説明

FPDモジュール組立装置

【課題】表示パネル基板のソース辺とゲート側の辺を同時処理して、TABやCOFなどにより搭載部材を搭載するFPDモジュール組立装置において、安定的、かつ、効率的に、様々な表示パネル基板のサイズに対応しうるようにする。
【解決手段】各工程において、ソース側の辺とゲート側の辺を同時に処理するときに、表示パネル基板の処理辺を同時に保持する機構として、ソース側の辺に、表示パネル基板の下面から吸着・保持するソース側のI型の保持部材と、ゲート側の辺に、表示パネル基板の下面から吸着・保持する一対のL型のゲート側の保持部材を設け、表示パネル基板に関するデータに基づき、一対のゲート側の保持部材の相対距離を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPDモジュール組立装置に係り、表示パネル基板に電子部品を加熱圧着をするときに、様々なサイズの表示パネル基板に対して、効率的に電子部品を装着しうるFPDモジュール組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
FPDモジュール組立装置は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)などのFPD(Flat Panel Display)の表示パネル基板に対して、複数の処理工程を順次おこなうことにより、表示パネル基板における周辺部に、駆動ICの搭載や、COF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)などのTAB(Tape Automated Bonding)接続、あるいは、表示基板の周辺に、PCB(Printed Circuit Board)などの周辺基板などを実装する装置である。
【0003】
以下の説明で「搭載部材」と称する電子部品は、その詳細形状や部材の厚さの差異などで、TCP(Tape Carrier Package)と呼称されたり、TABと呼称されたり、COFと呼称されたりする。これらTCPやTABやCOFは、スプロケット穴を有する長尺のポリイミドフィルムに配線を施したFPCに、ICチップを搭載し、FPCを切り出して構成されたものであり、実装する上での差異はない。また、パネルの設計によってはICチップなしのFPCのみを実装する場合もある。FPDモジュールの実装組立工程においては、これらの部品に実質上の差異はない。
【0004】
FPDモジュール組立装置の処理工程としては、通常、(1)表示パネル基板端部のTAB貼付け部を清掃する端子クリーニング工程、(2)清掃後の表示パネル基板端部に異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を貼り付けるACF工程、(3)表示パネル基板のACFを貼り付けた位置に、TABやICを位置決めして搭載する仮圧着工程、(4)搭載したTABやICを加熱圧着してACFにより固定する本圧着工程、(5)TABのパネル基板側と反対側に、予めACFを貼り付けたPCBを貼付け搭載するPCB工程がある。
【0005】
例えば、特許文献1には、このような処理工程により、FPDを生産するFPDモジュール組立装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−165890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
FPDモジュール組立装置は、上記の各工程において、処理ヘッドによって安定して処理をおこなうために、表示パネル基板の処理をおこなう一辺側を、パネル保持部材によって下側から吸着・保持する。
【0008】
特許文献1の段落番号0022、図2には、「表示基板101の作業辺を載せて吸着させることで平坦化を行う基準バー24、34、44、54、64、74および84が設けられている。」と記載されている。
【0009】
ところで、表示パネル基板には、TABやCOFにより周辺部に搭載部材を実装するときに、長辺側(ソース側)にデータ用ICが搭載され、短辺側(ゲート側)に電源用ICが搭載されるのが一般的である。中型までの表示パネルでゲート側の一辺のみに搭載部材を搭載するが、特に、大型の表示パネル基板では、ゲート側の二辺に搭載部材を搭載する。
【0010】
従来では、周辺部に搭載部材を実装するときに、ソース側の処理とゲート側の処理は、別々におこなっていたため処理時間が長くかかっていた。
【0011】
