説明

CVD分析

【課題】ヒトまたは非ヒト動物患者におけるCVD潜在性またはCVD傾向を検出するための分析方法で、患者が気付くCVD症状の発生前に検出する方法を提供する。
【解決手段】CVD症状の発生前に患者から採取したカルプロテクチン含有サンプルにおけるカルプロテクチン濃度を評価する工程を含む。測定は抗カルプロテクチン抗体を使用する。CVD潜在性またはCVD傾向を検出されると、患者はさらなる検査を受けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ヒトまたは非ヒト動物、特に哺乳類の患者における心臓血管疾患(CVD)の潜在性または傾向を検出するための分析方法に関し、また、詳細には、患者が気付くCVD症状の発生前にCVD潜在性またはCVD傾向を検出するために使用できる分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CVDは、ヒトにおける健康障害の主な原因である。1998年、西側世界における全死亡者の約40%は、CVDが原因であった(例えば、2.5人に1人)。2002年、米国では、100万人以上が心臓の発病を新たにもしくは再発し、40%以上がこれらの発病により死亡すると推定された。これらのうち多くは、病院にかかったり治療を受けることなく、突然死亡するであろう。また、これらのうち多くの人が、CVDの影響によると認識することはないであろう。
【0003】
しかしながら、食事の改善、喫煙の軽減または中止、エクササイズの増加、体重の減少等の早期もしくは先制の治療は、CVD防止またはCVD傾向の軽減を高い成功率で示す。このように、CVDの潜在性もしくは傾向が検出できれば、効果的な治療が可能となる。
【0004】
そのため、治療(例えば、生活スタイルおよび/または習慣の変更)が通常通り成功する段階よりも、疾患が進行する前に、CVD、特にCVD潜在性またはCVD傾向を検出するために使用できる方法が必要とされている。特に、患者や、例えば、医師等の第三者にとって症状が明らかでない場合に、早期段階でCDVを検出できる方法、例えば、症状がない患者を検査する方法が必要とされている。
【0005】
このような方法は、一般の母集団のスクリーニング(例えば、集団スクリーニング)、または、母集団における危険性のあるグループ(例えば、40以上の男性、高ストレスな仕事の就労者、不健康なダイエットを行っている人、臨床上肥満の人、喫煙者等)のスクリーニングに使用できる。CVD潜在性またはCVD傾向が診断された場合、先取り治療を受けることができ、および/または、患者が生活スタイルや習慣の調整を行うことができる。
【0006】
さらに、CVD潜在性またはCVD傾向が検出されると、患者は、さらなる検査を受けることができる。例えば、身体活動、心筋かん流のRI撮像、X-線(例えば、CT)心筋血管造影法、MR心筋血管造影法またはかん流イメージング等と供にもしくはこれら抜きで、より費用のかかる検査や、または、ECGのような手術に時間がかかるような検査を受けることができる。このように、最初のスクリーニング(例えば、症状がない健常者の集団スクリーニング)において、安価で容易な本発明の分析方法を使用することによってCVDの存在可能性または潜在性もしくは傾向を確認することにより、健康状態が回復しなくなる前に、未発見CVDの検出または同定の可能性が向上されると同時に、高価かつ時間がかかる検査の不必要な利用が制限される。
【0007】
CVDが、脳や心臓等の生命を支える体の領域への酸素供給を中断するような心臓、動脈または静脈の状態を意味する。CVDsの例は、動脈硬化、急性心筋梗塞、狭心症、虚血性心疾患、脳血管障害、クモ膜下出血、脳内出血、脳梗塞、うっ血性心不全、狭心症、心発症、心臓麻痺および不整脈である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、CVDの症状の開始前(例えば、症状のない患者)に、タンパク質カルプロテクチンが、CVD潜在性もしくは傾向の有用なマーカーまたは指標となるという驚くべき発見に基づく。特に、様々な体液における異常に高いカルプロテクチンレベルは、CVD症状の開始が患者または医師等の第三者に明らかとなる前に、CVDへの感受性の指標となるという驚くべき発見である。
【0009】
不明確を避けるために、ここでカルプロテクチンの用語は、「L1タンパク質」、「MRP 8/14」、「嚢胞性繊維症(関連)抗原(CFA)」および「カルグラニュリン」と同義として使用する。
【0010】
カルプロテクチンは、二量体および三量体形態の両方として存在する。二量体として、カルプロテクチンは、ポリペプチド鎖S100A8およびS100A9を含む。三量体として、カルプロテクチンは、2つのH鎖(14kD)と1つのL鎖(8kD)とが非共有結合した36kDaのヘテロ三量体タンパク質である。
【0011】
カルプロテクチンは、カルシウム結合タンパク質であり、カルシウムに結合すると、カルプロテクチンは熱およびタンパク質分解に抵抗性を有する。これは、分析技術および使用する条件の広い範囲で起こる。
【0012】
カルプロテクチンのエピトープマッピングは、複合体および/またはその単量タンパク質鎖に対する特異性を有する抗体が生産されることを示している。少なくとも4つの離れた免疫原部位は、カルプロテクチン複合体に存在することがわかっている。いくつかの抗体は、H鎖またはL鎖のいずれか一方を認識し、一方、他の抗体は両方を認識する。
【0013】
カルプロテクチンは、ヒトの体のあらゆる部位の細胞、組織、体液において確認され、好中球および単球から顕著に誘導される。カルプロテクチンは、おそらく5000検体以上の中でも全ての個体内に存在し、カルプロテクチンフリーの個体は、確認されなかった。カルプロテクチンは、また、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ウシおよびブタにおいても確認された。このため、至るところに十分に存在する分子である。
【0014】
in vivoで、カルプロテクチンは、細胞内シグナル伝達、好中球活性化、細胞増殖に関する細胞内酵素の阻害、抗菌作用および好中球防御を含む多数の生物学的機能に関与する。カルプロテクチンは、また、炎症反応における制御タンパク質であり、この役割において、免疫グロブリン生成、遊走因子活性および好中球非流動化因子を刺激する機能を奏する。
【0015】
おそらく、体液は、通常カルプロテクチンを含有し、種々の体液におけるカルプロテクチン濃度は、例えば、多くの疾患状態(例えば、炎症、感染および悪性腫瘍疾患)において増加する等、変化することがわかっている。このように、疾患状態を患う患者(例えば、患者および/または第三者が気付かない症状を示す個体において)の体液中のカルプロテクチン濃度を測定することや、例えば、健常者(例えば、疾患がない)の体液中におけるカルプロテクチン濃度と測定したカルプロテクチン濃度を比較することは、このような疾患を診断する方法として使用できる。
【0016】
例えば、細菌およびウィルス感染の症状は、非常に類似しており、それらの症状のみから診断することは非常に難しいが、感染患者の血清/血漿中のカルプロテクチン濃度は、ウイルス感染では約1〜2倍であるが、細菌感染では1〜18倍に増加する。このように感染症に気付いている患者は、体液内カルプロテクチン濃度を測定し、感染診断やそれに従った治療を受けることができる。
【0017】
診断テストとしてカルプロテクチンが使用されている他の疾患は、リュウマチ疾患(例えば、慢性関節リュウマチ、若年性関節リュウマチ、全身エリテマトーデス)、シェーグレン症候群、眼内炎症、嚢胞性繊維症、急性および慢性肺疾患、肺腫(鱗状細胞)、肺癌、結直腸癌、炎症性腸疾患、胃癌、 結腸直腸腺腫または癌、クローン病、潰瘍性大腸炎、胃腸粘膜炎症、尿結石、アルコール性肝疾患、経口炎症粘膜疾患(oral inflammatory mucosal disease)、CNS炎症疾患(例えば、多発性硬化症および急性脳炎)、HIV感染、HIV感染患者における二次CNS感染、尿管感染症、膀胱炎、腎盂腎炎、内因性後部ブドウ膜炎(endogenous posterior uveitis)、血液疾患(例えば、白血病)、発熱(febrile conditions:感染および非感染)、急性心筋梗塞およびアフェレーシス(apheresis)を含む。
【0018】
カルプロテクチンの血漿濃度は、また、開心手術の間、増加することが知られている(Semb,A. G. et al, Eur. J. Cardio-thorac Surg. (1991) 5:363-367, Saatvedt, K. et al., Scand. J. Thor. Cardiovasc. Surg. (1996) 30: 53-60, Moen, O. et al., Perfusion (1994) 9:109-117)。さらに、Saatvedtらは、心肺バイパスの開始後にカルプロテクチン濃度が上昇し、術後8時間でピークを示すことを報告している。
【0019】
驚くことに、患者のCVD潜在性またはCVD傾向が、前記患者から採取したカルプロテクチン含有サンプルにおけるカルプロテクチン濃度の測定によって評価できることがわかった。換言すると、患者から採取したカルプロテクチン含有サンプルにおけるカルプロテクチン濃度の測定が、患者や医師等の第三者が気付かない開始症状に先立って、患者がCVDを患うことがありそうか否かを予測することに使用できることがわかった。
【0020】
「潜在性」または「傾向」は、一般に、検査した現在症状がない患者が、近い将来CVDを患う可能性または確立を意味する。これは、近い将来(例えば、これから1〜2年、少なくとも6ヶ月)における、指数、比、パーセンテージまたはCVD相対リスクに類似した反映の形態をとる。
【0021】
このように本発明の一形態は、ヒトまたは非ヒト動物患者におけるCVD潜在性またはCVD傾向を検出する分析方法であって、前記方法が、前記患者から採取したカルプロテクチン含有サンプル(例えば、血液、血漿、血清、髄液、唾液、尿、便、関節液(synovial fluid)または鼻腔液(empyema fluid))におけるカルプロテクチン濃度を評価する工程を含む方法を提供する。
【0022】
