説明

2成分現像剤

【課題】良好な画像を形成でき、長期にわたって印刷を行った際に画像形成装置内でトナーの飛散が起こりにくい、耐久性に優れた2成分現像剤を提供すること。
【解決手段】結着樹脂中に電荷制御樹脂が分散され、トナー表面に電荷制御樹脂のドメインが形成されており、結着樹脂中での電荷制御樹脂のドメインの小さいほうから数えて99個数%目の分散径が0.30μm以下であり、トナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率が1〜10面積%であるトナーと、凹凸度が1.25以下であるキャリアとにより2成分現像剤を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子写真法、静電記録法等の画像形成方法においては、静電潜像担持体(感光体)の表面をコロナ放電等により帯電させた後、レーザー等により露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成し、さらにこのトナー像を記録媒体に転写して高品質な画像を得ている。通常トナー像の形成に使用するトナーには熱可塑性樹脂等の結着樹脂に、着色剤、電荷制御剤、離型剤等を混合して混練、粉砕、分級を行い平均粒径5〜15μmのトナー粒子としたものが用いられる。そしてトナーに流動性を付与したり、トナーの帯電量の制御を行ったり、転写されずに感光体上に残留したトナーのクリーニング性を向上させたりする目的で、シリカや酸化チタン等の無機微粉末、無機金属微粉末がトナーに外添されている。
【0003】
このようなトナーを用いた現像方式としては、トナー単独を現像剤(1成分現像剤)として用いる1成分現像方式と、トナーとキャリアとを混合した現像剤(2成分現像剤)を用いる2成分現像方式とが知られている。
【0004】
2成分現像方式は、キャリアが摩擦帯電によりトナーを帯電させると共に、トナーを搬送する役割を担うため、初期には帯電性及び搬送性が比較的安定しやすい。しかし、長期にわたって印刷を行うと、外添剤の一部が遊離してキャリア表面に付着し、トナーの帯電性や現像剤の流動性が低下することがあった。また、長期にわたる印刷によりキャリア表面に外添剤が蓄積されると、キャリアの帯電付与能力が低下し、補給されたトナーを十分に帯電させることが困難となり、カブリ等の画像不良やトナー飛散が生じやすかった。
【0005】
2成分現像方式に関するかかる課題を解決する目的で、2成分現像剤において、特定のフェライト成分を有するキャリアコアが被覆されており、体積分布基準の50%粒径(D50)が15.0〜55.0μmであり、凹凸度が1.05〜1.30であるキャリアを使用することが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−154806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、トナーの現像性や、帯電量の安定性には、トナーの表面の構成も大きく影響されるため、特許文献1に記載のキャリアを用いたとしても、2成分現像方式における画像不良やトナーの飛散の発生の解決という課題は必ずしも解消しない。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、良好な画像を形成でき、長期にわたって印刷を行った際に画像形成装置内でトナーの飛散が起こりにくい、耐久性に優れた2成分現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、結着樹脂中に電荷制御樹脂が分散され、トナー表面に電荷制御樹脂のドメインが形成されており、結着樹脂中での電荷制御樹脂のドメインの小さいほうから数えて99個数%目の分散径(以下、ドメインの分散径をドメイン径ともいう)が0.30μm以下であり、トナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率が1〜10面積%であるトナーと、凹凸度が1.25以下であるキャリアとからなる2成分現像剤により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0010】
(1) トナーとキャリアとからなる2成分現像剤であって、
前記トナーは結着樹脂中に電荷制御樹脂が分散され、トナー表面に電荷制御樹脂のドメインが形成されており、
前記結着樹脂中での前記電荷制御樹脂のドメインの小さいほうから数えて99個数%目の分散径が0.30μm以下であり、
トナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率が1〜10面積%であり、
前記キャリアは凹凸度が1.25以下である、2成分現像剤。
【0011】
(2) 前記電荷制御樹脂が、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含む、(1)記載の2成分現像剤。
【0012】
(3) 前記電荷制御樹脂が、前記4級アンモニウム塩官能基含有樹脂とポリスチレン系樹脂との混合物である、(2)記載の2成分現像剤。
【0013】
(4) 前記電荷制御樹脂における、前記ポリスチレン系樹脂の含有量が、前記4級アンモニウム塩官能基含有樹脂100質量部に対して20〜200質量部である、(3)記載の2成分現像剤。
【0014】
(5) 前記電荷制御樹脂のドメインの小さいほうから数えて99個数%目の分散径が0.01〜0.30μmである、(1)から(4)何れか記載の2成分現像剤。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、良好な画像を形成でき、長期にわたって印刷を行った際に画像形成装置内でトナーの飛散が起こりにくい、耐久性に優れた2成分現像剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
【0018】
本発明の2成分現像剤は、トナー表面に特定の分散径の電荷制御樹脂からなるドメインが形成されたトナーと、凹凸度が1.25以下のキャリアからなる。以下、本発明の2成分現像剤で用いるトナー、及びキャリアと、2成分現像剤の製造方法と、本発明の2成分現像剤を用いる画像形成方法とについて順に説明する。
【0019】
[トナー]
本発明において用いるトナーは、結着樹脂中に、電荷制御樹脂を分散させて電荷制御樹脂のドメインが形成されており、電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径が0.3μm以下であり、トナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率が1〜10面積%である。本発明において用いるトナーは、結着樹脂中に、必要に応じ、着色剤、離型剤を含んでいてもよい。また、本発明において用いるトナーは、所望によりその表面が外添剤により処理されたものであってもよい。
【0020】
以下、本発明において用いるトナーを構成する必須、又は任意の成分である、結着樹脂、電荷制御樹脂、着色剤、離型剤、外添剤と、トナーの製造方法とについて順に説明する。
【0021】
〔結着樹脂〕
結着樹脂は、電荷制御樹脂と非相溶であって、結着樹脂と電荷制御樹脂とを混合した際に、結着樹脂中に電荷制御樹脂からなるドメインを形成可能であれば特に限定されず、電荷制御樹脂の種類に応じて種々の熱可塑性樹脂から選択することができる。
【0022】
