説明

IDカード

【課題】保護者および被保護者の顔写真と、被保護者の所属する施設の名前又はマークとを表示し、来訪者の身元確認を確実且つ速やかに行えるIDカードを提供する。
【解決手段】IDカード1は、表面(一方の面)に、父親の顔写真を表示する保護者画像領域2と、同面に、児童の顔写真を表示する被保護者画像領域3と、同面に、児童が所属する小学校の学校名又は校章を表示する施設情報表示領域4と、裏面(他方の面)に、児童に関する属性情報を表示する属性領域5と、を備える。さらに、IDカード1は、表面に、父親の氏名、児童の氏名、学年およびクラス(5−2)も表示している。また、IDカード1は、日本語の他、英語を併記している。属性情報は、例えば氏名、性別、身長、体重、生年月日、学年、クラス、所属施設の名前、所属施設の電話番号、医療情報である。医療情報は、例えば血液型、アレルギー、病歴である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本人であることを証明するIDカードに関し、特に該本人が児童(被保護者)の保護者であることを証明するIDカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、学校などの施設における悲惨な事件、犯罪が多発している。中には、悪意の第三者が保護者になりすまし、校内に侵入して児童に危害を加えるケースも報告されている。そのため、来校者が本校に通学する児童の保護者であるか否かの身元確認を確実に行う事が重要となっている。
【0003】
また、来校者が悪意の第三者である場合、該来校者の応対をした教員や警備員に対し危害を加えるケースも報告されている。そのため、速やかに判断できる身元確認が要求される。
そこで、身元確認を行う方法として、従来から運転免許証やパスポートが用いられている。
【0004】
一方、特許文献1に記載されたようなIDカードが提案されている。
このIDカードは、カード所有者の顔写真と該所有者の所有物(車など)の外観写真とを表示している。
【特許文献1】特開平6−115286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、教員や警備員が来校者に運転免許証やパスポートを提示させたとしても、運転免許証やパスポートには、来校者本人の情報(顔写真など)しか表示されておらず、児童の顔写真と児童が通学する学校名又は校章とが表示されていない。そのため、教員や警備員は、運転免許証やパスポートによって、来校者が本校に通学する児童の保護者であるか否かを速やかに判断できない。
【0006】
また、特許文献1において、このIDカードは、所有物が所有者の物であることを証明するためのカードであって、来校者の身元確認を行うためのカードではない。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決しようとするものであり、保護者および被保護者の顔写真と、被保護者の所属する施設の名前又はマークとを表示し、来訪者の身元確認を確実且つ速やかに行えるIDカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のIDカードは、前記課題を解決するために以下の構成を備えている。
【0009】
(1)一方の面に、保護者の顔写真を表示する保護者画像領域と、
一方の面又は他方の面に、被保護者の顔写真を表示する被保護者画像領域と、
一方の面又は他方の面に、前記被保護者が所属する施設を表す情報として施設情報を表示する施設情報表示領域と、を備える。
【0010】
この構成において、保護者は、例えば被保護者の親、被保護者の祖父母、被保護者の子である。被保護者は、例えば児童、老人である。つまり、被保護者が児童である場合、保護者は、例えば児童の親、児童の祖父母である。児童は、15歳以下の子供である。また、被保護者が老人である場合、保護者は、例えば老人の子である。
施設は、例えば学校、塾、老人ホームである。学校は、例えば保育園、幼稚園、小学校、中学校である。施設情報は、例えば施設の名前、施設を表すマークである。つまり、施設が学校である場合、施設情報は、学校名又は校章である。
なお、IDカードの実施に際しては、保護者の氏名も表示させておくと良い。
また、例えば被保護者が児童であれば、児童に姉妹がいる場合、姉妹の顔写真も被保護者画像領域に表示する。
以上より、例えば施設が学校であれば、IDカードを児童の親(保護者)に携帯させ、学校を訪れる際に提示させることにより、学校の教員や警備員は、来校者が本校に所属する児童の親であると確実に、且つ速やかに判断できる。また、例えば施設が老人ホームであれば、IDカードを老人の子(保護者)に携帯させ、施設を訪れる際に提示させることにより、施設の教員や警備員は、来訪者が本施設に所属する老人の子であると確実に、且つ速やかに判断できる。
