説明

LEDトンネル照明器具

【課題】小型、かつ、耐食性・放熱性に優れたLEDトンネル照明器具を提供する。
【解決手段】LED光源を内蔵し、前面を塞ぐ透明板13を有した器具本体11を備え、器具本体11の背面側に設けた固定脚8をトンネル2の壁面6や天井面9に固定し、器具本体11と壁面6や天井面9との間に隙間Dを設けて設置されるLEDトンネル照明器具1において、器具本体11の背面に設けた開口に、開口を閉塞し器具本体11と壁面6や天井面9の隙間Dに延出する放熱部材23を設け、LED光源を放熱部材23に直接、或いは、導熱性のユニット取付板を挟んで設ける構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源とするLEDトンネル照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルには複数の照明器具が配置されており、従来、トンネルの壁面に設けられる器具本体に、光源たるランプを内蔵し、器具本体の前面を塞ぐ透明板を通して路面を照明するトンネル照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−203302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、光源の長寿命化及びメンテナンス費用の削減等を図るために、ランプに代えてLEDを光源としたものが実用されている。
しかしながら、LEDは温度が高くなるほど寿命が短くなるため、光源にLEDを用いる場合には、該LEDの放熱対策が重要となる。したがって、十分な放熱性が得られるように、器具本体を例えば熱伝導性の良いアルミニウムで形成することが考えられるが、アルミニウムは、トンネル内の漏水(温泉成分を含む水等)やトンネル外の車道に散布される融雪剤の付着等により腐食されやすい。また、放熱性を向上させるため、器具本体内に比較的大きな放熱フィンを設けることが考えられるが、器具本体をトンネルの建築限界より大きくすることはできない。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、小型、かつ、耐食性・放熱性に優れたLEDトンネル照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、LED光源を内蔵し、前面を塞ぐ透明板を有した器具本体を備え、前記器具本体の背面側に設けた固定脚をトンネルの壁面や天井面に固定し、前記器具本体と壁面や天井面との間に隙間を設けて設置されるLEDトンネル照明器具において、前記器具本体の背面に設けた開口に、当該開口を閉塞し前記器具本体と壁面や天井面との隙間に延出する放熱部材を設け、前記LED光源を放熱部材に直接、或いは、導熱性のユニット取付板を挟んで設けたことを特徴とする。
【0006】
また、上記構成において、前記放熱部材には、前記器具本体と壁面や天井面との隙間に延出する部位に、上下に延びる溝を設けて複数の放熱フィンを形成してもよい。
また、上記構成において、前記LED光源が設けられたユニット取付板を、前記放熱部材に対し着脱自在に構成してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、器具本体の背面に設けた開口に、開口を閉塞し器具本体と壁面や天井面との隙間に延出する放熱部材を設け、LED光源を放熱部材に直接、或いは、導熱性のユニット取付板を挟んで設けたため、例えば、放熱部材だけをアルミニウム製にすることで、小型、かつ、放熱性・耐食性に優れたLEDトンネル照明器具を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係るLEDトンネル照明器具が設置されたトンネルを示す図であり、(A)はトンネルの構成を模式的に示す断面図であり、(B)は(A)に示すLEDトンネル照明器具の取り付け状態を拡大して示す図である。
【図2】トンネル内でのLEDトンネル照明器具の配列を示す上面図である。
【図3】LEDトンネル照明器具の構成を示す正面図である。
【図4】図3のIV−IV断面を示す図である。
【図5】図3のV−V断面を示す図である。
【図6】LEDトンネル照明器具を背面側から示す斜視図である。
【図7】ユニット取付板の支持構造を示す図であり、(A)はLEDトンネル照明器具を示す断面図であり、(B)は(A)のX矢視図である。
【図8】本発明の変形例に係るLEDトンネル照明器具の構成を示す正面図である。
