説明

ETC車載器の取付構造

【課題】鞍乗型車両に搭載するETC車載器の防犯対応を可能とするETC車載器の取付構造を提供する。
【解決手段】鞍乗型車両に設けられETC車載器1を固定する台座部4と、出し入れ口13を開閉する蓋体16と、出し入れ口を閉成した蓋体16を固定するロック手段46とを備える。蓋体16を開き、出し入れ口13からETCカード12をETC車載器1に入れ、蓋体16を閉め、この蓋体16をロック手段46により固定することにより、鞍乗型車両2にETCカード12を装着したままで防犯対策が可能となり、ECTカード12の盗難を防止することができる。また、ロック手段46が特殊ネジたるロックネジ41を備え、このロックネジ41によって蓋体16を固定するから、特殊な工具がなければ、蓋体16を開くことができず、より防犯効果を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ETC車載器の取付構造に関し、特に鞍乗型車両にETC車載器を取付ける場合に好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ETCシステムは、車両に装着したETC車載器(有料道路自動料金収受システム陸上移動局機器)に、クレジットカード会社が発行するETCカード(契約情報などを記録したICカード)を挿入し、有料道路における料金所のトールゲートに設置した路側アンテナとETC車載器との間の無線通信を行う。この無線通信により、通行料金などの情報を、路側アンテナに接続した有料道路のコンピュータシステムとETCカード(ICカード)との双方に記録して、料金所で、料金支払いのために止まることなく、通行することを可能とする。
【0003】
そして、ETC車載器を二輪車に搭載するために、ETC装置が収まる大きさの金属製容器の底に、オートバイのハンドル固定用ボルト孔を位置合わせして貫通孔を設け、前記容器の底部には、下向きに開いた円筒面を設け、前記金属製容器をボルトによりオートバイの操舵装置に取付ける二輪車用の小物入れ(例えば特許文献1)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−137626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記二輪車用の小物入れにより、一般的な4輪車用のETC車載器を2輪車などに使用しても、防水・防犯に対応することができる。しかし、金属製容器にアンテナを収納すると、通信性能に悪影響を与えることが予想され、このためアンテナを別体化することが望ましいが、スペースに制限のある2輪車で使用するには、別にアンテナの設置場所が必要となる。さらに、容器の外部に設けるアンテナ本体の防水化が必要になる上に、アンテナに接続した導線を挿通する挿通孔を金属製容器に設けるため、その挿通孔の防水加工が必要となる。
【0006】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、鞍乗型車両に搭載するETC車載器の防犯対応を可能とするETC車載器の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ETCカードの出し入れ口を防水密封可能なETC車載器を鞍乗型車両に取付けるETC車載器の取付構造において、前記鞍乗型車両に設けられ前記ETC車載器を固定する固定部と、前記出し入れ口を開閉する開閉手段と、前記出し入れ口を閉成した前記開閉手段を固定するロック手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、前記ロック手段が特殊ネジを備え、この特殊ネジを用いて前記開閉手段を固定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、前記ETC車載器は、本体と、前記開閉手段とを備え、この開閉手段は、前記出し入れ口を開閉する蓋体であり、前記ロック手段は、前記蓋体に係止して該蓋体を固定するバックルを前記本体に回動可能に設け、前記特殊ネジを用いて前記蓋体に係止した前記バックルを固定するように構成したことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、前記ロック手段は、前記バックルにスライド可能に設けられ前記バックルの前記蓋体係止時に前記固定部に係止するロック部材と、このロック部材を前記係止方向に付勢する付勢手段とを備え、前記特殊ネジにより、前記係止状態の前記ロック部材を固定するように構成したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、前記ロック手段は、前記