散したところ、液温が30℃まで発熱、激しくガスが発生した。さらに、この溶液がPH=8になるまで、濃アンモニア水を加えた。
【0082】
予め、調製しておいたn−ブチルアルデヒド20.2g(281mmol)と濃アンモニア水22.8gの混合溶液を反応液に液温0℃になるように、反応容器を氷水のバスに浸しゆっくり滴下した。滴下30分後、反応液を濃塩酸でPH=3になるまで酸性にした後、5℃まで冷却し、析出した沈殿を濾取し、エタノールで洗浄・乾燥した。酒石酸の硝酸エステルが同化合物中に含まれる混酸(硝酸・硫酸)の希釈熱で氷水中で分解したため、得られた固体は、アルデヒドオリゴマーであり、目的化合物の2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸は、得られなかった。
【0083】
[比較例2]
4ツ口フラスコにL−酒石酸20.08g、硝酸43ml、発煙硝酸43mlを仕込み、酒石酸がほぼ溶解した後、濃硫酸82mlを液温40〜45℃に維持しながら55分かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。攪拌を停止し、一昼夜静置した。析出した硝酸エステルをガラスフィルターで濾過し、予め、−14℃のアセトン・ドライアイスバスで冷却した容器に入った氷水300g中に加えた。液温を−2〜−6℃に保持しながら、濃アンモニア水をPH=8になるまで(75ml/52分)加えた。さらに予め、調製したブチルアルデヒド40.82g/濃アンモニア水45.8gの溶液を先の中和した溶液に−3℃以下で保持しながら22分かけて滴下した。反応溶液を室温まで昇温し、PH=3になるまで濃塩酸を加え(65ml)液温を0℃まで冷却し酸析した。析出固体を濾取し、アセトン、エタノール洗浄、乾燥することにより、粗生成物7.06gを得た。粗生成物6.61gにアセトン14.77gを加え、懸濁洗浄し、濾取後、水・アセトン洗浄し、乾燥することにより目的化合物の2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸3.94g(収率:14%)を得た。また、得られた目的化合物のHPLC純度は、99.8%と高純度であった。比較例1と比較例2より、酒石酸の硝酸エステルを−14℃で除熱しながら、氷水中に加えれば、目的化合物を低収率ながら得られることが判った。
【0084】
1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):
δ0.84(t,3H,J=7.3Hz),1.72(sx,2H,J=7.3Hz),2.78(t,2H,J=7.3Hz) ,3.40ppm(brs,3H)。
【0085】
[実施例1]
4ツ口フラスコにL−酒石酸20.05g、硝酸36ml、発煙硝酸51mlを仕込み、酒石酸がほぼ溶解した後、濃硫酸80mlを液温43〜46℃に維持しながら37分かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。攪拌を停止し、一昼夜静置した。析出した硝酸エステルをガラスフィルターで濾過し、予め、−19℃の冷却装置で冷却した容器に入ったN−メチル−2−ピロリドン50ml(51.35g)と氷水300gの混合液中に加えた。液温を−10〜−5℃に保持しながら、濃アンモニア水をPH=8になるまで(90ml/63分)加えた。さらに予め、調製したブチルアルデヒド40.89g/濃アンモニア水45.76gの溶液を先の中和した溶液に−7℃以下で保持しながら14分かけて滴下した。反応溶液を室温まで昇温し、PH=3になるまで濃塩酸を加え(60ml)液温を3℃まで冷却し、酸析した。析出固体を濾取し、アセトン、エタノール洗浄、乾燥することにより、粗生成物16.62gを得た。粗生成物16.62gにアセトン32.87gを加え、懸濁洗浄し、濾取後、水・アセトン洗浄し、乾燥することにより目的化合物の2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸12.22g(収率:46%)を得た。得られた目的化合物のHPLC純度は、99.8%と高純度であった。このことから、酒石酸硝酸エステルをN−メチルピロリドン50ml(51.35g)と氷水300gの混合液中に加えると、氷水に加える場合より、収率が3倍(14%→46%)以上、向上した。
【0086】
1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):
δ0.84(t,3H,J=7.3Hz),1.62(sx,2H,J=7.3Hz),2.51(t,2H,J=7.3Hz),7.05ppm(brs,3H)。
IR(KBr):3201,1519,1400,1252cm-1
【0087】
[実施例2]
4ツ口フラスコにL−酒石酸20.04g、硝酸35ml、発煙硝酸52mlを仕込み、酒石酸がほぼ溶解した後、濃硫酸80mlを液温43〜46℃に維持しながら37分かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。攪拌を停止し、一昼夜静置した。析出した硝酸エステルをガラスフィルターで濾過し、予め、−19℃の冷却装置で冷却した容器に入ったN−メチルピロリドン50ml(51.35g)と氷水100gの混合液中に加えた。液温を−6〜−10℃に保持しながら、濃アンモニア水をPH=8になるまで(91ml/63分)加えた(3〜−7℃)。