【図9】図8のIX−IX断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施の形態に係るLEDトンネル照明器具が設置されたトンネルを示す図であり、図1(A)はトンネルの構成を模式的に示す断面図であり、図1(B)は図1(A)に示すLEDトンネル照明器具の取り付け状態を拡大して示す図である。図2は、トンネル内でのLEDトンネル照明器具の配列を示す上面図である。
図1に示すように、LEDトンネル照明器具1が設置されたトンネル2は、底面(路面)に幅員が例えば約7mの車道3を備え、中央の中央線4(図2参照)によって、対向2車線の車線5に区画されている。このトンネル2の壁面6及び天井面9は、コンクリートにより覆われている。
【0010】
図1及び図2に示すように、LEDトンネル照明器具1は、路面から取付高さHの位置に、トンネル2の中心線Cに対して左右の両壁面6A、6Bのそれぞれに設置されており、LEDトンネル照明器具1を車道3の縦断方向(交通方向)に沿って取付間隔(スパン)Sで千鳥状に設置した、いわゆる千鳥配列、或いは、向き合せで設置した、いわゆる向き合せ配列とされている(図示例は千鳥配列)。各LEDトンネル照明器具1は、建築限界7より壁面6側に、壁面6に固定した複数本(例えば、2本)の固定脚8に、壁面6との間に隙間Dを空けて支持されている。なお、例えば、設計路面輝度2.3cd/m2の時、取付高さHは約5m、取付間隔Sは約11.5mに設定される。
【0011】
図3は、LEDトンネル照明器具1の構成を示す図である。また、図4は図3のIV−IV断面を示す図であり、図5は図3のV−V断面を示す図である。図6は、LEDトンネル照明器具1を背面側から示す斜視図である。
LEDトンネル照明器具1は、図3〜図6に示すように、筐体10を備える。筐体10は、前面が開口した器具本体11と、この器具本体11の前面に蝶番12により開閉自在に取り付けられた平面状の蓋体13とを備えて薄い箱型に構成されている。器具本体11は、例えばステンレス等の耐食性に優れた材料で形成されるとともに、プレス成形等により成形されている。これにより、トンネル2(図1)内の漏水(温泉成分を含む水等)やトンネル2外の車道に散布される融雪剤の付着等によって器具本体11が腐食することが防止される。
蓋体13は、例えばガラス材等の透明板から形成されている。これにより、器具本体11の前面にガラス窓が嵌め込まれた枠材を蓋体として用いる構成に比べ、前面全体に光を遮る箇所が生じないことから、器具本体11の前面開口全体が照射開口として機能し、照明効率が高められている。
【0012】
器具本体11の一辺には、蓋体13の縁に掛止して、当該蓋体13の開放を禁止する2つのフック14が取り付けられている。器具本体11には、蓋体13と接触する箇所(開口縁)に、防水用のゴムパッキン15が設けられ、内部への水等の浸入を防止する構成となっている。また、器具本体11の背面には、2本のフラットバー16が取り付けられており、これらのフラットバー16の両端部に、固定脚8(図1)に取り付けるための取付穴16aが設けられている。筐体10をトンネル2の壁面6(図1)に固定する際には、蓋体13を車道3(図1)側に向け、かつ、筐体10が交通方向とほぼ平行となるように壁にあてがい、取付穴16aの各々にボルト等で固定脚8に固定する。これらの蝶番12、フック14、及び取付穴16aも、例えばステンレス等の耐食性に優れた材料で形成されている。器具本体11は、前面開口(蓋体13)を反対側の路肩等に向けて取り付けられている。
【0013】
筐体10の内部には、所定個数(本実施の形態では15個)のLED20を列状に配列してなる複数本(本実施の形態では、8本)のLEDモジュール21と、これらのLEDモジュール21に電力を供給する複数(本実施の形態では、2つ)の電源装置22A,22Bと、ヒートシンク(放熱部材)23とが配置されている。各LEDモジュール21には、反射板24が設けられており、これらのLEDモジュール21及び反射板24は、LED光源装置(LED光源)25A〜25Hを構成している。
【0014】
以下、図3〜図5を参照し、LED光源装置25A〜25Hについて詳細に説明する。
LED光源装置25Aは、筐体10の中央部に交通方向と直交する方向(横断方向)に沿って配置されている。一対のLED光源装置25B,25Cは器具中心Oから見て片側にLED光源装置25Aと平行に配置され、一対のLED光源装置25B,25Cは他方の側にLED光源装置25Aと平行に配置されている。また、2本のLED光源装置25F,25Gは下側(路面側)に交通方向に沿って一列に配置され、LED光源装置25Hは上側(天井面9(図1)側)に交通方向に沿って配置されている。
