説明

2−(第一級/第二級アミノ)ヒドロカルビル)−カルバモイル−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸誘導体の調製方法

式(I)[式中、LINKERは、式(V):[G1−G2−G3]で示されるリンカー部分表し、ここで、A及びBは、式(I)において式(V)で示される基の配向を示し;G1、G2及びG3は、本明細書に記載する特定の意味を有し、存在しても不在であってもよいが、G1又はG3の少なくとも一方が存在することを条件とし;そのリンカー基は、さらに、場合により一つ又は複数の式(VI)で示される基;及び/又は他の置換基を有してもよく;そしてR1は、水素又はC−C−アルキル基を表し;R2は、水素又はC−C−アルキル基を表し;R3は、その都度独立して水素又はC−C−アルキル基を表し;xは、0又は1であり;yは、0又は1であり;zは、その都度独立して、0又は1であり;(−−)は、部分LINKERの第一級、第二級又は第三級炭素原子と隣接窒素原子の間の単結合を表す]で示される化合物の製造方法であって、その方法では、(A)式(II)で示される化合物と、式(III)[式中、Prは、t−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)、1−メチル−1−(4−ビフェニリル)エチルオキシカルボニル(Bpoc)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルオキシカルボニル(Adpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルオキシカルボニル(t−Bumeoc)、1−アダマンチルオキシカルボニル(Adoc)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル(Moz)、及びo,p−ジメトキシベンジルオキシカルボニルより選択されるアミノ保護基を表し、LINKERは、式(I)と同じ意味を有するが、式(VII)で示される一つ又は複数の随意の基を式(VII)で示される基に置き換えてもよいことを例外とし;R1;R2;R3;x;y;z及び(−−)は、その都度式(I)と同じ意味を有し、Prは上記と同義である]で示される化合物を双極性非プロトン性溶媒中で塩基の存在下で反応させて、式(IV)[式中、Pr;LINKER;R1;R2;R3;x;y;z及び(−−)は、その都度、式(III)と同じ意味を有する]で示される化合物を得て、次に、(B)ギ酸又はギ酸若しくは酢酸と塩酸若しくは臭化水素酸との混合物を用いた反応によりその化合物を脱保護し、式(I)で示される化合物及び前記式(IV)で示される化合物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I):
【化1】


[式中、
LINKERは、式
【化2】


で示されるリンカー部分を表すが、
ここで、
及びは、式(I)において式(V)で示される基の配向を示し;
G1、G2又はG3は、存在しても不在であってもよいが、G1又はG3の少なくとも一方が存在することを条件とし;そして
G1は、xが1であり、yが1であり、G2及びG3が共に不在の場合に、又はxが1であり、G2及び/若しくはG3が存在する場合に、C−C14アリーレン;飽和若しくは非芳香族不飽和C−Cシクロアルキレン;又はN、O及びSより選択される一つ若しくは複数のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環ジイル基を表す(これらの基は置換されていなくても置換されていてもよい)か、或いは
xが0であり、yが1であり、G2及びG3が共に不在の場合に、又はxが0であり、G2及び/若しくはG3が存在する場合に、基
【化3】


と一緒になって、N、O及びSより選択される一つ又は複数のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成するか;或いは
xが0であり、yが0であり、G2及びG3が共に不在の場合に、基
【化4】


と一緒になって、N、O及びSより選択される二つ以上のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成し;
G2は、−(C2n)−;−(NH)−;−(C=O)−;−(C=O)NH−;−HN(C=O)−;−HN(C=O)NH−;−(C2n)−[X−C2n−(C=O)NH−;−HN(C=O)−[C2n]−X]−(C2n)−;−(C2n)−[X−C2n−HN(C=O)−;−(O=C)NH−[C2n]−X]−(C2n−;−(C2n)−[X−C2n−HN(C=O)NH−、及び−HN(C=O)NH−−(C2n)−[X−C2n
(ここで、
は、式(V)においてで示されるG2の結合であり、
Xは、その都度独立して、−O−;−NH−;−(C=O)NH−;−NH(C=O)−;−(C=O)O−;−O(C=O)−;−NH(C=O)NH−;−NH(C=O)O−又は−O(C=O)NH−であり、
nは、その都度独立して、1、2、3又は4、特に2であり;そして
mは、0、1、2又は3、特に0又は1である)
より選択される基を表し;そして、
G3は、yが1であり、G1及び/又はG2が存在する場合に、C−C14アリーレン;飽和若しくは非芳香族不飽和C−Cシクロアルキレン;又はN、O及びSより選択される一つ若しくは複数のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環ジイル基を表す(これらの基は置換されていなくても置換されていてもよい)か、或いはyが0であり、xが1であり、G1及びG2が共に不在である場合に、又はyが0であり、G1及び/又はG2が存在する場合に、基
【化5】


と一緒になって、N、O及びSより選択される一つ又は複数のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成し、当該リンカー基は、さらに場合により式:
【化6】


