説明

LEDランプ

【課題】照射方向の変更が可能なLEDランプ10,20,30を提供する。
【解決手段】グローブ13を手でねじ込んで突起物13cを反射面17bに対して前進させ、反射面17bに圧接させる。これに伴い、反射面17bが分割線17dから分割されて拡開するので、反射面17bの反射角度が変化する。若しくはグローブ22を手でねじ込んで突起物22bを反射面21bに対して前進させ、反射面21bに圧接させる。これに伴い、軟質プラスチック製の導光部材21が光の入射方向に沿って圧縮される。そのため、反射面21bの反射角度が変化する。反射面の反射角度の変化により、LEDチップ14の光の拡散方向が変化し、LEDランプ10の照射方向が変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDチップを光源として内蔵するLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、消費電力の大きい白熱電球に代えて、消費電力の少ないLEDを光源として用いるLEDランプの需要が高まっている。
一般に、この種のLEDランプは熱伝導性に優れたアルミニウムなどの金属性放熱体と、放熱体の一端に取り付けた口金と、半球状の頂部を有し、放熱体の他端に装着した透光性のガラス又はプラスチック材から成るグローブと、LEDチップを実装したモジュール基板と、LEDチップに電力を供給する点灯回路とを備え、モジュール基板と点灯回路を放熱体に取り付けてLEDチップをグローブで覆い、点灯回路と口金を電気的に接続した構成を備えている。
【0003】
ところで、白熱電球の光源であるフィラメントの発する光は周囲に拡散し、周囲を均等に照らすことができるが、LEDランプの光源として用いられるLEDチップの発する光は高い指向性を有し、前方の狭い領域を強い光で照射するという特性を備えている。そのため、LEDランプを白熱電球の代替品として使用するには、LEDチップの発する光をランプの周囲に拡散させる光拡散手段をLEDランプに設けることが不可欠である。
【0004】
光拡散手段を備えたLEDランプの一形式として、先端部に反射面を形成した導光部材を光拡散手段として備え、この導光部材の基端部がLEDチップに対向するように導光部材を放熱体に固定し、導光部材を覆うようにグローブを放熱体に装着したLEDランプが実用に供されている。
【0005】
このLEDランプによれば、LEDチップの発光時、LEDチップの光が導光部材の基端部から導光部材中に進入して反射面へ導かれ、反射面で反射して導光部材の先端部周囲に拡散される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−70972号公報
【特許文献2】特開2011−82132号公報
【特許文献3】特開2011−90828号公報
【特許文献4】特開2011−91033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のLEDランプのおける導光部材では、天井や壁面に設けられたソケットにLEDランプを装着した場合、LEDランプの照射方向は導光部材の反射面の反射角度によって一義的に定まり、照射方向を変えることができない。
本発明はかかる問題点に鑑み、照射方向の変更が可能なLEDランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、放熱体と、口金と、透光性のガラス又はプラスチック材から成るグローブと、LEDチップを実装したモジュール基板と、LEDチップに電力を供給する点灯回路と、先端部に反射面を形成した導光部材を備え、放熱体の一端にモジュール基板を固定するとともに、導光部材の基端部がLEDチップに対向するように導光部材を放熱体に固定し、導光部材を覆うようにグローブを放熱体に装着し、点灯回路を放熱体内に取り付け、点灯回路と口金を電気的に接続し、LEDチップの発光時、LEDチップの光が導光部材の基端部から導光部材中に入射して反射面へ導かれ、反射面で導光部材の先端部周囲に拡散されるようにしたLEDランプであって、
前記導光部材の反射面に対して進退する反射角度変更部材をグローブの内部に設け、
前記反射面を少なくとも二つに分割し、前記反射角度変更部材が反射面に圧接したとき反射面が分割面から拡開することにより反射角度が変化するようにしたことを特徴とする特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、放熱体と、口金と、透光性のガラス又はプラスチック材から成るグローブと、LEDチップを実装したモジュール基板と、LEDチップに電力を供給する点灯回路と、先端部に反射面を形成した導光部材を備え、放熱体の一端にモジュール基板を固定するとともに、導光部材の基端部がLEDチップに対向するように導光部材を放熱体に固定し、導光部材を覆うようにグローブを放熱体に装着し、点灯回路を放熱体内に取り付け、点灯回路と口金を電気的に接続し、LEDチップの発光時、LEDチップの光が導光部材の基端部から導光部材中に入射して反射面へ導かれ、反射面で導光部材の先端部周囲に拡散されるようにしたLEDランプであって、
