説明

CRTソケットの抵抗素子接続構造

【課題】 簡単な作業で抵抗素子(10)を接続でき、しかも、抵抗を接続しても、CRTソケットが大型化しないCRTソケットの抵抗素子接続構造を提供する。
【解決手段】 抵抗素子(10)の内側リード部(10b)を、圧接凹溝(17)に交差させて仮保持する。フォーカスコンタクト(8)に接続する連結板(18)に圧接スリット(20)を凹設した圧接板部(19)を連設し、圧接板部(19)を圧接凹溝(17)へ圧入することによって、連結板(18)を枡形ハウジング(4)に取り付けるとともに、圧接スリット(20)へ内側リード部(10b)を圧接させる。連結板(18)の取り付け作業によって、抵抗素子(10)とフォーカスコンタクト(8)を接続でき、また、抵抗素子(10)を、先に枡形ハウジング(4)内に収容できるので、外部リード線(24)に接続するターミナル(11)の取り付け方向に沿った内方に、抵抗素子(10)を収容できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】この発明は、カラーテレビなどに用いられる陰極線管を接続するCRT(Cathode−Ray−Tube)ソケットの構造に関し、特に、フォーカスコンタクトに抵抗素子が直列に接続されたCRTソケットの抵抗素子接続構造に関する。
【0003】
【従来の技術】従来、陰極線管を接続するCRTソケットにおいては、陰極線管のカソードに印加される高周波信号により発生する不要輻射信号が、フォーカス回路ブロックに入り込み、電子ビームのフォーカスに影響することがあり、この影響を減じるために、CRTソケットに、フライバックトランスと接続するターミナルを取り付け、CRTソケットの内部において、このターミナルとフォーカスコンタクトとの間に、抵抗素子を直列に接続していた。
【0004】抵抗素子は、その両側のリード部を、それぞれ、直接ターミナルとフォーカスコンタクトへ半田付けすることによって、接続することができるが、可能な限り小型化が求められるCRTソケットのハウジング内での接続作業は、極めて困難なものであった。そこで、従来は、抵抗素子の両側リード部を、ターミナルとフォーカスコンタクトに凹設した圧接スリットへ圧接して接続するCRTソケットの抵抗素子接続構造100が採用されている。
【0005】この従来の抵抗素子接続構造100を、図1212乃至図14で説明すると、図12は、CRTソケット101の平2は、CRTソケット101の平面図、図1313は、底蓋102cを除いた要部背面図、図14は、接続構造100を示す要部斜視図である。
【0006】これらの図に示すように、CRTソケット101は、一側(同図において上方)の円筒状ハウジング102aと、他側の方形状の枡形ハウジング102bを一体に成形したハウジング本体102に、背面側から後述する各構成部品を取り付けて、組み立てられている。この取り付けの為に、枡形ハウジング102bは、底面側を開口面とし、この開口面は、各部品が収納された後、枡形ハウジング102bと係合する底蓋102cによって覆われるようになっている。
【0007】陰極線管は、円筒状ハウジング102aの平面側に接続するもので、図12に示すように、陰極線管ネック部の各ピンと嵌合接触するように、複数のコンタクト104がその平面側で同一円周上に臨むように、円筒状ハウジング102aの底面側から取り付けられている。
【0008】これらのコンタクト104のうち、図中104Fで示すコンタクトは、他のコンタクト104に比べて特に高電圧が印加されるフォーカスコンタクトであり、他のコンタクト104との間に確実な絶縁を図るため、その一端の連結部105を、下方の枡形ハウジング102b内に引き出している。
【0009】連結部105の端部は、図14に示すように、下向きU字状に折り曲げられ、その折曲部に2本の平行な圧接スリット106が凹設されている。このうち、一本の圧接スリット106には、中央が球面状に突出するように形成されたフォーカス側放電電極107の接続片107aが圧入され、フォーカス側放電電極107と電気接続している。