で示される一つまたは複数の基及び/又は他の置換基を有してもよく;
R1は、水素又はC−C−アルキル基を表し;
R2は、水素又はC−C−アルキル基を表し;
R3は、その都度独立して、水素又はC−C−アルキル基を表し;
xは、0又は1であり;
yは、0又は1であり;
zは、その都度独立して、0又は1であり;そして
(−)は、部分LINKERの第一級、第二級又は第三級炭素原子と隣接窒素原子の間の単結合を表す]で示される化合物の製造方法に関する。
【0002】
式(I)で示される化合物及びそれらの製造は、当技術分野で公知であり、例えばWO2007/065288A2;J. Med. Chem. 1988, 3961又は国際公開公報第2008/039420号に記載されており、それらの内容は本出願に明白に組み入れられていると見なされる。
【0003】
J. Med. Chem. 1988, 3961-3971は、式(IV’)の化合物を与えるための式(II)で示される化合物と式(III’)で示されるベンジル−保護誘導体の反応を開示している(下記スキーム1参照)。次に、これらの化合物を、HCl存在下で50℃でPd/Cを用いて水素化することにより脱保護し、触媒を濾過により除去し、次に生成物を精製する。
【0004】
国際公開公報第2008/039420号は、式(IV’)の化合物を与えるための、式IIで示される化合物と式III’で示されるベンジルオキシカルボニル−保護誘導体の反応を開示している。次に、これらの化合物を、Pd/Cを用いて水素化することにより脱保護し、触媒を濾過により除去し、次に生成物を精製する。
【0005】
しかし、触媒としてPdを用いた脱保護には、特に製造工程の非常に遅い段階で適用された場合に、最終生成物から医薬品規制当局により要求される程度までPdを除去することが困難であるという不都合がある。したがって、多くの場合に、法的必要性を満たすようにAPIのPdレベルを十分に減少させるための入念で複雑な精製段階を実施することが必要である。
【0006】
【化7】

【0007】
種々の酸もまた、酸性条件である種のアミノ保護基を除去するために使用することができる。主にトリフルオロ酢酸及びHClがこのために採用される。式(I)で示される化合物に対応する通例の大規模製造方法は、(1S,5R)−7−オキソ−2,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸(II)から開始する合成を採用し、当該化合物と、式(A)で示される適切なスクシンイミジル誘導体を反応させる。式(A)で示される化合物のLINKERに結合した末端アミノ基は、反応の際にアミノ保護基で保護されていない(スキーム2)。
【0008】
【化8】

【0009】
化合物(IV)とTFA(トリフルオロ酢酸)または水性HClを反応させるような通常法を用いて作業する場合に、これらの酸を用いた脱保護が生成物(I)の相当な分解を招くことから、スキーム2にしたがって化合物(III”)と化合物(II)を反応させる前に化合物(III”)を脱保護する必要がある。したがって、式(I)で示される十分に純粋な反応生成物を確実に製造するためには、その生成物をそのままでさらなる加工に使用することはできず、予め精製しなければならない。この精製は、一般に大規模製造に不便なクロマトグラフィー法(例えば大量のシリカゲル及び大容量の溶媒の蒸発が必要である)を使用してのみ実施することができる。さらに、TFAは一般に有害と見なされ、その吸入及びその結果としての環境への放出は、危険なおそれがある。
【0010】
さらに、スキーム2のように保護されていない化合物Aを使用する必要性には、化合物(A)とそれ自体との副反応により起こる当該化合物の損失を埋め合わせるために化合物Aをかなり過剰に、通常は約40mol%以上多く使用しなければならないという不都合がある。必要とされる過剰の化合物Aは、製造コストを増加させ、得られた副生成物は、最終生成物に関する追加的な不純物源であり、除去しなければならない。
【0011】
同様の理由から、工業的な常法では式(II)で示される化合物を化合物(III’)と直接反応させること並びにTFA及びHClを用いて慣習的に反応生成物を脱保護することもまた不可能であり、その理由は、この脱保護が同様に最終生成物のかなり強い分解を招き、それにより生成物の入念で複雑な精製が同様に必要になるからであり、そのことは大規模製造に実際に適さない。
【0012】
特に大規模製造を考慮した、式(I)で示される化合物に関する従来技術の製造方法の別の重大な不都合は、アセトニトリルと水との混合物である溶媒系である。このような混合物における(1S,5R)−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸(II)の溶解度は低く、例えばWO2007/065288A2に使用された9:1(V/V)混合物中では10mg/mL未満であり、J. Med. Chem. 1988, 3961に使用されたような1:1(V/V)混合物中ではなお悪い。この溶解度の低さが、大容量の溶媒の必要を招き、それが、今度は許容されない大容量の装置の使用を必要とする。
【0013】
まとめると、式(I)で示される化合物を製造するために、当該化合物の大規模製造方法に従来法を適用することは困難である。しかし、これらの化合物は、潜在的な活性薬学的成分としてますます注目を集めていることから、式(I)で示される化合物の有効で経済的な製造方法が望まれる。
【0014】
今回、(1S,5R)−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]−ヘプタン−6−スルホン酸から出発した、式(I)で示される化合物の新規な二段階製造方法は、前述の欠点を含めた従来技術の方法の欠点を回避し、式(I)で示される化合物の大規模製造のために容易に利用できることが見出された。この新規な方法は、保護された(末端)アミノ基を穏やかに脱保護するために、特に、選択された酸と共に選択されたアミノ保護基を使用する。
【0015】
したがって、本発明は、式(I)
【化9】


[式中、
LINKERは、式
【化10】


で示されるリンカー部分を表し、
ここで、
及びは、式(I)において式(V)で示される基の配向を示し;
G1、G2又はG3は、存在しても不在であってもよいが、G1又はG3の少なくとも一方が存在することを条件とし;そして
G1は、xが1であり、yが1であり、G2及びG3が共に不在の場合に、又はxが1であり、G2及び/若しくはG3が存在する場合に、C−C14アリーレン;飽和若しくは非芳香族不飽和C−Cシクロアルキレン;又はN、O及びSより選択される一つ若しくは複数のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環ジイル基を表す(これらの基は置換されていなくても置換されていてもよい)か、或いは
xが0であり、yが1であり、G2及びG3が共に不在の場合に、又はxが0であり、G2及び/若しくはG3が存在する場合に、基
【化11】


と一緒になって、N、O及びSより選択される一つ又は複数のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成するか;或いは
xが0であり、yが0であり、G2及びG3が共に不在の場合に、基
【化12】


