CPAPの快適さを改良するための方法及び装置
【課題】吸気から呼気への遷移の検出時に、ブロワモータを消磁して、当該ブロワモータが惰性で動くことを可能にする低コストのCPAP装置を提供する。
【解決手段】患者マスク18(または、利用される全てのインタフェース)の圧力が呼気中に最小圧力レベルに達すると、モータ10は再び励磁され、その速度が、呼気に適切なレベルに圧力を維持するように制御される。呼気から吸気への遷移の検出時に、モータ速度は上昇し、吸気に適切なより高い圧力を患者マスクに提供する。
【解決手段】患者マスク18(または、利用される全てのインタフェース)の圧力が呼気中に最小圧力レベルに達すると、モータ10は再び励磁され、その速度が、呼気に適切なレベルに圧力を維持するように制御される。呼気から吸気への遷移の検出時に、モータ速度は上昇し、吸気に適切なより高い圧力を患者マスクに提供する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2003年6月20日に出願されたオーストラリア仮出願第AU2003903138号の外国優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、睡眠呼吸障害を治療するために患者へ陽圧で空気の供給を行なうための方法及び装置に関する。特に、本発明は、滑らかで快適な圧力対時間の波形を提供する方法及び装置に関する。
【発明の背景】
【0003】
米国特許第4,944,310号に教示されるように、閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)及び睡眠呼吸障害(SDB)の他の形態の治療用の経鼻持続気道陽圧法(経鼻CPAP)のSullivanによる発明以来、この装置の快適さの改良に、多くの努力が向けられている。この一つの態様は、より快適な患者インタフェースであり、例えば、ResMed Limitedが製造したMIRAGE(登録商標)及びULTARA MIRAGE(登録商標)マスク等によって提供されている。より快適な患者インタフェースを提供する別の態様は、ブロワによって提供される陽圧における空気の波形の快適さである。
【0004】
いくつかの低コストCPAPブロワ装置、例えばResMed LimitedによるS7(商標)装置等は、患者の呼吸サイクルの間中、略固定された陽圧、例えば15cmH2Oで、空気の供給を行なう。電気モータ及びファンを具備するブロワは、患者インタフェース、例えばマスクへ、特定の圧力を送出するように予め定められたモータの回転速度に基づいて、空気を送出するように構築することができる。このようなシステムで患者が息を吸い込むときに、マスクの圧力は、少量だけ減少する可能性がある。このようなシステムで患者が息を吐き出すときに、マスクの圧力は、少量だけ上昇する可能性がある。マスク圧力のこれらの変動は、「揺れ」と称される。他のブロワは、圧力コントローラのフィードバックを使用し、マスク圧力に関する患者エフォートの影響と釣り合いをとって、揺れを減少する。このような装置のオーストラリアにおける現在の小売価格は、約1000オーストラリアドルである。
【0005】
別のグループのCPAP装置、例えばResMed AUTOSET(登録商標) SPIRIT(商標)装置は、患者をモニタし、適切なCPAP設定を決定して患者へ送出することが可能であり、その圧力は、夜の間に変動してもよく、例えば、患者の睡眠の初期部分中には15cmH2Oを送出するが、夜遅くには20cmH2Oに上昇する。圧力の変化は、呼吸の態様、例えば気道閉塞及びいびき等の発生及び重大度の判断に応じて、なされる。このような装置のオーストラリアにおける現在の小売価格は、約2000オーストラリアドルである。
【0006】
複相型(bi-level)CPAP装置、例えばResMed VPAP(登録商標)製品等は、呼吸サイクルの吸気部分中に患者のマスクへより高い圧力を、例えば10〜20cmH2Oを提供し、患者の呼吸サイクルの呼気部分中により低い圧力、例えば4〜10cmH2Oを提供する。装置制御サイクルと患者呼吸サイクルとの間のミスマッチは、患者の不快を招くこともある。装置がより高い圧力からより低い圧力へ遷移するときに、モータは制動される。装置がより低い圧力からより高い圧力へ遷移するときに、モータは加速される。装置設定に依存して、装置は、50〜100ミリ秒内に5〜18cmH2O圧力の変化を行うように要求されることがある。この変化を達成するために、ピーク電力(Power load)は、60〜90Wの大きさになり得る。VPAP(登録商標)装置は、低い慣性及びピーク電力を要件とするので、大型で高価な電源装置が必要である。このような装置のオーストラリアにおける現在の小売価格は、設定された装置特徴に依存し、約3,500〜7,500オーストラリアドルである。
【0007】
米国特許第6,345,619号(Finn)には、装置制御サイクルの吸気部分と呼気部分との間の遷移中に、IPAP(吸気時気道内陽圧)とEPAP(呼気時気道内陽圧)との中間の圧力で空気を提供するCPAP装置が記載されている。米国特許第6,484,719号(Berthon−Jones)及び第6,532,957号(Berthon−Jones)には、波形テンプレートにしたがって圧力サポートを提供する装置が記載されている。米国特許第6,553,992号(Berthon−Jonesら)には、そのサーボコントローラが圧力波形のプロファイル及び圧力振幅変調を調整することによってサポートの程度を調整するベンチレータが記載されている。サーボコントローラは圧力振幅変調を増加することによってサポートの程度を上げるときに、漸次、より方形の、したがって効率的な、圧力波形も生成する。サーボコントローラが圧力振幅変調を低下することによってサポートの程度を下げるときには、漸次、より滑らかな、したがって快適な、圧力波形も生成する。これらの全ての特許の内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0008】
CPAP及びVPAP装置は、機械的ベンチレータである。ベンチレータは、圧力、容量、又は流量のいずれかのコントローラとして分類されている(Chatobum、Principles and Practice of Mechanical Ventilation、MJ Tobin編集、McGraw Hill、1994、第2章)。各場合において、ベンチレータは、患者へ送出される空気の圧力対時間、空気の容量対時間、又は空気の流量対時間を制御する。多くのこのような装置は、様々な波形、例えば、パルス(矩形)、指数関数、ランプ及び正弦等の波形を送出するようにプログラムすることが可能である。患者に実際に送出される波形の形状は、患者の呼吸器系のコンプライアンス及び抵抗、並びに、患者の呼吸エフォート、更に、機械的制約、例えばブロワモーメント及び伝播遅延等によって、影響され得る。
【0009】
Siemens Servo Ventilator 900Bは、空気圧式ベンチレータであり、ハサミ状の弁を使用して吸気流量パターンを制御する(McPherson&Spearman、Respiratory Therapy Equipment、The C.V. Mosby Company、1985、469〜474頁)。
【0010】
ベンチレータは、圧力、容量、流量、又は時間の一つが予め設定した値に到達したときに、吸気波形を送出するように構築されている。当該の変数は、開始変数またはトリガ変数とみなされる。時間及び圧力のトリガは共通である。Puritan Bennett 7200aベンチレータは、流量によってトリガされる。Drager Babylogベンチレータは、容量によってトリガされる。Infrasonics Star Syncモジュールは、胸壁の動きによってInfant Starベンチレータのトリガを可能にする。いくつかの変数が予め設定した値に到達したという理由で、ベンチレータの吸気サイクルは終了する。吸気を終了するために測定されて使用される変数は、サイクル変数と呼ばれる。従時間式及び従量式のベンチレータは、公知である。
【0011】
多くのベンチレータは、呼気終末陽圧(PEEP)を提供する。これらのベンチレータのいくつかは、PEEPが変動することを可能にする弁(PEEP弁)を使用する。いくつかの装置、例えば米国特許第3,961,627号でEmstらが教示したもの等は、1呼吸サイクル内に圧力及び流量制御の組み合わせを提供する。制御サイクルは、四つのフェーズ、I、II、III及びIVに分割される。呼吸サイクル及び制御サイクルは、必ずしも時間において同じになる必要はない。しかしながら、大部分においては、制御サイクルのフェーズI及びIIは吸気に対応し、制御サイクルのフェーズIII及びIVは呼気に対応する。フェーズI、III及びIVは圧制御され、フェーズIIは流量制御される。医師は、呼気圧力減少、変曲(inflexion)、及び最終呼気圧力用の三つの制御要素で圧力コースを選ぶことができる。フェーズIIIにおいて、圧力は、固定圧力減少量dP/dtにしたがってフェーズIIの最後に測定された圧力から進行する。フェーズIIIで測定された圧力が変曲に達すると、圧力は、固定最終呼気圧力へリニアに進行する。変曲から呼吸サイクルの最後への呼気の部分は、フェーズIVを表す。呼気における圧力のリニアコースは、好ましい実施形態を表すが、圧力曲線の別のコース、例えば指数関数に置き換えることができる。
【0012】
自発的に呼吸する患者は、呼吸に対して少なくともいくらかのエフォートをするが、不適切である。患者の呼吸サイクルとベンチレータの呼吸サイクルとの間の同調性(synchrony)の欠如が、患者の不快を招くことがある。
【0013】
Proportional Assist Ventilation(PAV)において、Magdy Younesが記載したように、ベンチレータは、患者のエフォートに比例して圧力を生成する。患者が引けば引くほど、機械はより高い圧力を生成する。ベンチレータは、いずれの通気ターゲット又は圧力ターゲットを課すことなく、単に患者のエフォートを増幅する。PAVの目的は、患者が、どのような換気及び呼吸パターンであれ自分の制御システムが適当であるとするものを快適に達成することを可能にすることであると理解される。PAVシステムは、米国特許第5,044,362号、第5,107,830号、第5,540,222号及び第5,884,662号に、さらに検討されている。
【0014】
米国特許第5,044,362号において、Younesは、下記のように作動するシステムを記載している。
(a)吸気流量:一列になった速度変換器の出力の高周波成分がフィルタで除去されると、残っている信号は、気道で独立に測定された流量に非常に良く一致する。したがって、一列になった速度信号がローパスフィルタに通され、得られた信号がベンチレータユニット用のコマンド信号として使用されて、吸気流量に比例した圧力が生成される。これは、抵抗補助(resistive assist)を提供すると言われる。利得制御は、補助の大きさの選択を可能にする。実際に、流量信号は加算増幅器に永久的に接続され、最小利得は、管(tubing)の抵抗を相殺するように設定される。患者自身の抵抗を相殺するためにより大きな補助が必要なときには、利得は増加する。
(b)吸気容量:吸気流量に関連した信号は、吸気容量を測定するために積分されてもよい。圧力に比例する信号が減じられ、ピストンチャンバ圧縮を可能にする。減じられる圧力信号の大きさは、システムの気体容量の関数であり、ボイルの法則に従っている。結果として得られた信号が加算増幅器へ送られると、ベンチレータユニットは吸気容量に比例する圧力を生み出す。再度得られた補助の大きさは、利得装置によって制御されてもよい。
(c)ランプ発生器:オペレーションのこのモードは、患者のエフォートとは無関係にベンチレータユニットが機能することを可能にし、制御された通気を行なう。この機能は、オペレータが波形発生器を回路にもたらすためにスイッチを入れるにことによって作動することができる。あるいは、特定の期間、患者が自発的に呼吸することができない場合に、ランプ発生器が加算増幅器へ自動的にルートづけられるように設けられてもよい。
(d)D.C.出力:オフセット増幅器によって設けられた調整可能なDC出力は、また、加算増幅器へ送られ、結果として連続圧力が生成される。
【0015】
米国特許第5,535,738号(Estesら)には、さらなるPAV装置が記載されている。
【0016】
Puritan−Bennett 7200a等のライフサポートベンチレータは、患者へ送出される空気の圧力、容量及び流速を非常に精密に制御することを可能にする。しかし、このようなライフサポートベンチレータは、高価すぎて睡眠呼吸障害を治療するために家庭で使用することはできず、コストは、50,000〜100,000オーストラリアドルである。
【発明の簡単な説明】
【0017】
本発明の一つの態様によれば、睡眠呼吸障害を治療するために空気のより快適な波形を提供する低コストのCPAP装置が提供される。
【0018】
本発明の別の態様によれば、睡眠呼吸障害を治療するための低コストのCPAP装置であって、呼気中に空気の減圧を提供するCPAP装置が提供される。
【0019】
本発明の別の態様によれば、睡眠呼吸障害を治療するための低コストのCPAP装置であって、呼気中に第1のレベルから第2のレベルへ圧力を減少するCPAP装置が提供される。第2のレベルは所定の限界以上である。
【0020】
本発明の別の態様によれば、ブロワによって生み出された圧力が閾値を超えるときにモータを惰性で動かすステップを備える電気モータによって、ブロワによってみ出された圧力を制御する方法が提供される。
【0021】
