LED照明器、及びLED照明システム
【課題】2本の電線を介して電源から供給される電圧又は電流を用いてLEDの輝度及び色度の双方を調整可能なLED照明器具を提供する。
【解決手段】色度が相互に異なる第1LED60a及び第2LED60bと、2本の給電線20から周期的に供給される電力のオン時間の長さを監視し、オン時間の長さが変化しない状態が閾値以上継続することを条件に、第1LED60a及び第2LED60bの制御モードを第1モードと第2モードとの間で切り替える切替部と、第1モードにおいて、電力のオン時間の長さに応じて、第1LED60aに供給すべき平均電流と第2LED60bに供給すべき平均電流との総量を決定する第1制御部と、第2モードにおいて、電力のオン時間の長さに応じて、第1LED60aに供給すべき平均電流と第2LED60bに供給すべき平均電流との比を決定する第2制御手段とを含む。
【解決手段】色度が相互に異なる第1LED60a及び第2LED60bと、2本の給電線20から周期的に供給される電力のオン時間の長さを監視し、オン時間の長さが変化しない状態が閾値以上継続することを条件に、第1LED60a及び第2LED60bの制御モードを第1モードと第2モードとの間で切り替える切替部と、第1モードにおいて、電力のオン時間の長さに応じて、第1LED60aに供給すべき平均電流と第2LED60bに供給すべき平均電流との総量を決定する第1制御部と、第2モードにおいて、電力のオン時間の長さに応じて、第1LED60aに供給すべき平均電流と第2LED60bに供給すべき平均電流との比を決定する第2制御手段とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)照明器(LED照明器具)、及びLED照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、白熱電球に代わる照明器具の一つとして、LEDを用いたLED電球が普及しつつある。白熱電球に代えてLED電球を適用する場合には、既存の建築物に設けられた配線設備や調光器を使用することで、LED電球導入に当たってのコスト低減が試みられている。
【0003】
例えば、白熱電球での回路接続では、二つの端子を夫々有する白熱電球、及び白熱電球用のトライアック調光器が夫々用いられる。トライアック調光器が備える二つの端子の一方は、商用電源に接続され、端子の他方は、白熱電球が備える一方の端子に接続される。また、白熱電球が備える他方の端子は、商用電源に接続される。このようにして、商用電源に対し、トライアック調光器及び白熱電球が直列接続される。
【0004】
トライアック調光器は、例えば、白熱電球の主電源と、白熱電球の輝度調整用の操作部(回転式、或いはスライド式のツマミ)と、操作部の操作量に応じて点弧タイミングが調整されるトライアックとを含んでいる。商用電源から供給される電圧は、トライアックが点弧(オン)してから電圧が0になるまでの点弧時間において、白熱電球に供給される。このように、点弧時間の長さで白熱電球に供給される電流量を調整することによって、白熱電球の輝度を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−524960号公報
【特許文献2】特開2008−218043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような、商用電源に対してトライアック調光器及び白熱電球を直列接続するための配線は、建築物の建築時に壁内や天井裏に配設されることが多い。このため、配線構造の変更は、壁や天井の破壊を招来する可能性がある。
【0007】
これに対し、既存の配線やトライアック調光器の使用により、LED照明器を導入することができれば、LED照明導入に係る初期コストを低減できる面で好ましい。さらに、既存の配線構造を維持した状態で、LED照明器の輝度及び色温度を調整することができれば、従来の白熱電球の代わりにLED照明器を導入する契機を消費者に提供することができる。
【0008】
しかしながら、既存の、商用電源に対して調光器とLED照明器とが直列接続される配線構造を有するLED照明システムにおいて、LED照明器の輝度と色温度との双方を調整できるものはなかった。
【0009】
本発明の一態様の目的は、電源に対してLED照明器と直列接続される調光器を用いてLED照明器(LED照明器具)の輝度及び色度の双方を調整可能な技術を提供することである。また、本発明の他の態様の目的は、2本の電線を介して電源から供給される電圧
又は電流を用いてLEDの輝度及び色度の双方を調整可能なLED照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明の第1の態様は、電源と一本の第1給電線を介して接続された調光器と一本の第2給電線を介して接続されるとともに、一本の第3給電線を介して前記電源に接続され、前記調光器が備えるユーザインタフェースの操作量に応じた導通制御部の点弧位相角度に応じた導通時間において、前記電源から供給される交流電流を受電するLED照明器であって、
同色で異なる発光スペクトル、又は異なる色で発光する第1及び第2のLEDモジュールと、
前記点弧位相角度及び前記点弧位相角度の時間変化を計測する計測部と、
前記受電された交流電流を用いて、前記点弧位相角度に基づく輝度で前記第1及び第2のLEDモジュールを発光させるための駆動電流を前記第1及び第2のLEDモジュールに夫々供給する調光手段と、
前記受電された交流電流を用いて、前記点弧位相角度に基づく色温度で前記第1及第2のLEDモジュールを発光させるための駆動電流を前記第1及び第2のLEDモジュールに夫々供給する調色手段と、
前記点弧位相角度の時間変化に基づいて、選択すべき制御モードを、前記調光手段によって調整された駆動電流が前記第1及び第2のLEDモジュールに供給される調光モードと、前記調色手段によって調整された駆動電流が前記第1及び第2のLEDモジュールに供給される調色モードとの間で切り替える選択手段と、
前記調光モードの選択状態において、前記点弧位相角度に基づく輝度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調光手段を制御する調光制御部と、
前記調色モードの選択状態において、前記点弧位相角度に基づく色温度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調色手段を制御する調色制御部と
を含むLED照明器である。
【0011】
本発明の第1の態様、及び後述する第2〜第4の態様における第1及び第2LEDモジュール、後述する第5及び第6の態様における第1及び第2LEDは、異なる「発光スペクトル」又は「色度」を有することができる。色度は、色相及び色温度を含む。また、第1の態様における「点弧位相角度の時間変化に基づいて」の語は、点弧位相角度そのものの時間変化を計測する場合と、点弧位相角度に基づく導通時間の時間変化を計測する場合との双方を含む。
【0012】
第1の態様において、前記選択手段は、前記LED照明器の主電源投入時には、前記調光モードと前記調色モードとの一方を選択し、前記調光モード及び前記調色モードとの一方において、前記点弧位相角度が変化しない時間が閾値を越えることを条件に、前記調光モード及び前記調色モードの一方を他方に切り替えるように構成されていても良い。
【0013】
また、第1の態様において、前記切替手段は、前記調光モードの選択状態において前記点弧位相角度の時間変化が所定範囲に収まる場合には、前記調光モードを維持し、
前記調光手段は、点弧位相角度の大きさに応じた平均電流値の駆動電流を前記第1及び第2LEDモジュールに供給するように構成されていても良い。
【0014】
また、第1の態様において、前記調色手段は、前記調色モードの選択状態において、前記点弧位相角度が減少傾向にある場合には色温度が上昇する一方で、前記点弧位相角度が増大する傾向にある場合には色温度が下降するように、前記第1及び第2のLEDモジュールに夫々供給される駆動電流の比を調整するように構成されていても良い。
【0015】
また、第1の態様におけるLED照明器は、一対の給電線の一方を介して前記調光器と接続される第1の端子と、前記一対の給電線の他方を介して前記電源と接続される第2の端子とからなる一対の2端子をさらに含むように構成されていても良い。
【0016】
また、第1の態様におけるLED照明器は、前記受電された交流電流を用いて前記導通時間の経過後も前記調光手段又は前記調色手段が駆動電流の供給を継続するための電荷を蓄える蓄電部をさらに含むように構成されていても良い。
【0017】
本発明の第2の態様は、電源と一本の給電線を介して接続される調光調色器と、前記調光調色器と一対の給電線の一方を介して接続される第1端子と前記電源と前記一対の給電線の他方を介して接続される第2端子とを備えるLED照明器とを含み、
前記調光調色器は、
輝度調整用の第1ユーザインタフェースと、
色温度調整用の第2ユーザインタフェースと、
電源から供給される交流電圧波形を前記第1ユーザインタフェースの操作量に応じた輝度制御信号を含む波形に成形する第1成形部と、
前記電源から供給される交流電圧波形を前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じた色温度制御信号を含む波形に成形する第2成形部と
を備え、
前記LED照明器は、
一方が前記調光調色器に接続され、他方が前記電源に接続された一対の端子と、
同色で異なる発光スペクトル、又は異なる色で発光する第1及び第2のLEDモジュールと、
前記受電された交流電圧波形が輝度制御信号と色温度制御信号のいずれを含むかを判定する判定部と、
前記第1及び第2のLEDモジュールに輝度調整用の駆動電流を供給する調光手段と、
前記第1及び第2のLEDモジュールに色温度調整用の駆動電流を供給する調色手段と、
前記輝度制御信号に応じた輝度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調光手段を制御する調光制御部と、
前記色温度制御信号に応じた色温度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調色手段を制御する調色制御部と
を備えるLED照明システムである。
【0018】
第2の態様において、前記第1成形部と前記第2成形部の一方は、前記交流電圧波形の正及び負のサイクルの双方において、前記第1又は前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じて電圧が所定量低下する区間を生成し、
前記第1成形部と前記第2成形部の他方は、前記交流電圧波形の正又は負のサイクルの一方において、前記第1又は前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じて電圧が所定量低下する区間を生成し、
前記判定部は、前記交流電圧波形の正及び負のサイクルの双方において電圧が所定量低下する区間が変動しているか否かを判定することによって、前記交流電圧波形が前記輝度制御信号と前記色温度制御信号のいずれを含むかを判定するように構成されていても良い。
【0019】
例えば、第1ユーザインタフェースの操作量に応じて、交流電圧波形の正負のサイクルの双方において電圧が所定量低下する区間が生成され、第2ユーザインタフェースの操作量に応じて、交流電圧波形の正負のサイクルの一方において電圧が所定量低下する区間が生成されるように第1成形部及び第2成形部を構成し、判定部が、正負のサイクルの双方
において電圧低下区間が変動している場合に、交流電圧波形が輝度制御信号を含むと判定し、正負のサイクルの一方における電圧低下区間が変動している場合に、交流電圧波形が色温度制御信号を含むと判定するように構成しても良い。
【0020】
また、第2の態様において、前記調光制御手段は、前記交流電圧波形中の前記輝度制御信号の位置を示す位相角度が小さくなるほど輝度が小さくなるように、前記調光手段を制御するように構成されていても良い。
【0021】
また、第2の態様において、前記色温度制御手段は、前記交流電圧波形中の前記色温度制御信号の位置を示す位相角度が小さくなるほど色温度が高くなるように、前記調色手段を制御するように構成されていても良い。
【0022】
また、本発明の第3の態様は、第2の態様における調光調色器であり、例えば、交流電源と一本の給電線を介して接続される第1端子と、一対の給電線の一方が前記交流電源に接続され且つ色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDを有するLED照明器具と前記一つの給電線の他方を介して接続される第2端子とからなる一対の端子と、
輝度調整用の第1ユーザインタフェースと、
色度調整用の第2ユーザインタフェースと、
前記交流電源から供給される交流電圧波形を前記第1ユーザインタフェースの操作量に応じた輝度制御信号を含む波形に成形する第1成形部と、
前記交流電源から供給される交流電圧波形を前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じた色度制御信号を含む波形に成形する第2成形部と、
前記輝度制御信号又は前記色度制御信号を含む波形の交流電圧を前記LED照明器具に供給する供給部と、を備える調光調色器である。
【0023】
また、本発明の第4の態様は、第2の態様におけるLED照明器具であり、例えば、交流電源と1本の給電線を介して接続された調光調色器と一対の給電線の一方を介して接続される第1端子と、前記交流電源と前記一対の給電線の他方を介して接続される第2端子とからなる一対の端子と、
色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
前記一対の端子によって前記調光調色器から得られた交流電圧波形が輝度制御信号と色度制御信号のいずれを含むかを判定する判定部と、
前記輝度制御信号に応じた輝度で前記第1LED及び第2LEDが発光するように、前記第1LED及び前記第2LEDへ供給される平均電流の総量を決定する第1制御部と、
前記色度制御信号に応じた色度で前記第1LED及び第2LEDが発光するように、前記第1LED及び前記第2LEDへ夫々供給される平均電流の比を決定する第2制御部とを備えるLED照明器具である。
【0024】
また、本発明の第5の態様は、2本の電線を介して電源に接続されるLED照明器具であって、
発光スペクトル又は色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
前記2本の電線から周期的に供給される電力のオン時間の長さを監視し、前記オン時間の長さが変化しない状態が閾値以上継続することを条件に、前記第1LED及び前記第2LEDの制御モードを第1モードと第2モードとの間で切り替える切替手段と、
前記第1モードにおいて、前記電力のオン時間の長さに応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との総量を決定する第1制御手段と、
前記第2モードにおいて、前記電力のオン時間の長さに応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との比を決定する第2制御手段とを含むLED照明器具である。
【0025】
第5の態様は、現在の制御モードを示すモード情報と、現在の前記総量及び前記比とを格納する不揮発性記録媒体をさらに含む構成を適用可能である。
【0026】
また、本発明の第6の態様は、2本の電線を介して電源に接続されるLED照明器具であって、
発光スペクトル又は色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
前記2本の電線から供給される周期的な電圧又は電流波形から調光情報及び調色情報を検知する検知手段と、
前記調光情報に応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との総量を決定する第1制御手段と、
前記調色情報に応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との比を決定する第2制御手段と
を含むLED照明器具である。
【0027】
第6の態様は、現在の前記総量及び前記比を格納する不揮発性記録媒体をさらに含む構成を適用可能である。
【0028】
本発明の第7の態様は、色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
2本の給電線によって得られる電圧又は電流の波形に基づいて、前記第1LED及び前記第2LEDに対して調光を実行するか調色を実行するかを判定する判定部と、
前記調光の実行時に、前記電圧又は電流波形に応じて前記第1LED及び前記第2LEDに供給すべき平均電流の総量を決定する第1制御部と、
前記調色の実行時に、前記電圧又は電流波形に応じて前記第1LED及び前記第2LEDに夫々供給すべき平均電流の比を決定する第2制御部と
を含むLED照明器具である。
【0029】
第7の態様は、前記第1制御部で決定された前記総量に応じた駆動電流を前記第1LED及び前記第2LEDに供給する第1回路と、
前記第1回路から供給される駆動電流が前記第2制御部で決定された前記比で前記第1LED及び前記第2LEDの夫々を流れるための調整を行う第2回路とをさらに含む構成を適用可能である。
【0030】
また、第7の態様は、前記第1制御部で決定された前記総量を有する駆動電流が且つ前記第2制御部で決定された前記比で前記第1LED及び前記第2LEDを流れるための調整を行う回路をさらに含む構成を適用可能である。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一態様によれば、電源に対してLED照明器と直列に接続される調光器を用いてLED照明の輝度及び色温度の双方を調整することができる。
【0032】
また、本発明の他の態様によれば、2本の電線を介して電源から供給される電圧又は電流を用いてLEDの輝度及び色度の双方を調整可能なLED照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、第1実施形態に係るLED照明装置であるLED照明器を含む照明システムの概要説明図である。
【図2】図2は、図1に示した照明システムの詳細構成例を示す図である。
【図3】図3は、調光器に印加される商用電源の交流波形と、トライアックの点弧によってLED照明器に供給される交流電圧との関係を示す図である。
【図4】図4は、調光時における交流電圧、駆動電流等の波形説明図である。
【図5】図5は、調色時における交流電圧、駆動電流等の波形説明図である。
【図6】図6は、バランス調整による駆動電流比の変更を示す波形図である。
【図7】図7は、第2実施形態に係る照明システムの回路構成例を示す図である。
【図8】図8は、操作部の操作量と、交流波形との関係を示す図である。
【図9】図9は、操作部の操作量と、交流波形との関係を示す図である。
【図10】図10は、第3実施形態における構成例を示す図であり、第1実施形態及び第2実施形態における定電流回路及びバランス回路の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0035】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係るLED照明装置(「LED照明器」、「LED照明器具」とも表記)の第1実施形態について説明する。第1実施形態では、室内の壁埋め込み形調光器を活用し、既存の2線配線を活用して、配線の入れ替え工事を行うことなく、調光制御(輝度調整)と調色制御(色温度調整)の両方を実現する。
【0036】
図1は、第1実施形態に係るLED照明装置であるLED照明器50を含むLED照明システム(以下、単に照明システムと表記)の概要説明図であり、図2は、図1に示した照明システムの詳細構成例を示す図である。
【0037】
図1は、照明システムの回路構成の概略を示している。図1には、二点鎖線で表された仮想線35を境界として電気配線設置空間(仮想線35の上側)と、照明システムの設置空間(仮想線35の下側)とが図示されている。照明システムの設置空間には、電気配線設置空間から引き出された配線に調光器40及びLED照明器50が接続される。
【0038】
電気配線設置空間は、通常、壁内や天井裏に設けられ、壁や天井によって照明システム設置空間と隔絶される。図1に示す電気配線設置空間には、白熱電球や蛍光灯のような既存の照明器用の配線構成が図示されている。すなわち、電気配線設置空間には、商用電源(交流100V、50Hz)が供給される一対の商用電源母線10と、一対の照明器用給電線20と、一対の照明器点滅用の引き込み線30とが配線される。
【0039】
照明器点滅用の引き込み線30には、一対の2端子T1,T2を有する調光器(調光ボックス)40が接続される。一方、照明器用給電線20には、一対の端子を有する照明機器が接続される。図1では、一対の端子T3,T4を有する白熱電球の代わりのLED照明器50が接続されている。
【0040】
図1において、照明器用給電線20及び引き込み線30は、例えば、母線10から引き出された給電線20a(第1給電線)及び20c(第3給電線)と、調光器40とLED照明器50とを結ぶ給電線20b(第2給電線)とからなる。
【0041】
すなわち、調光器40の端子T1,T2は、給電線20a及び20bに夫々接続されている。LED照明器50の端子T3は、給電線20bに接続されている。LED照明器50の端子T4は、給電線20cを介して母線10に接続されている。これによって、調光器40及びLED照明器50は、商用電源(母線10)に対して直列接続されている。
【0042】
上記したように、商用電源母線10,照明器用給電線20,及び引き込み線30が配線
される電気配線設置空間は、壁や天井により隔離される。また、調光器40は、壁に設置される。LED照明器50は、壁や天井に設けられた固定具により設置され、その際、ソケットやコネクタを介して給電線20と電気的に接続される。
【0043】
図1において、電気配線設置空間の配線状態を変更するには、壁や天井の一部の破壊を伴うことが少なくない。従って、照明器を白熱電球からLED照明器へ変更するために、電気配線設置空間における配線状態を変更することは、建築物の構造上不可能、或いは多大なコストを要する。一方、白熱電球用の調光器をそのままLED照明器に適用することができれば、LED照明器の導入に係る初期コストの低減を図る上で好ましい。
【0044】
図1に示す調光器40は、既存の白熱電球用の調光ボックスである。調光器40は、LED照明器50の点滅用のスイッチ(主電源スイッチ)41と、LED照明器50に供給される交流を制御するトライアック42(導通制御部)と、トライアック42の導通時間(点弧位相角度)を操作する操作部(ユーザインタフェース)47とを含んでいる。
【0045】
