説明

HCVワクチン

少なくとも2つのエピトープを含むC型肝炎ウイルス(HCV)ワクチンであって、これらエピトープのそれぞれが異なるホットスポットエピトープからのものであり、その際、ホットスポットエピトープが、KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRLGVRATRK、GYKVLVLNPSVAAT、AYAAQGYKVLVLNPSVAAT、DLMGYIP(A/L)VGAPL、GEVQVVSTATQSFLATCINGVCWTV、HMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPA、VDYPYRLWHYPCT(V/I)N(F/Y)TIFK(V/I)RMYVGGVEHRL、AAWYELTPAETTVRLR、GQGWRLLAPITAYSQQTRGLLGCIV、IGLGKVLVDILAGYGAGVAGALVAFK、FTDNSSPPAVPQTFQV、LEDRDRSELSPLLLSTTEW、YLVAYQATVCARAQAPPPSWD、MSTNPKPQRKTKRNTNR、LINTNGSWHINRTALNCNDSL、TTILGIGTVLDQAET、FDS(S/V)VLCECYDAG(A/C)AWYE、ARLIVFPDLGVRVCEKMALY、AFCSAMYVGDLCGSV、GVLFGLAYFSMVGNW、VVCCSMSYTWTGALITPC、TRVPYFVRAQGLIRAおよびTTLLFNILGGWVAAQよりなる群から選ばれたペプチドを含むエピトープとして定められることを特徴とするワクチンを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HCVワクチンに関する。
【背景技術】
【0002】
免疫系は相互に関連した細胞型および分子の複雑なネットワークであり、感染性微生物から多細胞生物を防禦するために進化してきたものである。免疫系は、進化的に古い生得免疫(または自然免疫)と適応免疫(または獲得免疫)とに分けることができる。生得免疫系は、病原体に通常共通し本質的なパターンを認識する。この限られた数の分子構造のため、生殖細胞にコードされたレセプターが発展してきた。対照的に、獲得免疫系の細胞であるBリンパ球およびTリンパ球は、とてつもなく様々な抗原構造を認識することができる。レセプター(それを発現する細胞型に従って名付けられる)であるB細胞レセプター(BCR、その可溶性の態様は抗体と呼ばれる)およびT細胞レセプター(TCR、細胞表面に結合した形態のみ)は体細胞組換えによって生成し、クローン分布(clonal distribution)を示す。それゆえ、最初は、ある特異性を有する少数の細胞しか存在しない。これら細胞は、抗原に出会うと分裂を開始して(クローン拡張)、これら抗原と対抗しうるエフェクター集団を生成する。抗原を除去した後は、この抗原を特異的に認識する細胞の特別の亜集団が免疫記憶として残る。まとめると、獲得免疫系はゆっくりであるが(生得免疫と比べて)、特異的であり、所定の病原体/抗原に繰り返し暴露されることで改良されていく。
【0003】
T細胞は獲得免疫で中心的な役割を有している。そのレセプター(TCR)は、細胞表面上の「主要組織適合複合体」(MHCまたはHLA):ペプチド複合体を認識する。これらペプチドはT細胞エピトープと呼ばれ、抗原の分解産物を表している。T細胞には2つの主要なクラスがある:CD8陽性の細胞障害性T細胞(CTL)はMHCクラスIに拘束されている。CD4陽性のヘルパーT細胞(HTL)はMHCクラスIIに拘束されている。HTLは獲得免疫の多くの特性:いわゆる「プロフェッショナル抗原提示細胞」(APC)の活性化、免疫グロブリン(Ig)クラススイッチ、胚中心反応および親和性の成熟、CTLの活性化、免疫記憶、免疫応答の制御その他にとって必須である。
【0004】
MHC分子は細胞内のペプチドを回収し、それを細胞表面上でT細胞のTCRに提示する。MHCの主要な2つのクラス、すなわち、CD8陽性のCTLによって認識されるクラスIおよびCD4陽性のHTLによって認識されるクラスIIがある。
【0005】
MHCクラスI分子は、45kDaの膜結合アルファ鎖と12kDAの非共有結合したb2−ミクログロブリン(b2m)とからなる。X線結晶解析による3次元構造の解像(SternおよびWiley、1994)は、このアルファ鎖が溝を有し、この溝の両端が閉じられており、8〜11アミノ酸長のペプチドを収容することを明らかにした。クラスI分子は遍在的に発現され、これら分子が表すペプチドは細胞質タンパク質に由来するものである。これら細胞質タンパク質はプロテアソームによって分解され、その結果生じたペプチドは小胞体(ER)に能動輸送される。小胞体で幾つかのシャペロンの助けを借りてMHC:ペプチド複合体が形成され、細胞表面に輸送される(Heemels、1995)。それゆえ、MHCクラスI分子は細胞の表面上で該細胞のプロテオーム(proteome)を反映し、T細胞が細胞内病原体または悪性の細胞を認識するのを可能にする。
【0006】
MHCクラスII分子は、それぞれ35kDaおよび30kDaの2つの膜結合タンパク質(アルファ鎖およびベータ鎖)からなる。これらは一緒になって両端で開いた溝を形成し、様々な長さ、通常12〜25アミノ酸のペプチドを収容することができる。これら相違にもかかわらず、クラスIおよびII分子は驚くほど構造上の類似点を有している(SternおよびWiley、1994)。クラスII分子は、樹状細胞(DC)、B細胞およびマクロファージ/単球を含むプロフェッショナルAPC上でのみ発現される。これら細胞は、エンドソーム経路で抗原を取り込みプロセシングするように特殊化している。クラスII分子は生合成されると直ちにいわゆるインバリアント鎖(Ii)と複合体を形成し、このインバリアント鎖はER中でのペプチドの結合を防ぐ。クラスII:Ii複合体を含む小胞が外来抗原の分解産物を含むエンドソームと融合すると、MHC結合溝がいわゆるCLIPペプチドとのみ複合体を形成するまでIiは分解される。後者(CLIPペプチド)はHLA−DMなどのシャペロンの助けを借りて抗原ペプチドと交換される(Villadangos、2000)。最終的にMHC:ペプチド複合体は再びAPCの表面に提示され、多くの仕方でHTLと相互作用する。
【0007】
MHC系はポリジーン性であることおよび極めて多型性であることのため高度に複雑である。ヒトのクラスIアルファ鎖については、HLA−A、HLA−BおよびHLA−Cと呼ばれる3つの遺伝子座が存在する。同様に3つのクラスIIアルファ鎖遺伝子座(DRA、DQA、DPA)が存在する;クラスIIベータ鎖遺伝子座については、4つの異なるDRベータ鎖(DRB1、2、3、5)プラスDQBおよびDPBが存在するのでさらに一層複雑である。単一性のDRアルファ鎖DRAを例外として、各遺伝子座は集団中で多くの(数十〜数百の)異なる対立遺伝子として存在する(Klein、1986)。異なる対立遺伝子は大体、ペプチドに対する区別される結合特異性を有する。対立遺伝子は、たとえば、HLA−A*0201またはHLA−DRB1*0401またはHLA−DPA*0101/DPB*0401のように表される。
【0008】
T細胞エピトープは様々なアプローチにより同定されている(Van den Eynde、1997)。T細胞株およびクローンは、たとえば、cDNA発現ライブラリーを、たとえば適当なHLA−分子でトランスフェクションしたCOS細胞の文脈においてスクリーニングするのに用いられている。あるいは、生化学的なアプローチも追求されている。後者は、標的細胞上のMHC分子からの天然リガンドの溶出、幾つかのクロマトグラフィー工程によるこれらペプチドの分離、エピトープ再構成アッセイでのリンパ球との反応性の分析および質量分光法によるシークエンシングを含む(Wolfelら、1994、Coxら、1994)。
【0009】
最近、IFN−ガンマELIspotなどの高感度サイトカイン検出アッセイの出現が、重複する合成ペプチドのスクリーニングのためにリンパ球を直接イクスビボで使用することを可能にした(Maecker、2001、Kern、2000、Tobery、2001)。主として、Kernら(1999&2000)は、重複する9merのペプチドのプールのアレイを用いてCD8+T細胞エピトープをインビトロでマッピングした。後に、Toberyら、2001はこのアプローチを改変し、64もの多くの20merペプチドを含むプールを用いてCD8+およびCD4+の両T細胞エピトープをスクリーニングできることをマウスで示した。これら両方法は、細胞内染色によるか(Kernら、2000)またはELIspotアッセイにて(Toberyら、2001)IFN−ガンマ産生を測定することにより抗原特異的な応答をモニターすることに基づいていた。15merの混合物を用いることにより、CD4+T細胞の応答は全可溶性タンパク質を抗原として用いたときに検出されるものとほぼ等しいのに対し、CD8+T細胞の応答は(驚くにあたらないが)可溶性のタンパク質刺激で検出されるしばしば無視できるほどの応答よりも有意に高い。さらに、15アミノ酸のペプチドの混合物に対するCD8+T細胞の応答は、既知のMHCクラスI最小エピトープを表すべく選択した8〜12アミノ酸のペプチドの混合物で得られる応答と同様である。おそらく、これら状況下、細胞膜に結合したペプチダーゼがペプチドを最適な長さに「刈り込む(clipping)」のを担っている(Maeckerら、2001)。
【0010】
興味深い代替法は、合成コンビナトリアルペプチドライブラリーを特異的なリンパ球でスクリーニングすることである。たとえば、ポジショナルスキャニングフォーマットに配置した200の混合物からなるデカペプチドライブラリーが、T細胞のクローン特異的集団を刺激するペプチドリガンドの同定に首尾よく用いられている(Wilsonら、J. Immunol., 1999, 163: 6424-6434)。
【0011】
多くのT細胞エピトープは、いわゆる「逆(reverse)免疫学的アプローチ」(Rammensee、1999)により同定されている。この場合は潜在的なT細胞エピトープを生じるタンパク質は知られており、その一次配列をHLA結合モチーフについてスキャニングする。典型的に数十から数百の候補ペプチドあるいは重複ペプチドの完全なセットまでをも合成し、HLA分子への結合について試験する。通常、最良の結合体をT細胞との反応性についてさらに特徴付けるために選択する。このことは、たとえば、インビトロまたはHLAトランスジェニックマウスの助けを借りてインビボでT細胞を初回免疫することにより行うことができる。
【0012】
C型肝炎ウイルス(HCV)は、世界中で約1億7000万人に慢性感染しているフラビウイルスの成員である。少なくとも6つのHCV遺伝子型があり、50を超えるサブタイプが記載されている。アメリカ、ヨーロッパおよび日本では遺伝子型1、2および3が最も一般的である。HCV遺伝子型の地理的分布は遺伝子型によって大きく異なっており、遺伝子型1aは米国および西ヨーロッパの一部で優勢であり、一方、1bは南および中央ヨーロッパで優勢である(Bellentani、2000)。
【0013】
HCVは非経口または皮下経路で伝達され、肝細胞で増殖する。患者の約15%が、ウイルスのクリアランスおよび回復を伴う急性の自己限定性の肝炎を経験している。感染者の約80%が慢性のキャリヤとなる。感染はしばしば何年もの間ゆっくりと進行しながら無症候的に持続するが、最終的にはHCVは肝臓疾患の最終ステージである肝硬変および肝臓癌の主たる原因である(Liang、2000)。HTLおよびCTLの両応答の強度および質が、患者が回復したのか(自然にまたは療法の結果)あるいは慢性感染を進展させているのかを決定する(Liang、2000)。
【0014】
標準的なHCVの療法は、ポリエチレングリコール処理した(pegylated)インターフェロン−アルファと抗ウイルス剤リバビリンとの組合せを含む。ウイルス学的応答は、遺伝子型に応じてHCV患者の約50%で達成される。この療法の低い許容性および相当の副作用は、治療ワクチンを含む新規の治療的介入を必要としている(Cornberg、2002)。しかしながら、現在のところ、どのMHC組合せ中のどのエピトープが首尾よい免疫応答に導くのかについての詳細な理解を欠いている(Ward、2002)。それゆえ、全体のHCVに対するT細胞応答の総合的な分析が治療用のエピトープベースのワクチンの開発に必要である。
【0015】
HCVビリオンは、約3000アミノ酸の大きな単一のポリタンパク質をコードする9.5キロベースの一本鎖のポジティブRNAゲノムを含む。後者(大きな単一のポリタンパク質)は、宿主およびHCVによりコードされた両タンパク質分解活性により少なくとも10のタンパク質にプロセシングされる(Liang、2000)。重要なことには、HCVのRNA依存性のRNAポリメラーゼは誤りを起こしてウイルスの偽種(quasispecies)の進化を生成する傾向にあり、免疫回避変異体の生成に貢献している(Farci、2000)。
【0016】
過去15年の間に当該技術分野において多くの提唱がなされ、この期間に多くの有望な抗原候補が提唱されてきたが、それでも依然としてHCVワクチンは市場に出回っていない(満足のいく治療法も同様;唯一利用できる治療である上記アルファインターフェロンとリバビリンとの組合せは少数の患者にのみ有効である)。HCV配列の公表後まもなく、無数のエピトープおよび抗原がHCV疾患に対抗するための有効な手段として示唆されてきた(たとえば、Kozielら、J. Virol. 67(12), 7522-7532; Shiraiら、J. Virol. 68(5)(1994), 3334-3342; Leroux-Roelsら、Hepatology 23(1)(1996), 8-16; Hoffmannら、Hepatology 21(3)(1995), 632-638; Sarobeら、J. Clin. Invest. 102(6)(1998), 1239-1248; Battegayら、J. Virol. 69(4)(1995), 2462-2470; Wentworthら、Int. Imunol. 8(5)(1996), 651-659; Rehermannら、J. Virol. 70(10)(1996), 7092-7102; Diepolderら、J. Virol. 71(8)(1997), 6011-6019; Lamonacaら、Hepatology 30(4)(1999), 1088-1098;WO00/11186、WO95/12766、WO95/27733、WO94/20127、WO95/25122、WO95/22317、WO94/25601、WO92/03458およびWO93/00365)。さらに、重要な原理証明(proof-of-principle)イクスビボ中和研究が、慢性HCV感染を受けた(susceptible)チンパンジー、ホモ・サピエンス以外の他の種で行われている。実際、急性の消散した(resolved)感染か慢性の感染を有する個体およびチンパンジーで誘発した免疫応答の研究は、これまで、活動性のウイルス感染の確立後に明らかとなった潜在的な防禦免疫応答の病像を明らかにしたにすぎない。しかしながら、非経口免疫後の予防ワクチン防禦の相関は、主としてHCV暴露前の肝外のものであると予期される。ごく限られた数のワクチン有効性研究がチンパンジーで行われているにすぎず、これら研究は、(せいぜい)低用量の相同な攻撃(homologous challenge)後に7匹の動物のうち5匹を感染から防御することを示しており、その際、免疫と攻撃とで全く同じクローンが用いられているのである。さらに、HCVは高度の多様性を表し、この多様性はHCVにワクチン誘起または感染誘起免疫応答からの回避能を付与する。この問題を考慮して、DNAワクチンとしての種々の大きなタンパク質断片の組合せもまた別のワクチン戦略として示唆されている(Rollierら、J. Virol. 78(1)(2004), 187-196; Dunas-Carreraら、Biotech. Appl. Biochem. Imm. Publ. (29 September 2003; BA20030112))。
