説明

2段階同伴ガス化装置および方法

本発明は、原料、例えば炭素質材料などをガス化させるための装置および方法に関する。本発明は、乾燥固体をある程度燃焼させそして炭素質材料スラリーの熱分解を2つの個別反応槽部分中で起こさせることで合成ガスを含有して成る混合生成物を生じさせることを包含する。本発明では、合成ガスからタールを除去する目的で触媒もしくは吸着床を1床以上用いる。本発明の装置および方法を用いると、ガス化をより高いスラリー供給速度およびより低い温度で実施することが可能になることで、生成タール量の管理、従って全体的ガス化の変換効率を向上させることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、原料、例えば炭素質材料などをガス化させるためのガス化装置および方法に関する。炭素質材料をガス化させる目的で基本的な3種類の装置および方法が開発された。それらは(1)固定床ガス化、(2)流動床ガス化および(3)懸濁もしくは同伴ガス化である。本発明は3番目の種類の装置および方法、即ち懸濁もしくは同伴ガス化に関する。より詳細には、本発明は、炭素質材料をガス化させるための2段階同伴ガス化(two stage entrained gasification)装置および方法に関する。
【0002】
ガス化装置および方法はしばしば一般に固体状の原料、例えば炭素質材料などを好ましい気体状生成物、例えば合成ガスなどに変化させようとする時に適用される。ガス化装置および方法の設計は簡潔であっても最大限の変換効率がもたらされるように行われるべきである。
【発明の要約】
【0003】
本発明の1つの面は、炭素質材料のガス化方法に関し、この方法は、a)再利用チャーを反応槽下部に導入しそしてその中で前記再利用チャーを酸素含有ガスおよび/または蒸気を含有して成る流れと一緒にしてある程度燃焼させることで熱を発生させかつ合成ガスと融解スラグを含有して成る混合生成物を生じさせ、b)前記合成ガスを前記反応槽下部から上方に移行させて反応槽上部に入らせそしてその中で粒子状炭素質材料が液状担体に入っているスラリーを含有して成る流れと一緒にして熱分解を起こさせることでi)合成ガスと残存タールを含有して成る気体状生成物流れ、ii)チャーおよびiii)気相を含有して成る混合生成物を生じさせ、c)前記混合生成物を前記反応槽上部から分離装置に通すことで前記反応槽上部から来た前記混合生成物から前記チャーを分離させそして前記反応槽下部に導入すべき供給原料として再循環させ、そしてd)前記反応槽上部から来た合成ガスと残存タールを含有して成る前記気体状生成物流れを反応ゾーンに導入することで前記残存タールを除去する段階を含んで成る。液状である前記担体と粒子状炭素質材料のスラリーを段階(b)で気体状生成物流れに変化させることで前記段階(a)において発生した熱を回収する。本発明の1つの態様では、前記反応槽上部から来た合成ガスと残存タールを含有して成る気体状生成物流れを1種以上のタール分解用触媒を含有して成る触媒床を1床以上含有させておいた反応ゾーンの中に導入する。本発明の別の態様では、前記反応槽上部から来た合成ガスと残存タールを含有して成る気体状生成物流れを1種以上のタール吸着用吸着剤を含有して成る吸着床を1床以上含有させておいた反応ゾーンの中に導入する。
【0004】
本発明の別の面は、炭素質材料ガス化用装置に関し、この装置は、a)再利用チャーを酸素含有ガスおよび/または蒸気を含有して成る流れと一緒にしてある程度燃焼させて熱を発生させかつ合成ガスと融解スラグを含有して成る混合生成物を生じさせるための反応槽下部、b)前記反応槽下部から来た前記合成ガスを粒子状炭素質材料が液状担体に入っているスラリーを含有して成る流れと一緒にして熱分解を起こさせてi)合成ガスと残存タールを含有して成る気体状生成物流れ、ii)チャーおよびiii)気相を含有して成る混合生成物を生じさせるための反応槽上部、c)前記反応槽上部から来た前記混合生成物から前記チャーを分離させるための分離装置、およびd)前記反応槽上部から来た合成ガスと残存タールを含有して成る前記気体状生成物から残存タールを除去するための反応ゾーンを含有して成る。反応槽上部内で液状である前記担体と粒子状炭素質材料のスラリーを反応槽上部内で気体状生成物流れに変化させることで反応槽下部で生じた前記熱を回収する。前記反応槽下部に更に前記酸素含有ガスと蒸気を含有して成る流れおよび再利用
チャーを前記反応槽下部に導入するための1種以上の分散装置も含有させる。前記反応槽上部に更に前記粒子状炭素質材料が液状担体に入っているスラリーを前記反応槽上部に供給するための1種以上の供給装置も含有させる。前記反応槽上部を、これらに限定するものでないが、前記反応槽下部の上方に位置させてもよい。本発明の1つの態様では、前記反応槽上部から来た合成ガスと残存タールを含有して成る気体状生成物から残存タールを除去するための反応ゾーンに、1種以上のタール分解用触媒を含有して成る触媒床を1床以上含有させる。本発明の別の態様では、前記反応槽上部から来た合成ガスと残存タールを含有して成る気体状生成物から残存タールを除去するための反応ゾーンに、1種以上のタール吸着用吸着剤を含有して成る吸着床を1床以上含有させる。
【0005】
前記反応槽下部の温度を1500度Fから3500度Fに維持する。前記反応槽下部および反応槽上部内の圧力を約14.7psigから約2000psigにする。前記ガスおよびチャーを前記反応槽下部の分散装置に通す速度を1秒当たり20から120フィートにする。前記チャーが前記反応槽下部に滞留する時間を2から10秒にする。前記スラリーの流れを前記反応槽上部の供給装置に通す速度を1秒当たり5から100フィートにする。前記粒子状炭素質材料のスラリーが前記反応槽上部に滞留する時間を5から40秒にする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の態様をより詳細に説明する目的で、ここに、添付図を参照する。