種々の結着樹脂の中でも、トナー中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、用紙に対する定着性に優れる点から、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合や共縮重合によって得られるものを使用できる。ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のアルコール成分やカルボン酸成分が挙げられる。
【0023】
アルコール成分としては2価又は3価以上のアルコールを使用できる。2価又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類が挙げられる。
【0024】
カルボン酸成分としては2価又は3価以上のカルボン酸を使用できる。2価又は3価以上のカルボン酸成分の具体例としては、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキル又はアルケニルコハク酸等の2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の3価以上のカルボン酸等が挙げられる。これらの2価又は3価以上のカルボン酸成分は、酸ハライド、酸無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成性の誘導体として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
【0025】
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合、その軟化点は、80〜150℃が好ましく、90〜140℃がより好ましい。
【0026】
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、ポリエステル樹脂と共に、ポリエスエテル樹脂と相溶であるポリエステル樹脂の他の熱可塑性樹脂を使用できる。
【0027】
ポリエステル樹脂の他の熱可塑性樹脂の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ポリエステル樹脂の他の熱可塑性樹脂の使用量は、典型的には、ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂の他の熱可塑性樹脂との合計量100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
【0028】
〔電荷制御樹脂(CCR)〕
本発明の2成分現像剤において用いるトナーは、結着樹脂に電荷制御樹脂及び所望により着色剤、離型剤等とを混合して、結着樹脂中に電荷制御樹脂を分散させて電荷制御樹脂のドメインを形成することによって、トナー表面に電荷制御樹脂のドメインが形成されている。電荷制御樹脂の種類は、特に限定されないが、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂が好ましい。また、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂は、必要に応じてポリスチレン系樹脂と混合して用いることもできる。
【0029】
電荷制御樹脂の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。電荷制御樹脂の使用量は、典型的には、トナー断面の面積に対するトナー断面における電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率である電荷制御樹脂のドメインの面積率が1〜10面積%となる量が好ましく、1.5〜5面積%となる量がより好ましい。電荷制御樹脂のドメインの面積率が過小である場合、トナーを所望の帯電量に帯電させ難く、電荷制御樹脂のドメインの面積率が過大である場合、トナーが過剰に帯電されやすく画像不良が発生しやすい。
【0030】
また、結着樹脂中に分散する電荷制御樹脂のドメイン径は、小さいほうから数えて99個数%目の分散径で0.3μm以下である。電荷制御樹脂のドメインの分散径は、0.01〜0.3μmが好ましく、0.05〜0.15μmがより好ましい。結着樹脂中に分散する電荷制御樹脂のドメインの分散径をかかる範囲に調整されたトナーを用いることにより、現像性及び耐久性に優れる2成分現像剤が得られる。
【0031】
結着樹脂中に分散する電荷制御樹脂の小さいほうから数えて99個数%目のドメイン径と、電荷制御樹脂のドメインの面積率とは、トナーの生産時に得られる結着樹脂と電荷制御樹脂との溶融混練物、又はトナーを紫外線硬化性樹脂等に埋包させた試料を用いて測定できる。具体的には、以下の方法に従って電荷制御樹脂のドメイン径とドメインの面積率とを測定できる。まず、試料の断面を研磨して鏡面に仕上げた後に、試料を58℃にて12時間加熱処理した後、エタノール水溶液(エタノール:水=80:20(体積比))に試料を浸漬して超音波洗浄装置(UT−105S(シャープ株式会社製))にて5分間超音波処理して、電荷制御樹脂のドメインが表面から脱落した試料を調製できる。得られた試料の表面における溶融混練物又はトナーの断面を走査型電子顕微鏡により撮影して、結着樹脂中に分散された電荷制御樹脂のドメインの脱落痕の二次電子写真画像(倍率10000倍)を取得し、得られた画像を画像解析ソフトウェア(WinROOF(三谷商事株式会社製))にて二値化処理し、電荷制御樹脂のドメインの脱落痕の径と、試料の表面における溶融混練物又はトナーの断面にかかわる電荷制御樹脂ドメインの面積率とを測定できる。
【0032】
以下、好適な電荷制御樹脂である4級アンモニウム塩官能基含有樹脂について説明する。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂は、4級アンモニウム塩官能基を有する樹脂であれば特に限定されない。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂としては、4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーと、スチレン及び/又はアクリルモノマーとの共重合体を用いるのが好ましい。かかる4級アンモニウム塩官能基含有樹脂は結着樹脂であるポリエステル樹脂と非相溶であるため、ポリエステル樹脂と組み合わせて使用することにより、トナーの表面に所望の状態に分散された電荷制御樹脂のドメインを形成しやすい。
【0033】
4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキル(メタ)アクリルアミド、又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドから第4級化の工程を経て誘導されるモノマーが用いられる。ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、ジアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としてはジメチルメタクリルアミドが挙げられ、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としては、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが挙げられる。3級アミノ基の4級化に用いられる試薬の具体例は、塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル等の炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等の炭素原子数1〜6のアルキルエステルである硫酸エステル;塩化ベンジル等の炭素原子数7〜10のハロゲン化アラルキルである。4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーは、2種以上を組み合わせて使用できる。
