説明

ICカードシステム

【課題】ICカード端末とこのICカード端末との間でデータの集配信を行うデータ集配信サーバとの間のデータ授受を安価にかつ効率良く行うことを課題とする。
【解決手段】集配信データを受け渡すためのハンディ端末14を設け、このハンディ端末14がICカードに成りすましてカードかざし部12を介したICカード端末11とのデータ授受を行い、これによりICカード端末11に集配信データ配送用のインターフェースを設けなくとも集配信データをデータ集配信サーバ13との間で受け渡しを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードのインターフェースをなすかざし部を有するICカード端末と該ICカード端末との間でデータの集配信を行うデータ集配信サーバとを有するICカードシステムに関し、特に、ICカード端末とこのICカード端末との間でデータの集配信を行うデータ集配信サーバとの間のデータ授受を安価にかつ効率良く行うことができるICカードシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ICカードの安全性及び利便性に着目して、住民基本台帳カード、鉄道乗車券、プリペイド型電子マネー並びにクレジットカード等様々な分野でICカードが利用されつつある。このICカードとは、プラスチックカードの中にICチップを埋め込んだカードであり、特に利便性の高い非接触ICカードは、プラスチックカード内に設けられたアンテナコイルを用いてICカード端末(リーダ/ライタ)との間で非接触でデータ授受を行うものである。
【0003】
具体的には、ICカード端末のかざし部と呼ばれる部分に非接触ICカードをかざすと、該非接触ICカードはこのかざし部からの電磁波を受けて電力を生成するとともに、ICカード端末から送信されたコマンドを受信、解析、処理し、結果の送信を行うことになる。例えば特許文献1には、このICカード端末のかざし部に関する発明が開示されている。
【0004】
ここで、上記ICカード端末内には、非接触ICカードを介した各種取引ログが内部に蓄積されるため、図7に示すように、かかるICカード端末とデータ集配信を行うデータ集配信サーバとをケーブル(LANやRS−232C)で接続しておき、かかるICカード端末内の取引ログを定期的にデータ集配信サーバに転送するのが一般的である。また、ICカード端末の設定を行う場合や新たなファームウエアの導入を行う場合には、かかる設定データやファームウエアが上記ケーブルを介してデータ集配信サーバからICカード端末に配信されていた。
【0005】
【特許文献1】特開2004−355580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術のようにICカード端末とデータ集配信サーバを有線でケーブル接続することとしたのでは、設置場所の環境整備や設置場所を変更する場合にケーブルを取り回さねばならず、その作業労力が大きくなるという問題がある。また、本来ICカード端末は小型・安価なものが望ましいが、ケーブル接続するためのインターフェースをICカード端末に設けなければならず、装置の小型化やコスト低下の阻害要因になるという問題もある。
【0007】
このため、ICカード端末とデータ集配信サーバをケーブル接続するのではなく赤外線通信等を利用して無線によりデータ授受を行うことも考えられるが、この場合には、赤外線インターフェースをICカード端末に設けなければならず、依然として装置の小型化やコスト低下のニーズに対応することができない。
【0008】
このことから、非接触ICカードをかざすためのかざし部を有するICカード端末とこのICカード端末との間でデータの集配信を行うデータ集配信サーバとの間のデータ授受をいかにして安価にかつ効率良く行うかが極めて重要な課題となっている。なお、かかる課題は接触型ICカードを用いる場合にも同様に生ずる課題である。
【0009】
この発明は、上記課題(問題点)に鑑みてなされたものであり、ICカード端末とこのICカード端末との間でデータの集配信を行うデータ集配信サーバとの間のデータ授受を安価にかつ効率良く行うことができるICカードシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、ICカードのインターフェースをなすかざし部を有するICカード端末と該ICカード端末との間でデータの集配信を行うデータ集配信サーバとを有するICカードシステムであって、前記ICカードに成りすまして前記かざし部を介して前記ICカード端末とデータ送受信を行う携帯端末装置を備え、前記ICカード端末は、前記携帯端末装置と前記かざし部を介して通信可能状態となった際に、前記携帯端末装置とデータ授受を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記携帯端末装置は、前記かざし部を介して前記ICカード端末とデータの送受信を行うICカード端末用送受信手段と、前記データ集配信サーバとデータ送受信を行うサーバ用送受