説明

LED照明器具

【課題】光源にLEDを使用する発光ユニットの組立工程を簡素化するLED取付構造を提供する。
【解決手段】コネクター4aは、LED5の正極電極51側を覆うように配置され、コネクターネジ止め穴41を有し、正極電極51に接続するリード線72が接続される。コネクター4bもLED5の負極電極52側を覆うように配置され、コネクターネジ止め穴41を有し、負極電極52に接続するリード線73が接続される。内部反射板3はコネクター4a、コネクター4bの各コネクターネジ止め穴41に嵌る各コネクター押さえ部を有する。金属プレート6にLED5を仮止めし、内部反射板3を固定ネジ部2で金属プレート6に固定する。このとき内部反射板3の各コネクター押さえ部が各コネクターネジ穴41を金属プレート6方向に押圧し嵌合する。これにより各コネクターは正極電極51、負極電極52と電気的に接続しかつLED5を金属プレート6に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源に発光ダイオード(LED)を用いたLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気部品を配線基板に電気的に接続する電気接続装置に関する技術がある。特許文献1は発光モジュールを被取付体に配置し被取付体に形成した支持部に配線基板を発光モジュールを狭圧するように取り付けることにより電気的接続するものであり、取り付け部である螺合機構は発光モジュールに対して複数備えているものである(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−146812公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば上記の特許文献1では、確実な電気的接続が実現できるように1つの発光ダイオード(電気部品)に対し複数のネジ止め部(螺合機構)を設ける必要があった。よって、発光ダイオードを複数個使用する多灯光源になると、ネジ止め箇所が多くなり組み立て時間が多くなるという課題があった。
【0005】
また、電気的な接続は配線基板と金属プレート(被取付体)をネジ止め(螺合機構)の押圧(狭圧)にて行うため、配線基板の接続端子付近に行わなければならず、金属プレートおよび照明器具本体との絶縁距離がとりづらいという課題があった。
【0006】
更に発光ダイオード(以下、LEDという)の位置決めとして、金属プレート(被取付体)からなる支柱によりガイド部を構成している。このため、放熱を考慮して被取付体を金属製の材質とした場合、接続端子と金属プレート(被取付体)との距離は絶縁距離が小さくなってしまう。
【0007】
尚、配線基板の上面全面に放熱のため熱伝導性の高い銅からなる放熱用パターンを設けた場合、放熱用パターンとネジ(螺合機構)と金属プレート(被取付体)が電気的な接続経路となってしまう。このため、ほぼ発光モジュール側接続端子およびその配線パターンから放熱用パターンまでにある配線基板の厚み分の距離となり、十分な絶縁距離の確保が難しいという課題がある。
【0008】
その他、複数のLEDを配置した光源の場合、ネジ止め箇所が多いことによりLEDを交換する場合に手間がかかるという課題があった。
【0009】
本発明は、LEDを使用した光源の組み立て工程を簡素化が図れるコネクターおよびLEDの固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のLED照明器具は、
発光面から光を出射するLEDが、実装面となる一方の面に実装される基板と、
前記発光面の裏側となる裏面が前記実装面に対向して実装されると共に、発光面側であるおもて面に前記発光面と正極電極と負極電極とが形成されたLEDと、
前記LEDを前記基板に固定する第1LED固定部であって、相手部品の押圧部を受けて押し圧される受け部が形成されていると共に前記LEDの前記正極電極に電気的に接続するリード線と、前記LEDの前記負極電極に電気的に接続するリード線とが接続される第1LED固定部と、
前記相手部品となる第2LED固定部であって、前記第1LED固定部の前記受け部を押圧して前記第1LED固定部を前記実装面の方向に押し付けることで、前記第1LED固定部を介して前記LEDを前記基板に固定し、かつ、前記正極電極と前記負極電極とにそれぞれの前記リード線を電気的に接続させる第2LED固定部と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、LEDとコネクターを固定する固定ネジの削減による構造の簡略化が図れ、組立て工数の削減と同時に確実な電気的接続をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1の照明器具100の外観を示す斜視図。
