説明

LED照明器具及び基板支持部材

【課題】簡素な構成であって配光の乱れが生じにくい直管蛍光灯型のLED照明器具を提供する。
【解決手段】円筒状のガラス製の中空管6の中に細長いLED基板3を配設し、基板取付部21、基板受容部22、2箇所の板バネ部23及び板バネ部23の先端に設けられた管当接部24を有する一対の基板支持部材20によって、LED基板3の中間部を挟持して支持するとともに、管当接部24が中空管6の内面6aに当接してLED基板3を中空管6の内部空間1aにて保持し、LED基板3の位置ずれや形状の歪みの発生を防ぐLED照明器具1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空管内にLED基板を収納したLED照明器具、及び該LED照明器具のLED基板のための基板支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDを光源としており、直管形蛍光灯と同様の外観を呈するLED照明器具が知られている(例えば、特許文献1を参照)。図13は、特許文献1に開示された照明装置について、径方向の断面を示す説明図である。照明装置70は、直管形蛍光灯のガラス管と同様の形状に形成されたプラスチック製の円筒部71の中に、LED72を搭載した細長いLED基板73を収めて構成されている。円筒部71の両端には口金部(図示は省略)が設けられており、LED基板73は、両端部において口金によって支持されている。このため、図7に示すように、LED基板73の中間部は、円筒部71の中空部分70aの中で円筒部71の内壁71aに接していない。LED基板73に対する電力供給は、口金に設けられた電極ピンを介して行うようになっている。このような照明装置によると、広く普及している直管形蛍光灯の取付器具を流用可能であり、器具を設置する施工の手間を省き、LED使用の照明器具に手軽に交換することができる。
【0003】
また、特許文献1と同様の外観形状であって内部構造の異なるLED照明器具も種々知られている(特許文献2及び特許文献3を参照)。図14は、特許文献2に開示されたLEDランプを示す説明図である。図14に示すように、LEDランプ80は、プラスチック製の中空管81の内部にリブ状の支持部85を形成し、LED82を搭載した制御基板83を、支持部85で支えるようにして中空管81の中に収納して構成されている。制御基板83は、中空管81の内部80aにあって支持部85で仕切られた収納空間80bに挿入されており、全体的に支持部85で支持されている。
【0004】
図9は、特許文献3に開示されたLED照明装置を示す説明図である。図15に示すように、LED照明装置90は、プラスチック製の透光カバー91の中に、LEDチップ92が搭載された基板93と放熱部材94とを収納して構成されている。放熱部材94は、透光カバー91の内面91aに沿う形状であり、一面が基板93に接合されるとともに、内面91aに対して接着剤で接着されている。さらに、透光カバー91の内側にはリブ状の支持部95が設けられており、基板93及び放熱部材94が透光カバー91の内部空間90aの中で安定するように支持している。
【0005】
また、上記の特許文献に開示された技術は、いずれもLED基板を収納する円筒状の部材においてプラスチックを素材として用いているが、円筒状部材をガラス等の不燃性または難燃性の素材で形成すると、防爆性能や難燃性能を高めることができることは周知の通りである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−43447号公報
【特許文献2】特開2010−27260号公報
【特許文献3】特開2010−153761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術のように、細長いLED基板73を両端の口金で支持する構造とすると、LED基板73が中間部で歪みやすかった。LEDは発光する際に発熱を伴うため、LED基板73は、点灯及び消灯に伴う熱の昇降によって膨張と収縮とを繰り返す。このため、LED照明器具70においては、LED基板73が変形し、LED72の位置や向きが乱れて配光性が悪化する恐れがあった。
