説明

EEG/MEGおよびECG/MCGのためのオンラインのソース再構築

【課題】信頼できるソース再構築を生じることができることを保証する、取得された電磁データの試験方法を提供する。
【解決手段】一実施形態では、本発明は、患者から電磁信号を集めるために用いられるセンサと、信号処理システムと、コンピュータ・システムとからなる、EEGシステムを含む。このコンピュータ・システムは、実行の多重のスレッドをサポートするように構成されている。一実施形態では、コンピュータ・システムは、データが濾波されかつある場合には平均化される、測定モジュールである実行の第1のスレッドを起動する。一般に、データは、ある特定の反応時間の間濾波される。一度データが濾波されて平均化されるとその結果は、試行のためにソース再構築の生成を進行させるソース再構築モジュールである、実行の第2のスレッドに与えられる。測定モジュールは、次に、最新の試行についてソース再構築が実行される一方で、新しい試行から新しい電磁データを取得して処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、ソース画像化に関する。本発明は、特に、連続的に取得される電磁信号に対する、オンラインのソース再構築の実行に関する。
【背景技術】
【0002】
研究者および医者は、全ての疾病の診断や行動のパターンの決定のために、神経や心臓の細胞の電磁的活動のソースを位置決めしようとしばしば試みる。ソース再構築のプロセスは、一般的に、この電磁的活動の場所を決定するために用いられる。このプロセスは、電子脳造影法(EEG)、磁気脳造影法(MEG)、電子心臓造影法(ECG)または磁気心臓造影法(MCG)のような、種々の様相を通して患者の神経や心臓の細胞からの電磁信号を、収集することに関係する。このデータは、次に記憶され、ソース再構築の実行に用いられる、スタンド・アロンのコンピュータ・システムに送信される。
【0003】
この既知のソース再構築を実行する方法の1つの欠点は、それが記憶される電磁信号の品質の表示を提供しないことである。ある数の変数は、電磁的活動のソースを決定することに関わっている。試験の設定でのエラーや低い信号対雑音比(SNR)は、ソース再構築計算に重大な影響を与える。取得された電磁データの欠陥は、受け入れ可能なソース再構築を不可能にし、患者にその試験の繰り返しを要請させる。多くの試験は、手続の費用を増大させ、患者にそれをより負担の多いものにさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
結果として、相対的に信頼できるソース再構築を生じることができることを保証する、取得された電磁データの試験方法への必要が、業界では存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
本発明は、電磁信号が取得された後に、電磁信号が殆ど直ちにソース再構築を受ける、オンラインでソース再構築を実行する方法および装置である。
【0006】
一実施形態では本発明は、患者から電磁信号を集めるために用いられるセンサと、信号処理システムと、コンピュータ・システムとからなる、EEGシステムを含む。このコンピュータ・システムは、実行の多重のスレッドをサポートするように構成されている。
【0007】
一実施形態では、EEG/MEGセンサは、患者から電磁信号を取得して、信号処理システムにその信号を送信する。既知の方法を用いて、信号は、濾波され、増幅され、コンピュータ・システムにより受信されるデータ・パケットのためにデジタル化される。
【0008】
一実施形態ではコンピュータ・システムは、データが濾波されかつある場合には平均化される、測定モジュールである第1のスレッドを起動する。一般に、データは、ある特定の反応時間の間、濾波される。一度データが濾波されて平均化されると、その結果は、試行のためにソース再構築の生成を進行させるソース再構築モジュールである、第2のスレッドに与えられる。測定モジュールは、次に、最新の試行についてソース再構築が実行される一方で、新しい試行から新しい電磁データを取得して処理する。
【0009】
一実施形態ではフィードバック・ループが、電磁データを取得している測定構成と交信する。フィードバック・ループは、取得プロセスのパラメータを制御し、またはある安定度の判定基準が得られた後に、測定を停止する。ソース再構築からの結果を用いて、試験
構成は、取得した電磁信号の品質を向上するために、修正されることができる。
【0010】
なお、保護されるべきであると考えられる主題の実施と理解のために、添付の図面に主題の実施形態が図示される。以下の記述と関連させて考察した場合、図面の観察から、保護されるべき主題と、その構成および動作、および多くのその利点が容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】デジタルEEG設定を伴う、オンラインのソース再構築の一例を示すフローチャートである。
