説明

2型糖尿病診断剤

【課題】 2型糖尿病診断用の診断剤、診断用キット並びに2型糖尿病の予防薬、治療薬を有する物質のスクリーニング方法、及びキットを提供する。
【解決手段】所定の遺伝子から選ばれる少なくとも1種類以上の遺伝子の発現レベルを指標とする2型糖尿病診断剤が提供される。この診断剤は、絶食状態の被験者の血液から採取された白血球における所定遺伝子の発現レベルを指標として2型糖尿病の診断を確認するためのものである。提供される所定遺伝子は、従来の2型糖尿病診断に利用可能な遺伝子に代わる、若しくは追加して解析対象とすることで、被験者に対して2型糖尿病の診断判定の精度をより高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2型糖尿病の診断を行うための診断剤、2型糖尿病の診断用キット、並びに2型糖尿病の予防薬及び/又は治療薬を有する物質のスクリーニング方法、及び該スクリーニングで使用するキットに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病の患者数は、世界規模で増加の一途をたどっており、2010年には2億人を越えると予想されている。糖尿病はその病因に基づいて大きく1型と2型とに分類されるが、糖尿病の患者のほとんどが2型糖尿病の患者によって占められており、その克服は人類の大きな課題の一つといえる。
【0003】
1型糖尿病は、膵臓ランゲルハンス島が炎症を起こしてβ細胞によるインスリン分泌能が著しく低下するもので、インスリンを補充しなくては生存できないインスリン依存型の病像を呈する。2型糖尿病は、それ以外の原因でインスリンの作用不足が現れて高家等になるもので、肥満、過食、運動不足、ストレス等の環境因子の関与が大きく、中年以降の比較的高齢の肥満者に発症しやすい。2型糖尿病では、一般的にはインスリン非依存型の病像を呈し、食事療法と運動療法が治療の基本となる。食事療法、運動療法の次の段階として薬物療法が行われ、それでも治療が困難な場合にはインスリン療法が行われる。
【0004】
糖尿病の初発時期には、多飲、多尿、夜尿等の症状が見られるが、これらの初発症状を自覚する患者は少なく、患者の多くは、合併症に伴う症状が現れるまで自覚できないため、糖尿病がいつの間にか発症していて、それを発見したときには合併症が出現しており、治療が極めて困難になる場合が多い。したがって、糖尿病の克服には、早期発見・早期治療が極めて重要であるが、1型糖尿病に比べて2型糖尿病の発症過程は未だ不明な点が多いため、早期発見・早期治療が困難となる場合がある。
【0005】
被験者に対して2型糖尿病を判定する、又は将来2型糖尿病として判定される可能性があると診断することを目的とした、被験者における特定の遺伝子の発現を確認する方法が知られている。この方法では、被験者における1種類以上の遺伝子の発現レベルを測定し、被験者における発現レベルと健常人における当該遺伝子の発現レベル(統計的に正常とされる発現レベルを含む)との比較を行い、その発現レベルの差を根拠として判定が行なわれる。また、被験者における複数の遺伝子の発現レベルを測定し、それらの発現レベルのパターンを根拠として判定が行われる場合もある。このような方法は、遺伝子の先天的な異常(遺伝子型)を解析するSNPs解析等と本質的に異なるものであって、遺伝因子及び環境因子を加味した被験者の現状を把握できる点で有利である。
【0006】
本発明者らは、上記の判定をサンプリングが容易な組織を利用して行うことを可能にすべく、被験者の血液から採取した白血球におけるいくつかの特定の遺伝子の発現レベルを指標として2型糖尿病の診断を行うことを特徴とする2型糖尿病の診断方法を開発した(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【特許文献1】再公表特許W02004/040301公報
【特許文献2】特開2005−253434号公報
【特許文献3】特開2007−082458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特許文献1、特許文献2、特許文献3で開示された2型糖尿病の診断に有用な遺伝子に代わり、あるいは加えて、2型糖尿病の診断に有用な、更なる遺伝子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、2型糖尿病発症モデル動物の白血球における各種の遺伝子発現解析を通じて、2型糖尿病の発症と優位に関連している遺伝子を見出し、下記の各発明を完成した。
【0009】
(a)下記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の少なくとも1種類以上の塩基配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸及び/又は該遺伝子のいずれかにコードされるヒトタンパク質と結合する特異抗体若しくはその断片からなる、2型糖尿病診断剤。
【0010】
(1)AK_311856 (上皮発現脂肪酸結合タンパク質5型)
(2)NM_024722 (アシル補酵素A結合領域保存タンパク質4型)
(3)NM_012434 (溶質輸送体ファミリー17型)
(4)NM_003258 (チミジンキナーゼ1型)
(5)NM_015932 (染色体13番翻訳領域類似タンパク質)
(6)NM_012068 (転写活性化因子5型)
(7)NM_024901 (DENN/MADD領域タンパク質2D)
(8)NM_004851 (Napsin Aアスパラギン酸ペプチダ−ゼ)
(9)NM_017327 (グアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファ0型)
(10)NM_016410 (クロマチン修飾タンパク質5型)
(11)NM_001300 (Kruppel様転写因子6型)
(12)NM_006208 (エクトヌクレオチドピロフォスファターゼ/フォスフォジエステラーゼ1型)
(13)NM_001398 (ペルオキシソーム発現エノイル補酵素A加水酵素1)
(14)NM_013446 (Mkrn1類似タンパク質)
(15)NM_000063 (補体成分2型)
(16)NM_000371 (トランスサイレチン類似タンパク質)
(17)NM_006000 (チューブリンアルファ1型)
(18)NM_016641 (膜相互作用タンパク質RGS16)
(19)NM_001752 (カタラーゼ)
(20)NM_017790 (Gタンパク質シグナル3型制御タンパク質)
(21)NM_021149 (コアクトシン様タンパク質1型)
(22)NM_0010149 (T細胞活性化リンカータンパク質)
(23)NM_001015052 (N−メチルプリン型DNAグリコシラーゼ)
(24)NM_002073 (グアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファz型サブユニット)
(25)NM_004657 (血清欠乏反応タンパク質)
(26)NM_006763 (B細胞転座遺伝子2型、非増殖性)
(27)NM_000442 (血小板及び内皮細胞接着分子)
(28)NM_002957 (レチノイドX受容体)
(29)NM_001617 (アデューシン2型)
(30)NM_000576 (インターロイキン1型β)
(31)NM_002965 (S100カルシウム結合タンパク質A9)
(32)NM_003356 (脱共役タンパク質3型)
(33)NM_00101588 (TSC22領域ファミリー3型)
(34)NM_001004431 (メテオリン及びグリア細胞分化制御様タンパク質)
(35)NM_002026 (フィブロネクチン1型)
(36)NM_001063 (トランスフェリン)
(37)NM_001928 (補体成分D)
(38)NM_001079846 (CREB結合タンパク質)
(39)NM_001031812 (カゼインキナーゼ1型γ3型)
(40)NM_172033 (プレクストリン相同領域保存ファミリーBタンパク質1型)
(41)XM_238467 (推定ISG12(b)タンパク質)
(42)AA944679 (転写部位)
(43)AW916109 (転写部位)
(44)NM_020103 (Ly6−C抗原)
(45)XM_342474 (RIKEN cDNA A930018P22類似タンパク質)