と一緒になって、N、O及びSより選択される二つ以上のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成し;
G2は、−(C2n)−;−(NH)−;−(C=O)−;−(C=O)NH−;−HN(C=O)−;−HN(C=O)NH−;−(C2n)−[X−C2n−(C=O)NH−;−HN(C=O)−[C2n]−X]−(C2n)−;−(C2n)−[X−C2n−HN(C=O)−;−(O=C)NH−[C2n]−X]−(C2n)−;−(C2n)−[X−C2n−HN(C=O)NH−、及び−HN(C=O)NH−−(C2n)−[X−C2n
(ここで、
は、式(V)においてで示されるG2の結合であり、
Xは、その都度独立して、−O−;−NH−;−(C=O)NH−;−NH(C=O)−;−(C=O)O−;−O(C=O)−;−NH(C=O)NH−;−NH(C=O)O−又は−O(C=O)NH−であり;
nは、その都度独立して、1、2、3又は4、特に2であり;そして、
mは、0、1、2又は3、特に0又は1である)
より選択される基を表し;そして、
G3は、yが1であり、G1及び/又はG2が存在する場合に、C−C14アリーレン;飽和若しくは非芳香族不飽和C−Cシクロアルキレン;又はN、O及びSより選択される一つ若しくは複数のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環ジイル基を表す(これらの基は置換されていなくても置換されていてもよい)か、或いはyが0であり、xが1であり、G1及びG2が共に不在である場合に、又はyが0であり、G1及び/若しくはG2が存在する場合に、基
【化13】


と一緒になって、N、O及びSより選択される一つ又は複数のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成し、当該リンカー基は、さらに、場合により式
【化14】


で示される一つ又は複数の基及び/又は他の置換基を有してもよく;
R1は、水素又はC−C−アルキル基を表し;
R2は、水素又はC−C−アルキル基を表し;
R3は、その都度独立して、水素又はC−C−アルキル基を表し;
xは、0又は1であり;
yは、0又は1であり;
zは、その都度独立して、0又は1であり;そして
(−)は、部分LINKERの第一級、第二級又は第三級炭素原子と隣接窒素原子の間の単結合を表す]で示される化合物を製造するための方法に関し、その方法では、
(A)式(II)
【化15】


で示される化合物と、式(III)
【化16】


[式中、
Prは、t−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)、1−メチル−1−(4−ビフェニリル)エチルオキシカルボニル(Bpoc)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルオキシカルボニル(Adpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルオキシカルボニル(t−Bumeoc)、1−アダマンチルオキシカルボニル(Adoc)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル(Moz)、及びo,p−ジメトキシベンジルオキシカルボニルより選択されるアミノ保護基を表し;
LINKERは、式(I)と同じ意味を有するが、式:
【化17】


で示される一つまたは複数の随意の基が、式:
【化18】


で示される基により置き換えられていてもよいことを例外とし;そして、
R1;R2;R3;x;y;z及び(−)は、その都度、式(I)と同じ意味を有し、Prは上記と同義である]で示される化合物を双極性非プロトン性溶媒中で塩基の存在下で反応させて式(IV)
【化19】


[式中、Pr;LINKER;R1;R2;R3;x;y;z;及び(−)は、その都度、式(III)と同じ意味を有する]で示される化合物を得て;
(B)次に、ギ酸またはギ酸若しくは酢酸と塩酸若しくは臭化水素酸との混合物を用いた反応により当該化合物を脱保護して、式(I)で示される化合物を得る。
【0016】
本出願のために、「LINKER」という用語は、一般に請求項1と同義の、原子の単一基から成る部分を含むと理解される。これは、x又はyの少なくとも一方が1の場合であり、その場合に部分LINKERが、(4−x−y)−価部分、すなわち2価(x及びyは1)部分又は3価(x及びyの一方が0)部分のいずれかを表す。しかし、x及びyが同時に0の場合に、LINKERは、コヒーレント4価部分を表しうるが、化学結合により一緒に連結していない二つの原子基の集合もまた表しうる。例として、式(I)における部分:
【化20】


が、基:
【化21】


を表す場合に、LINKERは、二つの独立したエチレン基1及び2の集合を定義し、両エチレン基は、基:
【化22】


の二つの窒素原子に連結することによりピペラジニル基を形成する。
【0017】
本出願のために、「第一級炭素原子」は、一つのさらなる炭素原子に連結する炭素原子であって、当該第一級炭素原子に連結している他の全ての原子が水素又は非炭素原子である炭素原子を意味する。同様に「第二級炭素原子」は、二つのさらなる炭素原子に連結する炭素原子を意味し、「第三級炭素原子」は、三つのさらなる炭素原子に連結する炭素原子を意味する。好ましくは、(−)は、部分LINKERの第一級又は第二級炭素原子と、隣接窒素原子との間の単結合を表す。
【0018】
好ましくは、
LINKERは、式
【化23】


で示されるリンカー部分を表し、
ここで、
及びは、式(I)において式(V)で示される基の配向を示し;
G1、G2又はG3は、存在しても不在であってもよいが、G1又はG3の少なくとも一方が存在することを条件とし;そして
G1は、xが1であり、yが1であり、G2及びG3が共に不在の場合に、又はxが1であり、G2及び/若しくはG3が存在する場合に、C−C14アリーレン;飽和若しくは非芳香族不飽和C−Cシクロアルキレン;又はN、O及びSより選択される一つ若しくは複数のヘテロ原子を有する5〜7個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環ジイル基を表す(これらの基は置換されていなくても置換されていてもよい)か、或いは
xが0であり、yが1であり、G2及びG3が共に不在の場合に、又はxが0であり、G2及び/若しくはG3が存在する場合に、基
【化24】