【0008】
一方、特許文献2の技術のように、中空管81の内面にリブ状の支持部85を設けてLED基板83を支持するようにすると、LED基板83の位置ずれや歪みによる配光特性の劣化を防ぐことができるが、中空管81の形状が複雑化して製造コストが上昇する虞があった。特に、防爆性や難燃性を高めるためにガラスを素材として中空管を形成しようとすると、薄いガラス製の中空管の内面にリブ状の支持部を形成するのは困難であるという問題があった。
【0009】
また、特許文献3の技術のように、LED基板93が、中間部において、放熱部材94などを介して中空管91に対して取着される構造をとる場合には、重量が増加する虞があった。また、LED照明器具は、内部にLED基板等を収納しているため、アルゴンガスが充填された直管形蛍光灯よりも重くなることが避けられないが、放熱部材94のように大型の部材をLED基板93の長手側に沿って配設すると、さらに重量が増加する要因となっていた。また、放熱部材94のような支持部材を中空管に固定するためには、放熱部材94を中空管91に対して接着剤で接着したり、特許文献2の技術と同様に中空管にリブを設けたりして複雑な形状にする必要があった。特に、接着剤で放熱部材94と中空管91とをしっかり接着するためには中空管91が樹脂製であることが望ましく、特許文献3の技術においても、特許文献2の技術と同様に、中空管をガラス製とすることが困難であった。
【0010】
上記の実情を鑑み、本発明は、中空管の内部にLED基板を配設したLED照明器具において、簡素な形状の中空管を用いつつ、LED基板の歪みによる配光特性の劣化を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のLED照明器具は、「円筒状を呈する中空管と、該中空管の中に配設された矩形状のLED基板と、該LED基板を挟んで前記LED基板の長手側端部に取着される少なくとも一対の基板支持部材とを具備し、前記基板支持部材は、前記中空管の内面に当接し、前記中空管の中で前記LED基板を支持する」ことを特徴とする。
【0012】
本発明のLED照明器具によると、LED基板は、一対の基板支持部材によって挟持され、円筒状の中空管内の中に配設される。LED基板は長手側端部に設けられた基板支持部材によって中空管の内面に対して支持されているため、円筒状の中空管の中でLED基板を安定させるためにLED基板を中空管に対して接着剤等で固定したり、中空管の内側にリブ等の支持部を設けてLED基板を固定する必要がない。従って、簡素な形状の中空管を用いつつ、LED基板の位置ずれや歪みを防ぎ、配光の乱れを抑制することができる。
【0013】
さらに、本発明のLED照明器具は、「前記基板支持部材は、前記側端部と前記中空管との間に弾性部を有し、該弾性部の弾力によって前記基板支持部材の一部が中空管に押圧される」ものとしてもよい。
【0014】
本構成によると、LED基板は、基板支持部材の弾性部が圧縮されて、中空管に当接する部分が中空管の内面に押圧された状態で配設されるので、圧縮された弾性部が広がろうとする作用によって、基板支持部材は中空管の内径のもっとも大きい部分に当接するとともに、LED基板が基板支持部材によってしっかりと挟み込まれて安定して保持される。
【0015】
また、本発明の基板支持部材は、「前記基板支持部材は、前記LED基板に取り付けられる基板取付部を有し、前記弾性部は、前記基板取付部から略V字形に延びる一対の板バネ部である」ものとしてもよい。
【0016】
本構成によると、基板支持部材は、基板取付部から一対の板バネ部が略V字形に延びており、中空管の内面には2箇所で板バネ部の先端が押圧されるので、中空管に対して基板支持部材を安定させることができる。
【0017】
また、本発明のLED照明器具は、「前記基板支持部材は、前記LED基板の一部が嵌入して取着される基板受容部を有する」ものとしてもよい。
【0018】
本構成によると、基板支持部材がLED基板を支持する際に、LED基板が基板受容部に嵌入するように基盤支持部材がLED基板に取着されているので、しっかりと組み付けられる。これにより、組み付け時や衝撃を受けた場合にもLED基板と基板支持部材との向きがずれにくい。従って、内面にリブや凹凸が設けられていない簡素な円筒状の中空管の中にLED基板を配設したときに、LED基板の位置ずれや歪みの発生を防ぐことができる。
