説明

DVI信号評価装置及びDVI信号評価方法

【課題】専用の測定機器を使用することなく、DVI信号を高精度で評価できるDVI信号評価装置と信号評価方法を提供する。
【解決手段】DVI規格に基づいた映像信号を生成する評価対象機器1からシリアルのDVIケーブル3を介して信号評価装置2に接続され、比較回路7へ入力されたパラレルのDVI信号を、比較回路7でDVI信号に対応した基準データと比較して、該DVI信号の誤りとされた回数をカウントすることにより判定評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種ディスプレイ装置の表示の際に用いられているDVI(Digita1 Visua1 Interface)信号を評価するDVI信号評価装置と信号評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビジョンチューナ、ビデオ再生装置、パーソナルコンピュータ装置本体などの映像信号源と、モニタ受像機などの映像表示装置とを接続させる場合に、デジタルデータで映像データを表示装置に伝送させるDVI規格と称して規格化されている。
【0003】
このDVI規格は、映像データを、原色信号R、G、Bのそれぞれを画素(ピクセル)単位でデジタル化したデータとして、一般にコンピュータ等の映像信号源からディスプレイにデジタル形式でシリアル伝送するようにしたもので、高品質の画像を伝送して表示させることができる。
【0004】
また、画素単位の映像データであるため、表示装置側では受信した映像データで直接表示ドライバを駆動させることができ、比較的簡単な処理構成で表示などを行うことができる。
【0005】
例えば、映像データだけを伝送するシステム構成の場合には、図7に示すように、評価対象機器である映像信号源31とディスプレイ装置32とを、DVI規格のケーブル33で接続して、このケーブル33でDVI規格で符号化された映像データを伝送するようにすれば、映像信号源31からディスプレイ装置32に映像データを伝送することができる(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
DVI規格に準拠した機器では、機器が正しくDVI規格に準拠しているか否かを評価するために、DVI Test and Measurement Guide(以降、Guideという)に基づき、信号評価装置を用いてDVI信号を測定し、評価している。
【0007】
つまり、機器の設計・開発部門では、信号評価装置を用いてGuideに記載されているTransmitter Test Measurements,Receiver Test Measurements,あるいは、Cab1e Assemb1y Test Measurementsを目的にあわせて実施し、当該機器がDVI規格の要件を満たしていることを確認している(例えば、非特許文献1を参照)。
【0008】
なお、DVI信号の測定に際しては、DVI信号は、最大データ転送レートが1.65Gbpsであり、非常に高速なシリアルインターフェースであることから、高性能の測定機器(オシロスコープ、信号ジェネレータ、テスト・フィクスチャ)で、かつ、精度の高い差動プローブが必要となる。
【0009】
また、10−9ピクセル・エラー・レートを要求されているため、実質10億回もの測定回数(データの取込み回数)を必要とするが、測定機器のハードウエアの制約や時間の制約上から実際上、実現するのは難しい。
【0010】
また、従来の測定機器(オシロスコープ等)を使った測定方法では、シリアルのDVI信号波形を、目視確認や専用ソフトで統計学的に評価するため、最終的にディスプレイ上に入力するパラレルのDVI信号自体を評価することはできない。
【特許文献1】特開2002−232377号公報
【非特許文献1】DVI Test and Measurement Guide(2001.2.25,DDWG E1ectrica1 Test Working Group)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、当該機器がDVI規格に準拠していることを、信号評価装置によりDVI信号を測定することにより確認する際、DVI信号は、最大データ転送レートが1.65Gbpsであり、非常に高速なシリアルインターフェースであることから、高性能の信号評価装置としての測定機器(オシロスコープ、信号ジェネレータ、テスト・フィクスチャ)で、かつ、精度の高い差動プローブが必要となる。
【0012】
また、10−9ピクセル・エラー・レートを要求されているため、実質10億回もの測定回数(データの取込み回数)を必要とするが、測定機器のハードの制約や時間の制約上から実際上、実現するのは難しい。
【0013】
また、従来の測定機器(オシロスコープ等)を使った測定方法では、シリアルのDVI信号波形を、目視確認や専用ソフトで統計学的に評価するため、最終的にディスプレイ上に入力するパラレルのDVI信号自体を評価することはできない。
【0014】
本発明は、これらの事情を考慮してなされたもので、専用の測定機器を使用することなく、最終的にディスプレイ上に入力されるパラレルのDVI信号自体を、各信号をそれぞれ同時に比較、検討し評価することができる高精度のDVI信号評価装置と信号評価方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によれば、DVI規格に基づいた映像信号を生成する評価対象機器と、