(46)BG666719 (cDNAクローンDRABTH12型)
(47)NM_001004202 (ケモカインリガンド6型)
(b)前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子及び/又は該遺伝子のいずれかにコードされるタンパク質の発現量を測定するための、請求項1に記載の2型糖尿病診断剤。
【0011】
(c)核酸又は特異抗体が固相担体に結合されている、(a)又は(b)に記載の2型糖尿病診断剤。
【0012】
(d)下記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の塩基配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸及び/又は該遺伝子のいずれかにコードされるヒトタンパク質と結合する特異抗体若しくはその断片を含む、2型糖尿病診断用キット。
【0013】
(1)AK_311856 (上皮発現脂肪酸結合タンパク質5型)
(2)NM_024722 (アシル補酵素A結合領域保存タンパク質4型)
(3)NM_012434 (溶質輸送体ファミリー17型)
(4)NM_003258 (チミジンキナーゼ1型)
(5)NM_015932 (染色体13番翻訳領域類似タンパク質)
(6)NM_012068 (転写活性化因子5型)
(7)NM_024901 (DENN/MADD領域タンパク質2D)
(8)NM_004851 (Napsin Aアスパラギン酸ペプチダ−ゼ)
(9)NM_017327 (グアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファ0型)
(10)NM_016410 (クロマチン修飾タンパク質5型)
(11)NM_001300 (Kruppel様転写因子6型)
(12)NM_006208 (エクトヌクレオチドピロフォスファターゼ/フォスフォジエステラーゼ1型)
(13)NM_001398 (ペルオキシソーム発現エノイル補酵素A加水酵素1)
(14)NM_013446 (Mkrn1類似タンパク質)
(15)NM_000063 (補体成分2型)
(16)NM_000371 (トランスサイレチン類似タンパク質)
(17)NM_006000 (チューブリンアルファ1型)
(18)NM_016641 (膜相互作用タンパク質RGS16)
(19)NM_001752 (カタラーゼ)
(20)NM_017790 (Gタンパク質シグナル3型制御タンパク質)
(21)NM_021149 (コアクトシン様タンパク質1型)
(22)NM_0010149 (T細胞活性化リンカータンパク質)
(23)NM_001015052 (N−メチルプリン型DNAグリコシラーゼ)
(24)NM_002073 (グアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファz型サブユニット)
(25)NM_004657 (血清欠乏反応タンパク質)
(26)NM_006763 (B細胞転座遺伝子2型、非増殖性)
(27)NM_000442 (血小板及び内皮細胞接着分子)
(28)NM_002957 (レチノイドX受容体)
(29)NM_001617 (アデューシン2型)
(30)NM_000576 (インターロイキン1型β)
(31)NM_002965 (S100カルシウム結合タンパク質A9)
(32)NM_003356 (脱共役タンパク質3型)
(33)NM_00101588 (TSC22領域ファミリー3型)
(34)NM_001004431 (メテオリン及びグリア細胞分化制御様タンパク質)
(35)NM_002026 (フィブロネクチン1型)
(36)NM_001063 (トランスフェリン)
(37)NM_001928 (補体成分D)
(38)NM_001079846 (CREB結合タンパク質)
(39)NM_001031812 (カゼインキナーゼ1型γ3型)
(40)NM_172033 (プレクストリン相同領域保存ファミリーBタンパク質1型)
(41)XM_238467 (推定ISG12(b)タンパク質)
(42)AA944679 (転写部位)
(43)AW916109 (転写部位)
(44)NM_020103 (Ly6−C抗原)
(45)XM_342474 (RIKEN cDNA A930018P22類似タンパク質)
(46)BG666719 (cDNAクローンDRABTH12型)
(47)NM_001004202 (ケモカインリガンド6型)
(e)核酸又は特異抗体が固相担体に結合されている、(d)に記載のキット。
【0014】
(f)非ヒト動物に候補物質を投与する工程(a)、及び該動物の白血球における下記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト動物遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子及び/又は該遺伝子のいずれかにコードされる非ヒト動物タンパク質の発現量を測定する工程を含む、2型糖尿病の予防薬及び/又は治療薬のスクリーニング法。
【0015】
(1)AK_311856 (上皮発現脂肪酸結合タンパク質5型)
(2)NM_024722 (アシル補酵素A結合領域保存タンパク質4型)
(3)NM_012434 (溶質輸送体ファミリー17型)
(4)NM_003258 (チミジンキナーゼ1型)
(5)NM_015932 (染色体13番翻訳領域類似タンパク質)
(6)NM_012068 (転写活性化因子5型)
(7)NM_024901 (DENN/MADD領域タンパク質2D)
(8)NM_004851 (Napsin Aアスパラギン酸ペプチダ−ゼ)
(9)NM_017327 (グアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファ0型)
(10)NM_016410 (クロマチン修飾タンパク質5型)
(11)NM_001300 (Kruppel様転写因子6型)
(12)NM_006208 (エクトヌクレオチドピロフォスファターゼ/フォスフォジエステラーゼ1型)
(13)NM_001398 (ペルオキシソーム発現エノイル補酵素A加水酵素1)
(14)NM_013446 (Mkrn1類似タンパク質)
(15)NM_000063 (補体成分2型)
(16)NM_000371 (トランスサイレチン類似タンパク質)
(17)NM_006000 (チューブリンアルファ1型)
(18)NM_016641 (膜相互作用タンパク質RGS16)
(19)NM_001752 (カタラーゼ)
(20)NM_017790 (Gタンパク質シグナル3型制御タンパク質)
(21)NM_021149 (コアクトシン様タンパク質1型)
(22)NM_0010149 (T細胞活性化リンカータンパク質)
(23)NM_001015052 (N−メチルプリン型DNAグリコシラーゼ)
(24)NM_002073 (グアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファz型サブユニット)
(25)NM_004657 (血清欠乏反応タンパク質)
(26)NM_006763 (B細胞転座遺伝子2型、非増殖性)
(27)NM_000442 (血小板及び内皮細胞接着分子)
(28)NM_002957 (レチノイドX受容体)
(29)NM_001617 (アデューシン2型)
(30)NM_000576 (インターロイキン1型β)
(31)NM_002965 (S100カルシウム結合タンパク質A9)
(32)NM_003356 (脱共役タンパク質3型)
(33)NM_00101588 (TSC22領域ファミリー3型)
(34)NM_001004431 (メテオリン及びグリア細胞分化制御様タンパク質)
(35)NM_002026 (フィブロネクチン1型)
(36)NM_001063 (トランスフェリン)
(37)NM_001928 (補体成分D)
(38)NM_001079846 (CREB結合タンパク質)
(39)NM_001031812 (カゼインキナーゼ1型γ3型)
(40)NM_172033 (プレクストリン相同領域保存ファミリーBタンパク質1型)
(41)XM_238467 (推定ISG12(b)タンパク質)
(42)AA944679 (転写部位)
(43)AW916109 (転写部位)
(44)NM_020103 (Ly6−C抗原)
