説明

2−ピロン−4,6−ジヘキシルアミドのδ−バレロラクトン誘導体及びその製造法

【課題】2−ピロン−4,6−ジカルボン酸から誘導されるδ-バレロラクトン誘導体、及びその製造法を提供する。
【解決手段】下記式(I):


[式中、Rは、H原子、又は炭素数1〜24の直鎖状、分岐鎖もしくは環状のアルキル基を示す。]
で表わされる化合物;及びその製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸のδ−バレロラクトン誘導体及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、植物由来の原料や微生物による代謝を介して得られる植物由来のポリマーが注目されている。なぜなら、これらのポリマーは、石油を原料としない環境循環型の素材であり、植物に固定された二酸化炭素を大気中に戻すことになるという意味で、焼却しても大気中の二酸化炭素を増加させない。また、焼却せずに埋立て処分しても、土壌中の微生物により分解されるため、環境破壊を招く虞がない。かかる植物由来のポリマーとして、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸等が挙げられ、将来性のある生物分解性である環境循環型の素材として、各種成形品への用途開発が進められている。しかしながら、かかる植物由来のポリマーは、澱粉等を含む穀物である植物を原料とする場合には、供給において植物と競合するという問題がある。これは、人類に対する食料の安定供給の観点から問題である。
【0003】
ところで、植物由来の芳香族高分子化合物であるリグニンは、植物細胞壁に普遍的に含まれているバイオマス資源であるが、その化学構造が多様な成分で構成されていることや複雑な高分子構造であるため、未だ有効な利用技術が開発されていない。そのため、例えば、製紙産業において大量に副生するリグニンは有効利用されずに、重油の代替燃料として焼却処分されている。
【0004】
近年、リグニン等の植物由来芳香族成分が、加水分解、酸化分解、可溶媒分解等の化学的分解法、又は超臨界水や超臨界有機溶媒による物理化学的分解法により、数種の低分子化合物の混合物に変換されて単一の化合物である2−ピロン−4,6−ジカルボン酸を製造する方法が開発されてきた。例えば、特許文献1には、リグニンを含む植物原料を低分子化技術により得たバニリン、シリンガアルデヒド、バニリン酸、シリンガ酸、プロトカテク酸等を含む低分子混合物から多段階の酵素反応を介して単一の化合物である2−ピロン−4,6−ジカルボン酸を発酵生産技術により製造する方法が開示されている。
【0005】
このようにして得られた単一の化合物である2−ピロン−4,6−ジカルボン酸を、生物分解性のプラスチックや各種化学製品の原料として使用することができれば、供給において、食物と競合しない、リグニン含有植物原料(バイオマス)を有効利用することができることになる。しかしながら、リグニン含有バイオマスに由来する2−ピロン−4,6−ジカルボン酸の利用方法はほとんど知られていない。
【0006】
特許文献2には、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸ジエステルから、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸を繰り返し単位とするポリエステルを製造する方法が報告されている。このポリエステルは、ポリマーの加熱、冷却により、溶媒に難溶性となり、最終的にまったく溶解しなくなることから、成形性に難点がある。一般的には、主鎖中のエステルがエステル交換反応する傾向にあるが、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸ジエステルの場合、ピラン環が開環してピラン環のエステル部がエステル交換反応に加わるために、2つのエステル交換反応が同時に進行してマトリクス構造が形成され、溶媒に不溶性になると考えられる。そこで、新規な2−ピロン−4,6−ジカルボン酸誘導体が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−278549号公報
【0008】
【特許文献2】国際公開第99/54376号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸から誘導されるδ-バレロラクトン誘導体、及びその製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、斯かる現状に鑑み鋭意検討した結果、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸から容易に得られる2−ピロン−4,6−ジカルボキサミド誘導体を水素添加処理することによってδ−バレロラクトン誘導体を実際に製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、(1)本発明は、下記式(I):
【0012】
【化1】

【0013】
[式中、Rは、H原子、又は炭素数1〜24の直鎖状、分岐鎖もしくは環状のアルキル基を示す。]
で表わされる化合物を提供する。
(2)本発明は、前記Rが、炭素数1〜24の直鎖状のアルキル基である、(1)記載の化合物を提供する。
(3)本発明は、下記式(I):
【0014】
【化2】

【0015】
[式中、Rは、H原子、又は炭素数1〜24の直鎖状、分岐鎖もしくは環状のアルキル基を示す。]
で表わされる化合物を水素添加処理することを特徴とする、下記式(I):
【0016】
【化3】

