説明

ITO膜の形成方法及び液晶表示素子の製造方法

【目的】ITO膜の結晶化を十分進行させ、且つITO膜中に含まれる酸素のばらつきを無くしあるいは少なくすることができ、これによって安定した特性を有するITO膜を形成し得るITO膜の形成方法、及びかかるITO膜の形成方法を適用した液晶表示装置の製造方法を提供する。
【構成】ITO膜の形成方法は、スパッタリング法によって成膜されたITO膜30上に水素を含有する膜32を形成した後、熱処理することを特徴とする。あるいは又、スパッタリング法によって成膜されたITO膜を水素ガス雰囲気中で熱処理することを特徴とする。また、このITO膜の形成方法を適用して液晶表示装置の画素電極を形成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はITO膜の形成方法、及び液晶表示素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置の駆動電極(画素電極)には、透明電極としてITO(Indium Tin Oxide)膜が使用されている。また、マルチカラー液晶表示装置の一形態においては、絶縁基板上に薄膜トランジスタが形成された基板とITO膜から成る透明電極との間にカラーフィルターが設けられている。この形態のマルチカラー液晶表示装置は、液晶セルに印加される電圧がカラーフィルターによって電圧降下することがない、カラーフィルターが透明電極で被覆されているため液晶セルの信頼性が向上するという特徴を有する。
【0003】通常、例えばITO焼結体を出発原料として、基板上あるいはカラーフィルター上にITO膜をスパッタリングする。次いで、ITO膜をウエットエッチングすることによって透明電極を形成する。スパッタリングによるITO膜の成膜時、基板の温度は以下の理由から制約される。
【0004】ITO膜をウエットエッチングすることによって透明電極を形成するが、ITO膜成膜時の基板温度が150°Cを越えると、ITOの結晶化が急速に進むため、ITO膜のウエットエッチングが困難になる。従って、ITO膜成膜時の基板温度を150°C以下にする必要がある。
【0005】カラーフィルター上にITO膜を成膜する場合、染料タイプのカラーフィルターは180°Cを越えると、また、顔料タイプのカラーフィルターは200°Cを越えると染料あるいは顔料が変質してしまう。従って、ITO膜成膜時の基板温度を、カラーフィルターの染料あるいは顔料が変質しない温度以下にする必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ITO膜の結晶化は150°C以上で進行する。それ故、上記のような基板温度でITO膜を成膜した場合、ITO膜は完全には結晶化されず一部は非晶質状態であり、ITO膜の特性が非常に不安定となる。従って、成膜されたITO膜に対して熱処理を行い、ITO膜の結晶化を行っている。ところが、従来の技術においては、成膜されたITO膜の熱処理を大気中又は窒素ガス雰囲気中で行っているため、ITO膜に含まれている酸素のばらつきを均一化することができない。
【0007】ITO膜をスパッタリングによって基板上に成膜した場合、成膜されたITO膜の特性にばらつきが生じる原因は、多量の負イオン(主に酸素イオン)が含まれるプラズマがエロージョン領域に局在しており、この負イオンがターゲット表面の電界で加速され、ターゲット電位とほぼ等しいエネルギーで基板に入射することにある。つまりエロージンの中央領域においては酸素イオンが多量に含まれ、中央領域から遠ざかる程、酸素イオンが少なくなる。この酸素イオン量のばらつきによって、ITO膜中の酸素含有率にばらつきが生じる。その結果、ITO膜の抵抗値が高くなり、光透過率が低くなり、あるいはこれらの値に大きなばらつきが生じる。
【0008】従って、本発明の第1の目的は、ITO膜の結晶化を十分進行させ、且つITO膜中に含まれる酸素のばらつきを無くしあるいは少なくすることができ、これによって安定した特性を有するITO膜を形成し得るITO膜の形成方法を提供することにある。更に、本発明の第2の目的は、このようなITO膜の形成方法を採用した液晶表示装置の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の第1の目的は、本発明の第1の態様により、スパッタリング法によって成膜されたITO膜上に水素を含有する膜を形成した後、熱処理することを特徴とするITO膜の形成方法によって達成することができる。。
