説明

CO2給湯器

【課題】CO給湯器のハウジング内に収納された機器類の保守点検を容易にし、かつハウジングの製造コストを低減する。また、側面パネルの損傷及び錆の発生を低減する。
【解決手段】ハウジング12を正面12a及び背面12bに面して幅広領域を形成する継続メンテナンス領域36と、幅狭領域を形成する初期メンテナンス領域38とに区画し、継続メンテナンス領域36の正面12a及び背面12bを遮蔽するパネル板64及び72と、初期メンテナンス領域38の正面及び背面を遮蔽するパネル板76及び78と、初期メンテナンス領域38に隣接したハウジング側面を遮蔽する側面パネル板28を着脱自在に取り付けている。これらパネル板の取付け構造は、ボルト結合を極力排除して、ボルトによる損傷及び損傷箇所からの錆の発生を抑制している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングの内部にヒートポンプサイクル構成機器を内蔵したCO給湯器において、省スペース化を可能とし、ハウジング内に設けられた機器類のメンテナンスを容易にしたCO給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人等は、先に、圧縮機、ガスクーラ(給湯用の水熱交換器)、キャピラリーチューブ、及び蒸発器(空気熱交換器)を備え、COを冷媒としてヒートポンプサイクルを構成し、COを圧縮機の吐出側で超臨界圧を超えた超臨界状態とすることにより、90℃程度の高温水を供給可能なCO給湯器を特許出願している(特許文献1)。
【0003】
特許文献1記載のCO給湯器は、ハウジング内で架台上に圧縮機、ガスクーラ(給湯用の水熱交換器)、キャピラリーチューブ等の機器類が配設され、パネル形状の空気熱源蒸発器(空気熱交換器)がハウジング側壁の一部として形成され、省スペース化を可能としている。以下、特許文献1に開示されたCO給湯器の構成を図9及び図10により説明する。
【0004】
図9及び図10に示すように、このCO給湯器100のハウジング102は、基礎面f上に固定され平坦面を有する架台104上に、上下方向に5本の支柱106,108,110、112および114が立設されている。これら支柱に、形状が異なる大小7枚の遮蔽パネル板116,118,120,122,124,126及び128が、ボルトで取り外し可能に取り付けられ、パネル形状に形成された空気熱源蒸発器(空気熱交換器)130及び動力制御盤132以外のハウジング側壁を構成している。
【0005】
架台104上に、圧縮機134、ガスクーラ136、冷媒を膨張させるキャピラリーキット138、給水ポンプ140及び超臨界タンク142等が配置され、これら各機器間を接続する冷媒循環路が設けられ、該冷媒循環路にCO冷媒が循環し、ヒートポンプサイクルを構成している。圧縮機134は防音ケース135で覆われている。
【0006】
ハウジング102の上壁には、2個の空気排出口144が設けられ、空気排出口144には、送風機146が設けられている。送風機146によって、空気熱源蒸発器130を構成する蒸発管群の間に設けられた空気流通口から外気aが導入され、空気排出口144から排出される空気流が形成される。空気排出口144及び空気熱源蒸発器130の外側には、防鳥ネット148が設けられている。ハウジング102内の構成機器のメンテナンスを行う場合には、前記遮蔽パネルの取付けボルトを緩め、遮蔽パネルを取り外して行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−2207号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように、ハウジング102内の構成機器のメンテナンス時に、取付けボルトを操作して前記遮蔽パネルの着脱を行う場合には、取付けボルトの磨耗、取付けボルトによるパネルの損傷及び損傷箇所からの錆の発生等の問題がある。