固定部に回動自在に設けられ前記バックルに当接する当接部を有するロック部材と、このロック部材を前記当接方向に回動付勢する付勢手段とを備え、前記特殊ネジにより、前記当接状態の前記ロック部材を固定するように構成したことを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る発明は、前記ロック手段は、前記固定部に固定される被固定部及び前記バックルに当接する当接部を有するロック部材と、前記固定部と前記被固定部との間に設けられ前記被固定部を前記固定部から離す方向に付勢する付勢手段と、前記被固定部に設けられ前記特殊ネジを遊挿する透孔と、前記固定部側に設けられ前記特殊ネジを螺合して前記特殊ネジを前記固定部に連結する連結受け部とを備え、前記特殊ネジを締めるにより前記当接状態の前記ロック部材を固定すると共に、前記特殊ネジを緩めることにより前記当接部の反当接方向への移動を許容するように構成したことを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に係る発明は、前記ロック手段は、前記特殊ネジにより前記固定部に揺動可能に設けられ前記バックルに当接する当接部を有するロック部材と、このロック部材を固定部から離れる方向に付勢する付勢手段とを備え、前記特殊ネジを締めることにより前記当接状態の前記ロック部材を前記固定部に固定すると共に、前記特殊ネジを緩めることにより前記ロック部材を揺動可能とするように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載のETC車載器の取付構造によれば、ETC車載器を固定部に固定して鞍乗型車両にETC車載器を搭載し、開閉手段を開き、出し入れ口からETCカードをETC車載器に入れ、開閉手段を閉め、開閉手段をロック手段により固定することにより、鞍乗型車両にETCカードを装着したままで防犯対策が可能となり、ECTカードの盗難を防止することができる。
【0015】
また、本発明の請求項2に記載のETC車載器の取付構造によれば、特殊ネジを用いて開閉手段を固定するから、特殊な工具がなければ、開閉手段を開くことができず、より防犯効果を高めることができる。
【0016】
また、本発明の請求項3に記載のETC車載器の取付構造によれば、蓋体により出し入れ口を閉め、この蓋体にバックルを係止し、特殊ネジを用いてバックルを固定することにより、蓋体を固定することができる。
【0017】
また、本発明の請求項4に記載のETC車載器の取付構造によれば、蓋体により出し入れ口を閉め、この蓋体にバックルを係止すると、付勢手段によりロック部材が固定部に係止し、そのロック部材を特殊ネジにより固定することにより、蓋体が固定される。一方、特殊ネジを緩め、付勢手段に抗してロック部材を係止方向と逆方向にスライドすることにより、ロック部材と固定部との係止が解除され、バックルを回動して蓋体を開くことができる。
【0018】
また、本発明の請求項5に記載のETC車載器の取付構造によれば、蓋体により出し入れ口を閉め、この蓋体にバックルを係止すると、付勢手段によりロック部材が回動してロック部材の当接部がバックルに当接し、その当接部がバックルに当接したロック部材を、特殊ネジにより固定することにより、蓋体が固定される。一方、特殊ネジを緩め、付勢手段に抗してロック部材を当接方向と逆方向に回動することにより、ロック部材がバックルから離れ、バックルを回動して蓋体を開くことができる。
【0019】
また、本発明の請求項6に記載のETC車載器の取付構造によれば、蓋体により出し入れ口を閉め、この蓋体にバックルを係止し、特殊ネジを締めて、バックルに当接したロック部材を固定することにより、蓋体が固定される。一方、特殊ネジを緩めると、ロック部材の当接部を反当接方向に移動することができ、これによりバックルを回動して蓋体を開くことができる。
【0020】
また、本発明の請求項7に記載のETC車載器の取付構造によれば、蓋体により出し入れ口を閉め、この蓋体にバックルを係止し、特殊ネジを締めて、バックルに当接したロック部材を固定することにより、蓋体が固定される。一方、特殊ネジを緩めると、ロック部材の当接部が揺動可能となり、これによりバックルを回動して蓋体を開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施例の実施例1を示す使用状態の斜視図である。
【図2】同上、ロック機構の背面図である。
【図3】同上、ロック機構の側面図である。
【図4】同上、ロック機構の分解斜視図である。
【図5】同上、蓋体とロック機構の斜視図である。
【図6】同上、開閉動作を説明する斜視図である。
【図7】同上、開閉動作を説明する他の斜視図である。
