説明

3−(1,2,4−オキサジアゾリル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン誘導体

【構成】 下記式(I)


(式中、R1 は水素原子,アシル基,低級アルキル基またはR1'CH2-、R1'は低級シクロアルキル基, 低級アルケニル基など、R2 は低級アルキル基,低級シクロアルキル基, 低級アルケニル基など、R3 ,R4 は水素原子または低級アルキル基、Xは酸素原子または硫黄原子を意味する。)で表される3−(1,2,4−オキサジアゾ−ル−3−もしくは5−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン誘導体およびその化合物の医薬としての使用。
【効果】 この化合物はベンゾジアゼピン受容体に対して顕著な親和性を示し、また、マウスを用いたペンチレンテトラゾ−ル誘発間代性痙攣に対して優れた拮抗作用を示すことからベンゾジアゼピン受容体作動薬、例えば、抗不安薬、抗てんかん薬あるいは睡眠障害の治療薬として有用である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は医薬として有用な3−(1,2,4−オキサジアゾ−ル−3−もしくは5−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン誘導体およびその化合物の医薬としての使用に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ジアゼパムに代表されるベンゾジアゼピン(BZP)系化合物は従来から抗不安薬あるいは睡眠障害の治療薬として繁用されている。しかしながら、これらの化合物はふらつき,眠気,筋弛緩あるいは認知力,反射運動能力の低下等の副作用や、耐性,依存性形成等改善すべき問題点が多く残されている。これらの諸問題を解決する目的で、近年、脳内BZP受容体に親和性を有する非ベンゾジアゼピン系化合物の研究が行われている。
【0003】このような非ベンゾジアゼピン系化合物の一つに下記式で表される化合物がジャ−ナル オブ メジシナル ケミストリ− (Journal of Medicinal Chemistry) 第34巻2060頁(1991)に記載されている。
【0004】
【化2】


(式中、Ra は水素原子, Rb 〜Rd はメチル基等およびRe はメトキシ基等を表す。)
【0005】しかしながら、後記式(I)で示される本発明の化合物についてはいまだ全く報告されていない。
【0006】
【発明の概要】本発明は医薬として有用な、特に、ベンゾジアゼピン受容体に親和性を有する下記式(I)で示される3−(1,2,4−オキサジアゾ−ル−3−もしくは5−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン誘導体またはその生理的に許容される酸付加塩に関する。
【0007】
【化3】


(式中、R1 は水素原子,アシル基,低級アルキル基またはR1'CH2-を意味し、R1'は低級シクロアルキル基, 低級アルケニル基, 低級アルキニル基, ベンジル基, アリ−ル基またはヘテロアリ−ル基を意味し、R2 は低級アルキル基, 低級シクロアルキル基,低級アルケニル基, 低級アルキニル基, アリ−ル基, ヘテロアリ−ル基,ハロゲノ低級アルキル基,低級アルコキシ低級アルキル基,低級アルコキシ基, 低級アルケニルオキシ基,フェノキシ基または低級アルキルチオ基を意味し、R3 ,R4 は水素原子または低級アルキル基を意味し、Xは酸素原子または硫黄原子を意味する。)
【0008】本発明はまた、式(I)で示される化合物の医薬としての使用にも関する。
【0009】
【発明の具体的説明】本発明の化合物は上記式(I)で示されるが、好ましい化合物としては式(I)においてR1 がR1'CH2-であって、R1'がアリ−ル基またはヘテロアリ−ル基であり、R2 が低級アルキル基, 低級シクロアルキル基,低級アルケニル基,アリ−ル基,ヘテロアリ−ル基または低級アルコキシ基であり、R3 およびR4が水素原子であり、Xが酸素原子である化合物が挙げられる。特に好ましい化合物としては、R2 が炭素数1乃至3の低級アルキル基,シクロプロピル基または炭素数1乃至3の低級アルコキシ基が挙げられる。
【0010】本発明化合物(I)の生理的に許容される塩としては、例えば、塩酸塩,臭化水素酸塩,ヨウ化水素酸塩,硫酸塩,リン酸塩等の無機酸塩、シュウ酸塩,マレイン酸塩,フマル酸塩,マロン酸塩,乳酸塩,リンゴ酸塩,クエン酸塩,酒石酸塩,安息香酸塩,メタンスルホン酸塩,トシル酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
【0011】本明細書において「低級」置換基とは直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜6個の置換基を意味する。アリ−ル基としては、フェニル基, ナフチル基等が挙げられ、その環は置換基を有していてもよい。その環の好ましい置換基としては、ハロゲン原子,低級アルキル,低級アルコキシ基が挙げられる。また、ヘテロアリ−ル基としては、例えば、チエニル,フリル,ピリジニル,イソキサゾリル等ヘテロ原子を1〜2個含む5〜6員環が挙げられ、その環は置換基を有していてもよい。「ヘテロ原子」とは窒素原子,酸素原子,硫黄原子を意味する。その環の好ましい置換基としては、ハロゲン原子,低級アルキル,低級アルコキシ基が挙げられる。
【0012】本発明の化合物は以下の方法により製造することができる。
【0013】(製造法1)
【0014】式(I)で表される本発明の化合物において、R2 が低級アルコキシ基,低級アルケニルオキシ基,フェノキシ基または低級アルキルチオ基以外の基である本発明の化合物は下記一般式(II)
【0015】
【化4】


