説明

ICカードリーダ

【課題】複数の機能の中から任意の機能を明確かつ直感的に選択できるとともに、省スペースを実現するユーザーインターフェースを有するICカードリーダシステムを提供する。さらに、既存のICカードリーダシステムを導入している店舗等において、既存のICカードリーダシステムに何ら影響を与えることなく容易に導入できるICカードリーダシステムを提供する。
【解決手段】ICカードリーダは、各ページに利用者が視認しうる表示物が表示される一又は二以上のページからなり、利用者のページ捲り動作によりページを変えられるよう形成された表示手段と、前記表示手段の各ページごとに設けられている、利用者の有する非接触ICカードに記録された情報を読み取るカード読取手段とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードリーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアなどの各種店舗における支払いや鉄道会社の発券・改札用に広く普及している非接触ICカードは、一枚の非接触ICカードの中に電子マネー、乗車券、ポイントカードといった複数の機能を混在させることが可能となっている。そして、時代のニーズに伴い次々と新しい機能への需要が発生している。しかしながら、非接触ICカードの情報を読み取るカードリーダシステム(POS(Point of Service)機能を有するものも含む)については、それぞれの機能ごとに別々に用意されているのが現状であり、各店舗等は選択した機能に対応したカードリーダシステムを導入している。ところが、特に店舗の場合には店頭レジ横のスペースは限られているため、複数台のカードリーダを設置することは難しい。
【0003】
そこで、一つのICカードリーダで複数の機能に対応できるカードリーダシステムを導入し、カードリーダに連動したモニタ上等の表示に従って、使用したい機能を選択することで、上記問題を解決する方法が考えられる。例えば、同一のICカードにA社の電子マネーの機能とB社の電子マネーの機能が含まれていたとき、ICカードリーダにタッチするという動作だけでは、どちらの電子マネー機能を選択したのか確定せず、ICカードリーダにタッチしたあとに、カードリーダに連動したモニタ上の表示にしたがって所望の電子マネー機能を選択する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、そのようなシステムが必ずしも利用者にとって望ましいとは限らない。なぜなら、利用者は「いま自分が利用している機能が何か」を直感的に理解することが難しいからである。特に、電子マネーの機能とポイントカードの機能のように、一枚のカードを異なる用途で利用する場合には、どの機能を利用しようとしているのかが「明確に」、かつ、「直感的に」利用者に認識できるユーザーインターフェースが提供されることが望ましい。
【0005】
かかるユーザーインターフェースを有するICカードリーダシステムが提供される場合であっても、既存のICカードリーダシステムを導入している店舗にとっては、新たなサービスを導入するために、現有するICカードリーダシステムを新たなものと交換することは経済的負担が大きい。また、新たなICカードリーダシステム操作についての店員教育の必要性なども考慮するとICカードリーダシステムを入れ替えることは容易ではない。
【0006】
本発明は、上記事情に基づいてなされたものであり、上記複数の機能の中から任意の機能を明確かつ直感的に選択できるとともに、省スペースを実現するユーザーインターフェースを有するICカードリーダシステムを提供することを目的とする。
さらに、既存のICカードリーダシステムを導入している店舗等において、既存のICカードリーダシステムに何ら影響を与えることなく容易に導入できるICカードリーダシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明のICカードリーダは、各ページに利用者が視認しうる表示物が表示される一又は二以上のページからなり、利用者のページ捲り動作によりページを変えられるよう形成された表示手段と、前記表示手段の各ページごとに設けられている、利用者の有する非接触ICカードに記録された情報を読み取るカード読取手段とを有することを特徴とする。
【0008】
上記発明においては、さらに、前記表示手段の利用者側に表出されているページ以外のページに設けられた前記カード読取手段から放射されるカード読み取り用の電磁波が利用者の非接触ICカードに有効に到達しないようにするか、又は、利用者の非接触ICカードから返される電磁波が前記表示手段の利用者側に表出されているページ以外のページに設けられたカード読取手段に有効に到達しないようにする遮蔽手段が設けられていてもよい。
