説明

CZTS系薄膜太陽電池及びその製造方法

【課題】高い光電変換効率を有するCZTS系薄膜太陽電池を提供する。
【解決手段】CZTS系薄膜太陽電池は、基板1と、基板1上に形成した金属裏面電極層2と、金属裏面電極層2上に形成したp型CZTS系光吸収層3と、p型CZTS系光吸収層3上に形成したn型透明導電膜5と、を備え、p型CZTS系光吸収層3と金属裏面電極層2との界面に、ZnS系小粒子の分散層30を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CZTS系薄膜太陽電池及びその製造方法に関し、特に、高い光電変換効率を有するCZTS系薄膜太陽電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、p型光吸収層として、一般にCZTSと呼ばれるカルコゲナイド系の化合物半導体を用いた薄膜太陽電池が注目されている。このタイプの太陽電池は、材料が比較的安価で、また太陽光に適したバンドギャップエネルギーを有するので、高効率の太陽電池を安価に製造できるとの期待がある。CZTSは、Cu,Zn,Sn,SまたはSeを含む、I2−(II−IV)−VI4族化合物半導体であり、代表的なものとして、Cu2ZnSnS4、Cu2ZnSnSe4、Cu2ZnSn(S,Se)4 等がある。
【0003】
CZTS系薄膜太陽電池は、ガラス基板上に金属の裏面電極層を形成し、その上にp型CZTS系光吸収層を形成し、さらにn型高抵抗バッファ層、n型透明導電膜を順次積層して形成される。金属の裏面電極層材料としては、モリブデン(Mo)またはチタン(Ti)、クロム(Cr)等の高耐蝕性でかつ高融点金属が用いられる。p型CZTS系光吸収層は、例えば、モリブデン(Mo)の裏面電極層を形成した基板上に、Cu−Zn−SnあるいはCu−Zn−Sn−Sのプリカーサー膜をスパッタ法や蒸着法等により形成し、これを硫化水素あるいはセレン化水素含有雰囲気中で硫化および/またはセレン化することにより、形成される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−135316号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“Fabrication of p−type ZnO Thin Films via DC Reactive Magnetron Sputtering by Using Na as the Dopant Source”L.L.Yang等、2007年2月6日、Journal of ELECTRONIC MATERIALS,Vol.36,No.4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、CZTS系薄膜太陽電池はその潜在的な可能性は高いが、現在のところ実用に耐え得る高い光電変換効率を備えた製品は得られておらず、製造技術の一層の進歩が求められている。本発明は係る点に関してなされたもので、特に、p型CZTS系光吸収層の裏面電極側でのキャリアの再結合を効果的に抑制して高い光電変換効率を実現する、新規な構造のCZTS系薄膜太陽電池及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様では、基板と、前記基板上に形成した金属裏面電極層と、前記金属裏面電極層上に形成したp型CZTS系光吸収層と、前記p型CZTS系光吸収層上に形成したn型透明導電膜と、を備え、前記p型CZTS系光吸収層と前記金属裏面電極層との界面にZnS系小粒子の分散層を有する、CZTS系薄膜太陽電池、を提供する。
【0008】
前記CZTS系薄膜太陽電池において、前記ZnS系小粒子の分散層は、前記金属裏面電極層表面を完全に被覆しなくても良い。また、前記ZnS系小粒子は、10nm〜200nmφ程度の大きさを有していても良い。
【0009】
また、前記基板を、Naを含むアルカリ含有ガラスとしても良い。さらに、前記基板と前記金属裏面電極層間に、アルカリバリア層を形成しても良い。
【0010】
また、前記ZnS系小粒子はZnS,ZnSe,ZnSSeの何れかであっても良い。さらに、前記p型CZTS系光吸収層と前記n型透明導電膜間にn型高抵抗バッファ層を備えていても良い。
【0011】
前記課題を解決するために、本発明の第2の態様では、基板上に金属裏面電極層を形成し、前記金属裏面電極層上にCu,Sn,Znを含む金属プリカーサー膜を形成し、前記金属プリカーサー膜を硫化および/またはセレン化してp型CZTS系光吸収層を形成し、前記p型CZTS系光吸収層上にn型透明導電膜を形成する、各ステップを備え、前記金属プリカーサー膜は前記金属裏面電極層側の最下層をZn、ZnとCuの混合物、ZnとVI族元素の混合物、またはZnとCuとVI族元素の混合物で形成し、前記硫化および/またはセレン化を雰囲気温度540℃〜600℃で、5分〜25分間に亘って行う、CZTS系薄膜太陽電池の製造方法を提供する。