信手段と、前記ICカード端末用送受信手段により前記ICカード端末から受信した受信データを記憶する記憶手段と、前記かざし部との間で送受信可能状態となった際に、前記ICカード端末用送受信手段により前記ICカード端末に蓄積したデータを受信して前記記憶手段に記憶するとともに、前記データ集配信サーバとの間で送受信可能状態となった際に、前記記憶手段に記憶したデータを前記サーバ用送受信手段により前記データ集配信サーバに送信するよう制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記記憶手段は、前記ICカード端末が前記ICカードとの間で取引処理した取引ログ、イベント発生時に記憶したイベントログ及び/又は装置情報を前記データとして記憶することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記記憶手段は、前記サーバ用送受信手段により前記データ集配信サーバから受信したデータを記憶し、前記制御手段は、前記かざし部との間で送受信可能状態となった際に、前記記憶手段に記憶したデータを前記ICカード端末用送受信手段により前記ICカード端末に送信するよう制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記制御手段は、所定の入力部を用いて入力された各ICカード端末個別の端末設定情報若しくは動作指示情報を前記記憶手段に記憶したデータとともに各ICカード端末に送信制御することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記記憶手段は、前記ICカード端末に設定するファームウエア、端末設定データ若しくは動作指示を前記データとして記憶することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記ICカード端末は、前記ICカードの待ち受け状態中に所定の識別情報を受け付けた際に、該所定の識別情報の送信主が前記ICカード若しくは前記携帯端末装置のいずれであるかを判定する判定手段と、前記判定手段により前記携帯端末装置であると判定された場合に、前記携帯端末装置とデータ送受信を行う送受信手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記ICカード端末は、前記ICカードの待ち受け状態中に前記ICカード若しくは携帯端末装置の接近を自動検知する自動検知手段をさらに備え、前記判定手段は、前記自動検知手段により検知された対象が前記ICカード若しくは前記携帯端末装置のいずれであるかを判定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記ICカードは内部にアンテナを有する非接触ICカードであり、前記かざし部は前記ICカード若しくは前記携帯端末装置との間で非接触状態でのデータ送受信を行うことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記発明において、前記ICカード端末と前記携帯端末装置との間では、通信異常時発生時の復旧処理並びに認証処理を含むプロトコルでデータ送受信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、携帯端末装置がICカードに成りすましてかざし部を介してICカード端末とデータ送受信を行い、ICカード端末が携帯端末装置とかざし部を介して通信可能状態となった際に携帯端末装置とデータ授受を行うよう構成したので、ICカード端末の基本機能として設けられているかざし部(ICカードとの通信用)を用いて携帯端末装置と通信することができる。これにより、ICカード端末にケーブル接続用インターフェースや赤外線インターフェースを設けずともICカード端末とデータ集配信サーバとの間で取引ログの吸い上げやファームウエアの転送等を効率良く行うことが可能となる。
【0021】
また、本発明によれば、かざし部を介してICカード端末とデータの送受信を行うインターフェースと、データ集配信サーバとデータ送受信を行うインターフェースとを携帯端末装置に設けるとともに、かざし部との間で送受信可能状態となった際に、ICカード端末に蓄積したデータを受信して記憶するとともに、データ集配信サーバとの間で送受信可能状態となった際に、記憶したデータをデータ集配信サーバに送信するよう制御するよう構成したので、かざし部を介して取得した取引ログ等のデータを携帯端末装置に吸い上げて一時記憶するとともに、該一時記憶した取引ログ等のデータをデータ集配信サーバに送信することができる。
【0022】
また、本発明によれば、ICカード端末がICカードとの間で取引処理した取引ログ、イベント発生時に記憶したイベントログ及び/又は装置情報を記憶するよう構成したので、取引データに代表される大量のログデータや装置情報等を効率良くICカード端末から携帯端末装置に吸い上げてデータ集配信サーバに送信することができる。
【0023】