【0009】
あるいはまた、前記表示手段のどのページが利用者側に表出されているかを検出するページ検出手段と、前記ページ検出手段により検出されたページに設けられたカード読取手段を作動状態にする読取制御手段とを有していてもよい。
【0010】
上記目的を達成するための他のICカードリーダは、利用者の有する非接触ICカードに記録された情報を読み取るカード読取手段と、各ページに利用者が視認しうる表示物が表示される一又は二以上のページからなり、利用者のページ捲り動作により前記カード読取手段の上でページを変えられるよう形成された表示手段と、前記表示手段のどのページが利用者側に表出されているかを検出するページ検出手段と、前記ページ検出手段により検出されたページに予め関連づけられているICカード機能についての読み取りに必要な読み取り動作を前記カード読取手段に実行させる読取制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するためのさらに他のICカードリーダは、既存ICカードリーダに重ねて使用するICカードリーダであって、各ページに利用者が視認しうる表示物が表示される一又は二以上のページからなり、利用者のページ捲り動作により既存ICカードリーダの上でページを変えられるよう形成された表示手段と、前記表示手段の各ページごとに設けられている、利用者の有する非接触ICカードに記録された情報を読み取るカード読取手段とを有することを特徴とする。
【0012】
上記発明においては、さらに、前記表示手段の利用者側に表出されているページ以外のページに設けられた前記カード読取手段から放射されるカード読み取り用の電磁波が利用者の非接触ICカードに有効に到達しないようにするか、又は、利用者の非接触ICカードから返される電磁波が前記表示手段の利用者側に表出されているページ以外に有効に到達しないようにする遮蔽手段が設けられていてもよい。
【0013】
あるいはまた、前記表示手段のどのページが利用者側に表出されているかを検出するページ検出手段と、前記ページ検出手段により検出されたページに設けられたカード読取手段を作動状態にする読取制御手段とを有していてもよい。
【0014】
上記目的を達成するためのさらに他のICカードリーダは、既存ICカードリーダに重ねて使用するICカードリーダであって、利用者の有する非接触ICカードに記録された情報を読み取るカード読取手段と、各ページに利用者が視認しうる表示物が表示される一又は二以上のページからなり、利用者のページ捲り動作により前記カード読取手段の上でページを変えられるよう形成された表示手段と、前記表示手段のどのページが利用者側に表出されているかを検出するページ検出手段と、前記ページ検出手段により検出されたページに予め関連づけられているICカード機能についての読み取りに必要な読み取り動作を前記カード読取手段に実行させる読取制御手段とを有することを特徴とする。
【0015】
上記の既存ICカードリーダに重ねて使用するICカードリーダにおいては、前記既存ICカードリーダに対する接触面が柔軟性素材で構成されていてもよい。
【0016】
上記の既存ICカードリーダに重ねて使用するICカードリーダにおいては、さらに、前記既存ICカードリーダから放射されるカード読み取り用の電磁波が利用者の非接触ICカードに有効に到達しないようにするか、又は、利用者の非接触ICカードから返される電磁波が前記既存ICカードリーダに有効に到達しないようにする遮蔽手段が設けることもできる。
【0017】
前記遮蔽手段を備える本発明のICカードリーダにおいて、カード読取手段がカード読取機能を有するアンテナを備え、前記遮蔽手段として、遮蔽面と、前記遮蔽面と前記アンテナの間にスペーサとを有することもできる。
【0018】
あるいはまた、前記遮蔽手段として、遮蔽面と、前記遮蔽面の影響による周波数オフセットを予め考慮して最適な共振周波数となるように設計された前記アンテナとを有することもできる。
【0019】
また、前記ページ検出手段が、発光手段及び受光手段からなる複数の光センサ手段と、各ページの端部に形成した光インタラプタ手段とを有し、前記複数の光センサ手段はICカードリーダの端部に配置され、光インタラプタ手段は、それぞれのページが表出しているときに所定の光センサ手段の光を遮るように形成されてもよい。
【0020】
