CO2環境計測システム
【課題】システムの小型化・低価格化を図りながら的確にCO2環境を計測し、この計測データを基に環境科学研究・開発に容易に有効利用できる。
【解決手段】CO2環境測定装置は、環境計測領域に分散配置したCO2環境測定器100で計測データの取得およびGPSによる測定位置情報を取得し、計測データの補正・校正などをした後、この計測データを小型のデータ収集用PC200に無線でリアルタイムデータとして送信する。CO2環境測定データ利用装置は、データ収集用PCで適正化した計測データがインターネット経由でサーバ300に送信されたときにデータベース化しておき、データ閲覧用PC400から計測データの閲覧が要求されたときに、サーバが閲覧要求に応じて計測データを加工処理してデータ閲覧用PCに送信する。さらには、サーバでは計測データを使ったCO2環境変化などのシミュレーションを行う。
【解決手段】CO2環境測定装置は、環境計測領域に分散配置したCO2環境測定器100で計測データの取得およびGPSによる測定位置情報を取得し、計測データの補正・校正などをした後、この計測データを小型のデータ収集用PC200に無線でリアルタイムデータとして送信する。CO2環境測定データ利用装置は、データ収集用PCで適正化した計測データがインターネット経由でサーバ300に送信されたときにデータベース化しておき、データ閲覧用PC400から計測データの閲覧が要求されたときに、サーバが閲覧要求に応じて計測データを加工処理してデータ閲覧用PCに送信する。さらには、サーバでは計測データを使ったCO2環境変化などのシミュレーションを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中のCO2濃度などのCO2環境を計測し、この計測データを情報処理装置(コンピュータ)に収集・表示およびCO2環境科学研究・開発に有効利用するためのCO2環境計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の計測システムとして、現在地における様々な情報を位置情報と共に取得して送信する情報取得装置と、情報通信ネットワークを介して受信した位置情報を取得情報に関連付けて登録する情報収集装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
他の計測システムとして、住宅やオフィスにおける環境を簡単かつ正確に測定する、USBモジュール型のCO2およびO2測定装置、および環境モニタリングシステムがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−265378号公報
【特許文献2】特開2009−145059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(1)特許文献1によるシステム、装置では以下の問題がある。
【0006】
・収集データの送信に電子メールを想定しており、リアルタイムの情報収集が不可能である。
【0007】
・商用の情報通信ネットワークを利用するため、測定装置毎に通信費が発生する。
【0008】
・様々な情報を取得可能と記載されているが、その情報源には既存の機器を想定しており、測定装置との接続は容易ではないと思われる。
【0009】
・総じて、システム、装置を実施するには解決しなければならない技術的課題が多く、また、システム的にも大掛かりなものになるため、費用対効果を考慮すると、実施は容易ではないと思われる。
【0010】
(2)特許文献2によるシステム、装置では以下の問題点がある。
【0011】
・住宅やオフィスなど屋内の計測を想定しており、屋外での長期間の計測にはその保守管理に多くの手間がかかる。
【0012】
・USBインターフェースにより計測データの取り込みを行うため、簡便な反面、計測装置とパソコンを必ずセット(1組)で使用しなければならない。このため、多点同時計測には多数のパソコンを用意する必要があり、システムが大型化・高価になる。
【0013】
・屋内での計測を想定しているにもかかわらず、GPSにより位置情報を取得している。しかし、基本的に屋内でのGPS測位は不可能であるため、地図上に測定データを表示することはできない。
【0014】
・CO2センサをUSBモジュールに組み込もうとしているが、現時点ではそのような超小型のCO2センサは存在せず、実現は困難と思われる。
【0015】
(3)その他の問題点
・CO2センサの校正には標準ガス(0、400、1600、3000ppmなど)を使用する方法が一般的であるが、手間もコストも掛かる。
【0016】
・CO2測定システムは十万円〜数百万円の範囲で製品化されており、一般的に大型で高価である。
【0017】
・測定したCO2濃度を地図上やグラフで表示するシステムは存在するが、静的な可視化が多く、CO2濃度の変化を動的に可視化できるようなシステムは存在しない。
【0018】
・測定したCO2濃度を基に、CO2発生源の推定や、CO2発生源/消費源の追加によるシミュレーション機能を備えたシステムは存在しない。
【0019】
本発明の目的は、システムの小型化・低価格化を図りながら的確にCO2環境を計測し、この計測データを基に環境状態判定・環境変化推定などの環境科学研究・開発に容易に有効利用できるCO2環境計測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、前記の課題を解決するため、CO2環境測定装置は、環境計測領域に分散配置したCO2環境測定器で計測データの取得およびGPSによる測定位置情報を取得し、各CO2環境測定器の計測データをそのままノートパソコンなどの小型のデータ収集用PCに無線でリアルタイムデータとして送信し、さらにはCO2環境測定器側で計測データの補正・校正などの計測データ適正化処理をしてデータ収集用PCに送信しておく構成とし、
CO2環境測定データ利用装置は、データ収集用PCで適正化した計測データがインターネット経由でサーバに送信されたときに、サーバ側で計測データをデータベース化しておき、データ閲覧用PCからインターネット経由でサーバに計測データの閲覧が要求されたときに、サーバが閲覧要求に応じて計測データを加工処理してデータ閲覧用PCに送信する構成とし、さらにはサーバでは計測データを使ったCO2環境変化などのシミュレーションを行い、データ閲覧用PCではサーバからの計測データを基に環境状態判定・環境変化推定などの環境科学研究・開発に有効利用できる構成とするもので、以下のCO2環境計測システムを特徴とする。
【0021】
(1)大気中のCO2濃度などのCO2環境を計測し、この計測データの収集・表示およびCO2環境科学研究・開発に有効利用するためのCO2環境計測システムであって、
環境計測領域に分散配置したCO2環境測定器で計測データの取得およびGPSによる測定位置情報を取得し、各CO2環境測定器の計測データをそのままデータ収集用PCに無線でリアルタイムデータとして送信しておくCO2環境測定装置と、
前記データ収集用PCに収集した計測データがインターネット経由でサーバに送信されたときに、該計測データをデータベース化しておき、インターネット経由で前記計測データの閲覧が要求されたときに、この要求に応じて計測データを加工処理して該データ閲覧用PCに送信するCO2環境測定データ利用装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0022】
(2)前記CO2環境測定器は、二次電池と太陽光で発電して二次電池を充電する太陽電池を電源とし、一定期間の測定時のみ該電源で駆動し、測定していない間は前記CO2環境測定器内のCPUを停止させて平均消費電流を抑える省電力手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
(3)前記CO2環境測定器は、温度センサを搭載しておき、測定したCO2環境計測データについて、前記温度センサによる測定温度を基に該計測データの補正演算を行っておく温度補正手段を備えたことを特徴とする。
【0024】
(4)前記温度補正手段は、冷蔵庫を利用し、低温時と高温時のCO2環境測定器の測定データから温度依存特性を求めておき、この特性を基に前記CO2環境測定器の測定値を補正する適正化処理手段を備えたことを特徴とする。
【0025】
(5)前記温度補正手段は、標準ガスの既知のCO2濃度C(cal)と前記CO2センサの出力値Cmの関係を3次式程度の多項式で近似しておき、温度による前記CO2センサの出力値Cmの変化を2次式程度で近似して温度補正を行う適正化演算手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
(6)CO2発生源がなく比較的濃度が一定となる位置に前記CO2環境測定器を設置し、CO2濃度を清浄大気中のCO2濃度に設定して該CO2環境測定器の計測値を校正する校正手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
(7)前記CO2環境測定器は、測定した計測データを時系列に保存するフラッシュメモリを備え、無線が使用できない環境でもCO2環境測定器単体でのデータの収集を行うデータ収集手段を備えたことを特徴とする。
【0028】
(8)前記サーバまたは前記データ収集用PCは、前記CO2環境測定装置により測定したCO2環境計測値と計測点のデータを基に、観測地域の地図上にCO2環境計測値を重ね合わせた表示でその確認を可能にするデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする。
【0029】
(9)前記サーバは、
CO2環境計測値の違いを色で区別した点画像で表示する手段と、
CO2環境測定器を移動させた場合は移動経路に直線を引いて表示する手段と、
地図上に指定した位置を解析点とし、画面上の計測値グラフには解析点近隣のCO2環境測定点でのCO2環境計測値を補間算出し、この補間算出したCO2環境計測値の時刻変化を折れ線グラフで表示する手段と、
のうち、少なくとも1つのデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする。
【0030】
(10)前記サーバは、地図上で指定された前記解析点に表示するCO2環境計測値は、近隣の測定点で測定したCO2環境計測値により補間算出して表示するデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする。
【0031】
(11)前記サーバは、地図上で指定された任意の2点A,Bを結ぶ直線上の標高断面図を表示し、この標高断面図上の各標高位置にCO2環境計測値を色の違いで表示するデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする。
【0032】
(12)前記サーバは、CO2環境計測位置・場所や環境、時刻によるCO2環境計測値の変化を、アニメーションで動的に表示するデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする。
【0033】
(13)前記サーバは、環境計測領域に、CO2環境要因の発生源または消費源を追加設定した場合のCO2環境計測値変化をシミュレーションするシミュレーション処理手段を備えたことを特徴とする。
【0034】
(14)前記シミュレーション処理手段は、
前記CO2環境要因の発生源または消費源の発生量または消費量情報と、発生源または消費源から離れることによる発生量または消費量の減少割合情報をパラメータとして設定する手段と、
前記CO2環境要因の発生源または消費源を、地図上の任意の地点に指定したときの位置情報(緯度、経度)を求める手段と、
前記指定されたCO2環境要因の発生源または消費源の近隣のCO2環境計測点について、前記位置情報より計測点と発生源または消費源との距離を求め、計測点のCO2環境要因の実測値、計測点と発生源または消費源との距離による減少率、発生源または消費源のCO2環境要因の発生量または消費量より、計測点におけるCO2環境要因のシミュレーション値を求める手段と、
上記のシミュレーション値を求める処理を、CO2環境の測定開始時刻から測定終了時刻の間の測定データについて繰り返し実行する手段と、
上記繰り返し処理により、全ての計測点について時系列のCO2環境計測値のシミュレーション値を求めてアニメーション表示する手段と、
を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態になるCO2環境計測システムの全体構成図。