【0015】
LED光源装置25A〜25Hは、器具本体11の上側に寄せて配置され、ヒートシンク23に対し着脱自在に設けられたユニット取付板(ユニット取付部)26に固定されている。中央のLED光源装置25Aは、その光が蓋体13の平面に垂直に入射するように設けられ、ユニット取付板26に直接取り付けられている。他のLED光源装置25B〜25Hは、それらの光が蓋体13の平面に対し斜めに入射するように設けられ、LED取付板27を介してユニット取付板26に取り付けられている。LED取付板27は、LED光源装置25B〜25Hを蓋体13に対して角度を付けて配置できるように、略く字状に形成されている。
【0016】
二対のLED光源装置25B,25C及びLED光源装置25D,25Eは、それぞれ同一方向に向けて配置されるのではなく、それぞれ交通方向に対向するように設けられている。より詳細には、一対のLED光源装置25B,25Cは、片側において、直線L1を中心に対称に配置されている。一対のLED光源装置25D,25Eは、他方の側において、直線L2を中心に対称に配置されている。それらLED光源装置25B〜25Eの取付角度θ1は等しく設定され、本実施の形態では、約60度に設定されている。
2本のLED光源装置25F,25GとLED光源装置25Hとは、横断方向に対向するように設けられている。なお、本実施の形態では、LED光源装置25F,25Gの取付角度θ2はLED光源装置25B〜25Eの取付角度θ1より小さく設定され、LED光源装置25Hの取付角度θ3はLED光源装置25F,25Gの取付角度θ2より小さく設定されている。
【0017】
反射板24は、LED20の光に対して所定の反射率を有する金属板(例えばアルミニウム板)を、LEDモジュール21を覆うカップ部30を有するように、プレス成形等により成形されて構成されている。カップ部30は、その内側面にてLED20の光を反射するものであり、LED20の配列方向に沿って形成された一対の平坦状の側面24aを備えている。
中央のLED光源装置25A以外のLED光源装置25B〜25Hの反射板24には、一方の側面24aの先端から、カップ部30を狭める方向に角度を変えて延出する延出面24bが形成されている。一対のLED光源装置25B,25Cはそれらの延出面24bが直線L1側に位置するように配置され、一対のLED光源装置25D,25Eはそれらの延出面24bが直線L2側に位置するように配置され、LED光源装置25F〜25Hはそれらの延出面24bが下側(路面側)に位置するように配置されている。
【0018】
LED光源装置25A〜25Hは、これらの光が隣接するLED光源装置25A〜25Hの反射板24によって遮られないような間隔で配置されている。特に、二対のLED光源装置25B,25C及びLED光源装置25D,25Eは、それぞれ隣接して対向配置されているため、隣接する反射板24によって影が生じないように、LED光源装置25BとLED光源装置25Cとの間、及び、LED光源装置25DとLED光源装置25Eとの間は、比較的広く空けられている。
一対のLED光源装置25B,25Cは、対向するLED光源装置25C,25Bの光のうち、蓋体13の内面で反射した光を路面に向けて反射する位置に配置されている。また、一対のLED光源装置25D,25Eは、対向するLED光源装置25E,25Dの光のうち、蓋体13の内面で反射した光を路面に向けて反射する位置に配置されている。
【0019】
このように、本実施の形態では、光源にLED光源装置25A〜25Hが用いられているため、光源にランプを用いた場合に比べ、光源を長寿命化できるとともに、光源を小型・軽量化できる。また、光源が複数本(8本)のLED光源装置25A〜25Hで構成されているため、光源を一のLED光源装置で構成する場合に比べ、配光の自由度が向上し、希望の配光パターンを容易に実現できる。
2本のLED光源装置25F,25GとLED光源装置25Hとは、それらの光が蓋体13の平面に対し斜めに入射するように設けられるとともに、横断方向に対向配置されているため、LED光源装置25F〜25Hからの光が交差し、横断方向において広い範囲に光を照射することができる。
【0020】
