説明

6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン誘導体の製造方法

【課題】ケモカインレセプタータイプ3(CCR3)の関与する疾患の予防または治療薬として有用なテトラヒドロイソキノリン化合物の製造中間体及び製造中間体の製造方法を提供すること。
【解決手段】次の式(4)で示される1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−プロパン−2−アミン又はその塩と、酸の存在下又は非存在下、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド等価体を反応させることを特徴とする、次の式(3)で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩の製造方法。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケモカインレセプタータイプ3(CCR3)の関与する疾患の治療または予防に有用なテトラヒドロイソキノリン化合物の製造中間体及び該製造中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケモカイン受容体ファミリーの一つであるケモカインレセプタータイプ3(以下、CCR3と称する)は、好酸球、好塩基球、ヘルパーT細胞の一部に発現する7回膜貫通型のG蛋白共役型受容体である(非特許文献1)。
CCR3のリガンドであるエオタキシンは細胞走化性を有するサイトカインという意味で名づけられたケモカインの1種で、CCR3に特異的に結合し、細胞内カルシウム濃度の上昇、細胞骨格の変化をもたらし、結果として細胞運動機能の亢進を引き起こすことが知られている(非特許文献2)。また、好酸球においてCCR3が活性化されると、好酸球表面上の接着分子の発現亢進を引き起こすことにより、組織への好酸球の浸潤を促進することが示唆されており(非特許文献3)、さらに細胞内の顆粒に存在するMBP(Major Basci Protein)、ECP(Eosinophil Cationic Protein)といった細胞傷害性を有する塩基性蛋白の顆粒からの分泌を引き起こし、結果として組織傷害性に作用すること等が知られている(非特許文献4)。
【0003】
CCR3の発現レベルを健常者と比較した検討において、喘息患者の気道生検で、mRNAレベル、蛋白レベルともに有意に発現が亢進していること、また、CCR3を遺伝子工学的に欠失させたノックアウトマウスを用いた検討、CCR3蛋白の中和抗体を投与した検討、抗原感作、誘発による病態モデル等において、気管支肺胞洗浄液中の好酸球数の減少とともに、気道過敏性の亢進を改善させることなどが報告されている(非特許文献5〜7)。
【0004】
以上の知見から、CCR3は、病変局所に好酸球の浸潤が見られることを特徴とした喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎などの疾患の発生、進展に深く関与しており、CCR3拮抗薬はこれらの疾患の予防または治療に有効であることが期待される(非特許文献8〜14)。
【0005】
これまでにCCR3拮抗薬としては、直鎖アルキルアミン誘導体(特許文献1)、ピペリジン誘導体(特許文献2〜4、非特許文献11、15〜21)、モルホリン誘導体(特許文献5〜7)、ピロリジン誘導体(特許文献8、9)、ピペラジン誘導体(特許文献10、11)、ビシクロピペリジン誘導体(非特許文献22)、アゼチジン誘導体(特許文献12)などが報告されている。また、テトラヒドロイソキノリン骨格を有するCCR3拮抗薬としては、特許文献13、14に記載の化合物が知られている。
【0006】
【特許文献1】国際公開第02/59081号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/53600号パンフレット
【特許文献3】国際公開第05/09775号パンフレット
【特許文献4】国際公開第06/13073号パンフレット
【特許文献5】国際公開第02/26723号パンフレット
【特許文献6】国際公開第03/99287号パンフレット
【特許文献7】国際公開第06/28284号パンフレット
【特許文献8】国際公開第00/51607号パンフレット
【特許文献9】国際公開第04/58762号パンフレット
【特許文献10】国際公開第03/68759号パンフレット
【特許文献11】国際公開第06/015851号パンフレット
【特許文献12】国際公開第05/26113号パンフレット
【特許文献13】国際公開第02/26708号パンフレット
【特許文献14】国際公開第03/41641号パンフレット
【非特許文献1】J. Biol Chem 270 (1995) 16491-16494
【非特許文献2】J.Clin.Invest. 99 (1997) 178-187
【非特許文献3】J.Clin.Invest. 101 (1998) 2017-2024
【非特許文献4】Blood. 95 (2000) 1911-1917
【非特許文献5】J Immunol 163 (1999) 6321-6329
【非特許文献6】Proc Natl Acad Sci USA. 99 (2002) 1479-1484
【非特許文献7】Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 284 (2003) L169-L178
【非特許文献8】Expert Opin Investig Drugs. 9 (2000) 43-52
【非特許文献9】Allergy 59 (2004) 1243-1258
【非特許文献10】Curr Drug Targets Inflamm Allergy 2 (2003) 81-94
【非特許文献11】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 11 (2001) 1219-1223
【非特許文献12】Biochem Biophys Res Commun. 339 (2006) 1217-1223
【非特許文献13】J. Org. Chem. 71 (2006) 8975-8977
【非特許文献14】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 11 (2001) 1445-1450
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の特許文献等に記載されたCCR3拮抗薬の他にも、本発明者らにより、次の式(1)または式(2):
【0008】
【化1】

【0009】
で示される新規なテトラヒドロイソキノリン化合物又はそれらの塩が、CCR3拮抗作用を有し、モルモット好酸球浸潤モデルにおいて、肺への好酸球浸潤抑制作用を示すことが見出されている。
【0010】
1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン骨格合成に際しては、一般的にはPictet-Spengler反応が用いられている。Pictet-Spengler反応は2−フェネチルアミンとアルデヒドから生成するイミンを酸で閉環してテトラヒドロイソキノリンを導く反応であるが、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンの6位相当位置にヒドロキシ基やメトキシ基といった電子供与性置換基である場合は、閉環反応は高収率であるが、これらの基を持たない場合は、閉環反応は低収率となる。また、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンの3位相当位置にベンジル基がある場合には、下図に示すように閉環位置の選択性が生じる。
【0011】
【化2】

(Ra及びRbは置換基を示す。)
【0012】
本発明の目的は、CCR3拮抗活性を有し、CCR3の関与する疾患(特に、喘息、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ等のアレルギー又は自己免疫疾患等及びHIV感染とそれに伴う脳炎及び痴呆症等)の予防または治療薬として有用なテトラヒドロイソキノリン化合物の工業的に有利に製造することができる新規な製造中間体及び該製造中間体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる状況の下、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、アミノ基を無保護のままで2−アミノ−1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)プロパンをPictet-Spengler反応させることで高い位置選択性を持って閉環反応が進行し、6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンが選択的に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
1.次の式(4):
【化3】

で示される1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−プロパン−2−アミン又はその塩と、酸の存在下又は非存在下、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド等価体を反応させることを特徴とする、次の式(3):
【化4】

で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩の製造方法。
【0014】
2.前記酸がトリフルオロ酢酸(TFA)であることを特徴とする、上記1に記載の製造方法。
3.前記ホルムアルデヒド等価体がパラホルムアルデヒド、又はジメトキシメタンであることを特徴とする、上記1又は2に記載の製造方法。
【0015】
4.次の式(5):
【化5】

で示される化合物又はその塩を、等量又は過剰量のアンモニウム塩と水素化ホウ素化合物の存在下反応させ、前記式(4)で示される化合物又はその塩に変換することを含むことを特徴とする、上記1から3のいずれかに記載の製造方法。
【0016】
5.次の式(6):
【化6】

で示される化合物又はその塩を還元して、前記式(4)で示される化合物又はその塩に変換することを含むことを特徴とする、上記1から3のいずれかに記載の製造方法。
【0017】
6.次の式(4):
【化7】

で示される1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−プロパン−2−アミン又はその塩と、酸の存在下又は非存在下、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド等価体を反応させ、次の式(3):
【化8】