「評価」は、カルプロテクチン濃度の定量的または半定量的値を決定することを意味する。これは、例えば、細胞や分析しないサンプル成分を除去したり、サンプルの濃縮もしくは希釈、または固体基板のような分離媒体にカルプロテクチンを移す処理をした後に試験するサンプル濃度の値であってもよい。
【0023】
評価は、例えば、カルプロテクチンが、1つ以上の予め選択された閾値(例えば、分析により検出可能な、CVD潜在性またはCVD傾向がないことを示す値)以上または以下であるというような、単純な定性でもよい。このようなカルプロテクチンの閾値または他のリファレンス値の正確な値は、天然サンプル、年齢、体重、性別および患者の種に依存してもよく、また、様々の発達段階においてCVDの無いまたはCVDがある同等の患者の関連した体液のカルプロテクチン濃度を測定することにより、ルーチンの方法で測定できる。
【0024】
本発明の方法に従って測定されたまたは評価されたカルプロテクチン濃度の指標値は、完全なカルプロテクチン濃度であってもよいし、指数、比、パーセンテージまたはカルプロテクチン濃度を反映した類似値であってもよい。
【0025】
本発明の分析方法に使用する体サンプルは、カルプロテクチン含有サンプルであればよく、例えば、体液もしくは組織サンプル、または懸濁液等がある。前記サンプルは、好ましくは、尿、髄液、唾液、関節液または鼻腔液が好ましく、より好ましくは、血液または血液由来のサンプルである。例えば、血液または血液由来のサンプルを使用する場合、分析に使用されるサンプルは、細胞を含まないもの(例えば、血清または血漿)が好ましい。また、便も使用できる。
【0026】
サンプルは、本発明の分析方法での使用に先立って処理してもよい。サンプルは、細胞および/または分析対象ではないサンプル成分を除去する処理が施されてもよい。サンプルは、濃縮処理または希釈処理してもよく、または、カルプロテクチンを、例えば、固体基板等の分離媒体に移す処理を施してもよい。例えば、サンプルは、緩衝液や他の水性媒体の添加により希釈してもよい。また、特に血漿または血清サンプルは、直接使用することもできる。
【0027】
サンプルは、本発明の分析への使用に先立って、任意にカルシウムまたは擬態カルシウム(例えば、他のアルカリ土類金属イオン)で処理する。カルシウムまたは擬態カルシウムは、Ca2+イオンを供給する形態(例えば、CaCl2)があげられる。カルシウムを使用する場合、カルプロテクチンのカルシウム結合部位を飽和させるために、十分なカルシウムまたは擬態カルシウムをサンプルに添加することが好ましい。例えば、10モル過剰にカルシウム源を添加し、より好ましくは5モル過剰、特に好ましくは3モル過剰である。
【0028】
カルプロテクチンの分析は公知であり、本発明の方法に使用できるが、カルプロテクチンがCVD潜在性またはCVD傾向のマーカーや指標であるとの示唆は、知られていなかった。換言すると、症状が出ていない患者のカルプロテクチン濃度が、CVD潜在性またはCVD傾向のマーカーまたは指標として使用できるとの示唆は知られておらず、特に、カルプロテクチン濃度が健常者(例えば、症状がない)の母体スクリーニングに適した分析方法におけるマーカーまたは指標として使用できるとの示唆は知られていなかった。
【0029】
カルプロテクチンの公知の分析方法は、本発明の分析方法に使用できる。このように、例えば、米国特許4,833,074 (Fagerhol et al.)に開示されたカルプロテクチン単離の方法や、後の単一特異的な抗血清の生成方法は、従来の分析方法に使用する抗カルプロテクチン抗体の製造に使用できる。製造される抗カルプロテクチン抗体は、例えば、酵素結合および放射物質免疫アッセイにおいて使用できる。
【0030】
例えば、カルプロテクチンの免疫分析形態であるNycoCard(商品名、Axis-Shield PoC、ノルウェー、オスロー)も使用できる。この分析は、固相、固定化抗カルプロテクチン抗体で被覆された膜を含む試験デバイスにおけるサンドイッチ-形態が使用できる。このように、サンプル(任意に希釈されたサンプル)は、デバイスに供給され、サンプルが前記膜を通過する際、存在するカルプロテクチンが捕獲される。膜に固定されたカルプロテクチンは、カルプロテクチン-抗体複合体に結合する金-抗体コンジュゲートで処理され、赤色光の吸収により決定される色強度(金ビーズによる)がカルプロテクチン量と比例する。カルプロテクチン濃度は、従来法で準備した検量線から計算できる。
【0031】
また、カルプロテクチンの商用テスト(商品名Calprest)、例えば、便中のカルプロテクチン用テスト(Eurospitalより入手可能)も使用できる。この分析は、酵素結合抗体免疫吸着アッセイシステムにおいてカルプロテクチンに対するポリクローナル抗体を使用する。このように患者から採取したサンプル中に存在するカルプロテクチンは、プラスチックウェルの表面に吸着させた抗体に結合する。それから、酵素の基質が添加され、生成した発色産物の強度は、酵素量とカルプロテクチン量に比例する。カルプロテクチン濃度は、従来法で作成した検量線より計算できる。
【0032】
モノ-およびポリ-抗カルプロテクチン抗体の双方は、商業的に入手可能である。卵およびウサギポリクローナルは、例えば、それぞれNorwegian Antibodies ASおよび Axis-Shield Diagnosticsから入手でき、マウスモノクローナルは、Dako A/S(Denmark)から入手できる。例えば、抗体作製の従来法により得られた抗カルプロテクチン抗体を、本発明の方法に使用することできる。例えば、モノクローナル抗体と同様に、ウサギ抗カルプロテクチン抗体は、Harlowら(Harlow and Lane (1988), Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York, NY)に開示されているプロトコールに従って作製できる。
【0033】
抗カルプロテクチン抗体は、カルプロテクチン含有溶液をニワトリに定期的に注射し、ニワトリの卵黄から回収することによっても調製できる。ニワトリ卵ポリクローナル抗体は、従来法により単離し、アフィニティークロマトグラフィーによって精製できる。
【0034】
本発明の分析方法は、健常者(例えば、CVD症状がない患者)の集団スクリーニングに使用されることが好ましい。CVD潜在性またはCVD傾向を検出する場合、患者は、CVDの存在または非存在を確認するための更なる試験(例えば、CVDに特有のより高価な技術)を受けることができる。
【0035】
一般に、評価するサンプルのほかに、カルプロテクチン含量が既知であるキャリブレーション用のサンプルも分析方法の実施において評価する。このような測定は、測定される検査サンプルのカルプロテクチン濃度から、検量線にプロットされる。キャリブレーションサンプルの種類や、カルプロテクチン測定に使用される変換因子または調節因子の選択は、例えば、実際に分析技術を使用してカルプロテクチンを検出する方法や、例えば、緩衝液組成や分析条件等、分析結果に影響する方法の他の形態に依存して変化させてもよい。
【0036】
一般的なキャリブレーションサンプルとして、カルプロテクチン含量0〜5000mg/Lのものが使用される。一般に見られるカルプロテクチン濃度値内のリファレンス範囲は、0.1〜10mg/Lである。
【0037】
一般に、CVD潜在性またはCVD傾向がわずかまたは見られないヒトの血清および血漿におけるカルプロテクチン濃度は、0.01〜0.75mg/Lの範囲である。このようなヒトの血清および血漿におけるカルプロテクチン濃度は、0.05〜0.70mg/Lの範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.10〜0.66mg/Lであり、例えば、0.15〜0.45mg/Lである。例えば、CVD潜在性またはCVD傾向がわずかまたは見られない女性の血清および血漿におけるカルプロテクチン濃度は、0.09〜0.53mg/Lの範囲であり、例えば、約0.31mg/Lまたは0.30mg/Lである。例えば、CVD潜在性またはCVD傾向がわずかまたは見られない女性の血清および血漿におけるカルプロテクチン濃度は、0.09〜0.53mg/Lの範囲であり、例えば、約0.30〜0.39mg/L、特に0.31mg/Lである。
【0038】
0.75mg/Lより大きい血清または血漿のカルプロテクチン濃度は、一般的に、CVD潜在性またはCVD傾向を非常に強く示すといえる。このように、分析がCVD潜在性またはCVD傾向の予測を支持できるよりも大きい閾値は、一般的に、0.32〜0.77mg/Lの範囲であり、例えば、約0.67mg/L、好ましくは約0.7mg/L、特に約0.76mg/Lである。より好ましくは、分析がCVD潜在性またはCVD傾向の予測を支持できるよりも大きい閾値は、0.30〜0.50mg/Lの範囲であり、より好ましくは0.32〜0.47mg/L、例えば、約0.45mg/Lである。
【0039】
一般的に、CVD潜在性またはCVD傾向がわずかまたは見られないヒトの便のカルプロテクチン濃度は、0.01〜10mg/Lの範囲である。より好ましくは、このようなヒトの便におけるカルプロテクチン濃度は、0.05〜9.0mg/Lの範囲であり、さらに好ましくは0.50〜8.0mg/Lである。
【0040】
10mg/L以上である便におけるカルプロテクチン濃度は、一般的に、CVD潜在性またはCVD傾向を強く示すといえる。分析がCVD潜在性またはCVD傾向の予測を支持できるよりも大きい閾値は、一般的に、9mg/Lであり、例えば、約10.5mg/L、好ましくは約11mg/Lである。
【0041】
しかしながら、閾値は、健康状態から早期段階CVDを通じて重症CVDにいたる、類似タイプ(年齢、性別、体重、種等)の患者からの同じタイプの体液サンプルに対して同様の分析技術を用いたカルプロテクチン測定から算出するのがよい。より好ましくは、閾値は、早期、健康状態である同じ患者に対して測定された値である。このように、特に、危険にさらされている場合、個体は、集団スクリーニングプログラムにおいて、規定の基礎におけるカルプロテクチンレベルをモニターできる(例えば、6ヶ月から1年ごと)。
【0042】