【0010】フォーカス側放電電極107は、枡形ハウジング102b内に形成された放電空隙室108内で、同様に形成された接地側放電電極109と放電ギャップを形成するように対向配置される。この放電ギャップは、フォーカスコンタクト104Fに印加される通常の電圧では、特に作用せず、陰極線管内で管内放電が発生した場合に、そのスパークエネルギーを、接地側放電電極109へ放電させ、フォーカスコンタクト104Fから回路内の半導体素子へ逆流することを防止するものである。
【0011】図13において、枡形ハウジング102b内の放電空隙室108と隔壁110で隔てられた側方には、ターミナル収容凹部111が開口面103から凹設され、外部接続部112aと抵抗接続部112bが一体に連設されたターミナル112が収容されている。ターミナル収容凹部111の外部接続部112aが収容される部位は、枡形ハウジング102bの平面側に貫通し(図12参照)、この貫通孔に、他端をフライバックトランスに接続させた外部リード線114の一端を、平面側から挿通し、外部接続部112aの弾性接触片112cに弾性接触させている。また、抵抗接続部112bは、連結部105の端部と同様に、図14に示すように、下向きU字状に折り曲げられ、その折曲部に圧接スリット116が凹設されている。抵抗素子115の両側リード部115aは、枡形ハウジング102bの開口面103から、この抵抗接続部112bと連結部105の端部の圧接スリット116、106にそれぞれ圧入され、これによって、フォーカスコンタクト104Fとフライバックトランスの間に、抵抗素子115が直列に接続される。
【0012】この接続作業は、ターミナル112とフォーカスコンタクト104Fを枡形ハウジング102b内に取り付けた後、抵抗素子115の両端リード部115aを、ターミナル112とフォーカスコンタクトの連結部105にそれぞれ形成された圧接スリット116、106へ圧入するだけなので、半田付け工程がなく、作業が容易となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、CRTソケットには、高密度実装化の要請からその全体形状の可能な限りの小型化が望まれているが、従来の抵抗素子接続構造100では、抵抗素子115が枡形ハウジング102bの底面と平行に配置される構造のために、抵抗素子115の収容スペースが枡形ハウジング102bの平面方向に拡大し、ソケット101全体の小型化の障害となっていた。
【0014】そこで、図15及び図16に示すように、枡形ハウジング121に対して、抵抗素子115を鉛直方向に収容する抵抗素子接続構造120も開発されている。
【0015】この抵抗素子接続構造120は、抵抗素子115の両端リード部115aを、ターミナル122とフォーカスコンタクト(図示せず)に接続する連結部123に形成された圧接スリット124、124へ圧入して接続するものであるが、抵抗素子115は、ターミナル収容凹部125の側方に、ターミナル122の取り付け方向に沿って収容される。
【0016】しかしながら、この抵抗素子接続構造120であっても、ターミナル122、フォーカスコンタクトを、枡形ハウジング121の開口した底面側(図15において、上方)から取り付けた後に、その底面側から抵抗素子115のリード部115aを圧入する都合から、ターミナル122若しくはフォーカスコンタクトが取り付けられる内方に、抵抗素子115の収容スペースを形成できない。従って、抵抗素子115の収容スペースは、ターミナル122とフォーカスコンタクトの間の部位に形成せざるを得ず、抵抗素子115を内蔵することによって、CRTソケットが大きくなってしまうことは、避けられないものであった。
【0017】しかも、抵抗素子115を鉛直方向に収容することによって、ターミナル122側とフォーカスコンタクト側の圧接スリット124、124は接近し、屈曲するリード部115aを圧入する作業が困難になるとともに、抵抗素子115の一方のリード部115aを開口面側へ引き出さねばならず、余分な長さのリード部を設ける必要が生じていた。