【図2】ダイポール位置を示す、散布図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示されるように、一実施形態では、本発明は、EEGシステム10に統合されている。EEGシステム10の使用は、主に説明を目的としたものである。本発明が、細胞の電磁信号のソースが決定される多数の異なる用途で、容易に適用可能であることが、当業者には、直ちに理解することができる。
【0013】
EEGシステム10は、患者から電磁信号を取得するために用いられるセンサ12を含む。信号処理システム14は、電磁信号を濾波し、増幅し、デジタル化する。コンピュータ・システム16は、信号処理システム14および信号を処理する1つまたはそれ以上のプロセッサから受信した信号を記録する、メモリ記憶装置を含む。コンピュータ・システム16は、マルチ・スレッドの実行をサポートするように構成されている。マルチ・スレッドの実行は、タイム・スライスまたは多重処理のどちらかにより他のシーケンスと並行して実行される、命令の単一のシーケンスを表す。本質的に独立のプロセスを実行するマルチタスクに反して、マルチ・スレッドは、情報、メモリおよび他のリソースを各々のスレッドの間で共用可能である。
【0014】
一実施形態では、電磁生理信号は、複数のセンサと信号処理システムとを含む試験構成を用いて取得される。EEG/MEGセンサ12は、患者から電磁信号を取得し、その信号を信号処理システム14に送信する。既知の方法を用いて、その信号は、濾波され、増幅されかつ、コンピュータ・システム16により受信される、データ・パケットにデジタル化される。
【0015】
一実施形態では、測定されデジタル化されたデータは、2つの統合されたスレッドの間で共有される。第1のスレッドは、ソース再構築モジュール18を含み、そこでデータは、ソース細胞の位置を決定するために用いられ、そこでソース細胞のグラフィック表示が生成される。互換性のあるソース再構築モジュールの一例は、ニューロスキャン社によるSOURCE(登録商標)ソフトウェア・パッケージである。第2のスレッドは、取得した信号を解析、濾波、マップおよびグラフ化できる、測定ソフトウェア・モジュール16を含む。互換性のある測定ソフトウェア・モジュールの一例は、ニューロスキャン社によるSCAN(登録商標)ソフトウェア・パッケージである。
【0016】
一実施形態では、取得された電磁データは、最初に測定モジュール16に行き、そこでデータは、濾波され、ある場合には平均化される。全体的にデータは、ある特定の反応時間の間濾波され、その反応時間は、実行される試験の型式に依存する。体性感覚誘発電位(SEP)内のある期間または試行長さは、1秒のオーダーである。この場合のサンプリング・レートは、1kHzのオーダー(1m秒のサンプリング時間)である。データが一度濾波されて平均化されると、その結果は、ソース再構築モジュール18に与えられ、そこで次に試行のソース再構築を生成するために続行される。測定モジュール16は、最も新しい試行についてソース再構築が実行される一方で、新しい試行から電磁データを取得して処理する。
【0017】
ソース再構築を実行するために、業界では幾つかの異なる方法が知られている。ソース再構築は、一般に、単一等価電流ダイポール(ECD)、移動ダイポール、静止ダイポー
ル、固定ダイポール、または領域ダイポールおよび電磁的活動の電磁場分布を記述する、数学的公式の使用により活動のソースを決定するように試みる、モデルを創造するような、電磁的活動の型式を決定することに関連している。これらのモデルは、一般に、ソースの位置と方向、電磁信号をピックアップするセンサの位置と方向、および幾何学と細胞の体積伝導率(頭部または胸部)の伝導特性に依存する。業界では周知の幾つかのモデルがあり、これらは、同心球体、境界要素法(BEM)および有限要素法(FEM)の3つの体積伝導率モデルを含む。
【0018】
測定されたデータは、背景の活動、環境および増幅器雑音に由来して、限られた信号対雑音比(SNR)を示す。データの雑音分布は、ソース空間でのダイポールの位置を、最尤のソース位置の周囲で散乱させることになる。従って再構築されたダイポールは、最尤のソース位置を表すのみである。
【0019】
ある反応時間(例えば指/手の刺激に対しては刺激後20ms)のオンラインのソース再構築を用いた、ソース再構築/安定性に関するデータのデータ品質/SNRは、単一移動ダイポールソース再構築(ソース2版を使用)が現在のPC(〜2GHz)では約3msかかるので、リアルタイムにオンラインでチェックすることができる。統合測定/ソース局在化パッケージ(スキャン/ソース)は、データを平均化した後に各々の測定期間/試行後、1または数個の予め定められた反応時間で、ダイポールを再構築することができる。例えば、数百から数千までの平均値が、測定のSNRを改善するために必要とされる。増強されたコンピュータの性能、最適化アルゴリズムおよびソフトウェアの構造(スレッド)のおかげで、電子脳造影法/電子心臓造影法(EEG/ECG)および/または磁気脳造影法/磁気心臓造影法(MEG/MCG)についてのオンラインのソース再構築が可能になっている。