【0010】水素を含有する膜は、プラズマCVD法にて形成された窒化シリコン膜(以下、p−SiN膜と略す)、アモルファスシリコン膜、ゲルマニウム膜等とすることができる。熱処理は、150°C乃至500°C、より好ましくは300°C乃至450°Cで行うことが望ましい。熱処理の温度が150゜C以下では、ITO膜の結晶化が十分進行しないからであり、500゜Cを越えると、ITOの結晶化及び結合速度が早くなりすぎ、そのためシート抵抗値や光透過率の制御が困難になるからである。また、熱処理の時間は、20乃至120分とすることが望ましい。熱処理は、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中、水素ガス雰囲気中、真空中で行うことができる。
【0011】更に、上記の第1の目的は、本発明の第2の態様により、スパッタリング法によって成膜されたITO膜を水素ガス雰囲気中で熱処理することを特徴とするITO膜の形成方法によって達成することができる。
【0012】水素ガス雰囲気とは、水素ガス100%雰囲気のみならず、水素ガスと他のガスの混合ガス雰囲気も含む。水素ガス雰囲気中で熱処理するとITO膜の膜質改善が認められるが、特に効果が認められるのは水素ガスが2容積%乃至30容積%の場合である。ガスの他の成分は、窒素やアルゴン等とすることができる。熱処理は、150°C乃至500°C、より好ましくは300°C乃至450°Cで行うことが望ましい。また、熱処理の時間は、20乃至120分とすることが望ましい。
【0013】上記の第2の目的は、本発明の第3の態様である液晶表示装置の製造方法によって達成することができる。即ち、本発明の液晶表示装置の製造方法は、マトリックス状に配列された薄膜トランジスタ、及び該薄膜トランジスタに接続された画素電極が絶縁基板上に形成された一方の基板と、対向電極を有し該一方の基板と対向して配置された他方の基板と、これらの基板に挟持された液晶層とを備えた液晶表示装置の製造方法である。そして、薄膜トランジスタが形成された前記絶縁基板上に、スパッタリング法によってITO膜を成膜した後、ITO膜をパターニングし、次いで、このITO膜上に水素を含有する膜を形成した後、熱処理を行うことによって画素電極を形成することを特徴とする。
【0014】薄膜トランジスタ(以下、TFTと略す)は、α−Si TFT、p−SiTFT等、如何なるタイプのTFTであってもよい。液晶表示装置の動作モードは、電界によって分子配列の制御を行い得る動作モードであれば如何なる動作モードでもよく、例えば、TNモード、STNモードを例示することができる。また、液晶表示装置の表示形態は、単純マトリックス表示形あるいはアクティブマトリックス表示形とすることができる。
【0015】スパッタリング法によってITO膜を絶縁基板上に成膜するが、ここで、「絶縁基板上」とは、絶縁基板それ自体の上だけでなく、絶縁基板上に形成されたTFTの上、絶縁基板上に形成された各種処理膜の上、カラーフィルターの上等、広くITO膜が成膜されるべき下地の上を意味する。
【0016】
【作用】本発明のITO膜の形成方法あるいは液晶表示装置の製造方法においては、熱処理によって、ITO膜の結晶化が十分に進行し、且つ結晶化の過程で水素とITO膜中の酸素が反応する。反応は、ITO膜の内、酸素が多量に含まれている部分では活発に進行し、酸素が少量しか含まれていない部分では逆に余り進行しない。つまり、ITO膜の酸素含有率が均一化され、その結果、ITO膜の抵抗値及び光透過率のばらつきが抑えられ均一化される。また、ITO膜の結晶化は結晶核が成長していく形態であり、水素の存在下で熱処理を行うと、ITO結晶には粒界が形成され難く、通常の大気中あるいは窒素雰囲気中での熱処理と比較して、格段にITO膜の抵抗値を下げることができる。
【0017】p−SiN膜中の水素含有率は20重量%乃至25重量%程度である。従って、p−SiN膜を使用する場合、ITO膜中に含まれる酸素を還元するために必要とされる水素の量に制約がある。しかし水素ガス雰囲気中で熱処理を行うことにより、還元作用に必要とされる水素の量が制限されることがなく、成膜されたITOの膜質に合わせ水素の量を供給することができる。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
