説明

4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン類の製造方法

【課題】4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン類の簡便かつ効率的な製造方法を開発する。
【解決手段】モルホリン類をパラジウムを含む金属触媒と接触させ、4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン類を得る。この製造方法において、2−(2−アミノエトキシ)エタノール類の共存下に反応を実施し、反応温度を50℃から350℃の範囲から選び、反応圧を大気圧から10MPaの範囲の選ばれた圧力にしても良い。金属触媒は、担持金属触媒であることが好ましく、パラジウムを含む担持金属触媒であることが更に好ましい。更に、金属触媒を水素気流中で前処理することが好ましく、50℃から400℃の範囲の選ばれた温度で金属触媒を水素気流中で前処理することが更に好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン類の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリンは広範な工業的用途がある化合物である。例えば、非特許文献1には4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリンの医薬中間体用原料としての用途が開示されている。そのため、簡便な合成法が望まれているが、合成例は2例しか開示されていない。非特許文献1には、2−(2−クロロエトキシ)エタノールを塩基の存在下にモルホリンと反応させ4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]モルホリンを得、これを亜鉛アジド−ピリジン複合物とアゾジカルボン酸ジイソプロピルにより水酸基をアジ化し、次いで水素還元により4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリンを得る方法が開示されている。しかしながら、多段階の反応であること、環境的に不適合な含塩素化合物を原料に用いること、および爆発性のアジド化合物を用いること、が工業的に問題である。また特許文献1には、触媒を用いてジエチレングリコールとアンモニアからモルホリンを製造する際に、副生成物として4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリンが1.6から3.4%と微量生成することが開示されている。
【0003】
【非特許文献1】Journal of Medicinal Chemistry,第37巻,2285ページ,1994年
【特許文献1】米国特許第4,582,904号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン類の簡便な製造方法を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、金属触媒の存在下にモルホリンから4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリンが生成すること、およびモルホリンと2−(2−アミノエトキシ)エタノールを金属触媒の存在下に反応させることにより4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリンが生成すること、を見出し本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、モルホリン類を金属触媒と接触させることを特徴とする、4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン類の製造方法に関するものである。以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0006】
本発明においてモルホリン類とは、環状構造を形成するエチレン基上に置換基を有していてもよいモルホリンである。また4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン類とは、環状構造を形成するエチレン基上、および側鎖2−(2−アミノエトキシ)エチル基の対応するエチレン基上に同様の置換基を有していてもよい4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリンである。さらに2−(2−アミノエトキシ)エタノール類とは、共存させるモルホリン類が置換基を有する場合にはそれと同様の置換基をエチレン基上に有する2−(2−アミノエトキシ)エタノールである。
【0007】
本発明に記載の方法によって4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン類は、金属触媒と接触させることによりモルホリン類のみからも製造できるが、モルホリン類と2−(2−アミノエトキシ)エタノール類からも製造することができる。モルホリン類と2−(2−アミノエトキシ)エタノール類から製造するばあいのモルホリン類と2−(2−アミノエトキシ)エタノール類のモル比は特に限定はないが、好ましくは1:10から10:1の範囲から選ぶことができる。収率が良い点で、モルホリン類のみを原料とすることが更に望ましい。
【0008】
本発明で金属触媒として用いることのできる金属は例えば、パラジウム、ルテニウム、白金、レニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、銅、ランタン、セリウム、ネオジウム、プラセオジウム、バナジウム、モリブデン、タングステン等を列挙することができ、またこれらの塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、酸化物塩等の金属塩やアンミン錯体、アセチルアセトナト錯体等の錯化合物を用いてもよく、さらにこれらの金属、金属塩または錯化合物を必要に応じて組合わせて用いても良い。収率が良い点でパラジウム、ルテニウム、白金、レニウム、ロジウム、イリジウム、コバルト、ニッケル、クロム、銅、ランタン、セリウム、ネオジウムまたはこれらの金属塩もしくは錯化合物が望ましく、パラジウムまたはパラジウムの金属塩もしくは錯化合物を単独で用いることがさらに望ましい。