または、下記一般式(III)
【0016】
【化5】


(上記式中、R2'は低級アルコキシ基,低級アルケニルオキシ基,フェノキシ基または低級アルキルチオ基以外の前掲のR2 と同じ基を意味し、R1 ,R3 ,R4 およびXは前掲に同じ。)で表される化合物を分子内で脱水閉環させることにより製造することができる。
【0017】本閉環反応は脱水剤を用いて行ってもよいが、通常反応に影響を及ぼさない適当な溶媒中で加熱することにより行われる。溶媒として、ベンゼン,トルエン,キシレンの如き芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン,ジオキサンの如きエーテル類等が挙げられる。これらの溶媒はそれぞれ単独で、あるいは2種以上混合して用いられる。反応温度は用いる原料化合物の種類等により異なるが、通常50〜150℃、好ましくは80〜120℃である。また、式(II)および式(III)で示される化合物においてR1 が水素原子である化合物を用いる場合、適当な保護基で保護した化合物を用い、本閉環反応終了後その保護基を除去してもよい。保護基としては、例えば、ホルミル基,アセチル基の如きアシル基,低級アルコキシカルボニル基,ベンジルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0018】(製造法2)
【0019】式(I)で表される本発明の化合物のうち下記一般式(Ia)
【0020】
【化6】


で表される本発明の化合物において、R2 が低級アルコキシ基,低級アルケニルオキシ基,フェノキシ基または低級アルキルチオ基であるときは、例えば、ジャ−ナル オブ ヘテロサイクリック ケミストリ− (Journal of HeterocyclicChemistry)第18巻1197頁(1981)に記載の方法に準じて、下記一般式(IV)
【0021】
【化7】


(式中、R2"は低級アルコキシ基,低級アルケニルオキシ基,フェノキシ基または低級アルキルチオ基を意味し、R1 ,R3 ,R4 およびXは前掲に同じ。)で表される化合物にヒドロキシルアミンを反応させることにより製造することができる。
【0022】本反応は通常適当な溶媒中で行われ、溶媒として、メタノ−ル,エタノ−ルの如きアルコ−ル類,水等が挙げられる。反応温度は用いる原料化合物の種類等により異なるが、通常50〜90℃である。
【0023】(製造法3)
【0024】式(I)で表される本発明の化合物のうち下記一般式(Ib)
【0025】
【化8】


で表される本発明の化合物において、R2 が低級アルコキシ基,低級アルケニルオキシ基,フェノキシ基または低級アルキルチオ基である本発明の化合物は、例えば、シンセシス (Synthesis)843頁(1986)に記載の方法に準じて、下記一般式(V)
【0026】
【化9】


(式中、R2"は低級アルコキシ基,低級アルケニルオキシ基,フェノキシ基または低級アルキルチオ基を意味し、R1 ,R3 ,R4 およびXは前掲に同じ。)で表される化合物を分子内で脱水閉環させることにより製造することができる。
【0027】本閉環反応は通常適当な溶媒中で加熱することにより行われ、溶媒として、ベンゼン,トルエン,キシレンの如き芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン,ジオキサンの如きエ−テル類が挙げられる。反応温度は用いる原料化合物の種類等により異なるが、通常50〜150℃、好ましくは80〜120℃である。
【0028】上記製造法1〜3により製造される本発明の式(I)で表される化合物はクロマトグラフィ−,再結晶,再沈澱等の常法により単離・精製される。
【0029】本発明の式(I)で表される化合物は、原料化合物の選定,反応・処理条件等により、遊離塩基または酸付加塩の形で得られる。酸付加塩は常法、例えば、炭酸アルカリ,水酸化アルカリのような塩基で処理することにより、遊離塩基に変えることができる。また、遊離塩基は常法に従って各種の酸と処理することにより酸付加塩に導くことができる。
【0030】次に、本発明化合物の原料化合物の製造法について説明する。
【0031】前記製造法1で用いられる式(II)の化合物は新規物質であり、下記反応式(化10)に示される方法により製造することができる。
【0032】
【化10】


(反応式中、R2'は低級アルコキシ基,低級アルケニルオキシ基,フェノキシ基または低級アルキルチオ基以外の前掲のR2 と同じ基を意味し、R1 ,R3 ,R4 およびXは前掲に同じ。)
【0033】化合物(1)またはそのカルボキシル基における反応性誘導体と種々のアミドキシム(2)とを通常のアミド化反応条件下に反応させると式(II)の化合物が得られる。化合物(1)においてR1 が水素原子であるときは、前記の適当な保護基で保護した化合物を用い、閉環反応終了後その保護基を除去してもよい。
【0034】また、前記製造法1で用いられる式(III)の化合物も新規物質であり、下記反応式(化11)に示される方法により製造することができる。
【0035】
【化11】


(反応式中、R2'は低級アルコキシ基,低級アルケニルオキシ基,フェノキシ基または低級アルキルチオ基以外の前掲のR2 と同じ基を意味し、R1 ,R3 ,R4 およびXは前掲に同じ。)
【0036】化合物(3)とヒドロキシルアミンを通常の方法で反応させると化合物(4)が得られ、次いで、それを塩基の存在下カルボキシル基における反応性誘導体と反応させると式(III)の化合物が得られる。化合物(4)においてR1 が水素原子であるときは、前記の適当な保護基で保護した化合物を用い、本閉環反応終了後その保護基を除去してもよい。
【0037】式(II)で示される化合物に誘導される化合物(1)のうちXが酸素原子である後記化合物(9および10)は Arkiv foer Kemi 26 (41), 489-495 (1967)〔ケミカル アブストラクト第67巻32611z(1967)〕に記載の方法に準じて、あるいは、後記反応式(化12)に示される方法により製造することができる。
【0038】また、式(III)で示される化合物に誘導される化合物(3)のうちXが酸素原子である後記化合物(12および13)は下記反応式(化12)に示される方法により製造することができる。
【0039】
【化12】