以下、図12を用いて従来技術に係るFPDモジュール組立装置による処理工程を説明する。
【0012】
図12は、従来技術に係るFPDモジュール組立装置による端子クリーニング工程からPCB工程までの工程での処理を示す模式図である。
【0013】
例えば、従来、ゲート側の二辺(それぞれ、「ゲート側1」、「ゲート側2」と記載する)に搭載部材を搭載する場合に、一つの表示パネル基板を処理するために、(端子クリーニング工程200:ソース側)→(端子クリーニング工程201:ゲート側1、ゲート側2)→(ACF工程210:ソース側)→(仮圧着工程211:ソース側)→(本圧着工程212:ソース側)→(ACF工程220:ゲート側1)→(ACF工程221:ゲート側2)→(仮圧着工程222:ゲート側1、ゲート側2)→(本圧着工程230:ゲート側1)→(本圧着工程231:ゲート側2)→(PCB工程240:ゲート側2)→(PCB工程241:ソース側)→(PCB工程242:ゲート側1)のように処理される。
【0014】
このように処理効率が悪いことを改良するために、各工程で、ソース側とゲート側(一辺または二辺)を同時処理するFPDモジュール組立装置が提案されている。このようなFPDモジュール組立装置では、ソース側とゲート側の各々に処理ヘッドが設けられ、一つの表示パネル基板に対して、ソース側とゲート側の各々がそれぞれの処理ヘッドで同時に処理され、処理効率を向上させることができる。
【0015】
特許文献1では、表示パネル基板の一方向の辺のみの処理を、行っているため、基準バー(パネル保持部材)は、一方向しか設置されていない。
【0016】
ソース側とゲート側を同時処理するためには、パネル保持部材は、ソース側とゲート側にそれぞれ必要であるが、単純にソース側とゲート側のそれぞれに、パネル保持部材を置くと、種々のサイズの表示パネル基板に対応できず、各工程の作業が円滑におこなえないという問題点がある。また、表示パネル基板のサイズに合わせて、パネル保持部材を取り外して、取り換えるのは、作業上、非効率である。
【0017】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、表示パネル基板のソース側の辺とゲート側の辺を同時処理して、表示パネル基板に搭載部材を搭載するFPDモジュール組立装置において、安定的、かつ、効率的に、様々な表示パネル基板のサイズに対応しうるFPDモジュール組立装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のFPDモジュール組立装置は、表示パネル基板の各辺に搭載部材を接続する際に、各工程において、ソース側の辺と一対のゲート側の辺を同時処理するFPDモジュール組立装置であって、表示パネル基板のソース側の辺を、表示パネル基板の下面から吸着・保持するソース側の保持部材と、表示パネル基板のゲート側の辺を、表示パネル基板の下面から吸着・保持する一対のゲート側の保持部材からなるものであり、一対のゲート側の保持部材の相対距離が、可変であるようにしたものである。
【0019】
制御部は、記憶部に格納された表示パネル基板に関するデータを読み込み、その表示パネル基板に関するデータに基づき、ゲート側の保持部材の相対距離を保つように制御する。
【0020】
また、保持部材の形状は、ソース側の辺の保持部材が、I型形状であり、ゲート側の辺の保持部材が、L型形状であるようにしたものである。
【0021】
また、保持部材の形状は、ゲート側の辺の保持部材が、二つのI型形状の保持部材の組合せであるようにしたものである。
【0022】
また、保持部材の形状は、ソース側の辺の保持部材が、T型形状であるようにしたものである。
【0023】
また、保持部材の形状は、ソース側の辺の保持部材が、I型形状であり、ソース側の辺の保持部材が、複数設けられたようにしたものである。
【0024】
以上により、本発明のFPDモジュール組立装置は、以下の特徴を有する。
(1)各種表示パネル基板のサイズに合わせて、パネル処理辺保持部と表示パネル基板に対して、張り出し量を一定に保持させることが可能となる。
(2)各種表示パネル基板のサイズを変更する際に、パネル処理辺保持部の部品を変更する必要なく、表示パネル基板を処理することが可能となる。
(3)表示パネル基板のサイズを変更する際に、装置に保存された表示パネル基板のサイズデータを変更することにより、自動でパネル処理辺保持部が表示パネル基板の処理するために保持する適切な位置に移動することが可能となる。