本発明によるICカードリーダシステムの構成は、前記ICカードリーダに接続されたサーバを具備し、前記サーバによって、前記ICカードリーダからの出力信号に応じた処理が実行されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、利用者が複数のICカード機能の中から任意の機能を明確かつ直感的に選択できるとともに、省スペースなICカードリーダシステムを提供することができる。さらに、既存のICカードリーダシステムを導入している店舗においても、容易に新規なICカードリーダシステムを導入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[実施形態1]
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。図1において、本発明に係るICカードリーダシステムを実施するための構成を概略的に示す。
【0023】
本実施形態におけるICカードリーダシステムは、ICカードリーダ100と、ICカードリーダ100に接続されるサーバ105とを備える。便宜上、サーバ105と接続されるICカードリーダ100が一つの場合を説明するが、複数のICカードリーダを接続することも可能である。
【0024】
さらに、本実施形態においては、予め導入されている既存のICカードリーダ135および既存のサーバ140からなる既存のICカードリーダシステムが既に存在している場合を想定する。本明細書においては、本発明に係るICカードリーダシステムを「ICカードリーダシステム」、そのICカードリーダを「ICカードリーダ」といい、既存のICカードリーダシステムを「既存ICカードリーダシステム」、そのICカードリーダを「既存ICカードリーダ」という。既存ICカードリーダ135は、既存カードリーダ読取部145および既存読取制御部150からなる。
【0025】
ICカードリーダシステムと既存ICカードリーダシステムは電気的に完全に独立しており、図1における破線はこの電気的な独立を示している。
【0026】
ICカードリーダ100は、各ページに表示物(利用者が視覚的に認識できる、例えば文字、図形、記号又はこれらの結合からなるもの)が表示される一又は二以上のページとしてのページ部115からなり、利用者のページ捲り動作により既存ICカードリーダ135の既存カード読取部145上でページを変えられるよう形成された表示手段としての表示部110を有する。
【0027】
表示部110の各ページ部115は、利用者の有する非接触ICカードに記録された情報を読み取るカード読取手段としてのカード読取部120を有する。各カード読取部120は、それぞれに対応する非接触ICカードリーダ機能についての情報を読み出す機能を有する。
【0028】
ICカードリーダ100は、さらに、表示部110のどのページ部115が利用者側に表出されているかを検出するページ検出手段であるページ検出部125と、ページ検出部125により検出されたページ部115に設けられたカード読取部120を作動状態にするとともに、その他のページ部115に設けられたカード読取部120を読取停止状態にする読取制御手段としての読取制御部130とを有する。
【0029】
本実施形態においては、表出されていないページ部115に設けられたカード読み取り部120は、ページ検出部125による検出結果および読取制御部130によって読取停止状態とされるが、表出されたページ部115のみから、非接触ICカード情報を読み取ることが可能であればよく、誤動作の恐れや、発熱の恐れあるいは省電力の必要性が特になければ、ページ検出部125および読取制御部130は必要ではない。例えば、後述するような遮蔽手段を各カード読取部120に設けることで、利用者側に表出されたページ部115に設けられたカード読取部以外のページ部に設けられたカード読取部120から放射される電磁波が利用者の非接触ICカードに有効に到達しないようにすることも可能である。また、カード読取部120から放射される電磁波が、特段の遮蔽手段を用いなくても他のカード読取部120に影響がない程度微弱である場合には、遮蔽手段も不要であることは当業者に理解されるであろう。
【0030】
本実施形態におけるICカードリーダ100の外観構成を図2に示す。同図において、ICカードリーダは、カード読取部120をそれぞれ有する3枚のページ部205、210、215(図1のページ部115に対応する)からなる表示部を有する。各ページ部205、210、215は、図3〜図6に示すように、それぞれページの上部に水平に設けられた棒状部材を軸として回転して、縦方向にページを捲るよう構成されている。このICカードリーダは、既存カード読取部200の上に重ねるように設置される。
