説明

3,6−ジヒドロ−1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法

特許請求されるのは、無機及び/又は有機塩基の存在下でビグアニドをアルデヒドと反応させる、3,6−ジヒドロ−1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法である。本方法により、穏やかな、ひいては経済的な反応条件下での反応実施が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機及び/又は有機塩基の存在下でビグアニドをアルデヒドと反応させる、3,6−ジヒドロ−1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法に関する。
【0002】
3,6−ジヒドロ−1,3,5−トリアジン誘導体は、インシュリン抵抗性症候群と関連する病理学的症状の治療において、薬理学的特性を示す。幾つかの特許は、3,6−ジヒドロ−1,3,5−トリアジン誘導体の製造を記載している:例えばUS 3,287,366は、下記の構造を有するジヒドロトリアジンの合成を記載している:
【化1】

【0003】
この合成は、酸の存在下、高められた温度で、モノ置換されたビスグアニジンと、アルデヒド又はケトンとの反応を含む。
【0004】
日本国特許JP 480 640 88は、下記の構造を有するジヒドロトリアジンの合成を記載している:
【化2】

【0005】
この類似の合成は、酸性条件下での加熱を含む。
【0006】
日本国特許JP54014986は、下記の構造を有するジヒドロトリアジンの合成を記載している:
【化3】

【0007】
この方法もまた、酸性条件下での加熱が必要となる。
【0008】
特許出願WO01/55122には、下記の構造を有するジヒドロトリアジンの合成が開示されている:
【化4】

【0009】
この合成は、酸の存在下、高められた温度での、モノ置換されたビスグアニジンと、アセタール、ヘミアセタール、ケタール、ヘミケタール、アルデヒド、又はケトンとの反応に関する。
【0010】
公表された方法に共通しているのは、高められた温度が必要なことであり、これにより沸点が低い出発化合物を使用する場合には、還流条件又は高圧、並びに酸の使用が必要となる。
【0011】
本発明は、穏やかな反応条件で実施可能な3,6−ジヒドロ−1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法を提供するという課題に基づいていた。さらなる課題は、本方法のコストを削減するために、可能な限り経済的な出発材料を使用可能にする反応を発見することにあった。
【0012】
本発明は、式I
【化5】

の化合物の製造方法に関し、
[式中、R1、R2、R3及びR4は相互に独立して以下の基から選択されている:
H、
1〜C20アルキル、場合によりハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、又はC3〜C8シクロアルキルで置換されたもの、
2〜C20アルケニル、場合によりハロゲン、C1〜C5アルキル、又はC1〜C5アルコキシで置換されたもの、
2〜C20アルキニル、場合によりハロゲン、C1〜C5アルキル、又はC1〜C5アルコキシで置換されたもの、
3〜C8シクロアルキル、場合によりC1〜C5アルキル、又はC1〜C5アルコキシで置換されたもの、
N、O、及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有するC3〜C8ヘテロシクロアルキル、及び場合によりC1〜C5アルキル、又はC1〜C5アルコキシで置換されたもの、
6〜C14アリール−C1〜C20アルキル、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
6〜C14アリール、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシで置換されたもの、
N、O、及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有するC1〜C13ヘテロアリール、及び場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
片方の側にあるR1とR2、及びもう片方の側にあるR3とR4が、窒素原子とともにn員環(nは3〜8)を形成することができ、このn員環は場合によりN、O及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有し、かつ可能であれば以下の基のうちの1つにより置換されていてよい:アミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチル;
5は以下の基から選択されている:
1〜C20アルキル、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
1〜C20アルケニル、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
2〜C20アルキニル、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
3〜C8シクロアルキル、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
N、O及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有するC3〜C8ヘテロシクロアルキル、及び場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
6〜C14アリール、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
N、O及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有するC1〜C13ヘテロアリール、及び場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
6〜C14アリール−C1〜C5アルキル、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、及び製薬に適したこれらの誘導体、溶媒和化合物、塩、及び異性体]
の化合物の製造方法であって、本方法は、
式II
【化6】