また、本発明によれば、データ集配信サーバから受信したデータを記憶し、かざし部との間で送受信可能状態となった際に、記憶したデータをICカード端末に送信制御するよう構成したので、携帯端末装置を介してデータ集配信サーバからICカード端末に効率良くデータ転送することができる。
【0024】
また、本発明によれば、所定の入力部を用いて入力された各ICカード端末個別の端末設定情報若しくは動作指示情報を記憶したデータとともに各ICカード端末に送信制御するよう構成したので、データ集配信サーバから受け取ったデータだけではなく、装置上で入力された端末設定情報若しくは動作指示情報についても一緒に転送することができる。
【0025】
また、本発明によれば、ICカード端末に設定するファームウエア、端末設定データ若しくは動作指示を記憶するよう構成したので、ICカード端末上で必要となるファームウエア等の各種データを携帯端末装置を介してデータ集配信サーバからICカード端末に効率良くデータ転送することができる。
【0026】
また、本発明によれば、ICカード端末が、ICカードの待ち受け状態中に所定の識別情報を受け付けた際に、該所定の識別情報の送信主がICカード若しくは携帯端末装置のいずれであるかを判定し、携帯端末装置であると判定された場合に、携帯端末装置とデータ送受信を行うよう構成したので、かざし部を介してICカード及び携帯端末装置と通信可能とし、そのいずれであるかを判定できるため、本来ICカードとのデータ通信に必要なインターフェース部(かざし部を含む)を利用しつつ効率良く携帯端末装置と通信することができる。
【0027】
また、本発明によれば、ICカード端末が、ICカードの待ち受け状態中にICカード若しくは携帯端末装置の接近を自動検知し、検知された対象がICカード若しくは携帯端末装置のいずれであるかを判定するよう構成したので、ICカードを待ち受けるポーリング中に携帯端末装置が近接した場合に、通信対象が携帯端末装置であることを自動判定することができる。
【0028】
また、本発明によれば、ICカードは内部にアンテナを有する非接触ICカードであり、かざし部はICカード若しくは携帯端末装置との間で非接触状態でのデータ送受信を行うよう構成したので、鉄道会社や航空会社等が採用し普及しつつある非接触ICカードのICカード端末にも対応することができる。
【0029】
また、本発明によれば、ICカード端末と携帯端末装置との間では、通信異常発生時の復旧処理並びに認証処理を含むプロトコルでデータ送受信を行うよう構成したので、単にICカードとのデータ授受を行うプロトコルを採用するのではなく、ICカード端末と携帯端末装置の間では大量の取引ログの授受に適したプロトコルでデータ授受を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るICカードシステムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、ここでは本発明を非接触ICカードシステムに適用した場合を示すこととするが、本発明は接触型のICカードシステムの場合にも適用することができる。
【実施例】
【0031】
まず、本実施例に係るICカードシステムの概念について説明する。図1は、本実施例に係るICカードシステムの概念を説明するための説明図である。同図に示すICカードシステムは、ICカード端末11のカードかざし部12にICカード10がかざされた場合に、ICカード10とICカード端末11の間で決済取引等のデータ授受を行うものである。したがって、このICカード端末11内には取引ログ等のデータが蓄積されることになるので、この取引ログをデータ集配信サーバ13に吸い上げる必要が生ずる。また、ICカード端末11に新たなファームウエア等を設定する場合には、データ集配信サーバ13からICカード端末11に対してファームウエアを転送する必要が生ずる。
【0032】
このため、従来は、ICカード端末11とデータ集配信サーバ13をケーブル接続して両者の間で集配信データの授受を行っていたわけであるが、これでは装置の配置変更等を行う場合にケーブルの取り回しが大変になる。加えて、ケーブル接続に伴うインターフェースをICカード端末11に付加する必要が生じるため、装置のコストアップを招いてしまう。
【0033】
そこで、図1に示した本実施例に係るICカードシステムでは、集配信データを受け渡すためのハンディ端末14を設け、このハンディ端末14がICカードに成りすましてカードかざし部12を介したICカード端末11とのデータ授受を行うよう構成し、これによりICカード端末11に集配信データ送受信用のインターフェースを設けなくとも集配信データをデータ集配信サーバ13との間で受け渡しできるようにしている。
【0034】
