説明

2−トリフルオロメチル−2H−クロメン−3−カルボン酸誘導体の光ラセミ化

本発明は、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はエステル、置換2-トリフルオロメチル-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸又はエステル、置換2-トリフルオロメチル-2H-チオクロメン-3-カルボン酸又はエステル、或いは医薬として許容されるこれらの酸又はエステルの塩のエナンチオマーを、高強度UV光源を用いて光ラセミ化する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はエステル、置換2-トリフルオロメチル-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸又はエステル、置換2-トリフルオロメチル-2H-チオクロメン-3-カルボン酸又はエステル、又は医薬として許容される当該酸またはエステルの塩のエナンチオマーを、高強度UV光源を用いて光ラセミ化(photoracemization)する方法に関する。
【0002】
関連出願への相互参照
本出願は、2004年7月23日に出願された米国仮特許出願第60/590,499号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸及びその誘導体は、米国特許第6,034,256号;第6,077,850号;第6,218,427号;又は第6,271,253号、又は米国仮特許出願第10/801,446号又は第10/801,429号に記載されている。当該誘導体は、そのエステルなどの化合物、置換2-トリフルオロメチル-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸又はエステル、置換2-トリフルオロメチル-2H-チオクロメン-3-カルボン酸又はエステル、及び置換3-トリフルオロメチル-3,4-ジヒドロ-ナフタレン-2-カルボン酸又はエステル、並びにそれらの医薬として許容される塩を含む。置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン及びその誘導体は各々、クロメン、キノリン、又はチオクロメンの2位、及び3,4-ジヒドロ-ナフタレンの3位に不斉中心を有する。不斉中心の環炭素原子には4個の官能基が結合している。これら4個の官能基のうちの2つは、水素原子と、本明細書中で定義されるR1又はトリフルオロメチル(CF3)基である。これらの4個の官能基のうちの他の2個の基は、以下に定義されるX基、並びにクロメン、キノリン、及びチオクロメンの3位又は3,4-ジヒドロ-ナフタレンの2位のsp2炭素原子である。
【0004】
キラル置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸及びその誘導体は、不斉中心の炭素原子に結合される4個の官能基の(S)-又は(R)-立体配置のいずれかを有するエナンチオマーを含む。(S)-及び(R)-立体配置は、不斉中心炭素原子についての4個の官能基の3次元配置を表す。R1基又は2-トリフルオロメチル基に結合される不斉中心の炭素原子について(S)-又は(R)-立体配置のいずれかを有するこれらのキラル化合物のエナンチオマーは、本明細書中において(2S)-及び(2R)-エナンチオマーとそれぞれ呼ばれるか、又は3,4-ジヒドロ-ナフタレン誘導体の場合、(3S)-及び(3R)誘導体と呼ばれる。(2S)-エナンチオマーは、(2R)-エナンチオマーの対掌体(つまり、重ね合わせることができない鏡象)であり、逆もまたそうである。(3S)エナンチオマーは、(3R)-エナンチオマーの対掌体であり、逆もまたそうである。
【0005】
一般的に、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸及びその誘導体の(2S)-、(2R)-、(3S)-、及び(3R)-エナンチオマーは、平面偏光の回転させかた、並びにお互い及び生物学的酵素、受容体などの他のキラル分子との反応のしかたを除いて物理的及び化学的に互いに同一である。置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸及びその誘導体の(2S)-、(2R)-、(3S)-、及び(3R)-エナンチオマーは、シクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)酵素より、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)酵素の強力な阻害剤である。
【0006】
これらのエナンチオマーは、次世代の「COX-2阻害剤」に相当する。典型的に、特定の化合物について、(2S)-又は(2R)-エナンチオマー(又は3,4-ジヒドロ-ナフタレン誘導体の場合の(3S)-又は(3R)エナンチオマー)は、(2S)-及び(2R)-エナンチオマー(又は(3S)-及び(3R)-エナンチオマー)のうちのもう一方に比べて、(a)COX-2に対してより高い効力、(b)COX-1よりCOX-2に対する高い選択性、又は(c)肝臓ミクロソーム調製品を用いた際に異なる代謝プロファイル、を示す。考慮される特定の化合物に依存してある場合には、(2S)-エナンチオマー(又は(3S)-エナンチオマー)、そして他の場合には(2R)-エナンチオマー(又は(3R)-エナンチオマー)が、より強力又は選択的な阻害活性、又は優れた代謝プロファイルを有する。考慮される特定の化合物の効力、又は選択的阻害活性、代謝プロファイル、又は他の生物学的活性に依存して、ある場合には、(2S)-エナンチオマー(又は(3S)-エナンチオマー)が薬剤開発に好ましく、そして別の場合では(2R)エナンチオマー(又は(3R)-エナンチオマー)が好ましい。
【0007】
置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸及びその誘導体は、典型的に、当該エナンチオマーの混合物(ラセミ体又はその他混合物)として合成される。なぜなら、商業的に優れた直接的なエナンチオ選択合成が未だ開発されていないからである。COX-2阻害剤での治療を必要とする患者に対する医薬として広く利用される特定のエナンチオマー置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の数キログラムの量を製造するために、エナンチオマーとその対掌体の混合物は、キラル補助剤を用いたエナンチオ選択性分画結晶化により、及び/又はキラル固相に対するエナンチオ選択性のマルチカラム・クロマトグラフィーにより分離された(同時に出願された「Enantioselective Separation Method」PC26168を参照の事)。これらのエナンチオ選択性の精製方法の目的は、最終的に、所望するエナンチオマーを高いエナンチオマー過剰率(enantiomeric excess) (e.e.) (好ましくは99.0%以上)で生成することである。エナンチオマー過剰率は、その対掌体より過剰量のあるエナンチオマーの相対割合であり、そして他の不純物を無視するものである(例えば、99.5%のエナンチオマーと0.5%のその対掌体を含む混合物は、99.0%のe.e.を有し、そして90%のエナンチオマーと10%のその対掌体を含む混合物は80%のe.e.を有する。)。しかしながら、物質収支においてラセミ化合物の50%を占める所望されていないエナンチオマーは、母液又は廃液に残ることになる。
【0008】
置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、又はその誘導体(つまり、クロメン、キノリン、及びチオクロメン誘導体)の所望されていない(2S)-又は(2R)-エナンチオマーを、所望される対掌体に、或いは変換ステップ前に存在するよりは比較的多くの所望される対掌体を含む濃縮混合物、例えばラセミ混合物に、変換する費用効率的な方法に対する必要性が存在する。必要に応じて、全ての不純物を取り除くために精製した後に、所望される対掌体について光学的に濃縮された混合物は、上記エナンチオ選択性分離法のうちの一つに適しているであろう。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体(3,4-ジヒドロ-ナフタレン-2-カルボン酸以外)、エステル、又は医薬として許容されるその塩、或いはエナンチオマーとその対掌体の混合物を光ラセミ化する方法に関する。
【0010】
一の態様では、本発明は、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体の(2S)又は(2R)-エナンチオマーの光変換方法であり、当該方法は以下の:
高強度UV光源を用いて、非限定的に以下の化合物(a)及び(b):
(a) 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体の(2S)-又は(2R)-エナンチオマー;又は
置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体の(2S)-又は(2R)-エナンチオマーである主要成分、及び(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体である副成分を有する非ラセミ混合物
(b) 溶媒
を含む反応混合物に照射して、(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体について相対的に濃縮された(2S)-及び(2R)-エナンチオマーの混合物を産生するステップ
を含み、ここで、(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体について相対的に濃縮された混合物は、成分(a)のエナンチオマー過剰率の90%未満になる(2S)-又は(2R)-エナンチオマーのエナンチオマー過剰率を有することを特徴とする。
【0011】
ここで、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体は、以下の式I”、I’、I、又はII:
【化1】

で表される化合物、又は医薬として許容されるその塩である。
ここで、式I”について:
Xは、O、S、及びNRaから選ばれ;
ここでRaは、ヒドリド、C1-C3-アルキル、(場合により置換されたフェニル)-C1-C3-アルキル、アシル、及びカルボキシ-C1-C6-アルキルから選ばれ;
Rは、カルボキシル、アミノカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニルアミノカルボニル、及びC1-C6-アルコキシカルボニルから選ばれ;
R”は、ヒドリド、フェニル、チエニル、C1-C6-アルキル、及びC2-C6-アルケニルから選ばれ;
1は、C1-C3-ペルフルオロアルキル、クロロ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルコキシ、ニトロ、シアノ、及びシアノ-C1-C3-アルキルから選ばれ;
2は、ヒドリド、ハロ、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、ハロ-C2-C6-アルキニル、アリール-C1-C3-アルキル、アリール-C2-C6-アルキニル、アリール-C2-C6-アルケニル、C1-C6-アルコキシ、メチレンジオキシ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルスルフィニル、アリールオキシ、アリールチオ、アリールスルフィニル、ヘテロアリールオキシ、C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル、アリール-C1-C6-アルキルオキシ、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルオキシ、アリール-C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-ハロアルキルチオ、C1-C6-ハロアルキルスルフィニル、C1-C6-ハロアルキルスルホニル、C1-C3-(ハロアルキル-C1-C3-ヒドロキシアルキル、C1-C6-ヒドロキシアルキル、ヒドロキシイミノ-C1-C6-アルキル、C1-C6-アルキルアミノ、アリールアミノ、アリール-C1-C6-アルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルアミノ、ニトロ、シアノ、アミノ、アミノスルホニル、C1-C6-アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、ヘテロアリールアミノスルホニル、アリール-C1-C6-アルキルアミノスルホニル、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクリルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホニル、アリール-C1-C6-アルキルスルホニル、場合により置換されるアリール、場合により置換されるヘテロアリール、アリール-C1-C6-アルキルカルボニル、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、ホルミル、C1-C6-ハロアルキルカルボニル、及びC1-C6-アルキルカルボニルから独立して選ばれる1以上のラジカルであり;そして
Aの環原子A1、A2、A3、及びA4は、独立して、炭素及び窒素から選ばれ、但し、少なくとも2のA1、A2、A3、及びA4は炭素であり;
又はR2は、環Aと一緒になって、ナフチル、キノリル、イソキノリル、キノリジニル、キノキサリニル、及びジベンゾフリルから選ばれるラジカルを形成する。
【0012】
ここで式I’について:
Xは、O、S、及びNRaから選ばれ;
ここで、Raは、ヒドリド、C1-C3-アルキル、(場合により置換されるフェニル)-C1-C3-アルキル、アルキルスルホニル、フェニルスルホニル、ベンジルスルホニル、アシル、及びカルボキシ-C1-C6-アルキルから選ばれ;
Rは、カルボキシル、アミノカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニルアミノカルボニル、及びC1-C6-アルコキシカルボニルから選ばれ;
R”は、ヒドリド、フェニル、チエニル、C2-C6-アルキニル、及びC2-C6-アルケニルから選ばれ;
1は、C1-C3-ペルフルオロアルキル、クロロ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルコキシ、ニトロ、シアノ、及びシアノ-C1-C3-アルキルから選ばれ;
2は、ヒドリド、ハロ、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、ハロ-C2-C6-アルキニル、アリール-C1-C3-アルキル、アリール-C2-C6-アルキニル、アリール-C2-C6-アルケニル、C1-C6-アルコキシ、メチレンジオキシ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルスルフィニル、-O(CF2)2O-、アリールオキシ、アリールチオ、アリールスルフィニル、ヘテロアリールオキシ、C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル、アリール-C1-C6-アルキルオキシ、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルオキシ、アリール-C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-ハロアルキルチオ、C1-C6-ハロアルキルスルフィニル、C1-C6-ハロアルキルスルホニル、C1-C3-(ハロアルキル-C1-C3-ヒドロキシアルキル、C1-C6-ヒドロキシアルキル、ヒドロキシイミノ-C1-C6-アルキル、C1-C6-アルキルアミノ、アリールアミノ、アリール-C1-C6-アルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルアミノ、ニトロ、シアノ、アミノ、アミノスルホニル、C1-C6-アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、ヘテロアリールアミノスルホニル、アリール-C1-C6-アルキルアミノスルホニル、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクリルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホニル、アリール-C1-C6-アルキルスルホニル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、アリール-C1-C6-アルキルカルボニル、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、ホルミル、C1-C6-ハロアルキルカルボニル、及びC1-C6-アルキルカルボニルから独立して選ばれる1以上のラジカルであり;そして
Aの環原子A1、A2、A3、及びA4は、独立して、炭素及び窒素から選ばれ、但し、少なくとも2個のA1、A2、A3、及びA4は炭素であり;
又はR2は、環Aと一緒になって、ナフチル、キノリル、イソキノリル、キノリジニル、キノキサリニル、及びジベンゾフリルから選ばれるラジカルを形成する。
【0013】
ここで式Iについて:
Xは、O、S、又はNRaから選ばれ;
aは、アルキルであり;
Rは、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボニル、及びアルコキシカルボニルから選ばれ;