[式中、R1、R2、R3及びR4は先に定義した通りである]
の化合物を、
式III
【化7】

[式中、R5は先に定義した通りである]
の化合物と、極性溶媒又は溶媒混合物中で、無機、及び/又は有機塩基の存在下で反応させることを特徴とする、製造方法である。
【0013】
意外なことに、本発明による方法は周辺圧力、及び穏やかな温度での反応実施を可能にすることが確かめられた。これらの条件により、経済的な方法手段が可能になり、必要となるエネルギーがより少なくなるだけでなく、また装置的なコストと安全性も改善される。
【0014】
塩基は、無機塩基、例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、及びアルカリ金属アルコラートから、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメタノラート、ナトリウムエタノラートなどから、又は有機塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソピロピルエチルアミン、ピリジン、ピロール、ピロリジン、ピペリジンなど、及び前記の任意の混合物から選択されていてよい。
【0015】
収率の点では、強塩基、とりわけアルカリ金属水酸化物などによって特に良好な結果が得られ、この際に水酸化ナトリウムが特に好ましい。
【0016】
この方法は通常、溶媒中で行う。この溶媒は好適には、反応混合物を撹拌できるような量で使用する。この溶媒は、反応に否定的な影響を与えない任意の溶媒から選択されていてよく、その例は水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、及びN,N−ジメチルホルムアミドなど、又は上記溶媒の混合物である。適切な溶媒として実証されているのは、とりわけ水、アルコール、並びに水とアルコールから成る混合物、例えば水とメタノールから成る混合物である。
【0017】
式II及び式IIIの出発化合物を等モル量から、式IIの化合物に対して式IIIの化合物を過剰量で使用すれば、反応実施のために有利であると実証されている。好ましい実施態様では、式IIIの化合物の濃度は、式IIの化合物に対して1当量〜10当量である。
【0018】
添加される塩基の量は、広い範囲で変えることができる。好適には塩基は、式IIの化合物に対して0.1〜10当量、とりわけ0.5〜5当量、好適には0.8〜2当量の量で使用する。特に好ましい実施態様では、塩基は式IIの化合物に対して等モル量で使用する。当業者は、使用される出発原料次第で、塩基の使用量を変えるであろう。
【0019】
「化合物の溶媒和化合物」という言葉は、化合物への不活性溶媒分子の付加を意味し、これは相互引力が原因で形成されるものである。溶媒和化合物は例えば、一水和物、二水和物又はアルコラートである。
【0020】
「製薬に使用可能な誘導体」という言葉は例えば、本発明による化合物の塩、及びいわゆるプロドラッグ化合物を意味し、ここで「プロドラッグ誘導体」とは通常、例えばアルキル基若しくはアシル基、糖若しくはオリゴペプチドで変性された、生体内で迅速に分解することができる式Iの化合物であり、その結果本発明による活性化合物が形成される。これはまた、本発明による化合物の生分解可能なポリマー誘導体を含み、例えばInt. J. Pharm. 115, 61-67 (1995)に記載されている。
【0021】
式Iの化合物の異性体に該当するのは通常、立体異性体と、互変異性体である。
【0022】
本発明による反応は、周辺圧力で実施可能であるという利点を有する。反応は、−10℃〜高められた温度、最大100℃の温度で行うことができる。特に好ましい実施態様では、反応は室温で行う。弱塩基を使用する場合、反応は比較的高い温度で行うのが有利であり得る。
【0023】
一度以上現れうるすべての基、例えばアルキル、アリール基又は複素環式残基への選択的な置換基は、そのままの意味を表し、かつ相互に独立している。
【0024】
アルキルは非分枝状(線状)又は分枝状であってよく、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子を有する。アルキルは好適にはメチルだが、しかしながらまたエチル、プロピル、イソプロ−イル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、又はt−ブチル、同様にペンチル、1−、2−又は3−メチルプロピル、1,1−、1,2−、又は2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−、又は4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−、又は3,3−ジメチルブチル、1−又は2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−、又は1,2,2−トリメチルプロピル、好適にはまた例えばトリフルオロメチルである。
【0025】
特に好ましいアルキルは、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子を有するアルキル、好適にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソプロピル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、又は1,1,1−トリフルオロエチルである。
【0026】
シクロアルキルは好適には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルである。アルキレンは好適には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン又はヘキシレンであるが、また分枝状アルキレンでもある。
【0027】
アルキレンは好ましくは、ビニルである。
【0028】
アルキニルは好ましくは、C≡CHである。
【0029】
ハロゲンは、F、Cl、Br、又はIである。
【0030】
アルコキシは好適には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、又はブトキシである。
【0031】
N、O、及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有するC3〜C8ヘテロシクロアルキルは好適には、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−、又は−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−、又は−5−フリル、テトラヒドロ−2−又は−3−フリル、1,3−ジオキサン−4−イル、テトラヒドロ−2−又は−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、又は−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、又は−5−ピロリル、1−、2−、又は3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−、又は−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、又は−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−、又は−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、又は−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、又は−6−ピリジル、1−、2−、3−、又は4−ピペリジニル、2−、3−、又は4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−、又は−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−、又は−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−、又は−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−、又は−5−ピリミジニル、1−、2−、又は3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−、又は−8−キノニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−、又は−8−イソキノニル、2−、3−、5−、6−、7−、又は8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニルである。
【0032】
場合により置換されているとは、置換されていないか、又はモノ置換、ジ置換、トリ置換、テトラ置換、若しくはペンタ置換されているということである。
【0033】
アリールは好適には、フェニル、ナフチル、又はジフェニルである。
【0034】
アリールアルキルは好適には、ベンジルである。
【0035】
N、O、及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有するヘテロアリールは好適には、2−又は3−フリル、2−又は3−チエニル、1−、2−、又は3−ピロリル、1−、2−、4−、又は5−イミダゾリル、1−、3−、4−、又は5−ピラゾリル、2−、4−、又は5−オキサゾリル、3−、4−、又は5−イソオキサゾリル、2−、4−、又は5−チアゾリル、3−、4−、又は5−イソチアゾリル、2−、3−、又は4−ピリジル、2−、4−、5−、又は6−ピリミジニル、さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4ー、又は−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−、又は−5−イル、1−又は5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−、又は−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−、又は−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−、又は−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−、又は−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−、又は−5−イル、3−又は4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、又は7−インドリル、4−又は5−イソインドリル、1−、2−、4−、又は5−ベンゾイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−、又は7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−、又は7−ベンゾオキサゾリル、3−、4−、5−、6−、又は7−ベンゾイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−、又は7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−、又は7−ベンゾイソチアゾリル、4−、5−、6−、又は7−ベンゾ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−、又は8−キノニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−、又は8−イソキノニル、3−、4−、5−、6−、7−、又は8−キノリニル、2−、4−、5−、6−、7−又は8−キナゾリニル、5−又は6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−、又は8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−、又は−5−イル、又は2,1,3−ベンゾオキサジアゾール−5−イルである。
【0036】
1、R2、R3及びR4は好適には、相互に独立して以下の基から選択されている:
1〜C20アルキル、場合によりハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、又はC3〜C8シクロアルキルで置換されたもの、
2〜C20アルケニル、場合によりハロゲン、C1〜C5アルキル、又はC1〜C5アルコキシで置換されたもの、
2〜C20アルキニル、場合によりハロゲン、C1〜C5アルキル、又はC1〜C5アルコキシで置換されたもの、
3〜C8シクロアルキル、場合によりハロゲン、C1〜C5アルキル、又はC1〜C5アルコキシで置換されたもの、
N、O、及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有するC3〜C8ヘテロシクロアルキル、及び場合によりC1〜C5アルキル、又はC1〜C5アルコキシで置換されたもの
6〜C14アリール−C1〜C20アルキル、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール、C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
6〜C14アリール、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシで置換されたもの、
N、O、及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有するC1〜C13ヘテロアリール、及び場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール、C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの。
【0037】
式Iの化合物の好ましい製造方法は、
1、R2、R3及びR4が相互に独立してC1〜C20アルキルであり、
3、R4がHであり、
5がC1〜C20アルキルである、
式Iの化合物に関する。
【0038】
式Iの化合物の特に好ましい製造方法は、
1、R2が、相互に独立してC1〜C6アルキルであり、
3、R4がHであり、
5がC1〜C6アルキルである、
式Iの化合物に関する。
【0039】
極めて特に好ましいのは、
1、R2がメチルであり、
3、R4がHであり、
5がメチルである、
式Iの化合物の製造方法である。
【0040】
本発明のより正確な説明のために実施例を記載するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0041】
実施例1:
2−アミノ−3,6−ジヒドロ−4−ジメチルアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジンの製造:
662g(4mol)のメトホルミン×HCl(1,21−ジメチルビグアニド×HCl)、及びMeOH1600mlで満たされた4lの二口フラスコを、マグネチックスターラで250回転/分で室温、水浴中で撹拌した。この懸濁液に、滴下漏斗を介して、水200mL中の水酸化ナトリウム160g(4mol)を添加した。同時に別の漏斗を介して、MeOH400mL中のアセトアルデヒド226mL(4mol)を、この混合物に添加した。NaOH溶液の添加は70分以内に終わらせ、その一方、アセトアルデヒドの添加は100分以内に終わらせた。引き続き、塩化ナトリウムを除去するために反応混合物をセライトを介して濾過した。この溶液を濃縮し、この際に白色の固体が得られ、これを熱いエタノール1.2lで抽出し、懸濁液を得た。濾過後、エタノール溶液を濃縮すると、黒黄色の固体が形成された(520g、収率84%)。
【0042】