本発明の好ましい分析方法において、前記方法は、さらに、患者から採取したサンプルにおけるCVD潜在性に対する他のマーカー濃度を評価する工程を付加的に含む。適当なマーカーの例としては、ホモシステイン、活性化因子XII、コレステロール、コレステロール:HDL比、フィブリノーゲン、組織適合プラスミノーゲン活性化因子、V因子、VII因子およびVIII因子、リポプロテイン(a)、von Willebrand 因子抗原、プラスミン-α2アンチププラスミン複合体、プロトロンビン断片1+2、トロンビン-アンチトロンビンIII複合体、フィブリノペプチドA、フィブリン分解産物、D-二量体、活性化プロテインC-耐性、因子VIIcおよびVIIa、トロンビン、血清アミロイドA、血管吸着分子(vascular adhesion molecules)および冠状動脈カルシウム(coronary calcium)があげられる。好ましくは、第2マーカーが、ホモセリンまたはC-反応性タンパク質から選択される。
【0043】
より好ましくは、本発明の分析方法は、さらに、患者から採取したサンプルにおけるC-反応性タンパク質(CRP)濃度を評価する工程を付加的に含む。CRP濃度は、前記カルプロテクチン分析と同時または順次に評価することが好ましい。
【0044】
CRP測定は、標準免疫分析技術(例えば、ELISA、RIA等)を用いて行うことができ、または、NycoCard(商品名:米国オハイオ州Axis-Shield PoCから入手可能)により測定できる。
【0045】
1.75mg/L以上のCRP濃度に加えて、0.75mg/L以上の血清または血漿におけるカルプロテクチン濃度は、一般的に、CVD潜在しまたはCVD傾向の非常に強い指標となる。好ましくは、上記濃度の存在は、カルプロテクチンまたはCRP濃度のみよりも、CVD潜在性またはCVD傾向のより強い指標となる。
【0046】
このように、分析がCVD潜在性またはCVD傾向の予測を支持できるよりも大きい閾値は、一般に、それぞれ0.32〜0.77mg/L、1.70mg/Lであり、好ましくは約0.67mg/Lおよび1.75mg/Lであり、より好ましくは約0.70mg/Lおよび2.00mg/Lであり、特に好ましくは約0.76mg/Lおよび2.25mg/Lである。分析がCVD潜在性またはCVD傾向の予測を支持できるよりも大きな閾値は、0.30〜0.50mg/Lの範囲および0.75mg/Lであることが好ましく、より好ましくは0.32〜0.47mg/Lの範囲および0.75mg/Lであり、例えば、約0.45mg/Lおよび0.75mg/Lである。
【0047】
さらなる形態において、本発明は、本発明の方法に使用するための分析キットを提供し、前記キットは、試薬、分析方法を実行してその結果を解説するための取扱い説明書、および、任意にカルプロテクチン含有レファレンスサンプル、任意に検出器を含む。前記分析キットは、さらに、CRP濃度を測定するための試薬および取扱い説明書を含むことが好ましい。
【0048】
キットの使用説明書は、例えば、ラベル形式、マニュアル、または指示リーフレットでもよいが、これらは、かわりにコンピュータープログラムまたはコンピューターディスクのようなデータ媒体の形態であってもよい。
【0049】
前記検出器を有する場合、一般的に、スペクトロメーター、核放射線検出器、散乱光検出器等のレポーター種を検出できるものである。
【0050】
前記試薬は、カルプロテクチン測定に適当な試薬があげられ、前記適当な試薬は、ここであげられたEurospitalおよびNycoCard (商品名;ノルウェー、オスローのAxis Shield ASAより入手可能)のような入手できるカルプロテクチンテストに関連する文献で明記されている。米国特許4,833,074に記載されている試薬も適当である。
【0051】
本発明のカルプロテクチン濃度評価の特に好ましい分析方法は、粒子を使用したイムノアッセイである。これは、カルプロテクチン濃度の比濁測定に基づく感度に優れた技術である。分析により得られる感度は、相対的に低濃度である体液(例えば、血清または血漿)サンプルに対して、高精度での検出を可能とする。同時に、相対的に高濃度のカルプロテクチンも、また正確に測定可能である。
【0052】
比濁測定は、分析において固体表面が、物理的分離、および大量の洗浄を必要とせず、および/または分離工程を必要としないという有利な点を有する。先行技術(例えば、ELISA)と比較して、カルプロテクチンの均質比濁測定は、迅速且つ簡便に行うことができ、また、例えば、自動化してもよい。例えば、固体表面に関わる非均質技術の自動化と比較して、比濁測定に基づく分析の自動化は、相対的に簡単である。また、結果的に自動化された均質プロセスは、例えば、壊れるというような傾向がなく、信頼できる。
【0053】
自動化比濁分析は、迅速で、サンプルの高スループットが可能であり、相対的に安価に稼動できる。一般的に、商業的に入手可能なロボット、例えば、Cobas Mira または Hitachi 711等を用いて行うことができ、それらは両方ともRoche Diagnosticsから入手可能である。このような自動化分析は、特に、CVD潜在性または傾向を個々でルーチンに試験する際に有用である。
【0054】
カルプロテクチン濃度の比濁測定において、カルプロテクチン含有サンプルは、一般的に体液、例えば、尿、髄液、唾液、間接液、鼻腔液(empyema fluid)があげられ、より好ましくは血液または血液由来のサンプルである。このような場合、分析に使用するサンプルは、好ましくはセルフリーである(例えば、血清または血漿)。
【0055】
このように、サンプルには、セルおよび/または分析しないサンプル成分を除去する処理を行うことが好ましい。また、サンプルには、濃縮または希釈する処理を施してもよく、また、カルプロテクチンを分離媒体(例えば、固体基板)に移してもよい。例えば、サンプルは、水、緩衝液または水性溶媒の添加により希釈してもよい。また、サンプル、特に血清または血漿サンプルは、直接使用することが好ましい。
【0056】
サンプルは、分析方法での使用に先立って、任意にカルシウムまたはカルシウム擬態で処理される。カルシウムまたはカルシウム擬態は、Ca2+イオン(例えば、CaCl2)を与える形態である。カルシウムを使用する場合、カルプロテクチンのカルシウム結合部位を飽和させるために、充分なカルシウムまたはカルシウム擬態をサンプルに添加することが好ましい。例えば、カルシウムを10モル過剰に添加し、好ましくは5モル過剰にまたは特に好ましくは3モル過剰に添加する。
【0057】
カルプロテクチン濃度の比濁測定に対して、不透明化(opacity)は、一般的に、カルプロテクチン含有サンプル、またはその分取を、抗カルプロテクチン抗体、抗体断片または抗カルプロテクチン抗体の混合物(例えば、モノクローナル抗体の混合物)と接触させることにより発生する。商業的にNorwegian Antibodies ASより入手できる卵ポリクローナル抗ヒトカルプロテクチン抗体は、例えば、不透明化の発生に使用される。例えば、抗体作製の慣用技術により得られた抗カルプロテクチン抗体は、本発明の方法に使用できる。
【0058】
カルプロテクチン濃度の比濁測定に使用する抗体または抗体断片は、溶離液に存在する他の血液タンパク質との交差反応を示さない、もしくはわずかにしか示さないものが好ましい。付着効果の結果として不透明が生じ、これにより多重のカルプロテクチン結合が不透明中心を発生するため、使用する抗体または抗体断片の量は、もちろん、カルプロテクチン含有標準サンプルに対して最適化すべきである。上述のようにカルプロテクチンは、多数の抗体結合部位を有しており、また、このような分析において測定に特に適している。
【0059】
好ましい一実施形態において、抗カルプロテクチン抗体または抗体断片は、結合または共役によって、直接または間接的に、固定化に通常使用されている公知の固体支持体またはマトリックスに固定化されてもよい。前記固体支持体またはマトリックスは、粒子形態であることが好ましく、より好ましくはナノ粒子である。前記固体支持体は、ガラス、シリカ、ラテックス、金属(例えば、金)またはポリマー材料(ポリエチレン)等が便利である。前記固体支持体は、ポリエチレンのようなポリマー材料製であることが好ましい。
【0060】
抗カルプロテクチン抗体または抗体断片の結合または固定化は、慣用技術を用いて行うことができる。例えば、アビジン(Pierce Chemical Companyから入手可能)は、緩衝液中における攪拌(例えば、室温24時間)によって、クロロメチル活性ポリスチレンナノ粒子(米国Interfacial Dynamic Corporationより入手可能) に固定化でき、それから、ビオチン標識抗カルプロテクチン抗体(技術分野の従来技術に従って調製)との結合により使用できる。このように、例えば、CVD潜在性または傾向を検査する患者から採取した血漿は、分光光度計の石英容器内でアビジンで被覆されたナノ粒子の溶液に添加され、続いて、ビオチン標識化抗カルプロテクチン抗体を添加する。それから濁度の読み取りを行う。
【0061】
また、ビオチン標識化抗体は、血漿または血清の添加に先立って添加してもよい。換言すると、比濁検出に使用する機器に関わらず、同じ試薬が一般的に使用されるが、いくつかの試薬を添加する正確な順序は、変えることができる。一般に、使用される順序は、使用する分光光度計に添付されている説明書に従うべきである(例えば、Shimadzu UV-160 分光光度計)。
【0062】
濁度の読み取りを行い(例えば、適した波長における光吸収を規則正しい間隔で測定する)、リファレンスと相対的な光吸収が決定される。随意、複数波長器が、濁度表示に使用され、より正確な結果が提供される。濁度読み取りを行うための適切な機器は、Cobas Mira、Roche Integra およびMerck's Turbiquantを含む。
【0063】
他の実験構成において、抗カルプロテクチン抗体または抗体断片は、直接、クロロメチル活性化ナノ粒子(米国Interfacial Dynamic Corporationより入手可能)に固定化されてもよい。例えば、抗カルプロテクチン抗体(例えば、卵ポリクローナル抗体はNorwegian Antibodies ASより入手可能)は、上述の活性化粒子と緩衝液中(10mMホウ酸、15mM塩化ナトリウム、pH9.0)で混合され、抗カルプロテクチン抗体被覆ナノ粒子を形成するために攪拌する(例えば、室温で24時間)。このようなナノ粒子は、CVD潜在性またはCVD傾向を検査する患者から採取した緩衝液中の血漿または血清サンプルに、それらを添加し、カイネティックモードでの濁度表示によるカルプロテクチン濃度の比濁測定に使用できる。
