説明

6−置換−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドの調製方法

【課題】 6−置換−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドの新規な調製方法を提供すること。
【解決手段】 本発明は、式(II)の化合物をRSOHの加熱した溶液中に徐々に添加することを含む、式(I)の6−置換−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドの調製方法に関する。式中、RはF又はClを表し、RはH、F、Cl、Br、I、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ又はトリフルオロメチルを表す。



(I)


(II)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の6−置換−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドの調製に関する。

(I)
これらは、様々な化合物の合成において極めて有用かつ価値のある中間体である。
【背景技術】
【0002】
6−置換−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドは、幅広い用途が見出されている極めて興味ある中間体である。例えば、6−クロロイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルクロリドは、種々の医薬用途において、5−ヒドロキシトリプタミンリガンドとしての活性が示された化合物の合成に使用されている。このことは、例えば、US20040209867, WO2007028460, WO2007054257, EP1676841, EP1632491, WO2006015867, WO2005014589, WO2005014045, WO2005014000, WO2005013979, WO2005013978, WO2005013977, WO2005013976, WO2004098588, WO2006002125, US2005101596, WO2005012311, US2005020596, US2005020575, US2005009819又はUS2004192749に記載されている。
【0003】
6−置換−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドは、イミダゾール[2,1−b]チアゾール部分を有するスルホニル尿素化合物の合成にも有用であり、J. Pesticide Sci. 18, 183-189 (1993)及びEP0238070に記載されているように、この化合物は有効な除草活性を示す。
J. Pesticide Sci. 18, 183-189 (1993)は、6−クロロイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルクロリドの調製を開示する。スルホニル部分の導入に使用される方法は、2つの段階を含む。この合成は、式(II)の化合物

とクロロホルム中のクロロ硫酸とを、還流下に反応させて、式(III)のスルホン酸を生じる反応を含む。

式(III)のスルホン酸をオキシ塩化りんと、トリエチルアミンの存在下に加熱下で反応させて、対応するスルホニルクロリドを得る。この方法において、6−クロロイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルクロリドは、単離されなかった。
【0004】
US 20040209867は、J. Pesticide Sci. 18, 183-189 (1993)に記載された方法と同じ方法を開示しており、この方法の概要を以下のように示すことができる:

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、6−置換−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドの別の調製方法を提供し、該方法は一段階法である。本発明の方法は、従来の方法より、簡単、迅速かつ高度に効率的な手順であり、6−置換−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドを良好な収率及び純度で得られるという利点を有する。このことにより、本発明の方法は、工業的規模での実施に極めて好都合となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式(I)のイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドの誘導体を調製する方法に関し、

(I)
該方法は、式(II)の化合物

(II)
を、R1SO3Hの加熱した溶液中に徐々に添加することを含み、
式中、
1はF、Cl、Br又はIを表し、
2はH、F、Cl、Br、I、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ又はトリフルオロメチルを表す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の一段階法を、反応式(II)に示すように、要約することができる。

【0008】
式Iの誘導体を合成する場合に非常に重要なことは、式IIの化合物を添加する前にハロスルホン酸(R1SO3H)を予め加熱しておくことである。R1SO3Hの加熱した溶液への化合物IIの添加は徐々に行わなければならない。なぜなら、ハロゲン化水素、例えばHCl、HF、HBr又はHIの放出を伴う反応が生じ、これらのハロゲン化水素が激しい反応を引き起こす可能性があるからである。
反応が生じている間(10分〜2時間)は常に、反応混合物の温度は一定に保たれていなければならない。通常は、反応が行われる温度は60〜140℃、好ましくは100〜130℃でなければならない。さらに、6−置換−イミダゾ[2,1−b]チアゾールが実質的に全て反応できるように、ハロスルホン酸が過剰に(2.5当量〜12当量)存在することが望ましい。
【0009】
ハロスルホン酸溶液は希釈してもよいが、本発明の好ましい態様では、該溶液はわずかに希釈されるのみである。さらに他の本発明の好ましい態様では、希釈していないハロスルホン酸が使用される。使用されるハロスルホン酸は、製造しようとするイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドの最終誘導体に依存するであろう。例えば、最終化合物が6−置換−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルクロリドである場合、反応させる化合物としてクロロスルホン酸を使用する必要がある。これに対して、6−置換−イミダゾ「2,1−b」チアゾール−5−スルホニルフルオリドを得ようとする場合、クロロスルホン酸の代わりにフルオロスルホン酸を使用しなければならない。このような意味で、ブロモスルホン酸及びヨードスルホン酸を使用して、それぞれ対応する臭化物及びヨウ化物を得ることができる。異なる6−置換−イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルクロリドの調製が、例1及び2に詳細に開示されている。
【0010】
反応の過程において、スルホン化が生じる一方でハロゲン化水素が生成し、それゆえ、水酸化ナトリウムの希釈溶液を使用してこの過剰の酸をトラップすることが望ましい。実験室の規模では単独の水酸化物トラップを使用してもよいが、より大きい規模(工業的規模)では、冷却水を有する第1のトラップと、水酸化物の希釈溶液を有する第2のトラップとから構成されるシステムを使用することが望ましいであろう。
【0011】
本発明の方法による収率は、出発物質の6−置換−イミダゾ[2,1−b]チアゾールに対して60%より大きい。この粗生成物をさらに生成することなく直接使用することができる。
【0012】
本発明の特定の態様において、R2がCl又はBrである式IIの化合物とハロスルホン酸がクロロスルホン酸である化合物との間で反応が生じて、
(1)6−クロロイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルクロリド、又は
(2)6−ブロモイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルクロリド
のいずれかが生成する。
以下の例は本発明を説明するためのものであることを意図している。
【0013】
例1:6−クロロイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルクロリドの調製