(45)XM_342474 (RIKEN cDNA A930018P22類似タンパク質)
(46)BG666719 (cDNAクローンDRABTH12型)
(47)NM_001004202 (ケモカインリガンド6型)
(g)非ヒト動物が2型糖尿病モデル非ヒト動物である、(f)に記載のスクリーニング方法。
【0016】
(h)前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する非ヒト遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト遺伝子の塩基配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸及び/又は該遺伝子のいずれかにコードされる非ヒト動物タンパク質と結合する特異抗体若しくはその断片を含む、(f)に記載のスクリーニング用キット。
【0017】
(i)核酸又は特異抗体が固相担体に結合されている、(h)に記載のキット。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって提供される2型糖尿病診断剤は、既に報告されている2型糖尿病の診断に利用可能な遺伝子に代わる、あるいはこれらにさらに加わる新たな2型糖尿病関連遺伝子を解析対象とすることにより、被験者に対して2型糖尿病又は将来2型糖尿病となり得るとの判定の確度を、より高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、2型糖尿病の診断に利用可能な、下記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の少なくとも1種類以上の塩基配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸及び/又は該遺伝子のいずれかにコードされるヒトタンパク質と結合する特異抗体若しくはその断片からなる、2型糖尿病診断剤に関する。
【0020】
(1)AK_311856 (上皮発現脂肪酸結合タンパク質5型)
(2)NM_024722 (アシル補酵素A結合領域保存タンパク質4型)
(3)NM_012434 (溶質輸送体ファミリー17型)
(4)NM_003258 (チミジンキナーゼ1型)
(5)NM_015932 (染色体13番翻訳領域類似タンパク質)
(6)NM_012068 (転写活性化因子5型)
(7)NM_024901 (DENN/MADD領域タンパク質2D)
(8)NM_004851 (Napsin Aアスパラギン酸ペプチダ−ゼ)
(9)NM_017327 (グアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファ0型)
(10)NM_016410 (クロマチン修飾タンパク質5型)
(11)NM_001300 (Kruppel様転写因子6型)
(12)NM_006208 (エクトヌクレオチドピロフォスファターゼ/フォスフォジエステラーゼ1型)
(13)NM_001398 (ペルオキシソーム発現エノイル補酵素A加水酵素1)
(14)NM_013446 (Mkrn1類似タンパク質)
(15)NM_000063 (補体成分2型)
(16)NM_000371 (トランスサイレチン類似タンパク質)
(17)NM_006000 (チューブリンアルファ1型)
(18)NM_016641 (膜相互作用タンパク質RGS16)
(19)NM_001752 (カタラーゼ)
(20)NM_017790 (Gタンパク質シグナル3型制御タンパク質)
(21)NM_021149 (コアクトシン様タンパク質1型)
(22)NM_0010149 (T細胞活性化リンカータンパク質)
(23)NM_001015052 (N−メチルプリン型DNAグリコシラーゼ)
(24)NM_002073 (グアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファz型サブユニット)
(25)NM_004657 (血清欠乏反応タンパク質)
(26)NM_006763 (B細胞転座遺伝子2型、非増殖性)
(27)NM_000442 (血小板及び内皮細胞接着分子)
(28)NM_002957 (レチノイドX受容体)
(29)NM_001617 (アデューシン2型)
(30)NM_000576 (インターロイキン1型β)
(31)NM_002965 (S100カルシウム結合タンパク質A9)
(32)NM_003356 (脱共役タンパク質3型)
(33)NM_00101588 (TSC22領域ファミリー3型)
(34)NM_001004431 (メテオリン及びグリア細胞分化制御様タンパク質)
(35)NM_002026 (フィブロネクチン1型)
(36)NM_001063 (トランスフェリン)
(37)NM_001928 (補体成分D)
(38)NM_001079846 (CREB結合タンパク質)
(39)NM_001031812 (カゼインキナーゼ1型γ3型)
(40)NM_172033 (プレクストリン相同領域保存ファミリーBタンパク質1型)
(41)XM_238467 (推定ISG12(b)タンパク質)
(42)AA944679 (転写部位)
(43)AW916109 (転写部位)
(44)NM_020103 (Ly6−C抗原)
(45)XM_342474 (RIKEN cDNA A930018P22類似タンパク質)
(46)BG666719 (cDNAクローンDRABTH12型)
(47)NM_001004202 (ケモカインリガンド6型)
本発明における2型糖尿病の診断とは、被験者が既に2型糖尿病を発症していると判定すること、被験者が将来において2型糖尿病を発症する可能性がある(一般的に2型糖尿病の予備軍と称されている状態にある)と判定することの、いずれも意味するものである。この診断は、前記(1)〜(47)の遺伝子の発現量、具体的には当該遺伝子からのmRNAの発現量又は当該何れかの遺伝子にコードされるタンパク質の発現量を、特に被験者から採取された白血球を対象にして測定し、健常人の白血球における当該遺伝子の発現量と比較したときの発現量の亢進又は低下を確認することによって行われる。
【0021】
後の実施例で述べるように、前記(1)〜(47)の遺伝子は、2型糖尿病モデル非ヒト動物であるOLETF(Otsuka Long−Evans Tokushima Fatty)ラット、を用いた発明者らの実験によって、6週齢(2型糖尿病発症前)の白血球と肝臓、白血球と脂肪組織、白血球と骨格筋のいずれかの組み合わせの両組織において、コントロールラット、LETO(Long−Evans Tokushima)ラット、に対して1.5倍以上の発現変動を示すことが確認された遺伝子に対応するヒト遺伝子である。前記(1)〜(47)の遺伝子は、絶食負荷をかけたOLETFラットにおいて絶食負荷をかけたLETOラットに比べて、上記の発現変動が確認されたラット遺伝子に対応するヒト遺伝子である。
【0022】
従って、被験者から採取された血液に含まれる白血球における前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は前期(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の少なくとも一つの遺伝子の発現量(mRNAの発現量及び/又は該遺伝子の何れかにコードされるヒトタンパク質の発現量)を測定し、これを健常人の白血球における当該遺伝子の発現量と比較して、その発現量が一定値異常に亢進或いは低下していることを確認することによって、当該被験者が2型糖尿病を発症しているかどうか、あるいはその被験者が未だ2型糖尿病を発症していない場合でも、将来的に2型糖尿病を発症する可能性があるかどうかを判定することができる。また被験者が既に糖尿病と疑われる初期症状、例えば多飲、多尿、夜尿等の症状を既に示している場合には、本発明によって提供される情報と併せて、2型糖尿病であるとの判定を適切に下すことが可能となる。なお、健常者における前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の発現量は、複数の健常者(健常者群)について測定し、その値の分布から正常範囲を設定しておくことが望ましい。特に、健常者群は、複数の健常者を任意に選別して構成することができるが、被験者と同年齢又は同世代である健常者から構成することが好ましい。