例えば、ICカード端末11に蓄積した取引ログをデータ集配信サーバ13に吸い上げる場合には、操作者は、まずICカード10でカード取引する場合と同様にハンディ端末14をカードかざし部12にかざす。これにより、ICカード端末11はハンディ端末14とデータ授受可能となったことを認識し、装置内部に蓄積した取引ログをハンディ端末14に送信し、この取引ログを受信したハンディ端末14は、図示しない記憶部に取引ログを記憶する。その後、操作者がハンディ端末14を持参してデータ集配信サーバ13に赴いてデータ集配信サーバ13と例えば赤外線通信等の通信を行い、記憶部に記憶した取引ログをデータ集配信サーバ13に送信することにより、もともとICカード端末11に蓄積されていた取引ログをデータ集配信サーバ13に受け渡すことが可能となる。
【0035】
ICカード10は、プラスチックカードの内部にICチップとアンテナコイルが設けられた非接触型ICカードである。なお、このICカード10は、ISO14443に規定される近接型、ISO10536に規定される密接型又はISO15693に規定される近傍型のいずれでも良く、それ以外のものでも構わない。
【0036】
ICカード端末11は、カードかざし部12にかざされたICカード10との間でデータ授受を行ってカード取引を行うリーダライタ装置であり、具体的にはICカード10との間で電子マネーによる取引決済等を行いその取引ログを記憶する処理を行う。なお、このICカード端末11の具体的な構成については後述する。
【0037】
データ集配信サーバ13は、ICカード端末11との間で集配信データの授受を行うサーバ装置であり、ハードディスク装置等の記憶媒体と赤外線通信機能を有する一般のパーソナルコンピュータにより形成される。なお、ここでは説明の便宜上、データ集配信サーバ13とハンディ端末14との間で赤外線通信によりデータの受け渡しを行う場合について説明するが、このデータ集配信サーバ13とハンディ端末14との間の通信手段はいかなるものであっても良い。
【0038】
ハンディ端末14は、ICカード端末11とデータ集配信サーバ13の間で集配信データを受け渡す際の橋渡し役を担う携帯端末装置である。つまり、操作者が、集配信データの集積若しくは配信を行いたい場合には、このハンディ端末14を持参してICカード端末11若しくはデータ集配信サーバ13に赴けばその目的を達成できる。なお、このハンディ端末14の具体的な構成についても後述する。
【0039】
次に、図1に示したICカード端末11の構成について具体的に説明する。図2は、図1に示したICカード端末11の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このICカード端末11は、判定処理部11a、カード処理部11b、通信処理部11c、記憶部11d、制御部11e及びカードかざし部12とを有する。
【0040】
判定処理部11aは、ポーリングを行っているカードかざし部12から識別情報(ID番号)を受け取った際に、このID番号に基づいて通信相手がICカード10であるかハンディ端末14であるかを判定する処理部である。従来は、カードかざし部12にかざされる対象がICカード10のみであったためかかる判定処理部11aは必要なかったが、本実施例では、ハンディ端末14をICカード10の如くに扱うことによって余分なインターフェースを設けないよう構成したため、かかる判定処理部11aが意味を持つのである。
【0041】
カード処理部11bは、ICカード10との間で本来の取引処理を行う処理部であり、例えばICカード10内に電子マネーが保持されているような場合には、かかる電子マネーを用いた取引決済処理等を行う。なお、かかるカード処理部11bの処理自体は本発明の特徴部分ではないので、いかなる処理を行うこととしても構わない。
【0042】
通信処理部11cは、ICカード10との通信処理及びハンディ端末14との通信処理を行う処理部である。ここで、ハンディ端末14との通信処理を行う際には、ICカード10との通信処理と異なり、通信異常時の再送信等の復旧処理や認証処理を行い通信の冗長性並びにセキュリティを考慮した通信処理を行うこととしている。かかる処理を行う理由は、ハンディ端末14が取り扱う取引ログ等のデータは大容量かつ重要なものが多いからである。ただし、両者の通信処理を共用化して両者ともに冗長性及びセキュリティを考慮した通信処理としても構わない。
【0043】
記憶部11dは、ICカード10との取引決済に係る取引ログデータ、イベント発生時のイベントログデータ及び装置性能諸元等の装置データ等を記憶する記憶デバイスである。なお、この記憶部11dは不揮発性メモリやハードディスク等で形成することができる。
【0044】
制御部11eは、ICカード端末11の全体制御を行う制御部であり、カードかざし部12によるポーリング制御やカード処理部11bによる取引処理時に記憶部11dに取引ログデータを蓄積する制御等を行う。
【0045】
次に、図1に示したハンディ端末14の構成について具体的に説明する。図3は、図1に示したハンディ端末14の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、このハンディ端末14は、テンキー14a、表示部14b、記憶部14c、アンテナ部14d、通信処理部14e、データ管理部14f及び制御部14gを有する。なお、図示省略したが、このハンディ端末14はICカード端末11のように電磁波を電源とするのではなく専用電源を有している。