【0017】
過去15年間、とりわけ過去10年間のあらゆる進歩にもかかわらず、HCVに対する新たな療法およびワクチン戦略を開発することの切迫した必要性が依然として存在する(Heileら、J. Virol. 74(15)(2000), 6885-6892)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
それゆえ、本発明の目的は、HCVに対するそのような有効な療法およびワクチン戦略を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
それゆえ、本発明は、少なくとも2つのエピトープを含むC型肝炎ウイルス(HCV)ワクチンであって、これらエピトープのそれぞれが異なるホットスポットエピトープからのものであり、その際、ホットスポットエピトープは、
KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRLGVRATRK、
GYKVLVLNPSVAAT、
AYAAQGYKVLVLNPSVAAT、
DLMGYIP(A/L)VGAPL、
GEVQVVSTATQSFLATCINGVCWTV、
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ARLIVFPDLGVRVCEKMALY、
AFCSAMYVGDLCGSV、
GVLFGLAYFSMVGNW、
VVCCSMSYTWTGALITPC、
TRVPYFVRAQGLIRAおよび
TTLLFNILGGWVAAQ
よりなる群から選ばれたペプチドを含むエピトープとして定められることを特徴とするワクチンを提供する。
【0020】
2003年8月27日に出願したWO04/024182(A1367/2002の2002年9月13日の優先権を主張)には、ワクチン接種に有用なHCVペプチド、とりわけHCV T細胞エピトープを単離するための新規な方法が記載されている。この出願において「HCVホットスポットエピトープ」の概念が初めて開示された:T細胞エピトープ「ホットスポット」は、1を超えるT細胞エピトープを少なくとも含む短いペプチド配列として定義される。たとえば、2またはそれ以上のエピトープが互いにしばらく後に(「しばらく」とは5〜10アミノ酸未満として定義される)位置していてよく、または直接互いの後に位置していてよく、または部分的または完全に重複していてよい。ホットスポットはクラスIエピトープまたはクラスIIエピトープのみを含んでいてよいし、またはその組合せを含んでいてよい。ホットスポット中のエピトープは異なるHLA拘束を有していてよい。
【0021】
導入部で言及したように、クラスIおよびクラスII抗原プロセシングの高度に複雑かつ選択的な経路のため、T細胞エピトープはポリペプチドの配列内で容易に予測することができない。T細胞エピトープ予測のためのコンピューターアルゴリズムは、広く用いられているとはいうものの、偽陰性および偽陽性の割合が高い。
【0022】
それゆえ、個々のT細胞エピトープでさえもポリペプチドの配列内で明白でないように、同じことはホットスポットの場合はより一層当てはまる。本発明に従い、エピトープ捕捉、HLA−トランスジェニック動物およびヒト単核細胞のインビトロ刺激を含む幾つかの顕著に異なる実験アプローチをT細胞エピトープ同定のために組み合わせる。これら3つのアプローチはすべて、目的とする抗原にまたがる重複ペプチドに系統的に適用され、エピトープの総合的な同定を可能とする。特定のHLA対立遺伝子に限定するのではなく、むしろ集団内のターゲティングの可能性のあるすべてのエピトープを解明するそのような総合的な分析により、エピトープホットスポットが明らかとなる。ある抗原内で、もしあったとしてもごくわずかの配列がホットスポットの特性を示すにすぎない。それゆえ、ホットスポットの同定は常に驚くべき事象である。
【0023】
T細胞エピトープのホットスポットは、重要な利点を提供する:ホットスポットは、ある被験者の異なるT細胞クローンを活性化することができ、異なるT細胞クローンによって認識されうる。ホットスポットは(異なるHLA拘束のエピトープを含むときは)、異なる非HLAマッチング個体からのT細胞と相互作用することができる。
【0024】
エピトープベースのワクチンは、これまで、選択した優勢なHLA−対立遺伝子、たとえばHLA−A2(カフカス人の約半分で発現される)に着目してきた。他の対立遺伝子の頻度はもっと低いため、広範な世界規模の人口に適用可能なエピトープベースのワクチンは多くの異なるエピトープを含む必要があるであろう。ワクチンの化学物質(たとえば、ペプチド)の数は、製造、製剤化および製品の安定性からの制約により限定される。
【0025】
ホットスポットは、限られた数のペプチドによって潜在的に多数のエピトープを提供するので、そのような広範な世界規模の人口に適用可能なエピトープベースのワクチンを可能とする。実際、従来技術(従来技術で検討したエピトープおよびHCVワクチンが未だ開発されていない事実に関して上記文献を参照のこと)は、その現況では、HCVワクチンの開発が問題のあるものと見られてきたこと、および幾つかの感染モデルでの体液性および細胞性免疫応答の誘発におけるHCV抗原の有効性を教示する過去10年間に及ぶ膨大な文献にもかかわらず、HCVワクチンおよび療法の開発は一般的な失敗であったことを明らかに示している。HCV感染の治療および予防は、錯綜と高度の予測不能性とで取り組まれている(wrought)。
【0026】
HCVホットスポットエピトープ特徴付けに基づくHCVワクチンを提供することによる本発明の概念は、今や初めて、HCVワクチン接種システムを可能にし、このシステムは適当なおよび特異的な両予防ワクチン接種およびHCV感染患者、とりわけ慢性感染患者に対する有効な治療プログラム(regimen)を可能とする。
【0027】
本願の発明者らにより、HCVワクチンでの1または2のみの特異的なエピトープの使用がワクチン接種において満足のいく結果を得るには十分でないことを示すことができた。また、HCVタンパク質の混合物(DNAワクチンとしてのコア、E1およびE2;Duenas-Carreraら(2003))またはそのようなHCVタンパク質の大きな断片の混合物(DNAワクチンとしてのコア、E1、E2およびNS3;Rollierら(2004))を提供するとの概念は所望の結果をもたらさなかった。
【0028】
本発明によるHCVワクチンは、上記で列挙したホットスポットエピトープからのエピトープを含む短いポリペプチドを含む。本発明のワクチンは、DNAワクチンに関するリスクおよび不確実性(長期間にわたって持続する免疫応答の欠如;主として肝外の作用;作用様式;局在性等)に依存するものではない。さらに、本発明はまた、完全長のタンパク質または長鎖のタンパク質断片の生産に際して深刻な製造上の問題を突きつけるものでもない。
【0029】
本明細書において開示するホットスポットエピトープは、主としてTh1/Tc1タイプの反応(すなわち、インターフェロンガンマ)を読み出しとして用いた機能的なアッセイにより同定したものである。(全体または少なくとも大きな断片の)抗原は、そのようなアゴニストエピトープを含むのみならずアンタゴニストリガンドをもコードすることがよく知られている。そのような全体の抗原には潜在的に存在するがホットスポットには存在しないアンタゴニストは、ワクチンの免疫原性および有効性を妨害する。さらに、全体の抗原は殆ど確実に体液性の免疫応答を誘発するであろう。そのような抗体応答自体は細胞内にあるHCVに対して殆ど影響を及ぼさないが、所望のT細胞応答をひどく損ないうる。本発明によるホットスポットに由来するエピトープは、その長さが限られているため、所望でない抗体応答を誘発する蓋然性が極めて低い。最後に、HCV抗原の相対的に小さな部分のみが異なる遺伝子型間で保存されている。それゆえ、ワクチンに使用した全体の抗原は、殆どの患者にとって関連のない非保存領域またはエピトープに対する応答を誘発する。対照的に、本明細書に開示するホットスポットは、主要なHCV遺伝子型である1、2および3で>80%保存された領域に由来するものである。
【0030】
HLA−スーパータイプ(たとえば、WO01/21189に開示されているような)は、所定のHLA−クラスI T細胞エピトープが、ある場合には、もっぱら唯一のHLA−対立遺伝子に拘束されるのではなく他のHLA−対立遺伝子の文脈のT細胞によっても認識されうる(例:ペプチドはHLA−B*0702およびHLA−B*3501に結合できる)という事実を記載している。そのようなペプチドは本質的に、集団においてより広いHLA適用可能性を有し、それゆえ興味深いワクチン候補である。
【0031】
対照的に、本発明によるT細胞エピトープホットスポットはそのようなHLA−スーパータイプとは有意に異なるものである、なぜなら本発明によるホットスポットは異なった隣接するまたは重複さえもする桁外れに多数のエピトープを示すタンパク質内のペプチド領域だからである。ホットスポットは相対的に短い領域内で多数のエピトープを提供し、それと同時にホットスポット内でのエピトープの適切なプロセシングが保証される。
【0032】
実際、本発明によるホットスポットは異なるHCV種の間で顕著に低い変異しか示さず、このことが当該ホットスポットをワクチンアプローチにとって一層有利なものにする、なぜならごく小さなポリペプチドが用いられたとしても異種攻撃も可能だからである。いずれにせよ、本発明で提供されるエピトープは100アミノ酸の長さを超えることはなく、一般に有意に短い。好ましくは、本発明によるエピトープの長さは少なくとも6、7、8、9、10、11または12アミノ酸である。最大13、15、20、25、30、40または50アミノ酸の長さも好ましいものと考えられる。
【0033】
本発明に従い、所定のワクチンのためのエピトープは上記ホットスポット領域から選択することができる。もちろん、ホットスポット領域全体をワクチンに提供することもできるし、またはその一部のみを提供することもできる(当該一部が少なくとも1のエピトープを含んでいる限り)。しかしながら、1またはそれ以上(たとえば、2、3、4、5または6)のエピトープがワクチンに提供されるのが有利であり、該エピトープはホットスポット領域全体かまたは1を超えるエピトープを含む領域を少なくとも含んでいる。本発明に従って用いるエピトープはまた、上記ホットスポット「マスター」配列中に欠失(好ましくは1、2、3、4、5、6または7アミノ酸)を有する配列変異体であってもよい。好ましくは、ホットスポット配列の内部の欠失はエピトープを変えないものである;もちろん、欠失に拘わらずホットスポット領域中に少なくとも1のエピトープが保存されている必要がある。
【0034】
とりわけ、1のエピトープのみを有するペプチドの一方のグループと1を超えるエピトープを有するペプチドの他方のグループとの混合物を提供するのが好ましい。たとえば、1のエピトープを有する少なくとも1または少なくとも2のペプチドおよび1を超えるエピトープ(たとえば、ホットスポット全体の配列)を有する少なくとも1または少なくとも2のペプチドを含むワクチンが好ましい。
【0035】
エピトープは修飾することなくポリペプチドとして提供することができる;ポリペプチド鎖をある種の化学的または生物学的残基で修飾することは、とりわけ可溶化または医薬製剤化の考慮の観点から適切である(たとえば、WO01/78767に記載されているように)。本発明のHCVワクチンに使用するエピトープは、ホットスポット領域全体またはその隣接する(contiguous)断片(ホットスポットに含まれるエピトープの少なくとも1つを含む)を含むかまたはホットスポットの非隣接の(non-contiguous)一部(しかしながら、ホットスポットに含まれるエピトープの少なくとも1つをも含む;そのような場合、このホットスポットの非隣接の一部の間に1またはそれ以上のリンカー(たとえば、アミノ酸またはペプチドリンカー)を提供することができる)を含んでいてよい。
【0036】
好ましい態様によれば、本発明によるHCVワクチンは、それぞれ異なるホットスポットエピトープからの少なくとも3つ、とりわけ少なくとも4つのエピトープを含む。
【0037】
さらに好ましくは、HCVワクチンはそれぞれ異なるホットスポットエピトープからの少なくとも5つのエピトープを含む。そのようなエピトープベースのワクチン中のエピトープの数が多ければ多いほど製剤化に関する問題は大きくなるが、4つ、5つまたは6つのエピトープが、とりわけ工業スケールの生産に関して広範囲の防禦能と製剤化の欠点との最適の均衡である。
【0038】
それゆえ、ある場合には、それぞれ異なるホットスポットエピトープからの少なくとも6つのエピトープを含むHCVワクチンもまた本発明の好ましい態様である。ホットスポットエピトープの最適数はまた選択したエピトープ相互の相対的な相互作用にも依存し、この点はワクチン中の短い長さのポリペプチドのある種の組合せの場合の主たる障害であることがわかっている。
【0039】
本発明による好ましいHCVワクチンは、エピトープが以下の群から選ばれることを特徴とする:
KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRLGVRATRK、KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRL、YLLPRRGPRL、LPRRGPRL、GPRLGVRAT、RLGVRATRK;
GYKVLVLNPSVAAT、AYAAQGYKVL、AYAAQGYKVLVLNPSVAAT;
DLMGYIPAV、GYIPLVGAPL、DLMGYIPLVGAPL;
CINGVCWTV、GEVQVVSTATQSFLAT、GEVQVVSTATQSFLATCINGVCWTV;
HMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPA、MWNFISGIQYLAGLSTLPGN、NFISGIQYLAGLSTLPGNPA、QYLAGLSTL、HMWNFISGI;
VDYPYRLWHYPCTVNFTIFKVRMYVGGVEHRL、DYPYRLWHYPCTVNFTIFKI、DYPYRLWHYPCTVNFTIFKV、VDYPYRLWHYPCTVNYTIFKIRMYVGGVEHRL、DYPYRLWHYPCTVNYTIFKI、DYPYRLWHY、TVNYTIFKI、TINYTIFK、TVNFTIFKV、HYPCTVNYTI、HYPCTVNFTI、RMYVGGVEHR;
AAWYELTPAETTVRLR、TPAETTVRL;
GWRLLAPITAYSQQTRGLLGCIV、TAYSQQTRGLLGCIV、TAYSQQTRGLLG、GQGWRLLAPITAYSQ、RLLAPITAY、GQGWRLLAPITAYSQQTRGLLGCIV、GQGWRLLAPITAYSQQTRGLLG、AYSQQTRGLL、AYSQQTRGL;