この評価対象機器と映像信号接続ケーブルであるDVIケーブルを介して接続され、前記評価対象機器からシリアルのDVI信号を入力し、パラレルに変換するレシーバと、
評価するDVI信号に対応した基準データを表示イメージ通りに格納する第1のメモリと、
前記レシーバでパラレルに変換されたDVI信号と前記基準データとを入力して比較する比較回路と、
前記比較回路での比較結果から、前記DVI信号が誤りとされた回数をカウントするカウンタと、
前記カウンタでのカウント結果を格納する第2のメモリとを
備えたことを特徴とするDVI信号評価装置が提供される。
【0016】
また、本発明の一態様にかかるDVI信号評価装置によれば、前記比較回路での比較は、前記基準データと前記DVI信号の1ピクセルにおけるRGBの各ビット単位で行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様にかかるDVI信号評価装置によれば、前記カウンタのカウント値から、表示画面の特定座標におけるノイズとなりやすいRGB列を判別することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の一態様にかかるDVI信号評価装置によれば、前記比較回路と前記カウンタとは、FPGAに形成されていることを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明の別の一態様によれば、DVI規格に基づいた映像信号を生成する評価対象機器のDVI信号評価方法であって、
評価するDVI信号に対応した基準データを表示イメージ通りに格納するステップと、
該評価対象機器に接続されたDVIケーブルを介して、シリアルのDVI信号を入力するステップと、
前記シリアルのDVI信号をパラレルのDVI信号に変換するステップと、
前記変換ステップで変換されたパラレルのDVI信号を比較手段へ入力するステップと、
前記比較手段へ予め格納されている基準データを読み出すステップと、
前記比較手段で前記基準データと前記パラレルのDVI信号とを比較して正誤判定し、かつ、誤結果をカウントする判定ステップと
前記判定ステップによる誤結果のカウント値を保存するステップと
を含むことを特徴とするDVI信号評価方法が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、専用の測定機器を使用することなく、最終的にディスプレイ上に入力されるパラレルのDVI信号自体を、各信号をそれぞれ同時に比較、検討し評価することができる高精度のDVI信号評価をおこなうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明のDVI信号評価装置と信号評価方法についての実施形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明のDVI信号評価装置による信号評価方法の構成の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【0023】
測定の際に、例えばパソコン等のDVI信号の評価対象機器1とDVI信号評価装置2(以下、単に信号評価装置2という)は、DVI規格に準拠したDVIケーブル3により接続されている。
【0024】
信号評価装置2は、入力側としてDVIケーブル3を介して評価対象機器1からのシリアルのDVI信号を信号評価装置2に入力するレシーバ4が設けられている。レシーバ4はプロブラミングすることができるLSIであるFPGA(Field Programmable Gate Array)5と接続している。
【0025】
FPGA5には、レシーバ4からのR、G、Bに分離されたパラレルのDVI信号を入力して、入力したDVI信号とメモリA(第1メモリ)6に予め格納されている基準データとを比較する比較回路7と、この比較回路7と接続され、比較回路7での正誤判定を実施した判定結果を入力するカウンタ8とが形成されている。また、このカウンタ8は正誤判定結果をカウンタ8にてカウントし、出力側がカウンタ8からの出力である正誤判定結果を入力するメモリB(第2メモリ)9と接続されている。メモリB9はカウンタ8からの出力である正誤判定結果を保存する。
【0026】
基準データは、評価するDVI信号に応じて、都度、第1メモリに書き込まれるもので、ディスプレイ上での表示状態に対応している。すなわち、全画面にわたって赤(R)色を表示させる場合には、第1メモリには、赤(R)のデータだけが書き込まれる。また、緑(G)色を背景としてAという文字を青(B)色で、表示させる場合には、第1メモリにおいて、背景に該当するメモリ領域には、緑(G)色のデータが書き込まれ、Aという文字の表示位置に該当するメモリ領域には、青(B)色のデータが書き込まれる。
【0027】
次に、図2のフローチャートを参照して、上述の構成を有する信号評価装置を用いた、DVI信号の信号評価方法のステップについて説明する。なお、各部の名称と符号は図1で用いたものを援用している。
【0028】
まず、評価対象の評価対象機器1をDVIケーブル3により信号評価装置2に接続し、評価対象機器1からシリアルのDV1信号を信号評価装置2に入力する(ステップS1)。
【0029】
次に、シリアルのDV1信号が入力された信号評価装置2のレシーバ4は、シリアルのDV1信号を、パラレルのDV1信号に変換する(変換ステップ)(ステップS2)。
【0030】
次に、変換されたパラレルのDV1信号は、比較回路7が形成されているFPGA5に入力される(読み出しステップ)(ステップS3)。
【0031】
次に、比較回路7がメモリA6より、予めメモリA6に格納されている基準データを読み出す(読み出しステップ)(ステップS4)。