【0012】
前記CZTS系薄膜太陽電池の製造方法において、前記基板をNa含有アルカリガラスで形成しても良い。この場合、前記基板と前記金属裏面電極層との間にアルカリバリア層を形成しても良い。
【0013】
また、前記金属プリカーサー膜を、金属裏面電極層上に先ずZnS層を堆積した後、Sn、Cuまたはこれらを含む混合物を堆積して形成しても良い。さらに、前記p型CZTS系光吸収層の形成後であって前記n型透明導電膜の形成前に、n型高抵抗バッファ層を形成しても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明のCZTS系薄膜太陽電池は、p型CZTS系光吸収層と金属裏面電極層との界面に、ZnS系小粒子の分散層を備えている。ZnS系化合物、例えばZnSは3.7eV程度,ZnSeは2.7eV程度、ZnSSeはその中間のバンドギャップを有し、これらは何れもCZTS系化合物のバンドギャップよりも大きい。このようなZnS系小粒子の分散層がp型CZTS系光吸収層の裏面に存在すると、電子に対する障壁が形成され、電子の裏面再結合速度を低下させる。これにより、電子の収集効率が向上する。一方、分散層がZnS系小粒子で形成されている限り各小粒子間に隙間が存在し、ホールはこの隙間を通って金属裏面電極層に達することができ、ホールの収集効率は低下しない。その結果、太陽電池の光電変換効率が増大する。
【0015】
ZnS系小粒子は導電型がp型であればあるほど、電子障壁としての効果を発揮する。ZnSなどのZn(VI族)系半導体はNaが添加されるとp型化することが知られている。そのため、基板にNaを含有するアルカリガラスを用いると、p型CZTS系光吸収層の裏面側からNaが供給され、ZnS系小粒子はよりp型化される。これによってより高い光電変換効率を実現できる。
【0016】
ZnS系小粒子の分散層は、金属プリカーサー膜の最下層(金属裏面電極層側)をZn、ZnとCuの混合物、ZnとVI族元素の混合物、またはZnとCuとVI族元素の混合物で形成し、金属プリカーサー膜を、雰囲気温度540℃〜600℃で5分〜25分間硫化および/またはセレン化することによって、形成される。5分〜25分の短時間硫化および/またはセレン化により、最下層に形成されたZn、ZnとCuの混合物、ZnとVI族元素の混合物、またはZnとCuとVI族元素の混合物は全てが反応してCZTS系化合物とはならず、一部がZnS系小粒子として残り、小粒子分散層を形成して、光電変換効率を増大させる。従って、本発明では、結晶系太陽電池で行われているような太陽電池材料とは異物の絶縁物パッシベーション層を設けることなく、従来の製法における工程を一部変更するのみで光電変換効率を増大させることができるので、製造コストの増加を招かない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るCZTS系薄膜太陽電池の概略構造を示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係るCZTS系薄膜太陽電池の効果を説明するための、エネルギーバンド図。
【図3】p型CZTS系光吸収層と金属裏面電極層との界面付近の組成元素の濃度分布を示すグラフ。
【図4】p型CZTS系光吸収層と金属裏面電極層との界面付近の電子顕微鏡写真およびXRD解析結果のグラフ。
【図5】本発明の一実施形態に係るCZTS系薄膜太陽電池の製造方法を説明するための概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
一般に、太陽電池における光吸収層(半導体層)と金属裏面電極層との接触界面は、ダングリングボンドおよびその他の結晶欠陥の密度が高く、キャリアの再結合速度が最も早くなる部分である。そこで、従来のシリコンウエハを材料とする結晶系太陽電池では、光吸収層と裏面電極層間に、高品質のパッシベーション膜を用いたポイントコンタクト構造を採用し、キャリアの再結合速度の低減を図っている。
【0019】
しかしながら、現状のCZTS系薄膜太陽電池では、結晶系太陽電池で採用されているポイントコンタクトの実現は難しい。結晶シリコン太陽電池に関する上記の技術をCZTS系薄膜太陽電池に応用する場合、半導体層と電極層との間に、欠陥の少ない高品質の絶縁膜(パッシベーション膜)を形成する必要があるが、このような絶縁膜を薄膜で形成する技術が確立されていないためである。今後の技術革新により実現する可能性はあるが、その場合でも製造工程が複雑化し、製造コストの増加を招く要因となる。