また、形状が異なる大小の遮蔽パネルを使用しているので、部品点数が増大し、製造コストが増大するという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、給湯ユニットのハウジング内に収納された機器類の保守点検を容易にし、かつハウジングの製造コストを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、本発明のCO給湯器は、直方体形状をしたハウジング内に圧縮機、凝縮器、膨張器及び空気熱源蒸発器を含むヒートポンプサイクル構成機器を内蔵し、該空気熱源蒸発器を構成する蒸発管群をハウジング側面に面して配置し、該蒸発管群の間に形成された空気流通口とハウジング上壁に設けられた開口との間に空気流を形成する送風機を備えたCO給湯器において、ハウジング内を、継続したメンテナンスを要する機器を配置し、ハウジングの正面及び背面に対して幅広領域を形成する継続メンテナンス領域と、初期メンテナンスを要する機器を配置し、ハウジングの正面及び背面に対して幅狭領域を形成する初期メンテナンス領域とに区画し、継続メンテナンス領域を、ハウジングの正面及び背面に面して一対の前記蒸発管群が配置された上部領域と、平坦面を形成する架台上に継続したメンテナンスを要する機器が配置された下部領域とで構成し、継続メンテナンス領域の下部領域に面した相対するハウジング正面及び背面と、初期メンテナンス領域に面した相対するハウジング正面及び背面と、初期メンテナンス領域に隣接したハウジング側面とを、夫々別個のパネル板で着脱自在に遮蔽するようにしたものである。
【0011】
本発明のCO給湯器では、継続メンテナンス領域を遮蔽するパネル板を取り外すことで、ハウジングの正面及び背面に大きな開口を形成できる。そのため、継続メンテナンス領域に配置された機器の保守点検が容易になる。初期メンテナンス領域でも、初期メンテナンス領域を遮蔽するパネル板を取り外すことで、初期メンテナンス領域に配置された機器の初期メンテナンスが容易になる。また、前記2つの領域ごとに別個のパネル板を設けているので、各領域ごとに必要な時に保守点検作業を行なうことができる。さらに、各領域の正面及び背面で相対する2つのパネル板を対称形状にできるので、パネル板の部品点数を減少でき、製造コストを低減できる。
【0012】
また、初期メンテナンス領域を囲む3面の側壁は、容易に開放できるが、初期メンテナンス領域の機器の配置により、初期据付け時において、電源装置等を配置した初期メンテナンス領域側の側壁のみを開放することで初期メンテナンスが可能なため、据付け作業が容易になる。
【0013】
本発明装置において、継続メンテナンス領域の下部領域を遮蔽するパネル板は、上端が架台の二隅に立設された支柱と、継続メンテナンス領域と初期メンテナンスとを仕切る仕切壁との間に架設された横梁に係止する係止構造を有すると共に、下端部位で該支柱及び該仕切壁にボルト結合されているとよい。これによって、該パネル板の着脱が容易になり、取付け構造を簡素化かつ低コスト化できる。また、取付けに必要なボルト数を低減できると共に、ハウジング外面に露出するボルトの数を激減できるので、見た目も見苦しくなく、かつ取付けボルトによるパネル板の損傷を低減し、損傷箇所から錆が発生するのを抑制できる。
【0014】
本発明装置において、初期メンテナンス領域を遮蔽するパネル板は、上端がハウジング上壁と、架台の二隅に立設された支柱及び継続メンテナンス領域と初期メンテナンスとを仕切る仕切壁との間に形成された隙間に挿入される平坦板状をなし、中間部位に該支柱と該仕切壁とに架設された横梁に係止する係止構造を有すると共に、下端部位で該支柱及び該仕切壁にボルト結合されているとよい。これによって、該パネル板の着脱が容易になり、取付け構造を簡素化かつ低コスト化できる。また、必要なボルト数を低減できると共に、ハウジング外面に露出するボルトの数を激減できるので、見た目も見苦しくなく、かつ取付けボルトによるパネル板の損傷を低減し、損傷箇所から錆が発生するのを抑制できる。
【0015】
本発明装置において、ハウジング側面を遮蔽するパネル板は、上端がハウジング上壁と架台の二隅に立設された支柱との間に形成された隙間に挿入される平坦板状をなし、中間部位で該支柱に内側からボルト結合されているとよい。これによって、ハウジング側面の外側に露出するボルトを全くなくすことができるので、見た目も見苦しくなく、かつ取付けボルトによるパネル板の損傷をなくし、損傷箇所から錆が発生するのを防止できる。
【0016】