【図1】図1は、本発明に関連した1つの態様で用いるに有用な装置および図的工程流れ図を示す図式図である。
【図2】図2は、本発明に関連した代替態様で用いるに有用な装置および図的工程流れ図を示す図式図である。
【好適な態様の詳細な説明】
【0007】
以下に行う本発明の様々な態様の詳細な説明を本発明の実施を可能にする具体的態様を例示する添付図を参照にして行う。本態様は当業者による本発明の実施を可能にするに充分なほど本発明の面を詳細に説明することを意図したものである。他の態様も利用可能でありかつ本発明の範囲から逸脱しない限り変更を行ってもよい。従って、以下に行う詳細な説明は限定の意味で解釈されるべきでない。本発明の範囲を限定するのは添付請求項に加えて本請求項に与えられる相当物の全範囲によってのみである。
【0008】
図1を参照して、本発明の様々な態様でガス化反応槽を提供するが、これを一般に参照数字10で示し、これには反応槽下部30と反応槽上部40が含まれている。本ガス化方法の1番目の段階を反応槽下部30の中で起こさせそして本ガス化方法の2番目の段階を反応槽上部40の中で起こさせる。反応槽下部30は1番目の段階の反応ゾーンを限定している。この反応槽下部30をまた1番目の段階の反応ゾーンとも呼ぶ。反応槽上部40は2番目の段階の反応ゾーンを限定している。この反応槽上部40をまた2番目の段階の反応ゾーンとも呼ぶ。
【0009】
更に図1を参照して、酸素含有ガスまたは蒸気を含有して成る高圧流れおよび再利用チャーをガス化反応槽10の下部30の中に分散装置60および/または60aに通して入らせるが、前記分散装置60および/または60aを例えば前記反応槽下部30の相対する側などに位置させる。分散装置を3個以上用いることも可能であり、例えば4個を90度離して配置してもよい。また、数組の分散装置を異なる高さの所に位置させることも可能でありかつ必ずしも同じ面に存在させる必要もない。ガス化反応槽10の反応槽下部30(また1番目の段階の反応ゾーン)の中で、酸素含有ガスおよび/または蒸気を含有し
て成る流れと再利用チャーの反応をこれらの反応体の混合および反応が迅速に起こりかつこれらの反応体の回転運動が上方に向かう、例えば(これらに限定するものでないが)反応槽10の下部30の中を通る渦巻きなどが起こるような様式で起こさせる。反応槽下部30の中で起こる反応がガス化工程の1番目の段階であり、それによって、酸素含有ガスまたは蒸気を含有して成る流れと再利用チャーが以下により詳細に開示する如き反応槽下部30内の反応条件下で発熱的に混合生成物に変化するが、その混合生成物は、蒸気、合成ガス、中間的ガスおよび同伴副生成物、例えば融解スラグなどを含有して成る。その融解スラグを反応槽10の底からタップホール20に通して排出させて、最終処分用のスラグ処理装置(示していない)に向かわせる。
【0010】
その後、前記蒸気、中間体および合成ガスは反応槽下部30から上方に流れることによってそこから出て非加熱反応槽上部40の中に入るが、その中に、粒子状炭素質固体と液状担体のスラリーを供給装置80および/または80aまたは追加的供給装置に通して注入する。反応槽下部30の中で発生して気体流れによって上方に運ばれた熱は前記非加熱反応槽上部40の中で起こさせる熱分解工程(および/または合成ガスが2番目の段階の反応ゾーンの中で起こすガス濃縮)で用いられる(供給水の蒸発、炭素と蒸気の反応、およびCOとHOの間の水−気体反応を包含)。その炭素−蒸気の反応によってCOとHが生じ、このようにして、利用可能なガスの収率が高くなる。加熱反応槽下部30(または反応槽10の1番目の段階の反応ゾーン)は主に燃焼型反応槽である一方、反応槽上部40は主にクエンチ型反応槽(これによってもガスの加熱値が高くなる)である。このように、非加熱反応槽上部40の中で起こる反応によって、ある程度の燃焼が起こる加熱反応槽下部30の中で生じた気体の富裕化が起こることで、もたらされる合成ガスの等級がより高くなり、かつそれによって、反応槽下部30からの熱の回収が起こりかつガスの冷却が同伴スラグの温度が灰溶融物の初期変形温度より低くなりかつ揮発性有機および無機種が凝縮して粒子状炭素質材料に吸着されるに充分なほど起こる。冷却が灰の初期変形温度より低い温度まで起こると、同伴スラグの液滴が熱伝達表面に到達する前にそれ自身または粒子状炭素質材料に融合し、従って熱伝達表面に粘着することが起こらなくなる。反応槽上部40の中の反応条件を以下により詳細に開示する。
【0011】
本発明の1つの態様では、図1に示すように、反応槽10の非加熱反応槽上部40を反応槽10の加熱反応槽下部30の頭頂に熱反応生成物が反応槽下部30から反応槽上部40に直接運ばれることで気体状反応生成物および同伴固体が起こす熱損失が最小限になるように直接連結させる。
【0012】
図1に示すように、ガス化反応によって生じたチャーを取り出して再循環させることで炭素変換率を高くしてもよい。例えば、チャーを分散装置60および/または60a(または他)に通して反応槽下部、即ちこの上で考察した如き1番目の反応ゾーンの中に再循環させてもよい。
【0013】