IGLGKVLVDILAGYGAGVAGALVAFK、ILAGYGAGV、VAGALVAFK、GYGAGVAGAL;
VVCCSMSYTWTGALITPC、SMSYTWTGALITP、SMSYTWTGAL、SYTWTGALI;
FTDNSSPPAVPQTFQV;
LEDRDRSELSPLLLSTTEW、LEDRDRSELSPLLLST、RSELSPLLL、ELSPLLLST、DRDRSELSPL、LEDRDRSEL、LEDRDRSEL;
YLVAYQATVCARAQAPPPSWD、YLVAYQATV;
MSTNPKPQRKTKRNTNR、PQRKTKRNTNR、QRKTKRNTN、RKTKRNTNR、MSTNPKPQR、MSTNPKPQK;
LINTNGSWHINRTALNCNDSL、NGSWHINRTALNCNDSL、LINTNGSWHI、RTALNCNDSL、LINTNGSWHINRTALN、SWHINRTALN;
TTILGIGTVLDQAET、TTILGIGTV、TILGIGTVL;
FDSSVLCECYDAGAAWYE、FDSSVLCECYDAGCA、VLCECYDAGA、VVLCECYDAGAAWYE;
ARLIVFPDLGVRVCEKMALY、ARLIVFPDL、RLIVFPDLGV、RVCEKMALY、AFCSAMYVGDLCGSV;
GVLFGLAYFSMVGNW;
TRVPYFVRAQGLIRA;
TTLLFNILGGWVAAQ、LLFNILGGWV。
【0040】
一般に、良好な結果を達成するには1のエピトープのグループからは1のエピトープのみを選択すべきである。もちろん、上記で列挙したホットスポットエピトープのすべてが等しく強力であるというわけではなく、効力は異なる集団群で異なりうる。好ましくは、主としてHLA適用に基づいて個々のワクチン接種戦略を各群に適用することができる。それゆえ、本発明による好ましいHCVワクチンは、以下のホットスポットエピトープの少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、さらに一層好ましくは少なくとも4つからの少なくとも1つのエピトープを含むことを特徴とする:
KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRLGVRATRK、
AYAAQGYKVLVLNPSVAAT、
DLMGYIP(A/L)VGAPL、
GEVQVVSTATQSFLATCINGVCWTVおよび
HMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPA。
【0041】
異なる特異性のためには、本発明によるHCVワクチンは、以下のホットスポットエピトープの少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、とりわけ少なくとも4つからの少なくとも1つのエピトープを含むことを特徴とする:
VDYPYRLWHYPCT(V/I)N(F/Y)TIFK(V/I)RMYVGGVEHRL、
AAWYELTPAETTVRLR、
GQGWRLLAPITAYSQQTRGLLGCIV、
IGLGKVLVDILAGYGAGVAGALVAFK、
FTDNSSPPAVPQTFQV、
LEDRDRSELSPLLLSTTEW、
YLVAYQATVCARAQAPPPSWD、
MSTNPKPQRKTKRNTNRおよび
LINTNGSWHINRTALNCNDSL。
【0042】
さらに異なる特異性のためには、本発明によるHCVワクチンは、以下のホットスポットエピトープの少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、とりわけ少なくとも4つからの少なくとも1つのエピトープを含むことを特徴とする:
TTILGIGTVLDQAET、
FDS(S/V)VLCECYDAG(A/C)AWYE、
ARLIVFPDLGVRVCEKMALY、
AFCSAMYVGDLCGSV、
GVLFGLAYFSMVGNW、
TRVPYFVRAQGLIRAおよび
TTLLFNILGGWVAAQ。
【0043】
本明細書で列挙した正確な抗原およびエピトープの別態様として、抗原/エピトープ変異体を本発明によるワクチンに用いることができる。好ましい変異体は、ホモログ(相同HCV株に存在する1またはそれ以上の交換を含む)またはヘテロクリティック(heteroclictic)エピトープに従ってデザインする。好ましい変異体としては、本明細書に開示した配列と保存的アミノ酸置換によって異なるものが挙げられる。そのような置換は、ポリペプチド中の所定のアミノ酸を同様の特性を有する他のアミノ酸で置換するものである。保存的置換として典型的に認められるものは、脂肪族アミノ酸Ala、Val、LeuおよびIleの間で互いに置換するもの;ヒドロキシル残基SerおよびThrの交換、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド残基AsnおよびGln間での置換、塩基性残基LysおよびArgの交換および芳香族残基PheおよびTyr間での置換である。
【0044】
この点に関して特に好ましいのは、本明細書に開示したポリペプチドのアミノ酸配列において1、2、3、4または5のアミノ酸残基が置換、欠失または付加(いかなる組合せであってもよい)した変異体である。これらのうちで好ましいのは、本発明のポリペプチドの特性および活性を変えることのないサイレントな置換、付加および欠失である。この点で特に好ましいのは、保存的な置換である。特に好適なアミノ酸置換は、本明細書に開示した配列のホモログに含まれるものである。それゆえ、本明細書に開示する抗原またはエピトープの好適な配列変異体は、HCVの1またはそれ以上の株または血清型に存在する1またはそれ以上の変異(好ましくはそのようなホモログ変異に基づく1、2、3、4または5のアミノ酸の交換)を含む。そのような抗原は、天然に存在する配列または新たに生成した人為的な配列である配列を含む。これら好ましい抗原変異体は、そのような天然に存在する配列変異、たとえば、本発明によるポリペプチドの抗原領域の「混合配列」(mixed sequence)の形成に基づく。たとえば、本明細書に開示する所定のHCV配列は、1またはそれ以上の変異を含むことによってこの所定の(天然に存在する)抗原またはエピトープ配列の人為的な(すなわち、天然に存在しない)変異体を生成してよい。
【0045】
エピトープのT細胞活性化能を改善し、保存しまたは少なくとも有意に妨害することのないアミノ酸交換によって本発明のエピトープまたはペプチドから得られるエピトープまたはペプチドもまた本発明によるエピトープまたはペプチドに包含されることが明らかである。それゆえ、本発明のエピトープまたはペプチドはまた、HCVの特定の株に由来する元々の配列を含まないが同じかまたは好ましくは改善されたT細胞応答を惹起するエピトープまたはペプチドをも包含する。これらエピトープは「ヘテロクリティック」と呼ばれる。これらには、元々のエピトープと同じT細胞を惹起することができ、好ましくはインビボまたはインビトロにおいてもT細胞のより強力な活性化能を有するエピトープが含まれる。また、HCVの他の株からの各相同エピトープが本発明に包含される。
【0046】
ヘテロクリティックエピトープは、合理的デザインにより、すなわち、TCRと相互作用する可能性のある残基の体系的な交換とその結果得られる配列の元々のエピトープに対するT細胞を用いた試験と組み合わせて、たとえば、Ramenseeら、1999(Immunogenetics 50: 213-219)またはSturnioloら、1999(Nature Biotechnology 17: 555-562)に記載されているように、MHC/HLAへの結合への個々の残基の貢献を考慮に入れて、得ることができる。そのようなデザインは、過度の実験を要することなく当業者が行うことが可能である。
【0047】
他の可能性としては、元々のエピトープに対して向けられたT細胞を用いたペプチドライブラリーのスクリーニングが挙げられる。好ましいやり方は、合成ペプチドライブラリーのポジショナルスキャニングである。そのようなアプローチは、たとえば、Blakeら、1996()およびHemmerら、1999()およびその中の引用文献に詳細に記載されている。
【0048】
コグネイトHCV由来アミノ酸配列により表されるエピトープまたはヘテロクリティックエピトープの別態様としては、これらペプチドを擬態する物質、たとえば「ペプチドミメチカ(peptidemimetica)」または「レトロ−インバーソ−ペプチド(retoro-inverso-peptides)」を適用することができる。
【0049】
さらなる化学基、とりわけアミノ酸残基、リンカー(および担体への結合基)、輸送容易化基などを、本発明によるHCVワクチン中のエピトープのN末端および/またはC末端に付加することができる。WO01/78767に記載のアミノ酸結合が好ましい。
【0050】
改善されたホットスポットエピトープのデザインの他の側面は、T細胞を刺激する能力を増大させる物質で製剤化すること(formulation)または修飾することである。これらには、Tヘルパー細胞エピトープ、脂質またはリポソームが含まれる(またはWO01/78767に記載の好ましい修飾)。
【0051】
エピトープのT細胞刺激能を増大させる他の方法は、たとえば抗体、インターロイキン2、インターロイキン7、インターロイキン12、インターロイキン18、I型およびII型インターフェロン(IFN)などのサイトカインもしくはケモカイン、とりわけIFN−アルファ、GM−CSF、TNF−アルファ、flt3−リガンドその他の免疫刺激物質で製剤化することである。
【0052】
さらなる側面によれば、本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染を治療または予防するためのHLA拘束ワクチンの製造のための本発明によるHCVエピトープまたはHCVペプチドの使用に関する。
【0053】
本発明による好ましいHCVワクチンは、以下のエピトープの少なくとも2つを含む:
KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRLGVRATRK、DLMGYIPAV、LEDRDRSELSPLLLSTTEW、DYPYRLWHYPCTVNFTIFKV、GYKVLVLNPSVAAT、CINGVCWTV、AAWYELTPAETTVRLR、YLVAYQATVCARAQAPPPSWD、TAYSQQTRGLLG、HMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPA、IGLGKVLVDILAGYGAGVAGALVAFKおよびSMSYTWTGALITP。好ましくは、このHCVワクチンは、これらエピトープの少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも8つ、または12のすべてを含む。
【0054】
本発明による他の好ましいHCVワクチンは、以下のエピトープの少なくとも2つを含む:
KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRLGVRATRK、DYPYRLWHYPCTVNFTIFKV、AAWYELTPAETTVRLR、TAYSQQTRGLLG、HMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPA、IGLGKVLVDILAGYGAGVAGALVAFKおよびSMSYTWTGALITP。好ましくは、このHCVワクチンは、これらエピトープの少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、とりわけ7つのすべてを含む。
【0055】
本発明のHCVワクチンは、好ましくは少なくとも1つのA2エピトープおよび少なくとも1つのDR1エピトープを含む。
【0056】
本発明のHCVワクチンは、好ましくは少なくとも1つのDR7エピトープを含む。
【0057】
エピトープの以下の組合せが特に強力であると認められる(グループ(1)〜(5)の少なくとも3つからの少なくとも1つ):
(1)KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRLGVRATRKまたはKFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRLまたはYLLPRRGPRLGVRATRKまたはYLLPRRGPRLまたはLPRRGPRLまたはLPRRGPRLGVRATRKまたはGPRLGVRATRKまたはRLGVRATRKまたはKFPGGYLLPRRGPRLGVRATRK、
(2)AYAAQGYKVLVLNPSVAATまたはAYAAQGYKVLまたはAAQGYKVLVLNPSVAATまたはKVLVLNPSVAATまたはGYKVLVLNPSVAATまたはAYAAQGYKVLVLNPSVまたはAYAAQGYKVLVLNPSVAAまたはAAQGYKVLVLNPSVAまたはAYAAQGYKVLPSVAATまたはAYAAQGYKVLAAT、
(3)DLMGYIP(A/L)VGAPLまたはDLMGYIPALVGAPLまたはDLMGYIP(A/L)VGまたはDLMGYIP(A/L)VGAPまたはDLMGYIP(A/L)VまたはDLMGYIPLVGAPLまたはDLMGYIPLVGAまたはDLMGYIPLV、
(4)GEVQVVSTATQSFLATCINGVCWTVまたはGEVQVVSTATQSFLATまたはCINGVCWTVまたはVSTATQSFLATCINGVCWTVまたはTQSFLATCINGVCWTVまたはGEVQVVSTATQSFLATCINGまたはGEVQVVSTATQSFLAT、
(5)HMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPAまたはMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPAまたはHMWNFISGIまたはMWNFISGIQYLAGLSTLPGNまたはNFISGIQYLAGLSTLPGNまたはQYLAGLSTLまたはHMWNFISGIQYLAGLSTLまたはHMWNFISGISTLPGNPAまたはHMWQYLAGLSTLPGNPAまたはMWNFISGIQYLAGLSTLPGN;とりわけエピトープGYKVLVLNPSVAAT、DLMGYIPAV、CINGVCWTVおよびHMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPAを含むHCVワクチンが特別に強力であることがわかった。
【0058】
本発明のHCVワクチンに特別に適した補助物質を提供するのが好ましい。それゆえ、ある種の免疫刺激物質が本発明に有利であることがわかった。
【0059】
それゆえ、好ましいHCVワクチンは、配列:R−XZXZXZX−R(式中、Nは3〜7の全数、好ましくは5、Xは正に荷電した天然および/または非天然アミノ酸残基、ZはL、V、I、Fおよび/またはWよりなる群から選ばれたアミノ酸残基、RおよびRは互いに独立して−H、−NH、−COCH、−COH、20までのアミノ酸残基またはペプチド反応性の基を有するペプチドまたはペプチドを有するかまたは有しないペプチドリンカーから選ばれる;X−Rはまた該ペプチドのC末端アミノ酸残基のアミド、エステルまたはチオエステルであってよい)を含むペプチド(「ペプチドA」)をさらに含んでいてよい。
【0060】
HCVワクチンのさらに好ましい態様は、式(I):
【化1】