【0043】
実施例2:
65gのメトホルミン×HCl(10mmol)、及び水酸化ナトリウム0.4g(10mmol)をメタノール10mLに懸濁させた懸濁液に、メタノール4mLにアセトアルデヒド0.56mL(10mmol)を溶解させた溶液を、室温で10分にわたって添加し、引き続き1時間撹拌した。それからこの溶液を濾別し、かつ濃縮して白色の固体が形成された。この白色の固体は、熱いエタノール10mLに溶解させ、そして再度濾過した。真空中で濃縮後、1.4gの白色の固体が得られた。収率:90%。
【0044】
実施例3:
メトホルミンHCl 1.65g(10mmol)、及び水酸化ナトリウム0.4g(10mmol)を水10mLに溶解させた溶液に、アセトアルデヒド0.56mL(10mmol)を水4mLに溶解させた溶液を、10分間にわたって添加した。1時間後、室温でこの溶液を濃縮し、白色の固体が形成された。引き続きこの固体をエタノール10mLに溶解させ、そして濾過した。濃縮度、白色の固体1.45gが得られ、収率は93%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、R1、R2、R3及びR4は相互に独立して以下の基から選択されている:
H、
1〜C20アルキル、場合によりハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、又はC3〜C8シクロアルキルで置換されたもの、
2〜C20アルケニル、場合によりハロゲン、C1〜C5アルキル、又はC1〜C5アルコキシで置換されたもの、
2〜C20アルキニル、場合によりハロゲン、C1〜C5アルキル、又はC1〜C5アルコキシで置換されたもの、
3〜C8シクロアルキル、場合によりC1〜C5アルキル、又はC1〜C5アルコキシで置換されたもの、
N、O、及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有するC3〜C8ヘテロシクロアルキル、及び場合によりC1〜C5アルキル、又はC1〜C5アルコキシで置換されたもの、
6〜C14アリール−C1〜C20アルキル、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
6〜C14アリール、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシで置換されたもの、
N、O、及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有するC1〜C13ヘテロアリール、及び場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
片方の側にあるR1とR2、及びもう片方の側にあるR3とR4が、窒素原子とともにn員環(nは3〜8)を形成することができ、このn員環は場合によりN、O及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有し、かつ可能であれば以下の基のうちの1つにより置換されていてよい:アミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチル;
5は以下の基から選択されている:
1〜C20アルキル、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
1〜C20アルケニル、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
2〜C20アルキニル、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
3〜C8シクロアルキル、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
N、O及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有するC3〜C8ヘテロシクロアルキル、及び場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
6〜C14アリール、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
N、O及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有するC1〜C13ヘテロアリール、及び場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、
6〜C14アリール−C1〜C5アルキル、場合によりアミノ、ヒドロキシ、チオ、ハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C5アルコキシ、C1〜C5アルキルチオ、C1〜C5アルキルアミノ、C6〜C14アリールオキシ、C6〜C14アリール−C1〜C5アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、カルボキシル、カルボキシメチル、又はカルボキシエチルで置換されたもの、及び製薬に適したこれらの誘導体、溶媒和化合物、塩、及び異性体]
の化合物の製造方法において、
式II
【化2】