【図2】実施の形態1の照明器具100の主要部の分解斜視図。
【図3】実施の形態1の組立て後の照明器具100の上面図(方向矢視)。
【図4】実施の形態1の金属プレートへのLEDの実装方法を示す図。
【図5】図2の破線部Bの部分拡大図。
【図6】図3のA−A’断面図。
【図7】実施の形態1のコネクターを用いた場合のLEDの接続例を示す模式図。
【図8】実施の形態1のコネクターを用いた場合のLEDの別の接続例を示す模式図。
【図9】実施の形態1のコネクターを用いた場合のLEDのさらに別の接続例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1〜図9を参照して、実施の形態1の照明器具100を説明する。
図1は、照明器具100の外観を示す斜視図である。
図2は、照明器具100の主要部となる発光ユニット11の分解斜視図である。
図3は、照明器具100の上面図(X方向矢視)である。
図4は、金属プレート6へのLED5の実装方法を示す図である。
図5は、図2の破線部Bの部分拡大図である。
図6は、図3のA−A’断面図である。
図7は、後述のコネクターを用いた場合のLEDの接続例を示す模式図である。
図8は、コネクターを用いた場合のLEDの別の接続例を示す模式図である。
図9は、コネクターを用いた場合のLEDのさらに別の接続例を示す模式図である。
【0014】
図1に示すように、照明器具100は、照明器具本体8、枠9、取付けバネ10、発光ユニット11を備える。
【0015】
(発光ユニット11)
図2に示すように、発光ユニット11は、金属プレート6と、コネクター4と、コネクター4により金属プレート6に密着するように配置されたLED5と、複数のコネクター4を同時に固定できる内部反射板3と、内部反射板3の外部に取付けられ、配光を制御する外部反射板1とを備える。
【0016】
図4に示すように、金属プレート6(基板)は、発光面53から光を出射するLED5が、実装面61となる一方の面に実装される。LED5は、発光面53の裏面が実装面61に対向して実装される。LED5には、発光面53側に発光面53、正極電極51、負極電極52が形成されている。コネクター4(第1LED固定部、区別するときはコネクター4a、4bという)は、LED5を金属プレート6に固定する機能と、リード線とLED電極とを電気的に接続する機能を有する。コネクター4は、後述するコネクターネジ止め穴41(受け部、凹部)が形成されており、また、LED5の正極電極51に電気的に接続するリード線72と、負極電極52に電気的に接続するリード線73とが接続されている。各コネクター4は、正極電極51の側を覆い、また負極電極52を覆っている。金属プレート6は、コネクター4を位置決めする嵌合部62が設けられている。図4では嵌合部62は、金属プレート6にあけられた穴である。コネクター4には、この穴に嵌合する突起(図示していない)が設けられている。図4に示すようにコネクター4を金属プレート6の嵌合部62に嵌合させることで、コネクター4を金属プレート6に仮止めすることができる。コネクター4によりLED5を押圧するように仮止めすることにより、LED5を金属プレート6に位置決めすることが出来る。また、コネクター4には予めリード線7(配線)が接続されているため、複数のLED5を直列または並列に接続することができる。並列接続等のバリエーションは、この実施の形態1の最後で説明する(図7〜図9)。
【0017】
このように図4では、コネクター4a(正極側固定部)は、LED5の正極電極51側を覆うように配置され、コネクターネジ止め穴41(凹部)を有し、正極電極51に接続するリード線72が接続される。コネクター4b(負極側固定部)もLED5の負極電極52側を覆うように配置され、コネクターネジ止め穴41を有し、負極電極52に接続するリード線73が接続される。内部反射板3はコネクター4a、コネクター4bの各コネクターネジ止め穴41に嵌る各コネクター押さえ部31(正極側凸部、負極側凸部)を有する(図6に示した)。図2に示すように、金属プレート6にLED5を仮止めし、内部反射板3を固定ネジ部2で金属プレート6に固定する。このとき内部反射板3の各コネクター押さえ部31(正極側凸部、負極側凸部)が各コネクターネジ止め穴41(凹部)を金属プレート6方向に押圧し嵌合する。これにより各コネクターは正極電極51、負極電極52と電気的に接続しかつLED5を金属プレート6に固定する。