【0018】この発明は、以上の問題点を解決するためになされたもので、簡単な作業で抵抗素子を接続でき、しかも、抵抗を接続しても、CRTソケットが大型化しないCRTソケットの抵抗素子接続構造を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】以上の問題点を解決するため、請求項1のCRTソケットの抵抗素子接続構造は、一側を開口面とする枡形ハウジング内に、陰極線管のフォーカスピンと接続するフォーカスコンタクトを収容するコンタクト収容凹部と、外部リード線と接続するターミナルを収容するターミナル収容凹部と、フォーカスコンタクトに接続するフォーカス側放電電極と接地側放電電極を放電ギャップを隔てて収容する放電空隙室とを形成し、コンタクト収容凹部に開口面から取り付けられるフォーカスコンタクトと、ターミナル収容凹部に開口面から取り付けられるターミナルとの間に、直列に抵抗素子を接続するCRTソケットの抵抗素子接続構造において、フォーカスコンタクトとフォーカス側放電電極を一体に連結する連結板に、圧接スリットが凹設された圧接板部を連設し、枡形ハウジング内のコンタクト収容凹部に隣接する部位に、圧接板部を圧入する圧接凹溝を凹設し、外側リード部をターミナルに接続した抵抗素子の内側リード部を、圧接凹溝に交差させて仮保持し、圧接板部を開口面から圧接凹溝に圧入し、連結板を枡形ハウジングに取り付けるとともに、圧接スリットへ内側リード部を圧接させることを特徴とする。
【0020】連結板に連設された圧接板部を、圧接凹溝へ圧入することによって、連結板が枡形ハウジングに取り付けられるとともに、抵抗素子の内側リード部とフォーカスコンタクトが電気接続される。従って、屈曲するリード部を圧入することなく、連結板の取り付け作業で、フォーカスコンタクトと電気接続できる。
【0021】抵抗素子は、ターミナルの取り付けとともに枡形ハウジング内へ収容することも可能となるので、予め、枡形ハウジングへ取り付ける前のターミナルに、抵抗素子の外側リード部を接続しておくことができ、その接続作業が容易であり、半田付けによる接続も可能となる。
【0022】請求項2のCRTソケットの抵抗素子接続構造は、ターミナルは、外部リード線と接続する外部接続部と、外部接続部の側方に一体に連設された抵抗接続部を備え、抵抗接続部が収容されるターミナル収容凹部の部位から、ターミナルの取り付け方向に沿った内方に抵抗収容部を連設し、抵抗収容部へ、外側リード部をターミナルに接続した抵抗素子を収容することを特徴とする。
【0023】ターミナルを、枡形ハウジングへ取り付けてから抵抗素子を接続する必要がないので、ターミナル収容凹部のターミナルの取り付け方向に沿った内方に抵抗収容部を連設し、抵抗素子を収容できる。従って、抵抗素子の収容スペースによって、CRTソケットの小型化が制約されることがない。
【0024】請求項3のCRTソケットの抵抗素子接続構造は、連結板とフォーカスコンタクトとフォーカス側放電電極とを、金属板を打ち抜いて一体に成形したことを特徴とする。
【0025】フォーカスコンタクトと、連結板と、フォーカス側放電電極を一体に成形するので、部品点数が増加することなく、また、連結板の圧入作業によって、フォーカスコンタクトとフォーカス側放電電極も併せて、枡形ハウジングへ取り付けることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係るCRTソケットの抵抗素子接続構造1を、図1乃至図11R>1により説明する。図1は、抵抗素子接続構造1が備えられたCRTソケット2の平面図、図2は、同側面図、図3は、同一部破断分解側面図、図4は、ベースハウジング3を省略したCRTソケット2の底面図である。
【0027】CRTソケットのハウジングは、前部(図1R>1において上方)が円筒状で、後部が上面側に開口する枡状に形成されたベースハウジング3と、底面側が開口面となった枡形ハウジング4とで構成されている。枡形ハウジング4の輪郭は、ベースハウジング3の後部の内壁面に沿った輪郭とほぼ同一形状に形成され、図3に示すように、ベースハウジング3の後部上方から枡形ハウジング4を収容し、両者の係合部が係合し一体化される。一体化されると、枡形ハウジング4の底面側開口面4aは、ベースハウジング3の後部で覆われる。