【0088】
さらに予め、調製したブチルアルデヒド40.96g/濃アンモニア水45.74gの溶液を先の中和した酒石酸硝酸エステルの溶液に−8℃以下で保持しながら34分かけて滴下した。反応溶液を室温まで昇温し、PH=3になるまで濃塩酸を加え(61ml)液温を4℃まで冷却し、酸析した。析出固体を濾取し、アセトン、エタノール洗浄、乾燥することにより、目的化合物の2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸12.10g(収率:46%)を得た。得られた目的化合物のHPLC純度は、99.8%と高純度であった。このことから、酒石酸硝酸エステルをN−メチルピロリドン50mlと氷水の混合液中に加えると、氷水に加える場合より、収率が3倍(14%→46%)以上、向上した。
【0089】
1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):
δ0.84(t,3H,J=7.3Hz),1.64(sx,2H,J=7.3Hz),2.59(t,2H,J=7.3Hz),7.20ppm(brs,3H)。
IR(KBr):3167,1518,1397,1253cm-1
【0090】
[実施例3]
4ツ口フラスコにL−酒石酸20.10g、硝酸36ml、発煙硝酸51mlを仕込み、酒石酸がほぼ溶解した後、濃硫酸82mlを液温43〜46℃に維持しながら31分かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。攪拌を停止し、一昼夜静置した。析出した硝酸エステルをガラスフィルターで濾過し、予め、−19℃の冷却装置で冷却した容器に入ったメチルシクロヘキサン53.32gと氷61.33gの混合液中に加えた。液温を−10〜−7℃に保持しながら、濃アンモニア水をPH=8になるまで(92ml/73分)加えた。さらに予め、調製したブチルアルデヒド40.28g/濃アンモニア水46.52gの溶液を先の中和した溶液に−9℃以下で保持しながら47分かけて滴下した。反応溶液を室温まで昇温し、PH=3になるまで濃塩酸を加え(59ml)液温を2℃まで冷却し、酸析した。析出固体を濾取し、アセトン、水洗浄、乾燥することにより、粗生成物7.97gを得た。この粗生成物7.97gにアセトン16.22g/水10.22を加え、懸濁洗浄し、濾取後、水・アセトン洗浄し、乾燥することにより目的化合物の2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸4.71g(収率:18%)を得た。得られた目的化合物のHPLC純度は、99.8%と高純度であった。このことから、酒石酸硝酸エステルをメチルシクロヘキサンと氷水の混合液中に加えると、氷水に加える場合、実施例1、実施例2より、収率が弱冠(14%→18%)向上した。
【0091】
1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):
δ0.83(t,3H,J=7.3Hz),1.63(sx,2H,J=7.3Hz),2.55(t,2H,J=7.3Hz),7.27ppm(brs,3H)。
IR(KBr):3194,1513,1397,1252cm-1
【0092】
[実施例4]
4ツ口フラスコに実施例2で合成した2−n−プロピル−1−イミダゾール−ジカルボン酸4.50g(22.3mmol)、エタノール70mlを仕込み、塩化チオニル8.97g(73mmol)を液温−6℃以下になるように30分かけ、滴下した。さらに水を0.43g加えた後、反応溶液を昇温し、3時間還流した(液温:74〜77℃)。HPLCで還流3時間後の反応モニターした結果、原料のジカルボン酸1.09%、ハーフエステル体:4.17%、目的化合物(ジエステル体):93.4%であった。
【0093】
反応溶液を室温まで冷却し、析出した無機塩を濾過で除去し、ろ液を濃縮後、酢酸エチル30ml、飽和重曹水30mlを加え、分液し、水層に重曹をPH=8になるまで加え、酢酸エチルで抽出し、先の有機層に合わせた。同様の水層からの酢酸エチルでの抽出操作を2回繰り返し、有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、ろ液を濃縮し、得られた結晶を酢酸エチル/イソプロピルエーテル/ヘキサンで冷却晶析、濾過、50℃真空乾燥後、目的化合物の2−n−プロピルイミダゾール−ジカルボン酸 ジエチル 4.15g(収率72%)を得た。再結晶後のHPLC純度は、97.4%、ハーフエステル体:1.21%であり、還流(反応)時間が3時間では、再結晶精製しても、不純物のハーフエステル体が残ることが判った。
【0094】
[実施例5]