【図2】CO2環境測定器100の内部構成図。
【図3】CO2環境測定器100の外観図。
【図4】CO2センサの簡易補正処理フロー。
【図5】CO2センサの簡易校正処理フロー。
【図6】データ閲覧用PC400によるCO2濃度測定結果の表示例。
【図7】データ閲覧用PC400によるCO2濃度測定結果の表示処理フロー。
【図8】CO2濃度計測値の補間処理フロー。
【図9】CO2濃度計測値の補間値の算出例。
【図10】CO2濃度の標高断面の表示例。
【図11】CO2濃度の標高断面図の表示処理フロー。
【図12】CO2濃度のグラディエーション表示例。
【図13】CO2濃度の時刻変化のアニメーション表示処理フロー。
【図14】測定領域のメッシュ分割の例。
【図15】CO2濃度変化のシミュレーション処理フロー。
【図16】CO2消費源の追加によるシミュレーション結果の画像例。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、CO2環境計測システムの全体構成を示す。CO2環境計測システムは、CO2環境測定装置とCO2環境測定データ利用装置で構築される。
【0037】
CO2環境測定装置は、環境計測領域に分散配置したCO2環境測定器と各CO2環境測定器からの出力データを無線通信回線を介して収集するデータ収集用PCから構成される。
CO2環境測定データ利用装置は、データ収集用PCで収集した各CO2環境測定器からの出力データをインターネットを介してデータベースへ保存するサーバとインターネットを介してサーバの諸機能を利用するデータ閲覧用PCから構成される。
CO2環境測定器100は、CO2環境の測定部位として定められた各位置に設置または移動され、その位置におけるCO2濃度、温度、湿度などを自動的に連続的または定期的に計測した後、計測した温度や湿度によりCO2濃度計測値の適正化処理を行う。さらにCO2環境測定器100は、GPSを利用し時刻情報(計測日時情報)と計測位置情報を抽出した後、CO2環境情報(適正化処理後のCO2濃度)と属性情報(CO2環境測定器番号、計測位置情報、計測日時情報)をCO2環境測定器100の出力データとして、データ収集用PC200へ無線送信する。なお、ZigBeeなどのマルチホップ/メッシュ型の無線ネットワークを採用した場合、CO2環境測定器100の出力データは、複数の他CO2環境測定器100を経由してデータ収集用PC200へ送信される。
データ収集用PC200は、各CO2濃度測定器100からの出力データを公衆または専用の無線通信回線を介して受信し、各CO2濃度測定器100からの出力データの収集・保存・送信・簡易表示を可能とする。また、データ収集用PC200に保存された各CO2濃度測定器100からの出力データはインターネットを介してサーバ300に送信され、サーバ300のデータベースに蓄積される。
サーバ300は、データ収集用PC200に保存された各CO2濃度測定器100からの出力データをインターネットを介してデータベースに蓄積する。また、サーバ300はデータベースに蓄積した各CO2濃度測定器100からの出力データを基に計測点表示・補間処理・標高断面表示などのデータ加工処理を行うデータ加工処理機能とCO2環境変化などのシミュレーションを行うシミュレーション機能を持つ。これらの機能は、データ閲覧用PCからインターネットを介してサーバ300に計測データ(CO2濃度測定器100からの出力データの内、CO2濃度測定器番号以外のデータ)の閲覧要求に応じて起動し、データ加工処理結果、または、シミュレーション結果をインターネットを介してデータ閲覧用PC400へ送信することにより終了する。
【0038】
データ閲覧用PC400は、インターネットを介してサーバ300に計測データの閲覧要求を行い、サーバ300からインターネットを介してデータ閲覧用PC400へ送信されるデータ加工処理結果、または、シミュレーション結果を受信し、データ閲覧用PC400上に表示する。
【0039】
このようなCO2環境計測システムは、データ収集用PC200やサーバ300などを構成するコンピュータ資源を利用したソフトウェアの搭載によってその機能を実現し、システムの小型化・低価格化を図りながらCO2環境の計測を的確にし、サーバとインターネット経由で接続できる環境にあるデータ閲覧用PC400では、いつでもどこでも計測データを閲覧することができ、CO2環境状態判定・環境変化推定などの環境科学研究・開発に有効利用できる。具体的には、地球温暖化の原因とされるCO2の削減等に寄与するための以下の分野での利用ができる。
【0040】
・低炭素社会実現のための環境教育分野
・CO2削減対策の基礎データとなる定点測定・移動測定による研究分野
・建設施工分野におけるCO2測定
・省CO2型都市計画の基礎データ測定
・炭酸ガス施用による栽培・園芸などの農業分野
以下、CO2環境測定装置とCO2環境測定データ利用装置について詳細に説明する。
【0041】
(1)CO2環境測定装置
図2は、CO2環境測定器100の構成図である。CO2環境測定器100は、その設置位置でのCO2濃度と温度および湿度を測定するため、CO2センサ11と温度センサ12と湿度センサ13を搭載する。さらに、GPS電波を受信するためのGPSモジュール(受信機)14と、計測データ等をデータ収集用PC200側に送信するための無線モジュール15および無線アンテナ16と、各センサの計測値取得処理とGPSデータの取得処理及びこれらデータによる適正化処理をして無線送信処理をするマイコン17と、温度補正・校正操作スイッチ17A、17Bおよび測定データ保存用のフラッシュメモリ17Cを搭載する。さらにまた、各構成要素に必要な電源を無停電供給する二次電池18と太陽電池19を搭載する。
【0042】
CO2環境測定器100に搭載されるマイコン17は、GPSモジュール14、CO2センサ11、温度センサ12、湿度センサ13からのデータを取り込みマイコン内部メモリ(図示せず)に保存する。さらにマイコン17は、マイコン内部メモリに保存されたCO2濃度測定データを同時に測定されマイコン内部メモリに保存された温度データにより後述する適正化処理を行い、適正化処理後のCO2濃度測定データと温度データと湿度データと日付・時刻データと位置情報(緯度、経度、標高)データを、フラッシュメモリ17Cへ保存する。さらにまた、マイコン17は、フラッシュメモリ17Cに保存された温度データと湿度データと適正化処理後のCO2濃度測定データと日付・時刻データと位置情報(緯度、経度、標高)データと予めマイコン内部フラッシュメモリに記憶された環境測定機器番号を読み出し、CO2環境測定機器100の出力データとして無線モジュール15を介しデータ収集用PC200または他CO2環境測定機器100に送信する。マイコン17は、以上の処理を一定周期で実行する。
【0043】
また、測定データをフラッシュメモリ17Cへ時系列に保存することで、無線が使用できない環境でもCO2環境測定器単体でのデータの収集を可能とする。また、CO2環境測定器100の出力データは無線を利用してデータ収集用PC200または他CO2環境測定機器100に送信するため、CO2環境測定器100の設置場所が制限されることなく、移動測定も可能である。
【0044】
このように、CO2環境測定器100とデータ収集用PC200により構成するCO2環境測定装置は以下の有効な機能を実現できる。
【0045】
(1A)CO2環境測定装置の小型化・低価格化
近年、センサモジュールやマイコン、無線モジュールの小型化/低価格化が進み、入手も容易になった。これらの部品を上手く組み合わせることにより、図2に示す各回路要素を実現し、小型で安価なCO2環境計測器を製作できる。
【0046】
これにより手のひらサイズ(葉書大:100×150mm)で、重質量は500g以下のCO2環境測定装置が実現でき、人が容易に持ち運んで移動測定を行うことが可能となる。これらCO2環境測定器100に無線回線で結合するデータ収集用PC(パソコン)200を組み合わせることで、CO2環境測定装置の小型化・低価格化を実現できる。
【0047】
なお、計測目的によっては、温度センサや湿度センサを省いた構成、さらには太陽電池を省いた構成とすることで一層の低価格化を図ることができる。
【0048】
(1B)省電力対応
CO2環境測定器100は屋外での一定期間の定点観測を考慮し、二次電池18での駆動時間は1週間とする。これを実現するため、CO2環境計測器としての平均消費電流を60mA以下とし、測定していない間はマイコン17をスリープさせて平均消費電流を抑える。なお、マイコン17のスリープ解除の条件は、一定期間到達後、または、他CO2環境計測器からの出力データ中継要求(ZigBeeなどのマルチホップ/メッシュ型の無線ネットワーク採用時)有りの場合である。
【0049】
また、太陽電池19を併用する場合、昼間に二次電池18を充電することで駆動時間の延長を図ることができる。さらに、二次電池18にはニッケル水素やリチウムイオンなどのエネルギー密度の高い電池を使用してその小型化を図ることができる。
【0050】
(1C)長距離伝送対応、多点同時計測対応
比較的広範囲でCO2環境情報の分布を同時計測するため、CO2環境測定器100の最大伝送距離と同時計測点数は以下の仕様とし、比較的長い距離間隔で少ない個数を分散配置し、CO2環境測定装置としての全体構成の小型化、低価格化を図る。
【0051】
最大伝送距離:1km
同時計測点数:20点
これを実現するため、ZigBeeなどの低消費電力で、マルチホップ/メッシュ型の無線ネットワークを採用する。
【0052】
(1D)CO2環境測定器100の出力データ項目
CO2環境測定器100の出力データ項目を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
計測間隔は1分〜120分の範囲で設定可能である。計測間隔毎に、上記CO2環境測定器100の出力データ項目がフラッシュメモリ17Cに保存されると同時に、または一定時間だけデータを集積して、間欠的にデータ収集用PC200に無線送信する。
【0055】
したがって、少ない計測点でかつ最小限のCO2環境測定器100の出力データ項目にしておき、この計測データをフラッシュメモリ17Cに一次保存しておき、これらを集積してデータ収集用PC200に間欠的に送信することで、計測データの収集を簡易にかつ効率良く行うことができる。
【0056】
(1E)簡易補正対応
CO2センサ11は、その使用環境での温度、気圧、湿度によって出力変動があるため、補正によって適正化した計測データを得る。このうち、測定精度に与える影響が大きい温度変化によるCO2センサ11の出力変動について、CO2環境測定器100に搭載している温度センサ12の出力値を基に内部のマイコン17で補正演算を行い、CO2センサ11の出力変動を補正する。なお、同じ機種のCO2センサでも、センサ個体ごとに温度特性が異なることがあるため、CO2センサ個々に特性を簡易に補正可能であり、その保守管理を容易にする。
【0057】
具体的には、一般利用者が冷蔵庫を利用し、低温時と高温時のCO2環境測定器100の測定データから温度依存性を求めておく。これら操作は、スイッチ17Aの操作を元にマイコン17に記憶させ、そのデータを基にCO2環境測定器100の測定値を補正する。
【0058】
ところで、赤外線を利用したNDIR方式(Non−dispersive infrared:非分散型赤外線吸収方式)のCO2センサの場合、ハードウェアが原因で出力に含まれる誤差としては、光源(LED)、光を反射する筐体表面の状態、CO2吸収光を分光するフィルタ、出力信号処理用アナログ回路が考えられる。また、測定時の環境による誤差の原因としては温度、気圧、湿度が考えられる。
【0059】
前者は複合的要因で、センサ個体ごとの出力値の違いになる。この誤差を補正するために、標準ガスの既知のCO2濃度C(cal)とCO2センサの出力値Cmの関係を以下の多項式で近似する。
【0060】
C(cal)=a1+a2*Cm+a3*Cm2+a4*Cm3+a5*Cm4+a6*Cm5+…+an*Cmnー1 (1)式
n次式までの多項式を採用するかはセンサの機種によるが、3次式までの演算で済むものが多い。例えば、あらかじめ、2点校正、あるいは3点校正で、定数a1、a2、a3を機種ごとに決めて、マイコンに記憶させることで、Cmから予測値C(cal)を求めることができる。なお、この校正に関しては、一般ユーザでの実施は不可能なので、工場出荷時に実施する。
【0061】
一方、温度による出力変動は、温度によるCmの変化を測定して、Cmの温度による以下の近似式を用いる。
【0062】
