説明

LCDバックライト式ディスプレイのための光源

【課題】異なる色のLEDを複数使用した場合の経時劣化の差異の影響をなくし、さらに、光源からの投射光のライトパイプ内での全内反射の確保を可能にし、光変換効率の低下を回避したLCDバックライトディスプレイを提供する。
【解決手段】光源、ライトパイプ73及び光変換層60を備えている。光源は、アレイ状に配列されたそれぞれが励起波長を有する光を発する複数のLEDダイ71を含み、円錐状の角度内に光を発する。また光源は、LEDダイからの光をライトパイプの縁面へと反射する第1のリフレクタ72を備えており、そのサイズ及び断面形状が、ライトパイプの上面又は底面により最初に反射される光の全てが臨界角より大きい角度で反射されるよう選択されている。ライトパイプ73は、縁面を通る円錐状の角度内の光を受光し、所定の円錐状の角度内の光が上面から全反射されるように位置決めされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCDバックライト式ディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)は、広範なコンピュータやTV等の民生装置で使用されている。バックライト式LCDは、各ピクセルが、その背面側に配設された光源からの光を通過させ又は遮断するシャッターとして働く、ピクセルアレイである。カラーディスプレイは、各ピクセルが特定の色の光を透過させ又は遮断するように各ピクセルにカラーフィルタを配設することにより実施される。各ピクセルからの光の強度は、該ピクセルが透過状態になっている時間により設定される。
【0003】
該ディスプレイは、一般に、該ディスプレイの背面にわたり一様な強度の光を提供する白色光源により照明される。蛍光ベースの光源は特に魅力的なものである。これは、かかる光源の単位時間当たりの消費電力に対する光出力が高いからである。しかし、かかる光源は高い駆動電圧を必要とするものであり、このためバッテリーで動作する装置にとってはあまり魅力的なものでなくなる。
【0004】
携帯電話及びPDAといったハンドヘルド装置で使用するためのLCDディスプレイは極めて薄いものでなければならない。これは、かかるディスプレイが装置の厚さの大部分を占めるものであるからである。蛍光ベースの光源は、かかる薄いディスプレイにはあまり適さないものである。LCDアレイ用のバックライト照明システムは、LCDアレイの裏側に何らかの形態の光ボックス又はライトパイプを一般に使用する。光は、該光ボックスの周囲で該光ボックス内へと注入される。該光ボックスの表面のうち、LCDアレイに隣接する表面と反対側の表面は、LCDの背面が一様に照明されるよう光を散乱させるための何らかの形態の散乱カバーを有している。好適な光源は、白色光を生成する直線状の光源である。該直線状の光源をライトパイプの縁部と整列させる。該ライトパイプ内への光の効率の良い結合を提供するために、該直線状の光源は、ライトパイプの厚さよりも大幅に小さな厚さを有していなければならない。
【0005】
光源の厚さは、光ボックスの厚さにより制限される。ラップトップコンピュータや光検出器アレイ及び携帯電話等のハンドヘルド装置で使用するためのディスプレイでは、ディスプレイの厚さは特に重要である。これは、ディスプレイの厚さによって装置の全体的な厚さが制限されるからである。かかる携帯型装置によっては、10mm未満の厚さの光ボックスを必要とするものがある。光ボックスの厚さが小さくなるにつれて、蛍光ベースの解決策を実施して高い電力変換効率を維持するのが一層困難となる。
【0006】
その結果として、かかる用途にLEDベースの光源を使用することに、かなりの関心が集まっている。LEDは、同様の電気的な効率と長寿命を有するものである。さらに、必要となる駆動電圧は殆どの携帯型装置で利用可能なバッテリー電力で得られるものである。さらに、LED光源における発光手段のサイズは1mmよりも遙かに小さなものである。このため、複数のLEDから構成された直線状の光源は、上述した薄いライトパイプが結合対象であっても高い結合効率を提供することができるものとなる。
【0007】
ディスプレイは、一般に白色光源によりバックライトが提供されるLCDパネルから構成される。該パネルはピクセルアレイを含み、その各ピクセルは前記バックライトからの光を透過させ又は遮断するLCD光ゲートを含む。各ピクセルは、生成されたイメージ中の特定のポイントに現れる特定の色の光に対応するものである。このため、各ピクセルは、バックライトにより生成される白色光から特定の色の光を選択するバンドパスフィルタを含む。一般に3色すなわち赤、青、及び緑が使用される。このため、N個のイメージポイントを有するイメージは、3N個のピクセルを必要とする。