【0020】
そこで本発明では、絶縁膜を用いることなく、従来のポイントコンタクトと同等か或いはそれ以上のキャリア再結合抑制効果を実現可能な、新規な構造のCZTS系薄膜太陽電池及びその製造方法を提案する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態にかかるCZTS系薄膜太陽電池の概略構造を示す断面図である。なお、以下に示す図面全体では、同じ符号は同一または類似の構成要素を示すので、重複した説明は行わない。更に、各図は本発明の説明のみを目的としており、従って各層の図面上の大きさは実際の縮尺に対応するものではない。
【0022】
図1において、1はガラス基板、2はMo等の金属を材料とする裏面電極層、3はp型CZTS系光吸収層、4はn型高抵抗バッファ層、5はn型透明導電膜を示す。ここで、p型CZTS系光吸収層3は、金属裏面電極層2との界面にZnS系小粒子を材料とする分散層30を有している。なお、基板1にNaを含むアルカリ含有ガラスを使用した場合等には、基板1と金属裏面電極層2間にシリカ等で形成されるアルカリバリア層(図示せず)が形成される場合もある。
【0023】
ZnS系とは、Zn(亜鉛)とVI族元素の化合物、例えばZnS、ZnSe、ZnSSeを示し、p型CZTS系光吸収層3を硫化のみで製膜した場合は、ZnS系小粒子はZnS小粒子となり、p型CZTS系光吸収層3をセレン化のみで製膜した場合はZnSeとなり、セレン化と硫化の両方を行った場合はZnSSeとなる。また、ZnS系小粒子の分散層は、ZnS系化合物が金属裏面電極層2の表面全体を層として完全に被覆するのではなく、小粒子の集団で存在し、各小粒子間或いは集団の隙間がホールの通り道を形成している状態を指す。この場合、金属裏面電極層2の一部がZnS系小粒子分散層30によって被覆されず、露出している状態であっても良い。ZnS系小粒子の分散層30は、例えば、〜300nm程度の厚さに形成され、各粒子は、10nm〜200nmφ程度の大きさを有する。
【0024】
通常、p型CZTS系光吸収層3は、Cu、Zn、Snを含む金属プリカーサー膜を金属裏面電極層2上に形成した後、これを500℃〜650℃の硫化水素および/またはセレン化水素雰含有囲気中で、硫化および/またはセレン化(硫化/セレン化)して形成される。Cu、Zn、Snを含む金属プリカーサー膜を硫化水素含有雰囲気中で硫化する場合は、Cu2ZnSnS4からなるp型CZTS系光吸収層3が形成される。一方、この金属プリカーサー膜をセレン化水素含有雰囲気中でセレン化すると、Cu2ZnSnSe4からなるp型CZTS系光吸収層3が形成される。或いは、同じ金属プリカーサー膜をセレン化しかつ硫化することによって、Cu2ZnSn(S,Se)4からなるp型CZTS系光吸収層3が形成される。
【0025】
n型高抵抗バッファ層4は、例えば、Cd、Zn、Inを含む化合物の薄膜(膜厚3nm〜50nm程度)であり、代表的にはCdS、ZnO、ZnS、Zn(OH)2、In23、In23、あるいはこれらの混晶であるZn(O、S、OH)やIn(O、S、OH)で形成される。この層は、一般的には溶液成長法(CBD法)により製膜されるが、ドライプロセスとして有機金属気相成長法(MOCVD法)、原子層堆積法(ALD法)も適用可能である。なお、CBD法とは、プリカーサーとなる化学種を含む溶液に基材を浸し、溶液と基材表面との間で不均一反応を進行させることによって薄膜を基材上に析出させるものである。n型高抵抗バッファ層4は太陽電池として必ずしも必要な層ではなく、p型CZTS系光吸収層3上にn型透明導電膜5を直接形成しても良い。
【0026】
n型透明導電膜5としては、n型の導電性を有し、禁制帯幅(バンドギャップ)が広く透明でかつ低抵抗の材料によって、膜厚0.05から2.5μm程度に形成される。代表的には酸化亜鉛系薄膜(ZnO)あるいはITO薄膜がある。ZnO膜の場合、III族元素(例えばAl、Ga、B)をドーパントとして添加することで低抵抗膜とすることができる。n型透明導電膜5は、MOCVD法以外にスパッタ法(DC、RF)等で形成することもできる。
【0027】
本発明者等は、図1に示すように、p型CZTS系光吸収層3と金属裏面電極層2の界面にZnS系小粒子の分散層30を形成することによって、CZTS系薄膜太陽電池の光電変換効率を増大できると考えた。その理由は、ZnSがCZTS化合物に比べて大きいバンドギャップを有することである。即ち、ZnSは3.7eV、ZnSeは2.7eV、ZnSSeはその中間の大きなバンドギャップを有する半導体であり、これらは何れもp型CZTS系光吸収層3のバンドギャップよりも大きい。従って、このような半導体が、金属裏面電極層2とp型CZTS系光吸収層3との界面に存在することによって、電子20に対する障壁が形成され、電子の裏面再結合が抑制される。その結果、電子の収集効率が向上し太陽電池の光電変換効率が増大するものと考えられる。