(反応式中、Yはハロゲン原子,低級アルコキシ基またはジ低級アルキルアミノ基を意味し、WおよびZは同一または異なってシアノ基または低級アルコキシカルボニル基を意味し、Rは低級アルキル基を意味し、nは整数1〜3を意味し、R1 ,R3 およびR4 は前掲に同じ。)
【0040】上記反応式において出発原料として用いる化合物(5)は、例えば、ジャ−ナル オブ アメリカン ケミカル ソサイアティ (Journal of American Chemical Society) 第85巻207頁(1963)に記載の方法に準じて製造することができる。このようにして製造した化合物(5)と化合物(6)をメタノ−ル,エタノ−ルの如きアルコ−ル類、テトラヒドロフラン,ジオキサンの如きエーテル類、ベンゼン,トルエンの如き芳香族炭化水素類等の溶媒中通常0〜120℃で反応させると化合物(7)が得られ、次いで、それをアンモニアもしくは酢酸アンモニウムの如きアンモニウム塩または第1級低級アミンをメタノ−ル,エタノ−ルの如きアルコ−ル類、テトラヒドロフラン,ジオキサンの如きエーテル類、アセトニトリル等の溶媒中通常0〜100℃で反応させると化合物(8)が得られる。
【0041】化合物(8)においてWおよびZが共に低級アルコキシカルボニル基であるときは、化合物(8)をメタノ−ル,エタノ−ルの如きアルコ−ル類、テトラヒドロフラン,ジオキサンの如きエ−テル類、ベンゼン,トルエン,キシレンの如き芳香族炭化水素類等の溶媒中通常50〜120℃で加熱すると化合物(9)が得られ、次いで、それを酸性あるいはアルカリ性条件下通常の方法により加水分解すると化合物(10)が得られる。
【0042】また、化合物(8)においてR3 が水素原子,Zがシアノ基であるときは、化合物(8)を塩基の存在下にメタノ−ル,エタノ−ルの如きアルコ−ル類、テトラヒドロフラン,ジオキサンの如きエーテル類等の溶媒中通常0〜100℃で処理すると化合物(11)が得られ、次いで、それを5〜10%塩酸あるいは5〜20%硫酸水溶液等の酸性条件下亜硝酸ナトリウムと通常0〜20℃で反応させると、化合物(11)においてWがエステル基であるときは化合物(9)が、また、Wがシアノ基であるときは化合物(12)が得られる。
【0043】化合物(9)(R3 =H)または化合物(12)を通常の方法でハロゲン化アルキル,アルキル硫酸の如きアルキル化剤と反応させると化合物(9)(R3 =低級アルキル)または化合物(13)が得られる。
【0044】化合物(12)または化合物(13)は、また、化合物(10)のカルボキシル基における反応性誘導体とアンモニアを通常の方法で反応させて得られる化合物(10’)を無溶媒またはテトラヒドロフラン,ジオキサンの如きエ−テル類、ベンゼン,トルエンの如き芳香族炭化水素類、ジクロロメタン,クロロホルム,1,2−ジクロロエタンの如きハロゲン化炭化水素類の溶媒中脱水剤、例えば、塩化チオニル,五塩化リン,オキシ塩化リン,ポリリン酸と反応させることによっても得ることができる。
【0045】式(II)で示される化合物に誘導される化合物(1)においてXが硫黄原子である後記化合物(16および19)は下記反応式(化13)に示される方法により製造することができる。
【0046】
【化13】


(反応式中、Y’はハロゲン原子を意味し、R1 ,R3 ,R4 およびWは前掲に同じ。)
【0047】化合物(14)と硫化水素ナトリウムの如き硫化水素塩を通常の方法で反応させると化合物(15)が得られ、次いで、化合物(15)においてWが低級アルコキシカルボニル基であるときは、それを酸または塩基の存在下に加水分解し、化合物(16)が得られる。
【0048】化合物(16)およびその1位低級アルキル置換体(19)は、例えば、ジャ−ナル オブ オルガニック ケミストリ−(Journal of Organic Chemistry)第19巻711頁(1982)に記載の方法に準じて得ることもできる。化合物(17)と五硫化リンをピリジン中で反応させると化合物(18)が得られ、次いで、それを水酸化ナトリウム水溶液で処理すると化合物(16)が得られる。更に、化合物(16)を低級アルキル化剤と反応させると化合物(19)が得られる。
【0049】また、式(II)で示される化合物に誘導される化合物(1)における後記化合物(22)は下記反応式(化14)に示される方法によっても製造できる。
【0050】
【化14】