【図8】本実施例の実施例2を示す斜め上方から見た斜視図である。
【図9】同上、上方から見た斜視図である。
【図10】同上、側面から見た斜視図である。
【図11】同上、分解斜視図である。
【図12】同上、レバー取付部回りの斜視図である。
【図13】本実施例の実施例3を示す斜視図である。
【図14】同上、側面図である。
【図15】同上、突出部回りの斜視図である。
【図16】本実施例の実施例4を示す斜視図である。
【図17】同上、分解図である。
【図18】同上、開閉途中の斜視図である。
【図19】同上、特殊ナット回りの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施例1について説明する。
【実施例1】
【0023】
図1〜図7に示すように、ETC車載器1の取付構造は、自動二輪車である鞍乗型車両2のハンドル3部分に、固定部たる金属製の台座部4を取付固定し、この台座部4に前記ETC車載器1を取付固定して構成される。
【0024】
前記ETC車載器1は、合成樹脂製のケース11内にアンテナ(図示せず)を内蔵し、このケース11の一側にECTカード12の出し入れ口13を有する。また、前記ケース11は、前記台座部4に固定する本体14と、この本体14内に設けたETCカード装着部15と、前記本体14の他側に回動可能に枢着した蓋体16とを備え、この蓋体16が前記出し入れ口13を開閉する。さらに、前記ケース11は、前記蓋体16を閉成することにより前記出し入れ口13が防水密封される。
【0025】
前記ケース11の一側には、断面が略L字型のバックル21を設け、このバックル21は、基端部22と先端部23とを有する略L字型をなし、前記基端部22の端部22Aを前記本体14に回動可能に枢着し、前記先端部23の内面に係止部たる係止爪24を突設し、この係止部24が段発的に係止する係止受け部25が前記蓋体16の上面に設けられている。
【0026】
図2〜図4に示すように、前記ETC車載器1には、前記バックル21をロックするロック機構26が設けられている。このロック機構26は、取付ケース27と、この取付ケース27にスライド自在に設けたロック部材たるロックプレート28とを備え、このロックプレート28は金属などからなる。前記取付ケース27は、前面部29と、この前面部29の後面の上部に設けた上壁部30と、前記前面部29の左右で前記上壁部30に連続して設けた左右壁部31,31とを備え、また、前記前面部29の後面には、前記左右壁部31,31の間に、左右膨出部32,32を形成し、この左右膨出部32,32の間に中央案内溝33が縦設され、さらに、前記左右膨出部32,32と前記左右壁部31,31との間に、左右案内溝34,34がそれぞれ縦設されている。
【0027】
前記ロックプレート28の左右縁は、前記左右壁部31,31の内面に沿って案内され、そのロックプレート28の中央上部には、前記中央案内溝33に沿って上下に移動する中央係合部35が上方向に突出され、その中央係合部35の左右下部には、前記左右膨出部32,32の下端に当接する当接凹部36,36が形成されている。尚、前記左右膨出部32の下端と前記当接凹部36は、略半円状をなす。また、ロックプレート26の左右の上部には、バネ取付部37,37をそれぞれ設け、付勢手段たるコイルスプリング38に前記バネ取付部37を挿入し、ロックプレート28と上壁部30の内面との間に、圧縮バネである前記コイルスプリング38を装着する。さらに、ロックプレート28の左右には、前記台座部4の先端縁4Fに係止する係止部39が下方に向かって突設されている。
【0028】
また、前記取付ケース27の前面部29には、上下方向の長孔40を穿設し、この長孔40に、ロックネジ41を挿入し、このロックネジ41をロックプレート28の中央の雌螺子部42に螺合する。前記ロックネジ41は、特殊ネジであり、特殊ネジとは、ねじ込み及び取り外しに特別な工具を必要とするネジのことをいう。尚、特殊ネジ以外の汎用ネジとしては、十字溝やマイナス溝を有するものや頭部が六角なネジが例示される。前記コイルスプリング38は、ロックプレート28を下方に付勢し、これによりロックネジ41が下方に押されて長孔40の下縁に係止する。この状態で前記係止部39が台座部4の先端縁4Fに係止し、これによりバックル21が開成方向に回り止め状態となり、ロックネジ41を締めると、蓋体16が開かないようにロックされる。尚、ロックネジ41は、ネジ部41Aと頭部41Bとを有する。
【0029】
前記左右膨出部32,32には、雌螺子部を構成するインサートナット43が設けられ、このインサートナット43に対応して、前記バックル21に挿通孔44を穿設し、この挿通孔44に挿通したネジ45を前記インサートナット43に螺合することにより、バックル21にロック機構26が固定される。