【0019】
また、本発明のLED照明器具について、「前記中空管は、ガラス製である」ものとしてもよい。
【0020】
本構成によると、中空管をガラス製とすることで、LED基板等の他の構成はそのままに、LED照明器具の防爆性や難燃性を高めることができる。また、ガラス製の中空管においては、複雑な形状の成形が困難であるため、本発明の適用が好適である。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明のLED照明器具によれば、円筒状の簡素な形状の中空管の中にLED基板を配設したときに、一対の基板支持部材がLED基板を中空管内の所定位置に保持することにより、LED基板の歪みや位置のずれによる配光特性の劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態であるLED照明器具の構成を示す斜視図。
【図2】LED照明器具の構成を説明する説明図。
【図3】LED基板アセンブリの構成を説明する説明図。
【図4】LED基板アセンブリの斜視図。
【図5】基板支持部材の六面図。
【図6】基板支持部材の第二の実施形態の六面図。
【図7】基板支持部材の第三の実施形態の六面図。
【図8】基板支持部材の第四の実施形態および第五の実施形態の正面図。
【図9】基板支持部材の第六の実施形態の六面図。
【図10】基板支持部材の使用状況を説明する説明図。
【図11】基板支持部材の第七の実施形態の六面図。
【図12】基板支持部材の使用状況を説明する説明図。
【図13】第一の従来技術を示す説明図。
【図14】第二の従来技術を示す説明図。
【図15】第三の従来技術を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態であるLED照明器具1について、図1〜図3に基き説明する。図1(a)は、本発明のLED照明器具を示す斜視図であり、図1(b)は、使用状態にあるLED照明器具を斜め下から示す斜視図であり、図2は、LED照明器具の構成を説明する説明図であり、図3は、LED基板アセンブリの構成を説明する説明図である。図4は、LED基板アセンブリの斜視図であり、図5は、基板支持部材の六面図である。なお、図5において、背面図は、正面図と対称に表れるため省略した。
【0024】
図1(a)に示すように、LED照明器具1は、中空管6の両端に端部材4が1個ずつ取り付けられて構成されている。中空管6は、両端が開口した細長い円筒状を呈しており、無色のガラス製であり、表面6bが磨りガラス状に不透明に仕上げられている。端部材4は、アルミニウム製の短い円筒状を呈し、中空管6と同心となる位置関係で、中空管6の両端に取り付けられ、中空管6の開口部を閉塞させる。端部材4には電源ピン5が片側に一対で突出するように設けられている。一対の電源ピン5の形状や位置は、従来の直管形蛍光ランプと同様である。LED照明器具1は、両端の電源ピン5が、天井取付器具10のソケット12に対して挿入されて両端が係止されることで、天井取付器具10に取り付けられて保持される。図1(b)に示すように、LED照明器具1は、天井取付器具10に2本1組で取り付けられて使用される。LED照明器具1は、中空管6の両端に端部材4が1個ずつ取り付けられて構成されている。
【0025】
天井取付器具10は、従来は、直管形蛍光ランプを取り付ける照明器具として使用されていたものである。天井取付器具10は、逆富士型と呼ばれる器具であり、全体として細長く、長手側に沿って中央部が下方に突出した反射傘11に、2個1組のソケット12が2組取り付けられて構成されている。本例の天井取付器具10は、図示は省略するが、蛍光灯用の点灯回路及び安定器の代わりに整流回路と変圧器等からなる電源回路を備えており、ソケット12からLED照明器具1の電源ピン5に対して直流電流を供給する。
【0026】
図2及び図3(b)に示すように、LED照明器具1の中空管6の内部空間6cの中には、細長い矩形状のLED基板3が、中空管6の長手方向に沿って収納されている。LED基板3は、中空管6の長手方向に沿って配設された基板支持部材20によって支持され、中空管6の中の所定位置に保持されている。LED基板3は、多数のLED2を搭載しており、直流電力の供給を受けてLED2を発光させる。LED2の光は、中空管6を透過して外部に放射される。