【0034】
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂における、4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーに由来する繰り返し単位の量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーに由来する繰り返し単位の好適な量は、具体的には、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を構成する全繰り返し単位に対して、0.1〜20モル%が好ましく、0.5〜10モル%がより好ましい。4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーに由来する繰り返し単位の量が過少である場合、トナーを安定して所望の帯電量に帯電させ難いため、画像濃度の低下や、画像濃度の耐久性が低下しやすくなる。4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーに由来する繰り返し単位の量が過多である場合、高温高湿下での帯電不良、画像不良、画像形成装置内部のトナーによる汚染等が起こりやすくなる。
【0035】
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂の製造に用いられるアクリルモノマーとしては、種々のアクリル酸誘導体又はメタクリル酸誘導体を使用できる。好適なアクリルモノマーの具体例は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド等の他のアクリル酸誘導体である。これらのアクリルモノマーは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0036】
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲で、4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマーと、スチレン及び/又はアクリルモノマーと、これらのモノマーの他の付加重合可能な共重合モノマーとを共重合した樹脂であってもよい。共重合モノマーの具体例は、p−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデン等のN−ビニル化合物である。これらの共重合モノマーは、2種以上を組み合わせてスチレン単量体と共重合できる。
【0037】
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂における、4級アンモニウム塩官能基を有する付加重合可能なモノマー、スチレン、及びアクリルモノマーの他の共重合モノマーに由来する繰り返し単位の量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を構成する全繰り返し単位に対して、30モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
【0038】
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂は、以上説明したモノマーを所望の比率で組み合わせて共重合させて調製できる。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を製造する際の重合方法は、特に限定されず、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等任意の方法を選択できる。
【0039】
電荷制御樹脂として4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を用いる場合、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂は単独で使用できるが、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂とポリスチレン系樹脂とを混合して用いることもできる。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂とポリスチレン系樹脂とを混合して用いる場合、トナーの製造時に結着樹脂と電荷制御樹脂とを溶融混練する際に、電荷制御樹脂が結着樹脂中に特に分散しやすく、所望の状態で電荷制御樹脂のドメインが形成されたトナーの製造が容易である。
【0040】
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂とポリスチレン系樹脂とを混合して使用する場合、その混合方法は両者が均一に混合される限り特に限定されない。4級アンモニウム塩官能基含有樹脂とポリスチレン系樹脂とを混合する方法の具体例としては、一軸押出機又は二軸押出機等を用いる溶融混練や、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂とポリスチレン系樹脂とを有機溶媒に溶解させた後に、有機溶媒を除去する方法が挙げられる。
【0041】
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂と混合するポリスチレン系樹脂は、スチレン単独の重合体であってもよく、スチレンとスチレンの他の共重合モノマーとの共重合体であってもよい。スチレンと共に使用できる共重合モノマーの具体例は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド等の他のアクリル酸誘導体;p−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデン等のN−ビニル化合物である。これらの共重合モノマーは、2種以上を組み合わせてスチレン単量体と共重合できる。
【0042】
ポリスチレン系樹脂における、スチレンに由来する繰り返し単位の量は、ポリスチレン系樹脂を構成する繰り返し単位全量に対して70モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましい。
【0043】
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂とポリスチレン系樹脂とを混合して用いる場合の、ポリスチレン系樹脂の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ポリスチレン系樹脂の使用量は、典型的には、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂100質量部に対して20〜200質量部が好ましく、40〜120質量部がより好ましい。