【0017】
[式中、Rは前記定義のとおりである。]
で表わされる化合物の製造法を提供する。
(4)本発明は、触媒の存在下に水素ガスを接触させることを特徴とする、(3)記載の製造法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸から、δ-バレロラクトン誘導体を容易かつ収率良く製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の新規なδ-バレロラクトン誘導体は、前記式(I)で表される化合物である。式(I)におけるRは、水素原子、あるいは炭素数1〜24の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を意味する。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基等を挙げることができる。Rとしては、炭素数1〜24の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10の直鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基が特に好ましい。
【0020】
本発明のδ-バレロラクトン誘導体(I)は、式(II)で表わされる2−ピロン−4,6−ジカルボキサミド誘導体を、水素添加処理することによって製造できる。
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、Rは、H原子、又は炭素数1〜24の直鎖状、分岐鎖もしくは環状のアルキル基を示す。)
【0023】
水素添加処理のための水素源としては、水素ガス;水素化ホウ素ナトリウム;シリルヒドリド;シクロヘキサジエン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等の炭素水素類を使用することができる。また、操作が比較的安全であり、かつ逐次的な添加が可能なことから、ギ酸又はその塩を使用することもできる。ギ酸又はその塩としては、例えば、ギ酸アンモニウム塩、ギ酸アルカリ金属塩等が挙げられる。ギ酸アルカリ金属塩としては、例えば、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム等が挙げられる。水素源の使用量は、化合物(II)に対して通常1モル倍以上であり、その上限は特にない。
【0024】
水素源として水素ガスを使用する場合には水素化触媒を添加する。水素化触媒としては、例えば、パラジウム触媒、ニッケル触媒、白金触媒、ルテニウム触媒、レニウム触媒、銅触媒、ロジウム触媒又はこれらの混合触媒等が挙げられ、これらの中でも反応性及び経済性の点から、パラジウム触媒、ニッケル触媒、白金触媒又はルテニウム触媒が好ましい。パラジウム触媒としては、例えば、パラジウムカーボン、パラジウムアルミナ、パラジウムシリカ、パラジウムシリカアルミナ、ゼオライト担持パラジウム等が挙げられる。パラジウム触媒は、乾燥品又は含水品のいずれも使用できるが、工業製法上の安全性の点から、含水品を用いるのが望ましい。ニッケル触媒としては、例えば、ニッケル珪藻土、スポンジニッケル、ニッケルアルミナ、ニッケルシリカ、ニッケルカーボン等が挙げられる。白金触媒としては、例えば、白金シリカ、白金シリカアルミナ、ゼオライト担持白金等が挙げられる。ルテニウム触媒としては、例えば、ルテニウムカーボン、ルテニウムアルミナ、ルテニウムシリカ、ルテニウムシリカアルミナ、ゼオライト担持ルテニウム等が挙げられる。かかる水素化触媒の使用量は、金属換算で、化合物(II)に対して、通常、0.01〜1重量倍である。
【0025】
水素化反応は、0℃〜室温の温度で数時間〜数日間程度行えばよい。水素源としてギ酸を用いる場合には基本的に反応溶媒を必要としないが、以下の反応溶媒を更に加えてもよい。反応触媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系触媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコール系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、ジメチルスルホキシド、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール等のジオール系溶媒;又はこれらの混合溶媒を使用することができる。溶媒の使用量は、化合物(II)に対し、通常1〜200重量倍の範囲が好ましい。
【0026】
前記式(II)で表わされる、新規な2−ピロン−4,6−ジカルボキサミド誘導体は、例えば、以下の製造法に従って製造できる。すなわち、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸(以下、「PDC」)又はそのハロゲン化物(以下、「PDCハライド」)(III)に、イソシアナート:R1−NCO、アンモニア、第1級アミン:R1−NH2、及び第2級アミン:R12−NH(R1及びR2は各々独立に、炭素数1〜24の直鎖状、分岐鎖もしくは環状のアルキル基を示す)から選ばれるアミド化剤を反応させる。
【0027】
【化5】