【0046】
テンキー14aは、記憶部14cに記憶した複数のファームウエアのうちICカード端末11に設定するファームウエアを選択する等の場合に利用する入力デバイスであり、表示部14bは、かかる場合に利用する表示デバイスである。
【0047】
記憶部14cは、ICカード端末11及びデータ集配信サーバ13から取得したデータを記憶する記憶デバイスであり、不揮発性メモリやハードディスク等の二次記憶媒体により形成される。アンテナ部14dは、カードかざし部12を介した非接触通信に利用される通信アンテナとデータ集配信サーバ13との赤外線通信の際に利用される赤外線窓を含むアンテナ部である。
【0048】
通信処理部14eは、カードかざし部12を介したICカード端末11との間の通信処理と、データ集配信サーバ13との赤外線通信処理との両機能を有する通信処理部である。具体的には、ICカード端末11との間の通信処理を行う際には、すでに説明したICカード端末11内の通信処理部11cと同様に機能することになる。なお、ICカード端末11との通信を開始する際には識別情報(ID番号)を送信する。
【0049】
データ管理部14fは、記憶部14cに記憶したファームウエア等の配信データや取引ログ等の集信データを管理する管理部であり、テンキー14aを操作しつつ表示部14b上でいかなるデータが存在するか、どのデータを配信するか等を操作可能とされている。
【0050】
制御部14gは、ハンディ端末14を全体制御する制御部であり、ICカード端末11若しくはデータ集配信サーバ13との間で授受する集配線データの記憶部14cへの読み書き制御等を行う。
【0051】
次に、図2に示したICカード端末11の処理手順について説明する。図4−1は、図2に示したICカード端末11の処理手順を示すフローチャートであり、図4−2は、図2に示したハンディ端末14の処理手順を示すフローチャートである。
【0052】
図4−1及び図4−2に示すように、ICカード端末11は、通常の待ち受け状態ではカードかざし部12を介してICカード10若しくはハンディ端末14からID番号を受信するポーリング状態にある(ステップS101否定)。このポーリング状態とは、ICカード10及びハンディ端末14に対する呼びかけのコマンド処理をしている状態であり、ICカード10又はハンディ端末14がかざされると、ユニークなID番号等を受信することになる。
【0053】
そして、ハンディ端末14がICカード端末11のポーリングに応答してID番号を送信し(ステップS201)、ICカード端末11がかかるID番号を受信したならば(ステップS101肯定)、受信したID番号がハンディ端末14のものであるか否かを確認し(ステップS102)、ハンディ端末14のID番号でない場合には(ステップS102否定)、ICカード10のID番号であるとみなしてすでに説明した電子マネーの取引決済等のICカード処理を行う(ステップS103)。
【0054】
これに対して、ハンディ端末14のID番号である場合には(ステップS102肯定)、ハンディ端末14と通信の確立処理を行う(ステップS104、ステップS202)。具体的には、ハンディ端末14とのR/W(リード/ライト)間通信中のフラグを立てて、ICカード10とのR/W使用を禁止することとなる。なお、非接触でデータ通信を行う場合には無線通信となるので、通信が途切れる事態が生じ得る。かかる場合に備えて、本実施例では通信が途切れた場合に復旧できるようデータ通信の冗長性を持たせることとしている。
【0055】
その後、ICカード端末11は、ハンディ端末14との間でパスワードや暗号鍵を用いた相互認証処理を行う(ステップS105、ステップS203)。なお、認証後のICカード端末11とハンディ端末14との間の通信は、双方認証時に取り決めた暗号方式を用いて外部から傍受できない措置を講じている。
【0056】
その後、ICカード端末11は、ハンディ端末14との間で集配信データの送受信を行う(ステップS106、ステップS204)。具体的には、ハンディ端末14上に未配送の配信データが存在する場合には、かかる配信データをICカード端末11が受信し、ICカード端末11上に取引ログ等の集信データが存在する場合には、かかる集信データをハンディ端末14に送信する。
【0057】
かかる一連の処理を電源がオフされるまで繰り返し(ステップS107否定)、電源がオフされた場合に(ステップS107肯定)上記一連の処理を終了することになる。
【0058】
なお、上記ステップS105に示したICカード端末11の認証処理において、ハンディ端末14に固有IDを通知し、上記ステップS203に示したハンディ端末14の認証処理において、ICカード端末11の固有IDを受け取ることとし、上記ステップS204に示したハンディ端末14のデータ送受信処理において、固有IDをもとに未送信の配信データを検索して自動送信することもできる。また、ICカード端末11から受信したデータを固有IDに対応した集信データとして記憶部14cに記憶することもできる。