で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩を得て、この式(3)で示される化合物又はその塩と次の式(XII):
【化9】

(式中、Xは脱離基を示す。)
で表される化合物又はその塩を反応させ、次の式(XIII):
【化10】

で示される化合物又はその塩を得て、この式(XIII)で示される化合物又はその塩を還元し、次の式(XIV):
【化11】

で示される化合物又はその塩を得て、次いで、この式(XIV)で示される化合物又はその塩と次の式(XV):
【化12】

で示される化合物又はその塩を反応させることを特徴とする、次の式(1):
【化13】

で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン誘導体又はその塩の製造方法。
【0018】
7.次の式(4):
【化14】

で示される1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−プロパン−2−アミン又はその塩と、酸の存在下又は非存在下、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド等価体を反応させ、次の式(3):
【化15】

で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩を得て、この式(3)で示される化合物又はその塩と次の式(XVI):
【化16】

(式中、Xは脱離基を示す。)
で表される化合物又はその塩を反応させ、次の式(XVII):
【化17】

で示される化合物又はその塩を得て、この式(XVII)で示される化合物又はその塩を還元し、次の式(XVIII):
【化18】

で示される化合物又はその塩を得て、この式(XVIII)で示される化合物又はその塩とアセトンを反応させ、次の式(XIX):
【化19】

で示される化合物又はその塩を得て、次いで、この式(XIX)で示される化合物又はその塩を還元することを特徴とする、次の式(2):
【化20】

で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン誘導体又はその塩の製造方法。
【0019】
8.次の式(3):
【化21】

で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
を提供するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、3または4−フルオロベンジルハライド、あるいは3または4−フルオロベンズアルデヒドといった比較的安価で大量入手が容易な原料から、式(3)で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを効率的に製造することができる。式(3)で示される化合物は、テトラヒドロイソキノリン化合物の製造中間体として有用な新規の化合物である。式(3)で示される化合物を用いれば、すべての工程で工業的製造法として好ましくないカラムクロマトグラフィーによる精製の必要がなく、CCR3拮抗剤として有用な式(1)および(2)で示される化合物へと導くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る新規な製造中間体である、式(3)で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(以下、化合物(3)と略称することがある。他の化合物についても同様とする。)は、例えば次の製造方法に従い製造することができる。
【0022】
【化22】

(Xは脱離基を示す。)
【0023】
上記反応式中、Xで示される脱離基としては、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等のスルホニル基を示す。
【0024】
[工程1]
工程1は、化合物(III)を製造する工程であり、公知の方法(Chem. Lett., 1983, 767-770., Chem. Lett., 1982, 813-814.など)に従って、メチルチオメチル p-トリルスルホン(I)と3−フルオロベンジルハライド(II)とを反応させることで達成される。本反応は、溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、四級アンモニウム塩の存在下又は非存在下で行うことができる。
溶媒としては、例えばトルエン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエーテル、クロロホルム、メタノール、エタノール、水等を単独又は組み合わせて使用することができる。
塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基類、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基類が挙げられる。
四級アンモニウム塩としてはトリオクチルメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
3−フルオロベンジルハライド(II)はメチルチオメチル p-トリルスルホン(I)と等量あるいは2倍量程度過剰量用いることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.35当量である。
反応条件は、通常−80〜180℃、好ましくは−30〜100℃にて通常1分〜8日間、好ましくは1時間〜5日間である。
【0025】
[工程2]
工程2は、化合物(V)を製造する工程であり、化合物(III)と4−フルオロベンジルハライド(IV)とを、等量あるいは過剰量の塩基を用いて溶媒中で反応させることにより達成される。
塩基としては、ブチルリチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等が挙げられる。
溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等を使用することができる。
4−フルオロベンジルハライド(IV)は化合物(III)と等量あるいは2倍量程度過剰量用いることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.5当量である。
反応条件は、通常−100〜80℃、好ましくは−40〜60℃にて通常1分〜5日間、好ましくは1時間〜3日間である。
【0026】
[工程3]
工程3は、化合物(5)を製造する工程であり、化合物(V)を加溶媒分解に付すことで達成される。本反応は、酸の存在下又は非存在下、溶媒中で行うことができる。
酸としては塩酸、臭素酸、硫酸などの無機酸類が挙げられる。
溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。
反応条件は、通常−80〜180℃、好ましくは−30〜100℃にて通常1分〜5日間、好ましくは10分〜3日間である。
【0027】
[工程4]
工程4は化合物(4)を製造する工程であり、化合物(5)を、等量あるいは過剰量のアンモニウム塩と水素化ホウ素化合物の存在下、溶媒中で反応させることにより達成される。
アンモニウム塩としては、酢酸アンモニウム、蟻酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、塩化アンモニウム等が挙げられる。
水素化ホウ素化合物としては、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム等が挙げられる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノールまたはプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、トルエン、ジオキサンまたはジエチルエーテル等のエーテル類を単独又は組み合わせて使用することができる。
アンモニウム塩は化合物(5)と等量あるいは過剰量用いることが好ましく、より好ましくは1〜10当量である。
反応条件は、通常−80〜180℃、好ましくは−30〜130℃にて通常1分〜5日間、好ましくは10分〜3日間である。
【0028】
[工程5]
工程5は、化合物(3)(6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)を製造する工程であり、化合物(4)を通常のPictet-Spengler反応に付すことのより達成される。本工程は、酸の存在下又は非存在下、等量あるいは過剰量のホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド等価体と反応し、化合物(3)を製造する工程である。本反応では、高い位置選択性を持って反応が進行し、化合物(3)が得られる。
ホルムアルデヒドはホルムアルデヒド水溶液等のホルムアルデヒド溶液の形態で用いることができる。ホルムアルデヒド等価体としては、パラホルムアルデヒド、ジメトキシメタン等が挙げられる。
酸としてはトリフルオロ酢酸(TFA)、硫酸、塩酸、酢酸等が挙げられ、反応速度の観点からトリフルオロ酢酸を使用することが好ましい。
溶媒としては、無溶媒条件を含め、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、水等を単独又は組み合わせて使用することができる。
ホルムアルデヒドあるいはホルムアルデヒド等価体は化合物(4)と等量あるいは過剰量用いることが好ましく、より好ましくは1〜2当量である。
反応条件は、通常−80〜180℃、好ましくは−30〜130℃にて通常1分〜5日間、好ましくは10分〜3日間である。
【0029】
上記の一連の反応において、3−フルオロベンジルハライド(II)と4−フルオロベンジルハライド(IV)の導入順を入れ替えることも可能である。
【0030】
また、式(4)で示される化合物は次の製造方法に従い製造することもできる。
【化23】