【0031】
各ページ部205、210、215は、ポイントサービスA、ポイントサービスB、ポイントサービスCのICカード機能にそれぞれ対応しており、各ページ部205、210、215の表面には、それらのページ部がどのICカード機能に対応しているかを利用者が認識できる文字が表示されている。例えば、図4においては、ページ部210が表出されているが、この表出されているページ部210の表面部に、ページ部210に対応するICカード機能を表す「ポイントサービスB」の文字が表示されている。なお、図4において、ページ部215の裏面部も利用者から視認できるため、ページ部215の裏面部にも何らかの表示物を表示してもよい。
【0032】
各ページ部に対応するICカードリーダは、ポイントサービスに限られず、様々な機能とすることが考えられ、例えば、電子マネー、クレジットカード、乗車券、会員券などであってもよいことが当業者には理解されるであろう。
【0033】
ICカードリーダは様々な構成とすることが可能であり、例えば、図7および8に示すように、それぞれページの左側に水平に設けられた棒状部材を軸として回転するようにして、横方向にページをめくる構成としてもよい。また、図2〜図6に示した既存カード読取部200は偏平な直方体で、そのカード読取面となる上面が略水平であるが、図9に示すように、既存カード読取部200が縦型で、そのカード読取面上面が水平面から大幅に傾いているようなものでもよい。すなわち、本のページを捲るような感覚で非接触ICカードリーダ機能を選択できる構成であれば、どのようなものであってもよい。
【0034】
非接触ICカードの利用者は、各ページ部を捲りながら、各ページに表示された表示物を視認し、自分が使用したいICカード機能に対応するカード読取部120を有するページ部115を表出させる。
これにより、利用者が使用したいICカード機能に対応するページ部115を、利用者が明確、かつ、直感的に選択することが可能となる。
【0035】
ページ検出部125は、利用者によって表出されたページ部115がどのページであるかを検出し、そのページに関連付けられた機能の読取動作を実行させる。例えば、図4においては、ページ部210が利用者側に表出されているので、ページ検出部125は、ページ部210が表出されていることを検出して、このページに関連付けられた機能の読取動作を実行させる。また、図6は、ICカードリーダにおけるページ部がすべて捲られ、既存ICカードリーダのカード読取部200が表出した状態である。このような場合には、検出部125はいずれのページ部115も検出せず、ICカードリーダ100は読取動作を行なわない。
【0036】
本実施形態のページ検出部125は、発光部及び受光部からなる複数の光センサと、各ページの端部に形成した光インタラプタとからなり、前記複数の光センサはICカードリーダの端部に配置され、光インタラプタは、それぞれのページが表出しているときに所定の光センサの光を遮るように形成されたものである。これにより、どの光センサの光が遮られているかによって表出されているページを検出することができる。なお、ページ検出部125としては、これ以外にも、例えば電気的なスイッチを用いるなど、種々の構成が考えられる。
【0037】
本実施形態において、読取制御部130は図10に示すように構成される。読取制御部130は、CPU・制御部300、メモリ部305、カード読取制御部310、サーバとの通信部315、光等出力部320、および音声出力部325が含まれ、それぞれがバスで接続されている。
【0038】
読取制御部130は、ページ検出部125および各カード読取部120に接続され、前述の検出結果に基づいて、表出されたページ部115が有するカード読取部120を読取状態とする。そして、利用者が非接触ICカードを該表出した表面に近接させることで、該カード読取部120から該カード読取部120に対応したICカード機能についての情報が読み取られる。非接触ICカードから情報が読み取られると、音声出力部325および光等出力部320が音声および光を発し、情報が読み取られたことを示す。
【0039】
この読み取られた情報は、メモリ部305に格納された後、CPU・制御部300において処理され、送信信号が生成され、サーバとの通信部315によって、サーバ105へ送信される。該信号を受信したサーバ105は、該信号に基づいて必要な処理を実行する。
【0040】
また、前述のようにすべてのページ部115が捲られた図6の状態においては、ICカードリーダ100は読取動作を行なわない。この状態で、利用者が表出している既存カード読取部の表面に非接触ICカードを近接させることで、既存ICカードリーダシステムも従来通り使用することができる。
