説明

LED照明器具

【課題】LEDの照射角度の広がりによる照度の低下を補う。
【解決手段】LED基板10上に複数列に配置された複数のLED11と、複数のLED11がそれぞれ表出するための複数の貫通孔21を具備し、複数のLED11のそれぞれが複数の貫通孔21から表出するようにLED基板10上に配置された反射板20とを有し、反射板20は、複数のLED11の配列方向に沿う端部が、複数のLED11から照射された光の進行方向上に配置されるように、かつその端部にて反射した光の進行方向がLED基板10から離れる方向となるようにLED基板10とは反対側に折れ曲がっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源として用いたLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)は、エネルギー効率に優れているとともに長寿命であり、また、近年においては高輝度化が進んでいることにより、様々な照明光源として利用されている。例えば、複数のLEDを配列し、蛍光灯ランプの代わりとして利用することが考えられている。
【0003】
ここで、LEDは、蛍光灯と比べて光の指向性が強いため、複数のLEDを配列して照射した場合に表面照度にムラが生じてしまう。そこで、複数のLED間に平面反射板を配置し、それにより、表面照度のムラを低減する技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−202725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、LEDの照射角度は120度程度であるが、上述したように蛍光灯ランプの代わりに照明として用いる場合、高い位置に設置すると、その照射角度の広がりにより、LEDの下方であってもLEDから離れるにしたがってその照度は大きく低下してしまう。上記のような平面反射板を用いれば、その反射光によって照度の低下を多少は補うことができるものの、照射角度の広がりによる照度の低下を避けることはできない。
【0006】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、LEDの照射角度の広がりによる照度の低下を補うことができるLED照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、
基板上に複数列に配置された複数のLEDと、
前記複数のLEDがそれぞれ表出するための複数の貫通孔を具備し、前記複数のLEDのそれぞれが前記複数の貫通孔から表出するように前記基板上に配置された反射板とを有し、
前記反射板は、前記複数のLEDの配列方向に沿う端部が、前記複数のLEDのうち少なくとも前記複数列の最も外側の列のLEDから照射された光の進行方向上に配置されるように、かつ当該端部にて反射した光の進行方向が前記基板から離れる方向となるように前記基板とは反対側に折れ曲がっている。
【0008】
上記のように構成された本発明においては、基板上に複数列に配置されたLEDから光が照射されると、その光はLEDの照射角度の範囲に拡散しながら進行していく。ここで、LEDが配置された基板上には、複数のLEDがそれぞれ表出するための複数の貫通孔を具備する反射板が、複数のLEDのそれぞれが複数の貫通孔から表出するように配置されているが、その反射板のLEDの配列方向に沿う端部が、複数のLEDのうち少なくとも複数列の最も外側の列のLEDから照射された光の進行方向上に配置されるように、かつその端部にて反射した光の進行方向が基板から離れる方向となるように基板とは反対側に折れ曲がっているので、少なくとも複数列の最も外側の列のLEDから照射されて拡散した光が、反射板の端部において拡散した方向よりも内側に反射して進行していくので、複数列に配置されたLEDから照射された光の拡散領域が絞られることになり、LEDの照射角度の広がりによる照度の低下が補われる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明においては、複数のLEDが複数列に配置された基板上に、複数のLEDがそれぞれ表出するための複数の貫通孔を具備し、複数のLEDのそれぞれが複数の貫通孔から表出するように配置された反射板のLEDの配列方向に沿う端部が、複数のLEDのうち少なくとも複数列の最も外側の列のLEDから照射された光の進行方向上に配置されるように、かつその端部にて反射した光の進行方向が基板から離れる方向となるように基板とは反対側に折れ曲がっている構成としたため、複数のLEDの少なくとも複数列の最も外側の列のLEDから照射されて拡散した光が、反射板の端部において拡散した方向よりも内側に反射して進行していくこととなり、それにより、複数列に配置されたLEDから照射された光の拡散領域が絞られ、LEDの照射角度の広がりによる照度の低下を補うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のLED照明器具の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は内部構造を示す斜視図、(c)は輪切りにした断面図である。