【0030】
そして、前記バックル21,ロック機構26,コイルスプリング38及びロックネジ41などによりロック手段46を構成し、このロック手段46は、前記出し入れ口13を閉成した蓋体16を固定するものである。
【0031】
次に、ECT車載器1の使用方法について説明する。図6(A)及び図7(A)に示すように、ロックネジ41が長孔40の下縁に位置した状態で、ロックネジ41を締めると、蓋体16がロックされる。そして、特殊ネジであるロックネジ41は、通常の工具を用いても緩めることができないため、蓋体16を開いてETCカード12を取り出すことはできず、防犯効果が得られる。
【0032】
一方、使用者がECTカード12を取り出すには、専用工具によりロックネジ41を緩め、コイルスプリング38の付勢に抗して、ロックプレート28を押して上方にスライドさせ、係止部39を先端縁4Fの上方に移動すると、図6(B)及び図7(B)に示すように、バックル21をロック解除方向に回動することができ、図6(C)及び図7(C)に示すように、蓋体16を上方に回動して出し入れ口13を開き、ETCカード12を取り出すことができる。
【0033】
そして、ETCカード12をETCカード装着部15に装着して蓋体16を閉め、バックル21を閉成方向に回動すると、係止部39はその先端が台座部4の上面に摺動して前進し、バックル21の係止爪24が係止受け部25に係止すると、コイルスプリング38の付勢により係止部39が先端縁4Fに係止する。ここでロックネジ41を特殊工具により締めると、ロックプレート28の移動が規制され、ロック状態が得られる。
【0034】
このように本実施例では、請求項1に対応して、ETCカード12の出し入れ口13を防水密封可能なETC車載器1を鞍乗型車両2に取付けるETC車載器1の取付構造において、鞍乗型車両2に設けられETC車載器1を固定する固定部たる台座部4と、出し入れ口13を開閉する開閉手段たる蓋体16と、出し入れ口13を閉成した蓋体16を固定するロック手段46とを備えるから、ETC車載器1を台座部4に固定して鞍乗型車両2にETC車載器1を搭載し、蓋体16を開き、出し入れ口13からETCカード12をETC車載器1に入れ、蓋体16を閉め、この蓋体16をロック手段46により固定することにより、鞍乗型車両2にETCカード12を装着したままで防犯対策が可能となり、ECTカード12の盗難を防止することができる。
【0035】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、ロック手段46が特殊ネジたるロックネジ41を備え、このロックネジ41を用いて蓋体16を固定するから、特殊な工具がなければ、蓋体16を開くことができず、より防犯効果を高めることができる。
【0036】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、ETC車載器1は、本体14と、開閉手段とを備え、この開閉手段は、出し入れ口13を開閉する蓋体16であり、ロック手段46は、蓋体16に係止して該蓋体16を固定するバックル21を本体14に回動可能に設け、ロックネジ41を用いて蓋体16に係止したバックル21を固定するように構成したから、蓋体16により出し入れ口13を閉め、この蓋体16にバックル21を係止し、ロックボルト41を用いてバックル21を固定することにより、蓋体16を固定することができる。
【0037】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、ロック手段46は、バックル21にスライド可能に設けられバックル21の蓋体16係止時に固定部たる台座部4に係止するロック部材たるロックプレート28と、このロックプレート28を前記係止方向に付勢する付勢手段たるコイルスプリング38とを備え、前記ロックネジ41により、前記係止状態のロックプレート28を固定するように構成したから、蓋体16により出し入れ口13を閉め、この蓋体16にバックル21を係止すると、コイルスプリング38によりロックプレート28が台座部4に係止し、そのロックプレート28をロックネジ41により固定することにより、蓋体16が固定される。一方、ロックネジ41を緩め、コイルスプリング38に抗してロックプレート28を係止方向と逆方向にスライドすることにより、ロックプレート28が台座部4から外れ、バックル21を回動して蓋体16を開くことができる。
【0038】
また、実施例上の効果として、バックル21に挿通孔44を穿設し、ネジ45によりロック手段46をバックル21に取り付けるだけで、蓋体16の開閉をロックする構造を簡単に取り付けることができる。