【0008】
画面を見ている人が知覚する各ピクセルにおける光の強度は、シャッターを通過する光の強度を変更するのではなく、該シャッターが開放している時間によって決まる。ディスプレイ上に表示されている動画について考察する。動画は、順次に投影される一連のフレームから構成される。各フレームが表示される時間が非常に短いため、眼は、該時間にわたる各ピクセルからの平均光強度を知覚することしかできない。このため、ピクセルが開放している時間にわたって各ピクセルから出る光の強度が同じ場合であっても、隣のピクセルの2倍の時間にわたって開放したピクセルは2倍明るく見える。
【0009】
かかるディスプレイを照明するためのLED光源は一般に3色のLEDから構成される。それらLEDの相対的な強度は、上述した強度の仕組みを利用したLCDパネルのための光源内の各LEDを通る駆動電流を調節することにより調節される。該光源は一般に、ライトパイプの縁部と平行な線に沿って赤、青、及び緑のLEDを交互に配置して直線状の白色光源をシミュレートすることにより構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
残念なことに、LEDは、経時劣化という問題を有するものである。LEDが経時劣化すると、該LEDを通る駆動電流を増やして該LEDの経時劣化を補償しなければならない。経時劣化の影響は、異なる色のLED毎に異なり、ディスプレイの知覚される色は、駆動電流を変更しない限り、時間の経過と共に変化することになる。ある種の光源では、色帯域の各々における光強度は、それらに対応する一組のフォトダイオードによって測定される。次いで、該光源についての所望の知覚される色に対応する一組の所定の値に該フォトダイオードの出力を維持するように、駆動条件が調節される。この方法は、特定のタイプのLEDの全てが同じ割合で経時劣化すること、及び所与のタイプのLEDが連続的に駆動されることを仮定したものである。しかし、この推定を行う場合であっても、その監視動作に関連する追加の回路及び検出器はディスプレイのコストの大きな要因となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、光源、ライトパイプ、及び光変換層を有する装置を含む。該光源は、アレイ状に配列された複数のLEDダイを含む。その各LEDは励起波長を有する光を発し、該光源は円錐状の角度内に光を発する。前記ライトパイプは、上面、底面、及び縁面を有する透光性材料層を含む。該ライトパイプは、前記縁面を通る円錐状の角度内の光を受光し、所定の円錐状の角度内の光が前記上面から全反射されるように位置決めされる。該ライトパイプはまた、前記円錐状の角度内の光のうちの一部を所定の角度で方向転換させて、該方向転換された光の一部が前記上面を通って出るようにする機構を有している。前記光変換層は、前記上面上を覆い、励起波長の光を該励起波長とは異なる波長を有する出力スペクトル内の光へと変換する。一実施形態では、前記ダイは直線アレイ状に配列される。一実施形態では、光変換層は、透光性媒体内に懸濁した燐光性の化合物の粒子を含む。一実施形態では、該粒子は、前記励起波長よりも小さい最大断面寸法を有する。一実施形態では、前記光変換層は、透光性媒体内に溶解した可溶性の燐光性の化合物を含む。一実施形態では、励起光の一部が前記光変換層から出る。一実施形態では、本装置はまた前記光変換層上を覆うディスプレイ層を含み、該ディスプレイ層が該光変換層を出る光によって照明される。一実施形態では、該ディスプレイ層はLCDディスプレイパネルを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来技術による光源10の平面図である。
【図2】図1に示すライン2-2を通る従来技術による光源10の断面図である。
【図3】燐光体変換型LEDから構成された光源の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による光源の部分断面図である。