【図2】図1に示したLED照明器具の作用を説明するための図である。
【図3】本発明のLED照明器具の第2の実施の形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は内部構造を示す斜視図、(c)は輪切りにした断面図である。
【図4】図3に示したLED照明器具の作用を説明するための図である。
【図5】本発明のLED照明器具の第3の実施の形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は内部構造を示す斜視図、(c)は輪切りにした断面図である。
【図6】図5に示したLED照明器具の作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明のLED照明器具の第1の実施の形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は内部構造を示す斜視図、(c)は輪切りにした断面図である。
【0013】
本形態は図1に示すように、ポリカーボネートからなる筒状の外郭ケース2の両端部に口金3が嵌め込まれて構成されている。この外郭ケース2の内部には、一方の面に複数のLED11が搭載されたLED基板10と、このLED基板10上に搭載された反射板20とを有している。
【0014】
LED基板10は、その一方の面上に、複数のLED11が2列に配置されて搭載されており、複数のLED11の配列方向に沿う端部が外郭ケース2の内側面に設けられた溝2aに嵌め込まれて固定されている。
【0015】
反射板20は、LED基板10上におけるLED11の配置ピッチと同一のピッチで複数の貫通孔21が2列となって設けられているとともに、少なくとも一方の面が鏡面等の反射機能を有し、その面が内側となるように貫通孔21の配列方向に沿う領域が折れ曲がっている。すなわち、反射板20は、貫通孔21の配列方向に沿う端部が折れ曲がっている。そして、折れ曲がり状態内側となる面がLED基板10とは反対側となるように、かつ、複数のLED11のそれぞれが貫通孔21から表出するようにLED基板10上に搭載され、貫通孔21の配列方向に沿う端部が外郭ケース2の内側面に設けられた溝2bに嵌め込まれて固定されている。
【0016】
このように、反射板20が、折れ曲がり状態内側となる面がLED基板10とは反対側となるように、かつ、複数のLED11のそれぞれが貫通孔21から表出するようにLED基板10上に搭載されることにより、反射板20は、LED基板10上に搭載された複数のLED11の配列方向に沿う領域が折れ曲がっていることになる。
【0017】
複数のLED11は、それぞれ120度程度の照射角度θ1を有しており、反射板20の折れ曲がり角度θ2は、
θ2>90−θ1/2
となっている。
【0018】
外郭ケース2の両端部に嵌め込まれた口金3には、それぞれ2本の口金ピン3a,3bが設けられている。LED基板10に搭載されたLED11は直流電源で駆動するため、4本の口金ピン3a,3bのうち、2本の口金ピンがLED基板10に接続され、これら2本の口金ピンのうち一方にプラスの電位が印加され、他方にGND電位が印加されることにより、LED11に直流電源が供給される。本形態においては、外郭ケース2の両端部に嵌め込まれた口金3のうち、一方の口金3に設けられた2本の口金ピン3a,3bにプラス、GND電位がそれぞれ印加され、他方の口金3に設けられた2本の口金ピンはダミーとなっている。
【0019】
以下に、上記のように構成されたLED照明器具1の作用について説明する。
【0020】
図2は、図1に示したLED照明器具1の作用を説明するための図であり、図1に示したLED照明器具1を輪切りにした方向から見た図である。
【0021】
図1に示したLED照明器具1においては、口金ピン3a,3bを介して直流電源が供給されると、LED基板10に搭載された複数のLED11がそれぞれ発光し、LED11から光が照射される。
【0022】
LED11から照射された光は、図2に示すように、LED11の照射角度θ1の範囲に拡散しながら進行していく。
【0023】