【0018】
図5に示すように、コネクター4には固定ネジにより固定することが出来るコネクターネジ止め穴41が設けられている。
【0019】
図6に示すように、樹脂製の内部反射板3の内側には、コネクター押さえ部31が設けられている。図6のコネクター4cはコネクターネジ止め穴41が断面上にあり、コネクター4dはコネクターネジ止め穴41が断面から外れている。また、内部反射板3には固定ネジ部2(図2、図6)が設けられ、固定ネジ部2により、内部反射板3は金属プレート6に固定される。図2には固定ネジ部2の雄ネジ21と、雄ネジ21を受ける金属プレート6側の雌ネジ63を示した。
【0020】
(LED5の金属プレート6への固定)
固定ネジ部2によって内部反射板3を金属プレート6に固定するときに、内部反射板3に設けられたコネクター押さえ部31(図6)が、コネクターネジ止め穴41を金属プレート6方向に押圧するように嵌合する。このように押圧するように嵌合することで、LED5の発光面側方向に形成された電極(図4に示した正極電極51、負極電極52)とコネクターとが確実な電気的接続を行うことができると同時に、LED5を金属プレート6に対して固定することができる。このように、内部反射板3(第2LED固定部)は、コネクター4(第1LED固定部)のコネクターネジ止め穴41に嵌る形状のコネクター押さえ部31(押圧部、凸部)を有する。そして、コネクター押さえ部31がコネクターネジ止め穴41(受け部、凹部)に嵌り込んでコネクターネジ止め穴41を押圧してコネクター4を実装面61の方向に押し付ける。この押し付けによって、LED5をコネクター4を介して金属プレート6に固定する。
【0021】
このように、内部反射板3を金属プレート6に固定することにより、コネクター4とLED5との両方を金属プレート6に固定することができるので、コネクター押さえ部31がコネクター4のコネクターネジ止め穴41を押圧する力により、確実な電気的接続も可能となる。
【0022】
また、コネクター4付近には固定ネジのような導電材がないため、十分に電気的な絶縁距離が確保可能となり、安全性が向上する。
【0023】
なお外部反射板1の反射部の構造を変えることにより配光を変化させることが可能である。
【0024】
なお、以上の実施の形態1では、コネクター4の凹形状のコネクターネジ止め穴41と、内部反射板3の凸形状のコネクター押さえ部31とを嵌合することによって、LED5を金属プレート6に固定したが、一例である。内部反射板3に設けられた押圧部が、金属プレート6に仮止めされたコネクター4に設けられた被押圧部を押圧することで、LED5を金属プレート6に固定する構成であればよい。したがって、コネクター押さえ部31が凹形状であり、コネクター4に設けられた被押圧部が凸形状であっても構わない。ただし上記の実施の形態1の構成であれば、ネジ止用のコネクター4を流用し、ネジを使用することなく、コネクターネジ止め穴41にコネクター押さえ部31を嵌合させることができる。
【0025】
また、以上の実施の形態1では、一つのLED5を二つのコネクター4で固定したが、以下のような構成でも構わない。
図7は、コネクター4、コネクター4−1を用いて、並列接続する場合の模式的な図である。2つのLED5の正極を電気的に接続するコネクター4−1を用いることで、並列接続の構成とした例である。コネクター4−1にはコネクター押さえ部31によって押し圧される凹部が形成されている。
また、図8は、一つのLED5を、一つのコネクター4−2で固定する例を示す模式的な図である。図2の破線部Bでは二つのコネクター4で一つのLED5を固定しているが、図8のコネクター4−2は、破線部Bの2つのコネクター4を一体化した形状である。
図9は、コネクター4、コネクター4−1、コネクター4−2の3種類を用いて、LEDの並列回路を構成した例である。
図7〜図9に示すようなコネクターを用いても、LEDを簡単に基板に固定し、導通させることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 外部反射板、2 固定ネジ部、3 内部反射板、21 雄ネジ、31 コネクター押さえ部、4 コネクター、41 コネクターネジ止め穴、5 LED、51 正極電極、52 負極電極、53 発光面、6 金属プレート、61 実装面、62 嵌合部、63 雌ネジ、7 配線、8 照明器具本体、9 枠、10 取付けバネ、11 発光ユニット、100 照明器具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光面から光を出射するLEDが、実装面となる一方の面に実装される基板と、