【0044】
また、電荷制御樹脂は、予め電荷制御樹脂に電荷制御剤を配合して、電荷制御樹脂と電荷制御剤とを均一に混合したうえで用いることもできる。かかる場合、特に、長期間印刷を行ってもトナーの飛散が起こりにくい、耐久性に優れる2成分現像剤を調製しやすい。電荷制御樹脂と電荷制御剤とを均一に混合する方法は、特に限定されず、溶融混練や、電荷制御剤樹脂と電荷制御剤とを、トルエン、キシレン等の溶媒に溶解させた後に、溶媒を除去する方法等が挙げられる。電荷制御剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、通常、電荷制御樹脂の帯電極性と同じ帯電極性の電荷制御剤が用いられる。
【0045】
電荷制御樹脂が4級アンモニウム塩官能基含有樹脂である場合、電荷制御樹脂に配合される電荷制御剤としては、窒素原子を含有する電荷制御剤が好適に使用される。窒素原子を含有する電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディ−プブラックEW、及びアジンディーブラック3RL等のアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体等のニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等のニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの窒素原子を含有する電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
【0046】
電荷制御剤の使用量は、電荷制御剤と電荷制御樹脂との質量の合計に対して、2〜9質量%が好ましく、4〜8質量%がより好ましい。電荷制御剤の使用量が過少であると所望の帯電性を得にくい場合があり、電荷制御剤の使用量が過多であると2成分現像剤の耐久性が損なわれる場合がある。
【0047】
〔着色剤〕
本発明において用いるトナーは、結着樹脂中に着色剤を含んでいてもよい。結着樹脂に配合できる着色剤は、トナーの色に合わせて、公知の顔料や染料を使用できる。トナーに添加する好適な着色剤の具体例としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等の黒色顔料;黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等の黄色顔料;赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGK等の橙色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等の赤色顔料;マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等の紫色顔料;紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC等の青色顔料;クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等の緑色顔料;亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等の白色顔料;バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等の体質顔料が挙げられる。これらの着色剤は、トナーを所望の色相に調整する目的等で2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0048】
着色剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的には、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、3〜7質量部がより好ましい。
【0049】
〔離型剤〕
本発明において用いるトナーは、トナーの定着性や耐オフセット性を向上させる目的で、結着樹脂中に離型剤を含んでいてもよい。結着樹脂に配合できる離型剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。離型剤としてはワックスが好ましく、ワックスの例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等が挙げられる。これらのワックスは2種以上を組み合わせて使用できる。かかる離型剤をトナーに添加することにより、オフセットや像スミアリング(画像をこすった際の画像周囲の汚れ)の発生をより効率的に抑制できる。
【0050】
離型剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的な離型剤の使用量は、トナー全量を100質量部とした場合に、1〜5質量部が好ましい。離型剤の使用量が過少である場合、オフセットや像スミアリングの発生の抑制について所望の効果が得られない場合があり、離型剤の使用量が過多である場合、トナー同士の融着によって保存安定性が低下する場合がある。
【0051】
〔外添剤〕
本発明において用いるトナーは、トナーの流動性、保存安定性、クリーニング性等を改良する目的で、外添剤をトナー母粒子の表面に付着させてもよい。
【0052】
外添剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来からトナー用に使用されている外添剤から適宜選択できる。好適な外添剤の具体例としては、シリカや、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物が挙げられる。これらの外添剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
【0053】
外添剤の粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、典型的には0.01〜1.0μmが好ましい。
【0054】
外添剤の体積固有の抵抗値は、外添剤の表面に酸化スズ及び酸化アンチモンからなる被覆層を形成し、被覆層の厚さや、酸化スズと酸化アンチモンとの比率を変えることにより調整できる。
【0055】
外添剤のトナーに対する使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。外添剤の使用量は、典型的には、トナー100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。かかる範囲の量で外添剤を使用する場合、流動性、保存安定性、クリーニング性に優れるトナーを得やすい。
【0056】
〔トナーの製造方法〕
以下、本発明で用いるトナーの製造方法について説明する。
【0057】
本発明において用いるトナーは、結着樹脂中に、必須である電荷制御樹脂と必要に応じて、着色剤、離型剤等の成分を混合後溶融混練し、得られた混練物を粉砕・分級することにより製造できる。静電荷像現像用トナーの製造に用いる溶融混練装置は特に限定されず、熱可塑性樹脂の溶融混練に使用される装置から適宜選択できる。混練装置の具体例としては、一軸又は二軸の押出機等が挙げられる。粉砕・分級されたトナーの平均粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、一般的には、5〜10μmが好ましい。