ここで、LED11が搭載されたLED基板10上には、LED基板10上におけるLED11の配置ピッチと同一のピッチで複数の貫通孔21が2列となって設けられた反射板20が搭載されているが、複数の貫通孔21の配列方向に沿う領域がLED基板10とは反対側に折れ曲がっており、その折れ曲がり角度θ2が、LED11の照射角度θ1に対して、θ2>90−θ1/2となっている。これにより、図2に示すように、反射板20の折れ曲がった領域が、LED11から照射された光の成分うち2つのLED11の並び方向外側の成分の進行方向上に配置された状態となっている。
【0024】
そのため、LED11から照射された光のうち2つのLED11の並び方向外側の成分が、反射板20の折れ曲がった領域にて2つのLED11の並び方向内側に反射してLED基板10から離れる方向に進行していき、それにより、LED11から照射された光の拡散領域が絞られ、LED11の照射角度の広がりによる照度の低下が補われることになる。
【0025】
このように、反射板20のLED11の配列方向に沿う端部が、LED基板10に搭載されたLED11から照射された光の進行方向上に配置されるように折れ曲がっていることにより、LED11から照射された光の拡散領域が絞られ、LED11の照射角度の広がりによる照度の低下が補われることになるが、反射板20の折れ曲がった端部にて反射した光の進行方向がLED基板10に向かう方向となってしまう程度まで反射板20の端部が折れ曲がってしまうと、照度の低下を補うことができない。そのため、反射板20のLED11の配列方向に沿う端部は、LED基板10に搭載されたLED11から照射された光の進行方向上に配置されるように、かつ、その端部にて反射した光の進行方向がLED基板10から離れる方向となるように折れ曲がっている必要がある。
【0026】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明のLED照明器具の第2の実施の形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は内部構造を示す斜視図、(c)は輪切りにした断面図である。
【0027】
本形態は図3に示すように、第1の実施の形態にて示したものに対して、反射板120が、貫通孔21から表出したLED11から離れた領域においてその端部が貫通孔21の配列方向に沿って折れ曲がっている点のみが異なるものである。そして、その折れ曲がり角度θ2は、第1の実施の形態にて示したものと同様に、反射板120の端部が、LED基板10に搭載されたLED11から照射された光の進行方向上に配置されるようなものとなっている。
【0028】
以下に、上記のように構成されたLED照明器具101の作用について説明する。
【0029】
図4は、図3に示したLED照明器具101の作用を説明するための図であり、図3に示したLED照明器具101を輪切りにした方向から見た図である。
【0030】
図3に示したLED照明器具101においては、第1の実施の形態にて示したものと同様に、口金ピン3a,3bを介して直流電源が供給されると、LED基板10に搭載された複数のLED11がそれぞれ発光し、LED11から光が照射される。
【0031】
LED11から照射された光は、図4に示すように、LED11の照射角度θ1の範囲に拡散しながら進行していく。
【0032】
ここで、LED11が搭載されたLED基板10上には、LED基板10上におけるLED11の配置ピッチと同一のピッチで複数の貫通孔21が2列となって設けられた反射板120が搭載されているが、複数の貫通孔21から離れた領域においてその端部が貫通孔21の配列方向に沿ってLED基板10とは反対側に折れ曲がっており、その折れ曲がり角度θ2が、LED基板10に搭載されたLED11から照射された光の進行方向上に反射板120の端部が配置されるようなものとなっている。
【0033】
そのため、LED11から照射された光のうち2つのLED11の並び方向外側を含む成分が、反射板120の折れ曲がった領域にて2つのLED11の並び方向内側に反射してLED基板10から離れる方向に進行していき、それにより、LED11から照射された光の拡散領域が絞られ、LED11の照射角度の広がりによる照度の低下が補われることになる。
【0034】
なお、本形態においても、反射板120の折れ曲がった端部にて反射した光の進行方向がLED基板10に向かう方向となってしまう程度まで反射板120の端部が折れ曲がってしまうと、照度の低下を補うことができないため、反射板120のLED11の配列方向に沿う端部は、LED基板10に搭載されたLED11から照射された光の進行方向上に配置されるように、かつ、その端部にて反射した光の進行方向がLED基板10から離れる方向となるように折れ曲がっている必要がある。
【0035】
(第3の実施の形態)
図5は、本発明のLED照明器具の第3の実施の形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は内部構造を示す斜視図、(c)は輪切りにした断面図である。