1は、ハロアルキル、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、及びアリールであって、アルキルチオ、ニトロ、及びアルキルスルホニルから選ばれる1以上のラジカルで場合により置換されるものから選ばれ;そして
2は、ヒドリド、ハロ、アルキル、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールアルキルアミノ、ニトロ、アミノ、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、ヘテロアリールアミノスルホニル、アラルキルアミノスルホニル、ヘテロアラルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、アルキルスルホニル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アリールカルボニル、アミノカルボニル、及びアルキルカルボニルから選ばれる1以上のラジカルであり;
又はR2は、環Aと一緒になって、ナフチルラジカルを形成する。
【0014】
ここで式IIについて:
Xは、O、S、及びNHから選ばれ;
6は、H又はアルキルであり;そして
7、R8、R9、及びR10は、独立して、H、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキル、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルキルヘテロアリール、アルキルスルホニルアルキル、アルキルチオ、アルキニル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アリールアルケニル、アリールアルコキシ、アリールアルキル、アリールアルキルアミノ、アリールアルキニル、アリールカルボニル、アリールオキシ、シアノ、ジアルキルアミノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテロアリールカルボニル、ヒドロキシ、及びヒドロキシアルキルから選ばれ;ここでアリールが出てきた場合は常に、各アリールは独立して、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、及びニトロからなる群から選ばれる1〜5の置換基で置換される。
【0015】
本発明の別の態様は、光変換のための上記又は下記の方法のいずれか一つであり、ここで当該成分(a)は、式I”、I’、I、又はII[式中、XはOである]で表される化合物の(2S)-又は(2R)エナンチオマーである。
【0016】
本発明の別の態様は、光変換のための上記又は下記方法のうちのいずれか一つであり、ここで成分(a)は、式I”、I’、I、又はII[式中、XはOであり、そしてR6はHである]で表される(2S)-又は(2R)-エナンチオマーである。
【0017】
本発明の別の態様は、光変換のための上記又下記の方法のうちのいずれか一つであり、ここで、成分(a)は(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸であるか;或いは成分(a)は(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である主要成分及びその対掌体(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である副成分を有する非ラセミ混合物である。
【0018】
本発明の別の態様は、光変換のための上記又は下記の方法のうちのいずれか一つであり、ここで当該成分(a)は:
(R)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;又は
(R)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸であるか;或いは、
成分(a)が、以下の:
(R)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;又は
(R)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である主要成分;及び、以下の対掌体:
(S)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;又は
(S)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である副成分をそれぞれ有する非ラセミ混合物である。
【0019】
本発明の別の態様は、反応混合物がさらに、(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体のエナンチオ選択性分画結晶化のための手段を含む、光変換のための上記又は下記の方法のうちのいずれか一つである。
【0020】
本発明の別の態様は、光変換のための上記又は下記の方法のうちのいずれか一つであり、ここで、成分(a)は以下の:
(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(+)-シンコニン塩;若しくは
(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸D-フェニルアラニノール塩であるか;又は
成分(a)は、以下の:
(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(+)-シンコニン塩;若しくは
(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸D-フェニルアラニノール塩である主要成分;及び
以下の対掌体:
(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(+)-シンコニン塩;若しくは
(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸D-フェニルアラニノール塩である副成分
をそれぞれ有する非ラセミ混合物である。
【0021】
本発明の別の態様は、光変換のための上記又は下記方法のいずれか一つであり、ここで当該成分(a)は:
(R)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩;
(R)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(-)-シンコニン塩;
(R)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩;又は
(R)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩であるか;或いは
成分(a)は、以下の:
(R)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸,(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩;
(R)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸,(-)-シンコニン塩;
(R)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸,(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩;又は
(R)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸,(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩;
である主要成分;及び以下の対掌体:
(S)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸,(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩;
(S)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸,(-)-シンコニン塩;
(S)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸,(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩;又は
(S)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸,(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩
である副成分をそれぞれ有する非ラセミ性混合物である。
【0022】
本発明の別の態様は、光変換の上記又は下記の方法のいずれか一つであり、ここで溶媒が、エナンチオ選択性マルチカラム・クロマトグラフィー溶出流からの移動相である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、又はその誘導体の(2S)-又は(2R)-エナンチオマーを光変換する方法を提供する。当該方法は以下の:
高強度UV光源を使用して、非限定的に以下の成分(a)及び(b):
(a) 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体の(2S)-又は(2R)-エナンチオマー;或いは置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体の(2S)-又は(2R)-エナンチオマーである主要成分と(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体である副成分とを有する非ラセミ混合物;
(b)溶媒;
を含む反応混合物に照射して、(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体について相対的に濃縮された(2S)-及び(2R)-エナンチオマーの混合物を生成するステップ
を含む。ここで、当該(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体について相対的に濃縮された混合物は、成分(a)のエナンチオマー過剰率の90%未満となる(2S)-又は(2R)-エナンチオマーのエナンチオマー過剰率を有することを特徴とし;ここで当該置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体は、上記式I”、I’、I、又はIIの化合物である。
【0024】
置換3-トリフルオロメチル-3,4-ジヒドロ-ナフタレン-2-カルボン酸及びエステル、及び医薬として許容されるその塩は、本発明の方法から除かれる。
【0025】
置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の誘導体は、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸エステル、置換2-トリフルオロメチル-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸及びエステル、並びに置換2-トリフルオロメチル-2H-チオクロメン-3-カルボン酸及びエステルを含む。
【0026】
置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の「酸誘導体」は、置換2-トリフルオロメチル-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸、及び置換2-トリフルオロメチル-2H-チオクロメン-3-カルボン酸を含む。
【0027】
置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の「エステル誘導体」は、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸エステル、置換2-トリフルオロメチル-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸エステル、及び置換2-トリフルオロメチル-2H-チオクロメン-3-カルボン酸エステルを含む。
【0028】
「医薬として許容されるその塩」は、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸の医薬として許容される塩又は置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸誘導体の塩を意味する。
【0029】
「医薬として許容される塩」及び「医薬として許容される塩」という用語は同義である。両用語は、アルカリ金属塩を形成するために、そして遊離酸又は遊離塩基の添加塩を形成するために一般的に使用される塩を含む。
【0030】
多くの置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、及び塩基性窒素原子を有するエステルは、非限定的に塩基添加塩及び酸添加塩をそれぞれ含む医薬として許容される塩をさらに形成することができる。式I”、I’、I、及びIIの化合物の適切な医薬として許容される酸添加塩は、無機酸から調製されるか、又は有機酸から調製されうる。無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、及びリン酸である。適切な有機酸は、脂肪酸、脂環式の酸、芳香族酸、(Araliphatic)、複素環の酸、カルボン酸、及びスルホン酸などの有機酸のクラスから選ばれうる。その例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、サリチル酸、サリシクル酸(salicyclic)、4-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(embonic) (パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルゲン酸(algenic)、β-ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸、及びガラクツロン酸である。式I”、I’、I、及びIIの化合物の適切な医薬として許容される塩基添加塩は、金属塩、例えば、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛、或いは一級、二級、及び三級アミン、置換アミン、例えば環状アミン、例えばカフェイン、アルギニン、ジエチルアミン、N-エチルピペリジン、ヒスチジン、グルカミン、イソプロピルアミン、リジン、モルホリン、N-エチルモルホリン、ピペラジン、ピペリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミンを含む有機塩基から作成される塩を含む。これらの塩の全ては、対応する本発明の化合物から、例えば適切な酸又は塩基を、式I”、I’、I、及びIIの化合物と反応させることによる一般的な方法によって製造されうる。
【0031】
本明細書の目的のため、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はエステル、又は医薬として許容されるその塩(つまり、式I”、I’、I、又はIIの化合物[ここでXはOである])、置換2-トリフルオロメチル-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸又はエステル、又は医薬として許容されるその塩(つまり、式I”、I’、I[式中、XはNRaである]で表される化合物、又は式II[式中XがNHである]で表される化合物)、及び置換2-トリフルオロメチル-2H-チオクロメン-3-カルボン酸又はエステル、又は医薬として許容されるその塩(つまり、式I”、I’、I、又はII[式中、XはSである]で表される化合物)は、以下に記載される環番号付けスキームを有する:
【化2】

【0032】
2H-クロメン-3-カルボン酸(XはOである)は、2H-1-ベンゾピラン-3-カルボン酸としても知られている。
【0033】
式I”、I’、及びIの化合物について、以下の用語が定義される:
「ヒドリド」という用語は、一つの水素原子(H)を指す。当該ヒドリド・ラジカルは、酸素原子に結合して、水酸基ラジカルを形成することがあり、又は2個のヒドリドラジカルは、炭素原子に結合して、メチレン(-CH2-)ラジカルを形成することもある。
【0034】
「アルキル」という用語が、単独で又は他の用語の中、例えば「ハロアルキル」及び「アルキルスルホニル」 で使用される場合、当該用語は、1から約20個の炭素原子、好ましくは、1〜約12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ラジカルを包含する。より好ましいアルキルラジカルは、1〜約6個の炭素原子を有する「低級アルキル」ラジカルである。かかるラジカルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソ-アミル、ヘキシルなどを含む。1〜3個の炭素原子を有する低級アルキルラジカルはさらにより好ましい。
【0035】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する2〜約20個、又は好ましくは、2〜約12個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖ラジカルを包含する。より好ましくは、アルケニルラジカルは、2〜約6個の炭素原子を有する「低級アルケニル」ラジカルである。アルケニルラジカルの例は、エテニル、プロペニル、アリル、プロペニル、ブテニル、及び4-メチルブテニルを含む。
【0036】
