説明

IC内蔵帳票の読取装置

【課題】パスポートなどの帳票を読取装置の上部に載置して撮像し、同時に帳票に組み込まれたICから電磁的に情報を得る装置は。小型化すると透明な載置面の周囲にのみアンテナを形成せざるを得ないため、電波が遠方まで届いてしまい、読取行為の実行を第3者に感知される恐れがあった。
【解決手段】長方形の上面を有し、前記上面より狭い底面の台形状の断面である読取装置の上面の一の辺の近傍に帳票の光学情報面が載置される長方形の載置面を設け、読取装置の内部で上面の一の辺に平行な他の辺の近傍に配置される撮像部と、載置面の周囲および載置面と前記一の辺をはさんで隣接する側面である読取側面に設けられた前記一の辺を頂点にL字状に曲げられたループアンテナを内蔵した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免許証、パスポートなどの帳票を読取り、真贋判定を行なう読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パスポート、証明証を載置面錠の蓋状のカバーで圧接させて載置し、写真、氏名、国名、パスポート番号等を撮影し、内蔵されたアンテナでパスポート、証明証に内蔵されたICの情報を読取る読取装置がある
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−515086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の読取装置においては、パスポートなどの帳票を読取装置の上部に開いて載置して撮像するため、読取装置の上部に見開きの帳票を載置する部分が存在し、読取装置の小型化が図れなかった。
【0005】
またICの情報を読取るための読取装置から発せられる電波はパスポート等が載置される面では十分な電波強度を有し、装置からはなれた操作者等がいる位置では十分に低いことが望まれる。これは悪意のある第3者にパスポートを読み取る情報や、パスポートを読んでいることを自体を知られないために重要である。
【0006】
このため、従来は発射する電波の位相が逆になる8字条のループアンテナを用い、読取装置のパスポート等の載置面では十分な電波の強度を確保しつつ、ある程度の距離に離れた位置ではアンテナからの逆位相の電波でお互いが弱めあって十分小さい電波強度になる構成が採用されていた。
しかし、読取装置全体を小型にすると上面の帳票の載置面が相対的に大きくなり、8字状のループアンテナが透明な載置面を確保するための構成できなくなってくる。また載置面の周のみにループアンテナを形成したのでは離れた位置での電波強度が強すぎてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の読取装置は、長方形の上面を有し、前記上面より狭い底面の台形状の断面である読取装置が、前記上面の一の辺の近傍に帳票の光学情報面が載置される長方形の載置面を設け、前記読取装置の内部で前記上面の一の辺に平行な他の辺の近傍に配置される撮像部と、前記載置面の周囲および前記載置面と前記一の辺をはさんで隣接する側面である読取側面に設けられた前記一の辺を頂点にL字状に曲げられたループアンテナを内蔵している。
【0008】
この構成により、小型でありながらICを読取る電波が、帳票の載置面では十分な郷土であり、かつ読取装置から離れると十分小さい帳票などの読取装置を提供できる。
また、本発明の読取装置は、前記読取側面に設けられたループアンテナが囲む面積が前記載置面のアンテナ前記一の辺を頂点にL字状に曲げられたループアンテナを内蔵している。。この構成によっても、小型でありながらICを読取る電波が、帳票の載置面では十分な郷土であり、かつ読取装置から離れると十分小さい帳票などの読取装置を提供できる。
【発明の効果】
【0009】
読取装置全体を小型にすることができ、パスポートなどの帳票を安定して読取る読取装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態における読取装置、帳票、証明書の斜視図
【図2】読取装置に帳票をセットしたときの斜視図
【図3】読取装置の構成部を示す図
【図4】読取装置の断面を示す図
【図5】読取装置から発射される帳票を読取る電波の分布を示す図