Cm_t=t1+t2*T+t3*T2+t4*T3+t5*T4+t6*T5+…+tn*Tn-1 (2)式
例えば、簡易に補正を行うため、1次式(直線近似)Cm_t=t1+t2*Tで表すとして、冷蔵庫低温Tlowのときのセンサ出力値Cm_tlow、冷蔵庫高温Thighのときのセンサ出力値Cm_thighとして、t1とt2を算出して、センサ出力の温度補正値Cm_tを求め、上記の(1)式のCmに入れることにより、下記の(3)式によって温度補正係数を求める。
【0063】
t2=(Cm_thigh−Cm_tlow)/(Thigh−Tlow) (3)式
補正係数を記憶させる際には、測定器の温度補正スイッチ17Aを用いる。このスイッチは3接点のスイッチで、OFF(通常計測)/低温補正/高温補正の3つのポジションがある。通常はOFF(通常計測)のポジションで使用する。
【0064】
図4はCO2センサの簡易補正処理フローを示し、補正係数をマイコンに記憶させる際には、スイッチを低温補正ポジションに設定し、低温に設定した冷蔵庫に測定器を入れる。その後一定時間経過すると、低温時の温度とCO2センサ出力値をマイコンが記憶する(S54)。次に、冷蔵庫を高温に設定し、測定器のスイッチを高温ポジションに設定する。その後一定時間経過すると、高温時の温度とCO2センサ出力値をマイコンが記憶し(S57)、先に記憶した低温時の温度とCO2センサ出力値を使用し、補正係数のt1とt2を求め、記憶する(S58)。その後、スイッチをOFF(通常計測)に戻すことにより、更新された補正係数を用いた温度補正が実施され、保守管理も容易になる。
【0065】
(1F)簡易校正対応
厳密な意味での校正を行うためには、標準ガスを用いて前出の多項式近似における定数を再計算し、マイコンに記憶させる必要がある。計測データの適正化処理として、一般ユーザが容易にCO2センサを校正できるよう、標準ガスを使用することなく校正できるようにし、その保守管理を容易にする。
【0066】
具体的には、清浄大気中のCO2濃度が400ppmであることを利用し、近くにCO2発生源がなく比較的濃度が一定となる緑地へCO2環境測定器を持ち込み、校正スイッチ17Bを押すだけでCO2環境測定器のCO2濃度計測値を400ppmに設定してCO2環境測定器100の計測値を校正する。
【0067】
図5はCO2センサの簡易校正処理フローを示し、緑地へ計測器を持ち込んで校正スイッチ17Bを押下したときのCO2センサの測定値を求め(S1,2)、この測定値と400ppmの差分を補正値としてフラッシュメモリに保存しておく(S3)。その後、CO2センサを測定部位に設置し、その測定値を求め、この測定値に補正値を加算して実際の測定値とする(S4,S5)。
【0068】
例えば、校正スイッチ17Bを押したときのCO2センサの測定値(前出の補正後の値)が500ppmであった場合、400ppmとの差分(つまり、−100ppm)を補正値として記憶する。その後は、CO2センサの測定値に補正値を加算することにより、実際のCO2濃度を求める。ただし、多項式近似の定数を再計算せずに、単純にCO2センサの測定値(前出の補正後の値)との差分で簡易的に補正を行うため、厳密な意味での校正ではない。そのため、この方法では誤差が20ppm程度発生するが、実用上問題ないレベルである。
【0069】
(2)CO2環境計測データ利用装置
図1に示す構成のCO2環境計測システムにおけるCO2環境計測データを環境科学研究・開発に有効利用するためのデータ加工処理は、サーバ300がその機能を負担するが、データ収集用PC200にも一部の機能をもたせることも可能である(図1のデータ収集用PC200には図示しない)。これらデータ加工処理の詳細を以下に説明する。なお、以下に説明する各データ加工処理を実現するための情報処理は、公知の技術を利用できる場合はそれを利用することができるが、公知でない技術は適宜開発し得るものである。
【0070】
(2A)CO2濃度計測値と計測点の表示
CO2環境測定装置により無線通信とCO2センサを利用して大気中のCO2濃度を測定し、データ収集用PC200へ保存された計測結果は、データ収集用PC200で表示可能である。また、CO2環境計測器100にはGPSモジュール14が搭載してあるため、CO2濃度測定位置とその位置でのCO2濃度をデータ収集用PC200等に表示する地図上に重ね合わせた表示でその確認可能にする。さらにまた、前記計測結果は、データ収集用PC200からインターネットを介してサーバ300のデータベースに保存し、インターネットに接続したデータ閲覧用PC(パソコン、携帯電話、携帯端末など)400で測定結果を閲覧可能にする。
【0071】
図6はデータ閲覧用PC400によるCO2濃度測定結果の表示例を、図7はその処理フローを示す。画面左側の地図には測定した位置にCO2濃度の違いを色で区別した点画像(丸印)が表示される。また、CO2環境測定器100を移動させた場合は移動経路に直線を引いて示す。測定器の移動がない場合、点画像は移動しない。さらにまた、画面右側にはCO2環境計測値の時刻変化を折れ線グラフで表示する。
【0072】
図7の処理フローを以下の手順で実現する。
(S61)データ閲覧用PC400のマウスまたはキーボードより、データ閲覧用PC400の画面に表示する地図エリアを指定する。
【0073】
(S62)サーバ300は、指定地図エリアに対応する4角の位置情報(緯度、経度)を取り込み、指定エリア内に存在するCO2環境測定器100の機器番号をサーバ300のデータベースから抽出する。
【0074】
(S63)サーバ300は、取り込んだCO2環境測定器番号のCO2環境測定器についてその位置情報と時刻情報、及び、CO2濃度データをサーバ300のデータベースから抽出する。
【0075】
(S64)サーバ300は、取り込んだCO2環境測定器番号のCO2環境測定器における位置情報と時刻情報とから一定時間ごとにおける位置情報変化の有無を判断し、位置情報が変化している区間(移動している区間)に対し移動フラグをセットする。
【0076】
(S65)サーバ300は、CO2濃度データと予め設定されたCO2濃度範囲と色指定の対応表(図示しない)を参照し、CO2濃度の表示色を選択する。
【0077】
(S66)サーバ300は、指定エリア内に存在する全てのCO2環境測定器番号のCO2環境測定器に対し(S63)〜(S65)を繰り返す。
(S67)サーバ300は、指定エリア内に存在する全てのCO2環境測定器の機器番号、位置情報、時刻情報、移動フラグ、及び、表示色をデータ閲覧用PC400へ送信する。
(S68)データ閲覧用PC400は、受信したCO2環境測定器の位置情報、時刻情報を基に表示色を画面に表示させ、移動フラグがセットされている区間に対してはその区間の両端を直線で描画する。
【0078】
この例のように、測定結果を地図上に表示するには、Google MapsやYahoo! Mapsなどの地図サービスを利用する。これらの地図サービスで提供されているAPI(Application Program Interface)を利用すれば、GPSで得られた位置情報を元に、地図上に測定値を表示したり、移動の経路を表示することができる。さらに、地図上に任意の図形を描画することもできる。なお、CO2濃度を色で表した点を表示する代わりに、点の大きさでCO2濃度を表示しても良い。
【0079】
(2B)CO2環境計測値の補間処理
地図上で指定された任意の解析点におけるCO2濃度などのCO2環境計測値の表示は、近隣の測定点で測定したCO2環境計測値により補間算出するデータ加工処理をする。図8はCO2濃度計測値の補間処理フローを示し、以下の手順で実現する。
【0080】
(S11)データ閲覧用PC400のマウスでクリックされた地図上の地点の位置情報(緯度、経度)をサーバ300が取得する(クリックされた地点の位置情報の取得には、地図サービスで提供されているAPIを使用する)。
【0081】
(S12)取得した位置情報より、近隣の測定点を数点抽出する。マウスでクリックした位置(緯度、経度)と、サーバ300のデータベースに保存されている計測点の位置情報(GPSにより取得した緯度、経度)と時間情報から、地図サービスで提供されているAPIを使用して2点間の距離を求める。この距離が短い計測点を数点抽出する。なお、前記時間情報を基に、時系列で各々の同一時刻に距離計算を行うことにより測定点が移動しているか否かの区別をする必要が無くなる。
【0082】
(S13)抽出した近隣の計測点より、要素内補間により同一時刻における補間値を算出する。例えば、近隣の計測点が3点の場合の補間値の算出は図9を参照して説明する。
【0083】
図9において、抽出した同一時刻における近隣の計測点をA点、B点、C点とし、各計測点のCO2濃度計測値をそれぞれCa、Cb、Ccとする。また、A点、B点、C点と補間対象のX点の距離をそれぞれLa、Lb、Lcとする。このとき、X点のCO2濃度の補間値Cxは、以下の式で求めることができる。
【0084】
【数1】
【0085】
したがって、測定をしていない地点でも、近隣の測定点よりCO2濃度を補間算出して表示することができる。
【0086】
(2C)CO2環境計測値の標高断面表示
図10はCO2濃度の標高断面の表示例を示す。地図上で指定された任意の2点A,Bをマウスでクリックすることにより、その2点を結ぶ直線上の標高断面図を表示し、この標高断面図上の各標高位置にCO2濃度を色の違いで表示する。このCO2濃度の標高断面図の表示は、図11に示すCO2濃度の標高断面図の表示処理フローに従って処理する。
【0087】
(S21)データ閲覧用PC400のマウスでクリックされた地図上の2点A,Bの位置情報(緯度、経度)をサーバ300が取得する(クリックされた地点の位置情報の取得には、地図サービスで提供されているAPIを使用する)。
【0088】
(S22)サーバ300は上記2点間を結ぶ直線上の複数点について、その位置情報を求める(地図サービスのAPIを使用する)。なお、複数点の個数や間隔(例えば10m間隔など)については、ユーザで設定可能とする。
【0089】
(S23)サーバ300は上記で求めた複数点の位置情報より、それぞれの点の標高を求める(地図サービスのAPIを使用する)。
【0090】
(S24)サーバ300は得られた複数点の標高値を直線で結び、標高断面図としてデータ閲覧用PC400上の画面に表示をする。
【0091】
(S25)さらに、サーバ300は、複数点の位置情報と、サーバ300のデータベースに保存されている計測点の位置情報(GPSにより取得した緯度、経度)と、時間情報から地図サービスで提供されているAPIを使用して2点間の距離を求め、この距離が短い計測点を複数点抽出する。なお、前記時間情報を基に、時系列で各々の同一時刻に距離計算を行うことにより測定点が移動しているか否かの区別をする必要は無い。さらにまた、同一時刻における近隣の計測点からCO2濃度を図8および図9で示すような補間方法で算出し、標高断面図上に色または濃淡表示する。
【0092】
したがって、計測地点の標高の違いによるCO2環境の違いを認識したCO2環境状態判定ができる。
【0093】
(2D)CO2環境計測値変化のアニメーション表示
例えば、計測位置・場所や環境、時刻によるCO2濃度の変化を、アニメーションで動的に表示する。
【0094】
例えば図12のように、複数個所で計測したCO2濃度を地図上にグラディエーション表示する。同図の表示例では、神社の森と商店街および道路が記された地図G1について、朝方の図G2では、朝の通勤ラッシュにより道路周辺のCO2濃度が高くなるが、森のCO2濃度は低いままであることを色の違い(赤色は高濃度、青色は低濃度)で表示する。さらに、昼の図G3では、道路の交通量が減り、若干CO2濃度が下がり、商店街では人が出てCO2濃度が上がり、森のCO2濃度も若干上昇する。さらにまた、夜の図G4では、道路の交通量がほとんどなくなってCO2濃度が下がり、商店街や森のCO2濃度も下がる。なお、測定していない箇所の濃度は近隣の測定点より算出して補完する。
【0095】
このように、時刻の経過に合わせてグラディエーションを移動することにより、CO2濃度の変化を動的に表示する。これにより、CO2環境を変化させるCO2濃度などのCO2環境要因の発生源や消費源が目で見て直感的に推定できるようになる。
【0096】
図13は、CO2濃度の時刻変化のアニメーション表示処理フローを示し、以下の手順とする。
【0097】
(S31)サーバ300は、APIを用いてデータ閲覧用PC400上の地図画面上の4角の位置情報(緯度、経度)を取得し、測定点を含む領域をメッシュに分割する。メッシュの間隔(例えば5m間隔など)はユーザで設定可能とする。図13は測定領域のメッシュ分割の例を測定点A,B,Cと共に示す。
