説明

IDを内包する、刺繍あるいはプリント

【課題】安価に容易に読み取りにくいIDを内蔵することが可能なID刺しゅう装置及びID内蔵刺しゅうを提供する。
【解決手段】IDを刺しゅう乃至印刷してからこのIDが隠れるように図形を刺しゅう乃至印刷プリントする。検査機関は偽物と疑われる刺繍を解き、その中に刺しゅうされているIDを見てその内容を正当な権利を有する販売会社に知らせる。そのIDに刺繍の製造工場と製造時期が入っていれば、それは、正規の製造を依頼された工場が、正式依頼数量よりも多く作成し、その分を、正規品販売会社に納品せずに、無関係の悪意を持った第3者に販売したものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IDを内包する、刺繍または、プリント加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブランド品のような物品は偽造されやすく、特にブランドのロゴマークの刺しゅうは、巧妙に偽造されることが多かった。具体的には、ブランドのロゴマークの刺しゅうの委託工場の従業員が違法に刺しゅうを製造し、それを横流しするという行為が行われている。そこで、物品の真鴈を判別するための方法が求められている。
【0003】
この点に関し、特許文献1には、刺しゅうの裏側にIDを縫いこむ技術が開示されている。
【0004】
しかし、この技術においてはIDが読み取られるため、IDが容易に偽造されるという問題点があった。また、裏面の外観が悪くなるという問題点があった。さらに、裏面に刺繍するためには、刺しゅうする際に被刺しゅう物を裏返さなければならず、特殊な装置が必要となり刺しゅうの製造コストが上昇するという問題点があった。
【特許文献1】特開2005−42291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、安価に容易に読み取りにくいIDを内蔵することが可能なID刺しゅう装置及びID内蔵刺しゅうを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、IDを縫いこみ、前記IDが隠れるようにさらに図形を縫いこんだID内蔵刺しゅうを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のID刺しゅう装置によれば、IDを刺しゅう乃至印刷してからこのIDが隠れるように図形を刺しゅうする。このため、IDを含む外観の良い刺しゅうが安価に製造できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の可能なID刺しゅう装置及びID内蔵刺しゅうの一実施形態を、図面を用いて説明する。図1は本実施形態のID内蔵刺しゅう12を示した図である。本実施形態のID内蔵刺しゅう12は、ID11を縫いこみ、このID11が隠れるようにさらに図形を縫いこんで形成される。また、本実施形態のID内蔵刺しゅうは、IDを印刷し、前記IDが隠れるようにさらに図形を縫いこんで形成される。
【0009】
図1(a)に示すように、まずID11が縫いこまれる。必要に応じて下縫いとして図形の枠10が縫いこまれる。次に、図1(b)に示すように、図形が縫いこまれる。
【0010】
なお、応用例としてIDを印刷し、このIDが隠れるようにさらに図形を縫いこんだID内蔵刺しゅうを形成することができる。印刷の方法は問わない。
【0011】
なお、IDは手動によって刺しゅう又は印刷されてもよい。また、IDを隠す図形の刺しゅうの代わりにIDを隠す図形のプリントを施してもよい。
【0012】
IDの確認は、IDを刺しゅうした場合及びIDを印刷した場合は、図形部分の刺しゅうをほどいて真贋を目視確認する。
【0013】
図2は、ID内蔵刺しゅうに関する作業フローを示した図である。
【0014】
刺繍の場合について説明する。
まず、刺繍を例にすると、商標権の使用権を持つ販売会社から、求められている刺繍をするとき、その刺繍作業の工程の中に、IDを縫いこむ作業を追加する。このIDには、刺繍を行う工場を特定できる情報と、その刺繍を行う時期の情報が入っている。
【0015】
依頼されたマークや文字の刺繍を終えたら、表からも裏からも、そのIDが見えないばかりか、IDが存在することも判別できない。これは、物品1種類に1つのIDをつける。つまり同時期に同じ工場で作られた、同じ物品であれば、IDはそれぞれ同じである。
【0016】
そのIDの情報管理は、刺繍の依頼を受けた、弊社だけが行うものとする。刺繍の工場は、物品販売会社は、多くの工場に依頼するために、その工場1軒ずつが管理するのではなく、弊社1社だけが、すべてのIDを管理するのである。刺繍の場合は、主に、自動刺繍機械に、そのマーキングや文字の型(プログラム)を入力することによって、なされる。そのときその型を弊社だけが作成するものとする。