前記発光面の裏側となる裏面が前記実装面に対向して実装されると共に、発光面側であるおもて面に前記発光面と正極電極と負極電極とが形成されたLEDと、
前記LEDを前記基板に固定する第1LED固定部であって、相手部品の押圧部を受けて押し圧される受け部が形成されていると共に前記LEDの前記正極電極に電気的に接続するリード線と、前記LEDの前記負極電極に電気的に接続するリード線とが接続される第1LED固定部と、
前記相手部品となる第2LED固定部であって、前記第1LED固定部の前記受け部を押圧して前記第1LED固定部を前記実装面の方向に押し付けることで、前記第1LED固定部を介して前記LEDを前記基板に固定し、かつ、前記正極電極と前記負極電極とにそれぞれの前記リード線を電気的に接続させる第2LED固定部と
を備えたことを特徴とするLED照明器具。
【請求項2】
前記第1LED固定部は、
前記LEDの前記正極電極の側を覆うと共に前記受け部が形成され、前記正極電極に電気的に接続する前記リード線が接続された正極側固定部と、
前記LEDの前記負極電極の側を覆うと共に前記正極側固定部の前記受け部とは異なる別の受け部が形成され、前記負極電極に電気的に接続する前記リード線が接続された負極側固定部との、別個の2つの固定部からなり、
前記第2LED固定部は、
前記正極側固定部の前記受け部を押し圧する正極側押圧部と、前記負極側固定部の前記受け部を押し圧する負極側押圧部とを有し、前記正極側押圧部と前記負極側押圧部とがそれぞれ前記正極側固定部の前記受け部と前記負極側固定部の前記受け部とを押圧して前記正極側固定部と前記負極側固定部とを前記実装面の方向に押し付けることで、前記正極側固定部と前記負極側固定部とを介して前記LEDを前記基板に固定すると共に前記正極電極と前記負極電極とにそれぞれの前記リード線を電気的に接続させることを特徴とする請求項1記載のLED照明器具。
【請求項3】
前記第1LED固定部は、
前記受け部として、凹形状の凹部が形成されており、
前記第2LED固定部は、
前記押圧部として前記第1LED固定部の前記凹部に嵌る形状の凸部を有し、前記凸部が前記第1LED固定部の前記凹部に嵌り込んで前記凹部を押圧して前記第1LED固定部を前記実装面の方向に押し付けることで、前記第1LED固定部を介して前記LEDを前記基板に固定すると共に前記正極電極と前記負極電極とに前記リード線を電気的に接続させることを特徴とする請求項1記載のLED照明器具。
【請求項4】
前記第1LED固定部は、
前記LEDの前記正極電極の側を覆うと共に前記凹部が形成され、前記正極電極に電気的に接続する前記リード線が接続された正極側固定部と、
前記LEDの前記負極電極の側を覆うと共に前記正極側固定部の前記凹部とは異なる別の凹部が形成され、前記負極電極に電気的に接続する前記リード線が接続された負極側固定部との、別個の2つの固定部からなり、
前記第2LED固定部は、
前記正極側固定部の前記凹部に嵌る形状の凸部である正極側凸部と、前記負極側固定部の前記凹部に嵌る形状の凸部である負極側凸部とを有し、前記正極側凸部と前記負極側凸部とがそれぞれ前記正極側固定部の前記凹部と前記負極側固定部の前記凹部とに嵌り込んでそれぞれの前記凹部を押圧して前記正極側固定部と前記負極側固定とを前記実装面の方向に押し付けることで、前記正極側固定部と前記負極側固定とを介して前記LEDを前記基板に固定すると共に前記正極電極と前記負極電極とにそれぞれの前記リード線を電気的に接続させることを特徴とする請求項3載のLED照明器具。
【請求項5】
前記第2LED固定部は、
前記LEDが出射した光を反射する反射部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のLED照明器具。
【請求項6】
前記第1LED固定部は、
前記受け部として、所定の雄ネジに対応して形成された雌ネジのネジ穴を流用することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のLED照明器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−204153(P2012−204153A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68016(P2011−68016)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】