【図5】図4に示す光源70の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明がその利点を提供する態様は、LCDディスプレイ16を照明するための従来技術による光ボックスの構成を示した図1及び図2を参照すると一層容易に理解することができる。図1は光源10の平面図であり、図2は図1に示すライン2-2を通る光源10の断面図である。光源10は、LED11のアレイを用いてライトパイプ12を照明する。該LEDは、回路基板13上に取り付けられ、該回路基板13が、該LEDに電力を供給する第2の基板15上に取り付けられる。該LEDは、各LEDの上部からレンズ24を介して出る光がライトパイプ12の端部23を照明するように配置される。表面21に対して臨界角未満の角度でライトパイプ12に入る光は、表面17上の粒子22により吸収され又は散乱されるまで、ライトパイプ12内で前後に反射される。臨界角よりも大きな角度で表面21に当たった散乱光は、ライトパイプから脱出してLCDディスプレイ16の裏面を照明する。
【0014】
ライトパイプ内の光のスペクトル内容は、符号18で示すフォトダイオードのアレイによってサンプリングされる。該アレイ中の各フォトダイオードは、該フォトダイオードに達する光を所定の波長帯域内の光に制限する波長フィルタを含む。既述のように、フォトダイオードからの出力がフィードバックコントローラにより使用されてLEDの電流又はデューティサイクルが調整される。
【0015】
経時劣化の差異に関する問題を回避すべく提案された1つの方法では、燐光体変換型LEDを使用して赤、青、及び緑のLEDを構成する。ここで図3を参照する。同図は、燐光体変換型LEDから構成された従来技術による光源の断面図である。燐光体変換型LED30は、基板32上のウェル33内に取り付けられたLED31を含む。該ウェルの壁は典型的には、該LEDの側部を出る光を収集して該光を前方へ方向転換させるよう光を反射するものである。LED31からの光は、適当な色の光を発する燐光体層34を照明するために使用される。例えば、UV発光LEDを使用して、赤色光を発する燐光体層を照明することができる。燐光体を変更することにより、同じタイプのLEDを使用して他の色の光を生成することができる。全てのLED光源が同じタイプのUV発光LEDを用いる場合には、上述した経時劣化の差異に関する問題が実質的に解消される。これは、各LEDが照明する特定の燐光体層にかかわらず全てのLEDが同じ割合で経時劣化することになるからである。
【0016】
かかる構成は上述の経時劣化の問題を低減させるものではあるが、図3に示す設計は、別の問題を生じさせるものである。第1に、光源の見かけ上の大きさが、LEDの表面上の発光領域の面積ではなく、LEDによって照明される燐光体の面積によって決まる。その結果として、光源のサイズがLED上の発光領域よりも大幅に大きくなる。
【0017】
さらに、燐光体層は全方向に光を発する。LEDに向かって後方に発せされる光は、ウェル33の側部から前方へ反射される。このため、光源の見かけ上のサイズがさらに大きくなる。これは、反射壁により生成される燐光体層の事実上のイメージのために、光源が多層光源であるように見えるからである。
【0018】
光源の物理的なサイズが大きくなるほど、LEDからの光の全てを正しい角度範囲内でライトパイプ内に投影して該ライトパイプの両側からの投射光の全内反射を確保するのが困難となる。その注入効率の低下により、全体的な電力→光変換効率が低下し、このため、高出力LEDが必要となる。
【0019】
さらに、燐光体変換層は、LEDからの光の一部しか所望の色に変換しない。LED光は、燐光体の所望のスペクトル線を励起することに加えて、所望のスペクトル領域外にあるスペクトル領域内の発光に通ずる他の吸収プロセスも励起する。これらの非生産的な吸収事象は、燐光体の全体的な光変換効率を低下させるものである。
【0020】
燐光体層は典型的には、エポキシ等の透明のマトリックス内の燐光体の分散粒子により構成される。該マトリックスは、LEDからの光の一部を吸収する。さらに、燐光体粒子がLEDからの光の一部を所望の波長に変換せずに吸収する。さらに、該燐光体粒子は、ライトパイプ内へと向いていない角度でLED光の一部を散乱させる。最後に、燐光体層が薄い場合には、LED光の一部が変換されずに脱出して損失する。入射光の全てを吸収するよう燐光体層が十分な厚さを有する場合には、非生産的な吸収プロセスによる損失及び散乱が増大する。
【0021】
ここで図4を参照する。同図は、本発明の一実施形態による光源の部分断面図である。図4に示す実施形態では、光源70がLCDパネル50を照明する。光源70は、光変換層60を照明しひいてはLCDパネル50を照明するための光混合ボックスを形成するライトパイプ73に接着された直線状のUV光源80を含む。光源70は、屈折率整合化合物が充填された領域77によりライトパイプ73に接続される。