(反応式中、R1'' は低級アルキル基,ベンジル基,低級アルコキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基を意味し、R1'''は水素原子およびアシル基以外のR1 と同じ基を意味し、R3 ,R4 ,RおよびXは前掲に同じ。)
【0051】化合物(20)の置換基R1'' と化合物(22)の置換基R1'''は化合物(21)を介して相互に変換することができる。
【0052】化合物(20)においてR1'' が低級アルキル基またはベンジル基であるときは、例えば、ジャ−ナル オブ オルガニック ケミストリ−第49巻2081頁(1984)に記載の方法に準じて、化合物(20)をクロロ炭酸1−クロロエチル等で処理すると化合物(21)が得られる。
【0053】また、化合物(20)においてR1'' がベンジル基またはベンジルオキシカルボニル基であるときは、水,メタノール,エタノール,酢酸,ジオキサン,酢酸エチル等の溶媒中通常25〜80℃で、常圧または加圧下にラネ−ニッケル,パラジウム−炭素等の触媒の存在下に水素と反応させると化合物(21)が得られる。
【0054】また、化合物(20)においてR1'' が低級アルコキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基であるときは、適当な溶媒中酸または塩基で処理することにより化合物(21)を得ることができる。例えば、R1'' がtert−ブトキシカルボニル基であるときは、無溶媒またはジクロロメタン,クロロホルム等の溶媒中通常25〜80℃でトリフルオロ酢酸で処理すると化合物(21)が得られる。
【0055】次いで、上記反応で得られた化合物(21)に化合物(22)のR1'''に対応するアルキル化剤、例えば、低級アルキル,アリル, プロパギル, ベンジル,ナフタレンメチル,芳香族複素環メチル化剤を水酸化アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム),炭酸アルカリ(例えば、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム),重炭酸アルカリ(例えば、重炭酸ナトリウム,重炭酸カリウム)の如き無機塩、ピリジン,トリエチルアミン,トリブチルアミンの如き有機塩等の塩基の存在下アセトン,メチルエチルケトン,ジエチルケトン,ジメチルホルムアミド,ベンゼン,トルエン,アセトニトリル等の溶媒中通常25〜100℃で反応させると化合物(22)が得られる。これらのアルキル化剤は通常使用されるものでよく、例えば、ハロゲン化アルキル,アルキル硫酸が挙げられる。
【0056】かくして得られた化合物(22)を酸または塩基の存在下加水分解すると化合物(1)(R1 =R1''')が得られる。
【0057】前記製造法2に用いられる式(IV)の化合物は新規物質であり、下記反応式(化15)に示される方法により製造することができる。
【0058】
【化15】


(反応式中、R2"は低級アルコキシ基,低級アルケニルオキシ基,フェノキシ基または低級アルキルチオ基を意味し、R1 ,R3 ,R4 およびXは前掲に同じ。)
【0059】化合物(1)またはそのカルボキシル基における反応性誘導体とチオシアン酸のアルカリ金属塩とを適当な溶媒中反応させると化合物(23)が得られ、次いで、それをアルコ−リシスまたは適当な溶媒中低級アルキルチオ−ルもしくはそのアルカリ金属塩と処理すると化合物(IV)が得られる。
【0060】前記製造法3に用いられる式(V)の化合物は新規物質であり、下記反応式(化16)に示される方法により製造することができる。
【0061】
【化16】


(反応式中、R1 ,R2",R3 ,R4 およびXは前掲に同じ。)
【0062】化合物(24)を反応に影響を及ぼさない適当な溶媒中水素化ホウ素ナトリウム,テトラブチルアンモニウムボロヒドリド,水素化リチウムアルミニウムの如き還元剤で還元すると化合物(25)が得られ、次いで、それを適当な溶媒中活性二酸化マンガンで酸化すると化合物(26)が得られる。
【0063】化合物(26)に通常のオキシム化の条件でヒドロキシルアミンを反応させると化合物(27)が得られ、次いで、それを、例えば、ジャ−ナル オブ オルガニック ケミストリ−第45巻3916頁(1980)に記載の方法に準じて、N−クロロコハク酸イミドと反応させると化合物(28)が得られる。
【0064】化合物(28)に、例えば、シンセシス (Synthesis)102頁(1979)に記載の方法に準じて、適当な溶媒中アジ化ナトリウムを反応させると化合物(29)が得られる。
【0065】化合物(29)に、例えば、シンセシス843頁(1986)に記載の方法に準じて、適当な溶媒中ハロギ酸エステルまたはS−低級アルキルチオ炭酸エステルの反応性誘導体を反応させ、化合物(30)とした後、それをトリフェニルホスフィンと反応させると化合物(V)が得られる。
【0066】化合物(28)は、また、例えば、シンセシス102頁(1979)に記載の方法に準じて、下記反応式(化17)に示される方法によっても得ることができる。
【0067】
【化17】


【0068】化合物(25)に無溶媒または適当な溶媒中で、三塩化リンあるいはオキシ塩化リンの如きリン化合物または塩化チオニル等を反応させると化合物(31)が得られ、次いで、それを適当な溶媒中、酸の存在下に亜硝酸アルキルと反応させると化合物(28)が得られる。
【0069】
【効果】以下に、本発明の代表的化合物についての薬理試験方法およびその結果を示し、本発明の化合物の作用の特徴について説明する。
【0070】試験例1 ベンゾジアゼピン受容体結合試験
【0071】ライフ サイエンス(Life Science)第20巻2101頁(1977)に記載の方法によりベンゾジアゼピン受容体結合試験を行った。
【0072】7〜8週齢のウイスタ−系ラットの脳より調整した粗シナプトゾ−ム膜分画を118mM塩化ナトリウム、4.8mM塩化カリウム、1.28mM塩化カルシウムおよび1.2mM硫酸マグネシウムを含む15mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)に懸濁(1g脳湿重量/20ml)し、受容体膜標品とした。また、標識リガンドとしては[3H]ジアゼパムを用いた。
【0073】各試験管に濃度既知の試験化合物、[3H]ジアゼパム(最終濃度1.5nM)、受容体膜標品および上記緩衝液を加えて反応液(総量1ml)とし、反応の開始は膜標品の添加により行った。0℃、20分間のインキュベ−ションの後、受容体に結合した標識リガンドをセルハ−ベスタ−(ブランデル社製)を用いてワットマンGF/Bグラスファイバ−フィルタ−上に吸引濾過して反応を停止し、直ちに、氷冷50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.7)5mlで3回洗浄した。次いで、フィルタ−上の放射能活性を液体シンチレ−ションカウンタ−により測定し、全結合量を求めた。また、同時に測定した1μMジアゼパム存在下における結合量を非特異的結合量とし、これを全結合量から差し引くことにより特異的結合量を求めた。さらに、試験化合物が標識リガンドの特異的結合を50%抑制する濃度(IC50%値)をプロビット法より算出した。結果を表1に示した。
【0074】
【表1】