【0028】
なお、金属裏面電極層2とp型CZTS系光吸収層3との界面に存在するZnS系小粒子は、層ではなく分散していることが重要で、小粒子間の隙間が、ホール10が金属裏面電極層2に達する通り道を形成する必要がある。また、ZnS系小粒子は導電型がp型であればあるほど、電子の障壁となる効果を大きく発揮する。ZnSなどのZn(VI族)系半導体は、Naが添加されるとp型化することが知られている(非特許文献1参照)。従って、基板1としてNaを含有するガラスを用いると、金属裏面電極層2側から拡散によってNaがp型CZTS系光吸収層3中に供給され、ZnS系小粒子中に多くのNaが含まれるようになる。これによって、ZnS系小粒子がさらに(高濃度に)p型化され、電子障壁としての効果を増大させる。
【0029】
図2は、ZnS系小粒子の分散層によるキャリア再結合抑制効果を説明するための図であり、図2(A)に参考として従来のCZTS系薄膜太陽電池の発電時のエネルギーバンド図を、図2(B)に本発明に係るCZTS系薄膜太陽電池の発電時のエネルギーバンド図を示す。図2(A)に示すように、ZnS系小粒子の分散層30を有さないp型CZTS系光吸収層3では、金属裏面電極層方向に移動した電子はその部分に集まったホールと容易に再結合し、太陽電池の光電変換効率を低下させる。これに反して、図2(B)に示すCZTS系薄膜太陽電池では、ZnS系小粒子の分散層30によって、金属裏面電極層2とp型CZTS系光吸収層3との間に電子障壁が形成され、この障壁によって電子20がp型CZTS系光吸収層3の受光面方向に跳ね返される。その結果、裏面電極側で電子とホールの再結合が抑制され、太陽電池の光電変換効率が向上する。
【0030】
以下に、ZnS系小粒子の分散層30を効果的に形成する方法について説明する。
本発明者等は、上記のp型CZTS系光吸収層3を形成するに当たって、製造条件を種々変更して実験を行った結果、金属プリカーサー膜の積層順序と硫化/セレン化の温度および時間の調整によって、ZnS系小粒子の分散層30を形成するための特別な工程を設けることなく、この層30を形成し、光電変換効率の優れたCZTS系薄膜太陽電池を得ることができることを見出した。特に、金属プリカーサー膜の最下層(金属裏面電極層2と接触する層)としてZn、ZnとCuの混合物、ZnとVI族元素の混合物、またはZnとCuとVI族元素の混合物(以下、Znを含む混合物)を製膜し、さらに、金属プリカーサー膜の硫化/セレン化時間を短くすることによって、光電変換効率が大きく改善される。
【0031】
従来、CZTS系薄膜太陽電池を製造する場合の硫化/セレン化には、2、3時間程度のかなり長い時間を要するとされている(例えば、特許文献1の段落0031参照)。ところが、本発明者等の実験では、従来製法に比べてかなり短い時間、例えば15分程度の硫化によって、CZTS系薄膜太陽電池に光電変換効率の改善が見られた。そこで、その効果を確かめるべく、金属プリカーサー膜の硫化条件を変えて、以下の表1に示す実験1〜3を行った。これらの実験では、金属プリカーサー膜の最下層(金属裏面電極層との界面上)をZnSで形成した。
【表1】

なお、太陽電池のVocは開放電圧を、Jscは短絡電流密度を、FFはフィルファクタを示す。
【0032】
実験1から3では基板1としてNa含有アルカリガラスを用いているが、実験1および2では、基板1と金属裏面電極層2との間に厚いアルカリバリア層を形成して基板1からのNaの拡散を抑制している。一方、実験3では、基板1と金属裏面電極層2との間に薄いアルカリバリア層を形成している。その結果、実験3で形成したサンプルのp型CZTS系光吸収層3には、基板1から金属裏面電極層2を介して供給されたNaが相当量含まれている。
【0033】
表1から明らかなように、硫化時間が45分の実験1サンプルに比べて、硫化時間が15分と短い実験2サンプルおよび実験3サンプルで、光電変換効率に大きな改善が見られた。さらに、同じ硫化時間15分であっても、Na濃度の高い実験3サンプルでは、光電変換効率がさらに改善している。特に、実験2サンプルおよび実験3サンプルにおいて、短絡電流密度Jscが実験1サンプルと比較して大きく増加している。短絡電流密度Jscの増加は光電変換効率の向上に大きく寄与する。
【0034】