【実施例2】
【0039】
図8〜図12は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、前記台座部4の先端に、ロックレバー51を取り付けるレバー取付部52を設け、このレバー取付部52には、前記ロックネジ41を螺合する雌螺子孔53を設け、この雌螺子孔53の周囲に、付勢手段たるコイルスプリング54の下端部54Aを挿入連結する下端連結孔55が穿設されている。そして、前記下端連結孔55に前記コイルスプリング54の下端部54Aを挿入し、このコイルスプリング54に筒状のカラー56を外装する。さらに、前記ロックレバー51は、その基端側に前記ロックネジ41を挿通する挿通孔58を穿設し、この挿通孔58の周囲に、前記コイルスプリング54の上端部54Bを挿入連結するレバー連結孔59が穿設されている。また、前記ロックレバー51の先端に前記バックル21の基端部22の外面に当接する当接部60が縦設されている。
【0040】
図12(B)に示すように、前記コイルスプリング54に前記カラー56を外装した後、上端部54Bをロックレバー51の閉成方向と逆方向に回動した状態で、その上端部54Bをレバー連結孔59に挿入連結し、コイルスプリング54によりロックレバー51をバックル方向に付勢した状態で装着し、さらに、挿通孔58とコイルスプリング54にロックネジ41を挿入し、このロックネジ41を時計方向に回して雌螺子部53に螺合すると、ロックレバー51が時計方向に回動して、当接部60がバックル21に当接して固定される。尚、ロックネジ41は時計方向がねじ込み方向であり、また、ロックレバー51は時計回り方向がバックル21に当接する方向である。
【0041】
そして、前記バックル21,ロックネジ41,ロックレバー51,コイルスプリング54及びカラー56などにより、ロック手段46Aを構成し、このロック手段46Aは、前記出し入れ口13を閉成した蓋体16を固定するものである。
【0042】
したがって、ロックネジ41を締めると、ロックレバー51にはロック方向である時計回り方向の力が加わるため、ロックレバー51によりバックル21が強く押し付けられた状態となり、バックル21をロック解除方向に回すことができなくなる。そして、特殊工具によりロックネジ41を緩めることができないと、蓋体16を開くことができない。
【0043】
また、バックル21に当接部60が当接する位置において、図11に示すように、前記ロックレバー51とレバー取付部52には、対応する位置に、係止部たる孔51A,52Aを穿設し、それら孔51A,52Aに、施錠手段たる南京錠のU字状ロッド(図示せず)を挿通してもよい。尚、孔51A,52Aは図11のみに図示し、他は省略した。
【0044】
そして、ロックネジ41を緩め、ロックレバー51をコイルスプリング54に抗してロック解除方向である反時計方向に回し、バックル21の係止爪24を係止受け部25から外し、蓋体16を開くことができる。
【0045】
また、蓋体16を閉めると、コイルスプリング54の弾性復元力によりロックレバー51がバックル21を押しながら時計方向に回動し、これによりバックル21の係止爪24が係止受け部25に係止するから、仮にバックル21を閉め忘れても、バックル21が自動的に蓋体16に係止し、蓋体16が開くことを防止できる。また、ロックレバー51はコイルスプリング54により常にバックル21を押し付けているから、ロックネジ41を緩めてもロックレバー51ががたつくことがない。
【0046】
このように本実施例では、鞍乗型車両2に設けられETC車載器1を固定する固定部たる台座部4と、出し入れ口13を開閉する開閉手段たる蓋体16と、出し入れ口13を閉成した蓋体16を固定するロック手段46Aとを備えるから、上記実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0047】
また、このように本実施例では、請求項5に対応して、ロック手段46Aは、固定部たる台座部4に回動自在に設けられバックル21に当接する当接部60を有するロック部材たるロックレバー51と、このロックレバー51を前記当接方向に回動付勢する付勢手段たるコイルスプリング54とを備え、ロックネジ41により、前記当接状態のロックレバー51を固定するように構成したから、蓋体16により出し入れ口13を閉め、この蓋体16にバックル21を係止すると、コイルスプリング54によりロックレバー51が台座部4に係止し、そのロックレバー51をロックネジ41により固定することにより、蓋体16が固定される。一方、ロックネジ41を緩め、ロックレバー51に抗してロックレバー51を係止方向と逆方向に回動することにより、ロックレバー51の当接部60がバックル21から離れ、バックル21を回動して蓋体16を開くことができる。