【0009】
パラジウムの金属塩および錯化合物としてはテトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム(II)酸カリウム、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸ナトリウム、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸カリウム、テトラアンミンパラジウム(II)塩化物およびジクロロジアンミンパラジウム(II)等を列挙することができる。
【0010】
これらの金属触媒は、金属、金属塩または錯化合物等を適当な担体に担持して担持金属触媒として用いることが望ましい。担体としては例えば、γ−アルミナ、α−アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化トリウム、二酸化マンガン、Y型ゼオライト、A型ゼオライト、X型ゼオライト、モルデナイト、ZSM−5、スメクタイト、ヒドロキシアパタイト、ハイドロタルサイト、四フッ化ケイ雲母、モンモリロナイト、活性炭、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、ポリエチレン−ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等を列挙することができ、これらを必要に応じて組合わせて用いても良い。収率が良い点で、γ−アルミナ、α−アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化トリウム、二酸化マンガン、活性炭が望ましく、γ−アルミナを単独で用いることがさらに望ましい。
【0011】
担持金属触媒は、市販品を用いても良いが、必要に応じて、上記の金属、金属塩または錯化合物等と担体を用いて調製しても良い。担持金属触媒の調製法に特に制限はなく、汎用的な含浸法、共沈法、ゾル−ゲル法、混練法、化学気相蒸着法、イオン交換法等を用いることができる。
【0012】
金属触媒の使用量は、モルホリン類に対して金属換算で0.001から10モル%が好ましく、0.05から5モル%がさらに好ましい。
【0013】
金属触媒は、反応前に水素気流中で前処理してから使用することが望ましい。前処理温度は50℃から400℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことが望ましい。触媒能が良い点で100℃から350℃がさらに望ましい。
【0014】
本反応は、水素、アルゴン、窒素、空気などの雰囲気下で行うことができる。初期圧は大気圧(0.10MPa)から10MPaで行うことができる。収率が良い点で0.5MPaから5MPaがさらに望ましい。
【0015】
本発明では、収率が良い点で溶媒を用いずに反応を行うことが望ましい。しかしながら本反応に溶媒を用いる場合は、反応を阻害するものでなければ限定はなく、例えば、水、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ジクロロメタン、テトラクロロエタン、アセトニトリル、酢酸エチルなどが例示できる。
【0016】
反応温度に特に制限はないが、50℃から350℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことが好ましい。また反応時間は、反応温度にもよるが、10分から48時間である。
【0017】
反応後の溶液から目的物を単離する方法に特に限定はないが、精密蒸留、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の製造方法は、医薬中間体など広範な工業的用途がある重要な化合物である4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン類を簡便に得る製造方法として有効である。
【実施例】
【0019】
次に本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例で、モルホリンのみを基質とした反応(実施例1から8)における転化率、生成率および収率は以下の式(1)から(3)で計算したものである。
【0020】
式(1)
転化率(%)=(1−[反応後のモルホリンのモル数]÷[仕込みのモルホリンのモル数])×100
式(2)
生成率(%)=(2×[GC分析により得られた反応後の4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリンのモル数]÷[仕込みのモルホリンのモル数])×100
式(3)
収率(%)=(2×[単離後の4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリンのモル数]÷[仕込みのモルホリンのモル数])×100
また、モルホリンと2−(2−アミノエトキシ)エタノールを基質とした反応(実施例9)における転化率および生成率は以下の式(4)および(5)で計算したものである。
【0021】
式(4)
転化率(%)=(1−[反応後のモルホリンのモル数]÷[仕込みのモルホリンのモル数])×100
式(5)
生成率(%)=([GC分析により得られた反応後の4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリンのモル数]÷[仕込みのモルホリンのモル数])×100
(触媒調製例1)
テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウム0.691g(3.68mmol)を水2.3mLに80℃で溶解し,室温まで冷却した。これに空気中、450℃で3時間焼成した粒径3mmのSaint−Gobain製アルミナ5.0gを加え,1時間室温で放置した。その後、エバポレータを用いて40℃で溶媒を除去し、5wt%パラジウム担持アルミナ触媒を得た。