【0023】
一般に、mRNAの発現量の測定は、公知の遺伝子解析技術、例えば、ハイブリダイゼーション技術(ノーザンハイブリダイゼーション法、ドットプロット法、DNAマイクロアレイ法等)、遺伝子増幅技術(RT−PCR等)等により、行うことができる。従って本発明の2型糖尿病診断剤である核酸は、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする限り、上記の遺伝子解析技術で利用可能な如何なる形態にあってもよい。例えば、本発明における核酸は、プローブ核酸又はプライマー核酸でもあり得る。
【0024】
本発明の2型糖尿病診断剤である核酸にはDNA及びRNAの両者が含まれる。本発明における核酸は、好ましくはオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドの塩基長は通常15〜100塩基、好ましくは18〜40塩基であり、ポリヌクレオチドの塩基長は通常200〜3000塩基、好ましくは500〜1000塩基である。また、本発明における核酸を構成するヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチド、あるいは非天然型ヌクレオチドのいずれであってもよい。
【0025】
前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の塩基配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸の塩基配列は、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の各塩基配列に基づいて設計することができる。例えば、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の内、タンパク質をコードする遺伝子については、CDSを含む領域を選択し、当該領域にストリンジェントな条件化でハイブリダイズするように、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの塩基配列を設計すればよい。また、CDS領域の5’末端側又は3’末端側の領域に、あるいは、CDS領域からその5’末端側又は3’末端側の領域にストリンジェントな条件化でハイブリダイズするように塩基配列を設計することもできる。
【0026】
オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドをプライマーとして利用する場合には、本発明における核酸の5’末端側に制限酵素認識配列やタグ等を付加することができる。また、プローブとして利用する場合には、蛍光色素、ラジオアイソトープ等の標識を付加することができる。
【0027】
本発明の2型糖尿病診断剤の好ましい形態は、前記核酸が固相担体上に結合(固相化)されている形態である。具体的には、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の塩基配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸を含むDNAチップ又はDNAマイクロアレイの形態が好ましい。DNAチップ又はDNAマイクロアレイは、遺伝子発現変動を確認する方法として、検出しようとする複数種の遺伝子の塩基配列を有する核酸を適当なキャリアに固相化して使用する技術である。本発明の2型糖尿病診断剤も、例えば「DNAマイクロアレイ実践マニュアル」(林崎良英監修、2000年、羊土社発行)に記載された方法によって、(1)〜(47)の遺伝子の塩基配列にストリンジェントな条件化でハイブリダイズする核酸をDNAチップ、あるいはDNAマイクロアレイの形態に加工し、使用することができる。
【0028】
なお、本発明にいうストリンジェントな条件下とは、前記核酸が前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の塩基配列に特異的にハイブリダイズし、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子以外の塩基配列にはクロスハイブリしない程度であればよく、その条件は、利用する遺伝子解析技術、例えば、ノーザンハイブリダイゼーション法、ドットブロット法、DNAマイクロアレイ法等によって適宜変更することが望ましい。しかしながら、その様な条件は、個々の解析技術に応じて当業者の通常の能力の範囲内で設定することが可能である。例えば、メンブレンを用いたサザンハイブリダイゼーションでは、0.1%[w/v]SDSを含む0.5×SSC溶液(1×SSCは0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム)を用いて50℃でハイブリダイズさせた核酸を含むメンブレンを洗浄すると言う条件などを挙げることができる。
【0029】
本発明の2型糖尿病診断剤を利用したmRNAの発現量の測定法として、RT−PCRを利用してもよい。具体的には、白血球から抽出した全RNAを基に合成したcDNAを鋳型とし、設計されたプライマーセットを用いてPCRを行い、PCR増幅断片を定量することによって、前記(a)〜(c)のタンパク質をコードするmRNAの発現量を測定することができる。この際、PCRは、PCR増幅断片生成量が初期鋳型cDNAを反映するような条件(例えば、PCR増幅断片が指数対数的に増加するPCRサイクル数)で行うことが望ましい。
【0030】
PCR増幅断片の定量方法は特に限定されるものではなく、例えばラジオアイソトープ(RI)を用いた定量方法、蛍光色素を用いた定量方法その他の一般的な方法を利用すればよい。RIを用いた定量方法としては、例えば、(i)反応役にRI標識したヌクレオチド(例えば32P標識されたdCTP等)を基質として加えておき、PCR増幅断片に取り込ませてPCR増幅断片をRI標識し、PCR増幅断片を電気泳動等で分離した後、放射活性を測定してPCR増幅断片を定量する方法、(ii)RI標識したプライマーを用いることによりPCR増幅断片をRI標識し、PCR増幅断片を電気泳動等で分離した後、放射活性を測定してPCR増幅断片を定量する方法、(iii)PCR増幅断片を電気泳動した後、メンブランにブロッティングし、RI標識したプローブをハイブリダイズさせ、放射活性を測定してPCR増幅断片を定量する方法等が挙げられる。放射活性は、例えば、液体シンチレーションカウンター、X線フィルム、イメージングプレート等を用いて測定することができる。
【0031】
蛍光色素を用いた定量方法としては、(i)二本鎖DNAにインターカレーとする蛍光色素(例えば、エチジウムブロマイド(EtBr)、SYBR GreenI、PicoGreen等)を用いてPCR増幅断片を染色し、励起光の照射によって発せられる蛍光強度を測定してPCR増幅断片を定量する方法、(ii)蛍光色素で標識したプライマーを用いることによりPCR増幅断片を蛍光色素で標識し、PCR増幅断片を電気泳動等で分離した後、蛍光強度を測定してPCR増幅断片を定量する方法等が挙げられる。蛍光強度は、例えば、CCDカメラ、蛍光スキャナー、分光蛍光光度計等を用いて測定することができる。
【0032】
RT−PCRを利用する場合には、例えばABI PRISM7700(Applied Biosystems社)等の市販の装置を利用して、遺伝子増幅過程をリアルタイムでモニタリングすることにより、PCR増幅断片のより定量的な解析を行うことができる。
【0033】
前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の発現量の測定値は、発現レベルが大きく変動しない遺伝子(例えば、β−アクチン遺伝子、GAPDH遺伝子等のハウスキーピング遺伝子)の発現量の測定値に基づいて補正することが好ましい。
【0034】
一般に、タンパク質の発現量の測定は、公知の免疫学的タンパク質解析技術、例えば、タンパク質に結合する抗体又はその断片を利用したウエスタンブロッッティング法、免疫沈降法、ELIZA等を利用して行うことができる。従って本発明の2型糖尿病診断剤である抗体若しくはその断片は、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の何れかにコードされるタンパク質と特異的に結合することができる限り、上記の免疫学的タンパク質解析技術で利用可能ないかなる形態にあってもよい。例えば、本発明における抗体若しくはその断片は、ポリクローナル抗体でも、モノクローナル抗体でもよく、前記タンパク質の結合能を有する断片であってもよい。断片としては、例えば、Fab断片、F(ab)’2断片、単鎖抗体(scFv)等が挙げられる。
