説明

LEDドライバ回路

【課題】高い入力電圧で駆動されるLEDアレーを駆動させる低い駆動電圧の制御回路の電源を新たな降圧手段を設けることなく構成可能とした。
【解決手段】複数のLEDが直列に接続されたLEDアレー12に電源11を供給し、LEDアレー12に直列接続されたLED駆動回路13を駆動させてLEDアレー12を点灯させる。LED駆動回路13は、制御回路15で駆動させるが、この制御回路15の電源は、LEDアレー12の一部のLEDの順方向電圧に基づき生成する。制御回路15に電源が供給された直後のLED駆動回路13は、バイパス回路16でバイパスさせてLEDアレー12に電流を流し、制御回路15の電源電圧が上昇後は、バイパス回路16でバイパスを解除させてLED駆動回路13でLEDアレー12を駆動するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、直列接続された複数のLED(発光ダイオード)を、高い入力電圧で駆動させるLEDドライバ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のLEDを駆動させるための回路は、入力電圧を昇圧回路で直列接続された数に合わせた昇圧を行い、昇圧された直流電圧をLEDアレーに供給している。LEDアレーの駆動は、入力電圧から内部電源を生成することで定電流用駆動ICから出力される制御信号に基づき、LEDアレーに電流を流し、LEDアレーを点灯させている。(例えば、特許文献1)
図4は、特許文献1のLEDドライバ回路を示している。図4に示す直流の入力電圧は、入力制御用トランジスタTr0を介して昇圧回路で所望の電圧に昇圧させる。昇圧された直流電圧は、複数のLEDが直列に接続されたLEDアレーに供給している。このLEDアレーは、駆動ICのトランジスタTr2を駆動させることにより電流を流して点灯させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−205036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1の技術は、LEDアレーを構成するLEDの数が数百個あるいは数千個の単位で直列に接続される製品化が行われ、例えば入力電圧がDC500Vを超えてしまう場合もある。
【0005】
しかしながら、LEDアレーを駆動させる駆動用ICは、例えば12V程度の直流電圧であり、入力電圧を降下させる回路を構成し、駆動用ICの電源としている。この場合、入力電圧を降下させる新たな回路構成を必要とするばかりか、入力電圧と駆動用ICの電源電圧との差と駆動用ICの電源電流との積が損失となり、この差は入力電圧と駆動電源との差に比例して大きくなる、という問題があった。
【0006】
この発明の目的は、LEDを駆動させるために高い入力電圧を必要としながら、少ない損失のLED制御電源を実現したLEDドライバ回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために、この発明のLEDドライバ回路は、直流電源と、複数のLEDが直列に接続されたLEDアレーと、前記電源に基づき前記LEDアレーを駆動し、該LEDアレーを点灯させるLED駆動回路と、前記LED駆動回路を駆動させる制御回路と、前記LEDアレーの一部の順方向電圧を、前記制御回路の電源とする電源手段と、前記電源手段により前記制御回路に電源が供給された直後は、前記LED駆動回路をバイパスさせて前記LEDアレーに電流を流し、前記電源手段の電圧が所定の電圧に上昇後は、前記LED駆動回路のバイパスを解除するバイパス回路とを備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、入力の高電圧からほぼ安定したLEDの順方向電圧をLED駆動電圧源として生成させたことで損失の少ないLED制御電源を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明のLEDドライバ回路に関する一実施形態について説明するための概念的な回路構成図である。
【図2】図1の主要なブロック構成を具体的に示した回路構成図である。
【図3】この発明のLED駆動ドライバ回路に関する他の実施形態について説明するための概念的な回路構成図である。
【図4】従来のLED駆動ドライバ回路について説明するための回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1、図2は、この発明のLEDドライバ回路に関する一実施形態について説明するための、図1は概念的な回路構成図、図2は図1の主要なブロック構成を具体的に示した回路構成図である。