【0064】
また、血漿または血清が抗カルプロテクチン抗体被覆ナノ粒子に添加されてもよい。換言すると、濁度検出に使用される機器にかかわらず一般的に同じ試薬が使用されるが、添加される様々な試薬の正確な順序は変えてもよい。一般的に、使用する順序は、使用する分光光度計に伴う説明書に従うべきである(例えば、Shimadzu UV-160 分光光度計)。
【0065】
本発明の分析方法に従った濁度表示に適した自動化装置の例は、Cobas MiraおよびHitachi 711であり、両方ともRoche Diagnosticsより入手可能である。
【0066】
抗体または抗体断片と結合する粒子は、一般的に球形である。分析に使用する粒子サイズは、カルプロテクチン濃度の測定精度に影響する。より大きな粒子は、低濃度カルプロテクチンの検出を可能とするが、それらの小さい表面領域は、それらが低い結合キャパシティーであることを意味する。例えば、粒子直径を二倍にすると、粒子の1質量単位の結合キャパシティーが半減する。
【0067】
さらに、粒子直径の増加は、このような分析に一般的に使用される波長(例えば、330〜600nm)におけるバックグラウンド光吸収ならびに光懸濁のレベルを増加する。このようなより大きな粒子は、分析感度を増加するが、これは、精度のロスを伴い、特に、擬陰性結果の増加となる。これは特に、相対的に高濃度カルプロテクチンを含むサンプルの症例らしく(例えば、CVD潜在性や傾向が高い個体から得られたサンプル)、前記ナノ粒子が結合した結合部位は、全てのカルプロテクチンが結合することなく飽和する。
【0068】
粒径変化に関連するこれらのカウンター作用効果(例えば、粒径増加は、感度を増加するが精度を減少する)は、体液に存在するカルプロテクチンレベルの範囲を検出するための感度分析の発展において、解消される重要な問題を表す。
【0069】
また、本発明の分析方法において、使用する粒子は、広範囲のカルプロテクチン濃度に対して、正確な測定を可能にすることが好ましい。これは、高レベルの信頼性が、陽性結果と同様に、陰性結果(例えば、閾値以下となる濃度)の両方のものであるとすることができる。特に、本発明の分析方法において、カルプロテクチン濃度が、0.5〜50mg/Lの範囲(例えば、1〜40mg/L)であるサンプルを測定することが好ましい。
【0070】
抗体または抗体断片に結合する粒子は、一般的に、直径1〜150nm、例えば、10〜90nmまたは15〜60nm、例えば、44nmの球形である。特に好ましい本発明の分析方法において、抗体または抗体断片に結合する粒子は、直径55〜140nm、より好ましくは65〜110nm、例えば、70〜90nmである。
【0071】
また、粒子の直径は、抗体または抗体断片がそれらの表面に結合しても、測定できる。この場合、抗体または抗体断片で被覆された粒子の直径は、好ましくは65〜140nmであり、より好ましくは75〜120nmであり、さらに好ましくは80〜100nmである。これらのサイズの被覆粒子は、特に、試験サンプルが血漿の場合に好ましい。
【0072】
非被覆状態および被覆状態の両方において、粒子は、それ自体が分光光度計検出に使用する光波長を吸収できない直径であることが好ましい。このように、被覆されたナノ粒子の懸濁液は、凝集形成に誘導されたカルプロテクチンが結果として大きな直径を有する凝集形成を生じるまで、ほぼ(例えば、概ね)透明である。このような凝集体は、分光硬度計により使用される光波長の吸収能を有する。
【0073】
さらに、粒子は、全て概ね同じサイズであることが好ましく、より好ましくは全て同じ直径である。好ましくは、単一分散金属(例えば、金)またはポリマー粒子が使用される。単一分散ポリマー粒子は、Dynal Biotech AS(ノルウェー、オルソー)より入手可能である。
【0074】
理論上結合させることは望まないが、固定化された抗体または抗体断片の使用は、不透明の発生部位が誘導されたカルプロテクチンのサイズを増加することによって、分析感度を増加し、このため、そこから光量が分散される。固体支持体または概ね全てが同じサイズであるマトリックス(例えば、ナノ粒子)を使用することにより、比濁分析の感度は、さらに増加する。
【0075】
比濁分析におけるルーチンとして、ポリエチレングリコールのようなポリマー不透明化エンハンサーは、溶離液に添加することが好ましい。
【0076】
比濁測定を行う前、分画、抗体または抗体断片(好ましくはナノ粒子に結合した)、および任意のエンハンサーは、短い時間室温でインキュベートでき、例えば、5分から1時間、好ましくは約10分である。任意に、比濁技術を用いたカルプロテクチン濃度の測定において、速度表示(kinetic reading)を使用してもよい。
【0077】
混濁の測定に使用する光は、適切な波長、例えば、300〜600nmである。これに関して、300〜450nmフィルター、好ましくは340nmまたは405nmフィルターの使用が、特に良い結果を提供することがわかった。560nmフィルターは、特に良い結果を得ることができる。
【0078】
一般に、サンプルに加えて、評価の際、カルプロテクチン既知含量のキャリブレーションサンプルが、分析方法の実行において評価される。このような測定は、評価の際、決定したサンプルのカルプロテクチン含量から検量線にプロットすることにより行える。5000mg/L(例えば、1500、1000、750、250、100)まで、または100mg/L(例えば、75、50、25、5、1.0および0.5mg/L)までのカルプロテクチン含量キャリブレーションサンプルを使用することが好ましい。より好ましくは、10mg/L(例えば、10、8、6、4、2mg/L)まで、さらに好ましくは5mg/L(5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1、0.5mg/L)までのカルプロテクチン含量の検量サンプルである。
【0079】
前述のようなカルプロテクチン測定のための比濁分析は、驚くほど正確、迅速、安価、容易で、自動化し易い。これは、比較的複雑で、一般的に診断のラボで使用されている自動化マルチタスク診断装置に直接適用できない現在利用可能な分析方法と対照的である。
【0080】
自動化は、特に、多数の混合、添加および/または希釈工程を含む場合に、高い精度が達成されることから望ましい。自動装置(ロボット)も、高い信頼性および/または再現性を提供できる。自動化は、処理量を増加できる。
【0081】
しかしながら、適度な精度レベルを提供できる現在利用可能な分析方法(例えば、ELISA)は、自動化が困難である。これは、少なくともある程度、一般的に多数の洗浄および分離工程(例えば、固体表面への結合)を含み、同一でないプロセスがしばしば問題となるためである。また、これらのプロセスは、一般的に、自動化プロトコールの複雑さを増加する比較的多数のステップを含む。カルプロテクチン測定の他の従来技術(例えば、比濁法)は、高い精度を提供するが、必要な測定を実行するために特別な装置を必要とする。特別な装置は、一般的に自動化プロトコールに組み込むことが容易ではない。
【0082】
確かに、診断技術に使用するため、安価、信頼性、迅速性および容易性なカルプロテクチン分析が、継続的に必要とされている。
【0083】
このように、さらなる態様によると、本発明は、カルプロテクチン含有体液におけるカルプロテクチンを測定するための分析方法を提供し、前記方法は以下の工程を含む。
(a) 流動体または前記流動体由来のカルプロテクチン含有液体サンプルを得る工程、
(b) 前記体液の前記サンプルに、任意にナノ粒子結合した、抗カルプロテクチン抗体または抗体断片を接触させて、前記カルプロテクチンを結合させる工程、
(c) 任意に、不透明化エンハンサーを添加する工程、
(d) 濁度によりカルプロテクチン含量を評価する工程。
【0084】
このような分析は、カルプロテクチンの異常レベル(例えば、高レベル)により特徴付けられる様々な疾患状態の診断に有効である。このような疾患状態は、リュウマチ疾患(例えば、慢性関節リュウマチ、若年性関節リュウマチ、全身エリテマトーデス)、シェーグレン症候群、眼内炎症、嚢胞性繊維症、急性および慢性肺疾患、肺腫(鱗状細胞)、肺癌、結直腸癌、炎症性腸疾患、胃癌、 結腸直腸腺腫または癌、クローン病、潰瘍性大腸炎、胃腸粘膜炎症、尿結石、アルコール性肝疾患、経口炎症粘膜疾患(oral inflammatory mucosal disease)、CNS炎症疾患(例えば、多発性硬化症および急性脳炎)、HIV感染、HIV感染患者における二次CNS感染、尿管感染症、膀胱炎、腎盂腎炎、内因性後部ブドウ膜炎(endogenous posterior uveitis)、血液疾患(例えば、白血病)、発熱(febrile conditions:感染および非感染)、急性心筋梗塞およびアフェレーシス(apheresis)を含む。
【0085】
さらなる形態から、本発明は、上述のような疾患の診断方法を提供し、この方法は、前述した方法を含み、続いて、予め測定した閾値と、前記カルプロテクチン含量とを比較する。特定の疾患状態を示す前記閾値は、技術分野で公知の従来方法により測定できる。好ましくは、前記方法は、CVD診断に使用される方法である。
【0086】
比濁分析方法において使用される体サンプルは、カルプロテクチン含有サンプルがあげられ、例えば、体液もしくは組織サンプル、または懸濁液等である。好ましくは、前記サンプルは、体液であり、例えば、尿、髄液、唾液、関節液(synovial fluid)または鼻腔液(empyema fluid)、より好ましくは、血液または血液由来サンプルである。この場合(例えば、血液または血液由来由来サンプル)、分析に使用するサンプルは、好ましくはセルフリー(例えば、血清または血漿)である。この他に便も使用できる。
【0087】
体液は、診断される疾患に最も感受性を示すものから選択されることが好ましい。このように血液、血清または血漿は、感染(例えば、HIV、細菌感染)、リュウマチ疾患、白血病等の診断に検査されるが、便は、消化管と関係する疾患の診断において検査される(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、結腸直腸癌)。