一方、図1に示すLED照明器50は、LED発光部(LEDモジュール)60(以下、「LED60」とも表記)と、調光器40からの電源波形(交流波形)から操作部47による制御操作を解析する解析部70と、解析部70の解析結果に応じてLED発光部60を駆動するLED駆動部80(以下、「駆動部80」とも表記)とを備えている。
【0046】
図2を用いて、調光器40及びLED照明器50をさらに詳細に説明する。図2において、調光器40は、端子T1及びT2と、主電源スイッチ41と、トライアック42と、トリガダイオード43と、時定数回路44とを有している。
【0047】
端子T1及びT2は、引き込み線30と接続されて、商用電源(交流100V、50Hz)からの電力を調光器40内に供給するための端子である。
【0048】
トライアック42は、交流1サイクルにおける正負の半サイクルにおいて、トリガダイオード43からのトリガ信号を受けてオンとなり(点弧し)、当該半サイクルが終了するまで端子T2に対して正又は負の電圧(電流)を供給し続ける。トリガダイオード43は、トライアック42が点弧するためのトリガ信号をトライアック42に供給する。
【0049】
時定数回路44は、トリガダイオード43がトライアック42にトリガ信号を供給するタイミングを制御する。時定数回路44は、抵抗器44aと、可変抵抗器44bと、キャパシタ(コンデンサ)44cとを有し、トリガダイオード43に接続されている。可変抵抗器44bの抵抗値は、操作部47の操作量に応じて可変する。
【0050】
抵抗器44a,可変抵抗器44b及びキャパシタ44cは、交流の正の半サイクル(サイクル前半)においてトリガダイオード43への印加電圧をチャージするCR時定数回路を構成し、抵抗器44a,可変抵抗器44b及びキャパシタ44cの抵抗値及び容量値で決まる時定数に従ってトリガダイオード43をオンにする。
【0051】
なお、図2では、正の半サイクルにおいてトライアック42を点弧させる時定数回路44が図示されているが、調光器40は、負の半サイクルにおいてトライアック42を点弧させる時定数回路(図示せず)も含んでいる。さらに、調光器40は、正負の半サイクルにおいてキャパシタ44cの残留電荷を除去して、ヒステリシスを除去するヒステリシス除去回路を含むこともできる。
【0052】
図3は、調光器40に印加される商用電源の交流波形と、トライアック42の点弧によってLED照明器50に供給される交流電圧との関係を示す図である。図3(a)に示す
ように、調光器40には、商用電源からのサインカーブの交流電圧が印加される。正の半サイクルにおいて、電圧印加の開始と同時に、時定数回路44のキャパシタ44cに対する正のチャージが開始され、キャパシタ44cにチャージされた電荷が所定量になる時間で、トリガダイオード43がトリガ信号をトライアック42に供給する。すると、トライアック42が正の半サイクルにおける所定角度θで点弧し、LED照明器50に対する正の電流供給を開始する。電流供給は正の半サイクルの終了まで継続される。同様の動作が、負の半サイクルにおいても行われる。
【0053】
このように、正負の各半サイクルで、時定数回路44の時定数に従ったタイミングでトライアック42が点弧し、LED照明器50に交流電力を供給する。すなわち、トライアック42は、点弧時間において、商用電源からの交流を導通させる。
【0054】
時定数は、可変抵抗器44bの抵抗値によって変化する。すなわち、可変抵抗器44bの抵抗値が小さくなる程、時定数は小さくなり、トライアック42が点弧するタイミングが早まる(図3(b)、図3(c)参照)。このように、可変抵抗器44bの抵抗値を操作部47の操作で変化させることで、トライアック42の点弧位相角度(導通時間)を可変にすることができる。
【0055】
図2において、LED照明器50は、図1に示した解析部70を構成する点弧位相角度検出回路90及びマイクロコンピュータ(マイコン)100と、LED60に対する駆動部(駆動回路)80とを備える。
【0056】
点弧位相角度検出回路90は、調光器40のトライアック42の点弧位相角度の制御により供給される交流を直流に変換する整流回路91と、整流回路91から出力される直流電圧からマイコン100の動作用直流電圧を生成する定電圧源92と、トライアック42の点弧位相角度を検出する角度検出回路93とを備えている。
【0057】
マイコン100は、メモリ(記憶装置)101と、選択手段としてのモード判定部102と、輝度制御部としての輝度調整部103と、色温度制御部としての色温度調整部104とを備えている。メモリ101は、マイコン100に含まれるプロセッサによって実行されるプログラムやプログラム実行時に使用されるデータを記憶する。また、メモリ101は、点弧位相角度から求まる導通時間の履歴を記録する記録領域を有する。
【0058】
モード判定部102は、導通時間の履歴を参照することによって、LED60の制御モードを、LED60の輝度を調整する調光モードと、LED60の色度(色温度)を調整する調色モードとの間で切り替える。
【0059】
すなわち、モード判定部102は、主電源スイッチ41の投入時には、初期設定として、調光モードを選択する。モード判定部102は、1サイクル毎の点弧位相角度を角度検出回路93から受け取り、点弧位相角度からトライアック42の半サイクルにおける導通時間を算出する。例えば、導通時間は、トライアック42の点弧開始時点Aから半サイクルの終了(電圧0)時点Bとの差分Cとして求められる。
【0060】
半サイクルにおける単位角度(例えば1度)あたりの時間は交流の周波数(実施形態では50Hz:1サイクル20ms)から求めることができる。すなわち、(180[度]−点弧角度[度])×(1度当たりの時間=約0.056[ms])で導通時間を算出することができる。
【0061】
モード判定部102は、調光モードにおいて、導通時間を輝度調整部103に与えるとともに、メモリ101に記録する。これによって、メモリ101には、1サイクル毎の導
通時間の履歴が格納される。
【0062】
また、モード判定部102は、1サイクルの導通時間を算出(計測)する毎に、メモリ101に最後に記録された導通時間との差分をとる。差分が0の場合には、タイマ(図示せず)による計時を開始する。差分が0の時間(導通時間の変化がない時間)が所定時間を超えると、制御モードを調色モードに切り替える(調色モードを選択する)。これに対し、差分が0である時間が所定時間を超えないうちに差分が検出された場合には、タイマによる計時を終了し、モード判定部102は、調光モードの選択を維持する。
【0063】
モード判定部102は、調色モードにおいて、調光モードと同様に、1サイクル毎の導通時間を計測し、メモリ101に記録するとともに、導通時間の差分を算出する。但し、調色モードでは、1サイクル毎の導通時間は、色温度調整部104に与えられる。モード判定部102は、調光モードと同様に、導通時間の差分が0になると、タイマを起動して導通時間の差分が0の時間を計測する。導通時間の差分が0の時間が所定時間を超えると、モード選択部102は、制御モードを再び調光モードに切り替える(調光モードを選択する)。もっとも、差分が0の時間が所定時間を超えないうちに差分が検出された場合には、モード判定部102は、タイマによる計時を終了し、調色モードの選択を維持する。
【0064】
このように、モード判定部102は、導通時間を監視して、導通時間に変化のない時間が所定時間を超えることを条件として、制御モードを切り替える。また、モード判定部102は、選択中のモードに応じて、導通時間を輝度調整部103と色温度調整部104との一方に与える。なお、上記説明では、モード判定部102は、1サイクル毎の導通時間を輝度調整部103又は色温度調整部104に供給するようにしているが、必要に応じて複数のサイクルに1回、導通時間を供給するようにしても良い。
【0065】
輝度制御部としての輝度調整部103は、モード判定部102から供給される導通時間(点弧位相角度)に応じた輝度でLED60が発光するように、駆動回路80に含まれる調光手段としての定電流回路81を制御する。例えば、輝度調整部103は、導通時間と駆動電流との相関を示すマップ又はテーブルを有し、導通時間に応じた駆動電流をマップ又はテーブルから求めてそのような駆動電流が供給されるように定電流回路81を制御する。
【0066】
マップに示される導通時間と駆動電流との相関関係は、任意に設定可能であり、導通時間の長さと駆動電流の大きさとが比例関係にあっても良い。或いは、導通時間の長さと駆動電流との関係は非線形であっても良い。例えば、導通時間の長さに応じて駆動電流が段階的に大きくなるようにしても良い。要は、利用者が輝度を上げる操作部47の操作を行った場合に、駆動電流値が増大し、利用者が輝度を下げる操作部47の操作を行った場合に駆動電流値が低下するようにされていれば良い。このような駆動電流の増減は、導通時間(点弧位相角度)と比例関係を有しなくても良い。
【0067】
定電流回路81は、輝度調整部103による制御下で、導電時間(点弧位相角度)に対して予め決定された駆動電流値で、LED60を構成するLED群60a(第1LEDモジュール),60b(第2LEDモジュール)の夫々に駆動電流を供給する。LED60に供給される駆動電流は、LED群60aに供給される駆動電流IlowkとLED群60bに供給される駆動電流Ihikとの合計値である。定電流回路81は、合計値を増減させる
ことで、LED群60a,60bに供給される駆動電流の平均電流値を増減する。これによって、LED60の輝度が上昇又は下降する。
【0068】
色温度制御部としての色温度調整部104は、調色モードにおいて、導通期間(点弧位相角度)に応じた色温度でLED60が発光するように、駆動回路80に含まれる調色手
段としてのバランス回路82を制御する。バランス回路82は、パルス幅変調(PWM)回路を含んでおり、LED群60aに供給される駆動電流IlowkとLED群60bに供給される駆動電流Ihikとの比を調整する。ここに、色温度調整部104は、例えば、導通
時間と駆動電流比との相関を示すマップ又はテーブルを有しており、導通時間に応じて予め決められた(マップ又はテーブルに格納された)駆動電流比で駆動電流Ilowkと及び駆動電流Ihikが供給されるように、バランス回路82を制御する。
【0069】
なお、モード判定部102,輝度調整部103,色温度調整部104は、マイコン100に含まれるプロセッサがプログラムを実行することによって実現される機能である。但し、モード判定部102,輝度調整部103,色温度調整部104は、専用又は汎用の電子回路(例えば、LSI(Large Scale Integration),ASIC(Application Specific Integrated Circuit),FPGA(Field Programmable Gate Array))を用いて構成される
こともできる。
【0070】
上記説明において、マイコン100は、本発明に係る計測部,選択手段(選択部),切替手段(切替部),判定部,調光制御部,第1制御手段(第1制御部),調色制御部,第2制御手段(第2制御部)として機能する。モード判定部102は、計測部,選択手段(選択部),切替手段(切替部)及び判定部に相当し、輝度調整部103は、調光制御部及び第1制御手段(第1制御部)に相当し、色温度調整部104は、調色制御部及び第2制御手段(第2制御部)に相当する。
【0071】
なお、上記説明では、点弧位相角度から導通時間を求めているが、導通時間を求め、導通時間の履歴を記録することは本発明の必須要件ではない。すなわち、導通時間の代わりに点弧位相角度の履歴が記録され、点弧位相角度に応じた駆動電流の合計値、或いは比で、LED60(LED群60a及び60b)の駆動制御が行われるようにしても良い。
【0072】
第1実施形態において、LED60は、例えば、サファイヤ基板上に製作された発光ダイオード群であって、複数個(例えば20個)のLED素子が夫々直列に接続された一組のLED群60a,LED群60bが同方向に並列配置されてなる。LED群60aは、第1LEDの一例であり、LED群60bは第2LEDの一例である。
【0073】
LED群60a,60bの夫々に含まれるLED素子の夫々は、発光波長が410nmで、順方向電流のときの端子電圧は3.5V、LED素子を20個直列に接続した場合には、70Vの直流で最大光量を発生する。
【0074】
LED群60aを構成する各LED素子には、発光波長410nmの光で刺激(励起)すると約3000°Kの白色を発光する蛍光体が埋め込まれている。これに対し、LED群60bを構成する各LED素子には、発光波長410nmの光で刺激(励起)すると約5000°Kの白色を発光する蛍光体が埋め込まれている。従って、LED群66aの発光により照射される白色光と、LED群66bの発光により照射される白色光とは色度(色温度)が異なっている。色度は、色相(hue),色温度(color temperature)を含む。
【0075】
なお、LED群60a,60bを構成するLED素子の数は適宜変更可能であり、一つのLED素子であっても良い。また、LED群60a,60bは、相互に異なる色温度の白色光を発光できれば良く、各LED群60a,60bが採り得る色温度は適宜選択可能である。また、LED60は、色温度が異なる白色光を発するLED群の組み合わせだけでなく、異なる色(色相:発光波長領域(発光スペクトル))を発する2つのLED群の組み合わせでも良い。異なる色(色相)の組み合わせは、例えば緑色と青色、黄色と赤色など、所望の組み合わせを適用することができる。このようなLED照明器は、ネオンサインとしての利用が考えられる。なお、色相は、赤、黄、緑、青といった色の様相の相違
であり、特定の波長が際立っていることによる変化である。色相は、例えば光の波長で特定することができ、色相の高低は波長の高低を以て表すことができる。色温度は、表現しようとする光の色(例えば白)をある温度の黒体から放射される光の色と対応させたときの温度である。
【0076】
以下、操作部47の操作と、LED60の輝度調整(調光)及び色温度調整(調色)について詳細に説明する。
【0077】
第1実施形態における調光器(調光器ボックス)40の操作部47は、ダイヤル式のツマミを有している。もっとも、ダイヤル式のツマミの代わりのスライドバーを有する操作部47であっても良い。
【0078】
第1実施形態では、LED照明器50の光量(輝度)を調整する場合には、操作部47のツマミを左回転させて明るくし、右回転させて暗くする。但し、このような設定は、説明上の便宜の目的の設定である。すなわち、現在において一般的に用いられる調光器は、回転型のダイヤルツマミ(ダイヤル)を時計方向に右回転すると、交流半サイクルにおける導通時間が増大する(例えば、図3(a)→図3(b))、このとき、調光器40に接続される照明器が白熱電球のような抵抗一定負荷である場合には、消費電力が増大し、白熱電球の輝度が上がる。
【0079】
また、第1実施形態における操作部47(ダイヤル)の回転角位置情報(操作量)は、LED60に対する駆動電流の導通時間の増減を制御するものではなく「利用者の意図情報」としてのみ利用する。このため、操作部47の操作量は、負荷の消費電力増減や輝度増減に直接関与しない。
【0080】
第1実施形態におけるLED60の消費電力は、純粋な抵抗器で近似できる白熱電球負荷とは異なり、トライアック42の点弧位相角度θとは独立に、負荷側の制御回路(マイコン100)の判断で決定される。
【0081】
図3を用いて、トライアック42を用いた第1実施形態におけるLED60の動作原理を説明する。第1実施形態では、図3(a)〜(c)に示すような、トライアック42の導通時間の長短(点弧位相角度)に拘らず、LED照明器50に内蔵される解析部70(輝度調整部103)が、LED60に供給する定電流値を決定する。したがって、LED60は、必ずしも電圧波形の瞬時値に比例した電力を消費しない。
【0082】
但し、図3(a)のように、トライアック42の点弧タイミング(点弧位相角度)が比較的遅く(導通時間が短く)、電圧波形の瞬時値が低い場合には、必要な電力をキャパシタ84(蓄電部)に蓄えてからLED60に対する駆動電流を継続的に供給する。
【0083】
例えば、図3(a)に示す例では、トライアック42の導通期間は、正の半サイクル後半の点弧位相角度θ=150°から位相角度θ=180°までの30度期間である。点弧位相角度150度における日本の商用正弦波交流(100V)の瞬時値は70.7Vであって、LED素子(動作電圧:例えば24〜30V)の点灯には十分である。
【0084】
しかし、点弧位相角度150度から180度に向かって正弦波交流の瞬時電圧は急激に減少する。したがって、LED60を構成するLED素子の駆動回路電源としては、70.7Vを供給する位相角度150度から、70.7Vの約1/2の電圧である35Vを供給する位相角度(略168度)までを、安定な動作を得る利用範囲として選択する。このような18度期間に大容量キャパシタ(キャパシタ84)を充電することによって、安定で継続的なLED電源を駆動回路80で生成することができる。
【0085】
上記例において要求されるキャパシタ84の充電電流は、交流半サイクル180度期間に消費する電力を18度期間内に充電する。このため、定常消費電流の約10倍の充電電流となる。例えば30ワットを消費するLED照明器の場合では、時間平均的には100Vrms(rmsは交流の実効値)で0.3Armsであるが、位相角度150度から位相角度1
68度までの平均電流はその10倍の3A程度と概算される。この値は、許容可能な電流値である。
【0086】
但し、瞬時電圧が100ボルト以上である位相90度±45度においては、この充電電流は略0.3A程度とする。
【0087】
LED60の電源を上記のように構成することによって、トライアック42の点弧位相角度とは独立にLED駆動電流を決定することが可能である。結果として、LED60の輝度をトライアック42の導通角度から独立に、利用者の意図に基づいて制御することができる。
【0088】
図2に示す調光器40は、トライアック42を用いた既存の調光器であり、操作部47のダイヤルツマミの回転量(操作量)に応じて、トライアック42の点弧位相角度θ(図3(a)〜(c)参照)を0度から180度の任意の値に調整することができる。
【0089】
第1実施形態では、説明の混乱を避ける目的で、調光器40の操作部47(ダイヤル)の位置角度の数値と、交流周期中の点弧位相角度の数値が一致するように、以下の定義とする。
【0090】
すなわち、ダイヤルを0時の位置を中心として左右に90°回転可能とする。そして、時計回り方向におけるダイヤルの回転終点である「3時の位置」を「角位置180度」と呼称し、かつ、点弧位相角度180度であり通常消費電力最小、と定義する。また、反時計回り方向におけるダイヤルの回転終点である「9時の位置」を「角位置0度」と呼称し、かつ、点弧位相角度0度であり通常消費電力最大、と定義する。さらに、以下の説明において、LED60の輝度を調整する動作を「調光」、LED60の色温度を調整する動作を「調色」と記述する。
【0091】
以下、照明システムの動作例(LED60の調光時及び調色時における動作例)について説明する。図4は、調光時における交流電圧、駆動電流等の波形説明図である。図5は、調色時における交流電圧、駆動電流等の波形説明図である。
【0092】
利用者が主電源スイッチ41(図2)を閉じる(オンにする)ことによって、LED60が点灯する。この主電源投入時におけるLED60の輝度及び色温度は不定である。もっとも、例えば、マイコン100の初期設定で所定の輝度及び色温度でLED60が点灯するように構成することもできる。
【0093】
利用者は、第1ステップとして、輝度を希望の値に変更することを意図して、操作部47(ダイヤル)を左右に回転させる。LED60を眺めて明るさを確認しながらダイヤルを回転させる。例えば、利用者がダイヤルを11時の位置にセットすると、図4(a)に示すように、点弧位相角度が60°で固定された状態となる。この段階では、LED60は、調整可能な輝度の範囲の中間よりやや明るい輝度で点灯する。この輝度に利用者が満足する場合には、利用者は、さらなるダイヤル操作が必要ないものとして、ダイヤルから手を離す。この動作が、第1ステップ終了の意図となる。
【0094】
第1ステップにおいて、マイコン100は、主電源投入から利用者が操作部47から手
を離すまでの間、調光動作プログラムを実行し、第1ステップにおける動作を行う。実施形態では、主電源投入によるマイコン100の初期状態として、マイコン100は、調光動作プログラムに従った動作を行う。すなわち、マイコン100は調光モードで動作する。
【0095】
調光動作プログラムの実行により、マイコン100は、ダイヤルの回転位置、すなわちトライアック42の点弧位相角度(導通時間)を刻々と計測する。マイコン100は、計測される点弧位相角度(導通時間)に従って定電流回路91を制御し、LED60をなすLED群60aに供給される駆動電流Ilowk,LED群60bに供給される駆動電流Ihikの合計値(Ilowk+Ihik)を増減する。結果としてLED60の輝度が所望の値に更新される。利用者はLED60の明るさを観測しながら操作部47のダイヤルの回転角度位置を刻々と調整することで、輝度を所望の明るさにすることができる。その後、上記したように、利用者が操作部47から手を離すことによって、点弧位相角度(導通時間)が変化しない状態が所定時間(例えば5秒)継続すると、マイコン100は、調光動作プログラムの実行を終了し、調色動作プログラムの実行を開始する。すなわち、制御モードが調色モードへ切り替わる。
【0096】
第2ステップとして、利用者がさらに色温度を希望の値に変更することを決定したと仮定する。例えば、第1ステップで手を操作部47から離してから5秒以降10秒以内の第1停止時間内に、利用者は、操作部47(ダイヤル)を11時の位置から、ふたたび左右に回転させる。利用者がLED60の色温度(色調)を眺めながらダイヤル操作を行い、色温度が所望の色を示す場合に、操作部47(ダイヤル)から再び手を離す。例えば、利用者が13時の位置でダイヤルから手を離したと仮定する。この場合、図3(b)に示すように、交流の点弧位相角度が120°で固定される。
【0097】
調色プログラムの実行時、すなわち、調色モードにおいて、マイコン100は、LED60の輝度を変化させること無く、すなわちLED駆動電流の合計値(Ilowk+Ihik)を
一定に保ったまま、駆動電流Ilowkの値と駆動電流Ihikの値の比を変更する。これによ
ってLED60の色温度が変化する。ダイヤルが操作されない時間、すなわち点弧位相角度(導通時間)が変更されない時間が発生すると、マイコン100はタイマの計時を開始する。所定時間(例えば5秒)経過する前に操作(導通時間)の変化が検知されなかった場合には、マイコン100は、利用者の調色操作が終了したものとして、駆動電流IlowkとIhikの値の比を固定した状態で制御モードを調光モードに戻す。これに対し、タイマ