前記導光部材の反射面に対して進退する反射角度変更部材をグローブの内部に設け、
前記導光部材を軟質プラスチックで成形し、前記反射角度変更部材が反射面に圧接したとき導光部材が光の入射方向に沿って圧縮されることにより反射角度が変化するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は請求項1又は2に記載のLEDランプにおいて、前記反射角度変更部材として、前記グローブの頂部の内面に突起物を一体に形成し、
かつ前記グローブを前記放熱体に進退可能にねじ付けたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は請求項1叉は2に記載のLEDランプにおいて、前記反射角度変更部材として、ねじ部材を前記グローブの頂部に進退可能にねじ付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、反射角度変更部材を導光部材の反射面に圧接させると、反射面が分割面から拡開するので、反射面の反射角度が変化する。そのため、LEDランプの照射方向を変えることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、反射角度変更部材を導光部材の反射面に圧接させると、導光部材が圧縮されるので、反射面の反射角度が変化する。そのため、LEDランプの照射方向を変えることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、グローブを放熱体に対してねじ込むことにより突起物を導光部材の反射面に圧接させ、これによりLEDランプの照射方向を変えることができる。
ちなみに、LEDランプは点灯しても白熱電球のようにグローブが高温に加熱されることはないので、グローブに手を触れても火傷するおそれはない。このため、LEDランプの点灯中であっても、手でもってグローブをねじ回してLEDランプの照射方向を変えることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、ねじ部材をねじ込むことにより導光部材の反射面に圧接させ、これによりLEDランプの照射方向を変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例に係るLEDランプであってグローブを分離した断面図である。
【図2】本発明の第1実施例に係るLEDランプの主要部を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例に係るLEDランプを示す断面図である。
【図4】本発明の第1実施例に係るLEDランプの反射面を示す説明図である。
【図5】本発明の第1実施例に係るLEDランプであって、反射面が拡開された状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施例に係るLEDランプであってグローブを分離した断面図である。
【図7】本発明の第2実施例に係るLEDランプを示す断面図である。
【図8】本発明の第2実施例に係るLEDランプであって、導光部材が圧縮された状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第3実施例に係るLEDランプを示す断面図である。
【実施例1】
【0017】
以下に本発明を図面に基づき説明するに、図1、図2及び図3には本発明の第1実施例に係るLEDランプ10が示されている。当該LEDランプは放熱体11と、口金12と、透光性のグローブ13と、LEDチップ14を実装したモジュール基板15と、LEDチップ14に電力を供給する点灯回路16及び導光部材17を備えている。
【0018】
放熱体11は熱伝導性及び放熱性に優れたアルミニウム等の金属材料から成り、逆円錐台形の外観を備えた筒構造を有し、外周部には表面積を増加して放熱効果を高めるため多数のフィン11aが形成されている。放熱体11の上端部11bには、モジュール基板15が固定されている。また、放熱体11の下端部に口金12が取付けられている。この口金12は国際規格に則った形状、寸法を有する。
【0019】
放熱体11の内部には、点灯回路16が内蔵され、モジュール基板15と点灯回路16がリード線18で接続されている。そして、点灯回路16と口金12がリード線(図示略)で電気的に接続されている。
【0020】
放熱体11の上端部11bに固定したモジュール基板15には柱状の導光部材17が立設され固定されている。導光部材17は弾性を有するプラスチック成形品で先端部に反射部17aを有し、反射部17の内面に四角錐の形状を有する反射面18aが形成されている。一方、導光部材17の基端部には凹部17cが形成され、この凹部17cをLEDチップ14に被せるようにして導光部材17がモジュール基板15に取付けられている。凹部17cに対向配置したLEDチップ14が発する光は凹部17cから導光部材17中に入射し、反射面17bで反射されて、反射部17aの周囲に拡散する。