[式中、R1、R2、R3及びR4は先に定義した通りである]
の化合物を、
式III
【化3】

[式中、R5は先に定義した通りである]
の化合物と、極性溶媒又は溶媒混合物中で、無機、及び/又は有機塩基の存在下で反応させることを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
1、R2が相互に独立してC1〜C20アルキルであり、
3、R4がHであり、
5がC1〜C20アルキルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1、R2が相互に独立してC1〜C6アルキルであり、
3、R4がHであり、
5がC1〜C6アルキルである、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1、R2がメチルであり、
3、R4がHであり、
5がメチルである、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコラート、又は有機塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピロール、ピロリジン、ピペリジン、及び上記の任意の混合物から選択されている、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒が、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、NN−ジメチルホルムアミド、又は上記溶媒の混合物から成る群から選択されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
式IIの化合物に対して1当量〜10当量で式IIIの化合物を使用する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
式IIの化合物に対して0.1当量〜10当量で塩基を使用する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
式IIIの化合物がアセトアルデヒドである、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
反応を周辺圧力で行う、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
反応を室温で行う、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−503124(P2011−503124A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533427(P2010−533427)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/DE2008/001858
【国際公開番号】WO2009/062483
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(591091515)シュトゥディエンゲゼルシャフト・コーレ・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (18)
【氏名又は名称原語表記】Studiengesellschaft Kohle mbH
【住所又は居所原語表記】Kaiser−Wilhelm−Platz 1, D−45470 Muelheim an der Ruhr, Germany