が所定時間を計時する前に、操作の再開、すなわち導通時間の変化が検知された場合には、マイコン100は、タイマによる計時を終了して、調色モードを維持する。
【0098】
なお、マイコン100は、調光モードにおいて、タイマが所定時間(5秒)を計時し、調光モードから調色モードへ制御モードを切り換えた場合において、タイマの計時を継続することができる。そして、モード切替から所定時間が経過した場合、例えば、タイマが計時開始から10秒を計時した場合に、利用者に調色の意図がないものとして、調色モード切替時における駆動電流IlowkとIhikの値の比を固定した状態で、制御モードを調光
モードに切り換える。
【0099】
トライアック調光器である調光器40の負荷であるLED照明器50(LED60)は、上記した動作例に従って動作する。このため、利用者が、LED照明器50の利用に際して予め学習すべき規則は、操作部47のダイヤル操作を5秒以内の間隔で継続する限り、そのときのモード(調光または調色モードの一方)が継続され、ダイヤル操作を5秒以上休止するとモードが切り替わる、という単純な規則だけである。
【0100】
この5秒という数値は、利用者の社会通念、年齢層、社会階層など応じて変更可能な値
である。すなわち、市場の嗜好にあわせて設定可能な数値である。本願の出願人が実施した実験では、利用者が利便を感じる範囲は4秒±2秒(2〜6秒)であるという知見を得た。点弧位相角度(導通時間)の変化がない所定時間は、適宜設定可能であり、マイコン100に設定された所定時間を変更するためのユーザインタフェースが設けられていても良い。また、上記動作例では、調光及び調色モードの双方において、モード切替の契機となる所定時間は、同一の5秒である場合について説明した。但し、調光モードへの切替時と調色モードへの切替時とで、所定時間の長さが異なっていても良い。
【0101】
上記した調色モードの動作例において、マイコン100が輝度を一定に維持しつつ色温度を変える旨の説明を行った。この調色モード時に動作について以下に詳述する。
【0102】
図4(a)及び(b)は、トライアック42(調光器40)の導通電圧と、LED60の駆動電流との関係を示す。図4(b)に示す波形は、照明器が単純抵抗負荷(例えば、白熱電球)である場合の電流波形である。図4(a)及び(b)を見れば分かるように、電圧波形と電流波形は相似形であることは良く知られている。
【0103】
これに対し、図4(c)は、本実施形態のような定電流駆動負荷の場合の電流波形を示す。図4(c)の電流波形は、図4(a)に示す交流電圧波形と全く異なることが分かる。すなわち、定電流駆動回路(定電流回路81)を内蔵するLED照明器60においては、点弧直後から交流位相角度180°の直前まで、電圧波形の時間変化とは無関係に略一定の駆動電流が負荷(LED60)に供給される。
【0104】
ただし、電流波形は、整流回路83の設計によっては、図4(d)に示す充電波形(三角波)のように、点弧直後に大きな充電電流がキャパシタ84を充電し、直流電圧を維持することによって、交流位相180度の終了後(半サイクル終了後)も、図4(e)に示す駆動電流波形のように、負荷であるLED60に駆動電流を流し続けることが可能である。なお、図4(c)〜(e)は、整流回路83による全波整流後の電流波形である。
【0105】
上記したように、トライアック42の点弧直後にキャパシタ84を充電する比較的大きな電流が整流回路83から供給されるようにすることによって、トライアック調光器40のダイヤル位置(操作量)に関わらず、図4(e)に示したような直流電圧の維持を図ることができる。従って、所望の電流値でLED60を駆動することができる。
【0106】
図5(a)及び(b)を用いて、先に述べた利用者が行う11時位置から13時位置までの操作手順に加えて、調光器40の動作とLED60が消費する負荷電流の関係を説明する。
【0107】
利用者が調光器40の操作部47(ダイヤル)を操作して、操作部47のダイヤルを時計方向にまわすと、図4(a)に示す点弧位相角度60度から図5(a)に示す点弧位相角度120度の状態に遷移し、導通時間が減少する。このとき、照明器が白熱電球のような単純抵抗負荷ならば、図5(b)のような電圧比例波形の電流が流れる。しかし、本実施形態では図5(b)のようにならず、キャパシタ84を充電する電流が図5(d)のように流れ、点弧直後から図4(d)の略2倍の大きさの電流でキャパシタ84が充電される。これは、交流の非導通時間が長いのでキャパシタ84はLED消費電流により電圧が徐々に下がり、交流電源側とキャパシタ84側の電位差が拡大していることに起因する。
【0108】
キャパシタ84の容量が十分に大きい場合には、点弧位相角度が120度になって導通時間が減少しても、図5(e)のように略直流の負荷電流をLED60に対して連続的に供給することができる。なお、図5(c)〜(e)は、整流回路83による全波整流後の直流電流波形である。
【0109】
さらに、大容量のキャパシタ84の利用が困難な白熱電球互換形のLED照明器の場合には、図5(c)のように間欠的な直流電流がLED60に供給される。もっとも、人間の目には図5(e)のような連続的な直流電流供給による点灯と区別はつかないので、図5(c)のような直流電流の供給も適用可能である。
【0110】
上述したように、調光器40の操作部47のダイヤル位置に寄らず、LED60に供給すべき直流電源を確保することができる。このため、低ケルビン用のLED駆動電流Ilowkと、高ケルビン用のLED駆動電流Ihikは、図6(a)及び(b)のようにして調整
できる。
【0111】
すなわち、第1ステップ(調光モード)終了時における駆動電流Ilowkと、駆動電流Ihikとは、図6(a)のように、同量の駆動電流が供給されるようにすることができる。
これに対し、調色モードにおいて、ダイヤルを例えば13時の位置に移動すると、図6(b)に示すように、駆動電流I hikが増大する一方で、駆動電流Ilowkが減少し、全体と
しては青みがかった白色になる。このような動作は、バランス回路82に内蔵されたPWM回路によって、駆動電流I hikと駆動電流Ilowkとの比が変更されることによって実現
される。
【0112】
なお、図6(a)及び(b)に示すように、LED群60a,60bには、交流の正負の1サイクル期間に、バランス回路82で決定される時間の比で、時間t1のパルス電流が供給される。図6(a)に示す例では、同数(3つ)のパルス電流がLED群60a,60bに供給されているのに対し、図6(b)では、LED群60bに対して4つのパルス電流が供給される一方で、LED群60aに対して2つのパルス電流が供給されている。このように、電流の比が変更されるが、パルスの総数は変更されない。すなわち、駆動電流の合計値は一定である。従って、輝度が維持された状態で色温度を変更することができる。
【0113】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態では、既設の配線と既設のトライアック調光器40を利用する。このとき、トライアック調光器40の操作部47(ツマミ)の動作履歴、すなわちトライアックの点弧位相角度(導通時間)を照明機器側で記憶することにより、調光モードと調白モードの二つの動作モードを実現する。これにより、調光と調色の二つの機能を、配線工事を実施することなく一個の既設調光器で実現することができる。
【0114】
調光と調色の二つの制御を、一個のトライアック調光器40で実現することができるので、調光器の交換工事を実施することなく、負荷側の電球または光源をLED照明器50に変更することで、調光及び調色を実施可能なLED照明器を、きわめて容易に導入することができる。
【0115】
これによって、従来の白熱電球や蛍光灯を用いていた照明器を、LED照明器を用いて高性能化することが可能となる。さらに、白色照明にあってはより太陽光線のスペクトラムに近い演色性を実現することができる。
【0116】
また、発光スペクトラム(色温度)を可変とすることが従来より容易になるので、一個の照明器具でありながら昼光色から電球色まで広い範囲の色温度を連続的に可変にすることができる。
【0117】
なお、第1実施形態では、点弧位相角度に基づき導通時間が計測され、導通時間の履歴がメモリ101に記録される構成例について示した。この構成に代えて、導通時間の計測
が行われず、単に点弧位相角度が所定サイクル(例えば1サイクル)毎に検出され、点弧位相角度の履歴がメモリ101に記録されるようにしても良い。また、点弧位相角度(導通時間)の履歴がメモリ101に記録されると説明したが、メモリ101には、最後に検出された点弧位相角度(導通時間)が少なくとも記録されるようになっていれば良い。
【0118】
また、第1実施形態は、停電時からの復旧を考慮して、メモリ101に不揮発性記録媒体を適用し、現在LED60に供給されている平均電流の総量と、現在LED群60a,60bにそれぞれ供給されている平均電流の比とが不揮発性記録媒体に格納されるようにしても良い。この場合、停電からの復旧時において、マイコン100の輝度調整部103は、不揮発性記録媒体に格納されている総量でLED60に電流を供給する調整動作を行う一方で、色温度調整部104は、不揮発性記録媒体に格納されている比でLED群60a,60bに電流を流す調整動作を行う。これによって、復旧時に、停電前と同様の輝度及び色温度でLED60が発光することができる。
【0119】
不揮発性記録媒体には、現在選択されている制御モードを示すモード情報がさらに格納されるようにしても良い。この場合、復旧時において、停電時に選択されていた制御モードで動作を再開することができる。さらに、現在のタイマ値が不揮発性記録媒体に格納されるようにすることもできる。不揮発性記録媒体は、メモリ101から独立して用意することができる。
【0120】
また、第1実施形態では、トライアック42の導通時間に応じて、輝度及び色度(色温度)を調整する、2端子を有するLED照明器具(端子T3,T4を有するLED照明器50)について説明した。「導通時間」は、LED照明器50の2端子(端子T3,T4)を介して調光器40から周期的に供給される電力(電圧又は電流)のオン時間と捉えることができる。換言すれば、LED照明器50は、2端子を介して周期的に供給される電力のオン時間を検出し、オン時間に応じて輝度及び色度を調整することができる。したがって、点弧位相角度検出回路90の代わりに、直流電源からの周期的なオン時間を検出する検出回路がLED照明器50に具備され、当該検出回路がオン時間を示す信号をモード判定部102に入力するように第1実施形態は変形できる。検出回路として、例えば、直流電源に相当する整流回路91から出力される直流をPWM信号(パルス)と捉えてパルスのオン時間を計測する回路を適用することができる。このような変形例において、モード判定部102は、点弧位相角度から導通時間を求める処理を行わず、検出回路から入力されたオン時間を導通時間の代わりに用いる。
【0121】
また、第1実施形態では、所定時間(5秒)、導通時間が変化しないときにモードが切り替えられる。換言すれば、導通時間(オン時間)の変化がない状態が閾値(所定時間)以上継続することを条件としてモードが切り替えられる。第1実施形態では、調光モード(第1モード)から調色モード(第2モード)への切替と、調色モード(第2モード)から調光モード(第1モード)への切替との双方において、共通な閾値が使用される。但し、調光モードから調色モードへの切替と、調色モードから調光モードへの切替とのそれぞれに関して相互に異なる閾値(第1及び第2の閾値)が使用されても良い。
【0122】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は第1実施形態と同様の構成を有するので、主として相違点について説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0123】
第2実施形態では、第1実施形態と異なり、既設トライアック調光器40を新規な調光器に交換することによって、調光と調色との二つの機能を、小規模な配線器具交換工事のみで実現することにより、高い利便性を実現する。
【0124】
図7は、第2実施形態に係る照明システムの回路構成例を示す図である。照明システムは、調光器40Aと、LED照明器50Aとを含む。第2実施形態でも第1実施形態と同様の既設配線(母線10,給電線20,引き出し線30)を活用する。但し、第2実施形態は、既存のトライアック調光器を新規な調光器に交換が可能な場合について説明する。第2実施形態では、調光用の操作部47aと、調色用の操作部47bとの2以上の操作部を有する調光器40Aを適用する。これによって、第1実施形態よりも利便性の向上した照明システムを提供することができる。
【0125】
調光器(調光ボックス)40Aは、第1及び第2成形部としての、一対のIGBT(絶
縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)を備える。IGBTは、小電圧の入力信号で高電
圧の出力を開閉できる。IGBTは単一のバイポーラ・トランジスタであるので、図7に示すように、二つのIGBT48,49が逆極性で直列接続される。IGBT48,49夫々は、ダイオード32,33を備えている。第1及び第2成形部としてのIGBT48,49は、操作部47a,47bの操作に従って論理回路400で精製される制御信号(パルス信号)を用いて商用交流を変調(搬送波(商用交流)に制御信号(パルス信号)を載せる)する。
【0126】
調光器40Aは、調光用の操作部47a(第1ユーザインタフェース)と調色用の操作部47b(第2ユーザインタフェース)とを備えている。操作部47a,操作部47bの夫々は、輝度及び色温度の夫々を調整するためのダイヤルツマミ(ダイヤル)を有している。操作部47a,47bの夫々の操作量を示す信号は、論理回路400に与えられる。
【0127】
論理回路400は、操作部47a,47bの各操作量(ダイヤルの回転角度)を夫々検出する二つのロータリーエンコーダ(図示せず)を含んでいる。論理回路400は、操作部47aのダイヤル位置に応じた信号408,409をIGBT48,49のゲートに供給する。信号408は、コレクタ−エミッタ間の電流を所定期間停止させる逆方向の電流であり、信号408,409の出力タイミングは、操作部47aのダイヤル位置に依存する。信号408,409がIGBT48,49のゲートに供給されることで、IGBT48,49のコレクタ−エミッタ間を流れる電流(商用電源からの交流の正の半サイクルで流れる電流)の導通を所定期間(例えば1ms)停止させることができる。
【0128】
図8は、操作部47aの操作量と、交流波形との関係を示す図である。図8(a)に示すように、交流の正負の各半サイクルにおいて、図8(b)に示すような、操作部47aの操作量に応じたパルス信号(信号408,409)を生成し、IGBT48,49のゲートに与える。これにより、正負の各サイクルにおいて、交流が所定期間t4(例えば1ms)遮断される。
【0129】
これによって、商用電源からの交流電圧の正負の半サイクルは、操作部47aの操作量に応じた信号408,409の出力タイミングに従った遮断タイミングで所定期間t4だけ遮断された状態の波形となる。このような波形を有する交流電圧がLED照明器50Aに供給される。所定期間t4は、1msのような半サイクル期間(10ms:50Hzの場合)に比べて短い時間であるので、交流電圧は略正弦波と考えることができる。
【0130】
交流の正負の半サイクルにおけるパルス信号(信号408)による遮断のタイミングは、操作部47aのダイヤルの回転量(操作量)、すなわち輝度の制御量に依存する。図8(c),図8(e)に示すように、ダイヤルの操作量が輝度を増大する方向に大きくなるにしたがって、信号408,409の出力タイミングが早まり、交流の正負の半サイクルにおける遮断タイミングが早くなる。これによって、LED照明器50Aに供給される交流電圧の正負の半サイクルの波形を、輝度調整用の制御信号(輝度制御信号)が埋め込ま
れた(付与された)状態にすることができる。
【0131】
また、論理解路400は、操作部47bのダイヤル位置に応じた信号409をIGBT49のゲートに供給する。信号409の供給によって、商用電源からの交流の負の半サイクルにおいてIGBT49のコレクタ−エミッタ間を流れる電流を所定時間(例えば1ms)導通停止(遮断)させることができる。
【0132】
図9は、操作部47bの操作量と、交流波形との関係を示す図である。図9(a)に示すように、交流の負の半サイクルにおいて、図9(b)に示すような、パルス信号(信号409)を生成し、IGBT49のゲートに与える。これにより、交流が負のサイクルで所定期間t4(例えば1ms)遮断される。
【0133】
これによって、商用電源からの交流電圧の負の半サイクルは、信号409の出力タイミングに応じた遮断タイミングで所定期間t4だけ遮断された状態の波形となる。このような波形を有する交流電圧がLED照明器50Aに供給される。所定期間t4は、1msのような半サイクル期間(10ms:50Hzの場合)に比べて短い時間であるので、交流電圧は略正弦波と考えることができる。
【0134】
交流の負の半サイクルにおけるパルス信号(信号409)による遮断のタイミングは、操作部47bのツマミの回転量、すなわち色温度の制御量に依存する。図9(b),図9(d),図9(f)に示すように、ツマミの操作量が色温度を低下させる方向に大きくなるにしたがって、信号409の出力タイミングが早まり、交流の負の半サイクルにおける遮断タイミングが早くなる。これによって、LED照明器50Aに供給される交流電圧の負の半サイクルの波形を、色温度調整用の制御信号(色度制御信号)が埋め込まれた(付与された)状態にすることができる。
【0135】
上述したように、操作部47aを操作した場合には、信号408,409の発生により、正負の半サイクルにおける遮断位置(遮断位相角度)が変動する。これに対し、操作部47bを操作した場合には、信号409のみが発生し、負の半サイクルにおける遮断位置(遮断角度)が変動する。これは、制御装置側で、正負の遮断位置が同時に変動する場合を調光用の制御信号と判定し、負の遮断位置のみが変動する場合を調色用の制御信号と判定するためである。したがって、操作部47aを調色用の操作部とし、操作部47bを調光用の操作部としても良い。また、操作部47bの操作によって、信号408のみが生じ、正の半サイクルにおける遮断位置のみが変動するようにしても良い。
【0136】
LED照明器50Aは、遮断角度検出回路90Aを含んでいる。検出回路90Aは、調光器40A側から供給される交流を直流に変換する整流回路91と、整流回路91から出力される直流電圧からマイコン100の動作用直流電圧を生成する定電圧源92と、交流の正負の半サイクルにおける遮断タイミングを検出する角度検出回路93とを備えている。
【0137】
角度検出部93は、正負の半サイクルの夫々における遮断位相角度θ(調光情報、調色情報に相当)を検出して、マイコン100の振分部102A(判定部)に渡す。図7に示すように、第2実施形態のマイコン100は、モード判定部102(図1)の代わりの振分部102Aを有する。振分部102Aは、マイコン100がメモリ101に格納されたプログラムを実行することによって実現される機能である。振分部102Aは、正負の半サイクルの夫々における遮断位相角度θをメモリ101に履歴情報として記録する。このとき、振分部102Aは、1サイクル中の正負の遮断位相角度θを検出した場合に、各遮断位相角度θを、メモリ101に最後に記録した正負の遮断位相角度θと比較する。このとき、正負の遮断位相角度θの双方が変動している(差分を有する)場合には、振分部1
02Aは、調光操作が実施されたとの判断に基づき、検出された遮断位相角度θを輝度調整部103へ送る。
【0138】
これに対し、遮断位相角度θの比較において、負の遮断位相角度θのみが変動している場合には、振分部102Aは、調色操作が実施されたとの判断に基づき、検出された遮断位相角度θを色温度調整部104へ送る。
【0139】
輝度調整部103,色温度調整部104,及びLED60の構成は、第1実施形態とほぼ同様である。すなわち、輝度調整部103は、遮断位相角度θに応じた輝度でLED60が発光するように定電流回路81による駆動電流の供給を制御する。すなわち、輝度調整部103は、遮断位相角度θに応じて予め決定された駆動電流がLED60に供給されるように定電流回路81を制御する。
【0140】
例えば、LED照明器50Aに供給される交流電圧波形が図8(a)の場合には、遮断位相角度θが正(負)の半サイクルの後半に位置する。このため、利用者が低輝度でのLED60の発光を所望しているとの解釈の前提において、遮断位相角度θに対して予め決定されている、比較的小さい駆動電流値で駆動電流供給が行われるように、輝度調整部103は定電流回路81を制御する。
【0141】
また、交流電圧波形が図8(c)の場合には、遮断位相角度θが正(負)の半サイクルの半ばに位置する。このため、利用者が中輝度でのLED60の発光を所望しているとの解釈の前提において、遮断位相角度θに対して予め決定されている、比較的中程度の駆動電流値で駆動電流供給が行われるように、輝度調整部103は定電流回路81を制御する。
【0142】
また、交流電圧波形が図8(e)の場合には、遮断位相角度θが正(負)の半サイクルの前半に位置する。このため、利用者が高輝度でのLED60の発光を所望しているとの解釈の前提において、遮断位相角度θに対して予め決定されている、比較的高い駆動電流値で駆動電流供給が行われるように、輝度調整部103は定電流回路81を制御する。もっとも、上記例は、輝度が三段階で制御されることを示すものではなく、遮断位相角度θの値に応じた2以上の段階での輝度制御が可能である。
【0143】
色温度調整部104は、負の遮断位相角度θに応じた色温度でLED60が発光するように、バランス回路82の動作を制御する。すなわち、色温度調整部104は、負の遮断位相角度θに応じた駆動電流の比でLED60を構成するLED群60a(低色温度LED(低ケルビン温度用LED)),LED群60b(高色温度LED:高ケルビン温度用LED)の夫々に駆動電流を供給させる。
【0144】
例えば、LED照明器50Aに供給される交流電圧波形が図9(a)の場合には、遮断位相角度θが負の半サイクルの後半に位置する。このため、利用者が高色温度でのLED60の発光を所望しているとの解釈の前提において、遮断位相角度θに対して予め決定されているバランス(比)でLED群60a及び60bに駆動電流が供給されるように、色温度調整部104はバランス回路82を制御する。
【0145】
また、LED照明器50Aに供給される交流電圧波形が図9(c)の場合には、遮断位相角度θが負の半サイクルの半ばに位置する。このため、利用者が中色温度でのLED60の発光を所望しているとの解釈の前提において、遮断位相角度θに対して予め決定されているバランス(比)でLED群60a及び60bに駆動電流が供給されるように、色温度調整部104はバランス回路82を制御する。