「アルキニル」という用語は、2〜約20個の炭素原子、又は好ましくは2〜約12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ラジカルを指す。より好ましいアルキニルラジカルは、2〜約10個の炭素原子を有する「低級アルキニル」である。最も好ましくは、2〜約6個の炭素原子を有する低級アルキニルラジカルである。かかるラジカルの例として、プロパルギル、ブチニルなどが挙げられる。
【0037】
「アルケニル」及び「低級アルケニル」という用語は、「シス」及び「トランス」配置、或いは「E」及び「Z」配置を有するラジカルを含む。
【0038】
「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子などのハロゲンを意味する。
【0039】
「ハロアルキル」という用語は、アルキル炭素原子のいずれか一つ以上が、上記ハロで置換されているラジカルを含む。モノハロアルキル、ジハロアルキル、及びポリハロアルキル・ラジカルが具体的に包含される。モノハロアルキルラジカルは、一例として、ラジカル内にヨウ素、臭素、塩素、又はフッ素原子を有してもよい。ジハロ及びポリハロアルキル・ラジカルは、2以上の同じハロ原子、又は異なるハロラジカルの組合せを有してもよい。
【0040】
「低級ハロアルキル」は、1〜6個の炭素原子を有するラジカルを含む。ハロアルキルラジカルとして、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル、及びジクロロプロピルが挙げられる。
【0041】
「ペルフルオロアルキル」は、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキルラジカルを意味する。例として、トリフルオロメチル及びペンタフルオロエチルが挙げられる。
【0042】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、1〜約10個の炭素原子を有し、そのうちの幾つかが1以上のヒドロキシル・ラジカルで置換されうる、直鎖又は分枝鎖アルキルを包含する。より好ましいヒドロキシアルキルラジカルは、1〜6個の炭素原子及び1以上のヒドロキシルラジカルを有する「低級ヒドロキシアルキル」ラジカルである。かかるラジカルの例としてヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、及びヒドロキシヘキシルが挙げられる。1〜3個の炭素原子を有する低級ヒドロキシアルキルラジカルがさらにより好ましい。
【0043】
「シアノアルキル」という用語は、1〜約10個の炭素原子を有し、そのうちのいずれか一つが、1個のシアノラジカルで置換されうる、直鎖又は分枝鎖アルキルラジカルを包含する。より好ましいシアノアルキルラジカルは、1〜6個の炭素原子及び1個のシアノラジカルを有する「低級シアノアルキル」ラジカルである。1〜3個の炭素原子を有する低級シアノアルキルラジカルはさらにより好ましい。かかるラジカルの例として、シアノメチルが挙げられる。
【0044】
「アルコキシ」という用語は、1〜約10個の炭素原子のアルキル部分を有する直鎖又は分枝鎖オキシ含有ラジカルを包含する。より好ましいアルコキシラジカルは、1〜6個の炭素原子を有する「低級アルコキシ」ラジカルである。かかるラジカルの例としてメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、及びtert-ブトキシが挙げられる。1〜3個の炭素原子を有する低級アルコキシがさらにより好ましい。「アルコキシ」ラジカルは、フッ素、塩素、又は臭素などの1以上のハロ原子でさらに置換されて、「ハロアルコキシ」ラジカルを提供してもよい。1〜3個の炭素原子を有する低級ハロアルコキシラジカルはさらにより好ましい。かかるラジカルの例として、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、フルオロエトキシ、及びフルオロプロポキシが挙げられる。
【0045】
「アリール」という用語は、単独で又は他の用語(例えば、アリール-C1-C3アルキル)中に組み合わせて、1又は2個の環を含む炭素芳香環系を意味し、ここでかかる環は、釣り下がりの様式で結合されてもよいし、又は融合されてもよい。「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダン、及びビフェニルなどの芳香族ラジカルを包含する。より好ましいアリールは、フェニルである。「アリール」基は、低級アルキル、ヒドロキシ、ハロ、ハロアルキル、ニトロ、シアノ、アルコキシ、及び低級アルキルアミノなどの1〜3個の置換基を有してもよい。
【0046】
「ヘテロシクリル」という用語は、飽和、部分的に飽和、及び不飽和へテロ原子含有環型ラジカルであって、当該へテロ原子が窒素、硫黄、及び酸素から選ばれうるラジカルを包含する。飽和複素環ラジカルの例として、1〜4個の窒素原子を含む飽和3〜6員へテロ単環基[例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル];1〜2個の酸素原子、及び1〜3個の窒素原子を含む飽和3〜6員ヘテロ単環基[例えば、モルホリニル];1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む飽和3〜6員ヘテロ単環基[例えば、チアゾリジニル]が挙げられる。部分的に飽和された複素環ラジカルの例として、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン、及びジヒドロチアゾールが挙げられる。「ヘテロアリール」とも名付けられる不飽和複素環ラジカルの例として、1〜4個の窒素原子を含む不飽和5員〜6員のヘテロモノシクリル基、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル[例えば、4H-1,2,4-トリアゾリル、1H-1,2,3-トリアゾリル、2H-1,2,3-トリアゾリル];1〜5個の窒素原子を含む不飽和縮合複素環基、例えば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル(tetrazolopyridazinyl)[例えば、テトラゾロ[1,5-b]ピリダジニル];酸素原子を含む不飽和3〜6員ヘテロ単環基、例えば、ピラニル、2-フリル、3-フリルなど;硫黄原子を含む不飽和5〜6員ヘテロ単環基、例えば、2-チエニル、3-チエニルなど;1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和5〜6員ヘテロ単環基、例えば、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル[例えば、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル];1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和縮合複素環基[例えば、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル];1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和5〜6員ヘテロ単環基、例えば、チアゾリル、チアジアゾリル[例えば、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル];1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和縮合複素環基[例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル] などが挙げられる。当該用語は、複素環ラジカルがアリールラジカルと融合したラジカルも包含する。かかる融合二環ラジカルの例として、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンなどが挙げられる。「ヘテロシクリル」基は、低級アルキル、ヒドロキシ、オキソ、アミノ、及び低級アルキルアミノなどの1〜3個の置換基を有してもよい。好ましい複素環ラジカルは、5〜10員の融合又は非融合ラジカルを含む。ヘテロアリールラジカルのより好ましい例として、ベンゾフリル、2,3-ジヒドロベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、ジヒドロインドリル、クロマニル、ベンゾピラン、チオクロマニル、ベンゾチオピラン、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ピリジル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、フリル、及びピラジニルが挙げられる。さらにより好ましいヘテロアリールラジカルは、硫黄、窒素、及び酸素から選ばれる1又は2個のへテロ原子を含む5又は6員ヘテロアリールであり、チエニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピペリジニル、及びピラジニルから選ばれる。
【0047】
「スルホニル」という用語は、単独で又は他の用語に繋がれて使用されたとしても(例えば、アルキルスルホニル)、それぞれ2価ラジカル-SO2-を指す。
【0048】
「アルキルスルホニル」は、スルホニルラジカルに結合されたアルキルラジカルを包含し、ここで当該アルキルは上で定義された通りである。より好ましいアルキルスルホニルラジカルは、1〜6個の炭素原子を有する「低級アルキルスルホニル」である。1〜3個の炭素原子を有する低級アルキルスルホニルラジカルがさらにより好ましい。かかる低級アルキルスルホニルラジカルの例として、メチルスルホニル、エチルスルホニル、及びプロピルスルホニルが挙げられる。
【0049】
「ハロアルキルスルホニル」は、スルホニルラジカルに結合されたハロアルキルを包含し、ここでハロアルキルは上で定義される通りである。より好ましいハロアルキルスルホニルラジカルは、1〜6個の炭素原子を有する「低級ハロアルキルスルホニル」ラジカルである。1〜3個の炭素原子を有する低級ハロアルキルスルホニルラジカルがさらにより好ましい。かかる低級ハロアルキルスルホニルラジカルの例として、トリフルオロメチルスルホニルが挙げられる。
【0050】
「アリールアルキルスルホニル」という用語は、アルキルスルホニルラジカルに結合された上で定義されるアリールを包含する。かかるラジカルの例として、ベンジルスルホニル及びフェニルエチルスルホニルが挙げられる。
【0051】
「ヘテロシクロスルホニル」という用語は、スルホニルラジカルに結合される上で定義されたヘテロシクロラジカルを包含する。 より好ましいヘテロシクロスルホニルラジカルは、1又は2個のへテロ原子を含む5〜7員のヘテロシクロラジカルを含む。かかるラジカルの例として、テトラヒドロピロリルスルホニル、モルホリニルスルホニル、及びアゼピニルスルホニルが挙げられる。
【0052】
「スルファミル」、「アミノスルホニル」、及び 「スルホンアミジル」という用語は、単独で又は「N-アルキルアミノスルホニル」、「N-アリールアミノスルホニル」、「N,N-ジアルキルアミノスルホニル」、及び「N-アルキル-N-アリールアミノスルホニル」などの用語で使用されたとしても、アミンラジカルで置換され、スルホンアミド(-SO2NH2)を形成するスルホニルラジカルを指す。
【0053】
「アルキルアミノスルホニル」という用語は、「N-アルキルアミノスルホニル」及び「N,N-ジアルキルアミノスルホニル」を含み、ここで、スルファミルラジカルは、それぞれ、1のアルキルラジカル、又は2個のアルキルラジカルで置換されている。より好ましくは、アルキルアミノスルホニルラジカルは、1〜6個の炭素原子を有する「低級アルキルアミノスルホニル」ラジカルである。1〜3個の炭素原子を有する低級アルキルスルホニルラジカルはさらにより好ましい。かかる低級アルキルアミノスルホニルの例として、N-メチルアミノスルホニル、N-エチルアミノスルホニル、及びN-メチル-N-エチルアミノスルホニルが挙げられる。
【0054】
「N-アリールアミノスルホニル」 及び 「N-アルキル-N-アリールアミノスルホニル」という用語は、1個のアリールラジカル、又は1個のアルキル及び1個のアリールラジカルでそれぞれ置換されるスルファミルラジカルを指す。より好ましいN-アルキル-N-アリールアミノスルホニル・ラジカルは、1〜6個の炭素原子のアルキルラジカルを有する「低級N-アルキル-N-アリールスルホニル」ラジカルである。1〜3個の炭素原子を有する低級N-アルキル-N-アリールスルホニルがさらにより好ましい。かかる低級N-アルキル-N-アリール-アミノスルホニルの例として、N-メチル-N-フェニルアミノスルホニル及びN-エチル-N-フェニルアミノスルホニルが挙げられる。かかるN-アリール-アミノスルホニル・ラジカルの例としてN-フェニルアミノスルホニルが挙げられる。
【0055】
「アリールアルキルアミノスルホニル」という用語は、アミノスルホニルラジカルに結合される上で記載されるアラルキルラジカルを包含する。1〜3個の炭素原子を有する低級アリールアルキルアミノスルホニルラジカルがより好ましい。
【0056】
「ヘテロシクリルアミノスルホニル」という用語は、アミノスルホニルラジカルに結合された上記ヘテロシクリルラジカルを包含する。
【0057】
「カルボキシ」又は「カルボキシル」とう用語は、単独又は他の用語(例えば「カルボキシアルキル」)とともに使用されるかに関わらず、-CO2Hを指す。
【0058】
「カルボキシアルキル」という用語は、アルキル・ラジカルに結合された上で定義されるカルボキシラジカルを有するラジカルを指す。
【0059】
「カルボニル」という用語は、単独で又は他の用語、例えば「アルキルカルボニル」と共に使用されるかに関わらず、-(C=O)-を指す。
【0060】
「アシル」という用語は、有機酸から水酸基を取り除いた後の残基により生成されるラジカルを指す。かかるアシルラジカルの例は、アルカノイル及びアロイル・ラジカルを含む。かかる低級アルカノイルラジカルの例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、トリフルオロアセチルが挙げられる。
【0061】
「アロイル」という用語は、上で定義されるカルボニルラジカルを有するリールラジカルを包含する。アロイルの例としてベンゾイル、ナフトイルなどが挙げられ、そしてアロイル中のアリールは、さらに置換されうる。
【0062】
「アルキルカルボニル」という用語は、アルキルラジカルで置換されるカルボニルラジカルを有するラジカルを包含する。より好ましいアルキルカルボニルラジカルは、1〜6個の炭素原子を有する「低級アルキルカルボニル」ラジカルである。1〜3個の炭素原子を有する低級アルキルカルボニルラジカルがさらにより好ましい。かかるラジカルの例として、メチルカルボニル及びエチルカルボニルが挙げられる。
【0063】
「ハロアルキルカルボニル」という用語は、ハロアルキルラジカルで置換されたカルボニルラジカルを有するラジカルを包含する。より好ましいハロアルキルカルボニルラジカルは、1〜6個の炭素原子を有する「低級ハロアルキルカルボニル」ラジカルである。1〜3個の炭素原子を有する低級ハロアルキルカルボニルラジカルがさらにより好ましい。かかるラジカルの例として、トリフルオロメチルカルボニルが挙げられる。
【0064】
「アリールカルボニル」という用語は、アリールラジカルで置換されるカルボニルラジカルを有するラジカルを包含する。より好ましいアリールラジカルカルボニルは、フェニルカルボニルを含む。
【0065】
「ヘテロアリールカルボニル」という用語は、ヘテロアリールラジカルで置換されたカルボニルラジカルを有するラジカルを包含する。5又は6員ヘテロアリールカルボニルラジカルがさらにより好ましい。
【0066】
「アリールアルキルカルボニル」という用語は、アリールアルキルラジカルで置換されたカルボニルラジカルを有するラジカルを包含する。より好ましいラジカルは、フェニル-C1-C3-アルキルカルボニルであり、ベンジルカルボニルを含む。
【0067】
「ヘテロアリールアルキルカルボニル」という用語は、ヘテロアリールアルキルラジカルで置換されたカルボニルラジカルを有するラジカルを包含する。1〜3個の炭素原子を有するアルキル部分に結合され、5〜6員ヘテロアリールを有する低級ヘテロアリールアルキルカルボニルラジカルがさらに好ましい。
【0068】
「アルコキシカルボニル」は、酸素原子を介してカルボニルラジカルに結合された上で定義されるアルコキシラジカルを含むラジカルを意味する。好ましくは「低級アルコキシカルボニル」は、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシラジカルを包含する。かかる「低級アルコキシカルボニル」エステルラジカルの例としては、置換又は非置換メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、及びヘキシルオキシカルボニルが挙げられる。1〜3個の炭素原子のアルコキシ部分を有する低級アルコキシカルボニルラジカルがさらにより好ましい。
【0069】
「アミノカルボニル」という用語は、それ自身又は「アミノカルボニルアルキル」、「N-アルキルアミノカルボニル」、「N-アリールアミノカルボニル」、「N,N-ジアルキルアミノカルボニル」、「N-アルキル-N-アリールアミノカルボニル」、「N-アルキル-N-ヒドロキシアミノカルボニル」及び「N-アルキル-N-ヒドロキシアミノカルボニルアルキル」などの他の用語で用いられる場合、式-C(=O)NH2で表されるアミド基を指す。
【0070】
「N-アルキルアミノカルボニル」及び「N,N-ジアルキルアミノカルボニル」という用語は、1個のアルキルラジカルで及び2個のアルキルラジカルでそれぞれ置換されたアミノカルボニルラジカルを指す。アミノカルボニルラジカルに結合された上記低級アルキルラジカルを有する「低級アルキルアミノカルボニル」がより好ましい。
【0071】