本発明装置において、継続メンテナンス領域は、圧縮機、凝縮器、膨張器、給水ポンプ及び制御盤を含む機器が配置され、初期メンテナンス領域は、冷媒タンク及び電源機器を含む機器が配置される。継続メンテナンス領域の正面及び背面の開口を大きく取ることで、これら機器の定期的な保守点検が容易になる。また、継続メンテナンス領域又は初期メンテナンス領域の正面及び背面を遮蔽するパネル板を同等幅とすることで、パネル板の製造が容易になり、製造コストを低減できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明装置によれば、直方体形状をしたハウジング内に圧縮機、凝縮器、膨張器及び空気熱源蒸発器を含むヒートポンプサイクル構成機器を内蔵し、該空気熱源蒸発器を構成するパネル状に形成された蒸発管群をハウジング側面に面して配置し、該蒸発管群の間に形成された空気流通口とハウジング上壁に設けられた開口との間に空気流を形成する送風機を備えたCO給湯器において、ハウジング内を、継続したメンテナンスを要する機器を配置し、ハウジングの正面及び背面に対して幅広領域を形成する継続メンテナンス領域と、初期メンテナンスを要する機器を配置し、ハウジングの正面及び背面に対して幅狭領域を形成する初期メンテナンス領域とに区画し、継続メンテナンス領域を、ハウジングの正面及び背面に面して一対の前記蒸発管群が配置された上部領域と、平坦面を形成する架台上に継続したメンテナンスを要する機器が配置された下部領域とで構成し、継続メンテナンス領域の下部領域に面した相対するハウジング正面及び背面と、初期メンテナンス領域に面した相対するハウジング正面及び背面と、初期メンテナンス領域に隣接したハウジング側面とを、夫々別個のパネル板で着脱自在に遮蔽するようにしたので、各領域で必要な時個別に保守点検が可能になり、継続メンテナンス領域はハウジングの正面図及び背面に幅広の開口を形成できるので、構成機器類の保守点検が容易になる。また、パネル板の大きさ及び形状を統一でき、パネル板の部品点数を減少でき、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明装置の一実施形態に係るCO給湯器の正面視全体斜視図である。
【図2】前記CO給湯器の背面視全体斜視図である。
【図3】前記CO給湯器の平面図である。
【図4】前記CO給湯器で継続メンテナンス領域を遮蔽するパネル板の取付け構造を示す斜視図である。
【図5】前記CO給湯器で初期メンテナンス領域を遮蔽するパネル板の取付け構造を示す斜視図である。
【図6】前記CO給湯器の一部平面図である。
【図7】前記CO給湯器でハウジング側面を遮蔽する側面パネル板の取付け構造を示す斜視図である。
【図8】前記CO給湯器の側面パネルをハウジングの内側から視た斜視図である。
【図9】従来のCO給湯器の正面視斜視図である。
【図10】図9のCO給湯器に係り、(a)が左側面図、(b)が正面図、(c)が右側面図、(d)が背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0020】
本発明装置の一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。まず、図1〜図3で本実施形態に係るCO給湯器10の全体構成を説明する。CO給湯器10のハウジング12は直方体をなし、ハウジング12の内部には、基礎面f上に固定された架台14が設けられている。架台14は平坦面を有し、その外縁は長方形をなしている。架台14上には、四隅に4本の支柱16,18,20及び22が立設され、ハウジング上面は前記支柱に支持固定された天板24で構成されている。
【0021】
ハウジング12の側面は側面パネル板26及び28で遮蔽されている。側面パネル板26は、ハウジング12の据付け時に、支柱16及び22にボルト結合の手段で結合され、容易に着脱できないようになっている。側面パネル板28は、後述するように、支柱18及び20にハウジング12の内側からボルト結合されている。
【0022】
ハウジング12の正面12a及び背面12bの上部領域に面して、パネル形状に形成された空気熱源蒸発器(空気熱交換器)30及び32が配置されている。空気熱源蒸発器30及び32は、図9に示すCO給湯器100の空気熱源蒸発器130と同一の構成を有している。即ち、蒸発管群と採熱フィンとで構成され、蒸発管群の間及び採熱フィンの間に空気流通口が形成されている。空気熱源蒸発器30,32は、下端側が上端側よりハウジング12の内側に配置され、下方に向かって内側に傾斜するように配置されている。空気熱源蒸発器30,32の外側には、防鳥ネット31及び33が設けられている。
【0023】
ハウジング12の内部空間の上部領域は、図3に示すように、仕切壁34で、継続メンテナンス領域36と初期メンテナンス領域38とに仕切られている。継続メンテナンス領域36は、ハウジング12の正面12a及び背面12bに対して幅広領域を形成し、継続したメンテナンスを要する機器が配置されている。初期メンテナンス領域38は、ハウジング12の正面12a及び背面12bに対して、幅狭領域を形成し、据付け時初期のみメンテナンスを要する機器が配置されている。