【0146】
また、交流電圧波形が図9(c)の場合には、遮断位相角度θが負の半サイクルの前半に位置する。このため、利用者が低色温度でのLED60の発光を所望しているとの解釈の前提において、遮断位相角度θに対して予め決定されているバランス(比)でLED群60a及び60bに駆動電流が供給されるように、色温度調整部104はバランス回路82を制御する。もっとも、上記例は、色温度が三段階で制御されることを示すものではなく、遮断位相角度θの値に応じた2以上の段階での色温度制御が可能である。
【0147】
なお、信号408及び409に基づく正負のサイクルにおける遮断位相角度θは、メモリ101に記録される。このため、角度検出回路93で遮断角度θが検出されない場合には、振分部102Aは、メモリ101に最後に記録された正負の遮断角度θを輝度調整部103及び色温度調整部104に供給する。これによって、時間t4が0、すなわちt4の遮断時間が消滅しても、輝度及び色温度が維持される。
【0148】
なお、マイコン100は、本発明に係る検知手段(検知部),調光制御部,第1制御手段(第1制御部),調色制御部,第2制御手段(第2制御部)として機能する。具体的には、マイコン100で実現される振分部102Aは、検知手段(検知部)に相当し、輝度調整部103は、調光制御部及び第1制御手段(第1制御部)に相当し、色温度調整部104は、調色制御部及び第2制御手段(第2制御部)に相当する。なお、振分部102Aとしての機能は、専用又は汎用のハードウェア(例えば、LSI,ASIC,FPGA)によって実現することができる。
【0149】
第2実施形態によれば、調光器40Aが輝度調整用の操作部47aと、色温度調整用の操作部47bとを有している。これによって、利用者は、調光操作と調色操作と相互に独立して実施することができる。このため、第1実施形態に比べて、操作性の向上した照明システムを提供することができる。
【0150】
第2実施形態においても、既存の配線設備を用いるため、LED照明器50Aの導入による大幅な配線工事を回避することができ、LED照明器50A導入時の初期コストの低減を図ることができる。
【0151】
なお、第2実施形態でも、停電時からの復旧を考慮して、第1実施形態と同様に、メモリ101に不揮発性記録媒体を適用し、現在LED60に供給されている平均電流の総量と、現在LED群60a,60bにそれぞれ供給されている平均電流の比とが不揮発性記録媒体に格納されるようにしても良い。この場合、停電からの復旧時において、マイコン100の輝度調整部103は、不揮発性記録媒体に格納されている総量でLED60に電流を供給する調整動作を行う一方で、色温度調整部104は、不揮発性記録媒体に格納されている比でLED群60a,60bに電流を流す調整動作を行う。これによって、復旧時に、停電前と同様の輝度及び色温度でLED60が発光することができる。
【0152】
以上説明した実施形態では、調光器にトライアックを用いた例について説明した。但し、トライアックに代わるスイッチング素子、またはスイッチング回路として、例えば、MOS−FET、トランジスタ等を用いた回路、IGBT,SCR(Silicon Controlled Rectifier)のような素子で構成される回路を適用することができる。実施形態で説明した構成は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、適宜組み合わせることができる。
【0153】
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態として、第1及び第2実施形態で説明した定電流回路81及びバランス回路82(図1,図7)に係る他の実施形態について説明する。第3実施形態は、第1及び第2実施形態と共通点を有するので、主として相違点について説明し、共通点については説明を省略する。
【0154】
図10は、第3実施形態におけるLED照明器具50B構成例を示す図であり、第1実施形態及び第2実施形態における定電流回路及びバランス回路の構成例を示す。図10には、定電流回路81(図1、図7)として適用可能な定電流回路81A(第1回路に相当)と、バランス回路82として適用可能なバランス回路82A(第2回路に相当)とが示されている。なお、図10は、LED照明器具50Bが備える一部の構成を図示しており、LED照明器具50Bは、LED照明器具50(図1)、LED照明器具50A(図7)が備える一対の端子T3及びT4,点弧位相角度検出回路90,マイコン100,整流回路83、キャパシタ84を備えることができる(図10では、マイコン100を除いて図示を省略)。また、LED照明器具50Bは、図1や図7に示した接続形態で、交流電源(母線10)及び調光器40(調光調色器40A)と接続されることができる。
【0155】
定電流回路81Aは、図1、図7に図示した配線806及び配線821に接続される。定電流回路81Aは、オペアンプ831,抵抗832,pnp型のトランジスタ833,ツェナーダイオード834,抵抗835を含んでいる。
【0156】
配線806には、LED60の規格に応じた直流電流が供給される。配線821は、ツェナーダイオード834及び抵抗835を介して配線806に接続されており、オペアンプ831の一方の入力端は、ツェナーダイオード834と抵抗835との間に接続されている。配線806は、抵抗832を介してトランジスタ833のコレクタに接続されており、オペアンプ831の他方の入力端は、抵抗832とトランジスタ833のコレクタとの間に接続されている。トランジスタ833のベースは、オペアンプ831の出力端に接続され、トランジスタ833のエミッタは、LED60の各LED群60a,60bの入力端に接続されている。
【0157】
配線821には、マイコン100(輝度調整部103)で決定された輝度値に応じたアナログ電位が生じる。このとき、決定された輝度値が輝度の上昇を示す場合には、配線821のアナログ電位が下降する。これにより、オペアンプ831の出力であるトランジスタ833のベース電位が下降し、トランジスタ833のエミッタ電流が増加する。従って、LED60の各LED群60a,60bに供給される平均電流の総量が増加してLED60から発する光が明るくなる(輝度が上昇する)。
【0158】
これに対し、LED60の輝度を低下させる場合には、マイコン100(輝度調整部103)は、配線821のアナログ電位を上昇させる。すると、トランジスタ833のベース電流が上昇し、トランジスタ833のエミッタ電流が減少する。従って、LED60の各LED群60a,60bに供給される平均電流の総量が減少し、LED60から発する光が暗くなる(輝度が低下する)。このようにして、LED60から発せられる光(合成光)の輝度が制御される。定電流回路81は、LED60に供給される駆動電流の総量を規定する総電流規定回路として機能する。
【0159】
図10において、バランス回路82Aは、図1、図7に示した配線822,833(図1、図7では、1本の矢印線で図示)及び配線807に接続される。バランス回路82Aは、オペアンプ841,842と、抵抗846,843と、npn型のトランジスタ844,845とを含んでいる。
【0160】
配線822は、オペアンプ841の一方の端子に接続されている。トランジスタ844のコレクタは、LED群60aの出力端に接続され、トランジスタ844のエミッタは、抵抗843を介して配線807に接続されている。オペアンプ841の他方の入力端は、トランジスタ844のエミッタと抵抗843との間に接続され、トランジスタ844のベースは、オペアンプ841の出力端に接続されている。
【0161】
また、配線823は、オペアンプ842の一方の入力端に接続されている。トランジスタ845のコレクタは、LED群60bの出力端に接続され、トランジスタ845のエミッタは、抵抗846を介して配線807に接続されている。オペアンプ842の他方の入力端は、トランジスタ845のエミッタと抵抗846との間に接続され、トランジスタ845のベースは、オペアンプ842の出力端に接続されている。
【0162】
配線822及び配線823には、マイコン100(色温度調整部104)によって決定された色度(色温度)値に応じたアナログ電位が生じる。例えば、マイコン100(色温度調整部104)にて色温度を上昇させる色温度値が決定された場合には、マイコン100(色温度調整部104)によって、配線822のアナログ電位が上昇する一方で、配線823のアナログ電位が下降する。
【0163】
この結果、オペアンプ841の出力であるトランジスタ844のベース電位が下降し、トランジスタ844のコレクタ電流が減少する。逆に、オペアンプ842の出力であるトランジスタ845のベース電位は上昇し、トランジスタ845のコレクタ電流が増加する。
【0164】
上記作用によって、LED群60bを流れる電流量が減少する一方で、LED群60aを流れる電流量が増加する。ここで、第1実施形態において説明したように、LED群60bの色温度は、LED群60aの色温度より高い。従って、LED60から発せられる合成光の色温度が上昇する。
【0165】
逆に、マイコン100(色温度調整部104)にて色温度を低下させる色温度値が決定された場合には、マイコン100(色温度調整部104)によって、配線822のアナログ電位が下降する一方で、配線823のアナログ電位が上昇する。
【0166】
この結果、オペアンプ841の出力であるトランジスタ844のベース電位が上昇し、トランジスタ844のコレクタ電流が増加する。逆に、オペアンプ842の出力であるトランジスタ845のベース電位は低下し、トランジスタ845のコレクタ電流が減少する。
【0167】
上記作用によって、LED群60aを流れる電流量が増加する一方で、LED群60bを流れる電流量が減少する。従って、LED60から発せられる合成光の色温度が下降する。
【0168】
バランス回路82Aによって、定電流回路81Aから供給される駆動電流が、マイコン100(色温度調整部104)によって決定された色温度値に応じた比でLED群60aとLED群60bとに分配される。このように、バランス回路82Aは、LED群60a及び60bに供給される個別電流を調整する個別電流調整回路として機能する。
【0169】
上述した定電流回路81A及びバランス回路82Aを用いて、LED60から発せられる合成光の輝度及び色温度をリニア(連続的)に、又は離散的に変化させることができる。換言すれば、LED60の輝度及び色温度を所望の値に調整することが可能である。
【0170】
なお、図10に示した例では、バランス回路82Aから独立した定電流回路81Aが設けられている。これに対し、バランス回路82Aに対し、マイコン100(輝度調整部103)で得られた輝度値に基づき、LED群60a,60bにそれぞれ供給される平均電流の比が変わらない状態で、LED群60a,60bに供給される平均電流が夫々増減するようなアナログ電位を配線822及び823に生じさせる変形が可能である。このよう
な変形では、輝度調整もバランス回路82Aで実施することができる。したがって、定電流回路81Aを省略することができる。定電流回路81Aが省略される場合には、配線806が各LED60a,60bの入力端に接続される。
【0171】
以上説明した、第1〜第3実施形態で説明した構成は、本発明の目的を逸脱しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0172】
T1〜T4・・・端子
10・・・商用電源母線
20・・・照明器用給電線
20a・・・第1の給電線
20b・・・第2の給電線
20c・・・第3の給電線
30・・・照明器点滅用引き込み線
40・・・調光器
42・・・トライアック
47・・・操作部
50・・・LED照明器
60・・・LEDモジュール
60a,60b・・・LED群(第1LED及び第2LED)
81,81A・・・定電流回路
82,82A・・・バランス回路
100・・・マイクロコンピュータ
101・・・メモリ(記憶装置)
102・・・モード判定部
103・・・輝度調整部
104・・・色温度調整部
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)照明器(LED照明器具)、及びLED照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、白熱電球に代わる照明器具の一つとして、LEDを用いたLED電球が普及しつつある。白熱電球に代えてLED電球を適用する場合には、既存の建築物に設けられた配線設備や調光器を使用することで、LED電球導入に当たってのコスト低減が試みられている。
【0003】
例えば、白熱電球での回路接続では、二つの端子を夫々有する白熱電球、及び白熱電球用のトライアック調光器が夫々用いられる。トライアック調光器が備える二つの端子の一方は、商用電源に接続され、端子の他方は、白熱電球が備える一方の端子に接続される。また、白熱電球が備える他方の端子は、商用電源に接続される。このようにして、商用電源に対し、トライアック調光器及び白熱電球が直列接続される。
【0004】
トライアック調光器は、例えば、白熱電球の主電源と、白熱電球の輝度調整用の操作部(回転式、或いはスライド式のツマミ)と、操作部の操作量に応じて点弧タイミングが調整されるトライアックとを含んでいる。商用電源から供給される電圧は、トライアックが点弧(オン)してから電圧が0になるまでの点弧時間において、白熱電球に供給される。このように、点弧時間の長さで白熱電球に供給される電流量を調整することによって、白熱電球の輝度を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−524960号公報
【特許文献2】特開2008−218043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような、商用電源に対してトライアック調光器及び白熱電球を直列接続するための配線は、建築物の建築時に壁内や天井裏に配設されることが多い。このため、配線構造の変更は、壁や天井の破壊を招来する可能性がある。
【0007】
これに対し、既存の配線やトライアック調光器の使用により、LED照明器を導入することができれば、LED照明導入に係る初期コストを低減できる面で好ましい。さらに、既存の配線構造を維持した状態で、LED照明器の輝度及び色温度を調整することができれば、従来の白熱電球の代わりにLED照明器を導入する契機を消費者に提供することができる。
【0008】
しかしながら、既存の、商用電源に対して調光器とLED照明器とが直列接続される配線構造を有するLED照明システムにおいて、LED照明器の輝度と色温度との双方を調整できるものはなかった。
【0009】
本発明の一態様の目的は、電源に対してLED照明器と直列接続される調光器を用いてLED照明器(LED照明器具)の輝度及び色度の双方を調整可能な技術を提供することである。また、本発明の他の態様の目的は、2本の電線を介して電源から供給される電圧
又は電流を用いてLEDの輝度及び色度の双方を調整可能なLED照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明の第1の態様は、電源と一本の第1給電線を介して接続された調光器と一本の第2給電線を介して接続されるとともに、一本の第3給電線を介して前記電源に接続され、前記調光器が備えるユーザインタフェースの操作量に応じた導通制御部の点弧位相角度に応じた導通時間において、前記電源から供給される交流電流を受電するLED照明器であって、
同色で異なる発光スペクトル、又は異なる色で発光する第1及び第2のLEDモジュールと、
前記点弧位相角度及び前記点弧位相角度の時間変化を計測する計測部と、
前記受電された交流電流を用いて、前記点弧位相角度に基づく輝度で前記第1及び第2のLEDモジュールを発光させるための駆動電流を前記第1及び第2のLEDモジュールに夫々供給する調光手段と、
前記受電された交流電流を用いて、前記点弧位相角度に基づく色温度で前記第1及第2のLEDモジュールを発光させるための駆動電流を前記第1及び第2のLEDモジュールに夫々供給する調色手段と、
前記点弧位相角度の時間変化に基づいて、選択すべき制御モードを、前記調光手段によって調整された駆動電流が前記第1及び第2のLEDモジュールに供給される調光モードと、前記調色手段によって調整された駆動電流が前記第1及び第2のLEDモジュールに供給される調色モードとの間で切り替える選択手段と、
前記調光モードの選択状態において、前記点弧位相角度に基づく輝度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調光手段を制御する調光制御部と、
前記調色モードの選択状態において、前記点弧位相角度に基づく色温度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調色手段を制御する調色制御部と
を含むLED照明器である。
【0011】
本発明の第1の態様、及び後述する第2〜第4の態様における第1及び第2LEDモジュール、後述する第5及び第6の態様における第1及び第2LEDは、異なる「発光スペクトル」又は「色度」を有することができる。色度は、色相及び色温度を含む。また、第1の態様における「点弧位相角度の時間変化に基づいて」の語は、点弧位相角度そのものの時間変化を計測する場合と、点弧位相角度に基づく導通時間の時間変化を計測する場合との双方を含む。
【0012】
第1の態様において、前記選択手段は、前記LED照明器の主電源投入時には、前記調光モードと前記調色モードとの一方を選択し、前記調光モード及び前記調色モードとの一方において、前記点弧位相角度が変化しない時間が閾値を越えることを条件に、前記調光モード及び前記調色モードの一方を他方に切り替えるように構成されていても良い。
【0013】
また、第1の態様において、前記切替手段は、前記調光モードの選択状態において前記点弧位相角度の時間変化が所定範囲に収まる場合には、前記調光モードを維持し、
前記調光手段は、点弧位相角度の大きさに応じた平均電流値の駆動電流を前記第1及び第2LEDモジュールに供給するように構成されていても良い。
【0014】
また、第1の態様において、前記調色手段は、前記調色モードの選択状態において、前記点弧位相角度が減少傾向にある場合には色温度が上昇する一方で、前記点弧位相角度が増大する傾向にある場合には色温度が下降するように、前記第1及び第2のLEDモジュールに夫々供給される駆動電流の比を調整するように構成されていても良い。
【0015】
また、第1の態様におけるLED照明器は、一対の給電線の一方を介して前記調光器と接続される第1の端子と、前記一対の給電線の他方を介して前記電源と接続される第2の端子とからなる一対の2端子をさらに含むように構成されていても良い。
【0016】
また、第1の態様におけるLED照明器は、前記受電された交流電流を用いて前記導通時間の経過後も前記調光手段又は前記調色手段が駆動電流の供給を継続するための電荷を蓄える蓄電部をさらに含むように構成されていても良い。
【0017】
本発明の第2の態様は、電源と一本の給電線を介して接続される調光調色器と、前記調光調色器と一対の給電線の一方を介して接続される第1端子と前記電源と前記一対の給電線の他方を介して接続される第2端子とを備えるLED照明器とを含み、
前記調光調色器は、
輝度調整用の第1ユーザインタフェースと、
色温度調整用の第2ユーザインタフェースと、
電源から供給される交流電圧波形を前記第1ユーザインタフェースの操作量に応じた輝度制御信号を含む波形に成形する第1成形部と、
前記電源から供給される交流電圧波形を前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じた色温度制御信号を含む波形に成形する第2成形部と
を備え、
前記LED照明器は、
一方が前記調光調色器に接続され、他方が前記電源に接続された一対の端子と、
同色で異なる発光スペクトル、又は異なる色で発光する第1及び第2のLEDモジュールと、
前記受電された交流電圧波形が輝度制御信号と色温度制御信号のいずれを含むかを判定する判定部と、
前記第1及び第2のLEDモジュールに輝度調整用の駆動電流を供給する調光手段と、
前記第1及び第2のLEDモジュールに色温度調整用の駆動電流を供給する調色手段と、
前記輝度制御信号に応じた輝度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調光手段を制御する調光制御部と、
前記色温度制御信号に応じた色温度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調色手段を制御する調色制御部と
を備えるLED照明システムである。
【0018】
第2の態様において、前記第1成形部と前記第2成形部の一方は、前記交流電圧波形の正及び負のサイクルの双方において、前記第1又は前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じて電圧が所定量低下する区間を生成し、
前記第1成形部と前記第2成形部の他方は、前記交流電圧波形の正又は負のサイクルの一方において、前記第1又は前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じて電圧が所定量低下する区間を生成し、
前記判定部は、前記交流電圧波形の正及び負のサイクルの双方において電圧が所定量低下する区間が変動しているか否かを判定することによって、前記交流電圧波形が前記輝度制御信号と前記色温度制御信号のいずれを含むかを判定するように構成されていても良い。
【0019】
例えば、第1ユーザインタフェースの操作量に応じて、交流電圧波形の正負のサイクルの双方において電圧が所定量低下する区間が生成され、第2ユーザインタフェースの操作量に応じて、交流電圧波形の正負のサイクルの一方において電圧が所定量低下する区間が生成されるように第1成形部及び第2成形部を構成し、判定部が、正負のサイクルの双方
において電圧低下区間が変動している場合に、交流電圧波形が輝度制御信号を含むと判定し、正負のサイクルの一方における電圧低下区間が変動している場合に、交流電圧波形が色温度制御信号を含むと判定するように構成しても良い。
【0020】
また、第2の態様において、前記調光制御手段は、前記交流電圧波形中の前記輝度制御信号の位置を示す位相角度が小さくなるほど輝度が小さくなるように、前記調光手段を制御するように構成されていても良い。
【0021】
また、第2の態様において、前記色温度制御手段は、前記交流電圧波形中の前記色温度制御信号の位置を示す位相角度が小さくなるほど色温度が高くなるように、前記調色手段を制御するように構成されていても良い。
【0022】