【0011】
(2)一方の面又は他方の面に、前記被保護者の属性を表す情報として属性情報を表示する属性領域を備える。
【0012】
この構成において、属性情報は、例えば氏名、性別、身長、体重、生年月日、所属施設の名前、学年、クラス、所属施設の電話番号、医療情報である。医療情報は、例えば血液型、アレルギー、病歴である。
ところで、学校外においても、児童を狙った犯罪や事故が増加していることが報告されている。児童が犯罪や事故に遭った場合、警察当局や病院関係各所に対し児童に関する属性情報の提供を速やかに行う事が必要となっている。
しかし、保護者は児童に関する属性情報をすぐに入手できるとは限らず、属性情報を入手している間に、児童の容態は好ましくない状態になることがある。
そこで、IDカードに属性情報を表示させることにより、保護者は、警察当局や病院関係各所に対し属性情報の提供を正確に、且つ速やかに行うことができる。
また、IDカードには、日本語の他、英語を併記してもよい。これにより、家族での海外旅行時において児童が犯罪や事故に遭った場合に、保護者は、警察当局や病院関係各所に対し属性情報の提供を正確に、且つ速やかに行うことができる。
以上の説明は、老人が急病で倒れた場合にも、適用できる。
なお、上記IDカードは被保護者に携帯させても良い。
また、例えば被保護者が児童であれば、児童に姉妹がいる場合、姉妹の属性情報を属性領域に表示させてもよい。この表示は、上記事故や犯罪遭遇時において児童に輸血が必要な場合などに有効である。
【0013】
(3)上記(2)において、カード本体に、前記属性情報を記憶する情報記憶媒体を備える。
【0014】
この構成において、情報記憶媒体は、例えばICチップ、磁気ストライプで構成される。
情報記憶媒体は、IDカードに表示されている属性情報のバックアップ記憶手段として、又は秘匿性が高い属性情報を記憶する手段として利用可能である。
IDカードに表示されている属性情報は、IDカードの使用とともに見えにくくなる場合がある。この場合でも、属性情報を情報記憶媒体にバックアップしておけば、該バックアップを参照することで正確な属性情報が得られる。
また、秘匿性が高い属性情報は、IDカードには表示させず、情報記憶媒体に記憶させるのが好ましい。秘匿性が高いか否かの区分けは適宜決めれば良いが、プライバシやセキュリティの観点から、一般には、身長、体重、生年月日および医療情報を秘匿性の高い属性情報とするのが好ましい。ICチップと磁気ストライプとのいずれを選択するかは、属性情報の秘匿性の要求レベルに応じて決めるとよい。
【0015】
さらに、秘匿性が高い属性情報のうち身長、体重および医療情報は、児童の成長とともに変化するので更新が多い。そのため、これらの属性情報は特に、IDカードには表示させず、情報記憶媒体に記憶させるのが好ましい。
【0016】
一方、全ての属性情報が属性領域に収まりきらず、属性領域が全ての属性情報を表示できない場合もある。この場合は、属性情報の全てを情報記憶媒体に記憶させ、属性領域が表示できる分だけ属性情報を表示する。
【0017】
(4)上記(1)において、カード本体に、前記被保護者の属性を表す情報として属性情報を記憶する情報記憶媒体を備える。
【0018】
この構成では、全ての属性情報を情報記憶媒体に記憶させ、属性情報をIDカードに表示させないようにしている。
【0019】
(5)前記情報記憶媒体は、該情報記憶媒体に記憶されている情報を読取る時、予め定めた通信条件を満たしている読取装置のみ通信を許可する。
【0020】
この構成において、予め定めた通信条件は、例えばESS−IDの一致である。情報記憶媒体と読取装置とに予め同じESS−IDを持たせておき、情報記憶媒体は、同じESS−IDを有している限られた読取装置のみ通信を許可するように予め定める。
これにより、悪意の第三者が読取装置を取得した場合にも、悪意の第三者によるIDカードへの不正アクセスを防止できる。従って、属性情報の流出を防止できる。
なお、無線通信の内容は盗聴されやすいので、暗号化しておくことが望ましい。
【0021】
(6)前記情報記憶媒体は、該情報記憶媒体に記憶されている情報を読取る時、認証を行う。
【0022】
この構成において、認証は、例えばパスワード認証、電子署名認証、バイオメトリクス認証である。認証方式は、要求されるセキュリティレベルと費用とを勘案して決めると良い。
以上より、保護者または被保護者がIDカードを紛失した場合にも、悪意の拾得者によるなりすましを防止できる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、施設の教員や警備員は、来訪者が本施設に所属する被保護者の保護者であると確実に、且つ速やかに判断できる。
【0024】