本発明の別の態様によれば、装置の制御サイクルの吸気部分中に第1の陽圧で空気を提供し、装置の制御サイクルの呼気部分中に第2の陽圧で空気を提供し、制御サイクルの吸気部分と呼気部分との間に滑らかに変動する圧力波形を提供するCPAP装置が提供される。
【0022】
本発明の別の態様にしたがって、電気モータと、モータ速度コントローラと、インペラー(本明細書で使用されるように、インペラーは、空気を吹き付けるモータによって駆動される回転機構である)と、ボリュートと、流量センサと、コントローラと、空気送出導管(conduit)と、患者インタフェースと、を備えるCPAP装置が提供され、
(i)CPAP装置は、制御サイクルの吸気部分中に患者インタフェースに第1の陽圧で空気を提供するようになっており、
(ii)流量センサは、空気送出導管を通る空気の流速を測定するようになっており、
(iii)圧力センサは、患者インタフェースの空気の圧力を測定するようになっており、
(iv)コントローラは、患者の呼吸サイクルの呼気部分の開始を示す、流量センサからの信号を検出するようになっており、
(v)呼吸サイクルの呼気部分の開始の検出時に、コントローラは、患者インタフェースの圧力が所定のレベルになるまでモータを惰性で動かすようにモータ速度コントローラに指令するようになっており、その後、コントローラは、第2の陽圧で空気を送出するために電気モータの速度を制御するようモータコントローラに指令し、
(vi)無呼吸または患者の呼吸サイクルの吸気部分の開始のいずれかの検出時に、コントローラは、患者インタフェースの圧力が患者インタフェースの第1の陽圧に達するまでモータを加速するために、モータ速度コントローラに指令するようになっている。
【0023】
本発明の別の態様は、低慣性のモータを備えたCPAP装置を提供することである。この態様によれば、モータの慣性は十分に低く、そのため、モータは、第1の圧力レベルを送出した第1の速度から、呼気サイクルの終了前に第2の所定の圧力レベルに達するまで、惰性で動くことができる。この態様によれば、モータの慣性は十分に低く、そのため、第2の所定の圧力レベルへの減速の速度は、呼気の典型的な持続時間に対して速い。好ましくは、モータ及び/またはインペラーの慣性は、13,600g.mm2未満である。最終結果として、モータによって駆動されるブロワに、所望の圧力の空気を患者の気道に供給させることによって、睡眠呼吸障害の治療用の低コストのCPAP装置が提供される。呼気中の圧力は、モータを惰性で動かすことを可能にすることによって、高レベルから低レベルまで減少される
【0024】
本発明の別の態様において、第1の圧力レベルは、米国特許第5,704,345号に記載されたような自動アルゴリズムにしたがって決定される。
【0025】
本発明の別の態様は、CPAP装置に、空気のより快適な波形を送出することができるモータを提供することである。
【0026】
本発明の別の態様は、CPAPの快適モードに、最大圧力低下を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係るCPAP装置を示す図である。
【図2】モータを減速するために惰性運動を使用する本発明の実施形態に係る装置の応答を示す図である。
【図3】ブレーキングと惰性運動との組み合わせを使用する本発明の実施形態に係る装置の応答を示す図である。
【図4】33%デューティサイクルのブレーキングを使用する本発明の実施形態に係る装置の応答を示す図である。
【図5】圧力を上昇するときを決定するためにネガティブピーク検出を使用する本発明の実施形態に係る装置の応答を示す図である。
【図6a】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な下部ボリュートを示す図である。
【図6b】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な下部ボリュートを示す図である。
【図6c】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な下部ボリュートを示す図である。
【図6d】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な下部ボリュートを示す図である。
【図7a】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す図である。
【図7b】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す図である。
【図7c】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す図である。
【図7d】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す図である。
【図7e】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す図である。
【図7f】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す図である。
【図8a】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す更なる図である。
【図8b】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す更なる図である。
【図8c】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す更なる図である。
【図8d】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す更なる図である。
【図9a】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切なモータ及びインペラーアセンブリを示す図である。
【図9b】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切なモータ及びインペラーアセンブリを示す図である。
【図9c】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切なモータ及びインペラーアセンブリを示す図である。
【図10】15cmH2OのCPAP圧力、及び3cmH2Oの減少レベルに設定された本発明の実施形態に係る装置の応答を示す図であり、上部曲線は流量を示し、下部曲線は圧力を示し、各水平グリッドは約1秒に対応する。
【図11】図10と同一の水平及び垂直のスケールを備え、図10のものに類似した図を示すが、CPAP圧力は10cmH2Oに設定されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明者の発明の実施形態に係る装置を示す。ブラシレス電気モータ10は、それに取り付けられたインペラー12を有する。インペラー12は、ボリュート36に載置される。モータ10は、モータコントローラ24の制御下にある(適切なコントローラとして、TMS320LC2004またはMC33035ICが挙げられる)。モータは、センサ32,34を含み、当該センサ32,34は、モータ回転速度及び電流を示す信号を提供する。モータの巻線が励磁されると、インペラーが回転する。空気は、インペラーの入口を通って引かれ、運動量(momentum)を得る。空気がインペラーから出てボリュート内に進むときに、速度を変え、圧力を生み出す。空気は、ボリュートから出て、流量センサ28及び圧力センサ30(例えば、SMI5652−003流量センサ及びSMI5652−008またはMPX2010圧力センサ等)を過ぎて、次に患者インタフェース18へ接続された空気送出コンジット16(例えば、Smooth−bor Plasticsが製造したもの)へ進む。患者インタフェース18は、例示の実施形態では鼻マスクであり、例えば、ResMed Limitedが製造したMIRAGE(登録商標)又はULTARA MIRAGE(登録商標)マスクである。患者インタフェースの他の形態、例えば、フルフェースマスク、鼻カニューレ及び鼻クッションを使用してもよい。
【0029】
流量センサ28及び圧力センサ30は、マイクロコントローラ14へデータを提供する。適切なマイクロコントローラとして、HITACHI SH7032/34が挙げられ、これは、32ビットRISC装置であり、2〜20Mhzのクロックレート、8×10ビットA−Dコンバータ、並びに様々な入力及び出力特徴部を備える。マイクロコントローラ14は、Accelerated Technologies IncorporatedによるNucleus Plus Real−Time Operating System(RTOS)を使用する。本発明の一つの形態において、装置は、所定のCPAP圧力を送出し、このような装置は、ResMed LimitedによるS7 ELITEである。本発明の別の形態において、マイクロコントローラ14は、無呼吸及び呼吸器系の気道の障害を検出するための方法及び装置を教示している米国特許第5,704,345号(Berthon−Jones)にしたがってCPAP療法を供給するようにプログラムされる。米国特許第5,704,345号の内容は、参照することによって、ここに組み込まれる。
【0030】
マイクロコントローラ14は、患者の呼吸サイクルの吸気部分と呼気部分との間に患者の遷移を検出するようにプログラムされている。この検出を達成する多数の方法がある。一つの方法は、患者への空気の流量及び患者からの空気の流量をモニタすることである。呼吸流量信号がゼロに交差するときには(ゼロ交差)、吸気と呼気との間の遷移がある。代わりに又は加えて、マスク圧力がモニタされてもよい。マスク圧力が第1の圧力閾値より下になる場合には、吸気が発生したものとする。マスク圧力が第2の圧力閾値より上に上昇する場合には、呼気が発生したものとする。代わりに又は加えて、患者にエフォートセンサを使用して、例えば、胸壁の動き、頸切痕の動き、又は、他の患者の動きを決定してもよい(例えば、米国特許第6,445,942号に記載されているように)。測定技術は、呼吸の期間とタイミングが取られた推定値と組み合わされてもよい。例えば、患者の平均呼吸率が測定されてもよく、吸気が流量センサ、圧力センサ、又はエフォートセンサによって検出される場合に、測定された平均呼吸率に基づいた期間後に呼気が発生すると想定される。
【0031】
この装置は、ディスプレイ22、例えば、2行×16文字LCD又は類似のディスプレイデバイスを含む。この装置は、キーパッド26、例えばバックライトシリコーンスイッチを使用するもの等を含む。デバイスはまた、SKYNETによって製造されたClass II Isolationの24Vで40Wを提供する電源も含む。この装置は、外部デバイスとの連通を可能にするためにインタフェース20を含んでもよい。例えば、適切なインタフェースチップは、MAXIMのMAX3130/MAX3131である。これらのチップは、IrDA及びRS−232通信の両方を提供する。
【0032】
慣性は、静止時には静止したままであり、又は、動いている場合には、なんらかの外部力に作用されない限り、同一方向に動き続ける傾向である。本発明での使用に適切なモータ及びインペラーは、慣性が十分に低くなければならない。CPAP装置用の使用において、モータは典型的に、1分当たり数千回転(RPM)で作動する。動いているモータにもはや電力が供給されない場合には、減速に要する時間は、モータ及びインペラーの慣性とインペラーを通る空気流量との関数である。所与のモータ、インペラー及びボリュートの組み合わせは、より低い回転速度でより低い圧力の空気を生み出す。本発明の好ましい形態において、慣性は、13,000から14,000g.mm2未満であり、好ましくは、13,600g.mm2未満である。適切なボリュートハウジングの一つの形態は、図6〜8に示されており、適切なモータ及びインペラーの一つの形態は、図9に示されている。インペラーを作るのに適切な材料は、ガラス充填ポリカーボネート、例えばGE LEXAN 3412Rである。このようなボリュート及びインペラーは、ResMed LimitedによるS7(商標) ELITEに見出される。
【0033】
慣性又は慣性モーメントは、回転の慣性に与えられる用語であり、直線運動用の質量の回転類似物である。慣性モーメントは、特定の回転軸に対して規定され、本発明者のケースでは、モータのスピンドルの軸である。この軸に対する質点の慣性モーメントは、質量×軸からの距離の二乗の積として規定される。任意の拡張した物体の慣性モーメントは、その基本定義から確立される。
【0034】
複雑な物体の慣性は、SolidWorks等のコンピュータパッケージを使用して計算されてもよい。パッケージは、ロータ、スピンドル、インペラー及び回転する他のものを取り、それらすべてを、何百万のブロックの質量に破断し、全ての個々の慣性を加え合わせる(J.L. Meriam and L.G.Kraige、Engineering Mechanics−Dynamics、John Wiley & Sons, Inc.、1998年、665〜682頁)。
【0035】
あるいは、慣性モーメントを第1の原理から計算してもよい。ロータは、円盤、円筒形、球等の簡単な形状に破断されてもよい。これらの形状に対して、慣性値は、分析的に計算することが可能であり、次いで、慣性値を加え合わせて、合計慣性モーメントを得ることができる。
【0036】
ResMed Limitedによって製造されたS7 ELITE等のCPAP装置が、本発明者の発明を組み込むように適合されてもよい。一般に、本発明者の発明の実施形態に係るCPAP装置のコントローラは、4〜25cmH2Oの範囲のCPAP圧力を送出するようにプログラムされる。例えばAutoSet SPIRITや上述の米国特許第5,704,345号に教示されるように、装置の自動調整形態では、CPAP装置は、CPAP圧力を上昇するようにプログラムされており、いびき、無呼吸、又は流量平坦化の存在によって示されるような気道の部分閉塞又は完全閉塞を克服し又は防止する。