また、本発明の第3の態様は、第2の態様における調光調色器であり、例えば、交流電源と一本の給電線を介して接続される第1端子と、一対の給電線の一方が前記交流電源に接続され且つ色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDを有するLED照明器具と前記一つの給電線の他方を介して接続される第2端子とからなる一対の端子と、
輝度調整用の第1ユーザインタフェースと、
色度調整用の第2ユーザインタフェースと、
前記交流電源から供給される交流電圧波形を前記第1ユーザインタフェースの操作量に応じた輝度制御信号を含む波形に成形する第1成形部と、
前記交流電源から供給される交流電圧波形を前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じた色度制御信号を含む波形に成形する第2成形部と、
前記輝度制御信号又は前記色度制御信号を含む波形の交流電圧を前記LED照明器具に供給する供給部と、を備える調光調色器である。
【0023】
また、本発明の第4の態様は、第2の態様におけるLED照明器具であり、例えば、交流電源と1本の給電線を介して接続された調光調色器と一対の給電線の一方を介して接続される第1端子と、前記交流電源と前記一対の給電線の他方を介して接続される第2端子とからなる一対の端子と、
色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
前記一対の端子によって前記調光調色器から得られた交流電圧波形が輝度制御信号と色度制御信号のいずれを含むかを判定する判定部と、
前記輝度制御信号に応じた輝度で前記第1LED及び第2LEDが発光するように、前記第1LED及び前記第2LEDへ供給される平均電流の総量を決定する第1制御部と、
前記色度制御信号に応じた色度で前記第1LED及び第2LEDが発光するように、前記第1LED及び前記第2LEDへ夫々供給される平均電流の比を決定する第2制御部とを備えるLED照明器具である。
【0024】
また、本発明の第5の態様は、2本の電線を介して電源に接続されるLED照明器具であって、
発光スペクトル又は色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
前記2本の電線から周期的に供給される電力のオン時間の長さを監視し、前記オン時間の長さが変化しない状態が閾値以上継続することを条件に、前記第1LED及び前記第2LEDの制御モードを第1モードと第2モードとの間で切り替える切替手段と、
前記第1モードにおいて、前記電力のオン時間の長さに応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との総量を決定する第1制御手段と、
前記第2モードにおいて、前記電力のオン時間の長さに応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との比を決定する第2制御手段とを含むLED照明器具である。
【0025】
第5の態様は、現在の制御モードを示すモード情報と、現在の前記総量及び前記比とを格納する不揮発性記録媒体をさらに含む構成を適用可能である。
【0026】
また、本発明の第6の態様は、2本の電線を介して電源に接続されるLED照明器具であって、
発光スペクトル又は色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
前記2本の電線から供給される周期的な電圧又は電流波形から調光情報及び調色情報を検知する検知手段と、
前記調光情報に応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との総量を決定する第1制御手段と、
前記調色情報に応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との比を決定する第2制御手段と
を含むLED照明器具である。
【0027】
第6の態様は、現在の前記総量及び前記比を格納する不揮発性記録媒体をさらに含む構成を適用可能である。
【0028】
本発明の第7の態様は、色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
2本の給電線によって得られる電圧又は電流の波形に基づいて、前記第1LED及び前記第2LEDに対して調光を実行するか調色を実行するかを判定する判定部と、
前記調光の実行時に、前記電圧又は電流波形に応じて前記第1LED及び前記第2LEDに供給すべき平均電流の総量を決定する第1制御部と、
前記調色の実行時に、前記電圧又は電流波形に応じて前記第1LED及び前記第2LEDに夫々供給すべき平均電流の比を決定する第2制御部と
を含むLED照明器具である。
【0029】
第7の態様は、前記第1制御部で決定された前記総量に応じた駆動電流を前記第1LED及び前記第2LEDに供給する第1回路と、
前記第1回路から供給される駆動電流が前記第2制御部で決定された前記比で前記第1LED及び前記第2LEDの夫々を流れるための調整を行う第2回路とをさらに含む構成を適用可能である。
【0030】
また、第7の態様は、前記第1制御部で決定された前記総量を有する駆動電流が且つ前記第2制御部で決定された前記比で前記第1LED及び前記第2LEDを流れるための調整を行う回路をさらに含む構成を適用可能である。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一態様によれば、電源に対してLED照明器と直列に接続される調光器を用いてLED照明の輝度及び色温度の双方を調整することができる。
【0032】
また、本発明の他の態様によれば、2本の電線を介して電源から供給される電圧又は電流を用いてLEDの輝度及び色度の双方を調整可能なLED照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、第1実施形態に係るLED照明装置であるLED照明器を含む照明システムの概要説明図である。
【図2】図2は、図1に示した照明システムの詳細構成例を示す図である。
【図3】図3は、調光器に印加される商用電源の交流波形と、トライアックの点弧によってLED照明器に供給される交流電圧との関係を示す図である。
【図4】図4は、調光時における交流電圧、駆動電流等の波形説明図である。
【図5】図5は、調色時における交流電圧、駆動電流等の波形説明図である。
【図6】図6は、バランス調整による駆動電流比の変更を示す波形図である。
【図7】図7は、第2実施形態に係る照明システムの回路構成例を示す図である。
【図8】図8は、操作部の操作量と、交流波形との関係を示す図である。
【図9】図9は、操作部の操作量と、交流波形との関係を示す図である。
【図10】図10は、第3実施形態における構成例を示す図であり、第1実施形態及び第2実施形態における定電流回路及びバランス回路の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0035】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係るLED照明装置(「LED照明器」、「LED照明器具」とも表記)の第1実施形態について説明する。第1実施形態では、室内の壁埋め込み形調光器を活用し、既存の2線配線を活用して、配線の入れ替え工事を行うことなく、調光制御(輝度調整)と調色制御(色温度調整)の両方を実現する。
【0036】
図1は、第1実施形態に係るLED照明装置であるLED照明器50を含むLED照明システム(以下、単に照明システムと表記)の概要説明図であり、図2は、図1に示した照明システムの詳細構成例を示す図である。
【0037】
図1は、照明システムの回路構成の概略を示している。図1には、二点鎖線で表された仮想線35を境界として電気配線設置空間(仮想線35の上側)と、照明システムの設置空間(仮想線35の下側)とが図示されている。照明システムの設置空間には、電気配線設置空間から引き出された配線に調光器40及びLED照明器50が接続される。
【0038】
電気配線設置空間は、通常、壁内や天井裏に設けられ、壁や天井によって照明システム設置空間と隔絶される。図1に示す電気配線設置空間には、白熱電球や蛍光灯のような既存の照明器用の配線構成が図示されている。すなわち、電気配線設置空間には、商用電源(交流100V、50Hz)が供給される一対の商用電源母線10と、一対の照明器用給電線20と、一対の照明器点滅用の引き込み線30とが配線される。
【0039】
照明器点滅用の引き込み線30には、一対の2端子T1,T2を有する調光器(調光ボックス)40が接続される。一方、照明器用給電線20には、一対の端子を有する照明機器が接続される。図1では、一対の端子T3,T4を有する白熱電球の代わりのLED照明器50が接続されている。
【0040】
図1において、照明器用給電線20及び引き込み線30は、例えば、母線10から引き出された給電線20a(第1給電線)及び20c(第3給電線)と、調光器40とLED照明器50とを結ぶ給電線20b(第2給電線)とからなる。
【0041】
すなわち、調光器40の端子T1,T2は、給電線20a及び20bに夫々接続されている。LED照明器50の端子T3は、給電線20bに接続されている。LED照明器50の端子T4は、給電線20cを介して母線10に接続されている。これによって、調光器40及びLED照明器50は、商用電源(母線10)に対して直列接続されている。
【0042】
上記したように、商用電源母線10,照明器用給電線20,及び引き込み線30が配線
される電気配線設置空間は、壁や天井により隔離される。また、調光器40は、壁に設置される。LED照明器50は、壁や天井に設けられた固定具により設置され、その際、ソケットやコネクタを介して給電線20と電気的に接続される。
【0043】
図1において、電気配線設置空間の配線状態を変更するには、壁や天井の一部の破壊を伴うことが少なくない。従って、照明器を白熱電球からLED照明器へ変更するために、電気配線設置空間における配線状態を変更することは、建築物の構造上不可能、或いは多大なコストを要する。一方、白熱電球用の調光器をそのままLED照明器に適用することができれば、LED照明器の導入に係る初期コストの低減を図る上で好ましい。
【0044】
図1に示す調光器40は、既存の白熱電球用の調光ボックスである。調光器40は、LED照明器50の点滅用のスイッチ(主電源スイッチ)41と、LED照明器50に供給される交流を制御するトライアック42(導通制御部)と、トライアック42の導通時間(点弧位相角度)を操作する操作部(ユーザインタフェース)47とを含んでいる。
【0045】
一方、図1に示すLED照明器50は、LED発光部(LEDモジュール)60(以下、「LED60」とも表記)と、調光器40からの電源波形(交流波形)から操作部47による制御操作を解析する解析部70と、解析部70の解析結果に応じてLED発光部60を駆動するLED駆動部80(以下、「駆動部80」とも表記)とを備えている。
【0046】
図2を用いて、調光器40及びLED照明器50をさらに詳細に説明する。図2において、調光器40は、端子T1及びT2と、主電源スイッチ41と、トライアック42と、トリガダイオード43と、時定数回路44とを有している。
【0047】
端子T1及びT2は、引き込み線30と接続されて、商用電源(交流100V、50Hz)からの電力を調光器40内に供給するための端子である。
【0048】
トライアック42は、交流1サイクルにおける正負の半サイクルにおいて、トリガダイオード43からのトリガ信号を受けてオンとなり(点弧し)、当該半サイクルが終了するまで端子T2に対して正又は負の電圧(電流)を供給し続ける。トリガダイオード43は、トライアック42が点弧するためのトリガ信号をトライアック42に供給する。
【0049】
時定数回路44は、トリガダイオード43がトライアック42にトリガ信号を供給するタイミングを制御する。時定数回路44は、抵抗器44aと、可変抵抗器44bと、キャパシタ(コンデンサ)44cとを有し、トリガダイオード43に接続されている。可変抵抗器44bの抵抗値は、操作部47の操作量に応じて可変する。
【0050】
抵抗器44a,可変抵抗器44b及びキャパシタ44cは、交流の正の半サイクル(サイクル前半)においてトリガダイオード43への印加電圧をチャージするCR時定数回路を構成し、抵抗器44a,可変抵抗器44b及びキャパシタ44cの抵抗値及び容量値で決まる時定数に従ってトリガダイオード43をオンにする。
【0051】
なお、図2では、正の半サイクルにおいてトライアック42を点弧させる時定数回路44が図示されているが、調光器40は、負の半サイクルにおいてトライアック42を点弧させる時定数回路(図示せず)も含んでいる。さらに、調光器40は、正負の半サイクルにおいてキャパシタ44cの残留電荷を除去して、ヒステリシスを除去するヒステリシス除去回路を含むこともできる。
【0052】
図3は、調光器40に印加される商用電源の交流波形と、トライアック42の点弧によってLED照明器50に供給される交流電圧との関係を示す図である。図3(a)に示す
ように、調光器40には、商用電源からのサインカーブの交流電圧が印加される。正の半サイクルにおいて、電圧印加の開始と同時に、時定数回路44のキャパシタ44cに対する正のチャージが開始され、キャパシタ44cにチャージされた電荷が所定量になる時間で、トリガダイオード43がトリガ信号をトライアック42に供給する。すると、トライアック42が正の半サイクルにおける所定角度θで点弧し、LED照明器50に対する正の電流供給を開始する。電流供給は正の半サイクルの終了まで継続される。同様の動作が、負の半サイクルにおいても行われる。
【0053】
このように、正負の各半サイクルで、時定数回路44の時定数に従ったタイミングでトライアック42が点弧し、LED照明器50に交流電力を供給する。すなわち、トライアック42は、点弧時間において、商用電源からの交流を導通させる。
【0054】
時定数は、可変抵抗器44bの抵抗値によって変化する。すなわち、可変抵抗器44bの抵抗値が小さくなる程、時定数は小さくなり、トライアック42が点弧するタイミングが早まる(図3(b)、図3(c)参照)。このように、可変抵抗器44bの抵抗値を操作部47の操作で変化させることで、トライアック42の点弧位相角度(導通時間)を可変にすることができる。
【0055】
図2において、LED照明器50は、図1に示した解析部70を構成する点弧位相角度検出回路90及びマイクロコンピュータ(マイコン)100と、LED60に対する駆動部(駆動回路)80とを備える。
【0056】
点弧位相角度検出回路90は、調光器40のトライアック42の点弧位相角度の制御により供給される交流を直流に変換する整流回路91と、整流回路91から出力される直流電圧からマイコン100の動作用直流電圧を生成する定電圧源92と、トライアック42の点弧位相角度を検出する角度検出回路93とを備えている。
【0057】
マイコン100は、メモリ(記憶装置)101と、選択手段としてのモード判定部102と、輝度制御部としての輝度調整部103と、色温度制御部としての色温度調整部104とを備えている。メモリ101は、マイコン100に含まれるプロセッサによって実行されるプログラムやプログラム実行時に使用されるデータを記憶する。また、メモリ101は、点弧位相角度から求まる導通時間の履歴を記録する記録領域を有する。
【0058】
モード判定部102は、導通時間の履歴を参照することによって、LED60の制御モードを、LED60の輝度を調整する調光モードと、LED60の色度(色温度)を調整する調色モードとの間で切り替える。
【0059】
すなわち、モード判定部102は、主電源スイッチ41の投入時には、初期設定として、調光モードを選択する。モード判定部102は、1サイクル毎の点弧位相角度を角度検出回路93から受け取り、点弧位相角度からトライアック42の半サイクルにおける導通時間を算出する。例えば、導通時間は、トライアック42の点弧開始時点Aから半サイクルの終了(電圧0)時点Bとの差分Cとして求められる。
【0060】
半サイクルにおける単位角度(例えば1度)あたりの時間は交流の周波数(実施形態では50Hz:1サイクル20ms)から求めることができる。すなわち、(180[度]−点弧角度[度])×(1度当たりの時間=約0.056[ms])で導通時間を算出することができる。
【0061】
モード判定部102は、調光モードにおいて、導通時間を輝度調整部103に与えるとともに、メモリ101に記録する。これによって、メモリ101には、1サイクル毎の導
通時間の履歴が格納される。
【0062】
また、モード判定部102は、1サイクルの導通時間を算出(計測)する毎に、メモリ101に最後に記録された導通時間との差分をとる。差分が0の場合には、タイマ(図示せず)による計時を開始する。差分が0の時間(導通時間の変化がない時間)が所定時間を超えると、制御モードを調色モードに切り替える(調色モードを選択する)。これに対し、差分が0である時間が所定時間を超えないうちに差分が検出された場合には、タイマによる計時を終了し、モード判定部102は、調光モードの選択を維持する。
【0063】
モード判定部102は、調色モードにおいて、調光モードと同様に、1サイクル毎の導通時間を計測し、メモリ101に記録するとともに、導通時間の差分を算出する。但し、調色モードでは、1サイクル毎の導通時間は、色温度調整部104に与えられる。モード判定部102は、調光モードと同様に、導通時間の差分が0になると、タイマを起動して導通時間の差分が0の時間を計測する。導通時間の差分が0の時間が所定時間を超えると、モード選択部102は、制御モードを再び調光モードに切り替える(調光モードを選択する)。もっとも、差分が0の時間が所定時間を超えないうちに差分が検出された場合には、モード判定部102は、タイマによる計時を終了し、調色モードの選択を維持する。
【0064】
このように、モード判定部102は、導通時間を監視して、導通時間に変化のない時間が所定時間を超えることを条件として、制御モードを切り替える。また、モード判定部102は、選択中のモードに応じて、導通時間を輝度調整部103と色温度調整部104との一方に与える。なお、上記説明では、モード判定部102は、1サイクル毎の導通時間を輝度調整部103又は色温度調整部104に供給するようにしているが、必要に応じて複数のサイクルに1回、導通時間を供給するようにしても良い。
【0065】
輝度制御部としての輝度調整部103は、モード判定部102から供給される導通時間(点弧位相角度)に応じた輝度でLED60が発光するように、駆動回路80に含まれる調光手段としての定電流回路81を制御する。例えば、輝度調整部103は、導通時間と駆動電流との相関を示すマップ又はテーブルを有し、導通時間に応じた駆動電流をマップ又はテーブルから求めてそのような駆動電流が供給されるように定電流回路81を制御する。
【0066】
マップに示される導通時間と駆動電流との相関関係は、任意に設定可能であり、導通時間の長さと駆動電流の大きさとが比例関係にあっても良い。或いは、導通時間の長さと駆動電流との関係は非線形であっても良い。例えば、導通時間の長さに応じて駆動電流が段階的に大きくなるようにしても良い。要は、利用者が輝度を上げる操作部47の操作を行った場合に、駆動電流値が増大し、利用者が輝度を下げる操作部47の操作を行った場合に駆動電流値が低下するようにされていれば良い。このような駆動電流の増減は、導通時間(点弧位相角度)と比例関係を有しなくても良い。
【0067】
定電流回路81は、輝度調整部103による制御下で、導電時間(点弧位相角度)に対して予め決定された駆動電流値で、LED60を構成するLED群60a(第1LEDモジュール),60b(第2LEDモジュール)の夫々に駆動電流を供給する。LED60に供給される駆動電流は、LED群60aに供給される駆動電流IlowkとLED群60bに供給される駆動電流Ihikとの合計値である。定電流回路81は、合計値を増減させる
ことで、LED群60a,60bに供給される駆動電流の平均電流値を増減する。これによって、LED60の輝度が上昇又は下降する。
【0068】
色温度制御部としての色温度調整部104は、調色モードにおいて、導通期間(点弧位相角度)に応じた色温度でLED60が発光するように、駆動回路80に含まれる調色手
段としてのバランス回路82を制御する。バランス回路82は、パルス幅変調(PWM)回路を含んでおり、LED群60aに供給される駆動電流IlowkとLED群60bに供給される駆動電流Ihikとの比を調整する。ここに、色温度調整部104は、例えば、導通
時間と駆動電流比との相関を示すマップ又はテーブルを有しており、導通時間に応じて予め決められた(マップ又はテーブルに格納された)駆動電流比で駆動電流Ilowkと及び駆動電流Ihikが供給されるように、バランス回路82を制御する。
【0069】
なお、モード判定部102,輝度調整部103,色温度調整部104は、マイコン100に含まれるプロセッサがプログラムを実行することによって実現される機能である。但し、モード判定部102,輝度調整部103,色温度調整部104は、専用又は汎用の電子回路(例えば、LSI(Large Scale Integration),ASIC(Application Specific Integrated Circuit),FPGA(Field Programmable Gate Array))を用いて構成される
こともできる。
【0070】
上記説明において、マイコン100は、本発明に係る計測部,選択手段(選択部),切替手段(切替部),判定部,調光制御部,第1制御手段(第1制御部),調色制御部,第2制御手段(第2制御部)として機能する。モード判定部102は、計測部,選択手段(選択部),切替手段(切替部)及び判定部に相当し、輝度調整部103は、調光制御部及び第1制御手段(第1制御部)に相当し、色温度調整部104は、調色制御部及び第2制御手段(第2制御部)に相当する。
【0071】
なお、上記説明では、点弧位相角度から導通時間を求めているが、導通時間を求め、導通時間の履歴を記録することは本発明の必須要件ではない。すなわち、導通時間の代わりに点弧位相角度の履歴が記録され、点弧位相角度に応じた駆動電流の合計値、或いは比で、LED60(LED群60a及び60b)の駆動制御が行われるようにしても良い。
【0072】
第1実施形態において、LED60は、例えば、サファイヤ基板上に製作された発光ダイオード群であって、複数個(例えば20個)のLED素子が夫々直列に接続された一組のLED群60a,LED群60bが同方向に並列配置されてなる。LED群60aは、第1LEDの一例であり、LED群60bは第2LEDの一例である。
【0073】
LED群60a,60bの夫々に含まれるLED素子の夫々は、発光波長が410nmで、順方向電流のときの端子電圧は3.5V、LED素子を20個直列に接続した場合には、70Vの直流で最大光量を発生する。
【0074】