【0024】
図4に示すように、空気熱源蒸発器30,32の下方には、支柱22と仕切壁34間に横梁40が水平方向に架設され、横梁40にドレンパン42が載置され支持されている。背面12b側も同様に、支柱16と仕切壁34間に横梁及び該横梁に載置されたドレンパン(図示省略)が設けられている。これらドレンパン間に雨水等を集める樋がハウジング12内に設けられ、この樋に雨水及び蒸発管群で結露した結露水等が集められ、ドレン管(図示省略)を経てハウジング12外に排出される。
【0025】
図3において、継続メンテナンス領域36の架台14上に、圧縮機44、ガスクーラ46及びCO冷媒を膨張させる膨張弁48等のヒートポンプサイクル構成機器、及び入水ポンプ50、動力制御盤52等、継続してメンテナンスを要する機器が据付け固定されている。また、初期メンテナンス領域38の架台14上に、電源装置54や冷媒タンク56等の、据付け時初期のみメンテナンスを要する機器が据付け固定されている。これら各機器及び空気熱源蒸発器30,32の蒸発管群の間に接続された冷媒循環路(図示省略)が設けられ、CO冷媒が該冷媒循環路を循環し、ヒートポンプサイクルを構成している。
【0026】
ハウジング12の上面を形成する天板24には、2個の空気排出口58が設けられ、各空気排出口58に送風機60が設けられている。また、空気排出口58を覆うように防鳥ネット62が設けられている。
【0027】
継続メンテナンス領域36の正面開口は、幅広のパネル板64によって遮蔽される。パネル板64は、鋼製で長方形をなし、正面12aに着脱自在に取り付けられる。継続メンテナンス領域36の背面開口は、幅広で鋼製のパネル板72で遮蔽される。パネル板72は、給水管が貫通する固定板74を回避する部位を除き、略長方形をなす。パネル板64及びパネル板72は、同一幅及び同一高さを有し、同一の取付け構造でハウジング12に着脱自在に取り付けられる。以下、パネル板64を例に取り、図4によりその取付け構造を説明する。
【0028】
図4において、パネル板64の上端66は、パネル板64に対して直角に曲折した水平板部66aと、該水平板部66aに対して斜め下方向前方に曲折された鉤部66bとが一体形成されている。パネル板64の両側縁は、断面コ字状に曲折されている。一方、ドレンパン42の端部は上方に盛り上がっており、この盛り上がり部に鉤部66bを係止させることで、パネル板64の上端66をハウジング12に係止できる。パネル板64の下端は、断面L形に形成され、厚みのない薄板68が下方に突出している。そして、薄板68の両端に孔68a及び68bが穿設されている。
【0029】
一方、支柱22の下端には、横方向に向けて受け板22aが一体形成され、孔68aに相対する位置に、ボルト穴22bが穿設されている。ボルト70を孔68aに通し、ボルト穴22bに螺着させる。また、仕切壁34の下端にも同一構造の受け板(図示省略)がボルト結合されており、ボルト70を孔68bに通し、該受け板に穿設されたボルト穴に螺着させる。これによって、パネル板64の下端をハウジング12に固定する。パネル板72もパネル板64と同様の取付け構造を有し、パネル板72のハウジング背面12bへの取付けも同様に行なう。
【0030】
初期メンテナンス領域38の正面開口は、幅狭の鋼製パネル板76で遮蔽される。また、初期メンテナンス領域38の背面開口は、幅狭の鋼製パネル板78で遮蔽される。パネル板76及びパネル板78は、同一幅を有し、ハウジング正面12aで、電線等が貫通配置される固定板77を回避した分だけパネル板76の長辺が短く形成されている。両パネル板は、同一の取付け構造でハウジング12に着脱自在に取り付けられる。以下、パネル板76を例に取って、図5によりその取付け構造を説明する。
【0031】
図5において、パネル板76の上端は、断面L形に形成され、厚みのない薄板79が突出している。パネル板76の両側縁は、パネル板64と同様に断面コ字状に曲折され、パネル板76の中間部位の背面側には、四角形状をなし、ハウジング側に向かって斜め下方に突出した1個の係止片80が固着されている。パネル板76の下端は、断面L形に形成され、厚みのない薄板82が下方に突出している。薄板82の両端部位に孔82aが穿設されている。
【0032】
