説明

B細胞悪性疾患を処置するための組成物および方法

本発明は、B細胞に細胞傷害性薬剤を送達する標的多層薬物送達システムを提供する。具体的には、本発明は、標的多層薬物送達システムであって、a)複数のウイルスタンパク質の自己集合により作られたナノケージを含む第1層と、b)複数のアニオン性またはカチオン性の脂質の自己集合により作られた脂質二重層を含む第2層と、c)前記脂質二重層内に固定されたB細胞標的部分と、d)前記ナノケージ内に封入された少なくとも1つの細胞傷害性薬剤と、を含むシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、癌および自己免疫疾患を処置する組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
リンパ球系癌、リンパ腫および特定の白血病を処置する新たな方法の開発について研究が数年にわたり行われてきたにも関わらず、事態は全く進展していない。例えば、米国では、56,000件を超える非ホジキン・リンパ腫(NHL:non−Hodgkin’s Lymphoma)の症例を含む、毎年63,000人を超える人々がリンパ腫と診断されている。さらに、米国では毎年、慢性リンパ球性白血病(CLL:chronic lymphocytic leukemia)と診断された症例が約10,000件および急性リンパ球性白血病(ALL:acute lymphocytic leukemia)と診断された症例が約4,000件報告されている。1群としてのNHL、CLL、およびALL症例の約85%は、Bリンパ球から導かれる。リンパ腫患者の生存率が低いレベルに留まっているので、これらの疾患により発症した患者の予後はよくないことが多く、これらの疾患を処置する新しい方法が必要である。
【0003】
リンパ腫の従来の処置は、通常、リンパ腫の型、ならびに患者の病歴に左右されるが、多くのリンパ腫に対する第1の処置は、通常、化学療法を含む。この種の化学療法は、化合物、例えば、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスティン、およびプレドニゾンを含むCHOP製剤の「カクテル」の投与を必要とすることが多くなるであろう。さらに、特定の第1選択の癌処置には、放射線療法または抗体療法など他の形の癌療法もある。多くの場合、患者はこの種の第1選択の処置に最初は反応するが、その後再発、すなわち、腫瘍が再発するか、増殖を再開する。そのような1つの再発後、患者は、別の化学療法、例えば、CHOPまたは他の製剤で処置され、あるいは一部の症例では、患者は、骨髄移植など他の方法で処置されることもある。
【0004】
抗体療法は、リンパ細胞が、特定の型のリンパ細胞に限定される細胞表面マーカーを発現する事実を巧みに利用する。例えば、B細胞誘導リンパ腫および白血病の処置に最も多用される抗体は、CD20に特異的に結合するリツキサン(Rituxan)で、これはその発現がBリンパ球に限定される。リツキサンは、裸の抗体として使われ、正常および癌性のB細胞を両方とも効果的に激減させる。リツキサンは、再発性または難治性、低グレードまたは濾胞性、CD20陽性、B細胞非ホジキン・リンパ腫(NHL)の患者の処置に対して承認され、そのシナリオでは、リツキサンは、約50%の反応率、および無増悪生存率として規定された約1年の反応期間中央値を示した。リツキサンは、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスティン、およびプレドニゾン)または他のアントラサイクリンをベースとする化学療法計画と併用すると、びまん性大細胞型B細胞、CD20陽性、非ホジキン・リンパ腫(DLBCL−NHLの1つの型)の第1選択処置としても承認されている。このシナリオでは、リツキサンの添加は、化学療法単独の場合の無増悪生存率を約1.5年延長する。多重作用機構は、抗体依存性細胞傷害および補体依存性細胞傷害を含む、リツキサンの細胞傷害効果に寄与すると考えられる。細胞表面上のCD20の長い滞留時間および抗体結合後の内部移行に対するCD20の抵抗が、癌細胞上のCD20の自然免疫機能に焦点を当てるリツキサンの能力に寄与する。
【0005】
リツキサンの成功により、CD20に焦点を当てる多数の薬物開発プログラムが促進された。CD20、ゼバリン(Zevalin)およびベキサール(Bexxar)に対して特異的な2つの放射性標識付きの抗体が、すでに市販されている。数社が、臨床開発段階にある新しいCD20特異性抗体を所有している。CD20を標的とする抗体模倣物も、種々の開発段階にある。将来のCD20特異性生物薬剤は、リツキサンを用いた場合よりも反応速度および反応継続期間がさらに改善されるであろうが、CD20を標的にした療法に全く反応しない患者または再発後種類の異なる薬剤を必要とする患者がなおも多数いることは、ほぼ確実である。
【0006】
CD22は、Bリンパ球に対して発現を限定された別の表面分子である。CD22は、B細胞悪性腫瘍の60〜80%において発現される。裸の抗体および放射性標識付きの抗体は、単剤療法として、あるいは化学療法剤またはリツキサンと併用して、NHLの処置において有望な結果を示した。さらに、CD20とは異なり、CD22は、抗体結合後容易に内部移行する事から、標的細胞の内部で一旦放出される毒性部分に接合する免疫毒素、抗体を開発する方法が開かれた。免疫毒素はしばしば非常に強力であるが、該毒素は死亡を含む望ましくない殺傷性を頻繁に生じる。免疫毒素の場合に見られた殺傷性は、大部分、該毒素の細胞外放出から導かれるものと考えられる。
【0007】
マントル細胞リンパ腫は、侵襲性非ホジキン・リンパ腫の1例である。マントル細胞リンパ腫は、リンパ節、脾臓、骨髄、血液、および時には消化器系(リンパ腫様ポリーブ症)に存在している。マントル細胞リンパ腫は、一般に、CD5陽性・濾胞マントルB細胞、染色体11番および14番の転座、およびサイクリンD1タンパク質の過剰発現により特徴づけられる。低グレードリンパ腫のように、マントル細胞リンパ腫は、アントラサイクリンをベースにした化学療法の場合治療不能に思われ、一般に、無症候性進行期疾患の比較的高齢の患者で起きる。しかし、平均生存期間は、他のリンパ腫よりかなり短く(3〜5年)、したがって、この組織診断は、現在、侵襲性リンパ腫であると考えられている。
【0008】
特にBリンパ腫を標的とする薬剤は、自己免疫疾患を処置する場合の治療薬の候補でもある。最も目立つことは、リツキサンは、関節リウマチの処置に対して承認されていることである。追加の抗CD20抗体および抗体模倣物、ならびにCD22を標的とする生物製剤は、関節リウマチならびに他の自己免疫疾患を処置する場合に効果があるようである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、B細胞悪性腫瘍および自己免疫疾患を処置する新規な治療方法を提供する。B細胞悪性腫瘍は、例えば、B細胞リンパ腫または白血病である。自己免疫疾患は、例えば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、1型糖尿病、クローン病または潰瘍性大腸炎である。薬物送達システムは、細胞外環境では安定であるが、細胞内では急速に崩壊し、該細胞を撲滅しうる細胞傷害性薬剤を放出する。薬物送達システムは、撲滅されるべき特定の細胞型を選択的に標的にしうる標的部分を含む。
【0010】
薬物送達システムは、多層システムである。第1層は、複数のウイルスタンパク質を自己集合して作られるナノケージである。該ウイルスタンパク質は、B型肝炎ウイルスコアタンパク質またはその変異体である。自己集合する間に上記第1層が細胞傷害性薬剤を封入する。該細胞傷害性薬剤は、毒素、化学療法剤または放射性化学物質である。ナノケージを囲む第2層は、脂質類、例えば、カチオン性またはアニオン性の脂質からなる脂質二重層である。B細胞標的部分は、該脂質二重層に固定されている。B細胞標的部分は、抗CD22抗体、抗CD20抗体、抗CD19抗体、抗免疫グロブリン抗体、抗FcR−H1抗体、抗CD80抗体、抗CD52抗体、あるいはこれらの断片または模倣物である。例えば、B細胞標的部分は、マイクロタンパク質である。さらに、B細胞標的部分は、前述のいずれかの組み合わせでよい。
【0011】
被験者、例えば、ヒトなどの哺乳類に、本発明による薬物送達システムを投与することにより、B細胞悪性腫瘍または自己免疫疾患の徴候または症状を処置または緩和する方法も、本発明に含まれる。
【0012】
特に明記しない限り、本明細書で使われるすべての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が普通に理解する意味と同じ意味を有する。方法および物質は、本明細書で説明した方法および物質と類似または同一であるが、適切な方法および物質は以下に説明する。すべての刊行物、特許出願、特許、および他の引用文献は、引用により全体が本明細書に組み込まれている。もし矛盾している場合は、定義を含む本明細書が優先されるであろう。さらに、物質、方法、および実施例は例示しただけであり、限定する意図はない。
【0013】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明は、B細胞悪性腫瘍、例えば、B細胞リンパ腫、白血病および自己免疫疾患を処置するために標的ナノ粒子薬物送達システムを提供する。標的ナノ粒子薬物送達システムは、B型肝炎からのウイルスカプシドタンパク質(Cタンパク質)、脂質、細胞傷害性薬剤および標的部分を含む4つの成分から組み立てられる。
【0015】
