説明

7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸の製造方法

【課題】1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸誘導体を、煩雑な操作の導入を必要することなく、簡単に、短いサイクルタイムで製造する方法の提供。
【解決手段】エチル3−(2,6−ジクロロ−5−フルオロピリジン−3−イル)−3−オキソ−プロパノエートから出発して、単一溶媒系の同一容器内で中間体を分離することなく4つの工程を行って、高純度の7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸を製造する新しい方法に関する。詳しくは、本発明は下記反応スキーム1に表される、エチル3−(2,6−ジクロロ−5−フルオロピリジン−3−イル)−3−オキソ−プロパノエート(1)から出発して、単一溶媒系の同一容器内で、中間体を分離することなく、高純度の7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸(5)を製造する新しい方法に関するものである。
【化1】

(式中、Yはハロゲンにより置換されていてもよい、炭素数1〜5の直鎖、分枝状または環状アルキルを示すか、またはハロゲンにより置換されていてもよいフェニルを示す。)
【背景技術】
【0002】
上記反応スキーム1の化合物の効率的な生産は、細菌性感染治療においてフルオロキノロン系抗生剤の経済的な生産のために非常に重要である。既存に知らされた方法、例えば、特開平3−74231号は下記3つの工程を通して化合物(5)を得ている。
工程1:3−(2,6−ジクロロ−5−フルオロピリジン−3−イル)−3−オキソプロパン酸エチルエステルをオルトギ酸トリエチル及び無水酢酸と反応させて、2−[(2,6−ジクロロ−5−フルオロピリジン−3−イル)カルボニル]−3−エトキシアクリル酸エチルエステルを得る。
工程2:このように得られた化合物をシクロプロピルアミンと反応させる。
工程3:得られたシクロプロピルエナミンを水素化ナトリウムで環化させてナフチリジンエステルを得る。
しかし、上記工程は工程ごとに中間体を分離しているので、操作が煩雑で、且つ全体収率の損失が発生する。
化合物(5)を製造するための他の方法には、特開2002−155081号に開示されている。この方法では上記特開平3−74231号に開示された方法を改善して同一溶媒で中間体を分離することなく、上記工程1〜3を遂行している。この発明の内容を下記3つの工程で詳細に説明する。
【0003】
工程1:化合物(1)とオルトギ酸トリエチルを無水酢酸存在下に加熱して反応させながら、同時に副産物であるエタノールと酢酸を蒸留して除去した。反応終結後、残留オルトギ酸トリエチルを、減圧下に、完全に蒸留して次工程での副産物の生成を防止する。
工程2:このように得られた残渣を冷却してトルエンに溶かした。この溶液にシクロプロピルアミンを滴下してエナミン化合物を得る。
工程3:最後に、エナミン化合物溶液にテトラブチルアンモニウムブロミドの触媒量を加えた後、水酸化ナトリウム水溶液を加えて環化させる。析出されたナフチリジン3−カルボン酸エステルを濾過、洗浄、及び乾燥した後、加水分解して全収率約85%の化合物(5)を得る。
【0004】
この方法は中間体を分離することなく、ナフチリジンエステル製造するときに長所があるが、また、以下の短所がある。
工程1の反応は、多くの文献が知られており、一般的方法(WO89/06649、EP 0160578 A1)として幅広く使われている。しかし、この工程は産業的側面ではいくつかの問題を抱えている。第1に、反応終了後、減圧蒸留を通してオルトギ酸トリエチルを完全に除去しなければならない。この方法は長い時間がかかる。第2に、オルトギ酸トリエチルを完全に除去されなければ、残りのオルトギ酸トリエチルが次工程に投入されたシクロプロピルアミンと反応して副産物を生成するので、精製が難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、上記特開2002−155081号の問題点を解決するために鋭意研究を行った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その結果、本発明者らは、本発明の目的化合物である、1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸誘導体を、工程1でオルトギ酸トリエチルの代わりにジメチルホルムアミドジアルキルアセタールを用いて煩雑な操作の導入を必要することなく、簡単に、短いサイクルタイムで高収率及び高純度で製造することができることを見出した。従って、中間体を分離することなく同一溶媒系の同一容器(one−pot)内で(2)、(3)及び(4)の中間体の製造が続けられる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、中間体を分離することなく、同一溶媒系の同一容器内で行うことを特徴とする下記式(5)の1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸誘導体を製造する方法に関する:
【0008】
a)下記式(1)の化合物を、
【化2】