【0098】
(S32)分割した個々のメッシュについて、以下の方法でCO2濃度を求める。
サーバ300は、分割したメッシュの位置情報と、サーバ300のデータベースに保存されている測定点A、B、Cの各々の位置情報(GPSにより取得した緯度、経度)を取得し、メッシュ内に測定点A、B、Cが存在するか否かを計算する。
【0099】
・図14の「測定点A」、「測定点B」、「測定点C」のように、メッシュ内に測定点が存在する場合、サーバ300は、測定点のCO2濃度をそのメッシュのCO2濃度とする。
【0100】
・図14の「メッシュX」のように、メッシュ内に測定点が存在しない場合は、サーバ300は近隣の計測点(例えば、図14の「測定点A」、「測定点B」、「測定点C」)より補間算出して、そのメッシュのCO2濃度とする。なお、補間値の算出には、前記の図8および図9で説明した方式とする。
【0101】
(S33)サーバ300は、上記(S32)の処理を、測定開始時刻から測定終了時刻の間の測定データについて繰り返し実行する。
【0102】
(S34)上記(S32,S33)により、サーバ300は、全てのメッシュに対して、時系列のCO2濃度を求める。
【0103】
(S35)サーバ300は、各メッシュをCO2濃度に対応する色で塗りつぶし、データ閲覧用PC400上で時系列に表示変化させることでアニメーション表示を行う。
【0104】
なお、メッシュの間隔が大きいとモザイク表示のようになるが、メッシュの間隔を小さくすることにより、グラディエーションに近い表示が可能となる。
【0105】
(3)シミュレーション
図1に示す構成のCO2環境計測システムにおけるCO2環境要因の発生源/消費源を追加設定した場合のCO2環境計測値変化のシミュレーションをCO2濃度の場合で以下に説明する。
【0106】
測定したCO2濃度データを基に、CO2発生源/消費源を追加することにより、場所や時刻によるCO2濃度の変化をシミュレーションすることで、都市の緑化計画の成果シミュレーションなどに有効となる。
【0107】
図15はCO2濃度変化のシミュレーション処理フローを示し、以下の手順で実現する。
【0108】
(S41)データ閲覧用PC400からCO2発生源(または消費源)の情報をパラメータとして設定する。設定されたパラメータはサーバ300に送信される。設定する項目を以下に示す。
【0109】
・時刻毎のCO2発生量(または消費量):発生量は+ppm、消費量は−ppmで設定する。
【0110】
・距離による減少率:発生源もしくは消費源から離れることにより、発生量もしくは消費量が減少する割合を指定する。例えば、5%/mと指定すると、1m離れると5%減少することを示す。
【0111】
(S42)データ閲覧用PC400から地図上の任意の地点をマウスでクリックすることにより、発生源(または消費源)を指定する。また、クリックされた点の位置情報(緯度、経度)をサーバ300が取得する(クリックされた地点の位置情報の取得には、地図サービスで提供されているAPIを使用する)。
【0112】
(S43)指定されたCO2発生源(または消費源)の近隣の計測点について、以下の処理を行う。
【0113】
・サーバ300は、データベースに保存されている計測点の位置情報(GPSにより取得した緯度、経度)と時間情報から、地図サービスで提供されているAPIを使用して、計測点と発生源(または消費源)との距離を求める。なお、前記時間情報を基に、時系列で各々の同一時刻に距離計算を行うことにより測定点が移動しているか否かの区別をする必要が無くなる。
【0114】
・サーバ300は、計測点のCO2濃度の実測値、計測点と発生源(または消費源)との距離による減少率、パラメータで設定された当該時刻における発生源(または消費源)のCO2発生量(または消費量)より、計測点におけるCO2濃度のシミュレーション値を求める。このときの計算式を以下に示す。
【0115】
Cs=Cm+(1−(R*L/100))*Co
ただし、R*Lの値が100以上の場合は、Cs=Cmとする。
【0116】
Cs:計測点におけるCO2濃度のシミュレーション値(ppm)
Cm:計測点のCO2濃度の実測値(ppm)
L:計測点と発生源(または消費源)との距離(m)
R:距離による減少率(%/m)
Co:発生源(または消費源)のCO2発生量(または消費量)(ppm)
(S44)サーバ300は、上記(S43)の処理を、CO2環境の測定開始時刻から測定終了時刻の間の測定データについて繰り返し実行する。
【0117】
(S45)上記(S43,S44)の繰り返し処理により、サーバ300は、全ての計測点について時系列のCO2濃度シミュレーション値を求める。
【0118】
(S46)サーバ300は、上記(S45)で求めた時系列のCO2濃度シミュレーション値を使用し、データ閲覧用PC400上で時系列に表示変化させることでアニメーション表示を行う。
【0119】
図16はCO2消費源の追加によるシミュレーション結果の画像例を示す。同図において、神社の森と商店街および道路が記された地図G1において、空き地を緑地化(CO2消費源の追加)した場合のCO2濃度シミュレーション値は、空き地の緑地化前の画像G2では道路のCO2濃度は消費源の追加前と同じであるが、空き地の緑地化後の画像G3では空き地近辺の道路のCO2濃度が低下したアニメーション表示となる。
【0120】
なお、各データ表示およびシミュレーションは、サーバ300にその機能を持たせる他に、データ収集用PC200にも一部のデータ加工処理機能およびシミュレーション機能を持たせることもできる。また、データ収集用PC200をデータ閲覧用PC400と同様の機能、すなわちサーバ300で加工処理したデータ表示を可能とすることもできる。
【符号の説明】
【0121】
100 CO2環境測定器
200 データ収集用PC(パソコン)
300 サーバ
400 データ閲覧用PC(パソコン、携帯電話、携帯端末など)
11 CO2センサ
12 温度センサ
13 湿度センサ
14 GPSモジュール(受信機)
15 無線モジュール(送受信機)
16 無線アンテナ
17 マイコン
18 二次電池
19 太陽電池
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中のCO2濃度などのCO2環境を計測し、この計測データを情報処理装置(コンピュータ)に収集・表示およびCO2環境科学研究・開発に有効利用するためのCO2環境計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の計測システムとして、現在地における様々な情報を位置情報と共に取得して送信する情報取得装置と、情報通信ネットワークを介して受信した位置情報を取得情報に関連付けて登録する情報収集装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
他の計測システムとして、住宅やオフィスにおける環境を簡単かつ正確に測定する、USBモジュール型のCO2およびO2測定装置、および環境モニタリングシステムがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−265378号公報
【特許文献2】特開2009−145059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(1)特許文献1によるシステム、装置では以下の問題がある。
【0006】
・収集データの送信に電子メールを想定しており、リアルタイムの情報収集が不可能である。
【0007】
・商用の情報通信ネットワークを利用するため、測定装置毎に通信費が発生する。
【0008】
・様々な情報を取得可能と記載されているが、その情報源には既存の機器を想定しており、測定装置との接続は容易ではないと思われる。
【0009】
・総じて、システム、装置を実施するには解決しなければならない技術的課題が多く、また、システム的にも大掛かりなものになるため、費用対効果を考慮すると、実施は容易ではないと思われる。
【0010】
(2)特許文献2によるシステム、装置では以下の問題点がある。
【0011】
・住宅やオフィスなど屋内の計測を想定しており、屋外での長期間の計測にはその保守管理に多くの手間がかかる。
【0012】
・USBインターフェースにより計測データの取り込みを行うため、簡便な反面、計測装置とパソコンを必ずセット(1組)で使用しなければならない。このため、多点同時計測には多数のパソコンを用意する必要があり、システムが大型化・高価になる。
【0013】
・屋内での計測を想定しているにもかかわらず、GPSにより位置情報を取得している。しかし、基本的に屋内でのGPS測位は不可能であるため、地図上に測定データを表示することはできない。
【0014】
・CO2センサをUSBモジュールに組み込もうとしているが、現時点ではそのような超小型のCO2センサは存在せず、実現は困難と思われる。
【0015】
(3)その他の問題点
・CO2センサの校正には標準ガス(0、400、1600、3000ppmなど)を使用する方法が一般的であるが、手間もコストも掛かる。
【0016】
・CO2測定システムは十万円〜数百万円の範囲で製品化されており、一般的に大型で高価である。
【0017】
・測定したCO2濃度を地図上やグラフで表示するシステムは存在するが、静的な可視化が多く、CO2濃度の変化を動的に可視化できるようなシステムは存在しない。
【0018】
・測定したCO2濃度を基に、CO2発生源の推定や、CO2発生源/消費源の追加によるシミュレーション機能を備えたシステムは存在しない。
【0019】
本発明の目的は、システムの小型化・低価格化を図りながら的確にCO2環境を計測し、この計測データを基に環境状態判定・環境変化推定などの環境科学研究・開発に容易に有効利用できるCO2環境計測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、前記の課題を解決するため、CO2環境測定装置は、環境計測領域に分散配置したCO2環境測定器で計測データの取得およびGPSによる測定位置情報を取得し、各CO2環境測定器の計測データをそのままノートパソコンなどの小型のデータ収集用PCに無線でリアルタイムデータとして送信し、さらにはCO2環境測定器側で計測データの補正・校正などの計測データ適正化処理をしてデータ収集用PCに送信しておく構成とし、
CO2環境測定データ利用装置は、データ収集用PCで適正化した計測データがインターネット経由でサーバに送信されたときに、サーバ側で計測データをデータベース化しておき、データ閲覧用PCからインターネット経由でサーバに計測データの閲覧が要求されたときに、サーバが閲覧要求に応じて計測データを加工処理してデータ閲覧用PCに送信する構成とし、さらにはサーバでは計測データを使ったCO2環境変化などのシミュレーションを行い、データ閲覧用PCではサーバからの計測データを基に環境状態判定・環境変化推定などの環境科学研究・開発に有効利用できる構成とするもので、以下のCO2環境計測システムを特徴とする。
【0021】
(1)大気中のCO2濃度などのCO2環境を計測し、この計測データの収集・表示およびCO2環境科学研究・開発に有効利用するためのCO2環境計測システムであって、
環境計測領域に分散配置したCO2環境測定器で計測データの取得およびGPSによる測定位置情報を取得し、各CO2環境測定器の計測データをそのままデータ収集用PCに無線でリアルタイムデータとして送信しておくCO2環境測定装置と、
前記データ収集用PCに収集した計測データがインターネット経由でサーバに送信されたときに、該計測データをデータベース化しておき、インターネット経由で前記計測データの閲覧が要求されたときに、この要求に応じて計測データを加工処理して該データ閲覧用PCに送信するCO2環境測定データ利用装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0022】
(2)前記CO2環境測定器は、二次電池と太陽光で発電して二次電池を充電する太陽電池を電源とし、一定期間の測定時のみ該電源で駆動し、測定していない間は前記CO2環境測定器内のCPUを停止させて平均消費電流を抑える省電力手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
(3)前記CO2環境測定器は、温度センサを搭載しておき、測定したCO2環境計測データについて、前記温度センサによる測定温度を基に該計測データの補正演算を行っておく温度補正手段を備えたことを特徴とする。