【0031】
[工程6]
工程6は、化合物(VIII)を得る工程であり、ニトロメタン(VI)を酸または塩基の存在下又は非存在下、等量あるいは過剰量の4−フルオロベンズアルデヒド(VII)と溶媒中で反応させることによって達成される。
酸としては酢酸、蟻酸などが挙げられる。
塩基としてはブチルアミン、プロピルアミン、酢酸アンモニウム、蟻酸アンモニウム、N,N−エチレンジアミン、1−メチルピペラジン、ピペリジン等が挙げられる。
溶媒としては、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、クロロホルム等を単独又は組み合わせて使用することができる。
ニトロメタン(VI)は4−フルオロベンズアルデヒド(VII)と等量あるいは過剰量用いることが好ましく、より好ましくは1〜10当量である。
反応条件は、通常−30〜200℃、好ましくは0〜150℃にて通常1分〜5日間、好ましくは10分〜3日間である。
【0032】
[工程7]
工程7は、化合物(IX)を得る工程であり、化合物(VIII)を溶媒中で水素化ホウ素化合物等の還元剤を用いて還元することにより達成される。
溶媒としては、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エタノール、メタノール、プロパノール、トルエン、水等を単独又は組み合わせて使用することができる。
水素化ホウ素化合物としては、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム等が挙げられる。反応条件は、通常−80〜180℃、好ましくは−30〜130℃にて通常1分〜5日間、好ましくは10分〜3日間である。
【0033】
[工程8]
工程8は、化合物(XI)を得る工程であり、化合物(IX)を酸または塩基の存在下又は非存在下、等量あるいは過剰量の3−フルオロベンズアルデヒド(X)と溶媒中で反応させることによって達成される。
溶媒としては、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、クロロホルム等を単独又は組み合わせて使用することができる。
塩基としてはブチルアミン、プロピルアミン、酢酸アンモニウム、蟻酸アンモニウム、N,N−エチレンジアミン、1−メチルピペラジン、ピペリジン等が挙げられる。
酸としては酢酸、蟻酸などが挙げられる。3−フルオロベンズアルデヒド(X)は化合物(IX)と等量あるいは過剰量用いることが好ましく、より好ましくは1〜2当量である。
反応条件は、通常−30〜200℃、好ましくは0〜150℃にて通常1分〜8日間、好ましくは1時間〜5日間である。
【0034】
[工程9]
工程9は、化合物(6)を得る工程であり、化合物(XI)を溶媒中、水素化ホウ素化合物等の還元剤を用いて還元することにより達成される。
溶媒としては、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エタノール、メタノール、プロパノール、トルエン、水等を単独又は組み合わせて使用することができる。
水素化ホウ素化合物としては、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム等が挙げられる。
反応条件は、通常−80〜180℃、好ましくは−30〜130℃にて通常1分〜5日間、好ましくは10分〜3日間である。
【0035】
[工程10]
工程10は、化合物(4)を得る工程であり、化合物(6)を溶媒中で還元剤を用いて還元することにより達成される。
溶媒としては、例えばエタノール、メタノール、プロパノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、水等を単独又は組み合わせて使用することができる。
還元剤としては、亜鉛、鉄等と酸の組み合わせ、または水素雰囲気下、ラネーニッケル、パラジウムクロライド、パラジウムブラック、プラチナオキサイド、ロジウム−アルミナなどを用いることができる。
亜鉛、鉄等と組み合わせる酸としては塩酸などが挙げられる。
接触還元反応における水素圧は、通常、常圧〜50気圧、好ましくは常圧〜10気圧である。
反応条件は、通常−80〜180℃、好ましくは−30〜130℃にて通常1分〜5日間、好ましくは1時間〜3日間である。
【0036】
上記の一連の反応において、4−フルオロベンズアルデヒド(VII)と3−フルオロベンズアルデヒド(X)の導入順を入れ替えることも可能である。
【0037】
さらに、式(3)で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンから、式(1)で示されるN−[3−(メタンスルホニルアミノ)ベンジル]−2−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]エタンアミンを製造することができる。
【0038】
【化24】

(Xは脱離基を示す。)
【0039】
上記反応式中、Xで示される脱離基としては、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等のスルホニル基を示す。
【0040】
[工程11]
工程11は、化合物(XIII)を得る工程であり、式(3)で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを塩基の存在下又は非存在下、等量あるいは過剰量の化合物(XII)と溶媒中で反応させることにより達成される。
塩基としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。
溶媒としては、例えばアセトニトリル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、クロロホルム等を単独又は組み合わせて使用することができる。
化合物(XII)は6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(3)と等量あるいは過剰量用いることが好ましく、より好ましくは1〜2当量である。
反応条件は、通常−30〜200℃、好ましくは0〜150℃にて通常1分〜5日間、好ましくは10分〜3日間である。
【0041】
[工程12]
工程12は、化合物(XIV)を得る工程であり、化合物(XIII)を溶媒中で還元剤を用いて還元することにより達成される。
溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、メタノール、エタノール、プロパノール等を単独又は組み合わせて使用することができる。
還元剤としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、ボラン−ジメチルスルフィドコンプレックス、ボラン−THFコンプレックス、ジボラン等の還元剤を単独で、あるいは水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤と等量あるいは過剰量のニッケルクロライド、コバルトクロライドなどの組み合わせ、または水素雰囲気下でラネーニッケル、パラジウムクロライド、パラジウムブラック、プラチナオキサイド、ロジウム−アルミナが挙げられる。
接触還元反応における水素圧は、通常、常圧〜50気圧、好ましくは常圧〜10気圧である。
反応条件は、通常−80〜180℃、好ましくは−50〜80℃にて通常1分〜5日間、好ましくは10分〜3日間である。
【0042】
[工程13]
工程13は、式(1)で示されるN−[3−(メタンスルホニルアミノ)ベンジル]−2−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]エタンアミンを得る工程であり、化合物(XIV)を塩基の存在下又は非存在下、酸の存在下又は非存在下、乾燥剤の存在下又は非存在下、等量あるいは過剰量のアルデヒド体(XV)と溶媒中で反応させることにより達成される。
乾燥剤としては、MS(モレキュラーシーブ)等が挙げられる。
反応は水素雰囲気下ラネーニッケル、パラジウムクロライド、パラジウムブラック、プラチナオキサイド、ロジウム−アルミナ等を用いることで化合物(1)が得られる。
あるいは還元剤として水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム等を用いても化合物(1)が得られる。
溶媒としては、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール等を単独又は組み合わせて使用することができる。
塩基としては炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
酸としては酢酸等が挙げられる。
アルデヒド体(XV)は化合物(XIV)と等量あるいは過剰量用いることが好ましく、より好ましくは1〜2当量である。
反応条件は、通常−80〜150℃、好ましくは0〜100℃にて通常1分〜5日間、好ましくは15分〜3日間である。
【0043】
また、式(3)で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンから、式(2)で示される4−[[2−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]エチルアミノ]メチル]−N−イソプロピルアニリンを製造することができる。
【0044】
【化25】