【0048】
また、実施例上の効果として、ロックレバー51とレバー取付部52とに施錠手段が係止する施錠手段係止部たる孔51A,52Aを対応して穿設したから、それら孔51A,52Aに施錠手段のロッドなどを挿入することにより、蓋体16の開閉をロックすることができ、また、U字状のロッドにヘルメットなどの他の装着品を装着して使用することもできる。
【実施例3】
【0049】
図13〜図15は本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、前記台座部4の先端に、前記ケース11より前方に突出した突出部71を形成し、この突出部71の中央に、ロックネジ41を螺合する雌螺子部72が形成されている。
【0050】
ロック部材たるロック体73は、金属などからなり、前記バックル21の基端部22の外面に当接する上下方向の当接部74と、前記突出部71の先端縁71Fに係止する上下方向の係止部75と、それら当接部74と係止部75とを連結する横方向の被固定部たる連結部76とを一体に備える。
【0051】
前記連結部76の左右方向中央には、透孔77が穿設され、この透孔77はロックネジ41のネジ部41Aが遊挿され、連結部76が傾動可能なように、前記透孔77と前記ネジ部41Aとの間に隙間が設けられており、その透孔77に前記ロックネジ41の頭部41Bが係止する。また、前記透孔77に対応して、前記当接部74には、前記ロックネジ41の頭部41Bの一部が収納可能な逃げ凹部たる逃げ孔78が穿設されている。
【0052】
そして、前記連結部76と突出部71との間に、付勢手段たるコイルスプリング79を配置し、ロックネジ41を前記透孔77とコイルスプリング79に挿入すると共に前記雌螺子部72に螺合し、図14(A)のように、ロックネジ41の頭部41B下面を連結部76に当接して該連結部76を突出部71に略沿わせ、圧縮バネであるコイルスプリング79を圧縮し、当接部74がバックル21を押し付けることにより、バックル21がロックされる。
【0053】
一方、図14(B)に示すように、ロックネジ41を緩めると、コイルスプリング79の弾性復元力によりロック体73が押し上げられ、そして、ロックネジ41を所定量だけ緩めると、頭部41Bが連結部76から離れ、バックル21を開くことができ、バックル21を開くと、当接部74がバックル21に押されてロック体73が傾動し、係止爪24が係止受け部25から外れ、蓋体16を開くことができる。
【0054】
そして、前記バックル21,ロックネジ41,ロック体73,コイルスプリング79などにより、ロック手段46Bを構成し、このロック手段46Bは、前記出し入れ口13を閉成した蓋体16を固定するものである。
【0055】
このように本実施例では、鞍乗型車両2に設けられETC車載器1を固定する固定部たる台座部4と、出し入れ口13を開閉する開閉手段たる蓋体16と、出し入れ口13を閉成した蓋体16を固定するロック手段46Bとを備えるから、上記実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0056】
また、このように本実施例では、請求項6に対応して、ロック手段46Bは、固定部たる台座部4に固定される被固定部たる連結部76及びバックル21に当接する当接部74を有するロック部材たるロック体73と、台座部4と連結部76との間に設けられ連結部76を台座部4から離す方向に付勢する付勢手段たるコイルスプリング79と、連結部76に設けられ特殊ネジたるロックネジ41を遊挿する透孔77と、台座部4側に設けられロックネジ41を螺合してロックネジ41を台座部4に連結する連結受け部たる雌螺子部72とを備え、ロックネジ41を締めることにより前記当接状態のロック体73を固定すると共に、ロックネジ41を緩めることにより当接部74の反当接方向への移動を許容するように構成したから、蓋体16により出し入れ口13を閉め、この蓋体16にバックル21を係止し、ロックネジ41を締めて、バックル21に当接したロック体73を固定することにより、蓋体16が固定される。一方、ロックネジ41を緩めると、ロック体73の当接部74を反当接方向に移動することができ、これによりバックル21を回動して蓋体16を開くことができる。
【0057】
また、実施例上の効果として、ロック体73,コイルスプリング79及びロックネジ41という簡易にして部品点数の少ない構成により、蓋体16をロックすることができる。さらに、ロック体73には、その当接部74に、ロックネジ41の頭部41Bの一部が収納可能な逃げ凹部たる逃げ孔78を設けたから、ロックネジ41の頭部41Bが邪魔になることがない。