【0088】
さらなる形態から、本発明は、本発明の診断比濁分析のキットを提供し、前記キットは、好ましくは、既知濃度のカルプロテクチン溶液、より好ましくはカルプロテクチン濃度範囲を有する溶液セット;1以上の抗カルプロテクチン抗体または抗体断片(任意に抗体支持体(例えば、ナノ粒子)に固定化された);好ましくは、光透過性溶液;好ましくは不透明化エンハンサー;および好ましくは検出器を含む。自動化装置を望む場合は、カルプロテクチン含有体液サンプルを受け、抗カルプロテクチン抗体または抗体断片(任意に、固体支持体(例えば、ナノ粒子)に固定化された)をアプライし、任意に不透明化エンハンサーをアプライし、カルプロテクチン含量を評価すように構成する。このような機器は、本発明の範囲内であるとみなされる。本発明について、限定されない実施例およびそれに付随する図面に従い、参照と共にさらに記載する。
【実施例】
【0089】
図1は、200人の試験患者におけるカルプロテクチンの分布曲線である。図1の要約統計は、以下のとおりである。
Anderson-Darling Normality Test
A2: 8.160
P-value: 0.000
平均 0.403
標準偏差 0.238
分散(Variance) 0.057
歪度(Skewness) 1.679
尖度(Kurtosis) 3.302
N 199
極小 0.070
1st 四分位(Quartile)0.240
中央値 0.340
3rd 四分位(Quartile)0.500
極大 1.370
95 % confidence limit for Mu 0.370
0.436
95 % confidence limit for Sigma 0.217
0.264
95 % confidence limit for Median 0.310
0.370
【0090】
図2は、200人の試験患者におけるカルシウムの分布曲線である。図2の要約統計は以下のとおりである。
Anderson-Darling Normality Test
A2: 25.037
P-value: 0.000
平均 217.060
標準偏差 399.000
分散(Variance) 159201
歪度(Skewness) 3.462
尖度(Kurtosis) 15.341
N 200
極小 0.00
1st 四分位(Quartile)0.00
中央値 78.00
3rd 四分位(Quartile)259.25
極大 2794.00
95 % confidence limit for Mu 161.42
272.70
95 % confidence limit for Sigma 363.35
442.46
95 % confidence limit for Median 0.00
117.33
【0091】
図3は、200人の試験患者におけるhsCRPの分布曲線である。図3の要約統計は以下のとおりである。
Anderson-Darling Normality Test
A2: 21.221
P-value: 0.000
平均 2.331
標準偏差 2.970
分散(Variance) 8.819
歪度(Skewness) 2.243
尖度(Kurtosis) 5.103
N 197
極小 0.150
1st 四分位(Quartile)0.540
中央値 1.150
3rd 四分位(Quartile)2.580
極大 16.30
95 % confidence limit for Mu 1.913
2.748
95 % confidence limit for Sigma 2.703
3.296
95 % confidence limit for Median 0.933
1.375
【0092】
図4は、200人の試験患者におけるホモシステインの分布曲線である。図4の要約統計は以下のとおりである。
Anderson-Darling Normality Test
A2: 2.535
P-value: 0.000
平均 8.391
標準偏差 1.966
分散(Variance) 3.867
歪度(Skewness) 0.875
尖度(Kurtosis) 0.730
N 199
極小 5.100
1st 四分位(Quartile)7.100
中央値 8.100
3rd 四分位(Quartile)9.600
極大 15.300
95 % confidence limit for Mu 8.117
8.666
95 % confidence limit for Sigma 1.790
2.181
95 % confidence limit for Median 7.620
8.400
【0093】
図5は、カルシウム陽性結果とカルシウム陰性結果との間におけるカルプロテクチン分布のドットプロットであり、図6および7は、全200人の試験患者、および、男性患者についての、カルプロテクチンおよびhsCRPのROC曲線である。
【0094】
実施例1:抗カルプロテクチン抗体
(a) カルプロテクチンの単離
カルプロテクチンは、米国特許4,833,074号(Fagerhol)の実施例1および2に記載された方法にしたがって単離できる。
【0095】
カルプロテクチンは、ヒト軟膜(buffy coats)からも精製できる。2.5 mM EDTAの細胞懸濁液は、EDTA (50 mM, pH 7)を細胞に添加することによって調製できる。それから細胞を160 mM 塩化アンモニウム/10 mM 炭酸水素ナトリウム溶液で3分間洗浄し、4℃で10分間遠心分離する (160 xg)。得られたペレットをEDTA (2.5 mM)/NaCl (150 mM)で洗浄し、さらに4℃で10分間遠心分離する (55 xg)。そして、前記ペレットを0.625 mM EDTA/18.75 mM Diemal(pH 7.4)に再度懸濁し、−70℃で少なくとも24時間凍結させる。
【0096】
続いて解凍し、得られた材料を30分間遠心分離(3700 xg)し、それから上清を除去し、ろ過して(ミリポアより0.45μmフィルターが入手可能)、それからDEAE (ジエチルアミノエチル) Sepharose イオン交換カラム (ファルマシアより入手可能)に供し、結合緩衝液 (例えば、0.63 mM EDTA/18.75 mM Diemal, pH 7.4)を用いて予備調製する。非結合物質は、カラムを通過して溶出される。非結合物質を全てカラムから溶出させてから、純粋なカルプロテクチンをカルシウム含有溶出緩衝液(例えば、75 mM Diemal緩衝剤/l0 mM CaC12)を用いて溶出させる。軟膜あたり約25 mgのカルプロテクチンが得られる。
【0097】
(b) 抗カルプロテクチン抗体の調製
抗カルプロテクチン抗体は、米国特許4,833,074 (Fagerhol)の実施例3に開示された方法に従って調製できる。
【0098】
鶏卵ポリクローナルも調製できる。カルプロテクチン(0.5 mg/ml)およびフロイントアジュバントを含む溶液を、14日ごとに4回(または2ヶ月間)、鶏に注入し、それから、1ヶ月ごとに1回注入する。12週間後、カルプロテクチンを注入した鶏の卵を回収し、それらの卵黄を除いた(薄膜なし)。続いて、HCl(5 mM)に希釈し、卵黄を遠心分離し、上清を回収する。それから、上清をろ過し、終濃度が 3.8 Mとなるように、飽和硫酸アンモニウムで処理する。混合物を遠心分離し、形成された沈殿物を回収し、緩衝液(0.11 M 酢酸ナトリウム、0.15 M NaCl、pH 7.4)に溶解する。得られた溶液を、孔径が10,000 kDである膜で最終的に透析し、アフィニティークロマトグラフィーで精製する。
【0099】
アフィニティークロマトグラフィーに使用する一般的なカラムは、カルプロテクチンの非流動化に適した、スクシンイミドで活性化されたセファロース(Amersham-PharmaciaよりHiTrap NHS が入手可能)を含む。活性化樹脂が、pH7.8で自発的にカルプロテクチンの遊離アミンと反応することが好ましい。クロマトグラフィーのために、透析液は、カラムに供する前に、通常、PBS中で約3mg/mlの濃度に希釈される。抗カルプロテクチン抗体は、その後、3M尿素を含む氷冷したPBSまたは0.1Mクエン酸ナトリウム溶液(pH3.0)で溶出する。好ましくは、0.1Mクエン酸ナトリウム溶液が使用される。溶出に続いて、抗カルプロテクチン抗体を含有する画分を、直ちに希釈し、PBSで透析する。
【0100】
実施例2:カルプロテクチンの比濁分析
(a) アビジン被覆ナノ粒子の調製
600 μmの4.2% w/v クロロメチル活性化ナノ粒子(直径44 nm:米国 Interfacial Dynamic Corporationより入手)を、10,000kDの孔径である膜を用いて、水で透析する。ホウ酸(10 mM) と塩化ナトリウム(15 mM) の溶液0.5 ml(pH 9.0)を添加して混合する。10 mM ホウ酸と15 mM NaClとの溶液0.5 ml(pH 9)(Pierce Chemical Companyより入手)に10mgアビジンを溶解し、これを添加し、混合物を室温で24時間攪拌する。それから40μl のグリシン溶液 (2M, pH 9.0) を添加し、混合物をさらに室温で4時間攪拌する。
【0101】
それから、粒子を100ml体積に希釈し、Pellicon XL Filter (300,000を除外)およびラボスケールTTF System (Milliporeより入手)を用いて、器具の提供メーカーから提供される説明書にしたがって、第1に10 mM ホウ酸と15 mM 塩化ナトリウムの溶液500ml(pH9.0)で、第2に25 mM トリス、150 mM 塩化ナトリウムおよび0.01% Tween 20 の溶液(pH7.4)(米国Sigmaより入手)でダイアフィルトレーションを行う。アビジン被覆ナノ粒子の所望の濃度は、最終的に、遠心分離および粒子の25 mM TRIS、150 mM 塩化ナトリウムおよび0.01% Tween 20 溶液への再懸濁によって得られる。この調製工程において形成された凝集体は、遅い遠心分離によって除去してもよい。
【0102】
(b) アビジン被膜ナノ粒子を用いたカルプロテクチン分析