(式中、R1はヒポキサンチンおよびウラシルから選ばれる、
XはいずれもOまたはS、
NMPはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシイノシン−、デオキシシトシン−、デオキシウリジン−、デオキシチミジン−、2−メチル−デオキシイノシン−、5−メチル−デオキシシトシン−、デオキシプソイドウリジン−、デオキシリボースプリン−、2−アミノ−デオキシリボースプリン−、6−S−デオキシグアニン−、2−ジメチル−デオキシグアノシン−またはN−イソペンテニル−デオキシアデノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
NUCは、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシイノシン−、デオキシシトシン−、デオキシイノシン−、デオキシチミジン−、2−メチル−デオキシウリジン−、5−メチル−デオキシシトシン−、デオキシプソイドウリジン−、デオキシリボースプリン−、2−アミノ−デオキシリボースプリン−、6−S−デオキシグアニン−、2−ジメチル−デオキシグアノシン−またはN−イソペンテニル−デオキシアデノシンよりなる群から選ばれた2'デオキシヌクレオシド、
aおよびbは0〜100の整数であり、ただしa+bは4〜150である、
BおよびEは核酸分子の5'末端または3'末端の一般的な基)による構造を有する免疫促進オリゴデオキシ核酸分子(ODN)(I−/U−ODN)をさらに含む。
【0061】
本発明によるHCVワクチン組成物は、ポリカチオン性化合物、好ましくはポリカチオン性ポリマー、さらに好ましくはポリカチオン性ペプチド、とりわけポリアルギニン、ポリリシンまたは抗菌ペプチドをさらに含んでいてよい。
【0062】
本発明により使用するポリカチオン性化合物は、WO97/30721による特徴的な作用を示すポリカチオン性化合物であってよい。好ましいポリカチオン性化合物は、塩基性ポリペプチド、有機ポリカチオン、塩基性ポリアミノ酸またはその混合物から選ばれる。これらポリアミノ酸は、少なくとも4アミノ酸残基の鎖長を有していなければならない。特に好ましいのは、ポリリシン、ポリアルギニン、および8を超える、とりわけ20を超えるアミノ酸残基の範囲に20%を超える、とりわけ50%を超える塩基性アミノ酸を含むポリペプチドまたはその混合物のようなペプチド結合を含む物質である。他の好ましいポリカチオンおよびその医薬組成物は、WO97/30721(たとえば、ポリエチレンイミン)およびWO99/38528に記載されている。好ましくは、これらポリペプチドは20〜500アミノ酸残基、とりわけ30〜200残基を含む。これらポリカチオン性化合物は化学的にまたは組換えにより製造してよく、あるいは天然の採取源に由来してもよい。
【0063】
カチオン性(ポリ)ペプチドはまた、ポリカチオン性で抗菌性の微生物ペプチドであってもよい。これら(ポリ)ペプチドは、原核生物または動物または植物起源のものであってよく、化学的にまたは組換えにより製造されてよい。ペプチドはまたデフェンシンのクラスに属していてもよい。そのような宿主防御ペプチドまたはデフェンシン(defensines)もまた、本発明によるポリカチオン性ポリマーの好ましい形態である。一般に、好ましくはAPC(樹状細胞を含む)によって媒介される獲得免疫系を最終生成物として活性化(またはダウンレギュレーション)することを可能にする化合物をポリカチオン性ポリマーとして用いる。
【0064】
本発明の方法に使用するポリカチオン性物質は、カテリシジン由来の抗菌ペプチドまたはその誘導体(WO02/13857A、参照のため本明細書に引用する)、とりわけ哺乳動物カテリシジン、好ましくはヒト、ウシまたはマウスのカテリシジンに由来する抗菌ペプチド、または(ヒト)成長ホルモンなどの神経刺激性の化合物(たとえば、WO01/24822に記載)である。
【0065】
天然の採取源に由来するポリカチオン性化合物としては、HIV−REVまたはHIV−TAT(由来のカチオン性ペプチド、アンテナペディア(antennapedia)ペプチド、キトサンまたはキトサンの他の誘導体)または生化学的な製造または組換え製造によりこれらペプチドまたはタンパク質に由来する他のペプチドが挙げられる。他の好ましいポリカチオン性化合物は、カテリン(cathelin)またはカテリンの関連物質またはカテリンに由来する物質、とりわけマウス、ウシまたは特にヒトのカテリンおよび/またはカテリシジンである。カテリンの関連物質またはカテリンに由来する物質はカテリン配列の全部または一部を含み、少なくとも15〜20アミノ酸残基を有する。誘導体化は、20の標準アミノ酸以外のアミノ酸による天然アミノ酸の置換または修飾を含む。さらに、さらなるカチオン性残基がそのようなカテリン分子中に導入されてよい。これらカテリン分子は、本発明によるHCVペプチド組成物と組み合わせるのが好ましい。しかしながら、これらカテリン分子は驚くべきことに、さらなるアジュバントを加えなくとも抗原に対するアジュバントとして有効なことがわかった。それゆえ、そのようなカテリン分子は、さらなる免疫促進性物質を用いまたは用いることなく、ワクチン製剤において有効なアジュバントとして用いることが可能である。
【0066】
好ましくは、本発明のHCVワクチンはAl(OH)アジュバントおよび/またはポリカチオン性ペプチドをさらに含む。
【0067】
特に好ましい態様によれば、上記ペプチドAはKLKLKLKであり、および/または上記I−/U−ODNはオリゴd(IC)13である。
【0068】
ある態様において、HCVワクチンは、CpG−モチーフを含むオリゴデオキシヌクレオチドをさらに含むのが好ましい。
【0069】
好ましくは、本発明によるHCVワクチンは、15分以内に37℃で再構成しうる形態に凍結乾燥する。HCVワクチン中の個々のエピトープに応じて、これは困難な作業である。それゆえ、本発明はまたそのようなHCVワクチンを製剤化するための効率的な手段をも提供する。
【0070】
本発明によるHCVワクチンは、10μg〜10mgの各エピトープ(投与量当たり)を含むのが好ましい。
【0071】
各応用に応じて個々のペプチドの数およびとりわけ混合物中でのその濃度は異なる。本発明の好ましい態様において、患者に送達すべきHCVワクチン中の個々のペプチドの濃度は、5μg/ml〜5mg/ml、好ましくは50μg/ml〜4mg/ml、さらに好ましくは100μg/ml〜3mg/mlの範囲である。
【0072】
本発明による凍結乾燥HCVワクチンは、本発明による凍結乾燥プロセスのために痕跡量の酢酸を含むのが好ましい。
【0073】
他の側面によれば、本発明はまた、HCV感染の予防および治療用医薬の製造のための本発明のHCVワクチンの使用、すなわち、本発明によるHCVワクチンの有効免疫投与量を個体、とりわけHCV患者またはHCV感染を獲得するリスクにある個体(たとえば、病院の職員、臨床研究の職員、献血者など)に投与することにも関する。
【0074】
本発明によるHCVワクチンなどのペプチド混合物の可溶化は困難でありうる。それゆえ、本発明によるHCVペプチド混合物、すなわち2つまたはそれ以上のペプチドからなるペプチド混合物、とりわけ親水性ペプチドおよび疎水性ペプチドからなるペプチド混合物の可溶化の方法を提供することが本発明の一つの目的である。他の目的は、ペプチド混合物を含む滅菌したおよび場合により凍結乾燥した医薬製剤の製造法を利用できるようにすることである。
【0075】
それゆえ、本発明は他の側面に従い、本発明によるHCVペプチド混合物の可溶化を含む医薬製剤の製造法を提供し、該方法は、該ペプチド混合物を、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸およびそのハロゲン化形態またはヒドロキシル化形態よりなる群から選ばれた少なくとも1の有機酸を含む水溶液により可溶化することを特徴とする。貯蔵寿命を延ばすため、可溶化したペプチド混合物はさらに滅菌(濾過、放射線照射、熱処理、化学的滅菌その他の方法により)および凍結乾燥することができる。
【0076】
好ましい態様において、ペプチド混合物は親水性ペプチドおよび疎水性ペプチドを含む。もちろん、本発明の方法はまた、1つのタイプのペプチドのみを含むペプチド混合物(とりわけ、たとえば2またはそれ以上の親水性ペプチドを含む混合物)に対しても用いることができる。
【0077】
他の好ましい態様において、本発明に従って水溶液により溶解したペプチドは、少なくとも6つ、好ましくは少なくとも8つ、さらに好ましくは少なくとも10、とりわけ少なくとも12のアミノ酸を含む。最大数30、40または50(あるいは100アミノ酸までも、もっとも、長いエピトープは長い抗原断片が不利であることにより一層好ましくはないが)のアミノ酸を含むペプチドおよびポリペプチドを本発明に従って溶解することができる。
【0078】
本発明のこの側面については、ペプチドはその溶解度により特徴付けられる。水溶液中に100μg/ml未満しか溶解しないペプチドは疎水性であるとされる。一方、親水性ペプチドは、緩衝化水溶液中に100μg/mlを超える濃度で溶解する。親水性ペプチドはさらに、陽イオン性ペプチド(>20%塩基性アミノ酸(リシン、アルギニン、ヒスチジンを含む))、陰イオン性ペプチド(>20%酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸を含む))およびヒドロキシルリッチペプチド(>30%−OH含有アミノ酸(セリン、トレオニン、チロシンなど))に分けることができる。
【0079】
それゆえ、他の側面に従い、本発明は、以下の工程を特徴とする本発明のHCVワクチンの製造方法に関する:
−上記少なくとも2つのエピトープを化学的に合成し、
−これらエピトープを、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸およびそのハロゲン化形態またはヒドロキシル化形態よりなる群から選ばれた少なくとも1の有機酸を含む水溶液により可溶化し、
−該可溶化エピトープを混合し、ついで
−任意に該混合エピトープを凍結乾燥する。
【0080】
HCVペプチド混合物は、貯蔵の理由から急速冷凍(凍結乾燥工程を行わない場合)することができる。
【0081】
本発明によるペプチド混合物のペプチドは、標準的な化学的方法(たとえば、Merrifieldによる固相合成)により合成する。もちろん、ペプチドはまた、組換えにより製造したまたは天然から単離したタンパク質の化学的または酵素的な断片化によっても得ることができる。他の態様において、HCVペプチドは真核細胞および原核細胞から直接単離する。3つのいずれの場合においても、目的とするペプチドまたはポリペプチドを凍結乾燥および混合する前に、ある場合にはさらなる精製が必要であろう。
【0082】
ペプチドの可溶化のために水溶液中に使用する有機酸が薬理学的に許容しうるものであることは、この特別の方法の基本的な要件である。本発明の好ましい態様において、有機酸は任意にアセトニトリルを含む酢酸および/またはギ酸である。
【0083】
実験によれば、ペプチド混合物の組成に依存して、水溶液中の有機酸の濃度は少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%でなければならないことが明らかとなった。
【0084】
ある場合には、水溶液に有機酸の誘導体(たとえば、アセトニトリル)を加えることが大量の疎水性ペプチドを含むペプチド混合物を可溶化する助けとなる。DMSOやDMFなどの有機溶媒もまた、疎水性ペプチドの濃度の上昇したペプチド混合物の促進された可溶化に貢献する。しかしながら、DMSOおよび/またはDMFを含む水性ペプチド混合物は凍結乾燥することはできない。
【0085】
好ましい態様において、生成物を凍結乾燥しようとする場合には充填剤(bulking agents)をペプチド混合物に加える。とりわけ低ペプチド濃度においては、良好な凍結乾燥ケーキの生成は保証の限りでない。それゆえ、低量のペプチド充填剤を加える。好ましい充填剤は、ソルビトール、マンニトール、ポリビニルピロリドン(PVP)およびその混合物である。
【0086】
他の好ましい態様において、可溶化したペプチド混合物を濾過により滅菌する。生成物の回収を増大させ、大量のペプチド混合物の濾過を可能とするため、含有ペプチドは完全に可溶化されていることが必要であり、ゲルが形成されてはならない。
【0087】
可溶化し任意に滅菌したペプチド混合物は、直接、またはバイアルに濾過した後、凍結乾燥することができる。凍結乾燥は、上記ペプチド混合物の貯蔵寿命を延ばすための有用かつ効果的な方法である。該可溶化ペプチドを用い、最大5%の残留溶媒(水系中の水)および痕跡量の有機酸を含むペプチド混合物の凍結乾燥調製物を得ることができ、該調製物は、NaClおよび/または10分以内に>95%、好ましくは98%、とりわけ99%のソルビトールを含む緩衝水溶液中で再構成して濁った懸濁液または透明な溶液(ペプチド混合物の組成による)とすることができる。そのような速やかな再構成は、すぐに使用できる(ready-to-use)溶液が数分内に存在し、凍結乾燥したバイアルの全用量の殆ど完全な再溶媒和(re-solvation)が必要とされる救急患者の場合に特に必要である。
【0088】
本発明を以下の実施例および図面によりさらに詳細に記載するが、本発明はこれら特定の態様に限られるわけではない。
【0089】
実施例:
実施例1:HCV由来ペプチドのHLAクラスII分子への結合
WO04/024182に従い、重複する反応性のHCVペプチドからの配列を導入し、システインなどの重要な残基を回避した幾つかの新規なペプチドを合成した。これらペプチドをクラスII可溶性HLA分子に対する親和性について再試験し、結果を元のもので得られた結果と比較した(表1)。
【0090】
表1:選択したHCV由来ペプチドおよびその15−mer対応物の可溶性HLAクラスII分子への結合(「+++」強い親和性、「++」中くらいの親和性、「+」弱い親和性、「−」親和性なし、「nd」試験せず;コア結合モチーフは下線を引いてある)
【表1】