【実施例4】
【0058】
図16〜図19は本発明の実施例4を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、前記台座部4の先端に、前記ケース11より前方に突出した突出部81を形成し、この突出部81の中央に、ロックネジ41を挿通する透孔82が形成されている。この透孔82はロックネジ41のネジ部41Aが遊挿され、ロックネジ41が傾動可能なように、前記透孔82と前記ネジ部41Aとの間に隙間が設けられている。また、前記突出部81の先端を湾曲状に屈曲してナット係合部83を形成し、このナット係合部83に特殊ナット84が回止め係合する。この特殊ナット84は、円柱部材84Aに直径方向の雌螺子部84Bを貫通形成したものであり、前記円柱部材84Aの外周が前記ナット係合部83に係合して回り止めされ、前記雌螺子部81Bに前記ロックネジ41が螺合する。さらに、ロックネジ41の先端には、抜け止め部材たるEリング85を装着する装着溝86が形成されている。尚、この装着溝86が抜け止め部材装着部である。
【0059】
ロック部材91は、円筒形の大径部92とこの下部に一体に設けた小径部93とを備えた段付きカラー状をなし、前記ロック部材91には、前記ロックネジ41を挿通する貫通孔94が形成されている。尚、ロック部材91は合成樹脂や金属などから形成される。また、前記径小部93には付勢手段たるコイルスプリング95が外装され、ロック部材91の下向きの段部91Aに係合する。また、前記突出部81とコイルスプリング95との間には、座金96が配置され、この座金96に前記ネジ部41Aを挿通している。尚、コイルスプリング95は圧縮バネである。
【0060】
そして、ロックネジ41を、コイルスプリング95を装着したロック部材91と、座金96と、透孔82とに挿通すると共に、特殊ナット84に螺合し、ロックネジ41を締めることにより、大径部92と突出部81の間のコイルスプリング95を圧縮し、小径部93を座金96を介して突出部81に押し当てると、ロック部材91が起立し、大径部92がバックル21に当接して、バックル21をロックし、蓋体16を開くことができない。この特殊ナット84から突出した先端にEリング85を装着し、抜け止め状態とする。
【0061】
一方、図18に示すように、ロックネジ41を緩めると、コイルスプリング95が伸張して小径部93が突出部81から離れ、透孔82に対してロックネジ41が傾動可能となり、バックル21を開くと、ロック部材91が倒れ、係止爪24が係止受け部52から外れ、蓋体16を開くことができる。
【0062】
また、蓋体16を閉め、バックル21から手を離すと、ロックネジ41を締めなくても、コイルスプリング95の付勢によりロック部材91がバックル21を押しながら元に位置に戻り、突出部81に対して垂直となり、係止爪24が係止受け部25に係止するから、ロックの必要の無いときに、ロックネジ41を締めなくても、がたつきを生じることがない。
【0063】
そして、前記バックル21,ロックネジ41,特殊ナット84,ロック部材91及びコイルスプリング95などにより、ロック手段46Cを構成し、このロック手段46Cは、前記出し入れ口13を閉成した蓋体16を固定するものである。
【0064】
このように本実施例では、鞍乗型車両2に設けられETC車載器1を固定する固定部たる台座部4と、出し入れ口13を開閉する開閉手段たる蓋体16と、出し入れ口13を閉成した蓋体16を固定するロック手段46Cとを備えるから、上記実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0065】
また、このように本実施例では、請求項7に対応して、ロック手段46Cは、ロックネジ41により固定部たる台座部4に揺動可能に設けられバックル21に当接する当接部たる大径部92を有するロック部材91と、このロック部材91を台座部4から離れる方向に付勢する付勢手段たるコイルスプリング95とを備え、ロックネジ41を締めることにより前記当接状態のロック部材91を台座部4に固定すると共に、ロックネジ41を緩めることによりロック部材91を揺動可能とするように構成したから、蓋体16により出し入れ口13を閉め、この蓋体16にバックル21を係止し、ロックネジ41を締めて、バックル21に当接したロック部材91を固定することにより、蓋体16が固定される。一方、ロックネジ41を緩めると、ロック部材91の大径部92が揺動可能となり、これによりバックル21を回動して蓋体16を開くことができる。
【0066】
また、実施例上の効果として、特殊ナット84は、突出部81に係合する外面が曲面をなすから、螺合したロックネジ41がスムーズに傾動することができる。また、ナット係合部83が特殊ナット84に係合することにより、ロックネジ41を前後方向に傾動することができる。