【0017】
真贋の判別について説明する。販売会社は、その商品を販売できる権利を有していない販売店で、その販売会社の商標のある物品を購入し、それを弊社に送付する。すなわちそれは偽物である。弊社で、その刺繍を解き、その内包されているIDを見て、その内容を販売会社に知らせる。
【0018】
そのIDには、刺繍の製造工場と、製造時期が入っていれば、それは、正規の製造を依頼された工場が、正式依頼数量よりも多く作成し、その分を、正規品販売会社に納品せずに、無関係の悪意を持った第三者に販売したものとなる。そなわち、いくら物品が、本物と同じであっても、正規流通ルートを通らない物品は、商標権を侵害しているので、偽物と判断される。もし、刺繍を解いても、IDが見つからなかった場合は、無関係の悪意を持った者が、本物に似せた物品を製造していることだと、判別される。
【0019】
プリントの場合について説明する。まず、プリントも生産の流れは、刺繍と同様に、商標権の使用権を持つ販売会社から、求められた柄をプリントする。そのとき、表面や、裏面からは、見えないように、柄のプリントを行う途中工程で、別のインクや溶剤を使って、IDをプリントする。IDを見たい場合は、その表面の柄を溶かしたり、削ったりして、IDを見ることができる。
【0020】
このIDには、プリントを行う工場を特定できる情報と、そのプリントを行う時期の情報が入っている。依頼されたマークや文字のプリントを終えたら、表からも裏からも、そのIDが見えないばかりか、IDが存在することも判別できない。
【0021】
これは、刺繍と同様に、物品1種類に1つのIDをつける。つまり同時期に同じ工場で作られた、同じ物品であれば、IDはそれぞれ同じである。そのIDの情報管理は、プリントの依頼を受けた、弊社だけが行うものとする。プリントの工場は、物品販売会社は、多くの工場に依頼するために、その工場1軒ずつが管理するのではなく、弊社1社だけが、すべてのIDを管理するのである。プリントの場合は、主に、シルクスクリーンに、そのマーキングや文字の型(プログラム)を入力することによって、なされる。そのときその型を弊社だけが作成するものとする。
【0022】
真贋の判別について説明する。販売会社は、その商品を販売できる権利を有していない販売店で、その販売会社の商標のある物品を購入し、それを弊社に送付する。すなわちそれは偽物である。
【0023】
弊社で、そのプリントの表面を溶かしたり、削ったりして、その中に内包されているIDを見る。その内容を販売会社に知らせる。そのIDには、プリントの製造工場と、製造時期が入っていれば、それは、正規の製造を依頼された工場が、正式依頼数量よりも多く作成し、その分を、正規品販売会社に納品せずに、無関係の悪意を持った第三者に販売したものとなる。そなわち、いくら物品が、本物と同じであっても、正規流通ルートを通らない物品は、商標権を侵害しているので、偽物と判断される。もし、IDが見つからなかった場合は、無関係の悪意を持った者が、本物に似せた物品を製造していることだと、判別される。
【0024】
以上述べたように、本実施形態においてはIDを刺しゅう乃至印刷してからこのIDが隠れるように図形を刺しゅうする。このため、IDを含む外観の良い刺しゅうが安価に製造できるという効果がある。また、IDにより製造工場、製造年月日が分かり、偽造防止や、製造工場による不正追加製造を判定することが可能となるという効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のID刺しゅう装置及びID内蔵プリントは、ブランド品の真贋の識別のほか、社員の制服の真贋の判定にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態のID内蔵刺しゅうを示した図である。
【図2】ID内蔵刺しゅうに関する作業フローを示した図である。
【符号の説明】
【0027】
10:枠、
11:ID、
12:ID内蔵刺しゅう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IDを内包し、前記IDが隠れるように刺繍されたID内蔵刺繍。
【請求項2】
IDを内包し、前記IDが隠れるようにプリントされたID内蔵プリント。


【図1】
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【図2】
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