【0037】
コントローラ14は、患者の呼吸サイクルの呼気部分中に患者に送出される患者インタフェース内の空気の圧力を、患者の医師によって推薦される処置圧力から、わずかに減少するようにプログラムされる。減少の量は、一つの形態では、CPAP装置のスイッチ26を通ってアクセス可能な設定によって決定される。例えば、コントローラは、呼気中に四つの異なるレベルの減圧を行い、各レベルは、更に1cmH2Oの圧力(快適モード)で減少へ導くようにプログラムされてもよい。例えば、CPAP圧力が、吸気中に患者インタフェースへ15cmH2Oで空気を送出するように設定され、且つ、快適モードがレベル2に設定される場合に、圧力は呼気中に13cmH2Oへ減少する。
【0038】
本発明者の発明の別の形態において、減少の量は、およそ2.5、3及び3.5cmH2Oであり、本発明者の発明の更なる形態において、減少の量は、およそ1、2及び3.5cmH2O、及び、1、2及び3cmH2O圧力である。
【0039】
本発明者の発明の一つの好ましい形態において、圧力減少の最大量はレベル設定によって固定され、呼気中に圧力は所定の量よりも下に落ちない。好ましくは、マスク圧力は4cmH2Oよりも下に落ちない。
【0040】
本発明者の発明の一つの形態において、圧力は、呼吸の流量をモニタしている流量信号が患者の呼吸サイクルの呼気部分の開始を示すと、レベル設定に従って設定された量だけCPAP圧力から減少される。圧力は、吸気の開始の徴候が検出されるまで、低いレベルのままであり、吸気の開始の徴候が検出されると直ぐに、CPAP圧力へ戻される。
【0041】
本発明者の発明の別の形態において、圧力は、呼吸の流量をモニタしている流量信号が患者の呼吸サイクルの呼気部分の開始を示すときに、レベル設定にしたがって設定された量だけCPAP圧力から減少される。圧力は、吸気の開始の徴候が検出されるまで、又は無呼吸が検出されるまで、圧力は低いレベルのままである。吸気の開始の徴候が検出されるか、又は無呼吸が検出されると、圧力は、CPAP圧力へ戻される。
【0042】
無呼吸の検出時に、圧力は、吸気及び呼気両方の間、より高いレベルに維持されてもよい。また、無呼吸の休止(すなわち、通常呼吸の再開)の検出時に、又は、予め設定された期間の満了時に、呼気モード中の減圧の減少が再開されてもよい。
【0043】
本発明者の発明の特徴によれば、減圧は、モータを「惰性で動かす」ことによって行われる。すなわち、呼気が検出されると、モータ巻線の励磁が一時的に停止され、ロータが最終的に減速することができ、患者インタフェースへ送出されている空気の減圧がもたらされる。このアプローチは、特に快適である圧力の緩やかな減少を提供する。患者インタフェースの圧力がモニタされ、患者インタフェースの圧力が(「快適」レベルによって設定されたように)容認可能なレベルへ落ちると、モータ巻線の励磁が、患者インタフェース圧力をより低いレベルで維持するのに十分なより低い速度で再開される。吸気の開始を示す流量信号が検出されると、モータ速度が増加され、必要なCPAP圧力が送出される。
【0044】
一般に、シーケンスは三つのステップを取る。
(i)吸気から呼気への遷移の検出時に、モータが、消磁されて、惰性で動くことが可能になる。
(ii)患者マスク(または、利用されるすべてのインタフェース)の圧力が呼気中に最小圧力レベルに達すると、モータは再び励磁され、その速度は、呼気に適切なレベルに圧力を維持するように制御される。
(iii)呼気から吸気への遷移の検出時に、モータ速度が増加され、患者マスクに吸気に適切なより高い圧力を提供する。
【0045】
図2は、オシロスコープのスクリーンであり、本発明の実施形態に係る装置が、500mlの1回換気量、且つ、1分当たり15呼吸で正弦呼吸を提供する呼吸機械で検査される場合の二つのトレースを示している。上部トレースは、圧力信号を示す。下部トレースは、流量信号を示す。流量信号を使用して、少なくとも一つの遷移を検出する。正の値から負の値への流量信号の遷移(ゼロ交差)を使用して、呼気の開始を規定することができる。負の値から正の値への流量信号の遷移(ゼロ交差)を使用して、吸気の開始を規定することができる。流量信号が閾値よりも小さい場合には、ゼロ交差が発生したものとする。閾値は、圧力及び流量曲線の間の位相遅延を調整する効果がある。閾値が大きくなればなるほど、ゼロ交差が確実に検出されているという信頼性が向上し得る。しかし、遷移が発生したときに、不確実性が増し、位相遅延及び同時性の減少を招く可能性がある。吸気流量が正の値であると規定すると、吸気から呼気への遷移の閾値は、0〜5l/分であり、好ましくは、1l/分である。呼気から吸気への遷移の閾値は、−4〜−1l/分であり、好ましくは、−1l/分である。
【0046】
本発明の別の形態において、吸気から呼気への遷移の閾値は、−4〜−1l/分の範囲であり、好ましくは、−1l/分であり、呼気から吸気への遷移の閾値は、0〜5l/分の範囲であり、好ましくは、1l/分である。このアプローチの利点は、時折発生するように、呼気から吸気への流量曲線に安定領域(plateau)がある場合に、吸気が時期尚早にトリガされることがないことである。
【0047】
本発明の更なる形態において、流量を積分して、容量を計算する。容量が負のときに呼気が発生するものとし、容量が正のときに吸気が発生するものとする。
【0048】
一般に、本発明に係る装置において、サイクル/トリガ閾値の特異性が、感度よりも有利に働く。
【0049】
「惰性運動」によって、呼気中に、新しく設定された圧力へ、約1.7秒で約3〜4cmH2Oの長い減少が示され、吸気が開始すると速い立ち上がり時間(およそ350〜800ミリ秒)が示される。立ち上がり時間は、電源装置及び慣性を含む様々な要因の関数である。長い立ち下がり時間は、モータの慣性、及び、アクティブな制動がないことに起因する。
【0050】
本発明者の発明の他の形態において、減圧は、モータが惰性で動いている時間の少なくともいくらかの間に、モータを制動することによって促される。制動は、巻線を短絡することによって達成されてもよい。本発明の一つの形態において、圧力及び流量の両方が、それぞれ、圧力変換器及び流量変換器によってモニタされる。本発明の他の形態において、圧力はモータ速度から概算される。
【0051】
図3は、図2と同一の曲線のセットを示す。しかしながら、図3は、吸気から呼気へのゼロ交差に続いて、ブレーキが適用され、圧力を240ミリ秒で約2.7cmH2Oへ低下させる。使用される制動時間は、エラー、すなわち、測定された圧力と目標圧力との間の差の関数である。エラーが大きくなればなるほど、制動の期間が長くなる。エラーが減少するにつれて、より短い制動が使用される。したがって、制動の期間は、エラーの関数である。図2においては、50ミリ秒オン/オフ、30ミリ秒オン/オフ、及び10ミリ秒オン/オフの制動期間が使用された。したがって、減圧は、モータを惰性で動かすこととモータを制動することとの組み合わせの結果として発生する。
【0052】
一つの形態において、ブレーキが、適用されて、変換器の圧力が呼気サイクル用に新しく設定された圧力と同一になるまで解放されない。吸気が開始するときにブレーキがオンである場合には(すなわち、呼吸流量、Rf>HTH)、ブレーキが解放され、設定された圧力は、CPAP処置圧力へ戻される。
【0053】
状態機械を使用して、ブレーキをオン/オフサイクルにおいて適用し、設定された圧力に至る期間をより早くした。
【0054】
スイッチブレーキの適用は、大きい圧力低下及び小さい圧力低下にわたる制動を考慮することによって、さらに改良することができる。
【0055】
圧力減少を達成するためのアルゴリズムは、下記の通りである。
1)ゼロ交差を検出する。
2)目標圧力=(処置圧力−選択された減圧)を設定する。
3)圧力エラー=現在の圧力−目標圧力を計算する。
4)圧力エラー≧閾値、である間、好ましいデューティサイクルでモータを制動する。
【0056】
一つの形態において、ディザ制動(dithered braking)を使用し、すなわち、短いバースト、例えば25〜50%、好ましくは33%のデューティサイクルで、モータを制動する(例えば、10ミリ秒ブレーキオン、20ミリ秒ブレーキオフ)。必要な減圧を達成するのに必要なデューティサイクルのサイズは、慣性の関数である。上述のようなモータ及びインペラーの組み合わせでは、より短いデューティサイクル、例えば10%の使用は、所望の時間内に所望の減圧を達成するようにモータを減速するには不十分である。しかしながら、より低い慣性のモータ及びインペラーでは、10%デューティサイクルで所望の減圧を達成することが可能となり得る。さらに、好ましいモータ及びインペラーでは、約50%を超えるデューティサイクルの使用が圧力スパイクを生じさせる可能性がある一方、他のモータ及びインペラーが使用されるときには、50%を超えるデューティサイクルを使用することが可能となり得る。図4は、ブレーキングが33%のデューティサイクルを有するときの装置の応答を示す。
【0057】
閾値のサイズは、モータを制動するのに使用されるデューティサイクルに依存する。33%デューティサイクルで、閾値は0.5〜0.9cmH2Oに設定され、好ましくは0.5cmH2Oである。25%デューティサイクルで、0.2〜0.7cmH2Oの範囲の閾値が使用され、50%デューティサイクルで、0.8〜1.4cmH2Oの範囲の閾値が使用される。
【0058】
より低い速度から治療圧力を提供するのに十分な速度へモータを加速するには有限の時間を要するので、より低い「快適」圧力から処置圧力へ圧力を上昇することにもまた有限の時間を必要とする。時間の遅延は、患者とブロワとの間の同調性の低下を招く。本発明のこの形態においては、吸気の開始が検出されるまで待つ代わりに(例えば、負から正の信号に変わる流量信号によって)、吸気が発生する時間を予測する試みがなされ、圧力の上昇を調整して同調性を維持する。
【0059】
本発明者の発明の一つの形態においては、図5に示されるように、ネガティブピークデテクタを使用して、圧力が呼気サイクルの頂点で上昇し始めることを可能にし、吸気サイクルが開始する前に処置圧力の送出が安定することを可能にする。この方法は、先に記載した低い閾値を使用し、高い閾値はネガティブピークデテクタに置き換えられる。
【0060】
本発明者の発明の別の形態においては、下記の方法を使用して、誤ったネガティブピークを排除するように試みる。流量の移動平均は、10ミリ秒離れて間隔をおいた三つの点から計算される。ヒステリシス閾値が、移動平均に適合されてもよい。この実施形態は、ピーク検出アルゴリズムにおける閾値を修正することによって、または、ネガティブピークを見出すために取られたアプローチを修正する(例えば、フィルタリングして差を計算する)ことによって、改良することができる。ネガティブピークは、例えば、「Minimizaiton or Maximizaiton of Functions」第10章、Numerical Recipes、W.H. Pressら、1986、Cambridge University Press、ISBN0521308119にあるもの等の、最小値を検出するための技術を使用して検出することもできる。
【0061】
他の技術を使用して、吸気が発生する時間を予測し、圧力の上昇を調整し、同調性を維持してもよい。例えば、本発明の別の形態においては、平均呼気サイクル持続時間tdは、流量の連続したゼロ交差、及び、より低い「快適」圧力から治療圧力tpへの圧力の上昇に必要な時間から計算される。呼気が検出されると、タイマーteが、呼気の開始以降の時間を計算する。より低い速度からより高い速度へのモータの加速は、te=td−tpであるときに開始される。
【0062】
惰性運動中の圧力低下の速度は、惰性運動の開始直前の吸気圧力に依存し得る。例えば、15cmH2Oの吸気圧力から、3cmH2Oの圧力の低下が、約1秒内に発生してもよい。図10を参照されたい。対照的に、10cmH2Oの吸気圧力から、3cmH2Oの圧力の低下が、約2秒内に発生してもよい。図11を参照されたい。したがって、本発明の実施形態によれば、呼気圧力緩和の調整可能な速度を達成するための手段が提供される。
【0063】
発生する減圧が調整可能な量によって限定される本発明の利点は、この限定が、適切なCO2ウォシュアウト及び/又は開いた気道の維持を確実にすることである。例えば、呼気減圧が純粋に呼気流量に依存するCPAPシステムにおいては、呼気中のCPAP圧力は、適切なCO2ウォシュアウトを確実にするのに必要な圧力、一般に約4cmH2Oより下に落ちることもある。したがって、米国特許第5,535,738号に記載のもの等の装置、または、Respironics Inc.のC−Flexモード付BiPAPベンチレータに改良を行うことができ、当該改良においては、サイクルの呼気部分中に、圧力が、呼気流量に従うことができるが、閾値へ低下するだけであってもよい。したがって、患者インタフェース圧力が、十分なCO2ウォシュアウトを確実にするために且つ/又は開いた上部気道を維持するために適切な圧力より下に落ちることは絶対にない。
【0064】