リンパ腫は、B細胞が発症する方法により分類される。B細胞リンパ腫には、例えば、濾胞性リンパ腫、小非分割細胞リンパ腫(例えば、エンデミック・バーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫および非バーキットリンパ腫)、辺縁帯リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ系組織MALT/MALToma(節外性、単球様B細胞リンパ腫(節の)および有毛リンパ球を有する脾リンパ腫)、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫(例えば、びまん性大細胞、びまん性混合細胞、免疫芽球性リンパ腫継隔原発B細胞リンパ腫および血管中心性リンパ腫−肺B細胞)、および小リンパ球性リンパ腫がある。
【0016】
B細胞白血病には、例えば、小リンパ球性/B細胞慢性リンパ球性白血病(SLL/B−CLL ALL−L3(バーキット型白血病)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、および急性リンパ芽球白血病がある。
【0017】
自己免疫疾患には、B細胞の活性または増殖の排除または激減または抑制が治療上有益であるあらゆる自己免疫疾患が含まれる。この種の自己免疫疾患は、特に、T細胞およびB細胞が媒介する自己免疫疾患を含むであろう。この種の疾患の例には、自己免疫性、炎症性、増殖性および過剰増殖性疾患、および免疫学的に媒介した疾患(例えば、関節リウマチ、エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、1型糖尿病、ブドウ膜炎、ネフローゼ症候群、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、および湿疹様皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、ペムプラガス(pemplugus)、水疱性天疱瘡、表皮水疱症、じんましん、血管性浮腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、または円形脱毛症)の皮膚症状の処置または予防、可逆的閉塞性気道疾患、腸炎およびアレルギー(例えば、炎症性胆汁疾患、セリアック病、直腸炎、好酸球増加胃腸炎、マスト細胞増多症、クローン病および潰瘍性大腸炎)、食物関連アレルギー(例えば、片頭痛、鼻炎および湿疹)および他の型のアレルギーの処置がある。
【0018】
標的部分は、B細胞特異性標的部分である。該標的部分は、正常なB細胞(すなわち、非癌性)または形質転換B細胞(すなわち、癌性)を選択的に標的とする。例えば、B細胞特異性標的部分は、B細胞表面マーカー、B細胞抗原またはFc受容体ファミリーの特定のメンバーに結合する化合物である。代表的なB細胞表面マーカーには、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD52、CD53、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CDw78、CD79a、CD79b、CD80、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85およびCD86、白血球表面マーカーがある。好ましいB細胞表面マーカーは、哺乳類の他の非B細胞組織に比べてB細胞で選択的に発現され、前駆体B細胞および成熟B細胞の両方で発現されるかもしれない。最も好ましいB細胞表面マーカーは、CD22である。CD22は、”BL−CAM”および”LybB”としても知られており、B細胞シグナル伝達および細胞間接着に関与している。
【0019】
B細胞特異性標的部分は、これらの部分の抗体または断片である。本明細書で使われる用語「抗体」は、免疫グロブリン(Ig)分子、すなわち、抗原と特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子の免疫学的に活性な部分または免疫グロブリン分子を意味している。この種の抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、CDR移植抗体、キメラ抗体、単一鎖Fv抗体、ナノボディ抗体、ドメイン抗体(dAbs)、Fab断片、Fab’断片およびF(ab’)2断片があるが、これらに限定されない。
【0020】
一方、B細胞特異性標的部分は、非天然リガンド、例えば、抗体模倣物である。B細胞特異性模倣物は、抗体と類似した親和性および特異性を有する表面マーカーまたは抗原と結合しうる。模倣物には、例えば、リポカリン、β−プリーツシート、Aドメインなどの天然のタンパク質の骨組みから導かれたポリペプチドがある。マイクロタンパク質は、小さなシスティンに富むドメインの突然変異生成により導かれ、該ドメインは、多くのタンパク質、特に、ヘビ、サソリ、クモ、カタツムリおよびアネモネを含む種々の有害な種からの毒素中に自然に存在する。マイクロタンパク質は、通常、小さく(35〜55個のアミノ酸)、システィンに富み(アミノ酸組成全体の少なくとも15%をシスティンが占める)、非免疫原性である。マイクロタンパク質は、循環血液中の免疫グロブリンまたは血清アルブミンに結合するペプチド類の添加により、抗体に類似した長い循環半減期を有するように作ることもできる。したがって、マイクロタンパク質は、特定の標的に対して、抗体の多くの利点を提供するが、該タンパク質のサイズが小さいために製造コストの面でも有利である。小分子には、ペプチド類、ペプチド模倣物(例えば、ペプトイド類)、アミノ酸、アミノ酸類似体、ポリヌクレオチド類、ポリヌクレオチド類似体、ヌクレオチド類、ヌクレオチド類似体、約5,000グラム/モル未満の分子量を有する有機または無機の化合物(ヘテロ有機および有機金属化合物を含む)、約2,000グラム/モル未満の分子量を有する有機または無機の化合物、約1,000グラム/モル未満の分子量を有する有機または無機の化合物、約500グラム/モル未満の分子量を有する有機または無機の化合物、ならびにこの種の化合物の塩類、エステル類、および薬学的に許容できる形態があるが、これらに限定されない。
【0021】
細胞傷害性薬剤は、細胞を殺滅することができる薬剤である。細胞傷害性薬剤は、例えば、化学療法剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、または動物に由来する酵素活性毒素またはこれらの断片)、放射性同位元素(例えば、放射性移植片)、または細胞が生存するのに必須のタンパク質の合成を抑制するアンチセンスまたはiRNAの分子である。化学療法剤には、例えば、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスティン、プレドニゾン、ブスルファン、シスプラチン、メトトレキサート、ダウノルビシン、メルファラン、クラドリビン、ビンブラスチン、アウリスタチン、ブレオマイシン、カリケアマイシン、およびクロラムブシルがある。使用することができる、酵素により活性のある毒素およびそれらの断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、エキソトキシンA鎖(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデッシンA鎖、アルファ−サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアントイン・タンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、ゴーヤー(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセン(tricothecene)がある。放射性移植片の製造に、種々の放射性核種が利用できる。該各種の例には、212Bi、131I、131In、90Y、および186Reがある。RNAの分解を促進するか、または翻訳を抑制することによりタンパク質を阻害するRNA分子には、アンチセンスRNA、siRNA、および二重鎖RNA(dsRNA)がある。
【0022】
ナノケージ
薬剤または治療化合物を囲むナノケージは、B型肝炎ウイルス(HBV:Hepatitis B Virus)コアタンパク質(Cタンパク質)(配列番号1)から作られ、HBV Cタンパク質は、自然に自己集合して該ウイルスのタンパク質カプシドを形成し、組立てた時にカプシドの内側にぶら下がるC端末側終端において正に荷電したアミノ酸の濃度が高い、サイズは183個のアミノ酸を有するタンパク質である。この懸垂尾部は、任意の特徴を有する分子と特異的に相互作用するように多くの方法で作ることができる。例えば、該たんぱく質の自然状態は、DNAまたはRNAなどの負に荷電した分子と相互作用することができるこの終端において正荷電のクラスターを有する。一方、Cタンパク質は、C端末側尾部が、正に荷電した分子と相互作用することができる負荷電のクラスター(AspまたはGlu残基)を有するように、作ることができる。さらに、Cタンパク質は、毒素または毒素前駆体と融合タンパク質を形成するように作ることができる。
【0023】
配列番号1:肝炎コアPntigen:タンパク質配列1〜183:
【化1】

【0024】
HBVコアタンパク質を組立てて20面体準ウイルスカプシドを形成する。全長コアタンパク質は、直径36nmの(T=4)粒子を形成する(Crowther RA et al.,Three−dimensional structure of hepatitis B virus core particles determined by electron cryomicroscopy,Cell 77:943−50,1994)。この粒子内で、コアタンパク質の最後の40個のアミノ酸は、該ウイルスのゲノムDNAと相互作用すると考えられている。この推定DNA結合領域を欠いているコアタンパク質コンストラクトは、20面体カプシドも形成するが、三角番号は3(T=3)である。これら2つの型のカプシドにおけるコアタンパク質モノマー間の相互作用は、類似していると考えられる。