LED群60aを構成する各LED素子には、発光波長410nmの光で刺激(励起)すると約3000°Kの白色を発光する蛍光体が埋め込まれている。これに対し、LED群60bを構成する各LED素子には、発光波長410nmの光で刺激(励起)すると約5000°Kの白色を発光する蛍光体が埋め込まれている。従って、LED群66aの発光により照射される白色光と、LED群66bの発光により照射される白色光とは色度(色温度)が異なっている。色度は、色相(hue),色温度(color temperature)を含む。
【0075】
なお、LED群60a,60bを構成するLED素子の数は適宜変更可能であり、一つのLED素子であっても良い。また、LED群60a,60bは、相互に異なる色温度の白色光を発光できれば良く、各LED群60a,60bが採り得る色温度は適宜選択可能である。また、LED60は、色温度が異なる白色光を発するLED群の組み合わせだけでなく、異なる色(色相:発光波長領域(発光スペクトル))を発する2つのLED群の組み合わせでも良い。異なる色(色相)の組み合わせは、例えば緑色と青色、黄色と赤色など、所望の組み合わせを適用することができる。このようなLED照明器は、ネオンサインとしての利用が考えられる。なお、色相は、赤、黄、緑、青といった色の様相の相違
であり、特定の波長が際立っていることによる変化である。色相は、例えば光の波長で特定することができ、色相の高低は波長の高低を以て表すことができる。色温度は、表現しようとする光の色(例えば白)をある温度の黒体から放射される光の色と対応させたときの温度である。
【0076】
以下、操作部47の操作と、LED60の輝度調整(調光)及び色温度調整(調色)について詳細に説明する。
【0077】
第1実施形態における調光器(調光器ボックス)40の操作部47は、ダイヤル式のツマミを有している。もっとも、ダイヤル式のツマミの代わりのスライドバーを有する操作部47であっても良い。
【0078】
第1実施形態では、LED照明器50の光量(輝度)を調整する場合には、操作部47のツマミを左回転させて明るくし、右回転させて暗くする。但し、このような設定は、説明上の便宜の目的の設定である。すなわち、現在において一般的に用いられる調光器は、回転型のダイヤルツマミ(ダイヤル)を時計方向に右回転すると、交流半サイクルにおける導通時間が増大する(例えば、図3(a)→図3(b))、このとき、調光器40に接続される照明器が白熱電球のような抵抗一定負荷である場合には、消費電力が増大し、白熱電球の輝度が上がる。
【0079】
また、第1実施形態における操作部47(ダイヤル)の回転角位置情報(操作量)は、LED60に対する駆動電流の導通時間の増減を制御するものではなく「利用者の意図情報」としてのみ利用する。このため、操作部47の操作量は、負荷の消費電力増減や輝度増減に直接関与しない。
【0080】
第1実施形態におけるLED60の消費電力は、純粋な抵抗器で近似できる白熱電球負荷とは異なり、トライアック42の点弧位相角度θとは独立に、負荷側の制御回路(マイコン100)の判断で決定される。
【0081】
図3を用いて、トライアック42を用いた第1実施形態におけるLED60の動作原理を説明する。第1実施形態では、図3(a)〜(c)に示すような、トライアック42の導通時間の長短(点弧位相角度)に拘らず、LED照明器50に内蔵される解析部70(輝度調整部103)が、LED60に供給する定電流値を決定する。したがって、LED60は、必ずしも電圧波形の瞬時値に比例した電力を消費しない。
【0082】
但し、図3(a)のように、トライアック42の点弧タイミング(点弧位相角度)が比較的遅く(導通時間が短く)、電圧波形の瞬時値が低い場合には、必要な電力をキャパシタ84(蓄電部)に蓄えてからLED60に対する駆動電流を継続的に供給する。
【0083】
例えば、図3(a)に示す例では、トライアック42の導通期間は、正の半サイクル後半の点弧位相角度θ=150°から位相角度θ=180°までの30度期間である。点弧位相角度150度における日本の商用正弦波交流(100V)の瞬時値は70.7Vであって、LED素子(動作電圧:例えば24〜30V)の点灯には十分である。
【0084】
しかし、点弧位相角度150度から180度に向かって正弦波交流の瞬時電圧は急激に減少する。したがって、LED60を構成するLED素子の駆動回路電源としては、70.7Vを供給する位相角度150度から、70.7Vの約1/2の電圧である35Vを供給する位相角度(略168度)までを、安定な動作を得る利用範囲として選択する。このような18度期間に大容量キャパシタ(キャパシタ84)を充電することによって、安定で継続的なLED電源を駆動回路80で生成することができる。
【0085】
上記例において要求されるキャパシタ84の充電電流は、交流半サイクル180度期間に消費する電力を18度期間内に充電する。このため、定常消費電流の約10倍の充電電流となる。例えば30ワットを消費するLED照明器の場合では、時間平均的には100Vrms(rmsは交流の実効値)で0.3Armsであるが、位相角度150度から位相角度1
68度までの平均電流はその10倍の3A程度と概算される。この値は、許容可能な電流値である。
【0086】
但し、瞬時電圧が100ボルト以上である位相90度±45度においては、この充電電流は略0.3A程度とする。
【0087】
LED60の電源を上記のように構成することによって、トライアック42の点弧位相角度とは独立にLED駆動電流を決定することが可能である。結果として、LED60の輝度をトライアック42の導通角度から独立に、利用者の意図に基づいて制御することができる。
【0088】
図2に示す調光器40は、トライアック42を用いた既存の調光器であり、操作部47のダイヤルツマミの回転量(操作量)に応じて、トライアック42の点弧位相角度θ(図3(a)〜(c)参照)を0度から180度の任意の値に調整することができる。
【0089】
第1実施形態では、説明の混乱を避ける目的で、調光器40の操作部47(ダイヤル)の位置角度の数値と、交流周期中の点弧位相角度の数値が一致するように、以下の定義とする。
【0090】
すなわち、ダイヤルを0時の位置を中心として左右に90°回転可能とする。そして、時計回り方向におけるダイヤルの回転終点である「3時の位置」を「角位置180度」と呼称し、かつ、点弧位相角度180度であり通常消費電力最小、と定義する。また、反時計回り方向におけるダイヤルの回転終点である「9時の位置」を「角位置0度」と呼称し、かつ、点弧位相角度0度であり通常消費電力最大、と定義する。さらに、以下の説明において、LED60の輝度を調整する動作を「調光」、LED60の色温度を調整する動作を「調色」と記述する。
【0091】
以下、照明システムの動作例(LED60の調光時及び調色時における動作例)について説明する。図4は、調光時における交流電圧、駆動電流等の波形説明図である。図5は、調色時における交流電圧、駆動電流等の波形説明図である。
【0092】
利用者が主電源スイッチ41(図2)を閉じる(オンにする)ことによって、LED60が点灯する。この主電源投入時におけるLED60の輝度及び色温度は不定である。もっとも、例えば、マイコン100の初期設定で所定の輝度及び色温度でLED60が点灯するように構成することもできる。
【0093】
利用者は、第1ステップとして、輝度を希望の値に変更することを意図して、操作部47(ダイヤル)を左右に回転させる。LED60を眺めて明るさを確認しながらダイヤルを回転させる。例えば、利用者がダイヤルを11時の位置にセットすると、図4(a)に示すように、点弧位相角度が60°で固定された状態となる。この段階では、LED60は、調整可能な輝度の範囲の中間よりやや明るい輝度で点灯する。この輝度に利用者が満足する場合には、利用者は、さらなるダイヤル操作が必要ないものとして、ダイヤルから手を離す。この動作が、第1ステップ終了の意図となる。
【0094】
第1ステップにおいて、マイコン100は、主電源投入から利用者が操作部47から手
を離すまでの間、調光動作プログラムを実行し、第1ステップにおける動作を行う。実施形態では、主電源投入によるマイコン100の初期状態として、マイコン100は、調光動作プログラムに従った動作を行う。すなわち、マイコン100は調光モードで動作する。
【0095】
調光動作プログラムの実行により、マイコン100は、ダイヤルの回転位置、すなわちトライアック42の点弧位相角度(導通時間)を刻々と計測する。マイコン100は、計測される点弧位相角度(導通時間)に従って定電流回路91を制御し、LED60をなすLED群60aに供給される駆動電流Ilowk,LED群60bに供給される駆動電流Ihikの合計値(Ilowk+Ihik)を増減する。結果としてLED60の輝度が所望の値に更新される。利用者はLED60の明るさを観測しながら操作部47のダイヤルの回転角度位置を刻々と調整することで、輝度を所望の明るさにすることができる。その後、上記したように、利用者が操作部47から手を離すことによって、点弧位相角度(導通時間)が変化しない状態が所定時間(例えば5秒)継続すると、マイコン100は、調光動作プログラムの実行を終了し、調色動作プログラムの実行を開始する。すなわち、制御モードが調色モードへ切り替わる。
【0096】
第2ステップとして、利用者がさらに色温度を希望の値に変更することを決定したと仮定する。例えば、第1ステップで手を操作部47から離してから5秒以降10秒以内の第1停止時間内に、利用者は、操作部47(ダイヤル)を11時の位置から、ふたたび左右に回転させる。利用者がLED60の色温度(色調)を眺めながらダイヤル操作を行い、色温度が所望の色を示す場合に、操作部47(ダイヤル)から再び手を離す。例えば、利用者が13時の位置でダイヤルから手を離したと仮定する。この場合、図3(b)に示すように、交流の点弧位相角度が120°で固定される。
【0097】
調色プログラムの実行時、すなわち、調色モードにおいて、マイコン100は、LED60の輝度を変化させること無く、すなわちLED駆動電流の合計値(Ilowk+Ihik)を
一定に保ったまま、駆動電流Ilowkの値と駆動電流Ihikの値の比を変更する。これによ
ってLED60の色温度が変化する。ダイヤルが操作されない時間、すなわち点弧位相角度(導通時間)が変更されない時間が発生すると、マイコン100はタイマの計時を開始する。所定時間(例えば5秒)経過する前に操作(導通時間)の変化が検知されなかった場合には、マイコン100は、利用者の調色操作が終了したものとして、駆動電流IlowkとIhikの値の比を固定した状態で制御モードを調光モードに戻す。これに対し、タイマ
が所定時間を計時する前に、操作の再開、すなわち導通時間の変化が検知された場合には、マイコン100は、タイマによる計時を終了して、調色モードを維持する。
【0098】
なお、マイコン100は、調光モードにおいて、タイマが所定時間(5秒)を計時し、調光モードから調色モードへ制御モードを切り換えた場合において、タイマの計時を継続することができる。そして、モード切替から所定時間が経過した場合、例えば、タイマが計時開始から10秒を計時した場合に、利用者に調色の意図がないものとして、調色モード切替時における駆動電流IlowkとIhikの値の比を固定した状態で、制御モードを調光
モードに切り換える。
【0099】
トライアック調光器である調光器40の負荷であるLED照明器50(LED60)は、上記した動作例に従って動作する。このため、利用者が、LED照明器50の利用に際して予め学習すべき規則は、操作部47のダイヤル操作を5秒以内の間隔で継続する限り、そのときのモード(調光または調色モードの一方)が継続され、ダイヤル操作を5秒以上休止するとモードが切り替わる、という単純な規則だけである。
【0100】
この5秒という数値は、利用者の社会通念、年齢層、社会階層など応じて変更可能な値
である。すなわち、市場の嗜好にあわせて設定可能な数値である。本願の出願人が実施した実験では、利用者が利便を感じる範囲は4秒±2秒(2〜6秒)であるという知見を得た。点弧位相角度(導通時間)の変化がない所定時間は、適宜設定可能であり、マイコン100に設定された所定時間を変更するためのユーザインタフェースが設けられていても良い。また、上記動作例では、調光及び調色モードの双方において、モード切替の契機となる所定時間は、同一の5秒である場合について説明した。但し、調光モードへの切替時と調色モードへの切替時とで、所定時間の長さが異なっていても良い。
【0101】
上記した調色モードの動作例において、マイコン100が輝度を一定に維持しつつ色温度を変える旨の説明を行った。この調色モード時に動作について以下に詳述する。
【0102】
図4(a)及び(b)は、トライアック42(調光器40)の導通電圧と、LED60の駆動電流との関係を示す。図4(b)に示す波形は、照明器が単純抵抗負荷(例えば、白熱電球)である場合の電流波形である。図4(a)及び(b)を見れば分かるように、電圧波形と電流波形は相似形であることは良く知られている。
【0103】
これに対し、図4(c)は、本実施形態のような定電流駆動負荷の場合の電流波形を示す。図4(c)の電流波形は、図4(a)に示す交流電圧波形と全く異なることが分かる。すなわち、定電流駆動回路(定電流回路81)を内蔵するLED照明器60においては、点弧直後から交流位相角度180°の直前まで、電圧波形の時間変化とは無関係に略一定の駆動電流が負荷(LED60)に供給される。
【0104】
ただし、電流波形は、整流回路83の設計によっては、図4(d)に示す充電波形(三角波)のように、点弧直後に大きな充電電流がキャパシタ84を充電し、直流電圧を維持することによって、交流位相180度の終了後(半サイクル終了後)も、図4(e)に示す駆動電流波形のように、負荷であるLED60に駆動電流を流し続けることが可能である。なお、図4(c)〜(e)は、整流回路83による全波整流後の電流波形である。
【0105】
上記したように、トライアック42の点弧直後にキャパシタ84を充電する比較的大きな電流が整流回路83から供給されるようにすることによって、トライアック調光器40のダイヤル位置(操作量)に関わらず、図4(e)に示したような直流電圧の維持を図ることができる。従って、所望の電流値でLED60を駆動することができる。
【0106】
図5(a)及び(b)を用いて、先に述べた利用者が行う11時位置から13時位置までの操作手順に加えて、調光器40の動作とLED60が消費する負荷電流の関係を説明する。
【0107】
利用者が調光器40の操作部47(ダイヤル)を操作して、操作部47のダイヤルを時計方向にまわすと、図4(a)に示す点弧位相角度60度から図5(a)に示す点弧位相角度120度の状態に遷移し、導通時間が減少する。このとき、照明器が白熱電球のような単純抵抗負荷ならば、図5(b)のような電圧比例波形の電流が流れる。しかし、本実施形態では図5(b)のようにならず、キャパシタ84を充電する電流が図5(d)のように流れ、点弧直後から図4(d)の略2倍の大きさの電流でキャパシタ84が充電される。これは、交流の非導通時間が長いのでキャパシタ84はLED消費電流により電圧が徐々に下がり、交流電源側とキャパシタ84側の電位差が拡大していることに起因する。
【0108】
キャパシタ84の容量が十分に大きい場合には、点弧位相角度が120度になって導通時間が減少しても、図5(e)のように略直流の負荷電流をLED60に対して連続的に供給することができる。なお、図5(c)〜(e)は、整流回路83による全波整流後の直流電流波形である。
【0109】
さらに、大容量のキャパシタ84の利用が困難な白熱電球互換形のLED照明器の場合には、図5(c)のように間欠的な直流電流がLED60に供給される。もっとも、人間の目には図5(e)のような連続的な直流電流供給による点灯と区別はつかないので、図5(c)のような直流電流の供給も適用可能である。
【0110】
上述したように、調光器40の操作部47のダイヤル位置に寄らず、LED60に供給すべき直流電源を確保することができる。このため、低ケルビン用のLED駆動電流Ilowkと、高ケルビン用のLED駆動電流Ihikは、図6(a)及び(b)のようにして調整
できる。
【0111】
すなわち、第1ステップ(調光モード)終了時における駆動電流Ilowkと、駆動電流Ihikとは、図6(a)のように、同量の駆動電流が供給されるようにすることができる。
これに対し、調色モードにおいて、ダイヤルを例えば13時の位置に移動すると、図6(b)に示すように、駆動電流I hikが増大する一方で、駆動電流Ilowkが減少し、全体と
しては青みがかった白色になる。このような動作は、バランス回路82に内蔵されたPWM回路によって、駆動電流I hikと駆動電流Ilowkとの比が変更されることによって実現
される。
【0112】
なお、図6(a)及び(b)に示すように、LED群60a,60bには、交流の正負の1サイクル期間に、バランス回路82で決定される時間の比で、時間t1のパルス電流が供給される。図6(a)に示す例では、同数(3つ)のパルス電流がLED群60a,60bに供給されているのに対し、図6(b)では、LED群60bに対して4つのパルス電流が供給される一方で、LED群60aに対して2つのパルス電流が供給されている。このように、電流の比が変更されるが、パルスの総数は変更されない。すなわち、駆動電流の合計値は一定である。従って、輝度が維持された状態で色温度を変更することができる。
【0113】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態では、既設の配線と既設のトライアック調光器40を利用する。このとき、トライアック調光器40の操作部47(ツマミ)の動作履歴、すなわちトライアックの点弧位相角度(導通時間)を照明機器側で記憶することにより、調光モードと調白モードの二つの動作モードを実現する。これにより、調光と調色の二つの機能を、配線工事を実施することなく一個の既設調光器で実現することができる。
【0114】
調光と調色の二つの制御を、一個のトライアック調光器40で実現することができるので、調光器の交換工事を実施することなく、負荷側の電球または光源をLED照明器50に変更することで、調光及び調色を実施可能なLED照明器を、きわめて容易に導入することができる。
【0115】
これによって、従来の白熱電球や蛍光灯を用いていた照明器を、LED照明器を用いて高性能化することが可能となる。さらに、白色照明にあってはより太陽光線のスペクトラムに近い演色性を実現することができる。
【0116】
また、発光スペクトラム(色温度)を可変とすることが従来より容易になるので、一個の照明器具でありながら昼光色から電球色まで広い範囲の色温度を連続的に可変にすることができる。
【0117】
なお、第1実施形態では、点弧位相角度に基づき導通時間が計測され、導通時間の履歴がメモリ101に記録される構成例について示した。この構成に代えて、導通時間の計測
が行われず、単に点弧位相角度が所定サイクル(例えば1サイクル)毎に検出され、点弧位相角度の履歴がメモリ101に記録されるようにしても良い。また、点弧位相角度(導通時間)の履歴がメモリ101に記録されると説明したが、メモリ101には、最後に検出された点弧位相角度(導通時間)が少なくとも記録されるようになっていれば良い。
【0118】
また、第1実施形態は、停電時からの復旧を考慮して、メモリ101に不揮発性記録媒体を適用し、現在LED60に供給されている平均電流の総量と、現在LED群60a,60bにそれぞれ供給されている平均電流の比とが不揮発性記録媒体に格納されるようにしても良い。この場合、停電からの復旧時において、マイコン100の輝度調整部103は、不揮発性記録媒体に格納されている総量でLED60に電流を供給する調整動作を行う一方で、色温度調整部104は、不揮発性記録媒体に格納されている比でLED群60a,60bに電流を流す調整動作を行う。これによって、復旧時に、停電前と同様の輝度及び色温度でLED60が発光することができる。
【0119】
不揮発性記録媒体には、現在選択されている制御モードを示すモード情報がさらに格納されるようにしても良い。この場合、復旧時において、停電時に選択されていた制御モードで動作を再開することができる。さらに、現在のタイマ値が不揮発性記録媒体に格納されるようにすることもできる。不揮発性記録媒体は、メモリ101から独立して用意することができる。
【0120】
また、第1実施形態では、トライアック42の導通時間に応じて、輝度及び色度(色温度)を調整する、2端子を有するLED照明器具(端子T3,T4を有するLED照明器50)について説明した。「導通時間」は、LED照明器50の2端子(端子T3,T4)を介して調光器40から周期的に供給される電力(電圧又は電流)のオン時間と捉えることができる。換言すれば、LED照明器50は、2端子を介して周期的に供給される電力のオン時間を検出し、オン時間に応じて輝度及び色度を調整することができる。したがって、点弧位相角度検出回路90の代わりに、直流電源からの周期的なオン時間を検出する検出回路がLED照明器50に具備され、当該検出回路がオン時間を示す信号をモード判定部102に入力するように第1実施形態は変形できる。検出回路として、例えば、直流電源に相当する整流回路91から出力される直流をPWM信号(パルス)と捉えてパルスのオン時間を計測する回路を適用することができる。このような変形例において、モード判定部102は、点弧位相角度から導通時間を求める処理を行わず、検出回路から入力されたオン時間を導通時間の代わりに用いる。
【0121】
また、第1実施形態では、所定時間(5秒)、導通時間が変化しないときにモードが切り替えられる。換言すれば、導通時間(オン時間)の変化がない状態が閾値(所定時間)以上継続することを条件としてモードが切り替えられる。第1実施形態では、調光モード(第1モード)から調色モード(第2モード)への切替と、調色モード(第2モード)から調光モード(第1モード)への切替との双方において、共通な閾値が使用される。但し、調光モードから調色モードへの切替と、調色モードから調光モードへの切替とのそれぞれに関して相互に異なる閾値(第1及び第2の閾値)が使用されても良い。
【0122】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は第1実施形態と同様の構成を有するので、主として相違点について説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0123】
第2実施形態では、第1実施形態と異なり、既設トライアック調光器40を新規な調光器に交換することによって、調光と調色との二つの機能を、小規模な配線器具交換工事のみで実現することにより、高い利便性を実現する。
【0124】