【0021】
図4の(A)に示すように、四角錐を形成する各反射面17bは隣接する反射面17bの境界線に沿って形成した分割線17dで拡開可能に分割されている。この分割線17dは反射面17bからLEDチップ14の光の入射方向と平行に導光部材17の中間部まで延びている。そして、プラスチックの弾性により隣接する反射面17b同士が分割線17dを介して接している。
【0022】
グローブ13は透明若しくは半透明のガラス叉はプラスチック成形品で、半球状の頂部13aと下端開口13bを有する。半球状の頂部13aの内面の中央部に先端が尖った突起物13cが一体成形されている。また、下端開口13bの外周部にねじ13dが形成されている。一方、放熱体11の上端部11bの内周面には、グローブ13のねじ13dに螺合するねじ11cが形成されている。グローブ13は下端開口13bを放熱体11にねじ付けることにより、放熱体11に進退可能に装着されている。グローブ13の突起物13cは、グローブ13を放熱体11に装着したとき、図3に示すように導光部材17の反射面17bで形成された四角錐の頂角部に対向するように設けられている。
【0023】
第1実施例に係るLEDランプ10の構造は以上の通りであって、図3に示すようにグローブ13を、突起物13cが導光部材17の反射面17bの頂角部に近接若しくは当接するように放熱体11にねじ付ける。この状態では、導光部材17の有する弾力により反射面17bが閉じている。
【0024】
LEDランプ10の口金12を天井や壁面に設けられたソケットに差し込んでLEDランプ10をソケットに取り付けると、ソケットから電力が点灯回路16を介してLEDチップ14に供給され、LEDチップ14が発光する。LEDチップ14の光は導光部材17の凹部17cから導光部材17中に入射し、反射部17aの反射面17bで反射して反射部17aの周囲に拡散される。
【0025】
LEDランプ10の照射方向を変えるには図5に示すように、グローブ13を手でねじ込んで突起物13cを反射面17bに対して前進させ、反射面17bに圧接する。これに伴い、図4の(B)に示すように、反射面17bが分割線17dから分割されて拡開するので、反射面17bの反射角度が変化する。このため、LEDチップ14の光の拡散方向が変化し、LEDランプ10の照射方向が変化する。
【0026】
ねじ込んだグローブ13を手で回して後退させると、拡開していた反射面17bはプラスチックの弾性により図4(A)に示すように再び閉じる。
ちなみに、LEDランプ10は点灯しても白熱電球のようにグローブ13が高温に加熱されることはないので、グローブ13に手を触れても火傷するおそれはない。このため、LEDランプ10の点灯中であっても、手でもってグローブ13をねじ回してLEDランプ10の照射方向を変えることができる。
【実施例2】
【0027】
本発明の第2実施例に係るLEDランプ20を図5、図6及び図7に示す。当該LEDランプ20の導光部材21は軟質プラスチック成形品で先端部に反射部21aを有し、反射部21aの内面に逆円錐の形状を有する反射面21bが形成されている。導光部材21の基端部には凹部21cが形成され、この凹部21cをLEDチップ14に被せるようにして導光部材21がモジュール基板15に取付けられている。凹部21cに対向配置したLEDチップ14が発する光は凹部21cから導光部材21中に入射し、反射面21bで反射されて、反射部21aの周囲に拡散する。
ちなみに、第1実施例に係るLEDランプ10の反射面17bは分割線17dで拡開可能に分割されているが、第2実施例に係るLEDランプ20の導光部材21の反射面21bは分割されていない。
【0028】
一方、グローブ22の半球状の頂部22aの内面の中央部に先端が丸みを帯びた突起物22bが一体成形されている。下端開口22cの外周部には、放熱体11の上端部の内周面に形成したねじ11cに螺号するねじ22dが形成されている。
なお、本実施例に係るLEDランプ20の他の構成は第1実施例に係るLEDランプ10と同じであるので、同一の構成要素に同一の符号を付して説明を省略する。
【0029】
第2実施例に係るLEDランプ20の構造は以上の通りであって、図7に示すようにグローブ22を、突起物22bが反射面21bの頂角部に近接若しくは当接するように放熱体11にねじ付ける。
LEDランプ20の口金12を天井や壁面に設けられたソケットに差し込んでLEDランプ20をソケットに取り付けると、LEDチップ14が発光する。LEDチップ14の光は導光部材21の凹部21cから導光部材21中に入射し、反射部21aの反射面21bで反射して反射部21aの周囲に拡散される。
【0030】
LEDランプ20の照射方向を変えるには図8に示すように、グローブ22を手でねじ込んで突起物22bを反射面21bに対して前進させ、反射面21bに圧接する。これに伴い、軟質プラスチック製の導光部材21が光の入射方向に沿って圧縮される。そのため、反射面21bの反射角度が変化し、LEDランプ20の照射方向が変化する。