【0025】
HBVカプシドでは、Cタンパク質モノマーは、「スパイク」を介してしっかりと結びつけるダイマーを形成する。該スパイクは、中央の4個のアルファらせん状の束であり(Bottcher B et al.,Determination of the fold of the core protein of hepatitis B virus by electron cryomicroscopy,Nature 386:88−91,1997)2倍対称軸を有する。20面体準ウイルス粒子は、ラフな頭尾型相互作用における5倍軸および6倍軸の周りに組み立てられた120個のCタンパク質ダイマーからなる。成熟ウイルスでは、120個のダイマーからなる中央スパイクの頂点は、該粒子表面に近接して配向し、該表面は血漿膜外被により被覆される。
【0026】
HBV Cタンパク質の変異は、ナノ粒子に特異な機能特性を付与するために導入される。例えば、HBV Cタンパク質は、ダイマーのスパイク領域またはダイマー間の界面において変異される。スパイク内の変異は、血漿膜による包み込みを促進するためにカプシドの表面において官能基を導入するために使われる。さらに、「プロテアーゼ承認ループ」が、該ループが血流に一旦到達するとカプシド全体の分解を促進するためにスパイク内に作られる。界面における変異は、分解する前のカプシドの寿命を「調節」するためにカプシドを安定化するであろう。
【0027】
官能基を取り付けるために、アミノ酸であるシスティンかリジンが、血漿膜外被に向かってカプシド表面から離れて突き出るように、該スパイクの頂点に置かれるであろう。後に官能基化されるであろうこれらのアミノ酸の導入について3つの位置(77,グルタミン酸〜システィン、78,アスパラギン酸〜システィン、80,アラニン〜システィン)が確認された。各位置におけるリジンまたはシスティンの選択は、HBVカプシドの結晶構造から判断した(Wynne SA et.al.,The crystal structure of the human hepatitis B virus caspid,Molecular Cell 3:771−80,1999)各アミノ酸の幾何学的方向性に左右される。4らせんの束の2倍対称性の場合、各単一位置において1つの反応性アミノ酸を導入すると、スパイクにつき全部で2つのバイオ接合(bioconjugated)分子が得られるであろう。
【0028】
モノマー間の界面において、システィン対は、これらが該構築を促進し、強化するように導入されるであろう。第1システィン(例えば、アミノ酸23)は、隣接分子内の第2の位置(この場合アミノ酸132)とジサルファイド結合するために第1の位置に導入される。同様に、第2の位置は、ジサルファイド結合にも関与し、該ダイマーが4つのジサルファイド橋および全部で180の安定化共有結合相互作用に関与することができるようになるであろう。4種類の型のジサルファイド結合(表1)は、該構築を安定化させるこれらの型の有効性に従って組み合わせられ、該構築の望ましい強度が作られるであろう。
【0029】
表1:二重システィン変異体
【表1】

【0030】
HBV誘導粒子が一旦細胞内に移動すると、該粒子が、携帯している薬剤を放出することができるように、該粒子をその成分モノマー内に溶解させる必要がある。このプロセスを促進するために、モノマーのスパイク形成領域は、リソソーム・プロテアーゼ認識配列を含むように作る。該プロテアーゼは、このループを認識し、切り開き、分解を促進する。最も普通のリソソーム・プロテアーゼは、カテプシン、アスパラギン酸プロテアーゼ、および亜鉛プロテアーゼである。
【0031】
組換えCタンパク質は、普通の分子生物学および生化学の技法を用いて発現および精製される。発現プラスミド内のCタンパク質遺伝子は、供給メーカーから入手できる。溶液内の発現Cタンパク質はダイマーを形成し、ダイマーは、特定の塩橋、疎水性相互作用、共有結合分子間および分子内のジサルファイド結合により自然に安定化される。分子内結合は、Cタンパク質安定性が望ましいレベルに調節できるように作られるであろう。さらに、分子間ジサルファイド結合は、ケージの安定性を調節するように作られるであろう。カプシドの形成に役立つダイマー間の特定の塩橋は、ジサルファイド結合がカプシド構造を形成し、安定化するのに役立つことができるように、システィンに変異させることができる。Cタンパク質のすべての改変は、カプシドの結晶構造の広範な分析および構造データから導かれた電子密度マップについてなされたエネルギー最小化モデルに基づいている。
【0032】
また、Cタンパク質は、ヒンジおよびループの領域におけるプロテアーゼ認識部位を含むように作られるであろう。Cタンパク質の免疫優勢スパイクは、46個までの残基の挿入に適応することができ、なおもカプシドを形成することができる。カテプシン、アスパラギン酸プロテアーゼ、または亜鉛プロテアーゼの認識部位は、スパイク内に挿入されるであろう。これらの認識部位は、持続放出方法が毒素を細胞内環境に放出し、システム全体が崩壊し始めた後、ビルディングブロックが迅速に分解する追加の利益がある。ナノケージが細胞に入るまでナノケージを無傷に保持すると、血流中の「裸の」Cタンパク質の存在に対する免疫反応の可能性を最小限に抑制するであろう。
【0033】
一方、Cタンパク質は、C端末尾部が最適なタンパク質治療薬で置換されるように、遺伝子的に変化される。これは、Cタンパク質および治療タンパク質(融合タンパク質)からなるキメラ・ビルディングブロックを作るように遺伝子レベルで作られるであろう。治療タンパク質は、特定のプロテアーゼ認識部位をコードするアミノ酸の束縛によりCタンパク質に連結される。これが、該ケージが崩壊開始後、タンパク質治療薬が遊離することを可能にするであろう。タンパク質治療薬を特異的に取り付ける別の選択肢は、システィン残基をCタンパク質尾部内に変異させることである。適合システィン残基は、最適なタンパク質治療薬に接して置かれるであろう。これが、Cタンパク質とタンパク質治療薬との間にジサルファイド結合を作ることになる。
【0034】
カプシドの外側のスパイクを形成するタンパク質の領域において、システィン残基は、改変B型肝炎ウイルスSタンパク質が共有結合することができるように、作られるであろう。Sタンパク質は、その上、Cタンパク質の間にジサルファイド橋の形成を補完するためにシスティンを有するように改変されるであろう。Sタンパク質により、脂質二重層が形成される。
【0035】
また、1つの選択肢として、Sタンパク質を用いる代わりに、類似の特徴を有する小さなペプチドが、該ケージを包み込むために使われることがある。Sタンパク質を置換する配列は、該ケージとジサルファイド橋を形成するためにシスティンで終わる柔軟な領域を有するであろう。該ペプチドの他の終端は、主として、疎水性残基から構成されるであろう。この種のペプチドの1実施例は、下の配列番号4にある。このペプチドの疎水性領域は、疎水性脂質二重層領域と結合し、したがって、ケージの周りに堅固な小胞を形成させるように作用する。次いで、これらのペプチド類は、ケージおよびCタンパク質へのジサルファイド結合の形成後、反応混合物に添加される。
【0036】
配列番号4:HBV Sタンパク質代替ペプチド:
【化2】

【0037】
上で説明したSタンパク質または同等のペプチド類を使用する代わりに、リン脂質をCタンパク質のコアに直接連結することができる。コアタンパク質のスパイク領域の頂点において、上のように、システィン残基が変異されるであろう。この部位では、改変ホスファチジルセリンなどの脂肪酸を、共有結合することができる。これらの脂肪酸類は、他のリン脂質およびコレステロールがナノケージの周りに二層を形成するガイドとして、作用することができる。これにより、前述の膜透過処理ペプチドまたはSタンパク質の必要性がなくなる。また、これらの共有結合したリン脂質のスパイク領域(免疫優勢スパイクとしても知られている)への添加により、免疫反応はかなり抑制されるものと期待される。
【0038】
ナノケージおよび薬剤捕捉の構築
穏やかに緩衝された溶液内のコアタンパク質は、最適な治療化合物(例えば、細胞傷害性薬剤または薬物)に導入される。治療分子、すなわち、Cタンパク質錯体は、分子拡散およびクーロン引力に関する一般物理学により決められた丁度数秒で形成される。カプシドの自己集合反応を開始するために、次いで、NaClを最終濃度が0.6Mになるまで添加して、溶液のイオン強度を上げる。反応物を1時間培養後、十分に形成されたカプシドの存在は、標準生化学分析により確認される。次に、ケージは、再処理されたSタンパク質または上で説明した処理ペプチドと混合する。これらの添加物は、各ビルディングブロックのスパイクにおいてケージの表面で相補的システィンに共有結合する。
【0039】
官能基化されたリン脂質のタンパク質へのバイオ接合
リン脂質は、タンパク質マトリックス内に組み込むことができ、その内最も安定なマトリックスは、タンパク質内で特定のアミノ酸の側鎖に存在する官能基へ共有結合しているリン脂質を含む。提示された2つの類似のプロトコルでは、ヘテロ2官能性架橋分子が、広いテンプレートを提供するために使われ、距離拘束、溶媒相互作用、アミノ酸残基官能基とリン脂質の組み合わせ、および合成の単純さを最適化することを目標にして、異なるアミノ酸について見出された多くの異なる官能基を、テンプレートに対して利用することができる。
【0040】