【0041】
本実施形態のページ部115のうち少なくとも既存ICカードリーダと接触する部分には、スポンジを用いる。このようにした理由は、本実施形態では、ページ部115を図2〜図6に示すように既存ICカードリーダ120の上に重ねることになるので、ICカードリーダ100のページ部115を固い素材で形成すると、利用者がページ捲り動作を行う際に既存カード読取部145の読取面を毀損するおそれがあるからである。ただし、柔軟性を有する素材であれば、スポンジ以外のものを使用することも可能である。
【0042】
既存カード読取部145は、非接触ICカードから情報を読み取るために、通常情報読み取り用の電磁波を常時放射している。しかし、前述のように、ICカードリーダ100は、既存ICカードリーダ145と電気的に独立であるため、このような電磁波の放射を停止させるような制御を行なうことはできない。すなわち、例えば図4に示す状態のように、利用者が既存カード読取部145ではなく、ICカードリーダ100のページ部210を表出させた場合であっても、既存カード読取部145は、読み取り用の電磁波を放射している。
【0043】
かかる場合には、利用者が、ページ部210の表面上に、非接触ICカードを近接させた場合に、ページ部210のカード読取部120だけでなく利用者が期待しない既存ICカード読取部145までが動作する可能性がある。また、このような電磁波は利用者によって表出されたページ部115が有するカード読取部120に干渉し、その正常な動作を妨げる可能性もある。
【0044】
そこで、そのような問題が生じる場合は、前記既存ICカード読取部145から放射されるカード読み取り用の電磁波が利用者の非接触ICカードに有効に到達しないようにするか、又は、利用者の非接触ICカードから返される電磁波が前記既存のICカードリーダに有効に到達しないようにする遮蔽手段を設けることができる。
【0045】
本実施形態のICカードリーダ100には、カード読取部120にカード読み取り用アンテナが含まれており、さらにその下、言い換えると、当該アンテナよりも既存ICカード読取部に近い側に、平面状の金属網で構成された遮蔽部材が設けられている。しかし、このような遮蔽部材をアンテナの近傍に設置すると、該アンテナの共振周波数に影響を与えることがある。
【0046】
そこで、本実施形態では、前記アンテナ共振周波数への影響を防止するためにアンテナと遮蔽部材との間にスペーサを設ける。アンテナと平面状の金属網に一定の距離を設けることで、平面状の金属網によるアンテナ共振周波数への影響を防止することができる。前述のスポンジは、このスペーサとしても適している。ただし、スポンジ以外のものであっても、アンテナに影響を与える金属等の素材以外のものであればどのようなものであってもよく、あるいは、アンテナと既存ICカード読取部との間に単に空間を確保するだけであってもよい。
このスペーサにより、遮蔽部材によるアンテナへの影響を防止し、アンテナを予め設計された最適な共振周波数で動作させることができる。
【0047】
この遮蔽部材によるアンテナ共振周波数への影響に関する問題は、遮蔽部材の影響によるアンテナ共振周波数の変化分、すなわち周波数オフセットを考慮して、遮蔽部材とともに使用したときに最適な共振周波数で動作できるように予めアンテナの設計を行なうことによっても解消することができる。
また、本実施形態では、遮蔽部材は平面状の金属網としたが、電磁波の遮蔽に適するものであれば、どのようなものであってもよい。
【0048】
本実施形態のように、既存カード読取部145の上に、ページ部115を複数重ねるようにしたことによって、一つのICカード機能を有する既存ICカードリーダシステムとほぼ同じスペースで複数のICカード機能を有するICカードリーダシステムを実現することができる。
【0049】
また、ICカードリーダ100は、既存カード読取部145の上に物理的に積み重ねるだけであり、両者は電気的には完全に独立している。このため、既存ICカードリーダシステムに何ら影響を与えずにICカードリーダシステムを容易に導入することができる点で非常に大きな利点を有する。
【0050】