機械的攪拌機を備えた1000mlの反応フラスコ中に、希釈していないクロロスルホン酸(3.60モル、240ml)を入れ、120℃に加熱した。6−クロロイミダゾ[2,1−b]チアゾール(0.315モル、50g)を該クロロスルホン酸に徐々に加えた。反応混合物を120℃で2時間撹拌した。スルホン化の際に生成した塩化水素を、水酸化ナトリウムの希釈溶液を使用してトラップした。
シロップ液を、機械的に撹拌しながら、氷(3.50kg)中にゆっくり入れて冷却した。過剰のクロロスルホン酸の分解をフード中で行い、効率的な気体吸収トラップを使用した。固形の6−クロロイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルクロリドの分離物をろ過により集め、水で洗浄し、減圧下で乾燥した。49.82g(収率62%)の白色固形物を得た。この粗生成物は直接使用することができる。
IR ( KBr) 3159, 3141, 1426, 1380, 1271, 1188, 1144, 1092, 732, 622, 562 cm-1
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δppm 7,83 (d, J=4.5 Hz ,1 H) , 7,34 (d, J=4.5 Hz ,1 H).
MS (M+H)+ 257
M.P.: 140-142℃
【0014】
例2:6−ブロモイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルクロリドの調製

25mlのフラスコに、希釈していないクロロスルホン酸(30ミリモル、2.10ml)を入れ、120℃に加熱した。6−ブロモイミダゾ[2,1−b]チアゾール(2.5ミリモル、0.51g)を該クロロスルホン酸へ徐々に添加した。反応混合物を120℃で2時間撹拌した。スルホン化の際に生成した塩化水素を水酸化ナトリウムの希釈溶液を用いてトラップした。
シロップ液を、撹拌しながら氷(30g)中にゆっくり入れて冷却した。過剰のクロロスルホン酸の分解をフードの中で行い、効率的な気体吸収トラップを使用した。固形の6−ブロモイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルクロリドの分離物をろ過によって集め、水で洗浄し、減圧下で乾燥した。0.47g(収率61%)の白色固形物を得た。この粗生成物は直接使用することができる。
IR ( KBr) 3153, 3135, 1415, 1380,1342, 1255, 1193, 1144, 1089, 727, 575 cm-1
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 7,85 (d, J=4.5 Hz ,1 H) , 7,34 (d, J=4.5 Hz ,1 H)
MS (M+H)+ 301
M.P.: 115-117℃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドの誘導体を調製する方法であって、

(I)
式(II)の化合物

(II)
を、R1SO3Hの加熱した溶液中に徐々に添加することを含む方法、
式中、
1はF又はClを表し、
2はH、F、Cl、Br、I、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ又はトリフルオロメチルを表す。
【請求項2】
該R1SO3Hの溶液が希釈していない溶液である、請求項1に従う、イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドの誘導体の調製方法。
【請求項3】
該R1SO3Hの溶液が60〜140℃の温度に加熱されている、請求項1又は2に従う、イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドの誘導体の調製方法。
【請求項4】
該R1SO3Hの溶液が100〜130℃の温度に加熱されている、請求項3に従う、イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドの誘導体の調製方法。
【請求項5】
1がF又はClを表す、請求項1ないし4のいずれか1項に従う、イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドの誘導体の調製方法。
【請求項6】
2がCl又はBrを表す、請求項1ないし4のいずれか1項に従う、イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドの誘導体の調製方法。
【請求項7】
調製される誘導体が
(1)6−クロロイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルクロリド、又は
(2)6−ブロモイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルクロリド
の一方である、請求項5又は6に従う、イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−スルホニルハライドの誘導体の調製方法。

【公表番号】特表2011−500759(P2011−500759A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530435(P2010−530435)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064264
【国際公開番号】WO2009/053378
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(507090650)ラボラトリオス デル ドクトル エステヴェ ソシエダッド アノニマ (2)
【Fターム(参考)】