4ツ口フラスコに実施例2で合成した2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸1.98g(10mmol)、エタノール30mlを仕込み、塩化チオニル2.71g(23mmol)を液温−6℃以下になるように30分かけ、滴下した。反応溶液を昇温し、1時間40分還流した(液温:74〜77℃)。反応溶液を室温まで冷却し、塩化チオニル2.63g(22mmol)、水0.19g(11mmol)を追添し、昇温、2時間20分還流後、室温まで冷却した(累積還流時間:4時間)。HPLCで還流時間後の反応モニターした結果、原料のジカルボン酸0.05%、ハーフエステル体:0.21%、ジエステル体:99.7%であった。析出した無機塩を濾過で除去し、ろ液を濃縮後、酢酸エチル10ml、飽和重曹水6mlを加え、分液し、水層に重曹をPH=7になるまで加え、酢酸エチルで抽出し、先の有機層に合わせた。同様の水層からの酢酸エチルでの抽出操作を2回繰り返し、有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、ろ液を濃縮し、得られた結晶を酢酸エチル/イソプロピルエーテル/ヘキサンで冷却晶析、濾過、50℃真空乾燥後、目的化合物の2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸 ジエチル 1.86g(収率73%)を得た。また、HPLC純度は、99.9%と高純度であった。
【0095】
実施例4、実施例5より、高純度の目的化合物を得るためには、還流(反応)時間を4時間以上実施し、再結晶で除去しにくいハーフエステル体をジエステル体(目的化合物)に転化すれば良いことが判った。
【0096】
1H−NMR(CDCl3,400MHz):
δ0.97(t,3H,J=7.3Hz),1.38(t,6H,J=6.8Hz),1.79(sx,2H,J=7.3Hz),2.76(t,2H,J=7.3Hz),
4.40(t,4H,J=7.8Hz)10.39ppm(brs,1H)
IR(KBr):3435,1748,1534,1308,1248,1067cm-1
【0097】
[実施例6]
4ツ口フラスコに実施例3で合成した2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸10.0g(48mmol)、エタノール152mlを仕込み、塩化チオニル20.22g(165mmol)を液温8℃以下になるように1時間40分で滴下後、水を0.91g(51mmol)加えた。反応溶液を昇温し、5時間還流した(液温:74〜79℃)。反応溶液を室温まで冷却し、析出した無機塩を濾過で除去し、ろ液を濃縮後、酢酸エチル50ml、飽和重曹水60mlを加え、分液し、水層に重曹をPH=7になるまで加え、酢酸エチル20mlで抽出し、先の有機層に合わせた。同様の水層からの酢酸エチルでの抽出操作を繰り返し、有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、ろ液を濃縮し、目的化合物の粗生成物11.19gを得た。粗生成物に酢酸エチル13.06g、エタノール1.07gを加え、内容物重量が14.5gになるまで濃縮晶析し、濾過、50℃真空乾燥後、目的化合物の2−n−プロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸 ジエチル 4.85g(第1晶)を得た。再結晶母液を繰り返し、再結晶することで第3晶までの目的化合物を得た(第2晶:3.63g、第3晶:1.02g)。第1晶〜第3晶までの合計収量:9.50g(収率:77%)。また、HPLC純度は、第1晶〜第3晶まで全て99%以上で高純度であった(第1晶:99.7%、第2晶:99.7%、第3晶:99.0%)。
【0098】
1H−NMR(CDCl3,400MHz):
δ0.97(t,3H,J=7.3Hz), 1.38(t,6H,J=6.8,7.3Hz), 1.79(sx,2H,J=7.3Hz) ,
2.76(t,2H,J=7.3Hz),4.40(t,4H,J=7.8Hz),10.39ppm(brs,1H)
1H−NMR(CDCl3/D2O,400MHz):
δ0.97(t,3H,J=7.3Hz), 1.38(ddd,6H,J=3.4,6.8,7.3Hz),1.78(sx,2H,J=7.3Hz),
2.76(t,2H,J=7.3Hz),4.40(dd,4H,J=3.4,6.8Hz),4.76ppm(brs,1H)
IR(KBr):3449,1748,1534,1308,1249,1067cm-1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酒石酸を硝酸に溶解した後、濃硫酸と反応させ、反応により得られる酒石酸の硝酸エステルを、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒を含む溶媒に加え、その後、下記の式
1CHO
(式中、R1は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、または、炭素原子数が3〜6のアルケニル基を示す)
で示されるアルデヒドとアンモニアの混合液を反応液に加え、下記の式
【化1】

(式中、R1は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、または、炭素原子数が3〜6のアルケニル基を示す)