【0035】
本発明にいう「特異抗体」または「特異的に結合する」とは、本発明で使用する抗体又はその断片が、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は前期(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の何れかにコードされるタンパク質には結合するが、白血球に含まれる他のタンパク質には結合しないことを意味する。その様な抗体の調製に必要とされる免疫学的方法、例えば前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の何れかにコードされるタンパク質を抗体の作成に用いられる動物に投与すること、血清から抗体を直接回収すること、抗体産生細胞を回収してハイブリドーマを作成すること、抗体を精製すること、抗体をラベル化したり固相化したりすること、さらに抗体を用いて目的タンパク質を検出したり定量したりすること等は、全て当業者にとって通常行い得る方法を採用して行えばよい。
【0036】
本発明のキットは、上記に説明した診断方法に利用するための、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子から選ばれる少なくとも1種類以上の遺伝子の塩基配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸及び/又は該遺伝子のいずれかにコードされるタンパク質と結合する特異的抗体若しくはその断片を含むキットである。本発明の2型糖尿病診断用キットは、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子から選ばれる少なくとも1種類以上の遺伝子の塩基配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸、あるいは前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の何れかにコードされるタンパク質と特異的に結合する抗体若しくはその断片を含む限り、いかなる形態であってもよく、任意の試薬、器具等を含むことができる。本発明の2型糖尿病診断用キットが、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子から選ばれる少なくとも1種類以上の遺伝子の塩基配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸を含む場合には、例えば、PCRに必要な試薬(例えば水、緩衝剤、塩化マグネシウム、dNTPミックス、Taqポリメラーゼ等)、PCR増幅断片の定量に必要な試薬(例えばRI、蛍光色素等)、DNAマイクロアレイ、DNAチップ等の作成のための担体や核酸を固相化するための反応試薬等を含むことができる。また、本発明の2型糖尿病診断用キットが、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応するヒト遺伝子の何れかにコードされるタンパク質と特異的に結合する抗体若しくはその断片を含む場合には、上記抗体又はその断片を固相化するための固相担体(例えば、イムノプレート、ラテックス粒子等)、抗γ−グロブリン抗体(二次抗体)、抗体(二次抗体を含む)又はその断片の標識(例えば、酵素、蛍光物質等)、各種試薬(例えば、酵素基質、緩衝液、希釈液等)等の1種類又は2種類以上を含むことが出来る。
【0037】
本発明の2型糖尿病予防薬及び/又は治療薬をスクリーニングする方法は、2型糖尿病モデル非ヒト動物に候補物質を投与した後、前記動物の血液から採取した白血球における前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト動物遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子及び/又は当該遺伝子のいずれかにコードされる非ヒト動物タンパク質の発現レベルを健常動物のそれに近づける或いは戻す効果を指標として、前記候補物質が2型糖尿病予防薬及び/又は治療薬となり得るか同かを判定することを指標とする。なお、本発明にいう2型糖尿病予防薬とは、2型糖尿病の発症を予防する又は予防すると期待される物質を意味し、また2型糖尿病治療薬とは、2型糖尿病を治療する又は治療すると期待される物質を意味する。
【0038】
既に2型糖尿病を発症している週齢或いは発症前の週齢の2型糖尿病モデル非ヒト動物の白血球における前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト動物遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子の発現レベルは、健常非ヒト動物の発現レベルから変動しているので、2型糖尿病モデル動物の白血球における前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト動物遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子の発現レベルを健常動物のそれに近づける或いは戻す効果を有する物質を選択することによって、2型糖尿病の予防薬、又は治療薬をスクリーニングすることができる。すなわち、候補物質を投与した後の前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト動物遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子の発現レベルが、正常発現レベルに戻ったか否か、又は正常発現レベルに近づいたか否かを指標として、またモデル非ヒト動物の週齢等を考慮して、候補物質の2型糖尿病予防効果あるいは治療効果を判定し、この結果に基づいて候補物質の評価を行う。なお、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト動物遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子の正常発現レベルは、複数の健常動物の発現レベルを測定し、その値の分布から決定することが好ましい。
【0039】
本発明のスクリーニング方法においては、2型糖尿病モデル非ヒト動物としては、白血球における前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト動物遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子の発現レベルが健常動物のそれと比較して変動している動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ等)を使用すればよいが、前記OLETFラット、又はKK−Ayマウス、KK Ta/Jclマウスの使用が特に好ましい。前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト動物遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子の発現変動を誘導する候補物質を選択するためには、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト動物遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子のいずれかを導入して、白血球における前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト動物遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子の何れかの遺伝子の発現を人為的に変動させたトランスジェニック動物を使用してもよい。
【0040】