【0075】試験例2 ペンチレンテトラゾ−ル誘発間代性痙攣に対する作用(抗PTZ作用)
【0076】イ−・エ−・スウィンヤ−ドの方法〔E. A. Swinyard, Anticonvulsant Drugs. Mercier, J., Ed., pp. 47-65, Pergamon Press, New York (1973)〕に準拠して、ペンチレンテトラゾ−ルにより誘発される間代性痙攣に対する試験化合物の拮抗作用を検討した。
【0077】この試験では小発作型の抗てんかん剤およびベゾジアゼピン系薬剤の多くが陽性効果を示す。
【0078】実験には体重20〜25gのStd−ddY系雄性マウス一群5匹および10匹を用いた。試験化合物の経口投与2時間後にペンチレンテトラゾ−ル(85mg/kg)を皮下投与した。その直後にマウスをプラスチック製ケ−ジに入れ間代性痙攣発作の発現の有無を30分間観察した。発作が認められない場合を拮抗作用ありと判定した。結果を表2に示した。
【0079】
【表2】


【0080】以上の試験結果に示す通り、本発明の化合物がベンゾジアゼピン受容体に対して顕著な親和性を示し、また、マウスを用いたペンチレンテトラゾ−ル誘発間代性痙攣に対して優れた拮抗作用を示す。したがって、本発明の化合物はベンゾジアゼピン受容体作動薬、例えば、抗不安薬、抗てんかん薬あるいは睡眠障害の治療薬として有用である。
【0081】
【本発明化合物の医薬としての使用方法】本発明の化合物をベンゾジアゼピン受容体作動薬として使用する場合は、経口投与、非経口投与あるいは直腸内投与のいずれでもよいが、経口投与が好ましい。投与量としては、投与方法、患者の症状年齢、処置形式(予防又は治療)等により異なるが、通常0.01〜10mg/kg/日、好ましくは0.02〜5mg/kg/日である。
【0082】本発明の化合物は通常製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明の化合物と反応しない物質が用いられる。具体的には例えば、乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、デンプン、白糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、カルボキシビニルポリマー、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、非イオン界面活性剤、プロピレングリコール、水等が挙げられる。
【0083】剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤、ゲル剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。なお、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーテ ングしてもよい。注射剤の場合には、本発明の化合物(I) の生理的に許容される酸付加塩を水に溶解させて調製されるが、必要に応じて等張化剤に溶解させてもよく、またpH調節剤、緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
【0084】これらの製剤は、本発明の化合物を0.01%以上、好ましくは0.05〜70%の割合で含有することができる。これらの製剤はまた、治療上有効な他の成分を含有してもよい。
【0085】
【実施例】以下に参考例および実施例を挙げて、本発明の化合物について具体的に説明する。
【0086】参考例 16−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボニトリル:
【0087】(1)1−ベンジル−4−ピペリドン26.8g(0.14モル)とピロリジン20g(0.28モル)のトルエン300mlの溶液を、水を留去しながら4時間加熱還流した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣に無水ジオキサン300mlを加えた。次いで、氷冷攪拌下にエトキシメチレンマロノニトリル19g(0.16モル)の無水ジオキサン40mlの溶液をゆっくりと滴下した。室温に戻し、1時間攪拌した後、酢酸アンモニウム22g(0.29モル)を加え70℃で終夜攪拌した。溶液を減圧下に濃縮乾固した。残渣にイソプロパノ−ルを加え、析出結晶を濾取、水洗後乾燥して2−アミノ−6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボニトリル18.3g(収率49%)を得た。更に精製することなく次の反応に使用した。
【0088】(2)上記化合物15g(56.7ミリモル)の10%硫酸水溶液150mlの溶液に、氷冷攪拌下亜硝酸ソーダ7.83g(113ミリモル)の水35mlの水溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後そのまま2時間攪拌した。氷冷攪拌下20%水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性にし、クロロホルムで抽出した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣にイソプロパノ−ルを加え、析出結晶を濾取し、アセトニトリルから再結晶して目的物10g(収率66%)を無色固体として得た。融点230〜233℃。
【0089】実施例 16−ベンジル−3−(5−シクロプロピル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンの製造:
【0090】(1)6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボニトリル1.6g(6ミリモル)のエタノ−ル30mlの溶液に、塩酸ヒドロキシルアミン0.52g(7.5ミリモル)と炭酸ナトリウム0.8g(7.5ミリモル)を加え、攪拌下終夜加熱還流した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣に水を加えた。析出結晶を濾取し、イソプロパノ−ルで洗浄、乾燥してアミドオキシム1.4g(収率78%)を無色固体として得た。更に精製することなく次の反応に使用した。
【0091】(2)上記化合物1.19g(4ミリモル)と炭酸カリウム0.66g(4.2ミリモル)のメチルエチルケトン50mlの懸濁液に、氷冷攪拌下シクロプロパンカルボニルクロリド0.44g(4.2ミリモル)のメチルエチルケトン3mlの溶液を滴下した。室温に戻し、2時間攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣に水を加えた。析出結晶を濾取し、水,イソプロパノ−ルで順次洗浄した。次に、この結晶とトルエン50mlの混合物を24時間加熱還流した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−に付し、クロロホルム−メタノ−ル(100:3)で溶出・精製した後、アセトニトリルから再結晶して目的物0.93g(収率66.7%)を無色固体として得た。融点187〜190℃。
【0092】対応する原料化合物を用い、実施例1と同様にして、表3〜5に掲載の実施例2〜実施例22の化合物を得ることができる。
【0093】
【表3】