(Xは脱離基を示す。)
【0045】
上記反応式中、Xで示される脱離基としては、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等のハロゲン原子、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等のスルホニル基を示す。
【0046】
[工程14]
工程14は、化合物(XVII)を得る工程であり、式(3)で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを塩基の存在下又は非存在下、等量あるいは過剰量の化合物(XVI)と溶媒中で反応させることによって達成される。
溶媒としては、例えばアセトニトリル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、クロロホルム等を単独又は組み合わせて使用することができる。
塩基としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の無機塩基、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。
化合物(XVI)は6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(3)と等量あるいは過剰量用いることが好ましく、より好ましくは1〜2当量である。
反応条件は、通常−30〜200℃、好ましくは0〜150℃にて通常1分〜5日間、好ましくは10分〜3日間である。
【0047】
[工程15]
工程15は、化合物(XVIII)を得る工程であり、化合物(XVII)を、金属触媒の存在下又は非存在下、等量あるいは過剰量の還元剤で還元することによって達成される。
金属触媒としては、ニッケルクロライド、塩化銅、パラジウムクロライド、コバルトクロライド、塩化スズ、ロジウムクロライド等を用いることができる。
還元剤としては水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化リチウムアルミニウム等の還元剤、又はこれらとニッケルクロライド等の金属触媒との組み合わせ、あるいは水素雰囲気下ラネーニッケル、パラジウムクロライド、パラジウムブラック、プラチナオキサイド、ロジウム−アルミナなどが挙げられる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等を単独又は組み合わせて使用することができる。
接触還元反応における水素圧は、通常、常圧〜50気圧、好ましくは常圧〜10気圧である。
反応条件は、通常−80〜180℃、好ましくは−30〜130℃にて通常1分〜5日間、好ましくは15分〜3日間である。
【0048】
[工程16]
工程16は、化合物(XIX)を得る工程であり、化合物(XVIII)を酸の存在下又は非存在下、MS(モレキュラーシーブ)等の乾燥剤の存在下又は非存在下、等量あるいは過剰量のアセトンと溶媒中で反応させることで達成される。
反応試薬は水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム等が挙げられる。
あるいは水素雰囲気下ラネーニッケル、パラジウムクロライド、パラジウムブラック、プラチナオキサイド、ロジウム−アルミナ等で還元させることによっても化合物(XIX)が得られる。
溶媒としては、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール等を単独又は組み合わせて使用することができる。
酸としては酢酸等が挙げられる。
アセトンは化合物(XVIII)と等量あるいは過剰量用いることが好ましく、より好ましくは1〜2当量である。
反応条件は、通常−80〜150℃、好ましくは0〜100℃にて通常1分〜5日間、好ましくは15分〜3日間である。
【0049】
[工程17]
工程17は、式(2)で示される4−[[2−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]エチルアミノ]メチル]−N−イソプロピルアニリンを得る工程であって、化合物(XIX)をルイス酸の存在下又は非存在下、溶媒中還元剤を用いて還元反応することによって達成される。
還元剤としてはボラン−ジメチルスルフィドコンプレックス、ボラン−THFコンプレックス、ジボラン、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
ルイス酸としてはBF3・ジエチルエーテル、二塩化チタンなどが挙げられる。
溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、DME、ジオキサン、トルエン、メタノール、エタノール等を単独又は組み合わせて使用することができる。
還元剤は化合物(XIX)と等量あるいは過剰量用いることが好ましく、より好ましくは1〜10当量である。
ルイス酸は化合物(XIX)と等量あるいは過剰量用いることが好ましく、より好ましくは1〜10当量である。
反応条件は、通常−80〜150℃、好ましくは0〜130℃にて通常1分〜8日間、好ましくは1時間〜5日間である。
【0050】
本発明の製造方法において、各工程の単離・精製操作は、抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶といった、簡便かつ大量合成に対応できる方法により行うことができるが、各種クロマトグラフィー等の精製法を用いても良い。
【0051】
さらに、本発明は、化合物(3)又はその薬学的に許容される酸付加塩の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形を有する物質も包含する。
式(3)で示されるテトラヒドロイソキノリン化合物の製薬学的に許容される酸付加塩も本発明に包含される。式(3)で示されるテトラヒドロイソキノリン化合物の製薬学的に許容される酸付加塩としては、具体的には、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等)や有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等)との酸付加塩が挙げられる。
式(3)で示されるテトラヒドロイソキノリン化合物やその製薬学的に許容される塩の溶媒和物としては、各種の水和物や溶媒和物(例えば、エタノールなどのアルコールとの溶媒和物)が挙げられる。
また、本発明の製造方法において使用される、式(1)、(2)、(4)、(5)及び(6)で示される化合物及びその他の化合物の塩としては、前記式(3)で示されるテトラヒドロイソキノリン化合物の塩として例示したものが挙げられる。
【0052】
新規中間体である化合物(3)を用いれば、前述の製造方法により化合物(1)又は(2)を工業的に有利に製造することができる。この化合物(1)及び(2)は、後述の試験例に示すとおり、CCR3拮抗活性を有し、CCR3の関与する疾患(特に、喘息、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、関節リウマチ等のアレルギー又は自己免疫疾患等及びHIV感染とそれに伴う脳炎及び痴呆症等)の予防または治療薬として有用な化合物である。
【0053】
以下、実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0054】
実施例1 6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンの製造
a) 4−メチルフェニル[1−(メチルチオ)−2−(3−フルオロフェニル)エチル]スルホンの製造
【化26】

【0055】
メチルチオメチル p−トリルスルホン350 g をトルエン500 mLに溶解し、室温下攪拌した。これに3−フルオロベンジルブロマイド352 g、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド26 g を順次加えた。次いで50%水酸化ナトリウム水溶液500 g を加え、室温下二日攪拌を続けた。
反応終了後、反応液に水500 mlを加え、有機層を分離した。更に酢酸エチルで抽出し、有機層を併せ、1N 塩酸水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去し、黄白色固体の粗生成物732 gを得た。
得られた粗生成物をジエチルエーテル:ヘキサン=1:4混合溶液500 mLで攪拌し縣濁液を濾取、ヘキサンで洗浄し表題化合物429 g(収率82 %)を淡黄色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ:2.14 (3H, s), 2.48 (3H, s), 2.63 (1H, dd, J = 11.7, 14.4 Hz), 3.59 (1H, dd, J = 2.8, 14.4 Hz), 3.84 (1H, dd, J = 2.8, 11.7 Hz), 6.88-6.99 (3H, m), 7.39 (2H, d, J= 8.1 Hz), 7.88 (2H, d, J = 8.1 Hz).
元素分析(C16H17O2S2F1
理論値 C, 59.23; H, 5.28; F, 5.86
実測値 C, 59.42; H, 5.31; F, 5.69
【0056】
b) 4−メチルフェニル[1−(4−フルオロベンジル)−1−(メチルチオ)−2−(3−フルオロフェニル)エチル]スルホンの製造
【化27】

【0057】
4−メチルフェニル[1−(メチルチオ)−2−(3−フルオロフェニル)エチル]スルホン400 gを無水THF 1.2 Lに溶解し、アルゴン雰囲気下、室温下攪拌した。反応液を-10〜-12℃まで冷却し、これにn-ブチルリチウム / ヘキサン溶液404 mL(2.62mol/L) を50分かけてゆっくり加えた。次いで無水THF 400 mLに溶解した4−フルオロベンジルブロマイド279 g を20分かけてゆっくり加え、2時間攪拌を続けた。反応液を氷冷冷却に変更し2時間攪拌し、次いで室温下一晩攪拌を続けた。
【0058】
反応終了後、反応液に水500mlを追加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水、1N 塩酸水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去し、黄色固化物532 gを得た。
1H-NMR (CDCl3)δ:2.31 (3H, s), 2.46 (3H, s), 3.33 (1H, d, J = 15.1 Hz), 3.35 (1H, d, J = 15.1 Hz), 3.39 (1H, d, J= 15.1 Hz), 3.40 (1H, d, J = 15.1 Hz), 6.78-6.91 (5H, m), 7.02-7.08 (2H, m), 7.11 (1H, ddd, J = 6.1, 8.1, 8.3 Hz), 7.30 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.77 (2H, d, J = 8.2 Hz).
【0059】
c) 1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−プロパン−2−オンの製造
【化28】

【0060】
4−メチルフェニル[1−(4−フルオロベンジル)−1−(メチルチオ)−2−(3−フルオロフェニル)エチル]スルホン532gをメタノール550mLに溶解し攪拌した。反応液に9N塩酸275mLを加え、還流下、3時間攪拌を続けた。
反応終了後、反応液を減圧濃縮し、水500mlを追加し、クロロホルムで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去し、黄色油状物495gを得た。
1H-NMR (CDCl3)δ:3.71 (2H, s), 3.72 (2H, s), 6.84-6.88 (1H, m), 6.91 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.95 (1H, dd, J = 2.4, 8.6 Hz), 7.01 (2H, ddd, J = 2.2, 6.4, 8.6 Hz), 7.09-7.13 (2H, m), 7.26-7.31 (1H, m).
【0061】
d) 1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−プロパン−2−アミンの製造
【化29】