「N-アリールアミノカルボニル」及び「N-アルキル-N-アリールアミノカルボニル」という用語は、1個のアリールラジカル、又は1個のアルキル及び1個のアリール・ラジカルでそれぞれ置換されるアミノカルボニルラジカルを指す。
【0072】
「N-シクロアルキルアミノカルボニル」という用語は、少なくとも1のシクロアルキルラジカルで置換されたアミノカルボニルラジカルを指す。アミノカルボニルラジカルに結合され、3〜7個の炭素原子の低級シクロアルキルラジカルを有する「低級シクロアルキルアミノカルボニル」がより好ましい。
【0073】
「アミノアルキル」という用語は、アミノラジカルで置換されたアルキルラジカルを包含する。
「アルキルアミノアルキル」という用語は、アルキルラジカルで置換される窒素原子を有するアミノアルキルラジカルを包含する。1〜3個の炭素原子を有する低級アルキルアミノアルキルラジカルがさらにより好ましい。
【0074】
「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、複素環置換アルキルラジカルを包含する。より好ましいヘテロシクリルアルキルラジカルは、1〜6個の炭素原子のアルキル部分と5又は6員のヘテロアリールラジカルを有する「5又は6員環のヘテロアリールアルキル」ラジカル及びである。1〜3個の炭素原子のアルキル部分を有する低級ヘテロアリールアルキルラジカルがさらにより好ましい。例として、ピリジルメチル及びチエニルメチルなどのラジカルが挙げられる。
【0075】
「アラルキル」という用語は、アリール置換アルキルラジカルを包含する。好ましいアラルキルラジカルは、1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカルに結合されるアリールラジカルを有する「低級アラルキル」ラジカルである。1〜3個の炭素原子を有するアルキル部分に結合される低級アルキルラジカルフェニルがさらにより好ましい。かかるラジカルの例としては、ベンジル、ジフェニルメチル、及びフェニルエチルが挙げられる。アラルキル中のアリールは、さらにハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシで置換されてもよい。
【0076】
「アリールアルケニル」という用語は、アリール置換アルケニルラジカルを包含する。好ましいアリールアルケニルラジカルは、2〜6個の炭素原子を有するアルケニルラジカルに結合されるアリールラジカルを有する「低級アリールアルケニル」ラジカルである。かかるラジカルの例としては、フェニルエテニルが挙げられる。アリールアルケニル中のアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシでさらに置換されてもよい。
【0077】
「アリールアルキニル」という用語は、アリール置換アルキニルラジカルを包含する。好ましいアリールアルキニルラジカルは、2〜6個の炭素原子を有するアルキニルラジカルに結合されたアリールラジカルを有する「低級アリールアルキニル」ラジカルである。かかるラジカルの例として、フェニルエチニルが挙げられる。アラルキニル中のアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシで置換されてもよい。
【0078】
ベンジル及びフェニルメチルという用語は、交換可能である。
「アルキルチオ」という用語は、2価の硫黄原子に結合された1〜10個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルキルラジカルを含むラジカルを包含する。1〜3個の炭素原子を有する低級アルキルチオラジカルがさらにより好ましい。「アルキルチオ」の例は、メチルチオ(CH3-S-)である。
【0079】
「ハロアルキルチオ」という用語は、2価硫黄原子に結合された1〜10個の炭素原子のハロアルキルラジカルを含有するラジカルを包含する。1〜3個の炭素原子を有する低級ハロアルキルチオラジカルがさらにより好ましい。「ハロアルキルチオ」の例は、トリフルオロメチルチオである。
【0080】
「アルキルスルフィニル」という用語は、2価-S(=O)-原子に結合され、1〜10個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルキルラジカルを含有するラジカルを包含する。1〜3個の炭素原子を有する低級アルキルスルフィニルがより好ましい。
【0081】
「アリールスルフィニル」という用語は、2価-S(=O)原子に結合され、アリールラジカルを含有するラジカルを包含する。場合により置換されたフェニルスルフィニルラジカルがさらにより好ましい。
【0082】
「ハロアルキルスルフィニル」という用語は、2価-S(=O)-原子に結合され、1空10個の炭素原子のハロアルキルラジカルを含むラジカルを包含する。1〜3個の炭素原子を有する低級ハロアルキルスルフィニルラジカルがさらにより好ましい。
【0083】
「N-アルキルアミノ」及び「N,N-ジアルキルアミノ」という用語は、1個のアルキルラジカル及び2個のアルキルラジカルで置換されたアミノ基をそれぞれ指す。より好ましいアルキルアミノラジカルは、窒素原子に結合され、1〜6個の炭素原子の1又は2個のアルキルラジカルを有する「低級アルキルアミノ」ラジカルである。1〜3個の炭素原子を有する低級アルキルアミノがさらにより好ましい。適切な「アルキルアミノ」は、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノなどのモノ又はジアルキルアミノでありうる。
【0084】
「アリールアミノ」という用語は、1又は2個のアリールラジカルで置換されたアミノ基、例えばN-フェニルアミノを指す。「アリールアミノ」ラジカルは、当該ラジカルのアリール環部分においてさらに置換されてもよい。
【0085】
「ヘテロアリールアミノ」という用語は、1又は2個のヘテロアリールラジカルで置換されたアミノ基、例えばN-チエニルアミノを指す。「ヘテロアリールアミノ」ラジカルは、当該ラジカルのヘテロアリール環部分上でさらに置換されてもよい。
【0086】
「アラルキルアミノ」という用語は、1又は2個のアラルキルで置換されたアミノ基を指す。フェニル-C1-C3-アルキルアミノ・ラジカル、例えばN-ベンジルアミノがより好ましい。「アラルキルアミノ」ラジカルは、当該ラジカルのアリール環上でさらに置換されてもよい。
【0087】
「N-アルキル-N-アリールアミノ」及び「N-アラルキル-N-アルキルアミノ」という用語は、1のアラルキル及び1のアルキル・ラジカル、又は1のアリール及び1のアルキルでそれぞれ置換されたアミノ基を指す。
【0088】
「アリールチオ」という用語は、2価の硫黄原子に結合された6〜10個の炭素原子のアリールラジカルを包含する。「アリールチオ」の例は、フェニルチオである。
【0089】
「アラルキルチオ」という用語は、2価の硫黄原子に結合されたアラルキルラジカルを包含する。フェニル-C1-C3-アルキルチオ・ラジカルがより好ましい。「アラルキルチオ」の例は、ベンジルチオである。
【0090】
「アラルキルスルホニル」という用語は、2価スルホニルラジカルに結合され、上で記載されたアラルキルラジカルを包含する。フェニル-C1-C3-アルキルスルホニル・ラジカルがより好ましい。
【0091】
「アリールオキシ」という用語は、酸素原子に結合され、上で定義された場合により置換されたアリール・ラジカルを包含する。かかるラジカルの例としてフェノキシが挙げられる。
【0092】
「アラルコキシ」という用語は、酸素を介して他のラジカルに結合された酸素含有アラルキル・ラジカルを包含する。より好ましいアラルコキシラジカルは、上記低級アルコキシラジカルに結合される場合により置換されたフェニルラジカルを有する「低級アラルコキシ」ラジカルである。
【0093】
式IIの化合物、R6〜R10基について、以下の用語が定義される:
「アルキル」、「アルケニル」、及び「アルキニル」は、他に記載がない限り、本発明のアルキルについて1〜20個、アルケニル及びアルキニルについて2〜20個の炭素原子のそれぞれ直鎖又は分枝鎖炭化水素であり、その結果、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル及びエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、又はヘキセニル及びエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、又はヘキシニルをそれぞれ意味し、そしてそれらの異性体を意味する。
【0094】
「アリール」は、完全に飽和の単環又は多環炭素環を意味し、非限定的に、置換又は非置換フェニル、ナフチル、又はアントラセニルを含む。
【0095】
「複素環」は、飽和又は不飽和の単環又は多環炭素環を意味し、ここで1以上の炭素原子は、N、S、P、又はOにより置換されうる。当該複素環は、例えば以下の構造:
【化3】

[式中、Z、Z1、Z2又はZ3は、C、S、P、O、又はNであり、但し、Z、Z1、Z2、又はZ3のうちの一つは、炭素以外であるが、別のZ原子に二重結合により結合される場合又は別のO又はS原子に結合される場合、O又はSではない。さらに、任意の置換基は、Z、Z1、Z2又はZ3がCである場合に限り、Z、Z1、Z2、又はZ3に結合されると理解される。]を含む。
【0096】
「ヘテロアリール」という用語は、完全に不飽和な複素環を意味する。
「複素環」又は「ヘテロアリール」のいずれにおいても、関心の分子への結合点は、ヘテロ原子又は環内の至る所でありうる。
複素環及びヘテロアリール基の代表的な例は、式I”、I’、及びIについて使用された用語の定義において上で提供される。
【0097】
「ヒドロキシ」という用語は、-OH構造を有する基を意味する。
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素基を意味する。
「ハロアルキル」という用語は、1以上のハロゲンで置換されたアルキルを意味する。
「シクロアルキル」という用語は、単環又は複素環の炭素環を意味し、ここで各環は、3〜10個の炭素原子を含み、そしてここで任意の環は、1以上の二重又は三重結合を含みうる。この例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロアルケニル、及びシクロヘプチルなどのラジカルが挙げられる。
【0098】
「シクロアルキル」という用語は、シクロアルキル環がベンゾチエピンの7員環の複素環に一般的である炭素環原子を有する、スピロ環系をさらに包含する。
「オキソ」という用語は、二重結合された酸素を意味する。
【0099】
「シクロアルキリデン」という用語は、当該構造内の炭素が環構造内に存在しない原子に二重結合する、単環又は多環炭素環を意味する。
【0100】
「ニトロ」という用語は、式-NO2を有する基を意味する。
「スルホ」という用語は、スルホ基、-SO3H又はその塩を意味する。
「チオ」という用語は、式-SHを有する基を意味する。
「スルホアルキル」という用語は、スルホナート基が結合するアルキル基であって、当該アルキルが関心の分子に結合される、アルキル基を意味する。
【0101】
「アミノスルホニル」という用語は、式-SO2NH2を有する基を意味する。
「アルキルチオ」という用語は、硫黄原子に結合されたアルキルラジカルを含む部分、例えばメチルチオラジカルを意味する。アルキルチオ部分は、アルキルチオの硫黄原子において関心の分子に結合される。
【0102】
「アリールオキシ」という用語は、酸素原子に結合されるアリールラジカルを含む部分、例えばフェノキシラジカルである。アリールオキシ部分は、アリールオキシの酸素原子において関心の分子に結合される。
【0103】
「アルケニルオキシ」という用語は、酸素原子に結合されるアルケニルラジカルを含む部分、例えば3-プロペニルオキシラジカルである。アルケニルオキシ部分は、アルケニルオキシの酸素原子において関心の分子に結合される。
【0104】
「アリールアルキル」は、アリール置換アルキルラジカル、例えばベンジルを意味する。「アルキルアリールアルキル」という用語は、1以上のアルキル基を有するアリール基上で置換されるアリールアルキル基を意味する。
【0105】
「アミノ」という用語は、-NH2構造を有する基を意味する。場合により、当該アミノ基は、例えば、1、2、又は3個の基、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールなどの基で置換されうる。
「シアノ」という用語は、-CN構造を有する基を意味する。
「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、1以上の複素環基で置換されるアルキルラジカルを意味する。
【0106】
「ヘテロアリールアルキル」という用語は、1以上のヘテロアリール基で置換されるアルキルラジカルを意味する。
【0107】
「アルキルヘテロアリールアルキル」という用語は、1以上のアルキルで置換されるヘテロアリールアルキルラジカルを意味する。
「アルコキシ」という用語は、酸素原子に結合されるアルキルラジカルを含有する部分、例えばメトキシラジカルを意味する。アルコキシ部分は、アルコキシの酸素原子において関心の分子に結合される。かかるラジカルの例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、iso-プロポキシ、ブトキシ、及びtert-ブトキシが挙げられる。
【0108】
「カルボキシ」という用語は、カルボキシ基、-CO2H、又はその塩を意味する。
「カルボニル」という用語は、酸素原子に二重結合された炭素原子を意味する。
「カルボキシアルキル」という用語は、1以上のカルボキシ基で置換されるアルキルラジカルを意味する。好ましいカルボキシアルキルラジカルは、1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカルに結合された1以上のカルボキシ基を有する「低級カルボキシアルキル」ラジカルである。
【0109】
「カルボキシ複素環」という用語は、1以上のカルボキシ基で置換される複素環ラジカルを意味する。
「カルボキシヘテロアリール」という用語は、1以上のカルボキシ基で置換されるヘテロアリールラジカルを意味する。
「カルボアルコキシアルキル」という用語は、1以上のアルコキシカルボニル基で置換されるアルキルラジカルを意味する。好ましいカルボアルコキシアルキルラジカルは、1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカルに結合された1以上のアルコキシカルボニルを有する「低級カルボアルコキシアルキル」ラジカルである。
【0110】
「カルボキシアルキルアミノ」という用語は、カルボキシアルキルで1又は2置換されるアミノラジカルを意味する。好ましくは、カルボキシアルキル置換基は、「低級カルボキシアルキル」ラジカルであり、ここで当該カルボキシ基が1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカルに結合される。
【0111】
用語の組合せを含む用語において使用される場合、例えば「アルキルアリール」又は「アリールアルキル」の場合、上記個々の用語(例えば、アルキル、アリール)は、上で記載された意味を有する。
【0112】
式I”、I’、I、及びIIの化合物、並びに医薬として許容されるその塩は、選択的COX-2阻害剤であり、選択的COX-2阻害剤とは、COX-1に対するCOX-2の選択的阻害剤であることを意味する。好ましくは、式I”、I’、I、及びIIの化合物、及び医薬として許容されるその塩は、COX-2でアッセイすると、約0.5μM未満のIC50値を有し、そして少なくとも50、より好ましくは少なくとも100のCOX-1阻害に対するCOX-2阻害の選択比を有する。COX-2及びCOX-1阻害活性は、生物学的方法(米国特許第6,077,850号、169段、15行目から始まる”b, Assay for COX-1 and COX-2 Activity”)に従って測定される。選択比は、COX-1で測定したIC50を、COX-2で測定したIC50で割ったものであり、ここで各IC50は、アッセイされた酵素を50%阻害するために必要とされる式I”、I’、I、又はII、或いは医薬として許容されるその塩の化合物濃度(μM)である。
【0113】
式I”、I’、I、及びIIの化合物、及び医薬として許容されるその塩は、医薬として用いるために剤形されてもよく、そして米国特許第6,034,256号;第6,077,850号;第6,218,427号;又は第6,271,253号、又は米国特許出願第10/801,446号又は第10/801,429号において記載されるように、関節炎及び疼痛などの疾患を治療するために人を含む哺乳動物に投与されうる。
【0114】
本発明の別の態様は、成分(a)が置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はそのエステル誘導体である、光変換のための上記又は以下の方法のうちのいずれかである。
【0115】
本発明の別の態様は、成分(a)が、式I”、I’、又はIの化合物[式中、XはS又はNRaである]の(2S)-又は(2R)-エナンチオマー、又はその非ラセミ混合物である、本発明の上記又は下記方法のいずれか一つである。本発明の別の態様では、成分(a)が式IIの化合物[式中、XはS又はNHである]の(2S)-又は(2R)-エナンチオマー、又はその非ラセミ性混合物である、本発明の上記又は下記の方法のいずれか一つである。
【0116】
本発明の別の態様は、成分(a)が式I”、I’、又はIの化合物[式中、XはOである]の(2S)-又は(2R)エナンチオマー、又はその非ラセミ性混合物である、本発明の上記又は下記の方法のいずれか一つである。
【0117】
本発明の別の態様は、成分(a)が式IIの化合物[式中、XはOである]の(2S)-又は(2R)エナンチオマー、又はその非ラセミ性混合物である、本発明の上記又は下記の方法のいずれか一つである。