【0028】
(式中、Xは、H、又はF、Cl、Br又はI原子を示し;Rは、H原子、又は炭素数1〜24の直鎖状、分岐鎖もしくは環状のアルキル基を示す。)
【0029】
PDCは、例えば、特開2005−278549号公報に記載の発酵法により、バニリン、シリンガアルデヒド、バニリン酸、シリンガ酸もしくはプロトカテク酸のようなリグニン等の植物由来の低分子化合物、又はその混合物から容易に得られる。また、PDCハライド(III)としては、PDCの塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ素化物等が挙げられ、その中で、PDCの塩化物又はフッ化物が好ましく、例えば、国際公開第99/54384号パンフレットに記載の方法によって合成できる。
【0030】
式:R1−NCOで表わされるイソシアナートは、R1が、炭素数1〜24の直鎖状、分岐鎖もしくは環状のアルキル基を示すものであれば特に限定されない。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基等を挙げることができる。R1としては、炭素数1〜24の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10の直鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基が特に好ましい。このようなイソシアナートとしては、例えば、イソシアン酸エチル、イソシアン酸n−プロピル、イソシアン酸n−ブチル、イソシアン酸n−ペンチル、イソシアン酸n−ヘキシル、イソシアン酸n−ヘプチル等が挙げられる。
【0031】
PDC又はPDCハライド(III)とイソシアナートとの混合比は特に限定されないが、モル比で、約1:4〜約1:1が好ましい。
【0032】
第1級アミン:R1−NH2、及び第2級アミン:R12−NHは、(R1及びR2は各々独立に、炭素数1〜24の直鎖状、分岐鎖もしくは環状のアルキル基を示すものであれば特に限定されない。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基等を挙げることができる。R1としては、炭素数1〜24の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10の直鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基が特に好ましい。このような第1級アミンとしては、具体的には、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、アニリン、ベンジルアミン、フェニチルアミン、トルイジン等が挙げられる。また、モノエタノールアミン等の置換アミン類でもよい。また、第2級アミンとしては、具体的には、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン等が挙げられる。
【0033】
PDC又はPDCハライド(III)と、アンモニア又は第1級アミンもしくは第2級アミンとの混合比は特に限定されないが、モル比で、約1:4〜約1:1が好ましい。
【0034】
反応触媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、シクロヘキサノン等の脂環式炭化水素系溶媒;酢酸エステル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。溶媒は、100重量部のPDC又はPDCハライド(III)に対して、通常20〜1,000重量部の量で用いられる。反応は、通常、室温〜溶媒の沸点温度で、約1時間〜約24時間行えばよい。
【0035】
反応は、通常、0℃〜溶媒の沸点温度で、約1時間〜約24時間行えばよい。アミド化剤としてイソシアナートを用いる場合には、通常、約40℃〜溶媒の沸点温度に加熱して行う。アミド化剤としてアンモニアやアミンを用いる場合には、通常、0℃〜室温の反応温度で反応が進行するが、必要に応じて加熱してもよい。
【0036】
2−ピロン−4,6−ジカルボキサミド誘導体(II)の製造においては、必要に応じて少量の触媒を添加してもよい。触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N−メチルモルホリンの第3級アミン類;ジメチルアミンなどの第2級アミン類;N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類;ナトリウムフェノラートなどのアルカリ金属フェノラート;水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;ナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;酢酸カリウムなどのカルボン酸のアルカリ金属塩;トリエチルホスフィンなどのホスフィン類;カリウム−サリチルアルデヒドなどの金属キレート化合物;スタナスアセテート、スタナスオクトエート(スタナス2−エチルヘキソエート)等の有機スズ(II)化合物;ジブチルチンオキシド、ジブチルチンジクロライドなどの有機スズ(IV)化合物を挙げることができる。触媒は、反応混合物中で、好ましくは約0.001〜1重量%、好ましくは約0.001〜0.1重量%使用すればよい。
【0037】
このようにして得られた本発明の式(I)で表わされるδ-バレロラクトン誘導体は、通常の有機化合物の単離・精製に用いられる方法により単離・精製することができる。例えば、反応混合物を濃縮、冷却し、再結晶により精製することができる。また、反応液をそのまま濃縮し、得られる粗生成物を必要に応じて蒸留、クロマトグラフィーなどの手段により精製することができる。
【0038】
本発明のδ-バレロラクトン誘導体は、例えば、所定の反応によってラクトン環を開いた後、エレクトロニクス関連におけるレジスト素材原料、生分解性の繊維やプラスチックの材料として有用なポリマーの合成原料などとして使用できる。
【実施例】
【0039】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0040】
参考例1:N4,N6−ジヘキシル−2−ピロン−4,6−ジカルボキサミドの合成
【0041】
【化6】