【0062】
1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−プロパン−2−オン490 g と 酢酸アンモニウム 764 gにメタノール2.6L を加え溶解した。次いで反応液にシアノトリヒドロホウ酸ナトリウム 85 gを加え、還流下30分攪拌した。
反応終了後、反応液を室温まで冷却し飽和重曹水200mLをゆっくり加えた。その後、減圧濃縮し、残渣に水酸化ナトリウム水を加えクロロホルムで抽出した。有機層を水酸化ナトリウム水、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去し、484 g の橙色油状物を得た。
【0063】
この粗生成物をメタノールに溶解し、フマル酸 143 gを加え加熱溶解した。その後、室温下、ジエチルエーテルを加え室温下攪拌しながら結晶を析出させた。得られた結晶を濾取し、ヘキサンで洗浄しの1フマル酸塩の粗結晶320gを得た。
粗結晶を再度メタノールに加温して溶解し、室温下ジエチルエーテルを加え一晩攪拌して結晶を析出させた。得られた結晶を濾取し、ヘキサンで洗浄しの1フマル酸塩を微黄色固体として得た。
【0064】
この固体をクロロホルムに溶解し、水酸化ナトリウム水で洗浄した。水層を再度クロロホルムで抽出し、有機層を水酸化ナトリウム水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去し、目的物226 g(収率 74 %、III→V→(5)→(4):3工程)を黄色油状物として得た。
1フマル酸塩
1H-NMR (DMSO-d6)δ:3.10-3.70 (4H, m), 3.64 (1H, m), 6.57 (2H, s), 7.03-7.18 (6H, m), 7.24-7.36 (2H, m).
元素分析(C19H19N1O4F2
理論値 C, 62.80; H, 5.27; N, 3.85; F, 10.46
実測値 C, 62.84; H, 5.31; N, 3.83; F, 10.73
遊離塩基
1H-NMR (CDCl3)δ:2.64 (1H, dd, J = 4.2, 8.1 Hz), 2.67(1H, dd, J = 3.9, 8.1 Hz), 2.76-2.85 (2H, m), 3.24-3.32 (1H, m), 3.38-3.52 (2H, br), 6.87-7.01 (4H, m), 7.12-7.16 (2H, m), 7.23-7.28 (2H, m).
【0065】
e) 6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンの製造
【化30】

【0066】
1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−プロパン−2−アミン84 gをTFA 672 mLに溶解し、ホルムアルデヒド水溶液53.9 gを加え、70℃で12時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去し、84 gの粗生成物を黄色油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ:2.80 (1H, dd, J = 4.2, 16.8 Hz), 2.92 (1H, dd, J = 10.0, 16.8 Hz), 2.95 (1H, dd, J = 9.2, 13.2 Hz), 3.33 (1H, dd, J = 5.1, 13.2 Hz), 3.34-3.44 (1H, m), 4.19 (1H, m), 4.31 (1H, m), 6.76 (1H, dd, J = 2.4, 9.3 Hz), 6.88 (1H, ddd, J = 2.4, 8.5, 8.5 Hz), 6.98-7.07 (3H, m), 7.18-7.24 (2H, m).
【0067】
実施例2 6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンの製造
a) 4−フルオロ−β−ニトロスチレンの製造
【化31】

【0068】
ニトロメタン155 g と4−フルオロベンズアルデヒド63 gをトルエン 300 mLに溶解し、ブチルアミン1.83 g、酢酸1.52 gを加え、75℃で12時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた橙色固化物をヘキサンで縣濁、濾取し目的物84 g(収率 99 %)を黄色固化物として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ:7.16 (2H, ddd, J = 2.1, 6.5, 8.6 Hz), 7.54 (1H, d, J = 13.6 Hz), 7.56 (2H, ddd, J = 2.1, 5.4, 8.6 Hz), 7.98 (1H, d, J = 13.6 Hz).
【0069】
b) 1−ニトロ−2−(4−フルオロフェニル)エタンの製造
【化32】

【0070】
水素化ホウ素ナトリウム 22 g をエタノール440 mLに溶解し攪拌した。反応液を氷冷冷却し、4−フルオロ−β−ニトロスチレン44 gの1,4−ジオキサン溶液440mLを1時間かけて滴下した。滴下後、反応液を室温下15分攪拌した。反応終了後、反応液を氷冷冷却し、飽和重曹水を加えた。反応液を減圧濃縮して溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、希塩酸、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、目的物44 g(収率 99 %)を黄色油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ:3.29 (2H, t, J = 7.2 Hz), 4.59 (2H, t, J = 7.2 Hz), 7.01 (2H, dd, J = 8.5, 8.5 Hz), 7.17 (2H, dd, J = 5.6, 8.5 Hz).
【0071】
c) 1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−2−ニトロ−1−プロペンの製造
【化33】

【0072】
1−ニトロ−2−(4−フルオロフェニル)エタン58 g と3−フルオロベンズアルデヒド51 gをトルエン 290 mLに溶解し、N,N-ジメチルエチレンジアミン 6.0 g、酢酸20.6 gを加え、還流下で40時間攪拌した。反応液を希塩酸、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し目的物89 g(収率 94 %)を黄色油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ:4.21 (2H, brs), 7.02 (2H, ddd, J = 2.2, 6.4, 8.6 Hz), 7.11-7.19 (4H, m), 7.19-7.23 (1H, m), 7.42 (1H, ddd, J = 5.9, 8.0, 8.0 Hz), 8.22 (1H, s).
【0073】
d) 1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−2−ニトロプロパンの製造
【化34】

【0074】
水素化ホウ素ナトリウム 27 gをエタノール 890 mLに溶解し、氷冷冷却下攪拌する。これに1,4−ジオキサン 890 mLに溶解した1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−2−ニトロ−1−プロペン89 gを30分かけて滴下した。反応液を室温まで昇温し、15分攪拌した。反応終了後、反応液を氷冷冷却し、飽和塩化アンモニウム 100 mLをゆっくり加えた。反応液を減圧濃縮し、有機溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、希塩酸、水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し目的物89 g(収率 99 %)を黒褐色固化物として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ:3.05 (1H, dd, J = 1.8, 5.1 Hz), 3.09 (1H, dd, J= 1.8, 5.1 Hz), 3.27 (1H, dd, J = 9.0, 14.4 Hz), 3.29 (1H, dd, J= 9.0, 14.4 Hz), 4.83-4.92 (1H, m), 6.87 (1H, dd, J = 2.1, 9.4 Hz), 6.93 (1H, brd, J = 7.8 Hz), 6.96-7.03 (3H, m), 7.12 (2H, ddd, J = 2.2, 5.2, 8.6 Hz), 7.28 (1H, ddd, J = 5.9, 7.8, 8.0 Hz).
【0075】
e) 1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−プロパン−2−アミンの製造
【化35】

【0076】
1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−2−ニトロプロパン89 g をメタノール890 mLに溶解し、室温下攪拌した。反応液に亜鉛 105 gを少しずつ加え、反応液を65℃まで昇温した。反応液に4N 塩酸 890 mLを15分かけてゆっくり加え、更に30分攪拌を続けた。
反応終了後、反応液を吸引ろ過し、母液を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、水酸化ナトリウム水で中和、分液し、更に飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し目的物80 g(収率 99 %)を橙色油状物として得た。
粗生成物の精製は実施例1と同様に行った。
【0077】
実施例3 N−[3−(メタンスルホニルアミノ)ベンジル]−2−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]エタンアミンの製造
a) 2−シアノメチル−6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンの製造
【化36】