既存ICカードリーダシステムを導入している店舗等では、非接触ICカードの利用者が既に存在しており、既存ICカードリーダシステムが有するICカード機能に加えさらに別のICカード機能も併せて利用したいという需要が今後高まると予想される。一方、このような店舗にとっては、新たなカード機能を導入するために、カードリーダシステムを交換することは、特に、既存ICカードリーダシステムがPOSシステムのような高額なカードリーダシステムである場合、経済的にも社員教育の観点からも容易ではない。そこで、本発明に係るICカードリーダシステムを用いることで、既存ICカードリーダシステムに影響を与えることなく必要なICカード機能を追加的に導入することができる。既存ICカードリーダシステムが、POSシステムを備えていれば、ポイントサービス等の簡易で安価な構成によって実現できるICカードリーダシステムのみを導入すればよく、少ない経済的負担で、必要な非接触ICカードリーダ機能を追加することができる。
【0051】
[実施形態2]
本発明の第2の実施形態について、図11を参照して説明する。本実施形態におけるICカードリーダ400では、実施形態1と異なり、各ページ部415はICカード機能に予め関連付けられているだけであって、カード読取手段を有していないが、各ページ部415とは別個のカード読取手段としてのカード読取部420を有している。各ページ部415は、利用者のページ捲り動作によりカード読取部420の上でページを変えられるよう形成される。さらに、ICカードリーダ400は、ページ検出部425により検出されたページ部415に予め関連づけられているICカード機能についての読取に必要な読取動作をカード読取部420に実行させる読取制御手段としての読取制御部430を有する。
【0052】
本実施形態においては、カード読取部420も、利用者が視認しうる、そのICカード機能を認識させる表示物が表示されるページであって、利用者のページ捲り動作により既存カード読取部145の上でページを変えられるよう形成される。
【0053】
ICカードリーダ400の外観上の構成は、図2〜図6に示した実施形態1と同様であるので、必要に応じてこれらの図を参照する。図2〜図6において、ICカードリーダ400は、既存カード読取部200の上に重ねられたカード読取部205、その上に重ねられたページ部210、215を有する。各ページ部210、215はカード読取部を有しないため、例えば、図4に示すように、ページ部210が利用者によって表出された場合には、該ページ部210を検出部425が検出し、その検出結果に基づいて、読取制御部430が、該ページ部210に予め関連づけられたICカード機能についての読み取りに必要な読取動作をカード読取部200に実行させる。
【0054】
また、本実施形態においても、実施形態1と同様に既存ICカードリーダから放射される電磁波の遮蔽手段を備えてもよい。本実施形態においては、ページ部415はカード読取部を有しないため遮蔽手段を有する必要はないが、カード読取部420が実施形態1のカード読取部120と同様の遮蔽手段を備える。その他の点については、実施形態1と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0055】
[実施形態3]
次に、本発明の第3の実施形態について、図12を参照して説明する。本実施形態は、実施形態1とほぼ同様の構成であるが、既存ICカードリーダシステムが存在しない場合を想定している点で、実施形態1と異なる。本実施形態では、既存カード読取部145の上にページ部を重ねる必要がないため、一番下のカード読取部はどのような構成であっても構わない。例えば、ページ捲りできないように構成してもよいし、ページ捲りできるように構成してもよい。また、既存ICカードリーダから放射される電磁波の遮蔽手段を設ける必要もない。
【0056】
本実施形態もその外観構成は、図2〜図6に示した実施形態1と略同様である。本実施形態と実施形態1とが異なるのは、カード読取部200がICカードリーダ500のカード読取部520である点、ICカードリーダ500が、さらに、ページ部205、210、215を備える点であり、その他の点については、実施形態1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0057】
本実施形態のICカードリーダシステムは、既存ICカードリーダシステムを前提としない。そして、一つの非接触ICカードリーダ機能だけしか提供できなかった既存ICカードリーダシステムの占有スペースとほぼ同等のスペースで、複数のICカード機能を提供できるという利点を有する。
【0058】
[実施形態4]
次に、本発明の第4の実施形態について、図13を参照して説明する。本実施形態は、実施形態2とほぼ同様の構成であるが、既存ICカードリーダシステムが存在しない場合を想定している点で実施形態2と異なる。本実施形態では、既存カード読取部145の上にページ部を重ねる必要がないため、一番下のカード読取部は、ページ捲りできるように形成されている必要はなく、既存ICカードリーダから放射される電磁波の遮蔽手段を設ける必要もない。