本発明の惰性運動技術は、今までのところ、反復治療サイクルの管理中に適用されるものとして記載されている。しかし、この技術には少なくとも二つの他の用途がある。一つは、多くのCPAP治療機械で利用可能なランプフェーズ特徴中にあり、患者が眠ろうと試みるときに、マスク圧力はランプフェーズ中に治療圧力へ向けて徐々に増える。米国特許第5,199,424号、第5,522,382号及び第6,705,351号を参照されたい。例えば、ランプフェーズ中に、吸気圧力がサイクルの間(サイクルからサイクルへ増加している間)一定であってもよい。しかし、呼気圧力はサイクルからサイクルへ増加していてもよく、呼気圧力は本発明の教示にしたがって惰性で動いているモータ又はブロワロータによって制御されてもよい。ランプフェーズの最後には、すなわち、治療圧力に達すると、惰性運動技術を無効にすることも可能である。治療CPAP圧力レベルへの滑らかな遷移を達成するように、惰性運動技術のランプフェーズの最後を徐々にテーパー化(taper)することが適切であるとも考えられる。このテーパリングは、連続呼吸に対して呼気と吸気の間の圧力差を徐々に減少することによって発生するものである。好ましくは、これは、ランプフェーズの最後に発生し、約15平均の呼吸に等しい。このテーパリングは、患者の障害を減少し患者の快適さを促進するよう意図されている。
【0065】
ランプフェーズの最後に惰性運動技術を無効にすることによって、患者には、眠ろうとしている間に(すなわち、ランプフェーズ中に)最大の快適さが提供され、睡眠中に(すなわち、治療フェーズ中に)臨床的に決定された治療圧力に惰性運動技術が干渉することはない。同様に、本発明の惰性運動技術は、ResMed AutoSet(登録商標) SPIRIT CPAP装置とともに利用可能な自動滴定気道陽圧(APAP)の「整定時間(settling time)」フェーズ中に使用することが可能である。「整定時間」フェーズ中に、一定であるが低いマスク圧力が提供されて、患者が眠りに陥ることができるようなる。「整定時間」の最後に、APAPは患者に、処置アルゴリズムによって適切に決定された可変治療処置圧力を提供する。「整定時間」中のみに本発明の惰性で動く惰性運動技術を適用することによって、患者の快適さは、睡眠への遷移中に高められ、実際の治療を危うくすることはない。当然ながら、患者インタフェース圧力が「整定時間」フェーズ用に設定された低い圧力よりも下になることが臨床的に望ましくないとみなされる場合には、そのフェーズ中に惰性運動技術を作動させないことが適切である。あるいは、整定時間フェーズ圧力は、惰性運動技術が有効になるのに十分であるレベルで設定されてもよいが、呼気中の圧力を、所定の臨床的に容認可能なレベルよりも低いレベルへ低下しない。CPAPのランプフェーズの最後に、又はAPAPの「整定時間」の最後に惰性運動技術を無効にすることは、治療フェーズ中に惰性運動が誘発した不十分な圧力サポート、又は不十分なCO2ウォシュアウトの発生を回避する。
【0066】
本発明は特定の実施形態を参照して記載されているが、これらの実施形態は、本発明の原理の適用を単に例示するだけである。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多数の修正が行われてもよく、他の仕組みが考案されてもよい。例えば、例示的な実施形態において、吸気と呼気との間の遷移を決定するために流量信号が使用されるが、他の信号、例えば圧力が、使用されてもよい。信号の組み合わせ、例えば流量及びエフォートが使用されてよく、惰性運動が、患者インタフェース圧力の揺れを制御し、又は減少するために、使用されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…モータ、12…インペラー、14…コントローラ、16…空気送出コンジット、18…患者インタフェース、20…インタフェース、22…ディスプレイ、24…モータコントローラ、28…流量センサ、30…圧力センサ、32,34…センサ、36…ボリュート。
【関連出願】
【0001】
本出願は、2003年6月20日に出願されたオーストラリア仮出願第AU2003903138号の外国優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、睡眠呼吸障害を治療するために患者へ陽圧で空気の供給を行なうための方法及び装置に関する。特に、本発明は、滑らかで快適な圧力対時間の波形を提供する方法及び装置に関する。
【発明の背景】
【0003】
米国特許第4,944,310号に教示されるように、閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)及び睡眠呼吸障害(SDB)の他の形態の治療用の経鼻持続気道陽圧法(経鼻CPAP)のSullivanによる発明以来、この装置の快適さの改良に、多くの努力が向けられている。この一つの態様は、より快適な患者インタフェースであり、例えば、ResMed Limitedが製造したMIRAGE(登録商標)及びULTARA MIRAGE(登録商標)マスク等によって提供されている。より快適な患者インタフェースを提供する別の態様は、ブロワによって提供される陽圧における空気の波形の快適さである。
【0004】
いくつかの低コストCPAPブロワ装置、例えばResMed LimitedによるS7(商標)装置等は、患者の呼吸サイクルの間中、略固定された陽圧、例えば15cmH2Oで、空気の供給を行なう。電気モータ及びファンを具備するブロワは、患者インタフェース、例えばマスクへ、特定の圧力を送出するように予め定められたモータの回転速度に基づいて、空気を送出するように構築することができる。このようなシステムで患者が息を吸い込むときに、マスクの圧力は、少量だけ減少する可能性がある。このようなシステムで患者が息を吐き出すときに、マスクの圧力は、少量だけ上昇する可能性がある。マスク圧力のこれらの変動は、「揺れ」と称される。他のブロワは、圧力コントローラのフィードバックを使用し、マスク圧力に関する患者エフォートの影響と釣り合いをとって、揺れを減少する。このような装置のオーストラリアにおける現在の小売価格は、約1000オーストラリアドルである。
【0005】
別のグループのCPAP装置、例えばResMed AUTOSET(登録商標) SPIRIT(商標)装置は、患者をモニタし、適切なCPAP設定を決定して患者へ送出することが可能であり、その圧力は、夜の間に変動してもよく、例えば、患者の睡眠の初期部分中には15cmH2Oを送出するが、夜遅くには20cmH2Oに上昇する。圧力の変化は、呼吸の態様、例えば気道閉塞及びいびき等の発生及び重大度の判断に応じて、なされる。このような装置のオーストラリアにおける現在の小売価格は、約2000オーストラリアドルである。
【0006】
複相型(bi-level)CPAP装置、例えばResMed VPAP(登録商標)製品等は、呼吸サイクルの吸気部分中に患者のマスクへより高い圧力を、例えば10〜20cmH2Oを提供し、患者の呼吸サイクルの呼気部分中により低い圧力、例えば4〜10cmH2Oを提供する。装置制御サイクルと患者呼吸サイクルとの間のミスマッチは、患者の不快を招くこともある。装置がより高い圧力からより低い圧力へ遷移するときに、モータは制動される。装置がより低い圧力からより高い圧力へ遷移するときに、モータは加速される。装置設定に依存して、装置は、50〜100ミリ秒内に5〜18cmH2O圧力の変化を行うように要求されることがある。この変化を達成するために、ピーク電力(Power load)は、60〜90Wの大きさになり得る。VPAP(登録商標)装置は、低い慣性及びピーク電力を要件とするので、大型で高価な電源装置が必要である。このような装置のオーストラリアにおける現在の小売価格は、設定された装置特徴に依存し、約3,500〜7,500オーストラリアドルである。
【0007】
米国特許第6,345,619号(Finn)には、装置制御サイクルの吸気部分と呼気部分との間の遷移中に、IPAP(吸気時気道内陽圧)とEPAP(呼気時気道内陽圧)との中間の圧力で空気を提供するCPAP装置が記載されている。米国特許第6,484,719号(Berthon−Jones)及び第6,532,957号(Berthon−Jones)には、波形テンプレートにしたがって圧力サポートを提供する装置が記載されている。米国特許第6,553,992号(Berthon−Jonesら)には、そのサーボコントローラが圧力波形のプロファイル及び圧力振幅変調を調整することによってサポートの程度を調整するベンチレータが記載されている。サーボコントローラは圧力振幅変調を増加することによってサポートの程度を上げるときに、漸次、より方形の、したがって効率的な、圧力波形も生成する。サーボコントローラが圧力振幅変調を低下することによってサポートの程度を下げるときには、漸次、より滑らかな、したがって快適な、圧力波形も生成する。これらの全ての特許の内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0008】
CPAP及びVPAP装置は、機械的ベンチレータである。ベンチレータは、圧力、容量、又は流量のいずれかのコントローラとして分類されている(Chatobum、Principles and Practice of Mechanical Ventilation、MJ Tobin編集、McGraw Hill、1994、第2章)。各場合において、ベンチレータは、患者へ送出される空気の圧力対時間、空気の容量対時間、又は空気の流量対時間を制御する。多くのこのような装置は、様々な波形、例えば、パルス(矩形)、指数関数、ランプ及び正弦等の波形を送出するようにプログラムすることが可能である。患者に実際に送出される波形の形状は、患者の呼吸器系のコンプライアンス及び抵抗、並びに、患者の呼吸エフォート、更に、機械的制約、例えばブロワモーメント及び伝播遅延等によって、影響され得る。
【0009】
Siemens Servo Ventilator 900Bは、空気圧式ベンチレータであり、ハサミ状の弁を使用して吸気流量パターンを制御する(McPherson&Spearman、Respiratory Therapy Equipment、The C.V. Mosby Company、1985、469〜474頁)。
【0010】
ベンチレータは、圧力、容量、流量、又は時間の一つが予め設定した値に到達したときに、吸気波形を送出するように構築されている。当該の変数は、開始変数またはトリガ変数とみなされる。時間及び圧力のトリガは共通である。Puritan Bennett 7200aベンチレータは、流量によってトリガされる。Drager Babylogベンチレータは、容量によってトリガされる。Infrasonics Star Syncモジュールは、胸壁の動きによってInfant Starベンチレータのトリガを可能にする。いくつかの変数が予め設定した値に到達したという理由で、ベンチレータの吸気サイクルは終了する。吸気を終了するために測定されて使用される変数は、サイクル変数と呼ばれる。従時間式及び従量式のベンチレータは、公知である。
【0011】
多くのベンチレータは、呼気終末陽圧(PEEP)を提供する。これらのベンチレータのいくつかは、PEEPが変動することを可能にする弁(PEEP弁)を使用する。いくつかの装置、例えば米国特許第3,961,627号でEmstらが教示したもの等は、1呼吸サイクル内に圧力及び流量制御の組み合わせを提供する。制御サイクルは、四つのフェーズ、I、II、III及びIVに分割される。呼吸サイクル及び制御サイクルは、必ずしも時間において同じになる必要はない。しかしながら、大部分においては、制御サイクルのフェーズI及びIIは吸気に対応し、制御サイクルのフェーズIII及びIVは呼気に対応する。フェーズI、III及びIVは圧制御され、フェーズIIは流量制御される。医師は、呼気圧力減少、変曲(inflexion)、及び最終呼気圧力用の三つの制御要素で圧力コースを選ぶことができる。フェーズIIIにおいて、圧力は、固定圧力減少量dP/dtにしたがってフェーズIIの最後に測定された圧力から進行する。フェーズIIIで測定された圧力が変曲に達すると、圧力は、固定最終呼気圧力へリニアに進行する。変曲から呼吸サイクルの最後への呼気の部分は、フェーズIVを表す。呼気における圧力のリニアコースは、好ましい実施形態を表すが、圧力曲線の別のコース、例えば指数関数に置き換えることができる。
【0012】
自発的に呼吸する患者は、呼吸に対して少なくともいくらかのエフォートをするが、不適切である。患者の呼吸サイクルとベンチレータの呼吸サイクルとの間の同調性(synchrony)の欠如が、患者の不快を招くことがある。
【0013】
Proportional Assist Ventilation(PAV)において、Magdy Younesが記載したように、ベンチレータは、患者のエフォートに比例して圧力を生成する。患者が引けば引くほど、機械はより高い圧力を生成する。ベンチレータは、いずれの通気ターゲット又は圧力ターゲットを課すことなく、単に患者のエフォートを増幅する。PAVの目的は、患者が、どのような換気及び呼吸パターンであれ自分の制御システムが適当であるとするものを快適に達成することを可能にすることであると理解される。PAVシステムは、米国特許第5,044,362号、第5,107,830号、第5,540,222号及び第5,884,662号に、さらに検討されている。
【0014】
米国特許第5,044,362号において、Younesは、下記のように作動するシステムを記載している。
(a)吸気流量:一列になった速度変換器の出力の高周波成分がフィルタで除去されると、残っている信号は、気道で独立に測定された流量に非常に良く一致する。したがって、一列になった速度信号がローパスフィルタに通され、得られた信号がベンチレータユニット用のコマンド信号として使用されて、吸気流量に比例した圧力が生成される。これは、抵抗補助(resistive assist)を提供すると言われる。利得制御は、補助の大きさの選択を可能にする。実際に、流量信号は加算増幅器に永久的に接続され、最小利得は、管(tubing)の抵抗を相殺するように設定される。患者自身の抵抗を相殺するためにより大きな補助が必要なときには、利得は増加する。