スルフヒドリル官能基は、コアタンパク質内で特異的に処理されるであろう。これらの官能基により、リン脂質分子は、固定され、該分子を包み込むプロセスに導き、リポソームを形成するであろう。
【0041】
ヘテロ2官能性架橋分子の使用により、それが必要なステップであるならば、同じリン脂質前駆体を用いながら、コアタンパク質マトリックスに沿った適切なアンカーポイントにおいて異なる官能基を処理することができるようになる。例えば、スルフヒドリル官能基は、コアケージを安定化するコアタンパク質間の分子間相互作用の安定化にも含まれることになる。リン脂質を固定するために同じ官能基を利用すると、化学処理されたスルフヒドリル官能基の特定の相互作用を防止し、分子間結合を形成し、したがって、コアタンパク質シェルの安定性に対して負の影響があり、次いで、ヒドロキシル基およびアミン基など他の官能基は、リン脂質のしっかりした固定が特異的にデザインされる位置においてタンパク質内で化学処理することができる。これは、単に、単一位置におけるコアタンパク質の再処理、および代わりの市販されているヘテロ2官能性架橋分子の使用を必要とするだけである。
【0042】
脂質二重層外被および包み込まれたナノケージの調製
外被は、カチオン性またはアニオン性の脂質二重層である。種々の比率の脂質(主としてリン脂質)とコレステロールとの均一な混合物は、クロロホルムとメタノール(容積で2:1)との溶液に乾燥成分を添加することにより作られる。例えば、100mgのホスファチジル・コリン、40mgのコレステロール、および10mgのホスファチジル・グリセロールを、5mLのクロロホルムメタノール溶液に添加する。この混合物を適度に撹拌し、全成分を完全に混合する。次に有機溶媒を除去するために、該混合物を乾燥する。この乾燥混合物を、次に、数mLの水溶液(緩衝用水)に入れ、超音波により機械的に分散させる。この溶液を、捕獲された治療化合物を含む十分に構築されたナノケージの懸濁液に迅速に添加する。該ナノケージは、すでに、包み込みを高めているペプチド(化学処理した、またはタンパク質−S)またはリン脂質を用いて共有結合により改変されている。適度に混合しながら短時間培養後、包まれたケージは、単純な遠心分離およびサイズ排除クロマトグラフィを用いて、分離・精製される。
【0043】
外被の改変
任意に、官能基は、該送達システムの外被に添加される。官能基(例えば、B細胞標的部分、コレステロール部分、伝達ドメイン)は、送達システムが特異的に標的にされ、細胞型、例えば、B細胞に送達される細胞壁を透過および/または免疫システムを回避することを可能にする。伝達ドメインには、転写(TAT)ペプチドまたはポリアルギニンのヒト免疫不全ウイルス(HIV:Human Immunodeficiency Virus)活性化因子がある。伝達ドメインを脂質二重層を固定するために、これらのドメインにはコレステロールでタグを付ける。伝達ドメインは、B細胞標的部分が容易に内部移行しない細胞表面分子、例えば、CD20を標的にする場合、細胞内参入を可能にする場合に特に有効になるかもしれない。
【0044】
使用方法
本発明による薬物送達システムを含む組成物と、細胞が接触することにより、細胞の増殖が抑制されるか、または細胞死が誘起される。該細胞は、インビボ、イクスビボまたはインビトロで接触する。細胞は、さらに、1つ以上の追加細胞殺傷性薬剤と接触する。適切な細胞傷害性薬剤は、当該分野で既知であり、本明細書で説明した薬剤を含む。細胞増殖の抑制は、低速の細胞増殖または該組成物にさらされていない細胞に比べて生存率が低いことを意味している。細胞増殖は、MTT細胞増殖アッセイなどの当該技術分野で周知の方法により測定する。該細胞はB細胞またはCD22を発現する細胞である。該細胞は、白血病またはリンパ腫などの腫瘍細胞である。
【0045】
腫瘍、例えば、リンパ腫または白血病または自己免疫疾患を有する患者は、本発明の薬物送達システムを投与することにより処置される。該薬物送達システムは、癌または自己免疫疾患を処置する主要な方法として、ならびに免疫療法、化学療法および放射線療法などの周知の処置方法を強化する場合に有効である。
【0046】
本明細書で使われる用語「処置している」および「処置」は、症状の重篤さおよび/または頻度の低下、症状および/または根底にある原因の排除、症状の発生および/またはこれらの根底にある原因の予防(例えば、予防的治療)、および損傷の改善または修正を意味している。処置により被験者の腫瘍のサイズ、有病率または転移能の低下などの臨床上の効果が得られれば、その処置は有効である。処置が予防的に適用される場合は、「有効」は、処置が、腫瘍の形成を遅延または予防するか、あるいは腫瘍または自己免疫疾患の臨床症状を予防または緩和していることを意味している。有効性は、特定の腫瘍型を診断または処置する既知の方法と関連して決められる。
【0047】
本発明の化合物の用語「有効量」および「治療上の有効量」は、毒性はなく、所望の効果を挙げるのに十分な量の薬剤を意味している。
【0048】
「患者」は、処置を行うのが望ましい動物を意味している。患者は哺乳類でよく、本明細書では、通常、患者はヒト個人である。
【0049】
患者は、特定の腫瘍型または自己免疫疾患の標準的方法により識別される。リンパ腫は、例えば、生検、血液テスト、CATまたはPETスキャン、MRIまたは免疫組織化学により診断される。白血病は、例えば、骨髄生検、血液テストまたは腰椎穿刺により診断される。自己免疫疾患は、一般に、抗核抗体の存在により診断される。
【0050】
薬物送達システムは、薬学的に許容できる担体中で処方される。「薬学的に許容できる」は、生物学的にではなく、またはさもなければ望ましくない物質、すなわち、望ましくない生物学的作用を生じることなく、またはそれが含まれる組成物の他の成分と有害な方法で相互作用することなく、患者に投与される医薬組成物に組み込まれてよい物質を意味している。用語「薬学的に許容できる」が薬学的な担体または賦形剤に関して使われる場合は、担体または賦形剤が毒物学的テストおよび製造テストの必要な基準に合致するか、またはそれが米国の食品医薬品局により制作されたInactive Ingredient Guideに含まれていることを意味している。
【0051】
この薬物送達システムは、直接患者に投与するか、または該システムが適切な担体、賦形剤および/または本明細書で説明した他の添加剤と混合される医薬組成物として投与することもできる。薬物送達システムは、1つ以上の追加の活性成分と併用して投与することもでき、その場合これらは異なる剤形として別々に投与してもよいし、あるいは1つの剤形としてまたは2つの異なる剤形として、同時に投与してもよい。併用療法は、薬物送達システムおよび追加の活性剤(単数または複数)が患者において相乗効果を示す時に特に望ましい。「相乗」は、複数の活性剤を併用投与した場合の治療効果が、単独で投与した場合、活性剤の治療効果を単純に合計した場合よりも大きい事例を説明している。このような相乗効果は、本明細書で開示した組成物などの製剤組成物をテストする既知の方法を用いて容易に決められる。とくに興味のある併用療法は、普通の化学療法、放射線療法、免疫療法または骨髄移植と併せた薬物送達システムの投与を含む。
【0052】
本明細書で説明した組成物の毒性および治療効果は、細胞培養または実験動物における標準製剤手順、例えば、最大耐量用量(MTD:maximum tolerated dose)、最大反応の50%を達成する有効用量であるED50、およびMTDとED50との比である治療指数(TI:therapeutic index)を決める場合に用いた手順により決めることができる。明らかに、TIの高い組成物は、本明細書の最も好ましい組成物であり、好ましい投与計画は、所望の治療効果を維持する最低濃度以上において、該組成物から薬物送達システムおよび/または追加の活性剤の血漿レベルを維持する投与計画である。もちろん、用量は、該組成物の所望の効果、存在する特定の活性剤、意図した送達部位、投与ルート、および処方医には周知の他の関連要因を含む多数の要因にも依存する。しかし、一般に、用量は、約0.1μg/kg/日〜100mg/kg/日の範囲、より典型的には、約1.0mg/kg/日〜10mg/kg/日の範囲にある。
【0053】
本明細書で説明した組成物の投与は、薬物送達システムの投与、ならびに薬学的に活性な他の組成物の投与の複数の事例を含む治療計画の一部として行われてよい。この種の計画は、本明細書で説明した疾患または状態を処置する方法として、および/または本明細書で説明した疾患または状態に対して処置された後の患者の健康を長期にわたり維持する方法(例えば、再発防止)としてデザインすることができる。
【0054】
本明細書で説明した組成物の投与は、適切な投与モードおよび剤形を用いて行われる。したがって、投与は、例えば、経口、眼内、非経口、経皮的、経粘膜的、舌下の各投与、吸入により、または剤形内にインプラントされた容器を介して行われる。本明細書で使われる用語「非経口」は、例えば、皮下、静脈、および筋肉内への注入を含むものとする。本明細書で使われる用語「経粘膜」は、例えば、直腸、膣、口腔、舌下、および陰茎からの投与を含むものとする。本明細書で使われる用語「吸入」は、鼻または口からの吸入を含み、および肺、ならびに、例えば、口、鼻、および喉の粘膜において組成物の吸収が起きる事例を含むものとする。インプラントを介した投与は、体腔内(例えば、腹腔内インプラント、眼球内インプラント、関節内インプラント、など)、臓器内、皮下を含む、体内のどこかに貼り付けたか、またはどこかに配置されたインプラントを含むことを意味している。
【0055】