【0094】
【表4】


【0095】
【表5】


【0096】参考例 26−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル:
【0097】(1)1−ベンジル−4−ピペリドン19g(0.1モル)とピロリジン10.7g(0.15モル)のトルエン200mlの溶液を、水を留去しながら5時間加熱還流した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣に無水トルエン200mlを加えた。次いで、氷冷攪拌下にエトキシメチレンシアノ酢酸エチル17g(0.1モル)の無水トルエン50mlの溶液をゆっくりと滴下した。室温に戻し、終夜攪拌した後、氷冷下に濃塩酸13mlを滴下した。得られた塩酸塩を濾取し、酢酸エチル、イソプロピルエ−テルの順に洗浄した。この塩酸塩をエタノ−ル300mlに溶かし、氷冷下アンモニアガスを吹き込み飽和させた。室温に戻し、終夜放置した後、溶液を減圧下に濃縮乾固した。残渣にイソプロパノ−ルを加え、析出結晶を濾取、乾燥して粗結晶10gを得た。
【0098】(2)上記粗結晶をエタノ−ル100mlに溶かし、氷冷攪拌下10%水酸化ナトリウム水溶液を滴下した。室温に戻し、30分間攪拌した後、氷冷下に水100mlを加えた。析出結晶を濾取、水洗した後、イソプロパノ−ルから再結晶して2−アミノ−6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル8.5g(収率27.3%)を無色固体として得た。融点141〜143℃。
【0099】(3)上記エステル10g(32ミリモル)の10%硫酸水溶液100mlの溶液に、氷冷攪拌下亜硝酸ソーダ4.5g(65ミリモル)の水20mlの水溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後そのまま2時間攪拌した。氷冷攪拌下20%水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性にし、クロロホルムで抽出した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた結晶をイソプロパノ−ルから再結晶して目的物6.8g(収率68%)を無色固体として得た。融点168〜170℃。
【0100】参考例 36−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩:
【0101】(1)6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル6.8g(22ミリモル)と20%塩酸水溶液70mlの溶液を3時間加熱還流した。冷後、析出結晶を濾取、水洗した。メタノ−ル−水から再結晶して目的物7.0g(収率99.2%)を無色固体として得た。融点260〜263℃。
【0102】(2)1−ベンジル−4−ピペリドン100g(0.53モル)とピロリジン70ml(0.795モル)のトルエン1.5Lの溶液を、水を留去しながら5時間加熱還流した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣にジオキサン1Lを加えた。次いで、氷冷攪拌下にエトキシメチレンマロン酸ジエチル126g(0.58モル)を加え、6時間加熱還流した。室温に戻し、酢酸アンモニウム82g(1.06モル)を加え、80℃,1時間加熱攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した。得られた6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチルを単離・精製することなく、次いで、20%塩酸水溶液600mlを加え、3時間加熱還流した。冷後、析出結晶を濾取、水洗した。メタノ−ル−水から再結晶して目的物105g(収率61.9%)を無色固体として得た。融点260〜263℃。
【0103】参考例45,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル・酢酸塩:
【0104】6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル8gと氷酢酸360mlの溶液に触媒の10%パラジウム−炭素200mgを加え、水素雰囲気下室温で接触水素還元した。理論量の水素ガスを吸収した後、触媒を濾去し、濾液を減圧下に濃縮乾固した。残渣にエタノ−ルを加え、析出結晶を濾取した。エタノ−ル−水から再結晶して無色固体6.8g(収率94%)を得た。融点125〜130℃。
【0105】参考例56−(3−フルオロベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル:
【0106】5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル・酢酸塩2.0g(7.1ミリモル)、臭化3−フルオロベンジル1.7g(9ミリモル)および重炭酸ナトリウム2.0g(24ミリモル)のメチルエチルケトン100mlの懸濁液を16時間加熱還流した。不溶物を濾去し、濾液を減圧下に濃縮乾固した。残渣をダイヤイオンCHP−20Pを用いた中圧カラムクロマトグラフィ−に付し、アセトニトリル/水の濃度勾配で溶出・精製した。エタノ−ルから再結晶し、無色固体1.91g(収率81.4%)を得た。融点276〜280℃。
【0107】参考例66−(2−フルオロベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩:
【0108】(1)二塩化フェニルホスホン酸1mlに室温下6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル1.0g(3.2ミリモル)を加えた後、150℃,1時間攪拌した。冷後、ジイソプロピルエ−テルを加え、結晶を濾取した。この結晶をクロロホルムに懸濁し、氷冷攪拌下28%アンモニア水を少しずつ加えてアルカリ性にした。有機層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−に付し、クロロホルム−メタノ−ル(200:1)で溶出・精製して6−ベンジル−2−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル0.7g(収率66.1%)を無色油状物として得た。