一方、図6に示すように、支柱18及び20の両側に、断面L形のL形片86が一体形成されている。また、仕切壁34には、パネル板76の薄板79を受ける受板片34aが一体形成されている。天板24の周縁には天板24を支持し天板24が固定される天板フレーム84が設けられ、L形片86と天板フレーム84との間に、隙間sが形成されている。
【0033】
図5に戻り、初期メンテナンス領域38の中間部位は、支柱20と仕切壁34間に水平方向に横梁88が架設され、横梁88の前記係止片80に相対する位置に、互いに直交した四角板からなり、断面L形を有し、先端部が上方に突出した1個のL形鉤片90が固着されている。初期メンテナンス領域38の下端で、固定板76の上端は、断面L形に形成され、受け板92が上方に突出している。受け板92がL形片86の下端面に接するように配置され、受板92の両端部位の高さにおけるL形片86及び受板片34aには、ボルト穴92aが穿設されている。
【0034】
パネル板76をハウジング12に取り付ける場合、まず、上端の薄板79を隙間sに挿入する。次に、パネル板76を下降させ、係止片80をL形鉤片90に係止させる。この状態で、パネル板76が初期メンテナンス領域38の開口に位置決めされる。次に、ボルト94を孔82aに通し、ボルト穴92aに螺着させる。これで、パネル板76をハウジング12に装着できる。
【0035】
初期メンテナンス領域38に隣接したハウジング12の側面を遮蔽する側面パネル板28は、ハウジング12の側面に着脱自在に取り付けられる。以下、側面パネル板28の取付け構造を図7及び図8により説明する。図7において、側面パネル板28の上端を除く周囲縁部は、断面コ字状に折り返されて一定の厚みを形成している。上端は、断面L字状に形成され、厚みのない薄板28aが上方に突出している。断面コ字状に曲折された両側縁には、上下2個ずつ合計4個のボルト孔96が穿設されている。また、図8に示すように、該ボルト孔に相対する位置で、L形片86に4個の孔98が穿設されている。
【0036】
側面パネル板28をハウジング12の側面に取り付けるには、パネル板76及び78を取り付ける前、即ち、初期メンテナンス領域38の開口を開放した状態で行なう。まず、側面パネル板28の上端に形成された薄板28aを支柱18,20と天板フレーム84との間に形成された隙間sに挿入する。次に、側面パネル板28を下降し、平坦面が形成された底面28bを平坦な架台14上に載置する。次に、4個の孔98にボルト99を通し、該ボルトをボルト孔96に螺着させる。これによって、側面パネル板28をハウジング側面に取り付けることができる。
【0037】
本実施形態によれば、パネル板64、72、76及び78を個別に着脱できるので、継続メンテナンス領域36及び初期メンテナンス領域38毎に個別に外方に開放でき、特に、継続メンテナンス領域36は大きな開口を形成できるので、保守点検作業を容易にできる。また、ハウジングの正面12aと背面12bとで、相対する位置に略同一形状のパネル板64及び72又はパネル板76及び78を設けたので、パネル板の部品点数を減少でき、製造コストを低減できる。
【0038】
また、初期メンテナンス領域38を囲む3面の側壁は、容易に開放できるが、初期メンテナンス領域の機器の配置により、初期据付け時において、電源装置54等が配置された初期メンテナンス領域38側の側面パネル板28のみを開放することで、初期メンテナンスが可能なため、据付け作業が容易になる。
【0039】
また、パネル板64、72、76、78及び側面パネル板28は、簡単かつ低コストな着脱構造を有しているので、ハウジング12を低コスト化できる。さらに、これらパネル板の取付けに必要なボルト数を低減できると共に、パネル板外面に露出するボルトの数を激減できるので、見た目も見苦しくなく、かつ取付けボルトによるパネル板の損傷を低減し、損傷箇所から錆が発生するのを抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、空気熱源蒸発器を有するCO給湯器のハウジング内に内蔵された機器類の保守点検を容易にすると共に、ハウジングの製造コストを節減でき、外壁を構成するパネル板の取付けボルト数を低減できる。
【符号の説明】
【0041】
10,100 CO給湯器
12,102 ハウジング
12a ハウジング正面
12b ハウジング背面
14,104 架台
16,18,20,22、106,108,110,112,114 支柱