で示される2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸を製造する2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法。
【請求項2】
N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒を含む溶媒が、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒と、水あるいは氷の混合溶媒中である請求項1に記載の2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法。
【請求項3】
N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒と、水あるいは氷の混合溶媒の液温を0℃以下に冷却する請求項2に記載の2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法。
【請求項4】
N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒と、水あるいは氷の混合比(重量比)が、1:1〜1:6である請求項2または3に記載の2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法。
【請求項5】
N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルシクロヘキサン、トルエンから選ばれる少なくとも1種類の有機溶媒を、−14〜−19℃の冷却装置または冷却バスで液温を−5〜−10℃に冷却する請求項1〜4のいずれかに記載の2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法。
【請求項6】
酒石酸の硝酸エステルを固液分離後、硝酸エステル固体中に残った濃硝酸と濃硫酸の混酸液をアンモニアを用いて、−4℃以下で中和する請求項1〜5のいずれかに記載の2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法で得られた2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の粗生成物をメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、アセトン、クロロホルム、または、塩化メチレンで洗浄する2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法で得られた2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の粗生成物を水で洗浄する2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法。
【請求項9】
2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の2.5倍モル以上の塩化チオニルまたは塩化オキザリルと、0.5〜1.0倍モルの水を加えて、下記式
2OH
(式中、R2は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が3〜6のアルケニル基またはベンジル基を示す)
で示されるアルコールと、請求項1〜8のいずれかに記載の2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸の製造方法で得られた2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸を、反応させる、下記一般式
【化2】

(式中、R1は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、または、炭素原子数が3〜6のアルケニル基を示し、R2は、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が3〜6のアルケニル基またはベンジル基を示す)で示される2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルを製造する2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルの製造方法。
【請求項10】
1がプロピル基、R2が、炭素原子数1〜4のアルキル基またはベンジル基である請求項9に記載の2−アルキルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸ジアルキルの製造方法。

【公開番号】特開2012−6883(P2012−6883A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145986(P2010−145986)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000187046)東レ・ファインケミカル株式会社 (153)