分散装置60および60aによって、粒子状固体、例えばチャーなどの霧化供給材料を生じさせる。その分散装置は、固体用の中心管とこの中心管を取り巻く環状空間部(この中に霧化ガスが入り、内的または外的に一般的混合ゾーンに開放されている)を有する種類のものであってもよい。その上、非加熱反応槽上部40の供給装置80および/または80aもまた本明細書の上に記述した分散装置と同様であってもよいか、或はスラリー供給用の管を有する簡単なものであってもよい。分散装置60、60aまたは供給装置80、80aは当業者に通常知られたものであり得る。
【0014】
更に図1に示すように、反応槽上部40の中で起こった2番目の段階の反応の混合生成物を反応槽10の上部40の頭頂から取り出して分離装置50の中に導入するが、それによって、前記混合生成物が固体流れと気体流れに分割され、その気体流れの中に残る残存
固体微粒子の分率は少しのみになる。
【0015】
前記気体流れは、水素、一酸化炭素、少量のメタン、硫化水素、アンモニア、水蒸気または蒸気、液状担体に由来する気相、窒素、二酸化炭素および残存タールを含有して成る。前記固体流れは、固化した灰および非加熱反応槽上部40の中で生じたか或は加熱反応槽下部30から運ばれたチャーを含有して成る。
【0016】
分離装置50から出て来た固体流れ、例えば乾燥チャーなどを酸素含有ガスおよび/または蒸気と混合した後、非加熱反応槽下部30に分散装置60および/または60aに通して1番目の段階の反応用の供給原料として再循環させて戻す。
【0017】
次に、その再循環させたチャーを酸素および蒸気と反応させてスラグ化条件下でガス化させることで、反応槽上部40の中で起こさせる2番目の段階の反応に必要な熱および合成ガス含有混合生成物を生じさせる。
【0018】
分離装置50から出て来た合成ガス、残存チャー微粒子および残存タールを含有して成る気体流れを反応ゾーン90に導入することで残存タールを除去する。反応ゾーン90に触媒床100を1床以上含有させる図1に示す如き1つの態様では、分離装置50から出て来た合成ガスと残存タールを含有して成る気体流れを触媒床100に入らせる前に熱交換器150に通すことで1800度Fに加熱しておく。触媒床100は、残存タールを分解させる1種以上のタール分解用触媒を含有して成る接触流動もしくはバブル床であってもよい。合成ガスを反応温度にするに必要な熱は外部で行う交換でか或は酸素と蒸気の混合物を合成ガス流れに注入することで供給可能である。炭素微粒子を一酸化炭素に変化させるか或は粒子状にして上方に移行させることで合成ガスを含有して成る流出気体状生成物と一緒に前記接触流動床100の中に通す。触媒床100は、また、残存タールを分解させる1種以上のタール分解用触媒を含有して成る接触固定床であってもよい。そのような場合には、触媒床の前方に位置させた粒子濾過装置を用いて炭素微粒子を除去する。接触流動床または接触固定床のいずれを用いる場合にも、冷流入気体流れ(または装置50から出て来る気体流れ)を用いた熱交換器150で反応ゾーン90から出て来た熱合成ガスを冷却することで熱を回収する。1つの態様に従い、その後、熱交換器150から出て来た冷気体流れ(この時点でタールが除去されている)を粒子濾過装置110に通すことで粒子を除去する。タール分解用触媒はゼオライト、担持ニッケル、石灰石またはこれらの任意混合物であってもよい。
【0019】
反応ゾーン90に吸着床120を1床以上含有させる図2に示す如き別の態様では、分解装置50から出て来た合成ガスと残存タールを含有して成る気体流れを1種以上のタール吸着用吸着剤を含有して成る吸着床120の中に導入することで残存タールを吸着させた後、残存する粒子をインシトゥ濾過装置140で濾過して取り出しそして1番目の段階の反応槽に再循環させて戻す。吸着床120は、1種以上のタール吸着用吸着剤を含有して成る流動活性炭床であってもよい。吸着床120は、また、1種以上のタール吸着用吸着剤を含有して成る固定活性炭床であってもよい。活性炭が有する吸着能力は温度が低い方が良好であることから、分離装置50から出て来る気体流れの温度を低くしかつ床の温度を400度Fから500度Fに維持する目的で内部冷却装置130(例えば蒸気冷却、内部冷却コイル、パネルまたは邪魔板)を前記活性炭床に装備する。タールを吸着した活性炭の小スリップストリームを連続的または定期的に取り出して再生装置160に通すことで再生、典型的には前記炭素をより高い温度に加熱して前記タールを脱離させることで再生させる。固定吸着床を用いる場合には、2個の槽を平行に配列して一方をタールの除去でオンラインにしかつもう一方を洗浄の目的でオフラインにしてもよい。その時点で反応ゾーン90から出て来る気体流れはタールと粒子が除去された合成ガスである。タール吸着用吸着剤は活性炭、ゼオライト、天然に存在する特定のケイ酸塩またはこれらの任意
混合物であってもよい。
【0020】
ガス化反応槽10を構成する材料は決定的ではない。必ずしもではないが、好適には、反応槽の壁を鋼製にし、そして熱損失量を低下させかつ槽を高温から保護するばかりでなく温度制御をより良好にする目的で、反応槽下部30には断熱用鋳造可能もしくはセラミック繊維もしくは耐火性ブリック、例えば高クロム含有量のブリックなどを内張りしかつ反応槽上部40には高密度媒体、例えば高炉および非スラグ化用途で用いられる高密度媒体などを内張りする(これらは全部いくつかの給源から商業的に入手可能である)。この種類の装置を用いると、本方法で用いる炭素質固体から回収する熱回収率の値が高くなる。別法として、場合により、加熱反応槽下部30および場合により非加熱上部40の壁を「冷壁」システムにすることで内張りを行わないことも可能である。本明細書で用いる如き用語「冷壁」は、従来技術の石炭ガス化装置の技術で通常知られているように、壁を外部の冷却用ジャケットで冷却することを意味する。そのような装置の場合には、スラグが内壁上で硬化することで冷却用ジャケットの金属壁を保護する。