22a、92 受け板
22b、92a ボルト穴
24 天板
26,28 側面パネル板
28a、68,79、82 薄板
28b 底面
30,32,130 空気熱源蒸発器
31,33、62、148 防鳥ネット
34 仕切壁
34a 受板片
36 継続メンテナンス領域
38 初期メンテナンス領域
40、88 横梁
42 ドレンパン
44,134 圧縮機
46,136 ガスクーラ
48 キャピラリーチューブ
50 入水ポンプ
52、132 動力制御盤
54 電源装置
56 冷媒タンク
58,144 空気排出口
60,146 送風機
64,72,76、78 パネル板
66 パネル板上端
66a 水平板部
66b 鉤部
68a、68b、82a、98 孔
70,94,99 ボルト
74,77 固定板
80 係止片
84 天板フレーム
86 L形片
90 L形鉤片
92 受け板
96 ボルト孔
116、118、120,122,124,126、128 遮蔽パネル板
135 防音ケース
138 キャピラリーキッド
140 給水ポンプ
142 超臨界タンク
f 基礎面
s 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状をしたハウジング内に圧縮機、凝縮器、膨張器及び空気熱源蒸発器を含むヒートポンプサイクル構成機器を内蔵し、該空気熱源蒸発器を構成する蒸発管群をハウジング側面に面して配置し、該蒸発管群の間に形成された空気流通口とハウジング上壁に設けられた開口との間に空気流を形成する送風機を備えたCO給湯器において、
ハウジング内を、継続したメンテナンスを要する機器を配置し、ハウジングの正面及び背面に対して幅広領域を形成する継続メンテナンス領域と、初期メンテナンスを要する機器を配置し、ハウジングの正面及び背面に対して幅狭領域を形成する初期メンテナンス領域とに区画し、
継続メンテナンス領域を、ハウジングの正面及び背面に面して一対の前記蒸発管群が配置された上部領域と、平坦面を形成する架台上に継続したメンテナンスを要する機器が配置された下部領域とで構成し、
継続メンテナンス領域の下部領域に面した相対するハウジング正面及び背面と、初期メンテナンス領域に面した相対するハウジング正面及び背面と、初期メンテナンス領域に隣接したハウジング側面とを、夫々別個のパネル板で着脱自在に遮蔽するようにしたことを特徴とするCO給湯器。
【請求項2】
前記継続メンテナンス領域の下部領域を遮蔽するパネル板は、上端が前記架台の二隅に立設された支柱と、継続メンテナンス領域と初期メンテナンスとを仕切る仕切壁との間に架設された横梁に係止する係止構造を有すると共に、下端部位で該支柱及び該仕切壁にボルト結合されていることを特徴とする請求項1に記載のCO給湯器。
【請求項3】
前記初期メンテナンス領域を遮蔽するパネル板は、上端がハウジング上壁と、前記架台の二隅に立設された支柱及び継続メンテナンス領域と初期メンテナンスとを仕切る仕切壁との間に形成された隙間に挿入される平坦板状をなし、中間部位に該支柱と該仕切壁とに架設された横梁に係止する係止構造を有すると共に、下端部位で該支柱及び該仕切壁にボルト結合されていることを特徴とする請求項1に記載のCO給湯器。
【請求項4】
前記ハウジング側面を遮蔽するパネル板は、上端がハウジング上壁と前記架台の二隅に立設された支柱との間に形成された隙間に挿入される平坦板状をなし、中間部位で該支柱に内側からボルト結合されていることを特徴とする請求項1に記載のCO給湯器。
【請求項5】
前記継続メンテナンス領域に、圧縮機、凝縮器、膨張器、給水ポンプ及び制御盤を含む機器が配置され、該継続メンテナンス領域を遮蔽するハウジング正面及び背面のパネル板は同等幅を有し、
前記初期メンテナンス領域に、冷媒タンク及び電源機器を含む機器が配置され、該初期メンテナンス領域を遮蔽するハウジング正面及び背面のパネル板は同等幅を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載のCO給湯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−177523(P2012−177523A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40880(P2011−40880)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【Fターム(参考)】