【0028】ベースハウジング3の円筒状の前部には、複数のコンタクト5が、前部の底面側から取り付けられ、その平面側で円筒状と同心円の円周上に臨み、平面側より挿入される陰極線管ネック部9の各ピンと嵌合接触し、電気接続するようになっている。
【0029】図1に示すように、前部の円筒状の後方側は、扇状に切り欠かれ、枡形ハウジング4が収容される際には、この切り欠かれた部分に、相補する形状に形成された枡形ハウジング4のコンタクト取付部6が嵌合する。
【0030】このコンタクト取付部6には、互いに絶縁された2つのコンタクト収容凹部7が形成され、それぞれにフォーカスコンタクト8が収容される。
【0031】図1に示すように、本実施の形態に係るCRTソケットにおいては、枡形ハウジング4内に2本のフォーカスコンタクト8を収容するものであり、この2本のフォーカスコンタクト8に応じて、一対の抵抗素子10、10、ターミナル11、11、接地側放電電極12、12等が、図中の左右対称位置に取り付けられるものである。従って、以下、便宜上、その一方の抵抗素子接続構造(図1において右側)について説明し、他方の説明を省略する。
【0032】フォーカスコンタクト8を収容するコンタクト収容凹部7は、ベースハウジング3に取り付けられた他のコンタクト5と平行にフォーカスコンタクト8を起立させ位置決めするもので、周囲が隔壁7aにより囲まれた筒状に形成されている。図5(c)に示すように、コンタクト収容凹部7の底面側(図中上方)は、フォーカスコンタクト8を底面側から取り付けるために開放され、また、他方は、ピン挿入孔7bを介して平面側に貫通している。このピン挿入孔7bは、他のコンタクト5が配設される円周と同一円周上に位置し、これによって、CRTソケット2に接続される陰極線管のフォーカスピン(図示せず)を、コンタクト収容凹部7内に案内する。
【0033】フォーカスコンタクト8のスパークエネルギーを放電する放電空隙室13は、図5(b)に示すように、枡形ハウジング4の後方に形成され、放電空隙室13の前面と後面内に、それぞれ、フォーカス側放電電極14と接地側放電電極12を位置決め収容する取り付け枠部15a、15bが凹設されている。
【0034】また、この取り付け枠部15が凹設された放電空隙室13の前面と、コンタクト収容凹部7の間には、隔壁16で囲まれ底面側に開口する2列の圧接凹溝17、17が凹設され、圧接凹溝17の後方は、放電空隙室13に連続している。
【0035】図8に示すように、コンタクト収容凹部7に収容されるフォーカスコンタクト8と、放電空隙室13の前面に取り付けられるフォーカス側放電電極14は、連結板18及び一対の圧接板部19とともに、同一の金属板から一体にプレス成形されたものである。すなわち、長方形状の連結板18の長手方向の両端に、フォーカスコンタクト8とフォーカス側放電電極14が、連結板18の長手方向に沿った両側に、一対の圧接板部19が、それぞれ連結板18と直交する方向に折り曲げられ、一体に連設されている。
【0036】フォーカスコンタクト8は、フォーカスピンと弾性接触するように、一部が括れた円筒状に形成され、フォーカス側放電電極14は、矩形板の中央部が、球面状に側方に突出するように形成されている。
【0037】図8(a)に示すように、圧接板部19には、その中心軸線に沿って、中央から下端まで連続する圧接スリット20が凹設されている。圧接スリット20の溝幅は、後述する抵抗素子10の内側リード部10bの外径より僅かに狭い幅に形成され、圧接スリット20に挿入される内側リード部10bと圧接接続する。
【0038】枡形ハウジング4の底面側から連結板18を押圧して、一対の圧接板部19を圧接凹溝17へ圧入すると、連結板18が枡形ハウジング4内に位置決め固定され、同時にフォーカスコンタクト8は、コンタクト収容凹部7に収容され、フォーカス側放電電極14は、矩形板の周囲が、放電空隙室13の前面の取り付け枠部15aに嵌合して、位置決め固定される。この状態で、フォーカス側放電電極14は、放電空隙室13内の前面に沿って露出し、球面状の中央部が側方に突出する。