【0021】
スラグ粘度が約250ポイズ以下の溶融灰から融解スラグが生じるようにする目的で、反応槽下部30の中で起こさせる本方法の1番目の段階の物理的反応条件をチャーのガス化がチャーのガス化によって生じた灰の融点を超える温度で迅速に起こることが確保されるように制御かつ維持する。反応槽上部40の中で起こさせる本ガス化方法の2番目の段階の物理的反応条件を迅速なガス化が確保されかつ石炭が可塑化範囲より高い温度に加熱されることが確保されるように制御する。加熱反応槽下部30の温度を1500度Fから3500度F、好適には2000度Fから3200度F、最も好適には2400度Fから3000度Fに維持する。反応槽下部30の中で起こさせる1番目の段階をそのような温度で起こさせると、チャーのガス化によって生じた灰がその中で溶融することで、タップホールから落下する融解スラグが生じるが、それにさらなる条件付けを本資料の範囲外の装置内で受けさせる。1番目の段階で生じたガス混合物は、気体が回転する渦巻きとして上方に移動しかつチャーが反応槽下部の中を上昇すると言った状態で出て行く。非加熱反応槽上部40の温度を450度Fから1500度F、好適には500度Fから1400度F、最も好適には550度Fから1300度Fに維持する。加熱反応槽下部30から上方に流れる熱中間体生成物によって、非加熱反応槽上部40内で起こる吸熱反応のための熱が与えられる。
【0022】
非加熱反応槽上部40から出て来る流出物および分離装置50から出て来る気体流れの温度は典型的に約800度Fから約1300度Fである。分離装置50から出て来た気体流れを熱交換器150に通して加熱した後に反応ゾーン90に入らせることでタールを除去する。1つの態様では、触媒床を1床以上含有して成る反応ゾーン90の温度を700度Fから1900度F、好適には1000度Fから1700度F、最も好適には1200度Fから1600度Fに維持する。別の態様では、吸着床を1床以上含有して成る反応ゾーン90の温度を200度Fから1000度F、好適には250度Fから600度F、最も好適には300度Fから500度Fに維持する。
【0023】
本発明の方法を大気圧以上の圧力下で実施する。反応槽下部30および反応槽上部40内の圧力を一般に約14.7psigから約2000psig、好適には50psigから1500psig、最も好適には150psigから1200psigにする。触媒床を1床以上含有して成る反応ゾーン90内の圧力を約14.7psigから約1500psig、好適には50psigから1500psig、最も好適には150psigから1200psigにする。別の態様では、吸着床を1床以上含有して成る反応ゾーン90内の圧力を約14.7psigから約1500psig、好適には50psigから1500psig、最も好適には150psigから1200psigにする。
【0024】
本発明のいろいろな態様において、気体および固体が反応槽下部30の分散装置60および/または60aを通る速度または供給速度を1秒当たり20から120フィート、好適には1秒当たり20から90フィート、最も好適には1秒当たり30から60フィートの範囲に維持する。チャーが反応槽下部30の中に滞留する時間を2秒から10秒、好適には4秒から6秒の範囲に維持する。スラリーの流れが反応槽上部40の供給装置80および/または80aを通る速度または供給速度を1秒当たり5フィートから1秒当たり100フィート、好適には1秒当たり10フィートから1秒当たり80フィート、最も好適には1秒当たり20フィートから60フィートの範囲に維持する。反応槽上部40の中の滞留時間を5から40秒の範囲に維持する。
【0025】
本方法は如何なる粒子状炭素質材料にも適用可能である。しかしながら、そのような粒子状炭素質材料は好適には石炭であり、これには、これらに限定するものでないが、褐炭、瀝青炭、亜瀝青炭またはこれらの任意組み合わせが含まれる。追加的炭素質材料は、石炭に由来するコークス、石炭チャー、石炭液化残渣、粒子状炭素、石油コークス、油頁岩に由来する炭素質固体、タールサンド、ピッチ、バイオマス、濃縮下水スラッジ、ごみ破片、ゴムおよびこれらの混合物である。この上に例示した材料は粉砕された固体の形態であってもよく、材料の取り扱いおよび反応特性が最良になるように、液状担体に入っているポンプ輸送可能スラリーの如き形態であってもよい。
【0026】
炭素質固体材料用の液状担体は、気化しかつ所望気体状生成物、特に一酸化炭素および水素をもたらす反応に参与し得る如何なる液体であってもよい。最も容易に考えられる液状担体は水であり、これは反応槽下部30の中で蒸気になる。この蒸気は炭素と反応して合成ガスの成分である気体状生成物を形成する能力を有する。加うるに、炭素質材料をスラリー状にする目的で水以外の液体を用いることも可能である。好適には、その液体を水にするが、それはまた炭化水素、例えば燃料油、残存油、石油および液状COなどであってもよい。液状担体が炭化水素の場合、反応が効率良く起こりかつ水が反応槽の温度を穏やかにするに充分な量で供給されるように追加的水または蒸気を添加することも可能である。
【0027】
加熱反応槽下部30に供給する酸素含有ガスとして、酸素含有量が少なくとも20パーセントの如何なるガスも使用可能である。好適な酸素含有ガスには、酸素、空気および酸素が豊富な空気が含まれる。
【0028】