溶媒中で酸触媒存在下に式MeNCH(OR)(ここで、Rは炭素数1〜9の直鎖、分枝状または環状アルキルを示すか、または、ベンジルを示す)のジメチルホルムアミドジアルキルアセタールと反応させて下記式(2)の化合物を得る工程;
【化3】

【0009】
b)上記式(2)の生成化合物を式YNHのアミンと反応させて下記式(3)の化合物を得る工程:
【化4】

(式中、Yはハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜5の直鎖、分枝状または環状アルキルを示すか、またはハロゲンにより置換されていてもよいフェニルを示す)
【0010】
c)上記式(3)の生成化合物を第4級アンモニウム塩及び塩基の存在下に環化反応させて下記式(4)の1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸エステルを得る工程;
【化5】

(式中、Yは上記同義である)、及び
【0011】
d)上記式(4)の生成化合物を酸の存在下に加水分解させて下記式(5)の1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸誘導体を得る工程。
【化6】

(式中、Yは上記同義である)
【0012】
上記各工程についてさらに詳細に説明する。
工程a)
【化7】

まず、上記工程a)〜d)で使用する溶媒は、ハロゲン化アルキルまたは芳香族炭化水素系溶媒である。ハロゲン化アルキルの例は塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンなどが挙げられる。芳香族炭化水素系溶媒の例はベンゼン、クロルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、好ましくは1,2−ジクロロベンゼンまたはトルエンが挙げられる。溶媒は式(1)の化合物に対して3〜15倍(v/w)、好ましくは4〜10倍(v/w)、より好ましくは6倍(v/w)で使用する。
【0013】
反応物質として使われるジメチルホルムアミドジアルキルアセタール[MeNCH(OR)]において、Rの具体的な例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、ベンジル、シクロヘキシルなどであり、好ましくはメチル、エチル、イソプロピルなどであり、より好ましくはメチルである。ジメチルホルムアミドジアルキルアセタールは式(1)の化合物に対してモル比で1〜3当量、好ましくは1〜1.5当量、より好ましくは1.05〜1.15当量で使用する。
【0014】
酸触媒の例は、酢酸、プロピオン酸、及びブタン酸などのようなカルボン酸であり、好ましくは酢酸である。この中で、酢酸は式(1)の化合物に対してモル比で0.05〜0.6当量、好ましくは0.1〜0.4当量、より好ましくは0.2〜0.3当量を使用する。
【0015】
工程a)の反応で、式(1)の化合物、ジメチルホルムアミドジアルキルアセタール、酸触媒、及び溶媒は、混合順序が反応に影響を及ぼさないことから、工程の便宜のためにどのような順序でも混合しうる。反応温度は0〜50℃、好ましくは10〜40℃、より好ましくは20〜30℃である。
【0016】
さらに具体的に、本発明に係る方法の工程a)は式(1)の化合物を6倍(v/w)のトルエンの中で1.05〜1.15モル当量のジメチルホルムアミドジメチルアセタール及び0.2〜0.3モル当量の酢酸と共に20〜30℃
で反応を行うことが最も好ましい。
工程a)の反応を通して生成された式(2)の化合物で表されるエナミン構造はE/Z形態で存在でき、本発明は両形態を含む。
【0017】
工程b)
【化8】