【0020】
ソース再構築に加えて、ソース再構築モジュールは、スパイク検出/件数計量22、SNR解析24、および解剖学的データ26への結果の重畳(図2に示される)を含む。一実施形態では、ソース再構築モジュールは、事象検出(例えばてんかん性のスパイクの検出)またはある数の平均値(例えば、関数マッピングに対する呼び起こされた潜在能力)および/またはSNR解析を最初に実行する。次にソース再構築機能が呼び出され、その結果がディスプレイに表示(例えば等価電流ダイポール、オプションとして解剖学的画像検出への重畳)される。オプションとしての結果の解析が、追加可能(例えばてんかん性のスパイク28についてのクラスタ解析、または関数マッピングの結果についての信頼体積解析)である。
【0021】
てんかん性のスパイクの再構築の手続は、測定データの平均化が起こらないので、異なる。一般的なサンプリング・レートは、200Hzのオーダー(5ms)である。進行するEEGの自動スパイク検出/閾値化の後に、上記と同じ利点での予め定められた反応時間/範囲に対し、ダイポールがオンラインで再構築されることができ(ソース再構築が、データロスを避けるために、取得/再構築パッケージ上の、別個の、プライオリティが低いスレッドとして実装されている)、加速され改善されたてんかんに着目された局所化/診断が可能になる。
【0022】
一実施形態では、フィードバック・ループ30が、電磁データを取得している測定構成と交信する。フィードバック・ループは、取得プロセスのパラメータを制御し、またはある安定度の判定基準またはSNRが得られた後に、測定を停止する。オンラインのソース再構築は、それが対象/患者の条件と同様に、測定設定に全部にわたる直後のフィードバックおよびデータの品質を提供するので、デジタルの(例えば神経生理学的)測定の可能性を向上し、価値を追加する。増加するSNRに由来してソース位置の増加する、ダイポール位置の楕円体または散布図の可能性は、確信を持ってモニターされ、システム的な設定/構成のエラーは、試験手順中に直接見ることができる。
【0023】
以上の記載に記述された事項および添付の図面は、限定としてではなく、例としてのみ提供されている。特定の実施形態が示され、記述されているにもかかわらず、当業者には変更と修正が出願人の寄与の限界の範囲を超えることなくなされることが、自明であろう。考えられる実際の保護の範囲は、従来技術に基づいて適宜の観点で見た場合の、添付の請求項により定義される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的電磁信号を取得するセンサと、
前記センサと交信する信号処理回路と、
前記信号処理回路と交信するプロセッサであって、1つのスレッドが測定モジュールであり、第2のスレッドがソース再構築モジュールである、マルチスレッドを実行できるように構成されるプロセッサと、
前記センサによる前記生理学的電磁信号の取得のプロセスのパラメータを制御するフィードバック・ループと
を備える装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
解剖学的データ上に重畳したソース再構築結果を表示するディスプレイをさらに備える装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記センサは、MEGデータを取得する、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記センサは、EEGデータを取得する、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記センサは、ECGデータを取得する、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記センサは、MCGデータを取得する、装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−31061(P2011−31061A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232708(P2010−232708)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【分割の表示】特願2006−503110(P2006−503110)の分割
【原出願日】平成16年1月27日(2004.1.27)
【出願人】(505007490)コンピュメディクス・ユーエスエイ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】