【0039】一方、接地側放電電極12も、フォーカス側放電電極14と同様に、矩形板の中央部が、球面状に側方に突出するように形成され、矩形板周囲が放電空隙室13の後面の取り付け枠部15bと嵌合し、位置決め固定される。尚、本実施の形態においては、他のフォーカス側放電電極14に対応して配置される他の接地側放電電極12との一対を、一体に成形し、放電空隙室13の後面に取り付けている。
【0040】放電空隙室13内に、接地側放電電極12とフォーカス側放電電極14が位置決め固定されると、互いの球面状に形成された中央部が対向し、その間で、放電ギャップが形成される。
【0041】本実施の形態においては、図4に示すように、2本のフォーカスコンタクト8についてそれぞれ形成される放電ギャップが、ベースハウジング3の中心方向から放射状に形成される。これによって、フォーカス放電電極14の中央に連結板18を接続しても、一対のフォーカス放電電極14間の絶縁距離を充分に確保することができる。従って、本実施の形態のように、連結板18とフォーカス放電電極14は、左右対称形状に一体成形することができ、左右の取付位置を考慮することなく、同一部品で共用できる。
【0042】図5(b)に示すように、枡形ハウジング4内の放電空隙室13及び圧接凹溝17と、周壁21で隔てられた側方には、ターミナル11を収容するターミナル収容凹部22が底面側から凹設されている。
【0043】ターミナル11は、図7に示すように、CRTソケット2内に配設される抵抗素子10の外側リード部10aと電気接続する抵抗接続部23と、CRTソケット2の外部から挿入される外部リード線24と電気接続する外部接続部25と、両者を一体に連結する取付部26とからなっている。
【0044】抵抗接続部23は、水平基板23aと水平基板23aの両側から湾曲形成された一対の弾性接触片23bで構成され、一対の弾性接触片23bの自由端部は、図中水平基板23aの上方で自らの弾性によって当接している。水平基板23aの中央には、抵抗素子10の外側リード部10aを挿通させる挿通孔23cが穿設され、外側リード部10aの先端を、弾性接触片23b間の当接位置へ案内している。
【0045】取付部26は、抵抗接続部23と外部接続部25を、鉛直方向で連結する板状片で構成され、その両側にターミナル11をターミナル収容凹部22内に位置決め固定する係止爪26aが形成されている。
【0046】外部接続部25は、取付部26の下端から斜め上方に折り曲げられて形成され、その側方と先端に沿って、L字状フランジ片25aが立設されている。フランジ片25aは、外部接続部25の中間が湾曲しないように補強するもので、これによって、外部接続部25は、取付部26の下端を基端として、先端が上下に撓むようになっている。
【0047】図10、図11は、このように構成されたターミナル11をターミナル収容凹部22に収容した状態を示すもので、図10は、ターミナル11の抵抗接続部23において、内側リード部10bの配線方向に沿って切断した縦断面図、図11は、図10と直交する方向で切断したターミナル収容凹部22の縦断面図である。
【0048】ターミナル収容凹部22は、枡形ハウジング4の平面側(図中下方)から底面側(図中上方)に立設された周壁21で角筒状に形成されたもので、周壁21の内壁面に上下方向に一対の取り付け溝21aが凹設されている。取り付け溝21aを挟み、図11に示す左側のターミナル収容凹部22に、ターミナル11の抵抗接続部23が、右側に外部接続部25がそれぞれ収容される。
【0049】外部接続部25が収容されるターミナル収容凹部22の内方(下方)には、ガイド孔27aを介して枡形ハウジング4の平面側に開口するリード挿入孔が連通し、CRTソケットの平面側から挿入される外部リード線24を、ターミナル収容凹部22内に挿入可能としている。
【0050】また、抵抗接続部23が収容されるターミナル収容凹部22の内方(下方)には、抵抗素子10を収容し位置決めする円筒形の抵抗収容部28が、ターミナル収容凹部22に連続して形成されている。抵抗収容部28の内底面には、細幅のリード挿通路29が凹設され、これによって形成される段部に抵抗素子10が載置され、その内側リード部10bがリード挿通路29へ導出されるようになっている。