図7は、第2実施形態に係る照明システムの回路構成例を示す図である。照明システムは、調光器40Aと、LED照明器50Aとを含む。第2実施形態でも第1実施形態と同様の既設配線(母線10,給電線20,引き出し線30)を活用する。但し、第2実施形態は、既存のトライアック調光器を新規な調光器に交換が可能な場合について説明する。第2実施形態では、調光用の操作部47aと、調色用の操作部47bとの2以上の操作部を有する調光器40Aを適用する。これによって、第1実施形態よりも利便性の向上した照明システムを提供することができる。
【0125】
調光器(調光ボックス)40Aは、第1及び第2成形部としての、一対のIGBT(絶
縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)を備える。IGBTは、小電圧の入力信号で高電
圧の出力を開閉できる。IGBTは単一のバイポーラ・トランジスタであるので、図7に示すように、二つのIGBT48,49が逆極性で直列接続される。IGBT48,49夫々は、ダイオード32,33を備えている。第1及び第2成形部としてのIGBT48,49は、操作部47a,47bの操作に従って論理回路400で精製される制御信号(パルス信号)を用いて商用交流を変調(搬送波(商用交流)に制御信号(パルス信号)を載せる)する。
【0126】
調光器40Aは、調光用の操作部47a(第1ユーザインタフェース)と調色用の操作部47b(第2ユーザインタフェース)とを備えている。操作部47a,操作部47bの夫々は、輝度及び色温度の夫々を調整するためのダイヤルツマミ(ダイヤル)を有している。操作部47a,47bの夫々の操作量を示す信号は、論理回路400に与えられる。
【0127】
論理回路400は、操作部47a,47bの各操作量(ダイヤルの回転角度)を夫々検出する二つのロータリーエンコーダ(図示せず)を含んでいる。論理回路400は、操作部47aのダイヤル位置に応じた信号408,409をIGBT48,49のゲートに供給する。信号408は、コレクタ−エミッタ間の電流を所定期間停止させる逆方向の電流であり、信号408,409の出力タイミングは、操作部47aのダイヤル位置に依存する。信号408,409がIGBT48,49のゲートに供給されることで、IGBT48,49のコレクタ−エミッタ間を流れる電流(商用電源からの交流の正の半サイクルで流れる電流)の導通を所定期間(例えば1ms)停止させることができる。
【0128】
図8は、操作部47aの操作量と、交流波形との関係を示す図である。図8(a)に示すように、交流の正負の各半サイクルにおいて、図8(b)に示すような、操作部47aの操作量に応じたパルス信号(信号408,409)を生成し、IGBT48,49のゲートに与える。これにより、正負の各サイクルにおいて、交流が所定期間t4(例えば1ms)遮断される。
【0129】
これによって、商用電源からの交流電圧の正負の半サイクルは、操作部47aの操作量に応じた信号408,409の出力タイミングに従った遮断タイミングで所定期間t4だけ遮断された状態の波形となる。このような波形を有する交流電圧がLED照明器50Aに供給される。所定期間t4は、1msのような半サイクル期間(10ms:50Hzの場合)に比べて短い時間であるので、交流電圧は略正弦波と考えることができる。
【0130】
交流の正負の半サイクルにおけるパルス信号(信号408)による遮断のタイミングは、操作部47aのダイヤルの回転量(操作量)、すなわち輝度の制御量に依存する。図8(c),図8(e)に示すように、ダイヤルの操作量が輝度を増大する方向に大きくなるにしたがって、信号408,409の出力タイミングが早まり、交流の正負の半サイクルにおける遮断タイミングが早くなる。これによって、LED照明器50Aに供給される交流電圧の正負の半サイクルの波形を、輝度調整用の制御信号(輝度制御信号)が埋め込ま
れた(付与された)状態にすることができる。
【0131】
また、論理解路400は、操作部47bのダイヤル位置に応じた信号409をIGBT49のゲートに供給する。信号409の供給によって、商用電源からの交流の負の半サイクルにおいてIGBT49のコレクタ−エミッタ間を流れる電流を所定時間(例えば1ms)導通停止(遮断)させることができる。
【0132】
図9は、操作部47bの操作量と、交流波形との関係を示す図である。図9(a)に示すように、交流の負の半サイクルにおいて、図9(b)に示すような、パルス信号(信号409)を生成し、IGBT49のゲートに与える。これにより、交流が負のサイクルで所定期間t4(例えば1ms)遮断される。
【0133】
これによって、商用電源からの交流電圧の負の半サイクルは、信号409の出力タイミングに応じた遮断タイミングで所定期間t4だけ遮断された状態の波形となる。このような波形を有する交流電圧がLED照明器50Aに供給される。所定期間t4は、1msのような半サイクル期間(10ms:50Hzの場合)に比べて短い時間であるので、交流電圧は略正弦波と考えることができる。
【0134】
交流の負の半サイクルにおけるパルス信号(信号409)による遮断のタイミングは、操作部47bのツマミの回転量、すなわち色温度の制御量に依存する。図9(b),図9(d),図9(f)に示すように、ツマミの操作量が色温度を低下させる方向に大きくなるにしたがって、信号409の出力タイミングが早まり、交流の負の半サイクルにおける遮断タイミングが早くなる。これによって、LED照明器50Aに供給される交流電圧の負の半サイクルの波形を、色温度調整用の制御信号(色度制御信号)が埋め込まれた(付与された)状態にすることができる。
【0135】
上述したように、操作部47aを操作した場合には、信号408,409の発生により、正負の半サイクルにおける遮断位置(遮断位相角度)が変動する。これに対し、操作部47bを操作した場合には、信号409のみが発生し、負の半サイクルにおける遮断位置(遮断角度)が変動する。これは、制御装置側で、正負の遮断位置が同時に変動する場合を調光用の制御信号と判定し、負の遮断位置のみが変動する場合を調色用の制御信号と判定するためである。したがって、操作部47aを調色用の操作部とし、操作部47bを調光用の操作部としても良い。また、操作部47bの操作によって、信号408のみが生じ、正の半サイクルにおける遮断位置のみが変動するようにしても良い。
【0136】
LED照明器50Aは、遮断角度検出回路90Aを含んでいる。検出回路90Aは、調光器40A側から供給される交流を直流に変換する整流回路91と、整流回路91から出力される直流電圧からマイコン100の動作用直流電圧を生成する定電圧源92と、交流の正負の半サイクルにおける遮断タイミングを検出する角度検出回路93とを備えている。
【0137】
角度検出部93は、正負の半サイクルの夫々における遮断位相角度θ(調光情報、調色情報に相当)を検出して、マイコン100の振分部102A(判定部)に渡す。図7に示すように、第2実施形態のマイコン100は、モード判定部102(図1)の代わりの振分部102Aを有する。振分部102Aは、マイコン100がメモリ101に格納されたプログラムを実行することによって実現される機能である。振分部102Aは、正負の半サイクルの夫々における遮断位相角度θをメモリ101に履歴情報として記録する。このとき、振分部102Aは、1サイクル中の正負の遮断位相角度θを検出した場合に、各遮断位相角度θを、メモリ101に最後に記録した正負の遮断位相角度θと比較する。このとき、正負の遮断位相角度θの双方が変動している(差分を有する)場合には、振分部1
02Aは、調光操作が実施されたとの判断に基づき、検出された遮断位相角度θを輝度調整部103へ送る。
【0138】
これに対し、遮断位相角度θの比較において、負の遮断位相角度θのみが変動している場合には、振分部102Aは、調色操作が実施されたとの判断に基づき、検出された遮断位相角度θを色温度調整部104へ送る。
【0139】
輝度調整部103,色温度調整部104,及びLED60の構成は、第1実施形態とほぼ同様である。すなわち、輝度調整部103は、遮断位相角度θに応じた輝度でLED60が発光するように定電流回路81による駆動電流の供給を制御する。すなわち、輝度調整部103は、遮断位相角度θに応じて予め決定された駆動電流がLED60に供給されるように定電流回路81を制御する。
【0140】
例えば、LED照明器50Aに供給される交流電圧波形が図8(a)の場合には、遮断位相角度θが正(負)の半サイクルの後半に位置する。このため、利用者が低輝度でのLED60の発光を所望しているとの解釈の前提において、遮断位相角度θに対して予め決定されている、比較的小さい駆動電流値で駆動電流供給が行われるように、輝度調整部103は定電流回路81を制御する。
【0141】
また、交流電圧波形が図8(c)の場合には、遮断位相角度θが正(負)の半サイクルの半ばに位置する。このため、利用者が中輝度でのLED60の発光を所望しているとの解釈の前提において、遮断位相角度θに対して予め決定されている、比較的中程度の駆動電流値で駆動電流供給が行われるように、輝度調整部103は定電流回路81を制御する。
【0142】
また、交流電圧波形が図8(e)の場合には、遮断位相角度θが正(負)の半サイクルの前半に位置する。このため、利用者が高輝度でのLED60の発光を所望しているとの解釈の前提において、遮断位相角度θに対して予め決定されている、比較的高い駆動電流値で駆動電流供給が行われるように、輝度調整部103は定電流回路81を制御する。もっとも、上記例は、輝度が三段階で制御されることを示すものではなく、遮断位相角度θの値に応じた2以上の段階での輝度制御が可能である。
【0143】
色温度調整部104は、負の遮断位相角度θに応じた色温度でLED60が発光するように、バランス回路82の動作を制御する。すなわち、色温度調整部104は、負の遮断位相角度θに応じた駆動電流の比でLED60を構成するLED群60a(低色温度LED(低ケルビン温度用LED)),LED群60b(高色温度LED:高ケルビン温度用LED)の夫々に駆動電流を供給させる。
【0144】
例えば、LED照明器50Aに供給される交流電圧波形が図9(a)の場合には、遮断位相角度θが負の半サイクルの後半に位置する。このため、利用者が高色温度でのLED60の発光を所望しているとの解釈の前提において、遮断位相角度θに対して予め決定されているバランス(比)でLED群60a及び60bに駆動電流が供給されるように、色温度調整部104はバランス回路82を制御する。
【0145】
また、LED照明器50Aに供給される交流電圧波形が図9(c)の場合には、遮断位相角度θが負の半サイクルの半ばに位置する。このため、利用者が中色温度でのLED60の発光を所望しているとの解釈の前提において、遮断位相角度θに対して予め決定されているバランス(比)でLED群60a及び60bに駆動電流が供給されるように、色温度調整部104はバランス回路82を制御する。
【0146】
また、交流電圧波形が図9(c)の場合には、遮断位相角度θが負の半サイクルの前半に位置する。このため、利用者が低色温度でのLED60の発光を所望しているとの解釈の前提において、遮断位相角度θに対して予め決定されているバランス(比)でLED群60a及び60bに駆動電流が供給されるように、色温度調整部104はバランス回路82を制御する。もっとも、上記例は、色温度が三段階で制御されることを示すものではなく、遮断位相角度θの値に応じた2以上の段階での色温度制御が可能である。
【0147】
なお、信号408及び409に基づく正負のサイクルにおける遮断位相角度θは、メモリ101に記録される。このため、角度検出回路93で遮断角度θが検出されない場合には、振分部102Aは、メモリ101に最後に記録された正負の遮断角度θを輝度調整部103及び色温度調整部104に供給する。これによって、時間t4が0、すなわちt4の遮断時間が消滅しても、輝度及び色温度が維持される。
【0148】
なお、マイコン100は、本発明に係る検知手段(検知部),調光制御部,第1制御手段(第1制御部),調色制御部,第2制御手段(第2制御部)として機能する。具体的には、マイコン100で実現される振分部102Aは、検知手段(検知部)に相当し、輝度調整部103は、調光制御部及び第1制御手段(第1制御部)に相当し、色温度調整部104は、調色制御部及び第2制御手段(第2制御部)に相当する。なお、振分部102Aとしての機能は、専用又は汎用のハードウェア(例えば、LSI,ASIC,FPGA)によって実現することができる。
【0149】
第2実施形態によれば、調光器40Aが輝度調整用の操作部47aと、色温度調整用の操作部47bとを有している。これによって、利用者は、調光操作と調色操作と相互に独立して実施することができる。このため、第1実施形態に比べて、操作性の向上した照明システムを提供することができる。
【0150】
第2実施形態においても、既存の配線設備を用いるため、LED照明器50Aの導入による大幅な配線工事を回避することができ、LED照明器50A導入時の初期コストの低減を図ることができる。
【0151】
なお、第2実施形態でも、停電時からの復旧を考慮して、第1実施形態と同様に、メモリ101に不揮発性記録媒体を適用し、現在LED60に供給されている平均電流の総量と、現在LED群60a,60bにそれぞれ供給されている平均電流の比とが不揮発性記録媒体に格納されるようにしても良い。この場合、停電からの復旧時において、マイコン100の輝度調整部103は、不揮発性記録媒体に格納されている総量でLED60に電流を供給する調整動作を行う一方で、色温度調整部104は、不揮発性記録媒体に格納されている比でLED群60a,60bに電流を流す調整動作を行う。これによって、復旧時に、停電前と同様の輝度及び色温度でLED60が発光することができる。
【0152】
以上説明した実施形態では、調光器にトライアックを用いた例について説明した。但し、トライアックに代わるスイッチング素子、またはスイッチング回路として、例えば、MOS−FET、トランジスタ等を用いた回路、IGBT,SCR(Silicon Controlled Rectifier)のような素子で構成される回路を適用することができる。実施形態で説明した構成は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、適宜組み合わせることができる。
【0153】
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態として、第1及び第2実施形態で説明した定電流回路81及びバランス回路82(図1,図7)に係る他の実施形態について説明する。第3実施形態は、第1及び第2実施形態と共通点を有するので、主として相違点について説明し、共通点については説明を省略する。
【0154】
図10は、第3実施形態におけるLED照明器具50B構成例を示す図であり、第1実施形態及び第2実施形態における定電流回路及びバランス回路の構成例を示す。図10には、定電流回路81(図1、図7)として適用可能な定電流回路81A(第1回路に相当)と、バランス回路82として適用可能なバランス回路82A(第2回路に相当)とが示されている。なお、図10は、LED照明器具50Bが備える一部の構成を図示しており、LED照明器具50Bは、LED照明器具50(図1)、LED照明器具50A(図7)が備える一対の端子T3及びT4,点弧位相角度検出回路90,マイコン100,整流回路83、キャパシタ84を備えることができる(図10では、マイコン100を除いて図示を省略)。また、LED照明器具50Bは、図1や図7に示した接続形態で、交流電源(母線10)及び調光器40(調光調色器40A)と接続されることができる。
【0155】
定電流回路81Aは、図1、図7に図示した配線806及び配線821に接続される。定電流回路81Aは、オペアンプ831,抵抗832,pnp型のトランジスタ833,ツェナーダイオード834,抵抗835を含んでいる。
【0156】
配線806には、LED60の規格に応じた直流電流が供給される。配線821は、ツェナーダイオード834及び抵抗835を介して配線806に接続されており、オペアンプ831の一方の入力端は、ツェナーダイオード834と抵抗835との間に接続されている。配線806は、抵抗832を介してトランジスタ833のコレクタに接続されており、オペアンプ831の他方の入力端は、抵抗832とトランジスタ833のコレクタとの間に接続されている。トランジスタ833のベースは、オペアンプ831の出力端に接続され、トランジスタ833のエミッタは、LED60の各LED群60a,60bの入力端に接続されている。
【0157】
配線821には、マイコン100(輝度調整部103)で決定された輝度値に応じたアナログ電位が生じる。このとき、決定された輝度値が輝度の上昇を示す場合には、配線821のアナログ電位が下降する。これにより、オペアンプ831の出力であるトランジスタ833のベース電位が下降し、トランジスタ833のエミッタ電流が増加する。従って、LED60の各LED群60a,60bに供給される平均電流の総量が増加してLED60から発する光が明るくなる(輝度が上昇する)。
【0158】
これに対し、LED60の輝度を低下させる場合には、マイコン100(輝度調整部103)は、配線821のアナログ電位を上昇させる。すると、トランジスタ833のベース電流が上昇し、トランジスタ833のエミッタ電流が減少する。従って、LED60の各LED群60a,60bに供給される平均電流の総量が減少し、LED60から発する光が暗くなる(輝度が低下する)。このようにして、LED60から発せられる光(合成光)の輝度が制御される。定電流回路81は、LED60に供給される駆動電流の総量を規定する総電流規定回路として機能する。
【0159】
図10において、バランス回路82Aは、図1、図7に示した配線822,833(図1、図7では、1本の矢印線で図示)及び配線807に接続される。バランス回路82Aは、オペアンプ841,842と、抵抗846,843と、npn型のトランジスタ844,845とを含んでいる。
【0160】
配線822は、オペアンプ841の一方の端子に接続されている。トランジスタ844のコレクタは、LED群60aの出力端に接続され、トランジスタ844のエミッタは、抵抗843を介して配線807に接続されている。オペアンプ841の他方の入力端は、トランジスタ844のエミッタと抵抗843との間に接続され、トランジスタ844のベースは、オペアンプ841の出力端に接続されている。
【0161】
また、配線823は、オペアンプ842の一方の入力端に接続されている。トランジスタ845のコレクタは、LED群60bの出力端に接続され、トランジスタ845のエミッタは、抵抗846を介して配線807に接続されている。オペアンプ842の他方の入力端は、トランジスタ845のエミッタと抵抗846との間に接続され、トランジスタ845のベースは、オペアンプ842の出力端に接続されている。
【0162】
配線822及び配線823には、マイコン100(色温度調整部104)によって決定された色度(色温度)値に応じたアナログ電位が生じる。例えば、マイコン100(色温度調整部104)にて色温度を上昇させる色温度値が決定された場合には、マイコン100(色温度調整部104)によって、配線822のアナログ電位が上昇する一方で、配線823のアナログ電位が下降する。
【0163】
この結果、オペアンプ841の出力であるトランジスタ844のベース電位が下降し、トランジスタ844のコレクタ電流が減少する。逆に、オペアンプ842の出力であるトランジスタ845のベース電位は上昇し、トランジスタ845のコレクタ電流が増加する。
【0164】
上記作用によって、LED群60bを流れる電流量が減少する一方で、LED群60aを流れる電流量が増加する。ここで、第1実施形態において説明したように、LED群60bの色温度は、LED群60aの色温度より高い。従って、LED60から発せられる合成光の色温度が上昇する。
【0165】
逆に、マイコン100(色温度調整部104)にて色温度を低下させる色温度値が決定された場合には、マイコン100(色温度調整部104)によって、配線822のアナログ電位が下降する一方で、配線823のアナログ電位が上昇する。
【0166】
この結果、オペアンプ841の出力であるトランジスタ844のベース電位が上昇し、トランジスタ844のコレクタ電流が増加する。逆に、オペアンプ842の出力であるトランジスタ845のベース電位は低下し、トランジスタ845のコレクタ電流が減少する。
【0167】
上記作用によって、LED群60aを流れる電流量が増加する一方で、LED群60bを流れる電流量が減少する。従って、LED60から発せられる合成光の色温度が下降する。
【0168】
バランス回路82Aによって、定電流回路81Aから供給される駆動電流が、マイコン100(色温度調整部104)によって決定された色温度値に応じた比でLED群60aとLED群60bとに分配される。このように、バランス回路82Aは、LED群60a及び60bに供給される個別電流を調整する個別電流調整回路として機能する。
【0169】
上述した定電流回路81A及びバランス回路82Aを用いて、LED60から発せられる合成光の輝度及び色温度をリニア(連続的)に、又は離散的に変化させることができる。換言すれば、LED60の輝度及び色温度を所望の値に調整することが可能である。
【0170】
なお、図10に示した例では、バランス回路82Aから独立した定電流回路81Aが設けられている。これに対し、バランス回路82Aに対し、マイコン100(輝度調整部103)で得られた輝度値に基づき、LED群60a,60bにそれぞれ供給される平均電流の比が変わらない状態で、LED群60a,60bに供給される平均電流が夫々増減するようなアナログ電位を配線822及び823に生じさせる変形が可能である。このよう
な変形では、輝度調整もバランス回路82Aで実施することができる。したがって、定電流回路81Aを省略することができる。定電流回路81Aが省略される場合には、配線806が各LED60a,60bの入力端に接続される。
【0171】
以上説明した、第1〜第3実施形態で説明した構成は、本発明の目的を逸脱しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0172】
T1〜T4・・・端子
10・・・商用電源母線
20・・・照明器用給電線
20a・・・第1の給電線
20b・・・第2の給電線
20c・・・第3の給電線
30・・・照明器点滅用引き込み線
40・・・調光器
42・・・トライアック
47・・・操作部
50・・・LED照明器
60・・・LEDモジュール
60a,60b・・・LED群(第1LED及び第2LED)
81,81A・・・定電流回路
82,82A・・・バランス回路
100・・・マイクロコンピュータ
101・・・メモリ(記憶装置)
102・・・モード判定部
103・・・輝度調整部
104・・・色温度調整部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と一本の第1給電線を介して接続された調光器と一本の第2給電線を介して接続されるとともに、一本の第3給電線を介して前記電源に接続され、前記調光器が備えるユーザインタフェースの操作量に応じた導通制御部の点弧位相角度に応じた導通時間において、前記電源から供給される交流電流を受電するLED照明器であって、