【0027】
図4に示すように、LED基板3の長手側の端部3aに沿って、多数の基板支持部材20が一対ずつ互いに対向するように取り付けられてLED基板アセンブリ30が構成されている。LED基板3の一方の辺において、基板支持部材20は、相互に所定の間隔を設けて取り付けられている。
【0028】
図5に示すように、基板支持部材20は、全体が1枚の金属板からプレス成形によって形成されている部材であって、基板取付部21と、基板取付部21から延出する2本の板バネ部23と、板バネ部23の先端に設けられた管当接部24とによって構成されている。基板支持部材20を構成する素材は、本例においては0.3mm厚のステンレス(例えば、バネ用ステンレス鋼材)である。図4の右側面図及び左側面図に示すように、基板取付部21は、LED基板3が挿入される基板受容部22を有する断面コ字状を呈している。図4の正面図に示すように、2本の板バネ部23は、基板取付部21の左右両側に対して斜め上方向に各々同角度で延出されており、正面視において、基板取付部21を頂点とした線対称なV字状を呈する。板バネ部23の延出する向きは、基板取付部21の上面、すなわちLED基板3の長手側の側面と平行な面に対して鋭角(本例の場合は約20度)をなしている。板バネ部23の先端部は、基板取付部21の上面に略平行となるように緩やかに折れ曲がっており、上面側、すなわち中空管6の中に配設されたときに内面6aに当接する側には、部分球面状を呈する管当接部24がダボ加工で形成されている。換言すると、板バネ部23は、基板受容部22の開口している側とは反対側に対して突出しており、図2及び図3に示すように、LED基板3に取着されて中空管6の中に配設されると、基板取付部21と管当接部24との間隔を広げる方向に伸びるため、基板取付部21と管当接部24とを、それぞれLED基板3と中空管6とに対して押し付けるように働く。基板取付部材20はLED基板3の両方の長手側端部に一対ずつ向かい合わせに取り付けられているので、LED基板3と中空管6の内面6aとの間隔は一定に保たれて、LED基板3は中空管6の内部空間1aの中央部の所定位置に保持される。ここで、板バネ部23が、本発明の弾性部に相当する。
【0029】
次にLED基板3の組み付けについて説明する。LED基板3を組み付ける時には、まず、図3(a)に示すように、基板支持部材20を、LED基板3上に印刷で示された所定の取付位置に全て取り付ける。この取付位置を指示する印刷は、一対でLED基板3を挟んで対向する箇所に設けられている。LED基板3は、基板受容部22に対して嵌入し、基板支持部材20は、ぐらつくことなくLED基板3に取り付けられる。そして、図3(b)に示すように、中空管6の中に入る幅になるように、板バネ部23を指で押してLED基板アセンブリ30の幅寸法を縮めながら中空管6に挿入する。この手順を繰り返してLED基板アセンブリ30を全体的に中空管6の中に収める。LED基板3と端部材4(電源ピン5)とを、リード線やコネクタ等を介して電気的に接続した後、端部材4を中空管6の端部に取着してLED基板アセンブリ30を中空管6の中に封入する。また、図示は省略するが、LED基板3は、端部材4に取り付けられ、両端部において端部材4によって支持されている。
【0030】
LED基板アセンブリ30は、板バネ部23が圧縮されて中空管6の中に入れられているので、板バネ部23は常に外向きに付勢して中空管6の内面6aを押圧する。LED基板アセンブリ30は、中空管6の中に入れられていない状態では、LED基板3の幅Wと、基板支持部材20のLED基板3の端部3aから突出した寸法Aとを合わせたW+2Aの全幅を有する。一方、中空管6の内径寸法はR=W+2A’(A>A’)である。
【0031】