【0022】
光源70は、図の平面と直交する方向に沿って直線状のアレイに配列された、複数のUV発光LEDを含む。典型的なLEDが符号71で示されている。LED71を垂直方向に出た光は、リフレクタ72によってライトパイプ73内へと反射される。該リフレクタ72のサイズ及び断面形状は、LED71を出る、最初にライトパイプ73の上面74又は底面75により反射される光の実質的に全てが臨界角θCよりも大きな角度で反射されるよう選定される。さらに、ダイが取り付けられる基板89の上面は、光の収集を一層改善すべく、反射被覆を含むことも可能である。このため、その光はライトパイプ73の底面75に向かって全内反射されることになる。光は、底面75に当たると、臨界角よりも大きな角度で反射され、又は底面75上の散乱中心78により散乱されることになる。反射された光は、上面74により再び全反射されて、底面75へと方向転換される。θC未満の角度で上面74に当たるよう散乱された光は、ライトパイプを出て光変換層60の底面を照明することになる。θCよりも大きな角度で散乱された光は、ライトパイプ内に捕捉され続けることになる。
【0023】
光変換層60は、UV光を所望の色スペクトルの光へと変換する多数の燐光体を含む。この例示的な実施形態では、燐光体は、既知の照明レベルで赤、青、及び緑のスペクトル領域内の光を提供するよう選定される。LCDパネルは、適当なスペクトル範囲の光を選択するフィルタを各ピクセルに含む。光変換層60により変換されないUV光は全て、リフレクタ61によってライトパイプ73内へ反射され、該リフレクタ61は、UV波長の光を反射する一方、燐光体のスペクトル領域に対応する可視領域内の光を透過させるものである。該リフレクタ61により反射された光は光変換層60を2回通過し、このため、その光の大部分が該光変換層60により変換される。残りの光は、ライトパイプ73に入り、該ライトパイプ73の表面により再び反射され、最終的に光変換層60内に吸収され又は再び反射されることになる。
【0024】
かかるリフレクタは、レーザ内でミラーとして使用される垂直発光半導体層(vertically emitting semiconductor layer)の分野で知られたものであり、本書では詳細に説明しないこととする。本説明の目的上は、該リフレクタが複数の透光性材料層から構成され、その隣接する層が互いに異なる屈折率及び厚さを有しており、該屈折率及び厚さが、該複数の透光性材料層を結合させた積層体が対象となる波長において可干渉性リフレクタを形成するように選定されている、と記載すれば十分である。リフレクタ61が随意選択的なものであることにも留意されたい。
【0025】
散乱中心78により散乱された光の一部は、該光が底面75を通って脱出することを可能にする角度で上面74から離れる方向に向けられる。かかる光の損失を防止するために、ライトパイプ73の底面を反射性材料により被覆すること、又は別個のリフレクタ79をライトパイプ73の下に配設することができる。
【0026】
ライトパイプに到達する光の量は、反射面を有する基板89を使用することによりさらに増大させることができる。ダイ71を出る光の一部は該基板に当たるよう反射されることになる。該基板の表面が反射性を有する場合には、その光がライトパイプ中へと向けられ、これにより光収集効率が向上する。
【0027】
光変換層60は、典型的には1つ又は2つ以上の燐光体を含む。特定の燐光体の選択及びその個々の濃度は、光源により照明される対象物によって決まることになる。LCDディスプレイの場合には、赤、青、及び緑の燐光体が好ましい。LCDパネルは、対応するシャッターが開放する時間を調節することにより、燐光体の相対的な濃度の誤差を補正することができる、ということに留意されたい。このため、赤の濃度は10%低かった場合には、LCDパネルは、全ての赤ピクセルのシャッターを10%長く開放させることによりこの誤差を補正することができる。さらに、LCDディスプレイの場合には、比較的狭い出力スペクトル帯域を使用することができる。
【0028】
一方、広範囲の色を有する光景又はポジを排除するために光源を使用する場合には、遙かに幅広いスペクトル範囲を提供するよう燐光体を選択しなければならない。この状況では、特定の色温度の白熱光源のスペクトル出力を複製する光源が好ましい。
【0029】
一実施形態では、光変換層60は、適当な燐光体を透明なエポキシ樹脂内に混合し、次いで従来の回転成形技術を使用して前記混合体でライトパイプ73の表面を被覆して薄い一様な層を提供することにより、構成される。UV硬化性エポキシコーティングを使用することにより、回転成形による所望の厚さの層の生成後における該層の高速の硬化を提供することが可能である。