粒子状炭素質材料を液状担体にスラリーとして入れる濃度をポンプ輸送可能な混合物が生じるに必要な濃度のみにする。固体状材料の濃度を一般に70重量パーセント以下の範囲にする。本方法の1番目の段階および2番目の段階の両方ともスラリー中の粒子状炭素質材料の濃度を好適には30重量パーセントから70重量パーセントの範囲にする。最も好適には、水性スラリー中の石炭濃度を45から69重量パーセントの範囲にする。
【0029】
石炭が供給原料の場合、それを液状担体と混合してスラリー状にする前に粉砕しておいてもよいか、或は液状媒体と一緒にして粉砕してもよい。一般に、妥当に微細な炭素質材料のいずれも使用可能であり、かつ粒子状固体の粒径を小さくする公知方法のいずれも使用可能である。そのような方法の例には、ボール、ロッドおよびハンマーミルの使用が含まれる。粒径は決定的ではないが、微細な炭素粒子が好適である。石炭供給発電所で燃料として用いられる粉末状石炭が典型的である。そのような石炭の粒径分布は石炭の90重量パーセントが200メッシュのふるいを通過するような分布である。反応性がより高い材料の場合にはまた平均粒径が100メッシュより粗い大きさも使用可能であるが、但し沈降しない安定なスラリーが生じ得ることを条件とする。
【0030】
本明細書で用いる如き用語「チャー」は未燃焼の炭素および灰粒子を指し、それらは様
々な製品を製造した後にガス化装置の中に飛沫同伴したままである。
【0031】
本明細書で用いる如き用語「および/または」を2種以上の項目のリストで用いる場合、この用語は、その挙げた項目の中のいずれか1項を単独で用いてもよいか或はその挙げた項目の中の2項以上の任意組み合わせを用いてもよいことを意味する。例えば、ある組成物が成分A、Bおよび/またはCを含有すると記述する場合、その組成物はAのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの組み合わせ、AとCの組み合わせ、BとCの組み合わせまたはAとBとCの組み合わせを含有していてもよい。
【0032】
この上に示した説明によって保護の範囲を限定するものでなく、保護の範囲が限定されるのは以下の請求項によってのみであり、その範囲は、当該請求項の主題事項の相当物の全部を包含する。請求項の各々および全てを本発明の態様として本明細書に組み入れる。このように、本請求項はさらなる説明でありかつ本発明の好適な態様に追加するものである。
【0033】
関連技術の説明である文献を考察することは、それが本発明に先行する技術であることを認めるものでなく、特に公開日付が本出願の優先日より後であり得る如何なる文献も先行する技術であることを認めるものでない。本明細書に引用したあらゆる特許、特許出願および公開の開示はそれらが本明細書に挙げた詳細を補う例、手順または他の詳細を示す度合で引用することによって本明細書に組み入れられる。
【0034】
特定の機能を実施する「ための手段」または特定の機能を実施する「ための段階」を明確には記述していない請求項の中の如何なる要素も35 U.S.C.§112§¶6に示されている如き「手段」または「段階」節として解釈されるべきではない。特に、本明細書に示した請求項の中の「段階」の使用は35 U.S.C.§112§¶6の条項を行使することを意図するものでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素質材料のガス化方法であって、
a. 再利用チャーを反応槽下部に導入しそしてその中で前記再利用チャーを酸素含有ガスまたは蒸気を含有して成る流れと一緒にしてある程度燃焼させることで熱を発生させかつ合成ガスと融解スラグを含有して成る混合生成物を生じさせ、
b. 前記合成ガスを前記反応槽下部から上方に移行させて反応槽上部に入らせそしてその中で粒子状炭素質材料が液状担体に入っているスラリーを含有して成る流れと一緒にして熱分解を起こさせることでi)合成ガスと残存タールを含有して成る気体状生成物流れ、ii)チャーおよびiii)気相を含有して成る混合生成物を生じさせ、
c. 前記混合生成物を前記反応槽上部から分離装置に通すことで前記反応槽上部から来た前記混合生成物から前記チャーを分離させそして前記反応槽下部に導入すべき供給原料として再循環させ、そして
d. 前記反応槽上部から来た合成ガスと残存タールを含有して成る前記気体状生成物流れを反応ゾーンに導入することで前記残存タールを除去する、
段階を含んで成っていて、段階(b)で液状である前記担体と粒子状炭素質材料の前記スラリーを段階(b)で前記気体状生成物流れに変化させることで前記段階(a)において発生した前記熱を回収することを含んで成る方法。
【請求項2】
段階(a)を14.7psigから2000psigの範囲内の圧力下1500度Fから3500度Fの範囲内の温度で実施する請求項1記載の方法。
【請求項3】
段階(a)を50psigから1500psigの範囲内の圧力下2000度Fから3200度Fの範囲内の温度で実施する請求項1記載の方法。
【請求項4】
段階(b)を14.7psigから2000psigの範囲内の圧力下450度Fから1500度Fの範囲内の温度で実施する請求項1記載の方法。
【請求項5】