本発明の2型糖尿病予防薬及び/又は治療薬をスクリーニング用キットは、検体における前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト動物遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子の発現レベルを測定するための試薬として、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子の塩基配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸、及び/又は前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子の何れかの遺伝子にコードされるタンパク質に特異的に結合する抗体若しくはその断片を含むことを特徴とする。
【0041】
本発明のスクリーニング用キットを利用すれば、非ヒト動物の血液から採取した白血球における前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子の発現レベルを測定することにより、2型糖尿病の予防薬及び/又は治療薬をスクリーニングすることができる。
【0042】
本発明のスクリーニング用キットは、上記オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド、あるいは、上記抗体又はその断片を含む限り、いかなる形態であってもよく、本発明の2型糖尿病の診断用キットにおいて例示した各種試薬、器具等の他、モデル動物等を含むことができる。
【0043】
少なくとも1種類以上に加え、さらに表1に示される遺伝子群の何れかの発現変動を合わせて測定し、その結果も合わせて考慮することで、2型糖尿病の診断の確度をより高めることができる。この表1に示した遺伝子群に加え、又は代えて、特許文献1及び特許文献2及び特許文献3に開示された2型糖尿病の発症と関連している遺伝子群を対象候補とし、それらの中から任意に選択される遺伝子の発現量も併せて測定して、判定材料とすることで、より2型糖尿病の診断の確度を高めることも可能である。
【0044】
なお、被験者から白血球を採取する方法は、臨床的に行われている任意の方法を採用すればよく、特定の方法には限定されない。例えば、血液中の赤血球を選択的に溶解させた後、遠心分離することによって白血球を採取してもよい。また本発明にいう白血球には、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球及び単球のいずれもが含まれ、検体として用いる白血球は、これらのうちの1種類であってもよいし、2種類以上の混合物であってもよい。
【0045】
また、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子の塩基配列には、データベースに登録されている塩基配列のほかに、いわゆる1塩基多型(SNPs)によってその一部が異なる塩基配列もあり得、また各タンパク質には種々のアイソフォーム等が存在する場合もある。その様な塩基配列が相違する遺伝子であっても、前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるラット遺伝子に対応する遺伝子又はそれらのアイソフォームである限り、その様な遺伝子も、本発明の確認対象として含まれる。
【実施例】
【0046】
2型糖尿病モデルラットとして、大塚製薬(株)徳島研究所で系統維持されている雄性のOLETF(Otsuka−Long−Evans−Tokushima−Fatty)ラットを使用し、対照群のラットとして、同研究所で系統維持されているLETO(Long−Evans−Tokushima−Otsuka)ラットを使用した。OLETFラットは、2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)に類似した症状を示す自然発症糖尿病モデル動物であり(Kawano K.ら、Diabetes Res Clin Pract,1994.24Suppl p.S317−20)、LETOラットは、糖尿病を発症しないコントロール動物である。OLETF及びLETOラットは、4週齢で大塚製薬(株)徳島研究所より供与された。ラットは、人工照明による明暗環境下(明期7:00〜21:00、暗期21:00〜7:00)、一定温度(22℃±0.5℃)、詩相対湿度(58%)の動物実験室内で飼育し、固形飼料及び水を自由に摂取させた。動物実験は北海道大学動物実験委員会の規定に沿って行った。
【0047】
5〜31週齢にわたり、各週齢のOLETF及びLETOラットの血糖値を腹腔内糖負荷試験(Intraperitoneal Glucose Tolerance Test,IPGTT)により測定した(n=6)。12時間絶食後、1g/kg Bwのグルコース生理食塩水溶液を腹腔内投与した。投与1時間後に尾静脈より採取した血液を氷上に30分間静置し、9000rpmで2分間、4℃で遠心分離して血清を得た。生理食塩水で3倍に希釈した血清20uLをサンプルとし、グルコースB−テストワコー(和光純薬)を用いて、グルコースオキシダーゼ法により血糖値を測定した。
【0048】
発症モニタリングの結果から、6週齢OLETFラットを発症前モデルとして用いた。12時間以上の絶食を行ったラットから、全血、肝臓、脂肪組織、骨格筋をサンプリングした(n=4)。
【0049】
6週齢のラットからTotal RNAを抽出した。血液は頚動脈から、脂肪組織は精巣上体部分から、骨格筋は右の後肢から採取した。白血球のTotal RNAはPAXgene Blood RNA kitのプロトコル(PreAnalytiX,Hombrechtikon,Switzerland)に従って抽出した。肝臓、脂肪、骨格筋のTotal RNAはTRIzol regent(Invitrogen,Carlsbad,CA,U.S.A.)を用いた方法と、RNeasy Mini Kitのプロトコル(QIAGEN,Hilden,Germany)に従って抽出した。そしてRNase−free DNase Digest Setのプロトコル(QIAGEN,Hilden,Germany)に従ってゲノムDNAを除去した。個体間の違いをなくすために、各4匹のラットのtotal RNA5μgを混合した。混合したtotal RNAの純度をAgilent2100Bioanalyzer(Agilent、Foster City,CA)により確認した。
【0050】
混合したRNAサンプル500ngをAgilent Low RNA Input Fluorescent Linear Amplification Kitのプロトコル(Product No.5184−3568,Agilent Technologies,Palo Alto,CA,U.S.A.)に従ってCy3(またはCy5)にてラベル化した。Cy3(またはCy5)の取り込み効率を算出した後、1ugのCy3ラベル化LETO由来cRNAとCy5ラベル化OLETF由来cRNAを混合し、Hybridizationプロトコル(Product No.5184−3568,Agilent Technologies,Palo Alto,CA,U.S.A.)に従ってAgilent Rat Oligo Microarrays(G4130A)にハイブリダイゼーションさせた。スライドの洗浄操作が終わった後にAgilent Microarray scanner(G2565AA)にてスライドを読み込ませた(パラメーターは全てデフォルト値)。これらの実験はcRNAの蛍光プローブを入れ替えて実験を行うdye swap法にて行った。データはAgilent Feature Extraction software(Version A.6.1.1)(パラメーターは全てデフォルト値)、を用いて入手した。
【0051】
4種類の組織(白血球、肝臓、脂肪、筋肉)ごとに1組のdye swapデータがある合計8サンプルの解析を行った。マイクロアレイ発現データをGeneSpring GX7.3Expression Analysis Software(Agilent Technologies)にインポートした。インポートしたデータは、Data transformation:dye swap、Per spot:divide by control channel、Per Chip:normalization to 50th percentileの3種類のノーマライゼーションを適用させた。以下の3つの基準(全てのチップにおいてraw値とcontrol値が100以上を満たす遺伝子、各組織でのチップにおいて2chip中2chipともPresent又はMarginalのフラグ値を持つ遺伝子、そして各組織でのチップにおいてraw値とcontrol値のpercent differenceが51%以下である遺伝子)に従って遺伝子にフィルターをかけ、全てを満たす遺伝子を抽出した。データ解析にはこれらの遺伝子の中でLETOと比べてOLETFで1.5倍以上、(又は0.67倍以下)発現変動した遺伝子群に着目した。その結果、白血球では300遺伝子、肝臓では503遺伝子、脂肪組織では1432遺伝子、骨格筋では314遺伝子が選択された。