1mlあたり上述のアビジン被覆ナノ粒子の粒子が約0.30mg濃度である懸濁液を、遠心分離により調製し、再度、25 mM TRIS、 150 mM NaCl、 0.1% Tween 20(商品名) および2 % PEG 6000 溶液(pH 7.4) (Sigmaより入手)に再度懸濁する。粒子懸濁液500 μlを、記録分光光度計(Shimadzu UV-160)の石英セル内で、CVD傾向を検査する患者から採取した血漿サンプル(約 20 μl)に混合する。340 nmの単色光の吸収を記録し、60秒後、ビオチンでラベルした抗カルプロテクチン抗体75 μg(例えば、ビオチンラベル化アフィニティー精製卵ポリクローナルは、ノルウェーのNorwegian Antibodies ASより購入)を25 mM TRIS、150 mM NaClおよび0.1% Tween 20(商品名)溶液(pH 7.4 )50μlで希釈したものを、前記石英セルに添加して、混合する。340 nm単色光の吸収は、25 mM TRIS、150 mM NaCl および 0.1% Tween 20(商品名)(pH 7.4)溶液を含む参照セルを用いて迅速に測定し、再度、約15分経過するまで規則的な間隔(例えば、2分ごと)で測定する。時間ごとの吸収の増加は、標準的なカイネティックモードでの濁度表示またはエンドポイント(終点)の表示にしたがって算出する。各時間の光吸収の増加は、抗体被覆ナノ粒子の添加に先立つ測定値および/または測定終了時の測定値との相対関係が算出される。
【0103】
検量線は、カルプロテクチンが既知濃度である標準について同一の方法を行うことにより作成する。それから、サンプル内のカルプロテクチン濃度は、検量線から算出される。
【0104】
実施例3:カルプロテクチンの他の比濁分析
(a) 抗カルプロテクチン抗体被覆ナノ粒子の調製
4.2 % w/v クロロメチル活性化ナノ粒子(直径44 nm)(米国Interfacial Dynamic Corporationより入手)1 mlを、孔径が10,000kDの膜を用いて、水で透析する。 それから、10 mM ホウ酸および15 mM 塩化ナトリウム溶液 (pH 9.0)0.5mlを添加する。精製抗カルプロテクチン抗体(例えば、アフィニティー精製された卵ポリクローナル抗体は、ノルウェーNorwegian Antibodies ASより入手) 27mgを10 mM ホウ酸および15 mM 塩化ナトリウム溶液(pH 9.0)で透析する。
【0105】
前記ナノ粒子を精製抗カルプロテクチン抗体に添加してから、混合物を室温で24時間攪拌する。それから、グリシン溶液(2 M 、pH 9.0)40μl を添加し、混合物をさらに室温で4時間攪拌する。
【0106】
それから粒子を全量100mlに希釈し、Pellicon XL Filter (300,000を除く)およびラボスケールTTF System (Milliporeより入手)を用いて、器具の提供メーカーから提供された説明書にしたがって、 0.1% Tween 20(商品名)および 3 mg/ml 卵アルブミンが添加された10mM ホウ酸および 15 mM 塩化ナトリウム溶液(pH 9.0)1000mlに対してダイアフィルトレーションを行う。抗カルプロテクチン抗体被覆ナノ粒子の所望の濃度は、最終的に、遠心分離および粒子の溶液への再懸濁によって得られる。この調製工程において形成された凝集体は、遅い遠心分離によって除去してもよい。
【0107】
(b) 抗カルプロテクチン抗体被覆ナノ粒子を用いたカルプロテクチン分析
上述の抗体被覆ナノ粒子400gを含む10 mM ホウ酸、15 mM NaCl、0.1% Tween 20(商品名)、 3 g/l 卵アルブミン溶液(pH 9.0) 50mlの懸濁液を調製する。
【0108】
同時に、分析緩衝液500μl(25 mM TRIS、150 mM NaCl、0.1 % Tween 20(商品名) および2% PEG 6000 、pH 7.4、Sigmaより入手)中の、CVD潜在性を検査する患者から採取した血漿サンプル(約20μl)を、記録分光光度計(例えば、Shimadzu UV-160)の石英セルに入れ、340nm単色光の光吸収を測定する。60秒後、抗体被覆ナノ粒子400μgを添加し、セル内で混合する。光吸収を、抗体被覆ナノ粒子の添加後、迅速に測定し、再度、約15分経過するまで規則的な間隔(例えば、2分ごと)で測定する。各時間の光吸収の増加は、抗体被覆ナノ粒子の添加に先立つ測定値および/または測定終表示またはエンドポイント表示がなされる。
【0109】
検量線は、カルプロテクチンが既知濃度である標準について同一の方法を行うことにより作成する。それから、サンプル内のカルプロテクチン濃度は、検量線から算出される。
【0110】
実施例4:カルプロテクチンの比濁分析
(a) ストレプトアビジン被覆ナノ粒子の調製
4.2 % w/v クロロメチル活性化ナノ粒子(直径67 nm)(米国Interfacial Dynamic Corporationより入手)600μmを、孔径が10,000 kDの膜を用いて、水で透析する。 それから、10 mM リン酸および15 mM 塩化ナトリウム緩衝液(pH7.4)0.5mlを、10mMリン酸および150mMNaCl緩衝液(pH7.4)(Pierce Chemical Companyより入手)に溶解した10mgストレプトアビジンとともに添加し、混合液を室温で24時間攪拌する。それから、グリシン溶液(2 M 、pH 9.0)40μl を添加し、混合物をさらに室温で4時間攪拌する。
【0111】
それから粒子を全量100mlに希釈し、Pellicon XL Filter (300,000を除く)およびラボスケールTTF System (Milliporeより入手)を用いて、器具の提供メーカーから提供された説明書にしたがって、第1に10mMホウ酸と15mM塩化ナトリウムの溶液500ml(pH9.0)で、第2に25mMトリス、150mM塩化ナトリウムおよび0.01%Tween20(商品名)の溶液(pH7.4)(米国Sigmaより入手)でダイアフィルトレーションを行う。アビジン被覆ナノ粒子の所望の濃度は、最終的に、遠心分離および粒子の25 mM TRIS、150 mM 塩化ナトリウムおよび0.01% Tween 20(商品名) 溶液への再懸濁によって得られる。この調製工程において形成された凝集体は、遅い遠心分離によって除去してもよい。
【0112】
ストレプトアビジン被覆ナノ粒子の平均粒子サイズは、Sinteff AS( Norway)により82nmと測定された。
【0113】
(b) ストレプトアビジン被覆ナノ粒子を用いたカルプロテクチン分析
1mlあたり上述のアビジン被覆ナノ粒子の粒子が0.60mg濃度である懸濁液を、遠心分離により調製し、再度、25 mM TRIS、 150 mM NaCl、 0.1% Tween 20(商品名) および1 % PEG 6000 溶液(pH 7.4) (Sigmaより入手)に再度懸濁する。粒子懸濁液500μlを、記録分光光度計(例えば、Shimadzu UV-160)の測定石英セル内で、CVD傾向を検査する患者から採取した血漿サンプル(約5μl)に混合する。560nm単色光の吸収を記録し、60秒後、0.15nmolビオチンでラベルした抗カルプロテクチン抗体75μg(例えば、ビオチンラベル化アフィニティー精製卵ポリクローナルは、ノルウェーのNorwegian Antibodies ASより購入)を25 mM TRIS、150 mM NaClおよび0.1% Tween 20 (商品名)溶液(pH 7.4 )50μlで希釈したものを、前記石英セルに添加して、混合する。単340nm色光の吸収は、25 mM TRIS、150 mM NaCl および 0.1% Tween 20(商品名)(pH 7.4)を含むリファレンスセルを用いて迅速に測定し、再度、約15分経過するまで規則的な間隔(例えば、2分ごと)で測定する。各時間の吸収の増加は、カイネティックモードでの濁度表示もしくはエンドポイント表示にしたがって算出する。各時間の光吸収の増加は、抗体被覆ナノ粒子の添加に先立つ測定値および/または測定終了時の測定値との相対関係で算出される。
【0114】
検量線は、カルプロテクチンが既知濃度である標準について同一の方法を行うことにより作成する。それから、サンプル内のカルプロテクチン濃度は、検量線から算出される。
【0115】
実施例5
(a) 抗カルプロテクチン抗体被覆ナノ粒子の調製
4.2 % w/v クロロメチル活性化ナノ粒子(平均直径67 nm)(米国Interfacial Dynamic Corporationより入手)1mlを、孔径10,000 kDの膜を用いて、水で透析する。 それから、10mlの水に希釈する。精製抗カルプロテクチン抗体(例えば、アフィニティー精製された卵ポリクローナル抗体は、ノルウェーNorwegian Antibodies ASより入手) 27mgを10 mM ホウ酸および15 mM 塩化ナトリウム緩衝液(pH 9.0).で透析し、最終的に同じ10 mM ホウ酸および15 mM 塩化ナトリウム溶液(pH 9.0)で6mlに希釈する。
【0116】
攪拌しながら、前記ナノ粒子を前記抗体と混合し、続けて室温で24時間攪拌した。それから、グリシン溶液(2 M 、pH 9.0)40μl を添加し、混合物をさらに室温で4時間攪拌する。
【0117】
それから粒子を、0.1 % Tween 20(商品名)および3mg/ml卵アルブミンを添加した10mMホウ酸、15mM塩化ナトリウムで全量100mlに希釈し、Pellicon XL Filter (300,000を除く)およびラボスケールTTF System (Milliporeより入手)を用いて、器具の提供メーカーから提供された説明書にしたがって、 0.1% Tween 20(商品名)および 3 mg/ml 卵アルブミンが添加された前記ホウ酸/塩化ナトリウム緩衝液1000mlに対してダイアフィルトレーションを行う。そして、最終的に、粒子を40〜100mlの量に濃縮する。
【0118】
前記粒子の平均直径は、ノルウェーのSinteff ASにより81nmと測定された。
【0119】
(b) 抗カルプロテクチン抗体被覆ナノ粒子を用いたカルプロテクチン分析
上述の抗体被覆ナノ粒子の懸濁液0.7 mg/ml を、0.25 mM TRIS、 0.15 M NaCl および 0.1 % Tween(pH 8.0)で調製した。.