【0022】
(触媒調製例2)
テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウム0.691g(3.68mmol)を水7.1mLに80℃で溶解し,室温まで冷却した。これに空気中、450℃で3時間焼成した粒径6mmの水澤化学製アルミナ10gを加え,1時間室温で放置した。その後、エバポレータを用いて40℃で溶媒を除去し、2.5wt%パラジウム担持アルミナ触媒を得た。
【0023】
(触媒調製例3)
テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウム0.691g(3.68mmol)を水4.4mLに80℃で溶解し,室温まで冷却した。これに空気中、450℃で3時間焼成した粒径3mmのSaint−Gobain製アルミナ10gを加え,1時間室温で放置した。その後、エバポレータを用いて40℃で溶媒を除去し、2.5wt%パラジウム担持アルミナ触媒を得た。
【0024】
(触媒調製例4)
テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウム0.374g(1.27mmol)を水7.0mLに80℃で溶解し,室温まで冷却した。これに空気中、450℃で3時間焼成した粒径3mmのSaint−Gobain製アルミナをめのう乳鉢で粉砕した後に3.0g加え,1時間室温で放置した。その後、エバポレータを用いて40℃で溶媒を除去し、4.3wt%パラジウム担持アルミナ触媒を得た。
【0025】
(実施例1)
100mLのステンレス製オートクレーブに触媒調製例1で得た触媒0.5gを入れた後、オートクレーブ内に水素ガスを25mL/minで流通し、300℃まで5℃/minで加熱・昇温して300℃で3時間保持した。室温まで冷却後、モルホリン15mL(172mmol)を水素気流中で加え、オートクレーブを密封し、水素初期圧を1.0MPaに設定した。磁気撹拌器で1000rpmで撹拌しながら、200℃まで5℃/minで加熱・昇温し、200℃で6時間保持した。室温まで冷却後、触媒をろ別した。ろ液をH−NMR、13C−NMR,IR,GC−MSで分析し、主生成物が4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリンであることを確認した。さらに内部標準としてジオキサンを加えたGC分析の結果、モルホリン転化率52.3%、4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン生成率28.2%であった。ろ液を減圧下に濃縮して未反応のモルホリンならびに低沸点成分を留去した後、精密蒸留することにより、4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリンを収率19.3%で単離した(無色液体)。
【0026】
H−NMR(CDCl,ppm)
δ1.39(s,2H),2.52(t,J=4.8Hz,4H),2.60(t,J=5.8Hz,2H),2.86(t,J=5.3Hz,2H),3.48(t,J=5.3Hz,2H),3.59(t,J=5.8Hz,2H),3.70(t,J=4.8Hz,4H).
13C−NMR(重アセトン,ppm)
δ51.7(CH),54.9(CH×2),58.9(CH),67.2(CH×2),69.4(CH),71.8(CH
IR(neat)
δ(NH)=1592cm−1.ν(NH)=3293cm−1,3372cm−1
MS
M/z=174(分子量ピーク)。
【0027】
(実施例2)
100mLのステンレス製オートクレーブに触媒調製例1で得た触媒0.5gを入れた後、オートクレーブ内に水素ガスを25mL/minで流通し、300℃まで5℃/minで加熱・昇温して300℃で3時間保持した。室温まで冷却後、モルホリン15mL(172mmol)を水素気流中で加え、オートクレーブを密封し、水素初期圧を1.0MPaに設定した。磁気撹拌器で1000rpmで撹拌しながら、200℃まで5℃/minで加熱・昇温し、200℃で3時間保持した。室温まで冷却後、触媒をろ別した。実施例1と同様にろ液を分析し、モルホリン転化率28.9%、4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン生成率20.4%であった。
【0028】
(実施例3)
100mLのステンレス製オートクレーブに触媒調製例2で得た触媒1.0gを入れた後、オートクレーブ内に水素ガスを25mL/minで流通し、250℃まで5℃/minで加熱・昇温して250℃で3時間保持した。室温まで冷却後、モルホリン15mL(172mmol)を水素気流中で加え、オートクレーブを密封し、水素初期圧を1.0MPaに設定した。磁気撹拌器で1000rpmで撹拌しながら、200℃まで5℃/minで加熱・昇温し、200℃で3時間保持した。室温まで冷却後、触媒をろ別した。実施例1と同様にろ液を分析し、モルホリン転化率25.2%、4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン生成率17.0%を得た。
【0029】
(実施例4)
100mLのステンレス製オートクレーブに触媒調製例3で得た触媒1.0gを入れた後、オートクレーブ内に水素ガスを25mL/minで流通し、300℃まで5℃/minで加熱・昇温して300℃で3時間保持した。室温まで冷却後、モルホリン15mL(172mmol)を水素気流中で加え、オートクレーブを密封し、水素初期圧を1.0MPaに設定した。磁気撹拌器で1000rpmで撹拌しながら、200℃まで5℃/minで加熱・昇温し、200℃で3時間保持した。室温まで冷却後、触媒をろ別した。実施例1と同様にろ液を分析し、モルホリン転化率23.0%、4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン生成率15.4%を得た