図3に、実験1〜実験3のサンプルについて、p型CZTS系光吸収層3とMoの金属裏面電極層2との界面付近の組成元素の濃度分布を示す。図3の(A)〜(C)において、縦軸は濃度分析時の出力の信号強度を、横軸は膜厚方向の深さを、何れも任意単位(a.u.)で示している。図の点線は、Moの濃度分布曲線であり、曲線が立ち上がっている部分がp型CZTS系光吸収層3とMoの金属裏面電極層2との界面付近である。図の太線はZnの濃度分布曲線であり、細線はNaの濃度分布曲線である。なお図3において、膜深さを太陽電池構造と関連付けるために、図(D)に、CZTS系薄膜太陽電池の概略構造を示している。
【0035】
図3(A)は、実験1サンプルの分析結果を示す。この図から、実験1サンプルでは、Znの濃度がp型CZTS系光吸収層3の膜厚方向に沿ってほぼ一定であることがわかる。これは、硫化時間が45分と比較的長いために、Znが層厚方向に拡散して一様に分布しているためと考えられる。実験2サンプルおよび実験3サンプルの分析結果を示す図(B)および(C)では、p型CZTS系光吸収層3と金属裏面電極層2との界面付近でZnの濃度が高くなっている。これは、硫化時間が15分と短いために、界面付近に堆積されたZnS全てが反応してCZTSとはならず、一部が未反応の状態で界面付近に残っているためと考えられる。
【0036】
図4に、p型CZTS系光吸収層3と金属裏面電極層2との界面に、高いZn濃度部分を有する太陽電池サンプル(例えば、表1の実験2または実験3サンプル)の電子顕微鏡写真及びXRD法による元素分析結果を示す。図4(A)は、CZTS系薄膜太陽電池の膜厚方向断面における電子顕微鏡写真であり、図4(B)はMo電極との界面付近を残してその上部をテープにより剥離したサンプルを、斜め上方から見た時の電子顕微鏡写真である。図(A)には、写真内の各部を特定するための参考に、CZTS系薄膜太陽電池の断面の概略構造を図示している。
【0037】
図4(A)より明らかなように、p型CZTS系光吸収層3とMoの金属裏面電極層2との界面には小粒子の分散層が形成されている。この分散層は、図(B)に示すように、完全にMoの金属裏面電極層2を被覆してはおらず、部分的にMoが露出していることがわかる。また、図(A)および(B)から、ZnS小粒子のサイズは、10nm〜200nmφ程度であり、小粒子分散層の厚さは、〜300nm程度である。
【0038】
図(B)の表面に対してXRD法により元素分析を行ったところ、図(C)に示すように、ZnSとMoの顕著なピークが観測された。このことから、p型CZTS系光吸収層3と金属裏面電極層2との界面に形成されている小粒子はZnSであることが確認される。
【0039】
以上の結果、光電変換効率に大きな改善の見られた実験2および3のサンプルでは、高温短時間の硫化処理によって、p型CZTS系光吸収層3と金属裏面電極層2との界面にZnS系小粒子の分散層30が形成されており、一方、低い光電変換効率を有する実験1サンプルでは、高温硫化処理が長時間に渡ったため界面のZnが完全に反応してp型CZTS系光吸収層3の層全体に均一に含まれ、ZnS系小粒子の分散層30が形成されていないことが分かる。このように、p型CZTS系光吸収層3と金属裏面電極層2との界面にZnS系小粒子の分散層30が存在するか否かによって、光電変換効率の改善が左右される。なお、実験3では界面のNa濃度が実験2のサンプルよりも高く、実験3サンプルのZnS小粒子中に実験2サンプルより多くのNaが含まれていることが推測される。実験3サンプルの光電変換効率が実験2サンプルの光電変換効率よりも高いことから、高い光電変換効率を得るためには、Naをより多く含むZnS系小粒子の分散層が望ましいと考えられる。
【0040】
表1に示した実験では、金属プリカーサー膜の最下層にZnSを用いたが、表2に、金属プリカーサー膜の最適積層順序を求めるために行った実験結果を示す。
【表2】

【0041】
サンプル4およびサンプル5は、表2に示すように、ZnSの蒸着層を金属プリカーサー膜の最下層(Moの金属裏面電極層2との界面上)に製膜し、サンプル6〜サンプル9は、金属プリカーサー膜の中間層或いは最上層に製膜している。いずれのサンプルも、金属プリカーサー膜の硫化の温度は560℃、硫化時間は15分である。また、他の膜構造は図1に示すものに準じ、何れのサンプルも同じ構造を有する。
【0042】
図5に、表2に示す各サンプルの製造工程の概要を示す。この実験では、基板1としてNa含有アルカリガラスを用い、ガラス基板1に含まれる各種金属および不純物がp型CZTS系光吸収層3へ拡散していくのを抑制するために、シリカ等によるアルカリバリア層6を設けている。サンプル4および5では、図5に示すように、金属裏面電極層2上にプリカーサー膜15の第1層(最下層)としてZnS層を製膜し、その上に、第2層12としてSn層(サンプル4)あるいはCu層(サンプル5)を製膜し、プリカーサー膜15の第3層13としてCu層(サンプル4)或いはSn層(サンプル5)を製膜している。