【0024】
(4)前記温度補正手段は、冷蔵庫を利用し、低温時と高温時のCO2環境測定器の測定データから温度依存特性を求めておき、この特性を基に前記CO2環境測定器の測定値を補正する適正化処理手段を備えたことを特徴とする。
【0025】
(5)前記温度補正手段は、標準ガスの既知のCO2濃度C(cal)と前記CO2センサの出力値Cmの関係を3次式程度の多項式で近似しておき、温度による前記CO2センサの出力値Cmの変化を2次式程度で近似して温度補正を行う適正化演算手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
(6)CO2発生源がなく比較的濃度が一定となる位置に前記CO2環境測定器を設置し、CO2濃度を清浄大気中のCO2濃度に設定して該CO2環境測定器の計測値を校正する校正手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
(7)前記CO2環境測定器は、測定した計測データを時系列に保存するフラッシュメモリを備え、無線が使用できない環境でもCO2環境測定器単体でのデータの収集を行うデータ収集手段を備えたことを特徴とする。
【0028】
(8)前記サーバまたは前記データ収集用PCは、前記CO2環境測定装置により測定したCO2環境計測値と計測点のデータを基に、観測地域の地図上にCO2環境計測値を重ね合わせた表示でその確認を可能にするデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする。
【0029】
(9)前記サーバは、
CO2環境計測値の違いを色で区別した点画像で表示する手段と、
CO2環境測定器を移動させた場合は移動経路に直線を引いて表示する手段と、
地図上に指定した位置を解析点とし、画面上の計測値グラフには解析点近隣のCO2環境測定点でのCO2環境計測値を補間算出し、この補間算出したCO2環境計測値の時刻変化を折れ線グラフで表示する手段と、
のうち、少なくとも1つのデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする。
【0030】
(10)前記サーバは、地図上で指定された前記解析点に表示するCO2環境計測値は、近隣の測定点で測定したCO2環境計測値により補間算出して表示するデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする。
【0031】
(11)前記サーバは、地図上で指定された任意の2点A,Bを結ぶ直線上の標高断面図を表示し、この標高断面図上の各標高位置にCO2環境計測値を色の違いで表示するデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする。
【0032】
(12)前記サーバは、CO2環境計測位置・場所や環境、時刻によるCO2環境計測値の変化を、アニメーションで動的に表示するデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする。
【0033】
(13)前記サーバは、環境計測領域に、CO2環境要因の発生源または消費源を追加設定した場合のCO2環境計測値変化をシミュレーションするシミュレーション処理手段を備えたことを特徴とする。
【0034】
(14)前記シミュレーション処理手段は、
前記CO2環境要因の発生源または消費源の発生量または消費量情報と、発生源または消費源から離れることによる発生量または消費量の減少割合情報をパラメータとして設定する手段と、
前記CO2環境要因の発生源または消費源を、地図上の任意の地点に指定したときの位置情報(緯度、経度)を求める手段と、
前記指定されたCO2環境要因の発生源または消費源の近隣のCO2環境計測点について、前記位置情報より計測点と発生源または消費源との距離を求め、計測点のCO2環境要因の実測値、計測点と発生源または消費源との距離による減少率、発生源または消費源のCO2環境要因の発生量または消費量より、計測点におけるCO2環境要因のシミュレーション値を求める手段と、
上記のシミュレーション値を求める処理を、CO2環境の測定開始時刻から測定終了時刻の間の測定データについて繰り返し実行する手段と、
上記繰り返し処理により、全ての計測点について時系列のCO2環境計測値のシミュレーション値を求めてアニメーション表示する手段と、
を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態になるCO2環境計測システムの全体構成図。
【図2】CO2環境測定器100の内部構成図。
【図3】CO2環境測定器100の外観図。
【図4】CO2センサの簡易補正処理フロー。
【図5】CO2センサの簡易校正処理フロー。
【図6】データ閲覧用PC400によるCO2濃度測定結果の表示例。
【図7】データ閲覧用PC400によるCO2濃度測定結果の表示処理フロー。
【図8】CO2濃度計測値の補間処理フロー。
【図9】CO2濃度計測値の補間値の算出例。
【図10】CO2濃度の標高断面の表示例。
【図11】CO2濃度の標高断面図の表示処理フロー。
【図12】CO2濃度のグラディエーション表示例。
【図13】CO2濃度の時刻変化のアニメーション表示処理フロー。
【図14】測定領域のメッシュ分割の例。
【図15】CO2濃度変化のシミュレーション処理フロー。
【図16】CO2消費源の追加によるシミュレーション結果の画像例。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、CO2環境計測システムの全体構成を示す。CO2環境計測システムは、CO2環境測定装置とCO2環境測定データ利用装置で構築される。
【0037】
CO2環境測定装置は、環境計測領域に分散配置したCO2環境測定器と各CO2環境測定器からの出力データを無線通信回線を介して収集するデータ収集用PCから構成される。
CO2環境測定データ利用装置は、データ収集用PCで収集した各CO2環境測定器からの出力データをインターネットを介してデータベースへ保存するサーバとインターネットを介してサーバの諸機能を利用するデータ閲覧用PCから構成される。
CO2環境測定器100は、CO2環境の測定部位として定められた各位置に設置または移動され、その位置におけるCO2濃度、温度、湿度などを自動的に連続的または定期的に計測した後、計測した温度や湿度によりCO2濃度計測値の適正化処理を行う。さらにCO2環境測定器100は、GPSを利用し時刻情報(計測日時情報)と計測位置情報を抽出した後、CO2環境情報(適正化処理後のCO2濃度)と属性情報(CO2環境測定器番号、計測位置情報、計測日時情報)をCO2環境測定器100の出力データとして、データ収集用PC200へ無線送信する。なお、ZigBeeなどのマルチホップ/メッシュ型の無線ネットワークを採用した場合、CO2環境測定器100の出力データは、複数の他CO2環境測定器100を経由してデータ収集用PC200へ送信される。
データ収集用PC200は、各CO2濃度測定器100からの出力データを公衆または専用の無線通信回線を介して受信し、各CO2濃度測定器100からの出力データの収集・保存・送信・簡易表示を可能とする。また、データ収集用PC200に保存された各CO2濃度測定器100からの出力データはインターネットを介してサーバ300に送信され、サーバ300のデータベースに蓄積される。
サーバ300は、データ収集用PC200に保存された各CO2濃度測定器100からの出力データをインターネットを介してデータベースに蓄積する。また、サーバ300はデータベースに蓄積した各CO2濃度測定器100からの出力データを基に計測点表示・補間処理・標高断面表示などのデータ加工処理を行うデータ加工処理機能とCO2環境変化などのシミュレーションを行うシミュレーション機能を持つ。これらの機能は、データ閲覧用PCからインターネットを介してサーバ300に計測データ(CO2濃度測定器100からの出力データの内、CO2濃度測定器番号以外のデータ)の閲覧要求に応じて起動し、データ加工処理結果、または、シミュレーション結果をインターネットを介してデータ閲覧用PC400へ送信することにより終了する。
【0038】
データ閲覧用PC400は、インターネットを介してサーバ300に計測データの閲覧要求を行い、サーバ300からインターネットを介してデータ閲覧用PC400へ送信されるデータ加工処理結果、または、シミュレーション結果を受信し、データ閲覧用PC400上に表示する。
【0039】
このようなCO2環境計測システムは、データ収集用PC200やサーバ300などを構成するコンピュータ資源を利用したソフトウェアの搭載によってその機能を実現し、システムの小型化・低価格化を図りながらCO2環境の計測を的確にし、サーバとインターネット経由で接続できる環境にあるデータ閲覧用PC400では、いつでもどこでも計測データを閲覧することができ、CO2環境状態判定・環境変化推定などの環境科学研究・開発に有効利用できる。具体的には、地球温暖化の原因とされるCO2の削減等に寄与するための以下の分野での利用ができる。
【0040】
・低炭素社会実現のための環境教育分野
・CO2削減対策の基礎データとなる定点測定・移動測定による研究分野
・建設施工分野におけるCO2測定
・省CO2型都市計画の基礎データ測定
・炭酸ガス施用による栽培・園芸などの農業分野
以下、CO2環境測定装置とCO2環境測定データ利用装置について詳細に説明する。
【0041】
(1)CO2環境測定装置
図2は、CO2環境測定器100の構成図である。CO2環境測定器100は、その設置位置でのCO2濃度と温度および湿度を測定するため、CO2センサ11と温度センサ12と湿度センサ13を搭載する。さらに、GPS電波を受信するためのGPSモジュール(受信機)14と、計測データ等をデータ収集用PC200側に送信するための無線モジュール15および無線アンテナ16と、各センサの計測値取得処理とGPSデータの取得処理及びこれらデータによる適正化処理をして無線送信処理をするマイコン17と、温度補正・校正操作スイッチ17A、17Bおよび測定データ保存用のフラッシュメモリ17Cを搭載する。さらにまた、各構成要素に必要な電源を無停電供給する二次電池18と太陽電池19を搭載する。
【0042】
CO2環境測定器100に搭載されるマイコン17は、GPSモジュール14、CO2センサ11、温度センサ12、湿度センサ13からのデータを取り込みマイコン内部メモリ(図示せず)に保存する。さらにマイコン17は、マイコン内部メモリに保存されたCO2濃度測定データを同時に測定されマイコン内部メモリに保存された温度データにより後述する適正化処理を行い、適正化処理後のCO2濃度測定データと温度データと湿度データと日付・時刻データと位置情報(緯度、経度、標高)データを、フラッシュメモリ17Cへ保存する。さらにまた、マイコン17は、フラッシュメモリ17Cに保存された温度データと湿度データと適正化処理後のCO2濃度測定データと日付・時刻データと位置情報(緯度、経度、標高)データと予めマイコン内部フラッシュメモリに記憶された環境測定機器番号を読み出し、CO2環境測定機器100の出力データとして無線モジュール15を介しデータ収集用PC200または他CO2環境測定機器100に送信する。マイコン17は、以上の処理を一定周期で実行する。
【0043】
また、測定データをフラッシュメモリ17Cへ時系列に保存することで、無線が使用できない環境でもCO2環境測定器単体でのデータの収集を可能とする。また、CO2環境測定器100の出力データは無線を利用してデータ収集用PC200または他CO2環境測定機器100に送信するため、CO2環境測定器100の設置場所が制限されることなく、移動測定も可能である。
【0044】
このように、CO2環境測定器100とデータ収集用PC200により構成するCO2環境測定装置は以下の有効な機能を実現できる。
【0045】
(1A)CO2環境測定装置の小型化・低価格化
近年、センサモジュールやマイコン、無線モジュールの小型化/低価格化が進み、入手も容易になった。これらの部品を上手く組み合わせることにより、図2に示す各回路要素を実現し、小型で安価なCO2環境計測器を製作できる。
【0046】
これにより手のひらサイズ(葉書大:100×150mm)で、重質量は500g以下のCO2環境測定装置が実現でき、人が容易に持ち運んで移動測定を行うことが可能となる。これらCO2環境測定器100に無線回線で結合するデータ収集用PC(パソコン)200を組み合わせることで、CO2環境測定装置の小型化・低価格化を実現できる。