(4)表示パネル基板サイズを変更する際に掛かる時間を短縮することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、表示パネル基板のソース側の辺とゲート側の辺を同時処理して、搭載部材を搭載するFPDモジュール組立装置において、安定的、かつ、効率的に、様々な表示パネル基板のサイズに対応しうるFPDモジュール組立装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る一実施形態のFPDモジュール組立装置による端子クリーニング工程からPCB工程までの工程での処理を示す模式図である。
【図2A】本発明の一実施形態に係るFPDモジュール組立装置の上面図である(その一)。
【図2B】本発明の一実施形態に係るFPDモジュール組立装置の上面図である(その二)。
【図3】図2AのA方向から見た側面図である。
【図4】図2AのB方向から見た側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るFPDモジュール組立装置のパネル処理辺保持部に関する部分の機能ブロック図である。
【図6A】パネル処理辺保持部23の吸着機構を説明するための図である(その一)。
【図6B】パネル処理辺保持部23の吸着機構を説明するための図である(その二)。
【図7】ソース側辺保持部をI型、左ゲート側辺保持部をL型、右ゲート側辺保持部をL型にしたときのパネル処理辺保持部の形態を説明する図である。
【図8】パネル処理辺保持部を、L型の左ゲート側辺保持部と、L型の右ゲート側辺保持部で構成したときのパネル処理辺保持部の形態を説明する図である。
【図9】L型の左ゲート側辺保持部を、I型の保持部材の組合せで形成したときのパネル処理辺保持部の形態を説明する図である。
【図10】ソース側辺保持部をT型の保持部材で形成したときのパネル処理辺保持部の形態を説明する図である。
【図11】ソース側辺保持部をI型、左ゲート側辺保持部をL型、右ゲート側辺保持部をL型にしたときで、I型のソース側辺保持部を複数有するようにしたときのパネル処理辺保持部の形態を説明する図である。
【図12】従来技術に係るFPDモジュール組立装置による端子クリーニング工程からPCB工程までの工程での処理を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る一実施形態を、図1ないし図11を用いて説明する。
先ず、図1を用いて本発明に係る一実施形態のFPDモジュール組立装置により、FPDモジュールを組立てる工程について説明する。
図1は、本発明に係る一実施形態のFPDモジュール組立装置による端子クリーニング工程からPCB工程までの工程での処理を示す模式図である。
【0028】
FPDモジュールを組立てる工程では、以下の(a)〜(f)が実施される。
(a)端子クリーニング工程(パネル側)100:表示パネル基板の周辺端子領域を清掃する工程である。溶剤などを浸み込ませた清掃テープで、端子部の異物などを拭取り除去する。その他の異物除去方法としてはUVやプラズマを用いる方法もある。ここで、表示パネル基板の本発明の第一の辺であるソース側、本発明の第二の辺であるゲート側の両辺で、端子のクリーニングがおこなわれる。
(b)ACF貼付工程101:ACFを表示パネル基板、または、搭載部材に貼付ける工程である。ACFを熱により軟化させて表示パネル基板またはTABやCOFの搭載部材の搭載位置に仮付けする。ここで、表示パネル基板のソース側、ゲート側の両辺にACFが貼り付けられる。
(c)仮圧着工程102:表示パネル基板周縁部に、搭載部材を搭載し、仮圧着する工程である。 表示パネル基板に設けられた基準マークと、搭載部材に設けられた基準マークを検出位置決めし、既定の位置に搭載される。ここで、表示パネル基板のソース側、ゲート側の両辺に搭載部材が搭載されて、仮圧着される。
(d)本圧着工程103:仮圧着工程で、表示パネル基板周辺に搭載された搭載部材を、圧着ヘッドにより、高温加熱することで導通を確保しACFを熱硬化して、搭載する工程である。ここで、表示パネル基板のソース側、ゲート側の両辺に搭載部材が、表示パネル基板と電気的に導通を確保された状態で搭載・固定される。
(e)PCB工程104:周辺回路基板にACFを貼り付け、周辺回路基板と表示パネル基板を熱圧着する工程である。表示パネル基板に取り付けられた搭載部材の反対側に周辺回路基板を位置決めし、高温加熱することで導通を確保しACFを熱硬化させて、搭載する工程である。ここで、表示パネル基板の少なくともソース側に、PCBが接続される。
【0029】