【0109】(2)上記エステル20.0g(60ミリモル)の塩化メチレン200mlの溶液に、クロロぎ酸(1−クロロエチル)10.4g(72ミリモル)を室温で滴下し、20時間攪拌した。次いで、反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣にメタノ−ル200mlを加え、40℃,2時間加熱攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣にジイソプロピルエ−テルを加え結晶を濾取した。エタノ−ルから再結晶し、2−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル・塩酸塩21.2g(収率85.8%)を無色固体として得た。融点153〜156℃。
【0110】(3)上記塩酸塩5.0g(18ミリモル)、トリエチルアミン4.0g(40ミリモル)のDMF50mlの溶液に、臭化2−フルオロベンジル3.1g(21ミリモル)を加え、60℃,15時間加熱攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した。残渣をクロロホルムに溶かし、10%炭酸カリウム水溶液、水の順で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−に付し、クロロホルム−メタノ−ル(100:1)で溶出・精製して2−クロロ−6−(2−フルオロベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル4.6g(収率73.3%)を無色油状物として得た。
【0111】(4)上記エステル4.6g(13ミリモル)と20%塩酸水溶液80mlの溶液を24時間加熱還流した。氷冷した後、析出結晶を濾取、水洗した。エタノ−ルから再結晶して目的物3.4g(収率77.2%)を無色固体として得た。融点273〜276℃。
【0112】対応する原料化合物を用い、参考例6(3),(4)と同様に反応・処理し、下記の化合物を得た。
【0113】6−(3−フルオロベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩(融点228〜230℃); 6−(4−フルオロベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩(融点247〜250℃); 6−(2−クロロベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩(融点238〜241℃); 6−(3−クロロベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩(融点237〜239℃); 6−(4−クロロベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩(融点245〜248℃); 6−(2−ブロモベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩(融点236〜238℃); 6−(3−ブロモベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩(融点246〜248℃); 6−(4−ブロモベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩(融点245〜248℃); 6−(2−メチルベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩(融点242〜245℃); 6−(3−メチルベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩(融点237〜240℃); 6−(4−メチルベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩(融点259〜262℃);6−(3−メトキシベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩(融点229〜232℃); 6−(2−ブロモ−5−フルオロベンジル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩(融点234〜237℃)。
【0114】実施例 236−ベンジル−3−(3−フェニル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンの製造:
【0115】(1)6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸・塩酸塩1.6g(5ミリモル)とトリエチルアミン0.56g(5.5ミリモル)の1,2−ジクロロエタン50mlの懸濁液にN,N′−カルボニルジイミダゾ−ル1.22g(7.5ミリモル)を加え、70℃,3時間加熱攪拌した。室温に戻し、ベンズアミドオキシム0.82g(6ミリモル)を加え、2時間攪拌した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固し、残渣にイソプロパノ−ルを加え,析出結晶を濾取して無色固体1.4g(収率70%)を得た。更に精製することなく次の反応に使用した。
【0116】(2)上記固体1.4gのトルエン50mlの溶液を終夜加熱還流した。反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−に付し、クロロホルム−メタノ−ル(100:3)で溶出・精製した後、クロロホルム−エタノ−ルから再結晶して目的物0.91g(収率68%)を無色固体として得た。融点231〜233℃。
【0117】対応する原料化合物を用い、実施例23と同様にして、表6〜8に掲載の実施例24〜実施例44の化合物を得ることができる。
【0118】
【表6】