工程a)の工程によって製造された式(2)化合物の粗反応液に式YNHのアミンを添加する。このとき、Yの具体例にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチルなどのような置換されていてもよいアルキルである。この中で、炭素数1〜4の直鎖または分枝状アルキルが好ましく、メチル、エチル、プロピルがさらに好ましい。ハロゲン−置換アルキル基の場合には、ハロゲン部分としてフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などを導入することができ、この中で、フッ素と塩素が好ましい。ハロゲン−置換アルキルの具体的な例にはクロロメチル、2−クロロエチル、フルオロメチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチルなどが挙げられ、この中で、フルオロメチルと2−フルオロエチルが好ましい。環状アルキルの例にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。この環状アルキルはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素、好ましくは塩素とフッ素などのハロゲンで、任意の位置で、置換され得る。環状アルキルの好ましい例としては、2−フルオロシクロプロピル、2,2−ジフルオロシクロプロピル、2−クロロ−2−フルオロシクロプロピルなどが挙げられ、より好ましくはシクロプロピルまたは2−フルオロシクロプロピル、などである。また、ハロゲンにより置換されていてもよいフェニルの具体的な例にはフェニル、2,4−ジフルオロフェニルであり、好ましくは2,4−ジフルオロフェニルである。本発明ではシクロプロピルが最も好ましい。
【0018】
上記アミンを利用して式(3)の化合物を製造時において、YNHのアミンは式(1)の化合物に対して0.9〜2モル当量、好ましくは1.0〜1.5モル当量、より好ましくは1.1〜1.3モル当量、最も好ましくは1.1〜1.2モル当量で使用する。この反応において、全工程を通して反応溶液に混合攪拌の便宜のために同じ溶媒を加えることができ、その量は式(1)の化合物に対して0〜5倍(v/w)であるが、反応速度と反応容積の側面で溶媒を加えないことが最も有利である。このとき、反応温度は0〜50℃、好ましくは10〜40℃、より好ましくは、20〜30℃である。
【0019】
上記反応で得られた式(3)の化合物を含有する溶液は反応副産物として生成されたアルコール、過量の米反応YNH、及び式(2)の化合物から離脱されたジメチルアミンを含んでいる。従って、これらの副産物及び米反応物質を除去することが好ましい。その意味で、希酸水溶液を用いる洗浄はそれらの塩形態としてのアミン誘導体を水層で除去するために用いるのである。このときに使用される酸水溶液には希硫酸、希塩酸、希リン酸または硫酸水素カリウムなどの無機酸、または酒石酸、クエン酸などの有機酸から製造することができる。洗浄時のpHは1〜6、好ましくは2〜5、より好ましくは3〜4である。洗浄のために、酒石酸、クエン酸などの有機酸を使用することがさらに好ましい。その中ではクエン酸が最も好ましい。クエン酸を使用するとき、水溶液の濃度は3〜30%が好ましく、より好ましくは5〜20%、さらに好ましくは10〜15%濃度で使用する。洗浄温度は10〜50℃、好ましくは25〜45℃、より好ましくは30〜40℃である。洗浄回数は必要に応じて1回または数回でありうるが、上記好ましい濃度のクエン酸を適した温度で使用するとき、1回の洗浄で十分である。層分離後、分離された有機反層は必要に応じて中性水でもう一度洗浄することができる。
【0020】
工程c)
【化9】

工程b)で得られた式(3)の化合物を同一溶媒系で第4級アンモニウム塩及び塩基の存在下で環化させれば式(4)の化合物が得られる。
この工程で使われる第4級アンモニウム塩(RNX)でRは、炭素数1〜18個の直鎖または分枝状アルキル、またはベンジルなどで示し;4個のRは同一または異なり;及びXはハロゲン、HSOまたは水酸基を示し、ここでハロゲンは塩素、臭素、ヨウ素などである。本発明に係る工程c)で、第4級アンモニウム塩としては、通常、ベンジルトリアルキルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、または商品名“Aliquat 336”または“Adogen 464”などが挙げられる。好ましくはベンジルトリエチルアンモニウムクロリド;またはブロミド、またはヨージド、またはテトラエチルアンモニウムクロリド、またはブロミド、またはヨージド、またはテトラブチルアンモニウムクロリド、またはブロミドまたはヨージドが使用される。より好ましくはテトラブチルアンモニウムブロミドが使用される。しかし、便宜目的については、上記言及された種類の第4級アンモニウム塩のうちどれでも使用することができる。第4級アンモニウム塩はその自体で使用するか、水溶液状態で使用することができ、使用量は式(1)の化合物に対して0.001〜1モル当量、好ましくは0.01〜0.1モル当量、より好ましくは0.03〜0.05モル当量である。
【0021】
ここで、使われた第4級アンモニウム塩(RNX)でXがハロゲンまたはHSOの場合、塩基の使用は必須的であり、Xが水酸基の場合、第4級アンモニウム塩自体が塩基の役割を遂行するので、追加塩基の使用は任意的である。使用可能な塩基の種類は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、または第4級アンモニウムヒドロキシドなどの水溶液が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液を使用する。この工程で該当塩基の使用量は式(1)の化合物に対して0.9〜1.5モル当量、好ましくは1.0〜1.3モル当量、より好ましくは1.1〜1.2モル当量である。
【0022】
一方、第4級アンモニウム塩と塩基の混合物の代わりに、第4級アンモニウムヒドロキシドの水溶液を使用でき、この時、使用量は式(1)の化合物に対して0.9〜1.5モル当量、好ましくは1.0〜1.3モル当量、より好ましくは1.05〜1.15モル当量である。反応温度は10〜60℃、好ましくは20〜50℃、より好ましくは25〜35℃である。要するに、中間体(3)〜(4)の環化は室温で、短期間で達成され、従来技術に対して高純度だけでなく高反応生産性を提供することができる。
【0023】
工程d)
【化10】