【表2】

【0091】
ペプチド1798の場合にその一層短い対応物(B84〜B96)に比べてDRB1*0101分子およびDRB1*0401分子に対する親和性がなくなっているのは、おそらく結合を妨害する二次構造を取り得る長い配列(26アミノ酸)のためである。インビボでは、タンパク質加水分解的開裂によりペプチド1798が2つの短いクラスIIエピトープを生成するであろうことが予期される。ペプチド1827および1829(それぞれペプチドC114および1604の誘導体である)で除去されたシステイン(C)残基は、DRB1*0401分子への結合に必須であるが、他の試験したDRサブタイプへの親和性を本質的に変えることはないと思われる。
【0092】
実施例II:HCV−エピトープホットスポットの同定および特徴付け
上記で概説したように、T細胞エピトープホットスポット(「ホットスポット」)は1を超えるT細胞エピトープを少なくとも含む短いペプチド配列として定義される。たとえば、2またはそれ以上のエピトープが互いにしばらく後に(「しばらく」とは5〜10アミノ酸未満として定義される)位置していてよく、または直接互いの後に位置していてよく、または部分的または完全に重複していてよい。ホットスポットはクラスIエピトープまたはクラスIIエピトープのみを含んでいてよいし、またはその組合せを含んでいてよい。ホットスポット中のエピトープは異なるHLA拘束を有していてよい。
【0093】
クラスIおよびクラスII抗原プロセシングの高度に複雑かつ選択的な経路のため、T細胞エピトープはポリペプチドの配列内で容易に予測することができない。T細胞エピトープ予測のためのコンピューターアルゴリズムは、広く用いられているとはいうものの、偽陰性および偽陽性の割合が高い。
【0094】
それゆえ、個々のT細胞エピトープでさえもポリペプチドの配列内で明白でないように、同じことはホットスポットの場合はより一層当てはまる。本発明に従い、エピトープ捕捉、HLA−トランスジェニック動物およびヒト単核細胞のインビトロ刺激を含む幾つかの顕著に異なる実験アプローチをT細胞エピトープ同定のために組み合わせる。これら3つのアプローチはすべて、目的とする抗原にまたがる重複ペプチドに系統的に適用され、エピトープの総合的な同定を可能とする。特定のHLA対立遺伝子に限定するのではなく、むしろ集団内のターゲティングの可能性のあるすべてのエピトープを解明するそのような総合的な分析により、エピトープホットスポットが明らかとなる。ある抗原内で、もしあったとしてもごくわずかの配列がホットスポットの特性を示すにすぎない。それゆえ、ホットスポットの同定は常に驚くべき事象である。
【0095】
T細胞エピトープのホットスポットは、重要な利点を提供する:ホットスポットは、ある被験者の異なるT細胞クローンを活性化することができ、異なるT細胞クローンによって認識されうる。ホットスポットは(異なるHLA拘束のエピトープを含むときは)、異なる非HLAマッチング個体からのT細胞と相互作用することができる。
【0096】
エピトープベースのワクチンは、これまで、選択した優勢なHLA−対立遺伝子、たとえばHLA−A2(カフカス人の約半分で発現される)に着目してきた。他の対立遺伝子の頻度はもっと低いため、広範な世界規模の人口に適用可能なエピトープベースのワクチンは多くの異なるエピトープを含む必要があるであろう。ワクチンの化学物質(たとえば、ペプチド)の数は、製造、製剤化および製品の安定性からの制約により限定される。
【0097】
ホットスポットは、限られた数のペプチドによって潜在的に多数のエピトープを提供するので、そのような広範な世界規模の人口に適用可能なエピトープベースのワクチンを可能とする。
【0098】
表2:HCVの保存領域中のT細胞エピトープホットスポット
ホットスポット(変異体を含む)は太字で示してあり、ホットスポット内に含まれるエピトープは標準フォントで示してある。ペプチドの数および配列、並びにHLA−クラスIおよびクラスIIの適用を示す。ソースデータはWO04/024182により提供されない場合は文献名を参照してある。
【表3】