【図6】読取装置の動作フローを示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態の読取装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、図1に示すように、パスポート、銀行の通帳等の複数の紙を綴じた帳票3、または免許証やクレジットカード等の証明証2カードを載置面4に置き、手でカードや帳票等を固定して読み取る。パスポート等は載置面4の周に設けたストッパ32に押し当てて固定する。このストッパ32には「読み取り中」「読取終了」などの作業の状況を示す表示ランプ44がもうけてある。また免許証等は小さいので載置面の任意の場所に押し当てて固定する。
【0012】
読取装置は、載置面4とストッパ32を有して装置の上部を構成する上部筐体31と、一体で成型されて塵、ゴミが内部に入りにくい下部筐体42とで筐体を構成している。たとえば、パスポートを読む場合、多数のパスポートから発生するステープラーの針、クリップ等が読取装置内に入るのを未然に防止している。
【0013】
図1に示すようにパスポートなどの帳票3に組み込まれ、情報が記録されているIC3bは、帳票に組み込まれた帳票アンテナ3aと接続されている。帳票アンテナ3aと読取装置のアンテナ50との間がアンテナ電磁的に結合され、IC3b内の情報を読取装置1が読取る。免許証、クレジットカード等の証明書2についてもIC2bの情報を証明書アンテナ2aと読取装置1のアンテナ50とが電磁的に結合して同様にIC2b内の情報を読取る。
【0014】
載置面4は帳票をコーナに押し当てて読取るため、筐体上部の一辺に寄せて設けてあり、この一辺に連なる筐体の側面である読取側面5は帳票の光学的に読取らない面が当たるため、帳票により発生する載置面からずれる力を軽減するため、下に行くほど窄まった形にしてある。このため図4に示すように読みより装置は下面が小さい台形状の形状をしている。この形状は光路長が長く被写界深度が深いカメラを上部に設置するのにも好適である。
【0015】
帳票3は図2に示すように光学情報面6を載置面4に密着するようにして置かれる。このため帳票3の光学情報面6でない面は、読取装置1の側面に当たる。この帳票が当たる面である読取側面5は下に向かって窄まっており、帳票が載置されたとき読取装置となじむようにしている。
【0016】
また、帳票のICが仕込まれた面は、光学情報面と同じ面とは限られず、帳票によってはこの読取側面に接する面の側にIC3b、アンテナ3aが存在する場合もある。このため図1に示すようにアンテナ50は載置面の周囲を囲むが、読取装置の上面の辺の部分はアンテナの構成物を通さず、載置面の両側から読取側面に平行して下方に伸び、読取側面の下部で結合して変形したループアンテナを構成する。このアンテナの給電点はこの
読取側面下部に限らず、形成した変形ループの他の位置でも良い。
【0017】
カメラ30が撮影した信号はカメラユニット36内の回路で画像信号として形成される。カメラの近くで画像をデジタル化処理したほうが、ノイズの影響を軽減できるからである。その後この画像信号を画像処理部39で歪を補正する。
【0018】
このときミラー38と載置面4との間の反射で写り込んでしまった帳票3あるいは証明証2のゴースト画像を除き、真の画像をホスト機器に送出すれば、証明証2、帳票3に描かれた光学情報の認識率を上げることができる。ゴースト画像は載置面への反射防止コーティングによっても防止することができる。アンテナはこの撮影の邪魔にならない位置で、かつ、載置面4、読取側面5に極力近い位置に設定する。
【0019】
この場合載置面4の下部は撮影のための光路を確保する空間があり、また画像処理部39はミラーの裏にミラーと平行に設置されているので、アンテナ50と帳票等のアンテナとの電磁結合を妨げることはない。
【0020】
カメラユニット36、ミラー38および光源35は図3に示す黒色のミラー取付部材37に一体に取付けけられる。このため光学部分が一体となり外部からの塵や埃の進入を防いでいるとともに光軸の狂いを最小限となりように構成している。下部筐体42を一体成型としているのも読取装置内部への埃の進入を防ぐことを目的の一つとしている。
【0021】
アンテナ50の構成はプリント基板のパターンを用いる。より具体的には図3、図4に示すように光学部分を一体としたミラー取付部材37と上部筐体の間に設置する。同様にミラー取付け部載37に設けたアングルで横アンテナ基板52を読取側面5の内側に固定しコネクタ50で2つの基板を結合してアンテナのループを形成する。本実施例の場合には横アンテナ基板52に給電点を設けている。