【0031】
ねじ込んだグローブを手で回して後退させると、圧縮されていた導光部材は伸長し、図6に示す原形に復元する。
【実施例3】
【0032】
本発明の第3実施例に係るLEDランプ30を図9に示す。当該LEDランプ30はプラスチック製の球形グローブ31を備えている。このグローブ31の頂部31aにはねじ部材32が進退可能に組み付けられ、グローブ31内に突出している。グローブ31の下端開口には、放熱体11の上端内周面に形成したねじ11cに螺号するねじ31bが形成されている。
なお、本実施例に係るLEDランプ30の他の構成は第2実施例に係るLEDランプ20と同じであるので、同一の構成要素に同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
本実施例に係るLEDランプ30では、ねじ部材32をねじ込んで反射面21bに対して前進させ、反射面21bに圧接すると、軟質プラスチック製の導光部材21が光の入射方向に沿って圧縮される。そのため、反射面21bの反射角度が変化し、LEDランプ30の照射方向が変化する。
なお、第3実施例に係るLEDランプ30では第2実施例に係るLEDランプ20と同じ導光部材21を設けたが、第1実施例に係るLEDランプ10と同じ導光部材17を設け、ねじ部材32によって反射面17bを拡開させてLEDランプ30の照射方向を変えることもできる。
【符号の説明】
【0034】
10,20,30…LEDランプ
11…放熱体
11b…上端部
11c…ねじ
12…口金
13,22,31…グローブ
13a,22a,31a…頂部
13b,22c…下端開口
13c,22b…突起物
13d,22d,31b…ねじ
14…LEDチップ
15…モジュール基板
16…点灯回路
17,21…導光部材
17a,21a…反射部
17b,21b…反射面
17c,21c…凹部
17d…分割線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱体と、口金と、透光性のガラス又はプラスチック材から成るグローブと、LEDチップを実装したモジュール基板と、LEDチップに電力を供給する点灯回路と、先端部に反射面を形成した導光部材を備え、放熱体の一端にモジュール基板を固定するとともに、導光部材の基端部がLEDチップに対向するように導光部材を放熱体に固定し、導光部材を覆うようにグローブを放熱体に装着し、点灯回路を放熱体内に取り付け、点灯回路と口金を電気的に接続し、LEDチップの発光時、LEDチップの光が導光部材の基端部から導光部材中に入射して反射面へ導かれ、反射面で導光部材の先端部周囲に拡散されるようにしたLEDランプであって、
前記導光部材の反射面に対して進退する反射角度変更部材をグローブの内部に設け、
前記反射面を少なくとも二つに分割し、前記反射角度変更部材が反射面に圧接したとき反射面が分割面から拡開することにより反射角度が変化するようにしたことを特徴とする特徴とする。
【請求項2】
放熱体と、口金と、透光性のガラス又はプラスチック材から成るグローブと、LEDチップを実装したモジュール基板と、LEDチップに電力を供給する点灯回路と、先端部に反射面を形成した導光部材を備え、放熱体の一端にモジュール基板を固定するとともに、導光部材の基端部がLEDチップに対向するように導光部材を放熱体に固定し、導光部材を覆うようにグローブを放熱体に装着し、点灯回路を放熱体内に取り付け、点灯回路と口金を電気的に接続し、LEDチップの発光時、LEDチップの光が導光部材の基端部から導光部材中に入射して反射面へ導かれ、反射面で導光部材の先端部周囲に拡散されるようにしたLEDランプであって、
前記導光部材の反射面に対して進退する反射角度変更部材をグローブの内部に設け、
前記導光部材を軟質プラスチックで成形し、前記反射角度変更部材が反射面に圧接したとき導光部材が光の入射方向に沿って圧縮されることにより反射角度が変化するようにしたことを特徴とする。
【請求項3】
前記反射角度変更部材として、前記グローブの頂部の内面に突起物を一体に形成し、
かつ前記グローブを前記放熱体に進退可能にねじ付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のLEDランプ。
【請求項4】
前記反射角度変更部材として、ねじ部材を前記グローブの頂部に進退可能にねじ付けたことを特徴とする請求項1叉は2に記載のLEDランプ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−54828(P2013−54828A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190239(P2011−190239)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(593079944)株式会社ビートソニック (37)
【Fターム(参考)】