【0047】
なお、計測目的によっては、温度センサや湿度センサを省いた構成、さらには太陽電池を省いた構成とすることで一層の低価格化を図ることができる。
【0048】
(1B)省電力対応
CO2環境測定器100は屋外での一定期間の定点観測を考慮し、二次電池18での駆動時間は1週間とする。これを実現するため、CO2環境計測器としての平均消費電流を60mA以下とし、測定していない間はマイコン17をスリープさせて平均消費電流を抑える。なお、マイコン17のスリープ解除の条件は、一定期間到達後、または、他CO2環境計測器からの出力データ中継要求(ZigBeeなどのマルチホップ/メッシュ型の無線ネットワーク採用時)有りの場合である。
【0049】
また、太陽電池19を併用する場合、昼間に二次電池18を充電することで駆動時間の延長を図ることができる。さらに、二次電池18にはニッケル水素やリチウムイオンなどのエネルギー密度の高い電池を使用してその小型化を図ることができる。
【0050】
(1C)長距離伝送対応、多点同時計測対応
比較的広範囲でCO2環境情報の分布を同時計測するため、CO2環境測定器100の最大伝送距離と同時計測点数は以下の仕様とし、比較的長い距離間隔で少ない個数を分散配置し、CO2環境測定装置としての全体構成の小型化、低価格化を図る。
【0051】
最大伝送距離:1km
同時計測点数:20点
これを実現するため、ZigBeeなどの低消費電力で、マルチホップ/メッシュ型の無線ネットワークを採用する。
【0052】
(1D)CO2環境測定器100の出力データ項目
CO2環境測定器100の出力データ項目を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
計測間隔は1分〜120分の範囲で設定可能である。計測間隔毎に、上記CO2環境測定器100の出力データ項目がフラッシュメモリ17Cに保存されると同時に、または一定時間だけデータを集積して、間欠的にデータ収集用PC200に無線送信する。
【0055】
したがって、少ない計測点でかつ最小限のCO2環境測定器100の出力データ項目にしておき、この計測データをフラッシュメモリ17Cに一次保存しておき、これらを集積してデータ収集用PC200に間欠的に送信することで、計測データの収集を簡易にかつ効率良く行うことができる。
【0056】
(1E)簡易補正対応
CO2センサ11は、その使用環境での温度、気圧、湿度によって出力変動があるため、補正によって適正化した計測データを得る。このうち、測定精度に与える影響が大きい温度変化によるCO2センサ11の出力変動について、CO2環境測定器100に搭載している温度センサ12の出力値を基に内部のマイコン17で補正演算を行い、CO2センサ11の出力変動を補正する。なお、同じ機種のCO2センサでも、センサ個体ごとに温度特性が異なることがあるため、CO2センサ個々に特性を簡易に補正可能であり、その保守管理を容易にする。
【0057】
具体的には、一般利用者が冷蔵庫を利用し、低温時と高温時のCO2環境測定器100の測定データから温度依存性を求めておく。これら操作は、スイッチ17Aの操作を元にマイコン17に記憶させ、そのデータを基にCO2環境測定器100の測定値を補正する。
【0058】
ところで、赤外線を利用したNDIR方式(Non−dispersive infrared:非分散型赤外線吸収方式)のCO2センサの場合、ハードウェアが原因で出力に含まれる誤差としては、光源(LED)、光を反射する筐体表面の状態、CO2吸収光を分光するフィルタ、出力信号処理用アナログ回路が考えられる。また、測定時の環境による誤差の原因としては温度、気圧、湿度が考えられる。
【0059】
前者は複合的要因で、センサ個体ごとの出力値の違いになる。この誤差を補正するために、標準ガスの既知のCO2濃度C(cal)とCO2センサの出力値Cmの関係を以下の多項式で近似する。
【0060】
C(cal)=a1+a2*Cm+a3*Cm2+a4*Cm3+a5*Cm4+a6*Cm5+…+an*Cmnー1 (1)式
n次式までの多項式を採用するかはセンサの機種によるが、3次式までの演算で済むものが多い。例えば、あらかじめ、2点校正、あるいは3点校正で、定数a1、a2、a3を機種ごとに決めて、マイコンに記憶させることで、Cmから予測値C(cal)を求めることができる。なお、この校正に関しては、一般ユーザでの実施は不可能なので、工場出荷時に実施する。
【0061】
一方、温度による出力変動は、温度によるCmの変化を測定して、Cmの温度による以下の近似式を用いる。
【0062】
Cm_t=t1+t2*T+t3*T2+t4*T3+t5*T4+t6*T5+…+tn*Tn-1 (2)式
例えば、簡易に補正を行うため、1次式(直線近似)Cm_t=t1+t2*Tで表すとして、冷蔵庫低温Tlowのときのセンサ出力値Cm_tlow、冷蔵庫高温Thighのときのセンサ出力値Cm_thighとして、t1とt2を算出して、センサ出力の温度補正値Cm_tを求め、上記の(1)式のCmに入れることにより、下記の(3)式によって温度補正係数を求める。
【0063】
t2=(Cm_thigh−Cm_tlow)/(Thigh−Tlow) (3)式
補正係数を記憶させる際には、測定器の温度補正スイッチ17Aを用いる。このスイッチは3接点のスイッチで、OFF(通常計測)/低温補正/高温補正の3つのポジションがある。通常はOFF(通常計測)のポジションで使用する。
【0064】
図4はCO2センサの簡易補正処理フローを示し、補正係数をマイコンに記憶させる際には、スイッチを低温補正ポジションに設定し、低温に設定した冷蔵庫に測定器を入れる。その後一定時間経過すると、低温時の温度とCO2センサ出力値をマイコンが記憶する(S54)。次に、冷蔵庫を高温に設定し、測定器のスイッチを高温ポジションに設定する。その後一定時間経過すると、高温時の温度とCO2センサ出力値をマイコンが記憶し(S57)、先に記憶した低温時の温度とCO2センサ出力値を使用し、補正係数のt1とt2を求め、記憶する(S58)。その後、スイッチをOFF(通常計測)に戻すことにより、更新された補正係数を用いた温度補正が実施され、保守管理も容易になる。
【0065】
(1F)簡易校正対応
厳密な意味での校正を行うためには、標準ガスを用いて前出の多項式近似における定数を再計算し、マイコンに記憶させる必要がある。計測データの適正化処理として、一般ユーザが容易にCO2センサを校正できるよう、標準ガスを使用することなく校正できるようにし、その保守管理を容易にする。
【0066】
具体的には、清浄大気中のCO2濃度が400ppmであることを利用し、近くにCO2発生源がなく比較的濃度が一定となる緑地へCO2環境測定器を持ち込み、校正スイッチ17Bを押すだけでCO2環境測定器のCO2濃度計測値を400ppmに設定してCO2環境測定器100の計測値を校正する。
【0067】
図5はCO2センサの簡易校正処理フローを示し、緑地へ計測器を持ち込んで校正スイッチ17Bを押下したときのCO2センサの測定値を求め(S1,2)、この測定値と400ppmの差分を補正値としてフラッシュメモリに保存しておく(S3)。その後、CO2センサを測定部位に設置し、その測定値を求め、この測定値に補正値を加算して実際の測定値とする(S4,S5)。
【0068】
例えば、校正スイッチ17Bを押したときのCO2センサの測定値(前出の補正後の値)が500ppmであった場合、400ppmとの差分(つまり、−100ppm)を補正値として記憶する。その後は、CO2センサの測定値に補正値を加算することにより、実際のCO2濃度を求める。ただし、多項式近似の定数を再計算せずに、単純にCO2センサの測定値(前出の補正後の値)との差分で簡易的に補正を行うため、厳密な意味での校正ではない。そのため、この方法では誤差が20ppm程度発生するが、実用上問題ないレベルである。
【0069】
(2)CO2環境計測データ利用装置
図1に示す構成のCO2環境計測システムにおけるCO2環境計測データを環境科学研究・開発に有効利用するためのデータ加工処理は、サーバ300がその機能を負担するが、データ収集用PC200にも一部の機能をもたせることも可能である(図1のデータ収集用PC200には図示しない)。これらデータ加工処理の詳細を以下に説明する。なお、以下に説明する各データ加工処理を実現するための情報処理は、公知の技術を利用できる場合はそれを利用することができるが、公知でない技術は適宜開発し得るものである。
【0070】
(2A)CO2濃度計測値と計測点の表示
CO2環境測定装置により無線通信とCO2センサを利用して大気中のCO2濃度を測定し、データ収集用PC200へ保存された計測結果は、データ収集用PC200で表示可能である。また、CO2環境計測器100にはGPSモジュール14が搭載してあるため、CO2濃度測定位置とその位置でのCO2濃度をデータ収集用PC200等に表示する地図上に重ね合わせた表示でその確認可能にする。さらにまた、前記計測結果は、データ収集用PC200からインターネットを介してサーバ300のデータベースに保存し、インターネットに接続したデータ閲覧用PC(パソコン、携帯電話、携帯端末など)400で測定結果を閲覧可能にする。
【0071】
図6はデータ閲覧用PC400によるCO2濃度測定結果の表示例を、図7はその処理フローを示す。画面左側の地図には測定した位置にCO2濃度の違いを色で区別した点画像(丸印)が表示される。また、CO2環境測定器100を移動させた場合は移動経路に直線を引いて示す。測定器の移動がない場合、点画像は移動しない。さらにまた、画面右側にはCO2環境計測値の時刻変化を折れ線グラフで表示する。
【0072】
図7の処理フローを以下の手順で実現する。
(S61)データ閲覧用PC400のマウスまたはキーボードより、データ閲覧用PC400の画面に表示する地図エリアを指定する。
【0073】
(S62)サーバ300は、指定地図エリアに対応する4角の位置情報(緯度、経度)を取り込み、指定エリア内に存在するCO2環境測定器100の機器番号をサーバ300のデータベースから抽出する。
【0074】
(S63)サーバ300は、取り込んだCO2環境測定器番号のCO2環境測定器についてその位置情報と時刻情報、及び、CO2濃度データをサーバ300のデータベースから抽出する。
【0075】
(S64)サーバ300は、取り込んだCO2環境測定器番号のCO2環境測定器における位置情報と時刻情報とから一定時間ごとにおける位置情報変化の有無を判断し、位置情報が変化している区間(移動している区間)に対し移動フラグをセットする。
【0076】
(S65)サーバ300は、CO2濃度データと予め設定されたCO2濃度範囲と色指定の対応表(図示しない)を参照し、CO2濃度の表示色を選択する。
【0077】
(S66)サーバ300は、指定エリア内に存在する全てのCO2環境測定器番号のCO2環境測定器に対し(S63)〜(S65)を繰り返す。
(S67)サーバ300は、指定エリア内に存在する全てのCO2環境測定器の機器番号、位置情報、時刻情報、移動フラグ、及び、表示色をデータ閲覧用PC400へ送信する。
(S68)データ閲覧用PC400は、受信したCO2環境測定器の位置情報、時刻情報を基に表示色を画面に表示させ、移動フラグがセットされている区間に対してはその区間の両端を直線で描画する。
【0078】
この例のように、測定結果を地図上に表示するには、Google MapsやYahoo! Mapsなどの地図サービスを利用する。これらの地図サービスで提供されているAPI(Application Program Interface)を利用すれば、GPSで得られた位置情報を元に、地図上に測定値を表示したり、移動の経路を表示することができる。さらに、地図上に任意の図形を描画することもできる。なお、CO2濃度を色で表した点を表示する代わりに、点の大きさでCO2濃度を表示しても良い。
【0079】
(2B)CO2環境計測値の補間処理
地図上で指定された任意の解析点におけるCO2濃度などのCO2環境計測値の表示は、近隣の測定点で測定したCO2環境計測値により補間算出するデータ加工処理をする。図8はCO2濃度計測値の補間処理フローを示し、以下の手順で実現する。
【0080】
(S11)データ閲覧用PC400のマウスでクリックされた地図上の地点の位置情報(緯度、経度)をサーバ300が取得する(クリックされた地点の位置情報の取得には、地図サービスで提供されているAPIを使用する)。
【0081】