基板支持部材20は、一対が互いに対向してLED基板3に取り付けられており、板バネ部23の付勢力の向きは、LED基板3の部品実装面3bに平行になる。従って、もしもLED基板アセンブリ30の位置が中空管6の中心を通る直線上から外れている場合には、基板支持部材20の突出寸法はA’よりも小さくなっており、該突出寸法がA’まで増大して中空管6の内径R=W+2A’とならない限りLED基板アセンブリ30は不安定な状態にある。そのため、板バネ部23が復元しようとする作用に従って、LED基板アセンブリ30は中空管6の中心を通る直線上の所定の位置へと次第に移動し、中空管6の中で板バネ部23が最も開拡した位置、すなわちLED基板アセンブリ30の幅寸法がW+2A’で最大となる位置で安定する。
【0032】
上記の作用により、外部から加えられた衝撃や振動などによってLED基板アセンブリ30が所定の位置からずれることがあったとしても、板バネ部23の働きによって所定の位置に復元する。また、LEDの点灯・消灯にともなう熱変化などによって基板が膨張または収縮した場合にも、板バネ部23の働きによって、それらの寸法的な変化量が吸収され、LED基板3は常に中空管6の中央部に定位されるので、LED基板3の位置や向きが大きく変化することはない。
【0033】
上記のLED照明器具1によると、LED基板3は、一対の基板支持部材20によって挟持され、円筒状の中空管6の内部空間1aの中心部に配設される。LED基板3は中間部においても支持されるため、全長にわたって一様にLED基板3が中空管6の中の所定の位置に配設される。基板支持部材20によって中間部を支持するため、中空管6に対してLED基板3を固定する必要がなく、リブや凹凸を有さない中空管6を用いてもLED基板3の位置ずれや歪みを防ぎ、配光の乱れを抑制することができる。
【0034】
また、LED照明器具1によると、基板支持部材20がLED基板3を支持する際に、LED基板3が基板受容部22に嵌入しているので、組み付け時や衝撃を受けた場合に発生する曲げモーメントによってLED基板3と基板支持部材20との向きがずれることが防がれる。
【0035】
さらに、LED照明器具1によると、LED基板3が、長手側の端部3aに沿って取り付けられた基板支持部材20によって支持されるとともに、端部材4によって両端においても支持されるので、LED基板3の歪みや位置のずれをさらに抑制することができる。
【0036】
また、LED照明器具1によると、LED基板アセンブリ30が中空管6の中に配設されると、基板支持部材20の板バネ部23が圧縮されて中空管6の内面6aに圧接し、LED基板アセンブリ30は中空管6の中心を通る直線上の位置で安定して保持される。また、LED基板3は基板支持部材20の基板受容部22に挿入されており、LED基板3の取り付け位置がずれることが防止される。従って、内面にリブや凹凸が設けられていない円筒状の中空管6の中にLED基板3を配設した場合にも、位置ずれによる配光の乱れを防ぐことができる。
【0037】
ところで、LED照明器具1の防爆性や難燃性を高めるために、中空管をプラスチック製ではなくガラス製とすることが望ましい。しかし、ガラス製の中空管の内部に基板を配置するために、基板を支持するためのリブや突条を設けるようにすると、中空管の成形方法の変更が必要になる可能性がある。また、中空管には肉厚の薄いガラスを用いるため、リブ等が設けられていて応力が集中しやすい形状になっていると、衝撃を受けた場合に単純な円筒状の場合と比較して破損しやすくなる虞もある。これに対し、LED照明器具1においてはLED基板アセンブリ30を支持するためにリブ等を中空管に設ける必要がなく、中空管6は単純な円筒状のガラス製中空管であるため、製造性に優れており、衝撃を受けた際には応力集中が生じにくい。
【0038】
さらに、LED照明器具1によると、基板支持部材20は、一対の板バネ部23の最も突出した部分である管当接部24の2点で中空管6の内面6aに圧接されるので、傾いたりすることなく安定してLED基板3を支持することができる。また、基板支持部材20は、線対称に構成されているので、板バネ部23の経年劣化等の変化が一方の板バネ部23に極端に偏って破損しやすくなることを防ぐ。
【0039】
以上のように、LED照明器具1によれば、一対の基板支持部材20がLED基板3を中空管6の中の所定位置に保持することにより、ガラス製で円筒状の簡素な形状の中空管6を用いつつ、LED基板3の歪みや位置のずれによる配光特性の劣化を防ぐことができる。