また、保護者は、警察当局や病院関係各所に対し属性情報の提供を正確に、且つ速やかに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の第一の実施形態であるIDカードについて説明する。
【0026】
図1は、本発明の第一の実施形態であるIDカードの外観図である。図2は、本発明の第一の実施形態である児童に姉妹がいる場合のIDカードの外観図である。(a)は表面を表し、(b)は裏面を表す。
【0027】
IDカード1は、表面(一方の面)に、父親の顔写真を表示する保護者画像領域2と、同面に、児童の顔写真を表示する被保護者画像領域3と、同面に、児童が所属する小学校の学校名又は校章を表示する施設情報表示領域4と、裏面(他方の面)に、児童に関する属性情報を表示する属性領域5と、を備える。
【0028】
さらに、IDカード1は、表面に、父親の氏名、児童の氏名、学年およびクラス(5−2)も表示している(図1(a)参照)。また、IDカード1は、日本語の他、英語を併記している。
【0029】
属性情報は、例えば氏名、性別、身長、体重、生年月日、学年、クラス、所属施設の名前、所属施設の電話番号、医療情報である。医療情報は、例えば血液型、アレルギー、病歴である。
【0030】
以上より、IDカード1を父親に携帯させ、小学校を訪れる際に提示させることにより、小学校の教員や警備員は、来校者が本校に所属する児童の父親であると確実に、且つ速やかに判断できる。
【0031】
また、児童が犯罪や事故に遭った場合に、保護者は、警察当局や病院関係各所に対しIDカード1を提出することで、属性情報の提供を正確に、且つ速やかに行うことができる。
また、家族での海外旅行時において児童が犯罪や事故に遭った場合に、保護者は、警察当局や病院関係各所に対し属性情報の提供を正確に、且つ速やかに行うことができる。
なお、本発明の実施形態では、IDカードを小学校において使用しているが、老人ホームにおいて使用しても良い。IDカードを老人の子(保護者)に携帯させ、施設を訪れる際に提示させることにより、施設の教員や警備員は、来訪者が本施設に所属する老人の子(保護者)であると確実に、且つ速やかに判断できる。
【0032】
また、本発明の実施形態では、児童が犯罪や事故に遭った場合に、該児童に関する属性情報が表示されたIDカードを利用しているが、老人が急病で倒れた場合にも利用できる。老人が急病で倒れた場合は、該老人に関する属性情報が表示されたIDカードを提出するとよい。
また、児童に姉がいる場合、姉の顔写真を被保護者画像領域3(被保護者画像領域3下段参照)に、姉の属性情報を属性領域5(属性領域5下段参照)に表示させてもよい(図2参照)。この表示は、上記事故や犯罪遭遇時において児童に輸血が必要な場合などに有効である。
また、上記IDカード1は児童に携帯させてもよい。
ここで、児童と老人とが、本発明の「被保護者」に相当する。父親と老人の子とが、本発明の「保護者」に相当する。保護者画像領域2と被保護者画像領域3とが、本発明の「画像領域」に相当する。
【0033】
以下、本発明の第二の実施形態であるIDカードについて説明する。
【0034】
図3は、本発明の第二の実施形態であるIDカードの外観図である。(a)は表面を表し、(b)は裏面を表す。
【0035】
図3のIDカード10が図1のIDカード1と構成において相違する点は、カード本体11に、属性情報を記憶するICチップ16と、無線通信を行う無線通信部(不図示)と、を設けた点である。
【0036】
ICチップ16は、例えば、EEPROMで構成されている。本実施形態では、ICチップを採用しているが、磁気ストライプでも構わない。属性情報の秘匿性の要求レベルに応じて決めるとよい。
ICチップ16は、児童に関する全ての属性情報を記憶している。一方、属性領域5に、属性情報の内の氏名、性別、学年、クラス、小学校名、小学校の電話番号を表示している。
ICチップ16は、上記無線通信部を介して、不図示の読取装置と通信を行う。
【0037】
ICチップ16は、IDカード10に表示されている属性情報のバックアップ記憶手段として、又は秘匿性が高い属性情報を記憶する手段として利用している。
IDカード10に表示されている属性情報の内の氏名、性別、学年、クラス、小学校名、小学校の電話番号は、IDカード10の使用とともに見えにくくなる場合がある。この場合でも、属性情報をICチップ16にバックアップしておけば、該バックアップを参照することで正確なこれらの情報が得られる。
また、秘匿性が高い属性情報、例えば身長、体重、生年月日および医療情報は、図3に示すように、IDカード10には表示させず、ICチップ16に記憶させるのが好ましい。秘匿性が高いか否かの区分けは適宜決めれば良いが、プライバシやセキュリティの観点から、一般には、身長、体重、生年月日および医療情報を秘匿性の高い属性情報とするのが好ましい。