(b)吸気容量:吸気流量に関連した信号は、吸気容量を測定するために積分されてもよい。圧力に比例する信号が減じられ、ピストンチャンバ圧縮を可能にする。減じられる圧力信号の大きさは、システムの気体容量の関数であり、ボイルの法則に従っている。結果として得られた信号が加算増幅器へ送られると、ベンチレータユニットは吸気容量に比例する圧力を生み出す。再度得られた補助の大きさは、利得装置によって制御されてもよい。
(c)ランプ発生器:オペレーションのこのモードは、患者のエフォートとは無関係にベンチレータユニットが機能することを可能にし、制御された通気を行なう。この機能は、オペレータが波形発生器を回路にもたらすためにスイッチを入れるにことによって作動することができる。あるいは、特定の期間、患者が自発的に呼吸することができない場合に、ランプ発生器が加算増幅器へ自動的にルートづけられるように設けられてもよい。
(d)D.C.出力:オフセット増幅器によって設けられた調整可能なDC出力は、また、加算増幅器へ送られ、結果として連続圧力が生成される。
【0015】
米国特許第5,535,738号(Estesら)には、さらなるPAV装置が記載されている。
【0016】
Puritan−Bennett 7200a等のライフサポートベンチレータは、患者へ送出される空気の圧力、容量及び流速を非常に精密に制御することを可能にする。しかし、このようなライフサポートベンチレータは、高価すぎて睡眠呼吸障害を治療するために家庭で使用することはできず、コストは、50,000〜100,000オーストラリアドルである。
【発明の簡単な説明】
【0017】
本発明の一つの態様によれば、睡眠呼吸障害を治療するために空気のより快適な波形を提供する低コストのCPAP装置が提供される。
【0018】
本発明の別の態様によれば、睡眠呼吸障害を治療するための低コストのCPAP装置であって、呼気中に空気の減圧を提供するCPAP装置が提供される。
【0019】
本発明の別の態様によれば、睡眠呼吸障害を治療するための低コストのCPAP装置であって、呼気中に第1のレベルから第2のレベルへ圧力を減少するCPAP装置が提供される。第2のレベルは所定の限界以上である。
【0020】
本発明の別の態様によれば、ブロワによって生み出された圧力が閾値を超えるときにモータを惰性で動かすステップを備える電気モータによって、ブロワによってみ出された圧力を制御する方法が提供される。
【0021】
本発明の別の態様によれば、装置の制御サイクルの吸気部分中に第1の陽圧で空気を提供し、装置の制御サイクルの呼気部分中に第2の陽圧で空気を提供し、制御サイクルの吸気部分と呼気部分との間に滑らかに変動する圧力波形を提供するCPAP装置が提供される。
【0022】
本発明の別の態様にしたがって、電気モータと、モータ速度コントローラと、インペラー(本明細書で使用されるように、インペラーは、空気を吹き付けるモータによって駆動される回転機構である)と、ボリュートと、流量センサと、コントローラと、空気送出導管(conduit)と、患者インタフェースと、を備えるCPAP装置が提供され、
(i)CPAP装置は、制御サイクルの吸気部分中に患者インタフェースに第1の陽圧で空気を提供するようになっており、
(ii)流量センサは、空気送出導管を通る空気の流速を測定するようになっており、
(iii)圧力センサは、患者インタフェースの空気の圧力を測定するようになっており、
(iv)コントローラは、患者の呼吸サイクルの呼気部分の開始を示す、流量センサからの信号を検出するようになっており、
(v)呼吸サイクルの呼気部分の開始の検出時に、コントローラは、患者インタフェースの圧力が所定のレベルになるまでモータを惰性で動かすようにモータ速度コントローラに指令するようになっており、その後、コントローラは、第2の陽圧で空気を送出するために電気モータの速度を制御するようモータコントローラに指令し、
(vi)無呼吸または患者の呼吸サイクルの吸気部分の開始のいずれかの検出時に、コントローラは、患者インタフェースの圧力が患者インタフェースの第1の陽圧に達するまでモータを加速するために、モータ速度コントローラに指令するようになっている。
【0023】
本発明の別の態様は、低慣性のモータを備えたCPAP装置を提供することである。この態様によれば、モータの慣性は十分に低く、そのため、モータは、第1の圧力レベルを送出した第1の速度から、呼気サイクルの終了前に第2の所定の圧力レベルに達するまで、惰性で動くことができる。この態様によれば、モータの慣性は十分に低く、そのため、第2の所定の圧力レベルへの減速の速度は、呼気の典型的な持続時間に対して速い。好ましくは、モータ及び/またはインペラーの慣性は、13,600g.mm2未満である。最終結果として、モータによって駆動されるブロワに、所望の圧力の空気を患者の気道に供給させることによって、睡眠呼吸障害の治療用の低コストのCPAP装置が提供される。呼気中の圧力は、モータを惰性で動かすことを可能にすることによって、高レベルから低レベルまで減少される
【0024】
本発明の別の態様において、第1の圧力レベルは、米国特許第5,704,345号に記載されたような自動アルゴリズムにしたがって決定される。
【0025】
本発明の別の態様は、CPAP装置に、空気のより快適な波形を送出することができるモータを提供することである。
【0026】
本発明の別の態様は、CPAPの快適モードに、最大圧力低下を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係るCPAP装置を示す図である。
【図2】モータを減速するために惰性運動を使用する本発明の実施形態に係る装置の応答を示す図である。
【図3】ブレーキングと惰性運動との組み合わせを使用する本発明の実施形態に係る装置の応答を示す図である。
【図4】33%デューティサイクルのブレーキングを使用する本発明の実施形態に係る装置の応答を示す図である。
【図5】圧力を上昇するときを決定するためにネガティブピーク検出を使用する本発明の実施形態に係る装置の応答を示す図である。
【図6a】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な下部ボリュートを示す図である。
【図6b】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な下部ボリュートを示す図である。
【図6c】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な下部ボリュートを示す図である。
【図6d】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な下部ボリュートを示す図である。
【図7a】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す図である。
【図7b】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す図である。
【図7c】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す図である。
【図7d】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す図である。
【図7e】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す図である。
【図7f】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す図である。
【図8a】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す更なる図である。
【図8b】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す更なる図である。
【図8c】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す更なる図である。
【図8d】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切な上部ボリュートを示す更なる図である。
【図9a】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切なモータ及びインペラーアセンブリを示す図である。
【図9b】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切なモータ及びインペラーアセンブリを示す図である。
【図9c】本発明の実施形態に係る装置への使用に適切なモータ及びインペラーアセンブリを示す図である。
【図10】15cmH2OのCPAP圧力、及び3cmH2Oの減少レベルに設定された本発明の実施形態に係る装置の応答を示す図であり、上部曲線は流量を示し、下部曲線は圧力を示し、各水平グリッドは約1秒に対応する。
【図11】図10と同一の水平及び垂直のスケールを備え、図10のものに類似した図を示すが、CPAP圧力は10cmH2Oに設定されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明者の発明の実施形態に係る装置を示す。ブラシレス電気モータ10は、それに取り付けられたインペラー12を有する。インペラー12は、ボリュート36に載置される。モータ10は、モータコントローラ24の制御下にある(適切なコントローラとして、TMS320LC2004またはMC33035ICが挙げられる)。モータは、センサ32,34を含み、当該センサ32,34は、モータ回転速度及び電流を示す信号を提供する。モータの巻線が励磁されると、インペラーが回転する。空気は、インペラーの入口を通って引かれ、運動量(momentum)を得る。空気がインペラーから出てボリュート内に進むときに、速度を変え、圧力を生み出す。空気は、ボリュートから出て、流量センサ28及び圧力センサ30(例えば、SMI5652−003流量センサ及びSMI5652−008またはMPX2010圧力センサ等)を過ぎて、次に患者インタフェース18へ接続された空気送出コンジット16(例えば、Smooth−bor Plasticsが製造したもの)へ進む。患者インタフェース18は、例示の実施形態では鼻マスクであり、例えば、ResMed Limitedが製造したMIRAGE(登録商標)又はULTARA MIRAGE(登録商標)マスクである。患者インタフェースの他の形態、例えば、フルフェースマスク、鼻カニューレ及び鼻クッションを使用してもよい。
【0029】
流量センサ28及び圧力センサ30は、マイクロコントローラ14へデータを提供する。適切なマイクロコントローラとして、HITACHI SH7032/34が挙げられ、これは、32ビットRISC装置であり、2〜20Mhzのクロックレート、8×10ビットA−Dコンバータ、並びに様々な入力及び出力特徴部を備える。マイクロコントローラ14は、Accelerated Technologies IncorporatedによるNucleus Plus Real−Time Operating System(RTOS)を使用する。本発明の一つの形態において、装置は、所定のCPAP圧力を送出し、このような装置は、ResMed LimitedによるS7 ELITEである。本発明の別の形態において、マイクロコントローラ14は、無呼吸及び呼吸器系の気道の障害を検出するための方法及び装置を教示している米国特許第5,704,345号(Berthon−Jones)にしたがってCPAP療法を供給するようにプログラムされる。米国特許第5,704,345号の内容は、参照することによって、ここに組み込まれる。
【0030】
マイクロコントローラ14は、患者の呼吸サイクルの吸気部分と呼気部分との間に患者の遷移を検出するようにプログラムされている。この検出を達成する多数の方法がある。一つの方法は、患者への空気の流量及び患者からの空気の流量をモニタすることである。呼吸流量信号がゼロに交差するときには(ゼロ交差)、吸気と呼気との間の遷移がある。代わりに又は加えて、マスク圧力がモニタされてもよい。マスク圧力が第1の圧力閾値より下になる場合には、吸気が発生したものとする。マスク圧力が第2の圧力閾値より上に上昇する場合には、呼気が発生したものとする。代わりに又は加えて、患者にエフォートセンサを使用して、例えば、胸壁の動き、頸切痕の動き、又は、他の患者の動きを決定してもよい(例えば、米国特許第6,445,942号に記載されているように)。測定技術は、呼吸の期間とタイミングが取られた推定値と組み合わされてもよい。例えば、患者の平均呼吸率が測定されてもよく、吸気が流量センサ、圧力センサ、又はエフォートセンサによって検出される場合に、測定された平均呼吸率に基づいた期間後に呼気が発生すると想定される。
【0031】
この装置は、ディスプレイ22、例えば、2行×16文字LCD又は類似のディスプレイデバイスを含む。この装置は、キーパッド26、例えばバックライトシリコーンスイッチを使用するもの等を含む。デバイスはまた、SKYNETによって製造されたClass II Isolationの24Vで40Wを提供する電源も含む。この装置は、外部デバイスとの連通を可能にするためにインタフェース20を含んでもよい。例えば、適切なインタフェースチップは、MAXIMのMAX3130/MAX3131である。これらのチップは、IrDA及びRS−232通信の両方を提供する。
【0032】