(実施例5)
100mLのステンレス製オートクレーブにエヌ・イー ケムキャット製5wt%パラジウム担持アルミナ触媒0.5gを入れた後、オートクレーブ内に水素ガスを25mL/minで流通し、300℃まで5℃/minで加熱・昇温し、300℃で3時間保持した。室温まで冷却後、モルホリン15mL(172mmol)を水素気流中で加え、オートクレーブを密封し、水素初期圧を1.0MPaに設定した。磁気撹拌器で1000rpmで撹拌しながら、200℃まで5℃/minで加熱・昇温し、200℃で3時間保持した。室温まで冷却後、触媒をろ別した。実施例1と同様にろ液を分析し、モルホリン転化率19.8%、4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン生成率16.0%を得た。
【0030】
(実施例6)
100mLのステンレス製オートクレーブに触媒調製例1で得た触媒0.5gを入れた後、オートクレーブ内に水素ガスを25mL/minで流通し、300℃まで5℃/minで加熱・昇温して300℃で3時間保持した。室温まで冷却後、モルホリン15mL(172mmol)と水0.3mL(16.7mmol)を水素気流中で加え、オートクレーブを密封し、水素初期圧を1.0MPaに設定した。磁気撹拌器で1000rpmで撹拌しながら、200℃まで5℃/minで加熱・昇温し、200℃で3時間保持した。室温まで冷却後、触媒をろ別した。実施例1と同様にろ液を分析し、モルホリン転化率33.4%、4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン生成率25.7%を得た。
【0031】
(実施例7)
100mLのステンレス製オートクレーブに触媒調製例1で得た触媒0.5gを入れた後、オートクレーブ内に水素ガスを25mL/minで流通し、300℃まで5℃/minで加熱・昇温して300℃で3時間保持した。室温まで冷却後、モルホリン15mL(172mmol)を水素気流中で加え、オートクレーブを密封し、アルゴン初期圧を0.5MPaに設定した。磁気撹拌器で1000rpmで撹拌しながら、200℃まで5℃/minで加熱・昇温し、200℃で3時間保持した。室温まで冷却後、触媒をろ別した。実施例1と同様にろ液を分析し、モルホリン転化率35.0%、4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン生成率25.3%を得た。
【0032】
(実施例8)
100mLのステンレス製オートクレーブに触媒調製例4で得た触媒2.0gを入れた後、オートクレーブ内に水素ガスを25mL/minで流通し、300℃まで5℃/minで加熱・昇温して300℃で3時間保持した。室温まで冷却後、モルホリン60mL(688mmol)を水素気流中で加え、オートクレーブを密封し、アルゴン初期圧を0.5MPaに設定した。磁気撹拌器で1000rpmで撹拌しながら、200℃まで5℃/minで加熱・昇温し、200℃で6時間保持した。室温まで冷却後、触媒をろ別した。実施例1と同様にろ液を分析し、モルホリン転化率52.9%、4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン生成率30.7%を得た。
【0033】
(実施例9)
100mLのステンレス製オートクレーブに触媒調製例1で得た触媒0.5gを入れた後、オートクレーブ内に水素ガスを25mL/minで流通し、300℃まで5℃/minで加熱・昇温して300℃で3時間保持した。室温まで冷却後、モルホリン15mL(172mmol)および2−(2−アミノエトキシ)エタノール17.2mL(172mmol)を水素気流中で加え、オートクレーブを密封し、水素初期圧を1.0MPaに設定した。磁気撹拌器で1000rpmで撹拌しながら、200℃まで5℃/minで加熱・昇温し、200℃で3時間保持した。室温まで冷却後、触媒をろ別した。実施例1と同様にろ液を分析し、モルホリン転化率8.1%、2−(2−アミノエトキシ)エタノール転化率8.1%、4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン生成率1.1%を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モルホリン類を金属触媒と接触させることを特徴とする、4−[2−(2−アミノエトキシ)エチル]モルホリン類の製造方法。
【請求項2】
2−(2−アミノエトキシ)エタノール類の共存下に反応を実施することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
反応温度が50℃から350℃であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
反応圧が大気圧から10MPaであることを特徴とする、請求項1から3いずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
金属触媒が担持金属触媒であることを特徴とする、請求項1から請求項4いずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
金属触媒がパラジウムを含むことを特徴とする、請求項1から請求項5いずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
水素気流中で前処理した金属触媒を用いることを特徴とする、請求項1から請求項6いずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
50℃から400℃で前処理した金属触媒を用いることを特徴とする、請求項7に記載の製造方法。

【公開番号】特開2007−112730(P2007−112730A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304303(P2005−304303)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【Fターム(参考)】