【0118】
本発明の別の態様は、成分(a)が
(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;若しくは
(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸であるか;又は
当該成分(a)は、
(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である主要成分;及び
対掌体(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である副成分を有する非ラセミ性混合物である、光変換のための上記又は下記の方法のうちのいずれか一つである。
【0119】
本発明の別の態様は、成分(a)が以下の:
(R)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;若しくは
(S)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸であるか;又は
成分(a)が以下の:
(S)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;又は
(S)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である主要成分;及び以下の対掌体:
(R)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;又は
(R)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である副成分を有する非ラセミ性混合物である、上記又は下記光変換方法のうちのいずれか一つである。
【0120】
本発明の別の態様は、成分(b)が、以下の:
(S)-8-クロロ-6-メトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-8-クロロ-6-メトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6-クロロ-7-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6-クロロ-7-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6-クロロ-7-ベンジル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6-クロロ-7-ベンジル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6-エチル-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6-エチル-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6-クロロ-5-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6-クロロ-5-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6,8-ジクロロ-7-シクロヘキシルメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6,8-ジクロロ-7-シクロヘキシルメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6-クロロ-2-トリフルオロメチル-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸;
(R)-6-クロロ-2-トリフルオロメチル-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸;
(S)-6-トリフルオロメトキシ-8-エチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸 エチル・エステル;
(R)-6-トリフルオロメトキシ-8-エチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸 エチル・エステル;
(S)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸 エチル・エステル;
(R)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸 エチル・エステル;
(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸 エチル・エステル;若しくは
(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸 エチル・エステルであるか;又は
成分(b)が、以下の:
(R)-及び(S)-8-クロロ-6-メトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-及び(S)-6-クロロ-7-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-及び(S)-6-クロロ-7-ベンジル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-及び(S)-6-エチル-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-及び(S)-6-クロロ-5-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-及び(S)-6,8-ジクロロ-7-シクロヘキシルメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-及び(S)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-及び(S)-6-クロロ-2-トリフルオロメチル-1,2-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸;
(R)-及び(S)-6-トリフルオロメトキシ-8-エチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸エチル・エステル;
(R)-及び(S)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸 エチル・エステル;若しくは
(R)-及び(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸エチル・エステルの非ラセミ性混合物である、上記又は下記の変換方法のいずれか一つである。
【0121】
本発明の方法は、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体の(2S)-及び(2R)-エナンチオマーの任意の混合物を、任意のキラル補助剤を伴って又は伴わずに、エナンチオ選択性の分画結晶化にかける予備ステップ、又は当該任意の混合物をエナンチオ選択性マルチカラムクロマトグラフィーにかけて、成分(a)(ここで、当該成分(a)を次に本明細書に記載される本発明の光変換方法にかける)を生成する予備ステップをさらに含みうる。
【0122】
本発明のいくつかの方法は、(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体について相対濃縮された(2S)-及び(2R)-エナンチオマーの混合物を、キラル補助剤を伴って又は伴わずにエナンチオ選択性分画結晶化にかける次なるステップ、或いは(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体に相対濃縮された(2S)-及び(2R)-エナンチオマーの混合物を、エナンチオ選択性のマルチカラム・クロマトグラフィーにかける次なるステップを含む。(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体に相対濃縮された(2S)-及び(2R)-エナンチオマーの混合物を、回収流、又は回収/供給流を介してマルチカラムクロマトグラフィーにかけることが好ましい。
【0123】
「エナンチオ選択性分画結晶化」という用語は、(2S)-又は(2R)-エナンチオマーのe.e.を濃縮する任意の結晶化を含み、ここで当該光学的に濃縮されたエナンチオマーは、場合により結晶相又は結晶相由来の母液中に存在する。エナンチオ選択性の分画結晶化は、キラル補助剤を伴わずにエナンチオマーのラセミ性混合物を結晶化すること、及びキラル補助剤を伴ってラセミ性及び非ラセミ性混合物を共結晶化することを含む。エナンチオ選択性の分画結晶化は、主要又は副エナンチオマー成分の結晶化を含む。
【0124】
典型的に、本発明の光ラセミ化法は、約-30℃〜約200℃の温度で行われる。反応混合物の温度は、高強度UV光源から伝達される熱のため、光ラセミ化ステップのあいだ上昇することもある。反応混合液の温度は通常決定的ではない。場合により、光ラセミ化ステップは、-30℃から室温以上で行われる。典型的に、反応温度は、約-30℃〜約150℃、0℃〜約100℃、約5℃〜約100℃、約15℃〜約100℃、約25℃〜約100℃、約35℃〜約100℃、約40℃〜約100℃、約50℃〜約100℃、又は約60℃〜約100℃の範囲である。
【0125】
本発明の方法に従った光ラセミ化割合は、反応溶液混合物中の(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの濃度に逆比例すると信じられている。
反応混合液中の(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの濃度は、典型的に溶液1lあたりエナンチオマー10g超であるが、当該濃度はそれより低くてもよい。溶出流中の濃度は、典型的に、分画結晶化からの母液中の濃度より低い。エナンチオ選択性マルチカラムクロマトグラフィーは、典型的に100g/L未満の濃度で(2S)-又は(2R)-エナンチオマーを含む。
【0126】
定常状態リサイクル・クロマトグラフィーは、商標名CYCLOJET(登録商標)(Novasep Societe Par Actions Simplifiee, Pompey, France)、及び「SteadyCycle(商標)」(CYBA Technologies, LLC, Mystic, Connecticut, USA)により知られているSSRCを含む。定常状態リサイクリング・クロマトグラフィーは、2個のカラム又は1個のカラムを用いるクロマトグラフィー法を含む。
【0127】
「マルチカラム・クロマトグラフィー」という用語は、連続して繋がれた1超のカラムを利用するクロマトグラフィー法を意味し、そして模擬移動ベッドクロマトグラフィー(simulated moving bed chromatography)を含む。
【0128】
成分(a)は、光変換ステップのあいだにおいて、エナンチオ選択性定常状態リサイクルクロマトグラフィー溶出流中において、又はエナンチオ選択性マルチカラムクロマトグラフィー溶出流中で分離されうる。
【0129】
溶媒、その混合物、移動相、又はキラル補助剤などのその他の成分であって、本発明の光変換法の実施を妨げるものが本発明の方法から除かれる。本発明の光変換法の実施を妨げる溶媒、その混合物、移動相、キラル補助剤、又はその他の成分は、光変換混合物が、24時間のうちに、90%未満の成分(a)のe.e.に達することを妨げるものである。
【0130】
「光ラセミ化」及び「光変換」という用語は、交換して使用されてもよく、そして高強度UV光源を用いてある化合物の少なくとも1のエナンチオマーのエナンチオマー過剰率を低減する方法を意味する。光ラセミ化は、1のエナンチオマー又はその非ラセミ性混合物上で行われてもよく、そして当該方法は、エナンチオマーのラセミ混合物を生成してもよいし又はしなくともよい。
【0131】
「光ラセミ化混合物」という用語は、本発明の方法により生成されるエナンチオマーの混合物を意味する。光ラセミ化混合物は、ラセミ性又は非ラセミ性の混合物であってもよい。
反応性混合物は、UV感受性、光変換促進性添加物をさらに含んでもよい。
【0132】
「高強度UV光源を用いて照射する」という用語は、照射される対象に電気UV光源を向けることを意味し、ここでUV光源の強度は、少なくとも約0.1ワット/cm2(W/cm2)であり、好ましくは少なくとも約0.2W/cm2であるか、或いは24時間以内に成分(a)のe.e.の90%未満であるエナンチオマー過剰率を有するエナンチオマーの光ラセミ化混合物を生成するために十分な強度であり、又は24時間以内に照射された(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの半減期をもたらすために十分な強度である。例えば、25cmの長さ及び8cmの直径を有するガラス・シリンダーを(例えば石英)に照射された450WのUV光源は、450W÷(25cm×8cm×π)=0.72W/cm2の強度を有するであろう。光ラセミ化の割合は、使用される各高強度UV光源のUV光の強度に比例し、そしてUV光源と成分(a)とのあいだの距離に反比例する。
【0133】
高強度UV光源は、UVスポットランプ、UVフォトリアクター、又はUVフォトリアクターフロースルーセル(UV photoreactor flow through cell)を含む。全部で1、2、4、6、12、20、50、100、200以上のUV光源を使用してもよい。UVフォトリアクターフロースルーセルを本発明の方法において使用するとき、e.e.の減少率は、セルを通過した混合液の流速に反比例する。全部で1、2、4、6、12以上のフロースルーフォトリアクターセルが使用されてもよい。
【0134】
高強度UV光源は、販売元から容易に利用でき、そして本発明の光ラセミ化方法を実施する目的においては、UV光源のどのタイプ又はブランドが使用されたかは問題とはならない。
【0135】
UV光は、約210nm〜約450nmの波長を有する光のスペクトルである。UV吸収物質、例えばUV吸収キラル補助剤又はUV吸収溶媒は、照射に使用されるUV光の特定の波長を上で記記載した程度まで吸収しない場合に限り、光変換ステップの方法のあいだに存在してもよい。
【0136】
本発明の方法は、(2S)-又は(2R)エナンチオマーの対掌体、或いは(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体に光学的に濃縮された混合物の回収率を最大化するために1回以上繰り返されうる。光ラセミ化された混合物中の対掌体は、移動相を蒸発することにより、又は母液を含む分画結晶化溶媒を蒸発させることにより回収されうる。新たなエナンチオマーの混合物の光ラセミ化及び再分離は、1回以上繰り返されて、分離されたエナンチオマーの回収率を最大にすることができる。
【0137】
(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体に光学的に濃縮された混合物は、ラセミ性又は非ラセミ性混合物であってもよい。
【0138】
エナンチオマーの非ラセミ性混合物は、エナンチオマーの50.0%:50.0%混合物以外の全ての混合物である。
【0139】
置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体の(2S)-エナンチオマーは、それぞれ、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体の対応する(2R)-エナンチオマーの対掌体である。置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体の(2R)-エナンチオマーは、それぞれ置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体の対応する(2S)-エナンチオマーの対掌体である。
【0140】
本発明の別の態様は、(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体に相対濃縮された混合物のエナンチオマー過剰率が、成分(a)のエナンチオマー過剰率の80%未満、70%未満、又は60%未満である、光変換のための上記又は下記の方法のいずれか一つである。
【0141】
本発明の別の態様は、(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体に相対濃縮された混合物のエナンチオマー過剰率が、成分(a)のエナンチオマー過剰率の50%未満、40%未満、又は30%未満である、光変換のための上記又は下記の方法のいずれか一つである。
【0142】
(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体に相対濃縮された本発明の光変換方法により生成される混合物は、成分(a)のe.e.よりも低いe.e.を有するであろう。(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの量に対する対掌体の量が、本発明の光変換法のあいだに増加するので、光変換法により生成される混合物のe.e.は低下するであろう。
【0143】
90%未満、80%未満、70%未満などであるエナンチオマー過剰率を有することを特徴とするe.e.値は、以下のように計算される:
[100×((2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体に相対濃縮された混合物のe.e.)]÷(置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体の(2S)-及び(2R)-エナンチオマーの非ラセミ混合物のe.e.)