【0040】
なお、本発明の実施形態は上記の構成に限定されるものではなく、以下に示すように種々に変更することができる。
【0041】
すなわち、上記の実施形態では、基板支持部材20に板バネ部23が2箇所設けられたものを示したが、これに限定されるものではなく、本発明の弾性部に相当するものであれば他の構成をとるようにしてもよい。すなわち、板バネではなく、コイルばねを用いるようにしてもよいし、図6に示す基板支持部材30のように、基板受容部32を有する基板取付部31にU字型バネ部33が一つだけ設けられたものであってもよい。U字型バネ部33の先には管当接部34が設けられている。基板支持部材30によると、LED基板アセンブリを中空管に挿入する際に、板バネ部を2箇所備えたものよりも押圧する箇所数が減少するのでLED基板アセンブリの挿入が容易となる。また、基板支持部材の全体を1枚の鋼板から一体的に製造することができるので、製造工程を簡素にしてコストを低減させることができる。ここで、U字型バネ部33は、本発明の弾性部に相当する。
【0042】
また、図7〜図8に示すように、本発明の基盤支持部材は、さらに異なる形状の弾性部を有するものとしてもよい。図7は、本発明の第三の実施形態である基板支持部材40の六面図である。基板支持部材40は、基板取付部41を挟む両側の位置に一対のU字型バネ部43を備えて構成されている。U字型バネ部43の上部には部分球面状の管当接部44が形成されている。基板取付部41は、上記の基板支持部材20の基板取付部21と同様に断面コ字形状を呈しており、取り付けられる基板の側面に沿う方向に基板取付部21よりも細長く形成されている。基板取付部21のように断面コ字状の部分を短く形成してU字型バネ部43の一端を延長するのではなく、基板取付部41の断面コ字状の部分を長く形成することによって基板支持部材40の剛性を高めることができる。また、基板取付部41にあって基板に当接する基板受容部42が長くなることから、装着される基板に対して向きのずれが生じにくくなる。ここで、U字型バネ部が、本発明の弾性部に相当する。
【0043】
図8(a)は、本発明の第四の実施形態である基板支持部材50の正面図であり、図8(b)は、本発明の第五の実施形態である基板支持部材60の正面図である。図8(a)に示すように、基板支持部材50は、基板取付部51の両側に外向きに延びる円弧状のバネ部53が設けられて構成されている。また、図8(b)に示すように、基板支持部材60は、基板取付部61の両側に平板状に延びる延伸部65が設けられ、延伸部65の先に内向きに巻いた形状のバネ部63が設けられて構成されている。基板支持部材50、基板支持部材60によれば、本発明の基板支持部材を簡素な構造で実施することができる。ここで、バネ部53,63が、本発明の弾性部に相当する。
【0044】
上記の基板支持部材20では、基板受容部22を構成する面がいずれも平坦に形成されているものを示したが、これに限定されるものではなく、基板受容部の形状は種々に変更することができる。例えば、図9〜図10に示した本発明の第六の実施形態である基板支持部材100のように、基板受容部22に凹凸を設けたものであってもよい。図9は、基板支持部材100の六面図であり、図10は、基板支持部材100を使用する状況を説明する説明図である。以下、基板支持部材100においては、基板支持部材20と同等の構成については同じ符号を用いて説明する。図9に示すように、基板取付部21の基板受容部22には、内側に向かって膨らんだ半球状の係止突起25が設けられている。係止突起25は、基板受容部22を構成する一対の面にそれぞれ1箇所ずつ設けされており、互いに対向する位置関係で基板受容部22の内側に向けて突出している。図10に示すように、基板支持部材100が装着される基板3cには、位置決め孔3dが穿設されている。位置決め孔3dは、基板3cの端部3aの近傍の所定位置に設けられており、係止突起25の裾の直径とほぼ同寸の直径の円形を呈し、基板3cを貫通している。基板受容部22の開口は、基板3cの厚みよりやや広い。基板支持部材100を基板3cに取り付けて使用する際には、係止突起25と位置決め孔3dとが合致する位置関係で基板受容部22に基板3cを挿入すると、係止突起25と位置決め孔3dとが係止して基板支持部材100が位置決めされる。これにより、基板支持部材100の取付位置のずれの発生を防止できる。また、基板支持部材100を基板3cに取り付ける位置が明確になるので、組立作業者よる取付位置の間違いを防いで製造工程の効率化を図ることができる。なお、係止突起25と位置決め孔3dは、組み合わせて係止構造を構成することができればよく、例示した形状に限定されるものではなく、種々の形状を適用することができる。