【0030】
光変換層はまた、燐光体をそれぞれ提供する複数の副層から構成することが可能である。この場合、該副層の各々は、その最上層を除き、UV光の少なくとも一部が該層を通過して該層の上方に位置する層内の燐光体のための励起用照明を提供することを可能としなければならない。
【0031】
光変換層はまた、予め形成し次いでライトパイプの表面に接着することが可能である。多数の副層を有する光変換層の場合、個々の副層はそれぞれ別個に接着することができる。かかる予め作製された燐光体層は、設計者が光源のアセンブル時に複数の特定の燐光体を組み合わせて適合させることを可能とし、この際に伴う追加の機器又は作製上の専門知識は極めて小さなものである。
【0032】
上述のように、燐光体粒子からの散乱は、光変換層の光変換効率を低下させる傾向を有するものである。一実施形態では、光変換層で使用される燐光体粒子は、UV光の波長と比べて一層小さいサイズを有するよう選択される。このサイズ範囲内の粒子は、大幅に少ない散乱を生じさせるものである。この領域の粒子サイズを有する燐光体は、量子ドット燐光体の分野では周知のものである。さらに、ナノ粒子又はミクロン範囲の粒子を有する従来の燐光体は、当業界で既知のものである。
【0033】
さらに、上述の散乱の問題を被ることのない可溶性有機燐光体が存在する。かかる燐光体をLED光源の光変換層に使用することが同時係属中の出願第11/025,450号で詳細に説明されている。光変換層を別個に合成してライトパイプに接着することができるため、かかる有機燐光体が呈する材料の適合性や温度の制約に関する問題は本発明による光源では大幅に低減される。
【0034】
ここで図5を参照する。同図は、図4に示す光源70の分解斜視図である。上述したように、個々のUV LED71は、直線状のアレイとして配列される。リフレクタ72と基板89との間の領域に透明媒体52が充填されてダイが保護される。図4及び図5に示す実施形態では、LEDの電力は2つのトレース55,56から供給される。該トレースは基板89の一部である。この実施形態では、個々のダイは、該大の底部の接点を介してワイヤボンドによりトレース56に接続され、該ダイは並列に接続される。しかし、他の接続機構を使用した実施形態を用いることも可能である。別の実施形態では、各ダイが同じ電流を受容するように該ダイが直列に接続される。
【0035】
本発明の上記の実施形態は、UV LEDを使用して燐光体層を照明した。しかし、他の波長の励起用照明を用いた実施形態を構成することも可能である。例えば、青色光を一層長い波長に変換する燐光体が多数存在する。この場合には、光変換層によって変換されない励起用光の一部が、光源からの照明の一部を形成する。例えば、白色光源は、青色光の一部を赤色光及び緑色光へと変換する光変換層を青色LEDを使用して照明することにより構成することが可能である。かかる光源では、図4に符号61で示す随意選択のリフレクタを省略することができる。最終的なスペクトルで用いられる励起用光の量は、一般に、特定の用途及び設計によって決まる。一実施形態では、励起用光のうち少なくとも10%の光が変換されずに燐光体層を出る。
【0036】
上記説明及び添付図面より、本発明に対する様々な修正が当業者には自明となろう。したがって、本発明は、特許請求の範囲によってのみ制限されるべきものである。
【0037】
以下に、本発明の好ましい態様を記載する。
1.アレイ状に配列された複数のLEDダイ(71)を含む光源であって、各LEDが励起波長を有する光を発し、該光源が円錐状の角度内に光を発する、光源と、
上面、底面、及び縁面を有する透光性材料層を含むライトパイプ(73)であって、前記縁面を通る円錐状の角度内の光を受光し、及び前記所定の円錐状の角度内の前記光が前記上面から全反射されるように、位置決めされており、前記円錐状の角度内の前記光の一部を所定の角度で方向転換させて、該方向転換された光の一部が前記上面を通って出るようにする機構を含む、ライトパイプ(73)と、
前記上面上を覆う光変換層(60)であって、前記励起波長の光を該励起波長とは異なる波長を有する出力スペクトルの光へと変換する、光変換層(60)と
を含む装置。
2.前記ダイ(71)が直線状のアレイに配列されている、上記項目1に記載の装置。
3.前記光変換層(60)が、透光性媒体中に懸濁した燐光性の化合物の粒子を含む、上記項目1に記載の装置。