【0058】
本発明において用いるトナーは、結着樹脂中に分散する電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径が0.3μm以下である。電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径は0.01〜0.3μmが好ましく、0.05〜0.15μmがより好ましい。結着樹脂中に分散する電荷制御樹脂のドメイン径をかかる範囲に調整されたトナーを用いることにより、現像性及び耐久性に優れる2成分現像剤が得られる。
【0059】
電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径は、溶融混練条件を適宜調節することにより調整できる。電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径をより小さくするための方法の具体例としては、混練装置への材料の供給量の低減、及び/又は混練装置内での被混練物の滞留時間の延長が挙げられる。混練装置が押出機である場合、軸の回転数の低下、L/Dの大きな混練装置の使用等により、被混練物の滞留時間を延長できる。
【0060】
このようにして得られるトナーは、必要に応じて、その表面を外添剤により処理してもよい。外添剤によるトナーの処理方法は特に限定されず、従来知られる外添剤による処理方法から適宜選択できる。具体的には、外添剤の粒子がトナー母粒子に埋め込まれないように処理条件を調整し、ヘンシェルミキサーやナウターミキサー等の混合機によって、外添剤による処理が行われる。
【0061】
[キャリア]
以下、本発明の2成分現像剤において用いるキャリアについて説明する。本発明において用いるキャリアは、凹凸度1.25以下である。キャリアの凹凸度は以下の方法に従って測定できる。
【0062】
<凹凸度測定方法>
走査型電子顕微鏡(SEM)(JSM−7600F(日本電子株式会社製))により、キャリア表面の二次電子写真画像(倍率:500倍)を撮影する。撮影したSEM写真を、画像解析ソフトウェア(WinRoof(三谷商事株式会社製))にて画像処理し、キャリアの周囲長(μm)と面積(μm)とを算出し、下式によってキャリアの凹凸度を算出する。
(凹凸度計算式)
凹凸度=(周囲長)/(面積×4π)
【0063】
好適なキャリアとしては、キャリアコアが樹脂により被覆されたものが挙げられる。キャリアコアの具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、コバルト等の粒子や、これらの材料とマンガン、亜鉛、アルミニウム等との合金の粒子、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金等の粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ニオブ酸リチウム等のセラミックスの粒子、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ロッシェル塩等の高誘電率物質の粒子、樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリア等が挙げられる。
【0064】
キャリアコアを被覆する樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、アミノ樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0065】
凹凸度が1.25以下のキャリアの製造法は特に限定されず、例えば、キャリアコアを樹脂で被覆した後にキャリア表面に機械的及び機械的又は熱的応力を加え、キャリア表面の凹凸量を低減させる方法が挙げられる。また、キャリアコアを金属酸化物の焼成によって製造する場合、キャリアコア製造時の本焼成の温度を変えることにより、キャリアコアの凹凸度を調整でき、その結果キャリアの凹凸度も調整できる。
【0066】
キャリアの粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、電子顕微鏡により測定される粒子径で、20〜200μmが好ましく、30〜150μmがより好ましい。
【0067】
キャリアの見掛け密度は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。見掛け密度は、キャリアの組成や表面構造によって異なるが、典型的には、2.4〜3.0g/cmが好ましい。
【0068】
[2成分現像剤の製造方法]
2成分現像剤の製造方法は、トナーとキャリアとを均一に混合できれば特に限定されず、例えば、ボールミル等の混合装置によりトナーとキャリアとを混合すればよい。2成分現像剤におけるトナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%が好ましい。2成分現像剤におけるトナーの含有量をかかる範囲とすることにより、適度な画像濃度を維持し、トナー飛散の抑制によって画像形成装置内部の汚染や転写紙等へのトナーの付着を抑制できる。
【0069】
[画像形成方法]
本発明の2成分現像剤は、2成分現像方式により画像を形成する種々の画像形成装置において使用できる。ここでは、2成分現像方式の中でも、画質、及び寿命の点で好適な現像方式であるタッチダウン現像方式について、図1を参照して説明する。
【0070】
タッチダウン現像方式は、磁気ロールの表面上に2成分現像剤により磁気ブラシを形成し、磁気ブラシから、トナーのみを、感光体に対面配置された現像ロールの表面に移送させてトナー層を形成し、トナー層からトナーを飛翔させて、感光体表面の静電潜像をトナー像として現像する方式である。
【0071】
図1に記載のタッチダウン現像方式の画像形成装置10は、ドラム状の感光体11と、感光体11の表面を帯電させる帯電部12と、感光体11の表面を露光して静電潜像を形成する露光部13と、静電潜像をトナーにより現像して静電潜像をトナー像とする現像部14と、トナー像を、感光体11から、無端ベルト15上を移動する被転写体へと転写する転写部16と、感光体の表面をクリーニングするクリーニング部17とを具備する。
【0072】
感光体11としては、セレン、アモルファスシリコン等の無機感光体;導電性基体上に電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂等を含有する単層又は積層の感光層が形成された有機感光体等が挙げられる。帯電部12としては、スコロトロン方式、帯電ロール、帯電ブラシ等が挙げられる。露光部13、転写部16、クリーニング部17としては、公知のものを用いればよい。
【0073】