【0045】
また、上記の基板支持部材20では、基板取付部21が中心部に位置するものを示したが、これに限定されるものではなく、基板取付部とその他の部分との位置関係は種々に変更が可能である。例えば、図11〜図12に示す本発明の第七の実施形態である基板支持部材110のように、基板取付部21が、プリント基板3fの板面の法線方向において一方に偏った位置に設けられており、LEDの配設位置を前後に偏らせるようになっていてもよい。図11は、基板支持部材110の六面図であり、図12は、基板支持部材110を使用する状況を説明する説明図である。以下、基板支持部材110においては、基板支持部材20と同等の構成については同じ符号を用いて説明する。図11に示すように、基板支持部材110は、上記の基板支持部材20とは異なり、平面図に表れるように基板取付部26が一方の端に偏っている。図12に示すように、本実施形態においては、基板アセンブリ3eは、プリント基板3fのLED2aを実装した発光面とは反対の裏面に金属製の放熱板3gが取着されて構成されている。放熱板3gには、同じく金属製のヒートシンク3hが取着されている。放熱板3gおよびヒートシンク3hは、プリント基板3f上のLED2a等の素子が発する熱を放散しやすくする。基板3fが放熱板3gに取着されて基板アセンブリ3eが構成されているので、基板アセンブリ3eは、LED基板3よりも厚みが大きくなっており、LED2aは、発光面側に前進した位置となる。本実施形態においては、基板支持部材110は、プリント基板3fではなく、放熱板3gに取着されて基板アセンブリ3eを支持する。基板取付部26は、基板支持部材110の中心から一端側に偏った位置に設けられており、基板支持部材110が基板アセンブリ3eに取り付けられるときに裏面側に基板アセンブリ3eの配設位置を偏らせる。すなわち、発光面側に対して後方にLED2aを偏らせて配設する。これにより、LED2aを中空管6の中心に近づけ、光源から中空管6の内面までの距離を長くすることができるので、中空管6の外面に放射する光の放射角を広くして照明器具の配光を改善することができる。ここで、基板アセンブリ3eが、本発明のLED基板に相当する。
【0046】
また、上記の実施形態では、電源ピン5に直流電流を受けてLED基板3に電力供給するものを示したが、これに限定されるものではなく、電源ピン5で交流電流を受けるものであってもよい。すなわち、LED照明器具の中に整流回路や変圧回路を有する電源回路を内蔵し、電源ピン5に交流電流を受け、当該電源回路で整流・変圧してLED基板3に直流電流で電力供給するようにしてもよい。図示は省略するが、この場合、電源回路をLED照明器具1の端部材4付近に内蔵すると好適である。電源回路をLED照明器具の中に内蔵すると、既存の蛍光灯用の取付器具の回路に変更を加えることなくLED照明器具を取付可能となるため、蛍光ランプからLED照明器具への取替えを容易化することができる。言うまでもないことであるが、電源ピン5で電力を受けるものに限らず、側面などに設けられたコネクタから電力を受けるようになっていてもよい。この場合、電源ピン5から電力を受けないため、従来の蛍光管との混同や誤用を防ぐことができる。
【0047】
中空管6は、すりガラスで出来たものを示したが、中空管6の素材や表面仕上げについては種々に変更することができる。すなわち、強化ガラスで中空管6を形成したり、飛散防止フィルムや樹脂コーティングを中空管6の表面に施したりすることで、破損時の安全性を高めるようにすることができる。また、中空管6を、ガラス製ではなく、ポリカーボネイト等のプラスチック製とすることもできる。
【0048】