【0051】このように抵抗収容部28は、ターミナル収容凹部22の内方、すなわち、ターミナル収容凹部22の枡形ハウジング4平面への投影形状内に形成されるので、抵抗収容部28を形成することによって、枡形ハウジング4が大型化することがない。抵抗素子10は、ターミナル収容凹部22を形成する周壁21によって、コンタクト5、接地側放電電極12等他の部品と絶縁されるので、抵抗素子10を絶縁させるために別の隔壁を設ける必要がない。
【0052】図10に示すように、この抵抗収容部28に形成されるリード挿通路29は、周壁21及び圧接凹溝17周囲の隔壁にスリットを凹設することによって、2列の圧接凹溝17を横断する部位まで延設されている。
【0053】このように構成されたCRTソケットへ抵抗素子10を接続し組み立てる方法を、以下に説明する。
【0054】枡形ハウジング4への抵抗素子10、ターミナル11等の各部品の取り付けは、枡形ハウジング4の底面側開口面を上向きとして行う。従って、これらの部品の取り付け工程の説明においては、底面側を上方、平面側を下方として説明する。
【0055】始めに、抵抗素子10を、外側リード部10aを上方に、内側リード部10bを下方になるように起立させ、抵抗収容部28内に収容する。抵抗収容部28内に抵抗素子10が収容されると、外側リード部10aは、抵抗収容部28上方のターミナル収容凹部22内に突出する。また、内側リード部10bは、抵抗収容部28下方からリード挿通路29に導出し、リード挿通路29に案内されて、その先端部は、2列の圧接凹溝17と交差した状態で仮保持される。
【0056】続いて、抵抗接続部23が抵抗素子10の上方側に、外部接続部25がガイド孔27aの上方側となるように、ターミナル11を水平支持し、取付部26の係止爪26aを、ターミナル収容凹部22の取り付け溝21aへスライドさせながら、ターミナル11をターミナル収容凹部22の上方から圧入する。このとき、抵抗素子10の外側リード部10aは、抵抗接続部23の挿通孔23cを挿通し、弾性接触片23b間に挟持される。
【0057】従って、ターミナル11を、ターミナル収容凹部22内に完全に収容すると、係止爪26aが取り付け溝21aに係止してターミナル収容凹部22内に固定されるとともに、ターミナル11と抵抗素子10の外側リード部10aが電気接続する。また、図11に示すように、外部接続部25の先端は、自らの弾性によって、ガイド孔27a上方のターミナル収容凹部22内壁面に弾性接触する。
【0058】ターミナル11を取り付けた後、フォーカスコンタクト8とフォーカス側放電電極14が一体となった連結板18を、枡形ハウジング4へ取り付ける。
【0059】この取り付けは、図9に示すように、連結板18を上方から押圧することによって行う。連結板18を押圧し、連結板18の両側に連設された一対の圧接板部19を2列の圧接凹溝17にそれぞれ圧入すると、圧接凹溝17と交差するように仮保持された抵抗素子10の内側リード部10bは、圧接スリット20で挟持され、連結板18、即ちフォーカスコンタクト8と電気接続する。これによって、ターミナル11とフォーカスコンタクト8間に、直列に抵抗素子10が接続されることとなる。
【0060】圧接板部19が圧接凹溝17に圧入されることによって、連結板18は、枡形ハウジング4に位置決め固定され、この状態で、前述したように、フォーカスコンタクト8は、コンタクト収容凹部7に収容され、フォーカス側放電電極14は、放電空隙室13の前面の取り付け枠部15aに嵌合し、位置決め固定される。
【0061】その後、接地側放電電極12の矩形板周囲を、放電空隙室13の後面の取り付け枠部15bへ嵌合させて接地側放電電極12を取り付け、放電空隙室13内において、フォーカス側放電電極14と接地側放電電極12を対向させ、放電ギャップを形成する。
【0062】枡形ハウジング4に各部品を取り付けた後、ベースハウジング3へ複数のコンタクト5を取り付け、図3に示すように、ベースハウジング3の後部へ枡形ハウジング4を収容し、両者の係合部を係合して一体化する。