当該値は、それぞれ90%未満、80%未満、70%未満などである。
【0144】
例示として、成分(a)のe.e.(ここで、成分(a)のe.e.は95%、54%、又は20%であった)の90%未満であるe.e.を有する(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体に相対濃縮された混合物は、(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体中に相対濃縮された混合物のe.e.がそれぞれ85.5%、48.6%、又は18%未満であることを意味する。本明細書に使用されるエナンチオマー過剰率は、以下の分析法(A)の方法に従って得られる純粋なエナンチオマーのデーターを用いて測定する。
【0145】
好ましくは、成分(a)は、溶媒成分(b)中に溶解されるが、別の実施態様では、本発明の光変換ステップ法は、照射の際に成分が溶液又は部分的溶液(例えば溶融)を形成する場合、溶媒無しで実施されてもよい。或いは、当該成分(a)は、溶媒成分(b)中に部分的に溶解され、そして部分的に懸濁される。溶媒成分(b)は、溶媒の混合物であってもよい。溶媒成分(b)は、エナンチオ選択性分画結晶化由来の母液であってもよい。
【0146】
本発明の別の態様は、光変換のための上記又は下記方法のいずれか一つである。ここでエナンチオ選択性マルチカラムクロマトグラフィー溶出流は、以下の:
一の極性溶媒(a single polar solvent);
極性溶媒及び酸性溶媒を含む溶液(ここで極性溶媒は溶液の少なくとも99%体積/体積あり、そして酸性溶媒は溶液の1%体積/体積未満である);又は
極性溶媒、酸性溶媒、及び非極性溶媒を含む溶液(ここで、極性溶媒は当該混合液の50%体積/体積以下であり、酸性溶媒は溶液の1%体積/体積未満であり、そして非極性溶媒は溶液の50%体積/体積超である)
を含む移動相を含む。上記移動相を、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はそのエステル誘導体と共に使用することが好ましい。
【0147】
本発明の別の態様では、移動相は以下の:
緩衝化された中性水溶液及び極性溶媒;
緩衝化された酸性水溶液及び極性溶媒;又は
緩衝化された塩基性水溶液及び極性溶媒
を含み、ここで当該極性溶媒は、移動相の約5%〜約95%体積/体積を含む。上記移動相を、置換置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はそのエステル誘導体の医薬として許容される塩を用いて使用することが好ましい。
【0148】
当該移動相は少なくとも1の添加物を含みうる。キラル固定相上での酸又はエステルのクロマトグラフィーに適した添加物は、典型的にトリメチルアミン、トリエチルアミンなどのアミンであるか、又は酢酸ナトリウム又はカリウムなどの有機塩、又は酢酸アンモニウム又は塩化アンモニウムなどの無機塩である。逆相キラル固定相上での酸又はエステルの塩のクロマトグラフィーに適した添加物は、典型的に本明細書中に記載される塩などの無機塩である。
【0149】
成分(b)は、極性溶媒、非極性溶媒、及び緩衝化された塩基性水溶液、及びその混合物を含む。
【0150】
極性溶媒は、1〜8個の炭素原子、及び1個の酸素原子を含む溶媒を含み、そして直鎖又は分枝鎖非環式C1-C8アルコール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなど、環状C3-C8アルコール類、例えばシクロプロパノール、シクロブタノールなど、C4-C8エーテル類、例えばエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなど、直鎖又は分枝鎖C3-C8アルカノン類例えば、アセトン、ブタノン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、3,3-ジメチル-2-ペンタノンなど、及びC3-C8シクロアルカノン類、例えばシクロプロパノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3-メチルシクロペンタノンなどから選ばれる。
【0151】
極性溶媒は、1〜8個の炭素原子及び2個の酸素原子を含む溶媒も含み、そして超臨界流体、例えば二酸化炭素、C3-C8エステル類、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチルなど、C3-C8ラクトン類、例えばβ-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトンなど、及びC3-C8ビスエーテル類、例えば2-メトキシ-エチルエーテルなどから選ばれる。
【0152】
極性溶媒は、1〜8個の炭素原子及び1個の窒素原子を含む溶媒も含み、そしてC2-C8ニトリル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどから選ばれる。
【0153】
極性溶媒は、1〜8個の炭素原子、1個の酸素原子、及び1個の窒素原子を含む溶媒を含み、そしてC2-C8カルボン酸アミド、例えばC2-C8アミド、例えばアセトアミド、N-メチル-アセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ブチルアミドなど、及びC4-C8ラクタム、例えばβ-ラクタム、2-ピロリジノン、1-メチル-2-ピロリジノン、δ-バレロラクタムなどから選ばれる。
【0154】
極性溶媒はまた、1〜8個の炭素原子又は2又は3個の塩素原子を含む溶媒を含み、そしてジクロロ-(C1-C8炭化水素)、例えばジクロロメタン、及びトリクロロ-(C1-C8炭化水素)、例えば1,1,1-トリクロロエタンなどから選ばれる。
【0155】
極性溶媒は、C3-C6アルカノン、例えばアセトン、C2-C6ニトリル、例えばアセトニトリル、及びC1-C6アルコール、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなどから選ばれる溶媒も含む。
【0156】
極性溶媒は、約1%〜約99%、約5%〜約95%、約10%〜約90%、約20%〜約80%、又は約30%〜約70%の体積/体積の移動相を含んでもよい。
極性溶媒は、エタノール、メタノール、又はアセトニトリルなどの溶媒を含む。
【0157】
酸性溶媒は、直鎖又は分枝鎖である非環式の非置換C1-C8カルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸など、及びC3-C8環状カルボン酸、例えばシクロプロピル-カルボン酸、3-メチル-シクロブチルカルボン酸などから選ばれる溶媒を含む。
【0158】
酸性溶媒は、直鎖又は分枝鎖であり、そして1〜3個のフッ素で置換される非環式C1-C8カルボン酸、例えばトリフルオロ酢酸など、直鎖又は分枝鎖であり、そして1〜3個の塩素で置換される非環式C1-C8カルボン酸、例えば、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸など、そして直鎖又は分枝鎖であり、そして1個の臭素で置換される非環式C1-C8カルボン酸、例えばブロモ酢酸などから選ばれる溶媒も含む。
【0159】
酸性溶媒は、直鎖又は分枝鎖である非環式非置換C1-C8スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、2,2,2-トリメチルメタンスルホン酸などから選ばれる溶媒も含む。
【0160】
酸性溶媒は、直鎖又は分枝鎖であり、そして1〜3個のフッ素で置換される非環式C1-C8スルホン酸、例えばフルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、3,3,3-トリフルオロプロパンスルホン酸などから選ばれる溶媒も含む。
【0161】
酸性溶媒は、トリフルオロ酢酸又は酢酸などの溶媒を含む。
非極性溶媒は、直鎖又は分枝鎖C5-C10非環式炭化水素、例えばn-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、2,2,5-トリメチルヘキサンなどを含む溶媒を含む。
【0162】
非極性溶媒は、C5-C10環状炭化水素、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロヘプタンなどを含む溶媒も含む。
【0163】
溶媒及び移動相は、以下の:1の極性溶媒及び極性溶媒と非極性溶媒を含む溶液(ここで当該極性溶媒は極性溶媒は混和性混合物の50%体積/体積以下であり、そして非極性溶媒は溶液の50%体積/体積超である。)から独立して選ばれうる。極性溶媒及び非極性溶媒は上で定義されるとおりである。
【0164】
或いは、溶媒及び移動相は、独立して超臨界流体(つまり、液化二酸化炭素)であってもよい。
緩衝化された中性水溶液は、水及び塩、例えばナトリウム又はカリウムの過塩素酸塩、重リン酸塩、リン酸塩、硫酸水素塩、硫酸塩などを含む。
【0165】
緩衝化された酸性水溶液は、水、塩、例えばナトリウム又はカリウムの過塩素酸塩、重リン酸塩、リン酸塩、硫酸水素塩、硫酸塩など、並びにギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、硫酸などから選ばれる酸を含む。
【0166】
緩衝化された塩基性水溶液は、水、塩、例えばナトリウム又はカリウムの過塩素酸塩、重リン酸塩、リン酸塩、硫酸水素塩、硫酸塩など、及び酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれる塩基を含む。
【0167】
エナンチオ選択性マルチカラムクロマトグラフィーからの溶出液は、その中に溶解された任意の物質を分析するため、又は慣用される方法、例えば移動相の蒸発により、場合により物質の結晶化を用いてその中に溶解された物質を単離しそして回収するために回収されうる。或いは、溶出液は光変換ユニット中に導入され、続いて、得られたエナンチオマーの光変換混合物は、リサイクル流を介してクロマトグラフィー・ユニットの固定相に導入される。
【0168】
エナンチオ選択性マルチカラムクロマトグラフィーからの溶出流は、ラフィネート流(ここで移動相は、その中に溶解された酸、エステル、又はその塩の1のエナンチオマーのうちの大部分を含む)、或いは抽出流(ここで、移動相は、その中に溶解された酸、エステル、又はその塩のもう一方のエナンチオマーの大部分を含む)を意味する。
【0169】
溶出液は、任意の慣用される方法、例えば、溶出液又はその一部を検出器にかけることにより、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体のエナンチオマーの有無についてモニターされうる。当該検出器は、液体クロマトグラフィーに適合してもしなくともよく、そしてキラリティーを測定できてもてきなくともよい。液体クロマトグラフィーに適合する検出器の代表的な例としては、紫外線検出器、約210nm〜約320nmの紫外波長(例えば、210nm、240nm、254nm、280nm、又は290nm)を検出してUV活性成分を検出するためのフォトダイオード・アレイ検出器、平面偏光の旋光度をモニターする装置、例えばJM Science, Inc,, Grand Island, New Yorkから販売されるIBZ CHIRALYSER、及び蒸発光錯乱検出器を含む。
【0170】
或いは、溶出液は、(例えばエナンチオマーの保持時間が知られている場合)時間を計って分画すること(timing fractions)により;時間を計らないか又は時間を計って分画をサンプリングし、そして当該サンプルを、例えば目視検査、目視検査とあわせたUV光照射、非エナンチオ選択性又はエナンチオ選択性HPLC、核磁気共鳴法、質量分析法、誘導体化法、及び得られた誘導体の分析などにより分析することにより;分画を蒸発させ、そして得られた残渣を目視検査、UV光照射と組み合わせた目視検査、融点、非エナンチオ選択性又はエナンチオ選択性HPLC、核磁気分光法、質量分析法などによりエナンチオマーの存在を分析することにより;或いは溶出液の分画に、又はそこから得られた残渣に誘導化剤を加え、そして得られた誘導体を上で記載されるように分析することにより、モニターされうる。酸、エステル、又は医薬として許容されるその塩のエナンチオマーの存在を測定するために使用されうるモニタリング法は、当該モニタリング法が光学特性を測定できないか(つまり、エナンチオマーの光学的性質(つまり、エナンチオマーの光学純度又はe.e.)を測定できない場合、又は当該エナンチオマーがその対掌体と共に存在するか否かを決定できない場合であっても、溶出液のモニターに有用である。
【0171】
モニタリングは、本発明の光変換ステップと同時に行われてもよく、その後行われてもよく、又は本発明の光変換ステップと同時に行いそして当該光変換ステップの後にも行われうる。モニタリングは、溶液の一部が少なくとも1のエナンチオマーを含むか否かを当業者が知ることができる全ての方法又は行為である。
【0172】
「キラル補助剤」という用語は、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその酸誘導体と共に結晶塩を形成できるキラル有機アミン、又は塩基性の置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のエステル又はエーテル誘導体と共に結晶塩を形成できるキラル有機酸を意味する。本発明の方法において有用であるキラル有機アミン補助剤は、以下の:
L-tert-ロイシノール、(+)-シンコニン、(+)-キニーネ、(1R,2S)-(+)-シス-1-アミノ-2-インダノール、(DHQ)2PHAL、L-プロリン、L-フェニルグリシンメチル・エステル、(R)-N-ベンジル-1-(1-ナフチ)エチルアミン、テトラミゾールHCl、(1S,2S)-(+)-チオミカミン、R-(+)-4-ジフェニルメチル-2-オキサゾリジノン、R-(+)-N,N-ジメチル-1-フェニルエチルアミン、L-バリノール、(1R,2R)-(-)-1,2-ジアミノシクロヘキサン、(1R,2S)-2-アミノ-1,2-ジフェニルエタノール、(+)-ビス[(R)-1-フェニルエチル]アミン、L-プロリノール、(S)-(-)-α-メチル-ベンジルアミン、(1S,2S)-(+)-2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、(1R,2S)-(-)-エフェドリン、L-フェニルアラニンエチル・エステル、L-フェニルアラニノール、(R)-(-)-3-メチル-2-ブチルアミン、(1R,2R)-(+)-1,2-ジフェニル・エチレンジアミン、(1S,2R)-(+)-ノルエフェドリン、(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン、(+)-(2S,3R)-4-ジメチルアミノ-3-メチル-1,2-ジフェニル-2-ブタノール、R-(+)-1-(1-Naphthyl)エチルアミン、R-(+)-1-(4-ブロモフェニル)エチルアミン、(-)-シンコニジン、D-グルカミン、(S)-(-)-1-ベンジル-2-ピロリジンメタノール、(1R,2S)-(-)-N-メチルエフェドリン、(+)-キニジン、(R)-(-)-2-フェニルグリシノール、R-(-)-1-(4-ニトロフェニル)エチルアミン、R-(-)-2-アミノ-1-ブタノール、(R)-(-)-1-シクロヘキシルエチルアミン、N-メチル-D-グルカミン、(8S,9R)-(-)-N-ベンジシンコニニウム・クロリド、1-デオキシ-1-(メチルアミノ)-D-ガラクチトール、(1R,2S)-(+)-シス-[-2-(ベンジルアミン)シクロヘキシル]メタノール、(1R,2R)-(-)-2-アミノ-1-(4-ニトロフェニル)-1,3-プロパンジオール、L-フェニルアラニン・メチル・エステル、(1S,2S)-(+)-シュードエフェドリン、及び(S)-1-メトキシ-2-プロピルアミン
からなる群から選ばれうる。上記化合物のエナンチオマーからなる群から選ばれるキラル補助剤も有用である(例えば、キラル補助剤は、(R)-1-メトキシ-2-プロピルアミンである。)。
【0173】