【0043】
サンプル6〜9では、表2に示すように、金属プリカーサー膜15の第1層(最下層)にZnS以外の層(Cu層またはSn層)を製膜し、第2層12または第3層13としてZnS層を製膜している。
【0044】
以上のようにして、金属プリカーサー膜15が形成されると、硫化水素を含んだ雰囲気中で高温短時間硫化を行い、金属プリカーサー膜15を硫化してp型CZTS系光吸収層3を形成する。このとき、金属裏面電極層2とp型CZTS系光吸収層3との界面にZnS系小粒子の分散層30が形成される。
【0045】
表2から明らかなように、ZnSをプリカーサー膜15の第1層に製膜したサンプル4または5では、その光電変換効率はいずれも6%後半であり、一方、ZnSを金属プリカーサー膜15の上層或いは中間層として製膜したサンプル6〜9では、その光電変換効率は2%台または3%台であり、サンプル4、5に比べて大幅に低い。硫化温度が560℃と高温でかつ硫化時間が15分と短時間であるため、サンプル4および5では界面にZnS小粒子の分散層が形成され、その結果、光電変換効率が向上しているものと考えられる。
【0046】
一方、サンプル6〜サンプル9では、その光電変換効率はかなり低く、従って、界面にZnS小粒子の分散層が充分に形成されていないと考えられる。このことは、金属プリカーサー膜に対して高温短時間硫化を行った場合であっても、ZnSの蒸着層がプリカーサー膜15の界面に形成されていないと、ZnS系小粒子の分散層30が界面に形成されにくいことを意味している。
【0047】
なお、プリカーサー膜15の第1層として形成する層は、必ずしもZnSである必要はなく、例えば、Zn、ZnSe,ZnSSe、CuZn、CuZnS、CuZnSe,CuZnSSe等、Zn、ZnとCuの混合物、ZnとVI族元素の混合物、またはZnとCuとVI族元素の混合物であれば良い(以下、これらをZnを含む混合物と呼ぶ)。ここで、プリカーサー膜15の第1層として、VI族を含まないZn、またはZn混合物でもよい例を挙げたが、この理由は、Zn(VI族)化合物の形成エネルギーは他の化合物に比べ非常に低く、容易に形成されるためであり、プリカーサー膜15の第1層にVI族がなくとも、後の硫化および/またはセレン化の過程でZnS系小粒子の分散層30が形成可能なためである。また、Znを含む混合物でプリカーサー膜の最下層を形成した場合、その上に形成される第2層または第3層は、Sn、SnS、SnSe,SnSSeか、或いは、Cu、CuS、CuSe、CuSSeであっても良い。また、第2層をCuSn、CuSnS、CuSnSe、CuSnSSeの何れかで形成することも可能である。この場合、第3層は形成しなくて良い。さらに、高温短時間硫化のみならず、高温短時間セレン化、高温短時間硫化/セレン化を行っても同様の効果が得られる。
【0048】
表3は、プリカーサー膜の高温短時間硫化および/またはセレン化時の処理温度および処理時間が、光電変換効率に及ぼす影響を明らかにするために行った実験結果を示す。
【表3】

【0049】
実験に用いた各サンプルは、金属プリカーサー膜15の第1層としてZnを含む混合物が製膜されており、且つ、ガラス基板1としてNaを含むアルカリ含有ガラスを使用し、アルカリバリア層6を設けている。表3の時間は、金属プリカーサー膜15の硫化時間、温度は硫化温度を示す。それ以外の膜の構造は、図1に示すものに準じ、何れのサンプルも同じ構造を有する。
【0050】
表3から明らかなように、硫化温度を580℃とした場合は、硫化時間5分で最も高い光電変換効率7.12%を得ることができた。硫化温度を560℃に低下した場合は、硫化時間15分で最も高い光電変換効率6.94%を得ることができた。このことは、単純に処理時間を短くすれば、高い光電変換効率を有するCZTS系薄膜太陽電池を得ることができるものではなく、ZnS系小粒子の分散層の形成にはある程度の熱量が必要であることを意味している。また、総じて、処理時間が25分以内であれば、比較的高い光電変換効率を得ることができる。処理時間が45分を超えると、ZnS系小粒子の分散層は効果的に形成されず、光電変換効率は改善されない。
【0051】
以上を要約すると、1)金属プリカーサー膜の最下層をZnを含む混合物で形成すること、および、2)金属プリカーサー膜の硫化/セレン化を高温で短時間行うこと、によって界面にZnS系小粒子の分散層が効果的に形成され、高い光電変換効率を有するCZTS系薄膜太陽電池が得られる。
【0052】