と一緒になって、N、O及びSより選択される一つ又は複数のヘテロ原子を有する5〜7個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成するか;或いは
xが0であり、yが0であり、G2及びG3が共に不在の場合に、基
【化25】


と一緒になって、N、O及びSより選択される二つ以上のヘテロ原子を有する5〜7個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成し;
G2は、−(C2n)−;−(NH)−;−(C=O)−;−(C=O)NH−;−HN(C=O)−;−HN(C=O)NH−;−(C2n)−[X−C2n−(C=O)NH−;−(C2n)−[X−C2n−HN(C=O)−、及び−(C2n)−[X−C2n−HN(C=O)−NH
(ここで、
は、式(V)においてで示されるG2の結合であり;
Xは、その都度独立して、−O−;−NH−;−(C=O)NH−;−NH(C=O)−;−(C=O)O−;−O(C=O)−;−NH(C=O)NH−;−NH(C=O)O−又は−O(C=O)NH−を表し;
nは、その都度独立して、1、2、3又は4、特に2であり;そして、
mは、0、1、2又は3、特に0又は1である)
より選択される基を表し;そして、
G3は、yが1であり、G1及び/又はG2が存在する場合に、C−C14アリーレン;飽和若しくは非芳香族不飽和C−Cシクロアルキレン;又はN、O及びSより選択される一つ若しくは複数のヘテロ原子を有する5〜7個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環ジイル基を表す(これらの基は置換されていなくても置換されていてもよい)か、或いは
yが0であり、xが1であり、G1及びG2が共に不在である場合に、又はyが0であり、G1及び/若しくはG2が存在する場合に、基
【化26】


と一緒になって、N、O及びSより選択される一つ又は複数のヘテロ原子を有する5〜7個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成し、当該リンカー基は、さらに、場合により式
【化27】


で示される一つ又は複数の基及び/又は他の置換基を有してもよい。
【0019】
本発明の方法は、特に、式(I)[式中、部分LINKERは、式:
【化28】


で示される随意の基を有さない]で示される化合物の製造に有用である。
【0020】
さらに、特にR2が水素の場合に、式(I)[式中、yは1である]で示される化合物が好ましい。式(I)におけるR1が水素を表すか、又はxが0の場合も同様に好ましい。
【0021】
部分LINKER又は基G1及び/若しくはG3の適切な置換基には、すでに言及した式:
【化29】


[式中、R3、z及びPrは、すでに言及した意味を有する]で示される基以外に、例えばC−Cアルキル、好ましくはC−Cアルキル;ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、好ましくはC−Cアルコキシ;ハロゲン、特にフルオロ、クロロ、及びブロモ;−(CHCN、−(CHN(R4);−(CHC(O)N(R4)、−(CHSON(R4)、−(CHCOR4、−(CHC(O)R4、−(CHOC(O)R4、−(CHNHC(O)R4、−(CHNHC(O)R4、−(CHNHSOR4、−(CHC(=NH)NH、−(CHC(=NH)Hなど(ここで、各uは、独立して0、1、2、3又は4であり、各R4は、独立して水素又はC−Cアルキルである)が含まれる。
【0022】
式(I)で示される化合物の好ましい態様には、
LINKERが式の部分を表し、G1及びxが0若しくは1であり、yが1であるか、又はx及びyが共に0であり;
G3及びyが0若しくは1であり;
[G2−G3]並びにx及びyがどれも1であるか;又は
[G1−G2−G3]及びx及びyが、相互に独立して0若しくは1であり;そして、
G1、G2及び/又はG3が、上に言及した意味の一つをもつか、或いは好ましくはG1が、Cアリーレン若しくは飽和C−Cシクロアルキレンを表すか、又は基
【化30】


と一緒になって、一つの窒素原子を有する5若しくは6個の環原子を含む複素環基を形成するか、又は基
【化31】


と一緒になって、二つの窒素原子を有する5若しくは6個の環原子を含む複素環基を形成し;かつ/又は
G2が、−CH−;−(C2n)−;−(C2n)−NH(C=O)NH−;及び−(C2n)−[X−C2n−HN(C=O)NH−
(ここで、
Xは、−O−又は−(NH)−であり、
nは2であり、そして、
mは0又は1である)
より選択される基を表し;かつ/又は
G3が、Cアリーレン若しくは飽和C−Cシクロアルキレンを表すか、又は基
【化32】


と一緒になって、一つの窒素原子を有する5若しくは6個の環原子を含む複素環基を形成するが、但し、G1及び/又はG3は、例えば上記のように置換されていなくても置換されていてもよい、対応する化合物が含まれる。
【0023】
本発明による方法を用いて製造されるべき化合物として特に好ましいのは、式(I)で示される化合物である[式(I)における部分:
【化33】


は、以下の群:
【化34】


より選択される]。
【0024】
式(II)で示される化合物、(1S,5R)−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸は、例えばJ. Med. Chem. 1988, 3961;EP508234A2;J. Org. Chem. 1982, 5160又はWO2007/065288A2に記載されたような公知の方法により、例えば(1S,5R)−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステルから出発して、ピリジン三酸化硫黄錯体(PySO)との反応に続く、TFAを用いた脱保護により調製することができる。
【0025】
【化35】

【0026】
式(III)で示される適切なスクシンイミジル誘導体は、例えば、以下のスキームに示すように、Tetrahedron 2001, 4311、Angew. Chem., Int. Ed. 2002, 1895又はJ. Carb. Chem. 2003, 317に記載された一般手順により、N,N’−ジスクシンイミジルカルボネート(VII)の存在下で、保護されたアミン(VI)におけるアミノ保護基Prを導入するために、予めアミノ保護剤と反応された市販のアミン又は合成されたアミンのいずれかから調製することができる:
【0027】
【化36】