【0059】
本実施形態の外観構成については図2〜6を参照することができる。本実施形態においては、カード読取部200は、ICカードリーダ600のカード読取部620である。そして、ICカードリーダ600は、さらに、ページ部205、210、215を備える。その他の点については、実施形態2と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態1の概略構成図である。
【図2】縦方向捲り方式ICカードリーダの構成図である。
【図3】縦方向捲り方式ICカードリーダの構成図である。
【図4】縦方向捲り方式ICカードリーダの構成図である。
【図5】縦方向捲り方式ICカードリーダの構成図である。
【図6】縦方向捲り方式ICカードリーダの構成図である。
【図7】横方向捲り方式ICカードリーダの構成図である。
【図8】横方向捲り方式ICカードリーダの構成図である。
【図9】傾斜型縦方向捲り方式ICカードリーダの構成図である。
【図10】読取制御手段の概略構成図である。
【図11】本発明の実施形態2の概略構成図である。
【図12】本発明の実施形態3の概略構成図である。
【図13】本発明の実施形態4の概略構成図である。
【符号の説明】
【0061】
100・・・ICカードリーダ
105・・・サーバ
110・・・表示部
115・・・ページ部
120・・・カード読取部
125・・・ページ検出部
130・・・読取制御部
135・・・既存ICカードリーダ
140・・・既存サーバ
145・・・既存カード読取部
150・・・既存読取制御部
200・・・カード読取部
205・・・ページ部またはカード読取部
210・・・ページ部
215・・・ページ部
300・・・CPU・制御部
305・・・メモリ部
310・・・カード読取制御部
315・・・サーバとの通信部
320・・・光等出力部
325・・・音声出力部
400・・・ICカードリーダ
405・・・サーバ
410・・・表示部
415・・・ページ部
420・・・カード読取部
425・・・ページ検出部
430・・・読取制御部
500・・・ICカードリーダ
505・・・サーバ
510・・・表示部
515・・・ページ部
520・・・カード読取部
525・・・ページ検出部
530・・・読取制御部
600・・・ICカードリーダ
605・・・サーバ
610・・・表示部
615・・・ページ部
620・・・カード読取部
625・・・ページ検出部
630・・・読取制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ページに利用者が視認しうる表示物が表示される一又は二以上のページからなり、利用者のページ捲り動作によりページを変えられるよう形成された表示手段と、
前記表示手段の各ページごとに設けられている、利用者の有する非接触ICカードに記録された情報を読み取るカード読取手段と、
を有することを特徴とするICカードリーダ。
【請求項2】
前記表示手段の利用者側に表出されているページ以外のページに設けられた前記カード読取手段から放射されるカード読み取り用の電磁波が利用者の非接触ICカードに有効に到達しないようにするか、又は、利用者の非接触ICカードから返される電磁波が前記表示手段の利用者側に表出されているページ以外のページに設けられたカード読取手段に有効に到達しないようにする遮蔽手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカードリーダ。
【請求項3】
前記表示手段のどのページが利用者側に表出されているかを検出するページ検出手段と、
前記ページ検出手段により検出されたページに設けられたカード読取手段を作動状態にする読取制御手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のICカードリーダ。
【請求項4】
利用者の有する非接触ICカードに記録された情報を読み取るカード読取手段と、
各ページに利用者が視認しうる表示物が表示される一又は二以上のページからなり、利用者のページ捲り動作により前記カード読取手段の上でページを変えられるよう形成された表示手段と、
前記表示手段のどのページが利用者側に表出されているかを検出するページ検出手段と、
前記ページ検出手段により検出されたページに予め関連づけられているICカード機能についての読み取りに必要な読み取り動作を前記カード読取手段に実行させる読取制御手段と、