【0120】
CVDを検査する患者から採取した血漿サンプル(約5μl)を、記録分光光度計(例えば、Shimadzu UV-160)の測定石英セル内で、分析緩衝液(460μl、25mM TRIS、150mM NaCl、0.1% Tween 、1.0% ポリエチレングリコール6000、pH = 7.4)に溶解し、560nm単色光の光吸収を測定する。60秒後、0.7mg/mlの抗体被覆ナノ粒子を含む前述の懸濁液100μlを添加し、セル内で混合する。抗体被覆ナノ粒子の添加前と、添加後迅速に光吸収を測定し、再度、約15分経過するまで規則的な間隔(例えば、20秒ごと)で測定する。各時間の光吸収の増加は、抗体被覆ナノ粒子の添加に先立つ測定値および/または測定終了時の測定値との相対関係で算出される。つまり、カイネティックモードでの濁度表示またはエンドポイント表示がなされる。
【0121】
検量線は、カルプロテクチンが既知濃度である標準について同一の方法を行うことにより作成する。それから、サンプル内のカルプロテクチン濃度は、検量線から算出される。
【0122】
実施例6:統計分析
CVD潜在性またはCVD傾向の検出のためのカルプロテクチンと他のマーカーとの比較
冠状石灰化(Coronary calcification)は、CVD発生に強く関係し、CVD潜在性(例えば、心筋梗塞(mycocardial infarction)または卒中)を予測する有益な方法を立証する。
【0123】
冠状石灰化(Coronary calcification)の程度は、電子ビーム計算断層撮影(electron-beam computed tomography) (EBCT)を用いて定量的に測定され、カルシウム値(CS)により表される。高カルシウム値は、石灰化の高いレベルおよびCVD発生の高リスクを示す。
【0124】
続く研究において、45才以上の200人の患者(100人がCS<100のコントロールであり、100人がCS>100の症例)について、カルプロテクチン、CRPおよびホモシステインの血漿レベルまたはホモシステイン血清レベルを同様にテストした。患者は、自己または医師が無症候と判断した個体であり、2年以内に、血漿または血清のカルプロテクチン、CRPおよびホモシステイン濃度をテストするためにEBCTスキャンを受けている (通常、6ヶ月以内) 。
【0125】
方法
カルプロテクチン
カルプロテクチンは、商品名Calprest test (イタリアEurospitalより購入) により測定され、データは、標準偏差、中央値、極小および極大を用いて、患者およびコントロール群について要約された。中央値に対する95%信頼性のある区間が算出された。AndersonDarling calculationが、正常性のテストとして使用された。カルプロテクチンは、同じ要約統計を用いて性別により要約した。
【0126】
カルシウム値 (CS)
カルシウム値は、ElectronBeam Computed Tomography (EBCT)スキャニングにより測定された、症例およびコントロール群のデータが要約された。
【0127】
高感受性C反応性タンパク質 (hsCRP)
hsCRPは、Dade Behringの“N High Sensitivity CRP”分析(Roberts et al., Clinical Chemistry, 2000, 46:4, p 461-468)により測定された。平均、標準偏差、中央値、最小および最大を用いて、患者およびコントロール群についてのデータが要約された。
【0128】
ホモシステイン(Hyc)
血漿ホモシステイン (Hcy)は、Abbott IMx 方法(Shipchandler, M. T. and Moore E. G., Clinical Chemistry, 1995, 41:7, p. 991-994)により測定された。標準偏差、中央値、最小および最大を用いて、患者およびコントロール群についてのデータが要約された。
【0129】
CS と、カルプロテクチン、hsCRP、Hcyとの比較
(i)カイ二乗テスト
カイ二乗テストは、マーカーのペア間における共変の試験に使用された。
【0130】
(ii)確率比(odds ratio)
2×2クロス集計(例えば、カイ二乗表)を用いた確率比は、一致しない2テストの確率に対する、共変する(co-varying)2テストの確率比である。このため、確率比は、2テスト間における関連の規模の程度として判断される。確率比は、CS対カルプロテクチン、hsCRPおよびHcyについてそれぞれ算出された。
【0131】
マーカーの中央値の比較
(i)MannWhitney テスト
これは、二つのマーカーの中央値が非常に異なる場合、テストされる非パラメーターテストである(データは、正常に分布する必要はない)。Minitabは、両方のデータセットからの全データを、最も高いものに対する、最も低い1〜200までをあげて、順番に分類する。そして、ソフトウェアは、比較する2つのグループにつてランクスコアを加え、ランダムサンプリングが、実験において観察される中間値まで離れた中間値を結果として生じる可能性を示すP値を提示する。
【0132】
カルプロテクチン、hsCRPおよびHcyの中間値は、症例およびコントロール群においてCS splitと比較され、MannWhitney test は、重要性について試験された。
【0133】
(ii) カルプロテクチンのROC曲線とカルシウム値
標準症例から疾患症例を区別するための試験能は、Receiver Operating Characteristic (ROC:受信者動作特性)曲線分析を用いて評価できる。ROC曲線分析は、カルプロテクチンとhsCRPの両方に、また、2つのマーカーの比較として、使用された。
【0134】
ROC曲線は、感度(yaxis)および 1 ?特異性(xaxis)の計算のため、11カットオフ制限(11 cut-off limits)を用いて作成された。コントロールおよび症例群のデータは、それぞれプールされ、最も低い値から最も高い値がランク付けされた。分析は、全個体群ならびに男性群において行われた。ROC曲線の面積は、台形法則を用いて計算された。
【0135】
結果
カルプロテクチンの要約統計
図1は、全200人の試験患者の分布曲線を示す。
【0136】
下記表1は、コントロール群と症例群におけるカルプロテクチンの要約統計を示す。コントロール群における中間カルプロテクチン濃度は、症例群における0.38mg/Lに比較して0.31 mg/Lである。中間カルプロテクチン濃度は、コントロール群男性が0.31mg/L、女性が0.30 mg/Lである。症例群において、男性の中間カルプロテクチン濃度は、女性が0.31mg/Lであるのに比較して、0.39 mg/Lである。
【0137】
【表1】

【0138】
カルシウム値の要約統計
図2は、全200人の試験患者の分布曲線を示す。表2は、コントロール群および症例群おけるEBCTカルシウム値の要約統計を示す。コントロール群の中央カルシウム値は、症例群の259に比較して、0である。中央カルシウム値は、コントロール群の男性女性ともにそれぞれ0であり、症例群はそれぞれ315および256である。
【0139】
【表2】

【0140】
hsCRPの要約統計
図3は、全200人の試験患者の分布曲線を示す。下記表3は、コントロール群と症例群におけるhsCRPの要約統計を示す。HsCRPの中間値は、コントロールおよびケース群ともに1.2 mg/Lである。中間hsCRPは、コントロール群の女性が1.6 mg/Lであり、男性が0.7 mg/L、症例群は、それぞれ1.3 mg/Lおよび1.1 mg/Lであった。
【0141】
【表3】

【0142】
Hcyの要約統計
図4は、全200人の試験患者の分布曲線を示す。下記表4は、コントロール群と症例群におけるHcyの要約統計を示す。Hcy濃度の中間値は、症例群が8.5 μmol/L であるのに対して、コントロール群が7.5 μmol/Lである。中間Hcy濃度は、コントロール群女性が7.15 μmol/Lであり、男性が8.55 μmol/L、症例群はそれぞれ7.35μmol/L および8.55μmol/Lである。
【0143】
【表4】

【0144】
カルシウム値と、カルプロテクチン、hsCRP、 Hcytpmとの比較
(i)カイ二乗テスト
Minitabを用いて、カイ二乗表を行った(下記表5を参照)。このテストは、データセット(仮定するランダム分布)と観察されたデータとの間で予想分布を比較する。重要な値は、ランダムに分布していないデータの程度の測定値である。例えば、カルプロテクチン陽性のデータを考察すると、カルシウム陽性と陰性との間で割れている(split)ことが予想される(両カラムにおいて予想される30.5)。しかしながら、観察されたsplitは、陰性22、陽性39であり、カルシウム陽性がカルプロテクチン陽性と共変する傾向を示す。
【0145】
Minitabは、これらの相違(一致するものとしないものとの両方)の重要性の総合的な測定を提供し、この症例においてPは0.009である。このように、カルプロテクチンとのカルシウムの重要な共変がある。
【0146】
【表5】

【0147】
同様の比較が、カルプロテクチンとhsCRPの間で行われた(下記表6参照)。
【0148】
【表6】

【0149】
(ii) 確率比
確率比は、表5および表6から誘導でき、予想されるものから観察される偏差の値がどれくらい離れているかという程度がわかる。予想される一致する数を互いに掛けあわせ、予想される不一致の値の積により割れば、1の値が得られる。
【0150】
表6の値を用いて、例えば、予想される値の確立比は1 : (88.96 X 21.96)/ (50.04 X 39.04) = 1953.64/1953.6 = 1である。
【0151】
この表からわかる確率比は、(100 X 33) / (39 X 28) = 3300/1092=3.02である。
【0152】
共変が顕著な1以上の確率比、確率比3は、重要である。
【0153】
研究から得られた共変データで実施された確率比分析の結果を、表7に示す。
【0154】
【表7】

【0155】