LED光源装置25Aは、その光が蓋体13の平面に垂直に入射するように設けられているため、器具本体11の正面を照射する。二対のLED光源装置25B,25C及びLED光源装置25D,25Eは、それらの光が蓋体13の平面に対し斜めに入射するように設けられるとともに、それぞれ交通方向に対向配置されているため、LED光源装置25B〜25Eからの光Kが交差し、交通方向遠方を照射する。これらのLED光源装置25A〜25Eによって、交通方向において広い範囲に光を照射することができるので、LEDトンネル照明器具1の配置間隔(スパン)をより広げることができる。
ここで、蓋体13の平面に入射する光の入射角度が大きくなるほど、すなわち、LED光源装置25B〜25Hの取付角度θ1〜θ3が大きくなるほど、蓋体13の内面で反射される光の量が多くなる。本実施の形態では、LED光源装置25B〜25Eの取付角度θ1が約60度に設定されているため、LEDトンネル照明器具1から放射される光の角度を交通方向の両側に約60度として照射範囲を広げつつ、蓋体13への入射角度が鋭角となり、蓋体13の内面で反射されて器具本体11内の散乱光として無効となってしまうことを抑えることができる。
【0021】
隣接するLED光源装置25B,25C及びLED光源装置25D,25Eがそれぞれ対向配置されることにより、例えば、隣接するLED光源装置25B,25Cが他方の側の交通方向遠方に向けて配置され、隣接するLED光源装置25D,25Eが片側の交通方向遠方に向けて配置される場合に比べ、隣接する反射板24による影が生じ難くなる。したがって、LED光源装置25B〜25Eをより近づけて配置できるので、LEDトンネル照明器具1を小型化できる。
【0022】
二対のLED光源装置25B,25C及びLED光源装置25D,25Eは、それぞれ直線L1,L2を中心に対称に対向配置されるとともに、対向相手から放射される光のうち、蓋体13の内面(裏面)で反射される裏面反射光を路面に向けて反射する位置に配置されているため、蓋体13の内面で反射された光も外部に放射されるので、照明効率を向上できる。片側に配置された一対のLED光源装置25B,25Cを例(図4)に説明すると、LED光源装置25Cから放射された光Kは、一部が蓋体13を透過して透過光K1となって外部に放射され、残りが蓋体13の内面で反射されて裏面反射光K2となる。裏面反射光K2は、対向するLED光源装置25Bの反射板24において反射されて、再び蓋体13に入射する入射光K3となる。入射光K3は、一部が蓋体13を透過して透過光K4となって外部に放射される。これにより、裏面反射光を路面に向けて反射する反射板を設けない場合に比べ、LEDトンネル照明器具1の光量を約3割増加させることができる。なお、入射光K3の残りは、蓋体13の内面で反射されて裏面反射光K5となり、この裏面反射光K5がLED光源装置25Aの反射板24にて蓋体13に向けて反射されて、外部に放射される。
【0023】
二対のLED光源装置25B,25C及びLED光源装置25D,25Eの反射板24は、交通方向遠方に向けて光を反射可能な側面24aと、交通方向近方に向けて光を反射可能な延出面24bとを備えているため、交通方向の光量を略均一にすることができる。また、LED光源装置25F〜25Hの反射板24は、横断方向遠方に向けて光を反射可能な側面24aと、天井面9(図1)側に向けて光を反射可能な延出面24bとを備えているため、天井面9を含む横断方向の光量を略均一にすることができる。このように、本実施の形態の反射板24は、裏面反射光を外部放射する機能と、配光パターンを形成する機能とを兼ね備えている。
また、本実施の形態では、LED光源装置25B〜25Hを共通化し、LED光源装置25A〜25Hの配置位置及び取付角度θ1〜θ3だけで配光パターンを形成している。すなわち、LED光源装置25Aは器具本体11正面の路面を照射し、LED光源装置25B〜25Eは路面の交通方向遠方を照射し、LED光源装置25F,25Gは器具本体11が配置された側と反対側の路肩や壁面6(図1)を照射し、LED光源装置25Hは器具本体11が配置された側の路肩や壁面6を照射する。このため、LED光源装置25B〜25Hのコストを低減できるとともに、製造や管理の手間を省くことができる。また、LED光源装置25F,25Gにより路肩や壁面6をむら無く照射しているので、路面輝度に対して1.5倍以上の壁面輝度を確保している。
【0024】
次に、図3を参照し、電源装置22A,22Bについて説明する。
ユニット取付板26の下部には、LED光源装置25A〜25Hを器具本体11の上側に寄せて配置したことで形成された空間Rに、商用電源からの電源線(不図示)を接続する端子台28が固定されている。端子台28は、図示しない電源ケーブルによって電源装置22A,22Bに接続されている。