本発明の方法において有用であるキラル有機アミン補助剤は、以下の:(R)-(-)-1-アミノ-2-プロパノール、(-)-シス-ミルタニルアミン、(R)-1-(4-メチルフェニル)エチルアミン、(S)-アミノテトラリン、(R)-(-)-sec-ブチルアミン、(R)-(-)-テトラヒドロフルフリルアミン、(R)-3,3-ジメチル-2-ブチルアミン、(R)-(-)-2-アミノヘプタン、L-(+)-イソロイシノール、L-ロイシノール、(R)-(-)-アミノインダン、H-メチオニノール、(S)-(-)-N,α-ジメチル-ベンジルアミン、(S)-(-)-1-フェニルプロピルアミン、S-(-)-3-Tert-ブチルアミノ-1,2-プロパンジオール、(R)-1-メチル-3-フェニルプロピルアミン、(R)-3-アミノ-3-フェニルプロパン-1-オール、(R)-1-(3-メトキシフェニル)エチルアミン、(R)-(+)-1(4-メトキシフェニル)エチルアミン、メチル(R)-(+)-3-メチルグルタラート、(S)-(-)-1-(2-ナフチル)エチルアミン、L-チロシンアミド、S-ベンジル-L-システイノール、(S)-1-フェニル-2-(p-トリル)エチルアミン、[R-(R*,R*)]-(+)-ビスα-メチルベンジルアミン、(R)-(-)-Nベンジル-2-フェニルグリシノール、L-チロシノール、(R)-(+)-(3,4-ジメトキシ)ベンジル-1-フェニルエチルアミン、及び1-デオキシ-1-(オクチルアミノ)-D-グルシトールからなる群から選ばれうる。上記化合物のエナンチオマー(例えば、D-チロシノールであるキラル補助剤)からなる群から選ばれるキラル補助剤も有用である。
【0174】
本発明の方法において有用であるキラル有機アミン補助剤は、以下の:
(S)-(-)-2-アミノ-3-フェニル-1-プロパノール、(R)-(+)-4-ジフェニルメチル-2-オキソゾリジノン、(1R,2R)-(+)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン、(+)-デヒドロアビエチルアミン、(+)-アンフェタミン、(+)-デオキシフェドリン、及び(+)-クロラムフェニコール中間体
からなる群から選ばれうる。上記化合物のエナンチオマーからなる群から選ばれるキラル補助剤(例えば、(-)-クロラムフェニコール中間体であるキラル補助剤)も有用である。
【0175】
(2S)-又は(2R)-エナンチオマーは、UV吸収キラル補助剤を伴った式II”、I’、I、又はIIの化合物の塩形態を含む。UV吸収キラル補助剤は、キラル補助剤の上記リストのうちのいずれか一つからなる群から選ばれる。但しUV吸収キラル補助剤は、(S)-(+)-又は(R)-(-)-2-アミノ-1-ブタノール、(-)-又は(+)-デヒドロアビエチルアミン、(R)-(-)-又は(S)-(+)-2-アミノ-1-ブタノール、或いは(+)-又は(-)-デヒドロアビエチルアミンではない。
【0176】
或いは、(2S)-又は(2R)-エナンチオマーは、以下の:(R)-(-)-2-アミノ-1-ブタノール、(+)-デヒドロアビエチルアミン、(S)-(+)-2-アミノ-1-ブタノール、及び(-)-デヒドロアビエチルアミンからなる群から選ばれる非UV吸収性キラル補助剤を伴う式II”、I’、I、又はIIの化合物の塩形態を含む。上記化合物のエナンチオマーからなる群から選ばれるキラル補助剤が有用である(例えば、(+)-デヒドロアビエチルアミンであるキラル補助剤)。
【0177】
別の態様では、本発明の光変換法は、動力学的変換を特徴とする非平衡的な方法である。当該方法は、所望されていないエナンチオマー又はエナンチオマーの混合物(例えば、所望されていないエナンチオマーである主要成分、及びその対掌体である副成分を有する非ラセミ混合物、ここで非ラセミ混合物は、エナンチオ選択性のクロマトグラフィー又はエナンチオ選択性の分画結晶化により得ることができる)を変換させて、実質的に純粋な対掌体又は非ラセミ混合物(ここでより好ましいエナンチオマー(つまり、対掌体)が主要成分であり、そして所望されていないエナンチオマーが副成分である)を生成することにより、式I”、I’、I、又はIIのキラル化合物を合成する生産性を改善するために有用である。
【0178】
本発明の非平衡的な光ラセミ化法の代表的な例は、キラル補助剤の存在下で、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体の好ましくないエナンチオマーを光ラセミ化し、そして形成された好ましいエナンチオマーをキラル補助剤を伴う塩として沈殿又は結晶化することを含み、ここで平衡は、当該塩の溶液よりは、沈殿され又は結晶化された塩に傾く。別の代表的な例は、キラル補助剤を伴ったエナンチオマーの混合物の塩の懸濁液を光促進光ラセミ化し、そしてそうして形成された好ましいエナンチオマーを、キラル補助剤を用いて塩として沈殿又は結晶化させること、そしてその母液から濃縮沈殿又は結晶化された塩をそれぞれ分離することである。
【0179】
場合により、本発明の光変換ステップは、1つのエナンチオマーの対掌体より当該エナンチオマーを好まない平衡方法であるか、又は1のエナンチオマーの対掌体に対して当該エナンチオマーの形成を促進する非平衡方法である。一般的に非平衡方法は、少なくとも1の非平衡ステップを有するか、又は非平衡ステップがない場合、少なくとも2個の平衡ステップを有する。
【0180】
本発明を考慮すれば、当業者は、必要以上の実験をすることなく特定のエナンチオマーを光変換するための適切なパラメーター及び条件を決定することができる。
【0181】
本発明の方法は、実験室スケール、予備的スケール、及び製造スケールの光ラセミ化方法を含む。
【0182】
本発明の方法は、(2S)-又は(2R)-エナンチオマーが不純物を含むか含まないか、水又は他の溶媒を含むか含まないか、結晶質であるか又は非結晶質であるか、或いは液体であるか又は固体であるかなどにかかわらず、行われる。
【実施例】
【0183】
本発明の方法の代表的な例は以下に記載される。
実施例(A)から(H)のエナンチオマー過剰率は、以下の分析方法(A)に記載されたHPLC法を用いたエナンチオ選択性高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定された。
【0184】
分析方法(A)
CHIRALPAK(登録商標)AD固定相を充填された内径0.46cm長さ250mmのカラム、10μLの注入体積を使用し、移動相0.1%トリフルオロ酢酸を含む95%/5%(体積比率)のヘプタン:エタノールを室温で、1ml/分のアイソクラチックの流速で溶出させ、そして254nmの波長で光ダイオードアレイ検出器を用いて検出した。実行時間は10分であった。
【0185】
実施例(A)
(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(1.0mg/ml)を含むエタノール溶液を石英キュベット中に入れ、そして4W/cm2強度の直径5mmのUV光スポット(320〜390nmの波長)をもたらすUVスポットランプからの光で照射した。30分後、一定量をHPLCにより分析し、そして(R)-及び(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸のラセミ混合物であることを検出した。
【0186】
実施例(B)
(S)-及び(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(21%e.e.の(S)エナンチオマー)(50mg/mL)を含むエタノール溶液を2つのアリコートに分けた。第一アリコートを、石英キュベット中に入れ、4W/cm2の強度の直径5mmのUV光スポット(320〜390nmの波長)をもたらすUVスポットランプからの光で90秒の間隔で、25分に渡り照射して、7.4%e.e.を有する溶液を生成した(HPLCにより計測)。第二アリコートを石英キュベットにいれ、そして、UVスポットランプからの光で25分間に渡り連続して照射して、12%のe.e.を有する溶液を生成した(HPLCにより計測)。
【0187】
実施例(C)
(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(40mg/ml)を含むエタノール溶液を、石英キュベット中に入れ、そして4W/cm2の強度の直径5mmのUV光スポット(320-390nmの波長)をもたらすUVスポットランプからの光で照射した。アリコートを0、1、2、4、8、12、及び16分の時間でとり、そしてHPLCにより分析した。実験を繰り返した。2個の実験のそれぞれについての速度定数k(k1及びk2)は、以下の方程式:
【数1】

を用いて計算した。式中、tは時間(分)であり、Cは1リットルあたりのクロメン濃度(mol)、そしてln(e.e.)はエナンチオマー過剰率(%)の自然対数である。速度定数k1は、0.0764/分であり、そしてk2は0.0787/分であった。2つの実験のそれぞれについての半減期τ(τ1及びτ2)を、以下の方程式:
【数2】

を用いて計算した。
【0188】
半減期τ1は4.54分であり、そしてτ2は4.40分であった。
エナンチオマー1gあたり、約30分の比半減期(specific half time)が計算された。
【0189】
実施例(D)
実施例(C)の方法を、(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を含むエタノール溶液の濃度を66.7mg/mLにして繰り返した。アリコートを=0、1、2、4、8、12、及び16分でとり、そしてHPLCにより分析した。各時点でのe.e.の自然対数を各アリコートについて測定した。半減期τは、9.81分であった。e.e.データーの自然対数を、表1において「ln(e.e.)」と記した行において提供する。
【表1】

【0190】
実施例(E)
16gの(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を400mlのエタノール中に溶解して、40g/lの溶液を与え、そして当該溶液を、反応容器の中心に配置され、そして石英チューブにより反応溶媒から隔離される450WのUVランプを有する円柱上の形状を含む400mlのフォトリアクター中に入れた。混合物に照射し、そしてアリコートを約0、12、24、41、60、87、105、135、及び162分においてとり、そしてHPLCにより分析した。速度定数k及び半減期τを上記のように計算し、そしてk=0.0109/分及びτ=31.8分であることが分かった。1グラムあたり約2分の比半減期が計算された。
各時点におけるe.e.の自然対数を、各アリコートについて測定した。e.e.データーの自然対数を、以下の表2の「ln(e.e.)」と記した行に与える。
【表2】

【0191】
実施例(F)
実施例(E)の方法を用いて、さらなる光ラセミ化実験を、4.00g、8.00g、10.00g、13.00g、及び20.04gの(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸で更なる光ラセミ化実験を実行して、10.0mg/mL、20.0mg/mL、25.0mg/mL、32.5mg/mL、及び50.1mg/mLの濃度をそれぞれ与える。半減期(分)及び比半減期を各濃度について測定した。結果を表3において、「τ(分)」及び「τ/m(分/g)」と記載された列に実施例(E)からの結果と共に示した。
【0192】
【表3】

【0193】
実施例(G)
実施例Eの方法を用いて、10gの(R)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を400mlのエタノール中に溶解して、25mg/mlの濃度にし、そして混合物をろ過して、少量の不溶物質を取り除いた。ろ液をフォトリアクターにいれそして照射した。約95分のタイムコースにわたり、t=5分において約4.3から、t=95分において約1.4までln(e.e.)の減少が観察された。半減期τは20.7分であった。
【0194】
実施例(H)
実施例(E)の方法を用いて、10gの(R)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸を400mlのエタノール中に溶解して25mg/mlの濃度にし、そして混合物をろ過して、少量の不溶性物質を取り除いた。ろ液をフォトリアクターにいれ、そして照射した。約105分のタイムコースにわたり、t=5分で約4.2からt=105分で約1.0までのln(e.e.)の減少が観察された。半減期τは21.9分であった。
【0195】
本発明は、そのある特定の実施態様について記載されそして例示される一方、当業者は、方法及びプロトコルの様々な適合、変更、改変、置換、欠失、又は追加が、本発明の本質と範囲から逸脱することなくなされうるということを認めるであろう。その結果、本発明が添付の特許請求の範囲により定義され、そしてかかる特許請求の範囲は妥当な限り広く解釈されるということが意図される。
【0196】
本明細書中に引用された全ての引用文献、例えば特許、特許出願、特許出願公開、及び科学論文などは、その全てを、全目的のために本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、又はその誘導体の(2S)-又は(2R)-エナンチオマーを光変換する方法であって、当該方法が以下のステップ:
高強度UV光源を用いて、非限定的に、以下の成分(a)及び(b):
(a) 置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体の(2S)-又は(2R)-エナンチオマー、又は置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体の(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの非ラセミ性混合物;
(b) 溶媒
を含む反応混合液に照射して、(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体、又は(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体に光学的に濃縮された混合物を生成することを含み、
ここで、(2S)-又は(2R)エナンチオマーの対掌体に光学的に濃縮された当該混合物は、置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体の(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの非ラセミ性混合物のエナンチオマー過剰率の90%未満であるエナンチオマー過剰率を有することを特徴とし;ここで、
置換2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸又はその誘導体は、以下の式I”、I’、I、又はII:
【化1】

[式中、
式I”について:
Xは、O、S、及びNRaから選ばれ;
ここで、Raは、ヒドリド、C1-C3-アルキル、(場合により置換されたフェニル)-C1-C3-アルキル、アシル、及びカルボキシ-C1-C6-アルキルから選ばれ;
Rは、カルボキシル、アミノカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニルアミノカルボニル、及びC1-C6-アルコキシカルボニルから選ばれ;
R”は、ヒドリド、フェニル、チエニル、C1-C6-アルキル、及びC2-C6-アルケニルから選ばれ;
1は、C1-C3-ペルフルオロアルキル、クロロ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルコキシ、ニトロ、シアノ、及びシアノ-C1-C3-アルキルから選ばれ;