【0067】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、鞍乗型車両とは、自動二輪車、スノーモービル、四輪バイクなどを含む。また、実施例3では、雌螺子部により連結受け部を構成したが、突出部に透孔を穿設し、この透孔にネジ部41Aを挿通し、このネジ部41Aにナットを螺合し、このナットにより連結受け部を構成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 ECT車載器
2 鞍乗型車両
3 ハンドル
4 台座部(固定部)
12 ETCカード
13 出し入れ口
14 本体
16 蓋体(開閉手段)
21 バックル
22 基端部
23 先端部
24 係止爪
25 係止受け部
28 ロックプレート(ロック部材)
38 コイルスプリング(バネ・付勢手段)
41 ロックネジ(特殊ネジ)
41A ネジ部
41B 頭部
46,46A,46B,46C ロック手段
51 ロックレバー(ロック部材)
54 コイルスプリング(付勢手段)
60 当接部
72 雌螺子部(連結受け部)
73 ロック体(ロック部材)
74 当接部
76 連結部(被固定部)
79 コイルスプリング(付勢手段)
91 ロック部材
92 大径部(当接部)
95 コイルスプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ETCカードの出し入れ口を防水密封可能なETC車載器を鞍乗型車両に取付けるETC車載器の取付構造において、前記鞍乗型車両に設けられ前記ETC車載器を固定する固定部と、前記出し入れ口を開閉する開閉手段と、前記出し入れ口を閉成した前記開閉手段を固定するロック手段とを備えることを特徴とするETC車載器の取付構造。
【請求項2】
前記ロック手段が特殊ネジを備え、この特殊ネジを用いて前記開閉手段を固定することを特徴とする請求項1記載のETC車載器の取付構造。
【請求項3】
前記ETC車載器は、本体と、前記開閉手段とを備え、この開閉手段は、前記出し入れ口を開閉する蓋体であり、前記ロック手段は、前記蓋体に係止して該蓋体を固定するバックルを前記本体に回動可能に設け、前記特殊ネジを用いて前記蓋体に係止した前記バックルを固定するように構成したことを特徴とする請求項2記載のETC車載器の取付構造。
【請求項4】
前記ロック手段は、前記バックルにスライド可能に設けられ前記バックルの前記蓋体係止時に前記固定部に係止するロック部材と、このロック部材を前記係止方向に付勢する付勢手段とを備え、前記特殊ネジにより、前記係止状態の前記ロック部材を固定するように構成したことを特徴とする請求項3記載のETC車載器の取付構造。
【請求項5】
前記ロック手段は、前記固定部に回動自在に設けられ前記バックルに当接する当接部を有するロック部材と、このロック部材を前記当接方向に回動付勢する付勢手段とを備え、前記特殊ネジにより、前記当接状態の前記ロック部材を固定するように構成したことを特徴とする請求項3記載のETC車載器の取付構造。
【請求項6】
前記ロック手段は、前記固定部に固定される被固定部及び前記バックルに当接する当接部を有するロック部材と、前記固定部と前記被固定部との間に設けられ前記被固定部を前記固定部から離す方向に付勢する付勢手段と、前記被固定部に設けられ前記特殊ネジを遊挿する透孔と、前記固定部側に設けられ前記特殊ネジを螺合して前記特殊ネジを前記固定部に連結する連結受け部とを備え、前記特殊ネジを締めるにより前記当接状態の前記ロック部材を固定すると共に、前記特殊ネジを緩めることにより前記当接部の反当接方向への移動を許容するように構成したことを特徴とする請求項3記載のETC車載器の取付構造。
【請求項7】
前記ロック手段は、前記特殊ネジにより前記固定部に揺動可能に設けられ前記バックルに当接する当接部を有するロック部材と、このロック部材を前記固定部から離れる方向に付勢する付勢手段とを備え、前記特殊ネジを締めることにより前記当接状態の前記ロック部材を前記固定部に固定すると共に、前記特殊ネジを緩めることにより前記ロック部材を揺動可能とするように構成したことを特徴とする請求項3記載のETC車載器の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−148344(P2011−148344A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9516(P2010−9516)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)