段階(b)を50psigから1500psigの範囲内の圧力下500度Fから1400度Fの範囲内の温度で実施する請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記粒子状炭素質材料が前記液状担体に入っているスラリーを前記反応槽上部に1種以上の供給装置によって導入する請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記酸素含有ガスと蒸気を含有して成る流れおよび前記チャーを前記反応槽下部に1種以上の分散装置によって導入する請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記酸素含有ガスと蒸気を含有して成る流れおよび前記チャーを前記反応槽下部に1秒当たり20から120フィートの範囲内の供給速度で導入しそして前記チャーが前記反応槽下部に滞留する時間を2から10秒の範囲内にする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記酸素含有ガスと蒸気を含有して成る流れおよび前記チャーを前記反応槽下部に1秒当たり20から90フィートの範囲内の供給速度で導入しそして前記チャーが前記反応槽下部に滞留する時間を4から6秒の範囲内にする請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記粒子状炭素質材料が液状担体に入っているスラリーを前記反応槽上部に1秒当たり5から100フィートの範囲内の供給速度で導入しそして前記粒子状炭素質材料が液状担体に入っているスラリーが前記反応槽上部に滞留する時間を5から40秒の範囲内にする請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記粒子状炭素質材料が液状担体に入っているスラリーを前記反応槽上部に1秒当たり10から80フィートの範囲内の供給速度で導入しそして前記粒子状炭素質材料が液状担体に入っているスラリーが前記反応槽上部に滞留する時間を5から40秒の範囲内にする請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記液状担体を水、液状CO、石油およびこれらの任意混合物から成る群より選択する請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記粒子状炭素質材料を石炭、褐炭、石油コークスおよびこれらの任意混合物から成る群より選択する請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記スラリーの固体濃度を前記スラリーの総重量を基準にして30から70重量パーセントにする請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記スラリーの固体濃度を前記スラリーの総重量を基準にして45から69重量パーセントにする請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記酸素含有ガスを空気、酸素が豊富な空気、酸素およびこれらの混合物から成る群より選択する請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記反応ゾーンに1種以上のタール分解用触媒を含有して成る触媒床を1種以上含有させることでタールを分解させる請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記反応ゾーン内の温度を14.7psigから2000psigの範囲内の圧力下で700度Fから1900度Fの範囲内にする請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記反応ゾーン内の温度を50psigから1500psigの範囲内の圧力下で1000度Fから1700度Fの範囲内にする請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記触媒床を1種以上のタール分解用触媒を含有して成る接触流動床にすることで前記残存タールを分解させそして炭素微粒子を一酸化炭素に変化させるか或は粒子状にして合成ガスを含有して成る流出気体状生成物と一緒に前記接触流動床の中に通す請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記触媒床が接触固定床である請求項17記載の方法。
【請求項22】
前記タール分解用触媒をゼオライト、担持ニッケル、石灰石およびこれらの混合物から成る群より選択する請求項17記載の方法。
【請求項23】
前記反応ゾーンに1種以上のタール吸着用吸着剤を含有して成る吸着床を1床以上含有させ、それによって前記タールを吸着させることでタールを吸着した吸着剤を生じさせる請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記吸着床を1床以上含有して成る反応ゾーン内の温度を200度Fから1000度Fの範囲内にしかつ圧力を14.7psigから1500psigの範囲内にする請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記吸着床を1床以上含有して成る反応ゾーン内の温度を250度Fから600度Fの範囲内にしかつ圧力を50psigから1500psigの範囲内にする請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記吸着床を1種以上のタール吸着用吸着剤を含有して成る流動床にすることで前記タールを吸着させる請求項23記載の方法。
【請求項27】
前記吸着床を1種以上のタール吸着用吸着剤を含有して成る固定床にすることで前記タールを吸着させる請求項23記載の方法。
【請求項28】
前記タール吸着用吸着剤を活性炭、ゼオライトおよび天然に存在するケイ酸塩およびこれらの混合物から成る群より選択する請求項23記載の方法。
【請求項29】
炭素質材料のガス化方法であって、