2は、ヒドリド、ハロ、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、ハロ-C2-C6-アルキニル、アリール-C1-C3-アルキル、アリール-C2-C6-アルキニル、アリール-C2-C6-アルケニル、C1-C6-アルコキシ、メチレンジオキシ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルスルフィニル、アリールオキシ、アリールチオ、アリールスルフィニル、ヘテロアリールオキシ、C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル、アリール-C1-C6-アルキルオキシ、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルオキシ、アリール-C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-ハロアルキルチオ、C1-C6-ハロアルキルスルフィニル、C1-C6-ハロアルキルスルホニル、C1-C3-(ハロアルキル-C1-C3-ヒドロキシアルキル、C1-C6-ヒドロキシアルキル、ヒドロキシイミノ-C1-C6-アルキル、C1-C6-アルキルアミノ、アリールアミノ、アリール-C1-C6-アルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルアミノ、ニトロ、シアノ、アミノ、アミノスルホニル、C1-C6-アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、ヘテロアリールアミノスルホニル、アリール-C1-C6-アルキルアミノスルホニル、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクリルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホニル、アリール-C1-C6-アルキルスルホニル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、アリール-C1-C6-アルキルカルボニル、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、ホルミル、C1-C6-ハロアルキルカルボニル、及びC1-C6-アルキルカルボニルから独立して選ばれる1以上のラジカルであり;そして
環Aの原子、A1、A2、A3、及びA4は、独立して炭素及び窒素から選ばれ、但しA1、A2、A3、及びA4のうちの少なくとも2個は炭素であり:
又は環Aと一緒になってR2は、ナフチル、キノリル、イソキノリル、キノリジニル、キノキサリニル、及びジベンゾフリルから選ばれるラジカルを形成する;
式I’について:
Xは、O、S、及びNRaから選ばれ;
ここでRaは、ヒドリド、C1-C3-アルキル、(場合により置換されたフェニル)-C1-C3-アルキル、アルキルスルホニル、フェニルスルホニル、ベンジルスルホニル、アシル、及びカルボキシ-C1-C6-アルキルから選ばれ;
Rは、カルボキシル、アミノカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニルアミノカルボニル、及びC1-C6-アルコキシカルボニルから選ばれ;
R”は、ヒドリド、フェニル、チエニル、C2-C6-アルキニル、及びC2-C6-アルケニルから選ばれ;
1は、C1-C3-ペルフルオロアルキル、クロロ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルコキシ、ニトロ、シアノ、及びシアノ-C1-C3-アルキルから選ばれ;
2は、ヒドリド、ハロ、C1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、C2-C6-アルキニル、ハロ-C2-C6-アルキニル、アリール-C1-C3-アルキル、アリール-C2-C6-アルキニル、アリール-C2-C6-アルケニル、C1-C6-アルコキシ、メチレンジオキシ、C1-C6-アルキルチオ、C1-C6-アルキルスルフィニル、-O(CF2)2O-、アリールオキシ、アリールチオ、アリールスルフィニル、ヘテロアリールオキシ、C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル、アリール-C1-C6-アルキルオキシ、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルオキシ、アリール-C1-C6-アルコキシ-C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-ハロアルキルチオ、C1-C6-ハロアルキルスルフィニル、C1-C6-ハロアルキルスルホニル、C1-C3-(ハロアルキル-C1-C3-ヒドロキシアルキル、C1-C6-ヒドロキシアルキル、ヒドロキシイミノ-C1-C6-アルキル、C1-C6-アルキルアミノ、アリールアミノ、アリール-C1-C6-アルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルアミノ、ニトロ、シアノ、アミノ、アミノスルホニル、C1-C6-アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、ヘテロアリールアミノスルホニル、アリール-C1-C6-アルキルアミノスルホニル、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルアミノスルホニル、ヘテロシクリルスルホニル、C1-C6-アルキルスルホニル、アリール-C1-C6-アルキルスルホニル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、アリール-C1-C6-アルキルカルボニル、ヘテロアリール-C1-C6-アルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、ホルミル、C1-C6-ハロアルキルカルボニル、及びC1-C6-アルキルカルボニルから独立して選ばれる1以上のラジカルであり;そして
環Aの環原子A1、A2、A3、及びA4は、独立して、炭素及び窒素から選ばれ、但し少なくとも2個のA1、A2、A3、及びA4は炭素原子であり;
又は環Aと一緒になってR2は、ナフチル、キノリル、イソキノリル、キノリジニル、キノキサリニル、及びジベンゾフリルから選ばれる;
式Iについて:
Xは、O、S、又はNRaから選ばれ;
aは、アルキルであり;
Rは、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボニル、及びアルコキシカルボニルから選ばれ;
1は、ハロアルキル、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、及びアリールであって、アルキルチオ、ニトロ、及びアルキルスルホニルから選ばれる1以上のラジカルで場合により置換されるものから選ばれ;
2は、ヒドリド、ハロ、アルキル、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールアルキルアミノ、ニトロ、アミノ、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、ヘテロアリールアミノスルホニル、アラルキルアミノスルホニル、ヘテロアラルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、アルキルスルホニル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アリールカルボニル、アミノカルボニル、及びアルキルカルボニルから選ばれる1以上のラジカルであり;又は
環Aと一緒になって、R2はナフチルラジカルを形成する;
式IIについて:
Xは、O、S、及びNHから選ばれ;
6はH又はアルキルであり;そして
7、R8、R9、及びR10は、独立して、H、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキル、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルキルヘテロアリール、アルキルスルホニルアルキル、アルキルチオ、アルキニル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アリールアルケニル、アリールアルコキシ、アリールアルキル、アリールアルキルアミノ、アリールアルキニル、アリールカルボニル、アリールオキシ、シアノ、ジアルキルアミノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテロアリールカルボニル、ヒドロキシ、及びヒドロキシアルキルから選ばれ;ここでアリールが出てきた場合は常に、各アリールは、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、及びニトロからなる群から選ばれる1〜5個の置換基で独立して置換される]
で表される化合物、又は医薬として許容されるその塩である、前記方法。
【請求項2】
前記成分(a)が、式I”、I’、I、又はIIの化合物[式中、XはOである]の(2S)-又は(2R)-エナンチオマー、或いはその非ラセミ性混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成分(a)が式IIの化合物[式中、XはOであり、R6がHである]の(2S)-又は(2R)-エナンチオマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記成分(a)が(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸であるか、又は成分(a)が、(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である主要成分及び対掌体(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である副成分を有する非ラセミ性混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記成分(a)が、以下の:
(R)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;又は
(R)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸であるか;或いは
当該成分(a)が、以下の:
(R)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(R)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;又は
(R)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である主要成分;及び以下の対掌体:
(S)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;
(S)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸;又は
(S)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸である副成分をそれぞれ有する非ラセミ性混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応混合物が、(2S)-又は(2R)-エナンチオマーの対掌体のエナンチオ選択性分画結晶化のための方法をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記成分(a)が以下の:
(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(+)-シンコニン塩;又は
(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸D-フェニルアラニノール塩であるか;或いは
当該成分(a)が、以下の:
(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(+)-シンコニン塩;又は
(R)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸D-フェニルアラニノール塩である主要成分;及び以下の対掌体:
(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸 (+)-シンコニン塩;又は
(S)-6-クロロ-7-tert-ブチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸 D-フェニルアラニノール塩である副成分をそれぞれ有する非ラセミ性混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記成分(a)が以下の:
(R)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸 (R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩;
(R)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸 (-)-シンコニン塩;
(R)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩;又は
(R)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩であるか;或いは
当該成分(a)が、以下の:
(R)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩;
(R)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、(-)-シンコニン塩;
(R)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸,(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩;又は
(R)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸,(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩である主要成分;及び以下の対掌体:
(S)-6-クロロ-8-メチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸、(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩;
(S)-6-クロロ-5,7-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸,(-)-シンコニン塩;
(S)-6,8-ジメチル-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸,(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩;又は
(S)-8-エチル-6-トリフルオロメトキシ-2-トリフルオロメチル-2H-クロメン-3-カルボン酸,(R)-(+)-N-ベンジル-α-メチルベンジルアミン塩である副成分をそれぞれ有する非ラセミ性混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒が、エナンチオ選択性マルチカラムクロマトグラフィー溶出流からの移動相である、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2008−507501(P2008−507501A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522061(P2007−522061)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002193
【国際公開番号】WO2006/011045
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】