(S12)取得した位置情報より、近隣の測定点を数点抽出する。マウスでクリックした位置(緯度、経度)と、サーバ300のデータベースに保存されている計測点の位置情報(GPSにより取得した緯度、経度)と時間情報から、地図サービスで提供されているAPIを使用して2点間の距離を求める。この距離が短い計測点を数点抽出する。なお、前記時間情報を基に、時系列で各々の同一時刻に距離計算を行うことにより測定点が移動しているか否かの区別をする必要が無くなる。
【0082】
(S13)抽出した近隣の計測点より、要素内補間により同一時刻における補間値を算出する。例えば、近隣の計測点が3点の場合の補間値の算出は図9を参照して説明する。
【0083】
図9において、抽出した同一時刻における近隣の計測点をA点、B点、C点とし、各計測点のCO2濃度計測値をそれぞれCa、Cb、Ccとする。また、A点、B点、C点と補間対象のX点の距離をそれぞれLa、Lb、Lcとする。このとき、X点のCO2濃度の補間値Cxは、以下の式で求めることができる。
【0084】
【数1】
【0085】
したがって、測定をしていない地点でも、近隣の測定点よりCO2濃度を補間算出して表示することができる。
【0086】
(2C)CO2環境計測値の標高断面表示
図10はCO2濃度の標高断面の表示例を示す。地図上で指定された任意の2点A,Bをマウスでクリックすることにより、その2点を結ぶ直線上の標高断面図を表示し、この標高断面図上の各標高位置にCO2濃度を色の違いで表示する。このCO2濃度の標高断面図の表示は、図11に示すCO2濃度の標高断面図の表示処理フローに従って処理する。
【0087】
(S21)データ閲覧用PC400のマウスでクリックされた地図上の2点A,Bの位置情報(緯度、経度)をサーバ300が取得する(クリックされた地点の位置情報の取得には、地図サービスで提供されているAPIを使用する)。
【0088】
(S22)サーバ300は上記2点間を結ぶ直線上の複数点について、その位置情報を求める(地図サービスのAPIを使用する)。なお、複数点の個数や間隔(例えば10m間隔など)については、ユーザで設定可能とする。
【0089】
(S23)サーバ300は上記で求めた複数点の位置情報より、それぞれの点の標高を求める(地図サービスのAPIを使用する)。
【0090】
(S24)サーバ300は得られた複数点の標高値を直線で結び、標高断面図としてデータ閲覧用PC400上の画面に表示をする。
【0091】
(S25)さらに、サーバ300は、複数点の位置情報と、サーバ300のデータベースに保存されている計測点の位置情報(GPSにより取得した緯度、経度)と、時間情報から地図サービスで提供されているAPIを使用して2点間の距離を求め、この距離が短い計測点を複数点抽出する。なお、前記時間情報を基に、時系列で各々の同一時刻に距離計算を行うことにより測定点が移動しているか否かの区別をする必要は無い。さらにまた、同一時刻における近隣の計測点からCO2濃度を図8および図9で示すような補間方法で算出し、標高断面図上に色または濃淡表示する。
【0092】
したがって、計測地点の標高の違いによるCO2環境の違いを認識したCO2環境状態判定ができる。
【0093】
(2D)CO2環境計測値変化のアニメーション表示
例えば、計測位置・場所や環境、時刻によるCO2濃度の変化を、アニメーションで動的に表示する。
【0094】
例えば図12のように、複数個所で計測したCO2濃度を地図上にグラディエーション表示する。同図の表示例では、神社の森と商店街および道路が記された地図G1について、朝方の図G2では、朝の通勤ラッシュにより道路周辺のCO2濃度が高くなるが、森のCO2濃度は低いままであることを色の違い(赤色は高濃度、青色は低濃度)で表示する。さらに、昼の図G3では、道路の交通量が減り、若干CO2濃度が下がり、商店街では人が出てCO2濃度が上がり、森のCO2濃度も若干上昇する。さらにまた、夜の図G4では、道路の交通量がほとんどなくなってCO2濃度が下がり、商店街や森のCO2濃度も下がる。なお、測定していない箇所の濃度は近隣の測定点より算出して補完する。
【0095】
このように、時刻の経過に合わせてグラディエーションを移動することにより、CO2濃度の変化を動的に表示する。これにより、CO2環境を変化させるCO2濃度などのCO2環境要因の発生源や消費源が目で見て直感的に推定できるようになる。
【0096】
図13は、CO2濃度の時刻変化のアニメーション表示処理フローを示し、以下の手順とする。
【0097】
(S31)サーバ300は、APIを用いてデータ閲覧用PC400上の地図画面上の4角の位置情報(緯度、経度)を取得し、測定点を含む領域をメッシュに分割する。メッシュの間隔(例えば5m間隔など)はユーザで設定可能とする。図13は測定領域のメッシュ分割の例を測定点A,B,Cと共に示す。
【0098】
(S32)分割した個々のメッシュについて、以下の方法でCO2濃度を求める。
サーバ300は、分割したメッシュの位置情報と、サーバ300のデータベースに保存されている測定点A、B、Cの各々の位置情報(GPSにより取得した緯度、経度)を取得し、メッシュ内に測定点A、B、Cが存在するか否かを計算する。
【0099】
・図14の「測定点A」、「測定点B」、「測定点C」のように、メッシュ内に測定点が存在する場合、サーバ300は、測定点のCO2濃度をそのメッシュのCO2濃度とする。
【0100】
・図14の「メッシュX」のように、メッシュ内に測定点が存在しない場合は、サーバ300は近隣の計測点(例えば、図14の「測定点A」、「測定点B」、「測定点C」)より補間算出して、そのメッシュのCO2濃度とする。なお、補間値の算出には、前記の図8および図9で説明した方式とする。
【0101】
(S33)サーバ300は、上記(S32)の処理を、測定開始時刻から測定終了時刻の間の測定データについて繰り返し実行する。
【0102】
(S34)上記(S32,S33)により、サーバ300は、全てのメッシュに対して、時系列のCO2濃度を求める。
【0103】
(S35)サーバ300は、各メッシュをCO2濃度に対応する色で塗りつぶし、データ閲覧用PC400上で時系列に表示変化させることでアニメーション表示を行う。
【0104】
なお、メッシュの間隔が大きいとモザイク表示のようになるが、メッシュの間隔を小さくすることにより、グラディエーションに近い表示が可能となる。
【0105】
(3)シミュレーション
図1に示す構成のCO2環境計測システムにおけるCO2環境要因の発生源/消費源を追加設定した場合のCO2環境計測値変化のシミュレーションをCO2濃度の場合で以下に説明する。
【0106】
測定したCO2濃度データを基に、CO2発生源/消費源を追加することにより、場所や時刻によるCO2濃度の変化をシミュレーションすることで、都市の緑化計画の成果シミュレーションなどに有効となる。
【0107】
図15はCO2濃度変化のシミュレーション処理フローを示し、以下の手順で実現する。
【0108】
(S41)データ閲覧用PC400からCO2発生源(または消費源)の情報をパラメータとして設定する。設定されたパラメータはサーバ300に送信される。設定する項目を以下に示す。
【0109】
・時刻毎のCO2発生量(または消費量):発生量は+ppm、消費量は−ppmで設定する。
【0110】
・距離による減少率:発生源もしくは消費源から離れることにより、発生量もしくは消費量が減少する割合を指定する。例えば、5%/mと指定すると、1m離れると5%減少することを示す。
【0111】
(S42)データ閲覧用PC400から地図上の任意の地点をマウスでクリックすることにより、発生源(または消費源)を指定する。また、クリックされた点の位置情報(緯度、経度)をサーバ300が取得する(クリックされた地点の位置情報の取得には、地図サービスで提供されているAPIを使用する)。
【0112】
(S43)指定されたCO2発生源(または消費源)の近隣の計測点について、以下の処理を行う。
【0113】
・サーバ300は、データベースに保存されている計測点の位置情報(GPSにより取得した緯度、経度)と時間情報から、地図サービスで提供されているAPIを使用して、計測点と発生源(または消費源)との距離を求める。なお、前記時間情報を基に、時系列で各々の同一時刻に距離計算を行うことにより測定点が移動しているか否かの区別をする必要が無くなる。
【0114】
・サーバ300は、計測点のCO2濃度の実測値、計測点と発生源(または消費源)との距離による減少率、パラメータで設定された当該時刻における発生源(または消費源)のCO2発生量(または消費量)より、計測点におけるCO2濃度のシミュレーション値を求める。このときの計算式を以下に示す。
【0115】
Cs=Cm+(1−(R*L/100))*Co
ただし、R*Lの値が100以上の場合は、Cs=Cmとする。
【0116】
Cs:計測点におけるCO2濃度のシミュレーション値(ppm)
Cm:計測点のCO2濃度の実測値(ppm)
L:計測点と発生源(または消費源)との距離(m)
R:距離による減少率(%/m)
Co:発生源(または消費源)のCO2発生量(または消費量)(ppm)
(S44)サーバ300は、上記(S43)の処理を、CO2環境の測定開始時刻から測定終了時刻の間の測定データについて繰り返し実行する。
【0117】
(S45)上記(S43,S44)の繰り返し処理により、サーバ300は、全ての計測点について時系列のCO2濃度シミュレーション値を求める。
【0118】
(S46)サーバ300は、上記(S45)で求めた時系列のCO2濃度シミュレーション値を使用し、データ閲覧用PC400上で時系列に表示変化させることでアニメーション表示を行う。
【0119】
図16はCO2消費源の追加によるシミュレーション結果の画像例を示す。同図において、神社の森と商店街および道路が記された地図G1において、空き地を緑地化(CO2消費源の追加)した場合のCO2濃度シミュレーション値は、空き地の緑地化前の画像G2では道路のCO2濃度は消費源の追加前と同じであるが、空き地の緑地化後の画像G3では空き地近辺の道路のCO2濃度が低下したアニメーション表示となる。
【0120】
なお、各データ表示およびシミュレーションは、サーバ300にその機能を持たせる他に、データ収集用PC200にも一部のデータ加工処理機能およびシミュレーション機能を持たせることもできる。また、データ収集用PC200をデータ閲覧用PC400と同様の機能、すなわちサーバ300で加工処理したデータ表示を可能とすることもできる。
【符号の説明】
【0121】
100 CO2環境測定器
200 データ収集用PC(パソコン)
300 サーバ
400 データ閲覧用PC(パソコン、携帯電話、携帯端末など)
11 CO2センサ
12 温度センサ
13 湿度センサ
14 GPSモジュール(受信機)
15 無線モジュール(送受信機)
16 無線アンテナ
17 マイコン
18 二次電池
19 太陽電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気中のCO2濃度などのCO2環境を計測し、この計測データの収集・表示およびCO2環境科学研究・開発に有効利用するためのCO2環境計測システムであって、
環境計測領域に分散配置したCO2環境測定器で計測データの取得およびGPSによる測定位置情報を取得し、各CO2環境測定器の計測データをそのままデータ収集用PCに無線でリアルタイムデータとして送信しておくCO2環境測定装置と、
前記データ収集用PCに収集した計測データがインターネット経由でサーバに送信されたときに、該計測データをデータベース化しておき、インターネット経由で前記計測データの閲覧が要求されたときに、この要求に応じて計測データを加工処理して該データ閲覧用PCに送信するCO2環境測定データ利用装置と、
を備えたことを特徴とするCO2環境計測システム。
【請求項2】
前記CO2環境測定器は、二次電池と太陽光で発電して二次電池を充電する太陽電池を電源とし、一定期間の測定時のみ該電源で駆動し、測定していない間は前記CO2環境測定器内のCPUを停止させて平均消費電流を抑える省電力手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のCO2環境計測システム。
【請求項3】
前記CO2環境測定器は、温度センサを搭載しておき、測定したCO2環境計測データについて、前記温度センサによる測定温度を基に該計測データの補正演算を行っておく温度補正手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のCO2環境計測システム。
【請求項4】