FPDモジュールを組立てる際には、上記のように、各工程の処理するモジュール組立装置を連結して、ラインを形成し、連続的に組立処理を実施している。
【0030】
以下、図2Aないし図6Bを用いて本発明の一実施形態に係るFPDモジュール組立装置について説明する。
図2Aおよび図2Bは、本発明の一実施形態に係るFPDモジュール組立装置の上面図である。
図3は、図2AのA方向から見た側面図である。
図4は、図2AのB方向から見た側面図である。
図5は、本発明の一実施形態に係るFPDモジュール組立装置のパネル処理辺保持部に関する部分の機能ブロック図である。
図6Aおよび図6Bは、パネル処理辺保持部23の吸着機構を説明するための図である。
【0031】
ここで、図2Aは、表示パネル基板のパネルサイズが最大であるときの状態を示し、図2Bは、表示パネル基板のパネルサイズが最小であるときの状態を示している。
【0032】
上記のように、表示パネル基板のソース側の辺と、ゲート側の辺を同時にする処理(以下、簡単化のため「同時処理」という)は、端子クリーニング工程100、ACF貼付工程101、仮圧着工程102、本圧着工程103、PCB工程104のいずれでも可能であるが、本実施形態では、代表として、仮圧着工程102に用いられるFPDモジュール組立装置を例に取り説明する。
【0033】
本実施形態のFPDモジュール組立装置1は、図2Aに示されるように、大別して、ソース側処理部20と、左ゲート側処理部21と、右ゲート側処理部22と、パネル処理辺保持部23と、パネル中央保持部24とからなる。
【0034】
ソース側処理部20は、表示パネル基板Pの三辺の内の真ん中のソース側の辺の部分を処理する部分である。
【0035】
左ゲート側処理部21は、表示パネル基板Pの三辺の内の左側のゲート側の辺を処理する部分である。
【0036】
右ゲート側処理部22は、表示パネル基板Pの三辺の内の右側のゲート側の辺を処理する部分である。
【0037】
パネル処理辺保持部23は、表示パネル基板の各処理辺を支えて保持する部分である。
【0038】
パネル中央保持部24は、表示パネル基板の中央を支える部分である。パネル中央保持部24は、左パネル中央保持部24aと右パネル中央保持部24bからなる。
【0039】
また、パネル処理辺保持部23は、表示パネル基板Pの処理する三辺のうち真ん中の処理辺(ソース側の辺)を保持するソース側辺保持部23a、向かって左側の処理辺(ゲート側の辺)を保持する左ゲート側辺保持部23b、向かって右側の処理辺(ゲート側の辺)を保持する右ゲート側辺保持部23cの三つの保持機構からなる。
【0040】
ソース側処理部20は、処理ユニット可動ガイド20aと、処理ユニット20bl,20brからなり、処理ユニット20bl,20brは、処理ユニット可動ガイド20a上を移動して、表示パネル基板のソース側に対して処理をおこなう。ここで、仮圧着工程に使われるFPDモジュール組立装置での、処理ユニットは、搭載ヘッドであり、搭載部材を表示パネル基板のソース側の辺に搭載するものである。
【0041】
左ゲート側処理部21は、処理ユニット可動ガイド21aと、処理ユニット21bと、スライドガイド21c、ボールねじ21d、モータ21e、ベース21fからなる。
【0042】
同様に、右ゲート側処理部22は、処理ユニット可動ガイド22aと、処理ユニット22bと、スライドガイド22c、ボールねじ22d、モータ22e、ベース22fからなる。
【0043】
右ゲート側処理部22の処理ユニット22bは、処理ユニット可動ガイド22a上を移動して、表示パネル基板のゲート側に対して処理をおこなう。ここで、仮圧着工程に使われるFPDモジュール組立装置での、処理ユニットは、搭載ヘッドであり、搭載部材30を表示パネル基板のゲート側の辺側に搭載するものである。
【0044】
左ゲート側処理部21の処理ユニット21bと処理ユニット可動ガイド21aに関する動作も同様である。
【0045】
また、FPDモジュール組立装置1は、図5に示されるように、制御部300と、記憶部310とを備え、制御部300がモータ21e,22eの回転量を制御できるようになっている。
【0046】
また、右ゲート側処理部22の処理ユニット22bと、右ゲート側辺保持部23cは、ベース22f上に設置されていて、図3、図4に示すように、モータ22eを回転させて、ボールねじ22dにより、ベース22fが移動できるように取り付けられている。そして、記憶部310に格納されている表示パネル基板に関するデータを読み込むことにより、制御部300は、パネルサイズを認識し、モータ22eを適切量回転させて、ボールねじ22dにより、ベース22fをスライドガイド22上に沿って、適正な位置へ移動させる。