現像部14は、2成分現像剤によってその表面上に磁気ブラシが形成される磁気ロール18(現像剤担持体)と、磁気ロール18上に形成される磁気ブラシ(図示略)から移送されるトナーによってその表面上にトナー層(図示略)が形成される現像ロール19(トナー担持体)と、磁気ロール18へ直流(DC)バイアスを印加する電源20と、現像ロール19へ直流(DC)バイアスを印加する電源22と、現像ロール19へ交流(AC)バイアスを印加する電源24と、磁気ロール18上に形成された磁気ブラシの高さを一定に保つための規制ブレード26と、トナーが収納されるコンテナ28と、2成分現像剤のトナーを帯電させる撹拌ミキサー30と、撹拌ミキサー30から供給される2成分現像剤を、撹拌しながら磁気ロール18へ供給するパドルミキサー34と、撹拌ミキサー30とパドルミキサー34の間を仕切る仕切板32(現像剤は仕切板32と後述の枠体36との間の図示しない流通路を経て撹拌ミキサー30からパドルミキサー34に供給される)、磁気ロール18、現像ロール19、撹拌ミキサー30及びパドルミキサー34を収納する枠体36とを具備する。磁気ロール18は、内部に複数の固定磁石が配設されており、スリーブ状の磁気ロール18が該固定磁石の周囲を回転可能となっている。また、現像ロール19は、感光体11の対面に配置されている。
【0074】
図1に示されるタッチダウン現像方式の画像形成装置では、例えば、感光体11の表面を帯電部12により帯電させる帯電工程と、感光体11の表面を露光部13により露光して静電潜像を形成する露光工程と、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤により磁気ブラシを形成し、磁気ブラシからトナーのみを分離させてトナー層を形成し、トナー層のトナーを感光体11の表面の静電潜像の露光した部分に付着させてトナー像とする現像工程とを有する方法により画像が形成される。
【0075】
具体的な画像形成方法は以下の通りである。まず、帯電部12によって感光体11の表面を帯電させ、次いで、露光部13によって感光体11の表面を露光して静電潜像を形成する。一方、現像部14において、撹拌ミキサー30にて2成分現像剤のトナーを帯電させ、該2成分現像剤を、パドルミキサー34により磁気ロール18へと供給し、その表面に担持させて磁気ブラシを形成させ、該磁気ブラシからトナーのみを現像ロール19の表面に移送させて現像ロール19の表面にトナー層を形成させる。
【0076】
そして、現像ロール19のトナー層からトナーを飛翔させ、感光体11の静電潜像の露光した部分にトナーを付着させて静電潜像をトナー像として現像する。ついで、トナー像を、転写部16によって、感光体11から、無端ベルト15上を移動する被転写体へ転写して、画像が形成される。また、別途、転写工程後の感光体11の表面を、クリーニング部17を用いてクリーニングする。以上の工程は、繰り返し行われる。
【0077】
コンテナ28から供給されたトナーは、撹拌ミキサー30でキャリアと混合され、2成分現像剤とされる。
【0078】
以上説明した、本発明の2成分現像剤は、帯電性に優れるため良好な画像を形成できる。また、2成分現像方式、特にタッチダウン現像方式では、画像形成装置内でのトナーの飛散が問題となるが、本発明の2成分現像剤は、含有するキャリアの耐久性に優れ、長期にわたって使用してもトナーの飛散が生じにくい。このため、本発明の2成分現像剤は、2成分現像方式を用いる種々の画像形成装置において好適に使用される。
【実施例】
【0079】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例によりなんら限定されるものではない。
【0080】
実施例、及び比較例では、電荷制御樹脂に含まれる樹脂、及び電荷制御剤として、以下のRES1、RES2、及びCCA1を用いた。
RES1:4級アンモニウム塩官能基含有樹脂(FCA−201PS(藤倉化成株式会社製)、4級アンモニウム塩官能基を有するモノマーに由来する単位の含有量は5モル%である)
RES2:ポリスチレン(G100C(東洋スチレン株式会社製))
CCA1:4級アンモニウム塩電荷制御剤(BONTRON P−51(オリヱント化学工業株式会社製))
【0081】
また、実施例、及び比較例において、電荷制御樹脂として以下の参考例で調製した、電荷制御樹脂A〜電荷制御樹脂E(CCR−A〜CCR−E)を用いた。
【0082】
〔参考例〕
(電荷制御樹脂Aの製造)
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂(RES1)30質量部、及びポリスチレン(RES2)23質量部をトルエン500質量部に溶解させた。得られた溶液の溶媒を50℃で減圧下に除去し、電荷制御樹脂A(CCR−A)を得た。
【0083】
(電荷制御樹脂Bの製造)
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂(RES1)35質量部、及びポリスチレン(RES2)25質量部をトルエン500質量部に溶解させた。得られた溶液の溶媒を50℃で減圧下に除去し、電荷制御樹脂B(CCR−B)を得た。
【0084】
(電荷制御樹脂Cの製造)
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂(RES1)30質量部、及びポリスチレン(RES2)60質量部をトルエン500質量部に溶解させた。得られた溶液の溶媒を50℃で減圧下に除去し、電荷制御樹脂C(CCR−C)を得た。
【0085】
(電荷制御樹脂Dの製造)
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂(RES1)30質量部、及びポリスチレン(RES2)70質量部をトルエン500質量部に溶解させた。得られた溶液の溶媒を50℃で減圧下に除去し、電荷制御樹脂D(CCR−D)を得た。
【0086】
(電荷制御樹脂Eの製造)
4級アンモニウム塩官能基含有樹脂(RES1)50質量部、及び4級アンモニウム塩電荷制御剤(CCA1)5質量部をトルエン500質量部に溶解させた。得られた溶液の溶媒を50℃で減圧下に除去し、電荷制御樹脂E(CCR−E)を得た。
【0087】
〔実施例1〕
(キャリアコアの製造)
LiOを12.9mol%と、MgOを6.5mol%と、Feを80.6mol%と、MnOを0.02mol%と、CuOを0.002mol%とを湿式ボールミルで5時間かけて粉砕・混合し、得られた混合物を乾燥させた。乾燥された混合物を850℃で1時間保持して仮焼成を行なった。仮焼成された混合物を湿式ボールミルで7時間かけて粉砕し、粒子径3μm以下の粒子が分散したスラリーを得た。このスラリーに適量の分散剤及びバインダー(ポリビニルアルコール)を添加した後、スラリーをスプレードライヤーにより乾燥して造粒した。得られた造粒物を電気炉にて、1400℃で4時間保持して本焼成を行った。得られた焼成物を解砕した後、目開き250μmの篩で篩別して粗大粒子を除去し、次いで風力分級して粒度を調整してキャリアコアAを得た。そのとき得られたキャリアコアの凹凸度は1.08であった。なお、キャリアコアの凹凸度は以下の方法に従って測定した。
【0088】
<凹凸度測定方法>
走査型電子顕微鏡(SEM)(JSM−7600F(日本電子株式会社製))により、キャリア表面の二次電子写真画像(倍率:500倍)を撮影する。撮影したSEM写真を、画像解析ソフトウェア(WinRoof(三谷商事株式会社製))にて画像処理し、キャリアの周囲長(μm)と面積(μm)とを算出し、式1によってキャリアの凹凸度を算出する。
(凹凸度計算式)
凹凸度=(周囲長)/(面積×4π)
【0089】
(キャリアの製造)
シリコーン樹脂(KR271(信越シリコーン株式会社製))20質量部をトルエン200質量部に溶解させて、塗布液を作製した。流動層塗布装置によりキャリアコア1000質量部に塗布液を噴霧塗布した後、200℃で60分間熱処理して、キャリアAを得た。キャリアAの凹凸度は1.11であった。また、キャリアの粒子径をレーザー回折方式の粒度分布測定装置(LA500(株式会社堀場製作所製))を用いて測定したところ、平均粒径(D50)は35μmであった。