電源装置22A,22Bは、横断方向に沿って配置され、器具本体11の両側面にそれぞれ固定されている。2つの電源装置22A,22は、複数本(8本)のLED光源装置25A〜25Hに供給する電力を分担している。例えば、片側に配置された電源装置22Aはこの電源装置22Aの近くに配置された4つのLED光源装置25A〜25C,25Gに電力を供給し、他方の側に配置された電源装置22Bは、残り4つのLED光源装置25D,25E,25G,25Hに電力を供給するように構成される。
【0025】
このように、2つの電源装置22A,22Bに複数本(8本)のLED光源装置25A〜25Hに供給する電力を分担させたため、電源装置22A,22Bのうち一の電力供給が停止しても、他の電力供給によってLED光源装置25A〜25Hの一部を点灯させることができる。したがって、LEDトンネル照明器具1を比較的広い配置間隔(スパン)で配置した場合においても、路面輝度は低下するものの電力供給の停止による暗領域を最小限に抑えることができる。
また、片側に配置された一対の対向するLED光源装置25B,25Cと、他方の側に配置された一対の対向するLED光源装置25D,25Eとが異なる電源装置22A,22Bに接続されているため、電源装置22A,22Bのうち一の電力供給が停止しても、他の電力供給によって一対を点灯できるので、路面輝度は低下するものの交通方向の照射範囲及び輝度分布をを維持したまま、路面を照明し続けることができる。
【0026】
次いで、図1及び図4を参照し、LEDトンネル照明器具1の放熱構造について説明する。
ユニット取付板26及びLED取付板27は、熱伝導性に優れたアルミニウム等の材料で形成されており、これらのユニット取付板26及びLED取付板27もヒートシンク23とともに放熱部材を構成している。
ヒートシンク23は、熱伝導性に優れたアルミダイカストあるいはアルミ鋳物として構成され、器具本体11の背面に設けた背面開口(開口)11aに設けられている。ヒートシンク23は、器具本体11内に配置される基部23aと、背面開口11aから器具本体11と壁面6との間の隙間Dに延出する延出部(部位)23bとを備えている。基部23aは、背面開口11aより大きく形成され、器具本体11内に配置されて器具本体11の背面に固定されており、背面開口11aを閉塞している。延出部23bには、上下に延びる溝23cが設けられて、複数枚(本実施の形態では、7枚)の放熱フィン23dが形成されている。ヒートシンク23の基部23aには、背面開口11aに対応して溝23eが一周にわたって形成されており、この溝23eにパッキン17を配置することで、ヒートシンク23と背面開口11aとの間にパッキン17が間挿され、器具本体11内部への水等の侵入が防止される。
【0027】
ところで、トンネル2内には、車両の通行やトンネル2内に設けられた換気用送風機によって、壁面6に沿って風が流れている。本実施の形態では、ヒートシンク23の延出部23bが器具本体11と壁面6の隙間Dに配置されているため、壁面6に沿って流れる風によって冷却されるので、LED光源装置25A〜25Hをより効果的に冷却できる。延出部23bは、器具本体11の外部に設けられているため、ヒートシンク23全体が器具本体内に収容される場合に比べ、器具本体11の厚みを薄くすることができる。また、延出部23bに溝23cを設けて複数の放熱フィン23dを形成したため、LED光源装置25A〜25Hの放熱性が高められ、LED光源装置25A〜25Hを長寿命化できる。溝23cは、上下に形成されているため、溝23cに塵埃や水等が溜まるのを防止でき、その結果、ヒートシンク23の腐食を抑制できるとともに、冷却効率を向上できる。
【0028】
ヒートシンク23は、放熱性に優れたアルミニウムを用いて形成されているため、トンネル2内の漏水やトンネル2外の車道に散布される融雪剤の付着等によって腐食するおそれがある。本実施の形態では、ユニット取付板26がヒートシンク23に対し着脱自在に設けられているため、例えば、ヒートシンク23の腐食が進み、ヒートシンク23を交換する必要が生じた場合にも、LEDトンネル照明器具1全体を交換する必要はなく、ユニット取付板26を取り外すことで、ヒートシンク23だけを交換することができる。また、ヒートシンク23の基部23aは、背面開口11aより大きく形成されるとともに、器具本体11内に配置されているので、ヒートシンク23が腐食して劣化しても、器具本体11内に留まる。
【0029】