【0052】
糖尿病関連組織での遺伝子発現の違いを明らかにするために、クラスタリング解析を行った。肝臓、脂肪組織、骨格筋の少なくとも1つの組織で1.5倍以上発現変動している2025遺伝子を解析対象とした。クラスタリングのアルゴリズムとしてaverage linkageを、各サンプル間での遺伝子発現パターンの類似性を測る方法としてPearson correlationを使用した。そしてdistance値に従って4つのサブクラスターに分類した[図1]。
【0053】
各サブクラスターの中で、各組織で発現亢進、又は発現低下のパターンが顕著に現れているところに着目し、分泌タンパク質をコードする遺伝子の存在をIPA(Ingenuity Pathway Analysis)を用いて抽出した。そしてこれらの遺伝子と白血球で発現変動した300遺伝子との間に関連性があるかどうかについて調べた。特に、糖尿病関連組織から分泌されるタンパク質が、白血球で検出された遺伝子のmRNAの量を増減させるような報告のみを抽出した。その結果2組の遺伝子が検出された[表2、図2]。
【表2】

【0054】
各組織で1.5倍以上発現変動した遺伝子集団を対象として、白血球と肝臓、白血球と脂肪組織、白血球と骨格筋で共通して発現量の変動が確認された遺伝子を選出した。その結果、白血球と肝臓では25遺伝子、白血球と脂肪組織では41遺伝子、白血球と骨格筋では14遺伝子、合計57遺伝子が白血球と糖尿病関連組織で同時に発現変動する遺伝子であることが確認された。
【0055】
[0053]、[0054]に含まれる合計59遺伝子の中から、遺伝子にアノテーションが当てられている遺伝子、すなわち遺伝子機能がマウスで調べられている遺伝子もしくは核酸配列、塩基配列にコードされているアミノ酸配列の相同性から機能が予測されている遺伝子を選び出し、2型糖尿病発症前遺伝子診断に適応できる可能性を持つ遺伝子として、47遺伝子[表3]を選択した。
【表3】





【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるマウス遺伝子に対応するヒト遺伝子の少なくとも1種類以上の塩基配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸及び/又は該遺伝子のいずれかにコードされるヒトタンパク質と結合する特異抗体若しくはその断片からなる、2型糖尿病診断剤。
(1)AK_311856 (上皮発現脂肪酸結合タンパク質5型)
(2)NM_024722 (アシル補酵素A結合領域保存タンパク質4型)
(3)NM_012434 (溶質輸送体ファミリー17型)
(4)NM_003258 (チミジンキナーゼ1型)
(5)NM_015932 (染色体13番翻訳領域類似タンパク質)
(6)NM_012068 (転写活性化因子5型)
(7)NM_024901 (DENN/MADD領域タンパク質2D)
(8)NM_004851 (Napsin Aアスパラギン酸ペプチダ−ゼ)
(9)NM_017327 (グアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファ0型)
(10)NM_016410 (クロマチン修飾タンパク質5型)
(11)NM_001300 (Kruppel様転写因子6型)
(12)NM_006208 (エクトヌクレオチドピロフォスファターゼ/フォスフォジエステラーゼ1型)
(13)NM_001398 (ペルオキシソーム発現エノイル補酵素A加水酵素1)
(14)NM_013446 (Mkrn1類似タンパク質)
(15)NM_000063 (補体成分2型)
(16)NM_000371 (トランスサイレチン類似タンパク質)
(17)NM_006000 (チューブリンアルファ1型)
(18)NM_016641 (膜相互作用タンパク質RGS16)
(19)NM_001752 (カタラーゼ)
(20)NM_017790 (Gタンパク質シグナル3型制御タンパク質)
(21)NM_021149 (コアクトシン様タンパク質1型)
(22)NM_0010149 (T細胞活性化リンカータンパク質)
(23)NM_001015052 (N−メチルプリン型DNAグリコシラーゼ)
(24)NM_002073 (グアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファz型サブユニット)
(25)NM_004657 (血清欠乏反応タンパク質)
(26)NM_006763 (B細胞転座遺伝子2型、非増殖性)
(27)NM_000442 (血小板及び内皮細胞接着分子)
(28)NM_002957 (レチノイドX受容体)
(29)NM_001617 (アデューシン2型)
(30)NM_000576 (インターロイキン1型β)
(31)NM_002965 (S100カルシウム結合タンパク質A9)
(32)NM_003356 (脱共役タンパク質3型)
(33)NM_00101588 (TSC22領域ファミリー3型)
(34)NM_001004431 (メテオリン及びグリア細胞分化制御様タンパク質)
(35)NM_002026 (フィブロネクチン1型)
(36)NM_001063 (トランスフェリン)
(37)NM_001928 (補体成分D)
(38)NM_001079846 (CREB結合タンパク質)
(39)NM_001031812 (カゼインキナーゼ1型γ3型)
(40)NM_172033 (プレクストリン相同領域保存ファミリーBタンパク質1型)
(41)XM_238467 (推定ISG12(b)タンパク質)
(42)AA944679 (転写部位)
(43)AW916109 (転写部位)
(44)NM_020103 (Ly6−C抗原)
(45)XM_342474 (RIKEN cDNA A930018P22類似タンパク質)
(46)BG666719 (cDNAクローンDRABTH12型)
(47)NM_001004202 (ケモカインリガンド6型)
【請求項2】
前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるマウス遺伝子に対応するヒト遺伝子の少なくとも1種類以上の塩基配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸及び/又は該遺伝子のいずれかにコードされるタンパク質の発現量を測定するための、請求項1に記載の2型糖尿病診断剤。
【請求項3】
核酸又は特異抗体が固相担体に結合されている、請求項1又は2に記載の2型糖尿病診断剤。
【請求項4】
下記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるマウス遺伝子に対応するヒト遺伝子の少なくとも1種類以上の塩基配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸及び/又は該遺伝子のいずれかにコードされるヒトタンパク質と結合する特異抗体若しくはその断片を含む、2型糖尿病診断用キット。
(1)AK_311856 (上皮発現脂肪酸結合タンパク質5型)
(2)NM_024722 (アシル補酵素A結合領域保存タンパク質4型)
(3)NM_012434 (溶質輸送体ファミリー17型)
(4)NM_003258 (チミジンキナーゼ1型)
(5)NM_015932 (染色体13番翻訳領域類似タンパク質)
(6)NM_012068 (転写活性化因子5型)
(7)NM_024901 (DENN/MADD領域タンパク質2D)
(8)NM_004851 (Napsin Aアスパラギン酸ペプチダ−ゼ)
(9)NM_017327 (グアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファ0型)