【0099】
【表4】

【0100】
【表5】

【0101】
実施例III:HCVエピトープホットスポットIpep1426は少なくともHLA−A*0201および幾つかのプロミスカスクラスII T細胞エピトープを含む
この実験の主たる目的は、「ホットスポット」Ipep1426(少なくとも1つのHLA−A*0201エピトープ(Ipep1334)および2つのプロミスカスクラスIIエピトープ(Ipep1006および1425)を含む)の免疫原性を個々のエピトープと比較することであった。この目的のため、何人かの健常なHLA型を決定した血液ドナーからの末梢血単核細胞(PBMC)を、1426かまたは1334、1006、1425の混合物のいずれかでインビトロで刺激した。3回刺激を行ってオリゴクローンT細胞株を得た。ついで、4つのすべてのペプチドに対する応答をインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)ELIspot分析により評価した。
【0102】
ペプチド1426は、その配列に含まれる個々のエピトープと同様にT細胞応答を誘発する。とりわけ、HLA−A*0201拘束エピトープ1334に対して向けられたCD8陽性のT細胞が首尾よく得られた。
【0103】
表3:オリゴクローンT細胞株のペプチド誘発IFN−γ分泌
これら株は、ペプチド1426かまたはペプチド1006+1425+1334の混合物のいずれかによる3回のインビトロ初回免疫により2人のHLA型決定した健常な個体から得た。これら株におけるCD4およびCD8陽性T細胞の反応性を、IFN−γ ELIspotにより評価した(「+++」非常に強い、「++」強い、「+」有意、「−」IFN−ガンマ分泌なし)。
【0104】
【表6】

【0105】
実施例IV:強力なHCV特異的1型細胞性応答は5つの異なるHCV由来ペプチド、抗菌ペプチドKLKおよび合成オリゴデオキシヌクレオチドo−d(IC)13の組み合わせた注射により誘発される
マウス:HLA−A*0201トランスジェニックマウス(HHD.1)
【0106】
ペプチド:ペプチドp83、p84、p87、p89、p1426をワクチン接種に用いた。
p83:HCV由来ペプチド、
(KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRL)
p84:HCV由来ペプチド、
(GYKVLVLNPSVAAT)
p87:HCV由来ペプチド、
(DLMGYIPAV)
p89:HCV由来ペプチド、
(CINGVCWTV)
p1426:HCV由来ペプチド、
(HMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPA)(p1274は関係のないペプチドとして再刺激に用いた)
(YMDGTMSQV;HLA−A*0201拘束)
【0107】
ペプチドはすべて標準固相F−moc合成により合成し、HPLC精製し、純度について質量分光法により分析した。
投与量:ペプチド当たり20μg/マウス
【0108】
KLK:KLKLLLLLKLK−COOHをMPS(Multiple Peptide System、米国)により合成した。投与量:10ナノモル/マウス。
【0109】
オリゴ−d(IC)13(=ODN1a)ODN 5’ICI CIC ICI CIC ICI CIC ICI CIC IC3’をPurimex Nucleic Acids Technology、ゲッチンゲンにより合成した。
投与量:0.4ナノモル/マウス。
製剤化:10mMトリス/135mM NaCl;pH〜7
【0110】
実験の段取り(5匹のマウス/群)
1.HCVペプチド
2.HCVペプチド + KLK + o−d(IC)13
【0111】
第0日目、第14日目および第28日目にHHD.1マウスの両後肢の皮下に上記化合物を含む全量100μl/マウス(50μl/肢)を注射した。第35日目(最後のワクチン接種の7日後)にCD4並びにCD8T細胞を脾臓細胞の単一細胞懸濁液から磁気分離(MACS、Miltenyi)により単離した。T細胞を培地とともにインキュベートするか(バックグラウンド対照)またはワクチン接種に用いた異なるペプチドかまたは関連のないペプチドのいずれかの存在下でAPCとしてのナイーブHHD.1マウスからの放射線照射した脾臓細胞で再刺激した。一夜インキュベートした後、IFN−γ産生をELIspotアッセイを用いて分析した。
【0112】
図1は、5つのHCV由来ペプチドをKLK/o−d(IC)13とともに注射したときに、p84、p87、p89、p1426に対するCD4T細胞による高量のIFN−γの産生が誘発されたことを示す。さらに、p87、p89に対するCD8T細胞による強いIFN−γの産生が検出できた。
【0113】
実施例V:ペプチド混合物(HCVペプチドとポリ−L−アルギニン)の可溶化
ペプチド混合物は、ペプチド83、84、87、89、1426およびイミュナイザーとしてのpRを含み(表4を参照)、ここでペプチド83および84は水およびDMSOに可溶であり、ペプチド87および89は水にはわずかしか溶解しないがDMSOには容易に溶解し、ペプチド1426はDMSOにのみ可溶である。懸濁調合物の製造のためには、まずペプチド83および84を水性緩衝液に溶解し、ペプチド87、89、および1426をDMSOに溶解する必要がある。滅菌濾過後、これら溶液を混合して最終懸濁液とすることができる。
【0114】
水/アセトニトリル混合物並びにDMSOおよびDMFは溶媒として作用せずに懸濁液を生成したが、これは濾過妨害のため滅菌濾過することができなかった。驚くべきことには、50%酢酸/水混合物がすべての成分を溶解することがわかった。得られた上記ペプチドを含むペプチド溶液は、濾過妨害なしに容易に滅菌濾過することができた。
【0115】
表4:ペプチド混合物I
【表7】

【0116】
以下の実施例(実施例V.1〜V.12、表5〜16)は、様々な長さおよびアミノ酸組成の少なくとも2つのペプチドを含むペプチド混合物が本発明により可溶化するのに適していることを説明するものである。さらに、これら表は、HLAクラスIおよびクラスII分子に対するこれらペプチドの既知の親和性を示す。
【0117】
実施例V.1:
表5:ペプチド混合物II
【表8】

【0118】
実施例V.2:
表6:ペプチド混合物III
【表9】

【0119】
実施例V.3:
表7:ペプチド混合物IV
【表10】

【0120】
実施例V.4:
表8:ペプチド混合物V
【表11】

【0121】
実施例V.5:
表9:ペプチド混合物VI
【表12】

【0122】
実施例V.6:
表10:ペプチド混合物VII
【表13】

【0123】
実施例V.7:
表11:ペプチド混合物VIII
【表14】

【0124】
実施例V.8:
表12:ペプチド混合物IX
【表15】

【0125】
実施例V.9:
表13:ペプチド混合物X
【表16】

【0126】
実施例V.10:
表14:ペプチド混合物XI
【表17】

【0127】
実施例V.11:
表15:ペプチド混合物XII
【表18】

【0128】
実施例V.12:
表16:ペプチド混合物XIII
【表19】

【0129】
実施例VI:本発明によりさらなるHCVワクチン変異体をデザインするうえでの原理的説明
表17:好ましい「ホットスポットI」の組合せ
【表20】

【0130】
ホットスポットIの好ましい組合せの特徴付け:
ペプチドの数:12
システインによるペプチドの相互作用の可能性:3つのペプチド(1846、89、1547)中の4つのCys;ペプチドのホモ二量体およびへテロ二量体および潜在的にオリゴマーの形成の可能性
扱ったHCV抗原の数:5(コア、E2、NS3、NS4、NS5)
扱ったクラスI対立遺伝子:少なくとも8
A2(8回)、A3(2回)、A11(2回)、A24(1回)
B7(2回)、B35(1回)、B60(1回)
Cw7(1回)
扱ったHLAクラスII:プロミスカスペプチドにより複数
DR1(8回)、DR4(6回)、DR7(8回)、DR11(7回)
【0131】
ホットスポットIの好ましい組合せは、5つの異なるHCV抗原の保存領域(遺伝子型1、2、3で>80%)からの12のペプチドからなっている。合計で少なくとも8つの重要なHLAクラスI対立遺伝子を扱い(それぞれ、1〜8回)、ヨーロッパ人で83〜91%、米国カフカス人で89〜91%および日本人で87〜89%の人口適用を提供する(GjertsonおよびTerasaki編、HLA 1998, American Society of Histocompatibility and Immunogenetics、レネキサ、カンザス、米国におけるHLA罹患率の研究からの数字に基づいて推定)。同様に、幾つかの重要なHLAクラスII対立遺伝子を、主としていわゆるプロミスカスペプチド(1を超えるHLAクラスII対立遺伝子に結合する)により扱っている。個々の特に優勢な対立遺伝子(DR1、4、7、11)は、独立に6〜8回扱っている。重要なことに、DR11は7回扱っている。この対立遺伝子の存在は、HCV感染からの自然回復と関連付けられている(Thurszら、1999 Lancet: 354(9196): 2119-24)。
【0132】
このホットスポットの組合せに含まれるエピトープの数が多いことは、広範な人口適用、それゆえワクチンの適用性を確実にするのみならず、そのような組合せで処置した個体内での広範な免疫応答をも確実にする。このことは有効性の必要条件である、というのはHCV感染からの自然回復が典型的に10またはそれ以上のエピトープに向けられた広範な免疫応答と関連付けられているからである(Day etら、2002 J Virol.: 76(24): 12584-95)。
【0133】
複数のエピトープに対するT細胞応答はまた、HCV−エピトープ回避変異体(免疫応答によってターゲティングされたエピトープをもはや含まないHCVウイルス)の生成のリスクをも低減させる、なぜなら同時にターゲティングするエピトープが多くなれば多くなるほどウイルスがそれらを同時に変えることは困難だからである。チンパンジーでの実験は、そのようなHCV回避変異体が慢性感染を維持するための重要なメカニズムであることを確立している(Weinerら、1995 Proc Natl Acad Sci U S A.: 92(7): 2755-9)。
【0134】
最後に、たとえばたった一つのHCV抗原の代わりに複数のHCV抗原(コア、E2、NS3、4、5)の殆どをターゲティングすることもまた有意な利点を提供する:異なる抗原が、たとえば抗原プロセシングの差異のためにT細胞によって異なって認識され、または個人の特定のHLAハロタイプによって異なって書き留められる(dictated)。また、異なる抗原はHCV生活環の間に異なる重要な機能を有する。
【0135】
組合せホットスポットIはまた、ホットスポットからの個々のエピトープをも含む(Ipep87EXからのIpep87およびIpep89EXからのIpep89)。このことは、特定のエピトープへの所望の応答の慎重な着目(focusing)の利点を有する。たとえばIpep89を用いることはHLA−A2拘束CTL応答が生成することを保証し、一方、89EXを用いることはHLA−A2拘束CTL応答を導くが、これは付随するDR4またはDR7拘束Tヘルパー応答により損なわれるかもしれない。
【0136】
ホットスポットの組合せを用いることは、組換えタンパク質の形態かまたはDNAワクチンのいずれにせよ、完全長の抗原を用いる場合に比べて多くの利点を有する。上記で詳記したように、ある場合には個々のエピトープを用いることの方がホットスポットまたは全体の抗原を用いるよりも有利である。第二に、本明細書に開示するホットスポットは主としてTh1/Tc1タイプの反応(すなわち、インターフェロンガンマ)を読み取りとして用いた機能的アッセイにより同定したものである。抗原がそのようなアゴニストエピトープを含むのみならずアンタゴニストリガンドをもコードすることはよく知られている。そのような全体の抗原には潜在的に存在するがホットスポットには存在しないアンタゴニストは、ワクチンの免疫原性および有効性を妨害する。つぎに、全体の抗原は殆ど確実に体液性の免疫応答を誘発するであろう。そのような抗体応答自体は細胞内にあるHCVに対して殆ど影響を及ぼさないが、所望のT細胞応答をひどく損ないうる。ホットスポットは、その長さが限られているため、所望でない抗体応答を誘発する蓋然性が極めて低い。最後に、HCV抗原の相対的に小さな部分のみが、異なる遺伝子型間で保存されている。それゆえ、ワクチンに使用した全体の抗原は、殆どの患者にとって関連のない非保存領域またはエピトープに対する応答を誘発する。対照的に、本明細書に開示するホットスポットは、主要なHCV遺伝子型である1、2および3で>80%保存された領域に由来するものである。
【0137】
表18:「ホットスポットII」の好ましい組合せ
【表21】