高い確率比は、テスト間における共変の高い程度を示す。表7から、カルプロテクチンテストが、カルシウム値に対する最も高い確率比を与えることがわかり、このため、カルプロテクチンは、カルプロテクチン、CRPおよびホモシステインの中で、カルシウム値との最も高い共変の程度を有することが推測できる。
【0156】
加えて、カルプロテクチンは、他のCVD用マーカーCRPとの高い確率比を与える。
【0157】
Minitabを用いたカイ二乗分析
確率比と同じカットオフを使用した前述のデータにおけるカイ二乗試験は、カルシウム値とカルプロテクチンの結果との間において重要な一致(P 0.009)を示す。対照的に、CRP試験とホモシステイン試験のいずれも、カルシウム値と重要な共変を示さなかった。また、重要な一致(○.○○○)は、カルプロテクチンとCRPとの間で見られた。
【0158】
中間値比較
(i)MannWhitney テスト
図5は、カルシウム陽性結果とカルシウム陰性結果との間におけるカルプロテクチン分布のドットプロットを示す。
【0159】
二つのグループの中間値は、カルシウム陰性が0.310mg/L、カルシウム陽性が0.375mg/Lである。MannWhitneyは、カルシウム陰性に対するランクのサム(sum)が、カルシウム陰性について912および1108であり、P値0.0113が得られることを提供する。
【0160】
高(CS>100)、低(CS<100)カルシウム値グループにおけるカルプロテクチン、CRPおよびホモシステイン濃度中間値の重要な増加をテストするためにMannWhitney分析が、上述のデータで実行された。結果は、カルプロテクチンとホモシステイン濃度の中間値が、高カルシウムグループにおいて顕著に増加し(それぞれP=0.0112および0.0037)、CRPは、それぞれのグループにおいて顕著な相違が見られなかったことを示す(下記表8参照)。
【0161】
【表8】

【0162】
(ii) ROC分析と曲線
図6および図7は、全患者と男性群についてのカルプロテクチンおよびhsCRPのROC曲線を示す。下記表9は、ROC曲線の面積を示す。
【0163】
【表9】

【0164】
カルシウム値に対する一致比
CVD潜在性のテストとして、表7におけるカットオフレベル(Hcy カットオフ 12μmol)でのカルプロテクチン、CRPおよびホモシステイン(Hcy)テストのそれぞれの精度が、カルシウム値>100がCVDの高いリスクを反映するとの推測を評価した。分析の結果を表10に示す。
【0165】
【表10】

【0166】
カルシウムに対するカルプロテクチンの一致比は、58.5%(42+75/200)
カルシウムに対するCRPの一致比は、50%(25+75/200)
カルシウムに対するホモシステインの一致比は、50.5%(24+77/200)
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】図1は、200人の試験患者におけるカルプロテクチンの分布曲線である。
【図2】図2は、全200人の試験患者の分布曲線を示す。
【図3】図3は、全200人の試験患者の分布曲線を示す。
【図4】図4は、200人の試験患者におけるホモシステインの分布曲線を示す。
【図5】図5は、カルシウム陽性結果とカルシウム陰性結果との間におけるカルプロテクチン分布のドットプロットを示す。
【図6】図6は、全200人の試験患者、および、男性患者についての、カルプロテクチンおよびhsCRPのROC曲線を示す。
【図7】図7は、全200人の試験患者、および、男性患者についての、カルプロテクチンおよびhsCRPのROC曲線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトもしくは非ヒト動物患者におけるCVD潜在性またはCVD傾向を検出するための分析方法であって、前記患者から採取したカルプロテクチン含有サンプルにおけるカルプロテクチン濃度を評価する工程を含む分析方法。
【請求項2】
前記サンプルが、血液、血清、血漿、尿、髄液、唾液、関節液(synovial fluid)または鼻腔液(empyema fluid)から選択される体液である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記サンプルが血液である請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記サンプルが、血清または血漿である請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
CVD潜在性またはCVD傾向を示す前記分析のカルプロテクチン限界濃度が、0.45mg/Lである請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
さらに、前記サンプルにおけるCVDに対する第2マーカー濃度を評価する工程を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2マーカーがC反応性タンパク質である請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記CVDが、急性心筋梗塞である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記カルプロテクチン濃度が比濁法により評価される請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法に使用する分析キットであり、前記キットが、試薬、および、分析方法の実行ならびに結果の解説のための指示書を含むキット。
【請求項11】
さらに、カルプロテクチン含有リファレンスサンプルを含む請求項10記載のキット。
【請求項12】
さらに検出器を含む請求項10または11記載のキット。
【請求項13】
さらに、C反応性タンパク質含有リファレンスサンプルを含む請求項10〜12のいずれか一項に記載のキット。
【請求項14】
カルプロテクチン含有体液におけるカルプロテクチン測定のための分析方法であって、前記方法が、(a)前記体液または前記体液由来のカルプロテクチン含有液体サンプルを得る工程、(b)前記体液の前記サンプルを、ナノ粒子結合抗カルプロテクチン抗体もしくは抗体断片に接触させ、前記カルプロテクチンを結合させる工程、および、(c)比濁法によりカルプロテクチン含量を評価する工程を含み、前記抗体または抗体断片でコートされたナノ粒子の直径が、65〜140nmの範囲である方法。
【請求項15】
前記抗体または抗体断片で被覆されたナノ粒子の直径が、75〜120nmの範囲である請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記ナノ粒子が、概ね全て同じサイズである(例えば、単一分散)請求項14または請求項15記載の方法。
【請求項17】
不透明化エンハンサー(opacity enhancer)が工程(b)と(c)の間に添加される請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記体液が、血液、血清、血漿、尿、髄液、唾液、関節液(synovial fluid)または鼻腔液(empyema fluid)から選択される請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
自動分析として実行される請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項14〜18のいずれか一項に記載の診断分析に使用するキットであって、ナノ粒子上に固定化された1つ以上の抗カルプロテクチン抗体または抗体断片を含むキット。
【請求項21】
さらに、既知濃度のカルプロテクチン溶液または幅のある濃度範囲のカルプロテクチン溶液のセットを含む請求項20記載のキット。
【請求項22】
さらに、光透過容器を含む、請求項20または21記載のキット。
【請求項23】
さらに、不透明化エンハンサーを含む請求項20〜22のいずれか一項に記載のキット。
【請求項24】
さらに、検出器を含む請求項20〜23のいずれか一項に記載のキット。
【請求項25】
カルプロテクチン含有体液サンプルを受け、抗カルプロテクチン抗体または抗体断が固定化されたナノ粒子を供給し、任意に不透明化エンハンサーを供給し、カルプロテクチン含量を評価するための自動装置。
【請求項26】
疾患診断の方法であって、請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法を含み、続いてカルプロテクチン含量と予め決定された閾値とを比較し、前記疾患が、リュウマチ疾患、シェーグレン症候群、眼内炎症、嚢胞性繊維症、急性および慢性肺疾患、肺腫、肺癌、結直腸癌、炎症性腸疾患、胃癌、 結腸直腸腺腫または癌、クローン病、潰瘍性大腸炎、胃腸粘膜炎症、尿結石、アルコール性肝疾患、経口炎症粘膜疾患(oral inflammatory mucosal disease)、CNS炎症疾患、HIV感染、HIV感染患者における二次CNS感染、尿管感染症、膀胱炎、腎盂腎炎、内因性後部ブドウ膜炎(endogenous posterior uveitis)、血液疾患(haematological conditions)、発熱(febrile conditions:感染および非感染)、CVD、急性心筋梗塞およびアフェレーシス(apheresis)から選択される、方法。
【請求項27】
前記疾患がCVDである請求項26記載の診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−19849(P2010−19849A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219158(P2009−219158)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【分割の表示】特願2004−561672(P2004−561672)の分割
【原出願日】平成15年12月22日(2003.12.22)
【出願人】(502301425)アクシス−シールド エイエスエイ (6)
【Fターム(参考)】