以下、図3及び図7を参照し、ユニット取付板26の支持構造について説明する。
図7は、ユニット取付板26の支持構造を示す図であり、図7(A)はLEDトンネル照明器具1を示す断面図であり、図7(B)は図7(A)のX矢視図である。
ヒートシンク23の前面には、ユニット取付板26を係止するためのユニット取付ねじ29が複数取り付けられている。また、ヒートシンク23の片側の前面には、ユニット取付板26を固定するためのフック31が設けられている。
ユニット取付板26には、ユニット取付ねじ29に対応した位置に、ユニット取付ねじ29に係合する取付孔26aが形成されている。また、ユニット取付板26の片側の前面には、フック31に係合するクレセント32がクレセント取付金具33によって固定されている。これらフック31、クレセント32、及びクレセント取付金具33は、クレセント錠34を構成している。
【0030】
ところで、LED20の寿命は長く、また、LEDトンネル照明器具1を設置した後にその配光パターンを変更することは少ないが、LEDトンネル照明器具1を設置した後にその光量を変更する場合があり、この場合には、LED光源装置25A〜25Hを交換する必要がある。LED光源装置25A〜25Hを交換する際には、トンネル2(図1)内の交通が規制されることが多い。本実施の形態では、器具本体11に対し着脱自在に設けられたユニット取付板26に、複数のLED光源装置25A〜25Hを固定してユニット化したため、LED光源装置25A〜25Hを交換する際には、ユニット取付板26を交換するだけで良く、上述したようにLED光源装置25A〜25Hの配置位置や取付角度θ1〜θ3がそれぞれ異なっていても、LED光源装置25A〜25Hの配置を調整する手間を省くことができる。これにより、LED光源装置25A〜25Hを個別に交換する場合に比べ、LED光源装置25A〜25Hの交換時間を短縮でき、その結果、車線5を規制する時間を短縮できる。これに加え、端子台28もユニット取付板26に固定してユニット化したため、LED光源装置25A〜25Hの交換時に、端子台28を同時に交換できる。
【0031】
ユニット取付板26は、クレセント錠34で固定されているため、工具を使用することなく、ユニット取付板26を着脱できる。また。ユニット取付板26は、複数の取付ねじ29によって係止されているので、クレセント錠34を解錠する際に、作業者が手でユニット取付板26を押える必要がないので、ユニット取付板26の着脱の作業性を向上できる。さらに、ユニット取付板26に図示しない把手を設ければ、ユニット取付板26の着脱の作業性をより向上できる。このようにユニット取付板26を構成することで、メンテナンス性に優れたLEDトンネル照明器具1が実現され、車線5を規制する時間をより短縮できる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態によれば、器具本体11の背面に設けた背面開口11aに、背面開口11aを閉塞し器具本体11と壁面6の隙間Sに延出するヒートシンク23を設け、LED光源装置25A〜25Hをヒートシンク23に直接、或いは、導熱性のユニット取付板26を挟んで設ける構成とした。この構成により、アルミ製のヒートシンク23が壁面6に沿って流れる風によって冷却されるので、LED光源装置25A〜25Hをより効果的に冷却できる。また、例えば、ヒートシンク23だけをアルミニウム製にすることで、器具本体11の腐食を防止できる。さらに、ヒートシンク23が器具本体11の外部に延出するので、ヒートシンク全体が器具本体内に収容される場合に比べ、器具本体11の厚みを薄くすることができる。
【0033】
また、本実施の形態によれば、ヒートシンク23には、器具本体11と壁面6の隙間Dに延出する延出部23bに、上下に延びる溝23cを設けて複数の放熱フィン23dを形成する構成とした。ヒートシンク23に放熱フィン23dを形成したため、LED光源装置25A〜25Hの放熱性が高められる。また、溝23cが上下に形成されるため、溝23cに塵埃や水等が溜まるのを防止でき、その結果、ヒートシンク23の腐食を抑制できるとともに、冷却効率を向上できる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、LED光源装置25A〜25Hが設けられたユニット取付板26を、ヒートシンク23に対し着脱自在に構成した。この構成により、例えば、アルミニウム製のヒートシンク23の腐食が進み、ヒートシンク23を交換する必要が生じた場合には、器具本体11はそのままに、ユニット取付板26を取り外すことで、ヒートシンク23だけを交換することができる。