【0028】
本発明による有用なアミノ保護基t−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)、1−メチル−1−(4−ビフェニリル)エチルオキシカルボニル(Bpoc)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルオキシカルボニル(Adpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルオキシカルボニル(t−Bumeoc)、1−アダマンチルオキシカルボニル(Adoc)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル(Moz)、及びo,p−ジメトキシベンジルオキシカルボニルは、酸に不安定である。t−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)は、アミノ保護基として好ましい。
【0029】
本発明のために、「双極性非プロトン性溶媒」は、不安定な水素原子を供与できない(所与の状況で非プロトン供与性の)相当な大きさの永久双極子モーメント及び約15を超える比誘電率(又は誘電定数)を有する溶媒を意味する(IUPAC Compendium of Chemical Terminology 2nd Ed. 1997)。双極性非プロトン性溶媒には、例えば、アセトン;メチルエチルケトン;アセトニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−ピロリジン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMA)、及び/又はヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)が含まれる。
【0030】
好ましくは、双極性非プロトン性溶媒は、式(II)で示される化合物、すなわち(1S,5R)−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸について、ある最小限の溶解度、好ましくは25℃で測定したとき少なくとも50mg/mL、さらに好ましくは少なくとも100mg/mLの溶解度を示す。例として、DMSOは、25℃で最大200mg/mLの(1S.5R)−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸を溶解することができる。
【0031】
本発明のために最も好ましい極性非プロトン性溶媒は、DMSO及びDMFである。
【0032】
反応段階Aで使用するために適した塩基には、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウムが含まれる。
【0033】
工程段階(A)を行うための反応温度は、あまり重大ではない。反応温度及び時間は、使用する特異的スクシンイミジル誘導体に応じて変動しうる。反応段階Aは、好ましくは周囲温度又は高温で、好ましくは例えば約15〜100℃で、さらに好ましくは20〜85℃で行われる。適切な反応時間は、好ましくは約2時間〜60時間、5〜25時間である。
【0034】
必要なわけではないが、工程段階(A)を加速するため及び収率を上げるために(1S,5R)−7−オキソ−2,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸との反応に非保護スクシンイミジル誘導体を使用する場合に、実際は化学量論的にやや過剰の、例えば5〜10mol%過剰の式(III)で示される化合物を使用することが場合によっては有利でありうる。従来技術による非保護スクシンイミジル誘導体で見られるように、式(II)で示される化合物とそれ自体との重大な反応は、式(III)で示される化合物では起こらないことにより、過剰であることは、当該工程段階の主生成物の純度に有害ではない。
【0035】
工程段階(A)で得られる式(IV)で示される化合物は、好ましくは適切や溶媒、例えば酢酸エチル又はアセトンで洗浄され、濾過により単離される。
【0036】
次に、式(IV)で示される化合物を、周囲温度で、又は好ましくはやや低温で、ギ酸に溶解する。適切な温度範囲は、約5〜30℃、好ましくは10〜15℃である。ギ酸と塩酸、ギ酸と臭化水素酸、酢酸と塩酸、又は酢酸と臭化水素酸の混合物もまた使用することができる。混合比は、特に重要ではなく、広く変動しうる。
【0037】
好ましくはその溶液をある時間、例えば15分間〜5時間、さらに好ましくは30〜120分間、アミン保護基を完全に除去するための温度で放置した後で、好ましくは有機溶媒を用いて式(I)で示される化合物を酸溶液から沈殿させることにより式(I)で示される化合物を単離する。適切な溶媒は、式(I)で示される特定の化合物に応じて選択される。式(I)で示される多数の化合物に特に適する溶媒には、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル及びそのような溶媒の混合物が含まれる。得られた沈殿は非晶質状態であるが、本発明の方法で得られた式(I)で示される化合物は、優れた純度を示す。
【0038】
本発明は、さらに、本発明の方法における中間体である式(IV)
【化37】


[式中、Pr;LINKER;R1;R2;x、y、(−)、並びに式
【化38】


で示される基が存在するならばR3及びzは、上記の意味の一つを有する]で示される化合物に関するが、国際公開公報第2007/065288号からすでに公知の、異なる文脈の式:
【化39】


で示される化合物は例外とする。
【0039】
特に好ましいのは、部分LINKERが式:
【化40】


の随意の基を有さない前述の化合物である。
【0040】
さらに特に好ましいのは、部分:
【化41】


が、以下の群:
【化42】


より選択される、式(IV)で示される化合物である。
【0041】
同様に好ましいのは、Prがt−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)である、式(IV)で示される化合物である。
【0042】
実施例1:
(a)(1S,5R)−2−[N−(4−{[(2−[((tert−ブトキシ)カルボニルアミノ]エチル)アミノ]−カルボニルアミノ}フェニル)カルバモイル]−7−オキソ−2,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸の調製
【0043】
【化43】

【0044】
(1S,5R)−7−オキソ−2,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸(1g、5.2mmol)を含有するジメチルスルホキシド(13mL)の溶液に、室温で炭酸水素ナトリウム(0.437g、5.2mmol)、次に({2−[(tert−ブトキシ)カルボニルアミノ]エチル}アミノ)−N−{4−[(2,5−ジオキソアゾリジニルオキシ)カルボニルアミノ]−フェニル}カルボキサミド(国際公開公報第2007/065288号)(2.266g、5.2mmol)を加える。結果として得られた混合物を室温で24時間撹拌する。炭酸水素ナトリウム(0.044g、0.52mmol)を加え、その混合物を更に1時間室温で撹拌する。不溶性物質を濾過して除き、濾液を減圧下で濃縮乾固する。油性残渣を酢酸エチル(100mL)中で室温で1時間摩砕する。薄灰色の沈殿を濾過し、収集された物質を酢酸エチル(3×20mL)で洗う。その固体を高真空下で乾燥させ、予想された化合物2.56gを回収する。
【0045】
【表1】