【0042】
2−ピロン−4,6−ジカルボン酸(PDC)(4.3g,23.4 mmol)を入れた50 mlナスフラスコにテトラヒドロフラン(20 ml)を加え、よく攪拌し、PDCを溶解させた。更に攪拌を続けながら、ここに、イソシアンn−ヘキシル(6 ml)を徐々に添加した。2−エチルヘキサンスズを触媒量添加し、更によく攪拌した。その後、オイルバスにナスフラスコを入れ、60℃にて12時間反応させた。黄色の固溶体になった反応液に水を少量添加し、反応を終了させた。反応液をヘキサン(100 ml)が入った300 mlのナスフラスコに入れてよく攪拌し、ヘキサンを除去した。この操作を2回行った後、クロロホルム(100 ml)に溶解させ、200 ml分液ロートを用いて水50 mlとよく攪拌し、水相を除去した。この操作を3回行った後、エバポレータにて白色析出物が僅かに出現するまで濃縮した。その後、1日静置し、白色析出物をろ過にて回収し、真空下60℃にて乾燥させ、標題化合物を得た(2.3g、収率22%)。
【0043】
1H-NMR(300 MHz,acetone-d6)δ(ppm):0.89(t,6H),1.31〜1.39(m,12H),1.63(m,4H),3.40(m,4H),6.97(s,1.45H),7.34(s,1.59H),8.19(s,1.2H)。 13C-NMR(acetone-d6)δ(ppm):14.6,23.7,27.7,30.5,32.7,34.7,105.5,121.4,145.7,154.7,159.2,160.8,164.8。
FT-IR(ν(cm-1)):1552(アミド),1664(アミド),1748(>CO),2926(−CH2−アルカン),3359(−NH−)。
融点:180℃(DSC,10℃/分の降温速度におけるピーク温度)。
熱分解開始温度:235℃。
【0044】
製造例1:N2,N4−ジヘキシル−6−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−ジカルボキサミドの合成
【0045】
【化7】

【0046】
50mlナスフラスコに、参考例1で製造したN4,N6−ジヘキシル−2−ピロン−4,6−ジカルボキサミド(1.0 g,2.9 mmol)及びメタノール(20 ml)を入れ、脱気と窒素導入を3回繰り返し、系内を窒素置換した。ここに、10 wt% Pd/C(0.48. g)を添加した後、再び脱気と窒素導入を3回繰り返した。系内を減圧後、水素ガスを導入し、激しく攪拌させて水素添加反応を開始した。薄層クロマトグラフィー(TLC)により原料の濃度低下を確認し、1日反応させた。反応物をろ過し、Pd/Cを除去し、ろ液中のメタノールをエバポレータで除去し、標題化合物(0.78g)を粗収率77.6%で得た。
【0047】
1H-NMR(400 MHz,CDCl3)δ(ppm):0.82-0.89(m,6H),1.21〜1.38(m,12H),1.44-1.57(m,4H),2.29-2.60(m,1H),2.65-2.85(m,3H),2.86-2.98(m,1H),3.19-3.39(m,4H),4.90-4.98(m,1H),8.98(2H)。
13C-NMR(CDCl3)δ(ppm):13.8,22.3,26.3,29.0,30.7,34.0,36.1,39.5,61.1,75.6,168.6,174.7,177.6。
GC-MS:m/z = 185,171,157,143,125。
FT-IR(ν,cm-1):2961(-CH),2868(-CH2),1751(C=0),1731(C=0),1444(-CH),1072(C-0)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】

[式中、Rは、H原子、又は炭素数1〜24の直鎖状、分岐鎖もしくは環状のアルキル基を示す。]
で表わされる化合物。
【請求項2】
前記Rが、炭素数1〜24の直鎖状のアルキル基である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
下記式(I):
【化2】

[式中、Rは、H原子、又は炭素数1〜24の直鎖状、分岐鎖もしくは環状のアルキル基を示す。]
で表わされる化合物を水素添加処理することを特徴とする、下記式(I):
【化3】

[式中、Rは前記定義のとおりである。]
で表わされる化合物の製造法。
【請求項4】
触媒の存在下に水素ガスを接触させることを特徴とする、請求項3記載の製造法。

【公開番号】特開2011−241168(P2011−241168A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114081(P2010−114081)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【出願人】(304021288)国立大学法人長岡技術科学大学 (458)
【出願人】(501186173)独立行政法人森林総合研究所 (91)
【Fターム(参考)】