【0047】
また、左ゲート側処理部21の処理ユニット21bと、左ゲート側辺保持部23bと、ベース21fに関する動作も同様である。
【0048】
表示パネル基板に対して処理中に、処理の支障のないように表示パネル基板をしっかりと支えるために、ソース側の辺には、ソース側辺保持部23a、左側のゲート側の辺には、左ゲート側辺保持部23b、右側のゲート側の辺には、右ゲート側辺保持部23cが設けられ、処理中の表示パネル基板Pを保持固定し、かつ、表示パネル基板Pが有する反りやうねりなどを補正して、各々の処理辺の平面を保つようにする。
【0049】
また、表示パネル基板の中央部でも、パネル中央保持部24により、表示パネル基板の中央が支えられ、表示パネル基板に反りが出ないようにする。
【0050】
ここで、ソース側辺保持部23aは、固定であり、左ゲート側辺保持部23bと、右ゲート側辺保持部23cは、ベース21f、ベース22fを移動させることにより、各々処理ユニット21b、処理ユニット22bと共に可動できるようになっている。
【0051】
したがって、表示パネル基板が大きいときには、図2Aに示す位置になるが、表示パネル基板がより小さいときには、図2Bに示すように、ベース21f、ベース22fの距離が近くなり、左ゲート側辺保持部23bと、右ゲート側辺保持部23cの位置も近接し、表示パネル基板のサイズに合わせるように移動する。
【0052】
表示パネル基板Pの処理端から保持位置までの適正な距離は、ソース側辺保持部23a、左ゲート側辺保持部23b、右ゲート側辺保持部23cによる保持面のZ方向位置と、各々の処理ユニット20bl、20br、処理ユニット21b、処理ユニット22bの処理位置のZ方向位置に関連するものである。この表示パネル基板Pの処理端から保持位置までの距離は、表示パネル基板の反りや剛性とともに、ソース側辺保持部23a、左ゲート側辺保持部23b、右ゲート側辺保持部23cの保持面のZ方向精度や、各々の処理ユニット20bl、20br、処理ユニット21b、処理ユニット22bの処理位置のZ方向精度などを考慮して、適正値を決める必要がある。
【0053】
本実施形態では、ボールねじ21d、モータ21e、ベース21fからなる左ゲート側処理部21の可動機構と、ボールねじ22d、モータ22e、ベース22fからなる右ゲート側処理部22の可動機構により、自在に調整することができる。
【0054】
また、図6A(a)に示されるように、ソース側辺保持部23a、左ゲート側辺保持部23b、右ゲート側辺保持部23cの上面には、吸着穴28が穿たれている。そして、図6A(b)のB−B断面、図6A(c)のA−A断面、で示されるように、ソース側辺保持部23a、左ゲート側辺保持部23b、右ゲート側辺保持部23cの内部には、吸引チャンバ25と切替えバルブ26が設けられ、外部からの吸引負圧力を切替えバルブにより切替えることにより、吸引チャンバ内の圧力を大気圧または若干正圧と、負圧とを切替えることができるように構成されている。
【0055】
吸引チャンバ25と切替えバルブ26は、図のように複数設けられ、切替えバルブ26を切替えることにより、処理する基板サイズに応じて、吸着固定する領域を変えることができるように構成されている。
【0056】
図6Aは、サイズの小さな表示パネル基板を、ソース側辺保持部23a、左ゲート側辺保持部23b、右ゲート側辺保持部23cの吸着穴28により、吸着した例である。
【0057】
図6A(c)に示されるように、表示パネル基板が上に載っているL型の右ゲート側辺保持部23cの上側の一つの吸引チャンバ25aは、切替えバルブ26aを開放し、負圧吸引27し、右ゲート側辺保持部23cの図面下側の二つの吸引チャンバ25b,25cの上には、表示パネル基板が載っていないので、下側の二つの切替えバルブ26b,26cを閉鎖し、図6A(b)に示されるように、I型のソース側辺保持部23aとL型の右ゲート側辺保持部23cが重なりあう部位のI型のソース側辺保持部23aの吸引チャンバ25d,25e,25fの切替えバルブ26d,26e,26fを閉鎖している。
【0058】
一方、図6Bは、サイズの大きな表示パネル基板を、ソース側辺保持部23a、左ゲート側辺保持部23b、右ゲート側辺保持部23cの吸着穴28により、吸着した例である。
【0059】