意図した投与モードにより、医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、カプレット、エアロゾル、液体、懸濁液、エマルジョン、クリーム、ジェル、坐薬、顆粒、ペレット、ビード、フィルム、粉末、スポンジ、などの固体、半固体、または液体でよい。
【0056】
1つの実施形態では、該組成物は、正確な用量の単一投与に適した単位剤形を含む。別の実施形態では、該組成物は、時間により該組成物の送達を制御できるインプラント内などの容器を含む。
【0057】
適切な医薬組成物および剤形は、関連テキストおよび文献、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Easton,PA:Mack Publishing Co.,1995)において説明された、製剤処方の分野において周知の普通の方法を用いて調製することができる。適切な剤形に関する説明は、一部ではあるが、下に提示する。
【0058】
非経口投与に関する本開示による製剤は、無菌の水溶液および非水溶液、懸濁液、ならびにエマルジョンを含む。注入可能な水溶液は、水溶性型のレベルシンを含む。非水溶性溶媒または担体の実施例は、上で説明している。非経口製剤は、可溶化剤、保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、および安定剤などのアジュバントも含み、水性懸濁液は、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース、ソルビトール、およびデキストランなどの懸濁液の粘度を上げる物質を含むことができる。注入可能な組成物は、無菌剤、細菌保持フィルターによるろ過、放射線または加熱を組み込むことにより無菌にされる。これらは無菌注入媒体を用いて製造することもできる。組成物中に存在するあらゆる活性剤は、乾燥、例えば、凍結乾燥された形態にあり、注入により投与する直前に適切な媒体を用いて再水和してよい。
【0059】
本発明は、次の無数にある実施例において詳細に説明する。
【実施例】
【0060】
実施例1:コアタンパク質の発現および精製
プロトコル1:コアタンパク質の遺伝子の全長を含むpET−11aベクターは、大腸菌DE3細胞に変換され、2〜4%グルコース、微量元素および200μg/mLのカルベニシリンで強化されたLB媒体中37℃で増殖される。タンパク質の発現は、2mMのIPTGを添加して誘起される。細胞は、導入してから3時間後にペレットにして収穫される。SDS−PAGEを用いて発現を評価する。細胞は、50mMのトリス−HCL、pH7.4、1mMのEDTA、5mMのDTT、1mMのAEBSF、0.1mg/mLのDNase1および0.1mg/mLのRNaseからなる溶液中で再懸濁される。細胞は、次いで、フレンチ圧力セルを通過させ溶解される。この懸濁液を26000×Gで1時間遠心分離する。ペレットは廃棄し、固体スクロースを最終濃度が0.15Mになるまで上澄みに添加する。この上澄みは、次いで、100000×Gで1時間遠心分離する。ペレットは廃棄し、固体(NHSOを最終濃度が飽和濃度の40%になるまで添加する。上澄みは、次いで、1時間撹拌し、26000×Gで1時間遠心分離する。ペレットは、pH7.5の100mMのトリス−HCIL、100mMのNaCL、50mMのスクロースおよび2mMのDTT(緩衝液A)の溶液に再懸濁し、緩衝液Aと平衡状態にあるSepharose CL−4B(Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)カラム(直径5cm×95cm)に入れた。このカラムは2mL/分で溶離する。HBVウイルスカプシドは、大きな凝集体である低分子量の可溶性タンパク質からうまく分離することができる。これらのフラクションは、クロマトグラフィ・プロフィールおよびSDS−PAGE分析により蓄積し、この溶液をDiaflo YM 100限外ろ過膜(Amicon,Bevery,MA)を用いた限外ろ過により10mg/mLまで濃縮した。濃縮タンパク質は、50mMのトリス−HCL、pH7.5および0.15Mのスクロースに対して透析する。次いで、この溶液を10NのNaOHを用いてpH9.5に調節し、最終濃度が3.5Mになるまで尿素を添加する。次いで、この溶液は、気孔サイズ0.45μmのMillex−HAフィルターユニット(Millipore,Bedford,MA)を用いてろ過し、2mMのDTTを含むpH9.5の100mMの重炭酸ナトリウムと平衡状態にあるSuperdex 75(Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)のカラム(直径6.0cm×60cm)に入れた。このカラムは5mL/分で溶離する。SDS−PAGEにより評価したダイマー性タンパク質を含むフラクションを蓄積する。これらの手順は、すべてのコアタンパク質の変異体の発現および精製に対して使われるであろう。一方、このタンパク質の発現は、イースト細胞で行うことができる。
【0061】
プロトコル2
スターター培養
77C Hisのタグを付けたコアタンパク質の遺伝子を含むPETベクターは、発現する場合BL21(DE3)PlysS細胞において変換される。スターター培養は、1X Luria Broth(1XLB)−アガロースプレート上のコロニーから、または−80℃で貯蔵された10%グリセロール原液から植菌される。1XLBは、2Lのフラスコ内で加圧滅菌処理され、次いで、冷却される。100mgのアンピシリン(Amp:ampicilin)を添加し、この培養液は植菌される。細胞は、37℃、225RPMにて振とうしながら24時間増殖させる。
【0062】
細胞の増殖および分離
0.8Lの2Xイースト−トリプトン(2XYT)培養液を入れた15.2Lのフラスコを加圧滅菌処理する。100mg/mlのアンピシリンを1ml、各フラスコに添加する。次いで、20mLのスターター培養液を各フラスコに添加する。これらの培養液は、光学密度(OD)が600nmにおいて0.4に達するまで、225rpmにて振とうし、37℃で培養する。このプロセスは、約3時間を要する。ODが0.4に達すると、1MのIPTGを1ml用いると、タンパク質の発現が誘起される。これらの培養液は、さらに、4時間振とうしながら、またはODが2.0以上になるまで培養する。細胞は、500mLの遠心ボトルにおいて8000RPMにて10分間遠心分離して単離する。細菌ペレットは、50mLのファルコン管に移し、−20℃で貯蔵する。
【0063】
細胞の破壊
細胞ペレットは、50mlのチューブ(約20〜30ml)で解凍する。20mlの再懸濁緩衝液(4Mの尿素、50mMのNaHCO(pH9.5)、10mMのイミダゾール)を細胞ペーストに添加する。さらに、再懸濁緩衝液を20ml加え、細胞がほぼ均一な溶液に再懸濁されるまで、この溶液を撹拌する。細胞は、10mlのピペットでこれらの溶液を繰り返し注入して再懸濁することもできる。
【0064】
再懸濁細胞を含むビーカーは、氷浴に入れる。Bransonプローブ超音波処理装置を約40%サイクリングのパルスモードで用いて、パワーを約4〜5に設定し、この懸濁液を5分間超音波処理する。この細胞混合物を数回のインターバルで超音波処理し、試料が室温以上に加熱されたように見えたならば、氷上に置く。細胞溶解物は氷から取り出し、100mg/mLのDNaseを100μL懸濁液に加える。この懸濁液を時々旋回させ、10分間放置し、次いで、氷に戻す。超音波処理ステップを5分間以上反復する。この細胞懸濁液をプラスチック製の遠心管に移し、15,000RPMで40分間遠心分離する。上澄みはデカントし、貯蔵する。
【0065】
ニッケルカラム精製
ニッケルカラムは、洗浄し、再懸濁緩衝液と平衡状態にある。遠心分離細胞溶解物は、カラムに入れ、タンパク質溶液は、ニッケルマトリックスのトップに沈下させることができる。このカラムは、50mLの再懸濁緩衝液で洗浄し、次いで、250mLの洗浄緩衝液(4Mの尿素、50mMのNaHCO(pH9.5)、20mMのイミダゾール)で洗浄する。タンパク質は、200mLの溶離緩衝液(4Mの尿素、50mMのNaHCO(pH9.5)、250mMのイミダゾール)を用いて溶離する。アリコートは、20mL毎に集める。
【0066】
濃度の測定および透析
アリコートの吸光度は、タンパク質の存在の検出および/または濃度の測定を行う。ポリアクリルアミド・ゲル電気泳動(PAGE:polyacrylamide gel electrophoresis)分析は、タンパク質含有アリコートについて純度を測定するために行う。Cp Block1タンパク質を含むフラクションを集め、透析管に移す。このタンパク質は、貯蔵緩衝液(4Mの尿素、20mMのNaHCO(pH9.5))を用いて4℃で8〜12時間透析する。透析は1度繰り返す。純粋な透析タンパク質は、−20℃で貯蔵する。
【0067】
実施例2:送達システムの形成
送達システムは、次のようなプロトコルを用いて形成する。
【0068】
封入
ベータ−メルカプトエタノール(BME:beta−mercaptoethanol)をタンパク質溶液に添加して、最終濃度を5μMとする。0.22μmのPESフィルター(Nalgene)を用いてろ過する。
A.ドキソルビシンHCl(DOX)、または他の小分子治療薬を封入する場合は、予め溶解した封入物をddHO中のタンパク質溶液に添加し、最終DOX濃度を0.5mg/mLとする。この溶液は、25℃に設定した水浴中で12時間保持する。
B.siRNAを封入する場合は、siRNA溶液を3150Xモル濃度過剰(核酸:タンパク質モノマー)のタンパク質溶液に添加する。0.5MのNaClを溶液に添加し、最終NaCl濃度を100mMとする。この溶液は、25℃に設定した水浴中で12時間保持する。
【0069】
第1高速液体クロマトグラフィ(FPLC)による精製