同色で異なる発光スペクトル、又は異なる色で発光する第1及び第2のLEDモジュールと、
前記点弧位相角度及び前記点弧位相角度の時間変化を計測する計測部と、
前記受電された交流電流を用いて、前記点弧位相角度に基づく輝度で前記第1及び第2のLEDモジュールを発光させるための駆動電流を前記第1及び第2のLEDモジュールに夫々供給する調光手段と、
前記受電された交流電流を用いて、前記点弧位相角度に基づく色温度で前記第1及第2のLEDモジュールを発光させるための駆動電流を前記第1及び第2のLEDモジュールに夫々供給する調色手段と、
前記点弧位相角度の時間変化に基づいて、選択すべき制御モードを、前記調光手段によって調整された駆動電流が前記第1及び第2のLEDモジュールに供給される調光モードと、前記調色手段によって調整された駆動電流が前記第1及び第2のLEDモジュールに供給される調色モードとの間で切り替える選択手段と、
前記調光モードの選択状態において、前記点弧位相角度に基づく輝度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調光手段を制御する調光制御部と、
前記調色モードの選択状態において、前記点弧位相角度に基づく色温度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調色手段を制御する調色制御部と
を含むLED照明器。
【請求項2】
前記選択手段は、前記LED照明器の主電源投入時には、前記調光モードと前記調色モードとの一方を選択し、前記調光モード及び前記調色モードとの一方において、前記点弧位相角度が変化しない時間が閾値を越えることを条件に、前記調光モード及び前記調色モードの一方を他方に切り替える
請求項1に記載のLED照明器。
【請求項3】
前記切替手段は、前記調光モードの選択状態において前記点弧位相角度の時間変化が所定範囲に収まる場合には、前記調光モードを維持し、
前記調光手段は、点弧位相角度の大きさに応じた平均電流値の駆動電流を前記第1及び第2LEDモジュールに供給する
請求項1又は2に記載のLED照明器。
【請求項4】
前記調色手段は、前記調色モードの選択状態において、前記点弧位相角度が減少傾向にある場合には色温度が上昇する一方で、前記点弧位相角度が増大する傾向にある場合には色温度が下降するように、前記第1及び第2のLEDモジュールに夫々供給される駆動電流の比を調整する
請求項1から3の何れか1項に記載のLED照明器。
【請求項5】
一対の給電線の一方を介して前記調光器と接続される第1の端子と、前記一対の給電線の他方を介して前記電源と接続される第2の端子とからなる一対の2端子をさらに含む請求項1から4の何れか1項に記載のLED照明器。
【請求項6】
前記受電された交流電流を用いて前記導通時間の経過後も前記調光手段又は前記調色手段が駆動電流の供給を継続するための電荷を蓄える蓄電部
をさらに含む請求項1から5の何れか1項に記載のLED照明器。
【請求項7】
電源と一本の給電線を介して接続される調光調色器と、前記調光調色器と一対の給電線の一方を介して接続される第1端子と前記電源と前記一対の給電線の他方を介して接続される第2端子とを備えるLED照明器とを含み、
前記調光調色器は、
輝度調整用の第1ユーザインタフェースと、
色温度調整用の第2ユーザインタフェースと、
電源から供給される交流電圧波形を前記第1ユーザインタフェースの操作量に応じた輝度制御信号を含む波形に成形する第1成形部と、
前記電源から供給される交流電圧波形を前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じた色温度制御信号を含む波形に成形する第2成形部と
を備え、
前記LED照明器は、
一方が前記調光調色器に接続され、他方が前記電源に接続された一対の端子と、
同色で異なる発光スペクトル、又は異なる色で発光する第1及び第2のLEDモジュールと、
前記受電された交流電圧波形が輝度制御信号と色温度制御信号のいずれを含むかを判定する判定部と、
前記第1及び第2のLEDモジュールに輝度調整用の駆動電流を供給する調光手段と、
前記第1及び第2のLEDモジュールに色温度調整用の駆動電流を供給する調色手段と、
前記輝度制御信号に応じた輝度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調光手段を制御する調光制御部と、
前記色温度制御信号に応じた色温度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調色手段を制御する調色制御部と
を備えるLED照明システム。
【請求項8】
前記第1成形部と前記第2成形部の一方は、前記交流電圧波形の正及び負のサイクルの双方において、前記第1又は前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じて電圧が所定量低下する区間を生成し、
前記第1成形部と前記第2成形部の他方は、前記交流電圧波形の正又は負のサイクルの一方において、前記第1又は前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じて電圧が所定量低下する区間を生成し、
前記判定部は、前記交流電圧波形の正及び負のサイクルの双方において電圧が所定量低下する区間が変動しているか否かを判定することによって、前記交流電圧波形が前記輝度制御信号と前記色温度制御信号のいずれを含むかを判定する
請求項7に記載のLED照明システム。
【請求項9】
前記調光制御手段は、前記交流電圧波形中の前記輝度制御信号の位置を示す位相角度が小さくなるほど輝度が小さくなるように、前記調光手段を制御する
請求項7又は8に記載のLED照明システム。
【請求項10】
前記色温度制御手段は、前記交流電圧波形中の前記色温度制御信号の位置を示す位相角度が小さくなるほど色温度が高くなるように、前記調色手段を制御する
請求項7から9のいずれか1項に記載のLED照明システム。
【請求項11】
交流電源と一本の給電線を介して接続される第1端子と、一対の給電線の一方が前記交流電源に接続され且つ色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDを有するLED照明器具と前記一つの給電線の他方を介して接続される第2端子とからなる一対の端子と、
輝度調整用の第1ユーザインタフェースと、
色度調整用の第2ユーザインタフェースと、
前記交流電源から供給される交流電圧波形を前記第1ユーザインタフェースの操作量に応じた輝度制御信号を含む波形に成形する第1成形部と、
前記交流電源から供給される交流電圧波形を前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じた色度制御信号を含む波形に成形する第2成形部と、
前記輝度制御信号又は前記色度制御信号を含む波形の交流電圧を前記LED照明器具に供給する供給部と、
を備える調光調色器。
【請求項12】
交流電源と1本の給電線を介して接続された調光調色器と一対の給電線の一方を介して接続される第1端子と、前記交流電源と前記一対の給電線の他方を介して接続される第2端子とからなる一対の端子と、
色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
前記一対の端子によって前記調光調色器から得られた交流電圧波形が輝度制御信号と色度制御信号のいずれを含むかを判定する判定部と、
前記輝度制御信号に応じた輝度で前記第1LED及び第2LEDが発光するように、前記第1LED及び前記第2LEDへ供給される平均電流の総量を決定する第1制御部と、
前記色度制御信号に応じた色度で前記第1LED及び第2LEDが発光するように、前記第1LED及び前記第2LEDへ夫々供給される平均電流の比を決定する第2制御部とを備えるLED照明器具。
【請求項13】
2本の電線を介して電源に接続されるLED照明器具であって、
発光スペクトル又は色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
前記2本の電線から周期的に供給される電力のオン時間の長さを監視し、前記オン時間の長さが変化しない状態が閾値以上継続することを条件に、前記第1LED及び前記第2LEDの制御モードを第1モードと第2モードとの間で切り替える切替手段と、
前記第1モードにおいて、前記電力のオン時間の長さに応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との総量を決定する第1制御手段と、
前記第2モードにおいて、前記電力のオン時間の長さに応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との比を決定する第2制御手段とを含むLED照明器具。
【請求項14】
現在の制御モードを示すモード情報と、現在の前記総量及び前記比とを格納する不揮発性記録媒体をさらに含む
請求項13に記載のLED照明器具。
【請求項15】
2本の電線を介して電源に接続されるLED照明器具であって、
発光スペクトル又は色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
前記2本の電線から供給される周期的な電圧又は電流波形から調光情報及び調色情報を検知する検知手段と、
前記調光情報に応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との総量を決定する第1制御手段と、
前記調色情報に応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との比を決定する第2制御手段と
を含むLED照明器具。
【請求項16】
現在の前記総量及び前記比を格納する不揮発性記録媒体をさらに含む
請求項15に記載のLED照明器具。
【請求項17】
色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
2本の給電線によって得られる電圧又は電流の波形に基づいて、前記第1LED及び前記第2LEDに対して調光を実行するか調色を実行するかを決定する決定部と、
前記調光の実行時に、前記電圧又は電流波形に応じて前記第1LED及び前記第2LEDに供給すべき平均電流の総量を決定する第1制御部と、
前記調色の実行時に、前記電圧又は電流波形に応じて前記第1LED及び前記第2LEDに夫々供給すべき平均電流の比を決定する第2制御部と
を含むLED照明器具。
【請求項18】
前記第1制御部で決定された前記総量に応じた駆動電流を前記第1LED及び前記第2LEDに供給する第1回路と、
前記第1回路から供給される駆動電流が前記第2制御部で決定された前記比で前記第1LED及び前記第2LEDの夫々を流れるための調整を行う第2回路と
をさらに含む請求項17に記載のLED照明器具。
【請求項19】
前記第1制御部で決定された前記総量を有する駆動電流が且つ前記第2制御部で決定された前記比で前記第1LED及び前記第2LEDを流れるための調整を行う回路
をさらに含む請求項17に記載のLED照明器具。
【請求項1】
電源と一本の第1給電線を介して接続された調光器と一本の第2給電線を介して接続されるとともに、一本の第3給電線を介して前記電源に接続され、前記調光器が備えるユーザインタフェースの操作量に応じた導通制御部の点弧位相角度に応じた導通時間において、前記電源から供給される交流電流を受電するLED照明器であって、
同色で異なる発光スペクトル、又は異なる色で発光する第1及び第2のLEDモジュールと、
前記点弧位相角度及び前記点弧位相角度の時間変化を計測する計測部と、
前記受電された交流電流を用いて、前記点弧位相角度に基づく輝度で前記第1及び第2のLEDモジュールを発光させるための駆動電流を前記第1及び第2のLEDモジュールに夫々供給する調光手段と、
前記受電された交流電流を用いて、前記点弧位相角度に基づく色温度で前記第1及第2のLEDモジュールを発光させるための駆動電流を前記第1及び第2のLEDモジュールに夫々供給する調色手段と、
前記点弧位相角度の時間変化に基づいて、選択すべき制御モードを、前記調光手段によって調整された駆動電流が前記第1及び第2のLEDモジュールに供給される調光モードと、前記調色手段によって調整された駆動電流が前記第1及び第2のLEDモジュールに供給される調色モードとの間で切り替える選択手段と、
前記調光モードの選択状態において、前記点弧位相角度に基づく輝度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調光手段を制御する調光制御部と、
前記調色モードの選択状態において、前記点弧位相角度に基づく色温度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調色手段を制御する調色制御部と
を含むLED照明器。
【請求項2】
前記選択手段は、前記LED照明器の主電源投入時には、前記調光モードと前記調色モードとの一方を選択し、前記調光モード及び前記調色モードとの一方において、前記点弧位相角度が変化しない時間が閾値を越えることを条件に、前記調光モード及び前記調色モードの一方を他方に切り替える
請求項1に記載のLED照明器。
【請求項3】
前記切替手段は、前記調光モードの選択状態において前記点弧位相角度の時間変化が所定範囲に収まる場合には、前記調光モードを維持し、
前記調光手段は、点弧位相角度の大きさに応じた平均電流値の駆動電流を前記第1及び第2LEDモジュールに供給する
請求項1又は2に記載のLED照明器。
【請求項4】
前記調色手段は、前記調色モードの選択状態において、前記点弧位相角度が減少傾向にある場合には色温度が上昇する一方で、前記点弧位相角度が増大する傾向にある場合には色温度が下降するように、前記第1及び第2のLEDモジュールに夫々供給される駆動電流の比を調整する
請求項1から3の何れか1項に記載のLED照明器。
【請求項5】
一対の給電線の一方を介して前記調光器と接続される第1の端子と、前記一対の給電線の他方を介して前記電源と接続される第2の端子とからなる一対の2端子をさらに含む請求項1から4の何れか1項に記載のLED照明器。
【請求項6】
前記受電された交流電流を用いて前記導通時間の経過後も前記調光手段又は前記調色手段が駆動電流の供給を継続するための電荷を蓄える蓄電部
をさらに含む請求項1から5の何れか1項に記載のLED照明器。
【請求項7】
電源と一本の給電線を介して接続される調光調色器と、前記調光調色器と一対の給電線の一方を介して接続される第1端子と前記電源と前記一対の給電線の他方を介して接続される第2端子とを備えるLED照明器とを含み、
前記調光調色器は、
輝度調整用の第1ユーザインタフェースと、
色温度調整用の第2ユーザインタフェースと、
電源から供給される交流電圧波形を前記第1ユーザインタフェースの操作量に応じた輝度制御信号を含む波形に成形する第1成形部と、
前記電源から供給される交流電圧波形を前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じた色温度制御信号を含む波形に成形する第2成形部と
を備え、
前記LED照明器は、
一方が前記調光調色器に接続され、他方が前記電源に接続された一対の端子と、
同色で異なる発光スペクトル、又は異なる色で発光する第1及び第2のLEDモジュールと、
前記受電された交流電圧波形が輝度制御信号と色温度制御信号のいずれを含むかを判定する判定部と、
前記第1及び第2のLEDモジュールに輝度調整用の駆動電流を供給する調光手段と、
前記第1及び第2のLEDモジュールに色温度調整用の駆動電流を供給する調色手段と、
前記輝度制御信号に応じた輝度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調光手段を制御する調光制御部と、
前記色温度制御信号に応じた色温度で前記第1及び第2のLEDモジュールが発光するように、前記調色手段を制御する調色制御部と
を備えるLED照明システム。
【請求項8】
前記第1成形部と前記第2成形部の一方は、前記交流電圧波形の正及び負のサイクルの双方において、前記第1又は前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じて電圧が所定量低下する区間を生成し、
前記第1成形部と前記第2成形部の他方は、前記交流電圧波形の正又は負のサイクルの一方において、前記第1又は前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じて電圧が所定量低下する区間を生成し、
前記判定部は、前記交流電圧波形の正及び負のサイクルの双方において電圧が所定量低下する区間が変動しているか否かを判定することによって、前記交流電圧波形が前記輝度制御信号と前記色温度制御信号のいずれを含むかを判定する
請求項7に記載のLED照明システム。
【請求項9】
前記調光制御手段は、前記交流電圧波形中の前記輝度制御信号の位置を示す位相角度が小さくなるほど輝度が小さくなるように、前記調光手段を制御する
請求項7又は8に記載のLED照明システム。
【請求項10】
前記色温度制御手段は、前記交流電圧波形中の前記色温度制御信号の位置を示す位相角度が小さくなるほど色温度が高くなるように、前記調色手段を制御する
請求項7から9のいずれか1項に記載のLED照明システム。
【請求項11】
交流電源と一本の給電線を介して接続される第1端子と、一対の給電線の一方が前記交流電源に接続され且つ色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDを有するLED照明器具と前記一つの給電線の他方を介して接続される第2端子とからなる一対の端子と、
輝度調整用の第1ユーザインタフェースと、
色度調整用の第2ユーザインタフェースと、
前記交流電源から供給される交流電圧波形を前記第1ユーザインタフェースの操作量に応じた輝度制御信号を含む波形に成形する第1成形部と、
前記交流電源から供給される交流電圧波形を前記第2ユーザインタフェースの操作量に応じた色度制御信号を含む波形に成形する第2成形部と、
前記輝度制御信号又は前記色度制御信号を含む波形の交流電圧を前記LED照明器具に供給する供給部と、
を備える調光調色器。
【請求項12】
交流電源と1本の給電線を介して接続された調光調色器と一対の給電線の一方を介して接続される第1端子と、前記交流電源と前記一対の給電線の他方を介して接続される第2端子とからなる一対の端子と、
色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
前記一対の端子によって前記調光調色器から得られた交流電圧波形が輝度制御信号と色度制御信号のいずれを含むかを判定する判定部と、
前記輝度制御信号に応じた輝度で前記第1LED及び第2LEDが発光するように、前記第1LED及び前記第2LEDへ供給される平均電流の総量を決定する第1制御部と、
前記色度制御信号に応じた色度で前記第1LED及び第2LEDが発光するように、前記第1LED及び前記第2LEDへ夫々供給される平均電流の比を決定する第2制御部とを備えるLED照明器具。
【請求項13】
2本の電線を介して電源に接続されるLED照明器具であって、
発光スペクトル又は色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
前記2本の電線から周期的に供給される電力のオン時間の長さを監視し、前記オン時間の長さが変化しない状態が閾値以上継続することを条件に、前記第1LED及び前記第2LEDの制御モードを第1モードと第2モードとの間で切り替える切替手段と、
前記第1モードにおいて、前記電力のオン時間の長さに応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との総量を決定する第1制御手段と、
前記第2モードにおいて、前記電力のオン時間の長さに応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との比を決定する第2制御手段とを含むLED照明器具。
【請求項14】
現在の制御モードを示すモード情報と、現在の前記総量及び前記比とを格納する不揮発性記録媒体をさらに含む
請求項13に記載のLED照明器具。
【請求項15】
2本の電線を介して電源に接続されるLED照明器具であって、
発光スペクトル又は色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
前記2本の電線から供給される周期的な電圧又は電流波形から調光情報及び調色情報を検知する検知手段と、
前記調光情報に応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との総量を決定する第1制御手段と、
前記調色情報に応じて、前記第1LEDに供給すべき平均電流と前記第2LEDに供給すべき平均電流との比を決定する第2制御手段と
を含むLED照明器具。
【請求項16】
現在の前記総量及び前記比を格納する不揮発性記録媒体をさらに含む
請求項15に記載のLED照明器具。
【請求項17】
色度が相互に異なる第1LED及び第2LEDと、
2本の給電線によって得られる電圧又は電流の波形に基づいて、前記第1LED及び前記第2LEDに対して調光を実行するか調色を実行するかを決定する決定部と、
前記調光の実行時に、前記電圧又は電流波形に応じて前記第1LED及び前記第2LEDに供給すべき平均電流の総量を決定する第1制御部と、
前記調色の実行時に、前記電圧又は電流波形に応じて前記第1LED及び前記第2LEDに夫々供給すべき平均電流の比を決定する第2制御部と
を含むLED照明器具。
【請求項18】
前記第1制御部で決定された前記総量に応じた駆動電流を前記第1LED及び前記第2LEDに供給する第1回路と、
前記第1回路から供給される駆動電流が前記第2制御部で決定された前記比で前記第1LED及び前記第2LEDの夫々を流れるための調整を行う第2回路と
をさらに含む請求項17に記載のLED照明器具。
【請求項19】
前記第1制御部で決定された前記総量を有する駆動電流が且つ前記第2制御部で決定された前記比で前記第1LED及び前記第2LEDを流れるための調整を行う回路
をさらに含む請求項17に記載のLED照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−12455(P2013−12455A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210281(P2011−210281)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】
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