【0059】
次に、本実施例に係るICカードシステムをゲームセンタに配設されたゲーム機に適用した場合の一例について説明する。ここでは、図1に示したICカード端末11がICカード制御ユニットとしてゲーム機内に配設されているものとする。
【0060】
図5は、データ集配信サーバ13内の配信データをゲーム機20に配信する場合の概略を説明するための説明図である。同図に示すように、データ集配信サーバ13内にファームウエア等の配信データA、配信データB及び配信データCが存在する場合には、作業員スペースにおいて作業員がハンディ端末14をデータ集配信サーバ13に近接させて赤外線通信を行い、これらの配信データA〜Cをハンディ端末14上に記憶する。
【0061】
その後、作業員はハンディ端末14を持参して店内のゲーム機20の場所に赴き、ゲーム機20に設けられたICカードかざし部21にハンディ端末14をかざし、配信データAを送信する旨の操作を行う。
【0062】
かかるハンディ端末14がかざされたことを検知したICカード制御ユニット22は、ハンディ端末14のID番号をもとにICカード10ではなくハンディ端末14であることを確認し、その後配信データAを受信する処理を行う。
【0063】
上記一連の処理を行うことにより、データ集配信サーバ13内の配信データをゲーム機20に配信することが可能となる。なお、配信データB及び配信データCをハンディ端末14に記憶させた理由は、かかる配信データB及び配信データCを店内に配設された図示しない別のゲーム機20に配信することを想定したからである。なお、データ集配信サーバ13内の配信データとともにテンキー14aにより入力された各ICカード端末個別の端末設定情報若しくは動作指示情報を各ICカード端末に送信制御することもできる。
【0064】
図6は、ゲーム機20内の集信データをデータ集配信サーバ13に集信する場合の概略を説明するための説明図である。同図に示すように、店内に配設されたゲーム機20の取引ログデータ等の集信データを集信する場合には、ハンディ端末14を持参した作業員が店内のゲーム機20の場所に赴き、ゲーム機20に設けられたICカードかざし部21にハンディ端末14をかざし、集信データXを受信する旨の操作を行う。
【0065】
このようにしてハンディ端末14に集信データXを取得したならば、作業員は図示しない他のゲーム機から同様に集信データY及び集信データZを取得する。その後、作業員はこのハンディ端末14を持参して作業員スペースのデータ集配信サーバ13の場所に赴き、赤外線通信を行って集信データX〜Zをデータ集配信サーバ13に送信する。
【0066】
上記一連の処理を行うことにより、ゲーム機20内の集信データをデータ集配信サーバ13に集信することが可能となる。なお、ここでは集配信を別個に行う場合を示したが、ハンディ端末14を近接した段階で自動的に未配信分のデータを集配信するよう構成することもできる。
【0067】
上述してきたように、本実施例では、集配信データを受け渡すためのハンディ端末14を設け、このハンディ端末14がICカードに成りすましてカードかざし部12を介したICカード端末11とのデータ授受を行うよう構成したので、これによりICカード端末11に集配信データ配送用のインターフェースを設けなくとも集配信データをデータ集配信サーバ13との間で受け渡しを行うことが可能となる。
【0068】
なお、本実施例では、本発明を非接触ICカードシステムに適用した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、かざし部にICカードを接触させる接触型ICカードシステムについても同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明にかかるICカードシステムは、ICカード端末とこのICカード端末との間でデータの集配信を行うデータ集配信サーバとの間のデータ授受を安価にかつ効率良く行う場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施例に係るICカードシステムの概念を説明するための説明図である。
【図2】図1に示したICカード端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1に示したハンディ端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図4−1】図2に示したICカード端末の処理手順を示すフローチャートである。
【図4−2】図2に示したハンディ端末の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】データ集配信サーバ内の配信データをゲーム機に配信する場合の概要を説明するための説明図である。
【図6】ゲーム機内の集信データをデータ集配信サーバに集信する場合の概要を説明するための説明図である。
【図7】従来のICカードシステムを説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0071】