また、上記の実施形態では、中空管は、断面が真円であって凹凸や孔のない整った円筒状のものを示したが、これに限定されることはなく、内外面に凹凸や孔が設けられていてもよいし、断面が楕円や長円の円筒状であってもよい。いずれの場合にも、中空管の径方向の断面において内寸が最も大きくなる位置に、LED基板アセンブリを配設することにより、上記の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。このときの内寸及びLED基板アセンブリの各部の寸法の関係は、上記実施形態において中空管6の内径(R)とLED基板アセンブリの幅寸法(W+2A)との関係と同様である。
【0049】
また、上記の実施形態では、多数の基板支持部材20を一対ずつ組にした多数の組を用いてLED基板3を支持するものを示したが、基板支持部材20を1組のみ用いるようにしてもよい。LED基板3の長手方向の寸法が小さい場合や、LED基板3の剛性が比較的高い場合などにおいては、基板支持部材20の数を少なくすることで、部材の節約や組み付けの省力化を果たすことができる。
【0050】
また、上記の実施形態では、基板支持部材20は1枚の金属板をプレス成形して形成したものを示したが、これに限定されるものではなく、材質、加工方法など種々に変更してもよいので、基板の寸法や重量などの条件に応じて適したものとすることができる。例えば、基板支持部材を、樹脂の射出成形によって形成してもよいし、紙、木、竹、その他繊維素材などを素材として形成してもよい。
【0051】
また、上記の実施形態では、電源ピン5によって蛍光灯用の天井取付器具10に装着されるLED照明器具1を示したが、これに限定されるものではなく、電源ピン5を備えていない他の形状のLED照明器具においても本発明の基板支持部材20を使用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…LED照明器具、2…LED、3…LED基板、3a…端部、3b…部品実装面、3e…基板アセンブリ(LED基板)6…中空管、6a…内面、20…基板支持部材、21…基板取付部、22…基板受容部、23…板バネ部(弾性部)、30…基板支持部材、33…U字型バネ部(弾性部)、40…基板支持部材、41…基板取付部、42…基板受容部、43…U字型バネ部(弾性部)、50…基板支持部材、53…バネ部(弾性部)、60…基板支持部材、63…バネ部(弾性部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状を呈する中空管と、
該中空管の中に配設された矩形状のLED基板と、
該LED基板を挟んで前記LED基板の長手側端部に取着される少なくとも一対の基板支持部材と
を具備し、
前記基板支持部材は、前記中空管の内面に当接し、前記中空管の中で前記LED基板を支持することを特徴とするLED照明器具。
【請求項2】
前記基板支持部材は、前記側端部と前記中空管との間に弾性部を有し、該弾性部の弾力によって前記基板支持部材の一部が中空管の内面に押圧されることを特徴とする請求項1に記載のLED照明器具。
【請求項3】
前記基板支持部材は、前記LED基板に取り付けられる基板取付部を有し、
前記弾性部は、前記基板取付部から略V字形に延びる一対の板バネ部であることを特徴とする請求項2に記載の基板支持部材。
【請求項4】
前記基板支持部材は、前記LED基板の一部が嵌入して取着される基板受容部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のLED照明器具。
【請求項5】
前記中空管は、ガラス製であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載のLED照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−69617(P2013−69617A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208822(P2011−208822)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000144544)レシップホールディングス株式会社 (179)
【Fターム(参考)】