上記で説明したように、図3の(B)および(C)を比較すると、Moの金属裏面電極層2との界面付近のNa濃度が高いサンプルの方が、光電変換効率が高い。これは、界面近傍に形成されたZnS系小粒子の分散層中にNaが多く含まれることによって、ZnS系小粒子がより高濃度のp型となり、図2(B)のエネルギーバンド図に示すように、金属裏面電極側に高いエネルギー障壁を造るためであると考えられる。これを確認するために、本発明者等は、ガラス基板1として、Naを含まない無アルカリガラスを使用したサンプルと、Naを3〜13重量%含むアルカリガラスを使用した太陽電池サンプルを製作し、その光電変換効率を測定した。
【0053】
その結果を以下の表4に示す。
【表4】

【0054】
実験に用いた各サンプルは、金属プリカーサー膜の最下層にZnを含む混合物の層(堆積層)を備えている。また、ガラス基板1には、Naを3〜13重量%含むアルカリガラスと、Naを含まない無アルカリガラスの何れかを用いている。ガラス基板1とMoの金属裏面電極層2との間に、シリカ等で形成されるアルカリバリア層6を設けている。この層6は、プリカーサー膜15の高温硫化過程で、ガラス基板1中に含まれる各種の金属或いは不純物がp型CZTS系光吸収層3中に拡散して行くのを抑制するために、設けられている。
【0055】
アルカリバリア層6は、例えば、SiO2をターゲットに用いたRFスパッタ法により形成される。この場合、RFスパッタ装置への投入電力を調整することによって、その厚さを制御することができる。表4に示す各サンプルのアルカリバリア層6は、RFスパッタ装置への投入電力を0.6kWとして形成したものである。
【0056】
表4は、以上の構造を有する8個の太陽電池サンプルを、硫化処理の温度、ガラス基板1がアルカリガラスか無アルカリガラスか、および高温硫化処理時間によって分類し、その光電変換効率を示したものである。表4から、ガラス基板1にアルカリガラスを用いたサンプル10、12〜14で比較的高い光電変換効率を得られることがわかる。特に、560℃で15分間の硫化処理を行ったサンプル13から高い光電変換効率を得ることができた。無アルカリガラスを基板1に用いたサンプル11、15〜17では、その光電変換効率はかなり低い。ただし、無アルカリガラス基板のサンプルでも560℃15分で相対的に高い光電変換効率を示しており、高温短時間硫化によって形成されたZnS小粒子の分散層30の効果は、Na含有アルカリガラス基板と同様に確認できる。
【0057】
表5は、アルカリ含有ガラスを基板1として用いた場合に、アルカリバリア層6の膜厚が光電変換効率に及ぼす影響を検出するための実験結果を示す。
【表5】

【0058】
表5では、アルカリバリア層6の膜厚を製膜パワーで示している。製膜パワー0.6kWと示されたものが最も薄い膜厚を有し、2.0kWのものが最も厚い膜厚を有する。Na拡散量大は、アルカリバリア層の膜厚が薄いことによって、基板1から多くのNaがp型CZTS系光吸収層3中に拡散していることを示す。Na拡散量小、Na拡散量極小も同様の意味である。硫化処理温度、アルカリバリア層の膜厚、硫化処理温度を変えて6個の太陽電池サンプルを形成し、その光電変換効率を測定した。なお、この実験の場合も、金属プリカーサー膜の最下層にZn含有層を形成し、ガラス基板1としてはNaを3〜13重量%含むアルカリ含有ガラスを用いた。
【0059】
表5から、アルカリバリア層の膜厚が薄いほど、光電変換効率が高いことがわかる。これは、アルカリバリア層が薄いことによって、p型CZTS系光吸収層3、特に金属裏面電極層との界面付近のNaの含有量が多くなり、図2(B)に示す電子障壁効果が大きくなるためと考えられる。
【0060】
以上を要約すると、ZnS系小粒子の分散層を効果的に形成して、光電変換効率の高いCZTS系薄膜太陽電池を得るためには、1)金属プリカーサー膜の最下層としてZnを含む層を形成すること、2)硫化/セレン化にあったって高温(540℃〜600℃)短時間(5分〜25分)処理を行うこと、3)p型CZTS系光吸収層と金属裏面電極層界面付近のNa濃度を高くすること、が重要であることがわかる。
【0061】
表6に、図1のCZTS系薄膜太陽電池について、以上に説明した以外の製造方法、膜厚等の一例を示す。
【表6】

【0062】
なお、基板1として、青板ガラス、低アルカリガラス等のガラス基板の他に、ステンレス板等の金属基板、ポリイミド樹脂基板等を用いることができる。金属裏面電極層2の形成方法としては、表6に記載するDCスパッタ法以外に、電子ビーム蒸着法、電子層堆積法(ALD法)等がある。金属裏面電極層2の材料としては、高耐蝕性でかつ高融点金属、例えばクロム(Cr)、チタン(Ti)等を用いても良い。
【0063】
n型透明導電膜5としては、n型の導電性を有し、禁制帯幅が広く透明でかつ低抵抗の材料を用いて、膜厚0.05から2.5μm程度に形成される。代表的には酸化亜鉛系薄膜(ZnO)あるいはITO薄膜がある。ZnO膜の場合、III族元素(例えばAl、Ga、B)をドーパントとして添加することで低抵抗膜とする。n型透明導電膜5は、MOCVD法以外に、スパッタ法(DC、RF)等で形成することもできる。