ケージ物質は、FPLC(Amersham Pharmacia)により精製する。大きなFPLCカラム(Pharmacia XK−26 26mm×1000mm)は、移動相としてpH9.4の0.5X PBS緩衝液および固定相としてSepharose CL−4B(Amersham Pharmacia)を用いて1.5mL/分の流速にて操作することができる。送達システムのフラクションは、一つに集めて、送達システムの濃度対タンパク質の標準(通常、透析緩衝液中のCpB1タンパク質を用いて作られた)を決めるためにゲル(SDS−Page;Biorad)にかける。タンパク質濃度は、280nmにおける吸光度測定と相互参照する。次いで、このタンパク質溶液は、Amiconろ過システムにより1.0mg/mLに濃縮する。
【0070】
物質を包む脂質(LEM:lipid enveloping material)の産生
コレステロール(Avanti Lipids,Alabaster,AL,USA)およびL−α−ホスファチジルコリン、水素化醤油(HSPC,Avanti Lipids,Alabaster,AL,USA)およびDiI 1,1’−ジオクタデシル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカルボシアニン・パークロレート(DiI,Sigma Aldrich,St.Louis,MO,USA)は、ガラスビーカーで、それぞれ、乾燥粉末としてモル比31.9:15.6:1で予め混合する。この混合物は、次いで、2.0mLのクロロホルムを用いて溶解し、均質化する。一旦均質化すると、クロロホルムは蒸発させる(50℃に設定したホットプレート上で20〜30分)。一旦乾燥すると、0.5X PBSを加えて、0.2mg/mLの濃度のLEMを作る。次いで、この溶液はプローブ超音波処理(240秒、パワーレベル=7、サイクル=50%)する。次いで、水性LEM溶液は、さらに、30分間70℃で混合する。
【0071】
マレイミド終端脂質を用いたタンパク質の官能基化
生のケージ溶液を、タンパク質濃度(CpB1タンパク質につき露出スルフヒドリル1個;ケージにつき露出スルフヒドリル240個)に比べて、モル濃度が4倍過剰の、乾燥粉末としてのTCEPトリス−カルボキシエチルホスフィン(TCEP:tris−carboxyethylphosphine)で処理する。1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[4−(p−マレイミドフェニル)−ブチルアミド](ナトリウム塩)(PE−MAL)を、500μLのジメチルホルムアミド(DMF)に予め溶解したモル濃度が3倍過剰の量として、生のケージ溶液に滴状添加した。PE−MALは、60秒で生のケージと反応することを可能にする。
【0072】
官能基化ケージの包み込みおよび精製、ならびにFPLCによる精製
LEM溶液を、1:3の質量比にて官能基化ケージ溶液に添加する。この溶液を、60分間撹拌しながら60℃のホットプレート上で加熱し、混合し、均質化する。次いで、0.45μmのWhatman PESフィルター(ほとんどすべての物質がフィルターを容易に通過する)で一度ろ過する。次いで、0.22μmのNalgene PESフィルター(やはり、ほとんどすべての物質がフィルターを比較的容易に通過する)で再度ろ過する。次いで、この物質は、pH9.4の0.5X PBS緩衝液を用いてFPLCにより精製する。やはり、包まれたケージは、220〜280mLの範囲で溶離する。フラクションを集め、送達システムのサイズは動的光散乱により確認する(Dynapro Titan,Wyatt Instruments,Goleta,CA)。タンパク質濃度は、SDS−Pageゲルにより測定する。
【0073】
実施例3:標的送達システムの産生
標的送達システムは、次のようなプロトコルを用いて産生される。
【0074】
送達システム結合の抗体改変
pH7.4の1X PBS緩衝液中の4mg/mLの濃度の抗体を、20モル当量のトラウト試薬、すなわち、2−イミノチオランHClを用いて1時間処理する。これらの抗体は、pH7.4の0.25X PBS緩衝液中の8×200mm G−50(Amersham Pharmacia)におけるカラム・クロマトグラフィにより精製する。
【0075】
抗体を用いた送達システムの改変
この送達システムは、送達システムのモル当量につき200モル当量のPE−マレイミド脂質(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[4−(p−マレイミドフェニル)−ブチルアミド](ナトリウム塩)(DMFに溶解した)を用いて処理する。30分放置して、1モル当量の送達システムは、トラウト試薬(上のステップ)を用いて改変した30モル当量の抗体で処置する。この溶液は一晩反応させる。過剰の抗体は、Sepharose CL−4Bマトリックスを充填したカラム(16×200mm)により、アイソクラチックな移動相(pH7.4の0.25X PBS)を用いて、抗体標的システムから除去する。これにより、SDS−PAGEゲルにより測定した場合、送達システムあたり20〜30個の抗体が典型的には60%の収率で得られる。
【0076】
実施例4:SMPB中間体によるPE接合のプロトコル
次のようなプロトコルは、SMPB中間体によりPEへの接合に使われる。すなわち、100μMのホスファチジル・エタノールアミン(PE:phosphatidyl ethanolamine)を、5mLのアルゴンパージした、無水メタノール含有100μMのトリエチルアミン(TEA:トリエチルアミン)に溶解する。この溶液は、アルゴンまたは窒素雰囲気に保持する。この反応は、乾燥クロロホルム中でも行われ、50mgのスクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(SMPB,Pierce)がPE溶液に添加され、溶解するためにこの溶液をよく混合する。この溶液は、アルゴンまたは窒素雰囲気に保持しながら、室温で2時間反応させる。反応溶液から回転蒸発機によりメタノールを除去し、固体は5mLのクロロホルムに再溶解する。水溶性反応副産物は、等容積の1%NaClを用いてクロロホルムから抽出する。抽出は1回以上反復する。MPB−PE誘導体は、ケイ酸のカラムでクロマトグラフィにより精製する(Martin FJ et al.,Immunospecific targeting of liposomes to cells:A novel and efficient method for covalent attachment of Fab’ fragments via disilfide bonds.Biochemistry,1981;20:4229−38)。MPB−PEから回転蒸発機によりクロロホルムを除去する。この誘導体は、使用するまで窒素雰囲気下に−20℃で貯蔵する。
【0077】
実施例5:MBS中間体によるPE接合のプロトコル
次のようなプロトコルは、MBS中間体によりPEへの接合に使われる。すなわち、40mgのPEを、16mLの乾燥クロロホルムおよび20mgのトリエチルアミンを含む2mLの乾燥メタノールの混合物に溶解し、窒素雰囲気下に保持する。20mgのm−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミド・エステル(MBS:m−maleimidobenzoyl−N−hydroxysuccinimide ester)を脂質溶液に添加し、混合して溶解させる。この溶液は、窒素雰囲気の下室温で24時間反応させることができる。有機相は、pH7.3のPBSを用いて3度洗浄し、過剰の架橋剤および反応副産物を抽出する。有機溶媒は、真空下で回転蒸発機により除去する。
【0078】
実施例6:マレイミド含有中間体(MCI:maleimide−containing intermediate)をスルフヒドリル含有タンパク質(SCP:sulfhydryl containing protein)に接合するプロトコル
次のプロトコルは、SCPへのMCIの接合に使われる。すなわち、SCPは、トリスHCl緩衝液(pH=8.0,100mM)に溶解し、1mMの濃度を得る。この溶液は、窒素またはアルゴン雰囲気下で20分間パージする。MCIは、上と同じ緩衝液に溶解し、やはり、窒素またはアルゴン雰囲気下で20分間パージし、モル濃度が10倍過剰になる。これら2つの溶液を合体させ、この溶液を、さらに、窒素またはアルゴン雰囲気下で20分間パージする。この反応は、室温で6時間進行させることができる。
【0079】
実施例7:標的特異性の評価、蛍光ケージ結合プロトコル
96個のウェルがあるELISAプレートを、50μLのmCD22Igタンパク質または0.1Mボレート緩衝生理食塩水中2%BSA(w/v)を用いて50μg/mlの濃度で一晩被覆する。次いで、プレートは、トリス緩衝生理食塩水(TBS:Tris buffered saline)中で3度洗浄する。次いで、すべてのウェルは、TBS中2%BSAを用いて1時間ブロックし、次いで、TBSで3度すすぐ。抗CD22標的ケージコンストラクトおよび脂質外被内に埋め込まれた4%DiIを含む非標的ケージコンストラクト(抗体なし)は、2%BSAおよび0.1%Tweenを含む緩衝液中複数の濃度で、TBS中4時間三重に培養する。次いで、ウェルは、TBS中で4度すすぎ、プレートはTyphoon Molecular Imager(Molecular Dynamics)を用いて読みとる。バックグラウンドウェルは、mCD22Ig(オリジナルめっきから)およびTBSを含む。蛍光読み取りはTBS中で行われ、平均し、標準偏差を計算し、平均値の標準誤差(エラーバー)を各条件について計算する(図1を参照のこと)。
【0080】