【0078】
実施例1で得られた6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン 2.1 g をアセトニトリル12 mLに溶解した。反応液に炭酸カリウム1.7 g、ブロモアセトニトリル1.1 gを加えて60 ℃に加熱し、12時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し濾過し、ろ液を減圧濃縮した。これに酢酸エチル及び水を加えて分液し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧濃縮した。その後、酢酸エチル 5 mL を加え50℃で加熱溶解後、ヘキサン 15mL を加え室温で6 h 攪拌した。析出物を濾取し、目的物を淡黄色固体として2.1g(収率 90%)の淡黄色固体を得た。
1H-NMR (CDCl3)δ:2.45 (1H, dd, J = 11.1, 14.3 Hz), 2.56 (1H, dd, J = 7.1, 16.6 Hz), 2.67 (1H, dd, J = 4.4, 16.6 Hz), 3.04-3.14 (2H, m), 3.62 (1H, J = 17.3 Hz), 3.87 (1H, J= 16.4 Hz), 3.91 (1H, J = 17.3 Hz), 3.92 (1H, J = 16.4 Hz), 6.71 (1H, dd, J = 2.2, 9.5 Hz), 6.85 (1H, ddd, J = 2.4, 8.6, 8.6 Hz), 6.96-7.04 (3H, m), 7.11-7.17 (2H, m).
【0079】
b) 2−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]エタンアミンの製造
【化37】

【0080】
アルゴン雰囲気下、LAH0.3gを無水THF 1.5 mLに溶解し氷冷冷却下、攪拌した。反応液に2−シアノメチル−6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン 2.1 gの無水THF 2.5 mL溶液をゆっくりと加え、1時間攪拌を続けた。反応終了後、反応液に飽和塩化アンモニウム水をゆっくり加え、その後酢酸エチルを加えた。セライトろ過し、濾液を酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧濃縮した。得られた粗生成物をエタノールに溶解し、フマル酸6.1 gを加えて加熱溶解し、室温下1時間攪拌した。析出物を濾取し、2−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]エタンアミンの1フマル酸塩 1.9 g (収率 89%)を淡黄色固化物として得た。
【0081】
1フマル酸塩
1H-NMR (CD3OD)δ:2.52 (1H, dd, J = 10.0, 13.2 Hz), 2.57 (1H, dd, J= 3.9, 16.6 Hz), 2.84 (1H, dd, J = 5.1, 13.8 Hz), 2.88 (1H, dd, J= 10.5, 13.5 Hz), 2.94 (1H, dd, J = 5.0, 13.5 Hz), 2.98 (1H, dd, J= 5.1, 13.8 Hz), 3.06-3.11 (2H, m), 3.23-3.31 (1H, m), 3.85 (1H, d, J = 15.8 Hz), 3.92 (1H, d, J = 15.8 Hz), 6.68 (2H, s), 6.81 (1H, dd, J= 2.7, 9.6 Hz), 6.90 (1H, ddd, J = 2.7, 8.5, 8.5 Hz), 7.02 (2H, ddd, J= 2.2, 6.6, 8.8 Hz), 7.12 (1H, dd, J = 5.9, 8.5 Hz), 7.13 (2H, ddd, J= 2.2, 5.4, 8.8 Hz).
遊離塩基
1H-NMR (CDCl3)δ:2.40-2.62 (4H, m), 2.66-2.96 (6H, m), 3.16-3.28 (1H, m), 3.80 (2H, s), 6.76(1H, dd, J = 2.0, 9.5 Hz), 6.86(1H, ddd, J = 2.0, 8.3, 8.3 Hz), 6.94-7.04 (3H, m), 7.08 (2H, dd, J = 5.9, 8.0 Hz).
【0082】
c) N−[3−(メタンスルホニルアミノ)ベンジル]−2−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]エタンアミンの製造
【化38】

【0083】
アルゴン雰囲気下、2−〔6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル〕エタンアミンの1フマル酸塩 10 g、3−(メタンスルホニルアミノ)ベンズアルデヒド 4.8g および炭酸水素ナトリウム 4.0 g をメタノール100 mLに溶解し60℃で5時間攪拌した。反応液を室温下にして、10%Pd-C 300 mgを加え、水素雰囲気下一晩攪拌した。反応終了後、反応液をセライトろ過し、減圧濃縮した。濾液を酢酸エチルに溶解し、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧濃縮した。得られた粗生成物をメタノール3 mLに溶解し、クエン酸4.6 gを加えて加熱溶解し、酢酸エチル 9 mLを加え、室温下1時間攪拌した。析出物を濾取し、6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンからN−[3−(メタンスルホニルアミノ)ベンジル]−2−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]エタンアミンの1クエン酸塩 11.2 g(収率 96%)を無色結晶性粉末として得た。
【0084】
1クエン酸塩
1H-NMR (CD3OD)δ:2.50 (1H, dd, J = 10.0, 13.4 Hz), 2.55 (1H, dd,J = 3.4, 16.1 Hz), 2.72 (2H, d, J = 15.4 Hz), 2.85 (2H, d, J= 15.4 Hz), 2.85-2.95 (3H, m), 3.02 (3H, s), 3.03-3.12 (1H, m), 3.15-3.20 (2H, m), 3.22-3.30 (1H, m), 3.82 (1H, d, J = 16.4 Hz), 3.87 (1H, d, J= 16.4 Hz), 4.19 (2H, s), 6.81 (1H, dd, J = 2.4, 9.5 Hz), 6.90 (1H, ddd,J = 2.4, 8.5, 8.5 Hz), 7.00 (2H, dd, J = 8.6, 8.6 Hz), 7.09 (1H, dd,J = 5.8, 8.5 Hz), 7.14 (2H, dd, J = 5.4, 8.6 Hz), 7.21-7.35 (2H, m), 7.39 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.42 (1H, brs).
元素分析(C32H37N3O9F2S)
理論値 C, 56.71; H, 5.50; N, 6.20; F, 5.61
実測値 C, 56.65; H, 5.58; N, 6.10; F, 5.43
遊離塩基
1H-NMR (CDCl3)δ:2.44 (1H, dd, J = 9.8, 13.4 Hz), 2.50 (1H, dd, J = 3.9, 16.6 Hz), 2.72-2.90 (6H, m), 2.95 (3H, s), 3.14-3.22 (1H, m), 3.76 (2H, s), 3.77 (2H, s), 6.75 (1H, dd, J = 2.4, 9.5 Hz), 6.86 (1H, ddd, J = 2.4, 8.5, 8.5 Hz), 6.94 (2H, ddd, J = 2.0, 6.6, 8.6 Hz), 6.99 (1H, dd, J = 5.7, 8.5 Hz), 7.02-7.15 (4H, m), 7.26-7.31 (2H, m).
【0085】
実施例4 4−[[2−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]エチルアミノ]メチル]−N−イソプロピルアニリンの製造
a) N−(4−ニトロベンジル)−2−ブロモアセトアミドの製造
【化39】

【0086】
4−ニトロベンジルアミン・1塩酸塩 10 gをアセトニトリル50 mL中で攪拌した。反応液を氷冷冷却し、ジメチルアニリン13.1 gをゆっくり加えた。反応液にブロモアセチルブロマイド 12 gをゆっくり加え、そのまま15分攪拌を続ける。反応終了後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧濃縮した。粗生成物を酢酸エチル−トルエン混合液より析出し濾取することで目的物14.4 g(99 %)を微黄色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ:3.98 (2H, s), 4.59 (2H, d, J = 6.1 Hz), 6.94 (1H, brs), 7.46 (2H, d, J = 8.1 Hz), 8.21 (2H, d, J = 8.1 Hz).
【0087】
b) N−(4−ニトロベンジル)−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]アセトアミドの製造
【化40】