(10)NM_016410 (クロマチン修飾タンパク質5型)
(11)NM_001300 (Kruppel様転写因子6型)
(12)NM_006208 (エクトヌクレオチドピロフォスファターゼ/フォスフォジエステラーゼ1型)
(13)NM_001398 (ペルオキシソーム発現エノイル補酵素A加水酵素1)
(14)NM_013446 (Mkrn1類似タンパク質)
(15)NM_000063 (補体成分2型)
(16)NM_000371 (トランスサイレチン類似タンパク質)
(17)NM_006000 (チューブリンアルファ1型)
(18)NM_016641 (膜相互作用タンパク質RGS16)
(19)NM_001752 (カタラーゼ)
(20)NM_017790 (Gタンパク質シグナル3型制御タンパク質)
(21)NM_021149 (コアクトシン様タンパク質1型)
(22)NM_0010149 (T細胞活性化リンカータンパク質)
(23)NM_001015052 (N−メチルプリン型DNAグリコシラーゼ)
(24)NM_002073 (グアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファz型サブユニット)
(25)NM_004657 (血清欠乏反応タンパク質)
(26)NM_006763 (B細胞転座遺伝子2型、非増殖性)
(27)NM_000442 (血小板及び内皮細胞接着分子)
(28)NM_002957 (レチノイドX受容体)
(29)NM_001617 (アデューシン2型)
(30)NM_000576 (インターロイキン1型β)
(31)NM_002965 (S100カルシウム結合タンパク質A9)
(32)NM_003356 (脱共役タンパク質3型)
(33)NM_00101588 (TSC22領域ファミリー3型)
(34)NM_001004431 (メテオリン及びグリア細胞分化制御様タンパク質)
(35)NM_002026 (フィブロネクチン1型)
(36)NM_001063 (トランスフェリン)
(37)NM_001928 (補体成分D)
(38)NM_001079846 (CREB結合タンパク質)
(39)NM_001031812 (カゼインキナーゼ1型γ3型)
(40)NM_172033 (プレクストリン相同領域保存ファミリーBタンパク質1型)
(41)XM_238467 (推定ISG12(b)タンパク質)
(42)AA944679 (転写部位)
(43)AW916109 (転写部位)
(44)NM_020103 (Ly6−C抗原)
(45)XM_342474 (RIKEN cDNA A930018P22類似タンパク質)
(46)BG666719 (cDNAクローンDRABTH12型)
(47)NM_001004202 (ケモカインリガンド6型)
【請求項5】
核酸又は特異抗体が固相担体に結合されている、請求項4に記載のキット。
【請求項6】
非ヒト動物に候補物質を投与する工程(a)、及び該動物の白血球における下記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する当該非ヒト動物遺伝子、又は下記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるマウス遺伝子に対応する非ヒト動物遺伝子及び/又は該遺伝子のいずれかにコードされる非ヒト動物タンパク質の発現量を測定する工程を含む、2型糖尿病の予防薬及び/又は治療薬のスクリーニング法。
(1)AK_311856 (上皮発現脂肪酸結合タンパク質5型)
(2)NM_024722 (アシル補酵素A結合領域保存タンパク質4型)
(3)NM_012434 (溶質輸送体ファミリー17型)
(4)NM_003258 (チミジンキナーゼ1型)
(5)NM_015932 (染色体13番翻訳領域類似タンパク質)
(6)NM_012068 (転写活性化因子5型)
(7)NM_024901 (DENN/MADD領域タンパク質2D)
(8)NM_004851 (Napsin Aアスパラギン酸ペプチダ−ゼ)
(9)NM_017327 (グアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファ0型)
(10)NM_016410 (クロマチン修飾タンパク質5型)
(11)NM_001300 (Kruppel様転写因子6型)
(12)NM_006208 (エクトヌクレオチドピロフォスファターゼ/フォスフォジエステラーゼ1型)
(13)NM_001398 (ペルオキシソーム発現エノイル補酵素A加水酵素1)
(14)NM_013446 (Mkrn1類似タンパク質)
(15)NM_000063 (補体成分2型)
(16)NM_000371 (トランスサイレチン類似タンパク質)
(17)NM_006000 (チューブリンアルファ1型)
(18)NM_016641 (膜相互作用タンパク質RGS16)
(19)NM_001752 (カタラーゼ)
(20)NM_017790 (Gタンパク質シグナル3型制御タンパク質)
(21)NM_021149 (コアクトシン様タンパク質1型)
(22)NM_0010149 (T細胞活性化リンカータンパク質)
(23)NM_001015052 (N−メチルプリン型DNAグリコシラーゼ)
(24)NM_002073 (グアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファz型サブユニット)
(25)NM_004657 (血清欠乏反応タンパク質)
(26)NM_006763 (B細胞転座遺伝子2型、非増殖性)
(27)NM_000442 (血小板及び内皮細胞接着分子)
(28)NM_002957 (レチノイドX受容体)
(29)NM_001617 (アデューシン2型)
(30)NM_000576 (インターロイキン1型β)
(31)NM_002965 (S100カルシウム結合タンパク質A9)
(32)NM_003356 (脱共役タンパク質3型)
(33)NM_00101588 (TSC22領域ファミリー3型)
(34)NM_001004431 (メテオリン及びグリア細胞分化制御様タンパク質)
(35)NM_002026 (フィブロネクチン1型)
(36)NM_001063 (トランスフェリン)
(37)NM_001928 (補体成分D)
(38)NM_001079846 (CREB結合タンパク質)
(39)NM_001031812 (カゼインキナーゼ1型γ3型)
(40)NM_172033 (プレクストリン相同領域保存ファミリーBタンパク質1型)
(41)XM_238467 (推定ISG12(b)タンパク質)
(42)AA944679 (転写部位)
(43)AW916109 (転写部位)
(44)NM_020103 (Ly6−C抗原)
(45)XM_342474 (RIKEN cDNA A930018P22類似タンパク質)
(46)BG666719 (cDNAクローンDRABTH12型)
(47)NM_001004202 (ケモカインリガンド6型)
【請求項7】
非ヒト動物が2型糖尿病モデル非ヒト動物である、請求項6に記載のスクリーニング方法。
【請求項8】
前記(1)〜(39)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるヒト遺伝子に対応する非ヒト遺伝子、又は前記(40)〜(47)から選ばれるGenBankアクセッション番号で特定されるマウス遺伝子に対応する非ヒト遺伝子の塩基配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸及び/又は該遺伝子のいずれかにコードされる非ヒト動物タンパク質と結合する特異抗体若しくはその断片を含む、請求項6に記載のスクリーニング用キット。
【請求項9】
核酸又は特異抗体が固相担体に結合されている、請求項8に記載のキット。

【公開番号】特開2010−261920(P2010−261920A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125826(P2009−125826)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(504173471)国立大学法人北海道大学 (971)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【Fターム(参考)】