実験条件は、蛍光標識付きの脂質で包みこまれた非標的ケージよりも、蛍光標識付きの抗体を標的とする、脂質で包みこまれたケージが、著しく多くmCD22Igに結合することを明らかにしている。
【0081】
抗CD22HSPCケージは、HSPCケージのみより、1.6倍良好に結合し、送達システムが抗体を標的にしていることを示している(図1)。
【0082】
実施例8:標的特異性の評価、すなわち、ケージ結合ELISA
96個のウェルがあるELISAプレートを、50μLのmCD22Igタンパク質または0.1Mボレート緩衝生理食塩水中2%BSA(w/v)を用いて50μg/mlの濃度で一晩被覆する。次いで、プレートは、トリス緩衝生理食塩水(TBS)中で3度洗浄する。次いで、すべてのウェルは、TBS中2%BSAを用いて1時間ブロックし、次いで、TBSで3度すすぐ。抗CD22標的ケージコンストラクトおよび脂質外被内に埋め込まれた4%DiIを含む非標的ケージコンストラクト(抗体なし)は、2%BSAおよび0.1%Tweenを含む緩衝液中複数の濃度で、TBS中4時間三重に培養する。次いで、ウェルは、TBS中で3度すすぎ、1)ウサギ抗HBVコアタンパク質(AbCam)、2)マウス抗HBVコアタンパク質(GenTex)、または3)TBS中2%BSAおよび0.1%Tween中抗体なしで1時間、に対して生じた抗体中の培養により行った。次いで、ウェルは、TBS中で3度すすぎ、さらに、1)アルカリ性ホスファターゼに接合したヤギ抗ウサギIgG、2)アルカリ性ホスファターゼに接合したヤギ抗マウスFc領域、または3)TBS中2%BSAおよび0.1%Tween中抗体なし、で1時間培養した。すべてのウェルは、TBS中で3度、PBS中で1度、それぞれ、すすぎ、次いで、PBS中でDDAO−リン酸塩(1:100,000)で培養した。一次抗体(ウサギ抗HBVコアタンパク質(AbCam)またはマウス抗HBVコアタンパク質(GenTex))は、バックグラウンド対照ウェルでは除外する。蛍光読み取りは、Typhoon Molecular Imagerに関するCy5励起/発光の設定を用いて行い、平均値、標準偏差を計算し、平均値の標準誤差(エラーバー)を各条件について計算する(2ケージ製剤を表している2実験を含む、図2を参照のこと)。
【0083】
個々のELISAは、同じプロトコルを用いるが、一次抗体ステップ(ウサギ抗HBVコアタンパク質(AbCam)またはマウス抗HBVコアタンパク質(GenTex))を除外して各ウェル(上を参照のこと)における標的ケージ対非標的ケージについて存在する、マウス抗CD22抗体の量を測定するために行った。これらの実験では、ヤギ抗マウスFc領域特異性抗体のみを用いてケージの存在を検出した。蛍光基質(上を参照のこと)としてDDAO−リン酸塩を用い、すべての分析は同じ方法で行った(図3を参照のこと)。
【0084】
コアタンパク質アッセイでは、この送達システムは、非標的システムよりも3.5倍強く結合することが判明し、これは、抗体が送達システムの表面に結合することを示している。mCD22Ig結合試験では、抗CD22 HSPCケージは、非標的ケージ単独よりも9倍強く結合し、これは、やはり、抗体を標的とした送達システムは、特定の受容体に対してより特異的であることを示している(図3)。
【0085】
実施例9:抗CD22を標的とした場合と標的がない場合との細胞への蛍光ケージ結合の評価
T75培養フラスコから9mLのRamos細胞(1,000,000細胞/mLの密度における培養液から)を、3個の無菌15mLの円錐管(各3mL)に取り出し、沈降させ、次いで、3mLの完全なRPMI媒体(各々)に再懸濁させる。細胞は、蛍光抗CD22標的ケージ、非標的ケージ(両方が、脂質外被に埋め込まれた3%DiIを有する)、または等容積の「媒体のみ」を3mL(約60nMに等しい)内に400,000ケージ/細胞の濃度において37℃で2時間培養する。次いで、細胞は沈降させ、5mLの完全媒体中で2度すすぎ、5mLの無菌PBS中で3度すすいで沈降させ、150μLのPBSに再懸濁する。次いで、150μLの2%パラホルムアルデヒドを細胞に徐々に添加する。細胞を10分間固定させ、100μLの細胞懸濁液を、96ウェルのプレートの3個のウェルの各々に添加する。次いで、臨床遠心分離を用いてプレートを沈降させ、蛍光は、Cy3励起/発光の設定を用いてTyphoon Molecular Imagerで読み取る。蛍光レベルは平均し、標準偏差を計算し、平均値の標準誤差(エラーバー)を各条件について計算する(図4を参照のこと)。
【0086】
これらの結果は、標的送達システムは、非標的ケージよりも、3倍良好に細胞により巻き上げられることを示し、これは、CD22の抗体を有する標的は、B細胞による送達システムの細胞取り込みを改善することを示している。
【0087】
実施例10:抗CD22を標的とした場合と標的がない場合の蛍光ケージ結合の内部移行の評価
粘着性のBCL1細胞は、実験を開始する前に、無菌の24ウェル組織培養プレートのガラスカバースリップ(Fiscer Scientific)上に12時間貼り付ける。細胞は、完全なRPMI媒体においてセミ密集度(200,000細胞/ウェルにおいて推定された細胞密度)まで増殖させることができる(上の細胞増殖を参照のこと)。実験を開始するために、細胞は媒体で1度すすぎ、次いで、500μLの媒体を各ウェルに添加する。実験的培養後(以下を参照のこと)、粘着性細胞は、媒体で1度、PBSで3度すすぐ。次いで、細胞は、150μLのPBSに再懸濁し、さらに、150μLの2%パラホルムアルデヒドを管に加えて細胞をゆっくりと固定する。
【0088】
全部で200,000個の懸濁細胞(Ramos,Jurkat、またはHH細胞)は、無菌の24ウェル組織培養プレートおよび媒体に加え、容積は完全媒体で上方500μLに調節する。実験的培養後(以下を参照のこと)、懸濁細胞は、逐次的にペレットにし、媒体で1度、PBSで3度すすぐ。次いで、細胞は、150μLのPBSに再懸濁し、さらに、150μLの2%パラホルムアルデヒドを管に加えて細胞をゆっくりと固定する。
【0089】
実験的培養では、細胞(粘着性および懸濁液)は、蛍光抗CD22標的ケージ、非標的ケージ(両方が、脂質外被に埋め込まれた3%DiIを有する)、または500μLの媒体内で2時間複数の濃度[300,000ケージ/細胞(約30nM)、100,000ケージ/細胞(約10nM)、30,000ケージ/細胞(約3nM)、10,000ケージ/細胞(約1nM)、3000ケージ/細胞(約300pM)、1000ケージ/細胞(約100pM)]において37℃で2時間等容積の「媒体のみ」を用いて培養する。すすぎおよび固定(上を参照のこと)の後、細胞は、5%n−プロピル・ガレートのグリセロール溶液(w/v)中でウェットな状態でカバースリップされ、マニキュア液を用いてカバースリップの下で密封される。内部移行された蛍光送達システムは、標準蛍光顕微鏡を用いて定量化される。カパースリップにつき200個の細胞がカウントされ、内部移行されたケージを有する細胞のパーセンテージは、定量化される(図5および6を参照のこと)。
【0090】
図5Aの結果は、標的送達システムは、非標的送達システムに比べて、選択的に内部移行されることを示している。さらに、標的送達システムは、T細胞の実験で使われた類似の用量濃度に比較した場合のみ、B細胞に対して特異的である。送達システムを標的にすると、非特異的な細胞に比較した場合、標的細胞の取り込みを顕著に改善する。
【0091】
図6Bの結果は、標的送達システムは、非標的送達システムに比べて、選択的に内部移行されることを示している。
【0092】
実施例11:「遊離抗CD22」の存在下で抗CD22標的ケージを用いた競合アッセイ
ケージコンストラクトは、標準操作を用いて作られた(ケージ産生に関する先のセクションを参照のこと)。送達システムへの抗体取り付け後、カラムクロマトグラフィを用いた遊離抗体を離れたケージの普通の精製は行えず、標的ケージの製剤中に遊離抗体(>10:1)が存在する結果になる。蛍光内部移行実験は、BCL1細胞および上で述べた条件と同一の実験条件を用いて行われた。この実験の実験的培養には、同一濃度の標的ケージ(精製)と標的ケージ(非精製)との間の比較が含まれた。すべての実験のケージ濃度は、コアタンパク質濃度を定量化することにより測定されるので、遊離抗体による濃度計算はできなかった。これらの実験における内部移行された送達システムの分析は、上述のものと同一であった(図7を参照のこと)。
【0093】
これらの結果は、さらに、標的ケージが、表面マーカー媒介プロセスにより内部移行され、非特異性エンドサイトーシス経路による局所的環境からは内部移行されないことを示している。
【0094】
実施例12:CD22発現細胞を標的とし、殺滅するためにドキソルビシンを装填した抗CD22標的ナノケージの評価
B細胞(Ramos)、T細胞(Jurkat)を、初期の対数増殖相に無菌の96ウェルのプレート(500,000細胞/ml)のウェルに添加する。完全な増殖媒体(上を参照のこと)は各ウェルに添加し、その後CD22標的ナノケージおよびドキソルビシンを装填した非標的ナノケージの両方に、複数のナノケージ濃度(10pM、100pM、1nM、10nM、および100nM)の全域で添加する。細胞は、複数の時点(12、24、36、48、60、および72の各時間)において、Tyrpan Blue exclusionを用いて生存率についてアッセイする。細胞生存率は、各細胞系について実験の開始時に細胞生存率を正規化し、「正常」の%として表す。細胞密度も計算し、各濃度の各時点にわたりプロットする。個々の濃度におけるすべての実験は、各時点について三重に行う。
【0095】