【0138】
「ホットスポットII」の好ましい組合せの特徴付け:
ペプチドの数:7
システインによるペプチドの相互作用の可能性:1つのCys(1846);1846のホモ二量体の形成の可能性
扱ったHCV抗原の数:5(コア、E2、NS3、NS4、NS5)
扱ったクラスI対立遺伝子:少なくとも7
A2(5回)、A3(2回)、A11(2回)、A24(1回)
B7(2回)、B35(1回)
Cw7(1回)
扱ったHLAクラスII:プロミスカスペプチドにより複数
DR1(6回)、DR4(5回)、DR7(5回)、DR11(5回)
【0139】
ホットスポットIIの好ましい組合せは、5つの異なるHCV抗原の保存領域(遺伝子型1、2、3で>80%)からの7つのペプチドからなっている。合計で少なくとも7つの重要なHLAクラスI対立遺伝子を扱い(1〜5回)、ヨーロッパ人で81〜90%、米国カフカス人で89〜91%および日本人で85〜88%の人口適用を提供する(GjertsonおよびTerasaki編、HLA 1998, American Society of Histocompatibility and Immunogenetics、レネキサ、カンザス、米国におけるHLA罹患率の研究からの数字に基づいて推定)。同様に、幾つかの重要なHLAクラスII対立遺伝子を、主としていわゆるプロミスカスペプチド(1を超えるHLAクラスII対立遺伝子に結合する)により扱っている。個々の特に優勢な対立遺伝子(DR1、4、7、11)は、独立に5〜6回扱っている。重要なことに、DR11は5回扱っている。この対立遺伝子の存在は、HCV感染からの自然回復と関連付けられている(Thurszら、1999 Lancet: 354(9196): 2119-24)。
【0140】
組合せIとは対照的に組合せIIは明らかに少ない数のペプチドを有するが(12に対して7)、このことはそのような製品の製造可能性、製剤化および競合生産において潜在的な利点を有する。重要なことに、システイン側鎖を有するペプチドは1つしか残っていない(1846)。それゆえ、この組合せでは1846のホモ二量体のみ生成する可能性があるが、へテロ二量体もオリゴマーも生成できない。
【0141】
同時に組合せIIは組合せIと同じ5つのHCV抗原および同様の数のHLAクラスIおよびIIの両対立遺伝子を扱っている。それゆえ、上記段落で検討した事項は組合せIIにも当てはまる。
【0142】
製剤開発の観点からは、組合せIIは組合せIに比べて幾つかの利点を有する(12の成分の代わりに7の成分のみ)。最も重要なことに、ただ1つのペプチド(1846)のみが遊離のシステイン側鎖を含んでいる。それゆえ、1846のホモ二量体のみが形成され、へテロ二量体もオリゴマーも形成されることはない。
【0143】
実施例VII:HCVワクチン−102用量最適化試験のT細胞免疫原性の結果
臨床試験の間に多くのペプチド/ポリアルギニン混合物をワクチンとして健常な志願者に投与した。各群はHLA−A2に陽性の12人の被験者から構成されていた。被験者は1ヶ月の間隔で4回のワクチン接種を受けた(ビジット3〜6)。免疫分析のための採血をビジット1〜6、最後のワクチン接種の1ヶ月後(ビジット7)および最後のワクチン接種の3ヶ月後(ビジット8)に行った。臨床試験をモニターするため、IntercellはGLP/GCPに準拠した免疫応答の終点を決定するための備え付きの(set-up)最新式T細胞アッセイ:インターフェロン−ガンマELIspotアッセイ、T細胞増殖アッセイ、HLA−テトラマー/FACSアッセイを有している。これらアッセイは、治療用HCVワクチンにより誘発されるエピトープ特異的なT細胞応答の信頼性ある測定を可能にする。ワクチン誘発T細胞免疫応答は、有効性の代理パラメーターとして作用する(Keilholzら、J Immunother. 2002 Mar-Apr;25(2): 97-138)。
【0144】
一次終点としてT細胞免疫原性をT細胞増殖アッセイにより決定した:
増殖アッセイは、ヒト血液のような生物学的試料中のペプチド特異的なT細胞の検出を可能にする。このアッセイの基礎は、T細胞がそのT細胞レセプターによって特異的に認識されたペプチドで刺激するとサイトカインの分泌およびその後の増殖により反応するということである。細胞の増殖は様々な手段により測定することができる;最も感度の高いアプローチとして、細胞分裂の前に合成されたDNAに放射性標識したチミジンを導入することが挙げられる。この反応は96ウエルプレートで行うことができる。各ウエルには一定数の細胞が含まれており、これを抗原/ペプチドの存在下で数日培養する。最後の16〜20時間にトリチウムで標識したチミジン(3H−チミジン)を加える。ついで、細胞をフィルタープレートに回収する:遊離の放射能を含む培地を洗浄して除き、一方、DNAはフィルターに固着する。導入された放射能をベータ−シンチレーションカウンターにより定量できる。通常の出力はcounts-per-minute(cpm)で与えられる。
【0145】
二次終点としてT細胞免疫原性をインターフェロンガンマELIspotにより決定した:
ELIspotは、ヒト血液などの生物学的試料中のペプチド特異的な機能的な(すなわち、サイトカイン分泌)T細胞の定量を可能とする。このアッセイの基礎は、T細胞がそのT細胞レセプターによって特異的に認識されたペプチドで刺激するとIFN−ガンマなどのサイトカインの分泌により反応するということである。この反応は96ウエルプレートで行うことができる。このプレートのフィルター−ウエルはIFN−ガンマに特異的なMabでコーティングされている。その後、IFN−ガンマを分泌する各細胞はIFN−ガンマスポットを残し、これをその後の発色反応で可視化することができる。スポットは、自動プレート読み取り機を用いてカウントすることができる。得られた数は、試料中のペプチド特異的でIFN−ガンマ分泌性のT細胞の頻度の測定手段である。
【0146】
さらなる二次終点としてHLA−テトラマー/FACS分析を行った:
HLA分子と抗原ペプチドとの複合体の可溶性の組換え形態であるHLAクラスIテトラマーは、T細胞認識に用いた抗原特異的なT細胞レセプターに結合する。蛍光テトラマーとともにフローサイトメトリーを用いることにより、抗原特異的なCD8Tリンパ球を信頼性をもって数え上げ、特徴付けることができる。このアッセイは、Beckman Coulter Immunomicsにより製造されたHLA−A*0201特別注文iTagTM−テトラマーをHCVワクチンクラスIエピトープと複合体を生成させて用いる。
【0147】
被験者は、ビジット4〜8のいずれにても有意のT細胞特異的な応答を示し、処置前には応答を有しないときはリスポンダーとして分類した。
【0148】
食塩水を与えた25人の被験者の対照群の25%に比べて、いずれのペプチドに対しても、ビジット4〜8のいずれにおいても、3つのT細胞アッセイのいずれにても92%までの最大リスポンダー率が達成された。
【0149】
Ipep89、Ipep84およびIpep1426当たりのリスポンダー率:
ここで例示としてT細胞エピトープホットスポットペプチドIpep89(クラスIのT細胞エピトープ)、Ipep84およびIpep1426に対する応答を示す。これら応答は1ヶ月ごとの4回のワクチン接種のサイクルの後に得られた。グループBについては、ワクチンはポリ−L−アルギニンのみを含んでいた。グループCについては、ワクチンはIpep89、Ipep84およびIpep1426を含む5つのペプチドの混合物を含んでいた。グループGについては、ワクチンはグループCと同じ5つのペプチドの混合物に加えて完全合成T細胞アジュバントとしてのポリ−L−アルギニンを含んでいた。
【0150】
表19は、対照グループBではELIspotおよびHLA−テトラマー/FACS分析においてリスポンダーがなく、合計3のみの陽性のビジットで3のリスポンダーが認められたことを示している。後者は増殖アッセイで得られた偽陽性リスポンダーの率として解釈することができる。
【0151】
ペプチドのみを含みポリ−L−アルギニンを含まないグループCでは、ELIspotでIpep1426に対して1のリスポンダー、増殖アッセイでIpep84およびIpep1426に対してそれぞれ5および4のリスポンダー、HLA−テトラマー/FACS分析でIpep89に対して4のリスポンダーが認められた。最後に、グループG(グループCと同じペプチドに加えてポリ−L−アルギニン)は3つのすべてのアッセイでリスポンダーを示した。重要なことに、機能的なT細胞の指標を与える一貫して(3つのすべてのペプチド)かつ持続した(陽性ビジットの合計数を参照)ELIspot応答は合成T細胞アジュバントとしてのポリ−L−アルギニンに依存していた。
【0152】
表19:グループB、CおよびGにおけるペプチド当たりのリスポンダーおよび陽性ビジットの合計数
【表22】

【0153】
個々の経過(ELIspot)の例:グループGからの被験者5:
表20は、グループG(5つのペプチド+ポリ−L−アルギニン)からの特定の被験者の連続した採血から得られたインターフェロン−ガンマELIspotの結果を示す。2回目のワクチン接種の1ヶ月のビジット5ですでに2つのクラスIIエピトープIpep84およびIpep1426が応答を示している。3回目のワクチン接種後、すべての応答でピークが達成され、クラスIエピトープのIpep89も応答を示している。さらに、Ipep1426は最後のワクチン接種の3ヶ月後のビジット8でさえも持続した応答を示している。
【0154】
表20:グループGからの被験者5のIpep89、84、1426についての経時的なELIspot値
(100万のPBMC当たりのスポット、バックグラウンドは差し引いてある;有意でない値は0とした)
【表23】