【0063】このようにして各部品を組み入れたCRTソケットは、テレビジョン受像機内のプリント配線基板上に実装され、その後、フライバックトランスに接続させた外部リード線24の一端を、枡形ハウジング4の平面側に開口するリード挿入孔27より挿入する。リード挿入孔27より挿入される外部リード線24の先端は、ガイド孔27aを通して、ターミナル収容凹部22内に挿入され、その内壁面と外部接続部25との間で挟持される。
【0064】従って、フライバックトランスに一端が接続する外部リード線24とフォーカスコンタクト8の間に、抵抗素子10が直列に接続される。
【0065】本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、種々変形が可能である。例えば、枡形ハウジング4は、開口面を覆う蓋体を別に用意して、ベースハウジング3と一体としてもよく、フォーカスコンタクト8の形状を上下逆の形状として、枡形ハウジング4の開口面側をCRTとの接続面側としてもよい。
【0066】また、連結板18は、フォーカスコンタクト8及び放電電極14と一体に成形したもであるが、枡形ハウジング4へ取り付けた後に、互いに電気接続するものであれば、必ずしもこれらの部品と一体で成形する必要はない。
【0067】更に、上述の実施の形態では、ターミナル11の取り付け前に、抵抗収容部28へ抵抗素子10を挿入するものであるが、予め、外側リード部10aをターミナル11の抵抗接続部23へ接続し、ターミナル11の取り付けとともに抵抗素子10を枡形ハウジング4内へ取り付けてもよい。
【0068】更に、圧接凹溝17は、2列である必要はなく、1列若しくは3列以上であってもよい。
【0069】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、圧接板部19を圧入するだけで、抵抗素子10の内側リード部10bをフォーカスコンタクト8へ電気接続でき、CRTソケットの狭いスペース内で屈曲するリード部を圧入する作業がなく、簡単に抵抗素子10を接続できる。
【0070】請求項2の発明によれば、請求項1の発明に加え、更に、ターミナル収容凹部のターミナル11の取り付け方向に沿った内方に抵抗収容部28を連設するので、CRTソケット内の空きスペースを利用して、抵抗素子10を収容する抵抗収容部28を形成できる。
【0071】また、ターミナル11を他の部品と絶縁するための周壁21を、そのまま連続させて、抵抗素子10を他の部品と絶縁する隔壁とすることができる。
【0072】請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明に加え、フォーカスコンタクト8と、連結板18と、フォーカス側放電電極14を一体に成形するので、部品点数が増加せず、これらの枡形ハウジング4への取り付け作業を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るCRTソケットの抵抗素子接続構造1が備えられたCRTソケット2の平面図である。
【図2】CRTソケット2の側面図である。
【図3】CRTソケット2の一部破断分解側面図である。
【図4】ベースハウジング3を省略したCRTソケット2の底面図である。
【図5】枡形ハウジング4の(a)は、平面図、(b)は、底面図(c)は、縦断面図である。
【図6】枡形ハウジングの要部斜視図である。
【図7】ターミナル11の(a)は、側面図、(b)は、正面図(c)は、平面図である。
【図8】フォーカスコンタクト8とフォーカス側放電電極を一体に連結した連結板18の(a)は、側面図、(b)は、平面図である。
【図9】抵抗素子10の内側リード部10bを、圧接板部19の圧接スリット20で圧接する状態を示す斜視図である。
【図10】ターミナル11の抵抗接続部23において、内側リード部10bの配線方向に沿って切断した縦断面図である。
【図11】図10と直交する方向で切断したターミナル収容凹部22の縦断面図である。
【図12】従来のCRTソケット101の平面図である。
【図13】CRTソケット101の底蓋102cを除いた要部背面図である。