【0088】
実施例1で得られた6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン60.0 gをアセトニトリル360 mLに溶解した。反応液に室温下、N−(4−ニトロベンジル)−2−ブロモアセトアミド 69.6 g、炭酸カリウム95.7 gを順次加え、60℃にて一晩攪拌した。反応液を吸引ろ過し、濾液を減圧濃縮した。濃縮液を酢酸エチルに溶解し、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣に酢酸エチルに溶解し、氷冷下、4N 塩酸/酢酸エチルを加え、室温で1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチルを加えて加熱溶解し、室温下攪拌しながらヘキサンを加えた。析出物を濾取し、ヘキサン洗浄し目的物の塩酸塩を微黄色固体として105.8g (収率 95%) 得た。
得られた塩酸塩をクロロホルムに溶解し、飽和重曹水、飽和食塩水の順に洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣にメタノールを加え溶解させ、ヘキサンを加え室温下2時間攪拌した。析出物を濾取、ヘキサン洗浄し目的物を微黄色固体として100.9 g (収率 85%)得た。
【0089】
遊離塩基
1H-NMR (CDCl3)δ:2.55 (1H, dd, J = 3.9, 16.4 Hz), 2.62 (1H, dd,J = 7.6, 13.2 Hz), 2.70-2.90 (2H, m), 3.20 (1H, d, J = 16.8 Hz), 3.22-3.28 (1H, m), 3.38 (1H, d, J = 16.8 Hz), 3.78 (1H, d, J = 16.4 Hz), 3.90 (1H, d, J = 16.4 Hz), 4.42 (1H, d, J = 7.2 Hz), 4.45 (1H, d, J = 7.2 Hz), 6.80 (1H, dd, J = 2.4, 9.5 Hz), 6.92 (1H, ddd, J = 2.4, 8.5, 8.5 Hz), 6.95-7.11 (4H, m), 7.35 (2H, dd, J= 1.9, 7.0 Hz), 7.40-7.46 (1H, m), 8.18 (2H, dd, J = 1.9, 7.0 Hz).
【0090】
c) N−(4−アミノベンジル)−〔6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2(1H)−イル〕アセトアミドの製造
【化41】

【0091】
N−(4−ニトロベンジル)−〔6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2(1H)−イル〕アセトアミド 87.5 gをメタノールに縣濁し、10% Pd-C(wet.)4.5 gを加えた。反応系内を水素置換し、室温下2時間反応を続けた。反応終了後、反応液をセライトろ過し、濾液を濃縮し目的物を白色泡沫状固体として定量的に得た。
1H-NMR (CDCl3)δ: 2.52-2.54 (2H, m), 2.72-2.86 (2H, m), 3.13 (1H, d, J= 16.4 Hz), 3.13-3.22 (1H, m), 3.33 (1H, d, J = 16.4 Hz), 3.74 (1H, d,J = 16.2 Hz), 3.80 (1H, d, J = 16.2 Hz), 4.20-4.32 (2H, m), 6.63 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.81 (1H, dd, J = 2.4, 9.2 Hz), 6.88 (1H, ddd, J = 2.4, 8.5, 8.5 Hz), 6.90 (2H, dd, J = 8.5, 8.5 Hz), 6.98 (1H, dd, J = 5.9, 8.5 Hz), 6.98-7.20 (5H, m).
【0092】
d) N−(4−イソプロピルアミノベンジル)−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]アセトアミドの製造
【化42】

【0093】
N−(4−アミノベンジル)−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]アセトアミド67.0 g をトルエン670mLに溶解した。これに無水アセトン 10.2 gを加えた、氷冷下、トリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム47.3 g、酢酸13mLを順次加え、室温で一晩攪拌した。反応終了後、反応液に飽和重曹水、酢酸エチルを加えた。有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣にメタノールを加え加熱溶解し、マレイン酸18.5 gのメタノール溶液を加え室温下攪拌した。更に酢酸エチル及びヘキサンを加え攪拌した。析出物を濾取し、目的物81.8 g(収率 88.8%)を微黄色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3)δ:1.20 (6H, d, J = 6.1 Hz), 2.54 (1H, dd, J = 8.3, 13.9 Hz), 2.55 (1H, dd, J = 5.4, 14.5 Hz), 2.74-2.86 (2H, m), 3.15 (1H, d, J = 16.6 Hz), 3.14-3.22 (1H, m), 3.35 (1H, d, J = 16.6 Hz), 3.47 (1H, brs), 3.56-3.66 (1H, m), 3.76 (1H, d, J = 16.4 Hz), 3.82 (1H, d, J = 16.4 Hz), 4.22 (1H, dd, J = 5.6, 14.4 Hz), 4.31 (1H, dd, J = 5.6, 14.4 Hz), 6.53 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.80 (1H, dd,J = 2.2, 9.3 Hz), 6.86 (1H, ddd, J = 2.7, 8.5, 8.5 Hz), 6.92 (2H, dd, J = 8.6, 8.6 Hz), 6.97 (1H, dd, J = 5.9, 8.5 Hz), 7.00-7.06 (4H, m), 7.20-7.30 (1H, m).
【0094】
e) N−[4−イソプロピルアミノ)ベンジル]−2−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]エタンアミンの製造
【化43】