【0012】
図1において、11は直流電源であり、負極が基準電位点に接続されたこの電源11の正極は、直列接続されたn個のLED121〜12nから構成されるLEDアレー12のLED12nのアノードに接続される。LEDアレー12のLED121のカソードは、LED駆動回路13を介して基準電位点に接続される。
【0013】
基準電位点側のLED121から電源11側の、例えば3個目のLED123のアノードと4個目のLED124のカソードとの接続点から定電圧回路14を介して制御回路15の電源となる定電圧を供給するとともに、コンデンサC1を介して基準電位点に接続する。LEDアレー12の一部の順方向電圧を利用し、制御回路15を駆動する構成を電源手段とする。
【0014】
LED121のカソードとLED駆動回路13の接続点は、LED駆動回路13が駆動される前に、予めオン状態に設定してあるバイパス回路16を介して基準電位点に接続する。
【0015】
さらに、制御回路15は、この制御回路15から出力される制御信号に基づいてLED駆動回路13を駆動させるとともに、スタート用のバイパス回路16をオフ状態に制御せさる。
【0016】
ここで、図2を参照し、LED駆動回路13と制御回路15の具体的な構成例について説明する。
【0017】
LED駆動回路13は、ドレインがLEDアレー12のLED121のカソードに接続されたMOS型トランジスタQのソースを、抵抗Rを介して基準電位点に接続するとともに、制御回路15を構成する非反転入力+が基準電位Vref1に接続されたオペアンプOPの反転入力−に接続する。
【0018】
オペアンプOPの出力は、制御回路15の制御信号としてLED駆動回路13のMOS型トランジスタQのゲートに供給する。定電圧回路14の定電圧出力は、オペアンプOPの電源とするとともに、コンパレータCPの一方の比較入力が基準電位Vref2に接続された他方の比較入力に接続する。コンパレータCPの出力は、バイパス回路16を切り換えるためのスイッチング信号として供給する。
【0019】
ここで、図1、図2の動作について説明する。
LEDアレー12を駆動させるための必要な電源11の直流電圧が例えば500Vであるとする。この直流電圧がLEDアレー12に印加されると、LEDアレー12は、予めオン状態にあるバイパス回路16を介してLEDアレー12に電流を流して点灯を開始させる。
【0020】
このとき、LEDアレー12の基準電圧点側から3個目のLED123のアノードに接続された定電圧回路14には、LED121〜123の各順方向電圧Vf3個分の電圧(3×Vf)が印加された駆動状態となる。定電圧回路14からは、3Vfを定電圧した出力が制御回路15のオペアンプOPに印加されるとともに、コンデンサC1の充電を開始する。
【0021】
コンデンサC1が充電され、オペアンプOPの駆動電圧に達すると、オペアンプOPの出力からは、制御回路15の制御信号としてMOSトランジスタQのゲートに印加し、トランジスタQをオンにし、LED駆動回路13は、抵抗Rを流れる電流に基づく電圧をオペアンプOPの反転入力に供給し、オペアンプOPの出力が非反転入力のVref1となるような定電圧制御が行われる。
【0022】
コンデンサC1が充電に従い、コンパレータCPの比較電圧Vref2に達すると、コンパレータCPは、制御信号を出力し、バイパス回路16をオフ状態にする。制御回路15に電源が供給された状態になった後のバイパス回路16は、オープン状態にさせることにより、LEDアレーを効率的に駆動させることができる。
【0023】
このように、制御回路15は、電源11の直流電圧が制御回路15を駆動させるための電圧よりも大幅に高い電圧であっても、LEDアレー12の複数個の順方向電圧に基づいた電圧を電源として駆動可能とした。これにより、電源11の電圧よりも大幅に低い駆動電圧で駆動する制御回路15に特別な降圧手段を構成することなく、必要な駆動電圧を供給させることが可能となる。
【0024】
この実施形態では、電源電圧とLEDアレーを駆動する制御回路を駆動させる電源との差が少ないことからこの差に伴う損失を少なくすることができる。また、制御回路を駆動させる電源もLEDアレーの一部を利用していることから新たな回路構成の追加を極力抑えることができる。
【0025】
図3は、この発明のLED駆動ドライバ回路に関する他の実施形態について説明するための概念的な回路構成図である。この実施形態は、LEDアレーを並列接続したものであり、上記した実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付し、ここでは異なる部分について説明する。