【図14】従来のCRTソケットの抵抗素子接続構造100を示す要部斜視図である。
【図15】他の従来のCRTソケットの抵抗素子接続構造120を示すCRTソケットの縦断面図である。
【図16】図15のCRTソケットの抵抗素子接続構造120を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
2 CRTソケット
4 枡形ハウジング
4a 開口面
8 フォーカスコンタクト
7 コンタクト収容凹部
10 抵抗素子
10a 外側リード部
10b 内側リード部
11 ターミナル
12 接地側放電電極
13 放電空隙室
14 フォーカス側放電電極
17 圧接凹溝
18 連結板
19 圧接板部
20 圧接スリット
22 ターミナル収容凹部
23 抵抗接続部
24 外部リード線
25 外部接続部
28 抵抗収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一側を開口面(4a)とする枡形ハウジング(4)内に、陰極線管のフォーカスピンと接続するフォーカスコンタクト(8)を収容するコンタクト収容凹部(7)と、外部リード線(24)と接続するターミナル(11)を収容するターミナル収容凹部(22)と、フォーカスコンタクト(8)に接続するフォーカス側放電電極(14)と接地側放電電極(12)を放電ギャップを隔てて収容する放電空隙室(13)とを形成し、コンタクト収容凹部(7)に開口面(4a)から取り付けられるフォーカスコンタクト(8)と、ターミナル収容凹部(22)に開口面(4a)から取り付けられるターミナル(11)との間に、直列に抵抗素子(10)を接続するCRTソケットの抵抗素子接続構造において、フォーカスコンタクト(8)とフォーカス側放電電極(14)を一体に連結する連結板(18)に、圧接スリット(20)が凹設された圧接板部(19)を連設し、枡形ハウジング(4)内のコンタクト収容凹部(7)に隣接する部位に、圧接板部(19)を圧入する圧接凹溝(17)を凹設し、外側リード部(10a)をターミナル(11)に接続した抵抗素子(10)の内側リード部(10b)を、圧接凹溝(17)に交差させて仮保持し、圧接板部(19)を開口面(4a)から圧接凹溝(17)に圧入し、連結板(18)を枡形ハウジング(4)に取り付けるとともに、圧接スリット(20)へ内側リード部(10b)を圧接させることを特徴とするCRTソケットの抵抗素子接続構造。
【請求項2】 ターミナル(11)は、外部リード線(24)と接続する外部接続部(25)と、外部接続部(25)の側方に一体に連設された抵抗接続部(23)を備え、抵抗接続部(23)が収容されるターミナル収容凹部(22)の部位から、ターミナル(11)の取り付け方向に沿った内方に抵抗収容部(28)を連設し、抵抗収容部(28)へ、外側リード部(10a)をターミナル(11)に接続した抵抗素子(10)を収容することを特徴とする請求項1記載のCRTソケットの抵抗素子接続構造。
【請求項3】 連結板(18)とフォーカスコンタクト(8)とフォーカス側放電電極(14)とを、金属板を打ち抜いて一体に成形したことを特徴とする請求項1または2記載のCRTソケットの抵抗素子接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図15】
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【図16】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【特許番号】特許第3035542号(P3035542)
【登録日】平成12年2月18日(2000.2.18)
【発行日】平成12年4月24日(2000.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−111785
【出願日】平成11年4月20日(1999.4.20)
【審査請求日】平成11年10月8日(1999.10.8)
【出願人】(000102500)エスエムケイ株式会社 (528)
【参考文献】
【文献】特開 平7−282929(JP,A)