【0032】
次に、比較回路7で、パラレルのDV1信号と基準データとが比較されて、正誤判定される(判定ステップ)(ステップS5)。
【0033】
比較回路7における正誤判定については、図3に示す正誤判定機能の概要図により説明する。
【0034】
比較回路7に入力されたDVI信号21を、赤(R):8ビット,緑(G):8ビット,青(B):8ビットから成る1ピクセルあたり24ビットのデータとする。まず、DVI信号の1ピクセルにおけるR,G,Bの先頭1ビット目のデータ23を取り出し、次に対象となる基準データ22の1ピクセルにおけるR,G,Bの先頭1ビット目のデータ24を取り出す。取り出した双方のRとGとBとを、それぞれの1ビットのデータを比較回路7で比較する(24、25、26)。
【0035】
比較の結果、同じデータであれば「正」、違うデータであれば「誤」と判定する。
【0036】
以下同様に、2ビット目を1ビット目と同様に比較し、正誤判定を実施する。
【0037】
次に、比較回路7での正誤判定により、順次ビット単位でのR,G,Bそれぞれにおける「誤」のカウント値の判定結果をカウンタ8にてカウントする(判定ステップ)(ステップS6)。
【0038】
次に、カウンタ8によりカウントされたカウント値をメモリB9に書き込み保存する(書き込みステップ)(ステップS7)。
【0039】
これらの各ステップによるDVI信号の信号比較方法によれば、1ピクセルにおけるR、G、Bそれぞれの基準となるデータと1ビット単位で比較し、エラー数をカウントしている。したがって、一般的なUXGA(Ultra eXtended Graphics Array;1600×1200ピクセルの解像度)の画面を対象とするDVI信号を扱えば、わずか17秒弱で10億回の測定を実施したことになり、DVIの仕様に規定されている10−9ピクセル・エラー・レートを正確に求めることができる。
【0040】
また、水平同期信号、垂直同期信号を利用することで、画面の特定座標におけるノイズや、ノイズとなりやすいRGBのビット列を見つけることが可能となり、機器の設計のノイズ対策に活かすことができる。
【0041】
また、信号評価装置2は、FPGA5にDVI評価機能を組み込むことで専用の測定機器を必要としない。
【0042】
また、DVI信号波形自体を評価するのではなく、DVI信号のデータをビット単位で正誤検証することで、10億回の測定回数を可能とし、精度の高いDVI信号評価を実施できる。また、従来ではできなかったパラレルのDVI信号それぞれ同時に比較、検討し評価することができる。
【0043】
なお、本発明は上記の実施形態のそのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のDVI信号評価装置による信号評価方法の構成の一実施形態を示す機能ブロック図。
【図2】本発明のDVI信号の信号評価方法のステップを示すフローチャート。
【図3】本発明のDVI信号評価装置で用いられている比較回路での正誤判定機能の概要図。
【符号の説明】
【0045】
1…評価対象機器、2…信号評価装置、3…DVIケーブル、4…レシーバ、5…FPGA、6…メモリA、7…比較回路、8…カウンタ、9…メモリB。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DVI規格に基づいた映像信号を生成する評価対象機器と、
この評価対象機器と映像信号接続ケーブルであるDVIケーブルを介して接続され、前記評価対象機器からシリアルのDVI信号を入力し、パラレルに変換するレシーバと、
評価するDVI信号に対応した基準データを表示イメージ通りに格納する第1のメモリと、
前記レシーバでパラレルに変換されたDVI信号と前記基準データとを入力して比較する比較回路と、
前記比較回路での比較結果から、前記DVI信号が誤りとされた回数をカウントするカウンタと、
前記カウンタでのカウント結果を格納する第2のメモリとを
備えたことを特徴とするDVI信号評価装置。
【請求項2】
前記比較回路での比較は、前記基準データと前記DVI信号の1ピクセルにおけるRGBの各ビット単位で行うことを特徴とする請求項1記載のDVI信号評価装置。
【請求項3】
前記カウンタのカウント値から、表示画面の特定座標におけるノイズとなりやすいRGB列を判別することを特徴とする請求項1記載のDVI信号評価装置。
【請求項4】
前記比較回路と前記カウンタとは、FPGAに形成されていることを特徴とする請求項1記載のDVI信号評価装置。
【請求項5】
DVI規格に基づいた映像信号を生成する評価対象機器のDVI信号評価方法であって、
評価するDVI信号に対応した基準データを表示イメージ通りに格納するステップと、
該評価対象機器に接続されたDVIケーブルを介して、シリアルのDVI信号を入力するステップと、
前記シリアルのDVI信号をパラレルのDVI信号に変換するステップと、
前記変換ステップで変換されたパラレルのDVI信号を比較手段へ入力するステップと、
前記比較手段へ予め格納されている基準データを読み出すステップと、
前記比較手段で前記基準データと前記パラレルのDVI信号とを比較して正誤判定し、かつ、誤結果をカウントする判定ステップと
前記判定ステップによる誤結果のカウント値を保存するステップと
を含むことを特徴とするDVI信号評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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