a. 再利用チャーを反応槽下部に導入しそしてその中で前記再利用チャーを酸素含有ガスまたは蒸気を含有して成る流れと一緒にしてある程度燃焼させることで熱を発生させかつ合成ガスと融解スラグを含有して成る混合生成物を生じさせるが、前記反応槽下部の温度を2400度Fから3000度Fの範囲にしかつ前記反応槽下部の圧力を150psigから1200psigの範囲にしかつ前記酸素含有ガスまたは蒸気を含有して成る前記流れおよび再利用チャーを前記反応槽下部に前記反応槽下部に位置させた1種以上の分散装置に通して1秒当たり30から60フィートの範囲の供給速度で導入しかつ前記再利用チャーが前記反応槽下部の中に滞留する時間を4から6秒の範囲にし、
b. 前記合成ガスを前記反応槽下部から上方に移行させて反応槽上部に入らせそしてその中で粒子状炭素質材料が液状担体に入っているスラリーを含有して成る流れと一緒にして熱分解を起こさせることでi)合成ガスと残存タールを含有して成る気体状生成物流れ、ii)チャーおよびiii)気相を含有して成る混合生成物を生じさせるが、前記反応槽上部の温度を550度Fから1300度Fの範囲にしかつ前記反応槽上部の圧力を150psigから1200psigの範囲にしかつ前記粒子状炭素質材料が前記液状担体に入っているスラリーを前記反応槽上部に前記反応槽上部に位置させた1種以上の供給装置に通して1秒当たり20から60フィートの範囲の供給速度で導入しかつ前記粒子状炭素質材料が液状担体に入っているスラリーが前記反応槽上部の中に滞留する時間を5から40秒の範囲にし、
c. 前記混合生成物を前記反応槽上部から分離装置に通すことで前記反応槽上部から来た前記混合生成物から前記チャーを分離させそして前記反応槽下部に導入すべき供給原料として再循環させ、そして
d. 前記反応槽上部から来た合成ガスと残存タールを含有して成る前記気体状生成物流れをゼオライト、担持ニッケル、石灰石およびこれらの混合物から成る群より選択した1種以上のタール分解用触媒を含有させておいた1床以上の触媒床の中に導入するが、前記触媒床の温度を1200度Fから1600度Fの範囲にしかつ前記触媒床の圧力を150psigから1200psigの範囲にすることで前記残存タールを分解させる、
段階を含んで成っていて、段階(b)で液状である前記担体と粒子状炭素質材料の前記スラリーを段階(b)で前記気体状生成物流れに変化させることで前記段階(a)において発生した前記熱を回収することを含んで成る方法。
【請求項30】
炭素質材料のガス化方法であって、
a. 再利用チャーを反応槽下部に導入しそしてその中で前記再利用チャーを酸素含有ガスまたは蒸気を含有して成る流れと一緒にしてある程度燃焼させることで熱を発生させかつ合成ガスと融解スラグを含有して成る混合生成物を生じさせるが、前記反応槽下部の温度を2400度Fから3000度Fの範囲にしかつ前記反応槽下部の圧力を150psigから1200psigの範囲にしかつ前記酸素含有ガスまたは蒸気を含有して成る前記流れおよび再利用チャーを前記反応槽下部に前記反応槽下部に位置させた1種以上の分散装置に通して1秒当たり30から60フィートの範囲の供給速度で導入しかつ前記再利用チャーが前記反応槽下部の中に滞留する時間を4から6秒の範囲にし、
b. 前記合成ガスを前記反応槽下部から上方に移行させて反応槽上部に入らせそしてその中で粒子状炭素質材料が液状担体に入っているスラリーを含有して成る流れと一緒にして熱分解を起こさせることでi)合成ガスと残存タールを含有して成る気体状生成物流れ、ii)チャーおよびiii)気相を含有して成る混合生成物を生じさせるが、前記反応槽上部の温度を500度Fから1300度Fの範囲にしかつ前記反応槽上部の圧力を150psigから1200psigの範囲にしかつ前記粒子状炭素質材料が前記液状担体に入っているスラリーを前記反応槽上部に前記反応槽上部に位置させた1種以上の供給装置に通して1秒当たり20から60フィートの範囲の供給速度で導入しかつ前記粒子状炭素質材料が液状担体に入っているスラリーが前記反応槽上部の中に滞留する時間を5から40秒の範囲にし、
c. 前記混合生成物を前記反応槽上部から分離装置に通すことで前記反応槽上部から来た前記混合生成物から前記チャーを分離させそして前記反応槽下部に導入すべき供給原料として再循環させ、そして
d. 前記反応槽上部から来た合成ガスと残存タールを含有して成る前記気体状生成物流れを活性炭、ゼオライトおよび天然に存在するケイ酸塩およびこれらの混合物から成る群より選択した1種以上のタール吸着用吸着剤を含有させておいた1床以上の吸着床の中に導入するが、前記吸着床の温度を300度Fから500度Fの範囲にしかつ前記吸着床の圧力を150psigから1200psigの範囲にすることで前記残存タールを分解させる、
段階を含んで成っていて、段階(b)で液状である前記担体と粒子状炭素質材料の前記スラリーを段階(b)で前記気体状生成物流れに変化させることで前記段階(a)において発生した前記熱を回収することを含んで成る方法。
【請求項31】
炭素質材料ガス化用装置であって、
a. 再利用チャーを酸素含有ガスまたは蒸気を含有して成る流れと一緒にしてある程度燃焼させて熱を発生させかつ合成ガスと融解スラグを含有して成る混合生成物を生じさせるための反応槽下部、
b. 前記反応槽下部から来た前記合成ガスを粒子状炭素質材料が液状担体に入っているスラリーを含有して成る流れと一緒にして熱分解を起こさせてi)合成ガスと残存タールを含有して成る気体状生成物流れ、ii)チャーおよびiii)気相を含有して成る混合生成物を生じさせるための反応槽上部、