【0090】
(トナーの製造)
ポリエステル樹脂(結着樹脂、タフトンNE−7200(花王株式会社製))100質量部、カルナバワックス(離型剤、C1(加藤洋行株式会社製))5.5質量部、カーボンブラック(着色剤、MA100(三菱化学株式会社製))4質量部、及びCCR−A5.3質量部を、ヘンシェルミキサー(FM−20B(日本コークス株式会社製))を用いて、240rpmの条件にて混合した。得られた混合物を、二軸押出機(PCM−30(株式会社池貝製))を用いて、材料供給速度5kg/hr、軸回転数160rpm、シリンダー温度130℃の条件にて溶融混練した後、得られた混練物をロートプレックスミル(8/16型(株式会社東亜器機製作所製))にて粗粉砕した後、ジェットミル(超音波ジェットミルI型(日本ニューマチック工業株式会社製))で微粉砕し、得られた微粉砕品をエルボージェット(EJ−LABO型(日鉄鉱業株式会社製))で分級して、体積平均粒子径6.8μmの黒色のトナーを得た。得られたトナー100質量部に対して、外添剤として、疎水性シリカ微粒子(RA−200H(日本アエロジル株式会社製))1質量部、及び酸化チタン微粒子(ST−100(チタン工業株式会社製))0.5質量部を加え、ヘンシェルミキサー(FM−20B(日本コークス株式会社製))により混合して、外添処理されたトナー(トナーA)を得た。
【0091】
<電荷制御樹脂のドメインの、分散径及び面積率の測定>
トナーの製造工程において二軸押出機による溶融混練及び冷却により得られた混練物を、研磨機(ドクターラップML−180SL(株式会社マルトー製))に装着し、#220、#800、#2000の順にサンドペーパーにより研磨した。さらに、粒子径3μmのダイヤモンドスラリー、粒子径1μmのダイヤモンドスラリー、粒子径0.1μmのアルミナを順に用いて研磨し、混練物の表面を鏡面仕上げした。鏡面仕上げされた溶融混練物の試料を58℃にて12時間加熱した後、エタノール水溶液(エタノール:水=80:20(体積比))に浸漬して超音波洗浄機(UT−105S(シャープ株式会社製))にて5分間超音波処理した。超音波処理により、試料表面の電荷制御樹脂のドメインが脱落し、電荷制御樹脂のドメインの脱落痕が形成される。超音波処理された試料を乾燥した後、走査型電子顕微鏡(JSM−7600F(日本電子株式会社製))により、試料の表面の二次電子写真画像(倍率10000倍)を撮影した。撮影したSEM写真を、画像解析ソフトウェア(WinROOF(三谷商事株式会社製))にて二値化処理し、電荷制御樹脂のドメインの脱落痕の小さいほうから99個数%目の径と、試料の表面における電荷制御樹脂ドメインの面積率とを測定した。
【0092】
(2成分現像剤の作成)
キャリアA100質量部と外添処理されたトナーA12質量部とを、ボールミルにより30分混合して2成分現像剤を得た。
【0093】
得られた2成分現像剤Aを用いて、下記の方法に従って、現像性の指標となる追従性と、耐久性とを評価した。
【0094】
<追従性評価>
2成分現像剤AとトナーAとを使用して、京セラミタ株式会社製複合機(TASKalfa500Ci)を用いて、A3全面ベタ画像を印刷し、先端3cmと後端3cmの画像濃度(画像ID)の差を、反射濃度計(Spectro Eye(グレタグマクベス社製))により測定した。先端と後端との画像IDの差が0.1以下を良と判定し、0.1超を不良と判定した。
【0095】
<耐久性評価>
2成分現像剤AとトナーAとを使用して、京セラミタ株式会社製複合機(TASKalfa500Ci)を用いて、5%濃度で10000枚連続印刷を行い、複合機内部のトナー飛散量を測定する。飛散量が100mg以下を良と判定し、100mg超を不良と判断した。
【0096】
実施例1で用いたトナーAの、電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径、及びトナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率である面積率と、実施例1の2成分現像剤Aの追従性、及び耐久性の評価結果を表1に記す。
【0097】
〔実施例2〕
焼成温度を1300℃に変えることの他は、実施例1と同様にキャリアコアBを製造した。キャリアコアBを用いることの他は実施例1と同様にキャリアBを製造した。キャリアBの凹凸度は1.16であった。キャリアB100質量部と、トナーA12質量部とを、ボールミルにより30分混合して2成分現像剤Bを得た。実施例2の2成分現像剤Bの追従性、及び耐久性の評価結果を表1に記す。
【0098】
〔実施例3〕
焼成温度を1200℃に変えることの他は、実施例1と同様にキャリアコアCを製造した。キャリアコアCを用いることの他は実施例1と同様にキャリアCを製造した。キャリアCの凹凸度は1.25であった。キャリアC100質量部と、トナーA12質量部とを、ボールミルにより30分混合して2成分現像剤Cを得た。実施例3の2成分現像剤Cの追従性、及び耐久性の評価結果を表1に記す。
【0099】
〔実施例4〕
CCR−Aの使用量を10.6質量部に変えることの他は、実施例1と同様にして外添処理されたトナー(トナーB)を得た。キャリアC100質量部とトナーB12質量部とを、ボールミルにより30分混合して2成分現像剤Dを得た。実施例4で用いたトナーBの、電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径、及びトナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率である面積率と、実施例4の2成分現像剤Dの追従性、及び耐久性の評価結果を表1に記す。
【0100】
〔実施例5〕
CCR−Aの使用量を2.9質量部に変えることの他は、実施例1と同様にして外添処理されたトナー(トナーC)を得た。キャリアC100質量部とトナーC12質量部とを、ボールミルにより30分混合して2成分現像剤Eを得た。実施例5で用いたトナーCの、電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径、及びトナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率である面積率と、実施例5の2成分現像剤Eの追従性、及び耐久性の評価結果を表1に記す。
【0101】
〔実施例6〕
CCR−A5.3質量部をCCR−B6質量部に変えることの他は、実施例1と同様にして外添処理されたトナー(トナーD)を得た。キャリアC100質量部とトナーD12質量部とを、ボールミルにより30分混合して2成分現像剤Fを得た。実施例6で用いたトナーDの、電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径、及びトナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率である面積率と、実施例6の2成分現像剤Fの追従性、及び耐久性の評価結果を表1に記す。
【0102】
〔実施例7〕