工程c)で製造された式(4)の化合物を含有する反応液に酸水溶液を加え、加水分解した後、析出された結晶を濾過して式(5)の化合物を得る。
【0024】
加水分解のために使用される酸の種類には、塩酸または硫酸、好ましくは濃塩酸である。使用量は式(1)の化合物に対して1.5〜9モル当量、好ましくは3〜6モル当量、より好ましくは4〜5モル当量である。特に、塩酸を使用する場合、10〜35%濃度の塩酸水溶液を使用することができる。35%塩酸水溶液を使用することが好ましい。
【0025】
反応温度は常温〜120℃、好ましくは60〜120℃、より好ましくは110〜120℃で反応が行える。反応終結後、反応液を冷却し、生成された固体を濾過し、水及び有機溶媒で洗浄し、濾過固体化合物を乾燥して高純度で式(5)の化合物を得た。全工程の全収率は通常90%以上である。
【0026】
上記説明のように、本発明は下記利点を持つ:各工程で形成された中間体に係る製造方法は各工程で生成される中間体を分離することなく、且つ溶媒を変化または追加することなく、同一容器内で行うことができる。分離、溶媒交換、反応器交換、反応器洗浄などの操作を必要としないので、本発明は、工程のサイクル時間と、製品の収率及び質の観点から、高効率、且つ単純な方法で化合物(5)を提供する。
【0027】
下記実施例は本発明をより具体的に説明するために提示される。しかし、下記実施例は本発明に対する理解を助けるためのものであり、何ら本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0028】
実施例1
7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸の製造[テトラブチルアンモニウムヒドロキシドの使用]
3−(2,6−ジクロロ−5−フルオロピリジン−3−イル)−3−オキソ−プロパン酸エチルエステル(化合物(1):10.0g、35.7mmol)とトルエン(60mL)を混合して常温でジメチルホルムアミドジメチルアセタール(4.68g、39.3mmol)と酢酸(0.53g、8.9mmol)を加えた。混合物を常温で30分間攪拌した。3−(2,6−ジクロロ−5−フルオロピリジン−3−イル)−3−オキソ−プロパン酸エチルエステル化合物(1)が完全に消滅(HPLCにより確認)した後、シクロプロピルアミン(2.24g、39.3mmol)を加え、混合物を30分間攪拌した。化合物(2)が完全に消滅(HPLCにより確認)した後、10% クエン酸水溶液で反応液を洗浄した。層分離後、分離された有機層を蒸留水で洗浄し、溶液にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド 25% 水溶液(40g、39.3mmol)を加えた。生成溶液を1時間攪拌した。化合物(3)が完全に消滅(HPLCにより確認)した後、反応液に濃塩酸(14.7mL、146mmol)を加え、混合物を10時間、加熱還流した。反応液を冷却し、濾過し、イソプロパノール、蒸留水、及びイソプロパノールで順に洗浄し、乾燥して白色結晶の表題化合物(5)を9.4g得た。
トータル収率:93.1%
HPLC純度:98.6%
【0029】
実施例2
7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸の製造[テトラブチルアンモニウムヒドロキシドと水酸化ナトリウムの使用]
3−(2,6−ジクロロ−5−フルオロピリジン−3−イル)−3−オキソ−プロパン酸エチルエステル(化合物(1):10.0g、35.7mmol)とトルエン(70mL)を混合して実施例1と同じ方法によって化合物(3)を製造した。化合物(3)の分離されたトルエン液に蒸留水(10mL)を添加した後、40% テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(2.32g、3.57mmol)と10N 水酸化ナトリウム(3.93mL、39.3mmol)を加えて反応液を環化させた。1時間30分後、反応液に濃塩酸(16.7mL)を加え、混合物を8時間、加熱還流して加水分解した。反応液を冷却し、生成固体を濾過し、実施例1と同じ方法で洗浄し、乾燥して表題化合物(5)を白色結晶として9.3g得た。
トータル収率:92.1%
HPLC純度:99.9%
【0030】
実施例3
7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸の製造
3−(2,6−ジクロロ−5−フルオロピリジン−3−イル)−3−オキソ−プロパン酸エチルエステル(化合物(1):85.0kg、303mol)とトルエン(808kg)を混合し、ここにMeNCH(OMe)(40.8kg)及び酢酸(4.56kg)を加えた。混合物を常温で50分間攪拌した。反応液にシクロプロピルアミン(22.53kg)を加え、混合物を25〜35℃で50分間攪拌した。反応液を10% クエン酸水溶液で洗浄した後、水洗した。層分離後、水層を捨て、分離された有機層にテトラブチルアンモニウムブロミド(4.88kg)と25% 水酸化ナトリウム水溶液(53kg)を加えた。反応液を2時間、攪拌した。35% 塩酸水溶液(142kg)を加え、反応液を加熱還流した。約8時間後、反応液を冷却し、水(約50kg)を加えた後、水層を分離して除去した。反応液を水で洗浄し、分離された有機層に存在する固体化合物を濾過し、イソプロパノール、水、及びイソプロパノールの順で洗浄した。得られた固体を真空乾燥して表題化合物を77kgの白色結晶として得た。
トータル収率:90%
HPLC純度:99.9%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間体を分離することなく、単一溶媒系を用いてワンポット操作により下記のa)〜d)工程を行うことを特徴とする、1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸誘導体の製造方法:
第1工程a)下記式(1)の化合物を、
【化1】