c. 前記反応槽上部から来た前記混合生成物から前記チャーを分離させるための分離装置、および
d. 前記反応槽上部から来た合成ガスと残存タールを含有して成る前記気体状生成物から残存タールを除去するための反応ゾーン、
を含有して成りかつ前記反応槽上部中で液状である前記担体と粒子状炭素質材料の前記スラリーを前記反応槽上部中で前記気体状生成物流れに変化させて前記反応槽下部で生じた前記熱を回収する装置。
【請求項32】
前記反応槽下部が酸素含有ガスと蒸気を含有して成る前記流れおよび前記再利用チャーを前記反応槽下部に導入するための1種以上の分散装置を含有して成る請求項31記載の装置。
【請求項33】
前記反応槽上部が前記粒子状炭素質材料が前記液状担体に入っているスラリーを前記反応槽上部に供給するための1種以上の供給装置を含有して成る請求項31記載の装置。
【請求項34】
前記反応ゾーンが1種以上のタール分解用触媒を含有して成る触媒床を1床以上含有して成る請求項31記載の装置。
【請求項35】
前記触媒床が接触流動床である請求項34記載の装置。
【請求項36】
前記触媒床が接触固定床である請求項34記載の装置。
【請求項37】
前記タール分解用触媒がゼオライト、担持ニッケル、石灰石およびこれらの混合物から成る群より選択される請求項34記載の装置。
【請求項38】
前記反応ゾーンが1種以上のタール吸着用吸着剤を含有して成る吸着床を1床以上含有して成る請求項31記載の装置。
【請求項39】
前記吸着床が流動床である請求項38記載の装置。
【請求項40】
前記吸着床が固定床である請求項38記載の装置。
【請求項41】
前記タール吸着用吸着剤が活性炭、ゼオライトおよび天然に存在するケイ酸塩およびこれらの混合物から成る群より選択される請求項38記載の装置。
【請求項42】
前記反応槽上部が一般に前記反応槽下部の上方に位置する請求項31記載の装置。
【請求項43】
炭素質材料ガス化用装置であって、
a. 再利用チャーを酸素含有ガスまたは蒸気を含有して成る流れと一緒にしてある程度燃焼させて熱を発生させかつ合成ガスと融解スラグを含有して成る混合生成物を生じさせるに適していて前記酸素含有ガスと蒸気を含有して成る流れおよび前記再利用チャーを前記反応槽下部に導入するための1種以上の分散装置を含有して成る反応槽下部、
b. 前記反応槽下部から来た前記合成ガスを粒子状炭素質材料が液状担体に入っているスラリーを含有して成る流れと一緒にして熱分解を起こさせてi)合成ガスと残存タールを含有して成る気体状生成物流れ、ii)チャーおよびiii)気相を含有して成る混合生成物を生じさせるに適していて前記粒子状炭素質材料が前記液状担体に入っているスラリーを前記反応槽上部に供給するための1種以上の供給装置を含有して成る反応槽上部、c. 前記反応槽上部から来た前記混合生成物から前記チャーを分離させるための分離装置、および
d. 前記反応槽上部から来た合成ガスと残存タールを含有して成る前記気体状生成物から残存タールを除去するに適していてゼオライト、担持ニッケル、石灰石およびこれらの混合物から成る群より選択される1種以上のタール分解用触媒を含有して成る触媒床を1床以上含有して成る反応ゾーン、
を含有して成りかつ前記反応槽上部中で液状である担体と粒子状炭素質材料の前記スラリーを反応槽上部中で前記気体状生成物流れに変化させて反応槽下部で生じた前記熱を回収する装置。
【請求項44】
炭素質材料ガス化用装置であって、
a. 再利用チャーを酸素含有ガスまたは蒸気を含有して成る流れと一緒にしてある程度燃焼させて熱を発生させかつ合成ガスと融解スラグを含有して成る混合生成物を生じさせるに適していて前記酸素含有ガスと蒸気を含有して成る流れおよび前記再利用チャーを前記反応槽下部に導入するための1種以上の分散装置を含有して成る反応槽下部、
b. 前記反応槽下部から来た前記合成ガスを粒子状炭素質材料が液状担体に入っているスラリーを含有して成る流れと一緒にして熱分解を起こさせてi)合成ガスと残存タールを含有して成る気体状生成物流れ、ii)チャーおよびiii)気相を含有して成る混合生成物を生じさせるに適していて前記粒子状炭素質材料が前記液状担体に入っているスラリーを前記反応槽上部に供給するための1種以上の供給装置を含有して成る反応槽上部、c. 前記反応槽上部から来た前記混合生成物から前記チャーを分離させるための分離装置、および
d. 前記反応槽上部から来た合成ガスと残存タールを含有して成る前記気体状生成物から残存タールを除去するに適していて活性炭、ゼオライトおよび天然に存在するケイ酸塩およびこれらの混合物から成る群より選択される1種以上のタール吸着用吸着剤を含有して成る吸着床を1床以上含有して成る反応ゾーン、
を含有して成りかつ反応槽上部中で液状である前記担体と粒子状炭素質材料の前記スラリーを反応槽上部中で前記気体状生成物流れに変化させて反応槽下部で生じた前記熱を回収する装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−500297(P2012−500297A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523015(P2011−523015)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/048230
【国際公開番号】WO2010/019319
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(502259425)コノコフイリツプス・カンパニー (11)
【氏名又は名称原語表記】ConocoPhillips Company