CCR−A5.3質量部をCCR−C9質量部に変えることの他は、実施例1と同様にして外添処理されたトナー(トナーE)を得た。キャリアC100質量部とトナーE12質量部とを、ボールミルにより30分混合して2成分現像剤Gを得た。実施例7で用いたトナーEの、電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径、及びトナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率である面積率と、実施例7の2成分現像剤Gの追従性、及び耐久性の評価結果を表1に記す。
【0103】
〔実施例8〕
CCR−A5.3質量部をCCR−E4.4質量部に変えることの他は、実施例1と同様にして外添処理されたトナー(トナーF)を得た。キャリアA100質量部とトナーF12質量部とを、ボールミルにより30分混合して2成分現像剤Hを得た。実施例8で用いたトナーFの、電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径、及びトナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率である面積率と、実施例8の2成分現像剤Hの追従性、及び耐久性の評価結果を表1に記す。
【0104】
〔比較例1〕
焼成温度を1100℃に変えることの他は、実施例1と同様にキャリアコアDを製造した。キャリアコアDを用いることの他は実施例1と同様にキャリアDを製造した。キャリアDの凹凸度は1.30であった。キャリアD100質量部と、トナーA12質量部とを、ボールミルにより30分混合して2成分現像剤Hを得た。比較例1の2成分現像剤Hの追従性、及び耐久性の評価結果を表2に記す。
【0105】
〔比較例2〕
CCR−A5.3質量部をCCR−D9質量部に変えることの他は、実施例1と同様にして外添処理されたトナー(トナーF)を得た。キャリアA100質量部とトナーF12質量部とを、ボールミルにより30分混合して2成分現像剤Iを得た。比較例2で用いたトナーFの、電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径、及びトナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率である面積率と、比較例2の2成分現像剤Iの追従性、及び耐久性の評価結果を表2に記す。
【0106】
〔比較例3〕
CCR−A5.3質量部をCCR−D10質量部に変えることの他は、実施例1と同様にして外添処理されたトナー(トナーG)を得た。キャリアA100質量部とトナーG12質量部とを、ボールミルにより30分混合して2成分現像剤Jを得た。比較例3で用いたトナーGの、電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径、及びトナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率である面積率と、比較例3の2成分現像剤Jの追従性、及び耐久性の評価結果を表2に記す。
【0107】
〔比較例4〕
CCR−Aの使用量を1.8質量部に変えることの他は、実施例1と同様にして外添処理されたトナー(トナーH)を得た。キャリアA100質量部とトナーH12質量部とを、ボールミルにより30分混合して2成分現像剤Kを得た。なお、比較例4で用いたトナーHについて、電荷制御樹脂のドメイン径の測定を試みたが、電子顕微鏡写真を確認したところトナーの表面に電荷制御樹脂のドメインの脱落痕は確認できなかった。比較例4の2成分現像剤Kの追従性、及び耐久性の評価結果を表2に記す。
【0108】
【表1】

【0109】
【表2】

【0110】
実施例1〜8より、凹凸度が1.25以下であるキャリアと、電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径が0.3μm以下であり、トナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率である面積率が1〜10面積%であるトナーとを用いることにより、追従性、耐久性ともに優れた2成分現像剤が得られることが分かる。
【0111】
比較例1より、電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径が0.3μm以下であり、トナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率である面積率が1〜10面積%であるトナーを用いても、凹凸度が1.25を超えるキャリアを用いる場合、2成分現像剤の追従性が損なわれることが分かる。
【0112】
比較例2より、凹凸度が1.25以下であるキャリアを用い、トナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率である面積率が1〜10面積%であっても、トナーにおける電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径が0.3μmを超える場合、2成分現像剤の追従性が損なわれることが分かる。
【0113】
比較例3より、凹凸度が1.25以下であるキャリアを用い、トナーにおける電荷制御樹脂の小さいほうから99個数%目のドメイン径が0.3μm以下であっても、トナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率である面積率が10面積%を超える場合、2成分現像剤の追従性が損なわれることが分かる。
【0114】
比較例4より、凹凸度が1.25以下であるキャリアを用い、結着樹脂と電荷制御樹脂とが混練されたトナーを用いていても、トナーの表面に電荷制御樹脂のドメインが形成されない場合、2成分現像剤の耐久性が損なわれることが分かる。
【符号の説明】
【0115】
10 画像形成装置
11 感光体
12 帯電部
13 露光部
14 現像部
15 無端ベルト
16 転写部
17 クリーニング部
18 磁気ロール
19 現像ロール
20 電源
22 電源
24 電源
26 規制ブレード
28 コンテナ
30 撹拌ミキサー
32 仕切板
36 枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアとからなる2成分現像剤であって、
前記トナーは結着樹脂中に電荷制御樹脂が分散され、トナー表面に電荷制御樹脂のドメインが形成されており、
前記結着樹脂中での前記電荷制御樹脂のドメインの小さいほうから数えて99個数%目の分散径が0.30μm以下であり、
トナー断面の面積に対する電荷制御樹脂のドメインの面積の和の比率が1〜10面積%であり、
前記キャリアは凹凸度が1.25以下である、2成分現像剤。
【請求項2】
前記電荷制御樹脂が、4級アンモニウム塩官能基含有樹脂を含む、請求項1に記載の2成分現像剤。
【請求項3】
前記電荷制御樹脂が、前記4級アンモニウム塩官能基含有樹脂とポリスチレン系樹脂との混合物である、請求項2記載の2成分現像剤。
【請求項4】
前記電荷制御樹脂における、前記ポリスチレン系樹脂の含有量が、前記4級アンモニウム塩官能基含有樹脂100質量部に対して20〜200質量部である、請求項3記載の2成分現像剤。
【請求項5】
前記電荷制御樹脂のドメインの小さいほうから数えて99個数%目の分散径が0.01〜0.30μmである、請求項1から4何れか記載の2成分現像剤。

【図1】
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