【0046】
表1におけるさらなる実施例の調製のためにこの手順を採用する。反応温度及び時間も表1に表示する。
【0047】
【表2】

【0048】
上述の実施例の全てでは、溶媒としてDMSOをDMFで代用してもよい。
【0049】
実施例2:
(a)(1S,5R)−2−[N−(4−{[(2−アミノエチル)アミノ]カルボニルアミノ}フェニル)カルバモイル]−7−オキソ−2,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸の調製
【0050】
【化44】

【0051】
(1S,5R)−2−[N−(4−{[(2−[((tert−ブトキシ)カルボニルアミノ]エチル)アミノ]カルボニルアミノ}フェニル)カルバモイル]−7−オキソ−2,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−スルホン酸(2g、3.9mmol)をギ酸(10mL)に溶解し、その薄赤色溶液を10〜15℃で1時間撹拌する。次に、アセトン(100mL)を加える。結果として得られた沈殿を濾過により収集し、アセトン(3×25mL)で洗浄し、所望の化合物1.3gを非晶質物質として得る。1H NMR(d6-DMSO)のデータは、WO2007/065288A2における化合物324(その実施例43参照)について開示されたものに対応する。
【0052】
この手順を、表2に記載した実施例にも採用する。
【0053】
【表3】

【0054】
式(I)で示される化合物を沈殿させるために、アセトン又はアセトン/酢酸エチル(1:1)以外の溶媒、例えばアセトニトリル並びにそれとアセトン及び/又は酢酸エチルとの混合物もまた使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化45】


[式中、
LINKERは、式
【化46】


で示されるリンカー部分表し、
ここで、
及びは、式(I)において式(V)で示される基の配向を示し;
G1、G2又はG3は、存在しても不在であってもよいが、G1又はG3の少なくとも一方が存在することを条件とし;そして
G1は、xが1であり、yが1であり、G2及びG3が共に不在の場合に、又はxが1であり、G2及び/若しくはG3が存在する場合に、C−C14アリーレン;飽和若しくは非芳香族不飽和C−Cシクロアルキレン;又はN、O及びSより選択される一つ若しくは複数のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環ジイル基を表す(これらの基は置換されていなくても置換されていてもよい)か、或いは
xが0であり、yが1であり、G2及びG3が共に不在の場合に、又はxが0であり、G2及び/若しくはG3が存在する場合に、基
【化47】


と一緒になって、N、O及びSより選択される一つ又は複数のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成するか;或いは
xが0であり、yが0であり、G2及びG3が共に不在の場合に、基
【化48】


と一緒になって、N、O及びSより選択される二つ以上のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成し;
G2は、−(C2n)−;−(NH)−;−(C=O)−;−(C=O)NH−;−HN(C=O)−;−HN(C=O)NH−;−(C2n)−[X−C2n−(C=O)NH−;−HN(C=O)−[C2n]−X]−(C2n)−;−(C2n)−[X−C2n−HN(C=O)−;−(O=C)NH−[C2n]−X]−(C2n)−;−(C2n)−[X−C2n−HN(C=O)−NH−、及び−HN(C=O)NH−−(C2n)−[X−C2n
(ここで、
は、式(V)においてで示されるG2の結合を示し;
Xは、その都度独立して、−O−;−NH−;−(C=O)NH−;−NH(C=O)−;−(C=O)O−;−O(C=O)−;−NH(C=O)NH−;−NH(C=O)O−又は−O(C=O)NH−を表し、
nは、その都度独立して、1、2、3又は4、特に2であり;そして
mは、0、1、2又は3、特に0又は1である)
より選択される基を表し;そして、
G3は、yが1であり、G1及び/又はG2が存在する場合に、C−C14アリーレン;飽和又は非芳香族不飽和C−Cシクロアルキレン;又はN、O及びSより選択される一つ若しくは複数のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環ジイル基を表す(これらの基は置換されていなくても置換されていてもよい)か、或いは
yが0であり、xが1であり、G1及びG2が共に不在である場合に、又はyが0であり、G1及び/若しくはG2が存在する場合に、基
【化49】


と一緒になって、N、O及びSより選択される一つ又は複数のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成し、
該リンカー基は、さらに、場合により式:
【化50】


で示される一つ又は複数の基及び/又は他の置換基を有してもよく;
R1は、水素又はC−C−アルキル基を表し;
R2は、水素又はC−C−アルキル基を表し;
R3は、その都度独立して、水素又はC−C−アルキル基を表し;
xは、0又は1であり;
yは、0又は1であり;
zは、その都度独立して、0又は1であり;そして
(−)は、部分LINKERの第一級、第二級又は第三級炭素原子と隣接窒素原子の間の単結合を表す]で示される化合物の製造方法であって、
(A)式(II)
【化51】


で示される化合物と、式(III)
【化52】


[式中、
Prは、t−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)、1−メチル−1−(4−ビフェニリル)エチルオキシカルボニル(Bpoc)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルオキシカルボニル(Adpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルオキシカルボニル(t−Bumeoc)、1−アダマンチルオキシカルボニル(Adoc)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル(Moz)、及びo,p−ジメトキシベンジルオキシカルボニルより選択されるアミノ保護基を表し;
LINKERは、式(I)と同じ意味を有するが、式:
【化53】