前記温度補正手段は、冷蔵庫を利用し、低温時と高温時のCO2環境測定器の測定データから温度依存特性を求めておき、この特性を基に前記CO2環境測定器の測定値を補正する適正化処理手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のCO2環境計測システム。
【請求項5】
前記温度補正手段は、標準ガスの既知のCO2濃度C(cal)と前記CO2センサの出力値Cmの関係を3次式程度の多項式で近似しておき、温度による前記CO2センサの出力値Cmの変化を2次式程度で近似して温度補正を行う適正化演算手段を備えたことを特徴とする請求項3または4に記載のCO2環境計測システム。
【請求項6】
CO2発生源がなく比較的濃度が一定となる位置に前記CO2環境測定器を設置し、CO2濃度を清浄大気中のCO2濃度に設定して該CO2環境測定器の計測値を校正する校正手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のCO2環境計測システム。
【請求項7】
前記CO2環境測定器は、測定した計測データを時系列に保存するフラッシュメモリを備え、無線が使用できない環境でもCO2環境測定器単体でのデータの収集を行うデータ収集手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のCO2環境計測システム。
【請求項8】
前記サーバまたは前記データ収集用PCは、前記CO2環境測定装置により測定したCO2環境計測値と計測点のデータを基に、観測地域の地図上にCO2環境計測値を重ね合わせた表示でその確認を可能にするデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のCO2環境計測システム。
【請求項9】
前記サーバは、
CO2環境計測値の違いを色で区別した点画像で表示する手段と、
CO2環境測定器を移動させた場合は移動経路に直線を引いて表示する手段と、
地図上に指定した位置を解析点とし、画面上の計測値グラフには解析点近隣のCO2環境測定点でのCO2環境計測値を補間算出し、この補間算出したCO2環境計測値の時刻変化を折れ線グラフで表示する手段と、
のうち、少なくとも1つのデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする請求項8に記載のCO2環境計測システム。
【請求項10】
前記サーバは、地図上で指定された前記解析点に表示するCO2環境計測値は、近隣の測定点で測定したCO2環境計測値により補間算出して表示するデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のCO2環境計測システム。
【請求項11】
前記サーバは、地図上で指定された任意の2点A,Bを結ぶ直線上の標高断面図を表示し、この標高断面図上の各標高位置にCO2環境計測値を色の違いで表示するデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のCO2環境計測システム。
【請求項12】
前記サーバは、CO2環境計測位置・場所や環境、時刻によるCO2環境計測値の変化を、アニメーションで動的に表示するデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のCO2環境計測システム。
【請求項13】
前記サーバは、環境計測領域に、CO2環境要因の発生源または消費源を追加設定した場合のCO2環境計測値変化をシミュレーションするシミュレーション処理手段を備えたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のCO2環境計測システム。
【請求項14】
前記シミュレーション処理手段は、
前記CO2環境要因の発生源または消費源の発生量または消費量情報と、発生源または消費源から離れることによる発生量または消費量の減少割合情報をパラメータとして設定する手段と、
前記CO2環境要因の発生源または消費源を、地図上の任意の地点に指定したときの位置情報(緯度、経度)を求める手段と、
前記指定されたCO2環境要因の発生源または消費源の近隣のCO2環境計測点について、前記位置情報より計測点と発生源または消費源との距離を求め、計測点のCO2環境要因の実測値、計測点と発生源または消費源との距離による減少率、発生源または消費源のCO2環境要因の発生量または消費量より、計測点におけるCO2環境要因のシミュレーション値を求める手段と、
上記のシミュレーション値を求める処理を、CO2環境の測定開始時刻から測定終了時刻の間の測定データについて繰り返し実行する手段と、
上記繰り返し処理により、全ての計測点について時系列のCO2環境計測値のシミュレーション値を求めてアニメーション表示する手段と、
を備えたことを特徴とする請求項13に記載のCO2環境計測システム。
【請求項1】
大気中のCO2濃度などのCO2環境を計測し、この計測データの収集・表示およびCO2環境科学研究・開発に有効利用するためのCO2環境計測システムであって、
環境計測領域に分散配置したCO2環境測定器で計測データの取得およびGPSによる測定位置情報を取得し、各CO2環境測定器の計測データをそのままデータ収集用PCに無線でリアルタイムデータとして送信しておくCO2環境測定装置と、
前記データ収集用PCに収集した計測データがインターネット経由でサーバに送信されたときに、該計測データをデータベース化しておき、インターネット経由で前記計測データの閲覧が要求されたときに、この要求に応じて計測データを加工処理して該データ閲覧用PCに送信するCO2環境測定データ利用装置と、
を備えたことを特徴とするCO2環境計測システム。
【請求項2】
前記CO2環境測定器は、二次電池と太陽光で発電して二次電池を充電する太陽電池を電源とし、一定期間の測定時のみ該電源で駆動し、測定していない間は前記CO2環境測定器内のCPUを停止させて平均消費電流を抑える省電力手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のCO2環境計測システム。
【請求項3】
前記CO2環境測定器は、温度センサを搭載しておき、測定したCO2環境計測データについて、前記温度センサによる測定温度を基に該計測データの補正演算を行っておく温度補正手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のCO2環境計測システム。
【請求項4】
前記温度補正手段は、冷蔵庫を利用し、低温時と高温時のCO2環境測定器の測定データから温度依存特性を求めておき、この特性を基に前記CO2環境測定器の測定値を補正する適正化処理手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のCO2環境計測システム。
【請求項5】
前記温度補正手段は、標準ガスの既知のCO2濃度C(cal)と前記CO2センサの出力値Cmの関係を3次式程度の多項式で近似しておき、温度による前記CO2センサの出力値Cmの変化を2次式程度で近似して温度補正を行う適正化演算手段を備えたことを特徴とする請求項3または4に記載のCO2環境計測システム。
【請求項6】
CO2発生源がなく比較的濃度が一定となる位置に前記CO2環境測定器を設置し、CO2濃度を清浄大気中のCO2濃度に設定して該CO2環境測定器の計測値を校正する校正手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のCO2環境計測システム。
【請求項7】
前記CO2環境測定器は、測定した計測データを時系列に保存するフラッシュメモリを備え、無線が使用できない環境でもCO2環境測定器単体でのデータの収集を行うデータ収集手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のCO2環境計測システム。
【請求項8】
前記サーバまたは前記データ収集用PCは、前記CO2環境測定装置により測定したCO2環境計測値と計測点のデータを基に、観測地域の地図上にCO2環境計測値を重ね合わせた表示でその確認を可能にするデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のCO2環境計測システム。
【請求項9】
前記サーバは、
CO2環境計測値の違いを色で区別した点画像で表示する手段と、
CO2環境測定器を移動させた場合は移動経路に直線を引いて表示する手段と、
地図上に指定した位置を解析点とし、画面上の計測値グラフには解析点近隣のCO2環境測定点でのCO2環境計測値を補間算出し、この補間算出したCO2環境計測値の時刻変化を折れ線グラフで表示する手段と、
のうち、少なくとも1つのデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする請求項8に記載のCO2環境計測システム。
【請求項10】
前記サーバは、地図上で指定された前記解析点に表示するCO2環境計測値は、近隣の測定点で測定したCO2環境計測値により補間算出して表示するデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のCO2環境計測システム。
【請求項11】
前記サーバは、地図上で指定された任意の2点A,Bを結ぶ直線上の標高断面図を表示し、この標高断面図上の各標高位置にCO2環境計測値を色の違いで表示するデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のCO2環境計測システム。
【請求項12】
前記サーバは、CO2環境計測位置・場所や環境、時刻によるCO2環境計測値の変化を、アニメーションで動的に表示するデータ加工処理手段を備えたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のCO2環境計測システム。
【請求項13】
前記サーバは、環境計測領域に、CO2環境要因の発生源または消費源を追加設定した場合のCO2環境計測値変化をシミュレーションするシミュレーション処理手段を備えたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のCO2環境計測システム。
【請求項14】
前記シミュレーション処理手段は、
前記CO2環境要因の発生源または消費源の発生量または消費量情報と、発生源または消費源から離れることによる発生量または消費量の減少割合情報をパラメータとして設定する手段と、
前記CO2環境要因の発生源または消費源を、地図上の任意の地点に指定したときの位置情報(緯度、経度)を求める手段と、
前記指定されたCO2環境要因の発生源または消費源の近隣のCO2環境計測点について、前記位置情報より計測点と発生源または消費源との距離を求め、計測点のCO2環境要因の実測値、計測点と発生源または消費源との距離による減少率、発生源または消費源のCO2環境要因の発生量または消費量より、計測点におけるCO2環境要因のシミュレーション値を求める手段と、
上記のシミュレーション値を求める処理を、CO2環境の測定開始時刻から測定終了時刻の間の測定データについて繰り返し実行する手段と、
上記繰り返し処理により、全ての計測点について時系列のCO2環境計測値のシミュレーション値を求めてアニメーション表示する手段と、
を備えたことを特徴とする請求項13に記載のCO2環境計測システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図6】
【図10】
【図12】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図6】
【図10】
【図12】
【図16】
【公開番号】特開2012−83294(P2012−83294A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231338(P2010−231338)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Google
3.Yahoo!
【出願人】(507219686)静岡県公立大学法人 (63)
【出願人】(502002474)明電ソフトウエア株式会社 (12)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Google
3.Yahoo!
【出願人】(507219686)静岡県公立大学法人 (63)
【出願人】(502002474)明電ソフトウエア株式会社 (12)
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