10 ICカード
11 ICカード端末
11a 判定処理部
11b カード処理部
11c 通信処理部
11d 記憶部
11e 制御部
12 カードかざし部
13 データ集配信サーバ
14 ハンディ端末
14a テンキー
14b 表示部
14c 記憶部
14d アンテナ部
14e 通信処理部
14f データ管理部
A,B,C 配信データ
X,Y,Z 集信データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードのインターフェースをなすかざし部を有するICカード端末と該ICカード端末との間でデータの集配信を行うデータ集配信サーバとを有するICカードシステムであって、
前記ICカードに成りすまして前記かざし部を介して前記ICカード端末とデータ送受信を行う携帯端末装置を備え、
前記ICカード端末は、前記携帯端末装置と前記かざし部を介して通信可能状態となった際に、前記携帯端末装置とデータ授受を行う
ことを特徴とするICカードシステム。
【請求項2】
前記携帯端末装置は、前記かざし部を介して前記ICカード端末とデータの送受信を行うICカード端末用送受信手段と、前記データ集配信サーバとデータ送受信を行うサーバ用送受信手段と、前記ICカード端末用送受信手段により前記ICカード端末から受信した受信データを記憶する記憶手段と、前記かざし部との間で送受信可能状態となった際に、前記ICカード端末用送受信手段により前記ICカード端末に蓄積したデータを受信して前記記憶手段に記憶するとともに、前記データ集配信サーバとの間で送受信可能状態となった際に、前記記憶手段に記憶したデータを前記サーバ用送受信手段により前記データ集配信サーバに送信するよう制御する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のICカードシステム。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記ICカード端末が前記ICカードとの間で取引処理した取引ログ、イベント発生時に記憶したイベントログ及び/又は装置情報を前記データとして記憶することを特徴とする請求項2に記載のICカードシステム。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記サーバ用送受信手段により前記データ集配信サーバから受信したデータを記憶し、前記制御手段は、前記かざし部との間で送受信可能状態となった際に、前記記憶手段に記憶したデータを前記ICカード端末用送受信手段により前記ICカード端末に送信するよう制御することを特徴とする請求項2に記載のICカードシステム。
【請求項5】
前記制御手段は、所定の入力部を用いて入力された各ICカード端末個別の端末設定情報若しくは動作指示情報を前記記憶手段に記憶したデータとともに各ICカード端末に送信制御することを特徴とする請求項4に記載のICカードシステム。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記ICカード端末に設定するファームウエア、端末設定データ若しくは動作指示を前記データとして記憶することを特徴とする請求項4又は5に記載のICカードシステム。
【請求項7】
前記ICカード端末は、前記ICカードの待ち受け状態中に所定の識別情報を受け付けた際に、該所定の識別情報の送信主が前記ICカード若しくは前記携帯端末装置のいずれであるかを判定する判定手段と、前記判定手段により前記携帯端末装置であると判定された場合に、前記携帯端末装置とデータ送受信を行う送受信手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のICカードシステム。
【請求項8】
前記ICカード端末は、前記ICカードの待ち受け状態中に前記ICカード若しくは携帯端末装置の接近を自動検知する自動検知手段をさらに備え、前記判定手段は、前記自動検知手段により検知された対象が前記ICカード若しくは前記携帯端末装置のいずれであるかを判定することを特徴とする請求項7に記載のICカードシステム。
【請求項9】
前記ICカードは内部にアンテナを有する非接触ICカードであり、前記かざし部は前記ICカード若しくは前記携帯端末装置との間で非接触状態でのデータ送受信を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のICカードシステム。
【請求項10】
前記ICカード端末と前記携帯端末装置との間では、通信異常時発生時の復旧処理並びに認証処理を含むプロトコルでデータ送受信を行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載のICカードシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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