【0155】
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【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】KLK/O−d(IC)13がHCV−ペプチド特異的な1型細胞性免疫応答を誘発することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのエピトープを含むC型肝炎ウイルス(HCV)ワクチンであって、これらエピトープのそれぞれが異なるホットスポットエピトープからのものであり、その際、ホットスポットエピトープが、
KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRLGVRATRK、
GYKVLVLNPSVAAT、
AYAAQGYKVLVLNPSVAAT、
DLMGYIP(A/L)VGAPL、
GEVQVVSTATQSFLATCINGVCWTV、
HMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPA、
VDYPYRLWHYPCT(V/I)N(F/Y)TIFK(V/I)RMYVGGVEHRL、
AAWYELTPAETTVRLR、
GQGWRLLAPITAYSQQTRGLLGCIV、
IGLGKVLVDILAGYGAGVAGALVAFK、
FTDNSSPPAVPQTFQV、
LEDRDRSELSPLLLSTTEW、
YLVAYQATVCARAQAPPPSWD、
MSTNPKPQRKTKRNTNR、
LINTNGSWHINRTALNCNDSL、
TTILGIGTVLDQAET、
FDS(S/V)VLCECYDAG(A/C)AWYE、
ARLIVFPDLGVRVCEKMALY、
AFCSAMYVGDLCGSV、
GVLFGLAYFSMVGNW、
VVCCSMSYTWTGALITPC、
TRVPYFVRAQGLIRAおよび
TTLLFNILGGWVAAQ
よりなる群から選ばれたペプチドを含むエピトープとして定められることを特徴とするワクチン。
【請求項2】
少なくとも3つ、とりわけ少なくとも4つのエピトープを含み、これらエピトープのそれぞれが異なるホットスポットエピトープからのものである、請求項1に記載のHCVワクチン。
【請求項3】
少なくとも5つのエピトープを含み、これらエピトープのそれぞれが異なるホットスポットエピトープからのものである、請求項1に記載のHCVワクチン。
【請求項4】
少なくとも6つのエピトープを含み、これらエピトープのそれぞれが異なるホットスポットエピトープからのものである、請求項1に記載のHCVワクチン。
【請求項5】
エピトープが以下の群から選ばれる、請求項1ないし4のいずれかに記載のHCVワクチン:
KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRLGVRATRK、KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRL、YLLPRRGPRL、LPRRGPRL、GPRLGVRAT、RLGVRATRK;
GYKVLVLNPSVAAT、AYAAQGYKVL、AYAAQGYKVLVLNPSVAAT;
DLMGYIPAV、GYIPLVGAPL、DLMGYIPLVGAPL;
CINGVCWTV、GEVQVVSTATQSFLAT、GEVQVVSTATQSFLATCINGVCWTV;
HMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPA、MWNFISGIQYLAGLSTLPGN、NFISGIQYLAGLSTLPGNPA、QYLAGLSTL、HMWNFISGI;
VDYPYRLWHYPCTVNFTIFKVRMYVGGVEHRL、DYPYRLWHYPCTVNFTIFKI、DYPYRLWHYPCTVNFTIFKV、VDYPYRLWHYPCTVNYTIFKIRMYVGGVEHRL、DYPYRLWHYPCTVNYTIFKI、DYPYRLWHY、TVNYTIFKI、TINYTIFK、TVNFTIFKV、HYPCTVNYTI、HYPCTVNFTI、RMYVGGVEHR;
AAWYELTPAETTVRLR、TPAETTVRL;
GWRLLAPITAYSQQTRGLLGCIV、TAYSQQTRGLLGCIV、TAYSQQTRGLLG、GQGWRLLAPITAYSQ、RLLAPITAY、GQGWRLLAPITAYSQQTRGLLGCIV、GQGWRLLAPITAYSQQTRGLLG、AYSQQTRGLL、AYSQQTRGL;
IGLGKVLVDILAGYGAGVAGALVAFK、ILAGYGAGV、VAGALVAFK、GYGAGVAGAL;
VVCCSMSYTWTGALITPC、SMSYTWTGALITP、SMSYTWTGAL、SYTWTGALI;
FTDNSSPPAVPQTFQV;
LEDRDRSELSPLLLSTTEW、LEDRDRSELSPLLLST、RSELSPLLL、ELSPLLLST、DRDRSELSPL、LEDRDRSEL、LEDRDRSEL;
YLVAYQATVCARAQAPPPSWD、YLVAYQATV;
MSTNPKPQRKTKRNTNR、PQRKTKRNTNR、QRKTKRNTN、RKTKRNTNR、MSTNPKPQR、MSTNPKPQK;
LINTNGSWHINRTALNCNDSL、NGSWHINRTALNCNDSL、LINTNGSWHI、RTALNCNDSL、LINTNGSWHINRTALN、SWHINRTALN;
TTILGIGTVLDQAET、TTILGIGTV、TILGIGTVL;
FDSSVLCECYDAGAAWYE、FDSSVLCECYDAGCA、VLCECYDAGA、VVLCECYDAGAAWYE;
ARLIVFPDLGVRVCEKMALY、ARLIVFPDL、RLIVFPDLGV、RVCEKMALY、AFCSAMYVGDLCGSV;
GVLFGLAYFSMVGNW;
TRVPYFVRAQGLIRA;
TTLLFNILGGWVAAQ、LLFNILGGWV。
【請求項6】
以下のホットスポットエピトープの少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つからの少なくとも1つのエピトープを含む、請求項1ないし5のいずれかに記載のHCVワクチン:
KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRLGVRATRK、
AYAAQGYKVLVLNPSVAAT、
DLMGYIP(A/L)VGAPL、
GEVQVVSTATQSFLATCINGVCWTVおよび
HMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPA。
【請求項7】
以下のホットスポットエピトープの少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、とりわけ少なくとも4つからの少なくとも1つのエピトープを含む、請求項1ないし6のいずれかに記載のHCVワクチン:
VDYPYRLWHYPCT(V/I)N(F/Y)TIFK(V/I)RMYVGGVEHRL、
AAWYELTPAETTVRLR、
GQGWRLLAPITAYSQQTRGLLGCIV、
IGLGKVLVDILAGYGAGVAGALVAFK、
FTDNSSPPAVPQTFQV、
LEDRDRSELSPLLLSTTEW、
YLVAYQATVCARAQAPPPSWD、
MSTNPKPQRKTKRNTNRおよび
LINTNGSWHINRTALNCNDSL。
【請求項8】
以下のホットスポットエピトープの少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、とりわけ少なくとも4つからの少なくとも1つのエピトープを含む、請求項1ないし7のいずれかに記載のHCVワクチン:
TTILGIGTVLDQAET、
FDS(S/V)VLCECYDAG(A/C)AWYE、
ARLIVFPDLGVRVCEKMALY、
AFCSAMYVGDLCGSV、
GVLFGLAYFSMVGNW、
TRVPYFVRAQGLIRAおよび
TTLLFNILGGWVAAQ。
【請求項9】
以下のエピトープを含む、請求項1ないし8のいずれかに記載のHCVワクチン:
GYKVLVLNPSVAAT、
DLMGYIPAV、
CINGVCWTVおよび
HMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPA。
【請求項10】
エピトープ:KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRLGVRATRKを含む、請求項1ないし9のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項11】
エピトープ:DLMGYIPAVを含む、請求項1ないし9のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項12】
エピトープ:CINGVCWTVを含む、請求項1ないし9のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項13】
エピトープ:HMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPAを含む、請求項1ないし9のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項14】
エピトープ:GYKVLVLNPSVAATを含む、請求項1ないし9のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項15】
エピトープ:VVCCSMSYTWTGALITPCを含む、請求項1ないし9のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項16】
配列:R−XZXZXZX−R(式中、Nは3〜7の全数、好ましくは5、Xは正に荷電した天然および/または非天然アミノ酸残基、ZはL、V、I、Fおよび/またはWよりなる群から選ばれたアミノ酸残基、RおよびRは互いに独立して−H、−NH、−COCH、−COH、20までのアミノ酸残基またはペプチド反応性の基を有するペプチドまたはペプチドを有するかまたは有しないペプチドリンカーから選ばれる;X−Rはまた該ペプチドのC末端アミノ酸残基のアミド、エステルまたはチオエステルであってよい)を含むペプチド(「ペプチドA」)をさらに含む、請求項1ないし15のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項17】
式(I):
【化1】


(式中、R1はヒポキサンチンおよびウラシルから選ばれる、
XはいずれもOまたはS、
NMPはいずれも、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシイノシン−、デオキシシトシン−、デオキシウリジン−、デオキシチミジン−、2−メチル−デオキシイノシン−、5−メチル−デオキシシトシン−、デオキシプソイドウリジン−、デオキシリボースプリン−、2−アミノ−デオキシリボースプリン−、6−S−デオキシグアニン−、2−ジメチル−デオキシグアノシン−またはN−イソペンテニル−デオキシアデノシン−モノホスフェートまたは−モノチオホスフェートよりなる群から選ばれた2'デオキシヌクレオシドモノホスフェートまたはモノチオホスフェート、
NUCは、デオキシアデノシン−、デオキシグアノシン−、デオキシイノシン−、デオキシシトシン−、デオキシイノシン−、デオキシチミジン−、2−メチル−デオキシウリジン−、5−メチル−デオキシシトシン−、デオキシプソイドウリジン−、デオキシリボースプリン−、2−アミノ−デオキシリボースプリン−、6−S−デオキシグアニン−、2−ジメチル−デオキシグアノシン−またはN−イソペンテニル−デオキシアデノシンよりなる群から選ばれた2'デオキシヌクレオシド、
aおよびbは0〜100の整数であり、ただしa+bは4〜150である、
BおよびEは核酸分子の5'末端または3'末端の一般的な基)による構造を有する免疫促進オリゴデオキシ核酸分子(ODN)(I−/U−ODN)をさらに含む、請求項1ないし16のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項18】
Al(OH)アジュバントをさらに含む、請求項1ないし17のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項19】
ポリカチオン性ペプチドをさらに含む、請求項1ないし18のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項20】
該ペプチドAがKLKLKLKである、請求項1ないし19のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項21】
該I−/U−ODNがオリゴd(IC)13である、請求項1ないし20のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項22】
CpG−モチーフを含有するオリゴデオキシヌクレオチドをさらに含む、請求項1ないし21のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項23】
37℃で15分以内に再構成しうる形態に凍結乾燥される、請求項1ないし23のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項24】
20μg〜10mgの各エピトープを含む、請求項1ないし23のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項25】
凍結乾燥され、痕跡量の酢酸を含む、請求項1ないし24のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項26】
以下のエピトープの少なくとも2つを含む、請求項1ないし25のいずれかに記載のHCVワクチン:
KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRLGVRATRK、DLMGYIPAV、LEDRDRSELSPLLLSTTEW、DYPYRLWHYPCTVNFTIFKV、GYKVLVLNPSVAAT、CINGVCWTV、AAWYELTPAETTVRLR、YLVAYQATVCARAQAPPPSWD、TAYSQQTRGLLG、HMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPA、IGLGKVLVDILAGYGAGVAGALVAFKおよびSMSYTWTGALITP。
【請求項27】
これらエピトープの少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、とりわけ少なくとも6つのエピトープを含む、請求項25に記載のHCVワクチン。
【請求項28】
これらエピトープの少なくとも8つ、好ましくは12のすべてを含む、請求項25に記載のHCVワクチン。
【請求項29】
以下のエピトープの少なくとも2つを含む、請求項1ないし25のいずれかに記載のHCVワクチン:
KFPGGGQIVGGVYLLPRRGPRLGVRATRK、DYPYRLWHYPCTVNFTIFKV、AAWYELTPAETTVRLR、TAYSQQTRGLLG、HMWNFISGIQYLAGLSTLPGNPA、IGLGKVLVDILAGYGAGVAGALVAFKおよびSMSYTWTGALITP。
【請求項30】
これらエピトープの少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つ、とりわけ12のすべてのエピトープを含む、請求項29に記載のHCVワクチン。
【請求項31】
これらエピトープの少なくとも1つのA2エピトープ、少なくとも1つのDR1エピトープ、少なくとも1つのDR7エピトープまたは各エピトープの少なくとも1つを含む、請求項1ないし30のいずれかに記載のHCVワクチン。
【請求項32】
HCV感染の予防および治療用医薬の製造のための請求項1ないし30のいずれかに記載のワクチンの使用。
【請求項33】
以下の工程を特徴とする請求項1ないし31のいずれかに記載のワクチンの製造方法:
−請求項1ないし15および26ないし31に記載の少なくとも2つのエピトープを化学的に合成し、
−これらエピトープを、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸およびそのハロゲン化形態またはヒドロキシル化形態よりなる群から選ばれた少なくとも1の有機酸を含む水溶液により可溶化し、
−該可溶化エピトープを混合し、ついで
−任意に該混合エピトープを凍結乾燥する。

【図1】
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【公表番号】特表2009−513542(P2009−513542A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519837(P2006−519837)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007540
【国際公開番号】WO2005/004910
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(502270718)インターツェル・アクチェンゲゼルシャフト (26)
【氏名又は名称原語表記】INTERCELL AG
【Fターム(参考)】