慣性は、静止時には静止したままであり、又は、動いている場合には、なんらかの外部力に作用されない限り、同一方向に動き続ける傾向である。本発明での使用に適切なモータ及びインペラーは、慣性が十分に低くなければならない。CPAP装置用の使用において、モータは典型的に、1分当たり数千回転(RPM)で作動する。動いているモータにもはや電力が供給されない場合には、減速に要する時間は、モータ及びインペラーの慣性とインペラーを通る空気流量との関数である。所与のモータ、インペラー及びボリュートの組み合わせは、より低い回転速度でより低い圧力の空気を生み出す。本発明の好ましい形態において、慣性は、13,000から14,000g.mm2未満であり、好ましくは、13,600g.mm2未満である。適切なボリュートハウジングの一つの形態は、図6〜8に示されており、適切なモータ及びインペラーの一つの形態は、図9に示されている。インペラーを作るのに適切な材料は、ガラス充填ポリカーボネート、例えばGE LEXAN 3412Rである。このようなボリュート及びインペラーは、ResMed LimitedによるS7(商標) ELITEに見出される。
【0033】
慣性又は慣性モーメントは、回転の慣性に与えられる用語であり、直線運動用の質量の回転類似物である。慣性モーメントは、特定の回転軸に対して規定され、本発明者のケースでは、モータのスピンドルの軸である。この軸に対する質点の慣性モーメントは、質量×軸からの距離の二乗の積として規定される。任意の拡張した物体の慣性モーメントは、その基本定義から確立される。
【0034】
複雑な物体の慣性は、SolidWorks等のコンピュータパッケージを使用して計算されてもよい。パッケージは、ロータ、スピンドル、インペラー及び回転する他のものを取り、それらすべてを、何百万のブロックの質量に破断し、全ての個々の慣性を加え合わせる(J.L. Meriam and L.G.Kraige、Engineering Mechanics−Dynamics、John Wiley & Sons, Inc.、1998年、665〜682頁)。
【0035】
あるいは、慣性モーメントを第1の原理から計算してもよい。ロータは、円盤、円筒形、球等の簡単な形状に破断されてもよい。これらの形状に対して、慣性値は、分析的に計算することが可能であり、次いで、慣性値を加え合わせて、合計慣性モーメントを得ることができる。
【0036】
ResMed Limitedによって製造されたS7 ELITE等のCPAP装置が、本発明者の発明を組み込むように適合されてもよい。一般に、本発明者の発明の実施形態に係るCPAP装置のコントローラは、4〜25cmH2Oの範囲のCPAP圧力を送出するようにプログラムされる。例えばAutoSet SPIRITや上述の米国特許第5,704,345号に教示されるように、装置の自動調整形態では、CPAP装置は、CPAP圧力を上昇するようにプログラムされており、いびき、無呼吸、又は流量平坦化の存在によって示されるような気道の部分閉塞又は完全閉塞を克服し又は防止する。
【0037】
コントローラ14は、患者の呼吸サイクルの呼気部分中に患者に送出される患者インタフェース内の空気の圧力を、患者の医師によって推薦される処置圧力から、わずかに減少するようにプログラムされる。減少の量は、一つの形態では、CPAP装置のスイッチ26を通ってアクセス可能な設定によって決定される。例えば、コントローラは、呼気中に四つの異なるレベルの減圧を行い、各レベルは、更に1cmH2Oの圧力(快適モード)で減少へ導くようにプログラムされてもよい。例えば、CPAP圧力が、吸気中に患者インタフェースへ15cmH2Oで空気を送出するように設定され、且つ、快適モードがレベル2に設定される場合に、圧力は呼気中に13cmH2Oへ減少する。
【0038】
本発明者の発明の別の形態において、減少の量は、およそ2.5、3及び3.5cmH2Oであり、本発明者の発明の更なる形態において、減少の量は、およそ1、2及び3.5cmH2O、及び、1、2及び3cmH2O圧力である。
【0039】
本発明者の発明の一つの好ましい形態において、圧力減少の最大量はレベル設定によって固定され、呼気中に圧力は所定の量よりも下に落ちない。好ましくは、マスク圧力は4cmH2Oよりも下に落ちない。
【0040】
本発明者の発明の一つの形態において、圧力は、呼吸の流量をモニタしている流量信号が患者の呼吸サイクルの呼気部分の開始を示すと、レベル設定に従って設定された量だけCPAP圧力から減少される。圧力は、吸気の開始の徴候が検出されるまで、低いレベルのままであり、吸気の開始の徴候が検出されると直ぐに、CPAP圧力へ戻される。
【0041】
本発明者の発明の別の形態において、圧力は、呼吸の流量をモニタしている流量信号が患者の呼吸サイクルの呼気部分の開始を示すときに、レベル設定にしたがって設定された量だけCPAP圧力から減少される。圧力は、吸気の開始の徴候が検出されるまで、又は無呼吸が検出されるまで、圧力は低いレベルのままである。吸気の開始の徴候が検出されるか、又は無呼吸が検出されると、圧力は、CPAP圧力へ戻される。
【0042】
無呼吸の検出時に、圧力は、吸気及び呼気両方の間、より高いレベルに維持されてもよい。また、無呼吸の休止(すなわち、通常呼吸の再開)の検出時に、又は、予め設定された期間の満了時に、呼気モード中の減圧の減少が再開されてもよい。
【0043】
本発明者の発明の特徴によれば、減圧は、モータを「惰性で動かす」ことによって行われる。すなわち、呼気が検出されると、モータ巻線の励磁が一時的に停止され、ロータが最終的に減速することができ、患者インタフェースへ送出されている空気の減圧がもたらされる。このアプローチは、特に快適である圧力の緩やかな減少を提供する。患者インタフェースの圧力がモニタされ、患者インタフェースの圧力が(「快適」レベルによって設定されたように)容認可能なレベルへ落ちると、モータ巻線の励磁が、患者インタフェース圧力をより低いレベルで維持するのに十分なより低い速度で再開される。吸気の開始を示す流量信号が検出されると、モータ速度が増加され、必要なCPAP圧力が送出される。
【0044】
一般に、シーケンスは三つのステップを取る。
(i)吸気から呼気への遷移の検出時に、モータが、消磁されて、惰性で動くことが可能になる。
(ii)患者マスク(または、利用されるすべてのインタフェース)の圧力が呼気中に最小圧力レベルに達すると、モータは再び励磁され、その速度は、呼気に適切なレベルに圧力を維持するように制御される。
(iii)呼気から吸気への遷移の検出時に、モータ速度が増加され、患者マスクに吸気に適切なより高い圧力を提供する。
【0045】
図2は、オシロスコープのスクリーンであり、本発明の実施形態に係る装置が、500mlの1回換気量、且つ、1分当たり15呼吸で正弦呼吸を提供する呼吸機械で検査される場合の二つのトレースを示している。上部トレースは、圧力信号を示す。下部トレースは、流量信号を示す。流量信号を使用して、少なくとも一つの遷移を検出する。正の値から負の値への流量信号の遷移(ゼロ交差)を使用して、呼気の開始を規定することができる。負の値から正の値への流量信号の遷移(ゼロ交差)を使用して、吸気の開始を規定することができる。流量信号が閾値よりも小さい場合には、ゼロ交差が発生したものとする。閾値は、圧力及び流量曲線の間の位相遅延を調整する効果がある。閾値が大きくなればなるほど、ゼロ交差が確実に検出されているという信頼性が向上し得る。しかし、遷移が発生したときに、不確実性が増し、位相遅延及び同時性の減少を招く可能性がある。吸気流量が正の値であると規定すると、吸気から呼気への遷移の閾値は、0〜5l/分であり、好ましくは、1l/分である。呼気から吸気への遷移の閾値は、−4〜−1l/分であり、好ましくは、−1l/分である。
【0046】
本発明の別の形態において、吸気から呼気への遷移の閾値は、−4〜−1l/分の範囲であり、好ましくは、−1l/分であり、呼気から吸気への遷移の閾値は、0〜5l/分の範囲であり、好ましくは、1l/分である。このアプローチの利点は、時折発生するように、呼気から吸気への流量曲線に安定領域(plateau)がある場合に、吸気が時期尚早にトリガされることがないことである。
【0047】
本発明の更なる形態において、流量を積分して、容量を計算する。容量が負のときに呼気が発生するものとし、容量が正のときに吸気が発生するものとする。
【0048】
一般に、本発明に係る装置において、サイクル/トリガ閾値の特異性が、感度よりも有利に働く。
【0049】
「惰性運動」によって、呼気中に、新しく設定された圧力へ、約1.7秒で約3〜4cmH2Oの長い減少が示され、吸気が開始すると速い立ち上がり時間(およそ350〜800ミリ秒)が示される。立ち上がり時間は、電源装置及び慣性を含む様々な要因の関数である。長い立ち下がり時間は、モータの慣性、及び、アクティブな制動がないことに起因する。
【0050】
本発明者の発明の他の形態において、減圧は、モータが惰性で動いている時間の少なくともいくらかの間に、モータを制動することによって促される。制動は、巻線を短絡することによって達成されてもよい。本発明の一つの形態において、圧力及び流量の両方が、それぞれ、圧力変換器及び流量変換器によってモニタされる。本発明の他の形態において、圧力はモータ速度から概算される。
【0051】
図3は、図2と同一の曲線のセットを示す。しかしながら、図3は、吸気から呼気へのゼロ交差に続いて、ブレーキが適用され、圧力を240ミリ秒で約2.7cmH2Oへ低下させる。使用される制動時間は、エラー、すなわち、測定された圧力と目標圧力との間の差の関数である。エラーが大きくなればなるほど、制動の期間が長くなる。エラーが減少するにつれて、より短い制動が使用される。したがって、制動の期間は、エラーの関数である。図2においては、50ミリ秒オン/オフ、30ミリ秒オン/オフ、及び10ミリ秒オン/オフの制動期間が使用された。したがって、減圧は、モータを惰性で動かすこととモータを制動することとの組み合わせの結果として発生する。
【0052】
一つの形態において、ブレーキが、適用されて、変換器の圧力が呼気サイクル用に新しく設定された圧力と同一になるまで解放されない。吸気が開始するときにブレーキがオンである場合には(すなわち、呼吸流量、Rf>HTH)、ブレーキが解放され、設定された圧力は、CPAP処置圧力へ戻される。
【0053】
状態機械を使用して、ブレーキをオン/オフサイクルにおいて適用し、設定された圧力に至る期間をより早くした。
【0054】
スイッチブレーキの適用は、大きい圧力低下及び小さい圧力低下にわたる制動を考慮することによって、さらに改良することができる。
【0055】
圧力減少を達成するためのアルゴリズムは、下記の通りである。
1)ゼロ交差を検出する。
2)目標圧力=(処置圧力−選択された減圧)を設定する。
3)圧力エラー=現在の圧力−目標圧力を計算する。
4)圧力エラー≧閾値、である間、好ましいデューティサイクルでモータを制動する。
【0056】
一つの形態において、ディザ制動(dithered braking)を使用し、すなわち、短いバースト、例えば25〜50%、好ましくは33%のデューティサイクルで、モータを制動する(例えば、10ミリ秒ブレーキオン、20ミリ秒ブレーキオフ)。必要な減圧を達成するのに必要なデューティサイクルのサイズは、慣性の関数である。上述のようなモータ及びインペラーの組み合わせでは、より短いデューティサイクル、例えば10%の使用は、所望の時間内に所望の減圧を達成するようにモータを減速するには不十分である。しかしながら、より低い慣性のモータ及びインペラーでは、10%デューティサイクルで所望の減圧を達成することが可能となり得る。さらに、好ましいモータ及びインペラーでは、約50%を超えるデューティサイクルの使用が圧力スパイクを生じさせる可能性がある一方、他のモータ及びインペラーが使用されるときには、50%を超えるデューティサイクルを使用することが可能となり得る。図4は、ブレーキングが33%のデューティサイクルを有するときの装置の応答を示す。
【0057】
閾値のサイズは、モータを制動するのに使用されるデューティサイクルに依存する。33%デューティサイクルで、閾値は0.5〜0.9cmH2Oに設定され、好ましくは0.5cmH2Oである。25%デューティサイクルで、0.2〜0.7cmH2Oの範囲の閾値が使用され、50%デューティサイクルで、0.8〜1.4cmH2Oの範囲の閾値が使用される。
【0058】
より低い速度から治療圧力を提供するのに十分な速度へモータを加速するには有限の時間を要するので、より低い「快適」圧力から処置圧力へ圧力を上昇することにもまた有限の時間を必要とする。時間の遅延は、患者とブロワとの間の同調性の低下を招く。本発明のこの形態においては、吸気の開始が検出されるまで待つ代わりに(例えば、負から正の信号に変わる流量信号によって)、吸気が発生する時間を予測する試みがなされ、圧力の上昇を調整して同調性を維持する。
【0059】
本発明者の発明の一つの形態においては、図5に示されるように、ネガティブピークデテクタを使用して、圧力が呼気サイクルの頂点で上昇し始めることを可能にし、吸気サイクルが開始する前に処置圧力の送出が安定することを可能にする。この方法は、先に記載した低い閾値を使用し、高い閾値はネガティブピークデテクタに置き換えられる。
【0060】
本発明者の発明の別の形態においては、下記の方法を使用して、誤ったネガティブピークを排除するように試みる。流量の移動平均は、10ミリ秒離れて間隔をおいた三つの点から計算される。ヒステリシス閾値が、移動平均に適合されてもよい。この実施形態は、ピーク検出アルゴリズムにおける閾値を修正することによって、または、ネガティブピークを見出すために取られたアプローチを修正する(例えば、フィルタリングして差を計算する)ことによって、改良することができる。ネガティブピークは、例えば、「Minimizaiton or Maximizaiton of Functions」第10章、Numerical Recipes、W.H. Pressら、1986、Cambridge University Press、ISBN0521308119にあるもの等の、最小値を検出するための技術を使用して検出することもできる。