(実施例1)先ず、本発明の第1の態様について説明する。この第1の態様のITO膜の形成方法は、スパッタリング法によって成膜されたITO膜上に水素を含有する膜を形成した後、熱処理することを特徴とする。
【0019】図1に模式的な一部断面図を示すような薄膜トランジスタを従来の方法にて形成する。図1中、10は絶縁基板であり、12はソース・ドレイン領域が形成されたポリシリコン層、14はゲート電極領域、16はアルミニウム配線層、18はPSGから成る第1の層間絶縁層、20はPSGから成る第2の層間絶縁層、22は開口部である。次に、第2の層間絶縁層20上及び開口部22にスパッタリングによってITO膜30を形成する。ITO膜の出発原料としてITO焼結体を使用し、スパッタリングの条件を以下のとおりとした。
カソード電源 : DC(RF)
パワー : 1.5 W/cm2デポジッション圧力 : 9 mTorrAr/O2 : 100/2 sccmこのITO膜を液晶表示装置の駆動電極として用いるために、従来のフォトリソグラフィ法及びウエットエッチング法にてITO膜30をパターニングした(図1参照)。
【0020】次に、図2に示すように、従来のプラズマCVD法にてp−SiN膜から成る膜中に水素を含有する膜32を全面に形成した後、熱処理を行う。400゜Cに設定された窒素ガス雰囲気下のアニール炉に20〜120分間、基板を入れることによって、熱処理を行った。こうして、絶縁基板上にTFTが形成され、更にITO膜から成る画素電極を有する基板を完成させた。尚、窒素ガスの代わりに、アルゴンガスあるいはフォーミングガスを使用することもできる。このようにして得られた試料−1のITO膜のシート抵抗値及び光透過率を測定した。これらの値については後述する。
【0021】(実施例2)次に、本発明の第2の態様について説明する。この第2の態様のITO膜の形成方法は、スパッタリング法によって成膜されたITO膜を水素ガス雰囲気中で熱処理することを特徴とする。
【0022】図1に示した実施例1と同様の方法で薄膜トランジスタを作製し、更に、ITO膜の形成及びパターニングを行った。この状態でITO膜をTEM観察したところ、粒径20〜30nmの非晶質のITOが相当数見い出された。次に、水素ガス雰囲気中で熱処理した。即ち、窒素ガス98容積%及び水素ガス2容積%の雰囲気にある400゜Cに設定したアニール炉に、30分間基板入れることによって、熱処理を行った。熱処理後のITO膜をTEM観察したところ、ITOの結晶が粒径約300nmの大きさに成長していた。
【0023】(実施例3)熱処理の水素ガス雰囲気を窒素ガス90容積%及び水素ガス10容積%とした以外は実施例2と同様の方法で、試料−3を作製した。こうして得られた試料−2及び試料−3のITO膜のシート抵抗値及び光透過率を測定した。これらの値については後述する。
【0024】(実施例4)熱処理のガス雰囲気を、窒素ガス97容積%及び水素ガス3容積%とした以外は実施例1と同様の方法で、試料−4を作製した。即ち、実施例4においては、ITO膜上にp−SiN膜が形成され、水素ガス雰囲気中で熱処理を行った。
【0025】(比較例1)図1に示した実施例1と同様の方法で薄膜トランジスタを作製し、更に、ITO膜の形成及びパターニングを行った。この状態の試料を比較試料−1とした。この比較試料−1は、何ら熱処理を施していない。
【0026】(比較例2)次に、比較例1の試料を熱処理した。200゜Cに設定された空気雰囲気下のアニール炉に60分間、基板を入れるこによって熱処理を行った。こうして得られた試料を比較試料−2とし、これらの比較試料−1及び比較試料−2のITO膜のシート抵抗値及び光透過率を測定した。
【0027】(比較例3)図3に示すように、ITO膜30の成膜前にPSGから成る第2の層間絶縁層20の上にp−SiN膜32を形成すると、p−SiN膜32の熱応力によって第2の層間絶縁層20にクラック24が発生した。この状態で酸処理等を行うと、クラック24から処理液がしみ込み、アルミニウム配線層16が断線して不良となった。
【0028】しかしながら、実施例1にて説明した工程で処理を行えば、その後の酸処理工程がない。それ故、たとえ第2の層間絶縁層20にクラック24が何らかの原因で入っても、アルミニウム配線層16が断線することなく、不良の発生を防止することができる。