さらに、秘匿性が高い属性情報のうち身長、体重および医療情報は、児童の成長とともに変化するので更新が多い。そのため、これらの属性情報は特に、図3に示すように、IDカード10には表示させず、ICチップ16に記憶させるのが好ましい。
なお、全ての属性情報が属性領域5に収まりきらず、属性領域5が全ての属性情報を表示できない場合もある。この場合は、属性領域5が表示できる分だけ属性情報を表示する。
【0038】
一方、ICチップ16は、該ICチップ16に記憶されている情報を読取る時、予め定めた通信条件を満たしている読取装置(不図示)のみ通信を許可し、さらに、認証を行う。
予め定めた通信条件は、例えばESS−IDの一致である。ICチップ16と読取装置とに予め同じESS−IDを持たせておき、ICチップ16は、同じESS−IDを有している限られた読取装置のみ通信を許可するように予め定める。
一方、認証は、例えばパスワード認証、電子署名認証、バイオメトリクス認証である。認証方式は、要求されるセキュリティレベルと費用とを勘案して決めると良い。
【0039】
以上より、悪意の第三者が読取装置を取得した場合にも、悪意の第三者によるIDカード10への不正アクセスを防止できる。従って、属性情報の流出を防止できる。
【0040】
また、保護者または被保護者がIDカード10を紛失した場合にも、悪意の拾得者によるなりすましを防止できる。
なお、無線通信の内容は盗聴されやすいので、暗号化しておくことが望ましい。
ここで、ICチップ16が、本発明の「情報記憶媒体」に相当する。
【0041】
以下、本発明の第三の実施形態であるIDカードについて説明する。
【0042】
図4は、本発明の第三の実施形態であるIDカードの外観図である。(a)は表面を表し、(b)は裏面を表す。
【0043】
図4のIDカード20が図3のIDカード10と構成において相違する点は、裏面(他方の面)に属性情報を表示する属性領域5を設けていない点である。
上記第二の実施形態では、属性領域5に属性情報の内の氏名、性別、学年、クラス、小学校名、および小学校の電話番号を表示していたが(図3参照)、ここでは、それらの情報も表示せず、属性情報全てを完全に隠す。これにより、最も高レベルなセキュリティが確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第一の実施形態であるIDカードの外観図
【図2】本発明の第一の実施形態である児童に姉妹がいる場合のIDカードの外観図
【図3】本発明の第二の実施形態であるIDカードの外観図
【図4】本発明の第三の実施形態であるIDカードの外観図
【符号の説明】
【0045】
1−IDカード
2−保護者画像領域
3−被保護者画像領域
4−施設情報表示領域
5−属性領域
10−IDカード
11−カード本体
16−ICチップ
20−IDカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に、保護者の顔写真を表示する保護者画像領域と、
一方の面又は他方の面に、被保護者の顔写真を表示する被保護者画像領域と、
一方の面又は他方の面に、前記被保護者が所属する施設を表す情報として施設情報を表示する施設情報表示領域と、を備えるIDカード。
【請求項2】
一方の面又は他方の面に、前記被保護者の属性を表す情報として属性情報を表示する属性領域を備える請求項1記載のIDカード。
【請求項3】
カード本体に、前記属性情報を記憶する情報記憶媒体を備える請求項2に記載のIDカード。
【請求項4】
カード本体に、前記被保護者の属性を表す情報として属性情報を記憶する情報記憶媒体を備える請求項1記載のIDカード。
【請求項5】
前記情報記憶媒体は、該情報記憶媒体に記憶されている情報を読取る時、予め定めた通信条件を満たしている読取装置のみ通信を許可する請求項3又は4に記載のIDカード。
【請求項6】
前記情報記憶媒体は、該情報記憶媒体に記憶されている情報を読取る時、認証を行う請求項3から5のいずれかに記載のIDカード。
【請求項7】
一方の面に、保護者と被保護者との顔写真を表示する画像領域と、
一方の面に、前記被保護者が通学する学校の学校名又は校章を表示する施設情報表示領域と、
他方の面に、前記被保護者の属性を表す情報として属性情報を表示する属性領域と、を備えるIDカード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−248101(P2006−248101A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69727(P2005−69727)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(505092809)
【Fターム(参考)】