【0061】
他の技術を使用して、吸気が発生する時間を予測し、圧力の上昇を調整し、同調性を維持してもよい。例えば、本発明の別の形態においては、平均呼気サイクル持続時間tdは、流量の連続したゼロ交差、及び、より低い「快適」圧力から治療圧力tpへの圧力の上昇に必要な時間から計算される。呼気が検出されると、タイマーteが、呼気の開始以降の時間を計算する。より低い速度からより高い速度へのモータの加速は、te=td−tpであるときに開始される。
【0062】
惰性運動中の圧力低下の速度は、惰性運動の開始直前の吸気圧力に依存し得る。例えば、15cmH2Oの吸気圧力から、3cmH2Oの圧力の低下が、約1秒内に発生してもよい。図10を参照されたい。対照的に、10cmH2Oの吸気圧力から、3cmH2Oの圧力の低下が、約2秒内に発生してもよい。図11を参照されたい。したがって、本発明の実施形態によれば、呼気圧力緩和の調整可能な速度を達成するための手段が提供される。
【0063】
発生する減圧が調整可能な量によって限定される本発明の利点は、この限定が、適切なCO2ウォシュアウト及び/又は開いた気道の維持を確実にすることである。例えば、呼気減圧が純粋に呼気流量に依存するCPAPシステムにおいては、呼気中のCPAP圧力は、適切なCO2ウォシュアウトを確実にするのに必要な圧力、一般に約4cmH2Oより下に落ちることもある。したがって、米国特許第5,535,738号に記載のもの等の装置、または、Respironics Inc.のC−Flexモード付BiPAPベンチレータに改良を行うことができ、当該改良においては、サイクルの呼気部分中に、圧力が、呼気流量に従うことができるが、閾値へ低下するだけであってもよい。したがって、患者インタフェース圧力が、十分なCO2ウォシュアウトを確実にするために且つ/又は開いた上部気道を維持するために適切な圧力より下に落ちることは絶対にない。
【0064】
本発明の惰性運動技術は、今までのところ、反復治療サイクルの管理中に適用されるものとして記載されている。しかし、この技術には少なくとも二つの他の用途がある。一つは、多くのCPAP治療機械で利用可能なランプフェーズ特徴中にあり、患者が眠ろうと試みるときに、マスク圧力はランプフェーズ中に治療圧力へ向けて徐々に増える。米国特許第5,199,424号、第5,522,382号及び第6,705,351号を参照されたい。例えば、ランプフェーズ中に、吸気圧力がサイクルの間(サイクルからサイクルへ増加している間)一定であってもよい。しかし、呼気圧力はサイクルからサイクルへ増加していてもよく、呼気圧力は本発明の教示にしたがって惰性で動いているモータ又はブロワロータによって制御されてもよい。ランプフェーズの最後には、すなわち、治療圧力に達すると、惰性運動技術を無効にすることも可能である。治療CPAP圧力レベルへの滑らかな遷移を達成するように、惰性運動技術のランプフェーズの最後を徐々にテーパー化(taper)することが適切であるとも考えられる。このテーパリングは、連続呼吸に対して呼気と吸気の間の圧力差を徐々に減少することによって発生するものである。好ましくは、これは、ランプフェーズの最後に発生し、約15平均の呼吸に等しい。このテーパリングは、患者の障害を減少し患者の快適さを促進するよう意図されている。
【0065】
ランプフェーズの最後に惰性運動技術を無効にすることによって、患者には、眠ろうとしている間に(すなわち、ランプフェーズ中に)最大の快適さが提供され、睡眠中に(すなわち、治療フェーズ中に)臨床的に決定された治療圧力に惰性運動技術が干渉することはない。同様に、本発明の惰性運動技術は、ResMed AutoSet(登録商標) SPIRIT CPAP装置とともに利用可能な自動滴定気道陽圧(APAP)の「整定時間(settling time)」フェーズ中に使用することが可能である。「整定時間」フェーズ中に、一定であるが低いマスク圧力が提供されて、患者が眠りに陥ることができるようなる。「整定時間」の最後に、APAPは患者に、処置アルゴリズムによって適切に決定された可変治療処置圧力を提供する。「整定時間」中のみに本発明の惰性で動く惰性運動技術を適用することによって、患者の快適さは、睡眠への遷移中に高められ、実際の治療を危うくすることはない。当然ながら、患者インタフェース圧力が「整定時間」フェーズ用に設定された低い圧力よりも下になることが臨床的に望ましくないとみなされる場合には、そのフェーズ中に惰性運動技術を作動させないことが適切である。あるいは、整定時間フェーズ圧力は、惰性運動技術が有効になるのに十分であるレベルで設定されてもよいが、呼気中の圧力を、所定の臨床的に容認可能なレベルよりも低いレベルへ低下しない。CPAPのランプフェーズの最後に、又はAPAPの「整定時間」の最後に惰性運動技術を無効にすることは、治療フェーズ中に惰性運動が誘発した不十分な圧力サポート、又は不十分なCO2ウォシュアウトの発生を回避する。
【0066】
本発明は特定の実施形態を参照して記載されているが、これらの実施形態は、本発明の原理の適用を単に例示するだけである。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多数の修正が行われてもよく、他の仕組みが考案されてもよい。例えば、例示的な実施形態において、吸気と呼気との間の遷移を決定するために流量信号が使用されるが、他の信号、例えば圧力が、使用されてもよい。信号の組み合わせ、例えば流量及びエフォートが使用されてよく、惰性運動が、患者インタフェース圧力の揺れを制御し、又は減少するために、使用されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…モータ、12…インペラー、14…コントローラ、16…空気送出コンジット、18…患者インタフェース、20…インタフェース、22…ディスプレイ、24…モータコントローラ、28…流量センサ、30…圧力センサ、32,34…センサ、36…ボリュート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の圧力で患者インタフェースへ空気を送出するモータ駆動の回転インペラーと、
患者の呼吸を検出する検出器と、
圧力変換器と、
前記モータ駆動の回転インペラーを制御するコントローラと、
を備え、
(i)前記検出器が、吸気から呼気への遷移を検出し、それに応答して前記コントローラが、前記インペラーが惰性で動くことを可能とし、
(ii)前記圧力変換器が、前記患者インタフェースの前記圧力が呼気中に最小圧力レベルに達するときを検出し、それに応答して前記コントローラが、呼気に適切なレベルに前記圧力を維持するように、前記モータに前記インペラーの速度を制御させ、
(iii)前記検出器が、呼気から吸気への遷移の検出し、それに応答して前記コントローラが、前記モータに前記インペラーをより高い速度で操作するように制御させて、吸気に適切なより高い圧力を前記患者インタフェースに提供する、
CPAP装置。
【請求項2】
前記(ii)において、前記インペラーの速度が、前記圧力を前記最小圧力レベルに維持するように制御される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記インペラーが惰性で動いている時間の少なくともいくらかの間に前記モータを制動することを更に含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記モータの制動が、呼吸サイクル中に前記インペラーが惰性で動くことを最初に開始するときに、発生する、請求項3記載の装置。
【請求項5】
吸気から呼気へ、又は呼気から吸気への少なくとも一方の間の前記遷移を検出することが、
(iv)前記患者への呼吸気流量をモニタすることと、
(v)前記気流量を閾値と比較することと、
により決定される、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記閾値が調整可能であり、前記気流量が前記閾値よりも小さいときに遷移が検出され、前記閾値が前記圧力と前記気流量との間の位相遅延を調整する効果があり、前記閾値が大きくなるほど、前記遷移が発生したときに不確実性の増加を犠牲にして遷移が確実に判断されているという信頼性が大きくなり、当該信頼性が存在的に位相遅延及び同調性の減少を招く、請求項5記載の装置。
【請求項7】
呼気中の前記最小圧力レベルが、前記患者用の快適レベルを変動させるように調整可能である、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記インペラーが惰性で動いている時間の少なくともいくらかの間に、ディザ式に前記モータを制動することを更に含む、請求項1記載の装置。
【請求項9】
モータで駆動されるブロワによって患者の気道に所望の圧力で空気を提供させることによって睡眠呼吸障害を治療するためのCPAP装置であって、呼気中の圧力が、モータを惰性で動かすことによって高レベルから低レベルへ減少される、CPAP装置。
【請求項10】
モータで駆動されるインペラーによって患者の気道に所望の圧力で空気を提供させることによって睡眠呼吸障害を治療するためのCPAP装置であって、呼気中の圧力が、インペラーを惰性で動かすことによって高レベルから低レベルへ減少される、CPAP装置。
【請求項11】
モータで駆動されるブロワによって患者の気道に所望の圧力で空気を提供させることによって睡眠呼吸障害を治療するためのCPAP装置であって、呼気中の圧力が、該CPAP装置を使用する前処理のフェーズ中のみにモータを惰性で動かすことによって、高レベルから低レベルへ減少されるCPAP装置。
【請求項12】
使用される前記前処理のフェーズは、前記患者が眠ろうとしている期間を含む、請求項11記載のCPAP装置。
【請求項13】
使用される前記前処理のフェーズは、前記マスク圧力が所望の治療圧力へと増加する期間を含む、請求項11記載のCPAP装置。
【請求項14】
使用される前記前処理のフェーズは、一定であるが低いマスク圧力が提供される期間を含む、請求項11記載のCPAP装置。
【請求項15】
電気モータと、
前記モータによって回転されるインペラーと、
患者インタフェースと、
前記インペラーから前記患者インタフェースへ空気を送出するための空気送出導管と、
前記患者インタフェースの圧力を決定するためのセンサと、
空気を前記患者インタフェースへ所望の圧力で送出させ、患者の呼吸サイクルの吸気と呼気との間の遷移を検出する制御機構と、
を備えるCPAP装置であって、
a)請求項9又は10のいずれか一項に記載のように、呼気中の前記圧力が高レベルから減少する第1のモードと、
b)吸気及び呼気のサイクル中に前記圧力が実質的に一定のままである第2のモードと、
の二つモードを有しており、
無呼吸の存在を検出し、無呼吸の検出時に該CPAP装置をオペレーションの前記第1のモードからオペレーションの前記第2のモードへ切り替えるようになっているコントローラを備える、
CPAP装置。
【請求項16】
前記コントローラが、更に、通常呼吸の再開を検出し、通常呼吸の再開の検出時にオペレーションの前記第2のモードからオペレーションの前記第1のモードへ切り替えるようになっている、請求項15記載のCPAP装置。
【請求項17】
前記コントローラが、更に、所定の期間の満了時にオペレーションの前記第2のモードからオペレーションの前記第1のモードへ切り替えるようになっている、請求項15記載のCPAP装置。
【請求項18】
電気モータと、
前記モータによって回転するインペラーと、
患者インタフェースと、
前記インペラーから前記患者インタフェースへ空気を送出するための空気送出導管と、
前記患者インタフェースの圧力を決定するためのセンサと、
空気を前記患者インタフェースへ所望の圧力で送出させ、患者の呼吸サイクルの吸気と呼気との間の遷移を検出する制御機構と、
を備えるCPAP装置であって、
a)請求項1記載のように、呼気中の前記圧力が高レベルから減少する第1のモードと、
b)吸気及び呼気のサイクル中に前記圧力が実質的に一定のままである第2のモードと、
の二つのオペレーションのモードを有し、
無呼吸の存在を検出し、無呼吸の検出時に該CPAP装置をオペレーションの前記第1のモードからオペレーションの前記第2のモードへ切り替えるようになっているコントローラを備える、
CPAP装置。
【請求項19】
前記コントローラが、更に、通常呼吸の再開を検出し、通常呼吸の再開の検出時にオペレーションの前記第2のモードからオペレーションの前記第1のモードへ切り替えるようになっている、請求項18記載のCPAP装置。
【請求項20】
前記コントローラが、更に、所定の期間の満了時にオペレーションの前記第2のモードからオペレーションの前記第1のモードへ切り替えるようになっている、請求項18記載のCPAP装置。
【請求項21】
電気モータと、
前記モータによって回転するインペラーと、
患者インタフェースと、
前記インペラーから前記患者インタフェースへ空気を送出するための空気送出導管と、
前記患者インタフェースの圧力を決定するための機構と、
空気を前記患者インタフェースへ所望の圧力で送出させ、前記電気モータを制御し、患者の呼吸サイクルの吸気と呼気との間の遷移を検出する制御機構と、
を備え、
前記モータの動作が、
(i)吸気から呼気への遷移の検出時に、前記モータを消磁して前記モータが惰性で動くことを可能とし、
(ii)前記患者インタフェースの前記圧力が呼気中に最小圧力レベルに達することを検出したときに、前記モータが惰性で動くことを許容しつつ前記モータを再び励磁し、その速度を制御して、前記圧力を呼気に適切なレベルに維持し、
(iii)呼気から吸気への遷移の検出時に、前記モータの速度を上げて、吸気に適切なより高い圧力を前記患者インタフェースに提供する、