【0029】各試料のITO膜のシート抵抗値(単位:Ω)及び光透過率(単位:%)の測定結果は以下のとおりであった。
シート抵抗値 同左 同左 同左 (平均値) (最大値) (最小値) (面内分布)
試料−1 30.1 34.0 28.2 9.3 試料−2 34.5 40.8 31.1 13.5 試料−3 33.8 37.9 32.0 8.4 試料−4 34.8 48.4 32.0 20.4 比較試料−1 72.4 191.0 46.9 60.6 比較試料−2 211.9 368.9 123.9 49.7 光透過率(450nm) 同(550nm) 同(630nm)
試料−1 90.5 98.0 93.4 試料−2 85.8 97.8 89.2 試料−3 89.5 97.2 93.5 試料−4 83.7 95.4 90.6 比較試料−1 65.4 87.9 83.5 比較試料−2 79.8 88.3 81.6
【0030】上記の測定結果から、水素の存在下ITO膜を熱処理することによって、ITO膜の低抵抗化並びに抵抗値のばらつき減少、及び光透過特性の向上を図ることができることが判る。
【0031】試料−1、試料−3、比較試料−1及び比較試料−2のそれぞれに関して、ITO膜のシート抵抗値の分布を調べた。測定結果を図4に示す。図4の(A)、(B)、(C)及び(D)は、試料−1、試料−3、比較試料−1及び比較試料−2に対応し、図中の線は、同一シート抵抗値を示す部分を結んだ線であり、一種のシート抵抗値等高線である。図4から明らかなように、比較試料−1及び比較試料−2は、ITO膜のシート抵抗値のばらつきが極めて大きいが、本発明の方法で形成されたITO膜のシート抵抗値のばらつきは極めて小さい。
【0032】ITOの結晶化は結晶核が成長していく形態であり、ITOの結晶には粒界が形成され易く、従来の大気中あるいは窒素雰囲気中での熱処理ではITO膜の低抵抗化に限界がある。ところが、本発明においては、水素の存在下、熱処理を行うので、ITO結晶に粒界が形成され難く、従来の方法と比較して格段にITO膜の抵抗値を下げることができる。
【0033】尚、水素の存在下で熱処理を行うので、ポリシリコン層12中のダンブリングボンドを水素と結合させるための、ポリシリコン層12の水素化を同時に進行させることができる。
【0034】次に、本発明の第3の態様である液晶表示装置の製造方法について説明する。この液晶表示装置の製造方法は、基本的には、先に説明した本発明の第1の態様のITO膜の形成方法を適用した液晶表示装置の製造方法である。
【0035】図1に模式的な一部断面図を示すようなp−Si TFTを、ガラスから成る絶縁基板10の上に、マトリックス状に配列されるように従来の方法で形成した。次に、実施例1と同様の方法及び条件で、第2の層間絶縁層20上、開口部22及びTFTが形成されたいない絶縁基板10の上にスパッタリングによってITO膜30を形成した。このITO膜を液晶表示装置の駆動電極として用いるために、従来のフォトリソグラフィ法及びウエットエッチング法にてITO膜30をパターニングした(図1参照)。尚、図1においては、TFTが形成されていない絶縁基板上のITO膜の図示は省略した。
【0036】次に、図2に示すように、従来のプラズマCVD法にてp−SiN膜から成る膜中に水素を含有する膜32を全面に形成した後、熱処理を行った。400゜Cに設定され窒素ガス雰囲気下のアニール炉に30分間基板を入れることによって、熱処理を行った。こうして、図5に模式的な一部断面図を示すように、絶縁基板10上にTFT42が形成され、更にTFT42に接続された画素電極44が形成された基板40(以下、一方の基板という)を完成させた。
【0037】一方、従来の方法、あるいは上述した本発明の第1の態様によるITO膜の形成方法によって絶縁基板52上にITO膜を形成し、従来の方法でこのITO膜をパターニングして、対向電極を形成した。こうして、対向電極54を有する基板50(以下、他方の基板という)を完成させた。
【0038】一方の基板40の画素電極44が設けられた側の表面、及び他方の基板50の対向電極54が設けられた側の表面のそれぞれの全面に配向膜46,56を形成した。そして、これらの基板40,50の間に形成された間隙に液晶層60を挟持し、基板40,50の外側表面に偏光板48,58を配設して、液晶表示装置を完成させた。