【0035】
但し、上記実施の形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、上記実施の形態では、8つのLED光源装置25A〜25Hを、横断方向に4つ、交通方向に3つ配置したが、LED光源装置の数、配置位置、及び取付角度は、希望の配光パターンに応じて適宜変更できる。例えば、設計速度が低く、比較的暗くても良いトンネル等(例えば、設計路面輝度0.75cd/m2の時、取付高さHは約5m、取付間隔Sは約20mの設定)には、図8及び図9に示すように、比較的少数(例えば、5つ)のLED光源装置25A〜25Eを配置するとともに、これらのLED光源装置25A〜25Eを1つの電源装置22に接続してもよい。この場合、1つのLED光源装置25Aを、蓋体13の平面に垂直に光を入射させて器具本体11の正面を照射するように配置し、一対のLED光源装置25B,25Cを、蓋体13の平面に対し斜めに光Kを入射させるとともに互いに光Kを交差させて交通方向の両側遠方を照射するように、交通方向に対向配置し、一対のLED光源装置25D,25Eを、蓋体13の平面に対し斜めに光を入射させるとともに互いに光を交差させて横断方向の両側遠方を照射するように、横断方向に対向配置することで、広い範囲に光を照射可能にすればよい。詳述すると、LED光源装置25Aはユニット取付板26に直接取付られており、LED光源装置25B〜25EはLED取付板27を介してユニット取付板26に取り付けられている。また、一対のLED光源装置25B,25Cは、器具本体11の中央を通る直線Lを中心に取付角度θ1で対称配置されるとともに、対向するLED光源装置25C,25Bの光Kのうち、蓋体13の内面で反射した裏面反射光K2を路面に向けて反射する位置に配置されている。このように、LED光源装置が着脱自在なユニット取付板26に固定されているため、ユニット取付板26を交換するだけで、LED光源装置の数、配置位置、及び取付角度を容易に変更でき、配光パターンの変更も容易に実現可能である。
【0036】
また、上記実施の形態では、反射板24のカップ部30は、平坦面状に形成されていたが、放物線の曲率を有する湾曲面状に形成されてもよい。
また、上記実施の形態では、LEDトンネル照明器具1をトンネル2内の両壁面6A,6Bに配置する両側配列について例示したが、これに限らず、LEDトンネル照明器具1をトンネル2内の両壁面6A,6Bの片側にのみ配置する片側配列としてもよい。
また、上記実施の形態では、ユニット取付板26をヒートシンク23に固定する固定具は、クレセント錠34として構成されていたが、これに限定されるものではなく、例えばパチン錠として構成されてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 LEDトンネル照明器具
2 トンネル
6 壁面
8 固定脚
11 器具本体
11a 背面開口(開口)
13 蓋体(透明板)
23 ヒートシンク(放熱部材)
23c 溝
23d 放熱フィン
25A〜25H LED光源装置(LED光源)
26 ユニット取付板
D 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED光源を内蔵し、前面を塞ぐ透明板を有した器具本体を備え、前記器具本体の背面側に設けた固定脚をトンネルの壁面や天井面に固定し、前記器具本体と壁面や天井面の間に隙間を設けて設置されるLEDトンネル照明器具において、
前記器具本体の背面に設けた開口に、当該開口を閉塞し前記器具本体と壁面や天井面の隙間に延出する放熱部材を設け、前記LED光源を放熱部材に直接、或いは、導熱性のユニット取付板を挟んで設けたことを特徴とするLEDトンネル照明器具。
【請求項2】
前記放熱部材には、前記器具本体と壁面や天井面の隙間に延出する部位に、上下に延びる溝を設けて複数の放熱フィンを形成したことを特徴とする請求項1に記載のLEDトンネル照明器具。
【請求項3】
前記LED光源が設けられたユニット取付板を、前記放熱部材に対し着脱自在に構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のLEDトンネル照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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