実施例13:腫瘍の増殖を抑制するためにドキソルビシンを装填した抗CD22標的ナノケージのインビボ評価
7〜9週齢のメスの無胸腺BALB/c nu/nuマウス(Harlan Sprague−Dawley)は、無菌条件下で適宜えさを与える機関動物ケアガイドラインに従って維持した。ケージにつき5匹のマウスを収容した。RajiまたはRamosの細胞は、対数増殖期に収得し、2.5〜5.0×10個の細胞を各マウスの腹部の両側の皮下に注入する。埋め込み3週間後に試験を開始し、その時の腫瘍は100〜300mmである。グループは、未処置、ドキソルビシン単独、ドキソルビシンを装填した裸のナノケージ、ドキソルビシンを装填し、HB22.7で被覆したナノケージの各グループからなる。
【0096】
腫瘍容積は、半楕円の公式により計算する(DeNardo GL,Kukis DL,Shen S,et al.,Clin Cancer Res 1997;3:71−79)。初期の腫瘍容積は、処置前日の容積と定義されている。平均腫瘍容積は、各測定日に各グループについて計算し、完全に退行した腫瘍は容積ゼロと考えられる。腫瘍反応は、次のように、C,治癒(腫瘍は消失し、84日間の試験の最後まで増殖しなかった)、CR,完全退行(腫瘍は少なくとも7日消失したが、後に再度増殖した)、PR,部分退行(腫瘍容積が50%または少なくとも7日間減少したが、後に再度増殖した)と分類する。
【0097】
処置グループの間の反応の差は、なし、PR、CR、および治癒と整理された反応を用いたKruskall Walisランクサムテストを用いて評価する。生存時間も、Kruskall Walisテストを用いて評価する。腫瘍容積は、3つの時点、すなわち、1月(26〜29日)、2月(55〜58日)、および試験の最後(84日)で比較する。腫瘍関連の原因により、動物が犠牲になる場合は、最後の容積を時間的に前に移し、後の時点の分析において用いる。分散分析は、処置グループの間の差のテストに使われる。p値は両側にあり、名目上のp値を表す。複数の比較の保護は、統計学的に有意な違いがあることが分かっているグループのサブセット内のみをテストすることにより与えられる。
【0098】
他の実施形態
本発明の詳細な説明に関連して説明してきたが、前述の説明は、例示することを意図しており、発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲は添付した特許請求の範囲により規定される。他の態様、利点、および改変は、添付した特許請求の範囲にある。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】抗体標的ケージ(抗CD22HSPCケージ)とmCD22Igに結合している非標的ケージ(HSPCのみ)との比較を示す棒グラフである。
【図2】2つの同一ナノケージ製剤が、抗CD22評価ナノケージのmCD22Igへの結合を非標的ナノケージの該結合と比較した場合、一致した結果を証明していることを示す棒グラフである。抗コアタンパク質抗体を用いてナノケージの存在を検出した。非標的ナノケージの結合データは、抗CD22標的ナノケージ結合の%に正規化する。
【図3】抗CD22標的ナノケージが、非標的ナノケージよりもmCD22Igへより顕著に結合していることを証明するために、同じナノケージ製剤について2つの同一ELISA実験が行われたことを示す棒グラフである。抗コアタンパク質抗体(左側の明るい陰影を付けたカラム)およびヤギ抗マウス抗体(右側の暗い陰影を付けたカラム)を用いて、ナノケージの表面にナノケージまたは抗CD22抗体の存在を検出した(それぞれ)。非標的ナノケージの結合データは、抗CD22標的ナノケージ結合の%に正規化する。
【図4】抗CD22標的ナノケージが、非標的ナノケージよりもB細胞(Ramos細胞)にかなり良く結合することを示す棒グラフである。「細胞単独」のバックグラウンド蛍光が、比較のために含まれる。
【図5A】抗CD22標的ナノケージが、T細胞(Jurkat)に結合するよりもより特異性をもってB細胞(BCL1)に結合することを示す折れ線グラフである。単数または複数の非標的ナノケージは、低濃度で類似の親和性をもって両方の細胞型に結合するが、比較的高い濃度ではB細胞に良く結合する。
【図5B】核を示すためにヘキスト社の33342(b)を用いて対比染色された半融合性BCL1細胞(a;明視野)の写真である。内部移行されたナノケージは、視野(c;3nM)のすべての細胞内に見られる。
【図6A】内部移行された蛍光ナノケージが、抗CD22標的ナノケージの100nMおよび2.5nMの濃度において見えることを示している写真である。
【図6B】BCL1細胞における抗CD22標的ナノケージおよび非標的ナノケージの用量反応関係を示している折れ線グラフである。
【図7】精製抗CD22標的ナノケージと混合した「遊離」抗CD22抗体が、B細胞におけるナノケージ内部移行の用量反応関係における100倍より大きいシフトをもたらす結果になることを示している折れ線グラフである。製剤を含む遊離抗CD22抗体は(四角)で示し、精製抗CD22標的ナノケージは(円)で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的多層薬物送達システムであって、
a)複数のウイルスタンパク質の自己集合により作られたナノケージを含む第1層と、
b)複数のアニオン性またはカチオン性の脂質の自己集合により作られた脂質二重層を含む第2層と、
c)前記脂質二重層内に固定されたB細胞標的部分と、
d)前記ナノケージ内に封入された少なくとも1つの細胞傷害性薬剤と、
を含む、システム。
【請求項2】
請求項1に記載の薬物送達システムであって、前記ウイルスタンパク質が、B型肝炎ウイルス(HBV)のコアタンパク質(Cタンパク質)またはこれらの変異体である、システム。
【請求項3】
請求項1に記載の薬物送達システムであって、前記細胞傷害性薬剤が毒素である、システム。
【請求項4】
請求項1に記載の薬物送達システムであって、前記細胞傷害性薬剤が1つ以上の化学療法薬である、システム。
【請求項5】
請求項1に記載の薬物送達システムであって、前記細胞傷害性薬剤が、B細胞が生き残るのに重要なタンパク質の合成を効果的に抑制するRNA分子である、システム。
【請求項6】
請求項1に記載の薬物送達システムであって、前記細胞傷害性薬剤が放射性同位元素である、システム。
【請求項7】
請求項1に記載の薬物送達システムであって、前記B細胞標的部分が、抗CD22抗体、抗CD20抗体、抗CD19抗体、抗FcR−H1抗体、またはこれらの断片または誘導体である、システム。
【請求項8】
請求項1に記載の薬物送達システムであって、前記B細胞標的部分が、CD22、CD20、CD19、またはFcR−H1からなる群から選択された2個以上のB細胞表面分子に対して特異的な抗体、抗体断片、または抗体誘導体の組み合わせである、システム。
【請求項9】
請求項1に記載の薬物送達システムであって、前記B細胞標的部分が、CD22、CD20、CD19、またはFcR−H1に対して特異的な抗体模倣物である、システム。
【請求項10】
請求項1に記載の薬物送達システムであって、前記B細胞標的部分が、CD22、CD20、CD19、またはFcR−H1からなる群から選択された2個以上のB細胞表面分子に対して特異的な抗体模倣物の組み合わせである、システム。
【請求項11】
請求項8に記載の薬物送達システムであって、前記抗体模倣物がマイクロタンパク質である、システム。
【請求項12】
請求項1に記載の薬物送達システムであって、前記B細胞標的部分が、CD22、CD20、CD19、およびFcR−H1からなる群から選択された2個以上のB細胞表面分子に対して特異的なマイクロタンパク質の組み合わせである、システム。
【請求項13】
薬物をB細胞に送達する方法であって、前記細胞を請求項1に記載の薬物送達システムに接触させることを含む、方法。
【請求項14】
B細胞悪性腫瘍または自己免疫疾患を有する患者を処置する方法であって、請求項1に記載の薬物送達システムを投与することを含む、方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、前記B細胞悪性腫瘍がB細胞リンパ腫または白血病である、方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法であって、前記B細胞悪性腫瘍がマントル細胞リンパ腫である、方法。
【請求項17】
請求項12に記載の方法であって、前記自己免疫疾患が、関節リウマチ、エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、1型糖尿病、クローン病または潰瘍性大腸炎である、方法。
【請求項18】
細胞増殖を抑制するか、または細胞死を誘発する方法であって、請求項1に記載の薬物送達システムに前記細胞を接触させることを含む、方法。
【請求項19】
請求項19に記載の方法であって、前記細胞がB細胞である、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−533350(P2009−533350A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504356(P2009−504356)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/008938
【国際公開番号】WO2008/108776
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(508300323)キメロス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】