4.前記粒子が前記励起波長よりも小さい最大断面寸法を有する、上記項目3に記載の装置。
5.前記励起波長の光を前記ライトパイプ(73)内へ反射する一方で前記光変換層を出る他の波長の光を透過させるリフレクタ(61)を更に含み、該リフレクタ(61)が前記光変換層(60)上に位置している、上記項目1に記載の装置。
6.前記底面の下に位置するリフレクタ(79)を更に含み、該リフレクタ(79)が前記励起波長の光と前記出力スペクトル内の波長を有する光を反射する、上記項目1に記載の装置。
7.前記光変換層(60)が、透光性媒体中に溶解した可溶性の燐光性の化合物を含む、上記項目1に記載の装置。
8.前記励起波長が490nm未満である、上記項目1に記載の装置。
9.前記励起波長が200〜485nmである、上記項目1に記載の装置。
10.前記励起光の一部が前記光変換層(60)を出て、該励起光の一部が該光変換層(60)に入る前記励起波長の光の10%よりも多い、上記項目9に記載の装置。
11.前記光変換層(60)上に位置するディスプレイ層(50)を更に含み、該ディスプレイ層(50)が前記光変換層(60)から出る光によって照明される、上記項目1に記載の装置。
12.前記ディスプレイ層(50)が透明なものからなる、上記項目11に記載の装置。
13.前記出力スペクトルが人間の観察者によって白色光として知覚されるものである、上記項目12に記載の装置。
14.前記ディスプレイ層(50)がLCDディスプレイを含み、前記出力スペクトルが赤色、青色、及び緑色の光を含む、上記項目11に記載の装置。
15.表面を照明するための方法であって、
上面、底面、及び縁面を有する透光性材料層を含むライトパイプ(73)の前記縁面を照明し、該縁面が、円錐状の角度内で励起波長の光を受光し、該円錐状の角度内の該光が前記上面から全反射されるようになっており、
前記上面から反射された前記光の一部を該上面を通って出るよう方向転換させ、
前記上面を出る前記光の一部を前記励起波長とは異なる波長を有する出力スペクトル内の光に変換し、
前記出力スペクトル内の前記光が前記表面を照明するよう該表面を位置決めする、
という各ステップを含む、表面を照明するための方法。
16.前記励起波長の前記光を直線状のアレイに配列された複数のLEDから生成する、上記項目15に記載の方法。
17.照明すべき前記表面に到達することになる前記励起波長の光をその到達前に前記ライトパイプ(73)内へ反射させると共に、前記出力スペクトル内の前記光が前記照明すべき表面に到達することを可能にするステップを更に含む、上記項目15に記載の方法。
18.前記励起波長の前記光が、前記ライトパイプ(73)上に位置する燐光体層を照明することにより前記出力スペクトル内の光へと変換される、上記項目15に記載の方法。
19.前記ライトパイプ(73)の前記底面を出る光を該ライトパイプ(73)内へ反射させるステップを含む、上記項目15に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、底面及び縁面を有する透光性材料層を含むライトパイプであって、前記縁面を通る円錐状の角度内の光を受光し、前記所定の円錐状の角度内の光が前記上面から全反射されるように位置決めされており、前記円錐状の角度内の光の一部を所定の角度で方向転換させて該方向転換された光の一部が前記上面を通って出るようにする機構を含む、ライトパイプと、
前記ライトパイプと同一平面上にある基板上にアレイ状に配列された複数のLEDダイを含む光源であって、各LEDが励起波長を有する光を発し、該光源が円錐状の角度内に光を発し、前記複数のLEDダイに隣接して設けられ且つ前記LEDダイからの光を前記ライトパイプの前記縁面へと反射する第1のリフレクタをさらに備えており、当該第1のリフレクタのサイズ及び断面形状が、前記複数のLEDダイを出て前記ライトパイプの上面又は底面により最初に反射される光の全てが全内反射の臨界角より大きい角度で反射されるように選択されている、光源と、
前記光源と前記ライトパイプの縁面との間に設けられた屈折率整合化合物と、
前記上面上を覆う光変換層であって、前記励起波長の光を該励起波長とは異なる波長を有する出力スペクトルの光へと変換する、光変換層と
を含む、装置。
【請求項2】
基板上にアレイ状に配列された複数のLEDダイを含む光源であって、各LEDが励起波長を有する光を発し、前記複数のLEDダイより上方に配置され且つ円錐状の角度内に光を反射する第1のリフレクタをさらに含む、光源と、