図6B(c)に示されるように、L型の右ゲート側辺保持部23cの図面上側の吸引チャンバ25a、図面下側の二つの吸引チャンバ25b,25cの上には、表示パネル基板が載っているので、上側の切替えバルブ26aと、下側の二つの切替えバルブ26b,26cは共に開放され、表示パネル基板Pのゲート側の辺を吸着する。
【0060】
また、I型のソース側辺保持部23aとL型の右ゲート側辺保持部23cは、離れた状態になるので、図6B(b)に示されるように、I型の吸引チャンバ25d,25e,25fの切替えバルブ26d,26e,26fは、全て開放され、表示パネル基板Pのソース側の辺を吸着する。
【0061】
このように、パネル処理辺保持部23は、ソース側の辺に、I型のソース側辺保持部23a、左側ゲート側の辺に、L型の左ゲート側辺保持部23b、右側のゲート側の辺に、L型の右ゲート側辺保持部23cを有しており、表示パネル基板Pの各々のソース側、ゲート側の処理辺の10〜150mm程度内側を吸着保持できるように構成されている。
【0062】
次に、図7ないし図11を用いてパネル処理辺保持部の形態の変形例について説明する。
図7は、ソース側辺保持部をI型、左ゲート側辺保持部をL型、右ゲート側辺保持部をL型にしたときのパネル処理辺保持部の形態を説明する図である。
図8は、パネル処理辺保持部を、L型の左ゲート側辺保持部と、L型の右ゲート側辺保持部で構成したときのパネル処理辺保持部の形態を説明する図である。
図9は、L型の左ゲート側辺保持部を、I型の保持部材の組合せで形成したときのパネル処理辺保持部の形態を説明する図である。
図10は、ソース側辺保持部をT型の保持部材で形成したときのパネル処理辺保持部の形態を説明する図である。
図11は、ソース側辺保持部をI型、左ゲート側辺保持部をL型、右ゲート側辺保持部をL型にしたときで、I型のソース側辺保持部を複数有するようにしたときのパネル処理辺保持部の形態を説明する図である。
【0063】
上の説明では、図7に示されるように、ソース側辺保持部をI型、左ゲート側辺保持部をL型、右ゲート側辺保持部をL型にしたときのパネル処理辺保持部について説明した。
【0064】
ここで、図7(a)は、表示パネル基板のサイズが小さいときの配置例であり、図7(b)は、表示パネル基板のサイズが大きいときの配置例である。
【0065】
また、別のパネル処理辺保持部23の形態の例としては、図8に示されるように、パネル処理辺保持部23を、L型の左ゲート側辺保持部23b′と、L型の右ゲート側辺保持部23c′で構成するようにしてもよい。
【0066】
ここで、図8(a)は、表示パネル基板のサイズが小さいときの配置例であり、図8(b)は、表示パネル基板のサイズが大きいときの配置例である。
【0067】
この図8に示される例の場合、L型の左ゲート側辺保持部23b′の表示パネル基板のソース側に折れ曲がった部分が、L型の右ゲート側辺保持部23c′のソース側に折れ曲がった部分より、奥にあり、両者の折れ曲がった部分が、表示パネル基板のソース側辺を処理するとき、吸着保持する機能を有する。
【0068】
図7に示されたパネル処理辺保持部と、図8に示されたパネル処理辺保持部の配置例を比較すると明らかなように、図7に示されたI型と、二つのL型のパネル処理辺保持部の組合せは、より大型の表示パネル基板の処理に向いており、図8に示された二つのL型のパネル処理辺保持部の組合せは、より小型の表示パネル基板の処理に向いているという特徴がある。
【0069】
また、別の変形例としては、図9に示されるように、図7に示したL型の左ゲート側辺保持部23bを、二つのI型のパネル保持部材23d、23eをL型に配置するようにしても同等の効果が得られる。L型の右ゲート側辺保持部23cも同様である。
【0070】
また、別の変形例としては、図10に示されるように、図7に示したI型のソース側辺保持部23aを、T型の保持部材23fにしてもよい。これは、I型のソース側辺保持部23aに表示パネル基板の中心方向に向かう出っ張りをつけたものである。これにより、I型保持部材23aよりも表示パネル基板の中心部における撓みを低減させることができる。
【0071】
また、別の変形例としては、図11に示されるように、ソース側辺保持部として、I型の中央ソース側辺保持部23i、I型の左ソース側辺保持部23g、I型の右ソース側辺保持部23hのように、三辺で構成してもよい。
【0072】
これは、図7のパネル処理辺保持部と比較して、より大型の表示パネル基板Pを処理するために用いることができる。
【0073】