【符号の説明】
【0064】
1 ガラス基板
2 金属裏面電極層
3 p型CZTS系光吸収層
4 n型高抵抗バッファ層
5 n型透明導電膜
6 アルカリバリア層
10 ホール
12 金属プリカーサー膜の第1層
13 金属プリカーサー膜の第2層
14 金属プリカーサー膜の第3層
15 金属プリカーサー膜
20 電子
30 ZnS系小粒子の分散層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成した金属裏面電極層と、
前記金属裏面電極層上に形成したp型CZTS系光吸収層と、
前記p型CZTS系光吸収層上に形成したn型透明導電膜と、を備え、
前記p型CZTS系光吸収層と前記金属裏面電極層との界面にZnS系小粒子の分散層を有する、CZTS系薄膜太陽電池。
【請求項2】
請求項1に記載のCZTS系薄膜太陽電池において、前記ZnS系小粒子の分散層は、前記金属裏面電極層表面を完全に被覆していない、CZTS系薄膜太陽電池。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のCZTS系薄膜太陽電池において、前記ZnS系小粒子は、10nm〜200nmφの大きさを有する、CZTS系薄膜太陽電池。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のCZTS系薄膜太陽電池において、前記基板は、Naを含むアルカリガラスである、CZTS系薄膜太陽電池。
【請求項5】
請求項4に記載のCZTS系薄膜太陽電池において、前記基板と前記金属裏面電極層間にアルカリバリア層をさらに備える、CZTS系薄膜太陽電池。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のCZTS系薄膜太陽電池において、前記ZnS系小粒子はZnS,ZnSe,ZnSSeの何れかを含む、CZTS系薄膜太陽電池。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載のCZTS系薄膜太陽電池において、前記p型CZTS系光吸収層と前記n型透明導電膜間にn型高抵抗バッファ層をさらに備える、CZTS系薄膜太陽電池。
【請求項8】
基板上に金属裏面電極層を形成し、
前記金属裏面電極層上にCu,Sn,Znを含む金属プリカーサー膜を形成し、
前記金属プリカーサー膜を硫化および/またはセレン化してp型CZTS系光吸収層を形成し、
前記p型CZTS系光吸収層上にn型透明導電膜を形成する、各ステップを備え、
前記金属プリカーサー膜は前記金属裏面電極層側の最下層をZnを含む層で形成し、前記硫化および/またはセレン化を雰囲気温度540℃〜600℃で、5分〜25分間に亘って行うことを特徴とする、CZTS系薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記基板をNa含有アルカリガラスで形成することを特徴とする、CZTS系薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記基板と前記金属裏面電極層との間にアルカリバリア層を形成するステップをさらに備える、CZTS系薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項11】
請求項8乃至10の何れか1項に記載の方法において、前記金属プリカーサー膜は、金属裏面電極層上にZnを含む混合物としてZnS層を堆積した後、Sn、Cuまたはこれらを含む混合物を堆積して形成することを特徴とする、CZTS系薄膜太陽電池の製造方法。
【請求項12】
請求項8乃至11の何れか1項に記載の方法において、前記p型CZTS系光吸収層の形成後であって前記n型透明導電膜の形成前に、n型高抵抗バッファ層を形成するステップをさらに備える、CZTS系薄膜太陽電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−115126(P2013−115126A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257893(P2011−257893)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【特許番号】特許第5178904号(P5178904)
【特許公報発行日】平成25年4月10日(2013.4.10)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】