【0036】
本形態は図5に示すように、第1の実施の形態にて示したものに対して、LED基板210上に複数のLED11が3列に配置されて搭載されているとともに、反射板220に設けられた貫通孔21も3列に配置されている点のみが異なるものであり、それにより、反射板220は、複数の貫通孔21からそれぞれ表出した複数のLED11のうち、複数列の最も外側の列のLED11の配列方向に沿う領域が折れ曲がっていることになる。
【0037】
以下に、上記のように構成されたLED照明器具201の作用について説明する。
【0038】
図6は、図5に示したLED照明器具201の作用を説明するための図であり、図5に示したLED照明器具201を輪切りにした方向から見た図である。
【0039】
図5に示したLED照明器具201においては、第1の実施の形態にて示したものと同様に、口金ピン3a,3bを介して直流電源が供給されると、LED基板210に搭載された複数のLED11がそれぞれ発光し、LED11から光が照射される。
【0040】
LED11から照射された光は、図6に示すように、LED11の照射角度θ1の範囲に拡散しながら進行していく。
【0041】
ここで、LED11が搭載されたLED基板210上には、LED基板210上におけるLED11の配置ピッチと同一のピッチで複数の貫通孔21が3列となって設けられた反射板220が搭載されているが、複数の貫通孔21のうち複数列の最も外側の列の貫通孔21の配列方向に沿う領域がLED基板210とは反対側に折れ曲がっており、その折れ曲がり角度θ2が、LED11の照射角度θ1に対して、θ2>90−θ1/2となっていることにより、図6に示すように、反射板220の折れ曲がった領域が、複数列の最も外側の列のLED11から照射された光の成分うち3つのLED11の並び方向外側の成分の進行方向上に配置された状態となっている。
【0042】
そのため、複数列の最も外側の列のLED11から照射された光のうち3つのLED11の並び方向外側の成分が、反射板220の折れ曲がった領域にて3つのLED11の並び方向内側に反射してLED基板210から離れる方向に進行していき、それにより、LED11から照射された光の拡散領域が絞られ、LED11の照射角度の広がりによる照度の低下が補われることになる。
【0043】
なお、本形態においても、反射板220の折れ曲がった端部にて反射した光の進行方向がLED基板210に向かう方向となってしまう程度まで反射板220の端部が折れ曲がってしまうと、照度の低下を補うことができないため、反射板220のLED11の配列方向に沿う端部は、LED基板20に搭載されたLED11のうち、複数列の最も外側の列のLED11から照射された光の進行方向上に配置されるように、かつ、その端部にて反射した光の進行方向がLED基板210から離れる方向となるように折れ曲がっている必要がある。
【0044】
また、上述した3つの実施の形態においては、複数のLED11が2列または3列に配置されてLED基板10,210上に搭載されたものを例に挙げて説明したが、本発明におけるLED11の配列数は複数であればこれに限らない。ただし、反射板のLED11の配列方向に沿う端部が、複数のLED11のうち少なくとも複数列の最も外側の列のLEDから照射された光の進行方向上に配置されるように、かつその端部にて反射した光の進行方向がLED基板から離れる方向となるようにLED基板とは反対側に折れ曲がっている必要がある。
【符号の説明】
【0045】
1,101,201 LED照明器具
2 外郭ケース
2a,2b 溝
3 口金
3a,3b 口金ピン
10,210 LED基板
11 LED
20,120,220 反射板
21 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に複数列に配置された複数のLEDと、
前記複数のLEDがそれぞれ表出するための複数の貫通孔を具備し、前記複数のLEDのそれぞれが前記複数の貫通孔から表出するように前記基板上に配置された反射板とを有し、
前記反射板は、前記複数のLEDの配列方向に沿う端部が、前記複数のLEDのうち少なくとも前記複数列の最も外側の列のLEDから照射された光の進行方向上に配置されるように、かつ当該端部にて反射した光の進行方向が前記基板から離れる方向となるように前記基板とは反対側に折れ曲がっているLED照明器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−94285(P2012−94285A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238645(P2010−238645)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】