を有することを特徴とするICカードリーダ。
【請求項5】
既存ICカードリーダに重ねて使用するICカードリーダであって、
各ページに利用者が視認しうる表示物が表示される一又は二以上のページからなり、利用者のページ捲り動作により既存ICカードリーダの上でページを変えられるよう形成された表示手段と、
前記表示手段の各ページごとに設けられている、利用者の有する非接触ICカードに記録された情報を読み取るカード読取手段と、
を有することを特徴とするICカードリーダ。
【請求項6】
前記表示手段の利用者側に表出されているページ以外のページに設けられた前記カード読取手段から放射されるカード読み取り用の電磁波が利用者の非接触ICカードに有効に到達しないようにするか、又は、利用者の非接触ICカードから返される電磁波が前記表示手段の利用者側に表出されているページ以外に有効に到達しないようにする遮蔽手段が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のICカードリーダ。
【請求項7】
前記表示手段のどのページが利用者側に表出されているかを検出するページ検出手段と、
前記ページ検出手段により検出されたページに設けられたカード読取手段を作動状態にする読取制御手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項5に記載のICカードリーダ。
【請求項8】
既存ICカードリーダに重ねて使用するICカードリーダであって、
利用者の有する非接触ICカードに記録された情報を読み取るカード読取手段と、
各ページに利用者が視認しうる表示物が表示される一又は二以上のページからなり、利用者のページ捲り動作により前記カード読取手段の上でページを変えられるよう形成された表示手段と、
前記表示手段のどのページが利用者側に表出されているかを検出するページ検出手段と、
前記ページ検出手段により検出されたページに予め関連づけられているICカード機能についての読み取りに必要な読み取り動作を前記カード読取手段に実行させる読取制御手段と、
を有することを特徴とするICカードリーダ。
【請求項9】
さらに、前記既存ICカードリーダに対する接触面が柔軟性素材で構成されていることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載のICカードリーダ。
【請求項10】
さらに、前記既存ICカードリーダから放射されるカード読み取り用の電磁波が利用者の非接触ICカードに有効に到達しないようにするか、又は、利用者の非接触ICカードから返される電磁波が前記既存ICカードリーダに有効に到達しないようにする遮蔽手段が設けられていることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載のICカードリーダ。
【請求項11】
請求項2、6、または10に記載の遮蔽手段を備えるICカードリーダにおいて、カード読取手段がカード読取機能を有するアンテナを備え、
前記遮蔽手段として、
遮蔽面と、
前記遮蔽面と前記アンテナの間にスペーサと、
を有することを特徴とするICカードリーダ。
【請求項12】
請求項2、6、または10に記載の遮蔽手段を備えるICカードリーダにおいて、カード読取手段がカード読取機能を有するアンテナを備え、
前記遮蔽手段として、
遮蔽面と、
前記遮蔽面の影響による周波数オフセットを予め考慮して最適な共振周波数となるように設計された前記アンテナと、
を有することを特徴とするICカードリーダ。
【請求項13】
請求項3、4、7または8に記載のICカードリーダにおいて、ページ検出手段が、
発光手段及び受光手段からなる複数の光センサ手段と、
各ページの端部に形成した光インタラプタ手段とを有し、
前記複数の光センサ手段はICカードリーダの端部に配置され、光インタラプタ手段は、それぞれのページが表出しているときに所定の光センサ手段の光を遮るように形成されることを特徴とするICカードリーダ。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のうち一つの請求項に記載のICカードリーダと、
前記ICカードリーダに接続されたサーバを具備し、
前記サーバによって、前記ICカードリーダからの出力信号に応じた処理が実行されることを特徴とするICカードリーダシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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