で示される一つまたは複数の随意の基が、式:
【化54】


で示される基により置き換えられていてもよいことを例外とし;
R1;R2;R3;x;y;z及び(−)は、その都度、式(I)と同じ意味を有し、Prは上記と同義である]
で示される化合物を双極性非プロトン性溶媒中で塩基の存在下で反応させて、式(IV)
【化55】


[式中、
Pr;LINKER;R1;R2;R3;x;y;z;及び(−)は 、その都度、式(III)と同じ意味を有する]
で示される化合物を得て;
(B)次に、ギ酸又はギ酸若しくは酢酸と塩酸若しくは臭化水素酸との混合物を用いた反応により該化合物を脱保護して式(I)で示される化合物を得る製造方法。
【請求項2】
LINKERが、式
【化56】


[式中、
及びは、式(I)において式(V)で示される基の配向を示し;
G1、G2又はG3は、存在しても不在であってもよいが、G1又はG3の少なくとも一方が存在することを条件とし;そして
G1は、xが1であり、yが1であり、G2及びG3が共に不在の場合に、又はxが1であり、G2及び/若しくはG3が存在する場合に、C−C14アリーレン;飽和若しくは非芳香族不飽和C−Cシクロアルキレン;又はN、O及びSより選択される一つ若しくは複数のヘテロ原子を有する5〜7個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環ジイル基を表す(これらの基は置換されていなくても置換されていてもよい)か、或いは
xが0であり、yが1であり、G2及びG3が共に不在の場合に、又はxが0であり、G2及び/若しくはG3が存在する場合に、基
【化57】


と一緒になって、N、O及びSより選択される一つ又は複数のヘテロ原子を有する5〜7個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成するか;或いは
xが0であり、yが0であり、G2及びG3が共に不在の場合に、基
【化58】


と一緒になって、N、O及びSより選択される二つ以上のヘテロ原子を有する5〜7個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成し;
G2は、−(C2n)−;−(NH)−;−(C=O)−;−(C=O)NH−;−HN(C=O)−;−HN(C=O)NH−;−(C2n)−[X−C2n−(C=O)NH−;−(C2n)−[X−C2n−HN(C=O)−、及び−(C2n)−[X−C2n−HN(C=O)−NH−
(ここで、
は、式(V)においてで示されるG2の結合であり;
Xは、その都度独立して、−O−;−NH−;−(C=O)NH−;−NH(C=O)−;−(C=O)O−;−O(C=O)−;−NH(C=O)NH−;−NH(C=O)O−又は−O(C=O)NH−であり;
nは、その都度独立して、1、2、3又は4、特に2であり;そして、
mは、0、1、2又は3、特に0又は1である)
より選択される基を表し;そして、
G3は、yが1であり、G1及び/又はG2が存在する場合に、C−C14アリーレン;飽和若しくは非芳香族不飽和C−Cシクロアルキレン;又はN、O及びSより選択される一つ若しくは複数のヘテロ原子を有する5〜7個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環ジイル基を表す(これらの基は置換されていなくても置換されていてもよい)か、或いは
yが0であり、xが1であり、G1及びG2が共に不在である場合に、又はyが0であり、G1及び/若しくはG2が存在する場合に、基
【化59】


と一緒になって、N、O及びSより選択される一つ又は複数のヘテロ原子を有する5〜7個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成する]
で示されるリンカー部分を表し、該リンカー基が、さらに、場合により式:
【化60】


で示される一つ又は複数の基及び/又は他の置換基を有してもよい、式(I)で示される化合物を製造するための、請求項1記載の方法。
【請求項3】
LINKERが、式:
【化61】


で示される随意の基を有さない、式(I)で示される化合物を製造するための、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
式(I)におけるLINKERが、
式[G1](xは0若しくは1であり、yは1であるか、又はx及びyは共に0である);
[G3](yは0又は1である);
[G2−G3](x及びyは共に1である);又は
[G1−G2−G3](xおよびyは、相互に独立して0又は1である)で示される部分を表し、
G1、G2及び/又はG3が、請求項1、2又は3記載の意味の1つを有する、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
G1が、Cアリーレン若しくは飽和C−Cシクロアルキレンを表すか、又は基
【化62】


と一緒になって、5若しくは6個の環原子を含み一つの窒素原子を有する複素環基を形成するか、又は

【化63】


と一緒になって、5若しくは6個の環原子を含み、二つの窒素原子を有する複素環基を形成し;
G2が、−CH−;−(C2n)−;−(C2n)−NH(C=O)NH−、及び−(C2n)−[X−C2n−HN(C=O)NH−
(ここで、Xは、−O−又は−NH−であり、nは2である)
より選択される基を表し;そして、
G3が、Cアリーレン;飽和C−Cシクロアルキレンを表すか、又は

【化64】


と一緒になって、5若しくは6個の環原子を含み、一つの窒素原子を有する複素環基を形成し、ここで、G1及び/又はG3が置換されていなくても置換されていてもよい、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
yが1である、請求項1又は5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
R2が水素である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
R1が水素を表す、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
式(I)における部分:
【化65】