よう制御される、CPAP装置。
【請求項22】
前記患者が眠ろうとしている期間、前記モータの速度が、前記(iii)において、連続する呼吸サイクルにわたって前記圧力が増加するように制御される、請求項21記載の装置。
【請求項23】
マスク圧力が所望の治療圧力へと増加する期間において、前記モータの速度が、前記(iii)において、連続する呼吸サイクルにわたって前記圧力が増加するように制御される、請求項21記載の装置。
【請求項24】
前記患者が眠ろうとしている期間、前記モータの速度が、前記(iii)において、任意の単一の呼吸サイクルの間、実質的に一定の圧力を供給し、連続する呼吸サイクルにわたって前記実質的に一定の圧力が実質的に増加するように、制御される、請求項22記載の装置。
【請求項25】
マスク圧力が所望の治療圧力へと増加する期間、前記モータの速度が、前記(iii)において、任意の単一の呼吸サイクルの間、実質的に一定の圧力を供給し、連続する呼吸サイクルにわたって前記実質的に一定の圧力を増加するように、制御される、請求項22記載の装置。
【請求項26】
前記(i)において前記モータを惰性で動かすこと、及び前記(iii)における前記モータの速度の少なくとも一方が、連続する呼吸サイクルにわたる二つのステップの間、吸気と呼気の間の圧力差を減少するように、制御される、請求項21記載の装置。
【請求項27】
前記サイクルが、前記患者が眠ろうとしている期間に発生する、請求項26記載の装置。
【請求項28】
前記サイクルが、マスク圧力が所望の治療圧力へと増加する期間に発生する、請求項26記載の装置。
【請求項29】
ランプフェーズが、前記患者が眠ろうとしている期間において向上された快適さが得られるように、前記患者が眠ろうとしている間に発生する期間であり、該ランプフェーズ続いて、患者治療中に、前記圧力が、呼吸サイクルにわたってより一定である、請求項24記載の装置。
【請求項30】
ランプフェーズが、マスク圧力が所望の治療圧力へと増加する期間において向上された快適さが得られるように前記患者が眠ろうとしている間に発生する期間であり、該ランプフェーズ続いて、患者治療中に、前記圧力が、呼吸サイクルにわたってより一定である、請求項27に記載の装置。
【請求項1】
所望の圧力で患者インタフェースへ空気を送出するモータ駆動の回転インペラーと、
患者の呼吸を検出する検出器と、
圧力変換器と、
前記モータ駆動の回転インペラーを制御するコントローラと、
を備え、
(i)前記検出器が、吸気から呼気への遷移を検出し、それに応答して前記コントローラが、前記インペラーが惰性で動くことを可能とし、
(ii)前記圧力変換器が、前記患者インタフェースの前記圧力が呼気中に最小圧力レベルに達するときを検出し、それに応答して前記コントローラが、呼気に適切なレベルに前記圧力を維持するように、前記モータに前記インペラーの速度を制御させ、
(iii)前記検出器が、呼気から吸気への遷移の検出し、それに応答して前記コントローラが、前記モータに前記インペラーをより高い速度で操作するように制御させて、吸気に適切なより高い圧力を前記患者インタフェースに提供する、
CPAP装置。
【請求項2】
前記(ii)において、前記インペラーの速度が、前記圧力を前記最小圧力レベルに維持するように制御される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記インペラーが惰性で動いている時間の少なくともいくらかの間に前記モータを制動することを更に含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記モータの制動が、呼吸サイクル中に前記インペラーが惰性で動くことを最初に開始するときに、発生する、請求項3記載の装置。
【請求項5】
吸気から呼気へ、又は呼気から吸気への少なくとも一方の間の前記遷移を検出することが、
(iv)前記患者への呼吸気流量をモニタすることと、
(v)前記気流量を閾値と比較することと、
により決定される、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記閾値が調整可能であり、前記気流量が前記閾値よりも小さいときに遷移が検出され、前記閾値が前記圧力と前記気流量との間の位相遅延を調整する効果があり、前記閾値が大きくなるほど、前記遷移が発生したときに不確実性の増加を犠牲にして遷移が確実に判断されているという信頼性が大きくなり、当該信頼性が存在的に位相遅延及び同調性の減少を招く、請求項5記載の装置。
【請求項7】
呼気中の前記最小圧力レベルが、前記患者用の快適レベルを変動させるように調整可能である、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記インペラーが惰性で動いている時間の少なくともいくらかの間に、ディザ式に前記モータを制動することを更に含む、請求項1記載の装置。
【請求項9】
モータで駆動されるブロワによって患者の気道に所望の圧力で空気を提供させることによって睡眠呼吸障害を治療するためのCPAP装置であって、呼気中の圧力が、モータを惰性で動かすことによって高レベルから低レベルへ減少される、CPAP装置。
【請求項10】
モータで駆動されるインペラーによって患者の気道に所望の圧力で空気を提供させることによって睡眠呼吸障害を治療するためのCPAP装置であって、呼気中の圧力が、インペラーを惰性で動かすことによって高レベルから低レベルへ減少される、CPAP装置。
【請求項11】
モータで駆動されるブロワによって患者の気道に所望の圧力で空気を提供させることによって睡眠呼吸障害を治療するためのCPAP装置であって、呼気中の圧力が、該CPAP装置を使用する前処理のフェーズ中のみにモータを惰性で動かすことによって、高レベルから低レベルへ減少されるCPAP装置。
【請求項12】
使用される前記前処理のフェーズは、前記患者が眠ろうとしている期間を含む、請求項11記載のCPAP装置。
【請求項13】
使用される前記前処理のフェーズは、前記マスク圧力が所望の治療圧力へと増加する期間を含む、請求項11記載のCPAP装置。
【請求項14】
使用される前記前処理のフェーズは、一定であるが低いマスク圧力が提供される期間を含む、請求項11記載のCPAP装置。
【請求項15】
電気モータと、
前記モータによって回転されるインペラーと、
患者インタフェースと、
前記インペラーから前記患者インタフェースへ空気を送出するための空気送出導管と、
前記患者インタフェースの圧力を決定するためのセンサと、
空気を前記患者インタフェースへ所望の圧力で送出させ、患者の呼吸サイクルの吸気と呼気との間の遷移を検出する制御機構と、
を備えるCPAP装置であって、
a)請求項9又は10のいずれか一項に記載のように、呼気中の前記圧力が高レベルから減少する第1のモードと、
b)吸気及び呼気のサイクル中に前記圧力が実質的に一定のままである第2のモードと、
の二つモードを有しており、
無呼吸の存在を検出し、無呼吸の検出時に該CPAP装置をオペレーションの前記第1のモードからオペレーションの前記第2のモードへ切り替えるようになっているコントローラを備える、
CPAP装置。
【請求項16】
前記コントローラが、更に、通常呼吸の再開を検出し、通常呼吸の再開の検出時にオペレーションの前記第2のモードからオペレーションの前記第1のモードへ切り替えるようになっている、請求項15記載のCPAP装置。
【請求項17】
前記コントローラが、更に、所定の期間の満了時にオペレーションの前記第2のモードからオペレーションの前記第1のモードへ切り替えるようになっている、請求項15記載のCPAP装置。
【請求項18】
電気モータと、
前記モータによって回転するインペラーと、
患者インタフェースと、
前記インペラーから前記患者インタフェースへ空気を送出するための空気送出導管と、
前記患者インタフェースの圧力を決定するためのセンサと、
空気を前記患者インタフェースへ所望の圧力で送出させ、患者の呼吸サイクルの吸気と呼気との間の遷移を検出する制御機構と、
を備えるCPAP装置であって、
a)請求項1記載のように、呼気中の前記圧力が高レベルから減少する第1のモードと、
b)吸気及び呼気のサイクル中に前記圧力が実質的に一定のままである第2のモードと、
の二つのオペレーションのモードを有し、
無呼吸の存在を検出し、無呼吸の検出時に該CPAP装置をオペレーションの前記第1のモードからオペレーションの前記第2のモードへ切り替えるようになっているコントローラを備える、
CPAP装置。
【請求項19】
前記コントローラが、更に、通常呼吸の再開を検出し、通常呼吸の再開の検出時にオペレーションの前記第2のモードからオペレーションの前記第1のモードへ切り替えるようになっている、請求項18記載のCPAP装置。
【請求項20】
前記コントローラが、更に、所定の期間の満了時にオペレーションの前記第2のモードからオペレーションの前記第1のモードへ切り替えるようになっている、請求項18記載のCPAP装置。
【請求項21】
電気モータと、
前記モータによって回転するインペラーと、
患者インタフェースと、
前記インペラーから前記患者インタフェースへ空気を送出するための空気送出導管と、
前記患者インタフェースの圧力を決定するための機構と、
空気を前記患者インタフェースへ所望の圧力で送出させ、前記電気モータを制御し、患者の呼吸サイクルの吸気と呼気との間の遷移を検出する制御機構と、
を備え、
前記モータの動作が、
(i)吸気から呼気への遷移の検出時に、前記モータを消磁して前記モータが惰性で動くことを可能とし、
(ii)前記患者インタフェースの前記圧力が呼気中に最小圧力レベルに達することを検出したときに、前記モータが惰性で動くことを許容しつつ前記モータを再び励磁し、その速度を制御して、前記圧力を呼気に適切なレベルに維持し、
(iii)呼気から吸気への遷移の検出時に、前記モータの速度を上げて、吸気に適切なより高い圧力を前記患者インタフェースに提供する、
よう制御される、CPAP装置。
【請求項22】
前記患者が眠ろうとしている期間、前記モータの速度が、前記(iii)において、連続する呼吸サイクルにわたって前記圧力が増加するように制御される、請求項21記載の装置。
【請求項23】
マスク圧力が所望の治療圧力へと増加する期間において、前記モータの速度が、前記(iii)において、連続する呼吸サイクルにわたって前記圧力が増加するように制御される、請求項21記載の装置。
【請求項24】
前記患者が眠ろうとしている期間、前記モータの速度が、前記(iii)において、任意の単一の呼吸サイクルの間、実質的に一定の圧力を供給し、連続する呼吸サイクルにわたって前記実質的に一定の圧力が実質的に増加するように、制御される、請求項22記載の装置。
【請求項25】
マスク圧力が所望の治療圧力へと増加する期間、前記モータの速度が、前記(iii)において、任意の単一の呼吸サイクルの間、実質的に一定の圧力を供給し、連続する呼吸サイクルにわたって前記実質的に一定の圧力を増加するように、制御される、請求項22記載の装置。
【請求項26】
前記(i)において前記モータを惰性で動かすこと、及び前記(iii)における前記モータの速度の少なくとも一方が、連続する呼吸サイクルにわたる二つのステップの間、吸気と呼気の間の圧力差を減少するように、制御される、請求項21記載の装置。
【請求項27】
前記サイクルが、前記患者が眠ろうとしている期間に発生する、請求項26記載の装置。
【請求項28】
前記サイクルが、マスク圧力が所望の治療圧力へと増加する期間に発生する、請求項26記載の装置。
【請求項29】
ランプフェーズが、前記患者が眠ろうとしている期間において向上された快適さが得られるように、前記患者が眠ろうとしている間に発生する期間であり、該ランプフェーズ続いて、患者治療中に、前記圧力が、呼吸サイクルにわたってより一定である、請求項24記載の装置。
【請求項30】
ランプフェーズが、マスク圧力が所望の治療圧力へと増加する期間において向上された快適さが得られるように前記患者が眠ろうとしている間に発生する期間であり、該ランプフェーズ続いて、患者治療中に、前記圧力が、呼吸サイクルにわたってより一定である、請求項27に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図7e】
【図7f】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図7e】
【図7f】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−36699(P2011−36699A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−228737(P2010−228737)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【分割の表示】特願2006−517433(P2006−517433)の分割
【原出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】RESMED LTD
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228737(P2010−228737)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【分割の表示】特願2006−517433(P2006−517433)の分割
【原出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】RESMED LTD
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