【0119】
【表7】


【0120】
【表8】


【0121】参考例 76−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−メタノ−ル:
【0122】6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸エチル20g(64ミリモル),テトラメチルアンモニウムボロヒドリド25g(97ミリモル)と1,2−ジクロロエタン200mlの混合物を4時間加熱還流する。反応溶液を減圧下に濃縮乾固する。残渣に水を加え、再び終夜加熱還流する。氷冷後、析出結晶を濾取、乾燥して目的物を得る。
【0123】参考例 86−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシアルデヒド:
【0124】6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−メタノ−ル2.7g(10ミリモル)のクロロホルムル100ml溶液に活性二酸化マンガン13.5gを加え、5時間加熱還流する。冷後、不溶物を濾去し、濾液を減圧下に濃縮乾固する。残渣をダイヤイオンCHP−20Pを用いた中圧カラムクロマトグラフィ−に付し、アセトニトリル/水の濃度勾配で溶出,精製して目的物を得る。
【0125】参考例 96−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−アルドオキシム:
【0126】6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシアルデヒド5.4g(20ミリモル)と塩酸ヒドロキシルアミン2.8g(40ミリモル)のエタノ−ル50ml溶液を3時間加熱還流する。冷後、析出結晶を濾取、乾燥して目的物を得る。
【0127】参考例 106−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−ヒドロキシイミノイルクロリド:
【0128】6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−アルドオキシム2.8g(10ミリモル)とDMF30ml溶液に、室温下N−クロロコハク酸イミド1.4g(10ミリモル)を少量ずつ添加し、そのまま5時間攪拌する。反応溶液を氷水に注ぎ、析出結晶を濾取、乾燥して目的物を得る。
【0129】参考例 116−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−アジドオキシム:
【0130】6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−ヒドロキシイミノイルクロリド3.2g(10ミリモル),ナトリウムアジド0.65g(10ミリモル)とDMF30mlの混合物を室温で6時間攪拌する。反応溶液を氷水に注ぎ、析出結晶を濾取、乾燥して目的物を得る。
【0131】参考例 12O−メトキシカルボニル 6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−アジドオキシム:
【0132】6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−アジドオキシム3.2g(10ミリモル)とトリエチルアミン1.1g(10ミリモル)のジクロロメタン60ml溶液に、氷冷下クロロ炭酸メチル1.0g(10ミリモル)のジクロロメタン5ml溶液を滴下する。室温に戻し、3時間攪拌する。反応溶液を減圧下に濃縮乾固する。残渣に水を加え、析出結晶を濾取、乾燥して目的物を得る。
【0133】実施例 456−ベンジル−3−(5−メトキシ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンの製造:
【0134】(1)O−メトキシカルボニル 6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−アジドオキシム3.8g(10ミリモル)とジクロロメタン40mlの混合物に、氷冷下、トリフェニルホスフィン2.7g(10ミリモル)のジクロロメタン20mlの溶液をゆっくりと滴下する。この反応溶液を冷蔵庫で終夜放置した後、減圧下に濃縮乾固する。得られた結晶を精製することなく、そのまま次の反応に使用する。
【0135】(2)上記結晶を無水トルエン40mlに溶かし、15時間加熱還流する。反応溶液を減圧下に濃縮乾固し、残渣にイソプロパノ−ル10mlを加え、結晶を濾取る。メタノ−ルから再結晶して目的物を無色固体として得る。
【0136】対応する原料化合物を用い、実施例45と同様にして、実施例46〜47の化合物を得る。
【0137】実施例 466−ベンジル−3−(5−エトキシ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オン。
【0138】実施例 476−ベンジル−3−(5−イソプロポキシ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オン。
【0139】参考例 136−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボニルイソチオシアネ−ト:
【0140】(1)6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸塩酸塩3.2g(10ミリモル)とトリエチルアミン3.1g(30ミリモル)のジクロロメタン50ml溶液に塩化チオニル1.3g(10ミリモル)のジクロロメタン5ml溶液を氷冷、攪拌下に滴下する。滴下終了後、室温に戻し、1時間攪拌する。溶液を減圧下に濃縮し、酸クロリドを油状物として得る。
【0141】(2)上記で得られた油状物の2N水酸化ナトリウム25ml溶液に、チオシアン酸カリウム1.5g(15ミリモル)を加え、室温で20時間攪拌する。クロロホルムで抽出し、無水硫酸で乾燥した後、減圧下に濃縮乾固する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−に付し、クロロホルム−メタノ−ル(5:1)で溶出,精製して目的物を無色固体として得る。
【0142】参考例 14N−メトキシチオカルボニル 6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド:
【0143】6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボニルイソチオシアネ−ト3.3g(10ミリモル)の無水メタノ−ル30ml溶液にナトリウムメトキサイド1.1g(20ミリモル)を加え、20時間加熱還流する。反応溶液を減圧下に濃縮し、残渣にエタノ−ルを加える。析出結晶を濾取、乾燥して目的物を得る。
【0144】実施例 486−ベンジル−3−(3−メトキシ−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンの製造:
【0145】N−メトキシチオカルボニル 6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド3.6g(10ミリモル)および塩酸ヒドロキシルアミン1.4g(20ミリモル)のピリジン20mlの懸濁液を終夜加熱還流する。反応溶液を減圧下に濃縮乾固し、残渣に水を加える。析出結晶を濾取し、メタノ−ルから再結晶して無色固体を得る。
【0146】対応する原料化合物を用い、実施例48と同様にして、実施例49〜50の化合物を得る。
【0147】実施例 496−ベンジル−3−(3−エトキシ−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オン。
【0148】実施例 506−ベンジル−3−(3−イソプロポキシ−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 式(I)
【化1】


(式中、R1 は水素原子,アシル基,低級アルキル基またはR1'CH2-を意味し、R1'は低級シクロアルキル基, 低級アルケニル基, 低級アルキニル基, ベンジル基, アリ−ル基またはヘテロアリ−ル基を意味し、R2 は低級アルキル基, 低級シクロアルキル基,低級アルケニル基, 低級アルキニル基, アリ−ル基, ヘテロアリ−ル基,ハロゲノ低級アルキル基,低級アルコキシ低級アルキル基,低級アルコキシ基, 低級アルケニルオキシ基,フェノキシ基または低級アルキルチオ基を意味し、R3 ,R4 は水素原子または低級アルキル基を意味し、Xは酸素原子または硫黄原子を意味する。)で表される3−(1,2,4−オキサジアゾ−ル−3−もしくは5−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン誘導体またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項2】R1 がR1'CH2-であって、R1'がアリ−ル基またはヘテロアリ−ル基であり、R2 が低級アルキル基, 低級シクロアルキル基, 低級アルケニル基, アリ−ル基, ヘテロアリ−ル基または低級アルコキシ基であり、R3 およびR4 が水素原子であり、Xが酸素原子である請求項1の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項3】R2 が炭素数1乃至3の低級アルキル基,シクロプロピル基または炭素数1乃至3の低級アルコキシ基である請求項2の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項4】 6−ベンジル−3−(5−シクロプロピル−1,2,4−オキサジアゾ−ル−3−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンである請求項3の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項5】 6−ベンジル−3−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾ−ル−3−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンである請求項3の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項6】 6−ベンジル−3−(5−エチル−1,2,4−オキサジアゾ−ル−3−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンである請求項3の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。
【請求項7】 6−ベンジル−3−(3−エチル−1,2,4−オキサジアゾ−ル−5−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オンである請求項3の化合物またはその生理的に許容される酸付加塩。