【0039】以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。ITO膜を形成するための下地となる構造は、薄膜トランジスタに限定されるものではなく、カラーフィルターとすることもできる。薄膜トランジスタの構造及び構成材料も、先に説明したもの以外にも適宜選択することができる。
【0040】マトリックス状に配列された薄膜トランジスタ、及び薄膜トランジスタに接続された画素電極が絶縁基板上に形成された一方の基板と、対向電極を有し一方の基板と対向して配置された他方の基板と、これらの基板に挟持された液晶層とを備えた液晶表示装置の製造に、本発明の第2の態様であるITO膜の形成方法を適用する場合には、薄膜トランジスタが形成された絶縁基板上に、スパッタリング法によってITO膜を成膜した後、ITO膜をパターニングし、次いで、このITO膜を水素ガス雰囲気中で熱処理することによって画素電極を形成することができる。
【0041】
【発明の効果】本発明のITO膜の形成方法においては、水素が存在する状態でITO膜を熱処理する。従って、ITO膜の結晶化が十分進行し、しかも結晶の粒界が形成され難い。また、水素はITO膜中の酸素と結合する。これによって、ITO膜の成膜条件に左右されることなく、ITO膜における酸素含有率を均一化することができ、ITO膜の低抵抗化並びに抵抗値のばらつき減少、及び高い光透過率を得ることができる。また、水素の量を制御することで、ITO膜の抵抗値及び光透過率を制御することができる。
【0042】液晶表示装置用の薄膜トランジスタの製造工程においては、ソース・ドレイン領域のポリシリコン層の水素化と同時にITO膜の結晶化を図ることができ、製造工程の削減ができる。また、アルミニウム配線層の断線不良を減少させることができる。更に、水素ガスの還元作用によりポリシリコン層とITO膜のコンタクトが良好になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のITO膜の形成方法の工程を説明するための、薄膜トランジスタの模式的な一部断面図である。
【図2】図1に続く工程を説明するための、薄膜トランジスタの模式的な一部断面図である。
【図3】ITO膜の形成方法の比較例を説明するための、薄膜トランジスタの模式的な一部断面図である。
【図4】本発明の方法で形成された試料及び比較試料のITO膜のシート抵抗値のばらつきを示す図である。
【図5】本発明の液晶表示装置の製造方法によって製造された液晶表示装置の一部断面図である。
【符号の説明】
10 絶縁基板
12 ポリシリコン層
14 ゲート電極領域
16 アルミニウム配線層
18 第1の層間絶縁層
20 第2の層間絶縁層
22 開口部
24 クラック
30 ITO膜
32 p−SiN膜
40 一方の基板
42 TFT
44 画素電極
50 他方の基板
52 絶縁基板
54 対向電極
48,58 偏光板
60 液晶層

【特許請求の範囲】
【請求項1】スパッタリング法によって成膜されたITO膜上に水素を含有する膜を形成した後、熱処理することを特徴とするITO膜の形成方法。
【請求項2】スパッタリング法によって成膜されたITO膜を水素ガス雰囲気中で熱処理することを特徴とするITO膜の形成方法。
【請求項3】マトリックス状に配列された薄膜トランジスタ、及び該薄膜トランジスタに接続された画素電極が絶縁基板上に形成された一方の基板と、対向電極を有し該一方の基板と対向して配置された他方の基板と、これらの基板に挟持された液晶層とを備えた液晶表示装置の製造方法であって、薄膜トランジスタが形成された前記絶縁基板上に、スパッタリング法によってITO膜を成膜した後、ITO膜をパターニングし、次いで、このITO膜上に水素を含有する膜を形成した後、熱処理を行うことによって画素電極を形成することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平5−242745
【公開日】平成5年(1993)9月21日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−75832
【出願日】平成4年(1992)2月28日
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)