溶媒中で酸触媒存在下に式MeNCH(OR)(ここで、Rは炭素数1〜9の直鎖、分枝状または環状アルキルを示すか、または、ベンジルを示す)のジメチルホルムアミドジアルキルアセタールと反応させて下記式(2)の化合物を得る工程;
【化2】

第2工程b)上記式(2)の生成反応混合物を式YNHのアミンと反応させて下記式(3)の化合物を得る工程;
【化3】

(式中、Yはハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜5の直鎖、分枝状または環状アルキルを示すか、またはハロゲンにより置換されていてもよいフェニルを示す)

第3工程c)上記式(3)の生成化合物を第4級アンモニウム塩及び任意に塩基の存在下に環化反応させて下記式(4)の1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸エステルを得る工程;
【化4】

(式中、Yは上記と同義である)、及び

第4工程d)上記式(4)の生成化合物を酸の存在下に加水分解させて下記式(5)の1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸誘導体を得る工程。
【化5】

(式中、Yは上記と同義である)
【請求項2】
Rがメチルである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶媒がトルエンである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式、MeNCH(OR)のジメチルホルムアミドジアルキルアセタールを式(1)の化合物に対して1.05〜1.15モル当量で使用する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程a)で、酸触媒として酢酸を式(1)の化合物に対して0.2〜0.3モル当量使用する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
式YNHのアミンがシクロプロピルアミンである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
式YNHのアミンを式(1)の化合物に対して1.1〜1.2モル当量使用する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程b)後の反応液をクエン酸水溶液で洗浄する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程c)の反応で、塩基としてテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を使用する請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程d)で、濃塩酸水溶液を使用して還流下に加熱する請求項1に記載の方法。

【公開番号】特開2010−280698(P2010−280698A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176505(P2010−176505)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【分割の表示】特願2006−536455(P2006−536455)の分割
【原出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(502345599)エルジー・ライフ・サイエンシーズ・リミテッド (27)
【氏名又は名称原語表記】LG Life Sciences Ltd.
【Fターム(参考)】