が、以下の基:
【化66】


より選択される、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
段階Aにおける双極性非プロトン性溶媒中の式(II)で示される化合物の濃度が、25℃で測定したときに少なくとも50mg/mL、特に50mg/mL〜150mg/mLである、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
双極性非プロトン性溶媒が、DMF、DMSO又はそれらの混合物である、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
工程段階(A)における反応温度が、15〜100℃、好ましくは20〜85℃、最も好ましくは特に15〜35℃のようなおよそ周囲温度である、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
工程段階(A)における反応時間が、5〜60時間、好ましくは5〜25時間である、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
式(IV)で示される化合物が、中間体として単離され、場合により工程段階(B)に該化合物を使用する前に溶媒で該化合物を洗浄することにより精製される、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
式(IV)で示される化合物が、工程段階(B)において5〜20℃、好ましくは10〜15℃の温度でギ酸に溶解される、請求項1〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
式(IV)で示される化合物のギ酸溶液が、請求項15記載の温度に15分〜5時間保たれる、請求項15記載の方法。
【請求項17】
式(I)で示される化合物が、工程段階(B)においてアセトン、酢酸エチル及びそれらの混合物、又はアセトニトリル並びにそれとアセトン及び/若しくは酢酸エチルとの混合物より選択される溶媒を用いて該化合物を沈殿させることにより単離される、請求項1〜16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
ギ酸と塩酸の混合物が、工程段階(B)においてギ酸の代わりに使用される、請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
式(IV)
【化67】


[式中、
Prは、t−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)、1−メチル−1−(4−ビフェニリル)エチルオキシカルボニル(Bpoc)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルオキシカルボニル(Adpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルオキシカルボニル(t−Bumeoc)、1−アダマンチルオキシカルボニル(Adoc)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル(Moz)、及びo,p−ジメトキシベンジルオキシカルボニルより選択される基を表し;
LINKERは、式
【化68】


で示されるリンカー部分を表し、
ここで、
及びは、式(I)における基の配向を示し;
G1、G2又はG3は、存在しても不在であってもよいが、G1又はG3の少なくとも一方が存在することを条件とし;そして
G1は、xが1であり、yが1であり、G2及びG3が共に不在の場合に、又はxが1であり、G2及び/若しくはG3が存在する場合に、C−C14アリーレン;飽和若しくは非芳香族不飽和C−Cシクロアルキレン、好ましくはC−Cシクロアルキレン;又はN、O及びSより選択される一つ若しくは複数のヘテロ原子を有する5〜9個の環原子、好ましくは5〜7個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環ジイル基を表す(これらの基は置換されていなくても置換されていてもよい)か、或いは
xが0であり、yが1であり、G2及びG3が共に不在の場合に、又はxが0であり、G2及び/若しくはG3が存在する場合に、基
【化69】


と一緒になって、N、O及びSより選択される一つ又は複数のヘテロ原子を有する5〜9個の、好ましくは5〜7個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成するか;或いは
xが0であり、yが0であり、G2及びG3が共に不在の場合に、基
【化70】


と一緒になって、N、O及びSより選択される二つ以上のヘテロ原子を有する5〜9個の、好ましくは5〜7個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成し;
G2は、−(C2n)−;−(NH)−;−(C=O)−;−(C=O)NH−;−HN(C=O)−;−HN(C=O)NH−;−(C2n)−[X−C2n−(C=O)NH−;−HN(C=O)−[C2n]−X]−(C2n)−;−(C2n)−[X−C2n−HN(C=O)−;−(O=C)NH−[C2n]−X]−(C2n)−;−(C2n)−[X−C2n−HN(C=O)−NH−、及び−HN(C=O)NH−−(C2n)−[X−C2n
(ここで、は、式(V)においてで示されるG2の結合であり、
Xは、その都度独立して、−O−;−NH−;−(C=O)NH−;−NH(C=O)−;−(C=O)O−;−O(C=O)−;−NH(C=O)NH−;−NH(C=O)O−又は−O(C=O)NH−であり;
nは、その都度独立して、1、2、3又は4、特に2であり;そして、
mは、0、1、2又は3、特に0又は1である)
より選択される基を表し;そして、
G3は、yが1であり、G1及び/又はG2が存在する場合に、C−C14アリーレン;飽和又は非芳香族不飽和C−Cシクロアルキレン、好ましくはC−Cシクロアルキレン;又はN、O及びSより選択される一つ若しくは複数のヘテロ原子を有する5〜9個の、好ましくは5〜7個の環原子を含む飽和若しくは不飽和複素環ジイル基を表す(これらの基は置換されていなくても置換されていてもよい)か、或いは
yが0であり、xが1であり、G1及びG2が共に不在である場合に、又はyが0であり、G1及び/若しくはG2が存在する場合に、基
【化71】


と一緒になって、N、O及びSより選択される一つ又は複数のヘテロ原子を有する5〜9個の、好ましくは5〜7個の環原子を含む、置換されていなくても置換されていてもよい複素環基を形成し、
該リンカー基は、さらに、場合により式:
【化72】


で示される一つ若しくは複数の基及び/又は他の置換基を有してもよく;
R1は、水素又はC−C−アルキル基を表し;
R2は、水素又はC−C−アルキル基を表し;
R3は、その都度独立して、水素又はC−C−アルキル基を表し;
xは、0又は1であり;
yは、0又は1であり;
zは、その都度独立して、0又は1であり;そして
(−)は、該リンカー部分の第一級、第二級又は第三級炭素原子と隣接窒素原子の間の単結合を表す]
で示される化合物であって、
式:
【化73】


で示される化合物を除く化合物。
【請求項20】
部分LINKERが、式:
【化74】


で示される随意の基を有さない、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
LINKER、R1、R2、x及び/又はyが、請求項4〜8のいずれか一項と同義である、請求項19又は20記載の化合物。
【請求項22】
式(IV)における部分:
【化75】


が、以下の群:
【化76】


より選択される、請求項19又は20記載の化合物。
【請求項23】
Prがt−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)である、請求項19〜22のいずれか一項記載の化合物。

【公表番号】特表2011−519341(P2011−519341A)
【公表日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536463(P2010−536463)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066826
【国際公開番号】WO2009/071638
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(501241380)バジリア ファルマスーチカ アーゲー (24)
【氏名又は名称原語表記】Basilea Pharmaceutica AG
【Fターム(参考)】