【0026】
図3において、第1および第2のLEDアレー12A,12BはLEDアレー12と、LED駆動回路131,132はLED駆動回路13と、定電圧回路141,142は定電圧回路14と、制御回路151,152は制御回路15とそれぞれ同構成となっている。コンデンサC1,C2はコンデンサCと同じ目的で使用されるものである。
【0027】
バイパス回路16は、各LEDアレー12A,12Bの駆動をスタートさせる兼用となっている。
【0028】
この実施形態においても、LEDアレー12A,12Bを駆動させる電源11の電圧は、制御回路151,152を駆動させる電圧に比して遥かに高い電圧であっても、制御回路151,152がそれぞれ必要とする電圧を、LEDアレー12A,12BのLEDの順方向電圧から得ることができる。
【0029】
この実施形態は、制御回路を駆動させる電圧が電源電圧よりも大幅に低い制御回路を、電源電圧を降圧させる追加の回路構成を用いることなく駆動させることができる。電源電圧と制御回路の電源電圧との差が少なくできることから、この差に伴う損失も小さくすることができる。
【0030】
なお、この実施形態では、2系列のLEDアレーを並列接続させた場合としたが、3系列以上あった場合でも同じような回路で構築させることができる。3系列以上となった場合でもバイパス回路16は、これら3系列以上のLEDアレーを兼用として用いることができる。
【0031】
この発明は、上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、LEDの順方向電圧Vfの電圧変動が、LEDアレーを制御するために支障がない程度に小さい場合には、制御回路15に対して必ずしも定電圧回路14を介して駆動させる必要はなく、この回路を省略することもできる。
【0032】
各実施形態で示したバイパス回路16は、機械的なスイッチとしているが、実際の回路では、LEDアレーが駆動される前はオン、駆動後はオフの動作を行う電子的なスイッチ素子が用いられる。また、バイパス回路16の機能をトランジスタQを兼用させることができる。
【0033】
さらに、各実施形態のLED駆動回路は、定電流でLEDアレーを駆動させるようにしたが、定電圧、定電力、さらにはパルス点灯させても構わない。
【符号の説明】
【0034】
11 電源
12,12A,12B LEDアレー
121〜12n LED
13,131,132 LED駆動回路
14,141,142 定電圧回路
15,151,152 制御回路
16 バイパス回路
C1,C2 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と、
複数のLEDが直列に接続されたLEDアレーと、
前記電源に基づき前記LEDアレーを駆動し、該LEDアレーを点灯させるLED駆動回路と、
前記LED駆動回路の制御回路と、
前記LEDアレーの一部の順方向電圧を、前記制御回路の電源とする電源手段と、
前記電源手段により前記制御回路に電源が供給された直後は、前記LED駆動回路をバイパスさせて前記LEDアレーに電流を流し、前記電源手段の電圧が所定の電圧に上昇後は、前記LED駆動回路のバイパスを解除するバイパス回路とを備えてなることを特徴とするLEDドライバ回路。
【請求項2】
複数の前記LEDアレーを並列接続し、該複数のLEDアレーのスタート点灯を行う前記バイパス回路を兼用したことを特徴とする請求項1記載のLEDドライバ回路。
【請求項3】
前記直流電源は、前記制御回路を駆動させる電圧よりも十分大きな電圧であることを特徴とする請求項1または2記載のLEDドライバ回路。
【請求項4】
前記電源手段から生成される電源の電圧を一定にさせる定電圧回路を前記制御回路との間に設置したことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のLEDドライバ回路。
【請求項5】
前記バイパス回路機能を前記LED駆動回路に持たせたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のLEDドライバ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−114131(P2011−114131A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268726(P2009−268726)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】