また同様にI型のパネル処理保持部材、L型のパネル処理保持部材、T型のパネル処理保持部材の配置構成により多品種の表示パネル基板を保持することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
P…表示パネル基板
20…ソース側処理部
20a…処理ユニット可動ガイド(ソース側処理部)
20bl,20br…処理ユニット(ソース側処理部)
21…左ゲート側処理部
21a…処理ユニット可動機構(左ゲート側処理部)
21b…処理ユニット(左ゲート側処理部)
21c…スライドガイド(左ゲート側処理部)
21d…ボールねじ(左ゲート側処理部)
21e…モータ(左ゲート側処理部)
21f…ベース(左ゲート側処理部)
22…右ゲート側処理部
22a…処理ユニット可動機構(右ゲート側処理部)
22b…処理ユニット(右ゲート側処理部)
22c…スライドガイド(右ゲート側処理部)
22d…ボールねじ(右ゲート側処理部)
22e…モータ(右ゲート側処理部)
22f…ベース(右ゲート側処理部)
23…パネル処理辺保持部
23a…ソース側辺保持部(I型)
23b,23b′…左ゲート側辺保持部(L型)
23c,23c′…右ゲート側辺保持部(L型)
23d,23e…左ゲート側辺保持部(I型)
23f…ソース側辺保持部(T型)
23g…左ソース側辺保持部
23h…右ソース側辺保持部
23i…中央ソース側辺保持部
24…パネル中央保持部
24a…左パネル中央保持部
24b…右パネル中央保持部
25…吸引チャンバ
26…切替バルブ
27…負圧吸引
30…搭載部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネル基板の各辺に搭載部材を接続するFPDモジュール組立装置において、
前記表示パネル基板の第一の辺を、前記表示パネル基板の下面から保持する第一の保持部材と、
前記表示パネル基板の第二の辺を、前記表示パネル基板の下面から保持する一対の第二の保持部材とを有し、
前記一対の第二の保持部材の相対距離が、可変であることを特徴とするFPDモジュール組立装置。
【請求項2】
前記第一の保持部材と前記第二の保持部材は、前記表示パネル基板の下面と接する面に複数の吸着穴と、その吸着穴の下側にチャンバーが設けられており、前記吸着穴の下側のチャンバーを減圧することにより、前記第一の保持部材と前記第二の保持部材の吸着穴によって前記表示パネル基板を吸着することを特徴とする請求項1記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項3】
制御部と、記憶部とを有し、
前記制御部は、前記記憶部に格納された前記表示パネル基板に関するデータを読み込み、前記表示パネル基板に関するデータに基づき、前記第二の保持部材の相対距離を可変にするように制御することを特徴とする請求項1記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項4】
前記第一の保持部材が、I型形状であり、
前記第二の保持部材が、L型形状であることを特徴とする請求項1記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項5】
前記第二の保持部材が、二つのI型形状の保持部材の組合せであることを特徴とする請求項1記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項6】
前記第一の保持部材が、T型形状であることを特徴とする請求項1記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項7】
前記第一の保持部材が、I型形状であり、
前記第一の保持部材が、複数設けられたことを特徴とする請求項1記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項8】
表示パネル基板の各辺に搭載部材を接続するFPDモジュール組立装置において、
前記表示パネル基板の第一の辺と第二の辺を、前記表示パネル基板の下面から同時に保持する左側のL型形状の保持部材と、
前記表示パネル基板の第一の辺と第二の辺を、前記表示パネル基板の下面から同時に保持する右側のL型形状の保持部材とを有し、
前記左側のL型形状の保持部材と右側のL型形状の保持部材との相対距離が、可変であることを特徴とするFPDモジュール組立装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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