【0022】
この逆L字状に変形したループアンテナから放射される電波の、所定の強度である点を結んだ包絡線を図5に示す。一般にループアンテナからの電波の強度はアンテナの中心を頂点とするガウス分布となるのが一般的であるが、本願のようなアンテナ形状の場合は一番電波が強い位置が逆L字形状のコーナになる。コーナの左右ではアンテナが2つの面に向いているため、電波が強くならず、逆に弱くなるため、全体としてはハート状の電界強度分布となる。
【0023】
このため読取装置としては、載置面、読取側面では十分な電波強度でありながら、通常のループアンテナを用いた場合のような、離れた場所でも強い電波を出すこがなく安定して帳票等のICを読むことができる。
次に図6に画像の取り込みのフローを示す。読取装置の電源を入れる(S1)と光学読取S2を開始する。この光学読取(S2)は帳票の有無を検出するもので載置面を4箇所のブロックにわけ、各ブロックの明暗を判別する(S3)。4分割の一箇所でも明(帳票からの反射がある)である状態が所定時間、たとえば0.5秒続くと帳票が差し入れられたと判定(S4)しパスポート、免許証等の読取装置として読むべき帳票か否かの判定を行なう(S5)。この判定には可視光のみを投射して行なう。
【0024】
この判定は帳票の特徴的な印刷、たとえば写真の有無等で一次判定を行い、パスポート番号の有無等の詳細な判定を最終的に行なって帳票か、証明書か、免許証か、を判定する。
この判定の後内容の読み取りを行なう(S6)この読取(S6)に当たっては赤外光、可視光、紫外光の各波長の光源をそれぞれオン、オフして行なう(S7)。しかし可視光のみで行なってもよい。
【0025】
まず判定S5で読取るべき帳票が決定しているので、読取るべきデータの位置、範囲が決まる。カメラユニット36で画像を取得し、この画像を画像処理部で処理しその結果を信号線43で接続されたホストコンピュータ等の外部機器(図示せず)へ送る。
次に帳票IC3b(または証明書IC2bと通信を行い光学的に読み取ったデータとともにホスト機器等の外部機器このとき外部機器が認識しやすいように2値化して送信し、外部機器がデータを受信する(S10)。外部機器から処理終了の信号を機器が受信すると帳票のストッパ32に設けた処理終了ランプを点灯するS10。その後S2の光学読取開始の処理に戻り、次の帳票が来るのを待つ。
【0026】
また、載置面には外光を防ぐ、帳票が差し入れられる一辺が開口した簡単なカバーがその上部に設置されると好適である。
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように、本発明にかかる読取装置は小型化され、かつICが組み込まれた帳票、証明書等を読取る装置として有用である。
【符号の説明】
【0028】
1 読取装置
2 証明証
3 帳票
4 載置面
5 読取側面
6 光学情報面
30 カメラ
31 上部筐体
35 光源
37 ミラー取付部材
38 ミラー
39 画像処理部
42 下部筐体
43 信号線
44 表示ランプ
50 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の上面を有し、前記上面より狭い底面の台形状の断面である読取装置が、
前記上面の一の辺の近傍に帳票の光学情報面が載置される長方形の載置面を設け、
前記読取装置の内部で前記上面の一の辺に平行な他の辺の近傍に配置される撮像部と、
前記載置面の周囲および前記載置面と前記一の辺をはさんで隣接する側面である読取側面に設けられた前記一の辺を頂点にL字状に曲げられたループアンテナを内蔵する読取装置。
【請求項2】
前記読取側面に設けられたループアンテナが囲む面積が前記載置面のアンテナ前記一の辺を頂点にL字状に曲げられたループアンテナを内蔵する読取装置。
請求項1に記載の前記読取装置。
【請求項3】
載置面での内部反射による帳票画像の映り込みを除去する処理をおこなう映像処理部を有する請求項1および請求項2に記載の読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−84129(P2013−84129A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223740(P2011−223740)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】