【0095】
N−(4−イソプロピルアミノベンジル)−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]アセトアミドのマレイン酸塩を酢酸エチルに溶解し、2N 水酸化ナトリウム水100mLで2回、飽和食塩水で順次洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去した。残渣をトルエン共沸しN−(4−イソプロピルアミノベンジル)−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]アセトアミドを定量的に回収した。
【0096】
回収したN−(4−イソプロピルアミノベンジル)−[6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]アセトアミド10.4 gを無水THF 83mLに溶解した。アルゴンガス雰囲気下、氷冷下、反応液にBF3・ジエチルエーテル9.5 gを加え、60℃にて1時間攪拌した。その後、ボラン−ジメチルスルフィドコンプレックス8.5 g, 112 mMを加え、そのまま6時間攪拌した。反応終了後、氷冷下にて反応液に5N塩酸水44 mLを少しずつ加え、60℃にて10時間攪拌した。その後、氷冷下にて2N水酸化ナトリウム水溶液を加え弱塩基性として、酢酸エチルで有機層を分離した。有機層を2N水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。
【0097】
粗生成物を少量のメタノールに溶解し、フマル酸のメタノール溶液を加え減圧濃縮し白色アモルファスとした。
この白色アモルファスをTHFに加熱溶解し、ヘキサンを加え、40℃で2時間加熱縣濁し、更に室温下一晩攪拌を続けた。これを濾取し、目的物10.5g(収率 80%)を無色結晶として得た。
1フマル酸塩
1H-NMR (CD3OD)δ:1.18 (6H, dd, J = 1.3, 6.2 Hz), 2.47 (1H, dd, J= 10.0, 13.4 Hz), 2.53 (1H, dd, J = 3.4, 16.8 Hz), 2.78-2.86 (1H, m), 2.87 (2H, dd, J = 4.9, 14.9 Hz), 2.94-3.02 (1H, m), 3.08-3.20 (3H, m), 3.56-3.64 (1H, m), 3.79 (2H, s), 4.03 (2H, s), 6.62 (2H, dd, J = 2.0, 6.6 Hz), 6.68 (2H, s), 6.80 (1H, dd, J = 2.6, 9.6 Hz), 6.89 (1H, ddd,J = 2.6, 8.5, 8.5 Hz), 7.00 (2H, dd, J = 8.6, 8.6 Hz), 7.07 (1H, dd,J = 5.9, 8.5 Hz), 7.10 (2H, dd, J = 5.5, 8.6 Hz), 7.15 (2H, dd, J= 2.0, 6.6 Hz).
元素分析(C32H37N3O4F2
理論値 C, 67.95; H, 6.59; N, 7.43; F, 6.72
実測値 C, 67.91; H, 6.66; N, 7.40; F, 6.80
遊離塩基
H-NMR( CDCl3 )δ: 1.20 (6H, d, J = 6.1 Hz), 2.40 (1H, dd, J = 10.0, 13.4 Hz), 2.48 (1H, dd, J = 3.7, 16.6 Hz), 2.73-2.88 (6H, m), 3.13 (1H, m), 3.56-3.68 (1H, m), 3.67 (2H, s), 3.73 (2H, s), 6.53 (2H, d, J = 8.3 Hz), 6.74 (1H, dd, J = 2.4, 9.5 Hz), 6.85 (1H, ddd, J = 2.4, 8.5, 8.5 Hz), 6.94 (2H, dd, J = 8.6, 8.6 Hz), 6.98 (1H, dd, J = 5.6, 8.5 Hz), 7.03 (2H, dd, J = 5.6, 8.6 Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.3 Hz).
【0098】
試験例1 CCR3拮抗作用試験
モルモット好酸球の調整は、文献(Pinkus, Blood. 52 (1978) 127-134)の方法を参考にして行った。即ち、6週齡のHartley系雄性モルモット(n=3、日本エスエルシー)腹腔内に、PBS(−)で希釈したポリミキシンB(SIGMA)を動物あたり2mgとなるように週1回注入した。同様の操作を4回行った24時間後、ジエチルエーテル麻酔下にて腹腔内に個体あたり6U/mLのヘパリンおよび1mM EDTAを含むPBS(−)50mLを注入し、同液を回収した。1mM EDTAを含むPBS(−)にて洗浄後、比重1.070のPercoll液に懸濁した細胞を、不連続Percollグラジエント液を用いた遠心分離を行って好酸球粗画分を得た。PBS(−)にて洗浄後、1%FCSを含むRPMI−1640培地(SIGMA)にて懸濁し、COインキュベータ中で終夜培養した。
【0099】
翌日細胞を回収し、0.1%BSA(Bovine Serum Albumin、ウシ血清アルブミン、SIGMA)を含むRPMI−1640培地にて懸濁した好酸球に被験化合物を加え、37℃、30分間静置して前処置した。96ウェルケモタキシスチャンバー(Neuroprobe)の下室に終濃度100ng/mLとなるように調製したモルモットエオタキシン(Chmeical Synthesis Services)と被験化合物の混合液を加え、ポリビニルピロリドン(PVP)処理済みのポアサイズ5μmのポリカーボネートフィルター(Neuroprobe)、上室にウェルあたり12.0x10個の好酸球と被験化合物の混合液の順で重ねてセットし、COインキュベータ中で1時間反応させた。
反応終了後、フィルターを取り出し、Diff−Quik染色キット(国際試薬)にて細胞染色を行い、顕微鏡下で遊走した好酸球を計数した。ウェルあたり5視野のカウントを行い、その平均値をもって遊走好酸球数とし、エオタキシンのみの反応を100%とした場合の阻害率を算出し、濃度―阻害率曲線から50%阻害を示す濃度(IC50値)を算出した。結果を表1に示す。
【0100】
【表1】

【0101】
試験例2 卵白アルブミン誘発モルモット好酸球浸潤モデルにおける肺への好酸球浸潤抑制作用
雄性Std/Hartleyモルモット(n=8)に10μg卵白アルブミン(OVA、Sigma)と100mg水酸化アルミニウム(和光純薬)との懸濁液を腹腔内投与することにより感作(初回感作)を行い、さらにその2日後に同様の条件で再度感作を行なった。
初回感作から16日後に、0.5質量%OVAを30分間吸入させ、その30分前と4時間後に0.5%メチルセルロース水溶液に懸濁させた化合物(1)を10mg/kgの用量で投与した。なお、control群には溶媒(0.5%メチルセルロース水溶液)のみを投与し、normal群には無処置動物を用いた。
初回感作から17日後、肺胞内を0.1%BSAを含むPBSで洗浄(10mL×5往復×2回)して肺胞洗浄液を回収した。
回収した肺胞洗浄液は、多項目自動血球分析装置XT-2000i(Sysmex)により好酸球数を測定した。結果を図1に示す。
【0102】
以上から、本発明に係る化合物(3)を用いて製造された化合物(1)及び化合物(2)は、試験例1より優れたCCR3拮抗作用を有することが示され、試験例2より、具体的なアレルギー疾患のモデルに対しても有効に作用することから、CCR3の関与する疾患、特に喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎等の疾患の予防及び/又は治療剤として優れた効果を発揮することが示唆される。なお、これらの化合物は、毒性もほとんどないことが確認されており、医薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】化合物(1)による、モルモット好酸球浸潤モデルにおける肺への好酸球浸潤抑制作用を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式(4):
【化1】

で示される1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−プロパン−2−アミン又はその塩と、酸の存在下又は非存在下、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド等価体を反応させることを特徴とする、次の式(3):
【化2】

で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩の製造方法。
【請求項2】
前記酸がトリフルオロ酢酸(TFA)であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ホルムアルデヒド等価体がパラホルムアルデヒド、又はジメトキシメタンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
次の式(5):
【化3】

で示される化合物又はその塩を、等量又は過剰量のアンモニウム塩と水素化ホウ素化合物の存在下反応させ、前記式(4)で示される化合物又はその塩に変換することを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
次の式(6):
【化4】

で示される化合物又はその塩を還元して、前記式(4)で示される化合物又はその塩に変換することを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
次の式(4):
【化5】

で示される1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−プロパン−2−アミン又はその塩と、酸の存在下又は非存在下、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド等価体を反応させ、次の式(3):
【化6】

で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩を得て、この式(3)で示される化合物又はその塩と次の式(XII):
【化7】

(式中、Xは脱離基を示す。)
で表される化合物またはその塩を反応させ、次の式(XIII):
【化8】

で示される化合物又はその塩を得て、この式(XIII)で示される化合物又はその塩を還元し、次の式(XIV):
【化9】

で示される化合物又はその塩を得て、次いで、この式(XIV)で示される化合物又はその塩と次の式(XV):
【化10】

で示される化合物又はその塩を反応させることを特徴とする、次の式(1):
【化11】

で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン誘導体又はその塩の製造方法。
【請求項7】
次の式(4):
【化12】

で示される1−(3−フルオロフェニル)−3−(4−フルオロフェニル)−プロパン−2−アミン又はその塩と、酸の存在下又は非存在下、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド等価体を反応させ、次の式(3):
【化13】

で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩を得て、この式(3)で示される化合物又はその塩と次の式(XVI):
【化14】

(式中、Xは脱離基を示す。)
で表される化合物又はその塩を反応させ、次の式(XVII):
【化15】

で示される化合物又はその塩を得て、この式(XVII)で示される化合物又はその塩を還元し、次の式(XVIII):
【化16】

で示される化合物又はその塩を得て、この式(XVIII)で示される化合物又はその塩とアセトンを反応させ、次の式(XIX):
【化17】

で示される化合物又はその塩を得て、次いで、この式(XIX)で示される化合物又はその塩を還元することを特徴とする、次の式(2):
【化18】

で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン誘導体又はその塩の製造方法。
【請求項8】
次の式(3):
【化19】

で示される6−フルオロ−3−(4−フルオロベンジル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。

【図1】
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【公開番号】特開2009−7259(P2009−7259A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167925(P2007−167925)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】