上面、底面、及び縁面を有する透光性材料層を含み、前記光源と同一平面上にあるライトパイプであって、前記縁面を通る円錐状の角度内の光を受光し、及び前記所定の円錐状の角度内の前記光が前記上面から全反射されるように、位置決めされており、前記円錐状の角度内の前記光の一部を所定の角度で方向転換させて、該方向転換された光の一部が前記上面を通って出るようにする機構を含む、ライトパイプと、
前記光源と前記ライトパイプの縁面との間に設けられた屈折率整合化合物と、
前記上面上を覆う光変換層であって、前記励起波長の光を該励起波長とは異なる波長を有する出力スペクトルの光へと変換する、光変換層と
を含む、装置であって、
当該第1のリフレクタのサイズ及び断面形状が、前記複数のLEDダイを出て前記ライトパイプの上面又は底面により最初に反射される光の全てが全内反射の臨界角より大きい角度で反射されるように選択されている、装置。
【請求項3】
アレイ状に配列され且つそれぞれが励起波長を有する光を発する複数のLEDダイを備え、前記複数のLEDダイより上方に配置され且つ円錐状の角度内に光を反射する第1のリフレクタを備えている光源と、
上面、底面、及び縁面を有する透光性材料層を含むライトパイプであって、前記縁面を通る円錐状の角度内の光を受光し、前記所定の円錐状の角度内の前記光が前記上面から全反射されるように位置決めされており、前記円錐状の角度内の前記光の一部を所定の角度で方向転換させて、該方向転換された光の一部が前記上面を通って出るようにする機構を含む、ライトパイプと、
前記上面上を覆う光変換層であって、前記励起波長の光を該励起波長とは異なる波長を有する出力スペクトルの光へと変換し、前記励起波長の光の一部が前記光変換層を出て、当該一部が、前記光変換層に入る励起波長の光の10%よりも多い、光変換層と
を含み、
前記ディスプレイ層が透明なものからなり、
前記第1のリフレクタのサイズ及び断面形状が、前記複数のLEDダイを出て前記ライトパイプの上面又は底面により最初に反射される光の全てが臨界角より大きい角度で反射されるように選択されている、装置。
【請求項4】
前記光変換層によって変換されずに前記ライトパイプ内に戻された前記励起波長の光を反射させ、一方で、前記光変換層によって変換されて出て行く他の波長の光を通過させる、前記光変換層を覆う第2のリフレクタをさらに備えている、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記光変換層が、透明の媒体中に懸濁している燐光性の化合物の粒子を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記粒子が、前記励起波長より小さい断面最大径を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記励起波長が490nm未満である、請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記励起波長が200〜485nmである、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記出力スペクトルが人間の観察者によって白色光として知覚されるものである、請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記光変換層を覆うディスプレイ層をさらに含み、当該ディスプレイ層が、前記光変換層を出る光によって照明される、請求項1から9のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−48094(P2013−48094A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−194714(P2012−194714)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【分割の表示】特願2006−209407(P2006−209407)の分割
【原出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(500262038)台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司 (198)
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
【住所又は居所原語表記】8,Li−Hsin Rd.6,Hsinchu Science Park,Hsinchu,Taiwan 300−77,R.O.C.
【Fターム(参考)】